JP5257877B2 - 潤滑構造 - Google Patents

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本発明は潤滑構造に係る。
従来、内燃機関、自動変速機などの分野においては、装置を円滑に作動させるために潤滑油が用いられている。このような潤滑油には、その要求性能に応じて各種添加剤が配合される。例えば、内燃機関用潤滑油(エンジン油)に配合される添加剤としては、酸化防止剤、摩耗防止剤、金属系清浄剤、無灰分散剤などがある。
上記の添加剤のうち、酸化防止剤は、潤滑油の熱・化学的安定性を向上させてロングドレイン化を実現するための重要な役割を担っている。このような酸化防止剤としてはジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)(化学式1)、ジアルキルジチオリン酸モリブデン(MoDTP)(化学式II)、ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)(化学式III)等があり、これらは内燃機関用潤滑油等の分野で広く使用されている。
上記添加剤は、摩擦低減剤としても知られている。それらの構造は化1に示す通りである。
Figure 0005257877
従来から、摩擦係数の低減を目的としてMoDTCを基油に添加することが行われている(例えば特許文献1)。
しかし、MoDTCを基油に添加したとしても、過酷な使用条件によっては、摩擦係数が増加してしまう場合が生じるという課題あった。
かかる課題に対して、摩擦境界面の性状という観点からのアプローチを図った研究が報 告されている(非特許文献1、非特許文献2)。非特許文献1、非特許文献2は、MoDTC添加油の滑り摩擦特性に及ぼす接触面条件の影響について報告している。
そこでは、接触面条件としては、荷重、温度、滑り速度といった運転条件の他に、接触形態(点接触か線接触)を挙げている。
そして、表面粗さ0.01〜0.04μmの材料について実験を行っている。
しかし、非特許文献1、非特許文献2に記載された技術においても依然として、摩擦係数が増加してしまう場合が生じることを避けることができない。
特開2006−292083号公報 村木正芳ほか「合成基油におけるMoDTCとZnDTP併用による摩擦摩耗特性」日本機械学会論文集(C偏)68巻673号(2002−9)227〜232頁 村木正芳ほか「MoDTCの滑り摩擦特性に及ぼす接触形態の影響」トライボロジスト第43巻第6号(1998)508−514)
本発明は、過酷な摩擦条件であっても低摩擦を実現することが可能な潤滑構造を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、金属材料からなる摩擦面の粗さを0.15μm≦Ra≦1.2μmとし、硫黄含有有機モリブデン系摩擦調整剤としてMoDTCを添加した基油を潤滑剤とし、前記硫黄含有有機モリブデン系摩擦調整剤の濃度は500ppm以下である潤滑構造である。
請求項に係る発明は、Ra≧0.30μmとする請求項記載の潤滑構造である。
請求項に係る発明は、Ra≧0.8μmとする請求項1又は2記載の潤滑構造である
求項に係る発明は、前記硫黄含有有機モリブデン系摩擦調整剤の濃度は100ppm以上である請求項1ないしのいずれか1記載の潤滑構造である。
請求項に係る発明は、摩擦面における荷重が50N未満である請求項1ないしのいずれか1記載の潤滑構造である。
請求項に係る発明は、前記基油は、PAO、POE又はこれらの混合油である請求項1ないしのいずれか1項記載の潤滑構造である。
請求項に係る発明は、前記金属材料は軸受鋼である請求項1ないしのいずれか1項記載の潤滑構造である。
請求項に係る発明は、前記摩擦面は点接触摩擦である請求項1ないしのいずれか1項記載の潤滑構造である。
以下に、本発明の作用を本発明をなすに際して得た知見とともに説明する。
本発明者は、過酷な条件においては低摩擦を実現することができない原因を鋭意探求した。非特許文献1、非特許文献2においては、前述した通り、接触面条件としては、荷重、温度、滑り速度、接触形態(点接触、線接触)に原因を求めているが必ずしも解決されてはいない。接触形態でいうならば、点接触の場合には解決をみていない。
本発明者は、非特許文献1、非特許文献2に記載の要因以外に原因があるのではないかと推測し、各種要因の検討を行った。各種要因の検討を行った結果、摩擦面における表面粗度(表面粗さ)が要因の一つではないかとの着想を得た。
