以下では、図1を用いて、本発明の一実施形態であるベルト式無段変速機1を具備するトランスミッション100について説明する。なお、本実施形態に係るトランスミッション100は、農業車両であるトラクタに具備されるものとして説明するが、本発明はこれに限るものではなく、その他の農業車両や建設車両、産業車両等、広く車両全般に適用することが可能である。また、以下では図中の矢印Aの方向を前方向と定義して、説明を行う。
トランスミッション100は、駆動源となるエンジンからの動力を変速した後に出力するものである。トランスミッション100は、ベルト式無段変速機1、PTO出力軸101、遊星歯車機構102、遊星歯車機構103、副変速機構104、駆動出力軸105等を具備する。
ベルト式無段変速機1は、伝達される動力を無段階に変速した後に出力するものである。ベルト式無段変速機1は、入力軸10、入力プーリ20、ベルト90、出力プーリ50、伝達軸40、出力軸60等を具備する。
前記エンジンからの動力は、入力軸10に伝達される。入力軸10に伝達された動力は、入力プーリ20、ベルト90、出力プーリ50、及び伝達軸40を介して出力軸60に伝達される。また、入力プーリ20及び出力プーリ50の溝幅を調節することにより、ベルト式無段変速機1による動力の変速比を無段階に変更することができる。
PTO出力軸101は、入力軸10と同一軸線上に配置され、当該入力軸10と連動して回転することにより動力を伝達するものである。PTO出力軸101からの動力は、前記トラクタに連結される種々の作業機を駆動するための動力を取り出すPTOシャフトへと伝達される。
遊星歯車機構102及び遊星歯車機構103は、ベルト式無段変速機1の出力軸60から伝達される動力及びPTO出力軸101から伝達される動力を合成した後に出力するものである。
副変速機構104は、ベルト式無段変速機1、遊星歯車機構102、又は遊星歯車機構103から伝達される動力を変速した後に出力するものである。副変速機構104は、種々の歯車やクラッチ等を具備し、伝達される動力を正転又は逆転させて出力することができる。
駆動出力軸105は、副変速機構104からの動力を伝達するものである。駆動出力軸105からの動力は、最終減速機構等を介して前記トラクタの車輪へと伝達される。
このように構成されたトランスミッション100において、前記エンジンからの動力は、ベルト式無段変速機1、遊星歯車機構102、遊星歯車機構103、及び副変速機構104によって変速された後、駆動出力軸105から出力される。当該動力により前記トラクタの車輪が回動して、トラクタが前進又は後進する。また、ベルト式無段変速機1等の変速比を変更することにより、前記トラクタの車速を任意に調節することができる。
なお、本実施形態に係るトランスミッション100は、遊星歯車機構102、遊星歯車機構103、副変速機構104等を具備するものとしたが、本発明に係るベルト式無段変速機を適用することができるトランスミッション100はこれに限るものではなく、駆動源からの動力を変速した後に出力するトランスミッション100に広く適用することが可能である。
以下では、図2から図10までを用いて、ベルト式無段変速機1について詳細に説明する。ベルト式無段変速機1は、入力軸10、入力プーリ20、油圧シリンダ30、伝達軸40、出力プーリ50、出力軸60、スプリング70、カム機構80、ベルト90等を具備する。
図2及び図3に示すように、入力軸10は、前記エンジンに連結され、当該エンジンからの動力を伝達するものである。入力軸10は、軸線方向を前後方向として配置される。入力軸10の後端部近傍には、前方から後方にかけて入力軸10の直径が小さくなるようなテーパ部10aが形成される。
入力プーリ20は、入力軸10上に配置され、一対のシーブを具備する滑車である。入力プーリ20は、固定シーブ21、可動シーブ22等を具備する。
固定シーブ21は、略円筒形状の軸筒部、及び当該軸筒部の前端に一体的に形成される環状かつ側面断面視で略円錐台形状のシーブ部を有する部材である。固定シーブ21は、シーブ部を軸筒部よりも前方に配置して、入力軸10のテーパ部10aに外嵌される。固定シーブ21のシーブ部の前面21aは、前方から後方にかけて直径が大きくなるような傾斜面として形成される。固定シーブ21の軸線上には、当該固定シーブ21を前後方向に貫通する貫通孔21bが形成される。貫通孔21bの内周面は、当該貫通孔21bの内径が前方から後方にかけて小さくなるように、テーパ状に形成される。固定シーブ21の貫通孔21bには、前方から入力軸10が挿通される。入力軸10のテーパ部10aと、テーパ状に形成された貫通孔21bとが嵌め合わされることにより、固定シーブ21が入力軸10に対して相対回転不能かつ摺動不能に固定される。
