JP5250783B2 - オルソ・パラ水素(重水素)分離方法およびオルソ・パラ水素(重水素)分離装置 - Google Patents

オルソ・パラ水素(重水素)分離方法およびオルソ・パラ水素(重水素)分離装置 Download PDF

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Description

本発明は、オルソ・パラ水素(重水素)分離方法およびオルソ・パラ水素(重水素)分離装置に関するものである。
近年、水素の表面反応の重要性が増大し、それに関する研究が活発化している。たとえば、水素の表面反応は有用な分析手段に用いることができ、天文学においては、星の塵上での水素分子の表面反応により、その星の年齢を明らかにすることができることが知られている。また、水素の表面反応の応用例としては、触媒表面上で水素分子と酸素分子との反応から電気を得る燃料電池に関するものや、水素の液化貯蔵の効率化に関するものなどがある。たとえば、特許文献1には、水素貯蔵装置が開示されている。水素排出管の管内部に多孔質磁性体が担持されている。これにより、タンクの水素流通口における圧損の増大を伴わずに、多量の水素を貯蔵する。
水素分子は、水素原子が2つ化学結合したものであり、常温では無色、無臭の気体で、軽く、非常に燃えやすく、酸素分子と混合した状態で火をつけると激しく爆発するなど危険性が高いので、取り扱いに注意を要する。
水素分子には、2つの水素原子のスピンの方向が同じ方向を向いた状態のオルソ水素分子(以下、オルソ水素)と、2つの水素原子のスピンの方向が逆の方向を向いたパラ水素分子(以下、パラ水素)とがある。
常温では、オルソ水素とパラ水素の比率は、3:1(オルソ水素が75%、パラ水素が25%)程度となっている。これをノーマル水素と呼ぶ。また、スピン転換が禁制のため、低温でも3:1を保っている。低温に冷えた触媒表面が存在する場合に、ボルツマン分布に従いその表面温度でのオルソ:パラ比を実現し、パラ水素の比率が高くなる。
なお、オルソ水素とパラ水素の核スピンは、量子ビットの本命の一つとみなされている。核スピンは、コヒーレント性が保たれる時間が他の量子ビットの候補に比べて長く、高精度で核スピンを制御できる可能性があるためである。
重水素分子も核スピン状態の違いにより、オルソ重水素分子(以下、オルソ重水素)とパラ重水素分子(以下、パラ重水素)に分けられる。常温ではオルソ重水素とパラ重水素の比率は2:1(オルソ重水素が約66%,パラ重水素約33%)程度となっている。これをノーマル重水素と呼ぶ。低温でも2:1を保っている。低温に冷えた触媒表面が存在する場合に、ボルツマン分布に従いその表面温度でのオルソ:パラ比を実現し、オルソ重水素の比率が高くなる。
気相においてはオルソ水素からパラ水素への変換(以下、オルソ−パラ転換)は非常にしにくく、非常に長い時間がかかる。一方、低温に冷えた表面に吸着した水素は数分から数十時間でオルソ−パラ転換する。オルソ−パラ転換に伴い、液化水素のオルソ・パラ変換熱が発生し、液化水素の蒸発が生じることが知られている。
重水素についても同様に、気相においてはパラ重水素からオルソ重水素への変換(以下、パラ−オルソ転換)は非常にしにくく、非常に長い時間がかかる。一方、低温に冷えた表面に吸着した水素は数分から数十時間でパラ−オルソ転換する。
たとえば、特許文献2には、液体水素貯蔵装置が開示されており、この液体水素貯蔵装置は、液体水素タンクに磁場をかけることによりパラ水素への転換を抑制して、オルソ水素の状態を保持し、液体水素の蒸発を抑制する。
また、特許文献3には、オルソ・パラ変換促進方法および水素液化促進方法が開示されており、水素の液化時、もしくはその前段階において、エネルギー的に低いパラ水素を高い純度で含むガスを供給することにより、液化水素のオルソ・パラ変換熱を排除することができ、液化水素の蒸発を防ぐ。
さらにまた、特許文献4には、オルソ・パラ水素発生方法及びその装置並びに校正用オルソ・パラ標準水素発生装置が開示されており、このオルソ・パラ水素発生方法は、原料水素を流通させる触媒塔が熱交換的に付設されてなる複数の冷却ステージを備える冷凍機と、冷媒圧縮機と、温度制御手段とを含み、触媒塔内の活性触媒によりパラ水素への転換を促進するように構成したオルソ・パラ水素発生装置を用いて、パラ水素への変換を促進しつつ、任意のオルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して生成する方法である。このオルソ−パラ転換によって、0.02%〜44%の任意の濃度のオルソ水素を生成する。しかし、特許文献4に記載の方法では、オルソ水素の比率を高めた水素を生成することはできない。
