JP5247047B2 - エーテル類の分解方法 - Google Patents
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か分解速度が遅いといった問題があった。
(1)エーテル類の分解方法であって、好気的条件下でエーテル類を分解できる微生物を用い、分解促進剤の存在下でエーテル類を分解することを特徴とする方法。
(2)微生物が、Rhodococcus属、Pseudomonas属、Arthrobacter属、Delftia属、Stenotrophomonas属、又はAcinetobacter属に属する微生物である、(1)に記載の方法。
(3)微生物が、Rhodococcus sp.、Pseudomonas sp.、Pseudomonas aeruginosa、Arthrobacter sp.、Delftia sp.、Stenotrophomonas sp.、又はAcinetobacter sp.である、(2)に記載の方法。
(4)微生物が、Rhodococcus sp. FERM P-20161、Arthrobacter sp. FERM P-20162、Pseudomonas sp. FERM P-21212 (ET-2)、Arthrobacter sp. FERM P-21213 (ET-3)、Arthrobacter sp. FERM P-21214 (ET-4)、Pseudomonas sp. FERM P-21215 (ET-6)、Pseudomonas aeruginosa FERM P-21216 (ET-7)、Arthrobacter sp. FERM P-21217 (MT-3) 、Acinetobacter sp. FERM P-21218 (MT-4)、Delftia sp. FERM P-21219 (MT-5)、Pseudomonas sp. FERM P-21220 (TB-1)、又はStenotrophomonas sp. FERM P-21221 (TB-2)である、(3)に
記載の方法。
(5)エーテル類がエチルターシャリーブチルエーテルである、(1)〜(4)の何れか1項に記載の方法。
(6)分解促進剤がポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール又はそれらの誘導体である、(1)〜(5)の何れか1項に記載の方法。
(7)分解促進剤がメタノール、C2〜C8の1級アルコール、C3〜C8の2級アルコール、C1〜C8のジオール、C3〜C8のケトン、C1〜C8のヒドロキシカルボン酸、C1〜C8のモノカルボン酸、C2〜C8のジカルボン酸、C4〜C8の3級アルコール、C3〜C8のイソアルケン、又はC3〜C8のイソアルカンである、(1)〜(5)の何れか1項に記載の方法。
(8)さらに酸化剤の存在下でエーテル類を分解することを特徴とする、(1)〜(7)の何れか1項に記載の方法。
(9)酸化剤が空気、酸素、過酸化水素、又はオゾンである、(8)に記載の方法。
(10)さらに無機栄養源の存在下でエーテル類を分解することを特徴とする、(1)〜(7)の何れか1項に記載の方法。
(11)無機栄養源が窒素源、リン源、又は微量金属塩源である、(10)に記載の方法。
エーテル類により汚染された水または土壌を浄化できる。
エーテル類を資化または共酸化で分解する好気性微生物を添加することで、分解時間を短縮できるほか、より高い濃度の濃染に対処することができる。
本発明のエーテル類の分解方法は、好気的条件下でエーテル類を分解できる微生物を用い、分解促進剤の存在下でエーテル類を分解することを特徴とする方法である。
P-21219 (MT-5)、Pseudomonas sp. FERM P-21220 (TB-1)、Stenotrophomonas sp. FERM
P-21221 (TB-2)である。Rhodococcus sp. FERM P-20161、Arthrobacter sp. FERM P-20162は、平成16年8月13日に、Pseudomonas sp. FERM P-21212 (ET-2)、Arthrobacter sp. FERM P-21213 (ET-3)、Arthrobacter sp. FERM P-21214 (ET-4)、Pseudomonas sp. FERM P-21215 (ET-6)、Pseudomonas aeruginosa FERM P-21216 (ET-7)、Arthrobacter sp. FERM P-21217 (MT-3) 、Acinetobacter sp. FERM P-21218 (MT-4)、Delftia sp. FERM P-21219 (MT-5)、Pseudomonas sp. FERM P-21220 (TB-1)、Stenotrophomonas sp. FERM P-21221 (TB-2)は、平成19年2月14日に、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄
託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託されている。本発明の方法において反応系に存在させる微生物の濃度としては、好ましくは103〜1012CFU
