JP5237259B2 - 過剰産生黄色ブドウ球菌株の5型および8型莢膜多糖 - Google Patents

過剰産生黄色ブドウ球菌株の5型および8型莢膜多糖 Download PDF

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Description

本発明は、過剰産生黄色ブドウ球菌(S. aureus)株、特に、CYL1892株およびCYL770株によって産生される5型および8型莢膜多糖、ならびに黄色ブドウ球菌血清型5および/または8株による感染症に対する免疫化のためのそれらの使用に関する。
黄色ブドウ球菌株は、ペプチドグリカン壁およびおそらくその外表面と結合している多糖を含んでおり、この多糖は、莢膜またはグリコカリックスと称される多少厚みのある構造を形成する。これらの莢膜多糖は反復単位の構築により形成され、その構成成分および結合は定義されており、細菌種の特徴である。これらの反復単位は、エピトープ、および抗原性を決定する構造体を含有する。
黄色ブドウ球菌の臨床単離体の表面での血清学的に異なる莢膜多糖の発見により、研究されているこれらの株の病原性におけるそれらの役割が導き出された。黄色ブドウ球菌株の血清型検査により、血清型5および8が大部分のヒト感染症の原因であることが示されている。
黄色ブドウ球菌による感染症に対するワクチンの開発は、発生する合併症の重篤性および増加の一途をたどる現行抗生物質に対して耐性のある株の出現のために大きな利害関係を示している。黄色ブドウ球菌血清型5および血清型8(T5およびT8)株による感染症に対して防御するワクチンの開発は、85〜90%の黄色ブドウ球菌株による感染症に対して個体を防御することを可能にするであろう。
莢膜抗原に基づく黄色ブドウ球菌に対するワクチンの開発に対する重大な障害は、T5およびT8を発現する野生型株の生産性の低さであり、これは培養条件によって異なる。
本発明者らは、驚くべきことに、莢膜多糖(PS)を多量に生産するように遺伝子改変された野生型黄色ブドウ球菌株が目的の多糖を製造するために有利に使用され得ることを実証した。
本発明者らは、実際に、莢膜PSを過剰産生する株を得るように遺伝子組換えにより改変された黄色ブドウ球菌T5およびT8株が、野生型PSとは異なるが野生型莢膜PSに対する抗体を含む体液性応答を誘導する莢膜多糖を培養上清中で多量に産生する能力を有することを立証した。
したがって、本発明の主題は、過剰産生黄色ブドウ球菌T8および/またはT5株のそれぞれT8および/またはT5莢膜多糖を含む免疫原性組成物である。
特定の実施態様によると、該組成物は、黄色ブドウ球菌CYL1892株のT5莢膜多糖を含む。
別の実施態様によると、該組成物は、黄色ブドウ球菌CYL770株のT8莢膜多糖を含む。
特定の実施態様によると、該組成物は、黄色ブドウ球菌CYL1892株のT5莢膜多糖および黄色ブドウ球菌CYL770株のT8莢膜多糖を含む。
特定の実施態様によると、該免疫原性組成物は、キャリアータンパク質と結合している過剰産生黄色ブドウ球菌株のT8および/またはT5莢膜多糖を含む結合体を含む。
特定の実施態様によると、結合体は、CYL770株のT8莢膜多糖を含む。
特定の実施態様によると、結合体は、CYL1892株のT5莢膜多糖を含む。
特定の実施態様によると、免疫原性組成物は、CYL770株のT8莢膜多糖を含む結合体およびCYL1892株のT5莢膜多糖を含む結合体を含む。
特定の実施態様によると、結合体は、分画された莢膜多糖を含む。
特定の実施態様によると、本発明の結合体のキャリアー分子は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素Aである。
別の態様によると、本発明は、キャリアータンパク質(有利には、緑膿菌外毒素A)と結合している過剰産生黄色ブドウ球菌株のT8またはT5莢膜多糖を含む結合体に関する。一の実施態様によると、PSは、分画されている。
特定の実施態様によると、結合体は、黄色ブドウ球菌CYL1892株の莢膜多糖を含む。
別の実施態様によると、結合体は、黄色ブドウ球菌CYL770株の莢膜多糖を含む。
該PSは、好ましくは、結合する前に分画される。
別の態様によると、本発明は、黄色ブドウ球菌CYL1892株の5型莢膜多糖に関する。この多糖は、有利には、単離または精製した形態である。
別の態様によると、本発明は、黄色ブドウ球菌感染症に対する免疫化のための免疫原性組成物の製造のための上記で定義した結合体の使用に関する。
別の態様によると、本発明は、
a)過剰産生黄色ブドウ球菌株を培養することからなる工程、
b)このようにして製造された培養物を不活化することからなる工程、および
c)上清からT5莢膜多糖を回収することからなる工程
を含む、T5莢膜多糖の製造方法に関する。
本発明の方法の特定の実施態様によると、過剰産生株はCYL1892株である。
以下の記載において、図1〜6を引用しながらより詳しく本発明を説明する。
「黄色ブドウ球菌株」なる用語は、T5および/またはT8多糖を含む莢膜または微小莢膜(microcapsule)を発現する任意の黄色ブドウ球菌株を意味することが意図される。非限定的な例として、Newman(T5)株、Reynolds(T5)株、Lowenstein(T5)株、Becker(T8)株およびWright(T8)株を挙げることができる。本発明の関連において有利に使用される株は、Reynolds株およびBecker株である。
本発明の関連において、「過剰産生株」なる用語は、2つの株を同じ培養条件下で培養した場合に、由来する親株よりも、培養上清中で単位容量あたり少なくとも10倍多い、有利には少なくとも20倍多い重量の莢膜多糖を産生するように遺伝子改変された黄色ブドウ球菌株を意味することが意図される。
産生される莢膜多糖の量は実施例1に記載されるようにELISA法によって決定され得る。
「遺伝子改変された」株は、ゲノムがその莢膜多糖産生能を増大させるように遺伝子操作により改変された黄色ブドウ球菌株である。適当な遺伝子改変の説明の一例として、cap5またはcap8オペロンの主要プロモーターの、黄色ブドウ球菌M株のcap1オペロンの主要プロモーターのような別の株の強力な主要プロモーターとの相同的組換えによる置換による黄色ブドウ球菌株の改変を挙げることができる。相同的組換えによる遺伝子挿入の方法は、A. J. Link et alによる論文(J. of Bacteriology. Oct. 1997, p.6228-6237)に詳細に記載されており、過剰産生黄色ブドウ球菌株の生産へのその特定の利用は、T. T. Luong et alによる論文(Infection and Immunity, July 2002, p.3389-3395)に詳細に記載されている。かくして、使用され得る操作条件に関するさらなる詳細についてこれらの論文を参照することができる。この同方法は、T5莢膜多糖を過剰産生する組換え株を構築するためにも使用することができる。