本発明には様々な改変および変形を行える一方、特定の実施形態が例示により図面に示されており、本明細書において詳細に説明されている。しかし、本発明に対する図面および詳細な説明は、本発明を開示されている特定の形態に限定することを意図したものではない。他方、逆に、本発明は、付属の特許請求の範囲により定義された通りの本発明の精神および範囲内に該当する全ての改変、均等物、および、変形をカバーするものであることを理解されたい。
図1は表面から反射した合焦したコヒーレント光の概略図である。同図に示されたように、コヒーレントビーム発生器10は、物品15の表面14に向けて誘導されるコヒーレント光ビーム12を発生する。コヒーレントビーム発生器10は、(図示されていない)レーザ光源と、レーザビームを表面上に合焦させるための(図示されていない)合焦要素と、を含んでよい。
合焦されたコヒーレント光ビーム12は位置16において表面に当たり、光ビーム18として示された位置16からの反射を引き起こす。当業者が理解されるように、示されたビーム18は単に例示的なものに過ぎず、かつ、事実、無限の数の光ビームが位置16から表面14の平面に垂直な全ての平面内に反射する。位置16から一定の距離dから見ると、この反射光は、反射光の半球を形成していると考えることができる。図1の二次元像においては、半径dを持つ半円として考えることができる。
反射光は位置16における表面14についての情報を含んでいる。この情報は、顕微鏡レベルの表面14の表面粗さについての情報を含んでいることがある。この情報は、観測される反射光のパターンの特徴となる波長の形態で反射光により搬送される。これらの波長の特徴を検出することにより、位置16における表面14の表面構造に基づき指紋または署名を導出することができる。表面14上の複数の位置における反射を測定することにより、指紋または署名は表面の大きなサンプルに基づくことが可能となり、それにより、後日の表面の再読み取りの後に、後日の読み取りからの署名を最初の読み取りからの署名に適合させることをより容易にする。
図1に示されたように、反射光18は2つの主要な角波長領域または角周波数領域における情報を含んでいる。高い角周波数(短い波長)の情報は、スペックルとして伝統的に知られているもので、小さな波長線20により示されている。この高い角周波数成分は、典型的に、0.5度のオーダの角周期性を有する。低い角周波数(長い波長)の情報は、長い波長線22により示されている。この低い角周波数成分は、典型的に、15度のオーダの角周期性を有する。
図2は、表面から反射した合焦コヒーレント光を検出するための検出器装置の該略図である。図2に示されたように、合焦コヒーレントビーム発生器10は、位置16において物品15の表面14に入射する合焦されたコヒーレント光ビーム12を出力する。これは、反射光18を位置16から反射させ、反射ビーム18中の波長摂動の形で表面情報を搬送させる。
図2において、反射光ビーム18は、光検出器24の角度上の位置に対応した位置においてのみ示されている。説明の容易さおよび図の明確さのために、図2においては2個の光検出器が示されている。しかし、システムが正確に動作するためには、1個のみの光検出器が必要である。代案として、より多くの光検出器を設けてよく、例えば、一実施例において、4個の光検出器が設けられてもよい。各光検出器は、反射光を立体角θnにわたり収集する。本検討においては、各光検出器が四角形または円形の領域にわたり光を収集することが仮定されている。光収集の立体角は、異なった光検出器24間で変化することができる。各光検出器24は、θrの表面14からの最小角度を有する反射光を測定する。したがって、特定の光検出器24により検出された光は、表面14に対してθrとθr+θnとの間の角度を有する反射ビームを含んでいる。以下により詳細に検討されるように、大きな可能な角度により分離された検出器チャンネルを有する点において耐スプーフィングシステムを作成することを長所とすることができる。これは、角度θrを可能な限り小さくすることにつながる。
理解されるように、光検出器24が反射光を検出する立体角θnは、開口数(NA)として表されてもよく、ここで
NA=sin(φ)
ここで、φは検出器に進入、または、これから外出できる光の最大円錐の半角である。したがって、本実施例の検出器の開口数は以下の通りとなる。
NA=sin(θn/2)
したがって、大きな開口数を有する光検出器は、より大きな量の光(すなわち、より多くの光子)を収集する潜在能力を有するが、これは、全ての取り込まれた情報スペックルの和がより弱くなるように、より多くの反射された情報(スペックル)を平均化する効果を有する。しかし、長い角波長成分は、短い角波長(伝統的なスペックル)成分よりも平均化による影響が少ない。そのため、これは、短い波長の反射信号に対する長い波長の比を改善する効果を有する。
合焦コヒーレントビーム12が表面14に垂直に入射することは図1および2に示されたが、現実には、完全に垂直な入射を保証することは困難となり得ることを理解されよう。これは、特に、例えば、物品を搬送するコンベヤを含めた商業上の処理環境などの低費用のリーダが設けられている環境、位置決めが研修をほとんど、もしくは、全く受けていないユーザにより行なわれる環境、または、物品の位置決めがユーザの支配下にない環境、および、リーダから物品への距離が、リーダと物品との間に何らの物理的接触もないようになっているいずれの環境においても当てはまる。したがって、現実には、入射する合焦コヒーレント光ビームが完全に垂直には物品に当たらない可能性が非常に高い。
入射角を1度未満だけ変化させることが表面からの反射スペックルパターンに重大な影響を及ぼし得ることが見出されている。例えば、図3Aは従来のプリンタまたは光学複写機に使用されることがあるものなどの通常の1枚の白紙からの従来のスペックルパターンの画像を示す。図3Bは、同じ1枚の紙の、図3Aの画像のこの紙の位置に対して0.06度だけ傾けたこの紙の同一の照射条件下でのスペックルパターンの画像を示す。表面のこの極端に小さな角度の摂動の結果として、このスペックルパターンが大幅に変化したことは、いずれの観察者にも即座に明らかである。したがって、署名がこれらの2つの画像からの個々のデータセットのそれぞれから生成される場合、これら2つの署名間の相互相関は、同じ目標の走査から生成された2つの署名間の相互相関から通常は予想されるものよりもはるかに低い結果をもたらす。
角度が小さな量だけ繰り返し増加され、測定値が取られ、各新しい測定値と(ゼロオフセット角での)基準の本来の測定値との間で相互相関が行なわれると、オフセット角が増加し始めるに従い、相互相関の結果が急激に低下することも見出されている。しかし、角度が特定の点を超えて増加するに従い、相互相関の結果は飽和し、オフセット角に対する相互相関の結果のプロットをほぼ一定の相互相関値で横ばいにする。この効果は、反射光の低周波数成分によりもたらされている。何が起きているのかというと、入射角の摂動が増大するに従って、反射光の高周波数スペックル成分が素早くデカプリングする。しかし、一旦角度が特定の量だけ増加すると、伝統的なスペックル(高周波数)成分の影響は、低周波数成分の影響よりも小さくなる。したがって、一旦低周波数成分が相互相関の結果における最も重要な要因になると、(はるかに入射角に影響を受けない)この成分は、相互相関の結果を、入射角の摂動のさらなる増加にもかかわらず飽和させる。
この現象は図4に示されており、同図では、オフセット角に対する相互相関の結果の概略プロットが、光検出器用の様々な異なった開口数で示されている。図4から分かるように、0.06の開口数(約6.88度の立体角)では、約0.5の相互相関の結果が到達されるまで、角度の増加とともに相互相関の結果が急激に低下する。相互相関の結果はこの値で飽和する。
光検出器の開口数を増加させることが、入射角の摂動に関して、反射光の低周波数成分に、高周波数成分に対してより早期により重要な役割を果たさせることも見出されている。これが発生するのは、(開口数と等価の)大きな立体角にわたり、低周波数成分の影響が、高周波数の「伝統的なスペックル」成分に対して相対的に、より大きくなるからであり、これは、この高周波数成分が大きな「読取窓」により平均化されるからである。
したがって、図4に示されたように、より大きな開口数を表す曲線は、より高い相互相関の結果の値においてそれぞれ飽和する。0.05の開口数(約5.7度の全円錐角)において、グラフは約0.7の相互相関の結果で飽和する。0.1の開口数(約11.4度の全円錐角)において、グラフは約0.9の相互相関の結果で飽和する。
この現象を例証するいくつかの実験結果のプロットが図5に示されている。これらの結果は、同じ物品の同じ表面点で同一の照射条件下で取られたもので、各光検出器に対する唯一の変化は、垂直から離れた入射光ビームの変化である。相互相関の結果は、各入射角摂動値における各光検出器での収集情報と、ゼロ入射角摂動で収集された情報との間の相互相関からのものである。図5から分かるように、0.074の開口数(8.48度の立体角)を有する光検出器の場合、相互相関の結果は0.6に急激に低下し、入射角摂動は0から0.5度に増加する。しかし、一旦このレベルが到達されると、相互相関の結果は0.5から0.6の範囲で安定する。
0.4の開口数(47.16度の立体角)を有する光検出器の場合、相互相関の結果は約0.9の値の付近でほぼ瞬間的に安定する。したがって、この開口数では、垂直な入射角からのいかなる逸脱も発生するや否やスペックルの影響がほとんど無視できるものとなる。
したがって、この技術による光検出器を使用したリーダが、同じ表面点からの異なった読み同士の間のレーザ光ビームの入射角の摂動には極端に耐性をもたらされ得ることが明らかとなる。
各走査間の物品の再位置決めに対処するために、本実施例のシステムは、目標上の多数の点から測定値を取ることができる。したがって、検証用走査からの点のいくつかが記録用走査に使用された点と適合している限り、適合は問題なく検出され得る。
図6Aおよび6Bは、図3Aおよび3Bで画像を取り込まれたものと同じ1枚の紙の平行移動に関する位置合わせの誤りの影響を示している。やはり、これらの画像は通常のスペックル画像であり、図6Aの画像は第1の位置のこの紙への垂直な入射コヒーレントビームからのスペックル画像を示している。図6Bの画像は、(5mm幅の未合焦ビームであった)ビーム幅よりも小さい40ミクロンの平行移動ずれがある垂直入射コヒーレントビームからのスペックル画像を示している。図6Aおよび6Bから分かるように、表面のこの非常に小さな平行移動摂動は、非常に異なったスペックル画像をもたらしている。(むしろ図6Aおよび6Bに示された画像データを取り込むために使用された画像形成検出器よりも)光検出器を使用して同じ位置でデータが収集されると、図6Aの位置からのデータと図6Bの位置からのデータとの間の相互相関の結果は僅か0.55であった。このことは、よく知られている「伝統的な」スペックル(高い角周波数成分)を画像形成型検出器を使用して利用するために開発されたシステムが、本開示の実施例が可能にしている低い角周波数を反映した成分の利用を行えないことを実証している。
大きな開口数にわたりデータを収集するための光検出器を得ることは、2つの光学的に等価な方法で達成することができる。第1の方法は、上記の図2および図7に示されたような開口数全体にわたり読み取ることができる大型光検出器を有することである。第2の方法は、小型光検出器を設けて、この光検出器に反射光を合焦させるために必要な開口数を有するレンズを使用することである。この代案は図8に示されており、同図で、レンズ26は光検出器24に反射光18を合焦するために設けられている。光検出器のデータ記録という点では、これらの2つの構成は、光学的に同一である。
二次元画像形成センサが、反射光の低周波数成分の使用が物品表面のための署名を算出することを可能にする方法でデータを収集するためには使用できないことに注意されたい。データを収集するためには、フォトダイオードなどの光検出器を使用することが必要である。光検出器は、光学信号の入射の際に光学信号と同じ情報を含む電気信号を生成するように動作可能な変換器であると考えてよい。対照的に、画像形成センサは、しばしば光検出器のアレイを使用して、検出光のパターンの表現を作成する。したがって、本実施例の状況では、光検出器が、一度に画像の1つの点から反射された光をサンプリングするセンサであると考えてよいのに対して、画像形成センサは、一度に画像の多数の点から反射された光をサンプリングする。したがって、同様に、光検出器を使用して画像の各画素を記録し、画像を作成するために画素をまとめてつなぎ合わせることにより画像形成センサと同じ効果を達成することが可能である。しかし、そのため、画像は、異なった回に収集されたデータから構成され、したがって、いかなる特定の時点においても閲覧されることは決してできない画像となることを理解されよう。すなわち、この画像は多数の時間的に離れたデータ取り込みから構成されているはずである。
したがって、表面が一部となっている物品を識別する際に使用するために、表面上に入射したコヒーレントビームの反射により保持された情報を得るための技術が説明された。これらの技術は、様々な認証および/またはセキュリティシステムを実施するために様々な方法で使用が可能である。
したがって、物体の表面からのコヒーレント光の反射の少なくとも低い角周波数成分を使用して、その物体のための識別子を作成するために物体の表面を走査するシステムにおいて使用可能な装置の様々な実施例が説明される。いくつかのこのようなシステムにおいて、走査装置に対する相対的な目標表面の位置決めの正確さに堅牢性を与えることが望ましいとしてよい。光沢紙およびプラスチックなどの微視的に輝く表面を有する物体のための高度な確実性を備えたシステムを使用することも望ましいとしてよい。そのような表面上では、表面の物理的粗さが、典型的に、事務所での印刷物に、および、小切手または銀行手形などの金融手段に使用できる「通常の」紙などの巨視的につやのない表面よりもむしろ低い。
上記に検討されたように、したがって、大きな開口数がスキャナに対する相対的な目標の角度上の位置合わせの誤りに対するより高められた耐性を与えることが可能であることが明らかとなる。
物体の複数の異なった走査の間でのスキャナに対する相対的なその物体の平行移動の位置合わせの誤りに対する耐性、すなわち、双方の走査に対してその物体が同じ物体であることを検証するための高い信頼性を持つ能力の維持を与えるために、目標表面上でより大きな走査領域を使用してよい。特に、目標物体の位置決めの誤りが発生する可能性のある各方向において、大きな走査領域を与えることが望ましいとしてよい。走査領域が大きくなるに従い、識別のために利用可能となり得る情報の量も多くなり、(位置合わせの誤りを介して)省かれ得る情報の量が多くなるに従い、それでも信頼性のある走査結果を与える。
以下に説明される全ての装置および方法は、スキャナに対する相対的な目標の角度および/もしくは平行移動の位置決めの誤りが物体の異なった走査間で発生する場合、ならびに/または、物体がつやのある表面を有する場合であっても、高度な再現性を持つ物体識別子(「指紋」または「署名」)を作成するために使用可能であるシステムを提供する。
図9に示されているのは、表面のための署名を作成する際の使用のために、この表面を説明する情報を収集するように動作可能な表面読取装置901の第1の実施例の概略側面図であり、この署名は、表面の身元が検査される認証システムにおいて使用が可能である。
リーダ装置901は、物体のための読取用体積内の物体から読み取ることができる。読取用体積は、コヒーレントビームが表面に当てられ、かつ、反射し戻されることが可能な領域であり、ならびに、センサモジュール968および969に使用可能なデータを供給する。したがって、読取用体積は筐体950内の開口部である読取開口部950により形成されていると考えることが可能である。本実施例において、筐体950は装置の主要な光学構成部分を含んでいる。読取装置950および/またはリーダ装置901内の対応する開口部903は、筐体950内の光学組立体への埃または他の異物の進入を防止または制限するために、ガラスまたは透明プラスチックなどの(図示されていない)光学的に透明な材料により覆われていてよい。
図9に示されたように、リーダ装置の光学サブシステム筐体950は、合焦コヒーレント光ビームを発生するように動作可能なレーザ光源952を含んでいる。レーザ光源952の出力ビーム953は、目標表面914上の目標領域916に向けてミラー954により誘導される。追加の合焦要素は、所望であれば、ビーム953がミラー954により反射された後に挿入されてもよい。本実施例において、合焦コヒーレントビームは、事実、y方向(図面の平面に垂直)に伸長され、読取開口部の平面内に横たわる細長い焦点にレーザ光源952内で合焦される。一実施例において、z方向におけるビームの広がりは約22mmである。x方向におけるビームの広がりは50マイクロメートルであってよい。そのようなビームを作成するための適した光学装置の実施例が(以下に説明される)図11および12に示されている。
続いて、コヒーレント光の合焦ビームは、領域916において目標表面914に当たる。目標から反射された光の幾分かは、読取装置950に再進入する。詳細には、ミラー966および967の位置合わせに対応した角度で反射する(光線964、965により図9に示された)光は、それらのミラーから個々の光センサモジュール968、969に反射される。光センサモジュール968、969は、点916において目標表面から反射された光に比例した電気信号を生成するように動作可能な(以下により詳細に説明される)光学装置およびセンサを有する。本実施例において、光センサモジュールは、各目標表面点について、データが2つの独立した反射角範囲について収集されるように、読取用体積内の同じ点から反射信号を受信するように構成されている。後に明らかとなるように、2つ以上の角度範囲から目標上の各点をサンプリングすることにより、システムは、スプーフィングに対してより強い耐性を有するようになる。
図9に示された配置は、光の発生要素および検出要素から、および、それらに様々な光ビームを誘導するために様々なミラーを使用している。理解されるように、この配置は、光学モジュールが全体的にコンパクトな構成を達成するような構成を可能にする便利なコンパクトリーダ装置の概略を示している。したがって、後でさらに理解されるように、リーダの構成を変えるために、代案のミラー構成が採用されてもよい。所望であれば、このミラーは全て省かれることが可能であり、モジュールは目標への、および、目標からの光路に整列が可能である。
本実施例において、目標表面に入射したコヒーレントビームは細長い焦点を有し、各光センサモジュール968、969は、目標上のコヒーレントビームの入射の線に沿った多数の位置に関したデータを得るように動作可能であり、したがって、特定のコヒーレントビーム入射位置から多数の目標点のためのデータ取り込みを可能にしている。一実施例において、各光センサモジュールは、隣接した22個の点に関したデータを収集可能であり、それぞれは入射ビーム953の約1mmの長さに対応する。各光センサモジュール968、969内の光学組立体は、本実施例では、データが収集される目標上の各位置に対応するセンサへの目標表面からの反射光の光学的に同一の経路を提供するように構成されている。同様に、各センサが個々の目標表面位置に対応した反射光のみを受光することを保証するために、光学組立体は、xおよびzの平面(すなわち、y軸に垂直で図9における紙の平面)内で反射された光のみがサンプリングされることも保証する。これらの機能は図13、14、および、15を参照して、以下により詳細に説明される。
再び図9を参照すると、駆動モータ922は、矢印926に示されるように、適切なベアリング924または他の手段を介して光学サブ組立体950の線形な動きを提供するために筐体901内に配置されている。したがって、駆動モータ922は、ビーム953が細長い焦点の長軸を横切る方向において走査されるように、コヒーレントビームを、読取開口部903にわたりx方向に線形に移動させるように機能する。コヒーレントビーム953が、その焦点において、コヒーレントビームに垂直な平面、すなわち、読取装置が設置された筐体の壁の平面において読取用体積の投影よりもはるかに小さいxz平面(図面の平面)内に断面を有するように寸法が取られているために、駆動モータ922の1回の走査が、コヒーレントビーム953に、駆動モータ922の作用下で読取用体積の多くの異なった部分をサンプリングさせる。したがって、目標表面914に沿った多くの点がサンプリング可能となる。
図10はこのサンプリングを示すために添付されたもので、どのようにして読取領域がこれを横切って細長いビームを走査することによりサンプリングされるかを示す概略斜視図である。駆動装置の作用下で読取開口部に沿って合焦レーザビームが走査される際のこのビームのサンプリング位置が、長さ「l」および幅「w」の領域をサンプリングする1からnまでの番号の付けられた隣接した長方形により示されている。データ収集は、駆動装置が開口部に沿って走査される際にn個の位置のそれぞれにおいて信号を収集するために行なわれる。その結果、読取用体積のn個の異なった示された部分からの散乱に関した一連のデータ点が収集される。モータ922による光学サブ組立体950の運動についての追加のデータを提供するために、モータには、モータの回転の速度および加速度を測定ためのロータリエンコーダが装備されてもよい。光学サブ組立体950を駆動するためにモータの出力に印加されるギヤ比を知ることにより、読取用体積内の目標物体に対する相対的な光学サブ組立体950の速度および加速度を決定することが可能となる。ロータリエンコーダは、例えば、リードスイッチ系エンコーダまたは光学エンコーダによる提供が可能である。
いくつかの実施例において、モータに対してロータリエンコーダを使用する代わりに、x方向、すなわち、走査方向に沿って開口部903に隣接して筐体901の内部に形成されてもよい(図示されていない)距離マークとともに、線形エンコーダを使用してもよい。一実施例において、このようなマークは、300マイクロメートルの間隔が空いていてよい。このような距離マークは、(バーコード実用例に使用されるものなどの)専用線形エンコーダエミッタ/検出器、または、各光学センサモジュール968、969内の1つまたは複数のセンサによりサンプリングが可能であり、かつ、さらに以下により詳細に説明されるように、x方向においてデータの線形化のために使用が可能である。
一実施例において、走査装置は、x方向の各走査位置についてy方向において22個の点を読み取るように構成されてよく、かつ、読みは合計約1,500個のx方向の位置から取られてよい。一実施例において、読みは50mmの走査長さに沿って各約35ミクロンで取られ、これにより、1429個のx方向の読みの位置を提供する。したがって、読取用体積内の各x、yの位置において読み取る2台の検出器の場合、合計62876個のデータ点が得られ、表面領域に対する署名はこれに基づいてよい。以下により詳細に説明されるように、いくつかの実施例において、これらのデータ点の全てより少ない点が、目標のための署名の生成から選択されてもよい。
所望のセキュリティレベル、物品のタイプ、検出器チャンネルの数「k」(各表面点から読み取るセンサの数)、および、他の要因に依存した取り込みデータ点の数のための数値の典型的な範囲は、250<k×n<10000であると予想されている。検出器の数kを増加させることが、取り扱い、印刷などを介した物品の表面劣化に対する測定値の鈍感さも改善することも見出されている。現実には、これまでに使用された試作品では、経験則は、独立したデータ点の総数、すなわち、k×nは、非常に様々な表面に伴う許容可能に高いセキュリティレベルを与えるために、500以上としなければならないことである。署名の生成に使用されるデータ点の総数は、より低いレベルのセキュリティが許容可能である場合に、より高速な処理を可能にするために低減可能である。一方、署名の生成に使用されるデータ点の総数は、特に物品表面の大きな劣化の可能性の高い状況では、より高いレベルのセキュリティを提供するために大幅に増加可能である。このような状況の例は、潜在的な表面劣化が甚大になるような長期間にわたり戸外に置かれ、かつ、錆びることがある大型金属機械の部品または(燃料または化学薬品を収容する円筒などの)ドラム缶を含んでよい。このような実用例の場合、100000から1000000の範囲内のk×nの値が適切であるとしてよい。
図11を参照すると、入射ビーム953の細長い焦点を生成するために使用される光学装置が簡単に説明される。
本実施例においては、22mm×50マイクロメートルのビーム寸法が図11に示された通りのビームエキスパンダ装置を使用して作成される。ビームエキスパンダは光学レンズの分野でよく知られている。本実施例のビームエキスパンダは、これが1つの次元のみにおいてビームを拡張する一方、他の次元においては焦点を維持することにおいて、そのような従来のデバイスの大多数とは異なっている。一実施例において、これはシリンドリカルレンズを使用して達成されている。
図11は、ビームエキスパンダ装置における主要な光学要素の概略立体図である。
図11に示されたように、レーザ光源952は、コヒーレント光ビームを生成するように動作可能なレーザダイオード1110を含む。第1に、円形凸レンズ1112はコヒーレントビームへの距離焦点を設け、この距離焦点は、読取用体積内の目標へのビームの入射の点でのx方向におけるビームのサイズを(光路のどこかに設けられるいずれか他の焦点調整レンズなしに)決定する。本実施例において、凸レンズ1112はレーザダイオード1110と一体化されている。
一旦コヒーレントビームが円形合焦レンズ1112を通過すれば、グラスロッドなどの短焦点長シリンドリカルレンズ1114を通過する。このことは、ビームをy方向においてロッドに近い点に合焦させるが、x方向には影響を受けずに留まらせる。一旦焦点を通過すると、(以下の図12に示された1215)ビームは、ビームをy方向に平行にするように動作し、やはりビームにx方向には影響を受けさせない長い局所長シリンドリカルレンズ1116に到達するまでy方向において広がる。
x方向における距離焦点は、凸レンズ1112または(図示されていない)ビームエキスパンダの後のどこかのさらなるシリンドリカルレンズを使用して変化させることができる。さらなるシリンドリカルレンズは、x方向焦点を調整し、拡張されたビームをy方向には影響を受けさせずにおくように構成されている。
図12、13、14、および、15を参照して、各光センサモジュール968、969内で使用されている光学装置がより詳細に説明される。
各光センサモジュール968、969は、読取用体積内の目標表面上の各サンプリング領域のための光検出器上に反射光264、265を合焦させるように構成された光学装置を含んでいる。本実施例において、隣接した光検出器のラインを提供するために集積回路光検出器アレイチップが使用されている。光学装置は、アレイ内の各光検出器に、読取用体積の個々の異なった部分から反射された光を受光させる。適切な集積回路アレイの例は、Thales 1022NW22リニアフォトダイオードアレイである。この特定の集積回路パッケージは、アレイ内の各ダイオードからの出力が、個別に同時に測定されることを可能にする。このパッケージは、線形アレイに配列された22個の個別のフォトダイオードを有し、各ダイオードは1mm平方よりも非常に小さく、ダイオードが中心で1mmの間隔を空けられるように、各ダイオード間に小さな間隔を有している。
図12は、センサ装置内の主要な光学要素の概略立体図である。
図12に示されたように、反射光964、965が通過する第1の光学要素は、光をコリメートする(すなわち、光の広がりつつある光線を平行にする)ための円形凸レンズ1310である。本実施例のこの第1のレンズ1310は、レンズに到着する全ての反射光が0.2の最小開口数で取り込まれるほどに十分大きい。
次に、光を、x方向の光に影響を及ぼさずにy軸に収斂させるために、シリンドリカルレンズ1312が使用される。
続いて、光は、1対の対角に配列されたスロット開口部に到達する。第1のスロット開口部1314は、円形レンズ1312の軸に垂直なスロットの長軸を有する。このことは、y軸における円形レンズ1310の選択された最小開口数よりも大きい開口数で取り込まれたいかなる光も除去する効果を有する。
第2のスロット開口部1316は、円形レンズ1312の軸に平行なスロットの長軸を有する。このことは、x軸における円形レンズ1310の選択された最小開口数よりも大きい開口数で取り込まれたいかなる光も除去する効果を有する。
第2のスロット開口部1316に続いて、シリンドリカルレンズ1318は、光を(図13には示されておらず、以下の図14に1420で示されている)センサアレイまでx軸において合焦させるために使用される。したがって、シリンドリカルレンズ1318はシリンドリカルレンズ1312の軸に垂直な自身の軸を有する。光は、第1のシリンドリカルレンズ1312の機能によりy軸においては既に合焦されている。この第2のシリンドリカルレンズ1318は、約1/5に光を縮小する機能も提供する。このことは、読取用体積のz軸における目標の位置決めのいかなる誤差も1/5に縮小される自身の効果を有する。アレイ内の各センサが約1mm平方である本実施例においては、このことが、反射光がセンサに当り損ねる前に最大5mmのz軸位置決め誤差を許容することを意味する。
したがって、読取用体積内の目標表面までの距離がかなり正確に制御されることが相対的に重要となる。この距離は、中継というよく知られている光学画像形成技術を含めた従来の合焦技術を使用して制御可能である。いずれのそのような技術も、目標表面からの反射光に対して使用される場合には、センサにおける効果的な開口数を制限しないように構成される必要がある。
光学組立体の光線追跡型の図示が図13および14に示されている。読取用体積からの反射は、図13および14で点光源1308として概略が描かれている。図13は、x方向の平面内を示す図であり、図14はy方向の平面内を示す図である。したがって、シリンドリカルレンズおよびスロット開口部のビームに対する効果が明確に分かる。明確さのために、図14には読取用体積からの反射の5点のみが示されているが、より多数の点がこのようなシステムを使用してサンプリングされてもよいことを理解されよう。
この装置の手段により、読取用体積から反射された光がセンサアレイ内の各センサについての同じ開口数で取り込まれることが保証される。したがって、読取用体積内の各サンプリング点についてアレイにより取り込まれた情報は、アレイ内の他のセンサの全てに関して光学的に同一の経路を辿った同量の反射光に基づいている。この効果の手段により、同じ光学的特徴を持つ読取用体積内の多くの点を同時にサンプリングするために、単一の光学装置が使用可能となる。
この動作を行なうために従来の光学システムが使用された場合、第1のレンズの中央に到着した光を受光するセンサは、第1のレンズの辺縁部に向けて到着した光を受光するセンサよりも多くの光を(すなわち、より大きな開口数から)受光する。本実施例の装置は、反射光の結果的なサンプリングが可変収集開口部により変形されるこの状況を回避する。
したがって、単一の光学装置は、各センサモジュール968、969において使用されてもよい一方、読取用体積内のいくつかの点に関してデータが同時に取り込まれることを可能にする。これにより、走査のために読取用体積内に提示された大面積の目標表面を、読取用体積にわたる走査ヘッドの多数の通過を必要とせずに、読み取ることが可能となる。したがって、大きな目標領域は目標にわたる走査ヘッドの単一の通過において素早く走査可能となる。
図15は、一実施例システムのための要素の相対的な距離およびサイズの詳細を伴った光センサモジュール968、969内の光学要素の該略図である。
図15に示されたように、目標表面914は、検出器装置内の第1のレンズ1310からBFLL1の距離にある読取用体積内に配列されている。本実施例の第1のレンズ1310は50mmの焦点距離および40mmの直径を有する円形レンズである。本実施例の第2のレンズ1312は50mmの焦点距離、30mmの幅、および、32mmの長さを有するシリンドリカルレンズである。
本実施例の第1のスロット開口部1314は幅5mmのスロットを有し、かつ、第2のレンズ1312と第3のレンズ1318の最も近い各縁部同士の間の中間に位置決めされている。本実施例の第2のスロット開口部は幅10mmのスロットを有し、かつ、第1のレンズ1310の焦点距離の2倍から目標範囲BFLL1を差し引くことにより規定される第1のレンズ1310の前縁部の背後の一定の距離に位置決めされている。
本実施例の第3のレンズ1318は、9.3mmの焦点距離、14mmの直径、および、28mm以上の長さを有するシリンドリカルロッドレンズである。検出器アレイ1420は、光がアレイ内の各フォトダイオード上にスポットで合焦されるように、第3のレンズの中心軸から各フォトダイオードの背面へ9.3mmの距離に第3のレンズに隣接して位置決めされている。検出器アレイ1420は、BFLL1の第2のレンズ1312の最も近い縁部から各フォトダイオードの背面への距離に2.3mmを加えた距離にも位置決めされている。この2.3mmは、第3のレンズ1318の厚さにより引き起こされた第2のレンズ1312の焦点距離の変化を補償するための必要な調整である。第3のレンズ1318はy方向における光の焦点を変化させないように配列されているが、同レンズ1318は、四角形プリズムと同じ方法で第2のレンズ1312の焦点距離を変化させる効果を確かに有する。この効果は図14の光線追跡において見て取ることができ、同図では、ビームの第3のレンズ1318の通過によりビームが僅かに変化されたことが分かる。
いくつかの実施例において、光センサモジュール内の光路中にはレーザ干渉フィルタが挿入されてもよい。このようなフィルタは光センサモジュール内のほとんどどこにでも挿入可能であり、唯一の制限はフィルタ自体の厚さである。このようなフィルタは、典型的に約6mmの厚さでありと予想されるので、他の構成部分との間の十分に大きな隙間がフィルタを取り付けるために必要とされる。このようなフィルタは、大量の背景照射が存在する領域において使用されると予想されているシステムに特に適切であるとしてよい。レーザ干渉フィルタは、特定の通過帯域内でのみ光を伝送する半反射性材料により提供可能である。例えば、レーザ光源が635nmの波長を持つコヒーレントビームを供給する場合、625から645nmの通過帯域を持つレーザ干渉フィルタが提供可能であり、これにより、この通過帯域外の光が光検出器に到達することを防止する。このようなフィルタの使用は、コヒーレントビームを供給するための高出力レーザ光源を必要性とせずに広範な背景照射の存在下でさえ、走査デバイスが良好な性能を提供することを可能にし得る。レーザパワー出力を、関連規制規定で規定されたレベル未満に保つことにより、スキャナデバイスは規制に制限されずに生産可能である。
いくつかの実施例において、取り込まれた光がセンサアレイ内のセンサ上に不完全に合焦されることを保証することは望ましいとしてよい。こうすることにより、アレイのセンサ間の間隔により発生するエイリアシングを回避することが可能となる。このことは、各近隣のセンサが、単に、特定のセンサに入射することを意図された少量の光を受光するために十分に焦点を外すことにより達成可能である。
このような耐エイリアシングシステムが使用されてもされなくても、いくつかの実施例においては、センサから出力された信号にフィルタをかけることが所望されるか、または、適切であるとされてもよい。このようなフィルタはある程度のチャンネル間(横方向またはy方向の)スミヤリングを行なうことができ、かつ、ハードウェアまたはソフトウェアにおいての実行が可能であり、ならびに、信号のアナログからデジタルへの変換の前または後に機能させることが可能である。このようなスミヤリングフィルタを使用することにより、システムのz方向の範囲は感度を下げる(すなわち、位置決め誤差に対するより強い耐性を与える)ことが可能である。しかし、このようなシステムは、取り込まれたデータの信号強度を低下させ、署名を効果的に減衰させる副作用を有する。
x方向の走査位置の変化を伴った検出器アレイ1420内のフォトダイオードの1つにおける信号強度の例が図16に示されている。このグラフから明らかなように、信号の変化(すなわち、強度変化)は、時間に対して約10%の電圧差となっている。すなわち、約0.3Vの基準から約0.03Vの最大隣接ピークから隣接ピークへの変化が出力されている。強度変化が約0.5%である(非特許文献3の図1aを参照)上記に検討した非特許文献3に開示されているものなどの知られているシステムと比較して、本実施例のシステムは、センサにおける強度変化信号強度における10倍の改善を提供している。
したがって、センサにおけるこの大きく強化された信号強度は、上述されたものに類似した光学組立体に基づくシステムを、光沢のある紙またはプラスチックなどの輝く表面における表面の詳細を分解するそのシステムの能力に関して、はるかに堅牢なものにする。
したがって、画像サンプリングのために大きな開口数を提供する上記の実施例の光学システムが、光学組立体当り単一のセンサのみが使用されているシステムにも適用可能であることも明らかである。これにより、知られているシステムに対するセンサ出力の大幅な改善が達成可能となる。
大きな開口数に加えて多検出器システムが使用された場合、読取用体積内に配置された大面積の目標表面を、目標の素早い走査を達成するために同時に読み取ることが可能である。
上記の実施例は各光センサモジュール内に22個のセンサアレイを含んでいるが、他のアレイサイズも使用可能である。しかし、サイズが22個のセンサのオーダの感知アレイは、目標に対する大面積に関したデータを得ることと、市販のプロセッサ/ASIC/DSPを使用して容易かつ安価に処理するためには多すぎるデータを有することとの間の良好なバランスを提供する。センサの数は、単一の走査でカバーするための所望の目標領域および利用可能なデータ処理能力に基づき選択可能である。
上記の各実施例は一次元のフォトダイオードアレイを使用しているが、他のセンサアレイも使用可能である。例えば、アレイは、所望のサイズのアレイを組むために、いくつかの分離した光検出器から、または、いくつかの光検出器アレイパッケージを使用して構築可能である。同様に、代案検出器技術も使用可能である。例えば、イメージングセンサにおいて典型的に使用されているタイプの検出器も、本実施例の光学系とともに使用可能なサイズのセンサ要素を備えて入手可能なものがあれば、使用可能である。例えば従来のCCD(電荷結合素子)アレイなどは、約60ミクロン平方のセンサ要素を典型的に有する。したがって、このような小型の検出器は、各実施例の光学系において、有用なデータを得るために読取用体積内の目標の位置決めの極端に正確な範囲を必要とする。しかし、1mmのオーダの幅を有するセンサ要素を備えたCCDアレイも、CCDに伴う高いノイズが対処可能であると仮定して、使用可能である。一実施例において、CCDアレイは、幅(y方向)が1mmおよび長さ(x方向)が約50μmの要素を有する。このようなセンサ構造は、目標表面からの従来の画像形成型のデータの取り込みに改善を提供することができ、それにより、パターンマッチング型の動作のための改善を提供する。他の実施例において、フォトダイオードの代わりにフォトトランジスタなどの代案光検出器が使用可能である。
上述の実施例はサイズが約1mm平方のセンサ要素を有するが、他のセンササイズも使用可能である。光学組立体内のロッドレンズの5:1焦点外しの効果は、比例定数をセンサのサイズと、許容可能である一方、有用な出力を与えるz方向範囲の最大の不正確さとの間に設定する。したがって、より小さなセンササイズは、走査ヘッドがより小型になることを可能にするが、位置決めのより高い正確さを必要とする。逆に、大きなセンササイズは位置決めのより高い不正確さを許容するが、大型の走査ヘッドを必要とする。
上述の各実施例において、走査ヘッドは読取用体積、および、走査装置内の機構により同体積内に配置されたいずれの物体に対しても相対的に移動される。異なった走査動作間での読取用体積内の物体の正確な再位置決めを支援するために、ガイドを設けることが可能である。図17は、内部に読取開口部903を有する走査装置901の該略図である。走査装置901は、読取用体積に対する相対的な物体の位置決めを支援するための同装置の上に形成された位置決めガイド1742も有する。代案実施例において、以下により詳細に説明されるように位置決めガイドは省いてもよい。
図18を参照すると、上記の各実施例で説明されたものなどの走査ヘッドが、生産ラインまたは加工ラインの環境において生じることがあるものなどのように固定位置の走査ヘッドを通り過ぎる物体を走査するために使用可能である装置の例が説明される。
