以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
まず、本実施形態に係るシステムについて説明する。
[システムの構成]
図1は、本実施形態のシステムの構成例を示す構成図である。図示する本システムは、CSCF−A1(呼制御サーバ)と、複数のAS (AS#1 3a、AS#2 3b、AS#3 3c、AS#4 3d、およびAS#5 3e)と、端末装置4とを有する。なお、どのASであるかを特定しない場合は、「AS3」と記載する。AS#1 3a〜AS#5 3eの各々は、CSCF−A1に接続され、端末装置4もCSCF−A1に接続される。
CSCF−A1は、iFC処理を実装した加入者系のセッション制御機能を含むユーザ収容ノード(例えば、SIPサーバなど)である。詳細については後述する。
AS#1 3a〜AS#5 3eは、CSCF−A1から接続されて、各種のサービスを提供するアプリケーションサーバである。図1では、5つのAS3を示しているが、AS3の数はこれに限定されるものではない。
端末装置4は、通信サービスを利用するユーザが操作する端末装置である。なお、図1では、CSCF−A1に接続される端末装置4は1つであるが、端末装置4は複数存在してもよい。
次に、本システムの機能について説明する。
[システムの機能]
本システムでは、CSCF−A1は、端末装置4あるいは他のCSCF−A(不図示)から送信されてきた呼確立要求信号を受信すると、呼確立要求信号の内容と、当該CSCF−A1に設定されたiFC(接続条件)とを比較し、条件に合致するか否かによりAS接続処理の要否を判定(AS接続処理要否判定)する。AS接続処理要と判定された場合、CSCF−A1は、AS接続処理として、ODI記述部分にサービス状態情報を記述した呼確立要求信号を生成し、AS3に送信する。
なお、ODI記述部分は、非特許文献1および非特許文献2に規定されているように、SIPリクエスト信号のRouteヘッダフィールドに記載されるname-addr部のuserinfo部を指す。SIPリクエスト信号規定については非特許文献3に記載されている。
AS3は、受信した呼確立要求信号を当該AS3自身のサービス論理に従って加工することにより新たな呼確立要求信号を生成し、CSCF接続処理としてCSCF-A1に送信する。なお、新たな呼確立要求信号のODI記述部分には、AS3がCSCF−A1から受信した呼確立要求信号のODI記述部分と同一の値を透過的に設定する。
CSCF-A1は、CSCF接続処理によりAS3から送信された呼確立要求信号を受信すると、当該呼確立要求信号のODI記述部分に含まれるサービス状態情報を抽出し、抽出したサービス状態情報に基づいて引き続きAS接続処理要否判定を行う。
なお、サービス状態情報は、CSCF-A1がAS3からCSCF接続処理による呼確立要求信号を受信した後、正常に引き続きAS接続処理要否判定を実施するために必要となる情報である。本実施形態では、サービス状態情報として、「サービス対象ユーザの識別子」、「サービス対象ユーザのREGISTER状態」、「サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況」、「サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別」を用いるが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、これら以外の他の情報を用いたり、あるいは、これらの情報の一部を用いることとしてもよい。
「サービス対象ユーザの識別子」は、サービス対象ユーザを一意に識別可な識別子である。
「サービス対象ユーザのREGISTER状態」は、サービス対象ユーザのREGISTER状態がREGISTER未登録状態か、REGISTER登録済み状態かの種別である。AS接続処理後のAS3のサービス条件が、サービス対象ユーザがREGISTER未登録状態か、REGISTER登録済み状態かにより異なる場合があるため、本実施形態では、サービス状態情報の1つとする。
「サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況」は、サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況を示すものであり、本実施形態では判定済みiFCの識別子を用いる。AS3によるCSCF接続処理後、引き続きAS接続処理要否判定を行う際に、判定済みiFCの次優先度のiFCから判定を継続するために使用する。なお、次優先度のiFCから判定を継続可能であれば、判定済みiFCの識別子以外の情報を用いることとしてもよい。
「サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別」は、発CSCFにおいてAS接続処理要否判定を行っているのか、着CSCFにおいてAS接続処理要否判定を行っているのかの種別である。ASのサービス条件として、発CSCFにおけるAS接続処理の場合と、着CSCFにおけるAS接続処理の場合とは、サービス提供条件が異なる場合が有るため、本実施形態ではサービス状態情報の1つとする。
次に、本実施形態のCSCF−A1について説明する。
[CSCF−A1の構成]
図2は、図1に示すシステムにおけるCSCF−A1の構成例を示す図である。同図は、CSCF−A1の機能のうち、本発明に関係する部分のみを概念的に示している。
CSCF-A1は、サービス契約情報蓄積部11と、iFC蓄積部12と、SIP信号制御部13(接続手段)と、セッション制御部14(生成手段)と、AS接続処理要否判定部15(判定手段)と、ODI管理部16とを有する。
サービス契約情報蓄積部11は、ユーザ毎にユーザが契約したサービス契約情報を蓄積する。サービス契約情報蓄積部11には、iFC蓄積部12が蓄積する各iFCについて、各ユーザがどのサービスに契約しているか、すなわちユーザ毎にどのiFCを設定可能かの情報、および、各ユーザと当該ユーザに実際に設定されたiFCとの対応情報が、記憶されている。
iFC蓄積部12は、ユーザ毎に優先度が設定された、各サービスのiFC(接続条件)を蓄積する。
SIP信号制御部13は、呼確立要求信号(SIP信号のINVITE、MESSAGE等)や呼確立要求信号に対する応答信号(200 OK信号等)を受信し、これらの信号をセッション制御部14に送出するとともに、セッション制御部14から送出されるこれらの信号の処理結果にもとづき呼確立要求信号およびその応答信号を送信する。
セッション制御部 14は、SIP信号制御部 13から送出される信号を解析した結果と、必要に応じて当該セッション制御部 14が生成した情報あるいはODI管理部 16から取得した情報とに基づいて、サービス対象ユーザの識別子、発信元アドレス、着信先アドレス、サービス要求内容、サービス状態情報等をAS接続処理要否判定部 15に送出する。
また、セッション制御部 14は、AS接続処理要否判定部 15から送出される判定終了後の着信先アドレス、発信元アドレス、サービス要求内容、サービス状態情報等を受け取り、着信先アドレス、発信元アドレスおよびサービス要求内容等をSIP信号制御部 13に送出し、またODI管理部 16からODIを取得する。そして、セッション制御部 14は、ODIと、サービス状態情報とを1つにまとめ、ODI記述部分の値としてSIP信号制御部 13に送出する。サービス状態情報は、セッション制御部14が把握しているサービス対象ユーザの識別子と、セッション制御部14が把握しているサービス対象ユーザのREGISTER登録状態と、セッション制御部14が把握しているサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別と、AS接続処理要否判定部 15から受け取ったサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況である。
セッション制御部 14の動作条件は、SIP信号制御部 13から送出される呼確立要求信号のODI記述部分に情報が存在するか否かで異なる。詳細については後述する。
AS接続処理要否判定部 15は、セッション制御部14から送出されるサービス対象ユーザの識別子によりサービス契約情報蓄積部11からサービス対象ユーザのサービス契約情報を取得する。また、iFC蓄積部12からサービス対象ユーザに対応する、優先度が設定されたiFCを全て取得し、取得した各iFCにサービス契約情報を反映させる。そして、これらの各iFCと、呼確立要求信号に含まれる着信先アドレス、発信元アドレスあるいはサービス要求内容等とを比較し、合致するか否かを判定する。合致する場合は、接続先AS3情報をセッション制御部14に送出する。
また、AS接続処理要否判定部 15は、セッション制御部14から、AS3が提供するサービスに則った呼確立要求信号に含まれる着信先アドレス、発信元アドレスあるいはサービス要求内容等を受け取り、優先度の最も高いiFCから順番に比較し、合致するか否かを判定する。いずれのiFCも合致することなく、全てのiFCについて判定が終了すると、判定結果に従った着信先アドレス、発信元アドレスおよびサービス要求内容等をセッション制御部14に送出する。