これを行うために、ある種のパラメーターを調整することが必要であり得、相同的組換えは出発株に応じて、多少容易に行われる。一例として、cap5オペロンの主要プロモーターが黄色ブドウ球菌M株のcap1オペロンの主要プロモーターと相同的組換えによって置換された過剰産生Reynolds CYL1892株は、以下の変更を導入したLuong et alの方法によって生産することができた:相同配列がReynolds株の等価な相同配列と置換されており、プラスミドpCL52.2が、温度感受性複製開始点を有しておりかつcatマーカー(クロラムフェニコールに対する耐性を与えるクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)を含んでいるプラスミドpCL10と置換された。つまり、Pcap1プロモーターを含む約250bpのフラグメントと融合されたReynolds株のcap5 ORFを含む約1kbのDNAフラグメントが、重複PCR技法によって構築される。cap5A遺伝子の上流の配列を含む約1kbのDNAフラグメントが、Reynolds株のゲノムからPCRによって増幅される。次いで、2つのフラグメントが、熱感受性複製開始点を有しておりかつcatマーカーを含んでいるpCL10プラスミド中にクローン化され、その結果、Pcap5プロモーターがPcap1プロモーターと置換される。次いで、このようにして構築されたプラスミドが、RN4220株中に電気穿孔され、次いで、バクテリオファージ52を使用する形質導入によってReynolds株へ導入される。次いで、該プラスミドの複製開始点の温度感受性は、その複製をブロックしつつ同時にクロラムフェニコールによる選択を適用することによって相同的組換えの促進を可能にする。
「CYL770株」なる用語は、Luong and Lee(2002 Infect. Immun. 70: 3389-3395)に記載されているようにcap8オペロンのプロモーターが黄色ブドウ球菌M株のcap1オペロンの強力なプロモーターと置き換えられた野生型Becker株(CIP103314)から得られる過剰産生黄色ブドウ球菌株を示す。
「CYL1892株」なる用語は、上記改変を含むLuong and Lee(2002 Infect. Immun. 70: 3389-3395)により記載されている方法に従ってcap5オペロンのプロモーターが黄色ブドウ球菌M株のcap1オペロンの強力な構成プロモーターと置き換えられたReynolds株(CIP103313)から得られる過剰産生黄色ブドウ球菌株を示す。
本発明者らは、過剰産生黄色ブドウ球菌株、特に、CYL770株およびCYL1892株が高い遺伝的安定性を示すことも立証した。「高い遺伝的安定性」なる用語は、実施例1に記載した試験によって測定されるように、莢膜を有する黄色ブドウ球菌株を培養するのに適している培養培地上で少なくとも25継代後にそれらの過剰産生能を保存する該株の特性を意味することが意図される。
さらにまた、本発明者らは、過剰産生黄色ブドウ球菌株によって生産される莢膜多糖(以下、rPSと称する)が、対応する野生型株によって生産されるPS(以下、wtPSと称する)の物理化学的特徴とは異なる物理化学的特徴を示すことを示した。「PS8」および「PS T8」なる用語は、血清型8莢膜多糖を意味するために本発明の関連において差別せずに用いられる。同様に、「PS5」および「PS T5」なる用語は、血清型5莢膜多糖を意味するために本発明の関連において差別せずに用いられる。
rPS T8多糖は、対応するwtPSよりも非常高い平均分子量を有する。すなわち、250kDa対150kDa。
rPS T5多糖は、対応するwtPSよりも非常に高い平均分子量を有する。すなわち、150kDa対50kDa。さらにまた、本発明者らは、rPS T5は、細菌壁と結合したままであるwtPS T5とは異なって、主として培養上清中に放出されることを示した。
本発明者らは、wtPSのものとは異なるプラスチック表面への吸着特性を示すことも観察した。抗PS8ポリクローナル抗体は、M1培地中にて予め培養した種々のT8株(Becker、WrightおよびCYL770)の反復注射によってウサギにおいて産生された。これらの血清の抗PS8抗体力価は、吸着抗原として種々のPS8(Becker株、Wright株またはCYL770株から精製した)を用いてELISAによって評価された。結果は、Becker株から得られた抗PS8ポリクローナル血清が高い抗PS8抗体力価を示すことを示した。この力価は、Becker株のPS8について評価されているかWright株のPS8について評価されているかに関わらず同様である。他方、後者をCYL770株から精製した吸着PS8について評価した場合には低い抗PS8力価が観察される。Wright株またはCYL770株から得られた血清について同じ結果が得られた。
種々の血清によるCYL770のPS8の弱い認識が、このrPS8の、処理されたプラスチック製ELISAプレートと結合する能力の低下に因るものであり、PS8自体の認識の差異に因るものではなかったことを立証するために、3つの血清を、rEPAと結合したCYL770のrPS8に対してELISAにより滴定した。吸着を大きく改良することは、キャリアータンパク質の存在にとって不可欠であった。これらの吸着条件下で、3種類のT8株から産生される抗PS8ポリクローナル血清は、お互いに比べても遜色のない、Becker株またはWright株から精製されたPS8について得られたものと同様の抗体力価をもって、CYL770のrPS8を非常に強く認識する。
異なる免疫特性および抗原特性に反映される可能性のあるこれらのかなりの相違にもかかわらず、本発明者らは、特徴付けおよび免疫原性実験によって、rPSが、まず、C. Jones(Carbohydr. Res., 2005, 340, 1097-1006)によって記載されるようにそれらの特徴的な一次構造を保存すること、次に、wtPSの免疫原性および抗原性を保存することを立証した。
本発明者らは、特に、種々の黄色ブドウ球菌8型株に対する抗CYL770血清の交差反応性を評価した。これに関して、CYL770株のホルマリン処理した全微生物の注射によりウサギ中にて過免疫血清を調製し、化学的に脱莢膜した自家微生物上に吸着させた。得られた結果は、抗CYL770株血清が表面でwtPS T8を示している野生型Becker株およびWright株との交差反応性を示すことを示している。したがって、これらの結果は、免疫化方法で使用することができるT8莢膜多糖を多量に製造するために過剰産生CYL770株を使用することが可能であることを立証している。
rPSは、
a)過剰産生黄色ブドウ球菌株、特に、CYL1892株またはCYL770株を培養することからなる工程、
b)このようにして製造された培養物を不活化することからなる工程、および
c)培養上清からT5またはT8莢膜多糖を回収することからなる工程
