(実施形態1)
本実施形態の物理量センサ(以下、単に「センサ」と略称する)1は、図2に示すような物理量検出システムに利用される。図2に示す物理量検出システムは、例えば、電子制御装置(Electronic Control Unit;ECU)による自動車のエンジン運転における電気的な制御に用いられる。この物理量検出システムは、2つのセンサ1と、外部装置であるECUよりなる管理装置2とで構成されている(このものでは、センサ1がスレーブ、管理装置2がマスタとして使用される)。また、当該物理量検出システムでは、2つセンサ1は同一の物理量を検出するものであって、同一の筐体に収納されている。そして、管理装置2は、2つのセンサ1の検出出力を比較して、2つのセンサ1の一方の異常が発生しているか否かを判定し、これによって、信頼性の高い検出結果が得られるようになっている。
センサ1は、図1に示すように、端子部(以下、スレーブ側端子部と称する)10と、検出部11と、記憶部12と、出力補正部(出力部)13と、通信部(以下、スレーブ側通信部と称する)14と、判別部15と、制御部(以下、スレーブ側制御部と称する)16と、電源部17とを備えている。また、センサ1は、各部10〜17を構成する電気機器等を収納する筐体(図示せず)を備えている。
スレーブ側端子部10は、管理装置2との接続に使用されるものであり、電源端子10aと、出力端子10bと、接地端子10cとを備えている。電源端子10aは、センサ1に電力を供給するための端子であり、出力端子10bはセンサ1の検出出力を管理装置2に出力するための端子であり、接地端子10cは基準電位点を与えるための端子である。本実施形態では、電源端子10aと出力端子10bの2つの端子が管理装置2に有線接続されるようになっている。また、電源端子10aと接地端子10cとの間には、電源ノイズや輻射ノイズなどの高周波ノイズ対策として、図示しないバイパスコンデンサ(パスコン)が挿入されている。
検出部11は、所定の物理量を検出するためのものであり、例えば、加速度センサ、角速度センサ、圧力センサ、荷重センサ、磁気センサなどの検出素子が挙げられる。このような検出部11は、例えば、物理量の検出値に応じた電位を有する信号(検出信号)を検出出力として出力する。
記憶部12は、例えば、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリや、EEPROM、ヒューズ、OTPROMその他の電気的に書き込みが可能な記憶媒体)を備えている。この記憶部12には、センサ1に関する特性情報が書き込まれる。本実施形態において、特性情報は、検出部11の検出出力の補正、すなわち検出値の補正に使用する補正値である。なお、このような特性情報は、センサ1の規格や、製品ID、クランプ電圧、その他種々のセンサ1に関する情報であってもよい。
出力補正部13は、検出部11の検出出力を補正して出力する。より詳細には、出力補正部13は、検出部11より検出出力を得ると、検出出力より検出値を取得する。そして、出力補正部13は、取得した検出値を記憶部12に記憶された補正値を用いて補正する。そして、出力補正部13は、補正した検出値に応じた電位を有する信号を補正後の検出出力として出力端子10bに出力する。例えば、出力補正部13は、検出部11の検出出力より得られる検出値に所定の加算値(オフセット値)を加算するオフセット処理と、オフセット処理後の値に所定の乗算値(ゲイン値)を乗算するゲイン処理とを行うことで、検出出力の補正を行う。すなわち、本実施形態では、上述のオフセット値とゲイン値が記憶部12の補正値に含まれている。上述したオフセット値は、正または負の値であり、ゲイン値は、0を除く値である。また、出力補正部13は、後述する通常モード時のみ動作する。
このような出力補正部13によるオフセット処理やゲイン処理は、例えば、検出部11が出力する検出出力の電位を所望の範囲内の値に設定することを目的として行われる。例えば、センサ1の使用場所や使用状況によっては、検出出力の電位の大きさが、管理装置2で検出可能な大きさより大きく、正しい検出結果が得られなくなってしまうおそれがある。このような場合には、出力補正部13により検出出力を補正してその大きさを管理装置2で検出可能な範囲内に収まるようにすることで、適切な検出結果を得ることが可能になる。また、部品等の特性にばらつきによって製品毎に検出出力の値の範囲が異なってしまうことを防止でき、いずれの製品においても検出出力を所望の範囲内に収めることが可能となる。なお、出力補正部13は、オフセット処理とゲイン処理に加えて、温度補正処理を実行するものであってもよく、さらに他の補正処理(例えば、検出出力の反転などの処理)を実行してもよいし、これら種々の処理を択一的に実行するものであってもよい。また、出力補正部13がどの処理を実行するかを、記憶部12に記憶させる特性情報に含めるようにしてもよい。さらに、出力補正部13は、検出部11の検出出力を補正した最終結果ではなく、その中間結果を出力端子10bに出力する機能を有していてもよく、このような出力補正部13の機能の切り替えは、上述の特性情報によって与えることができるようにしてもよい。
スレーブ側通信部14は、記憶部12に記憶させる特性情報(補正値)を管理装置2から受け取るためのものである。このスレーブ側通信部14は、電源端子10aを利用して、管理装置2と有線による通信(シリアル通信)を行う。このようなスレーブ側通信部14は、通信処理部14aと、クロック回路14bと、判定回路14cと、スイッチQ10と、抵抗R10とを備えている。判定回路14cは、コンパレータなどを備え、電源端子10aの電位を信号受信用の閾値と比較することで、電源端子10aの電位がハイレベルであるかロウレベルであるかを判定する。例えば、本実施形態では、信号受信用の閾値を10Vに設定してあり、判定回路14cは、電源端子10aの電位が10V超過であればハイレベルと判定し、10V以下であればロウレベルと判定する。
一方、スイッチQ10は、電源端子10aとグラウンド(基準電位点)との間に挿入されている。このようなスイッチQ10としては、MOSFETなどの半導体スイッチング素子や継電器等のオン・オフ制御が可能なスイッチを用いることができる。抵抗R10は、スイッチQ10がオンであるときに電源端子10aの電位を、スイッチQ10がオフであるときよりも低い所定電位に設定するためのものである。
通信処理部14aは、シリアル信号の送受信を行うためのものである。通信処理部14aは、判定回路14cの判定結果とクロック回路14bとを利用して、シリアル信号の受信処理(すなわちシリアル信号のビット列を識別する処理)を行う。また、通信処理部14aは、スイッチQ10とクロック回路14bとを利用してシリアル信号の送信処理(送信するシリアル信号のビット列に応じて電源端子10の電位を変化させる処理)を行う。このような通信処理部14aは、例えば、論理回路や、マイクロコンピュータ(マイクロコントローラ、略称としてマイコン、広義にはCPUとも称される)などを利用して構成されている。本実施形態では、通信処理部14aと判定回路14cによって、電源端子10aに入力されるシリアル信号を受信する受信部が構成される。また、通信処理部14aとスイッチQ10によって、シリアル信号を電源端子10aに出力する送信部が構成される。
スレーブ側制御部16は、センサ1の全体的な制御を行う制御装置である。このようなスレーブ側制御部16は、例えば、マイクロコンピュータを備え、メモリに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより種々の機能を実現する。なお、スレーブ側制御部16は、スレーブ側通信部14の通信処理部14aと一体に構成されていてもよい。
本実施形態において、スレーブ側制御部16は、通常モードと調整モードとの2種類の動作モードを有している(すなわち、センサ1は通常モードと調整モードのいずれか一方の動作モードで動作する)。
調整モードでは、スレーブ側制御部16は、検出部11および出力補正部13の駆動を停止し、スレーブ側通信部14を駆動する。これによって、検出出力の出力を行わないようにし、また管理装置2とのシリアル通信を可能とする。そして、管理装置2とのシリアル通信によって補正値を取得すると、スレーブ側制御部16は、記憶部12の補正値を管理装置2より取得した補正値に書き換えさせる。書き換えが終了すると、スレーブ側制御部16は、スレーブ側通信部14を制御して、書き換え後の記憶部12の補正値を管理装置2に送信させる。すなわち、調整モードは、検出出力の出力を行わないが、記憶部12の補正値の書き換えは可能とするモードである。
一方、通常モードでは、スレーブ側制御部16は、検出部11および出力補正部13を駆動し、スレーブ側通信部14の駆動を停止する。これによって、検出出力(出力補正部13で補正された検出出力)を出力端子10bに出力可能とし、また管理装置2とシリアル通信を行わないようにする。すなわち、通常モードは、検出出力の出力を行うが、記憶部12の補正値の書き換えは禁止するモードである。
このようなスレーブ側制御部16が調整モードと通常モードのいずれの動作モードで動作するかは、管理装置2の要求に応じて決定される。
判別部15は、管理装置2がいずれの動作モードを要求しているかを判別するためのものであり、その判別結果をスレーブ側制御部16に通知する。よって、スレーブ側制御部16は、判別部15の判別結果に応じた動作モードで各部の制御を実行する。
本実施形態において、判別部15は、電源端子10aの電位変化に基づいて、管理装置2が要求している動作モードを判別する。例えば、判別部15は、電源端子10aの電位が6Vを越えれば、管理装置2が調整モードを要求していると判別し、電源端子10aの電位が6V以下であれば、管理装置2が通常モードを要求していると判別する。このような判別部15は、電源端子10aの電位と動作モード判別用の閾値とを比較する比較回路を利用することで得ることができる。
電源部17は、電源端子10aより得た電力を元にしてセンサ1の動作電圧を生成するものである。このような電源部17には、例えば、電源端子10aと接地端子10cとの間の電位差(電源電圧)に基づいて所定の電圧を生成する三端子レギュレータなどが必要に応じて用いられている。なお、電源端子10aの電位をそのまま使用できる場合には、電源部17を設ける必要はなく、各部を構成する電気回路にそのまま電源端子10aを接続すればよい。
