JP5273432B2 - コントローラ - Google Patents

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Description

本発明は、ジョイスティックのような操作子や、マスタ・スレーブシステムにおいて制御精度が高いマスタ操作子として使用できる小型のコントローラに関する。
従来、医者と患者とが離れた状態でも診断が行えるように、通信ネットワークを介して診断を行う方法や装置が種々提案されている(特許文献1参照)。
一方、最近では、臓器を立体的にとらえ、より精密な診断を行なう超音波診断法が行われている。しかし、このような最新医療技術を駆使するためには、熟練が必要であり、熟練の医師による電話等の指示を受けただけでは同様の診断をすることは難しい。マウスやジョイスティックを操作子として用いたマスタも提案されているが、マウスやジョイスティックからなるマスタ操作子は、実際の探触子とは操作方法が異なり、思い通りに操作するためには、豊富な熟練が必要であり、また鉛直方向の可動範囲が制限されており、三次元的な操作を行うことができない。
ところで、医師が普段行っている超音波診断時と同じ方法を用いて遠隔診断を行うべく、略三角柱型フレームの各頂点部分からワイヤを伸ばし、マスタ操作子の上端及び下端にそれぞれ3本のワイヤを接続して遠隔診断を行う技術が提案されている。このマスタ操作子を用いた遠隔診断システムでは、医師が前記マスタ操作子を操作することにより、マスタがワイヤ張力の制御及びワイヤ長の計算を行う。そして、マスタ操作子の位置情報を検出し、マスタがスレーブに前記マスタ操作子の位置情報を通信ネットワークを介して送信し、スレーブ操作子が従動するように制御されている。
本発明者は、この三角柱フレームを用いた診断技術を、最近開発された超音波診断における立体映像診断に適用させるべく、探触子であるスレーブ操作子の回転を遠隔診断システムに取り入れた遠隔診断の提案を行っている(特許文献2参照)。
特開2003−93381号公報 特願2005−267718号
ところが、特許文献2では、構造上アクチュエータと操作子の相対的位置が固定されないため、可動範囲を広く取るためには長い可動ワイヤ長が必要で、実用的な最大傾け角が±40(deg)程度に制限され、エコー検査で要求される角度として不足する場合がある。また、特許文献2の遠隔診断システムでは、マスタ操作子が三角柱フレームの中心からずれると、制御精度が低下する場合がある。また、さらに、装置の角度情報を、2つの点(上下端の点)の位置情報から算出していたため、最大で約20(%)の誤差が生じ、精度の点からも不十分なことがある。
本発明の目的は、マスタ・スレーブシステムにおいて制御精度が高いマスタ操作子として使用できる小型のコントローラを提供することにある。
具体的に、エコー検査に際しては、ワイヤ駆動装置(アクチュエータ)と操作子の相対的位置をできるだけ固定に近い状態にしておき、ワイヤ駆動機構と操作子支持機構(リンク機構)を組み合わせることで、ブロープ押し込み量と傾け角を高精細に再現することをも目的とする。
(1)本発明のコントローラは、
基台上を当該基台面に沿って移動するステージと、
人の手により把持される操作子と、
前記ステージの周囲の3以上の箇所からワイヤを繰り出し、当該ワイヤを前記操作子の上端にそれぞれ接続し引張駆動するワイヤ駆動装置と、
前記ステージの周囲の3以上の箇所からリンクを有するアームが立ち上げられ、各アームの先端が前記操作子の下端を支持し、当該下端を前記ステージの中央の鉛直軸上に拘束する操作子支持機構と、
前記ステージと前記基台との間に設けられ前記ステージを前記基台に対して移動させるステージ移動装置とを備え、
前記ワイヤ駆動装置は、前記ワイヤの繰り出し長さにより前記操作子の前記ステージ上の位置を特定するとともに、前記ワイヤを介して前記操作子の上端に引張り力を与え、
前記ステージ移動装置は、前記操作子が前記操作子支持機構を介して前記ステージに力を与えたときは所定量だけ前記ステージを移動させる、
ことを特徴とする。
(2)また、本発明のコントローラは、
