JP5248420B2 - 電力用開閉器及びその消弧方法 - Google Patents

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Description

本発明は、配電線等の電力回路、電力機器等の電力用の開閉器に関するもので、特に、開閉遮断可能な高電圧に好適な電力用開閉器及びその消弧方法に関する。
ここで、高電圧とは、直流にあっては750Vを、交流にあっては600Vを超え、7kV以下の電圧である(電気設備技術基準第2条)との規定がある。また、国際電気標準会議(IEC)による国際規格では、直流1.5kV、交流1kV以上を高圧としている。例えば、交流の公称電圧6.6kVの変圧器では、電圧調整用のタップが7.3kVまで用意されており、同一電力機器を6.9kVで使用した場合に高電圧、7.3kVで使用すると特別高圧となる矛盾が生ずるので、本発明では、IEC国際規格の高電圧の定義を採用するものである。
従来から電力を遮断する開閉器は、固定電極とその固定電極に対して接離可能に対応する可動電極とを備え、開路時に前記固定電極と可動電極との間に発生するアークに磁界を作用させると共に、アークを前記磁界により、フレミングの左手法則に従って変位し、そのアーク長を伸ばすことによってアークを遮断し、電力の開閉を可能にしている。
ここで使用する消弧装置には、細隙形、バッファ形、磁気駆動形等様々な方式のものが存在し、各々の方式には一長一短がある。
例えば、細隙形の場合は、通電電流容量に比例して導体断面積を大きくする必要があるため性能の要である細隙の寸法を維持することができないから、大電流遮断には不向きである。また、バッファ形の場合は、圧縮気体を吹付けるベローズやシリンダ等の構造を設ける必要があるため、高コストとなる。
そして、磁気駆動形の場合は、遮断時のアーク電流を利用して磁界を発生させアークの挙動を制御するものと、磁石等を用いて常時強制的に磁界を形成しアークの挙動を制御するものがあるが、前者はアーク電流が小さいときに磁界が弱くなることから、小電流遮断には不向きである。また、グリッド形の場合、グリットが直接アークの発弧点となるため磁性金属の溶損は避けられない。その溶損による微細破片が周辺絶縁物表面に付着し、当該周辺絶縁物表面の絶縁劣化が懸念される。後者はアーク電流の大きさに関わらず磁界が安定しているため、小電流遮断にも向いている。しかし、交流電流遮断の場合は周波数によって電流の極性が交互に変化するから、アークの挙動方向を安定して制御できなかった。そのために従来は直流電流または低電圧域での使用に制限される傾向があった。本発明は前述の問題点を解決し、高圧交流負荷電流を遮断できることを可能にした磁気駆動形消弧装置である。
この種の開閉器として、特許文献1に掲載の開閉器が公知である。
特許文献1の開閉器は、本体ケース内に絶縁性支持部材を介して固定された固定電極と、前記本体ケース内に前記絶縁性支持部材とは別の絶縁性支持部材を介して回動可能に設けられた可動電極と、当該可動電極に作動連結された駆動リンク機構とを備え、当該駆動リンクの駆動により前記可動電極が前記固定電極に対して接離するようにした開閉器において、前記固定電極には、可動電極を通過可能とした切欠通路を有する複数枚の磁性板を可動電極の移動方向に所定の間隔で配置し、開路時には固定電極から離間した可動電極を前記切欠通路を順次通過させるようにした消弧装置を設け、前記可動電極には開路時の可動電極の動作に連動して可動電極と固定電極との間に発生したアークを磁性板の切欠通路内へ押込むための気体流を発生させる可動送風部材をその基端部を中心として回動可能に設けるものである。
この種の開閉器は、開路時、可動電極が固定電極から離間すると、両電極間にはアークが発生する。このアークの周囲には磁性板の存在により片寄った磁束分布が発生し、アークは磁性板の切欠通路の奥の方向へ駆動される。このため、アークは引き伸ばされると共に各磁性体により分断され、アーク電圧が高められて消弧する。こうした磁性板による消弧メカニズムの観点からアークが磁性板の切欠通路に引き込まれるようにする必要がある。しかし、小電流、特に、微少電流のアークは当該アーク電流のエネルギー不足により磁性板に発生する電磁力が弱い。したがって、微少電流域のアークについては磁性板の切欠通路の奥方向に十分に引き込まれないことがある。
特許文献1の開閉器によれば、開路時、可動電極の駆動が停止したとき、慣性力により可動送風部材はその基端部を中心として可動電極の移動方向へ回転する。その際に消弧装置側への気体流が発生し、その気体流の風圧によりアーク発生空間の空気が撹拌されると共にアークの磁性板の奥方向への移動が促進され、その際のアーク電流のエネルギー不足により磁性板に発生する電磁力が弱い微少電流域のアークの遮断時に、前記風圧により微小電流のアークの磁性板の切欠通路内への駆動力が補われる。その結果、微小電流域の消弧性能が向上し、小電流域及び微少電流域のアークを安定して消弧することができる。
また、特許文献2に記載の開閉器は、固定電極と、前記固定電極に対して接離可能に対応する可動電極とを備えた開閉器の遮断方法において、開路時に固定電極と可動電極との間に発生するアークに磁束を作用させると共に、前記磁束を前記可動電極の開路動作に連動してアークに対して交差する方向へ移動させ、閉路時には前記磁束をアーク発生部位におけるアークの引き延ばし方向とは反対方向へずれた位置に作用させ、前記磁束を可動電極の開路動作に追従するように、アークを外側に押しやる方向に移動させている。
特開2007−80578号公報 特開2005−285674号公報
しかし、特許文献1に記載された技術では、開路時の可動電極の動作に連動して可動電極と固定電極との間に発生したアークを、磁性板の切欠通路内へ押込むための気体流を発生させる可動送風部材を具備するものである。概念的には、大型電力遮断器に使用されている気体流を使用した空気遮断器の構成を採用したものであるが、例えば、高電圧で1000A以下の電流の電力用の開閉器においては、気体流を発生させる可動送風部材を別に取り付けることが必要となり、開閉器の構造が複雑となり、高価にならざるを得ない。また、このような電力用の開閉器においては、構造が複雑になり、故障の原因となるという問題が想定され、そして、当該開閉器を操作するエネルギーが大きくならざるを得ないという問題が想定される。
また、特許文献2に記載された技術では、前記磁束を可動電極の開路動作に追従するようにアークを外側に押しやる際、アークの力が強いと、前記アークを遮断する機能が発揮できない可能性が想定される。また、前記磁束を可動電極の開路動作に追従するような機構が必要になり、開閉器の構造が複雑となり、高価にならざるを得ない。また、このような小型の開閉器においては、構造が複雑になり、故障の原因となるという問題点が想定され、そして、当該小型の開閉器を操作するエネルギーが大きくならざるを得ないという問題が想定される。即ち、前記磁束を可動電極の開路動作に追従させる代わりに、磁界を広い範囲に、かつ、大きくすればよいことであり、特許文献2に記載された技術の意義が不明である。
そこで、本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、消弧を行う消弧機能部品に可動部分をなくし、消弧機能の構造が簡単で、かつ、強制磁界により高圧交流または直流電流のアークを制御して遮断可能な電力用開閉器及びその消弧方法の提供を目的とする。
請求項1にかかる発明の電力用開閉器は、可動電極の接点が固定電極の接点に電気的機械的に接続されている位置から、前記固定電極の接点とのアークによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように長さを設定し、前記可動電極の接点の開閉通路位置に沿って配設したフッ素樹脂からなる消弧室は、前記可動電極の接点を囲むように配設し、そして、前記消弧室に配設した磁性板と前記磁性板を挟んで磁路を形成する強磁性体とを有する磁気回路によって、少なくとも前記可動電極が移動する開閉通過溝の前記磁性板は前記可動電極の接点を囲むように前記フッ素樹脂で覆われている。
ここで、上記固定電極は、負荷側または電力供給側の一方と接続されている外部導体と接続されものである。その接点とは、可動電極の接点と電気的機械的に接触する部分であり、通常、遮断の際にアークが発生する部分で、耐弧メタルが配設された位置となる。
また、上記可動電極は、他方の外部導体と接続された固定部材に軸支され、前記軸支された支軸を中心に回動自在に配設されたものである。その接点とは、固定電極の接点と電気的機械的に接触する部分であり、通常、遮断の際にアークが発生する部分で、耐弧メタルが配設された位置となる。
そして、上記消弧室は、前記可動電極の接点が前記固定電極の接点に電気的機械的に接続されている位置から、前記可動電極の接点が前記固定電極の接点とのアークによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように、前記可動電極の接点の開閉通路に沿って配設し、前記可動電極の接点の両側の面及び外側の面を囲むように開閉通過溝を配設したものであり、その材料としてはフッ素樹脂からなるものである。
このフッ素樹脂とは、フッ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(四フッ素化樹脂、略号:PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ素化樹脂、略号:PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(略号:PVDF)、ポリフッ化ビニル(略号:PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(略号:PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(略号:FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(略号:ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(略号:ECTFE)等の使用が可能である。特に、ポリテトラフルオロエチレンは、耐熱性が260℃と高く、熱可塑性を示さず加工性が悪いものの、加圧成形焼成法、押出し成形法によって成形できる。クロロトリフルオロエチレン樹脂やフッ化ビニリデン樹脂は、耐熱性でポリテトラフルオロエチレンに劣るが、加工性は高く、圧縮、押出し、射出成形が可能な素材である。何れにせよ、アークによって消弧室が部分的に融点(PTFE:327℃)以上の高温度となり、例えば、フッ素樹脂からフッ素が気化し、その電気的絶縁性、難燃性のフッ素ガスが、アーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去することによって、アークを遮断するものである。これら合成樹脂材料の選択は、開閉器の遮断能力との関係で決定される。
更に、上記磁気回路は、前記消弧室に配設した磁性板と、前記磁性板を挟んで磁路を形成する強磁性体とを有し、少なくとも前記可動電極が移動する開閉通過溝の開閉通路の前記磁性板は前記可動電極の両側の面及び外側の面を囲むように配設した前記フッ素樹脂で覆われている。