図18は、例えば加工ラインの環境などにおいて、物体のバッチを検査選抜するように意図された走査装置1801の例の概略斜視図である。リーダはパッケージの物体が定置可能であるコンベヤベルト1844に基づき、図示の簡略さのために1個の物体1805のみが示されている。物体1805がコンベヤベルト1844上を通り過ぎる間に、物体1805上の読取領域1810が静止レーザビーム1853により走査される。レーザビーム1853は、コンベヤベルト1844の横の所定位置に固定され配置されたレーザ光源1852により発生される。レーザ光源1852は細長いビームを生成するための(図示されていない)集積ビーム合焦装置を有し、このビームはy方向に拡大し、かつ、高さ「h」でコンベヤベルト1844上を通過するためにz方向において(すなわち、床に対して水平に)進行し、これにより、読取領域1810にわたり走査するために高さ「h」において物品1805を横切る。1個のみの物体が示されているが、一連の同様の物品が搬送可能であり、かつ、ビーム1853を通過する間に連続して走査可能であることを理解されよう。読取領域1810から反射された光は、光センサモジュール1868および1869で検出可能である。
コンベヤに基づくリーダ装置の機能的構成部分は、上記にさらに説明された自立型リーダ装置のものと同様である。内容の唯一の差は、走査ビームと物品との間に所望の相対運動を生じさせるために、レーザビームよりもむしろ物品が移動されることである。
コンベヤに基づくリーダは、一連の物品を読み込むことによりデータベースに署名を投入するために生産ラインまたは倉庫の環境において使用可能であると考えられる。対照標準として、記録された署名が検証可能であることを検証するために、各物品は再び走査されてもよい。このことは、連続して動作する2つのシステム、または、各物品が2回通り過ぎる1つのシステムを使用して行なうことが可能である。バッチ走査は、販売時点管理(POS)において、または、POS設備の構成部分に基づくリーダ装置を使用して適用することも可能である。このような再走査システムが採用された場合、上記に検討された通りのスミヤリングフィルタが使用可能である。スミヤリングフィルタは、1つおきのチャンネルのみが検証走査(再走査)に対してモニタされる必要がある程度まで第1の走査で取り込まれたデータをぼかすために使用可能である。
加工ライン型のシステムから予想され得るデータレートの実例として、走査方向において35マイクロメートルごとに各センサから1つの測定値が所望されていると仮定する。段ボール箱を作成するための糊付け/折り畳み機などの現在使用中の高速加工ラインの速度である4m/sで加工ラインが移動していることをこの実例が仮定した場合、8.7マイクロ秒ごとに各センサから1つのサンプルが必要となる。このことは、センサからのデータレートが約110kサンプル/sであることに等しく、これは、十分に市販のプロセッサIC(集積回路)、ASIC(特定用途集積回路)、および、DSP(デジタル信号プロセッサ)の能力の範囲内である。アナログからデジタルへの変換の前にセンサ信号を増幅ために、オペレーショナル増幅器などのアナログ構成部分が使用されると、および、約10倍の増幅が必要であると仮定すると、このことは、このオペレーショナル増幅器が、安価なオペレーショナル増幅器を使用してさえ達成可能であるGF(利得帯域幅積)等級の1.1MHz(110kHz×10)を必要とすることを意味する。同様に、オペレーショナル増幅器への入力回線が接地するための抵抗器およびオペレーショナル増幅器を含んでいると仮定すると(以下の図22を参照)、この抵抗器が22kΩの値を有している場合、9マイクロ秒(約110kHzの信号の周期)のサンプル間時間に対して、市販の容量値である40pFの容量となる。したがって、図18に示されたセンサ装置は、現在商業的に利用されている全ての加工ラインとともに動作可能である。
理解されるように、上述の各実施例は必ず大型になり、その場合、大きな読取範囲が所望される。これは、センサにおいて所望される開口数を達成するために必要な光学構成部分のサイズを規定する物理法則によるものである。この問題に少なくとも部分的に対処するために、光センサモジュールは、経路を戻りつつある光、および/または、経路に隣接した入射ビームを見るように構成され得る。図19を参照して、このようなシステムの実施例装置が説明される。
図19は、光センサがレーザ光源に向かって反射されて戻る光を受光するリーダ装置1901の該略図である。
図19に示されたように、y方向に拡張した細長い焦点を有してよいコヒーレントビーム1953は、目標表面1914の目標領域1916内に誘導される。簡略さのために、レーザ光源は同図に示されていない。レーザ光源は、線1953に沿ってビームを誘導するために必要なミラーおよび/またはプリズムを使用して、システム内のどこにでも定置され得る。
リーダ装置により収集された反射光の広がりは、線1964、1965により示されている。反射光はビームスプリッタ1920に進入し、同スプリッタ1920は反射光を2本のビームに分割し、一方は2つの光センサモジュール1968、1969のそれぞれに向けて誘導される。以下に検討されるようにスプーフィング防止機能を提供するために、各光センサモジュールが異なった角度範囲からの反射光を受光するようにするために、ビームの一方の半分は、帰線消去部材1921、1922により光センサモジュール1968、1969に到達することを停止される。同部材1921、1922は、角度範囲θa内の反射光が検出器光センサモジュール1969に到達し、かつ、角度範囲θb内の反射光が検出器光センサモジュール1968に到達するように配置されている。
各光センサモジュールにおけるセンサまたはセンサアレイに到達する光が同じ開口数で収集されるようにするために、各光センサモジュールは、これが、反射光の幅全体から光を受光しているかのように構成されている。例示するために、各光センサモジュールのコリメートレンズ1910が図19に示されている。したがって、停止部材1921、1922が存在しない場合、各光センサモジュールは反射光の角度範囲全体からの光を受光することがわかる。
所望の開口数を達成する際にサイズの制約が適用されると、各光センサモジュールに必要な光学組立体は、すぐに大型化し、かつ、扱いにくくなる。したがって、いくつかの実施例において、0.1の開口数のための10cmのレンズ直径を必要とする携帯用スキャナのための最大読取範囲は50cmのオーダとしてよいことが考えられる。非常に長い読取範囲が必要とされる実用例に対して、必要なレンズの重量を低減するためにフレネルレンズを使用することが可能である。本実施例のシステムが相対的に粗い検出器(1mm平方)にわたり反射光を平均化するため、フレネルレンズによりもたらされ得る絶対的な画像品質のいかなる低下も、取り込まれたデータにはほとんど、または、何らの影響も及ぼさない。理解されるように、より長い読取距離が、結果的により大きなリーダユニットのサイズで達成可能である。ガントリーまたは車両搭載ユニットが作成される場合、数メートルの最大読取距離は、単に光学装置を拡大することにより達成可能である。
調整可能な焦点距離が提供されている上述のリーダ装置の全てに対して、目標表面までの距離は、受光された光が光センサモジュールのセンサ要素に到着することを保証するために、光学サブシステムが十分な程度の正確さを持つ所望の距離での合焦を可能にするための十分に正確な距離測定を提供可能ないずれの手段によっても測定可能である。適切な距離決定システムの例は、1つまたは複数の合焦レンズが正確な距離にビームの焦点を調整するために使用されることを可能にするためのレンジファインダを含んでよい。一実施例において、レンジファインダはレーザレンジファインダであってよく、他の実施例において、レンジファインダは望遠ロッドなどの物理的測定要素であってよい。他の実施例において、レンジファインディングはスキャナからの反射ビームの処理により実施され得る。検出器において受光された反射ビームの自動相関機能の測定値は、目標表面での焦点の程度を示すことが可能であり、これに従って焦点の調整が行なわれることを可能にする。
いくつかの実施例において、長方形の領域の走査には向かない物体を走査することが望ましい。このような物体の例は、缶もしくは瓶の頂部、または、セキュリティ封止などの円形の物体であってよい。このような状況に対処するために、スキャナは、目標に対する相対的な走査ヘッドの回転運動により円形の目標を読み取るように構成されてもよい。適したシステムの実施例は図20に示されている。
図20Aは、円形の走査領域から走査するために、回転走査のために構成されたスキャナシステムの概略図である。このようなリーダ装置の使用が円形目標の走査に限定されないことを理解されよう。
図20Aに示されたリーダ装置2001は、走査ヘッド2050を目標表面2014に対して相対的に動作可能な回転モータ2022を含んでいる。走査ヘッド2050は、細長い焦点を持つコヒーレントビーム2053を目標表面上に誘導するように動作可能なレーザ光源2052を含んでいる。反射光2064、2065は、ビームスプリッタ、ミラー、または、プリズム2066、2067を使用して光センサモジュール2068、2069に再誘導される。
図20Bは、円形走査領域2010上のコヒーレントビーム入射パターンの実施例を示している。この実施例において、コヒーレントビーム2053は細長い焦点を有し、したがって、走査領域2010上に線の形で入射する。本実施例において、コヒーレントビーム2053の入射線は円形走査領域2010の直径を横切って延在し、続いて、矢印により示されたように円形走査領域の中心について回転され、したがって、走査領域全体を走査する。
図20Cは、円形走査領域2010上のコヒーレントビーム入射パターンの例を示している。この実施例において、コヒーレントビーム2053は細長い焦点を有し、したがって、走査領域2010に線の形で入射する。本実施例において、コヒーレントビーム2053の入射線は円形走査領域2010の半径を横切って延在し、かつ、矢印により示されたように円形走査領域の中心について回転され、したがって、走査領域全体を走査する。
図21および22を参照して、上述の実施例リーダ装置において使用されているものなどの22個の要素センサアレイを伴った使用に適したデータ取り込み処理回路の例が説明される。
図21は、本実施例のデータ取り込み処理回路のための概略回路図である。センサアレイ1420はアレイ内の22個のセンサ要素のそれぞれに関した1つの出力を有する。この出力は、センサ要素に入射した光の量に直接比例したアナログ電圧である。個々のセンサ要素からの実施例信号出力のために上記の図16を参照されたい。なぜなら、同要素が目標表面の異なった部分からの反射光を受光するからである。
本実施例において、各センサ要素からの出力は、個々の増幅器およびアナログからデジタルへの変換器(ADC)ブロック2130に入力される。本実施例の増幅器・ADCブロック2130aからfは、各々が、センサアレイ1420内の4つの異なったセンサ要素の出力を受信する。22が4によっては正しく割り切れないため、増幅器・ADCブロックの2つ2130e、2130fは「予備」の入力を有し、この予備入力は、本実施例において、回路への電力供給の健全さをモニタするために使用されている。図21において分かるように、ブロック2130eへの予備入力は、供給電圧の50%に等しい電圧を供給する電圧分割器に接続されている。本実施例の回路が通常の5V供給レールを使用しているため、ブロック2130eへの入力は2.5Vとならなければならない。このことは、増幅器・ADCブロック2130eを使用して電力供給安定性についてモニタ可能である。ブロック2130fへの「予備」入力は「Q」により図21に示された回路への原入力電圧をモニタするために使用されている。本実施例において、供給電圧は定格が12Vであり、かつ、幹線変圧器または電池により供給可能である。この入力に対する電圧分割器は、増幅器・ADCブロックを介したモニタのために定格12VのQ値を2.79Vに低減する。Q値をモニタすることは、電池駆動システムの実施例において、電池不具合の早期警告を提供する。なぜなら、ほとんどの電池が、完全に放電する幾分かの時間前に、低減された出力電圧を供給し始めるからである。これらの2つの電力システムモニタ回線の所望の値がセンサ出力よりもほぼ10倍大きいため、これらの入力は増幅器・ADCブロック2130eおよび2130fにおいては増幅されない。したがって(以下の図22を参照すると)、これらの2つの入力は、マルチプレクサの入力に直接に接続されており、これにより、増幅段を迂回している。
各増幅器・ADCブロック2130は、4つの入力回線のいずれか1つからの出力に比例した信号を搬送可能な単一の出力回線を各ブロックが有するように、内部で多重化されている。これらの出力は、本実施例において、解析および署名生成のためにセンサアレイからのデータを使用するように動作可能なデータ処理デバイスに、センサ回路組立体が接続されることを可能にするために、接続ヘッダ2132に接続されている。
増幅器・ADCブロック2130の構造は図22に概略が示されている。増幅器・ADCブロック2130への各入力はオペレーショナル増幅器2240の非反転入力に接続されている。適したオペレーショナル増幅器の例は、Analog Devices(登録商標)AD6808精密低雑音CMOS 4極レール・ツー・レール入出力オペレーショナル増幅器である。各オペレーショナル増幅器2240aからdは、アース抵抗器2241aからdおよびアースコンデンサ2242aからdにより保護されている。これらの構成部分用の適切な値は、抵抗器には220kΩおよびコンデンサには10nFであってよい。いくつかの実施例において、個々に分離した構成部分を使用する代わりに、これらの構成部分を設けるために抵抗器および/またはコンデンサのパッケージが使用されてもよい。
各オペレーショナル増幅器2240aからdは、フィードバック抵抗器2243aからdおよび反転入力接地抵抗器2244aからdも有する。本実施例において、フィードバック抵抗器2243aからdは10kΩの値を有し、接地反転入力抵抗器2244aからdは1kΩの値を有する。いくつかの実施例において、個々に分離した構成部分を使用する代わりに、これらの構成部分を設けるために抵抗器パッケージが使用されてもよい。これにより、11の利得が各オペレーショナル増幅器2240aからdにより達成される。したがって、約0.3Vのフォトダイオードからの出力により、増幅された信号は約3.3Vのレベルを有する。
続いて、各オペレーショナル増幅器回路からの出力は、4つの入力マルチプレクサ2250に送られる。適したマルチプレクサの例はAnalog Devices(登録商標)ADG704低電圧4Ω4入力マルチプレクサである。このマルチプレクサは、どちらの入力がマルチプレクサ2250からの出力であるかを決定するために(接続ヘッダ2132に接続された)2つの制御入力A1、A0に応答可能である。
続いて、マルチプレクサ2250はRCローパスフィルタ回路2252によりフィルタリングされる。このローパスフィルタは1つの実施(Linear Technology(登録商標)LTC1864、以下に検討される要素2254)において使用されているADCのデータシートで推奨されており、したがって、良好な回路設計の実現により同図に示されている。このフィルタは、信号が不要な高周波数効果を含んでいないことを保証する。本実施例において、このRC回路が510Ωの抵抗および390pFの容量を有する場合、ローパスフィルタ2252の3dB点は約800kHzである。
続いて、マルチプレクサからのフィルタリング済み出力は、アナログからデジタルへの変換器(ADC)2254に送られる。適したADCの例は、Linear Technology(登録商標)LTC1864 16ビットマイクロパワーADCである。この特殊なデバイスは、低出力のシリアル出力デバイスである。このADCは2つの制御入力、ADCにクロック信号を供給するSCK、および、アナログからデジタルへの変換を行なうためにサンプルをトリガし、データ入力を保持するCONVを有する。変換された信号は、シリアルデータ出力Doutに出力される。SCK、CONV、および、Doutは外部の制御およびデータ処理のシステムへの接続のために接続ヘッダ2132に接続されている。
上記に図18を参照して検討された実施例データレートを再び参照すると、本実施例のADCはセンサアレイからの各アナログ信号出力を16ビット値に処理する。アナログ信号の値は110kHzで到着し、これは、8.7マイクロ秒ごとの新しい信号を示唆している。そのため、本実施例のシリアルADCは、デジタル信号のビットレートが約1.8Mビット/秒となるように540ナノ秒ごとに1ビットを出力する。これが1つの検出器チャンネルのためのデータレートである。したがって、いずれの一度においても最大6つの異なった検出器チャンネルがモニタされる場合(すなわち、ADC当り1つ)、データレートは約10.8Mビット/秒となる。全ての22個の検出器チャンネルが同時にモニタされた場合、データレートは約39.6Mビット/秒に高まる。したがって、いずれか1つのチャンネルからデータを取り込むことが2006年仕様のいずれの従来のデスクトップコンピュータでも十分にその能力の範囲内であることが分かる。同様に、各ADCから最大1個の検出器をモニタすることは、それでもほとんどのそのようなコンピュータの能力の十分に範囲内である。全ての22個チャンネルをモニタすることは、2006年仕様のデスクトップコンピュータのための専門データ取り込みハードウェアの能力の十分に範囲内であるが、専門データ取り込みハードウェアのないそのようなコンピュータシステムの範囲は超えている可能性が高い。したがって、署名の生成のために全ての22個のチャンネルを使用することは、高速で移動する生産ラインのための必要なハードウェアの点で幾分高価となる可能性が高いが、それでも十分に可能である。同様に、デスクトップコンピュータが時とともに高速化していく傾向にあるため、高速で移動する生産ラインに対するこのようなデータ取り込み方式の実施の費用は低下する。いずれにしても、デスクトップコンピュータのための専用データ取り込みハードウェアでさえ、2006年の価格での高速生産ラインの費用の僅かな部分にしかならない。
理解されるように、フォトダイオードからの低信号レベルへの信号の減衰または干渉の可能性を最小に抑えるために、オペレーショナル増幅器は、好ましくは、センサアレイから最小の可能な信号経路長で所在することができる。
いくつかの実施例において、図21に示された回路は、特定用途集積回路(ASIC)またはファイルプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの専用の集積回路を使用して、全体でも部分でも実施可能である。
スキャナ装置の様々な実施例が説明され、同装置は、大きな開口数を使用して読取用体積からの反射を検出するために読取用体積内に配列された目標表面上にコヒーレント光を誘導するように動作可能であり、それにより、その反射光の低い角周波数成分を含む大量の光を取り込むものである。続いて、取り込まれた光は、読取用体積内の特定の点から反射された光強度の電圧表現に変換可能であり、この電圧は、読取用体積内の品目のための署名を作成する際の使用のためにデジタル化される。
読取用体積内の様々な点からの反射を供給するためにスポットに合焦されたコヒーレントビームのラスター化を使用するように構成された光学装置を使用して、読取用体積から反射された光を取り込むための代案光学装置のいくつかの実施例がこれから説明される。これらの実施例は反射光をサンプリングするために大きな開口数の検出器も使用することができる。
図23に示されたのは、表面のための署名を作成する際の使用のためのその表面を記述する情報を収集するように動作可能な表面読取装置の実施例であり、この署名は、表面の身元が検査される認証システムにおいて使用可能である。
図23に示されたように、リーダ装置2350は、コヒーレント光ビームを発生するように動作可能なレーザダイオード2352を含んでいる。レーザダイオード2352の出力ビーム2353はミラーまたはプリズム2354によりビーム分割キューブ2356に誘導され、同キューブ2356はレーザビームを回転角度ミラー2358に曲げ、同ミラー2358は、レーザビームを、ミラー2358への回転速度と等しい角速度で円を辿るように曲げる。回転角度ミラー2358はモータ2360により駆動される。続いて、曲げられたレーザビームは、ビーム分割キューブ2356に戻って可動ミラーまたは可動プリズムに向かい、この可動部分はビーム2363をリーダ2350内の開口部2366から読取用体積内に誘導する。可動ミラーまたは可動プリズムは、レーザビームの円形の軌跡を、読取用体積内の物品の表面にわたり移動させるために、走査モータ2364により平行移動で移動可能である。
一実施例において、レーザビームの円形の曲がりは、回転プリズムを使用して達成されてもよい。これは、目標へのビームの入射角が一定になるという回転ミラーに対する長所を有するのに対し、回転ミラーは物品の1点から次の点への変化する入射角をもたらすことが予想され得る。しかし、回転プリズムの使用は走査装置に対してサイズを示唆する。なぜなら、プリズムが、レーザビームの所望の円形軌跡の直径の約2倍の断面を有する必要があるからである。他方、回転ミラーはレーザビームの所望の円形軌跡よりもはるかに小さくすることができる。同様に、回転ミラーにより作られた曲げの角度が小さい場合、目標物体上への入射角の変化も小さいと予想可能である。
したがって、読取用体積内の目標物品上でのレーザビーム2363の軌跡は、図24に示されたように見えると予想されえる。ビームが(円形の動きに加えて)目標にわたり二次元で移動される場合、読取用体積内の目標表面にわたる軌跡は、図25に示されたように見えてよい。このような運動は、可動ミラーまたは可動プリズム2362の角度を変えること、または、可動ミラーまたは可動プリズム2362を二次元で移動させるように動作可能な走査モータ2364を使用することにより引き起こされ得る。
レーザビームの焦点スポットのサイズが、1つの円と円との間でビーム中心により移動される平行移動の距離よりも小さくない直径を有するように選択されている場合、レーザビームのこのラスター化は、目標表面のソリッド領域(ベタ領域)全体が読まれるようにする。このような走査手法を採用することにより、走査領域全体は、エイリアシングを回避するために、最小ナイキスト基準以上でサンプリング可能である。
図26は、表面のための署名に処理するために、読取用体積内の目標表面からの反射を検出するために設けられた光検出器の位置を示すリーダ2350の概略断面図である。図26の図は、図23に印を付けられた平面AAを介した図である。示されたように、本実施例のリーダ2350は、リーダ2350内の開口部2366にわたり(すなわち、読取用体積内に)定置された物品からの反射を検出するように配列された2つの光検出器2668を有する。いくつかの実施例において、光検出器2668は図13から15を参照して上記に説明された光センサモジュールとすることができる。
したがって、本実施例のリーダは、物品の表面上に定置されての使用に、および、その表面の走査を取るために適している。一実施例において、リーダは、約30mmから40mmの範囲の辺の長さを持つ物品の実質的に正方形または長方形の領域を走査するように構成されている。このような取り込み領域は、約9万から16万個のデータ点が取り込まれる結果をもたらすことができる。
代案構成において、目標表面にわたるレーザビームのラスター化は、例えば傾斜可能なミラー/プリズムおよび/または走査モータなどを使用して、線形走査ラスター化処理を使用して達成可能である。
図27は、物品の表面を、この表面からの署名を作成するために読み取るように動作可能なさらなるリーダの該略図を示す。本実施例のリーダは、リーダが表面から最大で数メートル離れている時でさえ、表面から署名を読み取るように動作可能である。リーダから目標への最大距離は、反射光を取り込むために使用される光学装置のサイズにより規定される。データ取り込み装置の一定の開口数を維持するために、反射光センサ装置の少なくとも第1の光学要素は、リーダから目標への距離に比例して増大する。したがって、手持ちでの使用に適した容易に可搬のリーダを作成するために、実施可能な最大距離は、約1メートルである。さほど可搬ではないリーダが所望されるか、または、許容可能である場合、読取距離は必要に応じて延長されてもよい。
図27に示されたように、リーダ2780は、レーザビームを発生するように動作可能なレーザ光源2782を含んでいる。レーザビームはレンズ2784を使用して目標表面上に合焦可能である。続いて、合焦されたビームは、同ビームが点2790で表面上で入射する目標表面2789まで進行する前に、ビームスプリッタ2786を通過し、リーダ筐体内の開口部2788を通過する。目標表面は、検出器の開口部から距離rである。入射ビームからの反射は入射ビームと同じ経路を戻るものを含み、この反射光は、リーダ2780内の光検出器2792に向けてビームスプリッタ2786により曲げられる。
距離rが未知である目標表面上の点2790上にレーザビームを正確に合焦させるために、レンジファインダ2794が設けられてよく、合焦レンズ2784が正しい距離rにビームの焦点を調整するために使用されることを可能にする。一実施例において、レンジファインダはレーザレンジファインダであってよく、他の実施例においては、レンジファインダは望遠ロッドなどの物理的測定要素であってよい。他の実施例において、レンジファインディングはスキャナからの反射ビームの処理により実施され得る。検出器において受光された反射ビームの自動相関機能の測定値は、目標表面での焦点の程度を示すことが可能であり、これに従って焦点の調整が行なわれることを可能にする。
本実施例のリーダ2780において、レーザビームは、図23のリーダ2350のために説明されたものと同様の形で複数の点2790を読み取るために、目標表面にわたりラスター化可能である。このようなラスター化は(図示されていない)ミラーおよび/またはプリズムの専用ラスター化装置の提供により達成可能である。代案として、ラスター化は、目標表面上の合焦スポットの位置を調整するように合焦レンズ2784の角度を変化させることにより達成可能である。
したがって、本実施例のリーダ2780は、目標表面をリーダで狙い、読みと取ることにより使用可能な手持ちリーダまたは「ガン」としての使用のために提示可能である。
ガンタイプ手持ちリーダの他の実施例は図28に示されている。示されたように、リーダ2800はレーザビームを発生するように動作可能なレーザ光源2802を含んでいる。レーザビームはレンズ2804を使用して目標表面上に合焦可能である。続いて、合焦されたビームは、同ビームが点2810で表面上で入射する目標表面2808まで進行する前に、リーダ筐体内の開口部2806を通過する。目標表面は、検出器の開口部から距離rである。入射ビームからの反射はリーダ2800内の光検出器2812により検出される。
距離rが未知である目標表面上の点2810上にレーザビームを正確に合焦させるために、レンジファインダ2814が設けられてよく、合焦レンズ2804が正しい距離rにビームの焦点を調整するために使用されることを可能にする。一実施例において、レンジファインダはレーザレンジファインダであってよく、他の実施例においては、レンジファインダは望遠ロッドなどの物理的測定要素であってよい。他の実施例において、レンジファインディングはスキャナからの反射ビームの処理により実施され得る。検出器において受光された反射ビームの自動相関機能の測定値は、目標表面での焦点の程度を示すことが可能であり、これに従って焦点の調整が行なわれることを可能にする。
本実施例のリーダ2800において、レーザビームは、図23のリーダ2350のために説明されたものと同様の形で複数の点2810を読み取るために、目標表面にわたりラスター化可能である。このようなラスター化は(図示されていない)ミラーおよび/またはプリズムの専用ラスター化装置の提供により達成可能である。代案として、ラスター化は、目標表面上の合焦スポットの位置を調整するように合焦レンズ2804の角度を変化させることにより達成可能である。
ガンタイプのスキャナの手持ち使用に伴う問題として考えられ得る1つの問題は、走査動作中にリーダを十分に安定して保持するユーザの問題である。一実施例において、ビームは11度に傾いた回転ミラー(すなわち、ミラーの平面に対する垂直がミラーの回転軸に対して11度である)を使用して、かつ、目標表面まで100mmの距離で3500rpmで回転してラスター化可能である。これは、40mm×40mmの面積を走査するために合計4.85秒かかり、これは、安定した手持ちの使用には明らかに長い時間である。しかし、走査は、それぞれが目標表面にわたりレーザ経路の90度の弧に相当する複数の走査線として考えられる。光検出器が反射光を毎秒166000サンプルの速度でサンプリングする場合、各90度弧の走査線は約5ミリ秒で取り込まれ、これは「リーダの揺れ」が問題とならずに信号を取り込むためには十分に短い時間である。このようなシステムは、レーザ走査経路に沿って45ミクロンごとにデータ点を取り込む。レーザビームが90ミクロンの直径のスポットに合焦される場合、結果として、かなりのレベルの過剰サンプリングをもたらし、この過剰サンプリングされたデータは、サンプリングされたデータにおけるリーダの揺れのいかなる影響も算出するために、および、目標にわたるレーザビームの経路がリーダの運動により影響される場合に補償するために使用可能である。
上記図27および28を参照して示されたタイプのリーダは、サンプリングのためにコンベヤに沿って移動されている品目を走査するためにプロセスラインの環境においても使用可能である。理解されるように、図27のリーダの設計は、限られたリーダのサイズの増大のみで、はるかに大きな目標距離rで使用可能である。他方、図28のリーダが、図27のリーダのためよりもはるかに大きな程度で距離rを延ばすに従い、サイズも必然的に増大する一方、図28のリーダは、2個の光検出器を設けることにより、スプーフィングへのより強い耐性を提供するという長所を有する。システムの耐スプーフィング性を高めるために目標の2つの異なった角度上の反射範囲からデータを取り込むことが所望された場合、図19を参照して上記に説明された装置と類似する装置が使用可能である。以下により詳細に説明されるように、目標表面に極端に高解像度のパターンを印刷することにより1個の光検出器のみが設けられた場合にシステムをスプーフィングにより騙すことが可能なことがある。このスプーフィングの危険性は、署名のために使用される表面の一部を秘密に保つことを含めたいくつかの技術により緩和可能である。同様に、認証システムが、加工ラインの異なった部分に沿って品目を追跡するために使用されている場合、例えば、スプーフィングを行う者が表面を読み、スプーフィングパターンを生成し、表面にスプーフィングパターンが印刷された代用の物品を作り出し、その代用品に本物の物品を交換し、かつ、本来の物品を除去する機会は、極端に制限されると予想可能である。
プロセスラインの状況において、ラインに沿って移動する物品は、ラスター化された走査を行なうには移動が速すぎる可能性がある。このような状況において、走査領域内の1つまたは複数の線は署名を生成する際に読み取られるための線として事前に選択することが可能であり、走査領域の残り部分は署名内に表されない。例えば、図29に示されたように、40mm×30mmの走査領域2920にわたり3本の走査線2922が選択可能である。線の幅は、走査領域に入射したレーザビームまたはビームの焦点により決定可能である。ビームがスポット状に合焦される場合、線2922の幅はスポットの焦点の直径となる。図29に示されたy方向にビームの焦点が外された(すなわち、線状に合焦された)場合、線2922の幅はレーザビーム線の幅となる。
多数の線の実施形態を達成するために、積層された実施形態では複数のリーダが設けられてよく、各読み取りは走査領域2920上の1本の線2922からとなる。このような装置は図30に示されている。ここで、走査領域3020を有する物品3024は、矢印3027により示された方向にコンベヤ3026に沿って移動される。3個のスキャナ3028のそれぞれは、レーザビームを走査領域3020上に投影し、それにより、物品3024がコンベヤ3026により移動されるに従い3本の走査線3022に沿って走査する。
代案実施例において、単一のレーザ光源は、2本以上の走査ビームを回折格子を使用して作成するために分割される。これは図31に示されている。レーザビーム3140は回折格子3142に誘導可能であり、同格子3142は、コヒーレント光に回折格子を使用して普通に観察されるような干渉パターンを作り出す。レンズ3144を使用して、干渉パターンは、目標表面上に複数の合焦スポット3146を作成するために使用可能である。目標表面上のこれらのスポット3146からの反射は、レンズ3148を使用して複数の光検出器3150上に合焦可能である。目標表面がスポット3146に対して相対的に移動される場合、検出器3150は走査線3122から情報を読み取ることができる。
いくつかの実施例において、プロセスライン型のシステムは、一連の物品を読み取ることにより署名をデータベースに投入するために生産および/または倉庫の環境において使用可能である。対照標準として、各物品は、記録された署名が検証可能であることを検証するために走査されてもよい。このことは、(例えば、生産ラインの異なった部分において)直列で動作する2個のシステム、または、各物品が2回通過する1個のシステムを使用して行なうことができる。バッチ走査は、販売時点管理(POS)において、または、POS設備の構成部分に基づいたリーダ装置を使用しての適用も可能である。
一実施例において、一連のスキャナは、プロセスラインに沿った位置に定置されてもよい。これらのスキャナは、いずれかの物品が加工の長さに沿って紛失するか否かを決定するために使用可能である。紛失した物品は、例えば、職員またはプロセスラインへの潜入者により盗まれた可能性がある。紛失した物品は高価な物品である可能性があり、プロセスラインの長さに沿ったどこかで模造品と取り替えられた可能性がある。紛失した物品は、価値ある内容を持つ物品である可能性があり、この場合、価値ある内容を持つ物品は、内容がないか、または、価値のない内容を有する同等の物品と交換されている。それらの例は、マイクロプロセッサのカメラなどの高価値の商品のための包装ラインとすることができ、この場合、包装ラインの人物は完全なパッケージを空のパッケージと取り替えることができ、それにより、この人物が完全なパッケージを盗むことが可能となる。他の例は、工業汚染物質などの有害物質が処分の前に処理されている場合とすることができる。規制当局は、悪徳業者が、空のコンテナを処理のために送ること(これにより、処理の費用は発生しない)、および、適切な処分手順に従わずに環境に汚染物質を捨てることにより、金銭を節約しようと試みることを防止するために、汚染物質が処分の前に適切に処理されていることを確認するために汚染物質のコンテナを追跡可能である。
一実施例において、物品は、プロセスライン上で、例えば製造または包装の処理中または処理後に走査されてもよい。その走査から導出された署名は検証用データベースに保存されてもよい。その後、一旦物品がプロセスラインを離れれば、物品は、それが本物の物品であるか否かを決定するために再走査されてもよい。プロセスラインの走査が上記図30を参照して示された走査線処理を使用した場合、これから導出された署名は、走査線により覆われた走査領域のそれらの部分のみを表すことが可能となる。その後の再走査において、上記に図23、27、および28を参照して説明されたように、ラスター化されたスキャナが使用されてもよい。このスキャナは、走査領域の全体を走査可能であるが、走査線に相当する情報のみが、データベースの署名に対する検査のために署名を生成するために使用される必要がある。このようなシステムを使用することは、署名が走査領域全体に基づく場合よりも小さなデータベースのサイズももたらす。なぜなら、署名のサイズがエンコーディングされたデータの量に比例する(すなわち、署名内に使用された走査領域に比例する)からである。
同様に、特定の物品のための署名を算出するため、および、データベース投入または信憑性の検証のためにその署名を使用するために、図9、18、19、20、23、26、27、28、30、または、31からのスキャナのいずれかの間で混合する、および、適合させることは全く可能である。例えば、図18のシステムは、データベース投入ための署名を作成するために使用可能であり、検証作業員は、その後の信憑性検証のために図23に示されたスキャナを使用することができる。
大きな開口数を使用して読取用体積からの反射を検出し、それにより、その反射光の低い角周波数成分を含めて大きな光量を取り込むために、読取用体積内に配列された目標表面上にコヒーレント光を誘導するように動作可能なスキャナシステムの様々な実施例が説明された。続いて、取り込まれた光は、読取用体積内の特定の点から反射された光強度を表す電圧に変換可能であり、この電圧は読取用体積内の品目のための署名を作成する際の使用のためにデジタル化可能である。
上記に簡単に触れたように、いくつかの実施例においては、認証データベースのための初期署名を作成するために使用されるスキャナのタイプに関係なく、物品のための署名を作成するために、走査領域内の選択された点または領域のセットが使用されてもよい。プロセスライン型のシステムが使用される場合、上記に様々に検討されたように細長い焦点ビームシステムまたは多走査線システムが使用されてもよい。より緩慢に移動するプロセスライン上では、および、物品がリーダに対して相対的に静止している場合のためのシステムに対しては、上記に検討された移動ステージを備えた延長走査線システムまたはラスタスキャナなどの代案スキャナが使用されてもよい。走査領域全体からは、所定の領域または点のセットが、読取用体積の無視された他の部分からの走査データとともに、署名を生成するために使用される領域として事前に選択されてもよい。選択された点または領域の位置は、品目の署名に責任のある団体により秘密に保持が可能である。この団体は、品目の創作者、例えば、商品の製造者、または、文書の発行者、または、この署名システムを運営する第三者の警備会社であってよい。
署名を作成するために使用される走査領域からのデータのセットが一旦選択されれば(これは、当然、走査領域全体であってよく、走査領域全体を使用する唯一の短所は、署名がそれに比例して大きくなり、データベースサイズの増大につながることである)、それが走査領域を横切る線のセットであっても、走査領域内の点または領域の何らかの他の規則的またはランダムなパターンであっても、データが収集される選択済みの点には平均化関数が適用可能である。一実施例において、これは、ランダムスクランブリング行列によりデータ点の一次元ベクトルを増倍する形を効果的に取る。これは、全体的に表面についての情報を提供し、かつ、走査領域の表面への部分的損傷に耐性があり、それでも、署名のためのデータ量は増大しない。一実施例において、スクランブリング行列は整数(効果的にデジタル)値+1、0、−1から作成可能であり、これは増倍操作を単純に行なうために必要な論理回路を作成するが、署名におけるビットエラーレート(BER)を人為的に増加させることがある。他の実施例において、スクランブリング行列はガウス分布の重み付けがされたアナログ値から作成可能であり、これは、BERへのいかなる増加も回避するが、増倍計算を行なうためのより複雑な論理回路を必要とする。
同じ物品の再走査が肯定的な適合の結果をもたらす可能性を高めるために走査領域にスキャナを位置合わせするために、いくつかの技術が使用可能である。1つのそのような技術は、物品に対して相対的にスキャナを設置するための物理的位置合わせガイドを提供することである。これは、物品を内部に設置するためのスキャナ上の位置決めガイドを含んでいてよい。これは、スキャナを内部に設置するための物品上の位置決めガイドを含んでよい。代案として、これは、正しい位置合わせを保証するために、物品およびスキャナの双方が設置される走査フレームを含んでよい。これらのシステムの全ては、信頼できる再位置決めおよび使用の容易さなどの長所を有する。しかし、データベースが異なった形状およびサイズの物品のための署名を含む場合、特に2つ以上のサイズまたは形状の物品を読み取るために単一のリーダが使用されるのであれば、物理的位置合わせは不適切となることがある。
