〔1.システムの構成〕
図1は、本実施例に係るシステムの構成を示す。図1に示すシステムは、本実施例に係る取引処理装置100と、顧客カード200と、取引先装置300と、ホストコンピュータ400を有する。
取引処理装置100は、ATM(Automated Teller Machine)や、インターネットバンキングシステムへログイン可能なパーソナルコンピュータなどを用いることができる。取引処理装置100は、顧客が提示する顧客カード200から情報を読み取り、所定の認証処理を行なった後に、顧客カード200により特定される口座に対する現金の入出金処理や、他口座への振込みなどの取引を実行することができる。
顧客カード200は、情報を格納することができる不揮発性の記憶媒体を備え、顧客が口座を開設した際に発行され、顧客に付与される。
取引先装置300は、例えば、一般的なサーバ装置であり、顧客が使用したガスや電気等の使用料金や、顧客へ納品した商品の代金など、顧客に請求する請求金額の情報を管理する機能を有する。取引先装置300は、取引先ごとに設置してもよいし、複数の取引先に対して共有させてもよい。
ホストコンピュータ400は、銀行等の金融機関において顧客が開設している口座を管理する機能を有し、顧客の口座から他の口座へ振込みを実行する機能などを有する。
取引処理装置100と、取引先装置300と、ホストコンピュータ400は、ネットワーク500を介して、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP/IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)等、予め定められたプロトコルを用いて通信することができる。
〔2.取引処理装置の構成〕
次に、取引処理装置100の構成を説明する。図1は取引装置100の構成を示す。図1に示す取引処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101、記憶部102、表示部103、操作部104、カード処理部105、通信部106を有する。
CPU101は、内部通信線(バス)を介して取引処理装置100のハードウェア各部と接続されており、記憶部102に格納されたプログラムの手順に従って所定の機能を実現する。CPU101は、例えば、記憶部102から読み込んだ命令を一時的に格納する命令レジスタ(Instruction Register)、命令レジスタに格納されている機械語命令(2進数)を解読しその命令に応じて取引処理装置100が有する各部を制御する命令解読回路(Instruction Decoder)、命令解読回路からの制御に従って加算・減算・数値の比較などの演算を行なう演算回路(Arithmetic Logic Unit)、演算対象のデータや演算の結果などを一時的に格納するアキュムレータ(Accumulator)、CPU101が読み書きする記憶部102が有する記憶領域の番地を格納する番地レジスタ(Address Register)、次に実行するべき命令が格納されている記憶部102が有する記憶領域の番地を示すプログラムカウンタ(Program Counter)などで構成される。
記憶部102は、主記憶部と補助記憶部を有する。記憶部102の主記憶部は、CPU101の実行により生じたデータや、補助記憶部から読み出したデータなどを、記憶する。例えば、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)や、SRAM(Static Random Access Memory)などの半導体メモリを用いることができる。
記憶部102の補助記憶部は、CPU101から受信する書込み命令に応じて不揮発性記憶媒体に情報を格納し、CPU101から受信する読込み命令に応じて不揮発性記憶媒体に格納した情報を読み出して出力する。例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録装置や、SSD(Solid State Disk)などの不揮発性半導体記憶装置を用いることができる。
表示部103は、CPU101からの制御命令に応じた情報を、液晶ディスプレイ装置などの表示装置に出力させる。なお、表示装置は、取引処理装置100の内部に有する通信線を用いて取引処理装置100と接続し取引処理装置100と一体として構成しても良いし、D−Sub(D-Subminiature)15pinケーブル等を用いて取引処理装置100と接続する構成としても良い。
操作部104は、利用者の操作を受付ける。操作部104は、利用者の操作に応じた信号を、内部通信線を介してCPU101へ出力する。例えば、操作部104として、入力ボタンや、表示装置と一体として構成したタッチパネルなどを用いることができる。