前記磁気回路は、例えば、中央の1枚の磁性板と外側の2枚の磁性板の間にそれぞれの磁路を形成したものでは、前記中央の1枚の磁性板と前記外側の2枚の磁性板の間に互いに磁力線の方向を異にする磁界を形成するものでは、前記アークが移動する方向が特定されているので、特に、交流を遮断することもできる。また、単一方向の磁界を形成したものでは、前記可動電極の接点と前記固定電極の接点との間の前記アークが発生する箇所の消弧空間から消弧室の内部に至るまでの磁界を強くすることができる。
更に、前記磁気回路は、前記消弧室の内部に配設した前記磁性板のうち、中央の1枚の磁性板と外側の2枚の磁性板の間にそれぞれの磁路を形成し、前記中央の1枚の磁性板と前記外側の2枚の磁性板の間に互いに磁力線の方向を逆とする磁界を形成したものである。
ここで、中央の1枚の磁性板と外側の2枚の磁性板の間にそれぞれの磁路を形成し、かつ、前記中央の1枚の磁性板と前記外側の2枚の磁性板の間に互いに磁力線の方向を逆とする磁界を形成し、互いに性状の異なる消弧空間を形成したものである。
この際、中央の1枚の磁性板は、外側の2枚の磁性板の磁束密度が和となり、その2倍になるので、その磁気抵抗を少なくするため略2倍の厚みに設定される。
請求項2にかかる発明の電力用開閉器の前記消弧室は、前記可動電極の接点と前記固定電極の接点との間のアーク電流の方向に左右されることなく、常に、前記アークが前記支軸を中心として回動する可動電極の接点の開閉軌跡の外方向に前記アークを湾曲させるようにしたものである。
ここで、前記支軸を中心として回動する可動電極の接点の開閉通過溝の開閉軌跡の外方向に湾曲させるアークとは、前記支軸を中心として回動する可動電極の接点の軌跡の径よりも、その距離が大きくなる方向に湾曲させることである。また、前記可動電極の接点と前記固定電極の接点との間のアーク電流の方向に左右されることなくとは、2回路の磁路によってフレミングの左手の法則に従って、アーク電流の伸びる方向を一定とするものである。
請求項3にかかる発明の電力用開閉器の前記消弧室は、前記消弧室の内部に配設した前記磁性板のうち、前記中央の1枚の磁性板と外側の2枚の磁性板の間に複数の隔壁によって複数の筒状孔を2列形成し、しかも、前記複数の筒状孔は、前記可動電極の接点の外側の面を囲む位置から前記消弧室外まで貫通しているものである。
ここで、可動電極の外側の面を囲む位置から消弧室外まで貫通している複数の筒状孔は、断面が正方形を含む四角形、円形、楕円形の筒状のフッ素樹脂からなる消弧室の消弧空間を構成したものであればよい。
請求項4にかかる発明の電力用開閉器の前記磁気回路は、前記消弧室に配設した3枚の磁性板と、中央の磁性板を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体とを有し、前記3枚の磁性板のうち外側の2枚の磁性板の前記可動電極側は、前記可動電極の接点の開閉通過溝の通路位置とし、残りの中央の1枚の磁性板は前記可動電極の接点の厚みの略中央とし、前記強磁性体は反可動電極側とし、少なくとも前記可動電極の接点が移動する開閉通過溝の通路位置の3枚の前記磁性板は前記可動電極の接点を囲むように配設し、前記消弧室を構成するフッ素樹脂で一部または全部が覆われているものである。
ここで、3枚の磁性板と2個の強磁性体は、2個の磁気回路を形成するもので、前記2枚の磁性板の前記可動電極側は前記可動電極の接点の開閉通過溝の通路位置とし、また、前記強磁性体は反可動電極側とし、前記可動電極の接点が移動する開閉通過溝の通路位置は前記2枚の磁性板が前記可動電極の両側の面を囲むように配設し、前記消弧室を構成するフッ素樹脂でその3枚の磁性板と強磁性体の一部または全部を覆うものである。
請求項5にかかる発明の電力用開閉器の消弧方法は、可動電極の接点が固定電極の接点に電気的機械的に接続されている位置から、前記可動電極の接点が前記固定電極の接点とのアークの消弧による電気的接続が断たれる位置までが含まれるように、前記可動電極の接点の開閉通過溝の通路位置に沿って配設し、かつ、前記可動電極の接点を囲むように配設したフッ素樹脂からなる消弧室と、前記消弧室に配設した磁性板と、前記磁性板を挟んで磁路を形成する強磁性体とを有し、少なくとも前記可動電極の接点が移動する開閉通過溝の通路位置の前記磁性板は前記可動電極の接点を囲むように配設した前記消弧室のフッ素樹脂で覆われている磁気回路を具備する電力開閉器において、前記消弧室に配設した3枚の磁性板と、中央の磁性板を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体とを有し、前記3枚の磁性板のうち外側の2枚の磁性板の前記可動電極側は、前記可動電極の接点の開閉通過溝の通路位置とし、残りの中央の1枚の磁性板は前記可動電極の接点の厚みの略中央とし、前記強磁性体は反可動電極側とし、少なくとも前記可動電極の接点が移動する開閉通過溝の通路位置は前記3枚の磁性板は前記可動電極の接点を囲むように配設し、前記消弧室に配設した磁性板と前記磁性板を挟んで磁路を形成する強磁性体によって、前記固定電極の接点と前記可動電極の接点との間のアーク電流の方向によって前記消弧室の外側にある何れか一方の磁性板側に前記アークを導くようにしたものである。
ここで、3枚の磁性板と2個の強磁性体は、2個の磁気回路を形成するもので、前記2枚の磁性板の前記可動電極側は前記可動電極の接点の開閉通過溝の通路位置とし、また、前記強磁性体は反可動電極側とし、前記可動電極の接点が移動する開閉通過溝の通路位置は前記2枚の磁性板が前記可動電極の接点の両側の面を囲むように配設したものである。
そして、前記消弧室に配設した磁性板と前記磁性板を挟んで磁路を形成する強磁性体によって、前記固定電極の接点と前記可動電極の接点との間のアーク電流の方向によって、アーク電流の流れる向きによって、前記消弧室の外側にある何れか一方の磁性板側に前記アークを導くようにしたものであり、前記消弧室に配設した3枚の磁性板とその間の強磁性体によって独立した2つの磁気回路を形成するものであればよい。
請求項6にかかる発明の電力用開閉器の消弧方法は、前記消弧室の内部に配設した前記磁性板のうち、前記中央の1枚の磁性板と外側の2枚の磁性板の間には、複数の隔壁によって複数の筒状孔を形成した前記消弧室は、複数の隔壁によって複数の筒状孔を形成し、しかも、前記複数の筒状孔は、前記可動電極の外側の面を囲む位置から前記消弧室外まで貫通するものである。
ここで、可動電極の外側の面を囲む位置から消弧室外まで貫通している複数の筒状孔は、断面が正方形を含む四角形、円形、楕円形の筒状のフッ素樹脂からなる消弧室の消弧空間を構成したものであればよい。
請求項1の発明によれば、可動電極が固定電極との間を開閉自在に移動する。前記可動電極の接点が前記固定電極の接点に電気的機械的に接続されている位置から、前記可動電極の接点が前記固定電極の接点とのアークの消弧による電気的接続が断たれる位置が含まれるように、前記可動電極の接点の開閉通過溝の開閉通路位置に沿って配設したフッ素樹脂からなる消弧室は、前記可動電極の接点を囲むように配設されており、かつ、前記消弧室に配設した磁性板と、前記磁性板を挟んで磁路を形成する強磁性体とを有する磁気回路によって、少なくとも前記可動電極の接点が移動する開閉通過溝の通路位置の前記磁性板は前記可動電極の接点を囲むように配設した前記消弧室のフッ素樹脂で覆われているから、磁気回路中で放電する前記アークは、磁界によって湾曲させられ、しかもそのアークの温度が非常に高温であるから、前記アークに近い前記消弧室のフッ素樹脂の一部がガス化し、その電気的絶縁性、難燃性のフッ素ガスが、アーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去することによって、アークを遮断するものである。このとき、前記消弧室を構成するフッ素樹脂は、ガス化するのは極僅かな部分的な一部表面に過ぎず、前記消弧室自体は表面がゲル状になるも溶融しないでその外形を維持し、アークの消弧により元に戻る。また、フッ素ガスは不燃性を呈するので、当該アークによる燃焼する燃焼対象材料がなく、発明者らの実験によれば、耐弧メタル及び空気中の酸素によって、500回(実験値)の遮断を行っても僅かにカーボンが付着する程度であり、JIS規格の200回の負荷遮断では前記消弧室にカーボン等の導電性の物質が付着しない。したがって、電力用開閉器の消弧能力は、良好な遮断機能の継続性が維持される。
前記磁気回路は、前記消弧室の内部に配設した前記磁性板のうち、中央の1枚の磁性板と外側の2枚の磁性板の間にそれぞれの磁路を形成し、前記中央の1枚の磁性板と前記外側の2枚の磁性板の間に互いに磁力線の方向を異にする磁界を形成するものであるから、前記アークが移動する方向が特定されているので、特に、交流を遮断することもでき、この電力用開閉器は交流と直流の両方に使用できる。
請求項2の発明によれば、前記磁気回路は、前記可動電極の接点と前記固定電極の接点との間のアーク電流の電流方向に左右されることなく、常に、前記アークが前記支軸を中心として回動する可動電極の接点の開閉軌跡の外方向に前記アークを湾曲させるようにしたものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、前記アークが移動する方向が特定されているので、特に、この電力用開閉器では、交流と直流の両方に使用できる。
請求項3の発明によれば、前記消弧室の内部に配設した前記磁性板のうち、前記中央の1枚の磁性板と外側の2枚の磁性板の間に2列形成した前記消弧室は、複数の隔壁によって複数の筒状孔を形成し、しかも、前記複数の筒状孔は、前記可動電極の接点の外側の面を囲む位置から前記消弧室外まで貫通するようにしたものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、前記アークが移動する方向が特定されており、複数の筒状孔の壁面がフッ素樹脂であるから、前記アークが複数の筒状孔を跨ぐことは、前記消弧室を構成するフッ素樹脂の加熱が行われ、フッ素ガスの発生を高効率で促し、消弧することができる。
請求項4の発明によれば、前記磁気回路は、前記消弧室に配設した3枚の磁性板と、中央の磁性板を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体とを有し、前記3枚の磁性板のうち外側の2枚の磁性板の前記可動電極側は、前記可動電極の接点の開閉通過溝の通路位置とし、残りの中央の1枚の磁性板は前記可動電極の接点の厚みの略中央とし、前記強磁性体は反可動電極側とし、少なくとも前記可動電極の接点が移動する開閉通過溝の通路位置は前記3枚の磁性板は前記可動電極の接点を囲むように配設し、前記消弧室を構成するフッ素樹脂で一部または全部が覆われるものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、前記アークが前記支軸を中心として回動する可動電極の接点の開閉軌跡の外方向に前記アークを湾曲させることができ、前記アークが移動する方向が特定できるので、特に、交流を遮断することもできる。
