JP5255217B2 - 溶鋼の脱炭方法 - Google Patents

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本発明は、鉄系合金の溶銑を脱炭して溶鋼とし、さらに脱炭する溶鋼の脱炭方法に関する。
鉄系合金の溶製においては、高炉や電気炉でC濃度が高い溶銑を生成し、転炉などで脱炭精錬してC濃度を低減して溶鋼にしている。鉄系合金のうち、たとえばステンレス鋼は、鋼中のC含有量が多いと、CがCrと結合して多量のCr炭化物を生成し耐食性を悪くするので、転炉で脱炭精錬したステンレス溶鋼に対してさらに真空脱炭法やアルゴン−酸素脱炭法などでC濃度を低減する仕上げ脱炭精錬を行っている。
図10は、ステンレス鋼の製造工程のうち溶製工程の概略を例示する。図10を参照し、仕上げ脱炭精錬工程を含むステンレス鋼の溶製について説明する。電気炉で原料を溶解して溶銑を生成し、転炉で粗精錬と成分調整した溶鋼を取鍋へ出鋼する。取鍋に装入した溶鋼を、たとえば真空脱炭法で仕上げ脱炭精錬する。ここでは真空脱炭法をVODと略記する。
VODにおける溶鋼の仕上げ脱炭精錬は、取鍋を収容したVOD装置内を減圧雰囲気または真空雰囲気にし、取鍋の底に設けられるガスプラグから底ガスを吹込んで溶鋼を撹拌し、かつ上吹きランスから溶鋼中に酸素を吹込んで脱炭精錬し、予め定めるC濃度に達すると酸素の吹込みを停止する。酸素の吹精停止後も溶鋼中への底ガス吹込みを所定時間継続し、溶鋼中のCとOおよび溶鋼中のCとスラグ中に酸化物として存在するOとの反応による脱炭精錬を行って目標C濃度にする。その後、底ガスの吹込みを停止し、脱酸して溶鋼を鋳造工程へ送る。
この仕上げ脱炭精錬における底ガス吹込みの目的は、溶鋼を撹拌することによって、溶鋼とスラグおよび底ガスとの界面を増大させて脱炭反応を促進することにある。
ステンレス鋼のように耐食性が求められる合金では、仕上げ脱炭精錬における溶鋼のC濃度の目標値を、たとえば0.03重量%以下という低い水準にすることを求められる場合がある。
このような低炭素ステンレス鋼を実現するために、仕上げ脱炭精錬において溶鋼へ吹込む底ガスの流量を増加して強撹拌し脱炭反応を促進することが行われている。しかしながら、底ガスの流量を増大することによって脱炭反応は促進されるが、取鍋の内壁を構成する耐火物およびガスプラグの損耗が著しくなるので、定期修理頻度が高くなって生産効率が低下するとともに消耗材比例費が増加するという問題がある。さらに大量の底ガスを供給するための高圧ガス設備の投資負担が増大するという問題が生じることもある。
そこで、底ガスの流量を増大することなく、Alを形成する造滓材を添加して酸性スラグの組成を(SiO+Al)にすることによって脱炭を促進することが提案されている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。特許文献1および特許文献2では、酸性スラグの組成を上記のようにしてスラグの流動性を高くすることによって、スラグと溶鋼との界面を増大し、強撹拌しなくても脱炭反応を促進できるとする。
また他の先行技術では、耐火物製の撹拌翼をステンレス溶鋼中に浸漬して耐火物と溶鋼との界面を増大するとともに、撹拌翼を溶鋼中で回転させて溶鋼流を形成することによって、脱炭反応を促進することが提案されている(たとえば特許文献3参照)。
特開平8−260030号公報 特開平7−173515号公報 特開平6−145771号公報
特許文献1および特許文献2に開示される方法では、通常の耐火物保護の目的以外に、スラグ組成を調整してその流動性を高めるということだけに用いる造滓材を別途必要とするので、造滓材の原単位が著しく増加するという問題がある。
また特許文献3に開示されるような耐火物製の撹拌翼を用いる方法では、撹拌翼を溶鋼へ浸漬しかつ離脱するとともに溶鋼中へ浸漬した状態で回転するための大掛かりな設備改造が必要になる。さらに耐火物製の撹拌翼を使用するので耐火物比例費が増加するという問題がある。