カード処理部105は、顧客が提示する顧客カード200を取り込み、取り込んだ顧客カード200から情報を読み込んだり、取り込んだ顧客カード200へ情報を書き込んだりする。
通信部106は、ネットワーク500を介してホストコンピュータ400と信号を送受信する。例えば、ネットワークインタフェースカードを用いて構成される。
顧客カード200は、不揮発性記憶媒体を構成するICチップなどの記憶部201を有する。顧客カード200は、取引処理装置100のカード処理部105の入出力端子と、記憶部201の入出力端子とを電気的に接続することにより、記憶部201に格納されている情報をカード処理部105に読み込ませることができる。また、顧客カード200は、取引処理装置100のカード処理部105の入出力端子と、記憶部201の入出力端子とを電気的に接続することにより、カード処理部105からの情報を記憶部201に格納することができる。なお、カード処理部105と顧客カード200との情報の読み書き処理は、電波信号を用いた非接触方式としてもよい。
図2は、取引処理装置100において実行されるプログラムの構成を示す。図2に示すプログラムの構成は、口座情報取得部PG100と、取引先情報取得部PG101と、請求情報取得部PG102と、請求情報確認要求部PG103と、今回取引上限額取得部PG104と、取引先選択受付部PG105と、今回取引上限額判定部PG106と、履歴情報更新部PG107と、今回取引実行要求部PG108と、を有する。
図2に示す口座情報取得部PG100は、顧客カード200に格納されている口座情報(T101)を、カード処理部105を用いて取得する構成要素として、CPU101を動作させる。
図2に示す取引先情報取得部PG101は、顧客カード200に格納されている取引先情報(T102)を、カード処理部105を用いて取得する構成要素として、CPU101を動作させる。
図2に示す請求情報取得部PG102は、顧客カード200に格納されている情報に基づいて、取引先装置300が有する顧客に対して請求する請求金額の情報を、通信部106を用いて取得する構成要素として、CPU101を動作させる。
図2に示す請求情報確認要求部PG103は、請求情報取得部PG102の工程により取得された請求情報の内容を、表示部103を用いて表示し、顧客に対して内容の確認を促す構成要素として、CPU101を動作させる。
図2に示す今回取引上限額取得部PG104は、今回取引の上限とする金額の入力を受け付ける構成要素として、CPU101を動作させる。
図2に示す取引先選択受付部PG105は、請求情報取得部PG102の工程により取得された請求情報のうち、今回の取引処理の対象とする請求情報の選択操作を受け付ける構成要素として、CPU101を動作させる。
図2に示す今回取引上限額判定部PG106は、取引先選択受付部PG105の工程により選択を受けた請求情報の請求金額の合計額と、今回取引上限額取得部PG104の工程により取得した上限額とを比較し、所定の条件を満たすか否かを判定する構成要素として、CPU101を動作させる。
図2に示す履歴情報更新部PG107は、請求情報取得部PG102の工程により取得された請求情報のうち、取引先選択受付部PG105の工程により選択操作を受けなかった請求情報の未選択回数を更新する構成要素として、CPU101を動作させる。
図2に示す今回取引実行要求部PG108は、請求情報取得部PG102の工程により取得された請求情報のうち、取引先選択受付部PG105の工程により選択操作を受けた請求情報に示される取引処理の実行をホストコンピュータ400に要求する信号を、ホストコンピュータへ通信部106を用いて送信する構成要素として、CPU101を動作させる。
また、図2は、顧客カード200の記憶部201に格納される情報を示す。図2に示す顧客カード200の記憶部201は、口座情報T101と、取引先情報T102と、履歴情報T103を格納する。
図3は、口座情報T101のデータ構造を示す。図3に示す口座情報T101は、口座DI(T1011)と、認証情報(T1012)を有する。
口座ID(T1011)は、顧客の口座を特定する情報であり、例えば、銀行コードと、支店コードと、口座番号とを組み合わせた所定桁数の文字列などを用いることができ、顧客カード200の発行時などに記憶部201に登録される。
認証情報(T1012)は、顧客の本人確認を行なう認証処理において用いる情報であり、例えば、4桁の数字列などで表現されるパスワードや、手の平静脈のパターン等の生体情報を用いることができ、顧客カードの発行時などに記憶部201に登録される。