基台上に設けられた移動しないステージと、
人の手により把持される操作子と、
前記ステージの周囲の3以上の箇所からワイヤを繰り出し、当該ワイヤを前記操作子の上端にそれぞれ接続し引張駆動するワイヤ駆動装置と、
前記ステージの周囲の3以上の箇所からリンクを有するアームが立ち上げられ、各アームの先端が前記操作子の下端を支持し、当該下端を前記ステージの中央の鉛直軸上に拘束する操作子支持機構と、
前記ステージと前記基台との間に設けられ前記ステージの前記基台面に平行な力を検出する水平力検出装置とを備え、
前記ワイヤ駆動装置は、前記ワイヤの繰り出し長さにより前記操作子の前記ステージ上の位置を特定するとともに、前記ワイヤを介して前記操作子の上端に引張り力を与え、
前記水平力検出装置は前記操作子が前記操作子支持機構を介して前記ステージに力を与えたときは当該力を距離の大きさに変換した信号を発生する、
ことをも特徴とする。
本発明のコントローラは、マスタ・スレーブシステムのマスタ操作子として使用する場合には、軸部と、軸受け部と、回転検出装置とを有し、前記回転検出装置は、前記軸部または前記軸受け部が回転したときに前記回転の回転角を検出して、通信ネットワークを介して回転角情報をスレーブに送信するように構成できる。
また、本発明のコントローラは、生体の超音波診断に用いることができる。
本発明のコントローラは、上述したようにマスタ・スレーブシステムのマスタ操作子として使用する場合、スレーブは実際の超音波診断機構を有していてもよいし、コンピュータ内の仮想の超音波診断機構であってよい。
マスタ・スレーブシステムにおいて、スレーブが実際の超音波診断機構を有している場合には、実際の操作感覚がスレーブ操作子からマスタ操作子に伝えられる。すなわち、スレーブは、応力検出装置を有し、この応力検出装置は、スレーブ操作子を回転させた際に、スレーブ操作子が受けた応力を検出し、通信ネットワークを介して応力情報をマスタに送信し、マスタは、応力情報に基づいて、マスタ操作子の軸部または軸受け部の回転に対して応力を付与する。
マスタ・スレーブシステムにおいて、スレーブがコンピュータ内の仮想の超音波診断機構である場合には、コンピュータにより作られた操作感覚がマスタ操作子に伝えられる。すなわち、スレーブは、訓練用プログラムにより構成される仮想スレーブとすることができる。
なお、前記回転検出装置は、回転角度と回転速度と回転加速度とを検出し、回転角度情報と回転速度情報と回転加速度情報とを通信ネットワークを介してスレーブに送信し、スレーブは、回転角度情報と回転速度情報と回転加速度情報とに基づいて、スレーブ操作子を軸回転させるようにできる。回転検出装置は、たとえばロータリーエンコーダである。
本発明のコントローラは、典型的には超音波診断に限らず、熟練した手作業の技術を習得する場合、たとえば、歯科技工技術、精密機械の修理等の取り扱い技術、書道の習得等に有効である。
本発明におけるコントローラの形状は、典型的にはスティック状であるが、人が把持できるものであれば形状に限定はされない。
本発明では、操作子の下端は常にステージ中央の鉛直軸上に、リンクを有する複数のアームによって支持されているので、下端がワイヤの場合に比べて安定した操作を行うことができる。また、ステージが基台に対して移動する(xy移動する)ので、従来のように、「特定のワイヤの長さが他のワイヤに比べて極端に長くなり、結果として制御精度が低下する」といった不都合は生じない。又、リンク機構を設置することで精細な操作子のピボット動作の操作も行うことが可能である。
図1は本発明のコントローラの一実施形態を示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図1(A)において、コントローラ1Aは、ステージ11と、操作子12と、ワイヤ駆動装置13と、操作子支持機構14と、ステージ移動装置15(図1(A)には現れていない)とを備えている。ステージ11は、基台16上を当該基台16面に沿って移動する。
操作子12は、人の手により把持されるもので、たとえば、図2に示すように、操作子本体121内に軸部122と軸受け部123とを有して構成されている。
