JP5263667B2 - 光ファイバ - Google Patents

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本発明は、光ファイバに関するものである。
フォトニックバンドギャップファイバ(photonicbandgap fiber、以下「PBGF」という場合がある。)は、コア領域と、このコア領域を取り囲むクラッド領域と、このクラッド領域を取り囲むジャケット領域とを有し、ファイバ軸に沿って一様である屈折率分布を有する光ファイバである。そして、PBGFでは、クラッド領域は、ファイバ軸に垂直な断面において低屈折率背景領域に高屈折率領域が三角格子状に配列された二次元周期構造を有し、コア領域は、断面の中央部における二次元周期構造の欠陥によって形成されている。このようなPBGFは、クラッド領域における二次元周期構造に由来する透過帯域および遮断帯域を有しているので、光フィルタとして用いられ得る(非特許文献1を参照)。
A. Wang, A. K. George and J. C. Knight, "Three-level neodymium fiberlaser incorporating photonic bandgap fiber", Opt. Lett., Vol.31, No.10,pp.1388-1390 (2006).
しかしながら、光フィルタとしてのPBGFの透過特性は、クラッド領域における二次元周期構造により決定され、狭帯域化には限界がある。本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、より狭帯域の光フィルタとして用いられ得る光ファイバ(PBGF)を提供することを目的とする。
本発明に係る光ファイバは、コア領域と、このコア領域を取り囲むクラッド領域と、このクラッド領域を取り囲むジャケット領域とを備え、ファイバ軸に沿って一様な屈折率分布を有し、クラッド領域がファイバ軸に垂直な断面において低屈折率背景領域に高屈折率領域が三角格子状に配列された二次元周期構造を有し、コア領域が、断面の中央部における二次元周期構造のうちの1つの格子点と、この格子点の周囲にある直近の6つの格子点とにおいて、高屈折率領域が取り除かれることで形成され、クラッド領域の二次元周期構造が互いに異なるM種類の周期構造を含み、クラッド領域におけるM種類の周期構造それぞれの領域がジャケット領域に接し、クラッド領域におけるM種類の周期構造それぞれが、コア領域の中心位置に関してN回対称である領域を占めることを特徴とする。ただし、Mは2以上の整数であり、Nは3以上の奇数である。Nが3以上の奇数であれば、偏波依存性を低減する上で好適である。
この光ファイバでは、クラッド領域におけるM種類の周期構造それぞれの寄与に因る透過特性は互いに異なる。光ファイバ全体としての透過帯域は、各周期構造の寄与による透過帯域が互いに重なる帯域となるので、狭帯域のものとなり得る。
本発明に係る光ファイバでは、クラッド領域におけるM種類の周期構造それぞれの領域がコア領域に接するのが好適である。
本発明に係る光ファイバでは、クラッド領域におけるM種類の周期構造の間で、周期に対する高屈折率領域の相対的な大きさが互いに異なるのが好適であり、高屈折率領域の屈折率が互いに異なるのも好適である。
本発明に係る光ファイバでは、クラッド領域におけるM種類の周期構造のうちの何れかの周期構造が帯状の領域を占めるのも好適である。

本発明に係る光ファイバでは、クラッド領域におけるM種類の周期構造それぞれが、コア領域の中心位置からの径方向の距離が大きいほど周方向の幅が広い領域を占めるのが好適であり、この場合に、クラッド領域におけるM種類の周期構造それぞれの領域の間に、コア領域からジャケット領域に到る帯状の周期構造欠陥領域が設けられているのも好適である。