非特許文献1、2に、オルソ水素とパラ水素を分離する装置が記載されている。たとえば、非特許文献2に記載の装置は、オルソ水素とパラ重水素を生成するためのマルチステージ分離カラムである。
図4は、前記マルチステージ分離カラムの概略図である。マルチステージ分離カラム100は、活性アルミナ105を備えた7つの分離ステージからなる。各分離ステージの温度は、それぞれ独立に制御されており、ダイオード型温度計101で測定し、熱示差アンプ(不図示)とヒーター103に接続されたフィードバックシステムを使って、設定温度とされている。使用前には、活性アルミナ105のチャンバーは、約150℃で10−4torr以下の圧力とされている。
このマルチステージ分離カラム100では、分離過程は、吸着分離過程と脱離分離過程の2過程を組み合わせて行われている。なお、ここで、吸着分離過程とは、20Kに冷却したアルミナに水素を流す過程で、オルソ水素を選択吸着をさせ、パラ水素を排気する過程であり、脱離分離過程とは、下段から活性アルミナ105の温度を上昇させて上段にオルソ水素を吸着させ、パラ水素は排気する選択吸着を何度も繰り返すことでオルソ水素の純度を上昇させる過程である。
まず、冷却用ガスを配管113から真空スペース102に加え、ヒーター103のフィードバックパワーレベルを約0.5Wとして、活性アルミナ105を約20Kまで冷やす。
次に、ノーマル水素(75%がオルソ水素)またはノーマル重水素(33%がパラ重水素)を活性アルミナ105に吸着させる際に分離をおこなう吸着分離過程をおこなう。ノーマル水素を導入管111から30torrの圧力でマルチステージ分離カラム100に流す。この際、パラ水素よりもオルソ水素の脱離温度が高いため、活性アルミナ105にオルソ水素が選択的に吸着し、パラ水素は排気される。吸着開始数分間、排出管112から流れ出るガスの濃度はパラ水素の濃度が高い。これは、オルソ水素が選択的に活性アルミナ105に吸着するためである。排出管112から流れ出るガスの濃度がノーマル水素、ノーマル重水素濃度になった際に、水素(重水素)の導入を終了する。
その後、脱離過程での分離をおこなう脱離分離過程をおこなう。一段目の分離カラムの温度を70Kまで上昇させ、吸着水素(重水素)を脱離させる。脱離温度が高いオルソ水素(パラ重水素)は2段目の分離カラムに吸着し、パラ水素は排気される。
次に、2段目の分離カラムの温度を70Kまで上昇させ、脱離したオルソ水素を3段目の分離カラムに吸着させ、脱離したパラ水素を排気する。同様の操作を7回繰り返すことで、活性アルミナ105に吸着しているオルソ水素の濃度を徐々に上昇させて、92%の純オルソ水素、また85%純パラ重水素を得ている。
このように、従来の純オルソ水素生成装置は、オルソ水素とパラ水素の脱離温度の違いを元に、吸着過程の吸着と脱離過程での分離を組み合わせて、高純度のオルソ水素を精製するので、分離操作が煩雑であった。特に、脱離分離過程においては7段の分離カラムを作製し、各分離カラムの温度制御を精度良く行わなければならない点と、分離過程が7回にわたる点が繁雑かつ困難であった。
また、多量の純オルソ水素を得るためには、吸着分離過程において、多量の室温の水素を活性アルミナ105に導入する必要がある。この際に活性アルミナ105の温度が上昇してしまう。活性アルミナ105を20Kに精度良く保持するには、大量の冷却用ガスを用いて活性アルミナ105を冷却するか、導入水素をあらかじめ予備冷却する装置が必要であった。
また、吸着分離過程での活性アルミナ105の温度は、経験的に液体水素温度の20Kとされており、冷却用ガスとしては、液体水素(20K)が使用されていたが危険であるため汎用性が低かった。安全のためにHe交換ガス(4K)を使用する際は、ヒーターで制御しながら活性アルミナ105を20Kに保持する必要があった。
さらにまた、従来の純オルソ水素生成装置では、活性アルミナ105表面でのオルソ−パラ転換が早く、分離操作途中(だいたい4分以降)でオルソ水素からパラ水素に転換してしまうため、純オルソ濃度の低下が問題となっていた。
特開2007−71221号公報 特開2006−9917号公報 特開2004−161517号公報 特開2007−99592号公報 クラレンス.M.カニンガム(Clarence.M.Cunningham)、ダクラス.S.チャピン(Douglas.S. Chapin)、ハーリック.L.ジョンストン(Herrick.L.Johnston)、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、1958、vol.80、p.2382−2384. N.S.サリバン(N.S.Sullivan)、C.M.エドワーズ(C.M.Edwards)、M.ラル(M.Rall)、D.ツュオ(D.Zhou)、クライオジェニックス(Cryogenics)、1993、vol.33、No.10、p.1008−1009.