/ml、より好ましくは104〜1011CFU/ml、さらに好ましくは105〜1010CFU/mlである。
などの試料に対し、分解促進剤を注入し、好気的条件下で上記したような微生物を存在させることで行う。ここで、存在させるとは、微生物とエーテル類と分解促進剤とを注入、混合或いは混練等により、これらを一つの反応系に共存させることをいい、共存には、微生物とエーテル類と分解促進剤とを接触させる態様を含む。微生物とエーテル類と分解促進剤との共存は、具体的には、例えば、分解対象物であるエーテル類を含む土壌や水中に、分解促進剤を加え、微生物を該微生物の培養条件下に維持しておくというのがよい。尚、微生物が、例えば、エーテル類の分解に関与する酵素を菌体外に分泌するような場合には、エーテル類が直接菌体に接触することがなくともエーテル類の分解が行われるが、本発明はこのような態様も含むものである。
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が、これら実施例にのみ、限定を受けないことは言うまでもない。
表1に示す培地50mlを坂口フラスコに入れ、121℃、15分間殺菌した。培地を冷却後、一般下水場から入手した活性汚泥を150マイクロリットル加え、エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)を0.6mM添加し、エチルターシャリーブチルエーテルを単一炭素源として増殖できるRhodococcus sp. FERM P-20161を植菌し、28℃、28日間培養した。培養に際して、分解を促進するためにポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(0.1g/L)を加えた区(例1)と、比較のために添加しない区(例2)を設け
た。培養期間中は大気中にETBEが揮散しないように気相を還流し、消費された酸素分を純酸素で補充した。サンプルは無菌的に培養液を抜き取り、除菌後、ETBE濃度をガスクロを用いて測定した。結果を表2に示す。
培地成分 添加量
KH2PO4 0.4 (%)
K2HPO4 0.2 (%)
NH4Cl 0.2 (%)
MgSO4・7H2O 0.02 (%)
CaCl2・2H2O 400 (mg/l)
H3BO4 500 (mg/l)
CuSO4 40 (mg/l)
KI 100 (mg/l)
FeSO4・7H2O 200 (mg/l)
MnSO4・5H2O 400 (mg/l)
ZnSO4・7H2O 400 (mg/l)
Na2MoO・2H2O 100 (mg/l)
pH 7.0
残存ETBE量(mM)
経過日数(日) 0 4 6 8 10 12 20 28
例1 分解促進剤あり 0.28 0.55 0.025 0 0 0 0 0
例2 分解促進剤なし 0.28 - 0.27 0.27 0.26 0.25 0.24 0.20
表1に示す培地50mlを坂口フラスコに入れ、121℃、15分間殺菌した。培地を冷却後、一般下水場から入手した活性汚泥を150マイクロリットル加え、エチルターシャリーブチルエーテルの代わりにメチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)0.6mMを添加し、メチルターシャリーブチルエーテルを単一炭素源として増殖できるArthrobacter sp. FERM P-20162を植菌したこと以外は同様の方法で、28℃、28日間培養した。培養に際して、分解を促進するためにポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(0.1g/L)を加えた区(例1)と、比較のために添加しない区(例2)を設けた。培養期間中は大気中にMTBEが揮散しないように気相を還流し、消費された酸素分を純酸素で補充した。サンプルは無菌的に培養液を抜き取り、除菌後、MTBE濃度をガスクロを用いて測定した。結果を表3に示す。
残存MTBE量(mM)
経過日数(日) 0 4 6 8 10 18 28
例1 分解促進剤あり 0.27 0.12 0.01 0 0 0 0
例2 分解促進剤なし 0.27 0.26 0.25 0.20 0.03 0.02 0
表4に示す培地50mlを坂口フラスコに入れ、121℃、15分間殺菌した。培地を冷却後、一般下水場から入手した活性汚泥を150マイクロリットル加え、エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)を0.6mM添加し、次いでエタノール6mMを加えた。例1−8にはエチルターシャリーブチルエーテルを単一炭素源として増殖できる種々の菌株をそれぞれ植菌し、28℃、28日間培養した。例9には、菌株を使用しなかった。培養期間中は大気中にETBEが揮散しないように気相を還流し、消費された酸素分を純酸素で補充した。結果を表5に示す。
培地成分 添加量(%)
KH2PO4 0.4
K2HPO4 0.2
NH4Cl 0.2
MgSO4・7H2O 0.02
FeSO4・7H2O 0.01
