JP5248420B2 - 電力用開閉器及びその消弧方法 - Google Patents
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Description
ここで、高電圧とは、直流にあっては750Vを、交流にあっては600Vを超え、7kV以下の電圧である(電気設備技術基準第2条)との規定がある。また、国際電気標準会議(IEC)による国際規格では、直流1.5kV、交流1kV以上を高圧としている。例えば、交流の公称電圧6.6kVの変圧器では、電圧調整用のタップが7.3kVまで用意されており、同一電力機器を6.9kVで使用した場合に高電圧、7.3kVで使用すると特別高圧となる矛盾が生ずるので、本発明では、IEC国際規格の高電圧の定義を採用するものである。
ここで使用する消弧装置には、細隙形、バッファ形、磁気駆動形等様々な方式のものが存在し、各々の方式には一長一短がある。
そして、磁気駆動形の場合は、遮断時のアーク電流を利用して磁界を発生させアークの挙動を制御するものと、磁石等を用いて常時強制的に磁界を形成しアークの挙動を制御するものがあるが、前者はアーク電流が小さいときに磁界が弱くなることから、小電流遮断には不向きである。また、グリッド形の場合、グリットが直接アークの発弧点となるため磁性金属の溶損は避けられない。その溶損による微細破片が周辺絶縁物表面に付着し、当該周辺絶縁物表面の絶縁劣化が懸念される。後者はアーク電流の大きさに関わらず磁界が安定しているため、小電流遮断にも向いている。しかし、交流電流遮断の場合は周波数によって電流の極性が交互に変化するから、アークの挙動方向を安定して制御できなかった。そのために従来は直流電流または低電圧域での使用に制限される傾向があった。本発明は前述の問題点を解決し、高圧交流負荷電流を遮断できることを可能にした磁気駆動形消弧装置である。
特許文献1の開閉器は、本体ケース内に絶縁性支持部材を介して固定された固定電極と、前記本体ケース内に前記絶縁性支持部材とは別の絶縁性支持部材を介して回動可能に設けられた可動電極と、当該可動電極に作動連結された駆動リンク機構とを備え、当該駆動リンクの駆動により前記可動電極が前記固定電極に対して接離するようにした開閉器において、前記固定電極には、可動電極を通過可能とした切欠通路を有する複数枚の磁性板を可動電極の移動方向に所定の間隔で配置し、開路時には固定電極から離間した可動電極を前記切欠通路を順次通過させるようにした消弧装置を設け、前記可動電極には開路時の可動電極の動作に連動して可動電極と固定電極との間に発生したアークを磁性板の切欠通路内へ押込むための気体流を発生させる可動送風部材をその基端部を中心として回動可能に設けるものである。
ここで、上記固定電極は、負荷側または電力供給側の一方と接続されている外部導体と接続されものである。その接点とは、可動電極の接点と電気的機械的に接触する部分であり、通常、遮断の際にアークが発生する部分で、耐弧メタルが配設された位置となる。
また、上記可動電極は、他方の外部導体と接続された固定部材に軸支され、前記軸支された支軸を中心に回動自在に配設されたものである。その接点とは、固定電極の接点と電気的機械的に接触する部分であり、通常、遮断の際にアークが発生する部分で、耐弧メタルが配設された位置となる。
そして、上記消弧室は、前記可動電極の接点が前記固定電極の接点に電気的機械的に接続されている位置から、前記可動電極の接点が前記固定電極の接点とのアークによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように、前記可動電極の接点の開閉通路に沿って配設し、前記可動電極の接点の両側の面及び外側の面を囲むように開閉通過溝を配設したものであり、その材料としてはフッ素樹脂からなるものである。
このフッ素樹脂とは、フッ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(四フッ素化樹脂、略号:PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ素化樹脂、略号:PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(略号:PVDF)、ポリフッ化ビニル(略号:PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(略号:PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(略号:FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(略号:ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(略号:ECTFE)等の使用が可能である。