この実施例に対して、物品の表面にスキャナを差向けること、および、各別個のデータ点において取り込まれたデータからの表面の「画像」を構築するための取り込まれたデータを使用することは適しているとしてよい。この「画像」は、予測された表面画像の所定のテンプレートに適合可能である。続いて、ユーザは、表面とテンプレートとの間の位置の適合が検出されるまで、表面にわたりスキャナを移動可能である。スキャナがその位置から移動されてはならないことを示すために、ユーザに位置の適合の表示を与えることができる。一旦位置の適合が見出されれば、スキャナは、署名を生成するために光検出器を使用して物品の走査領域を読み取ることができる。
このような「画像」は以下のように構築可能である。表面に対して相対的にスキャンヘッドが移動する間、センサの出力は、明るい領域から暗い領域への遷移が発生した場合に、約ゼロから約0.3Vにジャンプする。この結果は、取り込まれたデータから、従来の画像に見える何かを作り上げるために使用可能である。この時、反射のいずれのスペックル型の内容も無視可能である。この構築された「画像」はパターン認識のために使用可能である。
このようにして作成された走査領域の「画像」は、従来の画像形成センサを使用して取り込まれることが可能な従来の画像ではない。なぜなら、この画像は、表面の単一照射からよりもむしろ、表面の反復局所化照射から反射された光から構築されているからである。したがって、データの収集方法により結果は従来の「画像」に見えるが、同じデータでも、このデータが異なって解析された場合には、低い角周期性成分を含めて、表面の構造を記述するスペックル型の情報を提供可能である。通常の外観の画像を作成するために使用されるデータが、(絶対値を見るのではなくて)信号における明らかに同一の領域間の変化を明らかにするために解析されると、スペックル型情報が明らかになる。スペックル型データの結果的な「画像」(すなわち、個々のデータ取り込みから構築された各画素で収集されたスペックル型情報を示す画像)は、以下では、「反転スペックル画像」と呼ばれる。なぜなら、これが、スペックル型反射から作成されてはいるが、従来のスペックル技術を使用しては取り込み不可能だからである。そのため、現況では、反転スペックル画像が、各独立した点に対する局所化照射を使用して、目標上のいくつかの独立した点のそれぞれにおける1つの画素を読み取り、スペックル型情報データ点のセットが目標から収集された際に作成された「画像」となっている。上記に検討されたように、これは、全体として目標全体の単一照射から多くの画素においてデータを収集ことで構成された「伝統的な」スペックル画像とは異なる。したがって、「反転」スペックル画像は「一画像」として取り込まれることは不可能であり、異なった時点における目標上の異なった点の1つの画素の取り込みの反復からのデータを組み立てることによってのみ作成可能である。
これの実施例は図32および33を参照して例示されている。図32は、約0.5mm平方の黒インクのドットが印刷されている1枚の紙の約3mm×5mmの領域の画像を示している。この画像は本実施例のスキャナを使用して収集されたデータを使用することにより作成されたが、コントラストは、表面パターンまたは表面上の装飾が目視可能となるように、絶対値を見るために調整されている。この図において、ドットが存在しない領域は1(すなわち、黒)において飽和し、ドットの領域は0の飽和に近づくが、実際には飽和されない。図では分からないが、「白」ドットは実際には白ではなく、むしろ、このドットはグレイパターンを含んでいる。
このような画像要素は、スキャナを予想された表面パターンに位置合わせするために使用可能である。理解されるように、表面パターンが識別され易くなるに従い、パターン適合操作は高信頼性になる。スキャナがパターンに一旦位置を合わせれば、画像に適応される画像処理は、ドットの内容を無視して紙のスペックルパターンの詳細を観察するために変更可能である。本実施例において、画像の大半が同じ「色」である場合、この変更された画像処理は、画像のコントラストの調整を含む。このコントラストが変更された画像は図33に示されており、表面に対する反転スペックル画像である。同図において、インクドットは0(白)において飽和され、普通紙は、紙のスペックル情報を含む変化する輝度のパターンを示している。理解されるように、これは、理解の容易さのために反転スペックル画像として同図に表されている。しかし、本実施例のリーダは、反射スペックル成分だけでなく、低周波数反射成分も得るために、事実、例えばラスター化レーザを使用して、1回に1つの点ずつスペックル画像を読み取っている。
リーダの再位置合わせを提供するために位置の適合のために使用されるパターンは、特定の位置発見パターンとすることができ、また、物品上に通常存在するパターンとしてもよい。特に、提供されたパターンは、適合させるための認識可能なテンプレートを提供する形状、画像、または、キャラクタのいずれの形態も含んでよい。このようなパターンは、強力な位置適合応答を提供するために明確に生成可能である。
既存のパターンは物品上に通常に存在するいずれのパターンも含んでよい。これは、問題の物品にもよるが、物品上のロゴまたは他の市場開拓用の表示を含むことが可能である。例えば、煙草の箱では、走査領域が製造者のロゴの少なくとも一部を含むように選択されてもよい。なぜなら、それが、偽造された箱上に再現されるものであるからである。他の実施例において、物品はクレジットカードまたはデビットカードなどのスマートカードであってもよい。このようなカード上では、走査領域が、VISA(登録商標)のロゴ、Master Card(登録商標)のロゴ、または、American Express(登録商標)のロゴなどの発行者のロゴを含むように選択されてもよい。物品が信憑性の検証のために本明細書に説明されている走査技術の対象となっていることが事前に知られている場合、適したロゴが物品上に含まれよい。これは、位置合わせマークとして使用可能である。このようなロゴの例は、表現「Secured by Ingenia」を含んでよい。いくつかの実施例において、丸窓型のマーク付けまたは四角形のパターンなどの画像の特徴が使用可能である。いくつかの実施例において、品目の1つまたは複数の縁部が位置合わせマークとして使用可能である。このような画像形成システムが品目の位置決めのために使用される場合、上記に図17を参照して検討されたものなどの物理的な位置合わせ位置決定器は省略可能である。
このような画像形成システムが品目の位置決定に使用される場合、知られている表面マークのテンプレートは2つの方法で使用可能である。第1の方法は、ユーザが品目を再位置決めおよび再走査できるように、品目の位置合わせの誤りを表す信号をユーザに返すことである。他の方法は、取り込まれたデータをテンプレート上にマッピングするための走査データへの調整を作成するためにテンプレートを使用し、署名を作成するために調整済みの走査データを使用することである。いくつかの実施例において、この調整は、署名の生成処理の一部として適用可能である。
何らかの状況では、スキャナユニットが目標に対して相対的に回転されるように動作可能であってよい。これは、例えば、微細に制御された回転ステージの形、または、単に手持ちリーダを回転させる形を取ってよい。この回転装置は必要である。なぜなら、再現可能な署名をもたらす表面の特性は回転位置合わせに大きく依存しているからである。正しくない角度で、かつ、取り込まれたデータを回転させるための行列処理を使用して、単にデータを取り込むことは、走査前のスキャナに対する相対的な目標の回転と同じ結果をもたらさない。このことは、走査データが、単に表面パターンに関するよりもさらに多くの関連した情報を取り込むことをさらに実証している。
この回転の問題は、特に検証走査に当てはまり、検証走査のために目標に対する相対的なスキャナの位置合わせが、偽りの否定的な結果を回避する可能性を最も高くするために本来の記録走査のために使用された位置合わせとは適合しないという点である。回転が必要であるか否かを知ることに備えるために、スキャナユニットは、走査が行なわれる前に位置合わせを検査するために、目標の画像を取るためのカメラを含むように修正されてもよい。代案として、スキャナは、回転(ならびに平行移動)の位置合わせ検査のために(上記に図32および33を参照して検討されたように)目標の構築された画像を解析する目的のためだけに、最初に動作されてもよい。位置合わせが改善を必要とする場合、位置合わせは、(例えば、制御された回転および/または平行移動のステージを使用した)画像形成用走査から測定された位置合わせの誤りから決定された量により変更可能であるか、または、位置合わせが、近似に基づいて変更されて、他の位置合わせ走査が新しい位置合わせを検査するために行なわれてもよい、のいずれかである。一旦位置合わせが十分に良好となれば、スキャナは、目標表面に対する署名を決定するための実際の表面の走査データを取り込むために、データ取り込みモードにおいて再動作が可能である。
上述のように、代案は、何らかの回転再位置決めが必要であるか否かを決定するために目標走査領域を画像形成するためのスキャナユニットを一体化した小型カメラを使用することである。カメラからの目標走査領域の画像は、品目タイプのための保存されたテンプレートと比較可能である。保存されたテンプレートと取り込まれた画像との間の画像認識比較を実行することにより、位置合わせ結果が生成可能となる。位置合わせ結果は、例えば、位置合わせが十分良好あるか否かを、および、良好でない場合に、どのような調整が必要であるかを示すために、または、モータステージまたは同様の自動的に可動可能なマウントに調整の支持を送るために、手持ちデバイスのユーザに送り戻されることが可能である。いくつかの実施例において、カメラの画像は、必要な調整だけでなく、物品のタイプも見出すために異なった物品タイプのためのいくつかの保存されたテンプレートと比較可能である。
いくつかの実施例において、署名を生成するためにデータを集めるように動作可能なスキャナは、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ、サーマルプリンタ、光学複写機、または、所謂、複合機またはMFDなどの印刷装置に含まれてもよい。このような装置では、上記に図9、18、19、20、30、または、31を参照して検討されたものなどの走査線システムが利用されてもよい。代案として、印刷装置を介した文書の移動の速度によっては、(上記に図23、26、27、または、28を参照して検討されたものなどの)ラスター化走査システムが使用されてもよい。例えば、円形の経路を辿るビームは、印刷装置によって文書が縦方向に移動される間に、文書を横切って横方向に移動されてもよい。他の実施例において、走査ヘッドは、インクジェット型のシステムでは印刷ヘッドを文書にわたり搬送するキャリヤなどの移動キャリヤにより、文書を横切って前後に線形に移動されてもよい。レーザプリンタ型印刷デバイス内に組み込まれた走査システムの実施例が図34に示されている。示されたように、印刷デバイス3460は、デバイスを介して印刷シート3464を搬送するためのシート搬送要素3462を含んでいる。デバイス3460を介したシート3464の経路に沿った1つの点において、スキャナユニット3466は、シートがスキャナユニット3466を通過する間にシートを走査するように設置されている。上記に検討されたように、スキャナユニット3466は、シート3464上の走査領域内の何本かの線から読み取るように構成されてもよい。それにより、署名は、その文書のための印刷処理の一部として、印刷デバイスにより印刷シート上に作成された文書から生成されてもよい。
インクジェットプリンタなどの移動ヘッド型電子複写デバイスにおいて、走査ヘッドは、デバイスの印刷カートリッジキャリヤにより搬送可能なカートリッジ内に組み込まれてもよい。一実施例において、電子複写デバイスは、2個以上のカートリッジが一度に搬送され得るように構成されており、そのため、走査が文書の印刷と同時に行なわれることを可能にしている。
図35は、電子複写デバイスのための取外し可能カートリッジ3512の該略図である。取外し可能カートリッジ3512は、物品3562を走査する動作中で示されている。
取外し可能カートリッジ3512は、以下に詳細に説明されるタイプの署名走査ユニット3520を含むように修正された特許文献6に説明されているタイプのものとしてよい。特許文献6の内容は、全体が本明細書に参照により組み込まれている。
取外し可能カートリッジ3512は、署名走査ユニット3520を制御するように、かつ、(図示されていない)接続されたコンピュータで署名を生成するために、このコンピュータへの通信インターフェイス3580を介した送信のためのデータ点を取得するように動作可能なプロセッサ3570を含んでいる。通信インターフェイス3580は通信バス3590を介して取外し可能なカートリッジ3512とコンピュータとの間のデータ転送を管理する。通信バス3590は、従来のカートリッジがインク切れ、トナー切れなどの際にこれを示すために、印刷制御を従来のカートリッジに送るために通常は使用されているコネクタを含んでもよい。他の実施例において、通信バス3590は無線データ転送チャンネルを含んでもよい。これは、よく知られているBluetooth(登録商標)規格を使用したものなどの無線周波数に基づくシステム、または、よく知られているIRDA規格を使用したものなどの光学システムとすることができる。
そのため、署名は、文書が電子複写デバイスにより印刷されている間にその文書のために作成されてもよい。スキャナカートリッジは、例えば電子複写デバイス内のカラーインクカートリッジなどの代わりに使用されてもよい。したがって、例えば、黄色の点を印刷するための命令は、走査を開始するようにカートリッジに命令するために使用されてもよく、かつ、青のドットを印刷するための命令などの異なった命令は、走査を停止するようにカートリッジに命令するために使用されてもよいなど、単純な制御システムとなる。他の実施例において、専用の制御プロトコルがカートリッジを制御するために使用されてもよい。
したがって、物品表面から署名を生成するための様々なリーダ装置が説明された。これらのリーダ装置は、例えば本物であると申し立てられている物品を実際に本物であると検証するなどの物品認証システムの一部として使用可能である。
図36は、上記に検討されたリーダ装置の論理構成部分のブロック概略図である。レーザ発生器3600およびモータ3602は制御および署名生成ユニット3610により制御される。レーザ発生器は上述のレーザ光源954、2052、2352、2782、2802のいずれかであってもよい。モータは上述のモータ922、2022、2360、2364のいずれかであってもよい。制御ユニットはモータを使用して目標表面走査領域にわたりビームの移動を制御する。いくつかの実施例において、2個以上のモータが、例えば1個が回転角度付きミラーを駆動し、他方が平行移動用のモータを駆動するラスタシステムにおいて設けられてもよい。いくつかの実施例において、例えば、物品を基準としたレーザビームの移動がプロセスライン型の状況などにおいて物品の移動により引き起こされる場合、モータはなくてもよい。物品にわたるビームの移動が物品の移動の結果として得られる場合、ビーム制御ユニット204はリーダの物品に対する予想相対速度(すなわち、プロセスラインに沿った物品の速度)の知識を有してもよい。予想速度のこのような知識が入手不可能である場合は、この速度を決定するために、取り込まれたデータに処理が適用されてもよい。例えば、位置合わせマーク928がリーダ上に存在する場合、これらのマークから取り込まれたデータは、この速度を算出するために使用可能である。以下に説明されるように、他の処理技術も使用されてよい。
走査領域に対する相対的なビーム移動特性を知った結果、制御装置3610は、いずれの特定の時点においても、レーザビームの現在の入射位置の情報が入手可能となるように、いずれの特定の時点においてもレーザ発生器3600からのレーザビームにより目標とされている目標表面走査領域の位置を識別することが可能である。
目標表面走査領域からのレーザビームの反射は、光検出器3606により検出される。上記に検討されたように、いくつかの実施例では2個以上の光検出器が設けられてよい。光検出器は上記に検討された検出器1420、2668、2792、2812、3150のいずれかとすることができる。光検出器2606からの出力は、特定の目標表面走査領域のための署名を作成するための処理のために制御および署名生成ユニット3610に送られる前に、アナログからデジタルへの変換器(ADC)3608によりデジタル化される。ADCは図21および22を参照して上記に示されたものなどのデータ取り込み回路の一部とすることができる。
制御および署名生成ユニット3610は、光検出器反射情報の各セットのための走査領域位置を決定するために、レーザビームの現在の入射位置情報を使用することができる。これにより、走査領域の走査済み部分の全てまたは選択された各部分に基づく署名が作成されることが可能となる。走査領域全体にはならない領域が署名に含まれる場合、署名発生ユニット3610は、署名を生成する際に、走査領域の他の部分から受光されたいずれのデータも単に無視することができる。代案として、走査領域全体からのデータが、位置決めまたは目標からの画像タイプのデータの収集など他の目的のために使用される場合、データセット全体が、その追加の目的のために制御および署名生成ユニット3610により使用されることが可能であり、続いて、その追加の目的の完了に続いて、保存または破棄され得る。
署名が制御および署名生成ユニット3610により一旦生成されれば、この署名はチャンネル3611を介してデータベース3612に送信されてもよい。これは、有効または本物の物品の署名をデータベースに投入するために使用された「記録走査」の後に、データベース3612に署名を含めるという形を取ってもよい。この状況において、物品を記述するメタデータ、例えば物品の性質の詳細(例えば、旅券、運転免許証、スマートカードなどの文書、煙草の箱、集積回路パッケージ、物品の製造日、物品の所有者の詳細、物品の製造番号など)は、署名とともに保存されてもよい。代案として、データベース3612に入る署名は、走査された物品がデータベース内に記録された物品のセットの構成要素であるか否かを決定するために、データベースに対して適合されるための検証走査の結果であってもよい。データベースに送られた署名は、データベースの検索を支援するための「サムネイル」を含んでもよい。これは、以下により詳細に説明される。
理解されるように、図36に示された様々な論理要素は様々な装置の組合せにおいて物理的に実現されてもよい。例えば、いくつかの状況において、要素3600から3610の全ては、走査装置内に含まれてもよい。他の状況において、走査装置は、レーザ発生器3600、モータ3602(もしあれば)、および、光検出器3606のみを含み、全ての残りの要素は別個の物理的ユニット内に設置されてもよい。論理的要素の物理的配分の他の組合せも使用可能である。同様に、制御および署名生成ユニット3610は、別個の物理的ユニットに分割されてもよい。例えば、レーザ発生器3600およびモータ(もしあれば)を実際に制御する第1のユニット、レーザビームの現在の入射位置情報を算出する第2のユニット、署名を生成するために使用される走査データを識別する第3のユニット、ならびに、署名を実際に算出する第4の部分があってもよい。
ADC 3608及び/または制御および署名生成ユニット3610により実行される処理段階のいくつか、または、全てが、特定用途集積回路(ASIC)などの専用処理装置または専用アナログ処理回路を使用して実行されてもよいことを理解されよう。代案として、または、加えて、ビームADC 3608ならびに/または制御および署名生成ユニット3610により実行される処理段階のいくつか、または、全てが、デジタル信号プロセッサなどのプログラマブル処理装置、または、従来のパソコン、可搬コンピュータ、手持ちコンピュータ(例えば、携帯型情報端末もしくはPDA)、または、スマートフォンにおいて使用されてもよいものなどの汎用プロセッサを使用して実行されてもよい。プログラマブル処理装置が使用される場合、ソフトウェアプログラムはプログラマブル装置に所望の機能を実行させるために使用されてもよいことを理解されよう。このようなソフトウェアプログラムは、磁気もしくは光学ディスクなどのキャリヤ媒体上で、または、データ通信チャンネルを介した送信のための信号上で実施されてもよい。
データベース3612が以前に記録された署名のライブラリを含む場合、署名生成ユニット3610またはチャンネル3611内に所在する(ユーザのPCまたは他の端末などの)媒介物は、使用において、これがデータベース3612にアクセスして、データベース3612が、スキャナにより読み取られている物品の署名との適合物を含むか否かを確立するための比較を行なうようにプログラム可能である。システムは、適合物が見出されない場合に、署名がデータベースに追加されることを可能にするようにもプログラムされてよい。この使用モードは、正当なユーザによる使用のために保存されてもよく、また、独占的に検証の目的のために現場で使用されるシステムからは省かれてもよい。
物品表面から署名を生成するためのシステムの論理的要素が説明された。このような技術を使用することにより、個々の物品は、異なった位置において繰り返し識別が可能となり、その物品が同じ物品であるとの有効性を検査することができる。
一例として、図37は約0.5×0.2mmの面積を覆う画像に伴う紙表面の顕微鏡画像を示している。この図は、紙からの表面などの巨視的に平坦な表面が、多くの場合に、微視的な規模で高度に構造化されていることを示すために含まれている。紙については、紙を作り上げている木材繊維の絡み合ったネットワークの結果、表面が微視的に高度に構造化されている。同図は約10ミクロンである木材繊維に対する特徴的な長さの規模も示している。この寸法は、回折を、および、したがって、スペックルを、ならびに、同じく繊維の向きに依存したプロファイルを有する散漫散乱も、引き起こすためのコヒーレントビームの光学波長との正しい関係を有する。したがって、リーダが特定の分類の商品のために設計される場合、レーザの波長が、走査される商品の分類の構造特徴のサイズに調整可能であることを理解されよう。同図からは、紙の各葉の局所表面構造が、これが個々の木材繊維がどのようにして配列されているかに依存する点で一意となることも明らかである。したがって、一枚の紙は、特別な樹脂トークンまたは従来技術の磁気材料堆積物などの特別に作成されたトークンとは、その紙が自然法則に支配された工程により作られた結果として一意である構造を有する点で差が無い。同じことは、他の多くのタイプの物品にも適用される。
図38はプラスチックの表面の等価な画像を示している。この分子間力顕微鏡画像は巨視的に滑らかなプラスチックの表面の不均一な表面を明白に示している。同図から推測可能なように、この表面は図37に示された紙の表面よりも滑らかであるが、このレベルの表面波打ちは本実施例の署名生成方式を使用して一意に識別可能である。
言い換えると、本発明者は、多種多様な日常的な物品から単純な方法で一意の特徴が測定可能である時に、特別に準備されたトークンを製作する努力および支出を行なうことが本質的に無意味であることを見出している。物品の表面(または、透過の場合は内部)の自然構造を利用する散乱信号のデータ収集および数値処理をこれから説明する。
線形化の後の単一検出チャンネルのための走査からの考えられるデータ出力の例が図39Aに示されている。これは、例えば、線形化に続き、かつ、大きな縮尺で示された図16からのデータとすることができる。線形化は、いくつかの技術の形を取ってよい。一例は、図10を参照して上記に検討された通りのモータに対するロータリエンコーダの使用である。加えて、強度の平均が計算され、かつ、強度値から差し引かれている。処理されたデータ値はゼロの上下に変動する。このようなマークが使用され、かつ、等しい間隔を有する場合、検出器チャンネルが読み取り、マークに対する相対的なセンサの移動が純粋に線形である場合、周期性の波形は一定の周期を有する。そのため、波形の周期におけるいずれの非線形性も、マーク(および、したがって、目標表面)に対する相対的な走査ヘッドの移動の非線形性を示す。したがって、走査データの全ては、位置合わせマークからの信号に一定の周期をもたせるように調整可能である。
他の線形化技術は、何らかの他のフィードバックを使用して、目標へのセンサの相対移動の線形性を測定することを含めることができる。いくつかのシステムにおいて、取り込まれたデータの処理は、データを線形化するため、例えば、(以下に詳細に検討される通りの)予想された目標パターンへの適合、および/または、ブロックに基づくデータ解析に使用されてもよい。
図39Bはデジタル化後の図39Aのデータを示している。本実施例に採用されたデジタル化方式は単純な2値のもので、この方式では、いずれの正の強度値も数値1に設定され、かつ、いずれの負の強度値もゼロに設定される。多状態デジタル化が代わりに使用できるか、または、多くの他の考えられるデジタル化手法のいずれか1つが使用できることを理解されよう。デジタル化の主要な重要な特徴は、単に同じデジタル化方式が一定して適用されることにすぎない。
図40は物品の署名が走査からどのようにして生成され得るのかを示すフロー図である。
段階S1はデータ取得段階であり、この段階では、光検出器のそれぞれにおける光学強度が走査の長さ全体に沿ったいくつかの位置で取得される。同時に、エンコーダ信号が時間の関数として取得される。走査モータが(例えば、ステッパのモータが有するような)線形化の高度な正確さを有する場合、または、データの非線形性がブロックごとの解析またはテンプレートの適合を介して除去され得る場合、データの線形化は必要なくてよいことに注意されたい。上記の図36を参照すると、データはADC 3608からデータを取る署名生成器3610により取得される。各走査において収集される光検出器当りのデータ点の数は以下でNと定義される(上記図10を参照するとnと呼ばれる)。さらに、値ak(i)は、光検出器kから第i番目に保存された強度値と定義され、ここで、iは1からNまでである。そのような走査から得られた未処理のデータセットの例が図16に示されている。
段階S2は取り込まれたデータに時間領域フィルタをかける光学段階である。本実施例において、これは、目標がコヒーレントビーム以外の光源からの照射にも曝された場合などに現れることが予想され得る50/60Hzおよび100/120Hz帯域における信号を選択的に除去するために使用される。これらの周波数は蛍光灯などの室内灯を駆動するために最も一般に使用されるものである。
段階S3はデータの位置合わせを実行する。いくつかの実施例において、この段階は、エンコーダの遷移が時間において均一に間隔を空けられるように、ak(i)を局所的に拡張および収縮させるために数値内挿を使用する。これは、モータの速度およびデータ内の他の非線形事項における局所変化を補正する。この段階は署名生成器3610により実行可能である。
いくつかの実施例において、走査領域が所定のパターンテンプレートに対応する場合、取り込まれたデータは、既知のテンプレート、および、そのテンプレートにデータを位置合わせするために取り込まれたデータに適用される平行移動および/または回転の調整と比較可能である。同様に、延長および収縮の調整は、物品を基準とした走査ヘッドの通過が、テンプレートが構築されたものとは異なる状況におけるテンプレートに、取り込まれたデータを位置合わせするために、このデータに適用されてもよい。そのため、テンプレートが線形の走査速度を使用して構築された場合、走査データは、走査データが存在する速度の非線形性とともに管理されていれば、走査データはテンプレートに適合するように調整可能である。
段階S4は、取り込まれたデータに空間領域帯域通過フィルタを適用する。このフィルタは、x方向(走査ヘッドの移動の方法)において1つの範囲の波長を通過させる。このフィルタはサンプル間の遅延を最大化し、かつ、データ内に多くの自由度を維持するように設計されている。これに留意して、フィルタの通過帯域の下限は高速の減衰を有するように設定されている。このことが必要であるのは、目標表面からの絶対強度値が署名生成の観点からは興味の対象とならないのに対して、明らかに同じ強度の領域間での変化は興味の対象となっているからである。しかし、減衰は速すぎないように設定されている。なぜなら、速過ぎると、信号のランダム性を低下させ得るうえ、それにより、取り込まれたデータの自由度を低減するからである。上限は高く設定可能である。すなわち、幾分かの高周波雑音、または、(y方向における値について上記に検討されたように多量の)x方向における値の間の何らかの平均化(スミヤリング)があってもよい一方、高い上限以外の何らかに対する必要性も典型的にない。フィルタの次数に関しては、取り込まれたデータ内で発振を引き起こし得るリンギングの発生を最小に抑えることが全般に望ましい。したがって、低次数のフィルタが使用されてよい。いくつかの実施例においては、ゼロ次フィルタが使用されてよい。一実施例において、目標表面にわたるレーザの進行の速度が毎秒20mmである場合、フィルタは1ミリ秒の衝撃立ち上がり時間および5ミリ秒の衝撃立下がり時間を有してよい。
単純なフィルタを適用する代わりに、フィルタの異なった各部分に重み付けすることが望ましいとしてよい。一実施例において、適用される重み付けは、微分などの実空間関数の等価物を導入するために、三角形の通過帯域が作成されるのに充分なものである。微分タイプの効果は、高度に構造化された表面に対して有用であるとしてよい。なぜなら、それが、相関のない寄与を基準とした信号からの(例えば、目標上の表面印刷からの)相関のある寄与を減衰させるように機能できるからである。
段階S5はデジタル化段階であり、この段階では、走査を表すデジタル署名を計算するために、マルチレベルデジタル信号(ADCからの処理済出力)が二状態デジタル信号に変換される。本実施例では、デジタル署名が、バイナリ「1」に規則ak(i)>平均マップを、バイナリ「0」に規則ak(i)≦平均マップを適用することにより得られている。デジタルデータのセットはdk(i)と定義され、ここでiは1からNまで変化する。物品の署名は、説明したばかりの強度データのデジタル化署名に加えて、さらなる成分を有利に組み込んでいてよい。これらのさらなる任意の署名成分が以下に説明される。
段階S6は任意の段階であり、この段階では、より小型の「サムネイル」デジタル署名が作成される。いくつかの実施例において、これは、m回の読み取りの隣接したグループとともに平均することによるか、または、c番目ごとのデータ点を拾い出すことによるかのいずれかで生成された実空間サムネイルとすることができ、ここで、cはサムネイルの圧縮係数である。後者が好ましいものになり得る。なぜなら、平均することは、ノイズを比例せずに増幅できるからである。他の実施例において、サムネイルは、署名データの一部または全部の高速フーリエ変換に基づくことが可能である。段階S5で使用されたものと同じデジタル化の規則が低減されたデータセットにも適用される。サムネイルのデジタル化はtk(i)と定義され、ここでiは1からN/cまで変化し、cは圧縮係数である。
段階S7は任意の段階であり、多数の検出器チャンネルが存在する際に適用可能である。追加の成分は、光検出器の異なったものから得られた強度データ間で算出された相関成分である。2チャンネルの場合、考えられる相関係数は1個であり、3チャンネルの場合は最大3個、4チャンネルの場合は最大6個などとなる。相関係数は有用である。なぜなら、それらの係数が物質のタイプの良好な指標となることが見出されているからである。例えば、特定のタイプの旅券またはレーザプリンタ用紙などの特定のタイプの文書の場合、相関係数は常に予測可能な範囲に収まっているように見える。正規化された相関は、ak(i)とal(i)との間での算出が可能であり、ここでk≠lであり、k、lは全ての光検出器チャンネルの数にわたり変化する。正規化相関関数は以下のように定義される。
後の検証での使用のために保存可能な相関関数の他の態様は、相関関数におけるピークの幅、例えば半値全幅(FWHM)である。検証処理における相関係数の使用は以下にさらに説明される。
段階S8は別の任意の段階であり、信号強度の分布を示す単純強度平均値を計算するための段階である。これは、いくつかの異なった検出器に対する平均値それぞれの全体的な平均値であっても、ak(i)の二乗平均平方根(rms)値などの各検出器に対する平均値であってもよい。上述のリーダにおけるように検出器が垂直入射の両側に対になって配列されている場合、検出器の各対に対する平均値を使用してもよい。強度値は物質のタイプに対する良好な未加工のフィルタであることが見出されている。なぜなら、強度値がサンプルの全体的な反射率および粗さの単純な指標となっているからである。例えば、強度値として、平均値を除いた後の未正規化rms値、すなわち、DC背景を使用することができる。rms値は、rms値が表面粗さに関連することにおいて、表面の反射率の指標を提供する。
物品を走査して得られる署名データは、検証の目的のために署名データベース内に保持されている記録に対して比較可能であり、かつ/または、現在のデータベースを拡張するために署名の新しい記録を追加するためにデータベースに書き込まれることが可能であり、かつ/または、データベースへのアクセスの有りまたは無しの後の検証のためにエンコーディングされた形で物品に書き込まれることが可能である。
新しいデータベース記録は、段階S5で得られたデジタル署名、ならびに、任意で、各光検出器チャンネルに対して段階S6で得られたこの署名のより小型のサムネイル版、段階S7で得られた相関係数、および、段階S8で得られた平均値を含む。代案として、サムネイルは、高速検索のために最適化されたサムネイル自体の独立したデータベースに保存されてもよく、残りのデータは(サムネイルを含めて)メインデータベースに保存されてもよい。
図41は物品の走査から得られた物品の署名が署名データベースに対してどのようにして検証できるのかを示すフロー図である。
単純な実施において、データベースは、署名データの完全なセットに基づき、適合を見出すために単純に検索可能である。しかし、検証処理を高速化するために、本実施例の処理は、今説明された計算された平均値および相関係数に基づき、より小型のサムネイルおよび事前選抜を使用する。この高速検証処理を提供するために、検証処理は2つの主な段階で実行され、第1段階では、今説明されたように、走査データのフーリエ変換の振幅成分(および、任意で、計算された平均値および相関係数に基づく事前選抜も)から導出されたサムネイルを使用し、第2段階では、走査および保存された完全なデジタル署名を互いに比較する。
検証段階V1は検証処理の第1の段階であり、上述の処理により物品を走査する、すなわち、走査段階S1からS8までを行なうことである。この走査は、現在の物品署名の1つまたは複数の記録に対して検証される物品のための署名を得る。
検証段階V2は、走査段階S6を参照して上述された通りに得られる走査信号のフーリエ変換振幅成分から導出されたサムネイルを使用して適合候補を求める。検証段階V2は、サムネイル入力のそれぞれを取り、これと、tk(i+j)との間の適合ビット数を評価し、ここで、jは走査された領域の設置における誤差を補償するために変化されるビットオフセットである。jの値、続いて、適合ビットの最大数を与えるサムネイル入力が決定される。これはさらなる処理に使用される「ヒット」である。これに対する変形は、完全なデジタル署名に基づいた完全なテストに対して多数の適合候補を合格させる可能性を含むことである。サムネイルの選択は、最大数、例えば10個の適合候補までを合格させること、各適合候補が特定の閾値百分率、例えば60%よりも高い適合ビットを持つサムネイルと規定することなどのいずれの適した基準にも基づくことが可能である。最大数よりも多い適合候補がある場合、最善の10個のみが合格される。適合候補が見出されなければ、物品は拒絶される(すなわち、検証段階V6に飛び、失敗の結果が出される)。
本実施例に採用されたこのサムネイルに基づく検索方法は、以下の理由により全体的に改善された検索速度を提供する。サムネイルが署名全体よりも小型になるに従い、署名全体を使用するよりもサムネイルを使用して検索するための時間が短い。実空間サムネイルが使用される場合、適合を決定するために保存署名に対して署名全体がビットシフトされるのと同じ方法で、「ヒット」が発生したか否かを決定するためにサムネイルは保存サムネイルに対してビットシフトされる必要がある。サムネイル検索の結果は推定上の適合の最終候補リストであり、この推定上の適合のそれぞれは署名全体に対してテストされるために使用可能である。
サムネイルが署名またはその一部のフーリエ変換に基づく場合、さらなる長所が実現される。なぜなら、検索中にサムネイルをビットシフトする必要がないからである。擬似ランダムビットシーケンスはフーリエ変換されると、振幅スペクトル内に情報の一部を、および、位相スペクトル内に一部を搬送している。いずれのビットシフトも位相スペクトルに影響を及ぼすのみであり、振幅スペクトルには及ぼさない。したがって、振幅スペクトルはビットシフトの何らの知識なしにも適合可能である。位相スペクトルを破棄する際に幾分かの情報は失われるが、データベースに対する粗い適合を得るためには、十分な情報が残っている。このことは、1つまたは複数の目標への推定上の適合がデータベース内に所在することを可能にする。これらの推定上の適合のそれぞれは、実空間サムネイルの実施例の場合のように、新しい走査に対する従来の実空間の方法を使用して適切に比較可能である。
検証段階V3は任意の事前選抜テストであり、走査されたデジタル署名に対する記録のために保存された完全なデジタル署名を解析する前に実行される。この事前選抜において、操作段階S8で得られたrms値は、ヒットのデータベース記録における対応する保存値と比較される。個々の平均値が所定の範囲内に一致しない場合、「ヒット」はさらなる処理を拒否される。続いて、物品は検証されないとして拒絶される(すなわち、検証段階V6に飛び、失敗の結果が出される)。
検証段階V4はさらなる任意の事前選抜テストであり、完全なデジタル署名を解析するために実行される。この事前選抜において、走査段階S7で得られた相関係数はヒットのデータベース記録における対応する保存値と比較される。個々の相関係数が所定の範囲内に一致しない場合、「ヒット」はさらなる処理を拒否される。続いて、物品は検証されないとして拒絶される(すなわち、検証段階V6に飛び、失敗の結果が出される)。
検証段階V4で実行可能な相関係数を使用した他の検査は、相関関数のピークの幅を調べることであり、ここでは、上記の走査段階S7の本来の走査から保存された値と以下の再走査された値とを比較することにより相関関数が評価される。
再走査のピークの幅が本来の走査の幅よりも大幅に高い場合、このことは、再走査された物品が改造されたか、または、その他で疑わしいことの指標として理解されてよい。例えば、この検査は、走査されている表面から光検出器により予想されているものと同じ強度変化を持つバーコードまたは他のパターンを印刷することによりシステムをだまそうと試みる詐欺師を打ち負かす。
検証段階V5は走査段階S5で得られた走査デジタル署名とヒットのデータベース記録内の対応する保存値との間の主な比較である。完全に保存されたデジタル化署dk db(i)はk個の検出器チャンネルに対するq個の隣接したビットのn個のブロックに分割される。すなわち、ブロック当りqkビットある。本実施例において、qに対する典型的な値は4であり、kに対する典型的な値は1から2の間であり、ブロック当り典型的に2から8としている。qk個のビットは保存デジタル署名dk db(i+j)におけるqk個の対応するビットと適合される。ブロック内の適合ビットの数が何らかの所定の閾値zthresh以上であれば、適合ブロックの数はインクリメントされる。Zthreshに対する典型的な値は、2検出器システムでは7である。1検出器システムの場合(k=1)、Zthreshは典型的に3の値を有する。これは、n個のブロック全てに対して反復される。この処理全体は、適合ブロックの最大数が見出されるまで、走査領域の配置の誤差を補償するために、jの異なったオフセット値に対して反復される。Mを適合ブロックの最大数と定義すると、偶然の適合の確率は以下を評価することにより算出される。
ここで、sは(次にzthreshの選択された値に依存する)いずれかの2個のブロック間の偶然の適合の確率であり、Mは適合するブロックの数であり、p(M)はM個以上のブロックの偶然に適合する確率である。sの値は、同様の物質の異なった物体の走査(例えば、紙製の文書の何回かの走査など)からのデータベース内のブロック間で比較することにより決定される。q=4、k=2、および、zthresh=7の例の場合、sの典型的な値は0.1であると見出した。qk個のビットが完全に独立している場合、確率論はzthresh=7に対してs=0.01を与える。経験的により高い値を見出すという事実の理由は、k個の検出器チャンネル(ここでは、多数の検出器が使用されている)間の相関であり、同様に、有限のレーザスポット幅のためにブロック内の隣接するビット間の相関でもある。一枚の紙の典型的な走査は、この紙のデータベース入力に対して比較すると、総数510個のブロックから約314個の適合ブロックをもたらす。上記の等式に対してM=314、n=510、s=0.1と設定することは、10−177という偶然の適合の確率を与える。上述のように、これらの数字は4検出器チャンネルシステムに適用される。同じ算出は他の数の検出器チャンネルを持つシステムに適用可能である。
