JP5268472B2 - 光増幅装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光伝送装置や光ファイバレーザ装置に用いられる光増幅装置に関し、さらに詳しくは、発熱した増幅用光ファイバを効率的に冷却することができる機能を備えた光増幅装置に関するものである。
近年、光ファイバを用いて光信号を直接増幅する技術が、光伝送装置や光ファイバレーザ装置などで盛んに用いられている。
この光増幅装置は、光信号を増幅するためにエルビウム(Er)やイッテルビウム(Yb)をドープした増幅用光ファイバ(ダブルクラッドファイバなど)に対して、光信号とともに増幅用のポンプ光を入力し、光信号を直接増幅することができる装置である。
しかしながら、光増幅装置では、光信号の増幅時に増幅用光ファイバ内で増幅に使用されなかったポンプ光の一部が熱となり、増幅用光ファイバの温度を上昇させるという問題がある。増幅用光ファイバが高温となった場合、増幅用光ファイバの周囲を覆っている樹脂被覆が劣化し、光増幅効果に影響を及ぼすため、増幅用光ファイバを冷却する技術が必要となる。
光増幅に用いられる増幅用光ファイバは、希土類元素がドープされたコアと、コアの周囲を覆う第1のクラッドと、第1のクラッドの周囲を覆う第2のクラッドとを備えたダブルクラッドファイバである。このダブルクラッドファイバでは、信号光はコア内を伝播し、励起光は第1のクラッド内を伝播する。このダブルクラッドファイバは、通常の通信用光ファイバ(外径125μm)よりも外径が大きくなるため、ダブルクラッドファイバを同心円状に巻き回して容器の中などに収納する場合、ファイバの曲率を小さくし過ぎると、曲げ応力によりファイバが破断するおそれがある。したがって、ダブルクラッドファイバを巻き回して収納する場合、その曲率を大きめにする必要がある。また、増幅用光ファイバの曲率が小さくなるにしたがって、増幅用光ファイバの伝送損失は大きくなるため、曲率を小さくしてダブルクラッドファイバを巻き回すことはできない。
そのため、通常、ダブルクラッドファイバは直径が100mm以上となるように巻き回されて収納される。これにより、増幅用光ファイバの伝送損失の増加という問題は解決されるものの、依然として増幅用光ファイバ自体の発熱による樹脂被覆の劣化という問題は解決されない。そこで、従来、ヒートシンクに設けられた溝に増幅用光ファイバを収納、固定して、ヒートシンクを用いて増幅用光ファイバを冷却することにより、樹脂被覆の劣化を防止した光増幅装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−114769号公報
ヒートシンクを用いた増幅用光ファイバの冷却構造にあっても、ダブルクラッドファイバは直径が100mm以上となるように巻き回されて収納されるため、ヒートシンクの大きさは100mm角以上必要になる。さらに、このヒートシンク全体を均一に冷却するためには、外径100mm以上の冷却ファンを用いる必要がある。したがって、ヒートシンクと冷却ファンを収納するために、光増幅装置内部には大きなスペースが必要となり、装置全体が大型化するという問題があった。
また、今後、高出力の光ファイバレーザ装置や光増幅伝送装置が要求されると思われるが、その場合、増幅用光ファイバに入力されるポンプ光のパワーが増加するとともに、増幅用光ファイバの発熱量も増加するため、増幅用光ファイバを冷却する技術が益々重要となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、増幅用光ファイバの冷却効率に優れ、かつ、小型化が可能な光増幅装置を提供することを目的とする。
本発明の光増幅装置は、略円形に湾曲した形状をなし、作動流体を内部に有するヒートパイプと、該ヒートパイプの湾曲形状に略等しい形状をなして同心円状に巻き回され、かつ、前記ヒートパイプに接するように配置された増幅用光ファイバと、前記ヒートパイプの一端部に設けられた放熱部と、を備え、前記増幅用光ファイバの光出力端部が前記ヒートパイプの放熱部側に配置されたことを特徴とする。