特に、ポリテトラフルオロエチレンは、耐熱性が260℃と高く、熱可塑性を示さず加工性が悪いものの、加圧成形焼成法、押出し成形法によって成形できる。クロロトリフルオロエチレン樹脂やフッ化ビニリデン樹脂は、耐熱性でポリテトラフルオロエチレンに劣るが、加工性は高く、圧縮、押出し、射出成形が可能な素材である。何れにせよ、アークによって消弧室が部分的に融点(PTFE:327℃)以上の高温度となり、例えば、フッ素樹脂からフッ素が気化し、その電気的絶縁性、難燃性のフッ素ガスが、アーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去することによって、アークを遮断するものである。これら合成樹脂材料の選択は、開閉器の遮断能力との関係で決定される。
更に、上記磁気回路は、前記消弧室に配設した磁性板と、前記磁性板を挟んで磁路を形成する強磁性体とを有し、少なくとも前記可動電極が移動する開閉通過溝の開閉通路の前記磁性板は前記可動電極の両側の面及び外側の面を囲むように配設した前記フッ素樹脂で覆われている。
前記磁気回路は、例えば、中央の1枚の磁性板と外側の2枚の磁性板の間にそれぞれの磁路を形成したものでは、前記中央の1枚の磁性板と前記外側の2枚の磁性板の間に互いに磁力線の方向を異にする磁界を形成するものでは、前記アークが移動する方向が特定されているので、特に、交流を遮断することもできる。また、単一方向の磁界を形成したものでは、前記可動電極の接点と前記固定電極の接点との間の前記アークが発生する箇所の消弧空間から消弧室の内部に至るまでの磁界を強くすることができる。
ここで、中央の1枚の磁性板と外側の2枚の磁性板の間にそれぞれの磁路を形成し、かつ、前記中央の1枚の磁性板と前記外側の2枚の磁性板の間に互いに磁力線の方向を逆とする磁界を形成し、互いに性状の異なる消弧空間を形成したものである。
この際、中央の1枚の磁性板は、外側の2枚の磁性板の磁束密度が和となり、その2倍になるので、その磁気抵抗を少なくするため略2倍の厚みに設定される。
ここで、前記支軸を中心として回動する可動電極の接点の開閉通過溝の開閉軌跡の外方向に湾曲させるアークとは、前記支軸を中心として回動する可動電極の接点の軌跡の径よりも、その距離が大きくなる方向に湾曲させることである。また、前記可動電極の接点と前記固定電極の接点との間のアーク電流の方向に左右されることなくとは、2回路の磁路によってフレミングの左手の法則に従って、アーク電流の伸びる方向を一定とするものである。
ここで、可動電極の外側の面を囲む位置から消弧室外まで貫通している複数の筒状孔は、断面が正方形を含む四角形、円形、楕円形の筒状のフッ素樹脂からなる消弧室の消弧空間を構成したものであればよい。
ここで、3枚の磁性板と2個の強磁性体は、2個の磁気回路を形成するもので、前記2枚の磁性板の前記可動電極側は前記可動電極の接点の開閉通過溝の通路位置とし、また、前記強磁性体は反可動電極側とし、前記可動電極の接点が移動する開閉通過溝の通路位置は前記2枚の磁性板が前記可動電極の両側の面を囲むように配設し、前記消弧室を構成するフッ素樹脂でその3枚の磁性板と強磁性体の一部または全部を覆うものである。
ここで、3枚の磁性板と2個の強磁性体は、2個の磁気回路を形成するもので、前記2枚の磁性板の前記可動電極側は前記可動電極の接点の開閉通過溝の通路位置とし、また、前記強磁性体は反可動電極側とし、前記可動電極の接点が移動する開閉通過溝の通路位置は前記2枚の磁性板が前記可動電極の接点の両側の面を囲むように配設したものである。
そして、前記消弧室に配設した磁性板と前記磁性板を挟んで磁路を形成する強磁性体によって、前記固定電極の接点と前記可動電極の接点との間のアーク電流の方向によって、アーク電流の流れる向きによって、前記消弧室の外側にある何れか一方の磁性板側に前記アークを導くようにしたものであり、前記消弧室に配設した3枚の磁性板とその間の強磁性体によって独立した2つの磁気回路を形成するものであればよい。
ここで、可動電極の外側の面を囲む位置から消弧室外まで貫通している複数の筒状孔は、断面が正方形を含む四角形、円形、楕円形の筒状のフッ素樹脂からなる消弧室の消弧空間を構成したものであればよい。
そして、前記アークが前記支軸を中心として回動する可動電極の接点の開閉軌跡の外方向に前記アークを湾曲させるようでき、前記アークが移動する方向が特定できるので、特に、交流を遮断することもできる。