このように、固定シーブ21をテーパを用いて入力軸10に固定することで、スプラインやセレーションを用いて固定する場合に比べて製造コストの低減を図ることができる。さらに、固定シーブ21と入力軸10との嵌合のガタを無くすことができるため、ベルト式無段変速機1の変速比の変化や、ベルト90と固定シーブ21との接触面の耐久性の低下を防ぐことができる。
貫通孔21bの内周面及びテーパ部10aの外周面には、それぞれ溝が形成され、当該溝に半月キー21cが配置される。これによって、なんらかの理由で入力軸10と固定シーブ21とが相対回転しようとした場合であっても、半月キー21cと前記溝が係合するため、入力軸10と固定シーブ21とが相対回転することを防止できる。
固定シーブ21のすぐ後ろでは、ロックナット21dが入力軸10に締結される。これによって、固定シーブ21が入力軸10上を後方へと摺動すること、及び固定シーブ21と入力軸10とが相対回転することを防止でき、固定シーブ21を入力軸10に確実に固定することができる。
固定シーブ21の軸筒部は軸受21eに挿通され、当該軸受21eを介して図示せぬミッションケースに対して回動可能に支持される。
このように、固定シーブ21と入力軸10とを別部品とすることで、固定シーブ21が痛んだ場合等には固定シーブ21のみを交換することができ、固定シーブ21と入力軸10とを一体の部品とする場合に比べて、部品交換コストの低減を図ることができる。また、切削加工により入力軸10及び固定シーブ21を形成する場合、固定シーブ21と入力軸10とを一体の部品とする場合に比べて加工時の切削無駄を少なくすることができる。従って、製造コストの低減を図ることができる。
可動シーブ22は、略円筒形状の軸筒部、及び当該軸筒部の後端に一体的に形成される環状かつ側面断面視で略円錐台形状のシーブ部を有する部材である。可動シーブ22は、シーブ部を軸筒部よりも後方に配置して、入力軸10のテーパ部10aよりも前方の部分に外嵌される。可動シーブ22のシーブ部の後面22aは、後方から前方にかけて直径が大きくなるような傾斜面として形成される。可動シーブ22の軸線上には、当該可動シーブ22を前後方向に貫通する貫通孔22bが形成される。可動シーブ22の貫通孔22bには、後方から入力軸10が挿通される。固定シーブ21の前面21aと可動シーブ22の後面22aとが入力軸10上で対向するように配置されることで、当該前面21a及び後面22aにより入力プーリ20の溝が形成される。また、貫通孔22bの内周面及び入力軸10の外周面には、入力軸10の軸線方向に沿ってそれぞれ溝が形成される。前記溝は、貫通孔22bの内周面及び入力軸10の外周面の円周方向に等間隔に3箇所形成され、互いに向かい合わせに位置する一対の溝に鋼球22c・22c・・・が配置される。これによって、可動シーブ22が入力軸10に対して軸線方向に摺動可能かつ相対回転不能に支持される。可動シーブ22のシーブ部の前面には、ネジ穴22d・22d・・・が形成される。当該ネジ穴22d・22d・・・は、可動シーブ22の円周方向に等間隔に4箇所形成される。
なお、本発明においては、前記溝同士の間隔を等間隔に限るものではなく、前記溝の個数及びネジ穴22dの個数を上記の個数に限るものではない。
油圧シリンダ30は、可動シーブ22を入力軸10上でその軸線方向に摺動させるものである。油圧シリンダ30は、可動側シリンダケース31、固定側シリンダケース32等を具備する。
可動側シリンダケース31は、その前部が開放された箱状の部材である。可動側シリンダケース31の後面の中心には貫通孔31aが軸線方向に形成され、当該貫通孔31aには可動シーブ22の軸筒部が挿通される。可動側シリンダケース31の後面で貫通孔31aの周囲には、貫通孔31b・31b・・・が軸線方向に形成される。当該貫通孔31b・31b・・・は、可動側シリンダケース31の円周方向に等間隔に4箇所形成される。
なお、本発明においては、貫通孔31b同士の間隔を等間隔に限るものではなく、前記貫通孔31bが形成される箇所を4箇所に限るものではない。
可動シーブ22のシーブ部の前面と可動側シリンダケース31の後面とを当接させ、貫通孔31b・31b・・・とネジ穴22d・22d・・・とを重ね合わせた状態で、前方から貫通孔31b・31b・・・を介してネジ穴22d・22d・・・にボルト31c・31c・・・を締結することにより、可動側シリンダケース31は可動シーブ22に固設される。
固定側シリンダケース32は、その後部が開放された箱状の部材である。固定側シリンダケース32の前面の中心には貫通孔32aが形成され、当該貫通孔32aには入力軸10が挿通される。固定側シリンダケース32の後部は、可動側シリンダケース31の開放側(前方)から当該可動側シリンダケース31に挿通される。固定側シリンダケース32と可動側シリンダケース31との間には、シール部材32bが配置される。
固定側シリンダケース32のすぐ前では、入力軸10が軸受32cに挿通され、当該軸受32cを介して図示せぬミッションケースに対して回動可能に支持される。