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、簡便にオルソ水素とパラ水素とからなる水素ガスからオルソ水素の比率を高めた水素あるいはオルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して分離するオルソ・パラ水素分離方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、機械式冷凍機により温度調節が可能とされた分離セルを水素ガスの吸着可能温度まで冷却する第1工程と、前記分離セルにオルソ水素とパラ水素とからなる水素ガスを導入して前記分離セルに備えられた吸着部に吸着させる第2工程と、前記分離セルの温度を前記吸着可能温度から上昇させて前記吸着部から前記水素ガスを脱離させて排出する第3工程と、前記水素ガスを捕集する第4工程と、を有し、前記第3工程が、前記分離セルの温度をパラ水素分離温度の範囲としてパラ水素の割合が吸着前の水素ガスのパラ水素の割合より高い水素ガスを脱離させる工程と、前記分離セルの温度を前記パラ水素分離温度の範囲より高温のオルソ水素分離温度の範囲としてオルソ水素の割合が吸着前の水素ガスのオルソ水素の割合より高い水素ガスを脱離させる工程と、からなることを特徴とする。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記吸着部が活性アルミナからなることを特徴とする。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記水素ガスの吸着可能温度が、25K以下であることを特徴とする。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記パラ水素分離温度の範囲が、26K〜42Kの度範囲であることを特徴とする。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記オルソ水素分離温度の範囲が、55K〜75Kの範囲であることを特徴とする。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記第4工程で、オルソ水素の割合が高められた水素ガスを捕集することを特徴とする。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記第4工程で、所定の割合のオルソ水素を有する水素ガスを捕集することを特徴とする。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離装置は、水素ガスを吸着させる吸着部を備えた分離セルと、前記分離セルの温度を水素ガスの吸着可能温度まで冷却することができ、パラ水素の割合が吸着前の水素ガスのパラ水素の割合より高い水素ガスを脱離させるパラ水素分離温度の範囲およびオルソ水素の割合が吸着前の水素ガスのオルソ水素の割合より高い水素ガスを脱離させるオルソ水素分離温度の範囲において、前記分離セルの温度を精度良く保持することができる機械式冷凍機と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、簡便にオルソ水素とパラ水素とからなる水素ガスからオルソ水素の比率を高めた水素あるいはオルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して分離するオルソ・パラ水素分離方法を提供することができる。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記第3工程が、前記分離セルの温度をパラ水素分離温度の範囲としてパラ水素の割合が吸着前の水素ガスのパラ水素の割合より高い水素ガスを脱離させる工程と、前記分離セルの温度を前記パラ水素分離温度の範囲より高温のオルソ水素分離温度の範囲としてオルソ水素の割合が吸着前の水素ガスのオルソ水素の割合より高い水素ガスを脱離させる工程と、からなる構成なので、オルソ水素とパラ水素とからなる水素ガスからオルソ水素の比率を高めた水素あるいはオルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して分離することができる。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記吸着部が活性アルミナからなる構成なので、70K以下においてオルソ水素とパラ水素を混在させて吸着させることができ、オルソ水素とパラ水素とからなる水素ガスからオルソ水素の比率を高めた水素あるいはオルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して分離することができる。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記排出管から接続された貯蔵部に前記水素ガスを捕集する工程で、前記オルソ水素の割合が高められた前記水素ガスを前記貯蔵部に捕集する構成なので、オルソ水素とパラ水素とからなる水素ガスからオルソ水素の比率を高めた水素を安定して分離することができる。