図4は、取引先情報T102のデータ構造を示す。図4に示す取引先情報T102は、口座ID(T1021)と、取引先ID(T1022)と、取引先顧客ID(T1023)と、取引先口座ID(T1024)と、取引先名称(T1025)を有する。
口座ID(T1021)は、顧客の口座を特定する情報であり、例えば、銀行コードと、支店コードと、口座番号とを組み合わせた所定桁数の文字列などを用いることができ、顧客からの申請手続等により記憶部201に登録される。
取引先ID(T1022)は、本実施例に係る取引処理装置100において取扱う取引処理の相手となる取引先を特定する情報であり、例えば、ネットワーク500を介して取引処理装置100から取引先装置300へ信号を送信する際に、取引装置300を特定する情報を用いることができる。取引先ID(T1022)は、顧客からの申請手続等により記憶部201に登録される。
取引先顧客ID(T1023)は、取引先において顧客を特定する情報であり、例えば、取引先において顧客を管理するために付与した顧客IDを用いることができ、顧客からの申請手続等により記憶部201に登録される。
取引先口座ID(T1024)は、取引先が有する口座を特定する情報であり、例えば、銀行コードと、支店コードと、口座番号とを組み合わせた所定桁数の文字列などを用いることができ、顧客からの申請手続等により記憶部201に登録される。
取引先名称(T1025)は、取引先情報を表示する際に、取引先ID(T1022)で特定される取引先について、顧客の理解を補助するために表示する取引先の名称を示す。取引先名称(T1025)は、顧客からの申請手続等により記憶部201に登録される。
図5は、履歴情報T103のデータ構造を示す。図5に示す履歴情報T103は、口座ID(T1031)と、取引先ID(T1032)と、未選択回数(T1033)を有する。
口座ID(T1031)は、顧客の口座を特定する情報であり、例えば、銀行コードと、支店コードと、口座番号とを組み合わせた所定桁数の文字列などを用いることができる。
取引先ID(T1032)は、本実施例に係る取引処理装置100において取扱う取引処理の相手となる取引先を特定する情報であり、例えば、ネットワーク500を介して取引処理装置100から取引先装置300へ信号を送信する際に、取引装置300を特定する情報を用いることができる。
未選択回数(T1033)は、本実施例に係る取引処理において取引対象に選択しなかった回数を示す。
図6は、取引装置300から取得される、取引処理装置上の請求情報T104のデータ構造を示す。図6に示す請求情報T104は、口座ID(T1041)と、取引先ID(T1042)と、請求金額(T1043)と、請求期限(T1044)と、取引先名称(T1045)と、未選択回数(T1046)を有する。なお、口座ID(T1041)と取引先ID(T1042)は、取引先装置300から取得した請求情報に対して、取引先情報(T103)の口座ID(T1021)と取引先ID(T1022)に基づいて付与されるものであるため、説明を省略する。
請求金額(T1043)は、顧客に対して取引先が請求する金額を示し、取引先装置300から取得した請求情報(T301)に基づいて付与される。
請求期限(T1044)は、請求金額に示される金額の支払について取引先が求める期限を示し、取引先装置300から取得した請求情報(T301)に基づいて付与される。
取引先名称(T1045)は、顧客の理解を補助するために表示する取引先の名称を示し、取引先情報(T102)の取引先名称(T1025)に基づいて付与される。
未選択回数(T1046)は、本実施例に係る取引処理において取引対象に選択しなかった回数を示し、履歴情報(T103)の未選択回数(T1033)に基づいて付与される。
図7は、本実施例に係る取引処理において、通信部107を用いて取引処理装置100から送信される、今回取引実行要求信号T105のデータ構造を示す。図7に示す今回取引実行要求信号T105は、口座ID(T1051)と、取引先口座ID(T1052)と、取引金額(T1053)と、取引日時(T1054)を有する。
口座ID(T1051)は、顧客の口座を特定する情報であり、例えば、銀行コードと、支店コードと、口座番号とを組み合わせた所定桁数の文字列などを用いることができる。
取引先口座ID(T1052)は、取引先が有する口座を特定する情報であり、例えば、銀行コードと、支店コードと、口座番号とを組み合わせた所定桁数の文字列などを用いることができる。
取引金額(T1053)は、本実施例に係る取引処理における取引対象の金額を示す。
取引日時(T1054)は、本実施例に係る取引処理を実行する日時を示す。
〔3.取引先装置の構成〕