軸受け部123は、操作子本体121に固定されており、軸受け部123内に図示しない回転検出装置が設けられており、回転検出装置は、軸部が回転した角度(回転角)や回転速度、回転加速度等を検出する。回転検出装置としては、ロータリーエンコーダや可変応力器などを用いることができる。たとえば、コントローラ1Aがマスタ・スレーブ装置のマスタである場合には、操作子12を扱う者は、軸部122を回転させることによって、図示しないスレーブの操作子の回転を制御することができる。これによって、たとえば肋骨の間からも臓器の超音波診断を行うことができる。
ワイヤ駆動装置13は、ステージ11の周囲の3以上(3箇所、4箇所等)の箇所132からワイヤWを繰り出し、ワイヤWをフレーム133のローラー131を介して操作子12の上端にそれぞれ接続し引張駆動する。ワイヤ駆動装置13は、ワイヤWの繰り出し長さにより操作子12のステージ11上の位置を特定する。すなわち、コントローラ1Aの下端Pd位置が固定されているので、コントローラ1Aの位置、姿勢を各ワイヤ長上f(f=l,2,3)から求めることができ、操作子上端座標、Pu(xu,yu,zu)が求まる。
これとともに、ワイヤWを介して操作子12の上端に引張り力を与える。ワイヤ駆動装置13で引っ張り力を調整することで、スレーブの操作子(探触子)が患者に当たるz方向の反力と、x,y方向のモーメントを操作子12に与えることができる。
操作子支持機構14は、ステージ11の周囲の3以上の箇所(3箇所、4箇所等)からリンクを有するアームが立ち上げられることにより構成される。ここで、各アームの先端に設けられた支持部17が操作子12の下端を支持し、この下端をステージ11の中央の鉛直軸(z軸)上に拘束する。支持部17では、操作子12をボールジョイントで固定することにより当該操作子12を小さな力で自在に傾けられるようにした。
すなわち、操作子12の下端Pdにはアーム(2自由度リンクを持つ屈曲アーム)先端の支持部17に集約されている。ここで3つの操作子支持機構14のアームは各動作平面がそれぞれ鉛直面であり、かつこれらの鉛直面はz軸で交差するので、操作子12の下端Pdの動作はz軸上に固定される。
ステージ移動装置15は、ステージ11と基台16との間に設けられステージ11を基台16に対して移動させる。ステージ移動装置15は、操作子12が操作子支持機構14を介してステージ11に力を与えたときは所定量だけステージ11を移動させることができる。
本実施形態では、必要な可動ワイヤ長を大幅に短くできるので、大きな傾け角を実現できる。また、操作子12の上端の座標から下端の座標を計算により算出ができるので、操作子12の位置、角度の検出精度が工場する。
本実施形態では、上述したようにステージ移動装置15によりxy軸上にステージ11を移動することで、コントローラ1A全体を小さくすることができる。
図3は本発明の他の実施形態を示す説明図であり、(A−1)(B−1)は操作子12がステージ11の中心にある場合を示し、(A−2)(B−2)は。ステージ11に対し操作子12から力が加えられた結果ステージ11が移動した様子を示す図である。
図4のコントローラ1Bは、基台16上に設けられたステージ11が移動機構を持っていない点で、図1のコントローラ1Aとは異なる。ただし、図4(A),(B)では、移動機構に変えて、ステージ11と基台16との間に設けられステージ11の基台16面に平行な力を検出する水平力検出装置18が備えられており、操作子12が操作子支持機構14を介してステージ11に力を与えたときは当該力を距離の大きさに変換した信号を発生し、制御コンピュータ等に出力する。
以下、本発明の作用を詳細に説明する。下端Pdの座標を(0,0,Zd)とすると、操作子12の長さLが不変であるため(1)式を解くことでzdが算出されるただしz≧0、zu≧zdという条件が必要である。
u 2+yu 2+(zu−zd2=L2 (1)
