JP5250642B2 - 可変リフトオフ電圧プロセスフィールド機器 - Google Patents

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Description

本発明はフィールド機器に関する。特に、本発明は2線式プロセス制御ループにより給電されるフィールド機器に関する。
プロセス機器は産業プロセス制御システムにおいて産業プロセスを監視及び/又は制御するのに用いられる。制御機器はプロセスを制御するのに用いられるプロセス機器である。制御機器の例には、ポンプ、バルブ、アクチュエータ、ソレノイド、モーター、ミキサ、混合器(ミキサー)、攪拌機、破砕機、粉砕機、ローラー、圧延機、混練機、濾過器、ブレンダー、サイクロン(集塵機)、遠心分離器、塔(タワー)、乾燥機、運搬機、分離器、エレベータ、ホイスト、加熱器、冷却器及びその他の機器が含まれる。送信機はプロセス機器であり、例えば温度、圧力、流量、その他といったプロセス変数を監視するなどすることにより、プロセスの動作を検知(又は監視)するのに用いられる。監視されるプロセス変数は送信されて、当該変数をプロセス内の他の機器例えば中央制御室などにより利用できるようになる。
2線式プロセスフィールド機器はプロセス機器であり、リモート配置されるか、又はそうでない場合は、2線式プロセス制御ループへの接続を介して全電力を受信することを必要とされるかするプロセス機器である。2線式プロセス制御ループとは2本の導線を利用する配線系で、監視又は制御下にあるプロセスに関する情報を伝達するのに用いられる配線系のことを指す。例えば、1つの標準的な形式の2線式プロセス制御ループでは4−20mA電流レベルを利用してプロセス変数を表現する。こうした構成においては、圧力のような検知したプロセス変数を表している電流レベルを、送信機が例えば10mAといった値に制御することができる。
プロセス機器に接続するのに必要となる配線の量を減らすために、多くのプロセス機器では、2線式プロセス制御ループから完全に給電されるようになっている。こうして、プロセス機器で利用可能な電力合計量は制限を受ける。例えば4−20mA電力ループでは、(例えば3.6mAといったように)電流レベルを設定できる最低レベルと、(例えば24ボルト未満の何らかの値といったように)本質安全を要求される配置における機器内で許容可能な電圧降下の最大値と、により利用可能な合計電力は制限される。この例では機器に給電するのに0.09ワット未満しか利用できない。
多くの場合、2線式プロセス制御ループからの利用可能な電力の量によって、プロセス機器の機能は制限を受ける。例えば、追加的機能にはマイクロプロセッサによる追加的計算能力が必要となる。この追加計算による電力のため、電力をより多く必要とするようになり、ループから利用可能な電力量を超過してしまうこともある。プロセスフィールド機器内の回路で利用可能な電力の量を増やすため、フィールド機器では、非常に効率のよい電源を利用することで、2線式プロセスから受信した電力を、内部回路での利用のために調整された電圧レベルに変換するのが典型的である。電源の一種であるスイッチングレギュレータは、フィールド機器の構成部品に対して調整された電源電圧を供給する効率がよいことから、プロセス機器でずっと利用されてきた。スイッチングレギュレータの利用は例えば、米国特許番号第5,535,243号で1996年7月9日に「フィールド備え付け送信機用の電源(POWER SUPPLY FOR FIELD MOUNTED TRANSMITTER)」の名称で発行された特許や、米国特許番号第5,973,942号で1996年10月26日に「直流電源フィールド機器用スタートアップ回路(START UP CIRCUIT FOR DC POWERED FIELD INSTRUMENT)」の名称で発行された特許に記載されている。しかしながら、スイッチングレギュレータはプロセス制御ループにノイズを発生させるかもしれず、当該ノイズによりループ上の情報伝達が変更されたり又は悪影響を受けたりする可能性がある。