本発明に係る光ファイバは、より狭帯域の光フィルタとして用いられ得る。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、フォトニックバンドギャップファイバ(PBGF)9の断面図である。この図は、PBGF9のファイバ軸に垂直な断面を示している。この図に示されるPBGF9は、コア領域10と、このコア領域10を取り囲むクラッド領域20と、このクラッド領域20を取り囲むジャケット領域30とを有し、ファイバ軸に沿って一様である屈折率分布を有する光ファイバである。このPBGF9は、オールソリッドのものであって、空孔を有しない。
PBGF9のクラッド領域20は、ファイバ軸に垂直な断面において、低屈折率背景領域22に高屈折率領域21が三角格子状に配列された二次元周期構造を有する。コア領域10は、断面の中央部における二次元周期構造の欠陥によって形成されている。また、PBGF9は、クラッド領域20の断面における屈折率分布の二次元周期構造に由来する透過帯域および遮断帯域を有する。
具体的には、クラッド領域20の断面における屈折率分布の二次元周期構造は、二次元三角格子の各格子点上に配置された高屈折率領域21と、略均一の屈折率を有する低屈折率背景領域22とからなる。断面の中央部において高屈折率領域21が欠けている領域がコア領域10となる。
コア領域10は、三角格子状の二次元周期構造の周期構造のうちの或る1つの格子点において高屈折率領域が取り除かれることで形成されたものであってもよい。また、コア領域10は、図示のとおり、三角格子状の二次元周期構造の周期構造のうちの或る1つの格子点と、この格子点の周囲にある直近の6つの格子点とにおいて、高屈折率領域が取り除かれることで形成されたものであってもよい。
高屈折率領域21の屈折率は、低屈折率背景領域22の屈折率と比べて高い。例えば、高屈折率領域21は、Ge,Cl,Ti,Alのうち少なくとも1種の元素が添加されたシリカガラスからなる。また、低屈折率背景領域22は、純シリカガラスまたはF,B,Clのうち少なくとも1種の元素が添加されたシリカガラスからなる。
図2に示されるPBGF9は例えばスタックアンドドロー法などにより容易に製造され得る。図2は、スタックアンドドロー法によるPBGF9の製造方法の一例を説明する図である。スタックアンドドロー法では、同図に示されるように各種のロッド110,121,122をジャケット管130内に規則的に配列したプリフォームを用意し、これをコラプス後に線引または直接線引することで、図1に示されるような断面構造を持つPBGF9が得られる。
ロッド110,121それぞれの直径は互いに等しい。1本のロッド110の周りに6本のロッド110が配置され、更にその周りに多数のロッド121が三角格子状に規則正しく配置され、これらがジャケット管130内に挿入されるとともに、これらとジャケット管130との隙間を埋めるようにロッド122が挿入される。
7本のロッド110は、線引後にコア領域10となるべきものである。ロッド121,122は、線引後にクラッド領域20となるべきものである。そのうち、ロッド121の中心部は線引後に高屈折率領域21となるべき領域であり、これの周囲の部分は線引後に低屈折率背景領域22となるべき領域である。ジャケット管130は、線引後にジャケット領域30となるべきものである。ロッド110,121,122は、通常の光ファイバ母材の製造方法と同様の方法(例えばMCVD法やOVD法やコラップス法など)により製造され、また、必要に応じて外周が機械研削またはHFエッチングされる。
図3は、PBGF9の損失スペクトルの一例を示す図である。PBGF9の全損失は、材料損失および曲げ損失に加えて、クラッド領域20の断面における屈折率分布の二次元周期構造に基づく不連続な損失を含む。また、フォトニックバンドギャップ効果によって光が導波される場合は、PBGF9の全損失は閉じ込め損をも含む。二次元周期構造に基づく損失は、光の波長だけでなく、屈折率や、二次元周期構造のピッチや外径などのパラメータによって決定される。
この図に示されるように、PBGF9の損失スペクトルにおいては、クラッド領域20における二次元周期構造に由来して、透過帯域と遮断帯域とが交互に存在する。PBGF9は、このような損失スペクトルを有しているので、波長選択性を有する光フィルタとして用いられる。しかしながら、光フィルタとしての通常のPBGF9の透過特性は、クラッド領域20における二次元周期構造により決定され、狭帯域化には限界がある。