図示のように、実施の形態1は、特に、電圧が3kV級、6kV級の高電圧に好適な電力を遮断可能な電力用開閉器で、その本体ケース10は一方の外部導体11を収容したブッシング13と、他方の外部導体12を収容したブッシング14とによって、本体ケース10と外部導体11,12との間に絶縁協調が保たれている。なお、外部導体11を収容したブッシング13、外部導体12を収容したブッシング14は、U、V、Wの各相の外部導体11,12及びブッシング13,14を有している。また、本実施の形態では外部導体11,12、ブッシング13,14と記載したものは、外部導体11U,11V,11W、12U,12V,12Wであり、ブッシング13U,13V,13W、14U,14V,14Wであるが、U、V、Wの各相に特徴のないときには、U、V、Wの記載を省略する。
本実施の形態では、3相用の電力用開閉器で説明するが、当然、単相用としても使用できる。
したがって、レバー軸19は、開閉指示器20が封止体16に配設された開閉表示体21の「入」、「切」の何れかを選択する動きを行うものである。
なお、開閉操作レバー18を回動すると、その中央でレバー軸19が回動し、駆動リンク機構71を介して駆動シャフト72にその回転を伝達し、駆動シャフト72の回転はアーム73及びそのアーム軸74を介して絶縁ロッド75の動きとなり、絶縁ロッド75に取り付けられた補助部材77を介して可動電極40を固定部材としての可動電極固定部41の支軸42を中心に回動させる機構は、開閉操作レバー18の回動によって可動電極40を回動させる本実施の形態の駆動機構を構成している。
しかし、金型にPTFEの粉末状成形用材料を投入し、均一な圧縮力がPTFEの粉末に加わるように成形し、それを所定の形状に切削した方がPTFEの均一な層となるから、切削した後、それを別の金型に入れて加熱、冷却することにより2次成形した方が安定した特性の消弧ハウジング51及び消弧部材52の消弧室50となる。
なお、本実施の形態では、磁気回路60aと磁気回路60bによって磁気回路60を構成しているが、強磁性体56a,57a,56b,57bの着磁方向を同一とした場合には、磁性板53及び磁性板54及びその間の4個の強磁性体56a,57a,56b,57bの磁路が単一になるから、その場合には、磁気回路60が単一となる。
即ち、可動電極40が固定電極30に電気的機械的に接続されている位置から、可動電極40の接点40aが固定電極30の接点30aとの間のアークACによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aに沿って配設し、かつ可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設したフッ素樹脂からなる消弧部材52及び消弧ハウジング51並びに消弧室カバー58からなる消弧室50は、消弧部材52に取り付けられた磁性板53及び磁性板54及びその間の2個の強磁性体56a,56bからなる磁気回路60a及び磁性板53及び磁性板55及びその間の2個の強磁性体57a,57bからなる磁気回路60bによって、本実施の形態の消弧装置を形成している。
図9は消弧装置を水平断面で遮断した概念図であり、説明のために固定電極30、可動電極40等を省略している。
図9(a)は可動電極40の接点40a側から固定電極30の接点30a側にアーク電流が流れている状態を示すもので、逆に、図9(b)は固定電極30の接点30a側から可動電極40の接点40a側に電流が流れている状態を示すものである。
即ち、消弧性ガスの発生で消弧室50内のアークACに対応する筒状孔52bの圧力が上昇し、前記消弧室から発生するフッ素ガスの圧力によって部分的に筒状孔内のアーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去する。特に、可動電極40の接点40a側は、可動電極40により通路が塞がれている状態となり、フッ素ガスの圧力はアークACを引き込む方向へ逃げ易くなっている。それによりアークACを冷却し、喩え、雰囲気中に金属蒸気が存在したとしても、それらのプラズマイオンを除去し、再発弧を抑制し、アークACを遮断する。
したがって、消弧室50は可動電極40の接点40aと固定電極30の接点30aとの間のアーク電流の方向に左右されることなく、常に、アークACが可動電極40側の支軸42を中心として回動する可動電極40の軌跡の外方向にアークACを湾曲させるようにしたものであるから、アークACが移動する方向が特定され、特に、交流を遮断することもできる。
しかし、中央の1枚の磁性板53を省略し、また省略しなくとも外側の2枚の磁性板54,55の間に磁路を形成し、外側の2枚の磁性板54,55の間のみに磁路を形成したもの、即ち、単一の磁路を形成したものでは、可動電極40と固定電極30との間のアークACが発生する箇所の消弧空間から消弧室50内に至るまでの磁界を強くすることができる。