ODI管理部 16は、セッション制御部14からの要求に応じて、ODIの生成、払い出し、払い出し済みODIの管理を行う。ODIは一意に識別可能である必要があるため、ODI管理部16により、払い出し済みのODIを重複して払い出すことのないように管理する必要がある。ただし、代替手段として、時刻情報等の一意に識別可能と想定される値を使用してODIを生成する場合は、ODI管理部16は、払い出し済みODIの管理を行なわず、ODIの生成、払い出しのみを行うこととしてもよい。
また、本実施形態の各AS3は、CSCF−A1から受信した呼確立要求信号に含まれるサービス状態情報を設定した呼確立要求信号を生成する生成部(不図示)と、呼確立要求信号を送信して前記呼制御サーバに接続する接続部(不図示)と、を有する。
なお、CSCF−A1およびAS3は、例えば、CPUと、メモリと、HDD等の外部記憶装置と、入力装置と、出力装置とを備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、各装置の各機能が実現される。例えば、CSCF−A1およびAS3の各機能は、CSCF−A1用のプログラムの場合はCSCF−A1のCPUが、そして、AS3用のプログラムの場合はAS3のCPUがそれぞれ実行することにより実現される。
また、CSCF−A1用のプログラムおよびAS3用のプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD−ROMなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。
次に、CSCF−A1の処理について説明する。
[CSCF−A1の処理]
図3および図4は、図2に示したCSCF−Aの処理を説明するためのシーケンス図である。
まず、CSCF−A1が、端末装置4から呼確立要求信号を受信した場合の処理について説明する。ここでは、図3および図4に記載した処理順番を示す番号に「1-」を付加して以下に記述する。
1-1 SIP信号制御部13およびセッション制御部14は、端末装置4、他のCSCF−A1またはAS3から送信されてきた呼確立要求信号を受信する。
1-2 セッション制御部14は、受信した呼確立要求信号(以下、「信号A」と称する)のODI記述部分の存在有無を判定する。ここではODI記述部分が存在しないものとする。なお、呼確立要求信号にODI記述部分が存在するのは、AS3からのCSCF接続処理による呼確立要求信号である。
1-3 セッション制御部14は、信号AのODI記述部分の有無に応じてサービス状態情報を生成する。ここでは、1-2で信号AにはODI記述部分が無いと判定されているため、サービス状態情報は、信号Aの内容およびセッション制御部14が保持しているサービス対象ユーザの状態に基づいて生成される。
具体的には、サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別は、信号Aが端末装置4からの呼確立要求信号であることから「発」となる。サービス対象ユーザの識別子は、発着種別が「発」となることから、信号Aの発信元アドレスで示されるユーザの識別子となる。サービス対象ユーザのREGISTER状態は、セッション制御部14が保持しているサービス対象ユーザの状態から取得される。サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況は、1-2で信号AにODI記述部分が存在しないと判定していることから、初期状態となる。
1-4 セッション制御部14は、AS接続処理要否判定部 15に対して、信号Aに記述されている発信元アドレス、着信先アドレス、サービス要求内容の他に、1-3で生成したサービス状態情報を送出し、AS接続処理判定を要求する。
1-5 AS接続処理判定要求を受けたAS接続処理要否判定部15は、サービス状態情報に含まれるサービス対象ユーザの識別子を用いて、サービス契約情報蓄積部11に対してサービス対象ユーザのサービス契約情報を要求する。
1-6 AS接続処理要否判定部15は、要求したサービス契約情報を取得する。
1-7 AS接続処理要否判定部15は、iFC蓄積部12に対して、1-6で取得したサービス契約情報を用いて、サービス対象ユーザについて判定対象となる全てのiFCを要求する。
1-8 AS接続処理要否判定部15は、要求したiFCを取得する。さらにAS接続処理要否判定部15は、取得した全iFCに設定されている優先度、および発着種別を確認する。