軸受32cのすぐ前では、ロックナット32dが入力軸10に締結される。これによって、軸受32cが前方へと摺動することを防止するとともに、当該軸受32cを介して固定側シリンダケース32が前方へと摺動することを防止できる。
このように構成された油圧シリンダ30において、可動シーブ22、可動側シリンダケース31、及び固定側シリンダケース32により閉塞された空間に油圧室33が形成される。図示せぬ油路を介して油圧室33に作動油を圧送することにより、可動側シリンダケース31が入力軸10上を後方に向かって摺動する。すなわち、油圧シリンダ30が伸張する。この状態で、油圧室33から作動油を排出可能な状態にした後に、可動側シリンダケース31を前方に向かって付勢すると、可動側シリンダケース31が入力軸10上を前方に向かって摺動する。すなわち、油圧シリンダ30が縮小する。
図2及び図4に示すように、伝達軸40は、軸線方向を前後方向に向けて入力軸10と平行に配置される。伝達軸40の前端部近傍には、後方から前方にかけて伝達軸40の直径が小さくなるようなテーパ部40aが形成される。
出力プーリ50は、伝達軸40上に配置され、一対のシーブを具備する滑車である。出力プーリ50は、固定シーブ51、可動シーブ52等を具備する。
固定シーブ51は、固定シーブ21と同一の材質で、同一の形状に形成される部材である。すなわち、固定シーブ51は、略円筒形状の軸部、及び当該軸部の後端に一体的に形成される略円錐台形状のシーブ部を有する。固定シーブ51のシーブ部の後面51aは、後方から前方にかけて直径が大きくなるような傾斜面として形成される。固定シーブ51の軸線上には、当該固定シーブ51を前後方向に貫通する貫通孔51bが形成される。貫通孔51bの内面は、後方から前方にかけて内径が小さくなるようなテーパ状に形成される。固定シーブ51の貫通孔51bには、後方から伝達軸40が挿通される。伝達軸40のテーパ部40aと、テーパ状に形成された貫通孔51bとが嵌め合わされることにより、固定シーブ51が伝達軸40に対して相対回転不能かつ摺動不能に固定される。
このように、固定シーブ51をテーパを用いて伝達軸40に固定することで、スプラインやセレーションを用いて固定する場合に比べて製造コストの低減を図ることができる。さらに、固定シーブ51と伝達軸40との嵌合のガタを無くすことができるため、ベルト式無段変速機1の変速比の変化や、ベルト90と固定シーブ51との接触面の耐久性の低下を防ぐことができる。
貫通孔51bの内周面及びテーパ部40aの外周面には、それぞれ溝が形成され、当該溝に半月キー51cが配置される。これによって、なんらかの理由で伝達軸40と固定シーブ51とが相対回転しようとした場合であっても、半月キー51cと前記溝が係合し、相対回転することを防止できる。
固定シーブ51の前方からは、伝達軸40にロックナット51dが締結される。これによって、固定シーブ51が前方へと摺動することを防止でき、固定シーブ51を伝達軸40に確実に固定することができる。
固定シーブ51の軸部は軸受51eに挿通され、当該軸受51eを介して図示せぬミッションケースに対して回動可能に支持される。
このように、固定シーブ51と伝達軸40とを別部品とすることで、固定シーブ51が痛んだ場合等には固定シーブ51のみを交換することができ、固定シーブ51と伝達軸40とを一体の部品とする場合に比べて、部品交換コストの低減を図ることができる。また、切削加工により伝達軸40及び固定シーブ51を形成する場合、固定シーブ51と伝達軸40とを一体の部品とする場合に比べて加工時の切削無駄を少なくすることができる。従って、製造コストの低減を図ることができる。さらに、ベルト式無段変速機1が自動車等の生産量の多い製品に用いられる場合、金型費を回収し易いため、金型を用いた鍛造により固定シーブ51と伝達軸40とを一体的に形成した方が製造コストの低減を図ることができるが、ベルト式無段変速機1が本実施形態に係るトラクタ等の農業車両や建設車両、産業車両等の生産量の少ない製品に用いられる場合、金型を用いずに固定シーブ51及び伝達軸40を別個に製造することで、製造コストの低減を図ることができる。
可動シーブ52は、可動シーブ22と同一の材質で、同一の形状に形成される部材である。すなわち、可動シーブ52は、略円筒形状の軸部、及び当該軸部の前端に一体的に形成される略円錐台形状のシーブ部を有する。可動シーブ52のシーブ部の前面52aは、前方から後方にかけて直径が大きくなるような傾斜面として形成される。可動シーブ52の軸線上には、当該可動シーブ52を前後方向に貫通する貫通孔52bが形成される。可動シーブ52の貫通孔52bには、前方から伝達軸40が挿通される。固定シーブ51の後面51aと可動シーブ52の前面52aとが対向するように配置されることで、当該後面51a及び前面52aにより出力プーリ50の溝が形成される。また、貫通孔52bの内周面及び伝達軸40の外周面には、伝達軸40の軸線方向に沿ってそれぞれ溝が形成され、当該溝に鋼球52c・52c・・・が配置される。これによって、可動シーブ52が伝達軸40に対して軸線方向に摺動可能かつ相対回転不能に支持される。可動シーブ52のシーブ部の後面には、ネジ穴52d・52d・・・が形成される。当該ネジ穴52d・52d・・・は、可動シーブ52の円周方向に等間隔に4箇所形成される。