検証段階V6は検証処理の結果を出す。検証段階V5で得られた確率の結果は、ベンチマークが所定の確率閾値となっている合格/不合格テストにおいて使用されてもよい。この場合、確率の閾値はシステムによりあるレベルに設定されてもよく、また、ユーザにより選択されたレベルに設定された可変パラメータであってもよい。代案として、確率の結果は、確率自体として未処理の形で、または、相対的な項目(例えば、適合せず/貧弱な適合/良好な適合/優れた適合など)または他の分類を使用した修正された形のいずれかで信頼度としてユーザに出力されてもよい。紙に対して実行された実験において、一致可能なビットが75%だと良好または優れた適合を示すのに対して、一致可能なビットが50%だと適合を示さないことが全般に見出されている。
例として、各記録がフーリエ変換振幅スペクトルの128ビットのサムネイルを含む100万個の記録からなるデータベースが、2004年仕様の標準的なパソコンで1.7秒で検索可能であることが実験的に見出されている。1000万個の入力が、17秒で検索可能である。ハイエンドサーバコンピュータは、これの最大10倍の高速を達成することが予想される。
多くの変形が可能であることを理解されよう。例えば、相関係数を事前選抜要素として扱う代わりに、相関係数は、デジタル化された強度データとともに主署名の一部として扱うことが可能である。例えば、相関係数はデジタル化可能であり、デジタル化強度データに付加可能である。相関係数はそれ自体でもデジタル化可能であり、ビット列などを生成するために使用可能であり、ビット列は、ヒットを見出すためにデジタル化強度データのサムネイルのための上述された方法と同じ方法で検索可能となる。
一代案実施例において、段階V5(偶然の適合の確率の算出)は、システム内の自由度の見積り値に基づく方法を使用して実行可能である。例えば、1,300の自由度がある総数2,000ビットのデータを有する場合、75%(1,500ビット)の適合結果は、975個(1,300×0.75)の独立したビット適合と同じになる。一意性は以下のように有効なビットの数から導出される。
この等式は、ここではmが適合ビットの数であり、p(m)が偶然に適合するm個以上のブロックの確率であることを除き、上記に示されたものと同一である。
自由度の数は、特定の物品タイプについて以下のように算出可能である。有効なビットの数は、見積りまたは測定が可能である。有効なビットの数を測定するために、特定のタイプのいくつかの異なった物品が測定され、署名が算出される。その署名の全てが他の署名の全てと比較され、ビット適合の割合の結果が得られる。その結果のヒストグラム図の例が図42aに示されている。図42aの図は500個の同様の品目間の124,500の比較に基づき、各品目のための署名は2,000個のデータ点に基づく。図は、異なった品目が比較された際に得られた結果を示している。
図42aからは、この結果が、約0.5のビット適合結果の割合の周囲に中心を持つ滑らかな曲線を与えていることがはっきり分かる。図42aに描かれたデータに対して、結果には1本の曲線を合わせることが可能であり、この曲線の平均値μは、0.504であり、この曲線の標準偏差σは0.01218である。ビット適合結果の割合からは、自由度の数Nが以下のように算出可能である。
本実施例の状況において、これは、1685という自由度の数Nを与える。
自由度のこの測定の正確さは図42bで実証されている。同図はビット適合の実験的な割合上に描かれた3本の二項式曲線を示している。曲線4210はN=1535を使用した0.504に折り返し点を持つ二項式曲線であり、曲線4220はN=1685を使用した0.504に折り返し点を持つ二項式曲線であり、曲線4230はN=1835を使用した0.504に折り返し点を持つ二項式曲線である。この図からは、曲線4220が実験によるデータに合っているのに対して、曲線4210および4230は合っていないことが明らかとなる。
いくつかの実用例において、値を決定するために、経験的データを使用するよりもむしろ自由度の数の見積り値を作成することが可能であるとしてよい。同じまたは同様の物質から作られた他の品目用の既知の結果に基づき、ある品目に対して控えめな見積り値を使用する場合、システムは、誤った合格には強い一方、誤った不合格への強さも維持している。
図43は、検証の目的のために文書がどのようにして走査されるかの全体的な過程およびユーザに提示される結果を示すフロー図である。先ず、文書は図40の走査の各段階に従って走査される。文書の信憑性は図41の検証の各段階を使用して検証される。データベースに適合する記録がない場合、「適合なし」の結果がユーザに表示可能である。適合がある場合、そのことは、適切なユーザインターフェイスを使用してユーザに表示可能である。ユーザインターフェイスは、点灯/消灯するか、または、異なった結果に対して1つの色から他の色に変わる電灯またはLEDなどの単純なはい/いいえ指標システムであってよい。ユーザインターフェイスはクレジットカードの従来の検証などに使用されてよい販売時点管理型検証報告インターフェイスの形を取ってもよい。ユーザインターフェイスは、結果における確実性の程度、および、オリジナルの物品またはその物品の所有者を記述するデータなどの結果の性質の様々な詳細を与える詳細なインターフェイスであってもよい。このようなインターフェイスは、システムの作業に対するフィードバックを提供するために、システムの管理者または実施者により使用されてもよい。このようなインターフェイスは、従来のコンピュータ端末上での使用のためのソフトウェアパッケージの一部として提供されてもよい。
したがって、データベースの適合が見出された際は、ユーザには、直感的かつアクセス可能で、ユーザが検証の追加的な非公式な層に対してユーザ自身の常識を適用することを可能にもする形で関連情報が提示可能であることが理解されよう。例えば、物品が文書の場合、ユーザインターフェイス上に表示されたこの文書のいずれの画像も検証担当者に提示された文書のように見え、機密レベルおよび文書の出自に関する書誌データなどの他の要因が興味の対象となる。検証担当者は、これらの様々な情報が辻褄が合っているか否かに関した価値判断を行なうために、自身の経験を適用することができる。
物品から署名を作成するための物品を走査し、走査された物品が記録署名が取られた物品と同じであるか否かを決定するために、結果として得られた走査を物品の以前の記録署名と比較するための方法が説明された。これらの方法は、記録走査が非常に高度な正確さで既に行なわれた物品とその物品が適合するか否かの決定をもたらすことが可能である。
一観点からは、紙、ボール紙、または、他の物品にわたりコヒーレントビームを走査することにより得られたデータ点のセットをデジタル化する、および、散乱を測定することにより、デジタル署名が得られるシステムが要約されて説明された。データを平均するか、もしくは、圧縮すること、または、データ点のセットのフーリエ変換の振幅スペクトルをデジタル化することのいずれかにより、実空間において、サムネイルデジタル署名も決定される。したがって、デジタル署名およびそれらのサムネイルのデータベースが構築可能である。物品の信憑性は、物品のデジタル署名およびサムネイルを決定するために物品を再走査し、続いて、適合を求めてデータベースを検索することにより、後で検証が可能である。検索は、検索速度を向上させるためのフーリエ変換サムネイルに基づき行なわれる。速度は向上される。なぜなら、擬似ランダムビットシーケンスにおいて、いずれのビットシフトも、極座標表示されたフーリエ変換の位相スペクトルに影響を及ぼすのみであり、振幅スペクトルには及ぼさない。したがって、サムネイルに保存された振幅スペクトルは、本来の走査と再走査との間の登録誤差により引き起こされた未知のビットシフトの何らの知識もなしに適合可能である。
いくつかの実施例において、走査された物品から署名を抽出する方法は、例えば伸張または収縮などにより引き起こされた物品への変形にもかかわらず、その物品の信頼できる認識をもたらすように最適化が可能である。物品のこの伸張または収縮は、例えば、紙またはボール紙に基づく物品への水による損傷などにより引き起こされることがある。
同様に、スキャナ内のセンサに対する物品の相対速度が非線形である場合、物品は、スキャナにとって、伸張または収縮しているように見えることがある。これは、例えば、物品がコンベヤシステムに沿って移動される場合、または、物品が物品を保持する人間によりスキャナを介して移動される場合に発生することがある。これが発生する可能性の高い状況の例は、人間が、例えば掃引型のスキャナを使用して銀行カードを走査する場合である。
いくつかの実施例において、スキャナが、スキャナに対して、または、スキャナ内に静止に保持された物品に対して相対的にスキャナユニット内を移動する走査ヘッドに基づく場合、線形化誘導が、走査ヘッドの移動のいかなる非線形性にも対処するために、スキャナ内に提供可能である。物品が人間により移動される場合、これらの非線形性は大きく強調され得る。
これらの非線形性の影響により生じ得る認識の問題に対処するため、物品の走査の解析段階を調整することが可能である。修正された検証手順が図44aを参照して説明される。この実施例で実施される処理は、非線形性に対処するためのデータのブロックごとの解析を利用する。
図44aにより実行される処理は、時間領域フィルタリング、代案または追加の線形化、空間領域フィルタリング、データの円滑化および微分、ならびに、図40を参照して説明されたが、図44の内容を隠さないように同図には示されていない署名およびサムネイルを得るためのデジタル化の段階の一部または全部を含むことができる。
図44aに示されたように、ブロックごとの解析を使用した検証走査のための走査処理は、段階S21において、物品の固有の特性を記述するデータを取得するために物品の走査を行なうことにより開始される。走査データは、段階S22において、連続的なブロックに分割される(これは、デジタル化およびいずれの円滑化/微分などの前または後に実行可能である)。一実施例において、1600mm2(例えば、40mm×40mm)の走査面積が8個の等しい長さのブロックに分割される。したがって、各ブロックは走査物品の走査領域のサブセクションを表す。
段階S23で、ブロックのそれぞれについて、物品が比較されることを意図された各保存署名に等価なブロックに対して相関が実行される。これは、各ブロックに対して1個のサムネイルを使用するサムネイル手法を使用して実行可能である。これらの相関算出の結果は相関ピークの位置を識別するために解析される。段階S24において、相関ピークの位置は、物品の本来の走査とその後の走査との間に完全に線形の関係が存在する場合についてのピークの予想位置と比較される。
このブロック適合技術は比較的に演算に集約した処理であるため、いくつかの実施例において、これの使用は、サムネイル検索との組合せで使用するように制限されてもよく、ブロックごとの解析がサムネイル検索により識別された潜在的な署名の適合の最終候補リストに適用されるのみとなる。
この関係は、図45a、45b、および、45cに示された通りにグラフィカルに表すことが可能である。図45aの例では、物品に対する相対的な走査ヘッドの移動が完全に線形になり、かつ、物品は何らの伸長も収縮も経験しないように、相関ピークが予想された位置にある。予想ピークに対する実際のピークの位置の図は、原点を通過し、傾きが1の直線をもたらしている。
図45bの例では、最良適合の線の傾きが1未満となるように、相関ピークが予想されたよりも互いにに近寄っている。したがって、物品は、最初の走査に対する自身の物理的特性に対して相対的に収縮している。同様に、最良適合の線は、図の原点を通過しない。したがって、物品は、記録走査のための自身の位置と比較して、走査ヘッドに対して相対的に移動されている。
図45Cの例では、相関のピークが直線を形成していない。この例では、ピークがy2の関数を表す曲線にほぼ適合している。したがって、走査ヘッドに対する相対的な物品の移動は走査中に遅くなっている。同様に、最良適合の線が原点を横切らないため、物品が記録走査のための自身の位置に対して相対的に移動されたことが明らかである。
最良適合関数を見出すために相関ピークの位置の図に対して、様々な関数がテスト適合可能である。したがって、伸長、収縮、位置合わせの誤り、加速、減速、および、それらの組合せを考慮するための線が使用可能である。適した関数の例は、直線関数、指数関数、三角関数、x2の関数、および、x3の関数を含み得る。
段階S25で最良適合関数が一旦識別されれば、段階S26で、変更パラメータのセットが決定され、これは、各相関ピークが自身の予想位置からどのくらい移動されているかを表すものである。続いて、段階S27において、これらの補償パラメータは、走査からのデータに及ぼす収縮、伸長、位置合わせの誤り、加速、または、減速の影響を実質的に低減するために、段階S21で取られた走査からのデータに適用可能である。理解されるように、段階S25で得られた最良適合関数が走査データにより良く適合するに従い、補償効果はより良くなる。
段階S28において、補償済み走査データは、段階S22におけるように連続的なブロックに分割される。段階S29において、このブロックは相関係数を得るために保存署名からのデータの個々のブロックと個別に相関される。この時、相関ピークの大きさは、段階S29において一意性係数を決定するために解析される。したがって、走査された物品が、保存署名が作成された際に走査された物品と同じであるか否かが決定可能である。
これまで、走査物品における物理的変形、および/または、スキャナに対する相対的な物品の移動における非線形性を補償するための方法の例が説明された。この方法を使用すると、走査物品は、後の走査で同じ物品が存在するか否かを高い確実性を持って決定するために、物品の以前の走査から得られたその物品の保存署名に対して、検査可能となる。これにより、容易に歪ませられる物質から構築された物品は、信頼性高く認識可能である。同様に、物品に対する相対的なスキャナの移動が非線形であり得る場合にスキャナが使用可能であり、これにより、移動制御要素のない低費用のスキャナの使用が可能となる。
走査データのブロックごとの解析を行なうための代案方法が図44bに示されている。
この方法は、図44aの段階S21を参照して上記に検討されたように、目標表面の走査の実行の段階S21において開始される。データが一旦取り込まれると、段階S31において走査データは所定のビット数にキャストされる。これは、キャスト長さに適合させるための走査データのビット数の効果的な削減からなる。本実施例において、走査データは、キャストデータを作成するために、均一に間隔の空いたビットの走査データを取ることによりキャストデータに適応される。
次に、段階S33において、キャストデータの隣接したビット間に十分に高度な相関があることを確実にするために検査が行なわれる。実際には、近隣のビット間の約50%の相関が十分であることが見出されている。ビットが閾値に合わないと見出された場合、走査データをキャストするフィルタはキャストデータ内にビットの異なった組合せを与えるように調整される。
キャストデータの近隣ビット間の相関が十分に高いことが一旦決定されれば、段階S35において、キャストデータが保存されている記録署名と比較される。これは、記録署名の所定のブロックを取り、かつ、それをキャストデータと比較することにより行なわれる。本実施例において、この比較は、キャストデータと、記録署名のための等価な削減済みデータセットとの間で行なわれる。記録署名の各ブロックは、キャストデータの各ビット位置オフセットについてテストされ、そのブロックの最善の適合の位置が、最高の相関値を返すビットオフセット位置となる。
記録署名の各ブロックがキャストデータと一旦比較されれば、適合の結果(ビット適合比)が、ブロックのそれぞれのための最高相関値の合計としてその記録署名のために生成可能である。さらなる記録署名候補は、必要であれば、キャストデータと比較可能である(いくつかの実施例においては、このテストが1:1テストまたは1:多数のテストであるか否かによる)。
比較段階が完了した後、任意の適合規則が段階S37で適用可能である。これらは、特定の記録署名のための適合比を生成する際に、記録署名の様々なブロックに、正確な順序となるよう強制することを含んでよい。例えば、記録署名が5個のブロック(ブロック1、ブロック2、ブロック3、ブロック4、および、ブロック5)に分割されたが、ブロックの最良相関値が、キャストデータに対してテストされた際に、ブロックの異なった順序(例えば、ブロック2、ブロック3、ブロック4、ブロック1、および、ブロック5)を返した場合、この結果は拒絶可能であり、新しい合計が、ブロックを正しい順序に保つ最良の相関結果を使用して算出される。この段階は任意である。なぜなら、実行された実験的なテストでは、このタイプの規則が、最終結果に何らかの差があるにしても、あまり役に立たないことが分かっている。このことは、統計的に、偽の合格を作り出すために発生した間違った順序の適合の可能性が極端に低くなるように、より短いブロックの長さにわたり適切に動作する表面識別によるものであると考えられている。
最後に、段階S39において、段階S35で決定された相関ピークの位置に基づき走査データに対して記録署名のブロックを移動させることを含めて、記録署名の全体に対して走査データの全体を比較することにより、ビット適合比を使用して一意性が決定可能となる。この時、相関ピークの大きさは、段階S39における一意性係数を決定するために解析される。したがって、走査物品が、保存されている記録署名が作成された際に走査された物品と同じであるか否かが決定可能となる。
この方法で使用されたブロックのサイズは、効率的な適合および適合における高信頼性を提供するために事前に決定可能である。走査データのセットと記録署名との間の相関を行なう際、適合の結果が約0.9のビット適合比を有すると予想される。走査により測定された表面の特性の生体測定型の性質により、1.0の適合比は予想されない。不適合が約0.5のビット適合比を有することも予想される。完全な署名よりも少ないビットを含むというブロックの性質は、不適合の結果の可能性の高い値を移動させる傾向があり、偽の合格を見出す可能性の増大につながる。例えば、32ビットのブロック長が不適合を約0.75に移動させ、これは、多くの実用例について高すぎ、かつ、約0.9にある合格適合の結果に近すぎることが実験により見出されている。64ビットのブロック長を使用することは、不適合の結果を約0.68に下げ、これもまた、いくつかの実用例において高すぎるとしてよい。ブロックサイズを96ビットにさらに増加させることは、不適合の結果を約0.6に下げ、これは、ほとんどの実用例について、真実の合格と偽の合格との間の十分な分離以上のものを提供する。上記から明らかなように、ブロック長を増加させることは、不適合と適合の結果の間の分離を増大させる。なぜなら、適合と不適合のピークの間の分離がブロック長の関数となっているからである。したがって、ブロック長は、ブロック当りのより大きなビット数により引き起こされる処理の複雑さの増加を犠牲としてより大きな分離ピーク(および、より大きな区別の正確さ)のために、増大させることが可能であることが明らかとなる。一方、真実の合格と偽の合格の結果の間のより小さな分離が許容可能である場合、ブロック長は、処理のより低い複雑さのためには、より短くてよい。
物品の固有の特性に基づき生成された署名のブロックごとの解析を使用して検出可能であるその物品の他の特性は、その物品への局所的な損傷の特性である。例えば、このような技術は最初の記録走査の後に行なわれた物品への修正を検出するために使用可能である。
例えば、旅券、IDカード、および、運転免許証などの多くの文書は、保持者の写真を含んでいる。そのような物品の信憑性の走査がその写真の一部を含む場合、その写真に行なわれたいかなる変更も検出される。署名を10個のブロックに分割する任意の例の場合、それらのブロックの3個はその文書上の写真を覆っていてよく、他の7個はその文書の他の部分、背景の物質などを覆っている。この写真が交換された場合、文書のその後の再走査は、修正が発生していない場合に7個のブロックについては良好な適合をもたらすが、交換された写真は非常に貧弱な適合をもたらす。それらの3個のブロックがその写真に対応することを知ることにより、3個全てが非常に貧弱な適合をもたらすという事実が、署名全体にわたる平均点に関係なく、その文書の検証を自動的に失敗させるために使用可能となる。
同様に、多くの文書は、例えば、旅券、運転免許証、もしくは、身分証明書カードにより識別される人物の氏名、または、銀行口座の所有者の氏名などの一人または複数の人物の手書きの指標を含んでいる。多くの文書は、保持者または証明者の手書き署名が適用される場所も含んでいる。検証のためにそこから得られた署名のブロックごとの解析を使用することは、文書に印刷または手書きされた氏名、または、他の重要な単語もしくは数字を変更する修正を検出可能である。変更された印刷または手書きの位置に対応するブロックは、修正が行なわれなかったブロックよりもはるかに低い品質の適合を生成することが予想可能である。したがって、文書の全体的な適合が合格の結果を得るために十分に高い場合であっても、修正された氏名または手書きの署名は検出可能であり、文書は、検証テストに失敗する。
走査領域のために選択された領域および要素は、詐欺師が変更しようと試みる可能性が最も高い文書の要素を含めて、いくつかの要因に依存可能である。例えば、写真を含むいずれの文書についても、最も可能性の高い変更目標は、通常写真である。なぜなら、これが視覚的に保持者を識別しているからである。そのため、このような文書のための走査領域は、写真の部分を含むように有益に選択されてよい。詐欺的修正の対象となる可能性のある他の要素は保持者の署名である。なぜなら、ある人物にとって、自身の氏名以外の氏名を持っているように装うことは容易だからである。しかし、他人の署名を模写することはかなり大変である。したがって、署名のされた文書、特に写真を含んでいないものについては、走査領域が文書上の署名の一部を有益に含んでよい。
したがって、一般的な場合、物品の信憑性のためのテストが、検証する署名と署名全体に対する記録署名との間の十分に高品質の適合、および、署名の少なくとも選択されたブロックにわたる十分に高い適合のためのテストを含むことが可能であることが分かる。したがって、物品の信憑性の評価に重要な領域が、合格の信憑性の結果の達成に重要であるとして選択可能である。
いくつかの実施例において、重要なブロックとして選択されたもの以外のブロックは、貧弱な適合結果を提示することが許容されてよい。したがって、重要なブロックが良好な適合を提供し、かつ、署名が全体として良好な適合を提供する限り、文書は、部分的に破かれるか、または、その他の損傷を受けていても本物として許容されてよい。
物品に対する局所的な損傷を識別するための、および、所定の領域内の局所的な損傷または変更を持つ本物でない物品を拒絶するためのシステム、方法、および、装置のいくつかの実施例が説明された。他の領域の損傷または変更は無視されてよく、それにより、文書が本物と認識されることを可能にする。
いくつかのスキャナ装置において、走査領域がどこで開始され、終了するかを決定することが困難とされ得る可能性がある。上記に検討された実施例のうち、これは、最も問題のあるプロセスライン型のシステムとされてよく、このシステムでは物品に対してスキャナが走査領域よりも多くのものを「見る」ことがある。この困難に対処する1つの手法は、走査領域を物品の縁部で開始させるように定義することである。以前は自由空間だった場所を物品が通過する際に、走査ヘッドに受け取られたデータは明確な段階の変化を受けるため、走査ヘッドで回収されるデータは操作が開始した場所を決定するために使用可能である。
この実施例において、走査ヘッドは物品をスキャナにあてがう前に動作可能となっている。そのため、最初、走査ヘッドは走査ヘッドの前の空白の空間に相当するデータを受け取る。物品が走査ヘッドの前を通過するに従い、走査ヘッドにより受け取られるデータは、物品を記述するデータに即座に変化する。したがって、データは、どこで物品が開始されたかを決定するためにモニタ可能であり、かつ、その前の全データは破棄可能である。物品の先頭の縁部を基準とした走査領域の位置および長さは、いくつかの方法で決定可能である。最も単純な方法は、走査ヘッドが自由空間に相当するデータを再び拾うことにより終端部が検出可能となるように、走査領域を物品の長さ全体とすることである。他の方法は、記録されたデータを先頭の縁部からの走査読み取りの所定回数だけ開始および/停止することである。物品が走査ヘッドをほぼ同じ速度で常に通過すると仮定すると、これは一定の走査領域をもたらす。他の代案は、走査領域を開始および停止させるための物品上の実際のマークを使用することであるが、これは、その取り込まれたデータが走査領域に相当し、かつ、どのデータが破棄可能であるかを決定するために、データ処理に関してより多くの作業を必要とすることがある。
いくつかの実施例において、プロセスラインの駆動モータには、物品の速度を提供するためのロータリエンコーダが取り付けられてよい。これは、物品の検出された先頭の縁部に対する相対的な走査の開始位置および停止位置を決定するために使用可能である。これは、図40を参照して上記に検討されたように、データの線形化のための速度情報を提供するためにも使用可能である。速度は、速度が1日1回、1時間に1回、30分に1回などで検査されるように、エンコーダから周期的に決定可能である。
いくつかの実施例において、プロセスラインの速度は、センサから出力されたデータを解析することから決定可能である。事前に物品のサイズを知ることにより、および、その物品がスキャナを通過するためにかかる時間を測定することにより、平均速度は決定可能である。この算出速度は、図40を参照して上記に検討されたように、先頭の縁部に対する相対的な走査領域の位置を見出すため、および、データを線形化するための双方で使用可能である。
このタイプの状況に対処するための他の方法は、走査領域の開始および/または終了を示すための物品上のマーカまたは表面構造の特徴を使用することである。これは、例えば上記に説明されたパターン適合技術などを使用して識別可能である。
これまで、必要であれば物品への損傷または走査過程の非線形性を補償し、かつ、同じ物品が双方の走査に存在しているか否かを決定するために物品を、物品の以前の走査に基づく保存署名と比較して、物品の固有の特性に基づきデータを収集するために品目を走査するためのいくつかの技術が説明された。
スキャナ装置のための物理的な装置のさらなる実施例が図46および47を参照して検討される。これらは、上述の原理および方法により動作するように構成可能な代案スキャナ構成を提示する。
図46は、物品の定置が一貫していることを保証するために、文書フィーダが設けられているリーダの代案物理的構成の例を示している。この例において、物品供給トレイ4631が装着された筐体4630が設けられている。トレイ4631はリーダによる走査のための1つまたは複数の物品4632を保持可能である。モータは、デバイスを介して、かつ、レーザ光源、1つまたは複数の光検出器、および、必要とされ得る何らかの合焦および/またはラスター化光学系を含む走査光学系準組立体4640の走査開口部を横切って物品4632を搬送するためのフィードローラ4634を駆動可能である。したがって、物品4632は、光学系準組立体と物体との間の相対的移動が物品の移動によりなされる方法で、光学系準組立体4640を走査させることにより走査可能である。一実施例において、物品は、上記に図23から28を参照して説明されたように、ラスター化走査の実行のための走査光学系準組立体の走査開口部に位置合わせされた走査領域で停止されてよい。物品が走査開口部を通過し続ける代案実施例において、走査される品目の移動は、線形化処理の使用が不要であり得る十分な線形性を持つモータを使用して制御可能である。このような実施例において、走査光学系準組立体は、1つの方向において平行移動を提供するために物品の移動を使用してラスター化走査を実行するように構成されてよい。代案として、上述のように、走査線型システムが使用可能である。装置は文書スキャナ、光学複写機、または、文書管理システムのためのいずれの従来のフォーマットにも従うことが可能である。このようなスキャナは、(多数の用紙が一緒に、例えばミシン目が打たれてつながっている)ラインフィード用紙を扱うように、ならびに、またはこれに代えて、単一の用紙を扱うように、構成されてよい。
これまで、自動化フィーダ型デバイスにおいて物品を走査するために適した装置が説明された。フィード装置の物理的構成によっては、スキャナは、物質の1つまたは複数の単一シート、集合したシートもしくは物質、または、包装用の箱などの三次元品目を走査可能としてよい。
図47はリーダのためのさらなる代案物理的構成の実施例を示している。この実施例において、物品はユーザによりリーダを介して移動される。図47に示されたように、リーダ筐体4750には、走査のための物品を挿入するためのスロット4751を設けることが可能である。走査光学系準組立体4640には、スロット内に定置された物品4632を走査可能とするために、スロット4751内に誘導された走査開口部を設けることが可能である。加えて、誘導要素4752は、光学系準組立体4640から正しい焦点距離に物品を誘導する際に支援するために、かつ/または、スロットを介して物品を正しく設置するために、スロット4751内に任意で設けられてよい。このような実施例において、走査光学系準組立体は、例えばラスター化システムを使用して、カードが物品の場合、内部に正確に設置されると、走査開口部に提示された走査領域を走査するように構成されてよい。いくつかの実施例において、スキャナは物品の挿入または除去の動作中に物品を走査するように構成されてよい。代案として、スキャナは、従来の磁気掃引カードリーダなどにおけるようなスロットを介して物品が移動される間に物品を走査するように構成されてよい。このようなスキャナは、例えば販売時点管理端末などにおいて、カード、または、支払いカードおよび/もしくはロイヤルティカードなどのスマートカードを走査するために使用されてもよい。この状況において、スキャナは、物品の従来の磁気帯状部および/または埋め込みスマートカードを読み取るための装置を含むことも可能である。
これまで、物品の手作業により開始される走査のための装置が説明された。これは、銀行カードおよび/またはクレジットカードを走査するために使用可能である。これにより、カードは、そのカードが使用のために提示される端末において走査可能であり、かつ、そのカードから取られた署名は、カードに対して、カードの信憑性および改変されていない性質を検査するために、保存署名と比較可能である。このようなデバイスも、例えば、軍隊用金属製ID票(この認識票はアレルギを患う者が他人にそのアレルギを警告するためにもしばしば携行される)を読み取る状況においても使用可能である。これは、患者を治療している医療関係者が、治療されている患者が、実は、この認識票の正しい保持者であることを確実にすることを可能にできる。同様に、死傷者の状況において、復元された認識票は、死傷者が、家族および/または同僚に知らせる前に正しく身元確認されることを確実にするために信憑性のために走査可能である。
上述のセキュリティシステムの実施の実施例が図48から50を参照して説明される。
走査システムには、(上述のように)表面印刷の詳細を取り込む限られた能力が提供されているため、走査領域内にバーコードを含めることが可能である。バーコードは、スキャナの位置決めのための位置合わせマークとして使用可能である。適したバーコードは標準PDF417 2−Dバーコードまたは標準DataMatrix2−Dバーコードであってよい。バーコード自体は署名の生成に使用されないと仮定すると、バーコードは、データベース投入走査が行なわれた後で物品上に印刷可能である。したがって、バーコードは物品の署名または何らかの他の物品の識別子を含むことが可能である。後の検証走査において、スキャナは署名または識別子を検索するためにバーコードを読み取ることが可能である。したがって、物品上にエンコーディングされた物品から読み取った署名を使用すれば、署名のデータベースにアクセスせずに、記録署名に対して物品を検証することが可能となる。これにより、物品は本物の署名のデータベースへの接続から離れた位置において検証可能となる。
代案として、スキャナがデータベースへのアクセスを有する場合、物品上にエンコーディングされた署名は、信憑性の検査が1:1検査として実行可能となるように、データベースから本物の署名を検索するために使用可能である。なぜなら、どのような署名が予想されるかが事前にわかるからである。そのため、信憑性の検査は、予想される署名が未知であり、1:多数の検査が署名のデータベースを介して行なわれなければならない状況におけるよりも、はるかに迅速な実行が可能となる。
このようなシステムの実施は、物品のための記録署名を作成した後、可能な限り早期に物品にバーコードを印刷するように有利に構成されてよい。これは、印刷されたバーコードが問題の特定の物品のための正しいバーコードであることを確実にすることを支援可能である。これは、複数の物品が非常に迅速に連続して走査される環境において関連がある。
図48はバーコードが付いたIDカード4850を示している。このIDカードは、写真、ホログラムなどの独立したセキュリティ要素4854も付けていてもよく、または、個人に固有な何らかの生体測定上の情報を含んでいてもよい。バーコードは走査領域4856の一部として示されている。これはダッシュ線で描かれている。なぜなら、これは、IDカード上では特徴の無いものとできるからである。走査領域は、バーコードを含む下部領域4852と空白の上部領域4858との間で下位分割される。IDカード4850は、上記の図47に描かれたものなどのリーダ装置により走査されるように設計されている。この実施例において、バーコードは空白上部領域を走査することにより得られた署名をエンコーディングしている。
すなわち、バーコードは、本発明の方法によりカードの空白上部領域を走査し、続いて、下部領域4852上にバーコードを印刷することによりIDカードの製造の時点で本来付けられたものである。したがって、IDカードは、このカードの固有な構造、すなわち、上部領域4858の表面構造に独特の署名でラベル付けされている。
バーコードは、それ自体が、走査のためのテンプレート適合線形化のために使用されてよいことに注意されたい。(上述のように)確かに、バーコード、または、ダミーのマーク付けでさえ、線形化および/またはテンプレート適合の目的のためのみに、カード上に印刷されてよく、暗号化のためには全く使用されなくてよい。その場合、検証は、データベースへの参照を使用して、または、例えば、チップ(所謂「スマートカード」)からデータを取ることによるなど、カードの他の部分からデータを取ることにより実行可能である。
バーコードが品目のための実際の署名を含む場合、その品目の検証は、署名のデータベースへの接続なしに実行可能である。事実、検証されるべき全ての品目がこのようにバーコードを使用してマーク付けされている場合、署名のデータベースは全体が省かれてよい。このようなシステムは、このようなデータベースの維持管理に関したプライバシーの懸念が問題となり得る場合に有利であるとしてよい。このようなシステムは、データベースへのアクセスが利用できない場所で品目を検証することをこのシステムが所望された場合でも有利であるとしてよい。
旅券、身分証明カード、運転免許証、または、銀行/クレジット/ロイヤルティカードなどの物品が保持者を記述する情報を含んでいる場合、保持者の情報を読み取るために取り込まれたデータにOCR操作が実行可能である。この保持者情報は氏名であってもよく、または、旅券番号などの識別番号であってもよい。保持者情報を使用すると、物品のための予想署名が検索可能となり、走査データから算出された署名に対して検査するために使用可能となる。データベース内で氏名または番号を見出すこと、および、それに伴う署名を検索することは、決定された署名をデータベース内の全ての保存署名に対して検査するよりも大幅に迅速である可能性がある。したがって、署名に基づく検証処理は、1:多数の検査よりもむしろ1:1検査となる。
1:1検索方法を達成可能な他のシステムは、予想された署名を検索するために、カードの異なったキャリヤに埋め込まれた保持者情報を使用可能である。これは、以下により詳細に検討されるように、物品上の磁気帯状部または物品に埋め込まれたマイクロチップを含むことができる。
この基本的な手法は、例えば、紙もしくはボール紙の物品またはプラスチックの物品を含めたいずれの印刷可能な物品も、物品固有の物理的特性から得られた物品自身の署名をエンコーディングするラベルで非常に様々な物品にマーク付けするために使用可能であることを理解されよう。
バーコードまたは公的に知られているエンコーディングプロトコルに従う他のラベルの公的性質を考えると、署名がバーコードにエンコーディングされる前に何らかの方法で保護されることを確実にすることが望ましい。これは、署名をデジタルで署名すること、または、バーコードの作成のために非対称な暗号化アルゴリズムを適用すること、すなわち、よく知られているRSAアルゴリズムによるものなどの一方向性関数が使用されることにより実行されてよい。
一実施例において、ラベルは公開キー/秘密キー暗号化システムにおける署名の公開キーに基づく暗号化を表すことが可能である。システムが何人かの異なった顧客により使用されている場合、秘密キーの開示が一人の顧客にのみ影響を及ぼすように、各顧客が自分自身の秘密キーを有することが望ましい。したがって、ラベルは、公開キーで暗号化され、秘密キーは正当な権限を持つ人物らとともに安全に所在する。
一実施例において、(品目が自身に対しては検証するが、データベースに対しては検証しないように)偽の品目を作成し、それを走査し、署名を作成し、その署名が偽の品目上のバーコードにエンコーディングされる偽造者を回避するため、バーコード内の署名は、この方法で偽造品を作成することをはるかに困難または不可能にさえするために保護可能である。例えば、バーコードは、署名からのデジタルで署名されたハッシュの結果を追加として含むことが可能である。そのため、物品のために署名を検査する際に、バーコードにエンコーディングされた署名は署名からのデジタルで署名されたハッシュの結果に対して検査可能となる。この検査が失敗した場合、または、ハッシュ関数に署名するために使用されたデジタル署名が不正確であるか、または、認識されない場合、物品は偽物として拒絶可能となる。
いくつかの実施例において、暗号化は対称とすることができる。この場合、キーは、改造に耐性を持つメモリまたは文書スキャナ上の暗号プロセッサスマートカードに確実に保持可能である。代案として、対称な暗号化は実際のデータ(署名)を暗号化するために使用可能であり、非対称な暗号化システムは対称な暗号化キーを暗号化するために使用可能である。
このラベル付け手法のさらなる理解された長所は、初心者ユーザが、特別な知識なしに実行されている検証を意識しないことである。ユーザにとって、リーダ装置が単にバーコードスキャナであり、かつ、走査されたものがバーコードであったことを想定することは自然である。
一実施例において、CD、DVD、または、他の内容が付帯するディスクの場合、署名はディスク上にあって、ディスク上のデータのための解読キーの一部を形成している。ディスクプレーヤは、データを読み取る際にディスクからスペックル署名を読み取る。
上述のように、このラベル付け方式は、物品が、純粋にラベルに基づき、データベースにアクセスせずに検証されるために使用可能である。
しかし、このラベル付け方式がデータベース検証方式と組み合わせて使用可能であることも考えられる。(物品が販売可能な製品である場合など)物品が保持者の身元証明を通常は搬送しない実施例において、バーコードはデジタル署名のサムネイル形態をエンコーディング可能であり、データベースを参照しての選抜の前に迅速な予備選抜を可能にするために使用可能である。これは、実際では非常に重要な手法となり得る。なぜなら、潜在的に、いくつかのデータベースの実用例において、記録の数が膨大に(例えば、何百万にも)なり得るので、検索方法が重要となるからである。ビット列の使用などの固有に高速な検索技術が重要になり得る。