を含む製造方法によって製造され得る。
工程(a)は、固体または液体培養培地上で行うことができる。これを行うために、莢膜を有する黄色ブドウ球菌株を培養するのに適していると文献に記載されているいずれもの培養培地を使用することができる。非限定的な例として、以下の培地を挙げることができる:TSB(トリプティケースソイブロス(trypticase soy broth));Poutrelが規定した培地(Poutrel et al., Clin Diagn Lab Immunol. 1995, 2(2): 166-71);Columbiaブロス。続いて、誘導または非誘導培地に言及する。「誘導培地」なる用語は、cap遺伝子座の誘導性主要プロモーターに対して間接的にまたは直接作用する成分(例えば、NaCl、またはCaCl2およびMgCl2のような別の塩)を含有する培養培地を意味することが意図される。したがって、誘導培地は、cap遺伝子座に誘導性主要プロモーターを含んでいる黄色ブドウ球菌株における莢膜の生産を誘導する能力を有する培地である。逆に、非誘導培地は、このようなシグナルを含有しない培養培地である。
本発明の関連において、好ましくは、動物起源のタンパク質を含まない培地が使用される。
「動物起源のタンパク質」なる用語は、動物起源の材料から得られたタンパク質およびそれらから誘導される物質、例えば、動物タンパク質の化学的処理により誘導される誘導体を意味することが意図される。それはまた、これらの動物タンパク質の部分または全加水分解の生成物、例えば、ペプトン類、ポリペプチド類、ペプチド類、またはそれらから誘導されるアミノ酸を意味することが意図される。
培養工程は、接種材料を、例えば0.2の初期OD680nmで、培養培地に接種し、5〜10%の濃度で場合によりCO2を含有する雰囲気下で(T5株についてはCO2を含有せず、T8株の使用の場合にはCO2を含有する)、例えば約48〜72時間の間、37℃でインキュベートすることにより行うことができる。培養容量は、必要に応じて変えることができる。400ml〜20リットルまたはそれ以上、例えば、30リットル〜100リットルの容量を使用することができる。好ましくは、酸素化が促進するように20%(V/V)の培養培地容量対培養容器容量が維持される。多量の容量の場合は、酸素化は、培養の過程において確認され、酸素圧の調節および適当な撹拌によって調節される。
要求に応じて、培養工程は、バイオマスおよび生産される多糖の量を増加させるために、容量を増やしながらの連続培養を含むことができる。工程(a)から得られる培養物は、続いて不活化工程(b)を受ける。
不活化工程は、培養物を2%(容量、最終濃度)の割合のフェノール/エタノール(1V/1V)混合物で処理し、次いで、例えばマグネチックバーを使用して、周囲温度で6時間〜48時間(処理されるバイオマスに依存する)撹拌することにより行うことができる。不活化は、死亡率試験によって確認される。これを行うために、処理された培養物100μlをColumbia 2%NaCl 寒天上にプレーティングし、並行して、処理された培養物100μlを、30分の1のウマ血清を補充したトリプティケースソイブロス中に接種する。培養物を37℃で48時間インキュベートする(ブロスフラスコの栓はゆるめたままである)。生存している細菌の不在は、37℃で24時間インキュベートした後に増殖がないことに反映される。一旦培養物の死亡が確立されると、莢膜多糖を回収する。
過剰産生黄色ブドウ球菌株、特に、CYL770株およびCYL1892株の場合、rPS T8およびT5の大部分が培養上清中に放出される。したがって、rPSは、後者から直接単離され得る。これを行うために、不活化工程の終わりに、培地を遠心分離し、細胞ペレットを除去する。
次いで、培養上清に含有されるrPSは、PSを精製するための慣用技術によって精製され得る。種々の精製技術が文献に記載されており、本発明の関連において使用することができる。例えば、Lee J. C. et al. による論文1987; 55, 2191-2197またはFattom et al. による論文Infect. Immun. 1990; 58, 2367-2374を参照することができ、後者は、PSのリゾスタフィンによる放出、ならびにRNAse、DNAse、プロテアーゼ、分画されたエタノール沈殿、イオン交換およびモレキュラーシーブでの処理を含む方法を記載している。好ましくは、本発明の関連において、少なくとも70%の純度を示すrPSを製造する技術が使用される。
物理化学的分析および500MHzでの一次元プロトン核磁気共鳴分析は、過剰産生株から精製されたrPS T8およびT5が、少なくとも70%の純度および70%より高いO−およびN−アセチル化度を有する、文献に記載された構造に従った構造を示すことを示す。残留物質は、最終生成物中に、タンパク質特性を有する残留物質5%(w/w)未満、残留核酸1%(w/w)未満、ならびに残留リポテイコ酸および残留テイコ酸5%(w/w)未満の割合で存在する。
得られた莢膜多糖の量は、実施例1に記載されるELISA技術によって評価され得る。
かくして、CYL770株は、上清中に、親Becker株によって生産されるものよりも約80倍多い量のrPS T8を生産することが示された。この生産性における利益は、培養培地中での連続継代後も安定を保つ。
さらにまた、本発明者らは、CYL1892株が野生型親株よりも約50倍多い、すなわち平均200μg/mlのrPS T5を生産することを示した。この生産性における利益は、本質的に、培養上清中で観察され、培養培地中での連続継代後も安定を保つ。さらにまた、CYL1892株は、細胞ペレット中に野生型親株よりも7倍多いT5多糖を生産する。
一部のrPS T5は細菌壁に結合したままであるので、rPS T5を回収することかになる工程はまた、細胞からrPS T5を抽出することからなるさらなる工程を含むことができる。これを行うために、種々の抽出技術が文献に記載されており、本発明の関連において使用され得る。例えば、これらの技術の詳細な説明のためにLee J. C.による論文Infect. Immun. 1993; 67: 1853-1858;Dassy B. et al.による論文Gen. Microbiol. 1991; 137: 1155-1162を参照することができる。
したがって、本発明のPSを生産する方法は、有利には、好ましくはCYL1892株から、PSの細胞ペレットからの抽出により上清から直接、rPS T5を生産するために使用され得る。したがって、本発明の方法により、数多くの細胞混入物(すなわち、例えば、DNA、RNA、テイコ酸)の除去の面倒な工程を簡単にすることが可能になる。
一の実施態様によると、本発明の主題はまた、rPS莢膜多糖、特に、黄色ブドウ球菌CYL1892株のrPS T5である。該多糖は、有利には、単離または精製された形態である。