図5において、ワイヤの張力ベクトルα[α1,α2,α3Tと操作子下端部にかかるリンク等の重力gを定義し、下端Pdに3自由度の力およびモーメントfd=[fzd,mxd,myd]を発生させる。張力ベクトルαとの関係はfd=Waで表され、Wは(2)式で表されるように、ワイヤベクトルwi(i=1〜3)を成分に持つ行列とするまたwiは(3)式で表される行列で、pWiはワイヤ方向の単位ベクトル、ruは呈示点Pdから操作子の上端点への単位ベクトルであるWi ×uはモーメント方向の単位ベクトルとなる。
式(3)は6行列となるが、1、2、6行目の成分がゼロとなるため、wiの3〜5行目の成分を要素に持つ3次元ベクトルをwiと定義した。
W=[w123] (2)
Figure 0005273432

本装置の可動範囲を決定付けるものとして、ワイヤ駆動機構ではワイヤ張力がすべて正となり、任意の方向に力を発生することが必要である。
つまり、操作子を持つ手にかかる力が以下のForce Closure条件を満足することにより操作者に反力を感じさせる。
条件を以下に示す。
<l> ワイヤn本中、どのn−1本のワイヤベクトルも線形独立
<2> Σαii=0 (αi>0 for anyi)
上記の条件を用いるとxy平面上では正三角形に配置したとき最も広い可動範囲を取ることができる。
一方、ワイヤ長は、本装置ではポテンショメータの回転角をワイヤの巻き取り長さに変換して求めているが、ポテンシヨメータの回転角の制限により、装置全体が取りうる大きさに限界があり、これらの大きさとの関連を明確にする必要があるワイヤ長はアクチュエータ間距離αとフレームの高さh及び操作子長Lによって変化するため、それらの比をパラメータとし、Z方向の可動範囲に対する傾け角の最大値を検討した。
図6にα=1、L=0.15と固定し、h=1、0.5、0.67、1.5、2と変えたときの可動範周との関係を比較した結果を示す。
ただし、横軸はα=1に対するz軸可動範囲で、無次元である。z方向の可動範囲と傾け角度の最大値はトレードオフの関係にある。また、a:hの比によっても特性は大きく変化し、本実施形態では、a:h=1:0.67の場合が両特性を最大限に生かせることがわかる。
通常のエコー検査時に必要である±80deg程度の傾け角(操作子1Aを鉛直方向の姿勢から、ほぼ水平方向に倒すことができる程度の傾け角)を実現でき、Z軸方向に200mm程度動かせることを条件に、図6のグラフよりフレームのサイズを求めたところ、操作子長60mm、フレームの高さが300mm、最大外形寸法が、495×540×515mmとなった。
本装置のフレームの下面の中心を原点とし、ピッチ角(x軸回り回転角)、ヨ一角(y軸回り回転角)を0[deg]としたときの点Puのz軸方向の位置精度の測定を行った。以前の装置と比較した結果を図7に示す。またPdを(0,0,140)に固定したときのヨ一角の角度精度の結果の比較を同様に図8に示す。図8から線形性が示され、特性が改善されていることが分かる。
100<z<200[mm]の範囲における位置ずれの最大誤差は、17[%]から9[%]に改善された.図8からヨ一角についても線形性が改善され、±80[deg]の範囲で回転させることができ、角度の最大のずれは、20[%]から10[%]に改善された。これらの結果から装置の変更により位置、角度ともに精大幅に向上したことが言える。
操作子のピボット動作に限定した操作を行う場合、呈示力を発生させ角度の微調整を可能とする必要がある。本発明者等はコントローラ1Aおよび1Bのワイヤ駆動装置13に加えて、操作子下端を制御するため図9,1Cに示した様なリンク機構を組合せ、操作子の下端点Pdがボールジョイントを介して正三角形プレートの重心点に配置され、操作子支持機構の正三角形の3つの先端に、2自由度リンクを持つ屈曲アームが接続しそのアーム屈曲部と、アームのステージ接続部は制御装置135により、x-yの2軸制御とz軸回転からなる3自由度リンク機構を設置し、操作子上端位置Puは、前記3本のワイヤによる、ワイヤ繰り出し長さより求め、操作子下端位置Pdはアーム屈曲角度からその座標位置を算出すると共にその角度を制御することにより操作子の動きを制御できるようにした。このような構成にすることで、コントローラ1A,1Bで限定された並進運動に回転運動を追加することができ、操作子のピボット動作の操作をすることが可能となる。