サムネイルをエンコーディングしたバーコードへの代案として、バーコード(または他のラベル)は、記録ロケータをエンコーディング可能であり、すなわち、さらなる比較のためにデータベース内の正しい署名を迅速に見出すために使用可能な索引または栞となる。
他の変形は、バーコード(または他のラベル)が、データベースが使用不可能な場合(例えば、一時的な回線切れ、または、走査がインターネットへのアクセスのない異常に離れた場所で行なわれている場合)に、合理的だが高くない信頼度で適合を得るために使用可能なサムネイル署名をエンコーディングすることである。データベースが利用可能であり、より高い信頼度の検証が行なわれることを可能にする場合、その同じサムネイルは主データベース内での高速記録発見のために使用可能である。
図49は、データ搬送チップ4955を組み込んだ所謂スマートカードであるIDカード4950の概略平面図である。このチップ4955により搬送されるデータは、点線により示された通りのこの実施例では特徴がないないがいかなる所望の方法でも装飾可能であるか例えば写真を含むことができる走査領域4956から得られた、IDカード4950の固有の測定された表面特性から得られたデジタル署名をエンコーディングする署名エンコーディングデータを含むことができる。
他の実施例において、データ搬送チップ4955は、物品4950の予想された署名を識別してよい他のデータを搬送可能である。これは、カードの保持者についての保持者情報を含んでいてよい。保持者情報は、物品についての予想署名を返すためにデータベースを検索するために使用可能である。続いて、予想署名は、物品を走査することにより作成された署名および返された検証結果と比較可能である。この実施例は、署名の検証が1:1検査であり、データベース検索は、従来の方法においてよく定義されたデータ列(例えば、保持者の氏名など)についての検索に基づくことを提供している。これは、署名の検査が、データベースを検索するために署名および/または署名サムネイルを使用した1:多数の署名の検査である場合よりも、より高速の走査から検証結果までの全体的な時間をもたらすことが予想可能である。
図50は、製品保証書5050の概略平面図である。走査領域5056は、図48のIDカード実施例と同様に、固有の測定された表面特性から得られたデジタル署名をエンコーディングした上下に配列された2枚のバーコードラベル5052a、5052bを含んでいる。バーコード5052a、5052bは、概略が示されているように、人物の署名5059のためのデジタル署名走査領域5058の上下に配列されている。領域5058は改作からの保護のために透明な粘着性のカバーで覆われていてもよい。
多くの他の商業用の実施例が考えられ、上記の図48から50は例示としてのみにより与えられている。
上記の図18、29、30、および、31を参照して説明されたものなどのプロセスラインシステムの状況において、多数の走査ユニットが並列で使用されてもよく、かつ/または、第1の走査ユニットが署名生成のために使用される直列で使用されてもよい。
例えば、より多くのデータの収集を可能にするために、(図30の装置によく似た)多数のスキャナが並列の配列で積み上げられてもよい。積層の各システムは、目標上の多数の点を同時に読み取るように動作可能であってよい。余分なスキャナを使用することは、署名生成のためにより多くのデータが得られることを可能にする。このようなシステムは、目標表面の表面劣化の可能性が高い場合に使用されてよい。署名を大きな表面領域に基づかせることで、署名は、高レベルの表面の損傷の後でも、その後の走査から生成可能である。
プロセスラインスキャナがモジュラーシステムに基づく場合、単一の走査ヘッドモジュールは走査通過品目に設置される必要があることにより、走査モジュールは現在のプロセスラインに容易に搭載可能である。利用可能な走査領域からの少数の線のみが署名を生成するために使用される実施例において、これらの線が走査領域の中央に向かうものである場合、プロセスラインにスキャナを位置決めするうえでの誤差の大幅な余裕が提供可能である。表面の1mmの帯状部からの反射を検出する22個のセンサを使用して22mmの幅の走査領域を読み取るように動作可能なスキャナの例を取れば、書名が中央の2本の線に基づく場合、センサモジュールは、目標の所望の部分からデータを取り込むことが不可能になる前に、意図された位置から最大10mm離れて定置可能である。それらのセンサの全てからデータを取ることにより、センサモジュールのどの線が意図された走査線に位置合わせされているかを確立するために、パターン適合システムを使用して決定することが可能となる。署名は関連する信号からの出力に基づくことができる。このことは、システムが動作する位置決めの正確さを意識しない技能の拙い取り付け業者によりシステムが据付けられることを可能にする。
いくつかのプロセスライン環境においては、データベースに再現可能な署名が投入されていることを確実にするために、または、プロセスラインの長さの間に品目が紛失しないことを確実にするために、少なくともいくつかの品目を再走査することが望ましい。このような要件に対処するために、第2の走査ユニットはプロセスライン内の第2の点に集積可能である。品目の走査ヘッドへの正確な位置合わせを確実にすることが困難なプロセスラインにおいて、署名投入スキャナが、全てが走査領域の中央から/に向かう少数の走査線のみを使用するシステムを実施することが適切であるとしてよい。したがって、第2のスキャナは、第1と第2の走査の間である程度の位置決めの変更を許容するために多数の走査線をモニタすることができる。それぞれが1mmの幅である22本の走査線の実施例において、「正しい」2本の線が第2の走査領域の中央から最大10mmだけ移動可能にするために、第1の(データベース投入)スキャナは、例えば中央の2本の線を使用してよく、第2の(検証)スキャナは、それ以上の線(プロセスラインの速度および装着された署名生成プロセッサのデータ処理能力によるが、最大で22本全部)を使用してよい。
多数の走査システムがプロセスラインの同じ部分で使用されているシステムにおいて、スキャナは少なくとも部分的に互いと直列に配列されていてよい。このような配列は、正確で瞬間的なプロセスライン速度情報を提供することができる。したがって、この配列は、移動が人間のオペレータにより、または、車両などの自己推進型の品目の移動によりもたらされるスキャナなど、スキャナに対する相対的な品目の移動が高度に非線形であると予想される場合に、スキャナのためにも有用であるとしてよい。
このようなシステムの実施例は図51に示されている。同図では、それぞれが目標物品上の同じ走査幅を読み取るように、(図示されていない)2個の走査ヘッドは、直列に配列されている。簡略さのために、5個のみの十分に間隔を空けられた走査点が各走査ヘッドについて示されているが、さらに多くの走査点が使用されてよく、走査点は互いににより近づき合って配列されていてよいことを理解されよう。
第1の走査ヘッドは走査点のセット5110a〜eから読み取り、第2の走査ヘッドは走査点のセット5120a〜eから読み取る。物品5130が2個の走査ヘッドの間を直接移動すると仮定すると、走査点5110aにより走査される物品の一部は、走査点5120aによりその少し後で走査される。したがって、図51Aに示されたように、物品が第1の位置にあると、ダッシュ線5135により示された物品の一部は走査点5110a〜eにおいて第1の走査ヘッドにより走査される。一旦物品が、矢印5140の方向において走査ヘッド間の間隔に等しい距離だけ移動すれば、ダッシュ線5135により示された物品の一部は図51Bに示されているように走査点5120a〜eにおいて第2の走査ヘッドにより走査される。
図51Cは走査点5110aからの反射を検出するセンサからの出力を示し、図51Dは走査点5120aからの反射を検出するセンサからの出力を示している。物品が走査ヘッドを通過して移動するに従い、走査点5110aから受信される信号は、時間遅延の後、走査点5120aにおいて実質的に反復される。これは、図51Dにおける適合領域「M」により示されており、これは、図51Cにおいて信号と適合している。時間遅延「dt」は、走査点5110aと走査点5120aとの間のこれらにおいて検出されたこの適合領域Mである。時間遅延dtは、例えば、相関のピークの位置を見出すために個々のセンサの出力間で相関を行なうことなどにより、決定されてよい。ピークの位置はdtの値を与える。
走査ヘッド間の間隔を知ることによっても、物品の瞬間的な速度は決定可能である。速度は走査ヘッドのそばを品目が通過する間に多数回測定可能であり、物品の決定された速度プロファイルは、取り込まれたデータの線形化に使用可能である。1回の速度測定はx方向における各走査位置について行なわれ、したがって、非常に詳細な速度プロファイルが決定可能となる。代案として、x方向において数個の走査位置ごとに速度算出を行なうことが十分であるとしてよく、これは、速度プロファイルの決定の処理負荷を低減する。
物品がx方向だけでなくy方向においても移動する場合、この移動も図51のシステムによって検出可能であり、物品のx−y速度プロファイルの確立を可能にする。実施例を検討すると、走査点5110aで読み取られた物品の一部が後で走査点5120bにより読み取られるように物品がy方向において移動する場合、それら2つの走査点に相当する両センサ間の相関は相関ピークを与え、そのピークの位置はxおよびyの両方向の速度指標を与え、したがって、物品のためのx−y速度プロファイルの作成を可能にする。
図51は完全に重複した2個の走査ヘッドの走査領域を示しているが、走査ヘッドはy方向にずらすことが可能であり、そのため、上述の並列システムにおける検出器によって提供されるような品目の速度情報の収集およびy方向における物品の拡大部分の走査の提供の双方を可能にする。
プロセスライン用システムが、走査領域に対する走査の位置合わせがパターン適合により行なわれる走査品目を走査する場合、上述のように、プロセスライン上のスキャナは、品目の走査が位置合わせされるパターンテンプレートを生成するために使用可能である。これは、パターンが使用されるタイプの数十、数百、または、数千の物品を走査することにより実行可能である。これらの走査結果はテンプレートを作成するために互いにに平均される。品目の「生」走査中に、走査データは、スキャナがテンプレートの作成のために有していた位置に対して相対的にスキャナが移動していないことを確実にするためにモニタ(すなわち、テンプレートと比較)可能である。一実施例において、100番目ごとの品目がこのようなモニタのために使用可能である。
上記図20を参照して、円形の目標領域を走査する可能性が説明された。円形の目標領域を有することができる品目の一実施例は、設備が改造されていないか、もしくは、使用されていないこと、または、ある領域が進入されていないことを確実にするために使用され得るものなどのセキュリティシールである。このようなセキュリティシールは、小売店チェーンでの商品の流通のために使用されている閉じられたコンテナ、トラック、および、ヴァンを封止するために定例的に使用されている。旅程の終了時に無傷のシールを有することにより、コンテナ、トラック、または、ヴァンの内容が改造、変更、または、(例えば、トラックからの窃盗により)減っていないことが立証可能となる。同様に、犯罪者が捜索を逃れるためにトラック内に隠れようと試みた場合、または、ある人物が進入する権利のない場所に進入しようと試みた場合に発生する可能性のあるように、何らの追加内容も積荷に追加されていないことが立証可能となる。
このようなセキュリティシールの実施例が図52に示されている。本発明のセキュリティシール5210は、キャップ部5220と挿入可能部5230とを有する2部分シールである。挿入可能部5230は、挿入可能部5230がキャップ部5220に挿入された際にキャップ部5220の勘合リング5222との間に接続する勘合部材5232を有する。本実施例において、勘合部材5232を損傷せずにキャップ部5220から挿入可能部5230を取外すことは不可能である。したがって、出荷用コンテナもしくはトラックのための施錠ハンドルまたは部屋のドアハンドルなどの固定される品目の周囲にかけられた(図示されていない)保証コードidは、挿入部材5230内の孔5234を通過した自身の2つの自由端を有することができ、この自由端は、例えば、結束、クランプ、または、接着などによりまとめて固定可能である。保証コードは、例えば、繊維、プラスチック、または、金属のコードとすることができる。
例えば、出荷用コンテナの目的地で同コンテナへの進入を可能にするために、または、以前に固定された部屋もしくは建物への進入を可能にするためなどにシールが取外される際は、このシールは、挿入可能部5232を取外そうと試みることにより損傷を引き起こさずにシールの内部が見られることを可能にするために、キャップ部5220の外周の周囲を切断可能である。したがって、シールの内部が観察可能となり、かつ、取外されたシールが設置されたシールと同じものであることを確実にするために走査を受けることが可能となる。表面の走査により保証可能であるシール5210の各部分は、キャップ部5220の内部表面5224および挿入可能部5230の内部表面5236を含んでいる。同様に、保証コードが、例えば、保証コードの両端をクランプすることなどにより結合されている場合、クランプはそのような走査により保証可能である。使用前のシールから生成された署名を使用後に生成された署名と比較することにより、シールが同じか否かが決定可能となる。いくつかの実施例において、使用および記録署名の生成の前に1つまたは双方の部の内部表面にランダムなパターンがエンボス加工されてもよい。このようなパターンはネジ回しまたはナイフなどの硬い工具で表面を削ることにより作成可能である。
このようなシールには、走査の対象となる領域にエンボス加工または印刷された製造番号を有することができる。走査データは、光学特性認識またはパターン適合のいずれかにより製造番号を読み取るために使用可能である。この製造番号は上述の方法で予想署名を求めてデータベースを検索するために使用可能である。これにより、シールのための署名の検査は1:1を基本として実行可能となり、署名自体が1:多数の検索でデータベースを検索するために使用された場合よりもより大きな検証の速度をもたらす。
上記の図13から15を参照すると、検出器の光学系は、光導体アレイの使用に基づく代案構成を有することができる。このようなシステムの実施例が図53Aから53Eに示されている。
図53Aは光導体に基づく集光システムを使用するスキャナ装置の概略を示している。このシステムにおいて、光源5352は上記図9および11における要素952を参照して上記に検討されたものなどである。光源5352は、線形に合焦されたコヒーレントビーム5353が物品5304の目標表面に誘導されるようにする。図53Aにおいて、目標表面がz方向において正しい距離にある時、コヒーレントビームの焦点はx方向において点に合焦されるように、かつ、(図面の平面に垂直な)y方向において線形に合焦するように構成されている。したがって、コヒーレントビーム5353は、図53Aの点5306により表されているように線で物品5304の目標表面上に入射している。
点5306からの反射光5364および5365の一部は光導体により収集され、センサに誘導される。反射光5365は光導体5310に進入し、センサアレイ5320に出力されるまで光導体5310に沿って搬送される。任意で、(図13から15を参照して上記に検討されたように)干渉体5360は、物品表面の背景照射からの干渉を除去するために含められていてよい。センサアレイ5320は、上記図13から15を参照して検討されたものなどの多要素一次元フォトダイオードアレイであってよい。センサアレイ5320は、アレイ内のセンサの出力を処理するための処理ボード5322に装着されてもよい。このような処理回路は図21および22を参照して上記に検討されている。
光は、光導体により取り込まれ、かつ、搬送されたこの光が所望の開口数からの光に相当するように、光導体の寸法を決定することにより所望の開口数で取り込まれる。
図53Bは光導体5310をより詳細に示している。分かるように、光導体は長さl、高さh、および、幅wを有する。目標表面から反射されたが受光される光進入部分5314もある。この光進入部分は光導体の長い面5311の1つ上にある。光進入部分5314に隣接した光導体の端部5312は、長い面5311から角度θiで角度が付けられている。いくつかの実施例において、角度θiは、光導体に沿って搬送される光が内部全反射により光導体の内部表面で反射されるように設定されている。
光導体の他方の端部では、長い面5311の反対側の長い面5313が光出口部分5315を含んでいる。光出口部分5315に隣接した光導体の端部5316は、長い面5313から角度θoで角度が付けられている。いくつかの実施例において、長さlは、収集することを所望されている光が端部5316から反射する前に長い面5313で即座に跳ね返るように設定されている。いくつかの実施例において、角度θoは、回収することを所望されている光が光出口部分を介して光導体から反射されることを確実にするために、反射性の最終要素が設置されることを必要とするように設定されている。光導体により搬送される多少の光が異なって反射し、したがって、異なった角度で光導体から離脱するが、この光は収集を所望されている光ではないことを理解されよう。光導体は、収集されるべき光の円錐が、この光が光導体に進入した際に有していた広がりと同じ広がりを有して光導体を離脱することを提供する。
一実施例において、光導体は21mmの長さl、1mmの幅w、および、1mmの高さhを有する。この実施例において、角度θiは22.5度であり、角度θoは37度である。いくつかの実施例において、光導体はPMMA(ポリメチルメタクリレート)から作成可能であり、射出成形により作成可能である。光導体を作成するために射出成形が使用される場合、粗い破損部分の光散乱効果を最小に抑えるために、鋳型からの離脱点が光導体の三方向の頂点にあることが望ましい。一実施例において、v字型の鋳型において光導体を成形することにより、離脱点は100μm×100μmほどに小さくすることができる。光導体を成形するために使用される鋳型が研磨された内部表面を有する場合、これは、内部全反射を促進するために成形後に光導体を研磨する必要がないようにプラスチック成形品に転写される。
この実施例の光導体はさらに図53Cにも示されている。図53Cにおいて、目標表面上の入射レーザ光の線5306は点5306で示されている。続いて、反射光5365は光導体の光進入部分5314で受光される。続いて、光は、線5367によって示されたように光出口部分5315を介して光導体を離脱する。図53Cの線5365および5367は光導体により収集および搬送される光の中心軸のみを示している。
この実施例において、入来光5365の中心軸は、光導体の端部から距離liで光導体に進入し、光導体の他の端部から距離loで外出する。したがって、光はlioの距離にわたり搬送される。したがって、z方向における目標表面から光導体までの距離はrであり、x方向ではlrの入射線5306からのずれがある。この比は光導体の両端の角度および光導体内の所望の内部反射角に関連している。本実施例では、距離rが3.5mmでありx方向のずれについて2.5mmのlrとなっている。長さliは1mmであり、長さloは0.7mmであり、かつ、長さlioは21.6mmである。
光導体を組み込んだスキャナの読み取り距離は、表面からの反射光を図53Bのスポット5306の位置に合焦させるための中継レンズを使用することにより調整可能である。いくつかの実施例において、より長い読み取り距離は、光導体の距離rが、従来のカメラレンズがカメラ内にある場合にフィルム平面により保持される位置に相当するように、読み取りシステムに従来のカメラレンズを搭載することにより達成可能である。
いくつかの実施例において、光導体の全表面には反射性表面を設けることが可能である。これは、入射光が収集される角度のより多くの自由を可能にするが、光導体の費用を上昇させる。光導体を介して光を搬送するために内部全反射が利用される場合、光の進入部分および出口部分は、長い面5311および5313に対して何ら異なっていないことを理解されよう。しかし、表面が鏡面仕上げになっている場合では、光が光導体に進入し、これから離脱するために鏡面仕上げにギャップが残されていることを、光の進入部分および出口部分が必要とする。
多要素一次元センサアレイが使用される場合などのいくつかの光導体が互いに隣接して配列されている場合、光導体は単に互いに隣接して設置可能である。しかし、光を光導体で搬送するために内部全反射に依存する場合、光導体は、接着剤、または、光導体間に液体状の固着を作り出すいずれの手段によっても結合できないことが見出されている。これは、内部全反射を達成するために光導体が光学的に滑らかな表面を好ましくは有さなければならない一方、光導体内に光を保つためには多少の表面粗さが必要であることを示している。このため光導体をまとめて接着することが所望される場合、光が問題なく搬送されることを確実にするために表面は鏡面仕上げにされなければならない。表面を鏡面仕上げにする費用および処理が回避されることが好ましい場合、光導体は、機械的にまとめて、例えば、クランプなどで保持可能である。
光導体に沿った光の通過は光線追跡型の図53Dおよび53Eに示されている。同図では、収集されることを所望されている光のみが示されている。光が光導体に沿って搬送されていること、および、光が端部表面5316で反射して光出口部分から外に誘導される直前に表面5313で反射することがはっきり分かる。光導体を離脱する光の広がりが光導体に進入する場合と同じであることも分かる。
光学干渉フィルタ5360が検出器内で使用されている場合、これは、上記に検討されたように非常に狭い通過帯域を有することができる。同様に、狭い通過帯域を持つ干渉フィルタは、入射光の方向に非常に敏感である。なぜなら、垂直以外の角度でフィルタに近づく光は異なった波長を有するように見えるからである。これにより、干渉フィルタは、取り込むための所望の開口数を達成するための所望の角度範囲の外にある光導体により搬送された光を除外できる。加えて、上記に検討されたように、取り込まれたデータが従来の画像形成タイプの方法で、例えば、パターン適合のために使用される場合、センサアレイ内の異なったセンサ間のクロストークは、干渉フィルタの角度上の排除により低減可能である。
上述のようなスキャナシステムにおける光導体の使用は、レンズに基づくシステムと比較して位置に関する設置の誤りの感度の程度を低減する。特に、物品がz方向において誤って設置された場合、または、光が目標の間違った部分に入射した場合(これらは実際上は光学的に同じことである)、その誤差が発生しなかったかのように同量の光が取り込まれる。取り込まれた光は意図された部分以外の目標の部分から反射されるが、署名を作成するために目標の比較的大きな領域が走査されるため、取り込むことが意図されていた目標の各部分のほぼ全てが、空間において僅かに移動されただけで、取り込まれる。事実、署名の適合が、署名候補と記録署名との間のビットシフトを必要とするため、このシフトは署名の適合の正確さに何らの影響も及ぼさない。
上記図13から15および53を参照すると、検出器光学系は、光ファイバ導光器および分散センサアレイの使用に基づく代案構成を有することができる。このようなシステムの実施例は図54aから54cに示されている。
図54Aは光ファイバ導光器に基づく集光システムを使用したスキャナ装置の概略を示す。このシステムにおいて、光源5452は上記図9および11の要素952を参照して上記に検討されたものなどである。光源5452は線形に合焦されたコヒーレントビーム5453を物品5404の目標表面に誘導する。図54Aにおいて、コヒーレントビームの焦点は、目標表面がz方向において正しい距離にある際にx方向において点合焦されるように構成され、かつ、(図の平面に垂直な)y方向において線形合焦されるように構成されている。したがって、コヒーレントビーム5453は、図54Aでは点5406により表されている線で物品5404の目標表面上に入射する。
点5406からの反射光5464および5465の一部は、光ファイバ導光器により収集され、かつ、センサに誘導される。反射光5465は光ファイバ導光器5410に進入し、これに沿ってセンサアレイ5420に出力されるまで搬送される。本実施例において、光ファイバ導光器5410は、複数の位置からの反射光が目標表面5404上への光ビーム5453の入射線5406に沿うように、互いに隣接して配列され図54Aの用紙に垂直な軸に沿って延在するこのような導光器のセットを含んでいる(これは図54Bにより詳細に示されている)。任意で、物品表面の背景照射からの干渉を除去するために、(図13から15を参照して上記に検討された通りの)(図示されていない)干渉フィルタが含まれてもよい。センサアレイ5420は、図13から15を参照して検討されたものなどの多要素一次元フォトダイオードアレイであってよい。代案として、光ファイバ導光器は互いに直接に隣接したままである必要はないため、センサアレイ5420は何らかの形態の支持基板に搭載されたいくつかの個別のセンサを含んでよい。センサアレイ5420はアレイ内のセンサの出力を処理するための処理ボード5422に装着されてよい。このような処理回路は図21および22を参照して上記に説明されている。いくつかの個別のセンサであるセンサアレイの実施例において、センサは処理ボード5422に直接搭載されてよい。
光は、目標表面の意図された位置から適切な距離に位置決めされた、適切な寸法にされた光ファイバ導光器により所望の開口数で取り込まれる。当業者は、特定の直径の光ファイバ導光器が光源から光ファイバの終端の距離に依存した有効開口数(この場合、目標表面からの反射点)を有することを理解されよう。これにより、光ファイバ導光器により取り込まれ、かつ、搬送された光は、所望の開口数からの光に相当する。
図54Bは図54Aのスキャナ装置が目標表面5404の観点からどのように見えるかの例を示している。点合焦された光5453の線および光ファイバ導光器5410の2つのアレイが見えている。これにより、光ファイバ導光器の光進入端部における光ファイバ導光器の隣接関係が見られる。
図54cはセンサアレイ5420の実施例を示している。本実施例において、センサアレイは互いから間隔を空けられたいくつかの個別のフォトダイオード5421を含んでいる。1本の光ファイバ導光器5410は、各光ファイバ導光器により搬送された光の取り込みに備えるために、各個別のフォトダイオード5421に接続可能である。光ファイバ導光器は、いずれのパターンでも、データが順番に集められることが可能となるように取り込まれた光およびその結果となるデータを解析する処理回路にそのパターンが知られている限り、フォトダイオードに接続可能である。フォトダイオード間に間隔を設けることにより、フォトダイオードが直接互いに隣接して定置されている場合に発生することがあるいかなるチャンネル間干渉またはクロストークの可能性も回避可能である。
本実施例において、光ファイバ導光器は直径が約1mmであり、かつ、PMMA(ポリメチルメタクリレート)から作成されている。他の実施例において、導光器は、目標からの距離および光の取り込みの開口数に対する異なった選択肢を提供するための異なった直径を有してもよく、かつ/または、他の透明もしくは半透明なプラスチックもしくはガラスなどの他の材料から作成されてもよい。
スキャナ装置で使用される光ファイバ導光器5410の数は、(より多数の導光器を有することによる)センサに対する相対的な目標の位置決めにおけるより大きな平行移動の不正確さ(すなわち、y方向における位置決めの誤り)と、(より少数の導光器を有することによる)スキャナユニットのサイズとの間の交換条件をもたらすように調整可能である。スキャナ装置のための外部筐体は、内部でスキャナ装置が展開される実用例のためのいかなる便利なサイズおよび形状に作成可能である。
これまで、現在説明されているシステムによる目標表面を記述する走査情報を取り込むために使用されてよいさらなるスキャナ装置の実施例が説明された。
いくつかの実施例において、物品が作られている物質のタイプに対する分類署名を決定することが可能である。これは、図55から61を参照してより詳細に検討される。
分類署名を生成できる物質の1つの例は紙である。紙の場合、分類署名は、乾燥用格子などの生産中にその上で紙が搬送される格子により生成されることがあるものなどの表面の反復パターンに関連する。図55Aは、線形化の後に、例えば図9を参照して上記に説明された通りのスキャナの単一フォトダイオードから取られたデータ点のセットを示している。x軸の点の数は、読取用体積内に定置され、コヒーレントビームにより走査される標準のA4用紙からサンプリングされたデータ点に相当する。
図55Bは、図55Aに示されたデータ点の線形化されたセットのフーリエ変換(FT)を示す。
図55Aのデータ点が大きくランダムであるように見える一方、図55Bでは、波長422μmの強いピークに気付く。同じ分類署名は、同じ用紙の、および、同じ連(リーム)から取られた異なった用紙についても表面上の異なった場所に導出されている。異なった製造業者からの用紙を使用した同様の走査およびFTは、287μmのピーク波長を生み出し、異なった網目の上で作成された紙の間で区別可能な分類署名を設けるために、ピーク波長がどのように使用可能であるかを示している。
FTピークの波長は、紙がコヒーレントビームの走査方向に関して配向されている方向に依存すると見出されている。例えば、第1の用紙は「縦」向きで走査されると422μmのピーク波長を生み出し、「横」向きで走査されると274μmのピーク波長を生み出した。加えて、用紙の一面は他の面よりも強いFTピークをしばしば与える。これは、紙の製造中に網目と接触していた紙の面上に生じるより強い表面波打ちによるものと考えられている。
紙への自然の、および、意図的な劣化および損傷が分類署名を変化または読み取り不能にするか否かを調べるために、紙に対して堅牢性のテストを行った。特に、用紙は皺を寄せられ、かつ、表面を強く擦られていた。スペクトルの低周波数端により多くの雑音が現れたものの分類署名には何らの強い変化も見出されなかった。紙を医療用オートクレーブ内で高圧水蒸気に曝してもみた。オートクレーブ処理の後でもFTピークは未だにはっきり見えていた一方、その波長は426μmから418μmへと1.7%低下したことが見出された。これは、水蒸気からの乾燥に基づく紙の繊維の収縮によるものである。紙の目視検査は、オートクレーブ内で強く劣化されたことを示した。しかし、この損傷の程度は、通常の実用例では予想されない。
図56Aは、紙が走査方向に関して90度まで回転される間にFTピークの振幅がどのように変化するかを示している。紙の凹みは、寸法408μm×274μmの長方形格子を形成すると信じられている。0度において、ビーム走査方向は408μmの周期的に間隔を空けられた格子状の凹みに垂直である。強い信号が約0°、45°、および、90°に現れている。90°の信号は、走査方向が274μmの周期的に間隔を空けられた格子状の凹みに垂直である時に生じている。
図56Bは、紙が走査方向に関して回転される間、最も強いFTピークの波長がどのように変化するかを示している。最も強いFTピークの波長は、角度が0°から約10°まで回転される間、約408μmで極めて一定している。分類署名に対応するFTのピークは、走査レーザの方向が製造の網目から来た表面の皺の長軸の約±10°内である時に、最も良好に検出されることが見出されている。これの理由は、回転角が約10°を一旦超えれば、細長いレーザスポット(長さ約2mm)の投射が皺の間隔に相当するようになるためである。
図57は、分類署名がどのようにして物品から測定可能であり、認証、または、記録が可能であるかを示すフロー図である。
段階A1は走査モータが起動される最初の段階である。走査モータは速度vで移動するようにプログラムされている。
段階A2はデータ取得段階であり、ここでは、光検出器のそれぞれにおける光強度が走査の長さ全体の間にほぼ1ミリ秒ごとに取得される。本実施例において、目標表面上の1点のみがモニタされている。サンプル点間の時間間隔はΔtである。同時に、エンコーダ信号が時間の関数として取得される。走査モータが(例えば、ステッピングモータのように)線形化の高度な正確さを有する場合、エンコーダ信号は取得する必要がないことに注意されよう。各走査で収集される検出器チャンネル当りのデータ点の数nは、以下でNとして定義されている。さらに、値ak(i)は光検出器kからのi番目の保存された強度値として定義され、ここで、iは1からNまで変化する。このような走査から得られた未処理のデータセットの例が図16に示されている。
段階A3は走査ヘッドを戻す段階である。走査機構をその後の走査動作のための準備においてこの機構の初期位置にリセットするために、走査モータは逆進される。
段階A4は任意の線形化段階である。実行された場合、この段階は、エンコーダの遷移は時間において均一に間隔が空けられるように、局所的に伸長および収縮したak(i)に数値上の補間を適用する。これは、モータの速度の局所的な変化に対するデータ点のセットを訂正する。
段階A5はFT段階であり、ここでは、ak(i)のフーリエ変換のFT振幅スペクトル値Ak(i)が算出される。この段階は、kセットのデータ点の個別のセットに高速フーリエ変換(FFT)を適用する。任意で、平均化FT振幅スペクトルがk個の個別の振幅スペクトルのそれぞれから算出可能である。
段階A6は識別段階であり、ここでは、i=0(DC成分)を除いて、Ak(i)を最大化するiの値が識別される。この指数ipeakは、コンピュータプログラムの制御下でパソコン34において識別される。
段階A7は算出段階であり、ここでは、ipeakに伴う波長が等式λpeak=2π/(ipeak×vΔt)により決定される。ピーク波長λpeakは分類署名として使用される。
段階A8は決定点である。物品が自身の記録された分類署名を有している場合、次の段階は段階A9となる。これに対して、物品がその分類署名の測定により認証されている場合、次の段階は段階A10となる。
段階A9は分類署名を保存する段階である。紙の記述に伴う分類署名値λpeakを含む記録はデータベースに保存される。データベースは光学リーダ装置から離れて設置されていてよく、記録はそれらの間の伝送の前に確実に暗号化されていてよい。
段階A10は分類署名を検証する段階である。この段階において、所定の誤差のマージン内に適合が見出されるまで、λpeakはデータベース内の全ての入力と比較される。続いて、適合する紙のタイプのための記録入力が、もし見いだされれば、出力可能となる。適合入力が見出されない場合は、検索が任意で他のデータベースに拡大されてもよい。任意で、失敗の結果の出力が返されてもよい。任意で、何らかの分類の適合が見出されていてもいなくても、物品を一意に識別しようと試みるために、物品からの特徴的な署名が、所定の特徴的な署名と適合するか否かを決定するために、続いて、解析が実行されてもよい。
これまで、物品の分類署名を決定および使用するためのシステムが説明された。
上記の実施例のうちのいくつかは、物品が一方向のみで走査される線形スキャナに関連する。いくつかのそのようなスキャナにおいて、物品は制御され、かつ、再現可能な方法で位置合わせされる必要がある。全ての可能な方向を走査することによりこの制約に対処するロータリスキャナが説明される。
図58Aは、紙またはボール紙で作られた物品からの分類署名を決定するためのロータリ走査装置において使用されるロータリスキャナ5700を示している。スキャナ5700は筐体5710内に回転可能に搭載された走査ヘッド5702を含んでいる。走査ヘッド5702は位置エンコーダモジュール5706に隣接した回転アーム5704上に搭載されている。回転アームは駆動モータ5708に動作可能に結合されている。
図58Bは、図58Aに示されたロータリスキャナ5700の筐体5710に取り付けるための蓋5720を示している。蓋5720は、内部に規定された正確なスロット5724を有する平坦面部分5722を含んでいる。尖ったスロット5724は360度から角度5726を差し引いた角度の範囲に定められている。本実施形態では、尖ったスロット5724は270度の範囲に定められている。これは、走査ヘッド5702が円弧の約270度にわたり走査することを可能にし、したがって、紙の全ての考えられる向きをサンプリングする。
図58Aおよび58Bに示された回転走査装置は、既に説明された線形走査装置に類似する走査システムに組み込まれることが可能である。この場合、線形走査装置感知システムは、図58Aおよび58Bの回転機能を備えたものにより置き換えられる一方、データ処理装置は、図59に関して以下に説明される方法を実施するように再プログラムされる。
この装置には2つの原理的な長所がある。第一に、紙とスキャナとの相対的な向きを知る必要がない。なぜなら、観察されたスペクトルのセットと紙のタイプのデータベースとの間の適合が、適合が得られるまで異なった開始角度について実行可能だからである。このことは、スキャナが紙表面および報告された分類署名のどこにでも降ろすことが可能であることを意味している。第二に、より高いレベルのセキュリティが提供される。なぜなら、分類署名が異なった走査方向から取られた特徴の組合せから構成可能だからである。例えば、分類署名を形成する変換済みのデータ点のセットは、長方形の網目構造の2つの異なった周期性を拾い出すために使用可能である。他の実施例は、特定の周期性を持つ六角形の網目を識別し、かつ、これを同じ周期性を持つ四角形の網目と区別するためなどで、網目の回転対称の次数を決定するためのものである。
図59Aおよび59Bは、分類署名が回転走査を使用して物品からどのように測定されるか、および、どのように認証され、記録されるかを示すフロー図である。
段階R1は走査モータが起動される初期段階である。走査モータは速度vで移動するようにプログラムされている。
段階R2はデータ取得段階であり、ここでは、光検出器のそれぞれにおける光学強度が走査の長さ全体の間に約1ミリ秒ごとに取得される。サンプリング時間点間の間隔はΔtである。同時に、エンコーダ信号が時間の関数として取得される。走査モータが線形化の高度な正確さを有する(例えば、ステッピングモータなど)場合、エンコーダ信号は取得される必要がないことに注意されたい。エンコーダ信号は、位置エンコーダモジュール5706がスロット5724に隣接した蓋5720上に設けられたマークを通過する時に、検出により提供されてよい。各走査で収集された検出器チャンネル当りのデータ点の数nは、以下ではNとして定義されている。さらに、値ak(i)は、光検出器kから第i番目に保存された強度値と定義され、ここで、iは1からNまで変化する。
段階R3は走査ヘッドを戻す段階である。走査機構をその後の走査動作のための準備においてこの機構の初期位置にリセットするために、走査モータは逆進される。
段階R4は任意の線形化段階である。実行された場合、この段階は、エンコーダの遷移が時間において均一に間隔が空けられるように、局所的に伸長および収縮したak(i)に数値上の補間を適用する。これは、モータの速度の局所的な変化に対するデータ点のセットを訂正する。
段階R5はi0がゼロに設定される初期化段階である。
段階R6は、データ点のサブセットが走査全体から作成される段階である。I=i0−Δiからi0+ΔIまで変化するak(i)のサブセットbk(i)が作成される。図55Bに関して上記に示されたように、ΔIはスキャナの円弧の約10度に相当する。
段階R7は、bk(i)のフーリエ変換のFT振幅スペクトルBk(i)が算出されるFT段階である。この段階は、データ点のk個のセットのそれぞれに高速フーリエ変換(FFT)を適用する。任意で、多数の検出器がスキャンヘッド5702内に設けられていれば、平均化FT振幅スペクトルがk個の個別の振幅スペクトルのそれぞれから算出可能である。各変換で使用されるデータのシーケンスが短くなっているため、FTピークは線形走査のものよりも広くなり、かつ、少なくなっている。にもかかわらず、特定の条件下では、スペクトルのこのセットは紙の良好な分類署名を形成している。
段階R8は、i=0(DC成分)を除いて、Bk(i)を最大化するiの値が識別される識別段階である。この指数はipeakと呼ばれる。
段階R9は、Bk(i)の二乗平均平方根(r.m.s.)が決定される。Bk(i)のr.m.s.値は以下の等式を使用して算出される。
特定の角走査φに対して、振幅スペクトルの最大ピーク高さを見出し、これを振幅スペクトルのr.m.s.値で割る。この比はピーク有意性と呼ばれる。なぜなら、これが、スペクトルの残りの部分よりもそのピークがどのくらい高いかを示すからである。約3から4未満のピーク有意性は、明確に定義されるピークがないことを示す。約4を超えるピーク有意性は、十分に定義されたピークを示す。ピーク有意性が約3から4を超える場合、そのピークの中心の波長が測定される。ピーク有意性が約3から4未満の場合、データは破棄され、φの次の値が評価される。そのため、φに対するピーク波長のグラフはプロット可能であるが、十分に定義されたピークが存在する円弧部分に限定される。このプロットはその走査された紙の分類署名を形成している。