非特許文献1、非特許文献2においては、一方の摩擦面の粗さをRa=0.01μm、他方の摩擦面の粗さをRa=0.04としている。また、非特許文献1、非特許文献2では、『点接触の場合でも、接触が突起部近傍に限定されるようなマイルドな条件であれば、低摩擦係数が期待される。』と記載されている。そこで、潤滑面の粗さをさらに小さくして実験を行ったが、摩擦係数の低減への改善は必ずしも達成されなかった。
そこで、全く発想を転換し、MoS膜はそれ自体によって形成されるわけではなく、研磨面との何らかの反応により形成されるのではないかと考えて実験を重ねた。
その結果、ある粗さの範囲にある場合、表面粗さを全く逆の方向である粗い表面とすることが好ましいのではないかと推測し実験を行った。
その結果、摩擦面の表面粗さをある範囲とすると、一定期間経過後に摩擦係数が低下し、低い値で定常状態に達するという現象が生じることを見出した。以下、この一定期間をrunning in period(なじみ時間)と言う。
すなわち、Ra≧0.15μmを境として摩擦係数の低下が表れる。Ra≧0.3によりより顕著に、さらにRa≧0.8μmにより一段と顕著に摩擦係数の低下が表れる。
Ra≧1.2μmとするとMoDTCの濃度が低い場合には摩擦係数の低下が認められない場合もある。従って、Ra≧0.15μmの範囲において、Ra≧0.3μmが好ましく、Ra≧0.8μmがさらに好ましい。また、上限に関しては、Ra=1.5μmが好ましい。Ra>1.5μmにおいては摩擦係数の低下が生じない場合がある。
本発明において、着目すべきは、荷重を大きくして過酷な摩擦面とした場合であっても、摩擦面の粗さを上記範囲とすれば摩擦係数の低下をもたらすことが可能であるということである。
上記に規定するある限定された特定の範囲においては、摩擦面において摩耗が生じるとともに新生面が表出し、その新生面とMoDTCとが何らかの作用を及ぼし合い、その結果MoS膜が形成されるのではないかと考えられる。
なお、潤滑構造において、摩擦する両部材の一方の表面粗さをRa≧0.15μmとしてもよいが、両部材の表面粗さをRa≧0.15μmとすることが好ましい。
MoDTCの濃度は50ppm以上が好ましく、100ppm以上がより好ましく、200ppm以上がさらに好ましい。50ppm未満の場合は荷重が大きくなると摩擦係数低減効果が達成されない場合も生じる。700ppm以上の場合には摩擦面の粗さの影響が少なくなる。従って、700ppm未満の場合に特に有効であり、500ppm以下がより好ましい。少ない添加量で所定の効果を達成することが可能となる。
摩擦面における材料は金属材料である。本発明においては、摩擦面において摩耗が生じるとともに新生面が表出し、その新生面とMoDTCとが何らかの作用を及ぼし合い、その結果MoS膜が形成されると考えられる。摩擦係数の低減もたらすMoSの形成は、新生面が金属表面である場合に特に顕著である。新生の金属面は化学的に活性であり、化学的に活性であるが故にMoDTCとの間で作用を及ぼし合うものと考えられる。摩擦面がゴムである場合においてはMoS膜は形成されたとしても、摩擦係数の低減効果はほとんど生じない。
金属としては、鉄材料、非鉄材料いずれでもよいが、耐摩耗性考慮した場合には、軸受け鋼が好ましい。高C−高Cr軸受鋼材(SUJ材)が好ましい。SUJ材は、 球状化炭化物が均一に分布した鋼で、耐摩耗性に優れ各種のベアリングに多用される。例えば、次の表1に示す組成の材料を用いればよい。
Figure 0005257877
本発明において、摩擦調整剤としては、初期に優れた低摩擦係数を示すモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)やモリブデンジチオホスフェート(MoDTP)等の硫黄含有有機モリブデン系摩擦調整剤が好ましい。特にMoDTCが好ましい。
摩耗調整剤としては、ZnDTP(ジアルキルジチオリン酸亜鉛が常用されるが、本発明者による実験によればZnDTPを添加しても摩擦係数の低減効果は得られないことが確認された。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物において、(A)潤滑油基油は、上記規定に合致する限り、鉱油系基油、合成系基油、及びこれらの混合物から任意に選ぶことができる。