管理装置2は、図2に示すように、センサ1を接続するための端子部(以下、マスタ側端子部と称する)20と、センサ1用の電源である供給電源部21と、センサ1とシリアル通信するための通信部(以下、マスタ側通信部と称する)22と、管理装置2の全体的な制御を行う制御部(以下、マスタ側制御部と称する)23とを備えている。また、管理装置2は、各部20〜23を構成する電気機器等を収納する筐体(図示せず)を備えている。
マスタ側端子部20は、給電端子20aと、入力端子20bとを備えている。給電端子20aは、供給電源部21からセンサ1に給電するための端子であり、入力端子20bは、センサ1より検出出力を得るための端子である。入力端子20bは接続するセンサ1の数に応じた数だけ設けられる(図2に示す例では、センサ1を2つ接続するために2つの入力端子20bが設けられている)。したがって、センサ1は、電源端子10aを給電端子20aに、出力端子10bを入力端子20bに、それぞれ電線(給電線)L1および電線(出力線)L2を用いて接続することによって、管理装置2に接続される。なお、センサ1の接地端子10cは、電線(接地線)L3によって基準電位点(例えば車のボディ)に接続されている。
供給電源部21は、出力電圧を変更することができる可変型の電源であり、例えば、自動車に搭載されたバッテリと、バッテリの直流電圧を所定電圧に降圧可能な降圧チョッパ回路とで構成されている。本実施形態において、供給電源部21は、出力電圧として5Vと12Vとを択一的に選択することができるように構成されている。このような供給電源部21は従来周知のものを採用することができるから詳細な説明は省略する。
マスタ側通信部22は、センサ1(センサ1のスレーブ側通信部14)と有線による通信(シリアル通信)を行うためのものである。このマスタ側通信部22は、給電端子20aを利用してセンサ1とシリアル通信を行うように構成されている。より詳細には、マスタ側通信部22は、スレーブ側通信部14と同様の構成のものであり、通信処理部22aと、クロック回路22bと、判定回路22cと、スイッチQ20と、抵抗R20とを備えている。判定回路22cは、判定回路14cと同様のものであり、給電端子20aの電位(電源端子10aの電位に等しい)が信号受信用の閾値(本実施形態では10V)超過であればハイレベルと判定し、10V以下であればロウレベルと判定する。また、スイッチQ20および抵抗R20も、スイッチQ10および抵抗R10と同様のものである。通信処理部22aは、通信処理部14aと同様のものであるから詳細な説明は省略する。
マスタ側制御部23は、図示しない入出力部からの指示に応じて、センサ1に動作モードの切り替えを要求する機能を有している。
ここで、上記入出力部は、ユーザが情報を入力するための操作ボタンなどの入力部と、ユーザに情報を提示するための画像表示装置などの出力部とを備えたユーザインタフェースであり、管理装置2と一体に、または別体に設けられる。
マスタ側制御部23は、上記入出力部より動作モードを通常モードに設定する旨の指示を受けた場合には、供給電源部21の出力電圧を5Vに設定する。一方、マスタ側制御部23は、動作モードを調整モードに設定する旨の指示を受けた場合には、供給電源部21の出力電圧を12Vに設定する。
ここで、管理装置2では、供給電源部21と給電端子20aとの間に、抵抗R21およびスイッチQ21よりなる並列回路が挿入されている。マスタ側制御部23は、供給電源部21の出力電圧を5Vに設定する際にはスイッチQ21をオンにし、供給電源部21の出力電圧を12Vに設定する際にはスイッチQ21をオフにする。これによって、調整モード時には、供給電源部21と給電端子20aとの間に抵抗R21が挿入される。この抵抗R21は、スイッチQ10,Q20のオン時に、電源端子10aの電位を、信号受信用の閾値以下に低下させるためのものである。したがって、供給電源部21の電圧が12Vである場合には、供給電源部21の電圧を抵抗R10と抵抗R21とで分圧した電圧、および抵抗R20と抵抗R21とで分圧した電圧が、信号受信用の閾値以下(例えば9V)となるように、抵抗R10,20,21の抵抗値が設定されている。
さらに、マスタ側制御部23は、マスタ側通信部22を制御して、上記入出力部を用いてユーザが入力した補正値をセンサ1に送信する機能を有する。ここで、マスタ側制御部23は、マスタ側通信部22に補正値を送信させた後に、所定時間以内に、センサ1からの応答(センサ1における更新後の補正値)が得られれば、補正値の更新が成功したと判断し、その旨を上記入出力部により使用者に通知する。また、マスタ側制御部23は、上記所定時間以内に、センサ1からの応答(センサ1における更新後の補正値)が得られなかったとき、あるいは、得られたがその補正値がセンサ1に送信した補正値と一致しなかったときに、補正値の更新が失敗したと判断し、その旨を上記入出力部により使用者に通知する。加えて、マスタ側制御部23は、入力端子20bに入力された検出出力を上記入出力部に出力して、上記入出力部にセンサ1の検出出力を表示させる機能を有する。ただし、この機能による動作(上記入出力部にセンサ1の検出出力を表示させる動作)は、通常モード時のみに行われ、調整モード時には行われない。この他、マスタ側制御部23は、入力端子20bに入力された検出出力に応じて種々の制御を実行する機能を有する。
以下、センサ1と管理装置2により構築された物理量検出システムの動作について図3を参照して説明する。なお、図3は、電源端子10aの電位変化(電位の時間変化)を示している。
まず、初期状態(図3における時刻T1前)では、センサ1が通常モードであるとする。この初期状態では、管理装置2のマスタ側制御部23は、供給電源部21の出力電圧を5Vに設定するとともに、スイッチQ21をオンとする。この場合、センサ1の電源端子10aには、5Vの電位が与えられる。そのため、判別部15は、管理装置2が通常モードを要求していると判断する。その結果、スレーブ側制御部16は動作モードを通常モードに設定する。よって、センサ1は、記憶部12に記憶されている補正値で検出部11の検出出力を補正して得られた検出出力(補正後の検出出力)を出力端子10bに出力する。出力端子10bに出力された補正後の検出出力は、入力端子20bに入力され、マスタ側制御部23によって上記入出力部に送られ、ユーザに提示される。
一方、上記入出力部によって調整モードが選択されると、マスタ側制御部23は、供給電源部21の出力電圧を12Vに設定するとともに、スイッチQ21をオフとする(時刻T1)。この場合、センサ1の電源端子10aには、12Vの電位が与えられる。より正確には、12Vからセンサ1の消費電流による抵抗R21の電圧降下を差し引いた電位となる。しかしながら、以下の説明では、簡略化のために消費電流を無視して説明する。
そのため、判別部15は、管理装置2が調整モードを要求していると判断する。その結果、スレーブ側制御部16は動作モードを調整モードに設定する。よって、スレーブ側通信部14が駆動されて、管理装置2とのシリアル通信が可能になる。そして、使用者が上記入出力部を用いて補正値の入力を行うと、マスタ側制御部23は、入力された補正値をマスタ側通信部22に送信させる。
マスタ側通信部22は、上述したように、スイッチQ20を制御することで、電源端子10aの電位を12Vあるいは9Vに設定し、これによって、シリアル信号の送信を行う。例えば、シリアル信号により送信する補正値データは3バイトのデータであり、そのうちの2バイトが補正値(各々1バイトのオフセット値およびゲイン値)、残りの1バイトがセンサ1の製品IDを示している。マスタ側通信部22は、シリアル信号を送信するにあたっては、所定時間の間(時刻t1〜t2)、電源端子10aの電位を9Vに設定することでスタートビットSTB1を送信し、その後に補正値データを示すビット列DB1の送信を行う。なお、マスタ側通信部22は、ビット列DB1の送信後には、ストップビット(図示せず)を送信してセンサ1に送信を終えたことを通知する。
スレーブ側制御部16は、スレーブ側通信部14でシリアル信号を受信すると、その補正値データの製品IDが自己のIDと同じかを確認する。IDが同じであれば、スレーブ側制御部16は、記憶部12の補正値を、補正値データが示す補正値(オフセット値およびゲイン値)に書き換えさせる。なお、IDが同じでなければ、補正値データを破棄する。
書き換えが終了すると、スレーブ側制御部16は、スレーブ側通信部14を制御して、書き換え後の記憶部12の補正値を示す応答データを管理装置2に送信させる。この応答データは補正値データと同様に3バイトのデータであり、そのうちの2バイトが補正値(各々1バイトのオフセット値およびゲイン値)、残りの1バイトがセンサ1の製品IDである。スレーブ側通信部14は、シリアル信号を送信するにあたっては、所定時間の間(時刻t3〜t4)、電源端子10aの電位を9Vに設定することでスタートビットSTB2を送信し、その後に応答データを示すビット列DB2の送信を行う。なお、スレーブ側通信部14は、ビット列DB2の送信後には、ストップビット(図示せず)を送信してセンサ1に送信を終えたことを通知する。
マスタ側制御部23は、マスタ側通信部22でシリアル信号を受信すると、その応答データに含まれる補正値および製品IDが、補正値データに含まれる補正値および製品IDに等しいかどうかを確認し、等しければ、補正値の更新が成功したと判断し、等しくなければ、補正値の更新が失敗したと判断する。この判断結果は、上記入出力部によって使用者に通知される。
この後に、上記入出力部によって通常モードが選択されると、マスタ側制御部23は、供給電源部21の出力電圧を5Vに設定するとともに、スイッチQ21をオンとする(時刻T2)。この場合、センサ1の電源端子10aには、5Vの電位が与えられ、その結果、センサ1のスレーブ側制御部16の動作モードが通常モードに設定される。
以上述べたように、本実施形態のセンサ1によれば、電源端子10aの電位変化に基づいて、管理装置2が要求している動作モードを判別するので、端子部10の端子数を増やすことなく調整モードへの移行が行える。