本発明の光増幅装置は、螺旋形状をなし、作動流体を内部に有するヒートパイプと、該ヒートパイプの螺旋形状に沿って配置されるとともに、該ヒートパイプに接するように配置された増幅用光ファイバと、前記ヒートパイプの一端部に設けられた放熱部と、を備え、前記増幅用光ファイバの光出力端部が前記ヒートパイプの放熱部側に配置されたことを特徴とする
記増幅用光ファイバの光入力端部が、前記増幅用光ファイバの光出力端部よりも重力方向において下側に配置されたことが好ましい。
前記ヒートパイプの表面に、その軸方向に沿って延びる溝状の凹部が設けられ、該凹部に前記増幅用光ファイバが収容されたことが好ましい。
前記増幅用光ファイバを囲むように複数本のヒートパイプが配置されたことが好ましい。
前記ヒートパイプの軸方向に沿って、その中央に中空部が設けられ、該中空部内に前記増幅用光ファイバが挿通されたことが好ましい。
本発明の光増幅装置は、略円形に湾曲した形状をなすヒートパイプと、該ヒートパイプの湾曲形状に略等しい形状をなして同心円状に巻き回され、かつ、前記ヒートパイプに接するように配置された増幅用光ファイバと、前記ヒートパイプの一端部に設けられた放熱部と、を備えたので、増幅用のポンプ光を入力することによって発生した増幅用光ファイバの熱を、ヒートパイプに吸収させて、効率的に増幅用光ファイバを冷却することができるから、増幅用光ファイバの樹脂被覆の劣化による光増幅効果の低下を防止できる。また、ヒートパイプの冷却は、その一端部に設けられた放熱部を冷却すればよいので、大型の冷却ファンが不要になり、冷却に要するエネルギーを従来よりも低減することができるとともに、装置の小型化を図ることができる。さらに、略円形に湾曲した形状をなすヒートパイプのみを冷却すればよいので、円形の中心部の空間は他の部品の実装に利用でき、この空間を有効に活用することができる。
本発明の光増幅装置は、螺旋形状をなすヒートパイプと、該ヒートパイプの螺旋形状に沿って配置されるとともに、該ヒートパイプに接するように配置された増幅用光ファイバと、前記ヒートパイプの一端部に設けられた放熱部と、を備えたので、増幅用のポンプ光を入力することによって発生した増幅用光ファイバの熱を、その全長に渡ってヒートパイプに吸収させて、より効率的に増幅用光ファイバを冷却することができるから、増幅用光ファイバの樹脂被覆の劣化による光増幅効果の低下を防止できる。また、ヒートパイプの冷却は、その一端部に設けられた放熱部を冷却すればよいので、大型の冷却ファンが不要になり、冷却に要するエネルギーを従来よりも低減することができるとともに、装置の小型化を図ることができる。さらに、螺旋形状をなすヒートパイプのみを冷却すればよいので、螺旋形の中心部の空間は他の部品の実装に利用でき、この空間を有効に活用することができる。
本発明の光増幅装置の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
(1)第一の実施形態
図1は、本発明の光増幅装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
この実施形態の光増幅装置10は、ヒートパイプ11と、このヒートパイプ11に接するように設けられた増幅用光ファイバ12と、ヒートパイプ11の一方の端部11aに設けられた放熱部13と、放熱部13に対向するように配置された冷却ファン14とから概略構成されている。
ヒートパイプ11は、略円形状に湾曲した湾曲部と、この湾曲部に続く直線状の直管部とから構成されており、その円形の直径が100mm程度となっている。
また、増幅用光ファイバ12は、ヒートパイプ11の湾曲形状に略等しい形状をなして同心円状に巻き回されている。すなわち、増幅用光ファイバ12は、その直径が100mm程度となるように、同心円状に巻き回されている。
また、ヒートパイプ11に増幅用光ファイバ12が接するように配置されているとは、言い換えれば、ヒートパイプ11の表面に、巻き回された増幅用光ファイバ12が接するように配置されていることを言う。すなわち、巻き回されて束ねられ、その束ねられた状態の増幅用光ファイバ12がヒートパイプ11の表面に接するように配置されている。
さらに、増幅用光ファイバ12の光出力端部12aが、放熱部13が設けられたヒートパイプ11の一方の端部11a側に配置され、一方、増幅用光ファイバ12の光入力端部12bが、ヒートパイプ11の他方の端部11b側に配置されている。