これに対して、本実施形態に係るフォトニックバンドギャップファイバ(PBGF)は、クラッド領域20における二次元周期構造に特徴を有していて、これにより狭帯域化を可能とするものである。すなわち、本実施形態に係るPBGFは、クラッド領域20の二次元周期構造が互いに異なるM種類の周期構造を含み、クラッド領域20におけるM種類の周期構造それぞれの領域がジャケット領域30に接している。また、本実施形態に係るPBGFは、クラッド領域20におけるM種類の周期構造それぞれの領域がコア領域10に接しているのが好ましい。ここで、Mは2以上の整数である。本実施形態に係るPBGFは、クラッド領域20がこのような構造を有することにより、狭帯域の光フィルタとして用いられ得る。
図4は、PBGFのフォトニックバンドダイアグラムを示す図である。同図(a)および同図(b)では、いずれも、クラッド領域20において低屈折率背景領域22に対する高屈折率領域21の屈折率分布がステップ型であると仮定して、PBGFのフォトニックバンドダイアグラムを計算により求めた。また、高屈折率領域21の径をdとし、高屈折率領域21の配置の周期(ピッチ)をΛとしたとき、比(d/Λ)が0.6よりも大きいと、バンドギャップの底が深くなって曲げに強くなること、および、ピッチΛを小さくできることから、ここでは、比(d/Λ)が0.6である場合を基準とした。
同図(a)は、図1に示される構成において、高屈折率領域21の比屈折率差Δを3%とし、比(d/Λ)を0.6としたときの、PBGFのフォトニックバンドダイアグラムを示す。この図に示されるように、第2バンドの短波長側のエッジは、規格化波長(λ/Λ)0.18付近に存在する。ここで、λは光の波長である。高屈折率領域21の比屈折率差を固定して、比(d/Λ)を大きくしていくと、バンド図は相対的に右へ(長波長側へ)シフトしていく。
同図(b)は、図1に示される構成において、高屈折率領域21の比屈折率差Δを3%とし、比(d/Λ)を0.6および0.7それぞれとしたときの、PBGFのフォトニックバンドダイアグラムを示す。この図に示されるように、比(d/Λ)を0.6とした場合における第2バンドの短波長側のエッジと、比(d/Λ)を0.7とした場合における第3バンドの長波長側のエッジとは、規格化波長(λ/Λ)0.18付近でわずかに重なる領域が生じる。
以上のことから、本実施形態に係るPBGFは、クラッド領域20の二次元周期構造が互いに異なるM種類の周期構造を含む構造とすることにより、狭帯域の光フィルタとして用いられ得る。クラッド領域20におけるM種類の周期構造の間で、比(d/Λ)が互いに異なるのも好適であり、また、高屈折率領域21の屈折率が互いに異なるのも好適である。また、クラッド領域20におけるM種類の周期構造それぞれは、コア領域10の中心位置に関してN回対称である領域を占めるのが好適である。ここで、Nは2以上の整数である。
図5は、第1実施形態に係る光ファイバ(PBGF)1の断面図である。また、図6は、第2実施形態に係る光ファイバ(PBGF)2の断面図である。これらの図は、PBGF1およびPBGF2それぞれのファイバ軸に垂直な断面を示している。これらの図に示されるPBGF1およびPBGF2それぞれは、コア領域10と、このコア領域10を取り囲むクラッド領域20と、このクラッド領域20を取り囲むジャケット領域30とを有し、ファイバ軸に沿って一様である屈折率分布を有する光ファイバである。このPBGF1およびPBGF2それぞれは、オールソリッドのものであって、空孔を有しない。
これらの図に示されるPBGF1およびPBGF2それぞれは、図1に示されたPBGF9の構成と比較すると、クラッド領域20の二次元周期構造が互いに異なる2種類の周期構造を含み、これら2種類の周期構造それぞれにおいて比(d/Λ)が互いに異なっている。すなわち、クラッド領域20において、低屈折率背景領域22に対して2種類の高屈折率領域21A,21Bが三角格子状に配列されて二次元周期構造をなしている。高屈折率領域21A,21Bは、径dが互いに異なる。図において、高屈折率領域21A,21Bは互いに異なるハッチングで示されている。