1-9 AS接続処理要否判定部15は、1-4で受け取ったサービス状態情報に含まれるサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別、およびサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況と、1-8で取得した各iFCの優先度とから、次判定対象iFCを選択する。この場合、1-4でAS接続処理要否判定部15に渡されたサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況は「初期状態」で、サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別が「発」となっている。このため、次判定対象iFCは、サービス対象ユーザが契約しているサービスに対応する、1-8で取得した全iFCのうち、最も優先度の高い発サービス用iFCが選択される。
1-10 AS接続処理要否判定部15は、iFC判定処理を行う。すなわち、1-9で選択した次判定対象iFCが、1-4で受信した発信元アドレス、着信先アドレス、サービス要求内容に合致するかを判定する。合致する場合は、1-2で信号AにはODI記述部分は存在しないと判定しているので、図4の1-11の処理に進む。合致しない場合は1-9に戻って当該判定済iFCの次の優先度のiFCを次判定対象iFCとして選択し、1-10でiFC判定処理を行う処理を繰り返す。全発サービス用iFCが合致せず、iFC判定処理が完了した場合は、図4の1-20の処理に進む。
<1-10のiFC判定処理でいずれかのiFCが合致した場合>
1-11 AS接続処理要否判定部15は、1-10で合致したiFCに記載された接続先AS情報を、セッション制御部14に送出する。
1-12 セッション制御部14は、1-2で信号AのODI記述部分は存在しないと判定しているため、後述の1-21で呼確立要求信号のODI記述部分を設定するために、ODI管理部 16に対してODIの払い出し要求を行う。
1-13 ODI管理部16は、ODIを一意に識別可能な値として生成し、生成したODIを払い出し済みODIとして記憶し、次回以降に重複した値のODIを生成しないようにする。
1-14 ODI管理部16は、生成されたODIをセッション制御部14に送出する。
1-15 セッション制御部14は、1-14で取得したODIとサービス状態情報とを、ODI記述部分に記載したAS接続処理用の呼確立要求信号を生成する。そして、呼確立要求信号と接続先AS情報とをSIP信号制御部13に送出する。
1-16 SIP信号制御部13は、接続先AS情報に従い、AS接続処理を実施する。
<1-10のiFC判定処理で全iFCが合致しない場合>
1-20 1-10で全iFCが合致せずにiFC判定処理が完了した場合、セッション制御部14は、AS接続処理要否判定部15から判定完了後の発信元アドレス、着信先アドレス、サービス要求内容等を受け取り、それらに従った呼確立要求信号を生成する。
1-21 SIP信号制御部13は、1-20で生成した呼確立要求信号に従い、呼接続処理を実施する。
以上の処理が、端末装置4から呼確立要求信号を受信した場合の処理である。
次に、図4の1-16で実施したAS3へのAS接続処理の後、AS3からCSCF接続処理として送信された呼確立要求信号をCSCF-A1が受信した場合の処理について、図3および図4を用いて説明する。ここでは、図3および図4に記載した処理順番を示す番号に「2-」を付加して以下に記述する。
2-1 SIP信号制御部13およびセッション制御部14は、AS3から送信されてきた呼確立要求信号を受信する。
2-2 セッション制御部14は、受信した呼確立要求信号(以下、「信号A」と称する)のODI記述部分の存在有無を判定する。ここではODI記述部分が存在するものとする。なお、AS3のCSCF接続処理により受信する呼確立要求信号には、ODI記述部分が存在する。
2-3 セッション制御部14は、信号AのODI記述部分の有無に応じてサービス状態情報を生成する。ここでは、2-2で信号AにはODI記述部分が有ると判定されているため、サービス状態情報は、信号Aの内容を用いて生成される。
具体的には、サービス状態情報のサービス対象ユーザの識別子、サービス対象ユーザのREGISTER状態、サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別、サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況は、信号AのODI記述部分にサービス状態情報として含まれる値となる。この場合、サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別は「発」となる。