また、調整モードでは、電源端子10aを管理装置2との通信に使用するから、センサ1への給電線L1を通信線に兼用することができる。そのため、管理装置2には、センサ1と一対一対応でマスタ側通信部(通信装置)22を設ける必要がなく、一つのマスタ側通信部22で多数のセンサ1と通信することが可能になる。よって、管理装置2の構成を簡素化することができる。また、電源端子10aは一般的にバイパスコンデンサ(図示せず)により接地されることが多いから、出力端子10bにより通信する場合に比べれば、高周波ノイズの影響を低減することができる。
ところで、上記の例における判別部15は、電源端子10aの電位が所定の条件を満たしているか否か、すなわち、電源端子10aの電位が10Vより高いか否かによって管理装置2が要求している動作モードを判別している。また、判別部15は、電源端子10aの電位が所定のパターンで変化したか否か(例えば、電位が所定周波数で所定回数変化したか等)、すなわち電位変化によって動作モードの判別を行ってもよい。このように判別部15は、電源端子10aの電位波形に基づいて、動作モードの判別を行うものであればよい。
また、判別部15は、電源端子10aの電位(電位変化を含む)が所定の条件を満たした際に、動作モードの判別を確定するのではなく、電源端子10aの電位が所定の条件を満たしている期間が所定時間継続された際に、動作モードの判別を確定するものであってもよい。このようにすればノイズなどの影響によって予期せずに動作モードが変更されてしまうことを抑制することができ、より正確な動作モードの判別が可能になる。
さらに、判別部15は、電源端子10aの電位が所定の条件を満たした際ではなく、出力端子10bの電位が所定の条件を満たした際に、動作モードの判別を確定するようにしてもよい。さらに、判別部15は、出力端子10bの電位が所定の条件を満たしている期間が所定時間継続された際に、動作モードの判別を確定するようにしてもよい。このように、電源端子10aや出力端子10bの電位が所定の条件を満たしている期間が所定時間継続された際に、動作モードの判別を確定するという技術的思想は、後述の実施形態にも採用することができる。
また、本実施形態における供給電源部21は、出力電圧を変えるための降圧チョッパ回路を備えているが、出力電圧が異なる2つの電源を有するものであってもよい。いずれの場合においても、出力電圧の切り替え時に、センサ1への給電が停止されることがないようにすることが好ましい。
(実施形態2)
本実施形態のセンサ1では、スレーブ側通信部14と、判別部15とが実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のセンサ1におけるその他の構成は実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して図示および説明を省略する。
本実施形態におけるスレーブ側通信部14は、実施形態1と同様に、通信処理部14aと、クロック回路14bと、判定回路14cと、スイッチQ10と、抵抗R10とを備えている。本実施形態における判定回路14cは、信号受信用の閾値を3.5Vに設定してあり、判定回路14cは、電源端子10aの電位が3.5V超過であればハイレベルと判定し、3.5V以下であればロウレベルと判定する。そのため、本実施形態においては、抵抗R10,R20,R21それぞれの抵抗値は、スイッチQ10,Q20がオフであるときの電源端子10aの電位が4Vである場合、スイッチQ10,Q20がオンであるときの電源端子10aの電位が3Vとなるように設定されている。なお、スイッチQ10,Q20については実施形態1と同様であるから説明を省略する。また、本実施形態における通信処理部14aは、管理装置2とシリアル通信を行うにあたっては、図4に示すように、最初にクロック回路14bのクロックのタイミングに合わせて同期ビット(同期信号)SYNCを送信する。
本実施形態における判別部15は、電源端子10aの電位が4.5Vを越えれば、管理装置2が通常モードを要求していると判別し、電源端子10aの電位が4.5V以下であれば、管理装置2が調整モードを要求していると判別する。
ここで、本実施形態のセンサ1とともに使用される管理装置2では、供給電源部21と、マスタ側通信部22と、マスタ側制御部23とが実施形態1の管理装置2と異なっている。なお、本実施形態における管理装置2の他の構成は実施形態1のものと同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して図示および説明を省略する。
本実施形態における供給電源部21は、実施形態1と同様に、出力電圧を変更することができる可変型の電源であるが、出力電圧として5Vと4Vとを択一的に選択することができるように構成されている。
本実施形態におけるマスタ側通信部22は、実施形態1と同様に、通信処理部22aと、クロック回路22bと、判定回路22cと、スイッチQ20と、抵抗R20とを備えている。本実施形態における判定回路22cは、給電端子20aの電位(電源端子10aの電位に等しい)が3.5V超過であればハイレベルと判定し、3.5V以下であればロウレベルと判定する。本実施形態における抵抗R20の抵抗値は、上述したとおりである。また、本実施形態における通信処理部22aは、同期ビットSYNCを計測することで、センサ1のクロック情報(位相、周期)を取得する。例えば、通信処理部22aは、同期ビットSYNCを得ると、その同期ビットSYNCの時間をカウントし、そのカウント結果より、スレーブ側通信部14が送信するシリアル信号の1ビット当たりの時間を算出する。そして、通信処理部22aは、このようにして算出したシリアル信号1ビット当たりの時間に基づいてスイッチQ20のオン・オフ制御を実行する。
本実施形態におけるマスタ側制御部23は、上記入出力部より動作モードを通常モードに設定する旨の指示を受けた場合には、供給電源部21の出力電圧を5Vに設定する一方、動作モードを調整モードに設定する旨の指示を受けた場合には、供給電源部21の出力電圧を4Vに設定する点で、実施形態1のものと異なっている。本実施形態におけるマスタ側制御部23のその他の点については実施形態1と同様であるから説明は省略する。
以下、本実施形態のセンサ1と管理装置2により構築された物理量検出システムの動作について図4を参照して説明する。なお、図4は、電源端子10aの電位変化(電位の時間変化)を示している。
まず、初期状態(図4における時刻T1前)では、センサ1が通常モードであるとする。この初期状態では、管理装置2のマスタ側制御部23は、供給電源部21の出力電圧を5Vに設定するとともに、スイッチQ21をオンとする。この場合、センサ1の電源端子10aには、5Vの電位が与えられる。そのため、判別部15は、管理装置2が通常モードを要求していると判断する。その結果、スレーブ側制御部16は動作モードを通常モードに設定する。よって、センサ1は、記憶部12に記憶されている補正値で検出部11の検出出力を補正して得られた検出出力(補正後の検出出力)を出力端子10bに出力する。出力端子10bに出力された補正後の検出出力は、入力端子20bに入力され、マスタ側制御部23によって上記入出力部に送られ、ユーザに提示される。
一方、上記入出力部によって調整モードが選択されると、マスタ側制御部23は、供給電源部21の出力電圧を4Vに設定するとともに、スイッチQ21をオフとする(時刻T1)。この場合、センサ1の電源端子10aには、4Vの電位が与えられる。そのため、判別部15は、管理装置2が調整モードを要求していると判断する。その結果、スレーブ側制御部16は動作モードを調整モードに設定する。よって、スレーブ側通信部14が駆動されて、管理装置2とのシリアル通信が可能になる。このとき、スレーブ側通信部14は、クロック回路14bのクロックのタイミングに合わせて所定時間の間(時刻t11〜t12)、電源端子10aの電位を3Vに設定することで同期ビットSYNCを送信する。管理装置2は、同期ビットSYNCを計測することで、センサ1のクロック情報(位相、周期)を取得する。
そして、使用者が上記入出力部を用いて補正値の入力を行うと、マスタ側制御部23は、入力された補正値をマスタ側通信部22に送信させる。
マスタ側通信部22は、上述したように、スイッチQ20を制御することで、電源端子10aの電位を4Vあるいは3Vに設定し、これによって、シリアル信号の送信を行う。マスタ側通信部22は、シリアル信号を送信するにあたっては、所定時間の間(時刻t13〜t14)、電源端子10aの電位を3Vに設定することでスタートビットSTB1を送信し、その後に実施形態1と同様の補正値データを示すビット列DB1およびストップビット(図示せず)の送信を行う。
スレーブ側制御部16は、スレーブ側通信部14でシリアル信号を受信すると、その補正値データの製品IDが自己のIDと同じかを確認する。IDが同じであれば、スレーブ側制御部16は、記憶部12の補正値を、補正値データが示す補正値(オフセット値およびゲイン値)に書き換えさせる。なお、IDが同じでなければ、補正値データを破棄する。
書き換えが終了すると、スレーブ側制御部16は、スレーブ側通信部14を制御して、実施形態1と同様の応答データを管理装置2に送信させる。スレーブ側通信部14は、シリアル信号を送信するにあたっては、所定時間の間(時刻t15〜t16)、電源端子10aの電位を3Vに設定することでスタートビットSTB2を送信し、その後に応答データを示すビット列DB2およびストップビット(図示せず)の送信を行う。
マスタ側制御部23は、マスタ側通信部22でシリアル信号を受信すると、その応答データに含まれる補正値および製品IDが、補正値データに含まれる補正値および製品IDに等しいかどうかを確認し、等しければ、補正値の更新が成功したと判断し、等しくなければ、補正値の更新が失敗したと判断する。この判断結果は、上記入出力部によって使用者に通知される。
この後に、上記入出力部によって通常モードが選択されると、マスタ側制御部23は、供給電源部21の出力電圧を5Vに設定するとともに、スイッチQ21をオンとする(時刻T2)。この場合、センサ1の電源端子10aには、5Vの電位が与えられ、その結果、センサ1のスレーブ側制御部16の動作モードが通常モードに設定される。