本発明の目的は、大掛かりな設備投資を要することなく、また造滓材および耐火物の比例費増加を生じることなくC濃度を低減することができる溶鋼の脱炭方法を提供することである。
本件発明者らは、溶鋼の仕上げ脱炭精錬において、精錬容器の底部に間隔をあけて少なくとも2つ設けられるガスプラグからそれぞれ溶鋼に吹込む底ガスの流量を異なるようにすることによって、精錬容器中の溶鋼の撹拌状態が好適に変化し、効率よく脱炭できるとの知見を得て本発明の完成に至ったものである。
本発明の溶鋼の脱炭方法は、底部に底ガスを吹込むためのガスプラグが間隔をあけて少なくとも2つ設けられる精錬容器が収容される槽を減圧雰囲気または真空雰囲気として、精錬容器内の溶鋼にガスプラグから底ガスを吹込んで撹拌して脱炭精錬する溶鋼の脱炭方法であって、該2つのガスプラグからそれぞれ溶鋼に吹込む底ガスの流量の比を少なくとも一時的に一方が他方の0.50倍以下になるようにすることを特徴とする。
また本発明の溶鋼の脱炭方法は、前記2つのガスプラグから溶鋼に吹込む底ガス流量を変動させ一方の最大値および最小値と他方の最小値および最大値とをそれぞれ対応させる。さらに前記溶鋼に吹込む底ガス流量を周期的に変動させ、底ガス流量の変動周期Pを、溶鋼の量Wに対し、P/2≦W/25の関係式が成立するように設定する
本発明の溶鋼の脱炭方法によれば、少なくとも2つのガスプラグからそれぞれ溶鋼に吹込む底ガスの流量の比を少なくとも一時的に0.50倍以下になるようにするだけでよい。したがって、底ガス流量を増加せずまた撹拌手段を設けることもないので設備投資を要することがなく、さらに余分に造滓材や耐火物を使用しないので原単位を増加することなく溶鋼の脱炭効率を向上することができる。
また少なくとも2つのガスプラグからそれぞれ溶鋼に吹込む底ガス流量を、一方の最大値および最小値と他方の最小値および最大値とがそれぞれ対応するようにすることによって、溶鋼を充分に撹拌できるので脱炭効率を一層向上することができる。
また溶鋼に吹込む底ガス流量を周期的に変動させ、その底ガス流量の変動周期P(分)を溶鋼の量W(トン)に対し、P/2≦W/25の関係式が成立するように設定することによって、溶鋼をその量に応じて充分に撹拌できるので脱炭効率を確実に向上することができる。
図1は、本発明の溶鋼の脱炭方法における底ガスの流量変動の一パターンを示す。図2は、本発明の溶鋼の脱炭方法に用いる取鍋1を平面から見て示す。図3は、取鍋1内の溶鋼3にガスプラグ2a,2bから底ガス4を吹込む状態を示す。
本発明の溶鋼の脱炭方法は、鉄系合金の溶鋼全般に適用することができる。ここではステンレス溶鋼の仕上げ脱炭精錬に用いる場合について例示する。転炉で粗脱炭精錬および成分調整した溶鋼3を精錬容器である取鍋1に出鋼する。取鍋1には、底部1aに底ガス4を吹込むためのガスプラグ2a,2bが間隔をあけて2つ設けられる。溶鋼3を入れた取鍋1を図示を省略しているVOD装置の真空槽に収容し、真空槽内を減圧雰囲気または真空雰囲気にする。
図1に示す流量変動パターンに従い、取鍋1内の溶鋼3にガスプラグ2a,2bから底ガス4を吹込んで撹拌するとともに、上吹きランスから溶鋼3に酸素を吹込んで脱炭精錬する。溶鋼が予め定めるC濃度になると酸素吹精を停止し、その後は底ガス4の吹込みによる撹拌のみで成品の目標C濃度まで脱炭精錬する。底ガス4として用いるガスの種類は、不活性ガス、たとえばArガスなどが好ましい。
2つのガスプラグ2a,2bからそれぞれ溶鋼3に吹込む底ガス4の流量を、便宜上XおよびYで表す。図1に示す底ガスの流量変動のパターンでは、流量X,Yを矩形波に近似する形状になるように変動させ、また一方のガスプラグ2aの底ガス流量Xが最大値Xmaxおよび最小値Xminになる時点と、他方のガスプラグ2bの底ガス流量Yが最小値Yminおよび最大値Ymaxになる時点とをそれぞれ対応させるようにし、対応する最小値と最大値との比Xmin/YmaxおよびYmin/Xmaxが、0.50倍以下になるようにする。したがって、図1の流量変動のパターンでは、ある程度の時間底ガス流量の最小値と最大値との比が0.50倍以下を満たす状態が続くという特徴がある。
