本発明は、アイコン画面に触れると触覚を提示する触覚入力機能を備えたデジタルカメラや、ビデオカメラ、携帯電話機、携帯端末装置、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ(以下パソコンという)、ノート型のパソコン、現金自動受け払い機等の電子機器に適用可能な触覚シート部材、入力装置及び電子機器に関する。
詳しくは、所定の位置に突起表現部を有して所定の硬度のシート状を成した突起形成用の素材の下面側であって、その所定の領域に配設され、一部が突起表現部を介して突出可能となされた隆起用の素材を備え、この隆起用の素材に関して、突起形成用の素材よりも低い硬度を有する柔軟性の物質から構成し、部材表面が平坦状に観察されても、突起表現部以外の突起形成用の素材の部位から押下しながら、隆起用の素材へ摺動したとき、隆起用の素材の一部が突起表現部を介して突出することで、手触り凹凸感を付与できるようにすると共に、当該触覚シート部材を入力装置のアイコンタッチ用の触覚入力シートとして応用できるようにしたものである。
近年、ユーザ(操作者)は、多種類の動作モードを装備したデジタルカメラを使用して被写体を撮影したり、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯端末装置に様々なコンテンツを取り込み、それを利用するようになってきた。これらのデジタルカメラや携帯端末装置等には入力装置が具備される。入力装置にはキーボードや、JOGダイヤル等の入力手段、表示部を合わせたタッチパネルなどが使用される場合が多い。
上述の入力装置の機能に関連して、特許文献1には、メニュー選択装置が開示されている。このメニュー選択装置によれば、項目選択手段及び項目入力手段を備え、項目入力手段が項目選択手段上に設けられ、項目の選択と入力とを同一のキーに割り当て、項目表示と項目選択入力キーとを並置するようにしたものである。このように装置を構成すると、同一のキーを用いて項目の選択と人力の指示(確定)とを実行できるというものである。
また、特許文献2には他の入力装置が開示されている。この入力装置によれば、ケーシングの所定の位置に窓孔が設けられ、この窓孔から露出する操作釦をスライド操作して項目選択を行ったり、他の操作ノブを押圧操作して特定された項目選択画面内の所定領域を拡大表示するようにした。このように装置を構成すると、項目選択動作を簡単かつ的確に実行できるというものである。
特開平 02−230310号公報(第2頁 図1)
特開2005−063227号公報(第8頁 図15)
ところで、従来例に係る触覚入力機能付きの携帯電話機や、ビデオカメラ、デジタルカメラ、現金自動受け払い機等の電子機器によれば、以下のような問題がある。
i.特許文献1及び特許文献2に見られるような電子機器によれば、各種方式のタッチパネルと表示部とを合わせたタッチ入力機能付きの入力装置が実装されているが、表示部でアイコンを選択した際に、その選択と同期した触覚を操作者に与えることができていない。これは操作面から十分な手感(凹凸感)が得られていないためである。
このような凹凸感は、タッチパネルに突起部を設けたときその厚みが凹凸感とトレードオフする関係にあることによる。因みにタッチパネルに設けた突起部の厚みが0.125mm程度である場合、手で触ってもわからない。厚みが0.5mm〜1mmである場合、手で触るとわかるが、平らな面に突起部を貼り付けただけでは、ほとんどわからない。
ii.上述の課題iを解決する方法として、表示部の全面に凹凸部を有したやわらかい触覚入力シートを設ける方法が考えられるが、この方法を採ると、表示基板等の堅いシート上に、それよりもやわらかい触覚入力シートを配置するようになることから、電子機器(製品)に求められる剛性感や、耐摩擦性、強度などを満たすことができなくなる場合が想定される。
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、触覚入力シートの構造を工夫して、より明快な手触り凹凸感を付与できるようにすると共に、凹状のみならず、凸状または凹凸状の両方の手触り感を付与できるようにした触覚シート部材、入力装置及び電子機器を提供することを目的とする。
本発明に係る触覚シート部材は、所定の硬度及び所定の位置に突起表現部を有してシート状を成す突起形成用の素材と、突起形成用の素材の下面側の所定の領域に配設されると共に、前記突起表現部に対向する一部が前記突起形成用の素材の上面から突出可能となされた隆起用の素材とを備え、隆起用の素材は、突起形成用の素材よりも低い硬度を有する柔軟性の物質から成るものである。
本発明に係る触覚シート部材によれば、突起形成用の素材の表面が平坦状に観察されても、隆起用の素材が突起形成用の素材よりも低い硬度を有する柔軟性の物質から構成されているので、突起表現部以外の突起形成用の素材の部位から押下しながら、隆起用の素材へ摺動したとき、隆起用の素材の一部が突起表現部を介して突出するようになる。従って、操作者に対してより明快な手触り凹凸感を与えることができる。
本発明に係る入力装置は、操作面を有して操作体による摺動又は及び押下操作によって情報を入力する入力部と、この入力部に設けられて操作体の摺動位置を検出する検出部と、この検出部の一部又は全部を覆うように設けられ、操作面に沿って摺動又は及び押下操作される透明性の上記本発明に係る触覚シート部材とを備えたものである。
本発明に係る入力装置によれば、本発明に係る触覚シート部材が応用されるので、突起形成用の素材の表面が平坦状に観察されても、触覚シート部材の突起表現部以外の突起形成用の素材の部位から押下しながら、隆起用の素材へ摺動したとき、隆起用の素材の一部が突起表現部を介して突出するようになる。
本発明に係る電子機器は、操作面を有して操作体による摺動又は及び押下操作によって情報を入力する入力部を備え、この入力部は、操作体の摺動位置を検出する検出部と、この検出部の一部又は全部を覆うように設けられ、操作面に沿って摺動又は及び押下操作される透明性の上記本発明に係る触覚シート部材とを有するものである。
本発明に係る触覚シート部材によれば、所定の位置に突起表現部を有して所定の硬度のシート状を成した突起形成用の素材の下面側であって、その所定の領域に配設され、一部が突起表現部を介して突出可能となされた隆起用の素材を備え、この隆起用の素材は、突起形成用の素材よりも低い硬度を有する柔軟性の物質から成るものである。
この構造によって、部材表面が平坦状に観察されても、突起表現部以外の突起形成用の素材の部位から押下しながら、隆起用の素材へ摺動したとき、隆起用の素材の一部が突起表現部を介して突出するようになるので、より明快な手触り凹凸感を与えることができる。従って、当該触覚シート部材を入力装置のアイコンタッチ用の触覚入力シートとして、また、各種電子機器筐体の入力装置用の触覚シート部材として十分応用できるようになる。
本発明に係る入力装置によれば、本発明に係る触覚シート部材が応用され、表示部の操作面に沿って摺動又は及び押下操作されるものである。
この構成によって、突起形成用の素材の表面が平坦状に観察されても、突起表現部以外の突起形成用の素材の部位から押下しながら、隆起用の素材へ摺動したとき、隆起用の素材の一部が突起表現部を介して突出するようになるので、より明快な手触り凹凸感を与えることができる。これにより、凹状のみならず、凸状または凹凸状の両方の手触り感をユーザに与えることが可能なアイコンタッチ用の触覚入力シート付きの入力装置を提供できるようになる。
本発明に係る電子機器によれば、本発明に係る入力装置が備えられるので、凹状のみならず、凸状または凹凸状の両方の手触り感をユーザに与えることが可能なアイコンタッチ用の触覚入力シート等を備えた電子機器を提供できるようになった。しかも、入力装置の小型化及び操作性を向上できることから、当該電子機器の誤動作の低減、コストダウン及び製造プロセスの簡素化を図ることができる。
続いて、この発明に係る触覚シート部材、入力装置及び電子機器の実施の形態について、図面を参照しながら説明をする。
図1は、実施形態としての触覚シート部材10の構成例を示す斜視図である。図1に示す触覚シート部材10は、例えば、アイコン画面に触れると触覚を提示する触覚入力機能を備えた入力装置に適用される。触覚シート部材10は、このような入力装置を備えた、デジタルカメラや、ビデオカメラ、携帯電話機、携帯端末装置、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ(以下パソコンという)、ノート型のパソコン、現金自動受け払い機等の電子機器に適用可能なものである。
触覚シート部材10は、突起形成シート部1、隆起要素部材2、基板3及び表面用のシート部材4を有して構成される。基板3には、液晶表示パネルや電子部品実装基板等が使用され、触覚シート部材10が液晶表示パネル等の表示素子の投影面上に設けられる。図中、tは触覚シート部材10の厚みである。厚みtは、0.01[mm]乃至5[mm]程度である。
基板3上には隆起用の素材の一例を構成する隆起要素部材2が配設され、この隆起要素部材2上には突起形成用の素材の一例を構成する突起形成シート部1が配置されている。突起形成シート部1は所定の硬度を有してシート状を成しており、突起形成シート部1の所定の位置には突起表現部の一例を構成する開孔部1aが設けられている。開孔部1aは、所定の開口径を有しており、開孔部1aには隆起要素部材2が導入される。
開孔部1aは、当該触覚シート部材10を入力装置の可動式の触覚入力シートとして応用する場合であって、凹凸感を出すためにシート面に対し、円筒状又は台錐状を有して垂直方向に立設するように開口(配置)される。これにより、柔らかい隆起要素部材2が突起形成シート部1に押し付けられた状態で、より隆起要素部材2が飛び出し易くなる。