次に、取引先装置300の構成を説明する。図1に示す取引先装置300は、CPU(Central Processing Unit)301、記憶部302、通信部303を有する。
CPU301は、内部通信線(バス)を介して取引先装置300のハードウェア各部と接続されており、プログラムの手順に従って所定の機能を実現する。CPU301は、例えば、記憶部302から読み込んだ命令を一時的に格納する命令レジスタ(Instruction Register)、命令レジスタに格納されている機械語命令(2進数)を解読しその命令に応じて取引先装置300が有する各部を制御する命令解読回路(Instruction Decoder)、命令解読回路からの制御に従って加算・減算・数値の比較などの演算を行なう演算回路(Arithmetic Logic Unit)、演算対象のデータや演算の結果などを一時的に格納するアキュムレータ(Accumulator)、CPU301が読み書きする記憶部302が有する記憶領域の番地を格納する番地レジスタ(Address Register)、次に実行するべき命令が格納されている記憶部302が有する記憶領域の番地を示すプログラムカウンタ(Program Counter)などで構成される。
記憶部302は、主記憶部と補助記憶部を有する。記憶部302の主記憶部は、CPU301の実行により生じたデータや、補助記憶部から読み出したデータなどを、記憶する。例えば、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)や、SRAM(Static Random Access Memory)などの半導体メモリを用いることができる。
記憶部302の補助記憶部は、CPU301から受信する書込み命令に応じて不揮発性記憶媒体に情報を格納し、CPU301から受信する読込み命令に応じて不揮発性記憶媒体に格納した情報を読み出して出力する。例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録装置や、SSD(Solid State Disk)などの不揮発性半導体記憶装置を用いることができる。
通信部303は、ネットワーク500を介して取引処理装置100と信号を送受信する。例えば、ネットワークインタフェースカードを用いて構成される。
図8は、取引先装置において実行されるプログラムの構成を示す。図8に示すプログラムの構成は、請求情報要求受信部PG301と、請求情報送信部PG302と、請求情報(T301)を有する。
図8に示す請求情報要求受信部PG301は、取引処理装置100から送信される請求情報要求信号を、ネットワークを介して通信部303を用いて受信する構成要素として、CPU301を動作させる。
図8に示す請求情報送信部PG302は、請求情報要求信号に対応する請求情報(T301)を送信する構成要素として、CPU301を動作させる。
図9は、請求情報(T301)のデータ構造を示す。図9に示す請求情報(T301)は、顧客番号(T3011)と、請求金額(T3012)と、請求期限(T3013)を有する。
図9に示す顧客番号(T3011)は、取引先装置300において顧客を特定する情報であり、図4に示す取引先情報(T1021)の取引先顧客ID(T1023)に対応する。
図9に示す請求金額(T3012)は、顧客に対して請求する金額を示す。
図9に示す請求期限(T3013)は、請求金額に示される金額の支払を求める期限を示す。例えば、年月日の情報を用いることができる。
〔4.ホストコンピュータの構成〕
次に、ホストコンピュータ400の構成を説明する。図1に示すホストコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)401、記憶部402、通信部403を有する。
CPU401は、内部通信線(バス)を介してホストコンピュータ400のハードウェア各部と接続されており、プログラムの手順に従って所定の機能を実現する。CPU401は、例えば、記憶部402から読み込んだ命令を一時的に格納する命令レジスタ(Instruction Register)、命令レジスタに格納されている機械語命令(2進数)を解読しその命令に応じてホストコンピュータ400が有する各部を制御する命令解読回路(Instruction Decoder)、命令解読回路からの制御に従って加算・減算・数値の比較などの演算を行なう演算回路(Arithmetic Logic Unit)、演算対象のデータや演算の結果などを一時的に格納するアキュムレータ(Accumulator)、CPU401が読み書きする記憶部402が有する記憶領域の番地を格納する番地レジスタ(Address Register)、次に実行するべき命令が格納されている記憶部402が有する記憶領域の番地を示すプログラムカウンタ(Program Counter)などで構成される。