フィールド送信機は、プロセス変数を測定又は制御するよう構成されるフィールド機器回路を含む。第1のプロセス制御ループ端子は、2線式プロセス制御ループに接続するよう構成され、該2線式プロセス制御ループはループ電流を流す。第2のプロセス制御ループ端子は、該2線式プロセス制御ループに接続するよう構成される。スイッチングレギュレータは入力部と出力部とを有する。該出力部は、送信機回路に接続するよう構成され、該送信機回路に電力を提供するよう設定される。可変電圧源は、第1のプロセス制御ループ端子に電気的に接続する入力部と、スイッチングレギュレータの入力部に接続する電圧出力部と、制御入力部と、を有し、電圧出力は制御入力の関数である。
2線式プロセス制御ループに接続するプロセス機器を含む、プロセス制御/監視システムを示す簡略図である。 機器に電力を供給する電源を含む、フィールド機器内の回路の簡略ブロック図である。 オーム単位の負荷と電圧との関係のグラフで、典型的な送信機における負荷限界を示すグラフである。 本願発明に係る、可変リフトオフ電圧を有するフィールド機器に対する、最大負荷抵抗と電源電圧との関係のグラフである。 スイッチングレギュレータを含む、従来技術のフィールド機器のブロック図である。 スイッチングレギュレータとリニアレギュレータとを含む、フィールド機器のブロック図である。 本願発明に係る、可変入力電圧を有するスイッチングレギュレータを含むフィールド機器のブロック図である。
図1は産業プロセス制御/監視システム100の簡略図であり、当該システム100内には、2線式プロセスフィールド機器の1つの形態であるプロセス送信機102が産業プロセスへ接続、特にプロセス配管104へ接続している。送信機102はまた2線式プロセス制御ループ110に接続し、当該ループ110は制御室112に接続する。プロセス制御ループ110は、図示するように電流Iを運び、HART(登録商標)通信規格やフィールドバス又はプロフィバス規格などといったような産業標準を含む、任意の技術に準拠して稼働することができる。プロセス送信機102として説明しているが、本願発明は、効率的な電力変換が望ましい任意の種類のプロセス機器において実施することができる。制御室112は、オペレータ又は他のサービススタッフが利用するためにリモート配置されてもよいし、又は、任意の終端、プロセス制御ループ110に沿って配置若しくはその他の配置をされてもよい。
図2は、図1に示す送信機102の簡略ブロック図である。送信機102は、プロセスに接続するための変換器120を含む。例えば、変換器120は、プロセス変数を測定するための圧力センサ、温度センサ又はその他のセンサといったようなセンサであってよい。プロセスを制御することのできるフィールド機器において、変換器は、例えばバルブや発熱体を備えていてもよい。フィールド機器回路122は変換器120に接続し、例えばプロセス変数測定の較正又は補償をしたり、プロセス変数を計算したり、診断又はフィールド機器で実行されうる他の任意の機能を実行したりするのに用いられる。一般的に、フィールド機器回路122に追加機能があると、回路122の電力要求が増加することとなる。電源及び入出力回路124は、図示するようにフィールド機器回路122に接続し、2線式プロセス制御ループ110に接続する。回路124は、2線式プロセス制御ループ110上での通信に用いられ、例えば図1に示す制御室112へ向けて、測定又は計算したプロセス変数をループ110により送信するのに用いられる。回路124はまた、送信機102内の回路が要求する全電力をまかなうための電力出力を提供する。
背景技術の項で議論したように、プロセス制御ループから受信する電力によって完全に電力供給されるプロセスフィールド機器は、当該機器の電力要求を満たすため、高効率の電圧レギュレータを必要とすることがある。この事情によって結果として、フィールド機器に電力供給するため、スイッチングレギュレータが用いられることになることがある。スイッチングレギュレータの短所の1つとして、システムにノイズを乗せないようにして作動するためには、比較的大きなキャパシタを必要とする、という点がある。このことは、大きな容量値を用いることのできない環境において、特に問題となる。例えば、本質安全要件を満たすためには、フィールド機器の蓄積できるエネルギー量は制限される。このことにより、2線式通信ループから引き出す電力が少なく、また同時に本質安全要件を満たすのに必要な小さい容量値を保ちながら、2線式通信リンクにノイズが乗るのを制限する要求を満たすのは困難となる。