この例で、隆起要素部材2は、突起形成シート部1の下面側の所定の領域(全ての領域)に配設されており、当該隆起要素部材2の一部が開孔部1aを介して突出可能となされている。隆起要素部材2は、突起形成シート部1よりも低い硬度を有する柔軟性の物質から成る。このように触覚シート部材10を構成すると、開孔部1aの凹状のみならず、隆起要素部材2の凸状、又は、開孔部1aの凹状及び隆起要素部材2の凸状の両方の手触り感をユーザに与えることができる。しかも、ユーザに与える凹凸感(フィーリング)を改善できるようになった。また、ユーザに対して凹凸感を強調できるので、開孔部1aが配設された位置に、触覚提示用の凹凸状の部位が存在していることがわかり易くなった。
この例で、隆起要素部材2と突起形成シート部1との間には、突起形成シート部1の屈折率と隆起要素部材2の屈折率とがほぼ等しく、曲げ弾性が異なる形態、突起形成シート部1の透過率と隆起要素部材2の透過率とがほぼ等しく、曲げ弾性が異なる形態、及び、突起形成シート部1の屈折率と隆起要素部材2の屈折率とがほぼ等しく、かつ、突起形成シート部1の透過率と隆起要素部材2の透過率もほぼ等しく、曲げ弾性が異なる形態を含んでいる。
この例で、突起形成シート部1や隆起要素部材2等には、空気の屈折率を1とし、その透過率を100%としたとき、当屈折率が約1.4付近で、全光線透過率が70〜95%程度の透明性の材料が使用される。触覚シート部材10の厚みは、突起形成シート部1と隆起要素部材2により構成される層の厚みが0.01乃至5mmが好ましい。凹凸状感を与えるために、その透明性の材料の硬度にもよるが、触覚シート部材10の上面に構成される保護膜等の層の厚みを0.01乃至5mmとなるように設定してもよい。
上述の突起形成シート部1は隆起要素部材2の硬度と異なる硬度を有している。突起形成シート部1には、例えば、硬度60乃至80°の透明性の比較的堅いシリコンゴム部材が使用され、隆起要素部材2には硬度20乃至40°の透明性のシリコンゴム部材が使用される。突起形成シート部1にはシリコンゴム部材の他に、ポリカーボネート系の透明材料が使用され、隆起要素部材2には硬度20乃至40°の透明性のシリコンゴム部材が使用される。更に、突起形成シート部1にはポリエチレンテレフタラート系の透明材料が使用され、隆起要素部材2には硬度20乃至40°の透明性のシリコンゴム部材が使用される。
また、突起形成シート部1にはポリエーテルスルホン系の透明材料が使用され、隆起要素部材2には硬度20乃至40°の透明性のシリコンゴム部材が使用される。突起形成シート部1には、透明性の光学部材(ゼオノアやアートンなど)が使用され、隆起要素部材2には硬度20乃至40°の透明性のシリコンゴム部材が使用される。この例では、突起形成シート部1に対して一種類以上の隆起要素部材2が用いられる。
この例で、突起形成シート部1上には表面用の透明性のシート部材4が配設され、突起形成シート部1及び、突出時の隆起要素部材2の表面を保護するようになされる。このように、突起形成シート部1を構成すると、凹状のみならず、凸状または凹・凸状の両方の手触り感をユーザに与えることができる。
なお、突起表現部に関しては、開孔部1aの他、有天井状の逆さ凹部によって形成するようにしてもよい。この場合、凹部は、突起形成シート部1に複数形成され、これらの凹部には隆起要素部材2が導入される。開孔部1aに凹部を設ける構成を採った場合は、突起形成シート部1上の表面用のシート部材4を省略できるようになる。
上述の突起形成シート部1及び隆起要素部材2には、アクリル系の透明性の材料(以下透明材料という)、ポリカーボネート(PC)系の透明材料、ポリエチレンテレフタラート(PET)系の透明材料、ポリエーテルスルホン(PES)系の透明材料、ポリアリレート(PAR)系の透明材料、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)系の透明材料、液晶ポリマー(LCP)系の透明材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系の透明材料、ポリスチレン系の透明材料、スチレン系の透明材料、ウレタン系の透明材料、シリコン系の透明材料、ポリテトラフルオロチレン(PTFE)系の材料、フッ素系の樹脂材料、シクロオレフィンポリマー(COP)系の材料、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)系の材料等の全ての材料相互の合成などにより形成される透明材料、上述の全ての材料から派生される透明材料、上述の全ての材料のうち透明でないもの、上述の全ての材料のうち、ゴムなどと混合して形成されるポリマーアロイが使用される。
また、突起形成シート部1及び隆起要素部材2には、次に挙げるような合成樹脂全般(上述の内容と重複する材料有り)が使用可能となる。フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂(UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、熱硬化性ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(ポリカーボネート系の透明材料)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタラート系の透明材料)、ポリエチレンテレフタレート・ガラス樹脂入り材料(ポリエチレンテレフタラート系の透明材料−G)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−ポリエチレンテレフタラート系の透明材料)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン((PTFE):一般的にテフロン(登録商標)と呼ばれる)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(ポリエーテルスルホン系の透明材料)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)の全ての材料相互の合成などにより形成される透明材料、上述の全ての材料から派生される透明材料、上述の全ての材料のうち透明でないもの(滑り止めシートに使用可)、上述の全ての材料のうちゴムなどと混合して形成されるポリマーアロイが使用される。
図2A〜Cは、触覚シート部材10の機能例を示す断面図である。この触覚シート部材10では、押圧時の隆起要素部材2の変位例を明確にするために、突起形成シート部1と隆起要素部材2との間に中間体5を設けている場合を例に挙げる。中間体5には、突起形成シート部1と同じ材質を有する部材、突起形成シート部1以外の物質、例えば、空気やスポンジのようなもので、あるいは、突起形成シート部1に接合して下方へ突起形成シート部1を引き込むアクチュエータのような駆動体であってもよい。
この触覚シート部材10によれば、図2Aにおいて、所定の位置の開孔部1aを有する硬い突起形成シート部1の下面に、突起形成シート部1よりも柔らかい隆起要素部材2が全域にわたって存在している。隆起要素部材2は、開孔部1aの開口径を投影した位置において、凸部2aを成している。この凸部2aは、突出部を形成する際の切っ掛けとなる部分である。もちろん、凸部2aは無くてもよい。中間体5は、開孔部1aの開口径を投影する部分を除く領域に設けられる。突起形成シート部1の上部には表面用のシート部材4が設けられる。
これを前提にして、まず、図2Bに示す表面用のシート部材4の上部から突起形成シート部1を所定の力で押圧すると、隆起要素部材2の凸部2aが開孔部1aを覗く位置に自己整合的に合わせ込まれる。更に、図2Cに表面用のシート部材4の上部から突起形成シート部1を押圧すると、突起形成シート部1によって押圧された隆起要素部材2が開孔部1aの方へ回り込んで、隆起要素部材2の凸部2aが開孔部1aを貫くようになる。開孔部1aを貫いた隆起要素部材2は、開孔部1aの上部に至り、表面用のシート部材4に当接して開孔部1aの外部へ露出するようになる。
これにより、突起形成シート部1によって画定される開孔部1aの内部の隆起要素部材2が初期位置HPことで、その上方に触覚用の凸部2aを形成できるようになり、ユーザに与える凹凸感(フィーリング)を改善できるようになる。また、ユーザに対して凹凸感を強調できるので、開孔部1aが設けられた位置に凹凸状の部位が存在していることがわかり易くなる。
このように、実施形態としての触覚シート部材10によれば、凹凸状の部位を形成する位置に開孔部1aを有して所定の硬度のシート状を成した突起形成シート部1の下面側であって、その全体の領域に配設され、一部が開孔部1aを介して突出可能となされた隆起要素部材2を備え、この隆起要素部材2は、突起形成シート部1よりも低い硬度を有する柔軟性の物質から成るものである。
従って、突起形成シート部1の表面が平坦状に観察されても、隆起要素部材2が突起形成シート部1よりも低い硬度を有する柔軟性の物質から構成されているので、開孔部1a以外の突起形成シート部1の部位から押圧(押下)しながら、隆起要素部材2へ摺動したとき、隆起要素部材2の一部が開孔部1aを介して突出するようになる。従って、操作者に対してより明快な手触り凹凸感を与えることができる。
しかも、当該触覚シート部材10を入力装置のアイコンタッチ用の触覚入力シートとして、また、各種電子機器筐体の入力装置用の触覚シート部材10として十分応用できるようになった。また、やわらかい隆起要素部材2が突起形成シート部1の下方に配置され、隆起要素部材2よりも堅い突起形成シート部1が入力装置の操作面側に配置されるので、電子機器(製品)に求められる剛性感や、耐摩擦性、強度などを満たすことができる。
図3は、第1の実施例としての非折畳み式の携帯電話機100の構成例を示す斜視図である。図3に示す携帯電話機100は電子機器の一例を構成し、アイコンタッチ用の触覚入力シート付きの入力装置90を備え、情報入力操作時に操作体(者)に触覚を提示する触覚入力機能付きの電子機器であって、電話機能の他に、音声及び映像処理を始め、各種データ処理をするものである。
ここにアイコンタッチ用の触覚入力シートとは、表示部29に表示されるアイコン画像を手で触れると凹凸感を伴った入力操作が可能となるタッチシートをいう。もちろん、操作者の指30aに限られることはなく、ペン等の操作体を使用して入力操作をしてもよい。携帯電話機100で被写体像を撮像し、かつ、周囲の音響を録音することもできる。