光増幅装置10では、増幅用光ファイバ12の光入力端部12bの温度が最も高くなり、光出力端部12aに向かって徐々に温度が低くなる。このような温度の低下は、増幅用光ファイバ12に、その光入力端から入力された増幅用のポンプ光が、増幅用光ファイバ12内を伝播するうちに、伝送損失によって減衰していくことに起因する。また、ヒートパイプは、その原理から長手方向に温度分布がある場所に用いられる。言い換えれば、ヒートパイプは、その一端と他端との間で温度差がないと機能しない。そこで、増幅用光ファイバ12の光出力端部12aを、放熱部13が設けられたヒートパイプ11の一方の端部11a側に配置し、一方、増幅用光ファイバ12の光入力端部12bを、ヒートパイプ11の他方の端部11b側に配置して、ヒートパイプ11を効率よく動作させて、増幅用光ファイバ12を冷却する。
ヒートパイプ11は、周知のものであって、金属管などのからなる容器と、毛細管作用を有するウイックと、容器内に封入された水などの凝縮性の液体からなる作動流体とから概略構成されている。
また、この例では、ヒートパイプ11は、その放熱部13が設けられた一方の端部11aが冷却部となり、他方の端部11bが加熱部となっている。
このヒートパイプ11では、加熱部側にて増幅用光ファイバ12の熱が作動流体に伝わると、作動流体が蒸発して、この作動流体の蒸気が低温・低圧の冷却部に流動し、冷却部にて、この蒸気が放熱して凝縮する。ここで、蒸発潜熱の受け渡しが行われ、凝縮した作動流体は、容器内のウイックの毛細管作用により加熱部に還流する。この作動流体による熱の受け渡しが繰り返されることにより、ヒートパイプ11の加熱部から冷却部への熱の伝達が行われ、これに伴って、増幅用光ファイバ12の冷却が行われる。
増幅用光ファイバ12としては、希土類元素がドープされたコアと、コアの周囲を覆う第1のクラッドと、第1のクラッドの周囲を覆う第2のクラッドとを備えたダブルクラッドファイバが挙げられる。
放熱部13としては、特に限定されないが、ヒートパイプ11の冷却効率を上げるためには、その表面積が大きいものが好ましく、例えば、複数の矩形状の放熱フィンが所定の間隔をおいて配置された構成のものが挙げられる。
また、放熱部13の材料としては、アルミニウムなどの金属が用いられる。
冷却ファン14としては、特に限定されないが、放熱部13の大きさに応じて、その大きさが決定され、冷却ファン14によって発生した空気の流れが放熱部13全体に当たるようになっている。
また、光増幅装置10では、増幅用光ファイバ12が、熱伝導率の高い樹脂を介して、ヒートパイプ11に接するように配置されていることが好ましい。
増幅用光ファイバ12がヒートパイプ11に接するように配置された状態を維持するためには、接着剤などの樹脂により、増幅用光ファイバ12をヒートパイプ11の表面に固定することが好ましいが、ヒートパイプ11による増幅用光ファイバ12の冷却効率を上げるためには、熱伝導率の高い樹脂を用いることが好ましい。
また、増幅用光ファイバ12が、ヤング率の低い樹脂を介して、ヒートパイプ11に接するように配置されていることが好ましい。
ヒートパイプ11と増幅用光ファイバ12とでは、熱膨張係数が異なるので、ヤング率の高い硬い樹脂を用いて、増幅用光ファイバ12をヒートパイプ11の表面に固定すると、ヒートパイプ11の熱膨張に伴って増幅用光ファイバ12が引っ張られて破断するおそれがある。したがって、増幅用光ファイバ12の破断を防止するためには、ヤング率の低い軟らかい樹脂を用いることが好ましい。
このような熱伝導率が高く、しかも、ヤング率の低い樹脂としては、例えば、アルミニウム粉末などの金属粉末を多量に充填したゴム変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
また、増幅用光ファイバ12が、その周囲を覆っている樹脂被覆よりも屈折率が低い樹脂を介して、ヒートパイプ11に接するように配置されていることが好ましい。