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、非特許文献1、2に記載のオルソ水素とパラ水素を分離する装置のように、水素を導入した後、脱離温度の高い水素を選択的に吸着させてパラ水素を排気する過程を行う必要がなく、活性アルミナからなる吸着部の温度制御を25K以下にすればよく、高精度に温度制御する必要がないので予冷する必要がなく、また、装置を小型化することができる。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、従来のオルソ・パラ分離装置で示した一例のように、脱離分離過程において7つのカラムを作製し、それぞれのカラムの温度制御を正確に行い、分離過程を複数回行う必要がない構成なので、簡便にオルソ・パラ水素分離を行うことができる。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離装置は、機械式冷凍機により、水素ガスを吸着させる吸着部を備えた分離セルの温度を水素ガスの吸着可能温度まで冷却することができ、パラ水素の割合が吸着前の水素ガスのパラ水素の割合より高い水素ガスを脱離させるパラ水素分離温度の範囲およびオルソ水素の割合が吸着前の水素ガスのオルソ水素の割合より高い水素ガスを脱離させるオルソ水素分離温度の範囲において、前記分離セルの温度を精度良く保持することができる構成なので、吸着過程でオルソ・パラ分離を行わなくて良く、また、7段の筒上の分離カラムに活性アルミナを入れ、それぞれのカラムで脱離過程における温度制御を必要とする分離過程を必要としないので、従来のオルソ・パラ分離装置で示した一例のように、大量の冷却媒や予備冷却装置を用いて活性アルミナを20Kに保持する吸着分離過程が不必要性となり、これまでに比べて格段に簡便なオルソ・パラ分離を行うことができる。さらにまた、吸着分離過程において脱離温度の高い水素を選択的に吸着させてパラ水素を排気する過程を行う必要がなく、活性アルミナからなる吸着部の温度は25K以下とすればよく、活性アルミナからなる吸着部の温度を高精度に温度制御する必要がないので水素をあらかじめ冷却する必要や、大型冷却装置を必要とせず、オルソ・パラ水素(重水素)分離装置を小型化することができる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。しかし、本発明は、これらの実施形態にのみ限定されるものではない。本発明の範囲内において適宜変更して採用することが可能なものである。
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態であるオルソ・パラ水素分離方法で用いる高純度オルソ・パラ水素(重水素)分離装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態であるオルソ・パラ水素分離方法で用いる高純度オルソ・パラ水素(重水素)分離装置の一例を示す概略図である。図1に示すように、高純度オルソ・パラ水素(重水素)分離装置20は、低真空チャンバー22に機械式冷凍機10が併設されて概略構成されている。
<低真空チャンバー>
低真空チャンバー22の内部には、機械式冷凍機10の先端10aに筒状の筐体からなる分離セル16が配置されている。分離セル16は、外筒28と、中心軸が一致するように上から差し込まれて配置された内筒27と、を有している。
内筒27の上端部は、分離セル16の上部に配置されたT字管24と接続されている。また、内筒27の下端側は、内筒27と外筒28の間に設けられた空洞部16cと連通されており、空洞部16cおよび外筒28の下端側には活性アルミナからなる吸着部18が封入されている。
T字管24の一端は導入管34に接続され、さらに低真空チャンバー22の外部に配置された水素ボンベ15にバルブ31を介して接続されている。また、T字管24の他端は、排出管37に接続され、さらに低真空チャンバー22の外部に配置された圧力計14、検出器(LIFセル)13および排気口17に、十字管26およびバルブ32,33を介して接続されている。
そのため、水素ボンベ15から排出された水素は導入管34を通して、内筒27を通って、内筒27の下端側から、空洞部16cの活性アルミナからなる吸着部18に導入される。このとき、活性アルミナからなる吸着部18を70K以下に冷却することにより、オルソ水素とパラ水素を混在させて吸着させることができる。
また、分離セル16の下側には、Siダイオードからなる温度計12が配置され、分離セル16の温度を測定できるようにされている。
<分離セル>
分離セル16の材料としては、熱伝導性の高い金属であればよく、特に限定されない。たとえば、ジェラルミンなどを挙げることができる。分離セルの大きさも特に限定されない。
なお、吸着部18としては、水素を吸着でき、オルソ水素とパラ水素の吸着エネルギーの差を利用できる表面を有する材料であればよく、オルソ水素とパラ水素の吸着特性が異なるモレキュラーシーブであればよい。たとえば、活性アルミナを挙げることができる。
<圧力計>
圧力計14としては、特に限定されず、市販されている公知のものを用いることができる。十字管26の内部のガス量から、圧力を測定する構成とされている。
<検出器(LIFセル)>
十字管26の一端は、バルブ32を介して検出器(LIFセル)13に接続されている。検出器(LIFセル)13はセル部と検出機械部とからなり、セル部に存在するガスの成分を検出機械部で測定分析できる構成とされている。分析方法としては、たとえば、レーザー誘起蛍光法、多光子共鳴イオン化法などを用いることができる。