本発明のrPS T5およびT8は、例えば、操作条件の完全な記載について参照することができる米国特許第6,045,805号に記載される方法に従って、分画または脱重合され得る。本発明の関連において、「分画する」および「脱重合する」なる用語は、区別なく使用される。これらの分画されたrPSを、以下、rPSfと称する。本発明のrPS T5およびT8は、有利には、有利には10〜120kDaの範囲内、特に30〜70kDaの範囲内の平均分子量を示すrPSf、例えば、平均分子量50kDaのrPSfが得られるまで分画または脱重合される。
したがって、一の実施態様によると、本発明の主題はまた、rPSf莢膜多糖、特に、rPSf T5、有利には、黄色ブドウ球菌CYL1892株のrPSf T5である。該rPSf多糖は、有利には、単離または精製された形態である。
本発明はまた、黄色ブドウ球菌T5および/またはT8株による感染症の治療または予防のための免疫原性組成物およびワクチンを製造するための、過剰産生黄色ブドウ球菌株(有利には、CYL1892株およびCYL770株)により産生されるrPS T5およびT8莢膜多糖の使用に関する。
rPS莢膜多糖は、補体の存在下での食細胞によるそれらを担持する細菌の破壊を媒介することができる抗体の産生を誘導する。
したがって、一の実施態様によると、本発明は、過剰産生黄色ブドウ球菌株(有利には、CYL770株またはCYL1892株)のrPS T8および/またはT5を含む免疫原性組成物またはワクチン組成物に関する。
本発明はまた、黄色ブドウ球菌感染症の予防用および/または治療用の免疫原性組成物の製造またはワクチン組成物の製造のための過剰産生ブドウ球菌株(有利には、CYL770株またはCYL1892株)のrPS T8および/またはT5の使用に関する。特に、該免疫原性組成物またはワクチン組成物は、投与を受ける個体において黄色ブドウ球菌T8および/またはT5株に対する体液性応答を誘導することができる。
特定の実施態様によると、該組成物は、rPS T8およびT5を含む。かかる免疫原性組成物またはワクチン組成物は、投与を受ける個体において、感染性黄色ブドウ球菌株の圧倒的多数を代表する黄色ブドウ球菌T5およびT8株に対する免疫応答を誘導することができるので、特に有利である。
本発明の免疫原性組成物またはワクチン組成物は、感染個体において感染と戦うために、または、入院する個体または外科手術手技を受けなければならない個体のような感染の恐れのある個体において感染を予防するために使用することができる。
本発明の免疫原性組成物またはワクチン組成物が、2歳未満の小児用、または高齢(60歳を超える)の個体のような弱い免疫防御を示している個体用である場合、本発明のrPSは、好ましくは、結合形態で使用される。
したがって、別の実施態様によると、本発明は、rPS−キャリアータンパク質結合体に関する。
「キャリアータンパク質」なる用語は、莢膜多糖に対する免疫応答の誘導においてT細胞とB細胞との間の細胞協力を可能にし、かくして、能動免疫についてであってもボランティアに対して調製された高力価抗血清を使用する受動免疫についてであっても免疫原性を向上させるタンパク質を意味する。キャリアータンパク質は、好ましくは、非毒性および非反応性であるタンパク質である。使用することができるキャリアータンパク質の非限定的な例としては、組換えまたは不活化細菌毒素、例えば、緑膿菌外毒素A、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイドまたは百日咳トキソイド、ブドウ球菌トキソイドもしくは外毒素、またはイー・コリ(E. coli)熱不安定性毒素(LT)または志賀毒素(ST)が挙げられる。細菌の外膜タンパク質、例えば、外膜複合体c(OMPc)、ポリン、トランフェリン結合タンパク質、または肺炎球菌表面タンパク質A(PsaA)もまた使用され得る。他のさらなるタンパク質、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシアニンまたはツベルクリン精製タンパク質誘導体(PPD)をキャリアータンパク質として使用することができる。
それらの高い分子量のために、rPS T5およびT8多糖は、好ましくは、例えば使用すべき操作条件の記載について参照することができる米国特許第6,045,805号に記載されている方法に従って、キャリアー分子と結合する前に「分画」または「脱重合」される。非分画rPSは、低い累積的結合および精製収率をもたらし、それらのサイズが大きいために濾過滅菌の実施がより困難になり得る結合体を生じる。脱重合または分画したrPSは、本明細書において、以下、rPSfと称する。
本発明のrPSは、10〜120kDa、特に30〜70kDa、例えば50kDaの平均分子量を示すrPSfが得られるまで脱重合または分画され得る。例えば、CYL1892株のrPS T5は、有利には30〜70kDaの範囲、例えば50kDaの平均分子量を有するrPSfが得られるまで脱重合または分画され、CYL770株のrPS T8は、有利には30〜70kDaの範囲、例えば、50kDaの平均分子量を有するrPSfが得られるまで脱重合または分画される。
その後、多糖を、共有結合によるキャリアータンパク質との結合の前に官能化させる。該官能化は、種々の方法に従って行うことができる。例えば、多糖の活性化カルボキシレート基をアジピン酸ジヒドラジド(ADH)またはシスタミンで官能化させることができ、次いで、該部分アミド化多糖とキャリアータンパク質のカルボキシレート基とのカルボジイミド媒介反応によって、該多糖をキャリアータンパク質と結合させることができる。また、多糖のヒドロキシル基を臭化シアンまたはテトラフルオロホウ酸1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジウムを使用して活性化することができ、次いで、該多糖をKohn et al. 1993 FEBS Lett. 154: 209: 210に記載されている方法に従ってADHで官能化させることができる。次いで、官能化多糖をエチルジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDAC)の存在下でキャリアータンパク質と(例えば、残基GLU553を欠失させた組換え緑膿菌エキソプロテインA(本明細書中ではrEPAなる用語の下に言及される))と結合させる。次いで、反応しなかった多糖から結合体を分取するためにサイズ排除クロマトグラフィーを使用することができる。官能化および結合の活性化工程は、多糖の反復単位の化学構造を損なわない。
したがって、一の態様によると、本発明は、キャリアータンパク質(好ましくは、ExoA解毒rEPA)と結合した、有利にはそれぞれCYL770株およびCYL1892株の、PSf T8および/またはT5を含む結合体に関する。
別の態様によると、本発明はまた、キャリアータンパク質(好ましくは、ExoA解毒rEPA)と結合した、有利にはそれぞれCYL770株およびCYL1892株の、rPSf T8および/またはT5を含む結合体に関する。