携帯電話機100は、操作面及び表示部29を有した単体の筐体401及び、触覚入力機能付きの入力装置90を有している。入力装置90(入力部)は、筐体401に設けられて操作者の指30a等による摺動又は及び押下操作によって情報を入力するようになされる。この入力装置90には、本発明に係る実施形態で説明した触覚シート部材10が備えられるものである。
表示部29の上方には検出部の一例を構成する入力検出部45が設けられる。入力検出部45は、操作面を有している。入力検出部45は、表示部29の上方に設けられて操作者の指30aの摺動位置を検出するように動作する。
入力検出部45には、例えば、静電容量方式のタッチパネルが使用される。入力検出部45は、カーソリングと選択の機能を区別できるものであれば何でも良く、静電容量方式の入力デバイスの他に、例えば、抵抗膜方式、表面波弾性方式(SAW)、光方式、複数段方式タクトスイッチ等の入力デバイスであっても良く、好ましくは位置検出情報と力検出情報を制御手段に与えられる構成の入力デバイスであれば良い。
筐体401の表面の中央左上方には超小型のアクチュエータ機能付きのスピーカー36bが設けられ、通話用のレシーバ(受話器)と触覚提示用のアクチュエータの機能を兼ね備えている。スピーカー36bには音声信号の他に、触覚提示用の200Hzの振動制御信号が入力される。筐体401のスピーカー取付け面の下方、すなわち、筐体401の前面のほぼ全領域には、触覚機能付きの入力装置90が設けられる。
入力装置90は、透明性の触覚シート部材10、入力検出部45及び表示部29を有しており、表示画面上の入力検出面における操作体の押下操作に対して触覚を与える(提示する)ものである。入力検出部45は、操作面を有した表示部29に設けられて操作者30の指30a等の摺動位置や押込み操作を検出するようになされる。
触覚シート部材10は、入力検出部45の一部又は全部を覆うように設けられ、突起形成シート部1及び隆起要素部材2を有して構成され、表示部29の操作面に沿って摺動又は及び押下操作される。突起形成シート部1は、所定の硬度及び所定の位置に開孔部1aを有してシート状を成している。隆起要素部材2は、突起形成シート部1の下面側の所定の領域に配設されて、一部が開孔部1aを介して突出可能となされている。隆起要素部材2には、突起形成シート部1よりも低い硬度を有した柔軟性の物質が使用される。
この例で、表示部29は表示領域が2つに分割され、その上部表示領域には、複数のボタンアイコン等の入力情報が表示され、下部表示領域には、操作パネル98が表示される。例えば、表示部29に表示された入力操作用のアイコン画像を指で操作すると、スピーカー36bからクリック音(サイバースイッチ操作音)と共に、表示画面上を触れている操作者の指に触覚を提示するようになされる。
この例では、更に、表示部29の表示面が平坦状に観察されても、当該表示部29に表示された、各種機能キーのアイコン画像等を手で触れ、突起形成シート部1から20個の開孔部B1〜B20等(図4参照)へ摺動したとき、開孔部B1〜B20内に存在する隆起要素部材2aによって、表示面の一方から摺動方向に沿って段差状に掘り下がり、かつ、他方の表示面に向かって段差状に掘り上がる凹形状感を伴った入力操作を提示できるようになる。この入力操作により、携帯電話機100において、表示部29に表示されたボタンアイコン等の入力を確定できるようになされる。
この例で、表示部29に表示される操作パネル98は、複数の押しボタンスイッチ92から構成される。例えば、押しボタンスイッチ92は、「0」〜「9」数字キー、「*」や「#」等の記号キー、「オン」や「オフ」等のフックボタン、メニューキー等から構成される(図8参照)。表示部29の背面にはカメラ34が取り付けられ、被写体像を撮像するように操作される。筐体401の上面下方には、通話用のマイクロフォン93が取り付けられ、送話器として機能するようになされる。
なお、筐体401の前面外側にはUSB端子などのコネクタ99が配置され、外部機器と通信処理が可能なようになされている。筐体401の内側には、モジュール型のアンテナ96が取り付けられ、その内側周辺には、図示しない大音響用のスピーカーが設けられ、着信メロディや映像データに付加された音声(音楽)等を放音するようになされる。筐体401の内部には回路基板97が設けられる。更に筐体内には、バッテリー94が内蔵され、回路基板97や表示部29等へ電源が供給される。
図4は、携帯電話機100における入力装置90の構成例を示す斜視図である。この実施例では、突起形成シート部1の外周縁部にアクチュエータ駆動部25を設け、突起形成シート部1を隆起要素部材2の側(筐体401の内側(下方))へ押し付ける(引き込む)ようになされる。アクチュエータ駆動部25は、図2に示した中間体5を構成するものである。もちろん、アクチュエータ駆動部25が隆起要素部材2を突起形成シート部1の側に押し付ける(押し上げる)構造であってもよい。
図4に示す入力装置90は、筐体401内において、液晶表示基板209の上部に隆起要素部材2が配置されると共に、枠体状のアクチュエータ駆動部25と触覚シート部材10とを積層して構成される。液晶表示基板209には、表示部29と入力検出部45とを積層したものが使用される。アクチュエータ駆動部25は、突起形成シート部1と液晶表示基板209との間に設けられる。アクチュエータ駆動部25は、例えば、アクチュエータ本体部25’及び図示しない1対の電極を有しており、非通電時、アクチュエータ本体部が所定の厚みを維持しているが、アクチュエータ本体部の電極に駆動電圧を印加する通電時には、アクチュエータ本体部25’が縮退してその厚みが薄くなる機能を有したものである。アクチュエータ駆動部25には人工筋肉が使用される。
アクチュエータ駆動部25は、例えば、枠体状のアクチュエータ駆動部25の一方の面が突起形成シート部1の裏面側の外周縁部に接着固定され、その他方の面が液晶表示基板209の上面側の外周縁部に接着固定される。突起形成シート部1には、例えば、各種キーボタンを構成する20個の開孔部1a(以下開孔部B1〜B20という)が設けられる。
枠体状のアクチュエータ駆動部25の内側部位には、突起形成シート部1よりも柔らかい素材の隆起要素部材2が配置される。隆起要素部材2には、例えば、20個の開孔部1aの形成位置に合わせ込まれた、20個の凸部2aが設けられる。これらにより、枠体状のアクチュエータ駆動部25で、隆起要素部材2を強制的に伸縮可能な入力装置90を構成することができる。
続いて、触覚シート部材10を有した入力装置90の組立例について説明する。図5は、入力装置90の組立例を示す分解斜視図である。図5に示す入力装置90の組立例によれば、まず、所定の大きさの単一の筐体401を準備する。筐体401は有底状の箱形を有しており、その長さがL1[mm]で、幅がW1[mm]で、高さがH1[mm]である。筐体401にはアルミニウム等の軽金属板を箱形にプレス加工したものが使用される。もちろん、筐体401には樹脂を金型に射出して箱形に成型したものを使用してもよい。
次に、筐体401内に実装する中間組立体101を形成する。例えば、表示部29上に入力検出部45を実装した液晶表示基板209を準備する。液晶表示基板209が準備できたら、その入力検出部45の上方に隆起要素部材2を接合する。隆起要素部材2には、図1で説明した、突起形成シート部1よりも低い硬度を有した柔軟性の物質を使用する。例えば、隆起要素部材2には硬度20乃至40°の透明性のシリコンゴム部材を使用する。
更に、隆起要素部材2の外周縁部にアクチュエータ駆動部25を取り付ける。アクチュエータ駆動部25には、非通電時、アクチュエータ本体部25’が所定の厚みを維持しており、通電時には、アクチュエータ本体部が縮退してその厚みが薄くなるものを使用する。
その後、アクチュエータ駆動部25に突起形成シート部1を取り付ける。突起形成シート部1には図1説明した、ポリエーテルスルホン系の透明材料を使用する。例えば、突起形成シート部1には、硬度60乃至80°の透明性の比較的堅いシリコンゴム部材を使用し、図4に示したような20個の開孔部B1〜B20をマトリクス状に開口したものを使用する。
その後、突起形成シート部1の上方に接着剤を使用して表面用のシート部材4を取り付ける。これにより、表示部29上に入力検出部45、隆起要素部材2、アクチュエータ駆動部25、突起形成シート部1、表面用のシート部材4が積層された中間組立体101が得られる。そして、中間組立体101を筐体401の内部に実装する。中間組立体101は筐体401の内部にビス止め等により固定する。これにより、図4に示したような入力装置90が完成する。
続いて、入力装置90の動作例について説明する。図6A及びBは、触覚シート部材10を有した入力装置90の動作例を示す断面図である。この実施例では、触覚シート部材10の初期状態と、その隆起要素部材2の突出状態との2つに分けて説明する。
[初期状態]
図6Aに示す入力装置90は、触覚シート部材10が初期状態を維持している場合である。触覚シート部材10によれば、硬い突起形成シート部1の下面に、当該突起形成シート部1よりも柔らかい隆起要素部材2が全域にわたって存在している。その初期状態によれば、突起形成シート部1の所定の位置に設けられた20個の開孔部B1〜B20の各々に、隆起要素部材2による凸部2aが自己整合的に合わせ込まれている。
隆起要素部材2は、各々の開孔部B1〜B20の開口径φを投影した位置において、凸部2aを成している。凸部2aは、突出部B1’〜B20’を形成する際の切っ掛けとなる部分である。もちろん、凸部2aは無くてもよい。アクチュエータ駆動部25は、開孔部B1〜B20の開口径φを投影する部分を除く領域に設けられる。突起形成シート部1の上部には表面用のシート部材4が設けられている。
[突出状態]
次に、図6Bに示すアクチュエータ駆動部25に駆動電圧を印加すると、アクチュエータ本体部25’が縮退することから、アクチュエータ駆動部25と液晶表示基板209との間隔が詰まって、突起形成シート部1が隆起要素部材2を押圧するようになる。突起形成シート部1によって押圧された隆起要素部材2は、厚みが薄くなると共に、各々の開孔部B1〜B20の方へ回り込んで、隆起要素部材2の凸部2aが各々の開孔部1aを貫くようになる。20個の開孔部B1〜B20を貫いた隆起要素部材2は、各々の開孔部B1〜B20の上部に至り、表面用のシート部材4に当接して各々の開孔部B1〜B20の外部へ露出するようになる。