<機械式冷凍機>
機械式冷凍機10は、低真空チャンバー22の外部に配置された本体部10bと、低真空チャンバー22の内部に配置された先端10aとからなる。先端10aには、ヒーター(図示略)が取り付けてあり、先端10aの温度を前記ヒーターと本体部10bで操作して高精度で制御することができる。
機械式冷凍機10としては、特に限定されず、市販されている公知のものを用いることができ、たとえば、クライオスタットなどを挙げることができる。クライオスタットとは、冷媒によって、試料の温度を低温で調節して保つ装置である。なお、市販のクライオスタットは、一般にヒーターが備えられていないが、ヒーターを備える構成として、温度制御をより高精度にすることが好ましい。小型の機械式冷凍機10を用いることにより、高純度オルソ・パラ水素(重水素)生成装置を小型化することができる。
水素ボンベから導入管34を介して分離セル16に導入する水素は、常温で、オルソ水素とパラ水素の比率は、3:1(オルソ水素が75%、パラ水素が25%)程度となっている。また、分離セル16から排出管37に排出する水素は、分離セルが後述する工程を行うことにより、オルソ水素の比率を高めた水素あるいはオルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して供給することができる。
なお、水素の代わりに重水素を用いることもできる。
以下、本発明の実施形態であるオルソ・パラ水素分離方法について説明する。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、機械式冷凍機により温度調節が可能とされた分離セルを水素ガスの吸着可能温度まで冷却する第1工程と、前記分離セルにオルソ水素とパラ水素とからなる水素ガスを導入し前記吸着部で吸着させる第2工程と、前記分離セルの温度を前記水素ガスの吸着可能温度から上昇させて前記吸着部から前記水素ガスを脱離させて排出する第3工程と、前記水素ガスを捕集する第4工程と、を有する。
<第1工程>
第1工程は、機械式冷凍機により温度調節が可能とされた分離セルを水素ガスの吸着可能温度まで冷却する工程である。
まず、機械式冷凍機10を操作して、低真空チャンバー22の内部に配置された先端10aの温度を水素ガスの吸着可能温度に冷却する。分離セル16の下側にはSiダイオードからなる温度計12が配置されており、分離セル16の温度が測定される。機械式冷凍機10の先端10aにはヒーターも備えられており、機械式冷凍機10を操作して、分離セルの温度を任意の温度に一定に保つようにすることができる。
なお、事前に、分離セル16の活性アルミナからなる吸着部18を100℃に保ち、0.01PaのHeを12時間流すことが好ましい。これにより、活性アルミナの吸着性能を向上させることができる。
また、導入する水素は、10torr程度の圧力にして、118Kに冷却した冷却タンク(図示略)を通過させて一旦冷却したのち、分離セル16に導入することが好ましい。これにより、水素を効率的に利用することができる。
また、機械式冷凍機10は、分離セル16を水素ガスの吸着可能温度に冷却することができるものが好ましく、たとえば、分離セル16を11Kまで冷却することができるものを用いる。
<水素ガスの吸着可能温度>
水素ガスの吸着可能温度は、25K以下が好ましく、20K以下がより好ましい。たとえば、水素ガスの吸着可能温度を20Kとする。これにより、オルソ水素とパラ水素からなる水素ガスを吸着部に高い割合で吸着させることができるとともに、後述する昇温脱離分離法により、パラ水素を確実に排気することができ、オルソ水素の比率を高めた水素(純オルソ水素)あるいはオルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して分離することができる。
<第2工程>
第2工程は、前記分離セルに接続された導入管から前記分離セルにオルソ水素とパラ水素とからなる水素ガスを導入し、前記分離セルに備えられた吸着部で吸着させる工程である。
バルブ31を開放し、水素ボンベ15からオルソ水素とパラ水素からなる水素を導入管34から分離セル16に流入させる。この際、バルブ32、33は閉止してある。この水素は、常温で、オルソ水素とパラ水素の比率は、3:1(オルソ水素が75%、パラ水素が25%)程度とされている。
分離セル16の空洞部16cに封入された活性アルミナからなる吸着部18は、水素ガスの吸着可能温度(25K以下)まで冷却されているので、導入管34から流入されたオルソ水素とパラ水素からなる水素を混在させて吸着させることができる。
<第3工程>
第3工程は、前記水素ガスの吸着可能温度から徐々に前記分離セルの温度を上昇させて前記吸着部から前記水素ガスを脱離させ、前記分離セルに接続された排出管へ前記水素ガスを排出する工程である(以下、昇温脱離分離法)。
第3工程は、前記第3工程が、前記分離セルの温度をパラ水素分離温度の範囲としてパラ水素の割合が吸着前の水素ガスのパラ水素の割合より高い水素ガスを脱離させる工程(第3−1工程)と、前記分離セルの温度を前記パラ水素分離温度の範囲より高温のオルソ水素分離温度の範囲としてオルソ水素の割合が吸着前の水素ガスのオルソ水素の割合より高い水素ガスを脱離させる工程(第3−2工程)と、からなる
<第3−1工程>
第3−1工程は、パラ水素分離温度の範囲でパラ水素の割合を高めて水素ガスを脱離させ、前記分離セルから前記排出管へ排出させる工程である。