記憶部402は、主記憶部と補助記憶部を有する。記憶部402の主記憶部は、CPU401の実行により生じたデータや、補助記憶部から読み出したデータなどを、記憶する。例えば、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)や、SRAM(Static Random Access Memory)などの半導体メモリを用いることができる。
記憶部402の補助記憶部は、CPU401から受信する書込み命令に応じて不揮発性記憶媒体に情報を格納し、CPU401から受信する読込み命令に応じて不揮発性記憶媒体に格納した情報を読み出して出力する。例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録装置や、SSD(Solid State Disk)などの不揮発性半導体記憶装置を用いることができる。
通信部403は、ネットワーク500を介して取引処理装置100と信号を送受信する。例えば、ネットワークインタフェースカードを用いて構成される。
図10は、ホストコンピュータ400において実行されるプログラムの構成を示す。図9に示すプログラムの構成は、今回取引実行部PG401を有する。
図10に示す今回取引実行部PG401は、取引処理装置100から送信される今回取引実行要求信号を、ネットワークを介して通信部403を用いて受信する構成要素として、CPU401を動作させる。
〔5.処理の流れ〕
図11は、本実施例に係る取引処理装置100において実行されるプログラムの処理の流れを示す。図11に示す処理は、取引処理装置100において、本実施例に係る取引処理を実行するメニュー項目を、操作部104を用いて選択された場合に、実行が開始される。
なお、取引処理装置100は、顧客カード200をカード処理部105に取り込み、顧客カード200から読み込んだ認証情報(T1012)を用いて行なう本人確認等の処理を、上述の選択操作が行なわれる前に行なってもよいし、上述の選択操作が行なわれた後であって図11に示す処理を実行する前に行なってもよい。本人確認の処理は、従来の取引処理装置と同様であるため、詳細な説明を省略する。
まず、取引処理装置100のCPU101は、顧客カード200から、カード処理部105を用いて、取引先情報(T1021)を読み込む(ステップS101)。
CPU101は、取引先情報(T1021)の取引先ID(T1022)に基づいて特定される取引先装置300へ宛てて、取引先顧客ID(T1023)に対応する請求情報の送信を要求する請求情報要求信号を、通信部106を用いてネットワークを介して送信する(ステップS102)。ここで、請求情報要求信号は、取引先顧客ID(T1023)を少なくとも有する。
なお、取引処理装置100は、取引先装置300へ宛てた請求情報要求信号をホストコンピュータ400又は図示しない他の計算機装置へ送信し、ホストコンピュータ400又は図示しない他の計算機装置を介して取引装置300へ請求情報要求信号を送信してもよい。この場合、取引装置100とホストコンピュータ400等との間の通信に用いるネットワーク500と、ホストコンピュータ400等と取引先装置300との間の通信に用いるネットワーク500とを、異なるネットワーク構成とすることができる。
CPU101は、取引処理装置100へ宛てて取引先装置300から送信される、請求情報要求信号に対応する請求情報(T301)を、通信部106を用いてネットワーク500を介して受信する(ステップS102)。
CPU101は、受信した請求情報(T301)の内容に対して、請求情報要求信号を送信する際に参照した取引先情報(T102)の口座ID(T1021)と取引先ID(T1022)と取引先名称(T1025)を付与し、上述の口座ID(T1021)と取引先ID(T1022)に対応する履歴情報(T103)の未選択回数(T1033)を付与し、図6に示すデータ構造を有する請求情報(T104)を生成する(ステップS102)。
CPU102は、生成した請求情報(T104)を、表示部103を用いて表示装置に表示し、顧客に確認を要求する(ステップS103)。
図13は、請求情報確認要求部PG103の工程であるステップS103において表示装置に表示される画面例である、請求情報確認要求画面D100の内容例を示す。図13に示す請求情報確認要求画面D100は、ステップS102において取得し生成した請求情報の内容を示す項目D101と、同意ボタンD102と、変更ボタンD103を有する。