以上述べた本実施形態のセンサ1によれば、実施形態1の効果に加えてさらに次の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態のセンサ1では、判別部15は、電源端子10aの電位が通常時の電位(本実施形態では5V)よりも所定値以上低いか否かによって、管理装置2が要求している動作モードを判別する。そのため、実施形態1のように調整モード時に電源端子10aの電位を上昇させる(5Vから12Vに上昇させる)ものとは異なり、通常時の電位(5V)よりも高い電位(12V)に耐え得る電気部品、すなわち高耐圧性を有する電気部品等を使用する必要がないから、小型化および低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態のセンサ1では、スレーブ側通信部14は、管理装置2とシリアル通信を開始するにあたっては、同期ビットSYNCを送信することで、管理装置2と同期を取る処理を実行する。そのため、シリアル通信の通信精度を向上することができる。
しかも、管理装置2と同期を取る処理は、管理装置2に同期用の信号である同期ビットを送信する処理である。そのため、センサ1に設けられるクロック回路14bに管理装置2の動作(クロック回路22b)を合わせることができるから、センサ1に設けるクロック回路14bとして比較的低精度のものを使用することができるようになり、低コスト化および小型化を図ることができる。
(実施形態3)
本実施形態のセンサ1では、図5に示すように、主として判別部15の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のセンサ1のその他の構成については、実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、図5では、電源部17の図示を省略している。
本実施形態における判別部15は、電圧検出部15aと、短絡検出部15bと、論理積回路15cとを備えている。
電圧検出部15aは、電源端子10aの電位が所定の電圧を越えているか否かを検出する過電圧検出回路である。この電圧検出部15aは、検出した電源端子10aの電位が6Vを越えていればハイレベル、6V以下であればロウレベルの信号を論理積回路15cに出力する。このような電圧検出部15aはコンパレータなどを用いて実現可能であるから詳細な説明は省略する。
短絡検出部15bは、出力端子10bが短絡されているか否かを検出するための回路である。短絡検出部15bは、出力端子10bが短絡されている場合には、ハイレベルの信号を出力し、短絡されていない場合には、ロウレベルの信号を出力する。本実施形態では、出力端子10bと電源端子10aとの間の短絡を検出しており、短絡検出部15bは、出力端子10bの電位と電源端子10aとの電位差が短絡判定用の閾値よりも低ければ、ハイレベルの信号を出力する。なお、短絡検出部15bは、出力端子10bと接地端子10cとの間の短絡を検出するものであってもよく、この場合は、出力端子10bの電位と接地端子10cとの電位差が短絡判定用の閾値よりも低ければ、ハイレベルの信号を出力する。さらに、短絡検出部15bは、出力端子10bに流れる電流の大きさによって短絡を検出するものとできる。この場合、短絡検出部15bは、出力端子10bに流れる電流が短絡判定用の閾値を越えていればハイレベルの信号を出力する。このような短絡検出部15bの具体的な回路構成については従来周知のものを採用することができるから、詳細な説明は省略する。
ところで、図5では、図示を省略しているが、本実施形態のセンサ1には、短絡から電気回路を保護するための保護回路が備えられている。このような保護回路は、センサ1の電気回路を保護するために、例えば、出力補正部13の駆動の停止その他の必要な処理を実行する。この種の保護回路は従来周知のものを採用することができるから詳細な説明は省略する。
論理積回路15cは、AND回路である。よって、論理積回路15cは、電圧検出部15aおよび短絡検出部15bそれぞれが出力する信号が両方ともハイレベルであるときに、ハイレベルの信号をスレーブ側制御部16に出力し、一方がロウレベルであれば、スレーブ側制御部16にはロウレベルの信号を出力する。
一方、本実施形態におけるスレーブ側制御部16は、論理積回路15cからハイレベルの信号を受け取った際に、動作モードを調整モードに設定し、ロウレベルの信号を受け取った際に、動作モードを通常モードに設定するように構成されている。ただし、上記保護回路の動作は、動作モードとは関係なく行われる。
つまり、判別部15は、電源端子10aと出力端子10bの両方の電位変化に基づいて、管理装置2が要求している動作モードを判別する。本実施形態においては、判別部15は、電源端子10aの電位が6Vを越え、かつ、短絡検出部15bより短絡発生信号を受信した際に、管理装置2が調整モードを要求していると判別し、それ以外のときには、管理装置2が通常モードを要求していると判別する。
これに対応して、本実施形態のセンサ1とともに使用される管理装置2には、入力端子20bを給電端子20aに接続するための短絡スイッチ(図示せず)が設けられている。すなわち、この管理装置2のマスタ側制御部23は、上記入出力部より動作モードを通常モードに設定する旨の指示を受けた場合には、供給電源部21の出力電圧を5Vに設定し、スイッチQ21をオンとし、上記短絡スイッチをオフとする。一方、マスタ側制御部23は、動作モードを調整モードに設定する旨の指示を受けた場合には、供給電源部21の出力電圧を12Vに設定し、スイッチQ21をオフとし、上記短絡スイッチをオンとする。なお、短絡検出部15bが、出力端子10bと接地端子10cとの間の短絡を検出するものであるときは、管理装置2には、入力端子20bを接地するための短絡スイッチ(図示せず)が設けられる。
以上述べたように本実施形態のセンサ1では、判別部15は、電源端子10aおよび出力端子10bそれぞれの電位変化が所定の条件を満たしているか否かによって、管理装置2が要求している動作モードを判別する。
よって、本実施形態のセンサ1によれば、電源端子10aの電位が通常モード時とは異なり、かつ、出力端子10bの電位が通常モード時とは異なるときのみ、動作モードが通常モードから調整モードに移行する。よって、実施形態1のように電源端子10aのみを用いて動作モードの判別を行う場合や、出力端子10bのみを用いて動作モードの判別を行う場合に比べれば、動作モードの判別誤りが発生する確率を低減できる。したがって、予期せずに動作モードが変更されてしまうことを抑制することができる。また、本実施形態のように電源端子10aと出力端子10bを両方用いることによって、出力端子10bを調整モードへの移行を要求するセンサ1の選択に使用することも可能になる。
また、判別部15は、管理装置2が要求している動作モードを判別するにあたっては、出力端子10bと電源端子10a(または接地端子10c)との間が短絡しているか否かを利用している。そのため、短絡保護用の回路である短絡検出部15bを動作モードの判別に利用することができる。よって、出力端子10bの電位変化を検出するための回路を別途設けなくて済み、小型化および低コスト化を図ることができる。
ところで、本実施形態の技術的思想は、実施形態2にも適用することができる。この場合、電圧検出部15aとして、電源端子10aの電位が所定の電圧以下であるか否かを検出する低電圧検出回路を用いればよい。この場合の電圧検出部15aは、検出した電源端子10aの電位が4.5Vを越えていればロウレベル、4.5V以下であればハイレベルの信号を論理積回路15cに出力するものである。
この場合、判別部15は、電源端子10aの電位が4.5Vを下回り、かつ、短絡検出部15bより短絡発生信号を受信した際に、ハイレベルの信号をスレーブ側制御部16に出力し、それ以外のときには、ロウレベルの信号をスレーブ側制御部16に出力する。
このようにすれば、実施形態2と同様に、高耐圧性を有する電気部品等を使用する必要がなくなって、小型化および低コストを図ることが可能になる。
(実施形態4)
本実施形態のセンサ1では、スレーブ側通信部14の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のセンサ1のその他の構成については実施形態1と同様であるから詳細な説明は省略する。
本実施形態におけるスレーブ側通信部14は、図6に示すように、通信処理部14aと、クロック回路14bと、判定回路14cと、定電圧回路14dと、閾値生成回路14eと、電位設定回路14fとを備えている。また、図6における符号14gは、電源端子10aに接続される端子である。なお、図6に示す構成中、通信処理部14aおよびクロック回路14bについては実施形態1と同様のものであるから、説明を省略する。
定電圧回路14dは、電源部17が生成する動作電圧を元にして所望の定電圧を与えるためのものであり、例えば、バンドギャップリファレンス回路などを利用して構成されている。定電圧回路14dの回路構成については従来周知であるから詳細な説明は省略する。
閾値生成回路14eは、判定回路14cで利用する受信判定用の閾値を生成するための回路である。閾値生成回路14eは、オペアンプOP1と、2つの抵抗R100,R101とを備えている。オペアンプOP1の出力端子と反転入力端子との間には、帰還用の抵抗R100が挿入され、反転入力端子は抵抗R101により接地されている。これらオペアンプOP1および抵抗R100,R101はいわゆる非反転増幅器として負帰還増幅回路FB1を構成している。よって、閾値生成回路14eは、定電圧回路14dの出力電圧を負帰還増幅回路FB1で増幅して出力する。閾値生成回路14eのオペアンプOP1の出力端子の電位が判定回路14cにおいて受信判定用の閾値として使用される。