これにより、突起形成シート部1によって画定される、20個の開孔部B1〜B20の内部の隆起要素部材2が隆起することで、その上方に触覚用の突出部B1’〜B20’を各々の形成できるようになり、ユーザに与える凹凸感(フィーリング)を改善できるようになる。また、ユーザに対して凹凸感を強調できるので、各々の開孔部B1〜B20が設けられた位置に凹凸状の突出部B1’〜B20’が存在していることがわかり易くなる。
次に、触覚機能付きの携帯電話機100の制御系等について説明をする。図7は、携帯電話機100の制御系の構成例及びその感触フィードバック機能例を示すブロック図である。図7に示す携帯電話機100は、筐体401の回路基板97に各機能のブロックを実装して構成される。なお、図3に示した各部と対応する部分は、同一符号で示している。携帯電話機100は、制御部15、受信部18、送信部22、アンテナ共用器23、入力検出部45、表示部29、電源ユニット33、カメラ34、記憶部35、着信メロディ用のスピーカー36a、アクチュエータ機能付きのスピーカー36b及び、操作パネル98を有している。
図7に示す入力検出部45には、静電容量方式、抵抗膜方式、表面波弾性方式(SAW)、光方式、複数段方式タクトスイッチ等の入力デバイスが使用され、位置検出情報と力検出情報を制御部15に出力するようになされる。入力検出部45は操作者30の指30aの摺動位置及び、押し込みを検出して、少なくとも、位置検出信号S1および入力量(押圧力;加圧力F)となる入力検出信号S2が入力される。
制御部15は、画像処理部26、A/Dドライバ31、CPU32及びメモリ部37を有している。A/Dドライバ31には、入力検出部45からの位置検出信号S1および入力検出信号S2が供給される。A/Dドライバ31ではカーソリングとアイコン選択の機能を区別するために位置検出信号S1および入力検出信号S2よりなるアナログ信号をデジタルデータに変換する。この他にA/Dドライバ31は、このデジタルデータを演算処理して、カーソリング入力かアイコン選択情報かを検出し、カーソリング入力かアイコン選択かを区別するフラグデータD3あるいは位置検出情報D1または入力検出情報D2をCPU32に供給するようになされる。これらの演算はCPU32内で実行してもよい。
A/Dドライバ31にはCPU32が接続される。CPU32はシステムプログラムに基づいて当該電話機全体を制御するようになされる。記憶部35には当該電話器全体を制御するためのシステムプログラムデータが格納される。図示しないRAMはワークメモリとして使用される。CPU32は電源オンと共に、記憶部35からシステムプログラムデータを読み出してRAMに展開し、当該システムを立ち上げて携帯電話機全体を制御するようになされる。例えば、CPU32は、A/Dドライバ31からの位置検出情報D1、入力検出情報D2及びフラグデータD3(以下単に入力データともいう)を受けて所定の指令データDを電源ユニット33や、カメラ34、記憶部35、メモリ部37、映像&音声処理部44等のデバイスに供給したり、受信部18からの受信データを取り込んだり、送信部22へ送信データを転送するように制御する。
この例で、CPU32は、入力検出部45から得られる入力検出情報D2と予め設定された押下判定閾値Fthとを比較し、当該比較結果に基づいてアクチュエータ機能付きのスピーカー36bを振動制御するようにメモリ部37を制御する。例えば、入力検出部45の押下位置における入力検出面から伝播される触覚を#A及び#Bとすると、触覚#Aは、その押下位置における操作者の指30aの加圧力Fに応じた入力検出面を低周波数かつ小振幅の振動パターンから、高周波数かつ大振幅の振動パターンに変化させることによって得られる。また、触覚#Bは、その押下位置における操作者の指30aの加圧力Fに応じた入力検出面を高周波数かつ大振幅の振動パターンから、低周波数かつ小振幅の振動パターンに変化させることよって得られる。
上述のCPU32には記憶部35が接続され、入力項目選択用の表示画面を、例えば、3次元的に表示するための表示情報D4や、当該表示情報D4に対応したアイコンの選択位置及び振動モードに関する制御情報Dc等が表示画面毎に記憶される。制御情報Dcには、表示部29におけるアプリケーション(3次元的な表示や、各種表示内容)に同期した複数の異なった触覚を発生でき、その触覚を発生せしめる複数の具体的な振動波形、及び、アプリケーション毎の具体的な触覚発生モードを設定するアルゴリズムが含まれる。記憶部35には、EEPROMや、ROM、RAM等が使用される。
この例でCPU32は、A/Dドライバ31から出力される位置検出情報D1、入力検出情報D2及びフラグデータD3に基づいて表示部29の表示制御及び、アクチュエータ機能付きのスピーカー36bの出力制御をする。例えば、制御部15は、入力検出部45から得られる位置検出信号S1及び、入力検出信号S2に基づいて記憶部35から制御情報Dcを読み出して、メモリ部37へアクセスし、アクチュエータ機能付きのスピーカー36bに振動発生信号Saを供給するような制御がなされる。
例えば、CPU32は、入力検出部45が押下判定閾値Fthを越える入力検出情報D2を検出したとき、触覚#Aを起動し、その後、押下判定閾値Fthを下回る入力検出情報D2を検出したとき、触覚#Bを起動するように、メモリ部37を読み出し制御する。この制御によって、操作者の指30a等の”加圧力”に合わせた異なる振動パターンを発生するようになる。
CPU32にはメモリ部37が接続され、CPU32からの制御情報Dcに基づいて振動発生データDaを読み出す。振動発生データDaは、正弦波形からなる出力波形を有している。メモリ部37には映像&音声処理部44が接続され、各々の振動発生データDaが映像&音声処理部44に供給され、その振動発生データDaが音声処理(デジタル・アナログ変換・増幅等)され、振動発生信号Sout2となってアクチュエータ機能付きのスピーカー36bに供給される。スピーカー36bは、振動発生信号Sout2に基づいて振動するようになされる。
この例で、メモリ部37は、各アプリケーションに対応する押下判定閾値Fthを記憶する。例えば、押下判定閾値Fthはトリガーパラメータとして記憶部35に設けられたROM等に予め格納される。記憶部35は、CPU32の制御を受けて、入力検出情報D2を入力し、予め設定された押下判定閾値Fthと、入力検出情報D2から得られる加圧力Fとを比較し、Fth>Fの判定処理や、Fth≦F等の判定処理を実行する。
例えば、押下判定閾値Fth=100[gf]をメモリ部37に設定すると、クラシックスイッチの触覚を得るための振動パターンに基づいて入力検出面を振動するようになされる。また、押下判定閾値Fth=20[gf]を設定すると、サイバースイッチの触覚を得るための振動パターンに基づいて入力検出面を振動するようになされる。
CPU32にはメモリ部37の他に画像処理部26が接続され、ボタンアイコン表示部29等を3次元的に表示するための表示情報D4を画像処理するようになされる。画像処理後の表示情報D4を表示部29に供給するようになされる。この例で、CPU32は、表示画面中のボタンアイコンを奥行方向に遠近感を有して3次元的に表示するように表示部29を表示制御する。
このように構成された入力装置90は、例えば、入力項目選択用の表示画面に表示された複数のボタンアイコンの1つを押下(接触)して当該表示画面上で入力検出部45をZ方向に押下すると触覚を伴って画面入力操作されるものである。操作者30は、指30aに振動を受けて触感として、ボタンアイコン毎の振動を感じる。
表示部29の表示内容は操作者の目による視覚により、スピーカー36a,36b等からの放音は、操作者の耳による聴覚により各機能を判断するようになされる。上述のCPU32には操作パネル98を構成する表示部29及び入力検出部45が接続され、例えば、相手方の電話番号を手動入力する際に使用される。表示部29には上述のアイコン選択画面の他に映像信号Svに基づいて着信映像を表示するようにしてもよい。
上述のCPU32にはアクチュエータ駆動部25が接続され、駆動制御信号S25に基づいて凹凸モードを実行するようになされる。駆動制御信号S25はCPU32からアクチュエータ駆動部25へ出力される。この例で、操作パネル98に関してフラットモードと、凹凸モードとのいずれかを選択するように入力操作モードが設定される。ここにフラットモードとは、アクチュエータ駆動部25を通電せずに、図6Aに示したように触覚シート部材10を初期の状態で使用する場合をいう。凹凸モードとは、アクチュエータ駆動部25を通電して、図6Bに示したように触覚シート部材10を突出状態で使用する場合をいう。
また、図7に示すアンテナ16は、アンテナ共用器23に接続され、着呼時、相手方からの無線電波を基地局等から受信する。アンテナ共用器23には受信部18が接続され、アンテナ16から導かれる受信データを受信して映像や音声等を復調処理し、復調後の映像及び音声データDinをCPU32等に出力するようになされる。受信部18には、CPU32を通じて映像&音声処理部44が接続され、デジタルの音声データをデジタル/アナログ変換して音声信号Soutを出力したり、デジタルの映像データをデジタル/アナログ変換して映像信号Svを出力するようになされる。
映像&音声処理部44には大音響用を構成するスピーカー36a及び、受話器を構成するアクチュエータ機能付きのスピーカー36bが接続される。スピーカー36aは、着呼時、音響信号Sout1に基づいて着信音や着信メロディ等を鳴動するようになされる。スピーカー36bは、音声信号Sout2’を入力して相手方の話声30d等を拡大するようになされる。また、スピーカー36bは、触覚提示時、振動発生信号Sout2に基づいて振動するようになされる。