通常の脱炭方法で行われているように、取鍋に設けられる2つのガスプラグからそれぞれ溶鋼に吹込む底ガスの流量を同一にすると、取鍋内の溶鋼にはバランスのとれた定常的な状態の流れが形成されるのに伴って澱み部分も形成されるので、脱炭反応に寄与する溶鋼とスラグおよび底ガスとの界面が大きく増加せず脱炭効率は必ずしもよくない。
それに対して本発明の脱炭方法では、2つのガスプラグ2a,2bにおいて対応する底ガス流量の最小値と最大値との比を0.50倍以下にする。このことによって、取鍋1内の溶鋼3には一方のガスプラグ2a側と他方のガスプラグ2b側とでアンバランスになり、かつ非定常な状態の乱れた流れが形成されるので、澱みが解消され、脱炭反応に寄与する溶鋼とスラグおよび底ガスとの界面が大きく増加し脱炭効率を向上することができる。
底ガス流量の最小値と最大値との比が0.50倍を超える場合であっても、2つのガスプラグ2a,2bからそれぞれ溶鋼3に吹込む底ガス4の流量が異なる場合には脱炭効率向上の効果を得ることができるけれども、その効果の程度が小さい。したがって、脱炭効率向上の顕著な効果を得るためには底ガス4の流量比を0.50倍以下にすることが好ましい。
さらにガスプラグ2a,2bからそれぞれ溶鋼3に吹込む底ガス流量X,Yを周期的に変動させ、底ガス流量X,Yの変動周期Pを、溶鋼の量Wに対し、P/2≦W/25の関係式が成立するように設定することが好ましい。上記関係式においては、変動周期Pの単位を分で、溶鋼の量Wをトンで表す。
ガスプラグ2a,2bからそれぞれ溶鋼3に吹込む底ガス流量X,Yの変動周期Pを溶鋼の量Wに関わらず一定にすると、溶鋼の量Wが少なくなった場合、溶鋼の量Wに対して変動周期Pが長くなるので、底ガスの流量が変動しない1周期Pの半分であるP/2の短い時間内でも取鍋1内において定常的な流れになり易く、乱れた状態の流れを保つことが難しくなる。
そこで、溶鋼の量Wが少なくなるのに伴って、変動周期Pを短くし、PとWとの関係が、P/2≦W/25を満足するようにして、常に乱れた状態の流れを保つことができるようにすることが好ましい。このことによって、溶鋼の量に応じて確実に脱炭効率の向上を実現できる。ここでは、底ガス流量の変動周期Pの半分であるP/2を、流量が最大値から最小値またはその逆に反転することから流量反転周期と呼ぶことがある。
図4は、本発明の溶鋼の脱炭方法における底ガスの流量変動の他のパターンを示す。すなわち、2つのガスプラグ2a,2bからそれぞれ溶鋼3に吹込む底ガス4の流量X,Yを、正弦波または余弦波に近似する形状になるように周期的に変動させ、かつ一方の最大値および最小値と他方の最小値および最大値とをそれぞれ対応させるようにしてもよい。図1に示す流量変動のパターンと異なり図4に示す流量変動のパターンでは、底ガス4の流量X,Yが常に変動するので、最小値と最大値との比が0.50倍以下となる状態は一時的に達成されるのみである。このような図4でも図1に示すパターンの場合と同様の脱炭効率向上の効果を奏することができる。
図5は、本発明の溶鋼の脱炭方法における底ガスの流量のさらに他のパターンを示す。図5に示す底ガス4を吹込む流量のパターンでは、一方のガスプラグ2aおよび他方のガスプラグ2bからそれぞれ溶鋼3に吹込む底ガス4の流量XおよびYを変動することなく一定の値とする。流量X,Yを変動させてもよいけれども、流量比X/Yは少なくとも一時的に0.50倍以下になるようにする。
脱炭効率向上効果を一層確実に得るためには、前述の図1または図4に示すような流量の大小関係が交互に入れ換わる変動のパターンで2つのガスプラグ2a,2bからそれぞれ溶鋼3に底ガス4を吹込んで撹拌することが好ましい。しかし、図5に示すようなパターンであっても、取鍋1内の溶鋼3にアンバランスになるような状態の流れを形成することは可能である。したがって、図5に示すパターンで2つのガスプラグ2a,2bからそれぞれ溶鋼3に底ガス4を吹込むことによって、流量変動の複雑な制御をすることなく、簡単な装置および操作で脱炭効率をある程度向上できるという利点がある。