バルブ31を閉止して、水素の導入を止めた後、バルブ32、33を開放する。この後、機械式冷凍機10を操作して、分離セル16の温度を水素ガスの吸着可能温度から段階的に上げる。そして、パラ水素分離温度の範囲で、水素の排出を行うことにより、オルソ水素は吸着部に吸着させたまま、吸着部18に残留していたパラ水素をほとんど排出させることができる。なお、温度上昇の方法は、特に限定されず、各段階で、一定時間一定の温度に保つようにしてもよく、また、連続的に初期温度から目的温度まで上昇させてもよい(以下、同様)。
パラ水素分離温度の範囲は、26K〜42Kが好ましく、26K〜35Kがより好ましい。最も好ましくは、29Kである。
吸着部18からパラ水素を最も効率よく脱離させる温度であるパラ水素分離最適温度が約29Kであるので、第3−1工程で、パラ水素分離温度の範囲を上記範囲とすることにより、パラ水素を確実に脱離させることができる。
また、26K以上の温度でパラ水素の脱離が始まる。また、42Kの温度としたときのパラ水素の脱離量が、26Kの温度でのパラ水素の脱離量とほぼ同じになる。そのため、パラ水素分離温度の範囲を26K〜42Kとすることが好ましい。
さらに、35Kの温度としたときのオルソ水素の脱離量が42Kの温度としたときのオルソ水素の脱離量よりも少ないので、パラ水素分離温度の範囲を26K〜35Kとすることがより好ましい。
<第3−2工程>
第3−2工程は、前記パラ水素分離温度の範囲より高温のオルソ水素分離温度の範囲でオルソ水素の割合を高めて水素ガスを脱離させ、前記分離セルから前記排出管へ排出させる工程である。
機械式冷凍機10を操作して、分離セル16の温度を段階的に上げる。そして、オルソ水素分離温度の範囲で水素の排出を行うことにより、吸着部18に吸着されていたオルソ水素をほとんど排出させることができる。
また、オルソ水素分離温度の範囲は、55K〜75Kが好ましく、65K〜75Kがより好ましい。最も好ましくは、70Kである。
吸着部18からオルソ水素を最も効率よく脱離させる温度であるオルソ水素分離最適温度が約70Kであるので、第3−2工程で、オルソ水素分離温度の範囲を上記範囲とすることにより、オルソ水素を確実に脱離させることができ、オルソ水素の比率を高めた水素(純オルソ水素)あるいはオルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して分離することができる。
なお、55K以上の温度では、パラ水素がほとんど吸着部18に吸着されていない。また、65K以上の温度とすることにより、さらにパラ水素の濃度を少なくすることができる。そのため、オルソ水素分離温度の範囲を55K〜75Kとすることにより、より好ましくは65K〜75Kとすることにより、オルソ水素を確実に脱離させることができ、オルソ水素の比率を高めた水素(純オルソ水素)あるいはオルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して分離することができる。
<第4工程>
第4工程は、前記水素ガスを捕集する工程である。
排出口17に貯蔵部(不図示)を接続して、第3−2工程で排出させる水素ガスを捕集する。これにより、純オルソ水素を得ることができる。
なお、本実施形態では、第3−1工程でパラ水素をほとんど完全に排出させた後、第3−2工程で吸着部18に吸着されていたオルソ水素を排出させることにより、純オルソ水素を捕集することとしたが、第3−1工程でパラ水素を完全に排出させないで、第3−2工程で吸着部18に吸着されていたオルソ水素を排出させることにより、任意の比率のオルソ・パラ水素を得ることができる。
具体的には、昇温脱離分離法とともに、低温で表面に吸着すると数分から数十時間でオルソ−パラ転換が生じる現象を利用して、5〜99%のオルソ水素濃度を有するオルソ・パラ水素を得ることができる。
また、ヒーターを用いて、温度を一定に保つように制御したが、一旦水素ガスの吸着可能温度まで冷却した後、機械式冷凍機10を止めて分離セルの温度を自然に上昇させる構成としてもよい。簡易的に、純オルソ水素を得ることができる。
本発明の実施形態であるオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記第3工程が、前記分離セル16の温度をパラ水素分離温度の範囲としてパラ水素の割合が吸着前の水素ガスのパラ水素の割合より高い水素ガスを脱離させる工程と、前記分離セル16の温度を前記パラ水素分離温度の範囲より高温のオルソ水素分離温度の範囲としてオルソ水素の割合が吸着前の水素ガスのオルソ水素の割合より高い水素ガスを脱離させる工程と、からなる構成なので、オルソ水素の比率を高めた水素あるいはオルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して分離することができる。
本発明の実施形態であるオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記吸着部18が活性アルミナからなる構成なので、70K以下においてオルソ水素とパラ水素を混在させて吸着させることができ、オルソ水素の比率を高めた水素あるいはオルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して分離することができる。