典型的な4−20mAフィールド機器は、固定値のリフトオフ電圧を有し、電力を浪費する。本願において「リフトオフ(電圧)値」とは、機器の正常動作を保証するため、機器端子において必要となる最小の直流電圧のことである。例えば、高いループ電流レベル(例えば20mA)では、シャントレギュレータは出力トランジスタにおいて電力を浪費している。この常態的に浪費される電力を有効に獲得しようと、様々な技術が提案されてきた。
一方、負荷抵抗を含む典型的なループでは、低いループ電流値レベル(例えば4mA)において、送信機の端子電圧が、当該送信機に対する特定のリフトオフ電圧よりも高くなることがよくある。これはつまり、送信機の電子回路に給電するのに用いるレギュレータにおいて、電力が浪費されている、ということを意味する。本願発明は、この常態的に浪費されている電力を利用することを目的とする。より詳しくは、本願発明では、低いループ電流におけるリフトオフ電圧が高くされ、余った電力が、送信機の電子回路で利用できるようにする。さらに、高いループ電流では、特定のリフトオフ電圧が低くされて、この結果として静止電流が4mAを超えて大きくなるが、所望のループ電流値よりは低くなるよう維持される。従って、機器を稼働させるのに必要な端子電圧は、ループ電流に依存する。低いループ電流(4mA)では高い端子電圧が必要とされ、高いループ電流(20mA)では低い端子電圧が必要とされる。
本願発明によれば、ループ電源や負荷抵抗から得られる電力であって、プロセス変数送信機又は他のフィールド機器で用いる電力の、効率的な利用が可能となる。フィールド機器の典型的な製品データシートには、オペレータが、特定用途に対して電源と負荷抵抗とを選択するにあたって手引きとなる、負荷限界グラフが含まれる。図3は、典型的な送信機に対する、負荷抵抗−電源電圧グラフである。このグラフは、所与のループ電源供給に対して、負荷の最大抵抗値を示している。ここで負荷とは、負荷抵抗と、ループ配線や本質安全バリアといったような他の抵抗と、を含む全てのループ抵抗である。図3のグラフでは、リフトオフ電圧は10.5ボルトである。この電圧が、送信機が動作するために送信機端子において要求される、最小の電圧である。
図4は、本願発明に係るフィールド機器の、負荷抵抗と電源電圧とのグラフである。図4では、(図3より引き写した)点線は、標準的なフィールド機器に対する、標準的なフィールド使用でのグラフを示しており、実線は、本願発明の一実施例に係るフィールド機器に対する、最大負荷抵抗と電源電圧との関係を示している。この構成により、電力量が増大する結果となる。この構成により、フィールド機器において15ボルトのリフトオフ電圧を利用できるようになるが、約10.5ボルトの「有効」リフトオフ電圧が存在する。15.8ボルト以上のループ電源電圧では、図4に示す本願発明のフィールド機器に対する負荷限界は、標準的なフィールド機器と同じである。(デジタルのHART(登録商標)通信では最低250オームの負荷抵抗が必要となり、その結果、15.8ボルトより電圧の高い電源が採用されることが典型的であることに注意して下さい。)産業標準のループ電源電圧は、典型的には24ボルトから40ボルトの間である。従って、典型的な構成においては、ユーザが新規のフィールド機器構成によって影響を受けることはないと考えられ、標準的な手法に従って単純に、フィールド機器を設置して稼働させればよい。本願発明は、任意の適切な技術を用いて実施することができる。一例では、スイッチングレギュレータに可変入力電圧を提供する、可変型プリレギュレータ構造が利用される。この構成によって、回路を隔離してスイッチングレギュレータからの高電圧のループ電圧から遮断し、スイッチングレギュレータからのノイズがプロセス制御ループに侵入するのを防ぐ。