図56Aは、用紙からの実際の測定について、振幅スペクトルのr.m.s.値に対する振幅スペクトルにおける最も強いピークの振幅の比を示している。明らかに有意なピークは角度範囲0から15度に見ることができ、より弱いピークが45度および90度の周辺に現れている。0度に近い最も強いピークを見ると、図56Bはこのピークの波長を角度の関数として示している。408μmのほぼ一定の波長が見出され、これは、この用紙の分類署名を形成している。図56Bで見ることできる角度に波長が依存する僅かに上向きの湾曲は、走査方向が変化するに従った波長の1/cos(angle)投射によるものである。
段階R10は比決定段階である。比B(ipeak)/rms)が算出される。
段階R11はi0がインクリメントされるインクリメント段階である。
段階R12は、i0=Nでなければ、段階R6を再び実行させるループテスト段階である。i0=Nであれば、段階R13が実行される。
段階R13は、比B(ipeak)/rms)を最大にするi0の値比ipeakが決定されるグローバルピークデータ点決定段階である。
段階R14は、ipeakに伴う波長が等式λpeak=2π/(ipeak×vΔt)により決定される算出段階である。ピーク波長λpeakは分類署名として使用される。
段階R15は決定点である。物品が記録された自身の分類署名を有する場合、次の段階は段階R16となる。これに対して、物品が自身の分類署名の測定により認証されている場合、次の段階は段階R17となる。
段階R16は分類署名を保存する段階である。記録は、データベースに記録されている紙の記述に伴う分類署名値λpeakを含んでいる。データベースは光学読み取り装置から離れて所在してよく、記録は両者間の伝送の前に確実に暗号化されてもよい。
段階R17は分類署名を検証する段階である。この段階では、適合が所定の誤差のマージン内で見出されるまで、λpeakがデータベース内の全入力と比較される。適合する紙のタイプの記録入力の記述は、もし見出されれば、出力可能である。適合する入力がない場合、他のデータベースに対して検索が任意で実行されてもよい。任意で、失敗の結果が出力されてもよい。任意で、何らかの分類の適合が見出されてもなくても、物品を一意に識別しようと試みるために、物品からの特徴的な署名が所定の特徴的な署名と適合するか否かを決定するために続いて解析が行なわれてもよい。
図60は、品目の分類署名を利用する装置の実施例がどのようにして動作できるかを示すフロー図を示している。
段階A11は処理の開始である。
段階A12は解析される物品を読取用体積内に位置決めする段階である。この段階は手作業でも自動的にでも実行可能である。例えば、シートフィーダは、装置読取用体積内に紙/ボール紙の物品を位置決めするために使用されてもよく、手持ちスキャナが物品上に定置可能である。
段階A13は物品を走査する段階である。一実施例において、この段階は線形走査を使用して物品に関してビームを移動することを含んでいる。しかし、図58および59を参照して説明されたタイプの回転走査は、この段階を実行するために使用されてもよい。
段階A14は読取用体積を基準として走査位置を測定する段階である。走査の実施時間にわたるスキャナの位置に関する情報は記録される。
段階A15はデータ点のセットが連続して投入されるデータ収集段階である。特定の走査点から反射光を受光する各検出器からのデータ点の各セットは、データ点の平均セットを作成するために平均される。
段階A16は線形化段階である。セット内の連続したデータ点が時間、または、走査中のそれらの取得の位置に関して等しく間隔を空けられることを確実にするために、データ点のセットを修正するために段階A14で得られた相対的な測定された位置情報を使用することにより、分類署名を決定する前にデータ点のセットが線形化される。
段階A17は変換段階である。この段階において、高速フーリエ変換(FFT)がデータ点の平均化されたセットに適用される。FFTまたは他の変換は、1つまたは複数のピークを含む変換後のデータセットをもたらすために使用されてよい。
段階A18は分類署名の決定に関する。段階A17に見出された変換振幅ピークはデジタル信号を導出するための閾値である。このデジタル信号は分類信号として使用される。
段階A19は比較段階である。分類署名はデータベースに保存された所定の分類署名のデータベースに比較される。
段階A20は決定段階である。分類署名に対する適合がデータベースに見出されない場合、装置は段階A21に進む。他方、分類署名に対して適合が見出された場合、装置は特徴的な署名を検証するために段階A22を実施するために進む。
段階A21は拒絶段階であり、ここでは、物品の分類署名が認識されなかったことを、装置が装置のオペレータに警告する。続いて、オペレータはこの通知に対してどのように行動するかを決定してよい。
段階A22は特徴的な署名を決定する段階である。この段階は、上述されたものなどの特徴的な署名を決定する段階を含んでよい。しかし、測定された特徴的な署名と比較するためにデータベース内の全ての特徴的な署名についてデータベースを検索する前に、所定の特徴的な署名のサブセットが検索するために選択可能である。サブセットのこの選択は、同じ分類署名を有する物品に対する署名のみが検索されるように、分類署名を使用して実行可能である。これは、測定された特徴的な著名への適合のための検索を高速化する。加えて、この実施例においては、分類署名および特徴的な署名の双方を導出するために走査集に得られたデータ点の同じセットを、装置が使用可能である。
段階A23は他の決定段階である。特徴的な署名に対する適合がデータベースに見出されない場合、装置は上述したように段階A21に進む。
段階A24は、分類署名および特徴的な署名の双方が認識された場合に到達される段階である。この段階では、様々な指標または行動が発生する可能性がある。例えば、紙/ボール紙の物品が有効に識別されたという表示が装置のオペレータに表示されてよく、自動ロック解除が作動されてよいなど、所望に応じる。
図61AからGは、異なった紙に関する分類署名を作成するために使用可能な特別仕様のスクリーンを示している。これらのスクリーンは標準的な製紙工程において使用可能である。所望の分類署名を提供するために圧痕(インプリント)が設けられてよい。このような圧痕は一次元または二次元のパターン変形を組み込んでよい。圧痕処理されたパターンは、スキャナがパターンの所望の周波数成分を検出することを確実にするために、走査の長さ以下の周期性を持つ周期的なものであってよい。
特別仕様のスクリーンは標準的な製紙用スクリーンに置き換えて使用可能である。
スクリーンを作成するための様々な技術および材料は当技術分野ではよく知られており、それらは特別仕様のスクリーンのためにも使用されてよい。例えば、スクリーンは、ステンレス鋼、ポリマー材料などで形成されたワイヤ、板などを使用して作成されてよい。
図61Aは、特別仕様スクリーン6060の第1の実施例を示している。特別仕様スクリーン6060は、第1の方向(y軸)において規則的な間隔6063で間隔を空けられたワイヤ6061aからnの格子を含んでいる。規則的に間隔を空けられた個々のワイヤ6062aからnの間隔を空けられたグループが、第1の方向を横切る第2の方向(x軸)において規則的な間隔6064で設けられている。このスクリーン6060に残された圧痕は、第1の方向に単一の周波数成分を有する。この圧痕は第2の方向において2つの周波数成分も有する。第1の成分はワイヤ6064のグループの間隔を反映し、第2の成分はワイヤ間の間隔6065を反映している。
図61Bは特別仕様スクリーン6070の他の実施例を示している。特別仕様スクリーン6070は、第1の方向(y軸)において規則的な間隔6073で間隔を空けられたワイヤ6071aからnの格子を含んでいる。ワイヤ6072aからnの間隔を空けられたグループは、第1の方向を横切る第2の方向(x軸)において規則的な間隔6074で設けられている。第2の方向に設けられたワイヤ6072aからnのグループは、グループ内の個々のワイヤ間の間隔が線形性を高めるチャーピングしたパターンに従って間隔を空けられている。
したがって、このスクリーンにより残された圧痕は第1の方向に単一の周波数成分を有する。このスクリーンはグループ6072aからn内のワイヤに適用されたチャーピングされた空間変調から導出された第2の方向における広がった周波数信号、ならびに、第2の方向におけるグループ間の間隔6074から導出された周波数成分も有する。
図61Cは特別仕様スクリーン6080の他の実施例を示している。特別仕様スクリーン6080は第1の方向(y軸)において規則的な間隔で間隔を空けられたワイヤ6081aからnの格子を含んでいる。ワイヤ6082aからnの様々なグループが第1の方向を横切る第2の方向(x軸)において規則的な間隔6084で設けられている。1つのそのようなグループが定置されてよく、この実施例では、より緊密に詰め込まれたワイヤのグループを組み込んだグループ6082cが設けられている。
このスクリーンにより残された圧痕は、第1の方向に単一の周波数成分を有する。このスクリーンは第2の方向に3成分周波数信号も有している。第1の成分はワイヤのグループの間隔6084を反映し、第2の成分はワイヤ間の間隔を反映している。しかし、第3の成分も第1の成分よりも高い周波数に存在している。第3の成分はグループ6082cのワイヤのより緊密な詰め込みから導出されている。
第3の周波数成分を検出することにより、グループ6082cの間隔を有するワイヤのグループの製紙作業中の使用が検出可能である。これは二値信号をエンコーディングするために使用可能である。他のグループのワイヤ間の間隔も、二値の数字またはバイトのエンコーディングを可能にするために提供されてよい。よく知られているように、このようなバイトは様々な情報をエンコーディングするために使用可能である。
図61Dは特別仕様スクリーン6090の他の例を示している。特別仕様スクリーン6090は、第1の方向(y軸)において規則的な間隔6093で間隔を空けられたワイヤ6091aからnの格子を含んでいる。ワイヤ6092aからnの間隔を空けられたグループは、第1の方向を横切る第2の方向(x軸)において規則的な間隔6094で設けられている。このグループ内のワイヤ192aからnは正弦波のように変化するパターンに従って間隔を空けられている。
このスクリーンにより残された圧痕は第1の方向において単一の周波数成分を有する。このスクリーンは、グループ6092aからnのワイヤに適用された正弦空間変調から導出された第2の方向における広がった周波数信号も有する。様々な実施形態において、正弦空間変調は、様々なエンコーディング方式を提供するために自身が変調可能である搬送波周波数として機能する。例えば、位相シフトキーイング変調は、搬送正弦波に適用され、かつ、ワイヤの適切な間隔により紙に適用されるパターンにエンコーディングされてよい。
図61Eは、特別仕様スクリーン6000の他の実施例を示す。特別仕様スクリーン6000は、第1の方向(y軸)において規則的な間隔6003で間隔を空けられたワイヤ6001aからnのグループの格子を含んでいる。グループ内のワイヤ6001aからnは、自身が規則的な間隔6006で間隔を空けられている。規則的に間隔を空けられたワイヤ6002aからnの間隔を空けられたグループも第1の方向を横切る第2の方向(x軸)において規則的な間隔6004で設けられている。
このスクリーン6000により残された圧痕は第1の方向に2つの周波数成分を、および、第2の方向に2つの周波数成分を有している。第1の方向の第1の成分はワイヤ6001aからnのグループの間隔6003を反映し、第2の成分はワイヤ間の間隔6006を反映している。第2の方向の第1の成分はワイヤ6002aからnのグループの間隔6004を反映し、第2の成分はワイヤ間の間隔6005を反映している。
図61Fは、特別仕様スクリーン6010の他の実施例を示している。特別仕様スクリーン6010は、規則的な二次元パターンにおいて間隔を空けられた複数の十字型孔6012を含む板6011を含んでいる。このようなスクリーンはシート材料をエッチングまたは穴あけすることにより形成されてよい。
図61Gは特別仕様スクリーン6020の他の実施例を示している。特別仕様スクリーン6020は、規則的な二次元パターンにおいて間隔を空けられた反復パターンになった孔6022、6024を含む板6021を含んでいる。このパターンは、規則的な間隔6023で間隔を空けられたグリッド配列に並べられた異なるサイズおよび数の円形孔6022、6024の交互のグループの反復する連続を含んでいる。円形孔6022の第1のグループは、一緒にグループとなった円形孔の3×3アレイからなる。円形孔6024の第2のグループは一緒にグループとなった円形孔の2×2アレイからなる。第1および第2のグループ6022、6024は板6021のほぼ同じ表面積を占有している。
スクリーン6020により残された圧痕は、グリッド間隔6023から導出された周波数成分、および、孔6022、6024のグループから生じたより複雑な応答を有している。このような応答は、特別仕様スクリーン6020を使用して作成された紙/ボール紙の物品のための分類署名を提供するために測定および使用が可能である。
示されたスクリーンにより作成された圧痕は全てが、フーリエ変換または他の種類の変換解析を使用して分類署名を決定するための機能上の解析に従順であることを理解されよう。
これまで、分類署名を利用するためのシステムおよび装置の様々な実施例が説明された。
上記の実施例において、物品から決定された署名をその後の参照のためにデータベースに保存することについての様々な検討がある。物品から決定された署名をデータベース内の保存署名と比較することについても様々な検討がある。図62を参照して、署名が保存可能であり、その内容に対して署名が検証可能な中央署名データベースを実現するために使用されてよいデータベース構造の実施例が説明される。
上述の方法で物品表面から導出された署名を保存および検索するためのデータベースは、普通のデータベース技術を使用して作成することが本質的に困難である。これは、署名そのものが基本的にランダムなシーケンスであるためである。したがって、索引テーブルに記述された索引に基づく階層的な検索を利用することは可能でない。少なくともいくつかの実施例において、署名のためのサムネイルがある。しかし、これらは未だに基本的にランダムであるため、それらは完全な署名と同じ問題を提示している。
同様に、特定の目標表面の各走査は非常に僅かに異なった署名を生成する。同じ表面により生成された異なった署名は、上記に詳細に検討されたように、異なった表面からの署名よりもはるかに類似しているが、正確に100%の適合は、不可能でなくとも、非常に異例であるのが未だに普通である。したがって、データベース検索において必要とされる適合はファジー適合であることは明らかである。
これらの要因の結果として、署名の適合を求めてデータベースを検索する唯一の方法が、署名の候補に対してデータベース内の各記録をテストすることであることが明らかになった。上記に注目したように、サムネイル署名が、可能な適合の最終候補リストを作成するために使用され、完全な署名が最終候補リスト上の署名に対してのみテストされる場合に、これの影響は最小に抑えられ得る。しかし、サムネイルを使用してさえ、この検索処理は非常に演算に集約したものとなる可能性が高い。
しかし、検索が実行されるデータが従来のコンピュータシステムのRAMなどの高速アクセス記憶装置に保持されていることを条件として、最近のマイクロプロセッサアーキテクチャのおかげで、この検索処理は非常に効率的に実行可能である。検索されるデータ量がハードディスクドライブなどの低速の記憶装置に部分的に保持されなければならない場合、ハードディスクからRAMへのデータの転送にかかる時間は、プロセッサによる検索の実行によりかかる時間よりも長くなるという状況が直ちに発生可能である。したがって、最速の可能な応答時間を提供するためには、データベース全体が、システムRAMなどの高速アクセス記憶装置に常に保持されている必要があることが明らかとなる。データベース検索の結果が最短の可能な時間で返ってくることが望ましい。なぜなら、データベース検索結果の受信における遅延が、セキュリティシステムのユーザにそのシステムに依存する意欲を削ぐ可能性があるからである。
最近のコンピュータにおいてのこのようなシステムの実施に伴う基本的な問題は、世界で最もよく知られており、最も多く使用されている消費者用および会社用のオペレーティングシステムであるMicrosoft(登録商標)Windows(登録商標)が、恐ろしく不安定であり、規則的な間隔で所謂クラッシュが発生することである。Windows(登録商標)の現在のバージョンは以前のバージョンよりもはるかに信頼性が高い一方、それらは、検索結果を可能な限り早期に返すことを必要とするRAMに基づいたデータベース検索システムのために依存されることに必要な安定性は未だに有していない。Unix(登録商標)およびUnix(登録商標)のようなシステム(Irix(登録商標)、Linux(登録商標)、FreeBSD(登録商標))などの他のオペレーションシステムは、ほとんどの状況においてWindows(登録商標)よりも高い信頼性を提供している。しかし、検索結果を可能な限り早期に返すことが必要なRAMに基づいたデータベース検索システムにとっては、これも依存されるには未だに不十分である。
対極には、独自のオペレーティングシステムを備えた専用の専門データベースアーキテクチャがあり、同システムは、電話システムのユーザによりかけられた通話を追跡するために電気通信運営業者により使用されているものなどの最大クラス5の信頼性(99.999%)を提供している。このようなシステムは、幾分高価となる傾向があり、それらが絶対的に完全なやり取りの記録を確実にすることに集中しているため、それらは、現在検討されているシステムにおける使用のために必要な速度を提供しない場合がある。
理解されるように、採用されたデータベースアーキテクチャは、データベースのサイズ、データベースの所望の利用可能性、所望の検索速度、および、他の要因に関して、データベースの要件に基づくことが可能である。したがって、上記の検討にもかかわらず、(最大で例えば数百の)少数の署名のみが使用され、利用可能性が最重要ではない(すなわち、イベントやロケーションにアクセスを得るため、または、購入を完了するために、結果のために立って待ち続けるユーザとはならない)小型のシステムについては、データベース全体をRAMに保存して有し、かつ、Window(登録商標)またはUnix(登録商標)タイプのオペレーティングシステムを実行させる単一のコンピュータを使用する単純なシステムが十分であるとしてよい。
しかし、何千もの、または、何百万さえもの署名が高信頼性で保存され、迅速に検索される大型のシステムについては、図62に示されたものなどのアーキテクチャが採用されてよい。
図62はデータベースアーキテクチャ6101の概略を示している。このデータベースアーキテクチャ6101はストレージサーバのセット6103(6103a、6103b、6103c)を含み、これは、本実施例において、単一のアドレス可能な論理ドメイン内に所在している。ストレージサーバ6103は一緒に所在する必要はなく、異なったラック、部屋、建物、地域、および/または、国の間に分散されてもよい。本実施例において、ストレージサーバ6103は、それぞれがコンピュータシステムであり、これは、従来の感覚でのサーバである。すなわち、それらはサーバオペレーティングシステム、サーバクラスのプロセッサアーキテクチャ、予備電源、および、予備記憶装置の1つまたは複数を有してよい。これらのストレージサーバ6103は、それら同士の間で、RAIDに基づくシステムなどの予備記憶装置などの不揮発メモリ内にデータベース全体を保持している。いくつかの実施例において、各データベース記録(署名、関連サムネイル、および、いずれかのメタデータ)は、ストレージサーバ6103の2つ以上により保持される。一実施例において、データベースは5台のストレージサーバを含んでよく、各データベース記録はストレージサーバの2台または3台により保持されている。
上述のように、再走査中の潜在的に高いビットエラー率と組み合わせられた署名の高いエントロピー特性は、しらみつぶしの検索が1:多数適合を実行する唯一の方法であることを意味している。各ストレージサーバ6103は、いくつかの検索クライアント6105を伴っている。一実施例において、各ストレージサーバはそれに伴う2台から10台の検索クライアントを有する。検索クライアント6105はストレージサーバ領域内には含まれる必要がない。なぜなら、それらが、関連するストレージサーバ6103以外のいずれのコンピュータによっても個別にアドレス可能である必要がないからである。検索クライアント6105は専門サーバのハードウェアまたはソフトウェアに基づく必要がなく、事実、十分な速度で検索クエリを実行可能ないずれのコンピュータシステムともすることができる。いくつかの実施例において、検索サーバ6105は、(Intel Pentium(登録商標)、Intel Core(登録商標)、AMD Athlon64(登録商標)、AMD Sempron(登録商標)、AMD Turion(登録商標)、または、VIA C3(登録商標)などの)プロセッサ、大容量のRAM(例えば、1、2、4、または、それ以上のGB)、オペレーティングシステムおよびクエリ処理用ソフトウェアを保存するための少容量の不揮発性記憶装置、ならびに、これにストレージサーバと通信させることが可能なネットワークインターフェイスを備えた単純なコンピュータとすることができる。検索クライアント6105のための第一の要件は署名の比較を十分な速度で処理する能力である。
各検索クライアント6105は、ローカルRAM内に、関連するストレージサーバにより保持されているデータベース記録のサブセットを保存する。これらのローカルに保持された記録は、検索クエリが受信された時に検索される。より高い信頼性を提供するために、ストレージサーバにより保持された各記録は、関連する検索サーバの多数に送られてよい。各検索クライアントは、自身のデータベースサブセットを(ハードディスクドライブなどの)ローカル不揮発性記憶装置にも保存してよく、検索クライアントが、そのクライアントに対するソフトウェアクラッシュの後にオンラインで迅速に持ち込まれることを可能にする。ハードディスクドライブの故障を被っているクライアントの場合、データベース記録はストレージサーバから検索クライアントに再送信可能である。
図62に示されたデータベースアーキテクチャは、以下のように投入されることが可能である。データベース投入ユニット6109は、いくつかのストレージサーバ6103に新しい署名を供給する。データベース投入ユニット6109は、例えば、パケット、箱、または、段ボール箱などの物品のためか、または、身分証明または授権証書などの物品のためのいずれであっても何らかの形態の生産ライン用スキャナであってよい。図62に示されたように、各データベース投入ユニットはストレージサーバ6103のサブセットに新しい記録を送信する。1台のデータベース投入ユニット6109が使用されさえすれば、記録が送信されるストレージサーバ6103は、全てのストレージサーバまたはそれらの変更サブセットを含んでよい。代案として、レシピエントストレージサーバは、自身のためのコピーを保管してもしなくても、他のストレージサーバに記録を送ってよい。
データベースはデータベースクエリユニット6111からクエリを送ることにより検索されてもよい。本実施例において、各データベースクエリユニット6111は単一のストレージサーバ6103にクエリを送り、このサーバ6103からはそのクエリが全ての他のストレージサーバに分配される。ストレージサーバが単一の論理領域に所在する本実施例において、クエリは、事実、この領域に宛てて送られ、この領域では、このクエリがストレージサーバにより扱われる。続いて、各ストレージサーバはクエリを自身に関連した検索サーバに送る。したがって、2台以上のストレージサーバにわたる各データベース記録の複写により、および、2台以上の検索クライアントにわたる各ストレージサーバからの各記録の可能な複写により、各データベース記録が、事実、各クエリに応じて、少なくとも2台(またはそれ以上の可能性もある)の検索サーバにより検討されることが明らかである。この複写の努力はおそらく無駄であることに注意されたい。しかし、このように重複して検索することは、1台の検索クライアントが記録の「主要な」収納場所であり、その記録を保持する他の全ての検索クライアントがその記録の「二次的な」または「ホットスタンバイな」収納場所であり、かつ、主要な収納場所が利用可能か否かを検査するためであり、ならびに、二次的な収納場所にクエリを扱うことを指定するための主要な状況に依存しているシステムを実施するために必要な時間および管理努力を費やすよりも効率的であると現状では考えられる。
各記録がその記録内に署名のサムネイルを含んでいる実施例において、クエリはサムネイルおよび署名の双方を送ってよく、調整ストレージサーバはサムネイル検索結果に基づき記録の最終候補リストを作成する役割を果たし、かつ、最終候補リストの入力の目標を定めた検索を行なう。他の実施例において、クエリは、サムネイルのみを含んでよく、完全な署名は最終候補リストのみに対する検索のために送られ、最終候補リストは、データベースクエリユニットにおいて受信される。さらなる実施例において、サムネイル適合が見出された場合、検索クライアントは即座に完全署名の比較を実行してよい。したがって、本当は編集された「最終候補リスト」は実際には決して存在しないが、行なわれる処理は、あたかも同リストがあったかのような同じ効果をもたらす。他の実施例において、クエリは署名のみを含んでよく、検索サーバは検索のためのサムネイルを作成するタスクを課せられてよい。この実施例において、サムネイルが記憶装置の外および検索環境では決して使用されない場合、サムネイル生成アルゴリズムは、署名生成装置とは独立に選択可能である。したがって、単純なサブセットサムネイルを使用する双方のシステム、および、署名生成装置への何らの修正もないフーリエ変換サムネイルを使用するシステムとは、共通の署名生成装置が使用可能である。
サムネイル検索が使用される場合、考えられるヒットの最終候補リストが完了されれば、データベースが索引を有さなくてもよいため、最終候補リストは、その後の完全署名の検索を高速化するために、各潜在的適合を見出した検索クライアントの身分証明を含むことが可能である。いくつかの実施例において、データベースは、事実、各記録に伴うメタデータに基づく索引を含んでよい、かつ/または、各記録に対して一意の記録番号を割り当ててもよい。メタデータは物品の作成データ、(旅券、IDカード、または、銀行カードの番号などの)物品のシリアル番号、(煙草の箱などの製造された品目のためのものなどの)物品のためのロット番号、(例えば、旅券、IDカード、または、銀行カードのためのものなどの)物品の所有者の識別子、(多数の物品タイプの記録をデータベースが含んでいる場合)物品のタイプ、などを含んでよい。このような索引が付けられたデータは、完全署名の走査が最終候補リストにおいて識別される特定の記録に目標を定めることが可能となるように、最終候補リストに提示されている記録を識別するために使用可能である。
いくつかの実施例において、(詐欺師がデータベースに偽の物品に対する署名を投入することを防止するために)データベース内の署名の信憑性を保証することは望ましいとしてよい。これを容易にするために、各物品署名は、物品署名の作成の時点でデジタル署名を使用して署名されてもよい。したがって、物品の署名を作成するために使用されるシステムは、セキュリティ署名モジュール、例えば、従来のコンピュータ接続可能ポートを有する物品署名生成システムの場合に署名ドングルを有することができる。
いくつかの実施例において、物品署名の署名作成が非対称の公開キーと秘密キーの対の秘密キーを使用して実行されることを確実にすることは望ましいとしてよい。これにより、対応する公開キーは、非対称キーの対の署名作成の全ての長所の便益を伴って、物品署名の信憑性を検証するための物品署名のデジタル署名を検査するために、データベースにおいて使用可能である。
いくつかの実施例において、物品署名をデジタルで署名作成するために使用されるキーまたは証明書が署名生成装置に対してローカルに保存されていることを確実にすることが望ましいとしてよい。これは、例えば、署名生成処理のために使用されるコンピュータ内に、または、レーザスキャナ装置内に固定されて設置されたトークン上に署名を含めることにより、署名を保存することを含むことができる。それにより、詐欺師が偽の品目の署名をデータベースに投入する唯一の方法は、本物の署名生成装置を盗むこととなる。
いくつかの実施例において、使用中の公開キーが本物のキーであり、かつ、詐欺師によりデータベースに挿入されたキーではないことを確実にするために、データベースに保持されている公開キーはそれ自体が、一人または複数の信頼のおける第三者により署名される必要があってよい。これにより、詐欺師は、詐欺師の署名生成装置の秘密キーに対応する公開キーを挿入するためにデータベースシステムに不正アクセスができず、または、そのような公開キーをデータベースに挿入するように人間のデータベース管理者に対して不正な方法で圧力をかけることもできない。一実施例において、離れた署名生成装置から受信された署名の信憑性の検証においてデータベース内での使用のための公開キーは3人または4人の独立した信頼できる第三者により独立に認証される必要があるとしてよい。このような第三者は信頼できる証明当局を含めてよい。
いくつかの実施例において、物品署名は、データベースへの伝送のための作成の時点で、暗号化によりさらに保護可能である。続いて、物品署名は、暗号化されて保存されてもよいか、または、保存のために復号化されてもよい。この暗号化は、物品署名のための対称暗号化アルゴリズムキーを作成するか、または、ワンタイムパッドに基づくシステムによる形態を取ることができる。
いくつかの実施例において、データベースの状況において最大のセキュリティおよび信頼を提供するためには、手作業による監査処理が実施されてよい。このような処理のもとで、署名生成装置が存在し、かつ、損なわれていない(すなわち、改造されていず、位置合わせに誤りがなく、または、損傷を受けていない)ことを確実にするために(例えば、物品が生産され、続いて、走査される生産ラインにおける)署名生成装置を独立した監査人が臨検してもよい。これにより、署名生成装置により作成され、かつ、データベースに投入するために使用された全ての署名が、事実、本物の物品の本物の署名であることが決定可能となる。
図63は、投入エンジン、ストレージエンジン、および、検索エンジンを含む完全なデータベースシステムの他の実施例を示している。この図はデータセキュリティ方式がデータベースに保存されたデータを保護するためにどのようにして実施され得るのかも示している。
図63において、図62の構成部分に相当する構成部分は同じ番号でマーク付けされている。工場または他の生産施設において、いくつかのデータベース投入ユニット6109が存在している。本実施例において、それらは、スキャナユニットにより取り込まれたデータから署名生成を実行するコンピュータに接続されたスキャナユニットとして示されている。スキャナおよびコンピュータはいずれの適切なインターフェイスによっても連結可能であり、それらは、(pci、pci−X、または、pci−Eを含めた)pciに準拠した標準規格、USB、または、IEEE1394を含めてよいが、他の接続性の標準規格も使用可能である。
各データベース投入ユニット6109は、ストレージ・検索ユニットのセットに連結されている。この接続はインターネットなどのネットワーク接続であってよい。各ストレージ・検索ユニットはストレージサーバ6103、および、上記図62を参照して検討されたように動作可能であるいくつかの検索クライアント6105を含んでいる。ストレージ・検索ユニットは、インターネットなどのネットワーク接続により個々のストレージ・検索ユニットと接続可能である。
上記に検討されたように、各ストレージサーバホストは、SQL Serverなどの標準的なデータベースアプリケーションである。本実施例のストレージサーバは全ての他の構成部分に対する通信ハブとして機能し、ならびに、記録走査の長期保存を提供している。
同様にストレージ・検索ユニットに接続されているのは、データベースクエリユニット6111である。本実施例において、各データベースクエリユニットは、PCまたはPDAであってよい関連したフィールドスキャナコンピュータを備えたフィールドスキャナを含んでいる。これらのデータベースクエリユニットは、データベース構造に記録された品目のタイプに相当する可能性があるいずれの特定の品目の信憑性も質問するために検査担当者により使用されてよい。確保された物体が金融商品または支払い/ロイヤルティカードを含む場合、これらのデータベースクエリユニットは販売時点管理スキャナであってもよい。データベースクエリユニットは、例えば、倉庫の在庫または出荷用の予備が信憑性について検査されている場合、ブランド保護担当官により使用される移動ユニットを代わりに、または、加えて含んでもよい。
これらのデータベースクエリユニット6111は、ストレージサーバへの断続的な接続を有してもよい。例えば、ブランド保護担当官は貨物の出荷からの大量の品目を走査するために携帯スキャナを使用してもよく、かつ、データベース内の規則署名との比較のためにテスト署名をアップロードするために、後にその携帯スキャナユニットをネットワークに接続してもよい。これは、実践的な観点から有用であるとしてよい。なぜなら、走査結果を待つ遅延がない一方、走査結果として検査を行なうことが後に見出されることのみを意図されているからである。これは、実用主義の観点からも有用であるとしてよい。なぜなら、ブランド保護担当官が検査の実行の時点で製品が本物であるか否かを言明できない場合に、偽の品目を扱っている人物による担当官に対する個人攻撃の危険性大幅に低減されるからである。
上記に概略が述べられたこれらの様々なグループの構成部分は、全てがインターネットなどの公開または公的なネットワークであってよい1つまたは複数のネットワークを介して通信する。データ記録およびシステム構成部分を保護するために、暗号によるデータ転送システムが実施されてよい。本実施例において、これは、PKI(公開キーインフラストラクチャ)を使用して実行される。本実施例において、各装置が知られており、そのため、サーバ認証証明およびクライアント認証証明の双方が全てのトランザクションおよびデータ転送のために使用されるようにシステムへは匿名のログインが存在しない。サーバ認証証明は、サーバを自身のクライアントに認証し、かつ、トランザクションを暗号化するためのセッションキーの交換を可能にする。クライアント認証証明はクライアントをサーバに認証する。
これらのソフトウェア認証証明に加えて、データベース投入ユニット6109における各登録スキャナは、登録スキャナPCがストレージ・検索ユニットにアップロードする前に記録走査の各グループにデジタルで署名するために使用可能な物理的署名トークンを含むことができる。
様々なタイプの認証証明およびキー、ならびに、システム要素間でのそれらの配分が図63に示されている。
デジタル認証証明は、ルート認証当局(CA)6303により生成される。ルートCAは、認証システム実施者または管理者の私的なCAであってよく、他の無関係のシステムおよびソフトウェアにも認証証明を発行する商業的なCAであってもよい。本システムに追加の保護を提供するために、ルートCAプロキシサーバ6301および両者を連結する安全チャンネル6302を使用することにより、公開ネットワークからルートCAを保護することが可能である。安全チャンネルは、書き込み可能光媒体またはソリッドステートストレージ媒体などの可搬の物理的媒体を使用してルートCA 6301とルートCAプロキシサーバ6301が実行される確保済みのネットワークリンク、並列もしくは直列の回線などの専用接続、または、非接続リンクであってもよい。
本実施例において、本実施例の認証システムの目的が、フィールドスキャナのユーザに、品目が本物か否かを知らせることであるが、それらのスキャナまたはPCがユーザには知られずに改造されていることがある可能性のあることが考えられるため、フィールドスキャナのユーザは信頼されていることが仮定されている。
全てのクライアント用装置(データベース投入ユニット、データベースクエリユニット、および、検索クライアント)は、クライアント認証証明を使用してストレージサーバに自身を付加的に認証する。認証証明要求は直接クライアント装置上で生成され、そのため、秘密キーをエクスポートする必要は全くない。サーバのオペレーティングシステムは、接続が行われてウェブサービスが消費される前にクライアント認証証明を必要とするように構成可能である。しかし、認証済みのルートCAにより正しく署名されたいずれのクライアント認証証明もウェブサービスにアクセスすることを許可される。
特別なレベルの保護は、ストレージサーバ上で実行されているウェブアプリケーション内のクライアント認証証明のためのサーバ側の方針を定めることにより、本実施例のシステムにおいて実施可能である。ウェブサービスが要求されるや否や、ウェブアプリケーションはクライアント認証証明の氏名を検査し、これを正当なクライアントの保存と比較する。そのため、ルートCAの妥協は、サーバへの不正なクライアントのアクセスを許容するほど十分ではない。偽の署名が為された認証証明の氏名を認識済みクライアントのストレージサーバでのリストに入力することも必要である。
Windows(登録商標)などのオペレーティングシステムから秘密キーを抽出するための(複雑ではあるが)方法が存在することを理解されよう。たとえ攻撃者がクライアント側の秘密キーを得たとしても、目的達成にかかわる脅威は存在しない。クライアント側の認証証明は、主に、ネットワークの一部であるサーバの装置への通信量を制限するため、および、システムの運営者または管理者が自身の商業上の方針を施行するのに役立たせるためのものである。
データベースが、各テーブルを所有し、妥協する可能のある管理者を最終的に有さねばならず、偽のデータがストレージサーバデータベースに挿入されることが許されてしまうことを理解されたい。この脅威から保護するために、登録走査は、物理的署名トークンを使用して登録スキャナPCにより工場においてデジタルで署名される。したがって、各物理的署名トークン(登録スキャナ当り1個のトークン)のための公開キー認証証明は、ストレージサーバのデータベースに保存される前にルートCAにより署名される。検索が完了されると、ストレージサーバは、保存された走査上のデジタル署名が正しいこと、および、それがルートCAまで戻る署名の連鎖を有することを検査する。偽の記録は、この時点で、不正に署名されたと識別される。
したがって、本実施例において、登録走査に適用される物理的署名トークンは、生産ラインに物理的に連動されていなければならない。このシステムにおいて、物品の信憑性は、既知の生産ラインから由来する物品として定義されている。したがって、物理的署名トークンは登録スキャナの内部に埋め込まれ、かつ、エポキシ樹脂などで確実に装着されている。登録スキャナPCからの(USBまたは他の直列もしくは並列の回線などの)直接接続は、登録スキャナの内部の物理的署名トークンを評価する。
したがって、物理的署名トークンを盗もうとする攻撃者は、登録スキャナヘッド全体を取得せねばならず、これは非常に目に見える出来事である。これが実際に起きた場合は、システムのセキュリティを保証するために、2つの行動を取ることが可能である。第一に、その登録スキャナPCのクライアント認証証明が全てのストレージサーバ上で無効にされ、それにより、盗まれた登録スキャナに装着されている登録スキャナPCがストレージサーバと通信することを防止する。第二に、物理的署名トークンの公開キー認証証明が盗難の発見の時点以降、無効にされ、それにより、盗まれた登録スキャナから取られた走査に対して行なわれたいずれの適合も検証されることを防止する。
本実施例のシステムの設計は、全ての脆弱性を2つの点、登録スキャナおよびルートCAに強いるようにしたものである。
登録スキャナは価値ある資産であると考えられる。これは、保存された走査に関して信憑性を最終的に与える登録スキャナ内に埋め込まれた物理的署名トークンである。したがって、考えられる攻撃は、気付かれない方法で登録スキャナ全体およびラインPCを盗み出し、偽者を製造している生産ラインにそれらを設置することである。全てでないにしても、ほとんどのこのような攻撃は、取り込み詐欺師または生産現場で職員を何とかだまそうとする他の詐欺師を利用するに基づく。このような訳で、現在、技術的な観点から、システムのこの特定部分はシステムを保護するために必要であるのと同等に安全であると確信されている。