操作子に数Nの大きな力を発生する場合には、前記した操作子上部の3本のワイヤでは操作子のバランスが取りづらいケースが考えられ、そのようなケースに対処するため、本発明者等は前記リンク機構に加え、図10,1Dに示したように、図9、1Cのステージにワイヤ駆動装置134を少なくとも1個配置し、操作子下端とステージ下部のワイヤ駆動装置134を結ぶワイヤを増やし、4本以上のワイヤ駆動機構で張力を制御し、リンク機構でPd点の位置を制御することにより、コントローラ1A,1Bではアーム動作が鉛直面、Pdの動きがz軸上に固定されていたのを、コントローラ1C、1Dではz軸の水平移動を可能とし、平面方向(x−y)の傾け角を測定できるようになった。
エコー検査は図4Cに示したように、ベッドに横たわった患者の体表面にプローブを当て体表面のほとんどを対象にエコー検査することが可能であるが、ベッドに横たわった患者を想定した場合、水平方向の動作には限界がある。シミュレーション装置を机上に設置する場合、底面積をできるだけ小さくするため、ステージと基台の間に水平力検出装置を設置し、水平移動した場合、水平方向のひずみを検出し、その大きさを移動量に変換する。つまり、操作者が操作子を握って水平方向に動かした力は3本のアームにそれぞれに付加された力の方向より計算し、その移動量の操作者に対する呈示は、ジョイスティックを用いたゲーム等で使われるようにコンピューターグラフィックス(CG)で描画する方法によりその感覚を補うことが可能となる。
この場合図11の1C,1Dの、操作子の上端点Puと接続された3本のワイヤの張力ベクトルをα1、α2、α3、下端点Pdと接続された、リンク機構およびワイヤの張力ベクトルをα4とし、それらをまとめたワイヤ張力ベクトルα=[α1、α2、α3、α4]Tと定義する。
操作子の下部に仮想物体の体表面が存在するとして、力の呈示点である操作子下端点Pdにz軸方向の力及び、x、y方向のモーメントf=[fzmxmy]Tを発生させる。自由度nを上回る引張張力がある場合の張力計算法である、Force Closure条件により、n+1本のワイヤはどのn本を取ってもそのワイヤベクトルwiは線形独立である。よって任意に3本のワイヤを選ぶと、その呈示力fはf=Wαで表される。wiは(3)式、w4は(4)式で表される行列で、Pwiはワイヤ方向の単位ベクトルru、rdは呈示点Pdから操作子上下端点への単位ベクトルである。Pwi×ru、Pwi×rdはモーメント方向の単位ベクトルとなる。各ワイヤ駆動機構の位置は固定されているため、操作子上端座標Puは上部3本のワイヤ長Li(i=1,2,3)から求めるが、下端点の座標PdはPuの位置と仮想物体への接触状態によってその位置の3本のアームにより制御する。
Figure 0005273432
操作子の鉛直(z軸)方向の平行移動と水平(x-y平面)方向の傾け角を再現する通常モードでは、操作子の傾け角はシミュレーション対象であるプローブの傾け角に一致する。水平方向の平行移動はステージの基台面に平行な力を検出する水平検出装置によりステージに加えられた力を距離に換算した出力より換算し、操作子の下端点Pdのz座標に対するアーム機構の制御では、通常モードの概念を図12(a)に示す。仮想物体が存在するz軸上の点をOとすると、操作子が仮想物体に接触しない状態ではPdは常にz軸上を動くようにアームの屈曲部を制御する。操作子を下げて下端点が仮想物体に接触するとワイヤ張力により操作子の力及びモーメントを呈示するこの様子を図12(b)に示す。ここでPuの位置に対するPdの位置が常に(5)式を満たすように、アーム機構を制御する。ここで操作子の長さLはPuとPd間の距離である。
Figure 0005273432