請求項5の発明によれば、消弧室に配設した3枚の磁性板と、中央の磁性板を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体とを有し、前記3枚の磁性板のうち外側の2枚の磁性板の可動電極側は、前記可動電極の接点の開閉軌跡側位置とし、残りの中央の1枚の磁性板は前記可動電極の接点の厚みの略中央とし、前記強磁性体は反可動電極側とし、少なくとも前記可動電極の接点が移動する開閉通過溝の通路位置は前記3枚の磁性板は前記可動電極の接点を囲むように配設し、前記消弧室に配設した磁性板と前記磁性板を挟んで磁路を形成する強磁性体によって、前記固定電極の接点と前記可動電極の接点との間のアーク電流の方向によって前記消弧室の外側にある何れか一方の磁性板側に前記アークを導くようにした消弧方法であるから、磁気回路中で放電する前記アークは、磁界によって湾曲せられ、しかもそのアークの温度が非常に高温であるから、前記アークに近い前記消弧室の例えば、フッ素樹脂の一部がガス化しフッ素ガスとなる。その電気的絶縁性、難燃性のフッ素ガスが、アーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去することによって、アークを遮断する。このとき、前記消弧室を構成するフッ素樹脂は、ガス化するのは極僅かな部分的な一部表面に過ぎず、他はゲル状になるも溶融しないでその外形を維持する。また、フッ素ガスが炭化しないので、当該アークによる燃焼する材料がなく、発明者らの実験によれば耐弧メタル及び空気中の酸素によって、500回(実験値)の遮断を行っても僅かにカーボンが付着する程度である。
そして、前記アークが前記支軸を中心として回動する可動電極の接点の開閉軌跡の外方向に前記アークを湾曲させるようでき、前記アークが移動する方向が特定できるので、特に、交流を遮断することもできる。
請求項6の発明によれば、前記中央の1枚の磁性板と外側の2枚の磁性板の間には、複数の隔壁によって複数の筒状孔を形成し、しかも、前記複数の筒状孔は前記可動電極の接点が移動する開閉通路から前記消弧室外まで貫通しているものであるから、請求項5に記載の効果に加えて、複数の隔壁によって形成された複数の筒状孔は、前記隔壁を乗り越えるように前記アークが伸び、かつ、その対面するフッ素樹脂がフッ素ガスの発生を促し、消弧することができる。特に、前記複数の筒状孔は前記可動電極の接点が移動する開閉通路から前記消弧室外まで貫通しており、前記可動電極が一方の開口の流体抵抗を高くするから、前記アークの移動が筒状孔の反対側の開口側への移動が可能であり、かつ、前記消弧室から発生するフッ素ガスの圧力によって部分的に筒状孔内のアーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去するから、アーク切れをよくすることができる。
図1は本発明の実施の形態1の電力用開閉器の外観の正面を示す正面図である。 図2は本発明の実施の形態1の電力用開閉器の外観の側面を示す側面図である。 図3は本発明の実施の形態1の電力用開閉器の一部の内部構造の関係を示す正面図である。 図4は本発明の実施の形態1の電力用開閉器の一部の内部構造の関係を示す側面図である。 図5は本発明の実施の形態1の電力用開閉器の開閉器と消弧室との関係を示す部品展開斜視図である。 図6は本発明の実施の形態1の電力用開閉器の消弧室の消弧部材等の部品関係を示す部品展開斜視図である。 図7は本発明の実施の形態1の電力用開閉器の消弧室の消弧部材を説明する説明図で、図6の後方から見た斜視図である。 図8は本発明の実施の形態1の電力用開閉器の消弧室の作用を説明する説明図で、(a)は図7の切断線A−AによるA−A断面図、(b)は図7の切断線B−BによるB−B断面図である。 図9は本発明の実施の形態1の電力用開閉器の消弧室の作用を説明する説明図で、(a)はアーク電流が紙面の表面から裏面側に流れる場合、(b)はアーク電流が紙面の裏面から表面側に流れる場合の説明図である。 図10は本発明の実施の形態1の電力用開閉器の閉路状態を説明する概念図である。 図11は本発明の実施の形態1の電力用開閉器の開路状態を説明する概念図で、開路初期の説明図である。 図12は本発明の実施の形態1の電力用開閉器の開路状態を説明する概念図で、開路途中にアークを延伸しているときの想定説明図である。 図13は本発明の実施の形態1の電力用開閉器の開路状態を説明する概念図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図中、実施の形態の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機構部分であるから、ここでは重複する説明を省略する。
[実施の形態1]
図示のように、実施の形態1は、特に、電圧が3kV級、6kV級の高電圧に好適な電力を遮断可能な電力用開閉器で、その本体ケース10は一方の外部導体11を収容したブッシング13と、他方の外部導体12を収容したブッシング14とによって、本体ケース10と外部導体11,12との間に絶縁協調が保たれている。なお、外部導体11を収容したブッシング13、外部導体12を収容したブッシング14は、U、V、Wの各相の外部導体11,12及びブッシング13,14を有している。また、本実施の形態では外部導体11,12、ブッシング13,14と記載したものは、外部導体11U,11V,11W、12U,12V,12Wであり、ブッシング13U,13V,13W、14U,14V,14Wであるが、U、V、Wの各相に特徴のないときには、U、V、Wの記載を省略する。
本実施の形態では、3相用の電力用開閉器で説明するが、当然、単相用としても使用できる。
本体ケース10は取付状態で上に位置し、開閉器の機能部分全体を収容する取付基体15と、取付状態で取付基体15の下に位置し、取付基体15の開口を覆う封止体16に2分割されており、両者はパッキンを介してボルト締めされており、本体ケース10の内部を取付基体15と封止体16とで封止し、閉じられた封止空間としている。この封止状態とは、完全な密封状態としてもよいし、概略密封状態としてもよい。本実施の形態では機密状態とした。また、内部には化学的に安定な窒素等の不活性ガスを封入してもよい。
本体ケース10の取付基体15にはハンガー17等の取付金具が配設されている。封止体16側には、載置する場所に安定して置くことができるように脚部16aが配設されている。更に、取付基体15の正面には、開閉操作レバー18が配設されていて、図2及び図4に示すように、その中央でレバー軸19に軸支されている。このレバー軸19は、本体ケース10の内蔵する可動電極40を駆動するもので、本体ケース10の内部まで導かれている。また、レバー軸19には、開閉指示器20が配設され、封止体16に配設された開閉表示体21の「入」、「切」の何れかを指し示すようになっている。
したがって、レバー軸19は、開閉指示器20が封止体16に配設された開閉表示体21の「入」、「切」の何れかを選択する動きを行うものである。
本体ケース10の取付基体15の正面には、開閉操作レバー18が配設されていて、その中央でレバー軸19に軸支され、レバー軸19は本体ケース10が内蔵する可動電極40を移動するレバー軸19の回転を駆動シャフト72の回転とする速切り機構の構成を有する公知の駆動リンク機構71を介して駆動シャフト72に接続されている。駆動シャフト72にはアーム73及びそのアーム軸74を介して絶縁物からなる絶縁ロッド75の一端に接続されている。絶縁ロッド75の他端は、可動電極40に堅固に取り付けられた絶縁物からなる補助部材77に補助軸76を介して軸支されている。
したがって、本体ケース10の取付基体15の開閉操作レバー18を回動すると、その中央でレバー軸19が回動し、駆動リンク機構71を介して駆動シャフト72にその回転を伝達し、駆動シャフト72の回転はアーム73及びそのアーム軸74を介して絶縁ロッド75の動きとなり、絶縁ロッド75に取り付けられた補助部材77を介して可動電極40を固定部材としての可動電極固定部41の支軸42を中心に回動させることができる。このとき、固定電極30と可動電極40との関係によって、開閉操作レバー18の中央の開閉指示器20は、開閉表示体21の「入」、「切」の何れかを指し示す。
なお、開閉操作レバー18を回動すると、その中央でレバー軸19が回動し、駆動リンク機構71を介して駆動シャフト72にその回転を伝達し、駆動シャフト72の回転はアーム73及びそのアーム軸74を介して絶縁ロッド75の動きとなり、絶縁ロッド75に取り付けられた補助部材77を介して可動電極40を固定部材としての可動電極固定部41の支軸42を中心に回動させる機構は、開閉操作レバー18の回動によって可動電極40を回動させる本実施の形態の駆動機構を構成している。
なお、図3及び図4に示す取付基体15の内側に垂直下方向に取り付けられているのは、避雷器80であり、外部導体11及び外部導体12側、即ち、各相2個づつ取り付けられている。また、絶縁キャップ81は、各相の外部導体11と外部導体12側にサージが入ったときに、固定電極30または可動電極40から本体ケース10側及び異相へ閃絡しないように保護するものである。
本実施の形態の外部導体11は、図5に示すように、固定電極30に電気的及び機械的に接続されている。固定電極30は1枚の金属板を折り曲げて可動電極40のナイフ刃を両面から弾接挟持する構造になっている電極受部31と、消弧室50を取り付ける消弧室取付部32と、外部導体11の端部と電気的及び機械的に接続される固定部材としての外部導体接続部33から構成されている。なお、本実施の形態の固定電極30は、電極受部31と消弧室取付部32と外部導体接続部33から構成されているが、本発明を実施する場合には、電極受部31と外部導体接続部33または電極受部31と外部導体接続部33と消弧室取付部32とすることもできる。電極受部31と外部導体接続部33で構成した固定電極30は、消弧室取付部32または他の個所に消弧室50を取り付ける消弧室取付部分を設けることになる。特に、本実施の形態の固定電極30は、電極受部31と消弧室取付部32と外部導体接続部33から構成されているので、固定電極30と電極受部31及び消弧室取付部32が同電位となる。
外部導体12は、可動電極40が支軸42で軸支されている可動電極固定部41の外部導体接続部43に電気的及び機械的に接続されている。可動電極固定部41は1枚の金属板を折り曲げて可動電極40のナイフ刃を両面から弾接挟持する構造になっており、可動電極40に電気的及び機械的に接続されている。この可動電極40は、可動電極固定部41と外部導体12の端部と電気的及び機械的に接続される外部導体接続部43から構成されている。
可動電極40は弧状に湾曲していて、その先端部分には、タングステン70%、銅30%からなる耐弧メタルが接合されている。勿論、固定電極30の端部の可動電極40との接触部分も耐弧メタルが接合されている。したがって、固定電極30と可動電極40は遮断を行っても、その高温度のアークACによって固定電極30、可動電極40が溶損したり、電極の表面が荒れたり、接触抵抗が大きくなるのを固定電極30の一部としての接点30a、可動電極40の一部としての接点40aで防止している。
消弧室50は、図5及び図6に示すように、金型にPTFEの粉末状成形用材料を投入し、圧縮成形し、その後、360〜380℃で焼成し、全体を透明なゲル状とした後、機械加工仕上げを行う1次成形、更に、それを別の金型に入れて加熱、冷却することにより2次成形してなる消弧ハウジング51と、同様に形成された消弧ハウジング51に挿入挿着される消弧部材52で樹脂部分が形成されている。また、消弧部材52の挿着溝52cを軸とする線対称に磁性板54,55が配設され、また、挿着溝52cには磁性板53が配設される。そして、線対称に配設された磁性板54と磁性板53の間には強磁性体56a,56bが配設され、また、磁性板55と磁性板53の間には強磁性体57a,57bが配設されている。そして、それら消弧部材52、磁性板54と磁性板53及びその間の強磁性体56a,56b、磁性板55と磁性板53及びその間の強磁性体57a,57bが容易に離脱しないように、消弧ハウジング51の後方の開口は消弧室カバー58で覆われ、容易に離脱できないようになっている。消弧室50の前方には、可動電極40が通過する開閉通過溝50Aが形成されている。