即ち、上記実施の形態では、消弧室50の内部に配設した3枚の磁性板53,54,55と、中央の磁性板53を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、前記3枚の磁性板53,54,55のうち外側の2枚の磁性板54,55の可動電極40側は、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの開閉通過位置とし、残りの中央の1枚の磁性板53は可動電極40とその厚みのを略中央として一致させ、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、少なくとも可動電極40が移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置は3枚の磁性板53,54,55は可動電極40の両側の面及び外側の面を囲むように配設し、磁気回路を磁気回路60aと磁気回路60bから構成し、消弧室50を構成するフッ素樹脂で一部または全部が覆われるものである。特に、直流の遮断では、電流の流れる方向が特定されるから、磁気回路を磁気回路60aと磁気回路60bで構成する必要がなくなる。
即ち、当該電力用開閉器の消弧方法は、一方の外部導体11と接続された固定電極30と、他方の外部導体12と接続された可動電極固定部41等の固定部分に軸支され、前記軸支された支軸42を中心に回動自在に配設された可動電極40と、可動電極40が固定電極30に電気的機械的に接続されている位置から、可動電極40の接点40aが固定電極30の接点30aとのアークACによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように、可動電極40の開閉通過位置に沿って配設し、かつ、可動電極40の両側の面及び外側の面を囲むように配設したフッ素樹脂からなる消弧室50と、消弧室50の内部に配設した磁性板53,54,55と、その磁性板53,54,55を挟んで磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの通路位置の磁性板54,55は可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設した消弧室50のフッ素樹脂で覆われている磁気回路60a,60bとを具備し、消弧室50の内部に配設した3枚の磁性板53,54,55と、中央の磁性板53を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、前記3枚の磁性板53,54,55のうち外側の2枚の磁性板54,55の可動電極40側は、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの位置とし、残りの中央の1枚の磁性板53は可動電極40の厚みの略中央を略一致させ、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置は、3枚の磁性板53,54,55が可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設し、消弧室50に配設した磁性板53,54,55と磁性板53,54,55を挟んで磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bによって、固定電極30と可動電極40との間のアーク電流の方向によって消弧室50の外側にある何れか一方の磁性板54,55側に前記アークACを導くようにした構成とすることができる。
そして、前記アークACが可動電極40の支軸42を中心として回動する可動電極40の接点40aの軌跡の外方向に前記アークACを湾曲させるようでき、前記アークACが移動する方向が特定できるので、特に、交流を遮断することもできる。
また、可動電極40の接点40aは、外部導体12と接続された可動電極固定部41等の固定部分に軸支され、前記軸支された支軸42を中心に回動自在に配設されたものである。
更に、消弧室50は、可動電極40が固定電極30に電気的に接続されている位置から、可動電極40が固定電極30とのアークACによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの開閉通過位置に沿って配設し、可動電極40の両側の面及び外側の面を囲むように配設したものであり、その材料としてはフッ素樹脂からなるものである。
ここで使用するこのフッ素樹脂は、フッ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂であり、具体的には、PTFE、PCTFE、PVDF、PVF、PFA、FEP、ETFE、ECTFE等の使用が可能である。
更にまた、磁気回路60は、消弧室50の内部に配設した磁性板53,54,55と、磁性板53,54,55を挟んで磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置の磁性板53,54,55は可動電極40の両側の面及び外側の面を囲むように配設したフッ素樹脂で覆われているものである。