以下に、本願発明の動作をより詳細に説明する。上述したように、プロセス機器は正常な動作のために、「リフトオフ電圧」と通常は呼ばれる充分な電圧を、端子間に必要とする。「リフトオフ電圧」の典型的な例としては、12ボルトといったような定電圧が挙げられる。端子間に少なくとも12ボルトある限り、機器は正常動作することができる。プロセス制御ループを駆動するのに用いる電源には、全ての稼働条件下における機器端子間の所望の電圧降下をまかなえるよう、充分に大きい電圧を選択せねばならない。さらに、プロセス制御ループには負荷抵抗が含まれ、当該負荷抵抗によってまたループ内に電圧降下が発生する。負荷抵抗は最低でも250オームあることが典型的であり、電流測定とデジタルのHART(登録商標)通信とを支えるために必要となる。その他の電圧降下には、配線と任意の本質安全バリアとを通じた電圧降下が含まれる。こうして、12ボルトのリフトオフ電圧を有する機器の動作を支えるのに必要な典型的な電源は、24ボルトの出力を有することとなる。
プロセス機器のリフトオフ電圧を下げるのが望ましいことがよくある。これが望ましいのは、ループに給電するのに用いる電源への制約が減るためである。しかしながら、リフトオフ電圧の低い機器は一般的に、内部回路で利用できる電力が小さくなる。
プロセス機器で利用可能な電圧が最小となるのは、ループ電流が最大となるときである。この最大ループ電流によって、負荷抵抗とループの他の抵抗源とに最大の電圧降下が発生し、機器端子間に最小電圧が発生する。例えば、24ボルトの電源と500オームの負荷抵抗とを有するプロセス制御ループでは、ループで4mAの電流が流れていれば、負荷抵抗では2ボルトの電圧降下となる。(この例では、配線や本質安全バリア起因の、他の直列抵抗の値は無視していることに注意せよ。)この結果、機器端子間で22ボルトの電圧降下となり、0.088ワットの電力が利用可能となる。その一方でまた、ループが電流20mAで稼働していれば、負荷抵抗では10ボルトの電圧降下があり、機器端子では14ボルトしか利用できない。同様に、20mAにおいて機器の電力消費は、20mA×14ボルト=0.28ワット、で与えられる。機器の回路が0.015ワットしか利用しないとすれば、残りの電力はシャントレギュレータで浪費され、熱に変換されるだけである。このことは、4mAから20mAの全ての電流レベルにおいて起こる。
その一方で、本願発明においては、ループ電流が4mAよりも大きい場合、この浪費電力がリフトオフ電圧を下げるのに利用される。これにより、機器が用いる静止電流(quiescent current)を増加させることができる。より詳細には、浪費された電力の一部を回復するため、機器のリフトオフ電圧が可変となるようにする。これにより、以下の例で説明する数々の利点が得られる。
例1:
例1では電源と負荷抵抗とに要求される制約が減ることを説明する。この例の構成においては、12ボルトのリフトオフ電圧を必要とする典型的な送信機が、500オームの負荷抵抗と共に利用される。最小の電源電圧(power supply)は:
Vps(最小)=12V+20mA×500Ω=22V …(式1)
しかしながら、本願発明に係る、可変リフトオフ電圧を有するフィールド機器による実施が行われるならば、より低電圧の電源を利用することができる。例えば、リフトオフ電圧は次で与えられる:
Vliftoff=13.5V−Iloop×0.375 …(式2)
(これは単に本願における一例の関係であって、このような構成に限定されるわけではない。)式2に従い、ループが4mAで稼働しているとすると、リフトオフ電圧は12ボルトとなり、必要となる最小の電源電圧は、12ボルト+4mA×500オーム=14ボルト、となる。同様に、ループ電流12mAでは、リフトオフ電圧は9ボルトとなり、必要となる最小の電源電圧は、9ボルト+12mA×500オーム=15ボルト、となる。ループにおける最大のループ電流値である20mAにおいては、リフトオフ電圧は6ボルトであり、その結果、必要となる最小の電源電圧は、6ボルト+20mA×500オーム=16ボルト、となる。こうして、このシナリオにおけるループは、典型的なプロセス機器に要求される22ボルトの電源とは大いに異なり、16ボルトの電源を用いて給電することができる。同様の分析により、24ボルトの電源を利用する場合には、12ボルトのリフトオフ電圧の典型的な機器は、600オーム以下の最大負荷抵抗を用いて稼働することができる、ということを説明できる。しかしながら、本願発明の可変リフトオフ電圧の機器を利用することで、24ボルトの電源を900オーム以下の負荷抵抗と共に利用することができる。