更に詳しくは、消弧ハウジング51は、図5の下部に消弧室50を消弧室取付部32に取り付ける脚部51aを両側に有しており、また、両側の脚部51aの内側には、電極受部31をカバーする覆い部51c、また、覆い部51cから延長されて可動電極40の開閉通過溝50Aの開閉通過溝覆い部51bが形成されている。開閉通過溝50Aの長さは、固定電極30と可動電極40とが開閉通過溝50Aで遮断を行っても、そのアークACが遮断されるに十分な距離に設定される。例えば、6kV級では120〜150mm程度である。消弧室50をフッ素樹脂でモールド成形したものでは更に短くなる可能性がある。そして、消弧ハウジング51の開閉通過溝覆い部51bの反対側は開口しており、そこに消弧部材52が装着される。したがって、消弧ハウジング51は、全体が所定の厚みの板材で形成された形態となっている。
本実施の形態の消弧ハウジング51及び消弧部材52は、金型にPTFEの粉末状成形用材料を入れ、圧縮成型し、その後、焼成し、全体を透明なゲル状とした後、機械加工仕上げした1次成形、更に、その後、それを別の金型に入れて加熱、冷却することにより2次成形して得たものである。しかし、本発明を実施する場合には、金型にPTFEの粉末状成形用材料を入れ、圧縮成型し、その後、焼成し、全体を透明なゲル状とした後、機械加工仕上げした1次成形のみとすることもできる。また、他のフッ素樹脂材料を使用した場合には、その材料に適した成形方法の使用が可能である。
しかし、金型にPTFEの粉末状成形用材料を投入し、均一な圧縮力がPTFEの粉末に加わるように成形し、それを所定の形状に切削した方がPTFEの均一な層となるから、切削した後、それを別の金型に入れて加熱、冷却することにより2次成形した方が安定した特性の消弧ハウジング51及び消弧部材52の消弧室50となる。
消弧部材52には、可動電極40が移動する均一の溝幅の開閉通過溝50Aと、開閉通過溝50Aの反開口側に複数の筒状孔52bと連続する溝が形成されている。2列に形成した複数の筒状孔52bの間には、開閉通過溝50Aに露出しないように磁性板53の挿着溝52cが形成されている。それにより、消弧部材52の中央に、2列の筒状孔52bを2列に分割するように中央に挿着溝52cが形成され、複数の筒状孔52bはそれに沿って縦方向に連続形成されている。即ち、開閉通過溝50Aの反開口側は、図7及び図8に示すように、2列に形成した複数の筒状孔52bに連続する空間が形成されている。
消弧部材52の開閉通過溝50Aの外面は、2枚の磁性板54,55が密接配設される形状に形成されている。2枚の磁性板54と磁性板55は、1枚の磁性板53の挿着溝52cの水平面に形成した直線に対して対称で、先端が略く字状に折曲されている。具体的には、2枚の磁性板54と磁性板55は、2列に形成した複数の筒状孔52bに沿って平行し、開閉通過溝50Aでは両者の間隔が徐々に狭まるようにし、可動電極40のアークAC発生部分に相当する位置で両者間の間隔が最も狭まり、平行して配置される外面形状となっている。
消弧部材52に対応し、磁性板53はその挿着溝52cに挿着自在に形成され、容易に離脱しない程度の機械的精度で形成されている。また、磁性板53は挿着溝52cから延長され、両端にネオジム(Neodymium)磁石等からなる強磁性体56a,57a,56b,57bを配設するスペースを確保する形状としている。そして、磁性板54,55についても、消弧部材52の側面から延長され、両端に強磁性体56a,57a,56b,57bを配設するスペースを確保する形状としている。更に、磁性板53、磁性板54,55は、磁気抵抗を低くするために2〜6mmの厚みの鉄板を使用している。好ましくは、2枚の磁性板54,55が1.5〜3mmの厚みであり、1枚の磁性板53はその2倍程度の厚みであれば、磁気抵抗が少なく、好ましい磁界を形成できる。
本実施の形態は、磁性板53の開閉通過溝50A側の、その上下の長さ方向(図6の高さ方向)の中央を幅狭くし、その両側を幅広くしている。これは、開閉通過溝50Aを可動電極40の軌跡に漸近する直線を2本で表現したものであるが、本発明を実施する場合には、1本で表現してもよいし、3本以上の直線で可動電極40の最外側の軌跡線と近似表現してもよい。勿論、磁性板53の開閉通過溝50A側を可動電極40の最外側の軌跡線に並行する弧状とすることもできる。
本実施の形態では、磁性板53と磁性板54との間に2個の強磁性体56a,56bを配設し、磁性板53と磁性板54との間に磁界が発生するように構成されている。また、磁性板53と磁性板55との間に2個の強磁性体57a,57bを配設し、磁性板53と磁性板55との間に磁界が発生するように構成されている。そして、2個の強磁性体56a,56bと2個の強磁性体57a,57bは、互いに極性を反対として、磁力の作用する力の方向を逆にしている。即ち、磁性板53と磁性板54との間と磁性板53と磁性板55との間の磁力線の方向が逆となっている。
ここで、消弧部材52に取り付けられた磁性板53及び磁性板54及びその間の2個の強磁性体56a,56bは、本実施の形態の1つの磁気回路60aを構成し、磁性板53及び磁性板55及びその間の2個の強磁性体57a,57bは、他の磁気回路60bを構成している。
なお、本実施の形態では、磁気回路60aと磁気回路60bによって磁気回路60を構成しているが、強磁性体56a,57a,56b,57bの着磁方向を同一とした場合には、磁性板53及び磁性板54及びその間の4個の強磁性体56a,57a,56b,57bの磁路が単一になるから、その場合には、磁気回路60が単一となる。
磁性板53と磁性板54及び磁性板55並びに強磁性体56a,57a,56b,57bを配設した消弧部材52は、消弧ハウジング51に収容され、そこに、消弧室カバー58が被される。消弧室カバー58は消弧部材52の2列に形成した複数の筒状孔52bが連通する通孔58aが形成されているが、他は、消弧ハウジング51に収容した磁性板53、磁性板54、磁性板55及び強磁性体56a,57a,56b,57b、消弧部材52に密接する形態となっている。そして、消弧室カバー58の枠体には嵌合孔58bが設けられていて、消弧ハウジング51の周囲に配設されている係合片51eと係合するようになっている。
このように、消弧室50は、消弧部材52及び消弧ハウジング51からなり、消弧部材52及び消弧ハウジング51及び磁気回路60(60a,60b)から消弧装置を構成している。
即ち、可動電極40が固定電極30に電気的機械的に接続されている位置から、可動電極40の接点40aが固定電極30の接点30aとの間のアークACによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aに沿って配設し、かつ可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設したフッ素樹脂からなる消弧部材52及び消弧ハウジング51並びに消弧室カバー58からなる消弧室50は、消弧部材52に取り付けられた磁性板53及び磁性板54及びその間の2個の強磁性体56a,56bからなる磁気回路60a及び磁性板53及び磁性板55及びその間の2個の強磁性体57a,57bからなる磁気回路60bによって、本実施の形態の消弧装置を形成している。
次に、図9及び図10乃至図13を用いて、アークACの遮断動作を説明する。
図9は消弧装置を水平断面で遮断した概念図であり、説明のために固定電極30、可動電極40等を省略している。
図9(a)は可動電極40の接点40a側から固定電極30の接点30a側にアーク電流が流れている状態を示すもので、逆に、図9(b)は固定電極30の接点30a側から可動電極40の接点40a側に電流が流れている状態を示すものである。
消弧部材52に取り付けられた磁性板53及び磁性板54及びその間の2個の強磁性体56a,56bからなる磁気回路60a及び磁性板53及び磁性板55及びその間の2個の強磁性体57a,57bからなる磁気回路60bによって、図9(a)及び図9(b)に示す磁束が形成されている。磁気回路60a及び磁気回路60bは磁性板53から磁性板54との間に発生させている磁界の磁気回路60aと、磁性板53から磁性板55との間に発生させている磁界の磁気回路60bとがある。
アーク電流は、可動電極40側から固定電極30側に流れている図9(a)では、フレミングの左手法則により、アークACは複数の筒状孔52b側に引き込むような力が作用する。また、逆に、アーク電流が固定電極30側から可動電極40側に流れている図9(b)では、フレミングの左手法則により、アークACは複数の筒状孔52b側に引き込むような力が作用する。即ち、アーク電流の流れる方向に左右されることなく、アークACは消弧部材52の複数の筒状孔52b側に引き寄せられ、筒状孔52bには格子状に仕切り壁が設けてあるから、アークACの伸びに伴ってアーク電圧が上昇し、同時に、アークACは消弧部材52の複数の筒状孔52b等のフッ素樹脂で構成された面を部分的に加熱する。
アークACが消弧室50の消弧部材52の内壁に接触または近づくと、対向部分が溶融し消弧性ガスが発生する。特に、フッ素樹脂の内PTFEは表面に凹凸が多く、熱伝導率も低いので部分的に加熱する。アークACによって消弧室50が部分的に融点(PTFE:327℃)以上の高温度となると、筒状孔52b内のフッ素樹脂からフッ素が気化し、筒状孔52b内のガス圧力が上昇し、その電気的絶縁性、難燃性のフッ素ガスが、アーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去することによってアークACを遮断する。
即ち、消弧性ガスの発生で消弧室50内のアークACに対応する筒状孔52bの圧力が上昇し、前記消弧室から発生するフッ素ガスの圧力によって部分的に筒状孔内のアーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去する。特に、可動電極40の接点40a側は、可動電極40により通路が塞がれている状態となり、フッ素ガスの圧力はアークACを引き込む方向へ逃げ易くなっている。それによりアークACを冷却し、喩え、雰囲気中に金属蒸気が存在したとしても、それらのプラズマイオンを除去し、再発弧を抑制し、アークACを遮断する。
以上のように、本実施の形態の電力用開閉器は、一方の外部導体11と接続された固定電極30と、他方の外部導体12と接続された可動電極固定部41等の固定部分に支軸42で軸支され、その軸支された支軸42を中心に回動自在に配設された可動電極40と、一端が可動電極40に連結され、他端が外部に導出され、可動電極40の接点40aが固定電極30の接点30aとの間を開閉自在とし、かつ、可動電極40の支軸42を中心に駆動し、他端が外部に導出され、絶縁物を介在してなる駆動リンク機構71と、可動電極40が固定電極30に電気的機械的に接続されている位置から、可動電極40の接点40aが固定電極30の接点30aとのアークACによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように、可動電極40の開閉通過位置に沿って配設し、かつ、可動電極40の両側の面及び可動電極固定部41の支軸42から最も離れた外側の面を囲むように配設したフッ素樹脂からなる消弧室50と、消弧室50の内部に配設した磁性板53,54,55と、磁性板53,54,55を挟んで磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの位置の磁性板53,54は可動電極40の両側の面及び外側の面を囲むように配設した消弧室50のフッ素樹脂で覆われている磁気回路60a,60bを具備する。