エコー検査では、通常、体表面から15〜20cmほどの深さまで観察することができる。つまり体表面のプローブの傾け角をほんのわずか変化させただけで、得られる断層像が大きく変化する。高精細モードとは、図9または図10の装置を用いて傾け角を微妙に調整できる機能のことである。高性能モードの概念を図13に示す。ここではプローブが体表面に接触した後、つまり力覚呈示がある状態を前提とする。操作子軸のPd方向の延長線上の任意の点を仮想ピボット点とし、その座標をO'(x0、y0、z0)とする。操作子を動かした時、Puの変化に対してPdの座標が常に式(6)を満たすようにリンク機構を制御することにより、操作子はO'をピボット点として傾け角度を再現できる。通常モードに比べて、Puの位置変化に対して傾け精度が向上することになる。またこのモードは、操作者はPu−O'に相当する長い操作子の上部を持ち、点O'を原点としたピボット動作を行うことと同じであり、操作子のスケール自体は変わってしまうことになるが、操作者への呈示はコンピューターグラフィックスで行うため操作性は問題ない。
Figure 0005273432
図14は図9の装置を使用し、操作子下端点Pdと仮想ピボット点O'の長さを変化させたときのピボット動作の軌跡のシミュレーションを行った結果をプロットしたものである。
操作子下端点Pdの初期位置を(0,0,40)とし、仮想ピボット点O'のz軸座標をー60≦z0≦40に設定し、操作子をy軸周りにピボット動作させたとき、Pdがたどる軌跡をプロットした図より分かるようにPdの位置変化に対する操作子の傾け角度は、Pd−O'間距離を長く設定するほど傾け角の精度が向上することを示している。
操作子の下端点Pdをz=200mm平面で固定し、本装置の水平方向の実際の可動範囲を測定した。高精細モードと通常モードで操作子が仮想物体にふれていない場合の結果を図14に示す。操作子位置の測定には3次元位置センサmicroBIRDを用いた、図15より、通常モードでは5mm程度の位置ずれを生じたが、点Pdをz軸上に拘束することができた、また、高精細モードではほぼ一辺が約6cmの略正三角形で示した範囲を網羅しており、図14で検証したシミュレーション範囲を十分満たしている。
高精細モードにおいて、z軸方向に閾値を設け、z方向の呈示力fzを0〜1.5kgまで100gfごとに指定し、実際の呈示力を計測した。その結果を図16に示す。操作者が力を呈示していることが認識できた最小の値である300gfから1.5までのデータ実実測値と計測された力の指定値とのずれは700gfのとき70gfであり10%であった。この誤差は対象物体を押し込んで1000gf前後の力呈示を行う際には問題にはならない範囲である。
本発明のコントローラをマスタとして使用するマスタ・スレーブシステムにけるスレーブの例を図17および図18に示す。スレーブは、スレーブ操作子である超音波探触子と、スレーブ操作子をマスタ操作子に従動させるための装置と、コンピュータと、通信回路とを有している。この装置としては、スレーブ操作子を前記マスタ操作子に従動させることができれば特に限定されないが、例えば、図17および図18に示すようなジンバル機構31とパンタグラフ機構32とスライド機構33とを有して構成することができる。
ジンバル機構31は、スレーブ操作子34をX軸方向及びY軸方向に傾けるための機構である。ジンバル機構は、外部リング311と中間リング312と内部リング313とからなる。
外部リング311は、パンタグラフ機構32に接続されている。中間リング312は、外部リング311に対してY軸方向に傾くことができ、スレーブ操作子34をY軸方向に傾けることができる。内部リング313は、中間リング312に対してX軸方向に傾くことができ、スレーブ操作子34をX軸方向に傾けることができる。
パンタグラフ機構32は、スレーブ操作子34とジンバル機構31とをX軸方向及びZ軸方向に移動させるための機構である。パンタグラフ機構32は、2本のアーム321からなり、スレーブ操作子34とジンバル機構31とを支えている。
スライド機構33は、スレーブ操作子34とジンバル機構31とパンタグラフ機構32とをY軸方向に移動させるための機構である。スライド機構33は、パンタグラフ機構32の各アーム321をレール331に沿って移動させる。レール331は、患者の両脇に配置されるのが好ましい。
スレーブ操作子34の回転は、ジンバル機構31とパンタグラフ機構32とスライド機構33とを用いて、図18の(A)、(B)、(C)の順に行われる。