ここで、可動電極40の接点40aの外側の面を囲む位置から消弧室50外まで貫通している複数の筒状孔52bは、断面が正方形を含む四角形、円形、楕円形の筒状のフッ素樹脂からなる消弧室50の消弧空間を構成したものであればよい。
ここで、可動電極40の外側の面を囲む位置から消弧室50外まで貫通している複数の筒状孔52bは、断面が正方形を含む四角形、円形、楕円形の筒状のフッ素樹脂からなる消弧室50の消弧空間を構成したものであればよい。
本実施の形態の電力用開閉器は、定格電圧7.2kV,定格電流600Aで使用することを前提として製品設計した。その試験結果は、次のようである。
<試験条件>
試験電圧 7.2kV
試験電流 過負荷電流1000A(回路力率0.65〜0.75)
負荷電流 600A(回路力率0.65〜0.75)
励磁電流 1〜30A(回路力率0.2以下)
試験回路相数 3相
動作責務 過負荷電流3回(C級)
負荷電流200回(定格電流)
励磁電流10回
準拠規格 JISC4605 高圧交流負荷開閉器
JISC4607 引外し形高圧交流負荷開閉器
<試験結果>
試験項目 試験電流 動作責務 結果
過負荷電流開閉 1000A 3回 OK
負荷電流開閉 600A 200回 OK
励磁電流開閉 1〜30A 各10回 OK
なお、このような試作用の電力用開閉器の結果から、電圧が低くても、または電圧が高くても、その試験結果は、原理的に大きく変化しないものである。
公知の細隙形の消弧装置と比較すると、細隙形方式の消弧装置は、通電電流容量に比例して導体断面積を大きくする必要があるから、性能を左右する細隙の寸法を維持する必要があり、大電流遮断には不向きである。また、材料溶融から発生する消弧性ガスの量によって遮断性能に影響があり、小電流遮断時にはアーク熱が小さく、消弧性ガスの発生が少なく、遮断性能が良くない。しかし、本実施の形態の電力用開閉器は、消弧室50の管理をすることで性能を担保することができ、管理項目が少ない。また、全体がシンプルな構造であるため低コスト化が可能である。
特に、本実施の形態の電力用開閉器は、固定電極30と可動電極40に夫々固定電極30の接点30aと可動電極40の接点40aを具備する事例で説明したが、本発明を実施する場合には、接点30aまたは接点40aを有しない単一材料からなるものにも適用できる。即ち、アーク発生箇所として固定電極30と可動電極40の接点30a,40aを中心に説明したが、固定電極30の接点30aは固定電極30と、また、可動電極40の接点40aは可動電極40とコンタクタの部分を強調しているだけで実質的に同一である。
本実施の形態の電力用開閉器は、磁性板53,54,55は磁性軟鉄を採用している。磁性軟鉄と比較して磁化率は劣るものの代替材料として磁性ステンレス鋼板を採用してもよい。
本実施の形態の電力用開閉器は、消弧室50、磁性板53,54,55、消弧室カバー58及び強磁性体56a,57a,56b,57bは、それぞれ個々の部品を組立てるようにしているが、消弧室50の一体モールド成形等によってユニットとして製作してもよい。このようにすれば組立工数を短縮することができる。
また、発明者の実験によれば、アークACによってガス化を行うものとして、非晶部分と結晶部分が混在するポリアセタール(略号:POM)、ユリア(略号:UF)等の樹脂においても、試作したが、同様の良好なアーク遮断結果を得た。
即ち、消弧室50に炭化等のダメージを与えないこと、高温でガス化すること、好ましくは、当該ガスには電気的絶縁性及び難燃性があることの要件を満たすことが望ましい。特に、当該ガスの電気的絶縁性及び難燃性はアーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去することによってアークACを遮断する過程には影響が僅かである。しかし、電気的絶縁性及び難燃性を欠くことは、その程度問題で他の安全性から除外される場合がある。したがって、アークACによって消弧室50からガスが発生し、その電気的絶縁性、難燃性のガスが、アーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去することによってアークACを遮断するのが望ましい。
18 開閉操作レバー
30 固定電極
30a 固定電極の接点
31 電極受部
33 外部導体接続部(固定部材)
40 可動電極
40a 可動電極の接点
41 可動電極固定部(固定部材)
50 消弧室
50A 開閉通過溝
51 消弧ハウジング
52 消弧部材
52b 筒状孔
52c 挿着溝
53,54,55 磁性板
56a,56b,57a,57b 強磁性体
58 消弧室カバー
60,60a,60b 磁気回路
AC アーク
Claims (6)