本実施の形態の電力用開閉器によれば、開閉操作レバー18の操作によって可動電極40が固定電極30との間を開閉自在に駆動する。可動電極40が固定電極30に電気的機械的に接続されている位置から、可動電極40の接点40aが固定電極30の接点30aとのアークACによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように、開閉通過溝50Aの可動電極40の接点40aの開閉通過位置に沿って配設したフッ素樹脂からなる消弧室50は、可動電極40の両側の面及び外側の面を囲むように配設されており、かつ、消弧室50の内部の略中央に配設した磁性板53と、その磁性板53を挟んで磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bとを有する磁気回路60a,60bによって、少なくとも可動電極40が移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置の磁性板54,55は可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設した消弧室50のフッ素樹脂で覆われているから、磁気回路60a,60b中で放電するアークACは、磁界によって湾曲せられ、しかもそのアークACの温度が非常に高温であるから、アークACに近い消弧室50のフッ素樹脂の一部がガス化し、フッ素ガスを発生する。その電気的絶縁性、難燃性のフッ素ガスが、アーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去することによって、アークACを遮断する。このとき、消弧室50を形成しているフッ素樹脂がガス化するのは、極僅かな部分的な一部表面に過ぎず、他はゲル状になるも溶融しないでその外形を維持する。また、フッ素ガスは当該アークACによる燃焼がなく、炭化しないので、発明者らの実験によれば、耐弧メタル及び空気中の酸素によって、500回(実験値)の遮断を行っても僅かにカーボンが付着する程度であり、消弧室50にカーボン等の導電性の物質が付着しないから、長期の安定した使用が可能となる。
消弧室50は、可動電極40と固定電極30との間のアーク電流の方向に左右されることなく、常に、アークACが支軸42を中心として回動する可動電極40の接点40aの軌跡の外方向にアークACを湾曲させるようにしたものである。
したがって、消弧室50は可動電極40の接点40aと固定電極30の接点30aとの間のアーク電流の方向に左右されることなく、常に、アークACが可動電極40側の支軸42を中心として回動する可動電極40の軌跡の外方向にアークACを湾曲させるようにしたものであるから、アークACが移動する方向が特定され、特に、交流を遮断することもできる。
本実施の形態の消弧室50は、中央の1枚の磁性板53と外側の2枚の磁性板54,55の間にそれぞれの磁路を形成し、中央の1枚の磁性板53と外側の2枚の磁性板54,55の間に2列形成したものである、そして、2つの磁路を形成しているから、アークACが移動する方向が特定されているので、特に、交流を遮断することもできる。
しかし、中央の1枚の磁性板53を省略し、また省略しなくとも外側の2枚の磁性板54,55の間に磁路を形成し、外側の2枚の磁性板54,55の間のみに磁路を形成したもの、即ち、単一の磁路を形成したものでは、可動電極40と固定電極30との間のアークACが発生する箇所の消弧空間から消弧室50内に至るまでの磁界を強くすることができる。
更に、中央の1枚の磁性板53と外側の2枚の磁性板54,55の間に2列形成した消弧室50は、複数の隔壁によって複数の筒状孔52bを形成し、しかも、複数の筒状孔52bは、可動電極40の外側の面を囲む位置から消弧室50外まで貫通するものであり、かつ、アークACが移動する方向が特定されているので、複数の筒状孔52bの壁面が絶縁物で、それをアークACが跨ぐことは、消弧室50を構成するフッ素樹脂の加熱が行われ、フッ素ガスの発生を促し、消弧することができる。
また、磁気回路は磁気回路60aと磁気回路60bからなり、消弧室50の内部に配設した3枚の磁性板53,54,55と、中央の磁性板53を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、前記3枚の磁性板53,54,55のうち外側の2枚の磁性板54,55の可動電極40側は、可動電極40の接点40aの開閉通過である開閉通過溝50Aの位置とし、残りの中央の1枚の磁性板53は可動電極40の接点40aの厚みの中心を互いに略一致させ、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する軌跡が収容される開閉通過溝50Aの開閉通路位置は、3枚の磁性板53,54,55が可動電極40の接点40aの両側の面及び接点40aの外側の面を囲むように配設し、消弧室50を構成するフッ素樹脂で一部または全部を覆うものであるから、アークACが支軸42を中心として回動する可動電極40の軌跡の外方向にアークACを湾曲させることができ、アークACが移動する方向が特定できるので、特に、交流を遮断することもできる。
ところで、上記実施の形態では、交流電力の遮断を前提に説明したが、本実施の形態の電力用開閉器は直流電力の遮断に使用することもできる。
即ち、上記実施の形態では、消弧室50の内部に配設した3枚の磁性板53,54,55と、中央の磁性板53を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、前記3枚の磁性板53,54,55のうち外側の2枚の磁性板54,55の可動電極40側は、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの開閉通過位置とし、残りの中央の1枚の磁性板53は可動電極40とその厚みのを略中央として一致させ、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、少なくとも可動電極40が移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置は3枚の磁性板53,54,55は可動電極40の両側の面及び外側の面を囲むように配設し、磁気回路を磁気回路60aと磁気回路60bから構成し、消弧室50を構成するフッ素樹脂で一部または全部が覆われるものである。特に、直流の遮断では、電流の流れる方向が特定されるから、磁気回路を磁気回路60aと磁気回路60bで構成する必要がなくなる。
具体的には、上記実施の形態で磁気回路60を磁気回路60aと磁気回路60bから構成したものを、消弧室50の内部に配設した2枚の磁性板54,55と、磁性板53を挟んで同一方向に磁束を形成するように配設した強磁性体と56a,56b,57a,57bを、前記2枚の磁性板54,55の可動電極40側は可動電極40の開閉通過溝50Aの開閉通過位置とし、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの通路位置は2枚の磁性板54,55が可動電極40の接点40aの両側の面を囲むように配設し、消弧室50を構成するフッ素樹脂で一部または全部が覆われるようにしたものであるから、放電するアークACは、1つの磁路の磁界によって湾曲せられ、しかもその磁界を最大に大きくできるからアークACの湾曲を大きくすることができる。
上記実施の形態の電力用開閉器は、その消弧方法に特徴を有するものであるから、電力用開閉器の消弧方法の実施の形態として捕らえることができる。
即ち、当該電力用開閉器の消弧方法は、一方の外部導体11と接続された固定電極30と、他方の外部導体12と接続された可動電極固定部41等の固定部分に軸支され、前記軸支された支軸42を中心に回動自在に配設された可動電極40と、可動電極40が固定電極30に電気的機械的に接続されている位置から、可動電極40の接点40aが固定電極30の接点30aとのアークACによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように、可動電極40の開閉通過位置に沿って配設し、かつ、可動電極40の両側の面及び外側の面を囲むように配設したフッ素樹脂からなる消弧室50と、消弧室50の内部に配設した磁性板53,54,55と、その磁性板53,54,55を挟んで磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの通路位置の磁性板54,55は可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設した消弧室50のフッ素樹脂で覆われている磁気回路60a,60bとを具備し、消弧室50の内部に配設した3枚の磁性板53,54,55と、中央の磁性板53を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、前記3枚の磁性板53,54,55のうち外側の2枚の磁性板54,55の可動電極40側は、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの位置とし、残りの中央の1枚の磁性板53は可動電極40の厚みの略中央を略一致させ、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置は、3枚の磁性板53,54,55が可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設し、消弧室50に配設した磁性板53,54,55と磁性板53,54,55を挟んで磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bによって、固定電極30と可動電極40との間のアーク電流の方向によって消弧室50の外側にある何れか一方の磁性板54,55側に前記アークACを導くようにした構成とすることができる。