外部リング311の両端に接続している2本のアーム321が、スライド機構33により、各々反対側にスライドされ、2本のアーム321が双方とも伸びることにより、スレーブ操作子34が、ジンバル機構31とともに回転する。
スレーブ操作子34の中心を通るX軸と、2本のアーム321の先端を結んだ線とのなす角度が、回転角となる。また、スレーブ操作子34を回転させた状態でも、ジンバル機構31、パンタグラフ機構32及びスライド機構33を作動させることができる。
スレーブ及び前記スレーブ操作子は、訓練用プログラムにより構成された仮想スレーブ及び仮想スレーブ操作子であってもよい。
この場合、訓練用プログラムには、仮想の患者等のデータがセットされており、訓練者の操作に応じて、超音波診断の映像等の得られる情報を、ディスプレイに表示することが好ましい。これによって、訓練者は、目的とする遠隔診断を行う方法を訓練することができる。特に、心臓等の胸部の超音波診断においては、患者の肋骨の間に探触子であるスレーブ操作子を当て、スレーブ操作子を回転させる必要があり、この診断技術を習得す
るためには、訓練が有用である。
スレーブは、応力検出装置を有していることが好ましい。応力検出装置は、ジンバル機構、パンタグラフ機構、スライド機構を稼働させるモータを制御する電流及び電圧を検出することにより、モータにかかる応力、すなわちスレーブ操作子にかかる応力を検出することができる。
スレーブは、応力検出装置が検出した応力情報を、通信ネットワークを介してマスタに送信し、マスタは、アクチュエータ部や軸部または軸受け部に設けられた回転制御機構により、マスタ操作子に応力として伝達する。
図19のようにして、スレーブ操作子にかかる応力をマスタ操作子に応力として伝達することができる。スレーブの応力検出器が検出した応力は、アナログ信号として送信され、A/D変換器によりデジタル信号に変換され、I/Oを介してメモリに格納される。CPUは、メモリに格納されたデジタル信号を通信回路、通信ネットワークを介して、マスタの通信回路に送られる。通信回路が受けたデジタル信号は、マスタのメモリに格納されているプログラムにより、マスタのアクチュエータ部の制御信号として、I/OからD/A変換器を介して、マスタのアクチュエータ部及びマスタ操作子内の回転制御部に送信される。アクチュエータ部は、ワイヤを介して、マスタ操作子に応力として、スレーブ操作子にかかる応力を伝達する。
回転制御部は、軸部または軸受け部の回転に応力を加えることによって、スレーブ操作子にかかる応力を伝達する。
また、スレーブ操作子が見える位置に、スレーブ操作子の動きを確認するためのカメラを設置しておき、カメラの映像信号を通信ネットワークを介して、マスタ操作子を操作する医師から見える位置に設置されたディスプレイに送信することが好ましい。これによって、医師は、ディスプレイにより、患者とスレーブ操作子との位置を確認しながら、マスタ操作子を操作することができる。
スレーブ操作子の動きは、スレーブの存在により、死角が生じるため、前記カメラは、複数設置することが好ましい。
上下端をワイヤで引張る従来の方式では、操作者が操作子を把持したときのz方向の移動距離は100〔mm〕程度であり、二次元回転角は、x,y方向とも約±30〔deg〕であるが、本実施ではz軸の可動範囲を約200〔mm〕とでき、最大傾け角を30〔deg〕とすることができる。また、位置精度、角度精度は10%以内の誤差範囲を維持することができる。
本発明のコントローラの一実施形態を示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。 操作子本体内の構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態を示す説明図であり、(A−1)(B−1)は操作子がステージの中心にある場合を示し、(A−2)(B−2)は。ステージに 対し操作子から力が加えられた結果ステージが移動した様子を示す図である。 本発明の第2実施形態を示す説明図である。 本発明の第1及び第2実施形態ワイヤの張力ベクトルを示す説明図である。 