この映像&音声処理部44にはスピーカー36a,36bの他に、送話器を構成するマイクロフォン13が接続され、操作者の声を集音して音声信号Sinを出力するようになされる。映像&音声処理部44は、発呼時、相手方へ送るためのアナログの音声信号Sinをアナログ/デジタル変換してデジタルの音声データを出力したり、アナログの映像信号Svをアナログ/デジタル変換してデジタルの映像データを出力するようになされる。
CPU32には受信部18の他に、送信部22が接続され、相手方へ送るための映像及び音声データDout等を変調処理し、変調後の送信データをアンテナ共用器23を通じアンテナ16に供給するようになされる。アンテナ16は、アンテナ共用器23から供給される無線電波を基地局等に向けて輻射するようになされる。
上述のCPU32には送信部22の他に、カメラ34が接続され、被写体を撮影して、例えば、静止画情報や動作情報を送信部22を通じて相手方に送信するようになされる。カメラ34は筐体401の背面側に設けている。電源ユニット33は、バッテリー94を有しており、受信部18、送信部22、表示部29、CPU32、カメラ34、記憶部35、メモリ部37、映像&音声処理部44及び、入力検出部45にDC電源を供給するようになされる。なお、この例で、メモリ部37を映像&音声処理部44とは別個に設ける場合について説明したが、映像&音声処理部44に備え付けの記憶装置を兼用するようにしてもよい。部品点数が低減できる。
図8は、携帯電話機100の動作例を示すフローチャートである。この例では、操作パネル98に関してフラットモードと、凹凸モードとのいずれかを選択するように入力操作モードが設定される。これを動作条件にして、図8に示すフローチャートのステップST1でCPU32は、入力操作モードの設定を待機する。入力操作モードが設定された場合は、ステップST2に移行して制御を分岐する。
例えば、フラットモードが選択された場合、CPU32は、アクチュエータ駆動部25を通電せずに、ステップST4に移行して、図6Aに示したように触覚シート部材10を初期の状態まま使用して各種入力処理が実行される。ステップST2で凹凸モードが選択された場合、CPU32は、アクチュエータ駆動部25を通電し、ステップST3に移行して、図6Bに示したように触覚シート部材10を突出状態となされる。
その後、ステップST4でCPU32は、突出状態の触覚シート部材10を使用して各種入力処理が実行される。そして、ステップST5に移行してCPU32終了判別を実行する。例えば、電源オフ情報を検出する。電源オフ情報が検出された場合は、当該入力処理を終了する。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップST1に戻って当該入力操作モードの設定を待機する。以後、上述した処理を繰り返すようになされる。
このように、本発明に係る入力装置90を実装した第1の実施例に係る携帯電話機100によれば、本発明に係る触覚シート部材10が応用されるので、表示部29の操作面(突起形成シート部1の表面)が平坦状に観察されても、凹凸モード選択時、隆起要素部材2の一部が開孔部B1〜B20を介して突出するようになる。
従って、入力装置90の操作面に関して、凹状のみならず、凸状または凹凸状の両方の手触り感をユーザに与えることができる。しかも、ユーザに与える凹凸感(フィーリング)を改善できるようになった。更に、ユーザに対して凹凸感を強調できるので、開孔部B1〜B20が設けられた位置に凹凸状の突出部B1’〜B20’が存在していることがわかり易くなった。
このことで、従来、十分な凹凸表現が必要であったために、表示部29上に構成することのできなかった入力機能に関して、携帯電話機100において、暗闇であっても手探りで位置を確認できる必要のある入力ボタンなどを表示部29上に構成できるようになった。この結果、操作パネルで入力キーが配置してあった面積および体積が携帯電話機100に必要なくなり、当該携帯電話機100の小型化及び薄型化が可能となる。
図9は、第2の実施例としての携帯電話機200の構成例を示す斜視図である。この実施例では、折り畳み型の携帯電話機200にアクチュエータ駆動部25を有した触覚シート部材10を備えたものであって、触覚シート部材10は表示部29の上部(表示素子の投影面上)ではなく、下部筐体40側の操作パネル98に配設したものである。
図9に示す携帯電話機200は電子機器の一例を構成し、上部筐体20、下部筐体40及びヒンジ機構41を有して構成される。上部筐体20は第2の筐体の一例を構成し、表示部29及びスピーカー36aを有している。下部筐体40は第1の筐体の一例を構成し、マイクロフォン13及び操作パネル98(操作面)を有している。ヒンジ機構41は上部筐体20と下部筐体40とを可動自在に係合するようになされる。
操作パネル98には、各種機能キーが設けられている。例えば、K1は「1」数字キー、K2は「2」数字キー、K3は「3」数字キー、K4は、「4」数字キー、K5は「5」数字キー、K6は「6」数字キー、K7は「7」数字キー、K8は「8」数字キー、K9は「9」数字キー、K10は「0」数字キーである。K11は「*」記号キー、K12は「#」記号キー、K13はメニューボタンキー、K14は上部検索キー、K15は下部検索キー、K16は左部検索キー、及び、K17は右部検索キーである。
この例で、操作パネル98の下方には、アクチュエータ駆動部25を有した触覚シート部材10が備えられ、操作パネル98の表面が平坦状に観察されても、第1の実施例のような凹凸モードが選択されたとき、上述の各種機能キーが一斉に突出するようになされる。なお、第1の実施例と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するのでその説明を省略する。
続いて、携帯電話機200の組立例(下部筐体部分)について説明する。図10は、アクチュエータ駆動付きの触覚シート部材10を有した携帯電話機200の組立例を示す分解斜視図である。
図10に示す携帯電話機200の組立例によれば、まず、所定の大きさの下部筐体40を準備する。下部筐体40は有底状の箱形を有しており、その長さがL2[mm]で、幅がW2[mm]で、高さがH2[mm]である。下部筐体40にはアルミニウム等の軽金属板を箱形にプレス加工したものが使用される。もちろん、下部筐体40には樹脂を金型に射出して箱形に成型したものを使用してもよい。下部筐体40の背面側にはヒンジ機構41が設けられる。
次に、下部筐体40内に実装する中間組立体102を形成する。例えば、17個のドームスイッチ6aや図示しないLED素子等を実装した回路基板7の上部にスイッチプレート部6を実装した組立部材を準備する。スイッチプレート部6には、「0」〜「9」数字キーK1〜K10や、「*」、「#」等の記号キーK11,K12、メニューボタンキーK13、上部検索キーK14、下部検索キーK15、左部検索キーK16、右部検索キーK17を構成する数字や、記号、△印及び□印を印字した銘板を準備する。このような組立部材が準備できたら、スイッチプレート部6の上方に隆起要素部材202を接合する。
この例で、隆起要素部材202には、「0」〜「9」数字キーK1〜K10や、「*」、「#」等の記号キーK11,K12、メニューボタンキーK13、上部検索キーK14、下部検索キーK15、左部検索キーK16、右部検索キーK17を画定するための17個の凸部2aを設けている。隆起要素部材202には、図1で説明した、突起形成シート部11よりも低い硬度を有した柔軟性の物質を使用する。例えば、隆起要素部材202には突起形成シート部11の硬度60°乃至80°と異なる硬度20乃至40°の透明性のシリコンゴム部材を使用する。
更に、隆起要素部材202の外周縁部にアクチュエータ駆動部25を取り付ける。アクチュエータ駆動部25には、非通電時、アクチュエータ本体部25’が所定の厚みを維持しており、通電時には、アクチュエータ本体部25’が縮退してその厚みが薄くなるものを使用する。
その後、アクチュエータ駆動部25に突起形成シート部11を取り付ける。突起形成シート部11には図1説明した、ポリエーテルスルホン系の透明材料を使用する。例えば、突起形成シート部11には、硬度60乃至80°の透明性の比較的堅いシリコンゴム部材を使用し、図10に示したような17個の開孔部B1〜B17をマトリクス状に開口したものを使用する。
この例で、突起形成シート部11の開孔部B1〜B17は、各種機能キーに対応させて配置している。例えば、開孔部B1は、「1」数字キーK1上に配設し、開孔部B2は、「2」数字キーK2上に配設し、開孔部B3は、「3」数字キーK3上に配設し、開孔部B4は、「4」数字キーK4上に配設し、開孔部B5は、「5」数字キーK5上に配設し、開孔部B6は、「6」数字キーK6上に配設し、開孔部B7は、「7」数字キーK7上に配設し、開孔部B8は、「8」数字キーK8上に配設し、開孔部B9は、「9」数字キーK9上に配設し、開孔部B10は、「0」数字キーK10上に配設している。
また、開孔部B11は、「*」記号キーK11上に配設し、開孔部B12は、「#」記号キーK12上に配設し、開孔部B13は、メニューボタンキーK13上に配設し、開孔部B14は、上部検索キーK14上に配設し、開孔部B15は、下部検索キーK15上に配設し、開孔部B16は、左部検索キーK16上に配設し、開孔部B17は、右部検索キーK17上に配設している。その後、突起形成シート部11の上方に接着剤を使用して表面用のシート部材4を取り付ける。シート部材4は突起形成シート部11及び開孔部B1〜B17の上部に設けることで、保護膜の機能を発揮する。シート部材4には、当該触覚シート部材10の透過率及び屈折率とほぼ等しい透過率及び屈折率の透明性の材料が使用される。例えば、透明性の材料の一例を成す膜厚t=25[μm]程度のゼオノアが使用される。硬度は、20°乃至40°程度である。
これにより、回路基板7のスイッチプレート部6上に、隆起要素部材202、アクチュエータ駆動部25、突起形成シート部11、表面用のシート部材4が積層された中間組立体102が得られる。そして、中間組立体102を下部筐体40の内部に実装する。中間組立体102は下部筐体40の内部にビス止め等により固定する。これにより、図9に示したような携帯電話機200が完成する。