本発明の実施形態であるオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記水素ガスの吸着可能温度が、25K以下である構成なので、オルソ水素とパラ水素からなる水素ガスを吸着部に高い割合で吸着させることができるとともに、後述する昇温脱離分離法により、パラ水素を確実に排気することができ、オルソ水素の比率を高めた水素(純オルソ水素)あるいはオルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して分離することができる。
本発明の実施形態であるオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記パラ水素分離温度の範囲が26K〜42Kの範囲である構成なので、パラ水素を確実に脱離させることができ、オルソ水素の比率を高めた水素あるいはオルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して分離することができる。
本発明の実施形態であるオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記オルソ水素分離温度の範囲が55K〜75Kの範囲である構成なので、オルソ水素を確実に脱離させることができ、オルソ水素の比率を高めた水素(純オルソ水素)あるいはオルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して分離することができる。
本発明の実施形態であるオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、前記オルソ水素の割合が高められた前記水素ガスを捕集する構成なので、オルソ水素の比率を高めた水素を安定して分離することができる。
本発明の実施形態であるオルソ・パラ水素分離方法は、所定の割合の前記オルソ水素を有する前記水素ガスを捕集する構成なので、オルソ−パラ比率を高精度にコントロールした水素を安定して分離することができる。
本発明の実施形態であるオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、非特許文献1、2に記載のオルソ水素とパラ水素を分離する装置のように、水素を導入した後、脱離温度の高い水素を選択的に吸着させてパラ水素を排気する過程を行う必要がなく、活性アルミナからなる吸着部18の温度制御を25K以下にすればよく、高精度に温度制御する必要がないので予冷する必要がなく、また、装置を小型化することができる。
本発明の実施形態であるオルソ・パラ水素(重水素)分離方法は、非特許文献2に記載のオルソ水素とパラ水素を分離する装置のように、液体水素だめからの引き上げがいらない構成なので、オルソ・パラ水素の分離を制御良く効率的に実施することができる。
本発明の実施形態であるオルソ・パラ水素(重水素)分離装置20は、機械式冷凍機10により、水素ガスを吸着させる吸着部18を備えた分離セル16の温度を水素ガスの吸着可能温度まで冷却することができ、パラ水素の割合が吸着前の水素ガスのパラ水素の割合より高い水素ガスを脱離させるパラ水素分離温度の範囲およびオルソ水素の割合が吸着前の水素ガスのオルソ水素の割合より高い水素ガスを脱離させるオルソ水素分離温度の範囲において、前記分離セル16の温度を精度良く保持することができる構成なので、吸着過程でオルソ・パラ分離を行わなくて良く、また、7段の筒上の分離カラムに活性アルミナを入れ、それぞれのカラムで脱離過程における温度制御を必要とする分離過程を必要としないので、従来のオルソ・パラ分離装置で示した一例のように、大量の冷却媒や予備冷却装置を用いて活性アルミナを20Kに保持する吸着分離過程が不必要性となり、これまでに比べて格段に簡便なオルソ・パラ分離を行うことができる。さらにまた、吸着分離過程において脱離温度の高い水素を選択的に吸着させてパラ水素を排気する過程を行う必要がなく、活性アルミナからなる吸着部18の温度は25K以下とすればよく、活性アルミナからなる吸着部18の温度を高精度に温度制御する必要がないので水素をあらかじめ冷却する必要や、大型冷却装置を必要とせず、オルソ・パラ水素(重水素)分離装置を小型化することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
図1に示す高純度オルソ・パラ水素(重水素)分離装置を次にようにして作製した。
まず、低真空チャンバーに機械式冷凍機を併設した。次に、熱伝導度の高いジェラルミンで作製した筒状の分離セルを低真空チャンバー内の機械式冷凍機の先端に取り付けた後、分離セルの空洞部に活性アルミナを封入した。
さらに、分離セルの下側に、ヒーターとSiダイオードからなる温度計を取り付けた。さらに、分離セルの上部に前記空洞部に連通するT字管を取り付け、その一端側を水素ボンベに取り付けた後、他端側を圧力計、検出器(LIFセル)のおよび排気管に取り付けた。なお、水素ボンベとT字管の間にはバルブを配置した。また、T字管、圧力計、検出器(LIFセル)および排気管は十字管で接続し、十字管と排気管および検出器(LIFセル)の間にはバルブを配置した。
分離セルを機械式冷凍機で20K程度まで冷却した後、ヒーターで20Kに保持した。この状態で、バルブを開放して水素ボンベから水素を分離セルに1分間導入した。その後、バルブを閉止して水素の導入を止めた後、2分後に排気し温度を上昇させた。