図5に示される第1実施形態に係るPBGF1では、クラッド領域20における2種類の周期構造それぞれは、コア領域10の中心位置に関して2回対称である領域を占めている。より具体的には、高屈折率領域21Aが三角格子状に配列されてなる一方の周期構造は、3列の格子列幅の帯状の領域を占めている。また、高屈折率領域21Bが三角格子状に配列されてなる他方の周期構造は、上記帯状の領域とは異なる領域を占めている。このような構成では、バンドの中央付近では水平方向および垂直方向への閉じ込め効果があるのでコアモードが存在するが、短波長側では水平方向への閉じ込め効果がなくなり、長波長側では垂直方向への閉じ込め効果がなくなるので、バンドパス特性が得られる。
図6に示される第2実施形態に係るPBGF2では、クラッド領域20における2種類の周期構造それぞれは、コア領域10の中心位置に関して3回対称である領域を占めている。より具体的には、高屈折率領域21Aが三角格子状に配列されてなる一方の周期構造は、コア領域10の中心位置からの径方向の距離が大きいほど周方向の幅が広い領域(略扇形状または略三角形状の3つの領域)を占めている。また、高屈折率領域21Bが三角格子状に配列されてなる他方の周期構造は、上記の一方の周期構造が占めるとは異なる領域であって、コア領域10の中心位置からの径方向の距離が大きいほど周方向の幅が広い領域(略扇形状または略三角形状の3つの領域)を占めている。
さらに、高屈折率領域21Aが三角格子状に配列されてなる一方の周期構造の領域と、高屈折率領域21Bが三角格子状に配列されてなる他方の周期構造の領域との間に、コア領域10からジャケット領域30に到る帯状の周期構造欠陥領域が設けられている。このような構成では、短波長側では一方の周期構造の方向へ光波が放射し、長波長側では他方の周期構造の方向へ光波が放射するので、バンドパス特性が得られる。また、このような構成では、3回対称性を有しているので、理論的には偏波依存性は生じない。
次に、PBGF1およびPBGF2それぞれにおいて、高屈折率領域21Aの比(d/Λ)を0.6とし、高屈折率領域21Bの比(d/Λ)を0.7とした場合の、閉じ込め損失および透過率それぞれの波長依存性ならびに断面における光強度分布を計算により求めた結果を示す。また、高屈折率領域21A,21Bそれぞれの屈折率分布がステップ型である場合、および、その屈折率分布がグレーデッド型である場合、それぞれについて計算を行った。
図7は、第1実施形態に係るPBGF1(図5)において高屈折率領域21A,21Bがステップ型の屈折率分布を有する場合の光学特性を示す図である。同図(a)はPBGF1の閉じ込め損失の波長依存性を示し、同図(b)はPBGF1の透過率の波長依存性を示す。図8は、これと同じ場合の断面における各波長での光強度分布を示す図である。同図(a)は波長1545nmの場合の光強度分布を示し、同図(b)は波長1551nmの場合の光強度分布を示し、同図(c)は波長1563nmの場合の光強度分布を示す。ここで、高屈折率領域21A,21Bと低屈折率領域22との比屈折率差を3%とし、透過帯域の中心波長を1550nm付近に設定するために、周期Λを8.5μmとした。クラッド領域20における高屈折率領域の層数を10とした。また、ファイバ長を1mとした。これらの図から判るように、1550nm帯において狭帯域のバンドパス特性が得られた。
図9は、第2実施形態に係るPBGF2(図6)において高屈折率領域21A,21Bがステップ型の屈折率分布を有する場合の光学特性を示す図である。同図(a)はPBGF2の閉じ込め損失の波長依存性を示し、同図(b)はPBGF2の透過率の波長依存性を示す。図10は、これと同じ場合の断面における各波長での光強度分布を示す図である。同図(a)は波長1550nmの場合の光強度分布を示し、同図(b)は波長1554nmの場合の光強度分布を示し、同図(c)は波長1569nmの場合の光強度分布を示す。ここで、高屈折率領域21A,21Bと低屈折率領域22との比屈折率差を3%とし、透過帯域の中心波長を1550nm付近に設定するために、周期Λを8.5μmとした。クラッド領域20における高屈折率領域の層数を10とした。また、ファイバ長を1mとした。これらの図から判るように、1550nm帯において狭帯域のバンドパス特性が得られた。