続いて、アクチュエータ駆動付きの触覚シート部材10を有した携帯電話機200の動作例について説明する。図11A及びBは、携帯電話機200の動作例を示す一部破砕の断面図である。この実施例では、触覚シート部材10の初期状態と、その隆起要素部材202の突出状態との2つに分けて説明する。また、実施例では、上部筐体20の開蓋動作を検出してアクチュエータ駆動部25を制御する場合を例に採る。
図11Aに示す携帯電話機200によれば、上部筐体20が下部筐体40の上部を覆って閉じている状態(閉蓋状態)である。
携帯電話機200の閉蓋状態では、硬い突起形成シート部11の下面に、当該突起形成シート部11よりも柔らかい隆起要素部材202が全域にわたって存在している。その初期状態によれば、突起形成シート部11の所定の位置に設けられた17個の開孔部B1〜B17の各々に、隆起要素部材202による凸部2aが自己整合的に合わせ込まれている。
隆起要素部材202は、各々の開孔部B1〜B17の開口径φを投影した位置において、凸部2aを成している。凸部2aは、突出部B1’〜B17’を形成する際の切っ掛けとなる部分である。もちろん、凸部2aは無くてもよい。アクチュエータ駆動部25は、開孔部B1〜B17の開口径φを投影する部分を除く領域に設けられる。突起形成シート部11の上部には表面用のシート部材4が設けられている。
[突出状態]
次に、図11Bに示すアクチュエータ駆動部25に駆動電圧を印加すると、アクチュエータ本体部25’が縮退することから、アクチュエータ駆動部25と回路基板7との間隔が詰まって、突起形成シート部11が隆起要素部材202を押圧するようになる。突起形成シート部11によって押圧された隆起要素部材202は、厚みが薄くなると共に、各々の開孔部B1〜B17の方へ回り込んで、隆起要素部材202の凸部2aが各々の開孔部B1〜B17を貫くようになる。17個の開孔部B1〜B17を貫いた隆起要素部材202は、各々の開孔部B1〜B17の上部に至り、表面用のシート部材4に当接して各々の開孔部B1〜B17の外部へ露出するようになる。
これにより、突起形成シート部11によって画定される、17個の開孔部B1〜B17の内部の隆起要素部材202が隆起することで、その上方に触覚用の突出部B1’〜B17’を各々の形成できるようになり、ユーザに与える凹凸感(フィーリング)を改善できるようになる。また、ユーザに対して凹凸感を強調できるので、各々の開孔部B1〜B17が設けられた位置に凹凸状の突出部B1’〜B17’が存在していることがわかり易くなる。
このように、第2の実施例に係る携帯電話機200によれば、本発明に係るアクチュエータ駆動付きの触覚シート部材10が備えられるので、操作パネル98の操作面(突起形成シート部11の表面)が平坦状に観察されても、凹凸モード選択時、隆起要素部材202の一部が開孔部B1〜B17を介して突出するようになる。
従って、操作パネル98の操作面に関して、凹状のみならず、凸状または凹凸状の両方の手触り感をユーザに与えることができる。しかも、ユーザに与える凹凸感(フィーリング)を改善できるようになった。更に、ユーザに対して凹凸感を強調できるので、開孔部B1〜B17が設けられた位置に凹凸状の突出部B1’〜B17’が存在していることがわかり易くなった。
図12は、第3の実施例としての携帯電話機300の構成例を示す斜視図である。この実施例では、本発明に係る触覚シート部材10をスライド型の携帯電話機300に備え、アクチュエータ駆動部25に依存することなく、下部筐体40に対する上部筐体20のスライド操作に応じて自動的に操作面に凸部2aを出現できるようにした。
図12に示す携帯電話機300は電子機器の一例を構成し、操作面を有して操作者の指等による摺動又は及び押下操作によって情報を入力する入力検出部45(入力部)を備えている。入力検出部45は回路基板7に実装される。この例でも、入力検出部45の一部又は全部を覆うように触覚シート部材10が設けられ、操作面に沿って摺動又は及び押下操作される。携帯電話機300は、上部筐体20と下部筐体40とをスライド自在に係合して構成される。この例では、アクチュエータ駆動部25が省略されている。
携帯電話機300は第2の実施例に係る携帯電話機200と異なり、下部筐体40の内部に一対のスライド部材61a,61bとレール部材62a,62bとを有している。
スライド部材61a,61bは上部筐体20に取り付けられる。スライド部材61a,61bは金属板を金打ち抜き及び折り曲げ加工して形成される。例えば、羽子板を半裁した形状を成すようにスライド部材61a,61bを形成する。
スライド部材61aの上部には一対の懸垂部601,602が設けられる。同様にして、スライド部材61bの上部には一対の懸垂部603,604が設けられる。懸垂部601,602,603,604は上部筐体20の底面に取り付け可能なアングル構造を有している。スライド部材61aは懸垂部601,602を介して上部筐体20の底面にビス止め等により固定される。同様にして、スライド部材61bは懸垂部603,604を介して上部筐体20の底面にビス止め等により固定される。スライド部材61aの下部にはなだらかな傾斜部621が設けられる。同様にして、スライド部材61bの下部にはなだらかな傾斜部622が設けられる。
傾斜部621,622はスライド方向を基準して、ある基準面からの高さが先端が高く、後端が低く設定されている。この高さの差(段差)は、スライド部材61a,61bで突起形成シート部12を隆起要素部材203の方へ徐々に押し付けるためである。スライド部材61aで傾斜部621に続く部位は足下部623となされている。同様にして、スライド部材61bで傾斜部622に続く部位は足下部624となされている。
上述のスライド部材61aは、レール部材62aに摺動自在に係合され、スライド部材61bは、レール部材62bに摺動自在に係合される。レール部材62a,62bは断面C形状を有して下部筐体40の内部の両壁に立設して取り付けられる。レール部材62a,62bは金属板を折り曲げ加工して形成される。レール部材62aのC形状の上部位には、切り欠き部611,612が設けられる。同様にして、レール部材62bのC形状の上部位には、切り欠き部613,614が設けられる。
切り欠き部611にはスライド部材61aの懸垂部601が可動自在に係合され、切り欠き部612にはスライド部材61aの懸垂部602が可動自在に係合される。同様にして、切り欠き部613にはスライド部材61bの懸垂部603が可動自在に係合され、切り欠き部614にはスライド部材61bの懸垂部604が可動自在に係合され、これらのスライド動作(可動範囲)を規制するようになされる。
一対のレール部材62a,62bの間の領域には、第2の実施例と同様にして、スイッチプレート部6、回路基板7、隆起要素部材203及び突起形成シート部12等の積層体が配設される。この例で、突起形成シート部12は、所定の硬度を有したシート状を成している。隆起要素部材203は突起形成シート部12よりも低い硬度を有した柔軟性の物質から成るものである。この例で、突起形成シート部12には9個の開孔部B1〜B9がマトリクス状(3行×3列)に設けられている。
この例でも、隆起要素部材203は、突起形成シート部12の下面側の所定の領域に配設されて、一部が開孔部B1〜B9を介して突出可能となされている。隆起要素部材203の凸部2aは各々の開孔部B1〜B9を覗く位置に自己整合的に合わせ込まれる。更に、突起形成シート部12の両側には被押下部12a,12bが設けられる。スライド部材61aの足下部623で被押下部12aを押し付ける(踏み込む)ようになされ、スライド部材61bの足下部624で被押下部12bを押し付ける(踏み込む)ようになされる。被押下部12aは突起形成シート部12の左側に設けられ、被押下部12bは突起形成シート部12の右側に設けられる。このような突起形成シート部12及び隆起要素部材203によって触覚シート部材10を構成し、当該触覚シート部材10を実装したスライド型の携帯電話機300を構成できるようになる。
続いて、携帯電話機300の動作例について説明する。図13〜図15は、携帯電話機300の動作例(その1〜3)を示す断面図である。この動作例では、左側のスライド部材61aの動きについて説明をする。右側のスライド部材61bの動きについては、左側のスライド部材61aと同様なので、その説明を省略する。図13A、図14A及び図15Aはスライド部材61aの動きを示しており、図13B、図14B及び図15Bは突起形成シート部12の動きを示している。
図13A及びBに示す携帯電話機300は、下部筐体40に対して上部筐体20が閉じた閉蓋状態である。
この例では、図13A,Bに示した閉蓋状態の上部筐体20を下部筐体40に対して、図14A,Bに示すスライド方向I(左→右,左←右)に摺動(スライド)する。この摺動操作によって、スライド部材61aの懸垂部601がレール部材62aの切り欠き部611に沿って規制され、その懸垂部602がレール部材62aの切り欠き部612に沿って規制されながら、スライド部材61aの足下部623が突起形成シート部12の被押下部12aに到達する。
更に、図14A,Bに示したスライド状態の上部筐体20を下部筐体40に対して、図15A,Bに示すスライド方向に摺動操作を継続する。この摺動操作によって、足下部623が隆起要素部材203を徐々に下方へ押し下げるようになされる。図中、IIは突起形成シート部12の押下方向であり、IIIは隆起要素部材203 の隆起方向である。このとき、切り欠き部611に沿って規制されたスライド部材61aの懸垂部601は、レール部材62aの終端部に到達すると共に、その懸垂部602がレール部材62aの終端部に到達する。
これにより、スライド完了時に、図15A,Bに示す足下部623が被押下部12aを押し付ける(踏み付ける)姿勢を採るので、隆起要素部材203の厚みが薄くなると共に、突起形成シート部12と隆起要素部材203との間隔が最も詰まるようになされる。この結果、突起形成シート部12によって画定される、9個の開孔部B1〜B9の内部の隆起要素部材203が隆起することで、その上方に触覚用の突出部B1’〜B9’を各々の形成できるようになる。