こうして、(式1)の典型的な機器においては、機器の電力は、(最小ループ電流)×(リフトオフ電圧)=3.6mA×12V=43.2mW、に制限される。
(式2)の本願発明に係る機器では、機器の電力は、全てのループ電流を考慮の上で制限される:
● 3.6mAではリフトオフ電圧は12.15Vであり、利用可能な電力は(3.6mA)×(12.15)=43.7mW(式2で選んだパラメータからそれほど進展していない)
● 4mAではリフトオフ電圧は12Vであり、利用可能な電力は(4mA)×(12)=48mW
● 20mAではリフトオフ電圧は6Vであり、利用可能な電力は(20mA)×(6)=120mW
これは、制限となる場合は最小ループ電流においてであり、このとき43.7mWが回路に給電するのに利用可能である、ということを示している。
いずれの機器も回路に対してほぼ同量の電力、すなわち43mW、を供給していることに注意してください。
例2:
この例では、小さいループ電流においてリフトオフ電圧を従来のレベルよりも上げ、大きいループ電流においてリフトオフ電圧を下げることにより、電力の量を増大させる。この例では、フィールド機器は、ループ電流4mAにて16ボルトのリフトオフ電圧を、ループ電流20mにて12ボルトのリフトオフ電圧を、有するものと仮定する。これにより式3が導出される:
Vliftoff=17−Iloop×0.25 …(式3)
ループ電流4mAと機器端子間電圧16ボルトとにおいて、機器が利用可能な電力は4mA×16V=64mWである。負荷抵抗が250オームであると仮定すると、典型的なフィールド機器には電源電圧として、12+0.02×250=17V、が必要となる。可変リフトオフ電圧の機器では電源電圧として、16+0.004×250=17V、すなわち典型的な機器におけるのと同じ電圧、が必要となる。こうして、この負荷抵抗と17Vの電源電圧とを用いて、典型的な機器では48mWしか利用できないのに対して、新規の機器では給電に64mWが利用できる。同様の利点は250オームよりも大きな負荷抵抗においても実現されるが、250オームよりも小さな負荷抵抗では実現されない。これは図4に示した機器と類似している(しかし同一ではない)。対照的に、リフトオフ電圧12ボルトの従来機器では、4mA×12V=48mW、だけしか利用可能な電力がない。
図5は、可変リフトオフ電圧を提供するスイッチングレギュレータを用いる、従来技術のフィールド機器の簡略ブロック図である。図5では、フィールド機器200は第1及び第2の端子202及び204を含み、これら端子は2線式プロセス制御ループ206に接続している。2線式プロセス制御ループ206は、ループ抵抗208と電源210とを含み、ループ電流ILを運ぶ。フィールド機器200は、スイッチングレギュレータ212、シャントレギュレータ214及び機器回路216を含む。この例では、簡略化のためにスイッチングレギュレータ212は効率100%であるものとする。スイッチングレギュレータ212はループから効率的に電力を取り入れ、機器回路216を駆動する。回路の例には、マイクロプロセッサ、アナログデジタル変換器、通信回路及びセンサ回路、などが含まれる。シャントレギュレータ214は、フィールド機器200に給電するのに用いられていない電流を、ループ206に戻るように分路する。こうして、分路電流Ishuntは、ループ電流ILから機器に給電する静止電流IQを引いたものに等しくなる。
静止電流の全ては、スイッチングレギュレータ212を通過する。しかしながら、これは機器に必要とされる電力を供給するのみであるので、以下に示す通り、入力電圧が大きくなるにつれて、ループから取り入れる電流は小さくなる:
IQ×VIN=ICIRCUIT×VCIRCUIT≒15mW …(式4)
ここで、VINはレギュレータに対する入力電圧であり、VCIRCUITは回路216に提供される電圧であり、ICIRCUITは電子回路216を流れる電流である。これから次の式が得られる:
IQ=PCIRCUIT/VIN …(式5)