図11は、第1実施形態に係るPBGF1(図5)において高屈折率領域21A,21Bがグレーデッド型の屈折率分布を有する場合の光学特性を示す図である。同図(a)はPBGF1の閉じ込め損失の波長依存性を示し、同図(b)はPBGF1の透過率の波長依存性を示す。図12は、これと同じ場合の断面における各波長での光強度分布を示す図である。同図(a)は波長1538nmの場合の光強度分布を示し、同図(b)は波長1550nmの場合の光強度分布を示し、同図(c)は波長1574nmの場合の光強度分布を示す。ここで、高屈折率領域21A,21Bの純シリカに対する比屈折率差の最大値を2.64%とし、低屈折率背景領域22の純シリカに対する比屈折率差を−0.76%とした。透過帯域の中心波長を1550nm付近に設定するために、周期Λを8.25μmとした。クラッド領域20における高屈折率領域の層数を9とした。また、ファイバ長を1mとした。これらの図から判るように、水平偏波および垂直偏波の何れの場合にも1550nm帯において狭帯域のバンドパス特性が得られるが、水平偏波と垂直偏波とで若干の差が生じることがわかる。
図13は、第2実施形態に係るPBGF2(図6)において高屈折率領域21A,21Bがグレーデッド型の屈折率分布を有する場合の光学特性を示す図である。同図(a)はPBGF2の閉じ込め損失の波長依存性を示し、同図(b)はPBGF2の透過率の波長依存性を示す。図14は、これと同じ場合の断面における各波長での光強度分布を示す図である。同図(a)は波長1530nmの場合の光強度分布を示し、同図(b)は波長1550nmの場合の光強度分布を示し、同図(c)は波長1570nmの場合の光強度分布を示す。ここで、高屈折率領域21A,21Bの純シリカに対する比屈折率差の最大値を2.64%とし、低屈折率背景領域22の純シリカに対する比屈折率差を−0.76%とした。透過帯域の中心波長を1550nm付近に設定するために、周期Λを8.2μmとした。クラッド領域20における高屈折率領域の層数を10とした。また、ファイバ長を50cmとした。これらの図から判るように、水平偏波および垂直偏波の何れの場合にも1550nm帯において狭帯域のバンドパス特性が得られた。
次に、第1実施形態に係るPBGF1において、クラッド領域20における高屈折率領域の層数を各値とした場合の、閉じ込め損失の波長依存性を計算により求めた結果を示す。ここでは、高屈折率領域21A,21Bそれぞれがグレーデッド型の屈折率分布を有する場合について計算を行った。
図15および図16それぞれは、第1実施形態に係るPBGF1(図5)において高屈折率領域21A,21Bがグレーデッド型の屈折率分布を有する場合の閉じ込め損失の波長依存性を示す図である。クラッド領域20における高屈折率領域の層数を7,8および9それぞれとした。
図15では、高屈折率領域21Aの比(d/Λ)を0.65とし、高屈折率領域21Bの比(d/Λ)を0.76とし、周期Λを8.37μmとした。図16では、高屈折率領域21Aの比(d/Λ)を0.65とし、高屈折率領域21Bの比(d/Λ)を0.77とし、周期Λを8.33μmとした。
図15および図16の何れにおいても、層数が少ないほど、閉じ込め損失が大きく、透過帯域の帯域幅が狭い。層数を7とした場合、図15では中心波長での閉じ込め損失は2dB/m程度であり、図16では中心波長での閉じ込め損失は0.5/m程度である。閉じ込め損失と透過帯域の帯域幅との間にはトレードオフの関係にあり、透過帯域の帯域幅を広げると閉じ込め損失を下げることができる。
次に、本実施形態に係る光ファイバ(PBGF)を光フィルタとして用いる応用例について説明する。以下に説明する応用例は、Yb元素添加光ファイバにより波長1μm帯の信号光を光増幅する光増幅器において、ASE(amplified spontaneous emission)光を本実施形態に係るPBGFにより抑圧するものである。