特定の実施態様によると、本発明は、上記定義の結合体、特に、PSf T8およびT5結合体またはrPS T8およびT5結合体を含む混合物であって、該PSが、有利には解毒ExoAと同一またはそれに相当する、同一または異なるキャリアータンパク質と結合されているところの混合物に関する。
本発明の結合体は、免疫原性組成物またはワクチン組成物、特に黄色ブドウ球菌感染症の予防用および/または処置用のワクチン組成物の製造のために使用することができる。したがって、本発明はまた、上記で定義した結合体またはその混合物を含む免疫原性組成物またはワクチン組成物に関する。
本発明の組成物は、インビボでの体液性応答を誘導するのに有用、特に黄色ブドウ球菌T5またはT8株に対する抗体または抗血清を製造するのに有用、または感染した個体において感染症と戦うのに、または入院している個体もしくは外科手術手技を受けなければならない個体のような感染の恐れのある個体において感染症を予防するのに有用である。
したがって、本発明の主題はまた、当業者に周知の抗血清およびポリクローナルまたはモノクローナル抗体を得るための慣用技術によって行われ得る抗体および抗血清の調製、ならびにこのようにして製造される指向性抗体および抗血清である。
本発明の免疫原性組成物またはワクチン組成物は、当業者に知られているいずれかの常法によって製造され得る。通常、本発明の抗原は、医薬上許容される賦形剤と混合される。「医薬上許容される賦形剤」なる用語は、ヒトに投与することができる組成物の調製において慣用的に使用される、いずれもの賦形剤、充填剤、希釈剤、ビヒクル、保存剤などを意味することが意図される。一般に、これらの物質は、選択される医薬剤形および投与経路に応じて、そして、標準的な製薬業務に従って、選択される。例えば、当該技術分野におけるレファレンス・マニュアルを構成するRemington's Pharmaceutical Sciencesを参照することができる。
本発明の組成物はまた、アジュバントを含有することができる。ワクチン分野で慣用的に使用されるいずれかの医薬上許容されるアジュバントまたはアジュバント混合物をこの目的のために使用することができる。好適なアジュバントの例としては、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムのようなアルミニウム塩、DC−CholおよびTollアゴニストが挙げられる。
さらなる態様によると、本発明は、黄色ブドウ球菌感染症に対して個体を免疫化する方法であって、該個体に上記本発明の免疫原性組成物またはワクチン組成物の免疫学的に有効な量を投与することを含む方法に関する。
「個体」なる用語は、黄色ブドウ球菌感染症の恐れのある個体、例えば、入院しているかまたは外科手術手技を受けなければならない個体を意味することが意図される。
本発明の組成物は、非経口経路(静脈内、筋肉内、皮下など)のようなワクチン分野で通常使用されるいずれかの慣用経路によって投与され得る。本発明の関連において、注射用組成物については、好ましくは筋肉内投与が用いられる。かかる投与は、有利には、大腿部または腕の筋肉において行われ得る。本発明の組成物はまた、経口投与され得る。鼻粘膜、膣粘膜または直腸粘膜を介する投与もまた本発明に関連して推奨され得る。該投与は、1回投与量または反復投与量の投与によって行われ得る。ワクチン投与量は、0.1ml〜2mlの容量、好ましくは0.5mlの容量で調製され得る。免疫学的に有効な量は、免疫化個体において、黄色ブドウ球菌株をオプソニン化して感染個体の食細胞によるその除去を促進する能力を有する抗体を含む体液性応答を誘導する能力を有する量である。該組成物は、有利には、黄色ブドウ球菌感染症の恐れが増加する期間の開始の少なくとも10〜14日前に投与され得る。
図面および以下の実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。
以下の実施例で使用する培養培地の組成は下記表1に規定するとおりである。該培地は、構成成分を表に示した順序で混合することによって調製した。
Figure 0005237259
実施例1: CYL1892 5型株の特徴付け
CYL1892株の凍結材料がChia Y. Lee博士(アメリカ合衆国、Arkansas University Medical Center)から提供された。それは、原凍結材料である。
凍結材料の調製
2種類の凍結材料を調製した。凍結材料(A)は、Columbia培地での増幅により原凍結材料から直接得られ、該培地と同様に動物起源の材料を含有する。第二の凍結材料(B)は、動物起源の材料を含まない培地でのクローニングおよび反復継代により原凍結材料から得られた。
TSB(トリプティケースソイブロス)培地における前培養物を、初期凍結材料100μlを使用して接種し、振盪しながら37℃で18時間置く。次いで、培養物400mlを、該前培養物を使用して接種する。振盪しながら37℃で5時間後、0.22μmで濾過したグリセロール50mlに培養物200mlを加える。凍結材料を100μlの試験管100本および1mlの試験管100本に分配し、次いで、−80℃で貯蔵する。
種バッチAおよびBの凍結材料の調製
予備凍結材料の調製
非誘導培地M0上にてクローニング工程が行われる。原CYL1892株のアリコート100μlを使用して非誘導培地M0上にて単離が行われる。この単離により2つのコロニーを収穫し、ヌクレアーゼ不含H2Oの50μlに溶解し、次いで、単離コロニーとして再度接種する。三継代後、ペトリ皿あたりコロニー1つを溶解し、次いで、層として接種する(PCRによる対照を行うために、並行して1つのコロニー溶解容量を採取する)。次いで、このようにして得られた層を、液体誘導培地M0(50ml)の5時間培養物を接種するために使用する。培養の終わりに、680nmでの光学密度を測定し、次いで、体系化され0.22μmで濾過したグリセロール10mlに培養物40mlを加える。45×1mlに分配が行われ、−80℃で貯蔵が行われる。
凍結材料Bの培養および冷凍
原凍結材料中に存在する可能性のある動物起源の全ての成分を除去するために段階希釈液を調製する。非誘導培地M0を継代に使用する。
寒天培地上での最初の継代の前に、出発の予備凍結材料Bを100分の1に希釈する。次いで、各継代(継代2〜4)間で段階希釈(10-5)を行う。合計4回の寒天培地上での継代を全希釈係数10-17で行う。液体誘導培地M0 400mlの培養物を接種するために、行われた最終希釈に対応する層を使用する。振盪しながら37℃で5時間培養した後、対数期の終わりに培養を停止させる。OD680nm測定は、増殖キネティクスの至るところで行われる。次いで、培養物にグリセロールを20%の最終濃度で補給し、次いで、試験管中へ最終分配するまで氷中に維持されるSchottフラスコ6個に分配する。分配は、Nunc試験管中に1mlずつ、15mlのFalcon試験管中に5mlずつ行われる。次いで、アンプルを−80℃に置く。