ダブルクラッドファイバは、光ファイバの周囲を覆っている樹脂被覆の内側近傍にも増幅用のポンプ光が伝播しているため、樹脂被覆よりも屈折率が高い樹脂を用いると、増幅用のポンプ光が光ファイバの外に漏れて増幅に使用できなくなる。したがって、増幅用光ファイバ12から増幅用のポンプ光が漏れないようにするためには、増幅用光ファイバ12の周囲を覆っている樹脂被覆よりも屈折率が低い樹脂を用いることが好ましい。
さらに、ヒートパイプ11の表面は、増幅用光ファイバ12を伝播する増幅用のポンプ光と同じ波長域の光を吸収する色相をなしていることが好ましい。
上述のように、増幅用光ファイバ12を、その周囲を覆っている樹脂被覆よりも屈折率が低い樹脂を介して、ヒートパイプ11に接するように配置すると、増幅用光ファイバ12の不純物や微少な曲がりによって、増幅用光ファイバ12に入力された増幅用のポンプ光の一部が、増幅用光ファイバ12の外に漏れる。この増幅用のポンプ光は、増幅装置10内の他の部品に当たって熱に変化し、その部品の温度を上げて、その部品を故障させる危険がある。すなわち、増幅用光ファイバ12の発熱は、増幅用光ファイバ12自体の発熱と、増幅用光ファイバ12から漏れた光が他の部品に吸収されて熱に変わることに起因する。したがって、この増幅用光ファイバ12から漏れた光をヒートパイプ11に吸収させ、他の部品における発熱を抑えるためには、ヒートパイプ11の表面を、増幅用光ファイバ12を伝播する増幅用のポンプ光(通常は、赤外線)と同じ波長域の光を吸収する色相とすることが好ましい。
この実施形態の光増幅装置10によれば、略円形に湾曲した形状をなすヒートパイプ11と、このヒートパイプ11の湾曲形状に略等しい形状をなして同心円状に巻き回され、かつ、ヒートパイプ11に接するように配置された増幅用光ファイバ12と、ヒートパイプ11の一方の端部11aに設けられた放熱部13と、を備えたので、増幅用のポンプ光を入力することによって発生した増幅用光ファイバ12の熱を、ヒートパイプ11に吸収させて、効率的に増幅用光ファイバ12を冷却することができるから、増幅用光ファイバ12の樹脂被覆の劣化による光増幅効果の低下を防止できる。また、ヒートパイプ11の冷却は、その一方の端部11aに設けられた放熱部13を冷却すればよいので、大型の冷却ファンが不要になり、冷却に要するエネルギーを従来よりも低減することができるとともに、装置の小型化を図ることができる。さらに、ヒートパイプ11のみを冷却すればよいので、その円形の中心部の空間は他の部品の実装に利用でき、この空間を有効に活用することができる。
(2)第二の実施形態
図2は、本発明の光増幅装置の第二の実施形態を示す概略構成図である。
この実施形態の光増幅装置20は、ヒートパイプ21と、このヒートパイプ21に接するように設けられた増幅用光ファイバ22と、ヒートパイプ21の一方の端部21aに設けられた放熱部23と、放熱部23に対向するように配置された冷却ファン24とから概略構成されている。
光増幅装置20では、ヒートパイプ21が、螺旋形状をなしており、その螺旋形の円の直径が100mm程度となっている。
また、増幅用光ファイバ22は、ヒートパイプ21の螺旋形状に沿って、ヒートパイプ21に接するように配置されている。すなわち、増幅用光ファイバ22は、ヒートパイプ21の表面にて、その直径が100mm程度となるように、同心円状に巻き回されている。
また、ヒートパイプ21に増幅用光ファイバ22が接するように配置されているとは、言い換えれば、増幅用光ファイバ22同士が重なることなく、ヒートパイプ21の螺旋形状に沿って配置されるとともに、ヒートパイプ21の表面に接して配置されていることを言う。
さらに、増幅用光ファイバ22の光出力端部22aが、放熱部23が設けられたヒートパイプ21の一方の端部21a側に配置され、一方、増幅用光ファイバ22の光入力端部22bが、ヒートパイプ21の他方の端部21b側に配置されている。
この光増幅装置20においても、増幅用光ファイバ22の光出力端部22aを、放熱部23が設けられたヒートパイプ21の一方の端部21a側に配置し、一方、増幅用光ファイバ22の光入力端部22bを、ヒートパイプ21の他方の端部21b側に配置して、ヒートパイプ21を効率よく動作させて、増幅用光ファイバ22を冷却している。