なお、本発明においては、ネジ穴52d同士の間隔を等間隔に限るものではなく、ネジ穴52dが形成される箇所を4箇所に限るものではない。
上記の如く、入力プーリ20の固定シーブ21及び可動シーブ22と、出力プーリ50の固定シーブ51及び可動シーブ52と、をそれぞれ同一の部品で共用することで、部品の種類を削減することができ、ひいては部品コストの低減を図ることができる。
出力軸60は、伝達軸40と同一軸線上に配置されるものである。出力軸60の前端側には、外筒部61及び内筒部62が形成される。外筒部61は、軸線方向を前後方向に向けて配置され、前方側が開放された有底筒状に形成される。内筒部62は、外筒部61内において、軸線方向を前後方向に向けて配置され、前方側が開放された有底筒上に形成される。外筒部61及び内筒部62は、その軸線が一致して、前後方向に所定の長さを有するように形成される。外筒部61の内周面と内筒部62の外周面との間には、一定の隙間61aが形成される。外筒部61の前面には、ネジ穴63・63・・・(図5参照)が形成される。当該ネジ穴63・63・・・は、外筒部61の円周方向に等間隔に4箇所形成される。
なお、本発明においては、ネジ穴63同士の間隔を等間隔に限るものではなく、ネジ穴63が形成される箇所を4箇所に限るものではない。
出力軸60の前後中途部は軸受64に挿通され、当該軸受64を介して図示せぬミッションケースに対して回動可能に支持される。
出力軸60の内筒部62には、伝達軸40の後端部が相対回転可能かつ軸方向摺動可能に支持される。このように、前後方向に所定の長さを有する内筒部62により伝達軸40を支持することで、伝達軸40が傾斜することがなく、当該伝達軸40を出力軸60と同一軸線上に確実に支持することができる。また、出力軸60と伝達軸40との間に軸受等の部材を配置する必要がないため、部品点数及び製造工程を削減することができ、製造コストの低減を図ることができる。
スプリング70は、可動シーブ52を前方へと付勢するものである。スプリング70は、出力軸60の外筒部61と内筒部62との隙間61aに配置される。スプリング70の後端は出力軸60と当接され、スプリング70の前端は可動シーブ52の後端と当接される。スプリング70の付勢力によって、可動シーブ52は前方、すなわち固定シーブ51と近接する方向へと付勢される。このように、前後方向に所定の長さを有する隙間61aにスプリング70を配置することで、スプリング70が屈曲したり、当該スプリング70の位置が出力軸60の径方向にずれたりすることを防止することができる。
図4から図7までに示すように、カム機構80は、出力プーリ50及び出力軸60間のトルクの伝達を可能とするものである。カム機構80は、シーブ側カム81、軸側カム82等を具備する。
シーブ側カム81は、略円筒形状の部材である。シーブ側カム81は、軸線方向を前後方向に向けて、かつ軸線が伝達軸40の軸線と一致するように配置される。このシーブ側カム81の軸線上には所定の内径を有する貫通孔81aが形成される。シーブ側カム81の前面には、軸線方向と直交する平面が形成され、シーブ側カム81の後面には、第一面81b・81b、第二面81c・81c、及び軸線方向と直交する第三平面81d・81dが形成される。
図5から図7までに示すように、第一面81b・81bは、第三平面81dに対して角度α1だけ傾斜するように形成される。すなわち、シーブ側カム81の前面から第一面81b・81bまでの距離は、シーブ側カム81の周方向一側から他側に向かって大きくなる。
第二面81c・81cは、第一面81b・81bの他側端に連続して、第三平面81dに対して角度α2だけ傾斜するように形成される。第二面81c・81cは第一面81b・81bと逆向きに傾斜した面であり、シーブ側カム81の前面から第二面81c・81cまでの最短距離は、シーブ側カム81の周方向一側から他側に向かって小さくなる。このようにして、第一面81bと第二面81cとの連続部分が、シーブ側カム81の後面において、後方に向かって凸となるように形成される。また、角度α2は、角度α1よりも大きくなるように設定される。
第三平面81d・81dは、第一面81b・81bの一側端及び第二面81c・81cの他側端に連続して、シーブ側カム81の周方向と平行、すなわちシーブ側カム81の前面と平行となるように形成される。第三平面81d・81dには、シーブ側カム81の前面と後面とを貫通する貫通孔81f・81fが形成される。
シーブ側カム81の後面には、2つの第一面81b・81b、2つの第二面81c・81c、及び2つの第三平面81d・81dが、シーブ側カム81の周方向一側から他側に向かって、第一面81b、第二面81c、第三平面81d、第一面81b、第二面81c、第三平面81dの順に形成される。