図6は、本発明の溶鋼の脱炭方法に用いる他の取鍋11を平面から見て示す。取鍋11には、底部11aに底ガス4を吹込むためのガスプラグ12a,12b,12cが間隔をあけて3つ設けられる。3つのガスプラグを総称する場合には参照符号12で表す。
取鍋11に3つのガスプラグ12が設けられる場合、3つのガスプラグ12からそれぞれ溶鋼3に吹込む底ガス4の流量を次のように設定する。3つのガスプラグ12のうち、2つのガスプラグ12からなる組み合わせ、すなわち、ガスプラグ12aと12b、ガスプラグ12bと12cまたはガスプラグ12cと12aのいずれか1組において、それぞれ溶鋼3に吹込む底ガスの流量が前述の図1、図4または図5に示すパターンを満足するように設定する。前記2つのガスプラグ12を除く残余のガスプラグ12の流量は、前記2つのガスプラグから吹込む底ガス流量における最大流量以下の値で自由に設定することができる。
3つのガスプラグ12のうち少なくとも2つのガスプラグ12からそれぞれ溶鋼3に吹込む底ガス4の流量が、前述の図1、図4または図5に示すパターンおよび底ガス流量比が0.50倍以下を満足することによって、2つのガスプラグ2a,2bが設けられる取鍋1において溶鋼3に底ガス4を吹込んで撹拌する場合と同等の脱炭効率向上効果を得ることができる。
取鍋に4つ以上のガスプラグが設けられる場合、すべてのガスプラグのうち間隔をあけて設けられる少なくとも2つのガスプラグからそれぞれ溶鋼に吹込む底ガスの流量を、ガスプラグが2つの場合と同様の関係を満たすように設定することによって、同等の脱炭効率向上効果を奏することができる。前記2つのガスプラグを除く残余のガスプラグについては、取鍋にガスプラグが3つ設けられる場合と同様、その流量を特に制限しない。
(実施例)
以下本発明の実施例について説明する。本実施例では、約17重量%Crを含有するステンレス溶鋼をVODで仕上げ脱炭精錬した。電気炉で溶解し、転炉で粗精錬および成分調整したステンレス溶鋼の化学成分範囲を表1に示す。1チャージのステンレス溶鋼の量は50〜90トンの範囲で適宜設定した。
Figure 0005255217
ステンレス溶鋼を、底部にガスプラグが2つ設けられた取鍋へ出鋼し、該取鍋をVOD装置の真空槽に収容し、真空槽内を減圧雰囲気とした。この状態で、取鍋に設けられた2つのガスプラグから溶鋼内に底ガスとしてArガスを吹込んで撹拌するとともに、VOD装置の上吹きランスから溶鋼に酸素ガスを吹込んで脱炭精錬した。このとき上吹きランスから吹込む酸素ガスの量を、900NL/minとした。
2つのガスプラグから底ガスを前述の図1に示す流量変動パターンに従ってそれぞれ溶鋼に吹込んだ。すなわち、2つのガスプラグから溶鋼に吹込む底ガス流量を、周期的に変動させ、一方の最大値Xmaxおよび最小値Xminと他方の最小値Yminおよび最大値Ymaxとをそれぞれ対応させるようにした。また対応する最小値と最大値との底ガス流量比Xmin/YmaxおよびYmin/Xmaxが、チャージごとに0.10倍〜1.0倍の範囲で予め定める値になるようにした。なお、底ガス流量比1.0倍は、2つのガスプラグからそれぞれ溶鋼に吹込む底ガスの流量を両方とも500NL/min一定にした場合である。
この酸素吹精による脱炭精錬時においては、底ガスの流量が最大値から最小値を経て再び最大値に戻る1周期Pを2分間とした。すなわち、いずれのチャージにおいても各ガスプラグから溶鋼に吹込む底ガス流量の最大値と最小値とが1分間で反転するようにした。
各チャージともC濃度が0.2重量%で底ガスによる撹拌と酸素吹精とを開始し、溶鋼のC濃度が0.01重量%になったとき酸素吹精を停止した。この酸素吹精時におけるC濃度の推移とC濃度が0.01重量%になるまでの所要時間とを測定した結果を図7に示す。なお図7中では、底ガス流量比を百分率で示す。また図7の測定値から、底ガス流量比と、C濃度を0.1重量%および0.05重量%までそれぞれ脱炭するのに要した時間との関係を求めた結果を図8に示す。