また、この例では、ヒートパイプ21は、その放熱部23が設けられた一方の端部21aが冷却部となり、他方の端部21bが加熱部となっている。
さらに、光増幅装置20では、増幅用光ファイバ22の光入力端部22bが、増幅用光ファイバ22の光出力端部22aよりも重力方向において下側に配置されることが好ましい。
ヒートパイプ21(特に内部にウイックが設けられていないもの)では、温度の高い部分(他方の端部21b)を重力方向(図2の矢印方向)に対して下側に配置し、温度の低い部分(一方の端部21a)を重力方向に対して上側に配置した方が、熱伝導効果が高くなる。なぜならば、ヒートパイプ21内の作動流体が冷却部(一方の端部21a)で冷却されて液化した際、その重量により、作動流体が加熱部(他方の端部21b)に戻りやすくなるからである。したがって、増幅用光ファイバ22の光入力端部22bを、増幅用光ファイバ22の光出力端部22aよりも重力方向において下側に配置することにより、増幅用光ファイバ22を効率的に冷却することができる。
ヒートパイプ21、増幅用光ファイバ22、放熱部23、冷却ファン24としては、先の実施形態と同様のものが用いられる。
また、光増幅装置20では、増幅用光ファイバ22が、熱伝導率の高い樹脂を介して、ヒートパイプ21に接するように配置されていることが好ましい。
また、増幅用光ファイバ22が、ヤング率の低い樹脂を介して、ヒートパイプ21に接するように配置されていることが好ましい。
また、増幅用光ファイバ22が、その周囲を覆っている樹脂被覆よりも屈折率が低い樹脂を介して、ヒートパイプ21に接するように配置されていることが好ましい。
さらに、ヒートパイプ21の表面は、増幅用光ファイバ22を伝播する増幅用のポンプ光と同じ波長域の光を吸収する色相をなしていることが好ましい。
また、図3に示すように、ヒートパイプ21の表面に、その軸方向(長手方向)に沿って延びる、溝状の凹部21cを設け、この凹部21cに増幅用光ファイバ22を収容してもよい。
ヒートパイプ21は、円柱状をなしており、その表面に増幅用光ファイバ22を沿わせた状態で固定することが難しい。したがって、ヒートパイプ21の表面に、その軸方向に沿って、凹部21cを設け、この凹部21cに増幅用光ファイバ22を収容することにより、ヒートパイプ21の表面に増幅用光ファイバ22を沿わせた状態で容易に固定することができる。その結果、増幅用光ファイバ22の冷却効率が向上する。
なお、このようにヒートパイプの表面に、その軸方向に沿って延びる、溝状の凹部を設け、この凹部に増幅用光ファイバを収容する構成は、上述の第一の実施形態にも適用するこができる。
また、図4に示すように、外径の大きいヒートパイプ21を作製し、その外周面(側面)21dに、増幅用光ファイバ22を螺旋状に巻き付けてもよい。この場合、ヒートパイプ21の外径は、巻き付けた増幅用光ファイバ22の伝送損失が増加しない大きさであることが好ましく、より好ましくは100mm程度である。
このようにすれば、ヒートパイプ21の表面に増幅用光ファイバ22を沿わせた状態で容易に固定することができ、増幅用光ファイバ22の冷却効率を向上することができるとともに、増幅用光ファイバ22に対して、ヒートパイプ21の長さを短くすることができる。
また、図5(a)に示すように、1本の増幅用光ファイバ22を囲むように3本のヒートパイプ21を配置してもよく、または、図5(b)に示すように、1本の増幅用光ファイバ22を囲むように4本のヒートパイプ21を配置してもよい。
図2に示したように、1本のヒートパイプ21に、1本の増幅用光ファイバ22を沿わせるように配置すると、ヒートパイプ21では、増幅用光ファイバ22と接している部分にしか熱が伝わらないため、熱吸収効果が低い。したがって、1本の増幅用光ファイバ22を囲むように複数本のヒートパイプ21を配置することにより、ヒートパイプ21による熱吸収効果を高めて、増幅用光ファイバ22の冷却効率を向上することができる。
さらに、図6に示すように、ヒートパイプ21の軸方向(長手方向)に沿って、その中央に中空部21dを設け、この中空部21d内に増幅用光ファイバ22を挿通してもよい。
このようにすれば、ヒートパイプ21の中空部21d内に増幅用光ファイバ22を沿わせた状態で容易に固定することができるとともに、増幅用光ファイバ22の冷却効率を向上することができる。