図4及び図5に示すように、シーブ側カム81の貫通孔81aには、前方から可動シーブ52の軸筒部が挿通される。可動シーブ52のシーブ部の後面とシーブ側カム81の前面とを当接させ、貫通孔81f・81fとネジ穴52d・52dとを重ね合わせた状態で、後方から貫通孔81f・81fを介してネジ穴52d・52dにボルト81e・81eを締結することにより、シーブ側カム81は可動シーブ52に固設される。このように、可動シーブ52のネジ穴52d・52d・・・(可動シーブ22のネジ穴22d・22d・・・)は、可動シーブ22と可動側シリンダケース31とを固設する際にも、可動シーブ52とシーブ側カム81とを固設する際にも、同一のネジ穴52d・52d・・・(ネジ穴22d・22d・・・)として共用することができる。
図4から図6までに示すように、軸側カム82は、シーブ側カム81と同一の材質で、同一の形状に形成される部材である。すなわち、軸線方向を前後方向に向けて、かつ軸線が伝達軸40の軸線と一致するように配置され、その軸線上には所定の内径を有する貫通孔82aが形成される。軸側カム82の後面には、軸線方向と直交する平面が形成され、軸側カム82の前面には、第一面82b・82b、第二面82c・82c、及び第三平面82d・82dが形成される。第一面82b・82b、第二面82c・82c、及び第三平面82d・82dの形状は、シーブ側カム81の第一面81b・81b、第二面81c・81c、及び第三平面81d・81dの形状とそれぞれ同一である。第三平面82d・82dには、軸側カム82の前面と後面とを貫通する貫通孔82f・82fが形成される。なお、本実施形態では、第一面81b・82b、第二面81c・82c、及び第三平面81d・82dは、外周上にそれぞれ二つずつ設けているが、三つずつ以上設ける構成とすることも可能である。
軸側カム82の貫通孔82aには、前方から伝達軸40が挿通される。出力軸60の外筒部61の前面と軸側カム82の後面とを当接させ、貫通孔82f・82fとネジ穴63・63とを重ね合わせた状態で、前方から貫通孔82f・82fを介してネジ穴63・63にボルト82e・82eを締結することにより、軸側カム82は出力軸60に固設される。その結果、シーブ側カム81の後面と軸側カム82の前面とが対向するように配置される。このように、軸側カム82の貫通孔82f・82f(シーブ側カム81の貫通孔81f・81f)は、シーブ側カム81と可動シーブ52とを固設する際にも、軸側カム82と出力軸60とを固設する際にも、同一の貫通孔82f・82f(貫通孔81f・81f)として共用することができる。
上記の如く、シーブ側カム81と軸側カム82とを同一の部品で共用することで、部品の種類を削減することができ、ひいては部品コストの低減を図ることができる。また、カム機構80を、ローラやスプリング等を用いることなく、シーブ側カム81及び軸側カム82のみで構成することで、出力プーリ50と出力軸60との間にコンパクトに配置することができ、構造の簡単化を図ることができる。従って、製造工程を削減することができ、製造コストの低減を図ることができる。
図2から図4までに示すように、ベルト90は、入力プーリ20の溝及び出力プーリ50の溝に巻回され、入力プーリ20の動力を出力プーリ50へと伝達するものである。ベルト90は、金属製の薄板が重ねられたバンドと、金属製のエレメントからなる金属ベルトである。なお、本発明はこれに限るものではなく、ベルト90としてゴム製、チェーン製、又は樹脂製のベルトを用いてもよい。
入力プーリ20の溝に巻回されたベルト90は、油圧シリンダ30により所定の力で可動シーブ22が固定シーブ21側へと押されることで、入力プーリ20に挟持される。出力プーリ50の溝に巻回されたベルト90は、スプリング70の付勢力等により所定の力で可動シーブ52が固定シーブ51側へと押されることで、出力プーリ50に挟持される。
以下では、上述の如く構成されたベルト式無段変速機1における、動力伝達の態様について説明する。
前記エンジンからの動力により入力軸10が回転されると、当該入力軸10とともに入力プーリ20も回転される。入力プーリ20が回転されると、ベルト90を介して出力プーリ50が回転される。出力プーリ50が回転されると、出力プーリ50に固設されたシーブ側カム81が回転される。シーブ側カム81が回転すると、シーブ側カム81の第一面81b・81bと軸側カム82の第一面82b・82bとが当接し、シーブ側カム81の回転に伴って軸側カム82が回転される。軸側カム82が回転されると、出力軸60が回転され、当該出力軸60から動力が出力される。