電位設定回路14fは、センサ1から管理装置2に送信するシリアル信号のハイレベルの電位およびロウレベルの電位を定めるためのものである。電位設定回路14fは、オペアンプOP2と、5つの抵抗R102〜R106と、スイッチQ10とを備えている。オペアンプOP2の出力端子は、抵抗R102を介して端子14gに接続されている。抵抗102と端子14gとの接続点は、抵抗R103によりオペアンプOP2の反転入力端子に接続されている。オペアンプO2の反転入力端子は抵抗R104を介して接地されている。これらオペアンプOP2および抵抗R102〜R104は負帰還増幅回路FB2を構成している。また、オペアンプOP2の非反転入力端子は、抵抗R105を介して定電圧回路14dの出力端子に接続され、また、抵抗106およびスイッチQ10の直列回路によって接地されている。
よって、電位設定回路14fは、スイッチQ10がオフであれば、定電圧回路14dの出力電圧を負帰還増幅回路FB2で増幅した電位を端子14gに与える。また、電位設定回路14fは、スイッチQ10がオンであれば、定電圧回路14dの出力電圧を抵抗105,106で分圧して得られる電圧を負帰還増幅回路FB2で増幅した電位を端子14gに与える。よって、電位設定部14fは、スイッチQ10がオフのときにハイレベルの電位を与え、スイッチQ10がオンのときにロウレベルの電位を与える。なお、スイッチQ10は、実施形態1でも述べたように通信処理部14aによって制御される。
判定回路14cは、コンパレータCMPと、2つの抵抗R107,R108とを備えている。コンパレータCMPには、端子14gの電位を抵抗R107,R108で分圧して得られる電位と、閾値生成回路14eの出力端子の電位が入力される。判定回路14cは、これらの電位の高低を比較することで、管理装置2が送信するシリアル信号のハイレベル/ロウレベルを判定する。
以上述べたように、本実施形態のセンサ1では、スレーブ側通信部14は、定電圧回路14dと、電位設定回路14fとを有している。電位設定回路14fは、定電圧回路14dの出力電圧を増幅する負帰還増幅回路FB2を有し、定電圧回路14dおよび負帰還増幅回路FB2を利用して、管理装置2に送信するシリアル信号のハイレベルとロウレベルの電位を生成する。このような本実施形態のセンサ1によれば、管理装置2に送信するシリアル信号のハイレベルとロウレベルの電位を安定した値とすることができる。
ところで、本実施形態における電位設定回路14fは、定電圧回路14dおよび負帰還増幅回路FB2を利用して、管理装置2に送信するシリアル信号のハイレベルとロウレベルの両方の電位を生成している。しかしながら、電位設定回路14fは、管理装置2に送信するシリアル信号のハイレベルとロウレベルの少なくとも一方の電位を生成するものであってもよく、この場合、管理装置2に送信するシリアル信号のハイレベルとロウレベルの少なくとも一方の電位を安定した値とすることができる。
また、本実施形態のセンサ1におけるスレーブ側通信部14では、判定回路14cに与える信号受信用の閾値を、定電圧回路14dの出力電圧に基づいて生成している。そのため、信号受信用の閾値を一定にすることができ、これによって、シリアル信号を正確に受信することができるようになる。
なお、本実施形態におけるスレーブ側通信部14に関する技術的思想は、実施形態1だけではなく前述の実施形態2,3および後述する実施形態5,6にも適用することができる。
(実施形態5)
本実施形態のセンサ1は、図7に示すように、スレーブ側端子部10と、検出部11と、記憶部12と、出力補正部13と、スレーブ側通信部14と、判別部15と、スレーブ側制御部16と、電源部17とを主構成要素として備えている。
一方、本実施形態のセンサ1とともに使用される管理装置2は、マスタ側端子部20と、第1の電源部21aと、第2の電源部21bと、マスタ側通信部22と、マスタ側制御部23とを主構成要素として備えている。なお、マスタ側端子部20については実施形態1のものと同様であるから説明を省略する。
本実施形態においては、第1の電源部21aと第2の電源部21bとで供給電源部21が構成されている。ここで、第1の電源部21aは、通常モード時に使用される電源であって、その出力電圧は5Vに設定されている。この第1の電源部21aは、スイッチSW20を介して給電端子20aに接続されている。一方、第2の電源部21bは、調整モード時に使用される電源であって、その出力電圧は12Vに設定されている。この第2の電源部21bは、スイッチSW21を介して給電端子20aに接続されるとともに、スイッチSW22を介して入力端子20bに接続されている。これらスイッチSW20〜23は、継電器等であって、マスタ側制御部23によってオン・オフ制御される。
マスタ側通信部22は、実施形態1と同様に、通信処理部22aと、クロック回路22bと、判定回路22cと、抵抗R20と、スイッチQ20とを備えている。また、マスタ側通信部22は、給電端子20aとスイッチSW21との間に挿入される並列回路を有し、当該並列回路は抵抗R22とスイッチQ22によって構成されている。なお、クロック回路22b、判定回路22c、抵抗R20、およびスイッチQ20については実施形態1と同様であるから説明を省略する。また、図7ではクロック回路22bの図示を省略している。
本実施形態における通信処理部22aは、実施形態1で述べた通信処理部14aと同様に受信処理および送信処理を行う。ただし、本実施形態における通信処理部22aは、送信処理においては、スイッチQ20をオフ、スイッチQ22をオンとすることで、シリアル信号をハイレベルとし、スイッチQ20をオン、スイッチQ22をオフとすることで、シリアル信号をロウレベルとする。また、通信処理部22aは、アイドル状態(センサ1からのシリアル信号の受信待ち状態)では、スイッチQ20,Q22をともにオフに設定する。
本実施形態におけるマスタ側制御部23は、実施形態1と同様に、図示しない入出力部からの指示に応じて、センサ1に動作モードの切り替えを要求する機能を有している。
本実施形態において、マスタ側制御部23は、上記入出力部より動作モードを通常モードに設定する旨の指示を受けた場合には、スイッチSW20をオン、スイッチSW21,22をオフに設定する。これによって、第1の電源部21aのみが給電端子20aに接続されるため、センサ1の電源端子10aの電位は5Vに設定される。
一方、マスタ側制御部23は、動作モードを調整モードに設定する旨の指示を受けた場合には、スイッチSW20をオフ、スイッチSW21,22をオンに設定する。これによって、第1の電源部21aは給電端子20aより切り離されるとともに、第2の電源部21bが給電端子20aおよび入力端子20bに接続される。よって、センサ1の電源端子10aおよび出力端子10bの電位はともに12Vに設定される(ただし、スイッチQ22がオフであるときは、電源端子10aの電位は、抵抗R22の抵抗値によって低くなる)。
なお、マスタ側制御部23の他の機能は、実施形態1で述べたとおりであり、調整モード時においては、マスタ側制御部23は、上記入出力部にセンサ1の検出出力を表示させる動作は行わない。
本実施形態のセンサ1では、スレーブ側通信部14と、判別部15と、スレーブ側制御部16と、電源部17とが実施形態1と異なっている。なお、検出部11、記憶部12、および出力補正部13については実施形態1のものと同様であるから説明を省略する。
本実施形態におけるスレーブ側端子部10は、実施形態1と同様に、電源端子10a、出力端子10b、および接地端子10c(図7では不図示)を備えている。また、本実施形態では、図7に示すように、電源端子10aと接地端子10cとの間に、電源ノイズや輻射ノイズなどの高周波ノイズ対策として、バイパスコンデンサ(パスコン)Cが挿入されている。さらに、出力端子10bは、ダイオードD2を介して接地されている。ダイオードD2の挿入向きは、カソードが出力端子10bに接続される向きである。
本実施形態におけるスレーブ側通信部14は、通信処理部14aと、クロック回路14bと、判定回路14cと、スイッチQ11,12と、抵抗R11と、電圧降下回路14hとを備えている。なお、クロック回路14b、判定回路14cについては実施形態1と同様であるから説明を省略する。また、図7ではクロック回路14bの図示を省略している。
スイッチQ11は、電源端子10aとグラウンド(基準電位点)との間に挿入されている。抵抗R11は、スイッチQ11と電源端子10aとの間に挿入されている。スイッチQ12は、電源端子10aと出力端子10bとの間に挿入されている。
電圧降下回路14hは、管理装置2に送信するシリアル信号のロウレベルの電位を規定するためのものである。この電圧降下回路14hは、出力端子10bにアノードが、電源端子10aにカソードが電気的に接続される形で、出力端子10bと電源端子10aとの間に挿入される複数のダイオードD1よりなる直列回路である。本実施形態では、ダイオードD1の数は3個であり、ダイオードD1として0.7Vの電圧降下を有するものを使用している。よって、電圧降下回路14hは、そのアノード側に対してカソード側の電位を2.1V低下させる。なお、電圧降下回路14hは、1個のダイオードD1よりなるものであってよいが、複数個のダイオードD1を用いるほうが、シリアル信号のロウレベルの電位の設定を容易に行える。また、ダイオードD1,D2は、通常モードにおいて、出力端子10bを静電気やサージから保護する役割も果たす。
本実施形態における通信処理部14aは、実施形態1で述べたものと同様に受信処理および送信処理を行う。ただし、本実施形態における通信処理部14aは、送信処理においては、スイッチQ11をオフ、スイッチQ12をオンとすることで、シリアル信号をハイレベルとする。この場合、スイッチQ12によって出力端子10bと電源端子10aが短絡されるため、シリアル信号のハイレベルの電位は12Vとなる。また、通信処理部14aは、スイッチQ11をオン、スイッチQ12をオフとすることで、シリアル信号をロウレベルとする。この場合、電源端子10aが抵抗R11とスイッチQ11を介して接地されるため、シリアル信号のロウレベルの電位は、出力端子10bの電位を電圧降下回路14hで低下させた値(本実施形態の場合は、9.9V)となる。なお、通信処理部14aは、アイドル状態(管理装置2からのシリアル信号の受信待ち状態)では、スイッチQ11,Q12をともにオフに設定する。
このように本実施形態におけるスレーブ側通信部14では、通信処理部14aと判定回路14cによって、電源端子10aに入力されるシリアル信号を受信する受信部が構成される。また、通信処理部14a、スイッチQ11,Q12、および電圧降下回路14hによって、シリアル信号を電源端子10aに出力する送信部が構成される。