この実施の形態の電力用開閉器の消弧方法によれば、消弧室50の内部に配設した3枚の磁性板53,54,55と、中央の磁性板53を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、前記3枚の磁性板53,54,55のうち外側の2枚の磁性板54,55の可動電極40の接点40a側は、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの通過位置とし、残りの中央の1枚の磁性板53は可動電極40の接点40aの厚みの略中央を互いに略一致させ、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、少なくとも可動電極40が移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置は3枚の磁性板53,54,55は、可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設し、消弧室50に配設した磁性板53と磁性板54,55を挟んで磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bによって、固定電極30の接点30aと可動電極40の接点40aとの間のアーク電流の方向によって消弧室50の外側にある何れか一方の磁性板54または磁性板55側に前記アークACを導くようにした消弧方法であるから、磁気回路60a,60b中で放電する前記アークACは、磁界によって湾曲せられ、しかもそのアークACの温度が非常に高温であるから、前記アークACに近い消弧室50のフッ素樹脂の一部がガス化しフッ素ガスとなる。フッ素ガスは化学的に安定した電気的絶縁物であり、かつ、不燃性であるから、アーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンをフッ素ガスが除去することによって、アークACを遮断する。このとき、消弧室50を構成するフッ素樹脂は、ガス化するのは極僅かな部分的な一部表面に過ぎず、他はゲル状になるも溶融しないでその外形を維持する。また、フッ素ガスが不燃性を呈するので、当該アークACによる燃焼する材料がなく、発明者らの実験によれば耐弧メタル及び空気中の酸素によって、500回(実験値)の遮断を行っても僅かにカーボンが付着する程度であり、前記消弧室にカーボン等の導電性の物質が付着しない。
そして、前記アークACが可動電極40の支軸42を中心として回動する可動電極40の接点40aの軌跡の外方向に前記アークACを湾曲させるようでき、前記アークACが移動する方向が特定できるので、特に、交流を遮断することもできる。
更に、中央の1枚の磁性板53と外側の2枚の磁性板54,55の間に2列形成した消弧室50は、複数の隔壁によって複数の筒状孔52bを形成し、しかも、複数の筒状孔52bは、可動電極40の接点40aの外側の面を囲む位置から消弧室50外まで貫通するものであるから、複数の隔壁によって形成された複数の筒状孔52bは、その隔壁を乗り越えるようにアークACが伸び、かつ、その対面するフッ素樹脂がフッ素ガスの発生を促し、消弧することができる。
上記実施の形態にかかる電力用開閉器は、可動電極40が固定電極30に電気的、機械的に接続されている位置から、可動電極40の接点40aが固定電極30の接点30aとのアークACによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように長さを設定し、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの開閉通過位置に沿って配設したフッ素樹脂からなる消弧室50は、可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設し、そして、消弧室50の内部に配設した磁性板53,54,55と磁性板53を挟んで磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bとを有する磁気回路60によって、少なくとも可動電極40が移動する開閉通路位置の磁性板53,54,55は可動電極40の両側の面及び外側の面を囲むように前記フッ素樹脂で覆われているものである。
ここで、固定電極30は、電源側または電力供給側の一方と接続されている外部導体11と接続されるものである。
また、可動電極40の接点40aは、外部導体12と接続された可動電極固定部41等の固定部分に軸支され、前記軸支された支軸42を中心に回動自在に配設されたものである。
そして、本実施の形態の駆動機構は、可動電極40に連結されて、開閉操作レバー18の操作によって可動電極40を固定電極30と開閉自在に、可動電極40の支軸42を中心に駆動するもので、その駆動系に電気的絶縁物を介在させたものである。
更に、消弧室50は、可動電極40が固定電極30に電気的に接続されている位置から、可動電極40が固定電極30とのアークACによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの開閉通過位置に沿って配設し、可動電極40の両側の面及び外側の面を囲むように配設したものであり、その材料としてはフッ素樹脂からなるものである。
ここで使用するこのフッ素樹脂は、フッ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂であり、具体的には、PTFE、PCTFE、PVDF、PVF、PFA、FEP、ETFE、ECTFE等の使用が可能である。
特に、PTFEは、耐熱性が260℃と高く、かつ、熱可塑性を示さず、加圧成形焼成法、押出し成形法によって成形できるものの、その加工性が悪い。クロロトリフルオロエチレン樹脂やフッ化ビニリデン樹脂は、耐熱性でこそPTFEに劣るが、加工性は高く、圧縮、押出し、射出成形が可能な素材である。これらの樹脂の何れもが、アークACによって消弧室が部分的に融点(PTFE:327℃)以上の高温度となり、フッ素樹脂からフッ素が気化し、その電気的絶縁性、難燃性のフッ素ガスが、アーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去することによってアークACを遮断するものである。
更にまた、磁気回路60は、消弧室50の内部に配設した磁性板53,54,55と、磁性板53,54,55を挟んで磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置の磁性板53,54,55は可動電極40の両側の面及び外側の面を囲むように配設したフッ素樹脂で覆われているものである。
前記支軸42を中心として回動する可動電極40の接点40aの軌跡の外方向に湾曲させるアークACとは、支軸42を中心として回動する可動電極40の接点40aの最外周の軌跡の径よりも、その距離が大きくなる方向に湾曲させるものである。また、可動電極40の接点40aと固定電極30の接点30aとの間のアーク電流の方向に左右されることなくとは、磁気回路60a及び磁気回路60b等の2回路の磁路によってフレミングの左手の法則に従って、アーク電流の伸びる方向が一定するものである。
そして、電力用開閉器の消弧室50は、中央の1枚の磁性板53と外側の2枚の磁性板54,55の間にそれぞれの磁気回路60a及び磁気回路60b等の磁気回路60の磁路を形成し、中央の1枚の磁性板53と外側の2枚の磁性板54,55の間に2列形成したものである。ここで、中央の1枚の磁性板53と外側の2枚の磁性板54,55の間にそれぞれの磁気回路60a及び磁気回路60b等の磁路を形成し、かつ、中央の1枚の磁性板53と外側の2枚の磁性板54,55の間に2列の筒状孔52bからなる消弧空間を形成したものである。
更に、電力用開閉器の消弧室50は、中央の1枚の磁性板53と外側の2枚の磁性板54,55の間に2列形成した筒状孔52bを有する消弧室は、複数の隔壁によって複数の筒状孔52bを形成し、しかも、複数の筒状孔52bは、可動電極40の接点40aの外側の面を囲む位置から消弧室50外まで貫通しているものである。
ここで、可動電極40の接点40aの外側の面を囲む位置から消弧室50外まで貫通している複数の筒状孔52bは、断面が正方形を含む四角形、円形、楕円形の筒状のフッ素樹脂からなる消弧室50の消弧空間を構成したものであればよい。
更にまた、電力用開閉器の磁気回路60は、消弧室50の内部に配設した2枚の磁性板53と磁性板55と、磁性板53と磁性板55を挟んで配設した強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、2枚の磁性板54,55の可動電極40側は可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの開閉通過位置とし、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置は2枚の磁性板54,55が可動電極40の接点40aの両側の面を囲むように配設し、消弧室50を構成するフッ素樹脂で一部または全部が覆われているものである。ここで、2枚の磁性板54,55と強磁性体56a,56b,57a,57bは、2枚の磁性板54,55の可動電極40側は可動電極40の接点40aの開閉通過位置とし、また、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置は2枚の磁性板54,55が可動電極40の接点40aの両側の面を囲むように配設し、消弧室50を構成するフッ素樹脂でその2枚の磁性板と強磁性体の一部または全部を覆うものである。
加えて、電力用開閉器の磁気回路60は、消弧室50の内部に配設した3枚の磁性板53,54,55と、中央の磁性板53を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、前記3枚の磁性板53,54,55のうち外側の2枚の磁性板54,55の可動電極40側は、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの開閉通過位置とし、残りの中央の1枚の磁性板54,55は可動電極40の接点40aの厚みの略中央とし、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置は3枚の磁性板53,54,55は可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設し、消弧室50を構成するフッ素樹脂で一部または全部が覆われているものである。
ここで、3枚の磁性板53,54,55と2個の強磁性体56,57は、磁気回路60a及び磁気回路60bからなる2個の磁気回路60を形成するものであり、2枚の磁性板54,55の可動電極40側は可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの開閉通過位置とし、また、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置は2枚の磁性板54,55が可動電極40の接点40aの両側の面を囲むように配設し、消弧室50を構成するフッ素樹脂でその3枚の磁性板53,54,55と強磁性体56a,56b,57a,57bの一部または全部を覆うものである。
また、上記実施の形態の電力用開閉器の消弧方法は、可動電極40が固定電極30に電気的、機械的に接続されている位置から、可動電極40の接点40aが固定電極30の接点30aとのアークACによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの開閉通過位置に沿って配設し、かつ、可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設したフッ素樹脂からなる消弧室50と、消弧室50の内部に配設した磁性板53と、磁性板53を挟んで磁気回路60aと磁気回路60bの磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、少なくとも、可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置を囲むように配設した消弧室50のフッ素樹脂で覆われている磁気回路60を具備する電力開閉器において、消弧室50の内部に配設した3枚の磁性板53,54,55と、中央の磁性板53を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、前記3枚の磁性板53,54,55のうち外側の2枚の磁性板54,55の可動電極側は、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの開閉通過位置とし、残りの中央の1枚の磁性板53は可動電極40の接点40aの厚みの略中央を一致させ、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、少なくとも、可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置は3枚の磁性板53,54,55は可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設し、消弧室50に配設した磁性板53,54,55と磁性板54,55を挟んで磁気回路60からなる磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bによって、固定電極30の接点30aと可動電極40の接点40aとの間のアーク電流の方向によって消弧室50の外側にある何れか一方の磁性板54,55側に前記アークACを導くようにしたものである。