- 一方の外部導体と接続された固定電極と、
他方の外部導体と接続された固定部材に軸支され、開閉操作レバーの操作によって前記固定部材に軸支された支軸を中心に回動自在となるべく配設された可動電極と、
前記可動電極の接点が前記固定電極の接点に電気的機械的に接続されている位置から、前記可動電極の接点が前記固定電極の接点との間のアークが消弧によって電気的接続が断たれる範囲が含まれるように、前記可動電極の接点の開閉軌跡に沿って配設し、かつ、前記可動電極の接点を囲むように配設したフッ素樹脂からなる消弧室と、
前記消弧室の内部に配設した磁性板と、前記磁性板を挟んで磁界を形成する強磁性体とを有し、少なくとも前記可動電極の接点が移動する開閉通路を磁路とすべく形成した前記消弧室がフッ素樹脂で覆われている磁気回路とを具備し、
前記磁気回路は、前記消弧室の内部に配設した前記磁性板のうち、中央の1枚の磁性板と外側の2枚の磁性板の間にそれぞれの磁路を形成し、前記中央の1枚の磁性板と前記外側の2枚の磁性板の間に互いに磁力線の方向を異にする磁界を形成したことを特徴とする電力用開閉器。 - 前記磁気回路は、前記可動電極の接点が前記固定電極の接点との間の前記アークの電流方向に左右されることなく、常に、前記アークが前記支軸を中心として回動する前記可動電極の接点の開閉軌跡の外方向に湾曲させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電力用開閉器。
- 前記消弧室は、前記消弧室の内部に配設した前記磁性板のうち、中央の1枚の前記磁性板と外側の2枚の前記磁性板の間には、複数の隔壁によって複数の筒状孔を形成し、しかも、前記複数の筒状孔は前記可動電極の接点が移動する開閉通路から前記消弧室外まで貫通していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力用開閉器。
- 前記磁気回路は、前記消弧室の内部に配設した3枚の前記磁性板と、中央の前記磁性板を挟んで対向する面を同極として配設した前記強磁性体とを有し、前記3枚の磁性板のうち外側の2枚の前記磁性板の前記可動電極側は、前記可動電極の開閉通路位置とし、残りの中央の1枚の前記磁性板は前記可動電極の厚み中央を略中央に一致させ、前記強磁性体は反可動電極側とし、少なくとも前記可動電極が移動する前記開閉通路位置の3枚の前記磁性板は、前記可動電極の接点を囲むように配設し、前記消弧室を構成するフッ素樹脂で一部または全部が覆われていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の電力用開閉器。
- 一方の外部導体と接続された固定電極と、
他方の外部導体と接続された固定部材に軸支され、開閉操作レバーの操作によって前記固定部材に軸支された支軸を中心に回動自在となるべく配設された可動電極と、
前記可動電極の接点が前記固定電極の接点に電気的機械的に接続されている位置から、前記可動電極の接点が前記固定電極の接点との間のアークが消弧によって電気的接続が断たれる範囲が含まれるように、前記可動電極の接点の開閉軌跡に沿って配設し、かつ、前記可動電極の接点の両側の面及び外側の面を囲むように配設したフッ素樹脂からなる消弧室と、
前記消弧室の内部に配設した磁性板と、前記磁性板を挟んで磁界を形成する強磁性体とを有し、少なくとも前記可動電極の接点が移動する開閉通路を磁路とすべく配設した前記消弧室のフッ素樹脂で覆われている磁気回路とを具備し、
前記消弧室に配設した3枚の磁性板と、中央の磁性板を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体とを有し、前記3枚の磁性板のうち外側の2枚の磁性板の前記可動電極側は、前記可動電極の接点の前記開閉通路位置とし、残りの中央の1枚の前記磁性板は前記可動電極の厚みの中央を略中央に一致させ、前記強磁性体は反可動電極側とし、少なくとも前記可動電極が移動する前記開閉通路位置は前記3枚の磁性板は前記可動電極の接点の両側の面及び外側の面を囲むように配設し、前記消弧室に配設した前記磁性板と前記磁性板を挟んで磁路を形成する前記強磁性体によって、前記固定電極の電極と前記可動電極の電極との間のアークの電流方向によって前記消弧室の外側にある何れか一方の前記磁性板側に前記アークを導くようにしたことを特徴とする電力用開閉器の消弧方法。 - 前記消弧室は、前記消弧室の内部に配設した前記磁性板のうち、中央の1枚の前記磁性板と外側の2枚の前記磁性板の間には、複数の隔壁によって複数の筒状孔を形成し、しかも、前記複数の筒状孔は前記可動電極の接点が移動する前記開閉通路から前記消弧室外まで貫通していることを特徴とする請求項5に記載の電力用開閉器の消弧方法。
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