本実施形態における判別部15は、第1の電圧検出部15dと、第2の電圧検出部15eと、論理積回路15fとを備えている。
第1の電圧検出部15dは、電源端子10aの電位が所定の電圧を越えているか否かを検出する過電圧検出回路である。この第1の電圧検出部15dは、検出した電源端子10aの電位が6Vを越えていればハイレベル、6V以下であればロウレベルの信号を論理積回路15fに出力する。
一方、第2の電圧検出部15eは、出力端子10bの電位が所定の電圧を越えているか否かを検出する過電圧検出回路である。この第2の電圧検出部15eは、検出した出力端子10bの電位が6Vを越えていればハイレベル、6V以下であればロウレベルの信号を論理積回路15fに出力する。これら第1の電圧検出部15dおよび第2の電圧検出部15eはコンパレータなどを用いて実現可能であるから詳細な説明は省略する。
この第2の電圧検出部15eの出力は、スイッチSW10にも入力される。スイッチSW10は、出力補正部13と出力端子10bとの間に挿入されている。このスイッチSW10は、第2の電圧検出部15eの出力がロウレベルであればオンとなり、ハイレベルであればオフとなる。これによって、出力補正部13に高電圧が印加されてしまうことを防止するとともに、出力端子10bを高インピーダンスにする。
論理積回路15fは、AND回路である。よって、論理積回路15fは、第1の電圧検出部15dおよび第2の電圧検出部15eそれぞれが出力する信号が両方ともハイレベルであるときに、ハイレベルの信号をスレーブ側制御部16および電源部17に出力し、一方がロウレベルであれば、スレーブ側制御部16および電源部17にはロウレベルの信号を出力する。
すなわち、本実施形態における判別部15は、実施形態3と同様に、電源端子10aおよび出力端子10bそれぞれの電位変化が所定の条件を満たしているか否かによって、管理装置2が要求している動作モードを判別する。よって、電源端子10aと出力端子10bのいずれか一方のみを用いて動作モードの判別を行う場合に比べれば、動作モードの判別誤りが発生する確率を低減できる。したがって、予期せずに動作モードが変更されてしまうことを抑制することができる。
本実施形態におけるスレーブ側制御部16は、実施形態1と同様に、通常モードと、調整モードとの2つの動作モードを有している。そして、スレーブ側制御部16は、論理積回路15fからハイレベルの信号を受け取った際に、動作モードを調整モードに設定し、ロウレベルの信号を受け取った際に、動作モードを通常モードに設定する。
また、本実施形態におけるスレーブ側制御部16は、通常モードにおいては、スイッチSW11をオフに設定し、調整モードにおいては、スイッチSW11をオンに設定する。これによって、調整モード時には、記憶部12に補正値を書き込むための電圧を与える。そのため、記憶部12に、EEPROMなどのデータの書き込みに比較的高い電圧を必要とする記憶媒体を利用したときでも、記憶部12の補正値の書き換えが可能になる。よって、書き込み用に別途昇圧回路などを設ける必要がなくなり、低コスト化および小型化を図ることができる。なお、スレーブ側制御部16のその他の機能については、実施形態1で述べたとおりであるから、説明は省略する。
本実施形態における電源部17は、管理装置2より得た電力を元にしてセンサ1の動作電圧を生成するものである。ここで、本実施形態における管理装置2は、通常モードを要求するにあたっては、供給電源部21の第1の電源部21aを電源端子10aに電気的に接続する。また、管理装置2は、調整モードを要求するにあたっては、供給電源部21の第2の電源部21bを出力端子10bに電気的に接続する。
そのため、電源部17は、電源端子10aより得た電力を元にして動作電圧を生成する第1の電源回路(図示せず)と、出力端子10bより得た電力を元にして動作電圧を生成する第2の電源回路(図示せず)とを備えている。そして、電源部17は、論理積回路15fからロウレベルの信号を受け取った際に、上記第1の電源回路により動作電圧を生成し、ハイレベルの信号を受け取った際に、上記第2の電源回路により動作電圧を生成する。このように電源部17は、通常モードにおいては、電源端子10aより得た電力を各部に供給し、調整モードにおいては、出力端子10bより得た電力を各部に供給する。なお、上記第1の電源回路や上記第2の電源回路としては、三端子レギュレータなどの従来周知のものを採用することができる。
以下、本実施形態のセンサ1と管理装置2により構築された物理量検出システムの動作について説明する。
まず、初期状態では、センサ1が通常モードであるとする。この初期状態では、管理装置2のマスタ側制御部23は、スイッチSW20をオン、スイッチSW21,SW22をオフとすることで、供給電源部21の第1の電源部21aを給電端子20aに接続する。この場合、センサ1の電源端子10aには、5Vの電位が与えられる。そのため、判別部15の第1の電圧検出部15fが出力する信号はロウレベルになるから、論理積回路15fからは、ロウレベルの信号が出力される。よって、スレーブ側制御部16は動作モードを通常モードに設定し、電源部17は上記第1の電源回路によって動作電圧を生成する。
したがって、センサ1は、記憶部12に記憶されている補正値で検出部11の検出出力を補正して得られた検出出力(補正後の検出出力)を出力端子10bに出力する。出力端子10bに出力された補正後の検出出力は、入力端子20bに入力され、マスタ側制御部23によって上記入出力部に送られ、ユーザに提示される。
一方、上記入出力部によって調整モードが選択されると、マスタ側制御部23は、スイッチSW20をオフ、スイッチSW21,SW22をオンとすることで、供給電源部21の第2の電源部21bを給電端子20aおよび出力端子20bに接続する。この場合、センサ1の電源端子10aおよび出力端子10bそれぞれには、12Vの電位が与えられる。そのため、判別部15の各電圧検出部15d,15eそれぞれが出力する信号はハイレベルになるから、論理積回路15fからはハイレベルの信号が出力される。よって、スレーブ側制御部16は動作モードを調整モードに設定し、電源部17は上記第2の電源回路によって動作電圧を生成する。
これによって、スレーブ側通信部14が駆動されて、管理装置2とのシリアル通信が可能になる。なお、補正値の書き換えについての処理は、実施形態1と同様の処理であるから説明を省略する。
この後に、上記入出力部によって通常モードが選択されると、マスタ側制御部23は、スイッチSW20をオン、スイッチSW21,SW22をオフとすることで、供給電源部21の第1の電源部21aを給電端子20aに接続する。その結果、スレーブ側制御部16は動作モードを通常モードに設定し、電源部17は上記第1の電源回路によって動作電圧を生成する。
以上述べたように、本実施形態のセンサ1によれば、実施形態1と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態のセンサ1では、電源部17は、通常モードにおいては、電源端子10aより得た電力を元にして動作電圧を生成し、調整モードにおいては、出力端子10bより得た電力を元にして動作電圧を生成する機能を有している。
そのため、管理装置2として調整モードの要求時に供給電源部21を出力端子10bに電気的に接続するものを用いることで、調整モードにおいては、シリアル信号によって電位が安定しない電源端子10aではなく、出力端子10bの電位に基づいて動作電圧を生成することができる。よって、本実施形態のセンサ1によれば、管理装置2から安定した電力供給を受けることができる。
また、判別部15は、出力端子10bの電位が供給電源部21により与えられる電位であれば、管理装置2が調整モードを要求していると判別する。つまり、本実施形態のセンサ1では、管理装置2が電力を供給する端子を変更(本実施形態の場合、給電端子20aから入力端子20bに変更)したことを動作モードの判別に使用するので、動作モードの切り替え時に行う管理装置2との手続きを簡素化することができる。
また、本実施形態のセンサ1では、出力端子10bの電位を利用して不揮発性メモリである記憶部12への書き込みを行うから、電源端子10aへの給電ラインに設けられる限流用の抵抗(図7における抵抗R22)による電圧降下を避けることができる。そのため、不揮発性メモリの書き込みに必要な電圧を確保できないといった不具合を防止できて、不揮発性メモリの書き込みが確実に行えるようになる。
また、本実施形態のセンサ1では、管理装置2に送信するシリアル信号のハイレベルの電位を、調整モード時の出力端子10bの電位としている。そのため、センサ1を構成する電気部品の抵抗値等のばらつきによる影響によって、シリアル信号のハイレベルの電位が変動してしまうことを抑制でき、管理装置2とのシリアル通信の通信精度を向上することができる。
また、本実施形態のセンサ1では、管理装置2に送信するシリアル信号のロウレベルの電位を、調整モード時の出力端子10bの電位を電圧降下回路14hで降下させた電位としている。そのため、センサ1を構成する電気部品の抵抗値等のばらつきによる影響によって、シリアル信号のロウレベルの電位が変動してしまうことを抑制でき、管理装置2とのシリアル通信の通信精度を向上することができる。
ところで、本実施形態のセンサ1では、少なくとも検出部11を除く部位は、モノリシックICにより構成されていてもよい。このようにすれば、センサ1の小型化を図ることができる。なお、検出部11が、MEMS技術を利用した加速度センサであれば、検出部11もモノリシックICとして一体化することができる。また、検出部11が、ホール素子とその検出回路とからなる磁気センサである場合には、検出部11の検出回路をモノリシックICとして一体化してもよい。
ここで、モノリシックICとした場合には、スイッチにはトランジスタなどの半導体スイッチング素子が使用され、抵抗にはバルクに不純物を注入した拡散抵抗が使用される。例えば、N型バルクにP型領域を形成してなるPNP型のバイポーラ・トランジスタや、PチャネルMOSFET、拡散抵抗などが使用される。