実行される管理
生存率
以下のプロトコルに従って、冷凍前に、凍結材料Bの分配時に各分配フラスコについて計数を行う:
・10-9希釈まで、凍結材料のPBS中段階10倍希釈、
・Columbia 寒天 2%NaClを含有する24×24Nuncペトリ皿上に10-3〜10-9の希釈液25μlの6滴を置くこと、
・37℃で18時間のインキュベーション、
・最も可読な希釈範囲におけるコロニーの計数および分配フラスコについての平均値の算出。
次いで、以下の計画に従って、各分配フラスコに対応するいくつかの凍結材料について同計数技術に従って生存率管理を行った:D+11日、D+1ヶ月、D+3ヶ月、D+6ヶ月、D+1年。
同一性
ApiStaph(登録商標)システムの生化学試験およびリゾスタフィン耐性試験によって凍結材料を使用して同一性を立証する。これらの試験は、製造者によって提供される使用説明書に従って、Columbia 寒天 2%NaCl上37℃での18時間培養物を使用して行われた。
さらにまた、Columbia 寒天 2%NaCl上での単離を使用してT5/T8マルチプレックスPCR増幅による莢膜分類を行う。Reynolds株およびBecker株をT5およびT8増幅についての対照として使用する。
オリゴヌクリオチドPpa1NcolおよびPpa1rを使用するcap1遺伝子安定性についてのPCR試験(Luong et al. in Infect. Immun. 2002; 70(7): 3389-95により記載されている)もまた行う:Columbia 寒天 2%NaCl上で単離を行い、37℃で24時間インキュベートする。次いで、コロニーを回収して、Columbia 寒天 2%NaCl上で2回目の継代を行う。このようにして4回の連続継代を行う。コロニーからのDNAを抽出して、cap1プロモーターの存在をPCRにより立証する。CYL770株をcap1プロモーターの増幅についての対照として使用する。
T5およびT8株の莢膜多糖の同一性の立証は、当業者に周知の慣用方法によって製造された、Pasteur Instituteによって提供されるハイブリドーマから得られた特異的モノクローナル抗PS5(IgM)クローンJ1および抗PS8(IgG1)クローンK8−24抗体を使用してスライドグラス上での凝集アッセイによって行われる。スライドグラス上での凝集反応は、OD680nm=5に調整した細菌懸濁液50μlを使用して行われた。
ELISAによる生産性の評価
生産性試験
液体誘導培地M0における前培養物を、試験しようとする凍結材料を使用して接種する。次いで、誘導培地M1中400mlの培養物を接種し、振盪しながら37℃で72時間置く。培養の終わりに、培養物50mlを取り出し、+4℃にて3500rpmで30分間遠心分離する。その後、莢膜多糖を抽出し、次いで、ELISAによってアッセイする。
安定性試験
培地M1中での連続培養を行って、1000リットルの発酵槽中で得ることができるものと同様に多くの世代を得る。これについて、M1の10mlに凍結材料Bのアンプルを接種し、次いで、37℃で16時間培養した後、OD=0.2で培地M1の10mlに接種し、37℃でそれぞれ4時間、4時間、16時間、4時間、4時間、16時間、4時間および4時間培養することにより8回連続培養を行う。最後の培養物を使用して、150μlを寒天誘導培地M0に接種して、37℃で16時間、前培養を行い、次いで、M1の400mlにOD=0.2で接種し、37℃で72時間培養する。培地M1での最後の継代の終わりに、生産性測定を上記のように行い、同一培養条件下で参照凍結材料について得られた生産性と比較する。
オートクレーブ抽出および試料の調製
培養の終わりに、懸濁液を+4℃にて3500rpmで30分間遠心分離し、培養上清を分取し、+4℃で貯蔵する。2回連続オートクレーブサイクルによりペレットを抽出する。各サイクルは、PBS 5mlにペレットを溶解すること、次いで、121℃で60分間のオートクレーブサイクルからなる。オートクレーブしたペレットについて、Columbia 寒天 2%NaClへの接種により死亡率試験を行う。その後、このオートクレーブしたペレットを+4℃にて25000×gで30分間遠心分離し、抽出物(上清)を回収し、次いで、+4℃で貯蔵する。次いで、該ペレットをPBS 5mlに再溶解し、2回目のオートクレーブサイクルを開始する。2回目のサイクルの終わりに、2つの抽出物を合わせる。抽出物および培養上清を37℃で1時間プロテイナーゼK(50μg/ml)で処理し、次いで、80℃で30分間インキュベートすることによりプロテイナーゼKを不活化する。次いで、処理した培養上清について死亡率試験を行う。
PS5 ELISAアッセイ
プロテイナーゼKで処理した試料(オートクレーブ処理後に得られた抽出物および/または処理した培養上清)をサンドイッチELISAによりアッセイする。二重滴定により、データの信頼性を確実にすることができる。原理は、2つの抗体間で抗原(PS5)を捕獲して、それを定量化することからなる。いずれもの干渉を回避するため、そしてできる限り正確な測定値を得るために、2つの抗体のうち1つは、完全に特異的でなければならない(吸着で使用される抗PS5モノクローナル抗体)。次いで、吸着したウサギポリクローナル血清を検出抗体として使用する。ペルオキシダーゼと結合した二次抗体は可視化を可能にするであろう。ELISAの間、精製PS5を様々な濃度で使用して標準曲線を作成して抗原を定量化する。対照も導入する;それは、濃度が既知であり、物理化学的測定により78μg/mlであることが確立されている精製PS5である。最終工程において、発色基質、テトラメチルベンジジン(TMB)を加える。後者をペルオキシダーゼにより分解して青色の生成物を得る。暗所にて20℃で15分間インキュベートした後、酸を加え、反応を停止させ、青色の生成物を黄色に変える。450nmで光学密度を測定する。それは、結合した抗体の量に比例する。
結果
CYL1892凍結材料A
11日間冷凍した後、CYL1892計数結果は安定である。4回連続継代を行った。合計16個の異なるコロニーを抽出し、PCRにより分析した。継代ごとに試験したコロニーは全て明らかに5型cap遺伝子座を有しており、cap1プロモーターの存在もまた全てのコロニーについて示された。
CYL1892凍結材料B
11日間冷凍した後、CYL1892計数結果は安定である(平均2.3×109CFU/ml)。
Api系
製造者の使用説明書に従って生化学的特性の分析に従って黄色ブドウ球菌の正確な同定が得られる。
PCRプロフィール
様々なクローニング工程の間、予備凍結材料の遺伝的安定性をモニターした。約500bpのcap5および200bpのcap1プロモーターの特異的増幅の存在に注目する。試験した10個のコロニーは、凍結材料Bを生産するための培養物の接種のために使用した予備凍結材料Bから得られる。cap5遺伝子座およびcap1プロモーターの遺伝的安定性が観察される。