本発明の第1及び第2実施形態可動範囲のシュミレーションで、フレーム高さ(h)を変化させた場合の傾け角の最大値の関係を示すグラフである。 本発明の第1及び第2実施形態の装置と従来の装置のPd点の位置精度の比較説明図である。 本発明の第1及び第2実施形態のヨ一角についての線形性の改善を示す図である。 本発明の第3実施形態を表す説明図である。 本発明の第3実施形態に操作子下端をさらにステージ上に設置したワイヤ駆動装置からのワイヤで引張支持した実施形態を表す説明図である。 本発明第3実施形態での張力ベクトルとリンク機構の説明図である。 本発明第3実施形態での通常モードの概念の説明図である。 本発明第3実施形態での高精細モードの概念の説明図である。 本発明第3実施形態での高精細モードでピボット動作のシミュレーションから傾け精度が向上すること説明する図である。 図14の水平方向での移動範囲の広がりを示す図である。 本発明第3実施形態での高精細モードでの力呈示特性の改善を示す図である。 スレーブのジンバル機構とパンタグラフ機構とスライド機構とを示す図である。 図17のジンバル機構とパンタグラフ機構とスライド機構の作用の説明図である。 スレーブ操作子にかかる応力をマスタ操作子に応力として伝達する説明図である。
符号の説明
1A,1B,1C コントローラ
11 ステージ
12 操作子
13 ワイヤ駆動装置
14 操作子支持機構
15 ステージ移動装置
16 基台
18 水平力検出装置

Claims (4)

  1. 基台上を当該基台面に沿って移動するステージと、
    人の手により把持される操作子と、
    前記ステージの周囲の3以上の箇所からワイヤを繰り出し、当該ワイヤを前記操作子の上端にそれぞれ接続し引張駆動するワイヤ駆動装置と、
    前記ステージの周囲の3以上の箇所からリンクを有するアームが立ち上げられ、各アームの先端が前記操作子の下端を支持し、当該下端を前記ステージの中央の鉛直軸上に拘束する操作子支持機構と、
    前記ステージと前記基台との間に設けられ前記ステージを前記基台に対して移動させるステージ移動装置とを備え、
    前記ワイヤ駆動装置は、前記ワイヤの繰り出し長さにより前記操作子の前記ステージ上の位置を特定するとともに、前記ワイヤを介して前記操作子の上端に引張り力を与え、
    前記ステージ移動装置は、前記操作子が前記操作子支持機構を介して前記ステージに力を与えたときは所定量だけ前記ステージを移動させる、
    ことを特徴とするコントローラ。
  2. 基台上に設けられた移動しないステージと、
    人の手により把持される操作子と、
    前記ステージの周囲の3以上の箇所からワイヤを繰り出し、当該ワイヤを前記操作子の上端にそれぞれ接続し引張駆動するワイヤ駆動装置と、
    前記ステージの周囲の3以上の箇所からリンクを有するアームが立ち上げられ、各アームの先端が前記操作子の下端を支持し、当該下端を前記ステージの中央の鉛直軸上に拘束する操作子支持機構と、
    前記ステージと前記基台との間に設けられ前記ステージの前記基台面に平行な力を検出する水平力検出装置とを備え、
    前記ワイヤ駆動装置は、前記ワイヤの繰り出し長さにより前記操作子の前記ステージ上の位置を特定するとともに、前記ワイヤを介して前記操作子の上端に引張り力を与え、
    前記水平力検出装置は前記操作子が前記操作子支持機構を介して前記ステージに力を与えたときは当該力を距離の大きさに変換した信号を発生する、
    ことを特徴とするコントローラ。
  3. マスタ・スレーブシステムのマスタ操作子として使用されるコントローラであって、
    軸部と、軸受け部と、回転検出装置とを有し、前記回転検出装置は、前記軸部または前記軸受け部が回転したときに前記回転の回転角を検出して、通信ネットワークを介して回転角情報をスレーブに送信することを特徴とする請求項1または2に記載のコントローラ。
  4. 生体の超音波診断に用いられることを特徴とする請求項1からの何れかに記載のコントローラ。
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