図13に示す例では、請求情報の内容を示す項目D101には、「取引先:Aガス会社、請求金額:10,000円、請求期限:2009年2月20日」と、「取引先:B電力会社、請求金額:10,000円、請求期限:2009年2月20日」と、「取引先:C不動産会社、請求金額:30,000円、請求期限:2009年2月20日」と、「取引先:D部品加工会社、請求金額:30,000円、請求期限:2009年2月20日」との4件の請求情報の内容が表示されている。
CPU101は、同意ボタンD102が押下された旨を示す信号を、内部通信線を介して操作部104から取得した場合、顧客が請求情報の内容に同意したと判断し(ステップS104でYES)、請求金額の合計を算出する(ステップS105)。
図13に示す例では、請求金額の合計は80,000円(10,000円+10,000円+30,000円+30,000円)となる。
一方、CPU101は、変更ボタンD103が押下された旨を示す信号を、内部通信線を介して操作部104から取得した場合、顧客が請求情報の内容に同意しなかったと判断し(ステップS104でNO)、請求金額の変更の入力を受け付ける(ステップS110)。そして、CPU101は、ステップS110において変更された後の請求金額の合計金額を算出する(ステップS105)。
つぎに、CPU101は、今回取引の上限額の入力を受け付ける(ステップS106)。図14は、今回取引上限額取得部PG104の工程であるステップS106において表示部103を用いて表示装置に表示される画面例である、今回取引上限取得画面D200の内容例を示す。図14に示す今回取引上限取得画面D200は、今回取引上限額の入力項目D201と、OKボタンD202と、取消ボタンD203を有する。
図14に示す今回取引上限額の入力項目D201は、今回取引上限額の入力を受け付ける項目であり、図14に示す例では、「60,000」円が入力されている。
CPU101は、OKボタンD202が押下された旨を示す信号を、内部通信線を介して操作部104から取得した場合、今回取引上限額の入力が完了したと判断し、ステップS107の判定処理を実行する。一方、CPU101は、取消ボタンD203が押下された旨を示す信号を、内部通信線を介して操作部104から取得した場合、今回取引上限額の入力項目に入力されている値を消去する。
CPU101は、ステップS107の判定処理において、ステップS105において算出した請求金額の合計である合計請求金額と、ステップS106において取得した今回取引上限額とを比較し、合計請求金額が今回取引上限額を超えるか否かを判定する(ステップS107)。
CPU101は、合計請求金額が今回取引上限額を超えると判定した場合(ステップS107でYES)、ステップS108以降の処理を実行する。一方、CPU101は、合計請求金額が今回取引上限額を超えないと判定した場合(ステップS107でNO)、ステップS114以降の処理を実行する。
CPU101は、合計請求金額が今回取引上限額を超えると判定した場合(ステップS107でYES)、取引先の情報を表示し(ステップS108)、今回取引の取引先の選択を受け付ける(ステップS109)。
図15は、取引先選択受付部PG106の工程であるステップS108において表示部103を用いて表示装置に表示される画面例である、取引先選択受付画面D300の内容例を示す。図15に示す取引先選択受付画面D300は、今回取引の取引対象として選択する指示入力を受け付ける選択項目(D3011,D3012,D3013,D3014)と、選択項目ごとに取引先の情報を表示する取引先情報表示項目(D3021,D3022,D3023,D3024)と、選択項目において選択を受け付けた取引対象の合計の請求金額を表示する合計請求金額表示項目(D303)と、ステップS106で受け付けた今回取引上限額を表示する今回取引上限額表示項目(D304)と、入力操作の確定の指示を受け付けるOKボタン(D305)と、入力操作を取り消す取消ボタン(D306)と、ステップ106において表示される今回取引上限額取得画面D200への復帰の指示を受け付ける「前に戻る」ボタン(D307)を有する。
図15に示す例では、選択項目(D3011乃至D3014)のうち選択項目D3011と、選択項目D3012と、選択項目D3013において、「レ」が表示されており、選択操作を受け付けたことを示している。一方、選択項目D3014は、「レ」が表示されておらず、選択操作を受け付けていないことを示している。
図15に示す例では、選択項目D3011に対応して表示される表示項目D3021において、「取引先:B電力会社、請求金額:10,000円、請求期限:2009年2月20日、未選択回数:2回」が表示されている。未選択回数が2回と表示されていることから、取引先であるB電力会社に対する債務履行の機会を2回先延ばししていることを、利用者は理解することができる。