排気の過程において、十字管と排気管および検出器(LIFセル)の間にはバルブを操作して、排気された水素のオルソ水素とパラ水素の存在強度を、検出器(LIFセル)でレーザー誘起蛍光法を用いて測定した。
最後に、分離セルを70Kとした状態で排気された水素を排気管から貯蔵部に捕集した。
図2は、オルソ水素とパラ水素の脱離強度の温度変化を示すグラフである。図2に示されるように、吸着部からパラ水素が最も脱離しやすい温度であるパラ水素分離最適温度は、約29Kであることが分かった。また、吸着部からオルソ水素が最も脱離しやすい温度であるオルソ水素分離最適温度は約70Kとであることが分かった。
図3は、分離セルを70Kとした状態で排気された水素のJ値別の存在強度スペクトルである。図3(a)は分離操作前の測定結果であり、図3(b)は分離操作後の測定結果である。なお、J値が偶数のものがパラ水素のスペクトルであり、J値が奇数のものがオルソ水素のスペクトルである。
図3に示されるように、分離操作前は、J値が偶数のパラ水素のスペクトルのピークが見られた。一方、分離操作後には、これらのピークは見られなかった。また、J値が奇数のオルソ水素のスペクトルでは、分離操作前と分離操作後で違いはほとんど見られなかった。これにより、純オルソ水素を精製できたことが分かった。
本発明は、オルソ・パラ水素分離方法に関するものであって、水素を利用する産業、たとえば、水素貯蔵合金、燃料電池などの製造業などにおいて利用可能性がある。
本発明のオルソ・パラ水素(重水素)分離装置を示す概略図である。 オルソ水素とパラ水素の脱離強度の温度変化を示すグラフである。 分離セルを70Kとした状態で排気された水素のJ値別の存在強度スペクトルである。 従来のオルソ・パラ水素分離装置を示す概略図である。
符号の説明
10…機械式冷凍機、10a…先端、10b…本体部、12…Siダイオードからなる温度計、13…検出器(LIFセル)、14…圧力計、15…水素ボンベ、16…分離セル、16c…空洞部、17…排気口、18…吸着部(活性アルミナ)、20…高純度オルソ・パラ水素(重水素)分離装置、22…低真空チャンバー、24…T字管、26…十字管、27…内筒、28…外筒、31、32、33…バルブ、34…導入管、37…排気管、100…マルチステージ分離カラム、101…サーモメーター、102…真空/交換ガス、103…ヒーター、104…スクリーン、105…活性アルミナ、106…シール、107…ラジエーションシールド、111…導入管、112…排出管、113…導入管。

Claims (8)

  1. 機械式冷凍機により温度調節が可能とされた分離セルを水素ガスの吸着可能温度まで冷却する第1工程と、前記分離セルにオルソ水素とパラ水素とからなる水素ガスを導入して前記分離セルに備えられた吸着部に吸着させる第2工程と、前記分離セルの温度を前記吸着可能温度から上昇させて前記吸着部から前記水素ガスを脱離させて排出する第3工程と、前記水素ガスを捕集する第4工程と、を有し、
    前記第3工程が、前記分離セルの温度をパラ水素分離温度の範囲としてパラ水素の割合が吸着前の水素ガスのパラ水素の割合より高い水素ガスを脱離させる工程と、前記分離セルの温度を前記パラ水素分離温度の範囲より高温のオルソ水素分離温度の範囲としてオルソ水素の割合が吸着前の水素ガスのオルソ水素の割合より高い水素ガスを脱離させる工程と、からなることを特徴とするオルソ・パラ水素(重水素)分離方法。
  2. 前記吸着部が活性アルミナからなることを特徴とする請求項1に記載のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法。
  3. 前記水素ガスの吸着可能温度が25K以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法。
  4. 前記パラ水素分離温度の範囲が26K〜42Kの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法。
  5. 前記オルソ水素分離温度の範囲が55K〜75Kの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法。
  6. 前記第4工程で、オルソ水素の割合が高められた水素ガスを捕集することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法。
  7. 前記第4工程で、所定の割合のオルソ水素を有する水素ガスを捕集することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオルソ・パラ水素(重水素)分離方法。
  8. 水素ガスを吸着させる吸着部を備えた分離セルと、前記分離セルの温度を水素ガスの吸着可能温度まで冷却することができ、パラ水素の割合が吸着前の水素ガスのパラ水素の割合より高い水素ガスを脱離させるパラ水素分離温度の範囲およびオルソ水素の割合が吸着前の水素ガスのオルソ水素の割合より高い水素ガスを脱離させるオルソ水素分離温度の範囲において、前記分離セルの温度を精度良く保持することができる機械式冷凍機と、を有することを特徴とするオルソ・パラ水素(重水素)分離装置。

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