2-4 セッション制御部14は、AS接続処理要否判定部15に対して、信号Aに記述されている発信元アドレス、着信先アドレス、サービス要求内容の他に、2-3で生成したサービス状態情報を送出し、AS接続処理判定を要求する。
2-5 2-4でAS接続処理判定要求を受けたAS接続処理要否判定部15は、サービス状態情報に含まれるサービス対象ユーザの識別子を用いて、サービス契約情報蓄積部11に対してサービス対象ユーザのサービス契約情報を要求する。
2-6 AS接続処理要否判定部15は、要求したサービス契約情報を取得する。
2-7 AS接続処理要否判定部15は、iFC蓄積部12に対して、2-6で取得したサービ契約情報を用いて、サービス対象ユーザについて判定対象となる全てのiFCを要求する。
2-8 AS接続処理要否判定部15は、要求したiFCを取得する。さらにAS接続処理要否判定部15は、取得した全iFCに設定されている優先度、および発着種別を確認する。
2-9 AS接続処理要否判定部15は、2-4で受け取ったサービス状態情報に含まれるサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別、およびサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況と、2-8で取得した各iFCの優先度とから、次判定対象iFCを選択する。この場合、2-4でAS接続処理要否判定部15に送出されたサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況とAS接続処理要否判定の発着種別とは信号Aから取得した値が渡されている。このため、次判定対象iFCは、サービス対象ユーザが契約しているサービスに対応する2-8で取得した全iFCのうち、上記発着種別に対応したiFCであって、上記進捗状況に記載されたiFCの優先度の次に最も高い優先度の発サービス用iFCが選択される。
2-10 AS接続処理要否判定部15は、iFC判定処理を行う。すなわち、2-9で選択した次判定対象iFCが、2-4で受信した発信元アドレス、着信先アドレス、サービス要求内容に合致するかを判定する。合致する場合は、2-2で信号AにはODI記述部分があると判定しているので図4の2-17の処理に進む。合致しない場合は2-9に戻って当該判定済みiFCの次の優先度のiFCを次判定対象iFCとして選択し、2-10でiFC判定処理を行う処理を繰り返す。全iFCが合致せず、iFC判定処理が完了した場合には、図4の2-20の処理に進む。
<2-10のiFC判定処理でいずれかのiFCが合致した場合>
2-17 AS接続処理要否判定部15は、2-10で合致したiFCに記載された接続先AS情報を、セッション制御部14に送出する。
2-18 セッション制御部14は、2-2で信号AのODI記述部分はあると判定しているため、信号Aに記載されているODI記述部分を、そのままODI記述部分に記載したAS接続処理用の呼確立要求信号を生成する。そして、呼確立要求信号と接続先AS情報とをSIP信号制御部13に送出する。
2-19 SIP信号制御部13は、接続先AS情報に従い、AS接続処理を実施する。
<2-10のiFC判定処理で全iFCが合致しない場合>
2-20 2-10で全iFCが合致せずにiFC判定処理が完了した場合、セッション制御部14は、AS接続処理要否判定部15から判定完了後の発信元アドレス、着信先アドレス、サービス要求内容等を受け取り、それらに従った呼確立要求信号を生成する。
2-21 SIP信号制御部13は、2-20で生成した呼確立要求信号に従い、呼接続処理を実施する。
以上の処理が、AS3からCSCF接続処理として呼確立要求信号を受信し、サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別が「発」の場合の処理である。
次に、上記2-21で実施した呼接続処理の結果、着信ユーザを収容した他のCSCF-A1が呼確立要求信号を受信した場合の処理を図3および図4を用いて説明する。ここでは、図3および図4に記載した処理順番を示す番号に「3-」を付加して以下に記述する。
3-1 着側CSCF-A1のSIP信号制御部13およびセッション制御部14は、発側CSCF-A1から送信されてきた呼確立要求信号を受信する。
3-2 セッション制御部14は、受信した呼確立要求信号(以下、「信号A」と称する)のODI記述部分の存在有無を判定する。ここではODI記述部分が存在しないものとする。なお、呼確立要求信号にODI記述部分が存在するのは、AS3からのCSCF接続処理で受信する呼確立要求信号であり、発側CSCF-A1から送信されてくる呼確立要求信号にはODI記述部分は存在しない。