図5の回路では、入力電圧の増大と共に減少する静止電流が与えられる。これによって可変リフトオフ電圧が与えられ、当該リフトオフ電圧によって機器は、(ISETが4mAとなる)高い入力電圧において低い静止電流で稼働し、(ISET=20mAとなる)低い入力電圧において高い静止電流で稼働することが可能となる。しかしながら、この構成に関する1つの問題点は、例えば40ボルトより大きくなるなど、端子電圧が比較的大きくなりうる、という点である。典型的なスイッチングレギュレータは、このような高い電圧では稼働できず、このことによって回路設計が複雑となる。その他の問題としては、スイッチングレギュレータがプロセス制御ループ206に直接接続されており、不均一な電流消費によって過大な電圧ノイズをループ内に発生させてしまう、という点がある。このノイズによって、デジタル通信が阻害されたり、ループ電流測定にエラーを引き起こしたりすることがある。
こうした問題点に対する1つの解決策の例を、図6に示す。図6では、図5と類似の構成要素は付与番号を共通としている。図6に示す構成において、フィールド機器230は、リニアレギュレータ232を含むハイブリッド電源回路を含む。リニアレギュレータは、例えば10ボルトといったような、固定された予め設定した調整電圧VPREを、スイッチングレギュレータ212に提供するのに用いられる。この構成によって、(例えば10ボルトのような)低い入力電圧のみを受け入れればよく、(40−50Vのような)大きい入力電圧を扱う必要のないスイッチングレギュレータ212を利用することができるようになる。こうしたレギュレータは、必要となるのはより少ない構成要素であり、複雑さも低減される。さらに、この構成によれば、ループ端子202と204とが、スイッチングレギュレータ212によるノイズから隔離される。しかしながら、この構成においては、静止電流IQは固定され、端子電圧とは独立となる。
図7に、可変リフトオフ電圧を提供する、本願発明の一例の実施形態に係るフィールド機器250を示す。図7の構成要素で、その他の図5及び6に示されているのと類似の構成要素は、簡略化のために番号付与を共通としている。図7に示す構成において、スイッチングレギュレータ212に提供される電圧(VPRE)は可変であり、値を変更することができる。より詳細には、リニアレギュレータ232は、機器回路216からの制御信号を受信する、制御入力部を有する。この例では、機器回路より提供される制御信号ISETの関数として、VPREは変化する。ISETは、シャントレギュレータによりILOOPをISHUNTの関数として制御するのに利用される。
例えば、ISETがループ電流を4mAに設定したときに、VPREを10ボルトとなるよう設定することができる。ISETがループ電流を20mAに設定すると、VPREを5ボルトに減らすようにすることができる。これらの条件下において、機器回路216が電力15mWを必要とすれば、ループ電流4mAにおける静止電流は1.5mA(15mW/10ボルト)となる。同様に、ISETがループ電流を20mAに設定したときは、静止電流は3mA(15mW/5ボルト)となる。しかしながら、機器回路216が15mWではなくて30mWを必要とするときは、静止電流は倍となって、ループ電流4mAにおいて3mAとなり、ループ電流20mAにおいて6mAとなる。
図7に示す機器は、ループ電流4mAにおいてリフトオフ電圧12ボルトを有し、ループ電流20mAにおいてリフトオフ電圧7ボルトを有することとなる。こうして、機器250は、24ボルトのシステム電源と、最大850オームまでの負荷抵抗208と、によって動作することができる。機器で利用できる追加の電力は、将来において利用するために蓄積しておいてもよいし、追加の計算や診断などといったような、集中的な作業に給電するための電力を提供するのに利用してもよい。1つの構成においては、追加の無線通信回路が提供され、これらの技術によって給電される。
本明細書にて示した構成により、ループ電源と負荷抵抗とに対する制約が減少される。さらに、当該構成はフィールド機器の回路に対する追加電力を提供する。
本願発明は好ましい実施形態を参照して説明してきたが、当業者には、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形式及び詳細に変更を加えうることが理解されるであろう。