CYL1892凍結材料B由来の20個の単離コロニーを試験した。約500bpおよび200bpの増幅は、cap5遺伝子座およびcap1プロモーターの遺伝的安定性を説明する。
凝集アッセイ
抗PS5モノクローナル抗体による凝集のみが観察される。
CYL1892凍結材料AおよびBの生産性(図1)
参考凍結材料および野生型株凍結材料を並行して用いて生産性測定を数回行った。組換え株に関して、野生型株について2種類の凍結材料を調製した。Columbia ブロス 2%NaCl中にて研究室にてわずかな回数の継代によって、原株からReynolds凍結材料Aを得た。この凍結材料Aは、動物起源の材料を含有する。培地M0上での原株の連続継代によって、動物起源の材料を含まない第2の凍結材料(Reynolds凍結材料B)得た。非誘導培地M0において継代を受けた後、液体誘導培地M0においてReynolds凍結材料Bを調製した。
組換えCYL1892株は、上清中においてペレット中よりも平均3.5倍多いPS5を生産することが観察される。このようにして製造された合計量は、液体誘導培地M1において培養した後、野生型Reynolds株と比べてPS5が約10倍多い(それぞれ、300μg/mlおよび30μg/ml)。この差異は上清中で非常に有意である。CYL1892株については野生型Reynolds株と比べて約50倍多いPS5生産が観察される。この差異は、ペレットに関してはそれほど大きくはない。実際、CYL1892株についてはReynolds株と比べて2倍のPS5生産性差異が観察される。CYL1892凍結材料Bが凍結材料Aと比べて等量のPS5を生産することに注目する。
CYL1892凍結材料AおよびBの安定性(図1)
培地M1上での安定性試験後(約40世代が実現)、生産性測定を行った。培地M1中での数回の継代後にペレットおよび上清中で観察された生産性は、凍結材料Aに関してはCYL1892凍結材料Bについて継代なしで観察されるものと同等である。野生型Reynolds株の凍結材料Bについては20〜50%の生産性減少が観察される。
組換え黄色ブドウ球菌5型株CYL1892の特徴付けにより、野生型Reynolds株の使用と比べて莢膜多糖生産性の増加が得られることを観察することができた。驚くべきことに、培養上清中にて生産性差異が本質的に観察され(約50×、すなわち、平均200μg/ml)、誘導培地における連続継代後でも安定した状態を保つ。これらの結果は、この組換え株を生産するために使用される構築物が安定であることを示している。したがって、凍結材料AおよびBは、均質集団から調製された。
実施例2: CYL1892株によって生産された5型莢膜多糖およびCYL770株によって生産された8型莢膜多糖の特徴付け
下記分析によって、それぞれCYL770株およびCYL1892株から単離および精製されたrPS T8およびT5を特徴付けた。
精製rPS5および精製rPS8の一次元プロトン磁気共鳴分析は、これらの多糖が既に公表されているもの(C Jones. Carbohydr. Res. 2005, 340, 1097-1106)と同一の一次構造を有することを示した。加えて、この分析により、rPS5が70%を超えるN−およびO−アセチル化度を有することを直接示すことができる。8型多糖について、NMR試験管に直接加えたNaODを使用する抗原の脱O−アセチル化後に行った同分析は、N−およびO−アセチル化度が70%を超えることを示した。rPS5およびrPS8については、黄色ブドウ球菌から生じ得るグリコシド性質の未確認のまたは確認された不純物(例えば、ペプチドグリカン、テイコ酸、リポテイコ酸、および抗原336)がNMR分析によって検出された。それぞれCYL770株およびCYL1892株から精製されたrPS8およびrPS5のNMRスペクトルを図5および6に示す。
オンライン検出器として光散乱検出器、粘度計および屈折計を使用して、立体排除高速クロマトグラフィー処理を行った。この分析により、それぞれ250kDaおよび150kDaのrPS8およびrPS5の平均分子量を評価することができた。これらの分子量値は、同一培養条件下にて同一培地で培養し、細胞ペレットから精製した黄色ブドウ球菌Becker株(8型)またはReynolds株(5型)から精製した莢膜多糖のものよりも高い(それぞれ150kDaおよび50kDaの推定された平均分子量)。
実施例3 化学的に脱莢膜した微生物上に吸着した抗CYL770ポリクローナル血清の調製および種々の黄色ブドウ球菌8型株に対するその交差反応性の評価
誘導培地M1において組換え8型株CYL770の培養物を調製した。この培養物由来の微生物をホルマリン処理して、文献(Karakawa et al., 1985 J Clin Microbiol 22: 445-447)に記載される原理に従ってウサギにおける免疫化プロトコルに使用した。得られた過免疫血清は、8型莢膜多糖に対して特異的な抗体を含有するが、種々の株間で共通し得る他のエピトープに対する抗体も含有する。したがって、この血清を、化学的に脱莢膜させられた自家株の1011CFUを含有するペレット上に数回吸着させて、8型莢膜多糖に対して特異的ではない抗体を除去した。このようにして得られた試薬を、誘導培地M1における組換えCYL770株の培養物由来の微生物についてプロテインAを介する抗体の非特異的結合を回避するためにトリプシン処理された全微生物上での凝集技術によって評価した。次いで、様々なレベルの莢膜多糖誘導を有する固体および液体培養物由来の8型野生株(BeckerおよびWright)のトリプシン処理した全微生物について同条件下で抗CYL770血清を試験した。
免疫化についてCYL770微生物の調製
液体誘導培地M0(9ml)にCYL770凍結材料Aのアンプル(1ml)を接種することによりエルレンマイヤーフラスコ中にて前培養物を調製する。前培養物を×100振盪しながら37℃で18時間〜20時間置く。次いで、CYL770株を、液体誘導M0中にて調製した前培養物を使用してOD680nm=0.2で接種することにより、エルレンマイヤーフラスコ中のM1(100ml)中にて培養する。次いで、エルレンマイヤーフラスコを×100振盪しながら37℃で48時間置く。次いで、培養物を遠心分離し、ペレットをPBS 20mlに溶解し(貯蔵溶液)、OD680nmを測定する。
形成前に計数を行うために、一定量の貯蔵溶液を取り出す。24ウェルプレートにてCYL770貯蔵溶液の試料から10-1〜10-9の10倍希釈液を調製する。各希釈液25μlの6滴をColumbia寒天2%NaCl上に接種し、37℃で18時間〜20時間インキュベートする。CFUの計数が可能な希釈液でCFUを計数し、下記式に従ってCFU/mlの数(X)を決定する:X=(1滴あたりのCFUの平均値×40)/希釈度。等量OD/CFU(Y)の決定は以下のとおり行われる:OD680nm=1について、Y=(X/OD680nm貯蔵溶液)。