鉱油系基油としては、具体的には、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製、ワックス異性化等の処理を1つ以上行って精製したもの等から選ばれ、通常、溶剤精製、水素化精製処理あるいはワックス異性化処理が施されたもの等を具体的に挙げることができる。
合成系基油としては、より具体的には、例えば、アルキルナフタレン、アルキルベンゼン、ポリブテン又はその水素化物;1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン(PAO)又はその水素化物;ジトリデシルグルタレート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、及びジオクチルセバケート等のジエステル;トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンぺラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、及びペンタエリスリトールぺラルゴネート等のポリオールエステル及びこれらの混合物等が例示できる。中でも、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン又はその水素化物が好ましい例として挙げられる。なお、液状、グリース状いずれであってもよい。
PAO(ポリアルファオレフィン)、DOS(2−エチルヘキシルセバケート)、POE(ポリオールエステル)、ADE(アルキルジフェニルエーテル)が好適に使用される。本発明の効果達成上は、特にPAOが好ましい。
本発明においては、部材の摩擦面における荷重が50N以下であることが好ましく、20N以下がより好ましく、10N以下がさらに好ましい。上記荷重の範囲においては、確実に摩擦係数低減効果が達成することが可能となる。
なお、本本発明における潤滑構造は、所定の粗さを有する摩擦面を有する部材と潤滑剤との組み合わせであり、そのような組み合わせである限りどのような態様の構造であってもよい。
本発明においては、過酷な摩擦条件下においても、摩擦を続けると一定期間(running-in-period:なじみ時間)の後、摩擦係数が低下し安定させることが可能となる。
本例では、潤滑剤のベースオイル(基油)として、PAO030を使用した。
一方、摩擦低減剤には、エンジンオイル添加剤として広く用いられているMoDTCを用いた。MoDTCの添加濃度は300ppm(重量比、以下同じ)と500ppmの2種類の潤滑剤を作成した。
摩擦試験装置にはBall−on−Disk型の回転式摩擦試験装置を用いた。
DiskとBallの材質にはSUJ−2を選定した。潤滑面は、表面形状処理には市販のエメリー紙を用い、Diskを0.1, 0.3, 0.7, 1.0μmの表面粗さとした。
摩擦試験条件以下にまとめて示す。

潤滑油基油 PAO30
添加剤 MoDTC
添加剤濃度 300ppm
500ppm
試験片材質 SUJ−2
試験片粗さ 0.1μm
0.3μm(♯0)
0.7μm(♯3)
1.0μm
回転速度 60rpm
回転半径 3.2mm
回転数 1,200
試験時間 20min
試験温度 室温
試験回数 3回
荷重 5N
10N
(試験結果)
図1にDiskの粗さ、濃度、荷重によるなじみ時間の違いを示す。なじみ時間は粗さと濃度に依存し表面粗さが細かい程短く、濃度を濃くすることにより粗さの影響が少なくなる。
全体的に、試験片の表面粗さが大きい程なじみ時間は長く、この効果は低濃度の方が顕著であった。荷重の影響は見られなかった。このことより摩擦初期のrunning−in-periodは添加剤濃度とDiskの表面粗さに依存することが明らかとなった。
図2には、Diskの粗さと定常状態の摩擦係数の関係を示す。図2(a)は、荷重が5Nの場合、図2(b)は荷重が10Nの場合をそれぞれ示している。
図2に示す通り、粗さがRa=0.3を境界として、Ra<0.3においては、摩擦係数は大きくなる。特に、荷重を10Nとした過酷な条件下においてもその傾向は摩擦係数の低減は顕著に表れていた。
PAO30単独では摩擦係数は表面粗さに依存しなかった。MoDTC添加油を用いた時は、摩擦係数は試験片の粗さに強く依存し、粗くなるにつれて摩擦係数が低下することが分かった。
図3に摩耗痕径と粗さとの関係を示す。また、図4は、種々の粗さで摩擦試験を行った後の摩耗痕のレ−ザ−顕微鏡写真である。表面が粗くなるにつれ、摩耗痕幅が増大しているのが分かる。これは、表面が細かいとrunning−in-periodが短いため摩耗が進行せず、表面が粗いとrunning−in-periodが長いため摩耗が進行したと考えられる。