ここで、3枚の磁性板53,54,55と4個の強磁性体56a,56b,57a,57bは、2個の磁気回路60aと磁気回路60bを形成するものであり、2枚の磁性板54,55の可動電極側は可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの開閉通過位置とし、また、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置は2枚の磁性板54,55が可動電極40の接点40aの両側の面を囲むように配設したものである。
そして、消弧室50に配設した磁性板54,55と磁性板54,55を挟んで磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bによって、固定電極30の接点30aと可動電極40の接点40aとの間のアーク電流の方向によって、消弧室50の外側にある何れか一方の磁性板54,55側に前記アークACを導くようにしたものであり、消弧室50に配設した3枚の磁性板53,54,55とその間の強磁性体56a,56b,57a,57bによって独立した2つの磁気回路60を形成するものであればよい。
そして、電力用開閉器の消弧方法は、中央の1枚の磁性板53と外側の2枚の磁性板54,55の間に2列形成した消弧室50は、複数の隔壁によって複数の筒状孔52bを形成し、しかも、複数の筒状孔52bは、可動電極40の接点40aの外側の面を囲む位置から消弧室50外まで貫通するものである。
ここで、可動電極40の外側の面を囲む位置から消弧室50外まで貫通している複数の筒状孔52bは、断面が正方形を含む四角形、円形、楕円形の筒状のフッ素樹脂からなる消弧室50の消弧空間を構成したものであればよい。
発明者らは、本実施の形態の電力用開閉器について、6kV級として次のように開閉試験を行った。
本実施の形態の電力用開閉器は、定格電圧7.2kV,定格電流600Aで使用することを前提として製品設計した。その試験結果は、次のようである。
<試験条件>
試験電圧 7.2kV
試験電流 過負荷電流1000A(回路力率0.65〜0.75)
負荷電流 600A(回路力率0.65〜0.75)
励磁電流 1〜30A(回路力率0.2以下)
試験回路相数 3相
動作責務 過負荷電流3回(C級)
負荷電流200回(定格電流)
励磁電流10回
準拠規格 JISC4605 高圧交流負荷開閉器
JISC4607 引外し形高圧交流負荷開閉器

<試験結果>
試験項目 試験電流 動作責務 結果
過負荷電流開閉 1000A 3回 OK
負荷電流開閉 600A 200回 OK
励磁電流開閉 1〜30A 各10回 OK

なお、このような試作用の電力用開閉器の結果から、電圧が低くても、または電圧が高くても、その試験結果は、原理的に大きく変化しないものである。
そして、従来の消弧装置との比較をしてみると、次のような優位さが確認される。
公知の細隙形の消弧装置と比較すると、細隙形方式の消弧装置は、通電電流容量に比例して導体断面積を大きくする必要があるから、性能を左右する細隙の寸法を維持する必要があり、大電流遮断には不向きである。また、材料溶融から発生する消弧性ガスの量によって遮断性能に影響があり、小電流遮断時にはアーク熱が小さく、消弧性ガスの発生が少なく、遮断性能が良くない。しかし、本実施の形態の電力用開閉器は、消弧室50の管理をすることで性能を担保することができ、管理項目が少ない。また、全体がシンプルな構造であるため低コスト化が可能である。
また、バッファ形の消弧装置と比較すると、バッファ形は圧縮気体を吹付けるベローズやシリンダ等の構造を設ける必要があり、構造が複雑で、高コストとなり、故障が懸念される。しかし、本実施の形態の電力用開閉器は、それらベローズやシリンダ等の構造を設ける必要がなく、強制的に消弧室50から得たフッ素ガスの圧力を高め、アーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンをフッ素ガスが除去することによって、アークACを遮断することから、故障が懸念される可能性が極端に少ない。
そして、遮断時のアーク電流を利用する磁気駆動形の消弧装置と比較すると、アーク電流が小さいときに磁界が弱くなるから、小電流遮断には不向きである。また、磁性金属を積み重ねたグリッド形の消弧装置の場合には、磁性金属の溶損による微細破片が周辺絶縁物表面に付着するから絶縁劣化が懸念される。しかし、本実施の形態の電力用開閉器は、直接電流に依存するものではなく、強磁性体による強制磁界に依存するものであるから、小電流遮断にも適用できる。また、周辺絶縁物表面に対して絶縁劣化の影響を及ぼす物質の発生は極端に少なく、長期に渡って良好な絶縁環境を期待できる。
更に、従来の強制磁気駆動形の消弧装置と比較すると、交流電流遮断の場合、周波数によって電流方向が交互に変化し、アークACの挙動を安定に制御することができない。そのため、直流電流または低電圧での使用に制限される。しかし、本実施の形態の電力用開閉器は、アーク電流の大きさに関わらず磁界が一定しているので、交流電流でもアークACの挙動を安定して制御し、遮断することができる。
ところで、本実施の形態の電力用開閉器の強磁性体56a,57a,56b,57bは、ネオジム(Neodymium)磁石からなるものである。これは、当該磁石のキュリー点の温度特性を考慮したもので、アーク熱による影響を受け、減磁されることを防止するものである。しかし、電圧及び電流容量によってはネオジム磁石ほどの保磁力を必要としないものでも、アーク熱の影響を受け難くなるものもある。また、キュリー点の温度特性が高い強磁性体を採用する場合は、本実施の形態のように両端に配置する等の対策の必要性は無い。
本実施の形態においては、可動電極40は経済性を考慮し、板形状のシングルブレードを採用している。しかし、本発明を実施する場合には、板形状のダブルブレードや棒形状の可動電極、ロータリー式の可動電極を採用しても消弧装置の形状や配置を変更することで同様の効果を得ることができる。
特に、本実施の形態の電力用開閉器は、固定電極30と可動電極40に夫々固定電極30の接点30aと可動電極40の接点40aを具備する事例で説明したが、本発明を実施する場合には、接点30aまたは接点40aを有しない単一材料からなるものにも適用できる。即ち、アーク発生箇所として固定電極30と可動電極40の接点30a,40aを中心に説明したが、固定電極30の接点30aは固定電極30と、また、可動電極40の接点40aは可動電極40とコンタクタの部分を強調しているだけで実質的に同一である。
また、本実施の形態の電力用開閉器は、消弧部材52を縦に9個の格子を2列形成しているが、定格電圧7.2kV、負荷電流600Aの遮断200回では、固定電極30側から5個目までの筒状孔52bで、その殆どを遮断することができた。このことから必ずしも9個の筒状孔52bが必要であるわけではないことが分かる。即ち、この筒状孔52bの数は使用電圧と電流容量によって増減されるものである。しかし、個々の筒状孔52bの縦寸法を大きくした場合、筒状孔52bの数を少なくした場合は、筒状孔52bの格子壁によるアークACの引延ばし効果が期待できなくなり、遮断性能が低下する。
本実施の形態の電力用開閉器は、定格電流の600Aのアーク径に適応するために消弧室50のアーク引込み筒状孔52bの寸法は幅10mm×高さ7.5mmとしている。アークACはその電流によって径が違うため、それに適応して引込み筒状孔52bの寸法を決定する必要がある。実験によると100A程度のアーク電流であれば引込み筒状孔52bの格子の幅は5mm程度で適応することができた。
そして、本実施の形態の電力用開閉器は、アーク引込み筒状孔52bは長方形の形状をしているが、前述のアーク径に適用できる寸法であれば、形状の違い(丸形,三角形,菱形等)で作用、性能が著しく異なることは無い。但し、消弧性ガスを発生させる場合、引込み筒状孔52bの形状によっては寿命を左右する。
本実施の形態の電力用開閉器は、磁性板53,54,55は磁性軟鉄を採用している。磁性軟鉄と比較して磁化率は劣るものの代替材料として磁性ステンレス鋼板を採用してもよい。
更に、本実施の形態の電力用開閉器は、磁性板53,54,55の厚みを中央の磁性板53は4.5mm、両側面の磁性板54,55は2.3mmとしているが、磁性板53,54,55の厚みを変更しても、同様の比率であれば、同様の作用が期待できるものである。但し、磁性板53,54,55の厚みを薄くした場合、ヨークとしての効果が少なくなるため、アークACに影響を及ぼす磁界の範囲が狭まることとなる。したがって、適用する電圧、電流に見合った厚みを選定することが必要である。
本実施の形態の電力用開閉器は、消弧室50、磁性板53,54,55、消弧室カバー58及び強磁性体56a,57a,56b,57bは、それぞれ個々の部品を組立てるようにしているが、消弧室50の一体モールド成形等によってユニットとして製作してもよい。このようにすれば組立工数を短縮することができる。
加えて、上記実施の形態で磁気回路60は、4個の強磁性体56a,56b,57a,57bを有し、上下に間隔を設けたものであるが、これは強磁性体56a,56b,57a,57bの温度上昇を抑えるために分割しているが、片側に3個の強磁性体の配置としてもよいし、または片側に1個の強磁性体の配置としてもよい。特に、4個の強磁性体56a,56b,57a,57bを、強磁性体56a,56bと強磁性体57a,57bを上下に間隔を設けることなく、両者間のスペースを埋める1個の強磁性体とし、計2個の強磁性体とすることもできる。
上記実施の形態では、フッ素樹脂としてPTFEの使用で説明したが、PTFEは成形加工に高度の技術力を要し、かつ、手間がかかり、高価になることから、PVDF、FEP、PFAで試作し、繰り返し実験をしたが、アーク遮断については同様に良い結果を得た。また、製造コストも廉価とすることができた。当然、PCTFE、PVF、ETFE、ECTFE等においても、その性質上略同等あるいはそれ以上の結果が得られるものである。
また、発明者の実験によれば、アークACによってガス化を行うものとして、非晶部分と結晶部分が混在するポリアセタール(略号:POM)、ユリア(略号:UF)等の樹脂においても、試作したが、同様の良好なアーク遮断結果を得た。