3-3 セッション制御部14は、信号AのODI記述部分の有無に応じてサービス状態情報を生成する。ここでは、3-2で信号AにはODI記述部分が無いと判定されているため、サービス状態情報は、信号Aの内容、およびセッション制御部14が保持しているサービス対象ユーザの状態により生成される。
具体的には、サービス状態情報のサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別は、信号Aが発側CSFC-A1からの呼確立要求信号であることから「着」となる。サービス対象ユーザの識別子は、発着種別が「着」となることから、信号Aの着信先アドレスで示されるユーザの識別子となる。サービス対象ユーザのREGISTER状態は、セッション制御部14が保持しているサービス対象ユーザの状態より取得される。サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況は、3-2にて信号AにODI記述部分が存在しないと判定していることから、「初期状態」となる。
3-4 セッション制御部14は、AS接続処理要否判定部 15に対して、信号Aに記述されている発信元アドレス、着信先アドレス、サービス要求内容の他に、3-3で生成したサービス状態情報を送出し、AS接続処理判定を要求する。
3-5 3-4でAS接続処理判定要求を受け取ったAS接続処理要否判定部15は、サービス状態情報に含まれるサービス対象ユーザの識別子を用いて、サービス契約情報蓄積部11に対してサービス対象ユーザのサービス契約情報を要求する。
3-6 AS接続処理要否判定部15は、要求したサービス契約情報を取得する。
3-7 AS接続処理要否判定部15は、iFC蓄積部12に対して3-6で取得したサービス契約情報を用いて、サービス対象ユーザについて判定対象となる全てのiFCを要求する。
3-8 AS接続処理要否判定部15は、要求したiFCを取得する。さらに、AS接続処理要否判定部15は、取得した全iFCに設定されている優先度、および発着種別を確認する。
3-9 AS接続処理要否判定部15は、3-4で受け取ったサービス状態情報に含まれるサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別、およびサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況と、3-8で取得した各iFCの優先度とから、次判定対象iFCを選択する。この場合、3-4でAS接続処理要否判定部15に渡されたサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況は「初期状態」で、サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別が「着」となっている。このため、次判定対象iFCは、サービス対象ユーザが契約しているサービスに対応する、3-8で取得した全iFCのうち、最も優先度の高い着サービス用iFCが選択される。
3-10 AS接続処理要否判定部15は、iFC判定処理を行う。すなわち、3-9で選択した次判定対象iFCが、3-4で受信した発信元アドレス、着信先アドレス、サービス要求内容に合致するかを判定する。合致する場合は、3-2で信号AにはODI記述部分は存在しないと判定しているので、図4の3-11の処理に進む。合致しない場合は3-9に戻って当該判定済iFCの次の優先度のiFCを次判定対象iFCとして選択し、3-10でiFC判定処理を行う処理を繰り返す。全着サービス用iFCが合致せず、iFC判定処理が完了した場合には、図4の3-20の処理に進む。
<3-10のiFC判定処理でいずれかのiFCが合致した場合>
3-11 3-10で合致したiFCに記載された接続先AS情報を、AS接続処理要否判定部15からセッション制御部14に送出する。
3-12 セッション制御部14は、3-2で信号AのODI記述部分は存在しないと判定しているため、後述の3-21で呼確立要求信号のODI記述部分を設定するために、ODI管理部 16に対してODIの払い出し要求を行う。
3-13 ODI管理部16は、ODIを一意に識別可能な値として生成し、生成したODIを払い出し済みODIとして記憶し、次回以降に重複した値のODIを生成しないようにする。
3-14 ODI管理部16は、生成したODIをセッション制御部14に送出する。