Yb元素添加光ファイバにより波長1064nmの信号光を光増幅する場合、波長980nmまたは波長910nmの励起光がYb元素添加光ファイバに供給される。ただし、波長910nmの励起光が供給される場合の方が利得は高い。このような光増幅器において光フィルタとして用いられる本実施形態に係るPBGFは、励起光波長910nmが狭帯域の透過帯域内に存在し、信号光波長1064nmが他の狭帯域の透過帯域内に存在し、また、励起光波長910nmと信号光波長1064nmとの間の波長域が遮断帯域となるように、クラッド領域20における二次元周期構造が設計される。
本実施形態に係るPBGFは、コア径が大きいにもかかわらず、フォトニックバンドギャップの底が浅いので、波長1064nmの信号光を実効的に単一モードで伝送することができ、かつ、励起光波長と信号光波長との間のASE光を除去することができる。
図17は、第1実施形態に係るPBGF1(図5)において透過帯域が波長1064nmを含むように設計した場合の閉じ込め損失の波長依存性を示す図である。高屈折率領域21Aの比(d/Λ)を0.65とし、高屈折率領域21Bの比(d/Λ)を0.76とし、周期Λを5.73μmとした。また、高屈折率領域21A,21Bそれぞれの屈折率分布はグレーデッド型で、それぞれの純シリカに対する比屈折率差はそれぞれ2.64%、−0.76%とした。層数を9または10とした。この図17に示されるような特性を有する本実施形態に係るPBGFが光フィルタとして用いられることにより、励起光波長910nmと信号光波長1064nmとの間の波長のASE光が効果的に抑圧され得る。
以上までに説明した本実施形態に係るPBGFでは、コア領域10は、三角格子状の二次元周期構造の周期構造のうちの或る1つの格子点と、この格子点の周囲にある直近の6つの格子点とにおいて、高屈折率領域が取り除かれることで形成されたものであった(以下これを「7セル型」と呼ぶ。)。また、コア領域10は、三角格子状の二次元周期構造の周期構造のうちの或る1つの格子点において高屈折率領域が取り除かれることで形成されたものであってもよい(以下これを「1セル型」と呼ぶ。)。
コア領域10を1セル型とした場合、バンドエッジのロスの立ち上がりが緩やかとなり、急峻な帯域通過フィルタまたは帯域阻止フィルタを構成することが難しい。これに対して、コア領域10を7セル型とした場合、急峻な帯域通過フィルタまたは帯域阻止フィルタを構成することが容易である。したがって、コア領域10を7セル型とするのが好ましい。
また、以上までに説明した本実施形態ではクラッド領域20において2種類の周期構造が存在する場合について説明したが、一般にクラッド領域20において2種類以上の周期構造が存在する場合についても同様である。また、以上までに説明した本実施形態では2種類の周期構造の間で比(d/Λ)が互いに異なる場合について説明したが、2種類の周期構造の間で高屈折率領域の屈折率が互いに異なる場合についても同様である。
フォトニックバンドギャップファイバ(PBGF)9の断面図である。 スタックアンドドロー法によるPBGF9の製造方法の一例を説明する図である。 PBGF9の損失スペクトルの一例を示す図である。 PBGFのフォトニックバンドダイアグラムを示す図である。 第1実施形態に係る光ファイバ(PBGF)1の断面図である。 第2実施形態に係る光ファイバ(PBGF)2の断面図である。 第1実施形態に係るPBGF1(図5)において高屈折率領域21A,21Bがステップ型の屈折率分布を有する場合の光学特性を示す図である。 第1実施形態に係るPBGF1(図5)において高屈折率領域21A,21Bがステップ型の屈折率分布を有する場合の断面における各波長での光強度分布を示す図である。 第2実施形態に係るPBGF2(図6)において高屈折率領域21A,21Bがステップ型の屈折率分布を有する場合の光学特性を示す図である。 