この実施形態の光増幅装置20によれば、螺旋形状をなすヒートパイプ21と、このヒートパイプ21の螺旋形状に沿って配置されるとともに、ヒートパイプ21に接するように配置された増幅用光ファイバ22と、ヒートパイプ21の一方の端部21aに設けられた放熱部23と、を備えたので、増幅用のポンプ光を入力することによって発生した増幅用光ファイバ22の熱を、その全長に渡ってヒートパイプ21に吸収させて、第一の実施形態の光増幅装置10よりも効率的に増幅用光ファイバ22を冷却することができるから、増幅用光ファイバ22の樹脂被覆の劣化による光増幅効果の低下を防止できる。また、ヒートパイプ21の冷却は、その一方の端部21aに設けられた放熱部23を冷却すればよいので、大型の冷却ファンが不要になり、冷却に要するエネルギーを従来よりも低減することができるとともに、装置の小型化を図ることができる。さらに、ヒートパイプ21のみを冷却すればよいので、ヒートパイプ21の螺旋形の中心部の空間は他の部品の実装に利用でき、この空間を有効に活用することができる。
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
「実験例1」
長さ1mのダブルクラッドファイバを、直径100mmで同心円状に巻き回した。
次いで、この巻き回されたダブルクラッドファイバに、50Wの増幅用のポンプ光を入力し、この時のダブルクラッドファイバの温度を測定したところ、約120℃であった。
この状態のダブルクラッドファイバを、熱伝導性の樹脂を介して、厚み40mm×縦120mm×横120mmのヒートシンクに固定した。
次いで、このヒートシンクを、厚みが32mm、外径が120mmの冷却ファンにより、風量2.5m/minで冷却し、この時のダブルクラッドファイバの温度を測定したところ、約80℃であった。
また、サーモビュアにより、ダブルクラッドファイバの温度を測定したところ、最も温度の低い光出力端部近傍におけるダブルクラッドファイバの温度は約50℃であり、最も温度の高い光入力端部近傍におけるダブルクラッドファイバの温度は約80℃であり、光出力端部と光入力端部の温度差が約30℃であった。
「実験例2」
直径100mmの円状に加工した、太さ6mm、長さ500mmのヒートパイプを用意した。
次いで、ヒートパイプの一方の端部に、放熱フィンとして、厚み1mm×縦60mm×横60mmのアルミ板を5mm間隔で4枚取り付けた。
次いで、長さ1mのダブルクラッドファイバを、直径100mmで同心円状に巻き回した。
次いで、ヒートパイプの表面に、熱伝導性の樹脂を介して、巻き回されたダブルクラッドファイバを固定した。
次いで、このダブルクラッドファイバに、50Wの増幅用のポンプ光を入力し、この時のダブルクラッドファイバの温度を測定したところ、約120℃であった。
次いで、ヒートパイプの放熱フィンを、厚みが32mm、外径が60mmの冷却ファンにより、風量1.2m/minで冷却し、この時のダブルクラッドファイバの温度を測定したところ、約60℃であった。
また、サーモビュアにより、ダブルクラッドファイバの温度を測定したところ、最も温度の低い光出力端部近傍におけるダブルクラッドファイバの温度は約50℃であり、最も温度の高い光入力端部近傍におけるダブルクラッドファイバの温度は約60℃であり、光出力端部と光入力端部の温度差が約10℃であった。
「実験例3」
螺旋形状をなすように、長さ1mのヒートパイプを加工した。この時、螺旋形の円の直径を100mmとした。
次いで、ヒートパイプの一方の端部に、放熱フィンとして、大きさが縦60mm×横60mmのアルミ板を取り付けた。
次いで、長さ1mのダブルクラッドファイバを、ヒートパイプの螺旋形状に沿って配置するとともに、ヒートパイプの表面に接して配置した。
次いで、このダブルクラッドファイバに、50Wの増幅用のポンプ光を入力し、この時のダブルクラッドファイバの温度を測定したところ、約120℃であった。
次いで、ヒートパイプの放熱フィンを、外径が60mmの冷却ファンにより冷却し、この時のダブルクラッドファイバの温度を測定したところ、約60℃であった。