(表面分析)
表面分析にはXPS及びTOF−SIMSを用い、摩擦試験終了後の摩耗痕の生成物の化学構造を解析し、その分布を測定した。
・XPS分析
MoDTC濃度500ppm、荷重10Nにおいて、Ra=0.3μmで摩擦試験を行った後、試験片のXPS測定を行ったMo3dスペクトルとS2pスペクトルを測定した結果、162eVにはS2p3/2のピークが、また229.5eVと232.5eVにMo3d5/2とMo3d3/2のピークが観測された。これらのピークはトライボケミカル反応生成物であるMoSが生成したことを示している。
・TOF−SIMS分析
同条件で得た摩耗痕のTOF−SIMSのケミカルイメージを図5(a)に示す。
摩耗痕内部でMoDTC由来のMo、Sが検出され、摩耗痕外部では試験片由来のFeが検出された。このことより、摩耗痕内にMoやSを含む生成物があることを示している。XPSの測定結図5果と合わせると、生成したMoS皮膜が摩擦低減効果を示していると考えられる。
また、摩耗痕表面におけるMoとFeの摩耗痕内部のラインプロファイルを図5(b)に示す。
イメージ中の線に沿ってプロファイル測定を行った。その結果からMoとFeの強度が逆転している部分があるのが分かる。このことより、MoSは表面の凹凸の凸部に存在していると考えられる。
物や汚染物が除去され、新生面が生成する。その金属新生面上においてMoDTCが反応し、MoSが生成すると考えられる。表面粗さがDiskとBallの真実接触における新生面とMoDTCの反応に影響したと考えられる。
(比較例)
本例では、MoDTCに代えて、ZnDTPを基油に添加した。
その結果を図6に示す。
図6に示す通り、ZnDTPを添加した場合においては、荷重5Nという比較的緩やかな摩擦条件下においてもなじみ時間はほとんど発生しなかった。
また、摩擦係数の低下は認められなかった。
さらに、荷重を10Nとした場合においてもなじみ時間は発生せず、摩擦係数の低下は生じなかった(図7)。
上記実施例1及び比較例における、摩擦係数をDiskの摩耗痕径との関係として整理した結果を図8にまとめて示す。
本例では、添加材としてMoDTCに代えてMoDTPを用いた。
実施例1と同様の試験を行った所、なじみ時間の発生が認められ、また、荷重が10Nの場合においても摩擦係数の低下が生じた。
ただ、MoDTCを添加した場合に比べると摩擦係数の低下の度合いは小さかった。
本例は、実施例1と同様の試験であり、その結果を図9に示す。
図9は、MoDTC濃度を300ppmと一定とし、粗さを変化させた場合における摩擦係数の経時的な変化を調べた結果を、摩擦係数の経時変化として示している。なお、荷重は0.5GPaとした。
表面粗さは次の4点とした。なお括弧内は表面に粗さを付与する際のエメリー紙の番号である。
Ra=0.12μ(♯3000)
Ra=0.30μm(♯0)図9(a)
Ra=0.74μm(♯3)図9(b)
Ra=0.90μm(♯5)図9(c)
図9に示す通り、MoDTCを添加した場合には、なじみ時間が認められ、なじみ時間経過後は、摩擦係数は低減された値において一定値となる。なお、Ra=0.12μmの場合においては、なじみ時間は認められなかった。
一定となる摩擦係数は粗さに依存している。すなわち、摩擦係数の低減効果は粗さに依存している。粗さは粗いほど摩擦係数の低減は大きい。
さらに、なじみ時間も粗さに依存している。つまり、摩擦面の粗さを制御することによりなじみ時間も制御することが可能となる。
実施例3ではMoDTCの添加濃度を300ppmとしたが、本例では、MoDTCの添加濃度を500ppmとした。他の点は実施例3と同様とした。
結果を図10に示す。
図10に示す通り、本例においてもなじみ時間、摩擦係数の低減効果が認められた。その効果は定量的にも同程度であることから、本発明においては添加濃度が少なくとも所定の効果が達成されることがわかる。
実施例3では、荷重を5Nとしたが、本例では、荷重を10Nとした。他の点は実施例3と同様とした。
結果を図11に示す。
なじみ時間の発生、摩擦係数の低減については実施例と同様の結果が得られた。
Ra=0.30μmにおいてはなじみ時間は実施例3の場合より長く、摩擦係数の低減は実施例3より小さかった。しかし、Ra≧0.7においては、なじみ時間、摩擦係数の低減は、実施例3と同程度であった。すなわち、粗さを粗くすれば過酷な摩擦条件であっても緩やかな摩擦条件と同程度の摩擦係数の低減効果が達成されることがわかる。