MnCl2・4H2O 0.04
ZnSO4・7H2O 0.1
ENS培地 (Difco社製) 0.5
経過時間(日)
7 28
分解促進剤 菌株 残存ETBE(mM)
例1 エタノール Rhodococcus sp. FERM P-20161 0.02 0
例2 エタノール Arthrobacter sp. FERM P-21217 (MT-3) 0.14 0.04
例3 エタノール Acinetobacter sp. FERM P-21218 (MT-4) 0.09 0
例4 エタノール Pseudomonas sp. FERM P-21212 (ET-2) 0.15 0.11
例5 エタノール Pseudomonas sp. FERM P-21215 (ET-6) 0.08 0
例6 エタノール Pseudomonas aeruginosa FERM P-21216 (ET-7) 0.18 0.05
例7 エタノール Arthrobacter sp. FERM P-21213 (ET-3) 0.14 0.08
例8 エタノール Arthrobacter sp. FERM P-21214 (ET-4) 0.09 0
例9 エタノール なし 0.26 0.23
表4に示す培地50mlを坂口フラスコに入れ、121℃、15分間殺菌した。培地を冷却後、一般下水場から入手した活性汚泥を150マイクロリットル加え、エチルターシャリーブチルエーテルの代わりにメチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)0.6mMを添加し、次いでメタノール3mMを加えた。例1にはメチルターシャリーブチルエーテルを単一炭素源として増殖できるArthrobacter sp. FERM P-20162を植菌したこと以外は同様の方法で、28℃、28日間培養した(例1)。例2には菌株を使用しなかった。培養期間中は大気中にMTBEが揮散しないように気相を還流し、消費された酸素分を純酸素で補充した。サンプルは無菌的に培養液を抜き取り、除菌後、MTBE濃度をガスクロを用いて測定した。結果を表6に示す。
経過日数(日)
7 28
分解促進剤 菌株 残存MTBE量(mM)
例1 メタノール Arthrobacter sp. FERM P-20162 0.18 0.12
例2 メタノール なし 0.27 0.24
表4に示す培地50mlを坂口フラスコに入れ、121℃、15分間殺菌した。培地を冷却後、一般下水場から入手した活性汚泥を150マイクロリットル加え、エチルターシャリーブチルエーテルの代わりにメチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)0.6mMを添加し、次いでメタノール3mMを加えた。例1−4にはメチルターシャリーブチルエーテルを単一炭素源として増殖できる種々の菌をそれぞれ植菌したこと以外は同様の方法で、28℃、28日間培養した。例5には菌株を使用しなかった。培養期間中は大気中にMTBEが揮散しないように気相を還流し、消費された酸素分を純酸素で補充した。サンプルは無菌的に培養液を抜き取り、除菌後、MTBE濃度をガスクロを用いて測定した。結果を表7に示す。
経過日数(日)
7 28
分解促進剤 菌株 残存MTBE量(mM)
例1 メタノール Delftia sp. FERM P-21219 (MT-5) 0.17 0.08
例2 メタノール Acinetobacter sp. FERM P-21218 (MT-4) 0.23 0.18
例3 メタノール Stenotrophomonas sp. FERM P-21221 (TB-2) 0.24 0.16
例4 メタノール Pseudomonas sp. FERM P-21220 (TB-1) 0.23 0.14
例5 メタノール なし 0.28 0.26
表4に示す培地に種々の炭素源を添加し、50mlずつを坂口フラスコに分注し、121℃、15分間殺菌した。培地を冷却後、一般下水場から入手した活性汚泥を150マイクロリットル加え、エチルターシャリーブチルエーテルの代わりに化学消火剤、あるいは切削油の構成成分であるジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGBE)10mMを添加し、メチルターシャリーブチルエーテル(例1)あるいはエチルターシャリーブチルエーテル(例3)を単一炭素源として増殖できる微生物を分解促進剤としてそれぞれメタノール、エタノールを3mM添加し、植菌したこと以外は同様の方法で、28℃、45日間培養した。例2,4には菌株を使用しなかった。培養期間中は無菌的に培養液を抜き取り、除菌後、DEGBE濃度をガスクロを用いて測定した。結果を表8に示す。
経過日数(日)
7 28
分解促進剤 菌株 残存DEGBE量(mM)
例1 メタノール Arthrobacter sp. FERM P-20162 8.9 7.8
例2 メタノール なし 9.9 9.7
例3 エタノール Rhodococcus sp. FARM P-20161 8.2 7.4
例4 エタノール なし 9.6 9.4