図15に示す例では、選択項目D3012に対応して表示される表示項目D3022において、「取引先:C不動産会社、請求金額:30,000円、請求期限:2009年2月20日、未選択回数:1回」が表示されている。未選択回数が1回と表示されていることから、取引先であるC不動産会社に対する債務履行の機会を1回先延ばししていることを、利用者は理解することができる。
図15に示す例では、選択項目D3013に対応して表示される表示項目D3023において、「取引先:Aガス会社、請求金額:10,000円、請求期限:2009年2月20日、未選択回数:0回」が表示されている。未選択回数が0回と表示されていることから、取引先であるAガス会社に対する債務履行の機会を先延ばししたことがないことを、利用者は理解することができる。
図15に示す例では、選択項目D3014に対応して表示される表示項目D3024において、「取引先:D部品加工会社、請求金額:30,000円、請求期限:2009年2月20日、未選択回数:0回」が表示されている。未選択回数が0回と表示されていることから、取引先であるD部品加工会社に対する債務履行の機会を先延ばししたことがないことを、利用者は理解することができる。
図15に示す例では、合計請求金額表示項目D303において、選択操作を受け付けた選択項目(D3011,D3012,D3013)に対応する請求情報表示項目(D3021,D3022,D3023)に表示される請求情報に示される請求金額の合計額として、「50,000円」が表示されている。
図15に示す例では、今回取引上限額D304において、ステップS106において受け付けた今回取引上限額として、「60,000円」が表示されている。
図15に示す例では、請求情報表示項目は、請求情報(T104)の未選択回数(T1046)の値に基づいて降順に表示されている。すなわち、画面上の上位に表示されている請求情報表示項目D3021に表示される請求情報(T104)の未選択回数(T1046)は「2回」であり、その次に表示されている請求情報表示項目D3022に表示される請求情報(T104)の未選択回数(T1046)は「1回」であり、請求情報(T104)の未選択回数(T1046)の値が大きいものから順に画面上の上位に表示されている。
上述のように、ステップS108において未選択回数(T1046)の値に基づいて降順に請求情報(T104)を表示することにより、過去の取引処理において取引処理の対象から除外された回数の多い取引対象から順に、画面上の上位に表示されることになる。未選択回数(T1046)の値に基づいて降順に表示することにより、債務履行の機会を先延ばしした回数の多い請求情報が画面上の上位に表示されるため、債務履行の機会を先延ばしした回数の多い請求情報の存在を、利用者は認識しやすくなる。すなわち、取引処理の入力操作を行なう顧客に対して、取引対象への債務履行の機会を先延ばししている回数の多い取引対象を気付かせることができ、このような取引対象への債務履行を促すことができる。
CPU101は、OKボタンD305が押下された信号を、内部通信線を介して操作部104から取得した場合、入力操作の確定の指示を受け付けたと判断し、選択操作を受け付けた選択項目に対応する請求情報(T104)を特定し(ステップS109)、特定された請求情報(T104)の請求金額(T1043)の合計額を算出する(ステップS111)。なお、選択された選択項目に対応する請求金額(T1043)の合計額の算出処理は、選択項目への選択操作を受け付ける都度実行してもよい。この場合、選択操作を行なう都度、選択された項目に対応する請求金額の合計を確認することができ、合計金額を確認した上で、入力操作の確定を指示するOKボタン(D305)の押下を行うことができる。また、図15に示す取引先選択画面において、選択された項目に対応する請求金額の合計を表示する合計請求金額表示項目(D303)の近傍に、今回取引上限額を表示する今回取引上限額表示項目(D304)を配置していることにより、利用者は、合計金額が今回取引上限額の範囲内であることを確認した上で、入力操作の確定を指示するOKボタン(D305)の押下を行うことができる。これにより、今回取引上限額を超えた場合の再入力の操作を避けることができ、取引処理装置100への入力操作に要する時間を短縮することができる。また、図15に示す取引先選択画面において、上述の合計請求金額表示項目(D303)と今回取引上限額表示項目(D304)とを、入力操作の確定を指示するOKボタン(D305)に隣接して配置することが望ましい。これにより、OKボタンを押下操作する際に、上述の合計請求金額表示項目(D303)と今回取引上限額表示項目(D304)との表示内容を利用者が視認しやすくなり、合計金額が今回取引上限額の範囲内であることを確認した上で、OKボタンの押下操作を行いやすくなる。