油圧室33へ作動油を圧送し、油圧シリンダ30を伸張させた場合、可動シーブ22が入力軸10上を後方に向かって摺動するため、固定シーブ21の前面21aと可動シーブ22の後面22aとの間隔(入力プーリ20の溝幅)が狭くなる。入力プーリ20の溝幅が狭くなると、入力プーリ20に巻回されるベルト90の径が大きくなる。ベルト90の全長は一定であるため、入力プーリ20に巻回されるベルト90の径が大きくなると、出力プーリ50の可動シーブ52がスプリング70の付勢力に抗して後方へと摺動して、出力プーリ50の溝幅が広くなり、出力プーリ50に巻回されるベルト90の径(以下、単に「出力プーリ径」と記す)Dは小さくなる。このように入力プーリ20に巻回されるベルト90の径を大きくし、出力プーリ径Dを小さくすることで、ベルト式無段変速機1の変速比が増速側へと変わる。
油圧室33内の作動油を排出可能な状態にすると、入力プーリ20に巻回されているベルト90の張力の前方への分力により、可動シーブ22が前方に向かって摺動するため、入力プーリ20の溝幅が広くなる。入力プーリ20の溝幅が広くなると、入力プーリ20に巻回されるベルト90の径が小さくなる。ベルト90の全長は一定であるため、入力プーリ20に巻回されるベルト90の径が小さくなると、出力プーリ50の可動シーブ52がスプリング70の付勢力により前方へと摺動して、出力プーリ50の溝幅が狭くなり、出力プーリ径Dは大きくなる。このように入力プーリ20に巻回されるベルト90の径を小さくし、出力プーリ径Dを大きくすることで、ベルト式無段変速機1の変速比が減速側へと変わる。
ここで、出力プーリ50の可動シーブ52が固定シーブ51に向かってベルト90を押し付ける力(以下、単に「押付力」と記す)Fと、ベルト式無段変速機1により伝達されるトルク(以下、単に「伝達トルク」と記す)Tと、の関係について説明する。
図8に示すように、押付力Fには理想値Ftが存在する。
押付力Fが理想値Ftよりも小さい範囲(図8中のX参照)においては、ベルト式無段変速機1によって十分なトルクの伝達を行うことができない。また、大きなトルクを伝達しようとすると、押付力Fが不足しているため、ベルト90と出力プーリ50との間に滑りが生じ、トルクを伝達することができない場合がある。
押付力Fが理想値Ftよりも大きい範囲(図8中のY参照)においては、出力プーリ50が伝達トルクTに対して必要以上の押付力Fでベルト90を挟持するため、滑らかにベルト90を回転させることができず、動力損失が生じる。
よって、十分なトルクを伝達するとともに、効率よくトルクを伝達するためには、押付力Fを可能な限り理想値Ftに近い値とすることが必要となる。
本実施形態におけるカム機構80は、シーブ側カム81から軸側カム82へと伝達するトルクに応じて、出力プーリ50に押付力Fを発生させることができる。詳細には、カム機構80が伝達するトルクに応じて、シーブ側カム81と軸側カム82との間に捩れが生じる(図9(a)中の白抜き矢印参照)。この場合、シーブ側カム81の第一面81b・81bと軸側カム82の第一面82b・82bとが当接しているため、当該当接した面に従ってシーブ側カム81と軸側カム82とが離間する方向に力が発生する。当該力によりシーブ側カム81が軸側カム82から離間する方向に移動することで、可動シーブ52が固定シーブ51へと付勢される。また、可動シーブ52はスプリング70によっても固定シーブ51へと付勢されているため、カム機構80による付勢力とスプリング70による付勢力との合力が、出力プーリ50の押付力Fとなる。
図10(a)には、伝達トルクTが小さい場合における、出力プーリ径Dと押付力Fとの関係を示す。図10(a)中のFtは理想値を、Frは実測値を、それぞれ示す。図10(a)に示すように、理想値Ftは、出力プーリ径Dが大きくなるにつれて小さくなる。
伝達トルクTが小さい場合、シーブ側カム81と軸側カム82との間に生じる捩れが小さいため、カム機構80が可動シーブ52を付勢する力は小さい。
この場合において、油圧シリンダ30を動作させることにより入力プーリ20の溝幅を広くしていくと、出力プーリ50の可動シーブ52が固定シーブ51に向かって摺動し、出力プーリ50の溝幅は狭くなっていく。すなわち、出力プーリ径Dは大きくなっていく。この場合、可動シーブ52が出力軸60から離間する方向へと摺動するため、スプリング70の全長が長くなる。これによって、スプリング70が可動シーブ52を付勢する力は小さくなるため、出力プーリ径Dが大きくなるにつれ、押付力Fは小さくなる。
このように、出力プーリ径Dが大きくなるにつれてスプリング70による付勢力が小さくなるため、実測値Frは理想値Ftに追従するように変化する。これによって、出力プーリ径Dに応じて、押付力Fの実測値Frを理想値Ftに近づけることができ、十分なトルクを伝達するとともに、効率よくトルクを伝達することができる。