表4に示す培地50mlを坂口フラスコに入れ、121℃、15分間殺菌した。培地を冷却後、一般下水場から入手した活性汚泥を150マイクロリットル加え、エチルターシャリーブチルエーテルの代わりにメチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)0.6mMを添加し、次いでメタノール3mMを加えた。メチルターシャリーブチルエーテルを単一炭素源として増殖できるArthrobacter sp. FERM P-20162を植菌したこと以外は同様の方法で、28℃、28日間培養した。培養期間中は大気中にMTBEが揮散しないように気相を還流し、消費された酸素分を純酸素で補充した。具体的には、酸素の消費で減圧となると自動的に酸素が供給され、酸素濃度が0.5〜4ppmの範囲に納まるようにコントロールした(例1)。サンプルは無菌的に培養液を抜き取り、除菌後、MTBE濃度をガスクロを用いて測定した。結果を表9に示す。
残存MTBE量(mM)
経過日数(日)
分解促進剤 菌株 7 28
例1 酸素補充あり Arthrobacter sp. FERM P-20162 0.14 0
例2 酸素補充なし Arthrobacter sp. FERM P-20162 0.22 0.16
Claims (11)
- エーテル類の分解方法であって、好気的条件下でエーテル類を分解できる微生物を用い、分解促進剤の存在下でエーテル類を分解することを特徴とし、前記微生物がRhodococcus sp. FERM P-20161であり、前記エーテル類がエチルターシャリーブチルエーテルおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される、方法。
- エーテル類の分解方法であって、好気的条件下でエーテル類を分解できる微生物を用い、分解促進剤の存在下でエーテル類を分解することを特徴とし、前記微生物がArthrobacter
sp. FERM P-20162であり、前記エーテル類がメチルターシャリーブチルエーテルおよび
ジエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される、方法。 - エーテル類の分解方法であって、好気的条件下でエーテル類を分解できる微生物を用い、分解促進剤の存在下でエーテル類を分解することを特徴とし、前記微生物がPseudomonas sp. FERM P-21212 (ET-2)、Arthrobacter sp. FERM P-21213 (ET-3)、Arthrobacter sp. FERM P-21214 (ET-4)、Pseudomonas sp. FERM P-21215 (ET-6)、Pseudomonas aeruginosa
FERM P-21216 (ET-7)、又はArthrobacter sp. FERM P-21217 (MT-3)であり、前記エーテル類がエチルターシャリーブチルエーテルである、方法。 - エーテル類の分解方法であって、好気的条件下でエーテル類を分解できる微生物を用い、分解促進剤の存在下でエーテル類を分解することを特徴とし、前記微生物がAcinetobacter sp. FERM P-21218 (MT-4)であり、前記エーテル類がメチルターシャリーブチルエーテ
ルおよびエチルターシャリーブチルエーテルから選択される、方法。 - エーテル類の分解方法であって、好気的条件下でエーテル類を分解できる微生物を用い、分解促進剤の存在下でエーテル類を分解することを特徴とし、前記微生物がDelftia sp. FERM P-21219 (MT-5)又はStenotrophomonas sp. FERM P-21221 (TB-2)であり、前記エー
テル類がメチルターシャリーブチルエーテルである、方法。 - 分解促進剤がポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール又はそれらの誘導体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 分解促進剤がメタノール、C2〜C8の1級アルコール、C3〜C8の2級アルコール、C1〜C8のジオール、C3〜C8のケトン、C1〜C8のヒドロキシカルボン酸、C1〜C8のモノカルボン酸、C2〜C8のジカルボン酸、C4〜C8の3級アルコール、C3〜C8のイソアルケン、又はC3〜C8のイソアルカンである、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
- さらに酸化剤の存在下で前記エーテル類を分解することを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
- 酸化剤が空気、酸素、過酸化水素、又はオゾンである、請求項8に記載の方法。
- さらに無機栄養源の存在下で前記エーテル類を分解することを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
- 無機栄養源が窒素源、リン源、又は微量金属塩源である、請求項10に記載の方法。
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