図8では、C濃度を0.1重量%まで脱炭する所要時間をライン21で示し、0.05重量%まで脱炭する所要時間をライン22で示す。図8のライン21,22で示すように、底ガス流量比を0.50倍以下にすることによって、脱炭所要時間が顕著に短縮され、脱炭効率が向上することが判る。
酸素吹精を停止した後も、2つのガスプラグからそれぞれステンレス溶鋼に底ガスの吹込みを10分間行い、底ガスの撹拌のみによるさらなる脱炭精錬を行った。ただし、このとき2つのガスプラグでそれぞれ対応する最小値と最大値との底ガス流量比Xmin/YmaxおよびYmin/Xmaxが、いずれのチャージにおいても0.50倍になるようにした。具体的には、2つのガスプラグにおいて変動する底ガス流量の最大値を500NL/minとし、最小値を250NL/minとした。
このとき、底ガスの流量を変動させる周期Pを2分から10分までの範囲、すなわち流量反転周期P/2を1分から5分までの範囲で変化させた。なお、1つのチャージにおいては周期Pを変えることなく一定とした。
チャージごとに溶鋼の量Wと周期Pとを変化させて底ガス撹拌のみによる脱炭精錬した結果を図9に示す。脱炭効率を次のように評価した。10分間の脱炭精錬でC濃度が0.005重量%以下まで低下した場合を脱炭効率良好レベル○と評価し、0.005重量%を超える値で止まった場合を脱炭効率通常レベル×と評価した。
図9中に破線で示すライン23が、溶鋼の量Wと流量反転周期P/2とにおけるP/2=W/25の関係を示す。流量反転周期P/2をライン23以下の短い時間に設定するとき、すなわちP/2≦W/25の関係式を満足するように周期Pを定めた場合に、溶鋼の量Wに応じて確実に脱炭効率良好レベルを達成できることが判る。
以上で説明しているように、本実施の形態では、溶鋼の脱炭方法をステンレス溶鋼の脱炭効率向上に利用している。しかしながら、これに限定されることなく、ステンレス溶鋼以外の鉄系合金の溶鋼の脱炭に対しても有効に利用することができる。
本発明の溶鋼の脱炭方法における底ガスの流量変動の一パターンを示す。 本発明の溶鋼の脱炭方法に用いる取鍋1を平面から見て示す。 取鍋1内の溶鋼3にガスプラグ2a,2bから底ガス4を吹込む状態を示す。 本発明の溶鋼の脱炭方法における底ガスの流量変動の他のパターンを示す。 本発明の溶鋼の脱炭方法における底ガスの流量変動のさらに他のパターンを示す。 本発明の溶鋼の脱炭方法に用いる他の取鍋11を平面から見て示す。 C濃度の推移と脱炭所要時間とを測定した結果を示す。 底ガス流量比と所定C濃度まで脱炭するのに要した時間との関係を示す。 底ガス撹拌のみによる脱炭精錬をした結果を示す。 ステンレス鋼の製造工程のうち溶製工程の概略を例示する。
符号の説明
1,11 取鍋
2a,2b,12a,12b,12c ガスプラグ
3 溶鋼
4 底ガス
21,22,23 ライン

Claims (1)

  1. 底部に底ガスを吹込むためのガスプラグが間隔をあけて少なくとも2つ設けられる精錬容器が収容される槽を減圧雰囲気または真空雰囲気として、精錬容器内の溶鋼にガスプラグから底ガスを吹込んで攪拌し、かつ上吹きランスから溶鋼中に酸素を吹込んで脱炭精錬し、上吹きランスからの酸素の吹込み停止後も溶鋼にガスプラグから底ガスを吹込んで撹拌して脱炭精錬する溶鋼の脱炭方法であって、
    上吹きランスからの酸素の吹込み停止後、溶鋼にガスプラグから底ガスを吹込んで撹拌して脱炭精練する際、溶鋼に吹込む底ガス流量を周期的に変動させ、底ガス流量の変動周期P(分)を、溶鋼の量W(トン)に対し、P/2≦W/25の関係式が成立するように設定し、
    2つのガスプラグからそれぞれ溶鋼に吹込む底ガスの流量を、一方の最大値および最小値と他方の最小値および最大値とがそれぞれ対応するようにして、
    該2つのガスプラグからそれぞれ溶鋼に吹込む底ガスの流量の比を少なくとも一時的に一方が他方の0.50倍以下になるようにすることを特徴とする溶鋼の脱炭方法。
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