図10(b)には、伝達トルクTが大きい場合における、出力プーリ径Dと押付力Fとの関係を示す。図10(b)に示すように、理想値Ftは、出力プーリ径Dが大きくなるにつれて小さくなる。伝達トルクTが大きい場合、伝達トルクTが小さい場合(図10(a)参照)に比べて理想値Ftが大きくなるが、カム機構80による付勢力も伝達トルクTに応じて大きくなるため、実測値Frも大きくなる。これによって、伝達トルクTが大きい場合においても押付力Fの実測値Frを理想値Ftに近づけることができ、十分なトルクを伝達するとともに、効率よくトルクを伝達することができる。
伝達トルクTが大きい場合、シーブ側カム81と軸側カム82との間に生じる捩れが大きいため、カム機構80が可動シーブ52を付勢する力は大きい。
この場合において、油圧シリンダ30を動作させることにより入力プーリ20の溝幅を広くしていくと、出力プーリ50の可動シーブ52が固定シーブ51に向かって摺動し、出力プーリ50の溝幅は狭くなっていく。すなわち、出力プーリ径Dは大きくなっていく。この場合、可動シーブ52が出力軸60から離間する方向へと摺動するため、スプリング70の全長が長くなる。これによって、スプリング70が可動シーブ52を付勢する力は小さくなるため、出力プーリ径Dが大きくなるにつれ、押付力Fは小さくなる。
このように、出力プーリ径Dが大きくなるにつれてスプリング70による付勢力が小さくなるため、実測値Frは理想値Ftに追従するように変化する。これによって、出力プーリ径Dに応じて、押付力Fの実測値Frを理想値Ftに近づけることができ、十分なトルクを伝達するとともに、効率よくトルクを伝達することができる。なお、動力伝達が行われなくなると、つまり、伝達トルクTがカム機構80に加わらなくなると、スプリング70による付勢力のみが出力プーリ50に対する押付力Fとなり、出力プーリ50の可動シーブ52は、当該押付力Fに対応する軸線方向位置まで戻る。
上記の如く、伝達トルクTに応じて出力プーリ50に押付力Fを付与するカム機構80を、ローラや弾性部材等の部材を用いることなく、簡単に構成することができる。これによって、製造コストの低減を図ることができる。
また、本実施形態におけるカム機構80は、エンジンブレーキを使用する場合等において出力軸60から入力軸10へとトルクを伝達することもできる。すなわち、図2から図4までに示すように、走行中にエンジンブレーキをかける場合には、出力軸60とともに軸側カム82が回転される。軸側カム82が回転すると、軸側カム82の第二面82c・82cとシーブ側カム81の第二面81c・81cとが当接し、軸側カム82の回転に伴ってシーブ側カム81が回転される。シーブ側カム81が回転されると、出力プーリ50が回転される。出力プーリ50が回転されると、ベルト90を介して入力プーリ20が回転される。入力プーリ20の回転に伴って入力軸10が回転され、当該回転によりエンジンを回転させることにより、エンジンブレーキをかけることができる。
この場合においても、カム機構80は、軸側カム82からシーブ側カム81へと伝達するトルクに応じて、出力プーリ50に押付力Fを発生させることができる。詳細には、カム機構80が伝達するトルクに応じて、軸側カム82とシーブ側カム81との間に捩れが生じる(図9(b)中の白抜き矢印参照)。この場合、軸側カム82の第二面82c・82cとシーブ側カム81の第二面81c・81cとが当接しているため、当該当接した面に従って軸側カム82とシーブ側カム81とが離間する方向に力が発生する。当該力によりシーブ側カム81が軸側カム82から離間する方向に移動することで、可動シーブ52が固定シーブ51へと付勢される。また、可動シーブ52はスプリング70によっても固定シーブ51へと付勢されているため、カム機構80による付勢力とスプリング70による付勢力との合力が、出力プーリ50の押付力Fとなる。
上記の如く、シーブ側カム81及び軸側カム82に、第一面81b・81b及び第二面81c・81c、並びに第一面82b・82b及び第二面82c・82cをそれぞれ形成することで、入力軸10から出力軸60へと伝達されるトルクだけでなく、出力軸60から入力軸10へと伝達されるトルクに応じて出力プーリ50に押付力Fを付与することができる。
以下では、上述の如く構成されたベルト式無段変速機1に瞬間的に大きなトルクが加わった場合の動作態様について説明する。
ベルト式無段変速機1を具備するトラクタ等においては、瞬間的に大きなトルク(以下、単に「ピークトルク」と記す)が当該ベルト式無段変速機1に加わる場合がある。例えば、フロントローダを用いた作業中において、前進しながらフロントローダのバケットを土砂に突き刺す場合等である。この場合、車輪を支持する車軸にピークトルクが加わり、ひいてはベルト式無段変速機1にピークトルクが加わる。この場合、ピークトルクに応じて大きな押付力Fで出力プーリ50に巻回されるベルト90を挟持しなければ、ベルト90と出力プーリ50との間に滑りが生じ、トルクを伝達できない状態になる場合がある。