これらのような半導体素子は、N型バルクにP型領域を適宜形成してなるものであり、その使用時には、P型領域とN型バルクとが導通しないように、N型バルクを電源端子10aなどの電気回路中の最高電位に接続するのが一般的である。
しかしながら、本実施形態の場合、管理装置2は、通常モードを要求するにあたっては5Vの第1の電源部21aを電源端子10aに電気的に接続し、調整モードを要求するにあたっては12Vの第2の電源部21bを出力端子10bおよび電源端子10aそれぞれに電気的に接続する。
そのため、通常モードから調整モードに切り替える際および調整モード時に、電源端子10aの電位が出力端子10bの電位より低くなるおそれがある。
例えば、図7に示すスイッチQ12が、4端子のPチャネルMOSFETであり、バルク(バックゲート)およびドレインが電源端子10aに、ソースが出力端子10bにそれぞれ接続されている場合には、オフに設定されていても、ソースとバルクが短絡してしまう。この場合には、過電流が流れるおそれがある。また、図7に示すものにおいては、電源端子10aには、電圧降下回路14hではなく、スイッチQ12のPN接合によって電圧降下された電位が発生することになり、電源端子10aの電位をロウレベルに設定できないといった問題も生じうる。
そこで、このような問題を解決するためには、図8に示すような回路構成を採用することが考えられる。図8において、スイッチQP1,QP2は、PチャネルMOSFETであり、N型バルクが抵抗RP1を介して電源端子10aに接続されている。また、一方のP型領域であるドレインは、出力端子10bに接続されている。なお、他方のP型領域であるソースや、ゲートの接続先は種々のものを選択可能であるから省略する。
図8に示す回路構成では、スイッチQP1,QP2のN型バルクは、抵抗RP1を介して電源端子10aに接続されているから、通常モードから調整モードへの切り替えの際に、電源端子10aの電位が、スイッチQP1,QP2のP型領域(ドレイン)の電位より低くなって、P型領域とN型バルクが導通しても、抵抗RP1によって過電流の発生を抑制することができる。また、スイッチQP1,QP2がスイッチQ12である場合には、ドレインとバックゲートが導通しても、抵抗RP1によって電圧が降下するため、電源端子10aの電位をシリアル信号のロウレベルに対応する電位まで低下させることができる。なお、この場合における抵抗RP1には、ポリシリコン抵抗や、モノリシックICに外付けする抵抗器(金属被膜や炭素被膜などの半導体を利用していない抵抗器)を利用することが好ましい。
また、図8に示すものの代わりに、図9に示す回路構成を利用することが考えられる。図9において、スイッチQP1〜QP3は、PチャネルMOSFETである。スイッチQP1のドレインは出力端子10bに、バックゲートは抵抗RP1を介して電源端子10aに接続されている。スイッチQP2のドレインおよびバックゲートは抵抗RP1を介して電源端子10aに接続されている。スイッチQP3のソースは出力端子10bに接続され、ドレインおよびバックゲートは抵抗RP1を介して電源端子10aに接続されている。また、スイッチQP3のソースとゲートとは抵抗RP2によって接続されている。スイッチQP4は、NチャンネルMOSFETであり、ドレインが抵抗RP2とスイッチQP3のゲートとの接続点、ソースおよびバックゲートが基準電位点に接続されている。このスイッチQP4のオン・オフは、スレーブ側制御部16により行われる。
ここで、スレーブ側制御部16は、判別部15の判別結果に応じて、スイッチQP4のオン・オフ制御を行う。判別部15が通常モードと判断した場合、スレーブ側制御部16は、スイッチQP4のゲートをロウレベルにしてスイッチQP4をオフにする。このとき、スイッチQP3がオフになるように抵抗RP2の抵抗値が設定してあり、スイッチQP3がオフであるときは、スイッチQP1,QP2のバックゲートは、抵抗RP1を介して電源端子10bに接続されている。一方、判別部15が調整モードと判断した場合、スレーブ側制御部16は、スイッチQP4のゲートをハイレベルに設定してスイッチQP4をオンにする。このとき、スイッチQP3のゲートが接地され、スイッチQP3がオンになるから、スイッチQP1,QP2のバックゲートは、スイッチQP3を介して出力端子10bにも接続される。
すなわち、図9に示す例では、スイッチQP3,QP4と制御部16とによって、通常モード時にはスイッチQP1,QP2のN型バルクを電源端子10aに接続し、調整モード時にはスイッチQP1,QP2のN型バルクを出力端子10bに接続する切替部が構成されている。
図9に示すものによれば、電源端子10aの電位が出力端子10bより高い間(通常モード時)は、スイッチQP1,QP2のN型バルクが抵抗RP1を介して電源端子10aに接続されるから、スイッチQP1,QP2においてP型領域とN型バルクが導通することがない。また、電源端子10aの電位が出力端子10bより低くなる間(例えば通常モードから調整モードへの切り替え時および調整モード時)は、スイッチQP1,QP2のN型バルクが出力端子10bに接続されるから、やはりスイッチQP1,QP2においてP型領域とN型バルクが導通することがない。したがって、図9に示すものによれば、半導体素子(スイッチQP1.QP2)のP型領域とN型バルクの接続先とが導通してしまうことを防止することができる。なお、図9における抵抗RP2には、抵抗RP1と同様に、ポリシリコン抵抗や、モノリシックICに外付けする抵抗器(金属被膜や炭素被膜などの半導体を利用していない抵抗器)を利用することが好ましい。
さらに、図9に示すものの代わりに、図10に示す回路構成を利用することが考えられる。図10に示す回路構成は、図9に示すものに、スイッチQP5,QP6と、抵抗RP3と、インバータINVとを付加したものである。
スイッチQP5は、PチャネルMOSFETであり、そのソースは電源端子10bに接続され、ドレインおよびバックゲートは抵抗RP1を介して電源端子10aに接続されている。また、スイッチQP5のソースとゲートとは抵抗RP3によって接続されている。スイッチQP6は、NチャンネルMOSFETであり、ドレインが抵抗RP3とスイッチQP5のゲートとの接続点、ソースおよびバックゲートが基準電位点に接続されている。このスイッチQP6のオン・オフは、スレーブ側制御部16により行われる。
図10において、スレーブ側制御部16は、判別部15の判別結果が通常モードであればロウレベル、調整モードであればハイレベルの制御信号を出力する。スレーブ側制御部16が出力した制御信号は、スイッチQP4のゲートに入力されるとともに、インバータINVによって反転されてスイッチQP6のゲートに入力される。
したがって、通常モードにおいては、スイッチQP4がオフ、スイッチQP6がオンになり、その結果、スイッチQP3がオフ、スイッチQP5がオンになる。そのため、スイッチQP1,QP2のバックゲートは、スイッチQP5を介して電源端子10bに接続される。一方、調整モードにおいては、スイッチQP4がオン、スイッチQP6がオフになり、その結果、スイッチQP3がオン、スイッチQP5がオフになる。そのため、スイッチQP1,QP2のバックゲートは、スイッチQP3を介して出力端子10bにも接続される。
図10に示す回路構成によれば、図9に示すものと同様に、半導体素子(スイッチQP1,QP2)のP型領域とN型バルクの接続先とが導通してしまうことを防止することができる。特に、図10に示す例では、半導体素子(スイッチQP1.QP2)のN型バルクは、通常モード時においては、スイッチング素子であるスイッチQP5を介して電源端子10aに接続されている。スイッチQP5のオン抵抗は、抵抗RP1よりも十分に小さく設定されており、おおよそ数十〜数百Ωである。つまり、半導体素子(スイッチQP1.QP2)のN型バルクは、抵抗RP1よりも低抵抗の素子(低インピーダンス素子)を介して電源端子10aに短絡接続されている。そのため、抵抗RP1を介して電源端子10aに接続されているときに比べれば、ノイズ環境下においても、N型バルク(スイッチQP1,QP2のバックゲート)の電位を安定させることができる。
なお、図10における抵抗RP3には、抵抗RP1,RP2と同様に、ポリシリコン抵抗や、モノリシックICに外付けする抵抗器(金属被膜や炭素被膜などの半導体を利用していない抵抗器)を利用することが好ましい。
(実施形態6)
本実施形態のセンサ1では、スレーブ側通信部14の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のセンサ1のその他の構成については実施形態5と同様であるから詳細な説明は省略する。
本実施形態におけるスレーブ側通信部14は、図11に示すように、実施形態5の構成に加えて、スイッチQ13と抵抗R13を備えている。
本実施形態では、通信処理部14aと、スイッチQ11,Q12,Q13と、抵抗R11,13によってドライバ回路が構成されている。当該ドライバ回路は、電源端子10aの電位を、管理装置2に送信するシリアル信号のハイレベルに対応する電位あるいはロウレベルに対応する電位に設定する。特に、通信処理部14aと、スイッチQ11,Q13と、抵抗R11,13によって、ロウレベル用のドライバ回路が構成されている。ロウレベル用のドライバ回路は、電源端子10aの電位を、管理装置2に送信するシリアル信号のハイレベルに対応する電位(本実施形態では12V)からロウレベルに対応する電位(本実施形態では9.9V)に低下させる。
スイッチQ13と抵抗R13は直列回路を構成し、当該直列回路は、電源端子10aと基準電位点との間に挿入されている。ここで、抵抗R13としては、抵抗値が抵抗R11よりも小さいものを使用している。なお、以下の説明では、抵抗R13の抵抗値には、スイッチQ13のオン抵抗が含まれているとし、抵抗R11の抵抗値には、スイッチQ11のオン抵抗が含まれているとする。
本実施形態における通信処理部14aは、シリアル信号をハイレベルに設定するときは、スイッチQ12をオフ、スイッチQ11,Q13それぞれをオフに設定する。これによって、電源端子10aと出力端子10bが短絡されるため、シリアル信号のハイレベルの電位は12Vとなる。