スイッチングレギュレータに提供される電圧とループ電流との間の関係は、線形および非線形の関係を含む、任意の所望の関係であってよい。機器回路は、リニアレギュレータに対する(ISETを介した)レギュレータ出力コントローラとして図示されている。しかしながら、個別のレギュレータ出力コントローラを用いてもよい。
200…フィールド機器、216…フィールド機器回路、212…スイッチングレギュレータ、232…可変電圧源

Claims (15)

  1. フィールド機器であって、
    プロセス変数を測定又は制御するよう構成されるフィールド機器回路と、
    ループ電流を流す2線式プロセス制御ループに接続するよう構成される第1のプロセス制御ループ端子と、
    前記2線式プロセス制御ループに接続するよう構成される第2のプロセス制御ループ端子と、
    入力部と出力部とを有するスイッチングレギュレータで、前記出力部が前記フィールド機器回路に接続して当該フィールド機器回路に給電するよう設定されるスイッチングレギュレータと、
    前記第1のプロセス制御ループ端子に電気的に接続する入力部と、前記スイッチングレギュレータの入力部に接続する電圧出力部と、制御入力部とを有する可変電圧源とを備え、前記電圧出力部の電圧出力が前記制御入力部の制御入力の関数であることを特徴とするフィールド機器。
  2. 前記可変電圧源からの電圧出力がループ電流に対して非線形関係を有することを特徴とする請求項1に記載の機器。
  3. 前記可変電圧源からの電圧出力がループ電流に対して線形関係を有することを特徴とする請求項1に記載の機器。
  4. 前記2線式プロセス制御ループへの電流を分路するよう構成されるシャントレギュレータを含むことを特徴とする請求項1に記載の機器。
  5. 前記可変電圧源が電圧レギュレータを備えることを特徴とする請求項1に記載の機器。
  6. 前記可変電圧源の制御入力部が前記フィールド機器回路に接続することを特徴とする請求項1に記載の機器。
  7. 前記フィールド機器が必要とする静止電流を超える電流を分路するよう構成されるシャントレギュレータを含み、当該シャントレギュレータが前記フィールド機器回路に応答して機能することを特徴とする請求項6に記載の機器。
  8. 前記フィールド機器が送信機を備えることを特徴とする請求項1に記載の機器。
  9. 前記ループ電流がプロセス変数に関連づけられることを特徴とする請求項8に記載の機器。
  10. プロセスフィールド機器に給電する方法であって、
    該フィールド機器の第1及び第2のプロセス制御ループ端子を、ループ電流を流す2線式プロセス制御ループに接続する段階と、
    前記第1のプロセス制御ループ端子に接続された可変電圧源の出力をスイッチングレギュレータに入力する段階と、
    前記スイッチングレギュレータにて入力電圧を受け取る段階と、
    前記スイッチングレギュレータによる出力でフィールド機器回路を給電する段階と、
    前記スイッチングレギュレータへの前記入力電圧を前記可変電圧源の制御入力の関数として制御する段階とを備えることを特徴とする方法。
  11. 前記スイッチングレギュレータへの前記入力電圧がループ電流に対して非線形関係を有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 前記スイッチングレギュレータへの前記入力電圧がループ電流に対して線形関係を有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
  13. 前記2線式プロセス制御ループへの電流を分路する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
  14. 前記スイッチングレギュレータへの前記入力電圧前記可変電圧源を制御することにより制御されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  15. プロセス変数に基づいて前記ループ電流を制御する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
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