3-15 セッション制御部14は、3-14で取得したODIとサービス状態情報とを、ODI記述部分に記載したAS接続処理用の呼確立要求信号を生成する。そして、呼確立要求信号と接続先AS情報とをSIP信号制御部13に送出する。
3-16 SIP信号制御部13は、接続先AS情報に従い、AS接続処理を実施する。
<3-10のiFC判定処理で全iFCが合致しない場合>
3-20 3-10で全iFCが合致せずにiFC判定処理が完了した場合、セッション制御部14は、AS接続処理要否判定部15から判定完了後の発信元アドレス、着信先アドレス、サービス要求内容等を受け取り、それらに従った呼確立要求信号を生成する。
3-21 SIP信号制御部13は、3-20で生成した呼確立要求信号に従い、呼接続処理を実施する。
以上の処理が、発CSCF-A1から呼確立要求信号を受信した場合の処理である。
次に、図4の上記3-16で実施した着サービス用iFCのAS3へのAS接続処理の後、AS3からCSCF接続処理として送信された呼確立要求信号を着側CSCF-A1が受信した場合の処理について、図3および図4を用いて説明する。ここでは、図3および図4に記載した処理順番を示す番号の先頭に「4-」を付加して以下に記述する。
4-1 着側CSCF-A1のSIP信号制御部13およびセッション制御部14は、AS3から送信されてきた呼確立要求信号を受信する。
4-2 セッション制御部14は、受信した呼確立要求信号(以下、「信号A」と称する)のODI記述部分の存在有無を判定する。ここでは、ODI記述部分が存在するものとする。なお、AS3からCSCF接続処理で受信する呼確立要求信号には、ODI記述部分が存在する。
4-3 セッション制御部14は、信号AのODI記述部分有無に応じてサービス状態情報を生成する。この場合、4-2で信号AにはODI記述部分があると判定されているため、サービス状態情報は信号Aの内容により生成される。
具体的には、サービス状態情報のサービス対象ユーザの識別子、サービス対象ユーザのREGISTER状態、サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別、サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況は、信号AのODI記述部分にサービス状態情報として含まれる値となる。この場合、サービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別は「着」となる。
4-4 セッション制御部14は、AS接続処理要否判定部 15に対して、信号Aに記述されている発信元アドレス、着信先アドレス、サービス要求内容の他に、4-3で生成したサービス状態情報を送出し、AS接続処理判定を要求する。
4-5 4-4でAS接続処理判定要求を受けたAS接続処理要否判定部15は、サービス状態情報に含まれるサービス対象ユーザの識別子を用いて、サービス契約情報蓄積部11に対してサービス対象ユーザのサービス契約情報を要求する。
4-6 AS接続処理要否判定部15は、要求したサービス契約情報を取得する。
4-7 AS接続処理要否判定部15は、iFC蓄積部12に対して4-6で取得したサービス契約情報を用いて、サービス対象ユーザについて判定対象となる全てのiFCを要求する。
4-8 AS接続処理要否判定部15は、要求したiFCを取得する。さらにAS接続処理要否判定部15は、取得した全iFCに設定されている優先度、および発着種別を確認する。
4-9 AS接続処理要否判定部15は、4-4で取得したサービス状態情報に含まれるサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の発着種別、およびサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況と、4-8で取得した各iFCの優先度とから、次判定対象iFCを選択する。この場合、4-4でAS接続処理要否判定部15に送出されたサービス対象ユーザのAS接続処理要否判定の進捗状況とAS接続処理要否判定の発着種別とは信号Aから取得した値が渡されている。このため、次判定対象iFCは、サービス対象ユーザが契約しているサービスに対応する4-8で取得した全iFCのうち、上記発着種別に対応したiFCであって、上記進捗状況に記載されたiFCの優先度の次に最も優先度の高い着サービス用iFCが選択される。