一方、通信処理部14aは、シリアル信号をロウレベルに設定するときは、まず、スイッチQ12をオフに設定する。次に、通信処理部14aは、スイッチQ11,Q13を両方ともオンに設定する。これによって、バイパスコンデンサCの電荷が、抵抗R13およびスイッチQ13よりなる放電路(第1の放電路)と、抵抗R11およびスイッチQ11よりなる放電路(第2の放電路)とによって放電される。このときの放電速度は、抵抗R11と抵抗R13の合成抵抗によって決まる。通信処理部14aは、電源端子10aの電位が判定回路22cの信号受信用の閾値(本実施形態では10V)を下回ると、スイッチQ13をオフに設定する。これによって、バイパスコンデンサCの電荷は、上記第2の放電路のみによって放電され、やがて、電源端子10a電位は、シリアル信号のロウレベルの電位(すなわち、出力端子10bの電位を電圧降下回路14hで低下させた値)となる。
ここで、抵抗R13の抵抗値は、抵抗R11よりも小さいので、第1の放電路に流れるバイパスコンデンサCの放電電流は、第2の放電路に流れるバイパスコンデンサCの放電電流よりも大きい。
そのため、電源端子10aの電位が信号受信用の閾値を下回るまでは、放電電流が相対的に大きいから、管理装置2に送信するシリアル信号の電位(電源端子10aの電位)をハイレベルからロウレベルに素早く低下させることができる。一方、電源端子10aの電位が信号受信用の閾値を下回ると、下回る前よりも放電電流を相対的に小さくするから、管理装置2に送信するシリアル信号の電位の過剰な低下を抑制することができる。
このように本実施形態のセンサ1によれば、電源端子10aにバイパスコンデンサCが接続されている場合であっても、管理装置2に送信するシリアル信号の電位(電源端子10aの電位)をハイレベルからロウレベルに素早く低下させることができ、しかも、電位の過剰な低下を抑制することができる。
(実施形態7)
本実施形態のセンサ1では、図12に示すように、主として記憶部12の構成が実施形態3と異なっている。
本実施形態における記憶部12は、第1の記憶部12aと、第2の記憶部12bとを有している。第1の記憶部12aは、EEPROMなどの不揮発性メモリを備えたものである。第2の記憶部12bは、例えばRAMなどの揮発性メモリである。
本実施形態におけるスレーブ側制御部16は、動作モードとして、通常モード(以下、第1の通常モードという)と、調整モード(以下、第1の調整モードという)とを有している。
第1の通常モードには、仮通常モードと本通常モードの2つのモードがある。
本通常モードでは、スレーブ側制御部16は、検出部11および出力補正部13を駆動し、スレーブ側通信部14の駆動を停止する。ここで、出力補正部13は、記憶部12の第1の記憶部12aに記憶された補正値を用いて、検出出力の補正を実行する。
仮通常モードでは、スレーブ側制御部16は、本通常モードと同様に、検出部11および出力補正部13を駆動し、スレーブ側通信部14の駆動を停止する。しかしながら、仮通常モードでは、出力補正部13は、記憶部12の第2の記憶部12bに記憶された補正値を用いて、検出出力の補正を実行する。
一方、第1の調整モードには、仮調整モードと本調整モード(上書き調整モード)の2つのモードがある。
仮調整モードでは、スレーブ側制御部16は、検出部11および出力補正部13の駆動を停止し、スレーブ側通信部14を駆動する。これによって、検出出力の出力を行わないようにし、また管理装置2とのシリアル通信を可能とする。そして、スレーブ側制御部16は、管理装置2とのシリアル通信によって補正値を取得すると、記憶部12の第2の記憶部12bの補正値を管理装置2より取得した補正値に書き換える。書き換えが終了すると、スレーブ側制御部16は、スレーブ側通信部14を制御して、書き換え後の第2の記憶部12bの補正値を管理装置2に送信させる。
本調整モードでは、仮調整モードと同様に、スレーブ側制御部16は、検出部11および出力補正部13の駆動を停止し、スレーブ側通信部14を駆動する。そして、スレーブ側制御部16は、管理装置2とのシリアル通信によって補正値を取得すると、記憶部12の第1の記憶部12aの補正値を管理装置2より取得した補正値に書き換える。書き換えが終了すると、スレーブ側制御部16は、スレーブ側通信部14を制御して、書き換え後の第1の記憶部12aの補正値を管理装置2に送信させる。
スレーブ側制御部16が第2の調整モード(仮調整モード、本調整モード)と通常モード(仮通常モード、本通常モード)のいずれの動作モードで動作するかは、管理装置2の要求に応じて決定される。例えば、管理装置2は、実施形態1で述べたように、要求する動作モードに応じて、電源端子10aの電位を変更し、判別部15において電源端子10aの電位に基づいて動作モードを判別することで、動作モードが4つであっても、その判別が可能である。
本実施形態のセンサ1は、仮調整モードにおいて、スレーブ側通信部14が管理装置2より受け取った補正値を第2の記憶部12bに記憶させることができる。そして、動作モードを仮通常モードに設定すれば、検出部11の検出出力を第2の記憶部12bに記憶させた補正値を用いて補正した結果を、出力端子10bより得ることができる。したがって、仮調整モードと仮通常モードを利用して、好適な補正値を決定してから、本調整モードに設定することで、好適な補正値を第1の記憶部12aに記憶させることができる。これ以後は、本通常モードで動作させれば、検出部11の検出出力を第1の記憶部12aに記憶させた補正値を用いて補正した結果を、出力端子10bより得ることができる。
このように、本実施形態のセンサ1では、調整結果を確認しながら調整を行うことができる。また、本調整モードに設定することで、設定した補正値を不揮発性の第1の記憶部12bに記憶させることができる。したがって、本実施形態のセンサ1によれば、第1の記憶部12aが1回しか書き込みができない記憶装置である場合に、第2の記憶部12bを利用して調整結果の確認や再調整が可能になる。また、第2の記憶部12bとして、第1の記憶部12aよりも読み書きが高速に行える記憶装置を用いれば、調整にかかる時間を短縮することができる。
ところで、本実施形態におけるスレーブ側制御部16は、動作モードとして、第1の通常モードとは別の第2の通常モードと、第1の調整モードとを有していてもよい。
第2の通常モードでは、スレーブ側制御部16は、検出部11および出力補正部13を駆動し、スレーブ側通信部14の駆動を停止する。この第2の通常モードでは、第2の通常モードの設定時や一定時間毎に、第1の記憶部12aに記憶された補正値を、第2の記憶部12bに記憶させる。そして、出力補正部13は、記憶部12の第2の記憶部12bに記憶された補正値を用いて、検出出力の補正を実行する。
このものでは、本通常モードと仮通常モードとを切り替える必要がなくなるから、動作モードとして第1の通常モードを有しているものに比べれば、動作の切り替えの設定が簡単になり、調整作業などをより簡単に行うことができるようになる。
また、本実施形態におけるスレーブ側制御部16は、動作モードとして、第1の通常モードと、第1の調整モードとは別の第2の調整モードとを有していてもよい。
第2の調整モードでは、スレーブ側制御部16は、検出部11および出力補正部13の駆動を停止し、スレーブ側通信部14を駆動する。これによって、検出出力の出力を行わないようにし、また管理装置2とのシリアル通信を可能とする。そして、スレーブ側制御部16は、管理装置2とのシリアル通信によって補正値を取得すると、記憶部12の第2の記憶部12bの補正値を管理装置2より取得した補正値に書き換える動作(第1の動作)を行う。書き換えが終了すると、スレーブ側制御部16は、スレーブ側通信部14を制御して、書き換え後の第2の記憶部12bの補正値を管理装置2に送信させる。
また、第2の調整モードでは、スレーブ側制御部16は、シリアル通信によって管理装置2からセット信号を受信すると、記憶部12の第1の記憶部12aの補正値を管理装置2より取得した補正値に書き換える動作(第2の動作)を行う。この書き換えが終了すると、スレーブ側制御部16は、スレーブ側通信部14を制御して、書き換え後の第1の記憶部12aの補正値を管理装置2に送信させる。
また、第2の調整モードでは、スレーブ側制御部16は、シリアル通信によって管理装置2からリセット信号を受信すると、記憶部12の第2の記憶部12bの補正値を第1の記憶部12aの補正値に書き換える動作(第3の動作)を行う。この書き換えが終了すると、スレーブ側制御部16は、スレーブ側通信部14を制御して、書き換え後の第2の記憶部12bの補正値を管理装置2に送信させる。また、スレーブ側制御部16は、シリアル通信によって管理装置2から転送中止信号を受信すると、第2の通常モード時に、第1の記憶部12aから第2の記憶部12bに補正値を転送しないように、第2の通常モード中の動作を変更する動作を行う。
このように第2の調整モードでは、スレーブ側通信部14が管理装置2より受け取った補正値を第2の記憶部12bで記憶する第1の動作と、第1の記憶部12aの補正値をスレーブ側通信部14が管理装置2より受け取った補正値に書き換える第2の動作と、第1の記憶部12aの補正値を第2の記憶部12bに記憶させる第3の動作とを管理装置2の要求に応じて行うことができる。
このものでは、上述した本実施形態のセンサ1と同様に、調整にかかる時間を短縮することができる。また、このものでは、動作モードは、第2の通常モードと第2の調整モードとの2種類だけであるから、動作モードが3種類以上ある場合に比べれば、動作モードの判別の誤りを低減することができる。
以上、本発明のセンサ1の実施形態について述べたが、上述のものは、あくまでも一実施形態に過ぎない。よって、本発明の技術的範囲は上記の例に限定されず、上述の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
以上の各実施形態では、センサ1のスレーブ側通信部14は、電源端子10aに入力されるシリアル信号を受信する上記受信部と、シリアル信号を電源端子10bに出力する上記送信部とを有している。しかしながら、スレーブ側通信部14は、必ずしも上記送信部を有している必要はない。この場合は、通常モード時の、出力端子10bの電位に基づいて補正値が変更されたかどうかを判断する。