第2実施形態に係るPBGF2(図6)において高屈折率領域21A,21Bがステップ型の屈折率分布を有する場合の断面における各波長での光強度分布を示す図である。 第1実施形態に係るPBGF1(図5)において高屈折率領域21A,21Bがグレーデッド型の屈折率分布を有する場合の光学特性を示す図である。 第1実施形態に係るPBGF1(図5)において高屈折率領域21A,21Bがグレーデッド型の屈折率分布を有する場合の断面における各波長での光強度分布を示す図である。 第2実施形態に係るPBGF2(図6)において高屈折率領域21A,21Bがグレーデッド型の屈折率分布を有する場合の光学特性を示す図である。 第2実施形態に係るPBGF2(図6)において高屈折率領域21A,21Bがグレーデッド型の屈折率分布を有する場合の断面における各波長での光強度分布を示す図である。 第1実施形態に係るPBGF1(図5)において高屈折率領域21A,21Bがグレーデッド型の屈折率分布を有する場合の閉じ込め損失の波長依存性を示す図である。 第1実施形態に係るPBGF1(図5)において高屈折率領域21A,21Bがグレーデッド型の屈折率分布を有する場合の閉じ込め損失の波長依存性を示す図である。 第1実施形態に係るPBGF1(図5)において透過帯域が波長1064nmを含むように設計した場合の閉じ込め損失の波長依存性を示す図である。
符号の説明
1,2,9…光ファイバ(PBGF)、10…コア領域、20…クラッド領域、21,21A,21B…高屈折率領域、22…低屈折率背景領域、30…ジャケット領域。

Claims (7)

  1. コア領域と、このコア領域を取り囲むクラッド領域と、このクラッド領域を取り囲むジャケット領域とを備え、
    ファイバ軸に沿って一様な屈折率分布を有し、
    前記クラッド領域がファイバ軸に垂直な断面において低屈折率背景領域に高屈折率領域が三角格子状に配列された二次元周期構造を有し、
    前記コア領域が、前記断面の中央部における前記二次元周期構造のうちの1つの格子点と、この格子点の周囲にある直近の6つの格子点とにおいて、高屈折率領域が取り除かれることで形成され、
    前記クラッド領域の前記二次元周期構造が互いに異なるM種類の周期構造を含み、
    前記クラッド領域における前記M種類の周期構造それぞれの領域が前記ジャケット領域に接し、
    前記クラッド領域における前記M種類の周期構造それぞれが、前記コア領域の中心位置に関してN回対称である領域を占める、
    ことを特徴とする光ファイバ(ただし、Mは2以上の整数、Nは3以上の奇数)。
  2. 前記クラッド領域における前記M種類の周期構造それぞれの領域が前記コア領域に接する、ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  3. 前記クラッド領域における前記M種類の周期構造の間で、周期に対する前記高屈折率領域の相対的な大きさが互いに異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  4. 前記クラッド領域における前記M種類の周期構造の間で、前記高屈折率領域の屈折率が互いに異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  5. 前記クラッド領域における前記M種類の周期構造のうちの何れかの周期構造が帯状の領域を占める、ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  6. 前記クラッド領域における前記M種類の周期構造それぞれが、前記コア領域の中心位置からの径方向の距離が大きいほど周方向の幅が広い領域を占める、ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
  7. 前記クラッド領域における前記M種類の周期構造それぞれの領域の間に、前記コア領域から前記ジャケット領域に到る帯状の周期構造欠陥領域が設けられている、ことを特徴とする請求項に記載の光ファイバ。
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