実施例4では、荷重を5Nとしたが、本例では、荷重を10Nとした。他の点は実施例4と同様とした。
結果を図12に示す。
図10(a)〜(c)と図12(a)〜(c)とを対比するとわかる通り、粗さがRa≧0.3である場合においては、実施例4と同様の結果が得られた。すなわち、荷重が増加しても摩擦係数の増加はほとんど生じなかった。
しかし、図10(d)と図12(d)とを対比すると、Raが0.3μmより小さく表面が平滑な場合においては、荷重の増加に伴って、摩擦係数も増加することがわかる。
実施例3〜実施例6の結果を、なじみ時間の粗さ依存性の観点からグラフ化した結果を図13に示す。
図13から、なじみ時間は粗さと濃度とに依存し、粗さが小さく(Ra<0.3μm)、平滑だとなじみが生ぜず、摩擦係数は高くなることがわかる。
行った。なお、他の点は実施例3と同様とした。
本発明は、例えば、産業用ロボットの回転軸受等に適用することが可能であり、また、自動車その他のエンジンの動弁系にも適用可能であり、省燃費性向上による排ガス量低減ひいては地球温暖化防止に寄与する。
実施例1に係り、潤滑面の表面粗さとなじみ時間との関係を示すグラフである。 実施例1に係、Diskの粗さと定常状態の摩擦係数の関係を示す。図2(a)は、荷重が5Nの場合、図2(b)は荷重が10Nの場合をそれぞれ示す。 実施例1に係、摩耗痕径と粗さとの関係を示すグラフである。 実施例1に係り、種々の粗さで摩擦試験を行った後の摩耗痕のレ−ザ−顕微鏡写真である。 実施例1に係り、表面分析結果を示す。図5(a)は摩耗痕のTOF−SIMSのケミカルイメージであり、図5(b)は摩耗痕表面におけるMoとFeのラインプロファイルである。 比較例に係り、荷重5N、添加剤としてZnDTP300ppmを用いて摩擦試験を行った時の摩擦係数の経時変化を示すグラフである。図6(a)はRa=0.12μm、図6(b)はRa=0.70μm、図6(c)はRa=0.33μm、図6(d)はRa=0.95μmの場合をそれぞれ示す。 比較例に係り、荷重10N、添加剤としてZnDTP300ppmを用いて摩擦試験を行った時の摩擦係数の経時変化を示すグラフである。図6(a)はRa=0.12μm、図6(b)はRa=0.70μm、図6(c)はRa=0.33μm、図6(d)はRa=0.95μmの場合をそれぞれ示す。 実施例1及び比較例に係り、摩擦係数とDiskno摩耗痕径との関係を示すグラフである。 実施例3に係り、加重5Nとし、MoDTC濃度を300ppmと一定とし、粗さを変化させた場合における摩擦係数の経時的な変化を示すグラフである。 実施例4に係り、加重5Nとし、MoDTC濃度を500ppmと一定とし、粗さを変化させた場合における摩擦係数の経時的な変化を示すグラフである。 実施例5に係り、加重10Nとし、MoDTC濃度を300ppmと一定とし、粗さを変化させた場合における摩擦係数の経時的な変化を示すグラフである。 実施例6に係り、加重10Nとし、MoDTC濃度を500ppmと一定とし、粗さを変化させた場合における摩擦係数の経時的な変化を示すグラフである。 実施例3〜6に係り、粗さによるなじみ時間の粗さ依存性を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 金属材料からなる摩擦面の粗さを0.15μm≦Ra≦1.2μmとし、硫黄含有有機モリブデン系摩
    擦調整剤としてMoDTCを添加した基油を潤滑剤とし、
    前記硫黄含有有機モリブデン系摩擦調整剤の濃度は500ppm以下である潤滑構造。
  2. Ra≧0.30μmとする請求項記載の潤滑構造。
  3. Ra≧0.8μmとする請求項1又は2記載の潤滑構造。
  4. 前記硫黄含有有機モリブデン系摩擦調整剤の濃度は100ppm以上である請求項1ないしのいずれか1記載の潤滑構造。
  5. 摩擦面における荷重が50N未満である請求項1ないしのいずれか1記載の潤滑構造。
  6. 前記基油は、PAO、POE又はこれらの混合油である請求項1ないしのいずれか1項記載の潤滑構造。
  7. 前記金属材料は軸受鋼である請求項1ないしのいずれか1項記載の潤滑構造。
  8. 前記摩擦面は点接触摩擦である請求項1ないしのいずれか1項記載の潤滑構造。
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