また、サーモビュアにより、ダブルクラッドファイバの温度を測定したところ、最も温度の低い光出力端部近傍におけるダブルクラッドファイバの温度は約50℃であり、最も温度の高い光入力端部近傍におけるダブルクラッドファイバの温度は約60℃であり、光出力端部と光入力端部の温度差が約10℃であった。
以上の結果から、ヒートパイプに接するようにダブルクラッドファイバを配置して、ヒートパイプの一方の端部に設けた放熱フィンを冷却ファンで冷却することにより、ヒートシンクを用いたダブルクラッドファイバの冷却よりも、効率的にダブルクラッドファイバを冷却することができることが分かった。
また、実験例1においてヒートシンクを使用した場合には、ヒートシンクの体積576cm(120mm×120mm×40mm)と、冷却ファンの体積約361cm(3.14×60mm×60mm×32mm)とを合わせて約937cmのスペースが必要であった。
一方、実験例2においてヒートパイプを使用した場合には、ヒートパイプの体積約14cm(3.14×3mm×3mm×500mm)と、アルミ板4枚分のスペース約68cm(60mm×60mm×19mm)と、冷却ファンの体積約90cm(3.14×30mm×30mm×32mm)とを合わせて約172cmのスペースが必要であった。
したがって、実験例2では、ダブルクラッドファイバの冷却に必要なスペースを、実験例1に対して1/5以下とすることができる。
本発明の光増幅装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。 本発明の光増幅装置の第二の実施形態を示す概略構成図である。 本発明の光増幅装置の第二の実施形態において、ヒートパイプに増幅用光ファイバを固定する構造の一例を示す概略断面図である。 本発明の光増幅装置の第二の実施形態において、ヒートパイプに増幅用光ファイバを固定する構造の他の例を示す概略斜視図である。 本発明の光増幅装置の第二の実施形態において、1本の増幅用光ファイバを囲むように複数本のヒートパイプを配置した例を示す概略断面図である。 本発明の光増幅装置の第二の実施形態において、ヒートパイプの軸方向に沿って設けられた中空部内に増幅用光ファイバを挿通した例を示す概略断面図である。
符号の説明
10,20・・・光増幅装置、11,21・・・ヒートパイプ、12,22・・・増幅用光ファイバ、13,23・・・放熱部、14,24・・・冷却ファン。

Claims (6)

  1. 略円形に湾曲した形状をなし、作動流体を内部に有するヒートパイプと、該ヒートパイプの湾曲形状に略等しい形状をなして同心円状に巻き回され、かつ、前記ヒートパイプに接するように配置された増幅用光ファイバと、前記ヒートパイプの一端部に設けられた放熱部と、を備え、前記増幅用光ファイバの光出力端部が前記ヒートパイプの放熱部側に配置されたことを特徴とする光増幅装置。
  2. 螺旋形状をなし、作動流体を内部に有するヒートパイプと、該ヒートパイプの螺旋形状に沿って配置されるとともに、該ヒートパイプに接するように配置された増幅用光ファイバと、前記ヒートパイプの一端部に設けられた放熱部と、を備え、前記増幅用光ファイバの光出力端部が前記ヒートパイプの放熱部側に配置されたことを特徴とする光増幅装置。
  3. 前記増幅用光ファイバの光入力端部が、前記増幅用光ファイバの光出力端部よりも重力方向において下側に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の光増幅装置。
  4. 前記ヒートパイプの表面に、その軸方向に沿って延びる溝状の凹部が設けられ、該凹部に前記増幅用光ファイバが収容されたことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の光増幅装置。
  5. 前記増幅用光ファイバを囲むように複数本のヒートパイプが配置されたことを特徴とする請求項2または3に記載の光増幅装置。
  6. 前記ヒートパイプの軸方向に沿って、その中央に中空部が設けられ、該中空部内に前記増幅用光ファイバが挿通されたことを特徴とする請求項2または3に記載の光増幅装置。
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