このようにピークトルクが発生した場合において、本実施形態におけるカム機構80は、当該ピークトルクに応じて出力プーリ50に押付力Fを発生させることができる。詳細には、ピークトルクに応じて、シーブ側カム81と軸側カム82との間に捩れが生じる(図9(a)中の白抜き矢印参照)。この場合、シーブ側カム81の第一面81b・81bと軸側カム82の第一面82b・82bとが当接しているため、当該当接した面に従ってシーブ側カム81と軸側カム82とが離間する方向に力が発生する。当該力によりシーブ側カム81が軸側カム82から離間する方向に移動することで、可動シーブ52が固定シーブ51へと付勢される。これによって、ピークトルクが発生した場合は、出力プーリ50の押付力Fが増加する。
このように、ピークトルクが発生した場合には、カム機構80によって出力プーリ50の押付力Fを増加することができるため、ベルト90と出力プーリ50との間に滑りが生じることを防止することができ、ベルト式無段変速機1はトルクを伝達することができる。
また、ピークトルクが大きい場合、シーブ側カム81と軸側カム82との間に生じる捩れも大きくなるため、出力プーリ50の押付力Fをより大きく増加させることができる。同様に、ピークトルクが小さい場合、シーブ側カム81と軸側カム82との間に生じる捩れも小さくなるため、出力プーリ50の押付力Fをわずかだけ増加させることができる。このように、ピークトルクの値に応じて、出力プーリ50の押付力Fを調節することができ、ベルト式無段変速機1は、十分なトルクを伝達するとともに、効率よくトルクを伝達することができる。
さらに、本実施形態の如くカム機構80を用いることで、ピークトルクが発生した瞬間に出力プーリ50の押付力Fを増加させることができるため、油圧制御等により出力プーリ50の押付力Fを増加させる場合よりも応答が速く、確実にベルト90と出力プーリ50との間に滑りが生じることを防止することができる。
なお、第一面81b・82b及び第二面81c・82cの形状は、本実施形態である凹凸のない曲面形状に限るものではない。すなわち、第一面81b・82b及び第二面81c・82cの形状は、伝達トルクTに応じた押付力Fを出力プーリ50に付与することができる形状であればよい。特に、伝達トルクTに応じた押付力Fを出力プーリ50に付与するために、第一面81b・82b及び第二面81c・82cの形状は、凹凸の少ないものが望ましい。
また、本実施形態において、カム機構80のシーブ側カム81及び軸側カム82は、第一面81b・81b、第二面81c・81c、及び第三平面81d・81d、並びに第一面82b・82b、第二面82c・82c、及び第三平面82d・82dをそれぞれ具備する形状としたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、伝達トルクTに応じた押付力Fを出力プーリ50に付与することができる形状であればよい。
また、本実施形態においては、カム機構80を出力プーリ50側に配置するものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、入力プーリ20側に配置することや、入力プーリ20側及び出力プーリ50側の双方に配置することも可能である。
以上の如く、本実施形態に係るベルト式無段変速機1は、
伝達軸40と、
伝達軸40に固定される固定シーブ51、及び伝達軸40に軸方向に摺動可能かつ相対回転不能に支持される可動シーブ52を有する出力プーリ50と、
伝達軸40と同一軸線上に配置される出力軸60と、
可動シーブ52と出力軸60との間に介在し、可動シーブ52及び出力軸60間のトルクの伝達を可能とするとともに、トルクに応じた軸方向の押し付け力を可動シーブ52に付与するカム機構80と、
可動シーブ52を固定シーブ51側へ付勢するスプリング70と、
を具備するベルト式無段変速機1であって、
出力軸60は、内筒部62と当該内筒部62を囲繞する外筒部61とからなる二重筒構造を有して、伝達軸40の一側を内筒部62内に挿入して回転自在に支持し、スプリング70を外筒部61と内筒部62との間に挿入して軸方向に伸縮可能に支持するものである。
このように構成することにより、出力プーリ50と出力軸60との間の構造を簡単に構成することが可能となる。したがって、製造コストおよび製造時の手間を低減することができる。また、スプリング70および伝達軸40が出力軸60に沿って配置されることとなる。したがって、スプリング70および伝達軸40を安定して支持することができる。
また、カム機構80は、シーブ側カム81と当該シーブ側カム81に当接する軸側カム82とを含み、これらのシーブ側カム81及び軸側カム82を伝達軸40に対して相対回転可能に外嵌して、シーブ側カム81を可動シーブ52に固定し、軸側カム82を出力軸60の外筒部61に固定するものである。
このように構成することにより、カム機構80を出力プーリ50と出力軸60との間にコンパクトに配置して、出力プーリ50と出力軸60との間の構造の簡単化を図ることが可能となる。したがって、製造コストおよび製造時の手間を低減することができる。