このように、第3の実施例に係るスライド型の携帯電話機300によれば、本発明に係る触覚シート部材10を備え、アクチュエータ駆動部25に依存することなく、下部筐体40に対する上部筐体20のスライド操作に応じて自動的に操作面に凸部2aを出現できるようになった。
上述した例では、操作面(突起形成シート部12の表面)が平坦状に観察されても、上部筐体20の開蓋動作に連動して、隆起要素部材203の一部が開孔部B1〜B9を介して突出するようになる。従って、第1及び第2の実施例と同様にして操作面に関し、凹状のみならず、凸状または凹凸状の両方の手触り感をユーザに与えることができる。しかも、ユーザに与える凹凸感(フィーリング)を改善できるようになった。更に、ユーザに対して凹凸感を強調できるので、開孔部B1〜B9が設けられた位置に凹凸状の突出部B1’〜B9’が存在していることがわかり易くなった。
図16は、ヒンジ機構連動式の触覚シート部材10を備えた第4の実施例としての携帯電話機400の構成例を示す斜視図である。この実施例では、本発明に係る触覚シート部材10を折り畳み型の携帯電話機400に備え、アクチュエータ駆動部25に依存することなく、下部筐体40に対する上部筐体20の回動操作に応じて自動的に操作面に凸部2aを出現できるようにした。
図16に示す携帯電話機400は電子機器の一例を構成し、上部筐体20、下部筐体40及びヒンジ機構41を有して構成される。下部筐体40は第1の筐体の一例を構成し、操作パネル98(操作面)を有している。上部筐体20は第2の筐体の一例を構成し、表示部29及びスピーカー36aを有している。
操作パネル98には、第2の実施例と同様にして、「1」数字キーK1、「2」数字キーK2、「3」数字キーK3、「4」数字キーK4、「5」数字キーK5、「6」数字キーK6、「7」数字キーK7、「8」数字キーK8、「9」数字キーK9、「0」数字キーK10、「*」記号キーK11、「#」記号キーK12、メニューボタンキーK13、上部検索キーK14、下部検索キーK15、左部検索キーK16及び右部検索キーK17が設けられている。
この例で、操作パネル98の下方には、アクチュエータ駆動部25が省略された触覚シート部材10が備えられている。触覚シート部材10は、第2の実施例と同様にして、下部筐体40側の操作パネル98に配設される。
下部筐体40の端部には、ヒンジ機構41が設けられ、上部筐体20と下部筐体40とを回動自在に係合するようになされる。ヒンジ機構41は、例えば、1本の軸部42と1対の軸受部43a,43bから構成される。軸部42は上部筐体20に設けられる。軸受部43a,43bは下部筐体40に設けられる。このようにヒンジ機構41を構成すると、下部筐体40に対してヒンジ機構41により上部筐体20を可動自在に開閉できるようになる。
ヒンジ機構41には動力伝達部材の一例を構成する断面C形の1対のリンク部材48a,48bが設けられている。リンク部材48a,48bは、ヒンジ機構41の軸部42に固定され、下部筐体40に対する上部筐体20の開蓋動作に連動して隆起要素部材2を突起形成シート部11の側に押し上げるように動作する。リンク部材48a,48bは、例えば、上部筐体20が開蓋動作を開始し、その開蓋動作を完了する直前に積層構造体104を押し上げるように動作する。
この例で、積層構造体104は表面用のシート部材4及び突起形成シート部11を除く、隆起要素部材202、スイッチプレート部6、入力検出部45及び回路基板7から構成される。積層構造体104は、下部筐体40に対して垂直方向に可動可能な構造となされている。例えば、積層構造体104の側面と下部筐体40の側壁との間に、図示しないスライド機構が設けられ、リンク部材48a,48bの押し上げ力によって上・下方向に円滑に移動可能となされる。
突起形成シート部11は、積層構造体104の突き上げに耐えうるように下部筐体40に固定される。この例では、積層構造体104がリンク部材48a,48bにより突き上げられることで、突起形成シート部11の下面側に隆起要素部材202が押し付けられる。この結果で、隆起要素部材202が突起形成シート部11の各々の開孔部B1〜B17へ導入されるようになされる。
この例でも、操作パネル98の表面が平坦状に観察されても、上部筐体20が開蓋状態となされたとき、上述の各種機能キーが一斉に突出するようになされる。なお、第2の実施例と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するのでその説明を省略する。
続いて、携帯電話機400の動作例について説明する。この実施例では、上部筐体20の閉蓋状態(触覚シート部材10の初期状態)と、その途中状態、及び、その開蓋完了状態(隆起要素部材202の突出状態)との3つに分けて説明する。
[初期状態]
図17は、携帯電話機400の動作例(その1)を示す一部破砕の断面図である。図17に示す携帯電話機400によれば、上部筐体20が下部筐体40の上部を覆って閉じている状態(閉蓋状態)である。携帯電話機400の閉蓋状態では、硬い突起形成シート部11の下面に、当該突起形成シート部11よりも柔らかい隆起要素部材202が全域にわたって存在している。その初期状態によれば、突起形成シート部11の所定の位置に設けられた17個の開孔部B1〜B17の各々に、隆起要素部材202による凸部2aが自己整合的に合わせ込まれている。
隆起要素部材202は、各々の開孔部B1〜B17の開口径φを投影した位置において、凸部2aを成している。凸部2aは、突出部B1’〜B17’を形成する際の切っ掛けとなる部分である。もちろん、凸部2aは無くてもよい。アクチュエータ駆動部25は、開孔部B1〜B17の開口径φを投影する部分を除く領域に設けられる。突起形成シート部11の上部には表面用のシート部材4が設けられている。
C形のリンク部材48a,48bは、基準位置pから角度θ1を成している。ここにθ1は積層構造体104への当接位置を基準位置pとしたとき、リンク部材48a,48bの初期位置HP(ホームポジション)と基準位置pとが成す角度である。リンク部材48a,48bの初期位置HPは、携帯電話機400が閉蓋状態であって、上部筐体20が下部筐体40の上部を覆って閉じている状態の軸部42の位置である。
図18A及びBは、携帯電話機400の動作例(その2)を示す一部破砕の断面図である。
[途中状態]
図18Aに示す携帯電話機400の開蓋途中の状態によれば、下部筐体40に対する上部筐体20の開蓋角度θxが大きくなるように開蓋動作を続けると、リンク部材48a,48bが積層構造体104の下面側を突き上げ始める。このことから、隆起要素部材202が突起形成シート部11の下面側を押圧するようになる。このとき、リンク部材48a,48bは当該移動地点で回転角度φxを成している。回転角度φxはリンク部材48a,48bの当該移動位置と、積層構造体104への当接位置との成す角度である。突起形成シート部11と積層構造体104との間隔が徐々に詰まってくる。
[突出状態]
図18Bに示す携帯電話機400の開蓋完了時の状態によれば、リンク部材48a,48bは角度θ2を成している。θ2は積層構造体104への当接位置とリンク部材48a,48bの押上位置との成す角度である。このとき、突起形成シート部11によって上方向への移動が阻止された隆起要素部材202は、厚みが薄くなると共に、各々の開孔部B1〜B17の方へ回り込んで、当該隆起要素部材202の凸部2aが各々の開孔部B1〜B17を貫くようになる。17個の開孔部B1〜B17を貫いた隆起要素部材202は、第2の実施例と同様にして各々の開孔部B1〜B17の上部に至り、表面用のシート部材4に当接して各々の開孔部B1〜B17の外部へ露出するようになる。
これにより、第2の実施例と同様にして、突起形成シート部11によって画定される、17個の開孔部B1〜B17の内部の隆起要素部材202が隆起方向IIIへ隆起することで、その上方に触覚用の突出部B1’〜B17’を各々の形成できるようになり、ユーザに与える凹凸感(フィーリング)を改善できるようになる。また、ユーザに対して凹凸感を強調できるので、各々の開孔部B1〜B17が設けられた位置に凹凸状の突出部B1’〜B17’が存在していることがわかり易くなる。
このように、第4の実施例に係る折り畳み型の携帯電話機400によれば、本発明に係る触覚シート部材10を備え、下部筐体40に対する上部筐体20の回動操作に応じて連動する、ヒンジ機構41のリンク部材48a,48bの突き上げ動作により、自動的に、隆起要素部材202の一部を突起形成シート部11の開孔部B1〜B17を介して外部へ突出できるようになった。
従って、アクチュエータ駆動部25に依存することなく、操作面に凸部2aを出現できるようになったので、第2の実施例に比べ、突出部B1’〜B17’の作成に係る電力量の消費を無くすことができた。これにより、ヒンジ機構41の開蓋動作に伴って各機器状態に好ましい、操作面の形状に対応した入力部および電子機器を実現できるようになった。これにより、電力消費を伴うことなく、携帯電話機400のスタイルに合った様々な入力装置の構成を提供できるようになった。
図19は、ヒンジ機構連動式の触覚シート部材10を備えた第5の実施例としての携帯電話機500の構成例を示す一部破砕の断面図である。この実施例では、本発明に係る触覚シート部材10を折り畳み型の携帯電話機500に備え、アクチュエータ駆動部25に依存することなく、1対×2組のワイヤー部材58a〜58dを使用して、下部筐体40に対する上部筐体20の回動操作に応じて自動的に操作面に凸部2aを出現できるようにした。
図19に示す携帯電話機500は電子機器の一例を構成し、第4の侍史例と同様にして、上部筐体20、下部筐体40及びヒンジ機構41を有して構成される。下部筐体40は操作パネル98(操作面)を有している。上部筐体20は表示部29等を有している。操作パネル98には、第2及び第4の実施例と同様にして、「1」数字キーK1〜「9」数字キーK9、「0」数字キーK10、「*」記号キーK11、「#」記号キーK12、メニューボタンキーK13、上部検索キーK14、下部検索キーK15、左部検索キーK16及び右部検索キーK17が設けられている。