ルートCAは、上述のようにネットワークからネットワーク媒介の攻撃(特に、キー抽出攻撃)を完全に除去することにより、これから保護可能である。認証証明を生成するための全ての要求はルートCAプロキシサーバ6301にアップロード可能であり、物理的なメモリデバイスが、署名のために要求をルートCAに物理的に転送するために使用される。要求がルートCAに一旦与えられれば、装置の管理者がそれを認証した場合にのみ、要求は処理される。したがって、管理者は重要な信頼のおける当事者となる。もしこの人物が妥協すれば、2つの結果がもたらされる。すなわち、全てではないにしても、ほとんどのこのような攻撃が当局の位置にある人物の妥協に基づくものとなる。そのため、技術的観点からは、システムのこの特定部分は、システムを保護するために必要であるのと同等に安全であると現在は確信されている。
これまで、物品署名を保存し、検索するためのデータベースシステムがどのようにして実施されるかの様々な実施例が説明された。
上述の様々なシステムなどの信憑性検証システムは多くの実用例を有し、その中には、詐欺の防止および品目の追跡可能性のための品目のセキュリティシステムおよび信頼性に関する選抜がある。
eコマースシステムおよび同様のシステムにおいては、価値、商品、または、サービスへの権限付与を示す文書または権限付与トークンが、その価値、商品、または、サービスへのアクセス点から離れた時点および/場所で発行可能となっている。このようなシステムの問題のない運営における詐欺および他の妨害に対してセキュリティを提供するために、その文書または権限付与トークンは、権限付与の請求者が実際にそのように権限付与されることを保証するために、独立に検証可能となっている。
このセキュリティの提供を達成するための適したシステムが以下の実施例において説明され、セキュリティの提供が適用可能な様々な実世界の実用例を参照する。
一実施例は、ある人物がイベントへの参加または旅行のための切符を購入するためにオンライン買物施設を利用する。この実施例において、このユーザには彼のアクセス端末にその切符の画像が提供可能である。ユーザは、イベントへの参加または旅行のための利用のためのアクセス端末に連動したプリンタを使用して切符を印刷することができる。続いて、ユーザは、切符を識別するための署名を作成するために切符を走査させて、その署名は、切符を検証するために切符の発行者に返送される。署名は印刷された切符の固有の特性に基づくことが可能であり、これは、切符の光学複写によって、または、切符のさらなる印刷物を印刷することによっては複写が不可能である。切符の発行者は、この切符を検証済み切符署名の署名データベースに保存することができる。イベントまたは旅行への参加を得るためにユーザが切符を提示すると、切符は、切符を識別するための署名を作成するために走査可能となる。続いて、この新しい署名は、提示された切符が検証されているか否かを決定するためにデータベースにおける署名と比較可能となる。未検証の切符が提示されている場合、イベントまたは旅行への参加は差し控えることが可能である。
この処理は図64に示されている。図64に示されたように、eコマース環境6201はプロバイダ6203を含み、これは、(スポーツの試合もしくは音楽会などの)イベントへの参加または(例えば、列車による)旅行のための切符を発行する権限を有する。インターネットなどのネットワーク6206を介してプロバイダ6203と通信することにより、ユーザ端末6208におけるユーザは、プロバイダ6203から切符を購入することができる。この購入の機構は、遠隔地のユーザが買物または注文用のポータルを介して商品またはサービスを購入することを可能にするためのいずれの従来のシステムとすることもできる。このようなオンライン遠隔注文システムは、多くの事業者、慈善団体、および、政府により利用されている。切符の購入の処理は、例えば、ユーザが購入のために選択できる1つまたは複数の切符をユーザが閲覧するオンライン買物かごシステムを使用して実行可能である。イベントの切符の状況においては、切符の異なったものが異なったイベントへの参加、または、イベントでの異なった観覧位置の利用を提供してよい。旅行の切符の状況では、使用経路および旅行の品質/等級によっては、特定の旅程に異なった切符が提供されてよい。
切符の購入に応じて、プロバイダ6203は、端末に連動されたプリンタ6209上への出力のために、ユーザ端末6208に切符の画像データファイルを送信する。切符は(所定の印刷位置に特定の切符情報を有するように再構成された用紙またはカードなどの)特別な切符印刷用紙上に印刷されてよいか、または、普通の用紙などの従来の印刷用紙であってもよい。続いて、印刷された切符は、印刷された切符の固有の特性に基づく署名を作成するためにスキャナ6210により走査される。スキャナ6210は、図1から60のいずれかを参照して上述されたスキャナとすることができる。一実施例において、スキャナ6210は上記の図34および35を参照して説明されたようにプリンタ6209と一体化されている。そのため、本実施例では、署名が印刷され、顕微鏡レベルで測定される用紙の物理的表面に、署名が基づいている。そのため、この署名は、その印刷された切符に一意のものであり、この切符の他の印刷されたものは、同じ方法で走査された場合に異なった署名を有する。
署名はユーザ端末6208から、署名が署名データベース6204に保存されるプロバイダ6203に送られる。これにより、印刷された切符は検証されて、プロバイダにより有効な切符として認識可能となる。
切符が発行されたイベントにユーザが出席するか、または、旅行のための切符を使用すると、彼は請求場所6211で印刷された切符を提示することができる。請求場所は、サービスプロバイダと共同で所在することができるか、または、そこから離れていてもよい。例えば、1つのサービスプロバイダは、いくつかのイベントへの切符を販売してよく、そのイベントのそれぞれは異なった場所で行なわれてよい。代案として、旅行の切符の場合、1つのプロバイダはいくつかの異なった場所への、または、それらからの旅行のための切符を発行してよい。印刷された切符を請求場所6211で提示すると、印刷された切符は、提示された印刷済み切符のための署名を作成するためにスキャナ6212を使用して走査可能となる。この署名は、同じ方法で、かつ、スキャナ6210を使用して作成された署名と同じ切符の特性を使用して生成される。続いて、新しい署名は署名データベース6204に保存されている署名と比較される。新しい署名が保存署名の1つと適合した場合、これは、印刷された切符が上述のように検証された場合となり、成功の認証結果が返信される。続いて、ユーザは、印刷された切符が権限付与を提供するイベントまたは旅行へ参加が提供可能となる。
印刷された切符が、切符の画像の単一の印刷された実例に対して認証されているため、切符の画像のさらなる印刷物は検証テストに失敗する。なぜなら、それらは、検証された印刷切符の用紙の固有の特性とは異なった固有の特性を有する用紙上に印刷されたからである。これにより、支払いをしないイベントへの参加または旅行を得るための余分の切符を作成するためのユーザの側での詐欺は防止可能となる。
これまで、権限付与トークンの購入者にとって便利な場所において切符が生成されること、および、価値、商品、または、サービスを利用するために権限付与トークンが提示された際に権限付与トークンの発行者が後の認証のためにトークンを検証できることを可能にするためのシステムの実施例が説明された。これにより、権限付与トークンの不正な再作成または再使用は、購入者を、トークンを得るために不便な場所に出かけていかせる必要なく防止可能となる。
遠隔購入システムの他の実施例は、ユーザが航空機旅行のための切符を購入することを可能にする。よく知られているように、航空機旅行業界は、典型的に2段階発券処理を利用している。この処理の第1の段階は、ユーザに特定の旅程で航空機を利用する権限を付与する実際の切符である。第2の段階は、その旅行者が旅程のために「チェックイン」する際に(しばしば切符と交換で)旅行者に典型的に提供される搭乗券である。いくつかの発券当局および航空会社は、現在、所謂「eチケット」を発券している。これは、典型的には電子メールを介して切符の購入者に転送されるデータファイルから構成されている。そして購入者は、空港での「チェックイン」用として提示するためにそのチケットを印刷することができる。いくつかの事例において、eチケットから参照番号のみが、「チェックイン」に必要とされ、物理的な印刷物は、単に参照番号のための便利なキャリヤ媒体を代表しているだけである。
同様に、いくつかの航空会社および空港では、現在、遠隔チェックインも許可している。これらの状況において、切符の保持者は、空港への到着前に、通常はインターネットポータルを使用してチェックインすることができる。これにより、空港でチェックインの列に並ぶことは回避可能となる。このような場合、切符は物理的な「紙」の切符であってもeチケットであってもよい。この方式において、切符の保持者は、インターネットチェックインポータルにアクセスするために使用されたコンピュータ端末に連動したプリンタを使用して、搭乗券を印刷する。切符の保持者が空港に到着すると、自分で印刷した搭乗券に加えて切符の保持者の切符または参照番号を提示するようこの保持者に要求することにより、物理的なセキュリティ検査が実行可能である。しかし、検査は、旅客が航空機の搭乗ゲートに到着するまで行なわれないことが多い。そのため、不正に作成された搭乗券の保持者は、出発する旅行者のみのために確保された空港の領域を利用することが可能になりうる。このことは、例えば販売税または付加価値税が適用されない買物施設などの利用も含んでよく、このような搭乗券の携行者が脱税を犯すことを可能にする。
そのため、本実施例においては、ユーザが遠隔チェックインポータルを利用可能であり、かつ、(発券段階を効果的に省いて、例えば、銀行口座またはクレジットカード口座からの送金による)価値、または、搭乗券に対する権限付与(例えば、切符参照番号)を交換することができる。遠隔チェックインポータルがアクセスされたコンピュータ端末における見込み旅行者と、遠隔オンライン事業用サーバにおける発券/チェックイン当局との間で必要な購入または交換の処理が一旦完了すれば、発券/チェックイン当局は、コンピュータ端末に搭乗券の画像またはデータテンプレートを電子的に送信することができる。これは、例えば、http、shttp、https、もしくは、ftpなどの直接データ転送として、または、電子メールなどによる間接的なデータ転送により行なうことが可能である。搭乗券の画像が見込み旅行者により一旦受信されれば、旅行者は旅行での使用のためにその搭乗券を印刷することができる。
本実施例において、印刷された搭乗券は、その署名を決定するために走査される。この走査は、例えば、上記の図34または35を参照して検討された装置などを使用して印刷処理の一部として、または、別個のスキャナを使用して印刷処理の後に実行可能である。署名は、発券/チェックイン当局、または、発券/チェックイン当局が印刷された搭乗券を検証するために利用を希望するいずれか他の証明当局にアップロード可能である。
その後、見込み旅行者の旅程が開始される空港にこの旅行者が到着すると、彼は、飛行、および、任意で、旅行者のみに対して利用のために確保された1つまたは複数の領域を利用するために彼の搭乗券を提示するよう要求され得る。搭乗券を提示すると、それは新しい署名を作成するために走査可能となる。この新しい署名は、検証用署名が保存されている証明当局に提出可能となる。証明当局は、提示された搭乗券が印刷されたオリジナルの搭乗券であるか否かを決定するために、特に図41を参照して上述の技術の1つまたは複数を使用して、新しい署名をデータベースに比較可能である。肯定的な認証結果は見込み旅行者が航空機の利用を許諾されなければならないことを示すことが可能である。否定的な認証結果は見込み旅行者が航空機の利用を許諾されてはならないことを示すことが可能であり、かつ、任意で、法令施行当局などにセキュリティ警戒線を介して未遂の不正な旅客に対処するために連絡が可能である。
これまで、機密情報に遠隔アクセスが提供される取引システム、もしくは、注文システムに対して、または、権限付与トークンの追跡もしくは認証のために、さらなるセキュリティおよび/または信頼を提供するための物品の固有の特性に基づくその物品のための署名を使用することができるシステムのいくつかの実施例が説明された。
上記の実施例は権限付与トークンを紙に印刷する状況において説明されたが、トークンは、ボール紙、プラスチック、または、金属など、代わりの基板上に印刷することができる。代案としてトークンは、銀行カードおよびクレジットカードのために一般に使用されるプラスチックカードなどのプラスチックカードの磁気帯状部または埋め込みチップにトークンデータを書き込む形で、「印刷」可能である。これは、上記に図47を参照して検討されたものなどのスキャナを使用して実行可能であり、このスキャナは、書き込みおよび走査が同じデバイスにおいて同時に実行可能であるように、任意で書き込みヘッドが追加されて装備可能である。このプラスチックカードは、任意で、その権限付与の検証のための署名を作成するために少なくとも磁気帯状部または埋め込みチップを含む表面部分を含めて、走査可能である。このように、1つの物理的なカードは2個以上の権限付与トークンを保持することができる。このカードはその権限を償還するために提示されると再走査可能であり、この再走査で作成された署名は、権限が請求されたカードは権限付与が本来書き込まれていたカードと同じカードであったことを検証するために使用可能である。権限付与のデータベースは、データベースがいずれの特定の時刻でもカード上で有効である権限の記録を有することができるように、権限がカードに追加またはカードから利用されるごとに更新可能である。
走査された検証署名は権限付与トークン上に、例えば上記図48から50を参照して検討されたバーコードを使用してエンコーディングされてもよい。
これまで、機密情報に遠隔アクセスが提供される取引システム、もしくは、注文システムに対して、または、権限付与トークンの追跡もしくは認証のために、さらなるセキュリティおよび/または信頼を提供するための物品の固有の特性に基づくその物品のための署名を使用することができるシステムのいくつかの実施例が説明された。
切符、搭乗券などの意味における権限付与トークンの上記の実施例に続けて、権限付与トークンの他の形態のためのシステムが図65および66を参照して説明される。
多くの保健システムにおいて、患者が、自身の病気を治療するために必要な様々な医薬品のための処方箋を得るために医師を訪れることは一般的なことである。しばしば、処方箋は、患者に関する情報(例えば、氏名、住所、現在あるアレルギなど)、および、計量配分される医薬品に関する情報(例えば、医薬品/薬剤のタイプ、投与量、投与方法など)を加えて、医師により処方が与えられ、検証の目的のために医師により署名も為された紙の文書の形態を取っている。
医師による診断およびその後の処方作成に続き有効な処方箋を得たら、患者は、処方箋を1つまたは複数の処方された医薬品と交換するために、処方箋を医師の診察室から薬局または他の調剤室に持って行くことを要求され得る。このような薬局は医師の診察室から離れた場所に所在することがあり、そのため、処方箋の提示が処方箋が作成されてからかなりの時間の後に行なわれることを意味してよい。作成と提示との間に、管理された医薬品を不正に入手するために処方箋が改ざんまたはすり換えられる可能性がある。これは、特に詐欺師が本物の処方箋用紙に接触できる場合に、修正または偽造がかなり容易である紙に基づく処方箋にとっては特別な問題である。
図65は、処方箋6302などの薬剤権限付与トークンの信憑性を検証するためのシステム6300を示している。システム6300は、ネットワーク6304を介してまとめて動作可能に接続されたトークンプロバイダ端末6306、システムサーバ6320、および、検証端末6330を含んでいる。ネットワーク6304は、1つまたは複数の所望の伝送プロトコル(例えば、インターネット(ICP/IP)、ショートメッセージサービス(SMS)伝言、国際標準ダイヤルネットワーク(ISDN)など)により動作する、例えば、一般大衆に利用可能な専用の固定または移動の電話サービス、民間電気通信リンクなどに基づくことができる。ネットワーク104は、動作中には、そのネットワーク104が動作可能に結合されているデバイス同士の間における1つまたは複数の通信チャンネルを提供する。
トークンプロバイダ端末6306は、例えば医師の診察室などの第1の場所に設けられている。このトークンプロバイダ端末6306は、トークンプロバイダ端末6306のユーザが処方箋6302を処方することを可能にするユーザインターフェイス6340を提供するように動作可能であるプロセッサ6308を含んでいる。ユーザインターフェイス6340は、表示デバイス6342上でユーザに(図示されていない)処方箋テンプレートを提示する。キーボード6344およびマウス6346などの入力デバイスを使用して、ユーザは表示デバイス6342上に提示された処方箋テンプレートに記入することができる。例えば、医師は、テンプレートを完全に記入するために、患者の氏名、年齢、および、住所などの患者に関連したデータならびに、薬剤に関連したデータとして、医薬品のタイプ、数量、および、投与方法などを追加することができる。
一旦処方箋テンプレートが記入されれば、プロセッサ6308は処方箋6302を作成するために必要なデータをフォーマットするように動作可能となる。フォーマットされたデータは、印刷された患者および薬剤に関連したデータのために利用可能なスペースを有する(例えば、診察室の詳細、医師の氏名、処方箋識別番号などが可能に印刷された)事前に印刷された処方箋用紙を完成させるために使用されてよい。フォーマットされたデータは印刷デバイス6322にプロセッサ6308によりスプールされ、この場合、データは処方箋6302を作成するために紙または事前印刷された処方箋用紙に印刷される。
この実施例において、印刷デバイス6322はリーダ装置6310も含んでいる。図34および35はこのような印刷デバイス6322の構成をさらに詳細に示している。リーダ装置6310は、処方箋文書のための署名を作成するために、上記に詳細に説明されたものなどの照射およびデータ収集システムを使用するように動作可能である。
プロセッサ6308は取得されたデータから第1の署名を生成するように動作可能である。これを行なうための処理は図66とともに以下により詳細に説明される。
一旦第1の署名が作成されれば、プロセッサ6308はこの署名をネットワーク6304を介してサーバシステム6302に送信可能となる。システム633300により生成された署名が処方箋6302を形成する基板(例えば、紙)の固有の物理的特性に依存し、かつ、処方箋6302に書き込まれたいずれかの情報に必ずしも依存しないため、ネットワーク6304を介して送信されるデータは機密に関して中立である。すなわち、署名データ単独では、患者または計量配分される薬剤に関する情報を明らかにはしない。
任意で、トークンプロバイダ端末6306は、処方箋6302に関連した追加の情報をネットワーク6304を介してサーバシステム6320に提供するように動作可能とすることができる。例えば、ユーザインターフェイス6340で入力された情報は署名を伴って、例えば暗号化された形で送信可能である。このような情報は患者に関して匿名であってよい。例えば、医薬品のタイプ、投与量、処方箋の作成日時、処方箋有効期限、場所、患者の年齢、番号、既存の医学的条件など。この情報は、例えば、疫学的な研究での使用のための特定のタイプの医薬品の地理的な計量配分のパターンを研究するためなどの有用な医学的統計を導出するためにシステムサーバ6320または他のどこかで匿名で使用されてよい。他の実施例において、患者が(例えば、患者番号の割り当てにより)直接または間接に識別可能である場合、システムサーバ6320は、いずれの医学的配合禁忌についても処方箋を検査し、かつ、もし発生すれば、トークンプロバイダ端末6306に警告を発行するように自動的に使用可能となる。
他の任意の動作モードにおいて、トークンプロバイダ端末6306は識別トークンに基づく保持者識別署名を生成するように動作可能である。保持者識別署名はリーダ装置6310を使用して、または、第1の場所に設けられた他のリーダデバイスにより生成されてよい。保持者識別署名は、ネットワーク6304を介してサーバシステム6320に送信可能である。
保持者識別署名が、この場合は処方箋6302が作成された患者とすることができる保持者に一意であるトークンから生成されることが考えられる。このような保持者トークンは、例えば、旅券、身分証明(ID)カード、医療保険カードなどを含めてよい。これらは、処方箋が作成された第1の場所で医師により走査可能であり、処方箋6302が提示された時に再び走査可能であり、そのため、やはり機密に関して中立な方法で1対の署名を使用して患者/保持者トークンを処方箋に連結している。このモードは特別なレベルのセキュリティを提供する。なぜなら、このモードが、医薬品の計量配分などの何らかの便益を得るために、オリジナルの保持者トークンが処方箋6302とともに提示されるという要件を課すことができるからである。
処方箋を与えられるために、医師に識別の書式を提示するように患者が要求されてよい任意の動作モードにおいて、識別が必要であるという単なる事実が、それ自身において、詐欺を阻止するために十分であってよい。なぜなら、処方箋を受け取るために訪れた誰もが、走査のために薬局で彼自身の身分証明書を提示するよう強制され得るからである。提示された身分証明書が処方箋と適合することに失敗した場合、保持者は、彼の身分証明書が本物である場合に既に彼を識別させているか、または、偽の身分証明書を提示したかのいずれかとなる。これらの場合は記録可能である。身分証明書が写真付身分証明書である場合、システムのこのようなモードは阻止要素として特に有効である。さらに、身分証明書は必ずしもスペックル解析を使用して識別される必要がない(すなわち、処方箋を識別する方法と身分証明書を識別する方法とは同じ技術である必要がない)。例えば、身分証明書は単純なバーコードリーダを使用して検査可能である。
システムサーバ6320は、1つまたは複数のトークンプロバイダ端末6306からネットワーク6304を介して送信された複数の署名を保存するように動作可能である。システムサーバ6320は署名を保存および管理するためのデータベース6324を含んでいる。この実施例のデータベース6324は、例えば、上記図62および63を参照して説明されたものなどのデータベースか、または、データの高められた完全性のためにOracle(登録商標)データベースソフトウェアおよび独立ディスクの冗長アレイ(RAID)記憶デバイスにより提供されるデータベースであってよい。サーバシステム6302は、ネットワーク6304を介して受信されたさらなる情報または保持者識別署名を保存および比較するように動作可能であってよい。
検証端末6330は第1の場所から離れた第2の場所でネットワーク6304に動作可能に結合されている。検証端末6330は、コヒーレント放射で提示された処方箋を照射することにより生成されたスペックルパターンに基づく提示された薬剤権限付与トークンから第2の署名を生成することにより第2の場所で提示された処方箋の信憑性を検証するように動作可能でもある。署名は、図7、8、9、17、18、19、20、23、26、27、28、30、31、46、47、53、または、54を参照して上記に検討されたタイプのリーダ装置6334を使用して、提示された処方箋を走査することにより得られたデータから生成されるが、他のタイプのリーダ装置も代わりに使用されてよい。
検証端末6330は、検証プロセッサ6332を含んでいる。検証プロセッサ6332は1つまたは複数のスペックルパターンの点サンプルとして得られたデータ点のセットとしてリーダ装置6334からデータを取得する。一旦十分なデータが取得されれば、検証プロセッサ6332は取得されたデータから第2の署名を生成するように動作可能である。任意で、検証端末6332は、処方箋6302を提示している人物の身元を検証するために、第2の署名に加えて、保持者トークンから保持者識別署名を生成するために使用されてもよい。この署名を生成する処理はより詳細に上述されている。
第2の署名、および、任意で保持者識別署名は、検証端末6330によりネットワーク6304を介してシステムサーバ6320に送信される。システムサーバ6320は送信された第2の署名をデータベース6324に保存されている署名と比較するように動作可能である。第2の署名とデータベース6324に保存されている署名との間に適合がない場合、処方箋6302が認証されていないことが想定される。適合がある場合、処方箋6302は本物であると想定される。
保持者識別署名も送信された場合、システムサーバ6320は保持者識別署名をデータベース6324に保存された保持者識別署名と比較するように動作可能である。保持者識別署名とデータベース内の署名との間に適合がない場合、処方箋の保持者は処方箋6302に対して権限付与されていないと想定される。適合がある場合、保持者は処方箋6302を使用する権限付与がされていると想定されてよい。但し、恐らくは、第2の場所でのオペレータによるか、または、データベース6324内に保持されている処方箋または患者の情報と提示された処方箋または保持者の身分証明書に関する情報とを相互検査することによる保持者トークンの目視検査が条件となる。
署名がデータベース6324に保存されたものと適合するか否かを決定するために署名を適合する処理は、図64に関して以下に詳細に説明される。
システムサーバ6320は応答メッセージを生成するように、かつ、これをネットワーク6304を介して検証端末6330に送信するように動作可能である。応答メッセージの内容は、処方箋6302が本物であるか否かを示し、かつ、任意で、保持者がその処方箋6302を使用する権限付与されているか否かを示している。メッセージの内容は、ユーザが適切な行動、例えば、本物の処方箋を受け付ける、本物でない処方箋を取り消すか、または、破棄する、および、しかるべき場合には、管轄の法令施行当局に知らせるなどの行動を取るために検証端末6330のユーザに提示可能である。
加えて、サーバシステム6320は処方箋を全体的または部分的に無効にするように動作可能であってよい。例えば、処方箋が2種類以上の薬剤の計量配分に関連し、かつ、品目の全てが利用可能というわけではない場合、薬剤師は利用可能な品目を計量配分し、かつ、該当する処方箋が部分的にのみ有効のままとなっていることをサーバシステム6320に示すために検証端末6330を使用してよい。このようにして、処方箋が残りの品目に関して再び提示された際に、サーバシステム6320は、計量配分されるべき残っている品目のみをメッセージにおいて検証端末6330に示すことができる。
同様に、特定のデータが、対応する署名(例えば、作成した医師、および、データベースへの提出の日時など)とともにデータベース6324に保存されていれば、いずれの指定された日付を過ぎた処方箋を阻止することは容易である。例えば、細菌感染症のための抗生物質の処方箋は、処方箋が作成されてから1週間以内に計量配分されるように指定されてよいのに対して、例えば喘息などの慢性症状のための反復処方箋は、処方箋の作成から最大数ヶ月まで計量配分されることが許容されてよい。
加えて、発行された処方箋と計量配分された医薬品または薬剤との間には一対一対応が決定されてよい。これは、有用な情報を提供するが、追跡記録を作成するためにデータベースに患者のデータを保存する必要がないため機密に関しては中立に留まる方法で、追跡記録が生成可能であることをもたらす。
検証端末6330またはサーバシステム6320は第2の場所での在庫を追跡するように自動的に動作可能であってよい。例えば、医薬品の補給品が特定のレベルを下回った際に、または、在庫の医薬品がその日付の使用分だけ計量配分されていない場合に、検証端末6330は薬剤師に警告することができる。他の実施例において、サーバシステム6320は在庫を追跡するために使用可能であり、それにより、検証端末において資源を自由にする。このようなサーバシステム6320は、例えば、製品の在庫レベル/計量配分レベルなどの地域的解析を行なうために医薬品会社により使用可能であり、それらのレベルは、続いて、市場開拓の目的のために、または、疾病の傾向/パターンを見分けるために使用可能である。在庫の追跡が使用される場合、検証端末6330またはサーバシステム6320は、在庫の1つまたは複数の品目が所定量に以下になった時、例えば、特定の薬品供給元からの医薬品を注文することにより、必要であればバッチで、交換用在庫をネットワークを介して供給元に自動的に発注するようにさらに動作可能であってよい。
プロセッサ6308または検証プロセッサ6332は第1または第2の場所に設けられた、適して構成されたパソコン(PC)の一部として設けられてよい。1つまたは複数のPCをこのように構成することにより、現在の設備は、システム内への様々なリーダ装置の追加以外に専門的ハードウェアの提供を必要とせずに使用可能である。
さらに、デジタル化された署名は比較的少量のデータ(例えば、200ビットから8キロビット)のみを含んでよいため、システムサーバ6320における検証はかなり迅速な処理であってよい。加えて、ネットワーク6304により設けられた通信チャンネルの帯域幅は比較的低くすることができる。例えば、56kダイヤルアップモデムはネットワーク6304に接続するためにトークンプロバイダ端末6306または検証端末6330により使用されてよく、これにより、第1および第2の場所における安価な標準的設備の使用を可能にする。
いくつかの実施例において、中央データベースは省かれてよく、処方箋の署名はバーコード、数字の連続、磁気帯状部、または、スマートカードチップを使用して書き込まれてよい。上記に検討されたように、署名は処方箋に書き込まれる前に暗号化および/または署名されてよい。続いて、処方箋は、計量配分所において署名を作成するために処方箋を読み取り、処方箋が本物であることを示す適合を使用して保存されている署名を新しい署名に比較することにより、権限付与可能である。
図66は処方箋の信憑性を検証する方法を示している。
段階D1において、この方法は第1の場所における処方箋6302などの薬剤権限付与トークンを規定することを含んでいる。薬剤権限付与トークンは第1の場所において、例えば、処方箋に記入するための処方箋情報を入力するように医師がユーザインターフェイスを操作することにより、または、医師が手書きの処方箋を作成することにより規定されてよい。規定が行なわれるために、第1の場所の外の場所から提供された外部で作成されたいかなるデータも必要ない。すなわち、薬剤権限付与トークンを作成するために必要な全ての規定段階は、第1の場所のみで取られ得る。
段階D2において、コヒーレント放射で薬剤権限付与トークンを照射することにより生成されたスペックルパターンに基づき第1の場所において第1の署名が生成される。
段階D3において、第1の署名はシステムサーバに送信される。
段階D4において、署名はシステムサーバに保存される。
段階D5において、第1の場所から離れた第2の場所で提示された医薬品権限付与トークンから第2の署名が生成される。第2の署名はコヒーレント放射で提示された医薬品権限付与トークンを照射することにより生成されたスペックルパターンに基づく。
段階D6において、第2の署名はシステムサーバに送信される。
段階D7において、第2の署名がサーバシステムにより保存されているいずれかの書名と適合するか否かを識別する段階が実行される。
段階D8において、第2の署名が保存されている署名と適合するか否かを識別する応答メッセージが生成される。
段階D9において、応答メッセージは第2の場所に送信される。
段階D10において、応答メッセージが第2の署名と保存されている署名との間に適合があることを示す場合、提示されたトークンが第2の場所において本物であることを検証する段階が実行される。
方法の段階D1からD10は図65に示されたシステム100により実施される。例えば、D1からD3は図65に示されたトークンプロバイダ端末6306により、段階D4、D7、D8、および、D9はシステムサーバ6320により、ならびに、段階D5、D6、および、D10は検証端末6330により実行されてよい。
これまで、薬剤の計量配分のための処方箋の検証を確実にするための方法および装置が説明された。これは、医薬品などの医療用物質の利用の管理において役立てるために使用可能である。
権限付与の分野において広く残っているため、多くのeコマースおよび同様の状況において、価値、商品、または、サービスへの権限付与の転送は、価値を管理するか、または、商品またはサービスを提供する実体から離れた場所においてしばしば実行される。このような取引において、価値、商品、または、サービスに対する権限付与のための支払いは離れた場所からしばしば行なわれる。したがって、エンドユーザ、および、サービス提供者または商品供給者の双方の側で詐欺のリスクを最小に抑えるために、このような取引が高度なセキュリティを条件とすることが望ましい。
価値、商品、または、サービスに対する権限付与を離れて利用することのこのような問題に対処するために、オンラインアクセスまたは注文用施設などの遠隔アクセスシステムにおける品目に対する支払いのためのセキュリティ機構などのシステムが実施可能である。これらの状況において、購入者から供給者への価値を転送するための権限の数値指標が与えられてよい。典型的に、これは、クレジットカードまたはデビットカードの番号を含めてよく、数値PIN(個人識別番号)または英文字パスワードにより補われてよい。しかし、このシステムは、購入者がクレジットカードまたはデビットカードを実際に所有していることの保証を提供するわけではない。しかし、クレジットカードまたはデビットカードに対する請求書の宛先に基づく配達の制限は、さらなる防衛手段として使用されてよい。
eコマースシステムおよび同様のシステムにおいて、価値、商品、または、サービスに対する権限付与は、その価値、商品、または、サービスの物理的な所有の移転から離れた時刻および/または場所において転送可能である。したがって、販売者または商人は、商品の出荷、または、サービスに対する権限付与を示すトークンの発行の前に、銀行口座またはクレジットカード口座の真の保持者により支払いが行なわれていることを確実にすることを希望してよい。これに関して、クレジットカードに関した特定の規制制度のもとでは、詐欺として行なわれた取引に対する負債はクレジットカードの発行者よりもむしろ販売者の責任とできることは、何の価値もない。例えば、英国の法律では、権限付与のために販売者にカードが物理的に提示されていない場合に実行されたいずれの取引も、「カード保持者不提示」または「カード不提示」の取引に分類されている。このような状況において、発行した銀行によりカードの口座に対して行なわれた「権限付与」は、カードからの支払いを受け付けた人物に対して、銀行がその人物に資金を放出することを保証しない。このような「権限付与」は、カードが紛失されたか、または、盗まれたと報告されていないこと、および、カードの保持者が取引に対して支払うために自身の口座に利用可能な十分な資金を有することのみを意味する。「カード不提示」の状況において取引が詐欺として行なわれ、かつ、カード保持者がその後で取引の有効性について質問すれば、取引の価値は、発行した銀行によるこの詐欺としての支払いを受け付けた販売者に請求可能であり、かつ、しばしばそうされている。したがって、販売者は、カード不提示の取引を行なう人物が、事実、口座の保持者であり、支払いに使用されているカードがその口座の保持者の所有であるというより高いレベルのセキュリティを所望してよい。
したがって、本実施例において、このようなシステムの問題の無い動作における詐欺への耐性を高めるためのシステム、装置、および、方法が提供される。このシステム、方法、および、装置によれば、物理的なクレジットカードは、購入するためにカードを使用する購入者がその購入を行なう時点でそのカードを所有していることを確実にするために独立に検証可能である。
このセキュリティの提供を達成するための適したシステムは、セキュリティの提供が適用される様々な実世界の実用例を参照して以下の実施例において説明される。
一実施例は、ある人物が従来のクレジットカードを使用してイベントへの参加または旅行のための切符を購入するためにオンライン買物施設を使用する場合である。この実施例において、ユーザは、切符の販売者または供給会社によりこの目的のために設けられたオンラインポータルを使用して切符を発注する。購入処理の間、購入者は切符に対する支払いのために使用されている自身のクレジットカードの走査を提供するように要求される。これは、カード保持者の氏名および住所の詳細、カード番号、有効期限など、および/または、カードに伴うパスワードまたは個人識別番号もしくは販売者との購入者の口座などの販売者が要求する可能性のあるいずれの他のセキュリティ情報にも対する要求に加えてのものである。クレジットカードの走査から収集されたデータは、このオリジナルのカードと同じ外観を有する新しいカードを作成することによっては複製が不可能なこのクレジットカードの固有の特性に基づく署名を作成するために使用可能である。続いて、この署名は、カード権限付与者により保存されているユーザのクレジットカードの以前の走査から生成された署名と比較されるために、カード権限付与者に送信可能である。データベース署名を作成するために使用される以前の走査は、口座保持者に送られるためにカードの作成の時点で、または、データベース署名が作成される前にカード保持者の身元が検査可能である正当な場所においてカード保持者の自身のカードを伴った立会いのもとでのカード保持者によるカードの受領の後に、カード発行者により取られることが可能である。したがって、取引を受け付ける前に販売者により、物理的カードが取引を行なう人物の所有であることが検証可能である。これにより、特に、「伝統的な」小切手が切られ、かつ、カードが紛失されたか、または、盗まれたと報告されていないことが確立されている場合に、販売者は、取引が受け付け可能であることにさらに自身を持つことが可能となる。これらの2つの検査からの肯定的な結果が明らかに示唆することは、口座保持者がカードを所有しており(紛失も盗まれてもいない)、かつ、カードが取引の実行のために存在している(署名と適合)ため、口座保持者は発注した個人に違いなく、したがって、取引が詐欺である可能性は、単にカードが紛失されたか、または、盗まれたと報告されていないことを知っていることと比較して、大幅に低減されたことである。
この処理は図67に示されている。図67に示されたように、eコマース環境6501は、ユーザが、インターネットなどのネットワーク6506を介して販売者6505から商品またはサービスのための購入機構にアクセス可能であるユーザ端末6508を含んでいる。この購入機構は、離れたユーザが買物または発注のポータルを介して商品またはサービスを購入することを可能にするためのいずれの従来のシステムとすることができる。このようなオンライン遠隔発注システムは多くの事業体、慈善団体、および、政府により使用されている。商品またはサービスを購入する処理は、例えば、購入のために選択できる1つまたは複数の品目をユーザが閲覧するオンライン買物バスケットシステムを使用して行なわれることが可能である。
ユーザにより1つまたは複数の品目が一旦選択されれば、選択された商品またはサービスの購入のための取引を権限付与するためにユーザが詳細を入力する購入操作が実行可能となる。これは、ユーザが取引を行なうことを希望するクレジットカードまたはデビットカードの詳細、ならびに、品目の要求された配達の時期および場所などの詳細を入力することを含んでよい。本実施例の取引処理は、ユーザが、端末とデータ通信中のスキャナ6510を使用してユーザ端末6508において自身のクレジットカードまたはデビットカードを走査することも含んでいる。スキャナ6510は、ケーブルまたは無線を介してユーザ端末6508と通信するように動作可能な独立したユニットであってもよく、または、ユーザ端末6508に一体化されていてもよい。