即ち、POM、UF等の樹脂使用による実施の形態の電力用開閉器の構成は、当該電力用開閉器の消弧方法は、一方の外部導体11と接続された固定電極30と、他方の外部導体12と接続された可動電極固定部41等の固定部分に軸支され、前記軸支された支軸42を中心に回動自在に配設された可動電極40と、可動電極40が固定電極30に電気的機械的に接続されている位置から、可動電極40の接点40aが固定電極30の接点30aとのアークACによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように、可動電極40の開閉通過位置に沿って配設し、かつ、可動電極40の両側の面及び外側の面を囲むように配設したガス化を行う樹脂からなる消弧室50と、消弧室50の内部に配設した磁性板53,54,55と、その磁性板53,54,55を挟んで磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの開閉通路を磁路とすべく形成した消弧室50のガス化を行う樹脂で覆われている磁気回路60との構成とすることができる。
また、表面絶縁性が良く、電気特性も優れ、耐食性の良い不飽和ポリエステル(略号:UP)においても実験を行った。しかし、UPはほとんどガス化しないで、かつ、アークの接触によって炭化するので、電気特性も優れているものが使用できるものでないことが確認された。
即ち、消弧室50に炭化等のダメージを与えないこと、高温でガス化すること、好ましくは、当該ガスには電気的絶縁性及び難燃性があることの要件を満たすことが望ましい。特に、当該ガスの電気的絶縁性及び難燃性はアーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去することによってアークACを遮断する過程には影響が僅かである。しかし、電気的絶縁性及び難燃性を欠くことは、その程度問題で他の安全性から除外される場合がある。したがって、アークACによって消弧室50からガスが発生し、その電気的絶縁性、難燃性のガスが、アーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去することによってアークACを遮断するのが望ましい。
特に、上記実施の形態の電力用開閉器の構成は、一方の外部導体11と接続された固定電極30と、他方の外部導体12と接続された可動電極固定部41等の固定部分に軸支され、前記軸支された支軸42を中心に回動自在に配設された可動電極40と、可動電極40が固定電極30に電気的機械的に接続されている位置から、可動電極40の接点40aが固定電極30の接点30aとのアークACによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように、可動電極40の開閉通過位置に沿って配設し、かつ、可動電極40の両側の面及び外側の面を囲むように配設した消弧室50と、消弧室50の内部に配設した3枚の磁性板53,54,55と、中央の磁性板53を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、前記3枚の磁性板53,54,55のうち外側の2枚の磁性板54,55の可動電極40側は、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの開閉通過位置とし、残りの中央の1枚の磁性板54,55は可動電極40の接点40aの厚みの略中央とし、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置は3枚の磁性板53,54,55は可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設し、消弧室50で一部または全部が覆われている磁気回路60との構成とすることができる。
上記実施の形態の電力用開閉器の構成は、当該電力用開閉器の消弧方法として表すこともできる。即ち、一方の外部導体11と接続された固定電極30と、他方の外部導体12と接続された可動電極固定部41等の固定部分に軸支され、前記軸支された支軸42を中心に回動自在に配設された可動電極40と、可動電極40が固定電極30に電気的機械的に接続されている位置から、可動電極40の接点40aが固定電極30の接点30aとのアークACによる電気的接続が断たれる位置が含まれるように、可動電極40の開閉通過位置に沿って配設し、かつ、可動電極40の両側の面及び外側の面を囲むように配設した消弧室50と、消弧室50の内部に配設した磁性板53,54,55と、その磁性板53,54,55を挟んで磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの通路位置の磁性板54,55は可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設した消弧室50で覆われている磁気回路60a,60bを具備し、消弧室50の内部に配設した3枚の磁性板53,54,55と、中央の磁性板53を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体56a,56b,57a,57bとを有し、前記3枚の磁性板53,54,55のうち外側の2枚の磁性板54,55の可動電極40側は、可動電極40の接点40aの開閉通過溝50Aの位置とし、残りの中央の1枚の磁性板53は可動電極40の厚みの略中央を略一致させ、強磁性体56a,56b,57a,57bは反可動電極側とし、少なくとも可動電極40の接点40aが移動する開閉通過溝50Aの開閉通路位置は、3枚の磁性板53,54,55が可動電極40の接点40aの両側の面及び外側の面を囲むように配設し、消弧室50に配設した磁性板53,54,55と磁性板53,54,55を挟んで磁路を形成する強磁性体56a,56b,57a,57bによって、固定電極30と可動電極40との間のアーク電流の方向によって消弧室50の外側にある何れか一方の磁性板54,55側に前記アークACを導くようにした構成の方法の発明とすることができる。
何れにせよ、アークACによって消弧室50から部分的にガスを発生し、そのガスがアーク電路の金属蒸気を含むプラズマイオンを除去することによって、アークACを遮断するものである。
10 本体ケース
18 開閉操作レバー
30 固定電極
30a 固定電極の接点
31 電極受部
33 外部導体接続部(固定部材)
40 可動電極
40a 可動電極の接点
41 可動電極固定部(固定部材)
50 消弧室
50A 開閉通過溝
51 消弧ハウジング
52 消弧部材
52b 筒状孔
52c 挿着溝
53,54,55 磁性板
56a,56b,57a,57b 強磁性体
58 消弧室カバー
60,60a,60b 磁気回路
AC アーク

Claims (6)

  1. 一方の外部導体と接続された固定電極と、
    他方の外部導体と接続された固定部材に軸支され、開閉操作レバーの操作によって前記固定部材に軸支された支軸を中心に回動自在となるべく配設された可動電極と、
    前記可動電極の接点が前記固定電極の接点に電気的機械的に接続されている位置から、前記可動電極の接点が前記固定電極の接点との間のアークが消弧によって電気的接続が断たれる範囲が含まれるように、前記可動電極の接点の開閉軌跡に沿って配設し、かつ、前記可動電極の接点を囲むように配設したフッ素樹脂からなる消弧室と、
    前記消弧室の内部に配設した磁性板と、前記磁性板を挟んで磁界を形成する強磁性体とを有し、少なくとも前記可動電極の接点が移動する開閉通路を磁路とすべく形成した前記消弧室フッ素樹脂で覆われている磁気回路とを具備し、
    前記磁気回路は、前記消弧室の内部に配設した前記磁性板のうち、中央の1枚の磁性板と外側の2枚の磁性板の間にそれぞれの磁路を形成し、前記中央の1枚の磁性板と前記外側の2枚の磁性板の間に互いに磁力線の方向を異にする磁界を形成したことを特徴とする電力用開閉器。
  2. 前記磁気回路は、前記可動電極の接点が前記固定電極の接点との間の前記アークの電流方向に左右されることなく、常に、前記アークが前記支軸を中心として回動する前記可動電極の接点の開閉軌跡の外方向に湾曲させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電力用開閉器。
  3. 前記消弧室は、前記消弧室の内部に配設した前記磁性板のうち、中央の1枚の前記磁性板と外側の2枚の前記磁性板の間には、複数の隔壁によって複数の筒状孔を形成し、しかも、前記複数の筒状孔は前記可動電極の接点が移動する開閉通路から前記消弧室外まで貫通していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力用開閉器。
  4. 前記磁気回路は、前記消弧室の内部に配設した3枚の前記磁性板と、中央の前記磁性板を挟んで対向する面を同極として配設した前記強磁性体とを有し、前記3枚の磁性板のうち外側の2枚の前記磁性板の前記可動電極側は、前記可動電極の開閉通路位置とし、残りの中央の1枚の前記磁性板は前記可動電極の厚み中央を略中央に一致させ、前記強磁性体は反可動電極側とし、少なくとも前記可動電極が移動する前記開閉通路位置の3枚の前記磁性板は、前記可動電極の接点を囲むように配設し、前記消弧室を構成するフッ素樹脂で一部または全部が覆われていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の電力用開閉器。
  5. 一方の外部導体と接続された固定電極と、
    他方の外部導体と接続された固定部材に軸支され、開閉操作レバーの操作によって前記固定部材に軸支された支軸を中心に回動自在となるべく配設された可動電極と、
    前記可動電極の接点が前記固定電極の接点に電気的機械的に接続されている位置から、前記可動電極の接点が前記固定電極の接点との間のアークが消弧によって電気的接続が断たれる範囲が含まれるように、前記可動電極の接点の開閉軌跡に沿って配設し、かつ、前記可動電極の接点の両側の面及び外側の面を囲むように配設したフッ素樹脂からなる消弧室と、
    前記消弧室の内部に配設した磁性板と、前記磁性板を挟んで磁界を形成する強磁性体とを有し、少なくとも前記可動電極の接点が移動する開閉通路を磁路とすべく配設した前記消弧室のフッ素樹脂で覆われている磁気回路とを具備し、
    前記消弧室に配設した3枚の磁性板と、中央の磁性板を挟んで対向する面を同極として配設した強磁性体とを有し、前記3枚の磁性板のうち外側の2枚の磁性板の前記可動電極側は、前記可動電極の接点の前記開閉通路位置とし、残りの中央の1枚の前記磁性板は前記可動電極の厚みの中央を略中央に一致させ、前記強磁性体は反可動電極側とし、少なくとも前記可動電極が移動する前記開閉通路位置は前記3枚の磁性板は前記可動電極の接点の両側の面及び外側の面を囲むように配設し、前記消弧室に配設した前記磁性板と前記磁性板を挟んで磁路を形成する前記強磁性体によって、前記固定電極の電極と前記可動電極の電極との間のアークの電流方向によって前記消弧室の外側にある何れか一方の前記磁性板側に前記アークを導くようにしたことを特徴とする電力用開閉器の消弧方法。
  6. 前記消弧室は、前記消弧室の内部に配設した前記磁性板のうち、中央の1枚の前記磁性板と外側の2枚の前記磁性板の間には、複数の隔壁によって複数の筒状孔を形成し、しかも、前記複数の筒状孔は前記可動電極の接点が移動する前記開閉通路から前記消弧室外まで貫通していることを特徴とする請求項5に記載の電力用開閉器の消弧方法。
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