4-10 AS接続処理要否判定部15は、iFC判定処理を行う。すなわち、4-9で選択した次判定対象iFCに、4-4で受信した発信元アドレス、着信先アドレス、サービス要求内容に合致するかを判定する。合致する場合は、4-2で信号AにはODI記述部分があると判定しているので図4の4-17の処理に進む。合致しない場合は4-9に戻って判定済みiFCの次の優先度のiFCを次判定対象iFCとして選択し、4-10でiFC判定処理を行う処理を繰り返す。全iFCが合致せず、iFC判定処理が完了した場合には、図4の4-20の処理に進む。
<4-10のiFC判定処理でいずれかのiFCが合致した場合>
4-17 AS接続処理要否判定部15は、4-10で合致したiFCに記載された接続先AS情報を、セッション制御部14に送出する。
4-18 セッション制御部14は、4-2で信号AのODI記述部分はあると判定しているため、信号Aに記載されていたODI記述部分を、そのままODI記述部分に記載したAS接続処理要の呼確立要求信号を生成する。そして、呼確立要求信号と接続先AS情報とをSIP信号制御部13に送出する。
4-19 SIP信号制御部13は、接続先AS情報に従い、AS接続処理を実施する。
<4-10のiFC判定処理で全iFCが合致しない場合>
4-20 4-10で全iFCが合致せずにiFC判定処理が完了した場合、セッション制御部14は、AS接続処理要否判定部15から判定完了後の発信元アドレス、着信先アドレス、サービス要求内容等を受け取り、それらに従った呼確立要求信号を生成する。
4-21 SIP信号制御部13は、4-20で生成した呼確立要求信号に従い、呼接続処理を実施する。
以上説明した本実施形態では、CSCFはAS接続処理を行う際に、呼確立要求信号にサービス状態情報を含めてASに送信し、ASは受信した呼確立要求信号に含まれるサービス状態情報をCSCF接続処理を行う際の呼確立要求信号に透過的に設定してCSCFに送信し、CSCFはASから受信した呼確立要求信号に含まれるサービス状態情報を抽出し解析することにより当該呼のサービス状態情報を取得できるようにする。
これにより、CSCF接続処理によりASから呼確立要求信号を受信したCSCFが、正常に処理を継続するのに必要なサービス状態情報は、受信した呼確立要求信号に含まれているため、サービス状態情報を記録する記憶領域を削減することができる。すなわち、従来技術でサービス状態情報を記録するために必要とされていた、CSCFの記憶領域を削減することができる。これにより、ODIが同時に多数払いだされるような利用形態のCSCFであっても、より少ない記憶容量(ハードウェア)で、CSCFとAS間の呼確立要求信号のISCインタフェースを実現することができる。また、サービス状態情報用の記憶容量が削減されることから、削減された分をユーザ収容データ用の記憶領域として用いることができる。
また、本実施形態では、サービス状態情報は呼確立要求信号に含まれて送受信されるため、サービス状態情報の取得のために記憶領域へアクセスする回数を削減することができる。すなわち、サービス状態情報の取得処理がCSCFの性能ボトルネックとなる事態を回避することができる。
また、本実施形態では、ASからCSCFが受信した呼確立要求信号の内容とCSCFが保持するサービス状態情報の突合処理が不要となる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、呼確立要求信号中にサービス状態情報が含まれる箇所は、呼確立要求信号のODI記述部分であるものとして説明したが、呼確立要求信号中の他の部分にサービス状態情報を含めることとしてもよい。
また、上記実施形態では、サービス状態情報の全部を、呼確立要求信号中に含めて送信することとしたが、サービス状態情報の一部を呼確立要求信号中に含めて送信することとしてもよい。この場合、呼確立要求信号中に含めないサービス状態情報については従来技術と同様にCSCFの記憶領域へ記録を行い、呼確立要求信号中に含めたサービス状態情報については記憶領域への記録を行わないことで、サービス状態情報の記録に必要な記憶領域を低減することができる。
また、本発明は、以下に示す変形例の1つあるいは複数を適用することとしてもよい。
(1)図4の15あるいは18において、呼確立要求信号のODI記述部分を生成する際、ODIとサービス状態情報とを用いてODI記述部分を生成するのではなく、サービス状態情報のみを用いてODI記述部分を生成することとしてもよい。
(2)上記(1)に併せて、ODI管理部 16を使用せず、図4の12〜14のODIの払い出し処理・取得を行わないこととしてもよい。
(3)図4の15あるいは18において、呼確立要求信号のODI記述部分にサービス状態情報を含める際、サービス状態情報そのものではなく、予め定めたサービス状態情報相当の符号を含めることとしてもよい。符号は、図3の3でサービス状態情報をして復元される。