ユーザのクレジットカードまたはデビットカードの走査は、カードの固有の特性に基づく署名を生成するために使用される。スキャナ6510は図7、8、9、17、18、19、20、23、26、27、28、30、31、46、47、53、および、54のいずれかを参照して上述されたスキャナとすることができる。本実施例において、署名は微視的レベルで測定されたカードの物理的表面に基づく。したがって、図1から63を参照して上記に検討されたように、署名はそのカードに一意であり、そのカードの複写物は、同じ方法で走査された場合に異なった署名を有する。続いて、この署名は、ユーザ端末6508からプロバイダ6503に、いくつかの実施例では販売者6505を介して送信される。この送信された署名は、送信中に第三者が署名を複写することを防止するために暗号化可能である。この暗号化は、公開キー暗号化などの従来のデータ暗号化技術を使用して達成可能であり、インターネット取引の場合、セキュアソケットレイヤー暗号化方式を使用してよい。1つまたは複数の銀行に代わり資金清算サービスを提供する権限を付与された銀行または実体とすることができるプロバイダ6503は、発行されたクレジットカードまたはデビットカードから取られた署名のデータベース6504を有することができる。オンライン取引の一部としてプロバイダにより受信された署名は、データベース6504に対して検査可能である。データベース内に適合が見出されれば、発行されたクレジットカードまたはデビットカードが取引のために使用中であることが決定可能である。さらに、データベースは、ユーザからの供給済みのカードの詳細がデータベース内のカード保持者の詳細に適合することを確実にするために相互検査が実行可能となるように、カード保持者を記述する情報を含むことができる。肯定的な適合結果の場合、取引がその情報に関して進行することを許可するか否かに、販売者が決定を基づかせることが可能となるように、プロバイダは販売者6505にカードが本物であることを示すことができる。
したがって、遠隔取引において支払いのために申し出られたクレジットカードまたはデビットカードが紛失されていず、または、盗まれてもいないこと、および、十分な資金が支払いのために利用可能であること、および、取引を開始したユーザが、他の諸検査が実行されている物理的なカードを所有していることが確立可能となる。これにより、詐欺的行為がカード不在の取引中には発生しないという高度の確実性が達成可能となる。
カードが、以前にその同じカードから生成された署名に対して認証されているので、そのカードの複写物は、検証テストに不合格となる。なぜなら、それらが検証済みのカードのシートの固有の特性とは異なる固有の特性を有する材料シートを使用して作成されたからである。これにより、他人の口座を使用して商品またはサービスを得るためにカードの詳細を取得した人物の側での詐欺は防止可能である。
これまで、商品またはサービスの購入に便利な場所で使用されるカードのための、および、カードがカード不在型の取引において使用される際に商品またはサービスの支払いのためにカードの本物の性質に依存する商人が認証のためにカードを検証可能となるためのシステムが説明された。これにより、クレジットカードまたはデビットカードの詐欺的再現は、購入するために不便な場所まで出かけて行く必要を購入者に条件とさせずに防止可能となる。
上記において、発行済みカードのための署名のデータベース6504がプロバイダ6503において事前に存在することが説明された。これらの署名は、ユーザへのカードの発行の際にカード発行者により得られることが可能である。したがって、カードが郵便の手段で送られる場合、署名は、カード保持者へのカードの発送の前に、発行当局により取られることが可能である。セキュリティの追加の層を設けるために、カード保持者は、ユーザ端末でのカードの走査、および、使用のためにカードを検証するためのプロバイダ6503へのその走査から生成された署名の送信を要求され得る。このような実施例において、検証のためにユーザ端末から送信された署名がデータベースの署名と適合さえすれば、カードはカード保持者による使用のために使用可能にされる。このような提供は、走査されていたカードとは異なるカードを送る発行当局の職員による詐欺を防止し、したがって、その職員が、カード保持者の許可なしにカード保持者の口座に対して取引を行なう際の自身の使用のため、または、その際に使用するために第三者に販売するために走査済みカードを保持することを可能にする。
他の実施例において、データベース6504のために署名を作成するためのカードの走査は、発行当局の代表者およびカード保持者の双方が立会って作成可能である。このような状況において、カードの走査領域は、カード保持者が既に自身の署名を書き込んでいるカードの署名用スペースを含むことができる。したがって、その後の遠隔取引のためのカードの走査は、カードが改造されていないか、または、署名を取り替えていないかの検査を含む。
カードの最初の「検証」走査を取るための上記の実施例のいずれにおいても、走査領域はカードの異なった部分を含んでよい。これの例は、カード6620の様々な実施例が描かれている図68A、68B、および、68Cに示されている。同図において、走査領域6621はダッシュ線を使用して描かれている。なぜなら、この領域がいかなる方法でもカード上にマーク付けされるか、または、示される必要がないからである。図68Aに示されたように、走査領域6621はカバーまたは印刷6622のないカードの表面の一部、および、従来の磁気帯状部リーダを使用して読み取るためにカード上に設けられた磁気帯状部6623の一部を含んでよい。図68Bに示されたように、走査領域6621は上記に検討されたように署名領域6624の一部、および、カード上またはカード内に刷り込まれた1つまたは複数の数字、文字、画像、または、ロゴ6625、6626の一部を含んでよい。図68Cに示されたように、走査領域6621はメモリチップ6627が埋め込まれたカード(所謂「スマートカード」)の一部を含んでよい。
上記に与えられたクレジットカードまたはデビットカードの実施例に加えて、様々な他の支払い権限付与トークンまたは価値トークンが遠隔取引のために使用されてよい。他のトークンタイプの実施例は、ロイヤルティカード(買物の値引き、特別提供商品、選び抜かれた製品を請求するために使用可能な「ポイント」または他の価値指標をカード保持者が受け取るもの)、引換証書、証明書などを含み、これらの全ては、特定の状況において、商品および/もしくはサービスを購入するために、または、商品および/もしくはサービスの購入から値引きを得るために使用可能である。
これまで、支払い権限付与物品を使用して支払いの権限を付与するために遠隔アクセスが提供される取引システムに、さらなるセキュリティおよび/または信頼を提供するためにその物品の固有の特性に基づくその物品のための署名を使用できるシステムのいくつかの実施例が説明された。
複数のユーザに対してデータが中央に保存された多くの実用例において、そのデータの機密に関する懸念があり得る。例えば、銀行は顧客の全般的な金融状況の詳細を保存する必要性を有してよく、医療機関は患者の医学的な履歴の詳細を保存する必要性を有してよく、または、会社は従業員の詳細を保存する必要性を有してよい。このデータは比較的に管理されていない形でその実体のために働く人物によりしばしばアクセス可能であり、それにより、英国の国外にある銀行のコールセンターからの英国内の銀行の顧客に関する金融情報の最近よく知られた漏洩問題などの問題を起こしている。
これら、および、他のプライバシーに対する懸念は、銀行または他の金融サービスの提供者にとって新規の顧客を得ることを困難にし、かつ、重要な医学上の情報が、その情報が必要以上に広範に広がるという恐怖から患者によって公表されないという状況につながることにもなる。
人物または他の法的実体を記述するデータが第三者に保存されている場合、権限のない、または、悪意のある人物によるそのデータのアクセス可能性に関する懸念がある、例えば、銀行および他の金融サービス提供者は、負債、信用履歴、収入、および、自身の多数の顧客についての個人的データに関する大量の情報を保存している可能性がある。捜査当局は、収監されている個人、証人、情報提供者、および、地下工作員の詳細を保存している可能性がある。医療機関は、医学的履歴、生活習慣情報、および、治療の嗜好などの患者の詳細を保存している可能性がある。雇い主は、給料、懲戒に関する記録、および、個人的な状況などの従業員の詳細を保存している可能性がある。
したがって、多数の組織が一個人についての大量の情報を保存している可能性があり、その情報はその個人が秘密に保って欲しいと希望してよいものである。同様に、そのように保存されている情報の一部は、個人についての記録の維持に関する法律によりカバーカバーされている可能性がある。したがって、そのような情報の不適切な、不注意の、かつ、悪意のある放出は、その組織のユーザからのデータを保存している組織に向けた反感をもたらし、かつ、損害賠償の支払い、罰金の支払い、および/または、懲役を含めた刑罰を伴う訴訟によりその対象となる民事上または刑事上の違法行為となる双方の可能性がある。
以下の検討において、そのような情報への不正なアクセスを防止するためのシステムおよび方法が提示される。
一組織が個人を記述するデータを保存する多くの場合、その組織のいずれの構成員にとっても、その個人が立ち会っていない時にそのデータにアクセスする必要がないことが多い。他の状況において、その個人は物理的に立ち会わなくてもよいが、その組織と電話もしくはオンラインの取引または討論を行なっていてよい。他の状況において、そのデータに完全なアクセスを必要とする限られた数の人がその組織にいてもよく、他の人はデータの一部のみを見る必要があるだけか、または、単に、データの内容を見ずにデータが存在しているだけである。
これらの状況の全ては本実施例のシステムにより扱いが可能であり、同システムでは、データへのアクセスが個人が所有するアクセストークンにより管理されている。
情報へのアクセスのためにアクセストークンを使用するための第1のシステムの実施例が図69を参照して説明される。このシステムにおいて、ユーザ端末6700におけるユーザは特定の個人に連結された情報にアクセスを所望または要求することができる。ユーザ端末はパソコン、ワークステーション、または、手持ちコンピュータなどの従来の演算装置のいずれかの形態とすることができる。情報が連結されている個人はユーザとすることができるか、または、ユーザが個人的または仕事上の関係を有する個人とすることができる。この後者の状況の実施例は、何らかの製品またはサービスがその顧客(個人)に利用可能であるか否かを決定するために銀行の従業員(ユーザ)がその顧客の金融情報にアクセスする必要がある場合である。他の実施例は、医療の専門家(ユーザ)が患者(個人)の医学的な履歴にアクセスする必要がある場合である。
情報にアクセスするために、個人により所有されるアクセストークンはスキャナ6702を使用して走査可能である。(恐らく、装着されたユーザ端末と組み合わせられている)スキャナは、アクセストークンの固有の特性に基づきアクセストークンのための署名を作成する。スキャナはユーザ端末の一体化された部分であってよい。署名は上述されたものなどの光学走査技術に基づき生成可能である。
一旦署名が生成されれば、それは、所望の情報が保存されているデータベース6706からデータを検索するために使用される。データベースは、データベース上でクエリ実行することおよびデータベースへのアクセスを制御することでタスクが課されてもよいデータベース管理者実体6708により制御されてよい(この実体はデータベースのためのシステム管理者として指定された人間のユーザとは別のものでよい)。本実施例において、データベース管理者実体はネットワーク6704を介してアクセスされ、ネットワーク6704は私的なネットワーク、組織のイントラネット、または、インターネットであってよい。ネットワークはケーブルによる、および/または、無線の相互接続を含んでよい。
署名は検索クエリとして使用されるためにデータベース管理者実体6708に送られる。したがって、データベース管理者実体6708は、供給された署名とデータベース内のデータ記録の個々の記録に伴う署名との間で比較が行なわれるようにする。この比較処理は、上述のサムネイルシステムなどの検索速度向上システムを使用可能である。アクセストークンからの署名とデータベース内の署名との間に適合が見出されれば、その署名に伴う1つまたは複数のデータ記録がユーザ端末6700において利用可能にされる。供給された署名と保存署名のいずれとの間にもデータベース内で適合が見出されなければ、データは利用可能とはされない。データベース管理者実体6708とユーザ端末6700との間の通信が公衆ネットワークを介して行なわれる実施例において、署名およびデータ記録のいずれかまたは双方は送信のために、例えば、公開キー暗号化システムを使用して暗号化可能である。データベース管理者実体とユーザ端末との間のデータリンクがhtmlタイプのインターフェイスを使用する実施例において、セキュアソケットレイヤー接続はこの暗号化を提供するために確立されてもよい。
本実施例において、読み取りのためにデータベースにアクセスする唯一の方法は、アクセストークンから生成された署名の使用による。したがって、データは、アクセストークンが所望のアクセス点に提示されないとアクセスが不可能である。そのため、上記の銀行の例を取ると、銀行の従業員は(顧客が情報または何らかの製品もしくはサービスを要求するために銀行に来店した時など)必要とされる時に顧客データにアクセスすることができる。しかし、銀行の従業員は他のいずれの時にも顧客情報にアクセスできるわけではない。したがって、顧客は、銀行の従業員が顧客の許可なしに顧客の詳細を調べ、かつ、それを開示されるようにすることから保護されている。上記の医療関連の例では、患者の詳細はその患者を治療中の医療専門家によりアクセスが可能であるが、医療情報のデータベースにアクセスできるいずれの他の人物によってもアクセスは不可能であり、したがって、医療データの集中コンピュータ保存に関した患者のプライバシーに対する潜在的な懸念を克服している。
一実施例において、システムは、アクセストークンが存在しなくてもデータがデータベースに書き込まれることを許容できる。そのため、ユーザは、アクセストークン署名が既にデータベースに記録されている個人のためにデータベースにデータ記録を追加することができる。データベースに何らのアクセストークン署名も記録されていない場合、その個人は既に何らの関連記録も有していず、したがって、新しい記録が必要となる。そのため、この状況では、以下に概略を述べるように、新しい個人がデータベースに追加されなければならない。また、署名がデータベースに既に存在するならば、アクセストークンが存在していなくてもさらなるデータが追加されてよい。例えば、銀行の従業員は、資金の送金が実施されなかった、または、貸付の申し込みを支持する情報が銀行に提供されているといった事実を顧客の記録に追加可能であってよい。情報の内容も追加可能である。医療用記録システムの場合、患者から離れて実施されるテストの結果は、その結果が利用可能となる場合に入力可能である。適した例は、患者から流体または組織が、その後の研究室での分析のために取られている場合であってよい。
一方、いくつかの実施例において、アクセストークンが存在する時にのみデータが入力可能であることが望ましいとしてよい。例えば、犯罪データの記録において、記録に記述されている個人が存在する時は、逮捕、罪、保証人、有罪決定、または、無罪放免の詳細などの犯罪の詳細を入力することのみが可能でなければならない場合があることがある。したがって、このようなシステムでは、データベースにデータを追加するために、アクセストークンが存在していなくてはならない。
いくつかの実施例において、十分な権限を有する人物がデータベースにより記述されている個人のアクセストークンがなくともデータベースにアクセスできるように、「裏口」が存在することが必要または適切であってよい。これは、追加のアクセスが必要とされる記録のための追加のアクセストークンを提供することにより達成可能である。この追加のアクセストークンは、アクセスが必要な全ての記録が単一のアクセストークンにより提供可能となるように1つまたは複数の記録を伴うことが可能である。アクセスが、例えば犯罪調査のために必要である場合、追加のアクセストークンは、所定の期間の終了後にデータが最早アクセス不可能となるように時間制限されるようにできる。「裏口」アクセスは、何らかの他の形態のユーザ認証を使用しても提供可能であり、それにより、アクセストークンシステム全体を迂回する。
新しいアクセストークンからの署名が、失われた、損傷を受けた、または、盗まれたアクセストークンを交換するためにデータベースに含まれることを可能にするために、何らかの形態のシステム管理者のアクセスをデータベースに提供することも望ましいとしてよい。
データベースへの安全なアクセスを提供するために使用されるアクセストークンは、必要な署名を作成することが可能ないずれの品目ともすることができる。これは、ある人物が自身の医学的な状態を説明できない場合でさえ、医療関係者に適切な医学的処置を施すことを可能にするために、糖尿病患者や強いアレルギのある人たちにより身に付けられているものなどの医療用タグ型の品目などの専用情報アクセストークンを含めることができる。したがって、このようなタグ型は医療情報へのアクセスに特に適切であってよい。他のタグ型も使用可能であり、タグ型の異なったものは多かれ少なかれ様々な異なった考えられる実用例に適切であるとしてよい。例えば、銀行カードまたはクレジットカードなどの通常は携行される品目は、情報が銀行業務の情報に関連していてもいなくても、アクセストークンとして使用可能である。代案として、全くそれとは分からないアクセストークンが使用可能である。実施例は名刺または他の類似の品目を含むことができる。このようなそれとは分からないアクセストークンは、所有者のデータにアクセスするためにそのアクセストークンを使用することから、ある人物がこのアクセストークンを盗むまたは発見する可能性を低減する。これにより、(銀行カードおよび「私的かつ機密」と記されたパッケージなどの)それと分かる重要な品目および書類に一般に伴う「盗めと言わんばかり」の問題は回避可能となる。
これまで、データベースに保存された機密に関する情報への安全なアクセスを提供するためのシステム、装置、および、方法が説明された。この安全なアクセスは情報への信頼できるアクセスを提供する一方、データアクセスと機密に対する懸念を低減する。
情報にアクセスするためにアクセストークンを使用するためのシステムの他の実施例が図70に示されている。この実施例において、アクセストークン用スキャナは、情報が閲覧されるか、または、アクセスされるユーザ端末から離れて設置されている。
この実施例のシステムにおいて、ユーザ端末6800におけるユーザは特定の個人に関連した情報にアクセスを所望または要求することができる。ユーザ端末はパソコン、ワークステーション、または、手持ちコンピュータなどのいずれの形態の従来の演算装置ともすることができる。情報が関連する個人は、本実施例において、ユーザ端末6800のところにはいない。これが生じ得る状況の例は、銀行の顧客が、銀行の支店での物理的な立会いをせずに貸付または他の銀行のサービスを得たいと希望する時である。このような取引は顧客と銀行の従業員との間の電話での会話を含むことができる。したがって、この実施例では、ユーザ端末6800が銀行の構内に存在し、かつ、ユーザは銀行の従業員である。
この情報にアクセスするために、その個人(例えば、銀行の顧客)により所持されているアクセストークンは、その個人(例えば、銀行の顧客)とともに所在するスキャナ端末6801に連動されたスキャナ6802を使用して操作可能である。(恐らく、装着されたスキャナ装置と組み合わされている)スキャナは、アクセストークンの固有の特性に基づくアクセストークンのための署名を作成する。スキャナはスキャナ端末の一体化された部分としてよい。署名は上述の技術などの光学走査技術に基づき生成可能である。
一旦署名が生成されると、それは、所望の情報が保存されているデータベース6806からデータを検索するために使用される。データベースは、データベース上でクエリを実行することおよびデータベースへのアクセスを制御することでタスクが課されてもよいデータベース管理者実体6808により制御されてよい(この実体はデータベースのためのシステム管理者として指定された人間のユーザとは別のものでよい)。本実施例において、データベース管理者実体はネットワーク6804を介してアクセスされ、ネットワーク6804は私的なネットワーク、組織のイントラネット、または、インターネットであってよい。ネットワークはケーブルにより、および/または、無線の相互接続を含んでよい。
スキャナ端末をユーザ端末と、および、ユーザ端末をデータベースと接続するために使用されるネットワークは別個のネットワークであってよい。例えば、スキャナ端末とユーザ端末とはインターネットを介して通信してよく、ユーザ端末とデータベースとは私的なネットワークを介して通信してよい。
署名は検索クエリとして使用されるためにデータベース管理者実体6808に送られる。したがって、データベース管理者実体6808は、供給された署名とデータベース内のデータ記録の個々の記録に伴う署名との間で比較が行なわれるようにする。この比較処理は、上述のサムネイルシステムなどの検索速度向上システムを使用可能である。アクセストークンからの署名とデータベース内の署名との間に適合が見出されれば、その署名に伴うデータ記録がユーザ端末6800において利用可能にされる。供給された署名と保存署名のいずれとの間にもデータベース内で適合が見出されなければ、データは利用可能とはされない。データベース管理者実体6808、ユーザ端末6800と、スキャナ端末6801との間の通信が公衆ネットワークを介して行なわれる実施例において、署名およびデータ記録のいずれかまたは双方は送信のために、例えば、公開キー暗号化システムを使用して暗号化可能である。データベース管理者実体、ユーザ端末と/またはスキャナ端末との間のデータリンクがhtmlタイプのインターフェイスを使用する実施例において、セキュアソケットレイヤー接続はこの暗号化を提供するために確立されてよい。
遠隔銀行業務実施例の状況において、このシステムは、顧客が銀行の構内で物理的に立ち会わなくても、銀行の従業員が、顧客についての個人的なデータであって顧客に利用可能にされているサービスまたは製品に必要なデータにアクセスすることを可能にする。この構成の適用可能性に対する他の実施例は、患者が、医療機関に出かけずに医学的検査の結果を受け取ることを可能にすることを含むことができる。
データベースへの情報の書き込み、「裏口」システム管理者、規制または捜査でのアクセス、および、異なったタイプのアクセストークンのための上述の選択肢および代案は図69の実施例に等しく適用される。
図71を参照して、情報にアクセスするためのアクセストークンを使用するためのシステムの他の実施例が説明される。この実施例において、ユーザは、情報を保存または使用している実体の代表者と対話せずに、データベースの情報にアクセスするためにアクセストークンを使用する。
この実施例のシステムにおいて、スキャナ端末6901におけるユーザは、ユーザが所有するアクセストークンにリンクされた情報にアクセスを所望または必要とすることができる。典型的に、この情報はユーザに関連している。スキャナ端末6901はパソコン、ワークステーション、または、手持ちコンピュータなどのいずれの形態の従来の演算装置ともすることができる。これが所望されてよい時の例は、ユーザが自身について保存されている情報を調べたいと希望する場合である。銀行施設の状況では、ユーザは口座の残高を調べたい、送金履歴を閲覧したい、または、他の銀行業務情報を閲覧したいと希望してよい。いくつかの状況において、銀行は、顧客が、銀号の従業員と直接に接触しなくても、金銭を送金すること、または、請求書の支払いをすることも可能にしてよい。このような取引は、結果としてデータベースにデータが書き込まれ、データベースからデータが読み取られる。
情報にアクセスするために、ユーザ(例えば、銀行の顧客)により所持されているアクセストークンはスキャナ端末6901に連動されたスキャナ6902を使用して走査可能である。(恐らく、装着されたスキャナ端末と組み合わされている)スキャナは、アクセストークンの固有の特性に基づくアクセストークンのための署名を作成する。スキャナはスキャナ端末の一体化された部分としてよい。署名は上述の技術などの光学走査技術に基づき生成可能である。
一旦署名が生成されると、それは、所望の情報が保存されているデータベース6906からデータを検索するために使用される。データベースは、データベース上でクエリを実行することおよびデータベースへのアクセスを制御することでタスクが課されてもよいデータベース管理者実体6908により制御されてよい(この実体はデータベースのためのシステム管理者として指定された人間のユーザとは別のものでよい)。本実施例において、データベース管理者実体はネットワーク6904を介してアクセスされ、ネットワーク6904は私的なネットワーク、組織のイントラネット、または、インターネットであってよい。ネットワークはケーブルによる、および/または、無線の相互接続を含んでよい。
署名は検索クエリとして使用されるためにデータベース管理者実体6908に送られる。したがって、データベース管理者実体6908は、供給された署名とデータベース内のデータ記録の個々の記録に伴う署名との間で比較が行なわれるようにする。この比較処理は、上述のサムネイルシステムなどの検索速度向上システムを使用可能である。アクセストークンからの署名とデータベース内の署名との間に適合が見出されれば、その署名に伴うデータ記録がスキャナ端末6901において利用可能にされる。供給された署名と保存署名のいずれとの間にもデータベース内で適合が見出されなければ、データは利用可能とはされない。データベース管理者実体6908とスキャナ端末6901との間の通信が公衆ネットワークを介して行なわれる実施例において、署名およびデータ記録のいずれかまたは双方は送信のために、例えば、公開キー暗号化システムを使用して暗号化可能である。データベース管理者実体とスキャナ端末との間のデータリンクがhtmlタイプのインターフェイスを使用する実施例において、セキュアソケットレイヤー接続はこの暗号化を提供するために確立されてよい。
遠隔銀行業務実施例の状況において、このシステムは、顧客が銀行の構内で物理的に立ち会うか、銀行の従業員に話しかける必要なしに、銀行の顧客が、銀行によりその顧客について保持されている個人的なデータへのアクセスであってその顧客により所望されているアクセスを得ることを可能にする。この構成の適用可能性に対する他の実施例は、患者が、医療機関に出かけずに医学的検査の結果を受け取ることを可能にすることを含むことができる。
データベースへの情報の書き込み、「裏口」管理者、規制または捜査でのアクセス、および、異なったタイプのアクセストークンのための上述の選択肢および代案は図69の実施例に等しく適用される。
いくつかの実施例において、データベースへのアクセスのために署名自体を使用しないことが望ましいとしてよい。代わりに、アクセストークンの署名が他のアクセスキーを暗号化するために使用可能である。幾分かの組み込まれた冗長性を有するアクセスキーを使用することが可能であり(または、非冗長キーに冗長性が追加可能である)、エラー訂正コードがこれに追加可能である。エラー訂正コードを含むこの「パッディングされた」キーは、アクセストークンからの署名で排他的OR処理が可能である。この冗長性およびエラー訂正コードは生体測定署名を使用した排他的OR処理にかかわらず存続する。データベースにおいてアクセスキーを再作成するために、予想生体測定署名を使用して第2の排他的OR処理が実行可能である。不完全に読み取られた生体測定署名により導入されたいずれの低レベルのエラーも、完全に再形成されたアクセスキーを残すためにエラー訂正コードを使用して補償可能である。
要約すると処理は以下の段階を含む。
1.アクセスキーを取る。
2.幾分かの冗長性およびエラー訂正ビットを追加する。
3.生体測定署名を使用して排他的OR処理を行なう。
4.(インターネットを介して)データベースに送信する。
5.予想生体測定署名を使用して排他的OR処理を行う。
6.冗長性およびエラー訂正ビットを使用してエラー訂正を行う。
7.データベースで情報の位置を見出すために使用可能なアクセスキーを残す。
このようなシステムを使用する1つの長所は、データベースにエラーのないアクセスを送ることが可能であることである。多くのデータベースは完全なエラーのないアクセスキーを好むか、または、必要とするが、上記の他の実施例では、このことが、署名の適合の結果が完全なエラーのないアクセスキーを表すようにアクセスキーとして署名の適合を使用することにより、回避可能である。
これまで、データにより記述された人物または組織によりプライベートまたは機密関連であると考えられてよい情報などの情報への信頼できる安全な限定されたアクセスを提供するためのシステム、装置、および、方法の様々な実施例が説明された。これにより、そのようなデータは、そのデータにアクセスが必要な組織により保存可能となるが、情報により記述されているか、または、情報内の実体が非再現可能なアクセストークンを使用して許可を与える時にのみその組織によりアクセスされる。
データの安全な送信が必要とされる多くの実用例において、データの暗号化はそのデータへの不正なアクセスを阻止するために使用可能である。従来の暗号化方式は2つの方法のいずれかに対して機能する。すなわち、対称キー法および非対称キー法である。
対称キーシステムは、データの暗号化および復号化に同じキーを使用する。したがって、キーは暗号化されたデータの交換の参加者の間に配布されなければならない。もしキーが安全に配布されなければ、第三者がキーの複写を手に入れ、キーを使用して暗号化された全てのデータにアクセスするためにその複写を使用することが可能となる。
非対称キーシステムは一方向性暗号化方式に機能し、この方式では、データを暗号化するために公開キーが使用され、このデータはデータの受領者により保持されている秘密キーを使用してのみ複合化が可能である。したがって、公開キーは自由に配布が可能であり、このキーを使用して暗号化されたどんなものでも、秘密キーを使用してのみ複合化が可能となる。しかし、このようなシステムにおいて、公開キーを受け取る人物が、そのキーが安全な通信の意図された受信者から来ていること確かであるとできるように公開キーが配布されることが、それでも望ましいとすることができる。これがなければ、第三者が、他人に所属するように見える公開キーを作成し、かつ、そのキーの明らかな発行者に意図された暗号化データにアクセスするためにその公開キーおよびそれの対応する秘密キーを使用する可能性がある。
上記に検討されたように、暗号化のためのキーの配布は、配布のための信頼でき、かつ、安全な提供が強く所望される分野である。以下の実施例において、暗号化キーの安全な配布のためのシステム、装置、および、方法が検討され、ならびに、暗号化キー以外のデータの安全な配布のための実施例が検討され、そのような他のデータはログオン情報およびデータベースクエリ情報などの識別情報を含んでよい。
図72を参照すると、一意のセキュリティトークンの保持者のみがキーを検索可能となるように暗号化キー7000が安全な送信のためにパッケージングが可能である。これを達成するために、本実施例においては、エラー訂正ビットが7002においてキーに追加される。いくつかの実施例において、追加のランダムデータは、エラー訂正ビットが追加される前にキーに追加されてもよい。続いて、例えば上記に検討されたように、セキュリティトークンの走査から算出された署名7004がキーおよびエラー訂正データ7002を使用して排他的OR処理7006される。この排他的OR処理はパッケージされたキー7008を作成するためにビットごとを基本として実行される。
したがって、暗号化キーは、権限を持つ受領者が受領できる方法だが、パッケージを横取りする第三者がパッケージからキーを得られないようにパッケージされている。
図73を参照して、権限を持つ受領者によりキーがパッケージから取り出されるための方法が説明される。パッケージされたキー7008は、エラー訂正ビット7016を伴った暗号化キーを得るために、例えば上記に検討したように、セキュリティトークンの走査から算出された署名7012を使用してビットごとに排他的OR処理7014が行なわれている。エラー訂正ビットを伴うこの復元された暗号化キーは、エラー訂正ビットを伴ったオリジナルの暗号化キー7002を基準としてエラーを含む可能性がある。なぜなら、パッケージするためのキーとパッケージを開くために使用される署名は、たとえそれらが同じ方法を使用して同じセキュリティトークンから作成されたとしても、同一ではない可能性があるためである。したがって、エラー訂正ビットは、送信のために元々パッケージされた暗号化キー7000と同一である暗号化キー7020を再現するために、キーに発生した可能性のあるいずれのそのようなエラーも訂正7018するために使用される。
エラー訂正コード化の強さおよび使用されるシステムはセキュリティトークンの署名における予想エラーレートに基づき選択可能である。
追加のランダムデータがキーに追加される実施例、または、キーが本質的に冗長な情報を含んでいる実施例において、エラー訂正コード化の操作は強化が可能である。
エラー訂正コード化および冗長な情報は、暗号化キーなどのエラー耐性のないシステムとともに使用されるための上記に述べられたように生成されたものなどの生体計測型の署名を可能にする。生体計測に基づく識別システムの基本的な挙動は、同じ品目に対して同じ手順が使用されても、全く同じ生体計測署名を2つ以上生成する同じ品目の可能性が極端に低いことである。したがって、同じ品目の2つの生体計測署名間の相違は、エラー耐性のないシステムのセキュリティを保護するためにエラーのないシステムを作成することを可能にできる。
いくつかの実施例において、パッケージされたキーはこのキーが自立型の品目として配られるように単独で送信されてよい。これは、受領者がキーの発行者について確かであることを可能にする方法で、公開/秘密キーの対からのキーの配布のために使用可能である。他の実施例において、パッケージされたキーは、データの受領者にそのデータの復号化に使用するために復号化キーが提供されるように、このキーを使用して暗号化されたデータを伴って送信されてよい。このようなシステムは短い有効期限の暗号化キーの容易な使用を可能にし、各キーは、新しいキーのために破棄される前に1つのデータパケットほどに少なく使用される。新しいキーの追跡のためのユーザ入力を必要とせずに新しいキーがアクセスおよび使用されることをセキュリティトークンが可能にする場合などにおいて、暗号化キーのこのような頻繁な変更はデータの受領者に不便はもたらさない。
いくつかの実施例において、パッケージするために使用される署名またはパッケージを開くために使用される署名のいずれかは、パッケージする実体またはパッケージを開く実体により保存されている以前に作成された署名であってよい。いくつかの実施例において、実体は署名の大きなデータベースを維持してよく、データベースは多くの異なったセキュリティトークンに関した署名を含んでいる。例えば、金融サービス実体(銀行など)は多くの顧客のセキュリティトークンのための署名を保存してよく、実体が、その顧客と個人を基本として安全な暗号化された通信を行なうことを可能にする。
本実施例のシステム、方法、および、装置において、いずれの品目もセキュリティトークンとして使用可能であり、トークンは主に二次元とすることができ、かつ、光学的に不透明または半透明とすることができる。このような物品の使用は上記により詳細に述べられている。
キーへの安全なアクセスを提供するために使用されるセキュリティトークンは、必要な署名が作成可能であるいかなる品目ともすることができる。例えば、情報がその銀行またはロイヤルティ制度についての情報に関連しているいないにかかわらず、銀行カード、クレジットカード、または、ロイヤルティカードなどの通常は携行される品目がアクセストークンとして使用可能である。代案として、完全にそれと分からないトークンが使用可能である。実施例は、名刺または他の類似の品目を含むことができる。このようなそれとは分からないアクセストークンの使用は、所有者のデータにアクセスするためにそのアクセストークンを使用することから、ある人物がこのアクセストークンを盗むまたは発見する可能性を低減する。これにより、(銀行カードおよび「私的かつ機密」と記されたパッケージなどの)それと分かる重要な品目および書類に一般に伴う「盗めと言わんばかり」の問題は回避可能となる。
したがって、暗号化キーは、意図された受領者が使用のためにそのキーを抽出することを可能にするために安全に配布が可能である一方、そのキーを受領したいずれの第三者も実際のキーを得ることはできない。
いくつかの実施例において、必要かつ適したクエリとしてデータベースログオンを使用して、データベースアクセス要求が作成されてよい。データベースからの応答は、上述のように添付の暗号化データを持つパッケージされたキーを使用して送信されてよい。一実施例において、データベースアクセストークンの固有の特徴に基づく署名が、データベースログオンおよび/またはクエリとして使用されてよい。提出された署名は、データベース内の各データ記録に署名を伴わせること、および、署名を検索可能なフィールドにすることにより、ログオンおよび検索クエリとして使用可能である。いくつかの実施例において、署名は唯一の検索可能なフィールド上にあってよく、考えられる例外はシステム管理者のアクセス、規制調査のアクセス、および、法律または犯罪捜査に関するアクセスである。加えて、または、代案として、検索および/またはログオンの目的で提出された署名は、事実、暗号化キーをパッケージするために上記に多く概略を述べたように、データベースアクセスキーをパッケージするために使用されてよい。続いて、アクセスキーは、データベースのためのアクセス機構のために保存されている署名の複写を使用してパッケージされたキーから、エラー無しに復元可能である。結果として得られるデータベース記録は、返されたデータを復号化するために暗号化キーをパッケージするためにセキュリティトークンの署名を使用して返される。
いくつかの実施例において、データベースアクセストークンおよびセキュリティトークンは同じ物理的な物品とすることができる。物品の異なった領域を走査すること、および/または、異なった解像度で走査することにより、その物品から異なった署名が生成可能である。
上記の実施例はかなり詳細に説明されたが、一旦上記の開示が完全に理解されれば、多くの改変および変形が当業者には明らかとなろう。以下の特許請求の範囲は、全てのそのような改変および変形ならびにそれらの均等物を包含すると解釈されることが意図されている。
上記の詳細な説明から、紙、ボール紙、プラスチック、金属、または、セラミックなどの材料で作成された物品が、コヒーレント放射に物質を露光させること、物質の固有の構造からのコヒーレント放射の散乱を測定するデータ点のセットを収集すること、および、データ点のセットから物品の署名を決定することにより、どのようにして識別が可能であるかが理解されよう。
走査領域は、物品上のそのサイズまたは位置に関して基本的に任意であることも理解されよう。
さらに、これが、コヒーレント放射に物質を露光させること、物質の固有の構造からのコヒーレント放射の散乱を測定するデータ点のセットを収集すること、および、データ点のセットから製品の署名を決定することにより、パッケージ方法、文書、または、衣服の品目により、製品を識別するためにどのように適用可能であるかを理解されよう。
数値処理の上記の説明から、ビームの局所的な劣化(例えば、コヒーレントビームの準最適な合焦による読取用体積内のビーム断面の拡大など)はシステムに対して破滅的ではなく、偶然の適合の確率を高めることによりその性能を劣化させるに過ぎないことが理解されよう。したがって、装置は、突然の不安定な故障よりもむしろ性能の安定した徐々に進む劣化を与える装置の変化に強い。いずれの場合でも、リーダの自己テストを実行することは単純であり、それにより、応答データにおける特徴的な最小のフィーチャサイズを確かめるために収集されたデータに自動相関を行なうことによりいかなる設備の問題も拾い上げている。
紙またはボール紙に適用可能なさらなるセキュリティ対策は、例えば、走査領域にわたり透明なシール(例えば、接着テープ)を接着により結合させることである。接着剤は、これの除去が、検証走査を行なうために保存が不可欠な下に存在する表面構造を破壊するほどに十分に強力であるように選択される。同じ手法は、透明ポリマーまたはプラスチックフィルムのカード上への堆積、または、同様の材料での封入に適用可能である。
上述のように、リーダは本発明を実施するために特別に設計された装置に具体化されてよい。他の場合、リーダは、光学複写機、文書スキャナ、文書管理システム、POSデバイス、ATM、航空券搭乗券リーダ、または、他のデバイスなどの他の機能に留意しておもに設計された装置に、適切な付随的構成部分を追加することにより設計される。
本発明の多くの他の変形が、詳細に上述されたものに加えて当業者には考えられよう。