つぎに、CPU101は、ステップS106において受け付けた今回取引上限額と、ステップS111において算出した合計請求金額とを比較し、合計請求金額が今回取引上限額以下であるか否かを判定する(ステップS112)。
CPU101は、合計請求金額が今回取引上限額以下であると判定した場合(S112でYES)、ステップS113以降の処理を実行する。一方、合計請求金額が今回取引上限額以下でないと判定した場合(S112でNO)、ステップS108に戻り、今回取引の取引対象の選択を促す。
CPU101は、ステップS113において、未選択の取引対象に対する履歴情報の更新処理を実行する(ステップS113)。例えば、CPU101は、図15に示す取引先選択受付画面D300において選択操作を受け付けなかった選択項目に対応する請求情報(T104)を特定し、その請求情報(T104)の口座ID(T1041)と取引先ID(T1042)に対応する履歴情報(T103)の未選択回数(T1033)の値を1つ加算して更新する(ステップS113)。
図15に示す例では、選択項目D3014が選択操作を受け付けておらず、選択項目D3014に対応する請求情報表示項目D3024に表示される「取引先:D部品加工会社、請求金額:30,000円、請求期限:2009年2月20日、未選択回数:0回」を構成する請求情報(T104)が未選択の請求情報として特定され、その請求情報に対応する履歴情報(T103)の未選択回数(T1033)が更新される(ステップS113)。
なお、ステップS113において、選択された取引対象に対する履歴情報の未選択回数に対する更新処理を行なってもよい。例えば、CPU101は、図15に示す取引先選択受付画面D300において選択操作を受け付けた選択項目に対する請求情報(T104)を特定し、その請求情報(T104)の口座ID(T1041)と取引先ID(T1042)に対応する履歴情報(T103)の未選択回数(T1033)の値を0値に更新してもよいし、未選択回数(T1033)の値を1つ減算して更新してもよい(ステップS113)。
図15に示す例では、例えば、選択項目D3011が選択操作を受け付けており、選択項目D3011に対応する請求情報表示項目D3021に表示される「取引先:B電力会社、請求金額:10,000円、請求期限:2009年2月20日、未選択回数:2回」を構成する請求情報(T104)が選択された請求情報として特定され、その請求情報に対応する履歴情報(T103)の未選択回数(T1033)が更新される(ステップS113)。
CPU101は、今回取引の対象として選択された請求情報を特定し、その請求情報に示される取引を実行する要求を示す今回取引実行要求信号T105を、ホストコンピュータ400へ通信部106を用いて送信する。
図15に示す例では、例えば、選択項目D3011が選択操作を受け付けており、選択項目D3011に対応する請求情報項目D3021に表示される「取引先:B電力会社、請求金額:10,000円、請求期限:2009年2月20日、未選択回数:2回」を構成する請求情報(T104)が選択された請求情報として特定される。
CPU101は、特定した請求情報(T104)に基づいて今回取引実行要求信号(T105)を生成し、生成した今回取引実行要求信号(T105)をホストコンピュータ400へ通信部106を用いて送信する(ステップS114)。
図7は、今回取引実行要求信号(T105)のデータ構造を示す。図7に示す今回取引要求信号(T105)の口座ID(T1051)は、選択された請求情報として特定した請求情報(T104)の口座ID(T1041)に対応して付与される。図7に示す取引先口座ID(T1052)は、請求情報(T104)の口座ID(T1041)と取引先ID(T1042)に対応する取引先情報(T102)の取引先口座ID(T1024)に対応して付与される。図7に示す取引金額(T1053)は、請求情報(T104)の請求金額(T1043)に対応して付与される。図7に示す取引日時(T1054)は、ステップS114を実行する際の日時を示す。
上述の今回取引実行要求信号(T105)を受信したホストコンピュータ400は、取引実行要求信号(T105)の口座ID(T1051)で特定される口座から、取引先口座ID(T1052)で特定される口座へ、取引金額(T1053)に示される金額を振り込む処理を行なう。これにより、取引先への支払が完了する。なお、ホストコンピュータ400における振込み処理は、従来と同様であるため、詳細な説明を省略する。