この例でも、操作パネル98の下方には、アクチュエータ駆動部25が省略された触覚シート部材10が備えられている。触覚シート部材10は、第2及び第4の実施例と同様にして、下部筐体40側の操作パネル98に配設される。
下部筐体40の端部には、ヒンジ機構41が設けられ、上部筐体20と下部筐体40とを回動自在に係合するようになされる。ヒンジ機構41は、第4の実施例で説明した通りである。
この例で、突起形成シート部11は下部筐体40に対して垂直方向に可動可能な構造となされる。例えば、突起形成シート部11の側面と下部筐体40の側壁との間に、図示しないガイド溝が設けられる。積層構造体104は第4の実施例と異なり、表面用のシート部材4及び突起形成シート部11の引き下げに耐えうるように、下部筐体40に固定される。
この例では、突起形成シート部11を上方から下方へ引っ張り込むために、4本のワイヤー部材58a〜58dが使用される。ワイヤー部材58a,58b,58c,58dは、突起形成シート部11を均等に引き下げるために、その四隅に取り付けられる。ワイヤー部材58a,58bは、突起形成シート部11の左側に接合され、ワイヤー部材58c,58dは、突起形成シート部11の右側に接合される。この例では、下部筐体40の左側のワイヤー部材58a,58bの動作例のみについて説明する。右側のワイヤー部材58c,58dの動作例については左側と同様となるので、その説明を省略する。
ヒンジ機構41にはワイヤー巻取部49が設けられ、動力伝達部材の一例を構成するワイヤー部材58a〜58dを巻き取るようになされる。ワイヤー巻取部49は、ヒンジ機構41の軸部42に固定され、下部筐体40に対する上部筐体20の開蓋動作に連動して、1対×2組のワイヤー部材58a〜58dを巻き取るようになされる。この巻き取り動作によって、突起形成シート部11が隆起要素部材2の側に引き下げることで、当該突起形成シート部11が隆起要素部材2を押し潰すように動作する。
この例で下部筐体40の底部には、例えば、6個の従動プーリ部59a〜59fが固定され、ワイヤー部材58a〜58dの索引方向を変更するようになされる。従動プーリ部59a〜59cは、下部筐体40の底部の左側に配設され、従動プーリ部59d〜59fは、その右側に配設される。
従動プーリ部59aは、ワイヤー部材58aの索引方向を90°変更してワイヤー部材58aがヒンジ機構41へ向くように動作する。従動プーリ部59bは、ワイヤー部材58bの索引方向を90°変更してワイヤー部材58bがヒンジ機構41へ向くように動作する。従動プーリ部59cは、ワイヤー部材58a,58bの索引方向を90°変更して、ワイヤー部材58a,58bがヒンジ機構41のワイヤー巻取部49に向くように動作する。他の従動プーリ部59d〜59dについても同様になされる。なお、従動プーリ部59c,59fは省略してもよい。従動プーリ部59a〜59fは、サドルのような逆U形のガイド部材でもよい。
ワイヤー部材58a,58bは、例えば、上部筐体20が開蓋動作を開始すると共に、ワイヤー巻取部49によって巻き取られるので、突起形成シート部11を引き下げるように動作する。このワイヤー部材58a,58bの引き下げ動作によって突起形成シート部11が隆起要素部材202の上面側に押し付けられる。この結果、隆起要素部材202が突起形成シート部11の各々の開孔部B1〜B17へ導入されるようになされる。
この例では、開蓋開始時、操作パネル98の表面が平坦状に観察されても、上部筐体20が開蓋完了状態となされたとき、上述の各種機能キーが一斉に突出するようになされる。なお、第2及び第4の実施例と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するのでその説明を省略する。
続いて、携帯電話機500の動作例について説明する。図20A及びBは、携帯電話機400の動作例を示す一部破砕の断面図である。この動作例では、まず、図19に示した携帯電話機400(閉蓋状態)の開蓋操作を開始する。そして、図20Aに示す携帯電話機400開蓋途中の状態によれば、ワイヤー部材58a,58bのたるみが無くなり、突起形成シート部11を引き下げ動作に移行するようになる。
この例で、下部筐体40に対する上部筐体20の開蓋角度θxが大きくなるように開蓋動作を続けると、ワイヤー巻取部49がワイヤー部材58a,58bを巻き上げるので、突起形成シート部11が積層構造体104の上面側を押圧し始める。突起形成シート部12は、隆起要素部材202を押下方向IIに押圧することから、隆起要素部材202の厚みが徐々に薄くなってくる。この結果、突起形成シート部11と積層構造体104との間隔が徐々に詰まってくる。
更に、図20Bに示す携帯電話機400の開蓋完了時の状態によれば、上部筐体20は角度θ21を成している。θ21は下部筐体40と上部筐体20とが成す角度である。このとき、突起形成シート部11によって押し付けられた隆起要素部材202は、厚みが薄くなると共に、各々の開孔部B1〜B17の方へ回り込んで、当該隆起要素部材202の凸部2aが各々の開孔部B1〜B17を貫くようになる。17個の開孔部B1〜B17を貫いた隆起要素部材202は、第2及び第4の実施例と同様にして各々の開孔部B1〜B17の上部に至り、表面用のシート部材4に当接して各々の開孔部B1〜B17の外部へ露出するようになる。
これにより、第2及び第4の実施例と同様にして、突起形成シート部11によって画定される、17個の開孔部B1〜B17の内部の隆起要素部材202が隆起方向IIIへ隆起することで、その上方に触覚用の突出部B1’〜B17’を各々の形成できるようになり、ユーザに与える凹凸感(フィーリング)を改善できるようになる。また、ユーザに対して凹凸感を強調できるので、各々の開孔部B1〜B17が設けられた位置に凹凸状の突出部B1’〜B17’が存在していることがわかり易くなる。
このように、第5の実施例に係る折り畳み型の携帯電話機500によれば、本発明に係る触覚シート部材10を備え、下部筐体40に対する上部筐体20の回動操作に応じて連動する、ヒンジ機構41のワイヤー巻取部49のワイヤー巻き取り動作により、自動的に、隆起要素部材202の一部を突起形成シート部11の開孔部B1〜B17を介して外部へ突出できるようになった。
従って、アクチュエータ駆動部25に依存することなく、操作面に凸部2aを出現できるようになったので、第4の実施例と同様にして、第2の実施例に比べ、突出部B1’〜B17’の作成に係る電力量の消費を無くすことができた。これにより、ヒンジ機構41の開蓋動作に伴って各機器状態に好ましい、操作面の形状に対応した入力部および電子機器を実現できるようになった。これにより、電力消費を伴うことなく、携帯電話機500のスタイルに合った様々な入力装置を提供できるようになった。
上述の実施例では、電子機器に関して、携帯電話機100〜500の場合について説明したが、これに限られることはなく、ビデオカメラや、デジタルカメラ、現金自動預け払い機等の電子機器に本発明に係る触覚シート部材を備えた入力装置を利用できることはいうまでもない。
この発明は、アイコン画面に触れると触覚を提示する触覚入力機能を備えたデジタルカメラや、ビデオカメラ、携帯電話機、携帯端末装置、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ(以下パソコンという)、ノート型のパソコン、ATM等の電子機器に適用して極めて好適である。
実施形態としての触覚シート部材10の構成例を示す斜視図である。
(A)〜(C)は、触覚シート部材10の機能例を示す断面図である。
第1の実施例としての非折畳み式の携帯電話機100の構成例を示す斜視図である。
携帯電話機100における入力装置90の構成例を示す斜視図である。
入力装置90の組立例を示す分解斜視図である。
(A)及び(B)は、触覚シート部材10を有した入力装置90の動作例を示す断面図である。
携帯電話機100の制御系の構成例及びその感触フィードバック機能例を示すブロック図である。
携帯電話機100の動作例を示すフローチャートである。
第2の実施例としての携帯電話機200の構成例を示す斜視図である。
アクチュエータ駆動付きの触覚シート部材10を有した携帯電話機200の組立例を示す分解斜視図である。
(A)及び(B)は、携帯電話機200の動作例を示す一部破砕の断面図である。
第3の実施例としての携帯電話機300の構成例を示す斜視図である。
携帯電話機300の動作例(その1)を示す断面図である。
携帯電話機300の動作例(その2)を示す断面図である。
携帯電話機300の動作例(その3)を示す断面図である。
ヒンジ機構連動式の触覚シート部材10を備えた第4の実施例としての携帯電話機400の構成例を示す斜視図である。
携帯電話機400の動作例(その1)を示す一部破砕の断面図である。
(A)及び(B)は、携帯電話機400の動作例(その2)を示す一部破砕の断面図である。
ヒンジ機構連動式の触覚シート部材10を備えた第5の実施例としての携帯電話機500の構成例を示す一部破砕の断面図である。
(A)及び(B)は、携帯電話機400の動作例を示す一部破砕の断面図である。
符号の説明
1,11,12・・・突起形成シート部(突起形成用の素材)、2,202,203・・・隆起要素部材(隆起用の素材)、3・・・基板、4・・・表面用のシート部材、5・・・中間体、6・・・スイッチプレート材、7,97・・・回路基板、10・・・触覚シート部材、15・・・制御部、16,96・・・アンテナ、18・・・受信部、17・・・受信部、22・・・送信部、26・・・画像処理部、29・・・表示部、32・・・CPU(制御部)、34・・・カメラ、35・・・記憶部、36a・・・スピーカー、36b・・・アクチュエータ機能付きのスピーカー、37・・メモリ部、41・・・ヒンジ機構、44・・・映像&音声処理部、45・・・入力検出部、48a,48b・・・リンク部材、49・・・ワイヤー巻取部、58a,58d・・・ワイヤー部材、61a,61b・・・スライド部材、62a,62b・・・レール部材、90・・・触覚機能付きの入力装置、92・・・押しボタンスイッチ、93・・・マイクロフォン、94・・・バッテリー、98・・・操作パネル、100.200,300,400,500・・・携帯電話機(電子機器)