Karakawa et al., 1985 J Clin Microbiol 22: 445-447に記載されているプロトコルに従って、CYL770貯蔵溶液をPBS−3%ホルマリンで希釈してOD680nm=1.2の懸濁液80mlを得ることによってホルマリン固定を15分間行う。15時間処理した後、TSB 9ml中に接種して振盪(×100)しながら37℃で18〜20時間置いたホルマリン処理懸濁液1mlを増幅させ、次いで、死亡率試験のためにColumbia寒天2%NaCl上に増幅した培養物150μlを一層として広げることにより接種し、37℃で18〜20時間インキュベートすることによって、死亡率試験を行う。
次いで、ホルマリン処理した微生物を、ホルマリン除去のために1×濃リン酸緩衝液(PBS)、pH7で3回連続洗浄し、+4℃にて3500rpmで30分間遠心分離し(2×40ml)、2×40mlで洗浄し、+4℃にて3500rpmで30分間遠心分離し、2×30mlで洗浄し、+4℃にて3500rpmで30分間遠心分離し、2×20mlで洗浄し(プール)、+4℃にて3500rpmで30分間遠心分離し、該微生物をPBSに溶解する。このようにして処理した微生物懸濁液を+4℃で貯蔵することができる。
ホルマリン処理した微生物を調整し、5ml滅菌フラスコ中に4mlを分注する。ホルマリン処理した微生物の懸濁液の調整は、所望の微生物濃度と同等のOD680nm値に関して行う:
6×107CFU/mlで2×4ml(注射d2+d4
1.2×108CFU/mlで4×4ml(注射d0+d7+d9+d11
1.8×108CFU/mlで3×4ml(注射d14+d16+d18
2.4×108CFU/mlで3×4ml(注射d21+d23+d25
滅菌状態で栓を差し込み、次いで、ペンチを用いてフラスコに嵌め込んだ。該懸濁液を+4℃で1週間貯蔵する。
吸着のための化学的に脱莢膜した微生物の調製
CYL770株の凍結材料A(1ml)のアンプルを使用して、Columbia培地50mlの前培養物を接種し、振盪しながら37℃で18時間インキュベートする。前培養物を使用して、Columbia培地の400mlの培養物を初期OD680nm 0.2で接種し、振盪しながら37℃で24時間インキュベートする。次いで、培養物を+4℃にて3500rpmで30分間遠心分離し、上清を除去する。次いで、ペレットをPBS 8mlに溶解し、OD測定を行う:OD680nm=178。
莢膜多糖を取り出すために微生物に与えるべき化学的処理は、Karakawa et al.(1985 Karakawa et al., 1985 J Clin Microbiol 22: 445-447)に記載されていた。以下の処理を2重に行う:OD=178の細菌懸濁液4mlを250mlのガラス製Schottフラスコに移し、0.2Mグリシン、0.14M HCl、pH2の30mlを加え、該混合物を正確に100℃で(水浴)20分間インキュベートする。懸濁液を50mlのFalcon試験管に移し、+4℃にて3500rpmで30分間遠心分離し、上清を除去する。ペレットをPBS 40mlで3回洗浄する。次いで、ペレットをPBS 30mlに溶解してプールし、OD測定を行って、合計1011CFUを有するように試験管1本あたりに分配される容量を決定する。+4℃にて3500rpmで30分間遠心分離し、上清を除去した後、使用するまで乾燥ペレットを−20℃で貯蔵する。
化学的に脱莢膜した微生物上への血清の吸着
吸着プロトコルために抗CYL770ポリクローナル血清2mlを使用した。1011CFUの細菌ペレットにより、血清2mlについて1回の吸着サイクルを行うことができる。合計5回の吸着サイクルを行った;各サイクルは、以下のように構成されていた:化学的に脱莢膜した微生物のペレット上に脱補体抗CYL770血清2mlを置き、ゆっくりと再懸濁させ、1日中または一夜+4℃で試験管用回転装置上に置き、+4℃にて3500rpmで30分間遠心分離し、吸着血清を回収し、化学的に脱莢膜した微生物のさらなるペレット上に血清を置き、該プロトコルを繰り返す。5回目のサイクルの後、吸着血清を回収し、0.22μmのMillipore膜で濾過し、次いで、スライドグラス上での凝集アッセイによって評価するまで+4℃で貯蔵する。
吸着血清についての凝集アッセイ
種々の固体および液体培地上での黄色ブドウ球菌8型株(Becker、WrightおよびCYL770)の培養物由来のトリプシン処理微生物について、化学的に脱莢膜した微生物上に吸着した抗CYL770ポリクローナル血清についてのスライドグラス上での凝集アッセイを行った。黄色ブドウ球菌5型Reynolds株のPSを誘導しない固体培地中の培養物を対照として試験した。
トリプシン処理微生物を調製するために、寒天固体誘導培地M0(8型株について)およびColumbia培地2%NaCl(Reynolds株について)中の培養物を以下の方法で調製した:Becker株、Wright株およびReynolds株の凍結材料100μlにPBS 900μlを加え、ペトリ皿上に細菌懸濁液150μlを一層として広げ、37℃(Becker株については37℃+5%CO2)で18時間インキュベートする。次いで、層をPBSに溶解し、懸濁液をOD680nm=5に調整する。
BeckerおよびWright 8型株については、TSB培地および寒天誘導M0中の固体前培養物からそれぞれTSB培地および培地M1中の液体培養物50mlを調製した。固体培養物が上記のように凍結材料から直接接種された。固体培養物の層をPBSに再懸濁し、初期OD680nm 0.2の液体培養物を接種するために使用した。
組換えCYL770株については、培地M1中50mlの液体培養物を調製した。液体誘導培地M0中の前培養物10mlが凍結材料1mlを用いて直接接種された。振盪しながら37℃で18時間インキュベートした後、培養培地M1が液体前培養物を使用して初期OD680nm 0.2で接種された。液体培養物を振盪しながら37℃で24時間インキュベートした。24時間培養した後、OD680nmを測定し、培養物を+4℃にて3500rpmで30分間遠心分離した。ペレットを、懸濁液をOD680nm=5に調整するのに必要な量のPBSに溶解した。
OD680nm=5に調整した固体および液体培養物由来細菌懸濁液をトリプシンで処理して、いずれもの邪魔な微量のプロテインAを除去する。これに関して、細菌懸濁液のアリコート5mlに50mg/mlのトリプシン100μlを加え、該混合物を回転装置上で37℃にて1時間インキュベートし、次いで、+4℃にて3500rpmで30分間遠心分離した。該ペレットをPBS 5mlで3回洗浄し、懸濁液をOD680nm=5に調整するのに必要な量のPBSに溶解した。該懸濁液は、使用するまで+4℃で貯蔵される。
OD680nm=5の新鮮なトリプシン処理微生物50μlを用いて凝集アッセイを行った。該微生物をスライドグラス上に広げて、凝集することが意図される境界を定めたガラスの輪の外側に広がることなくその輪を完全に覆った。微生物対照は、まず、微生物の懸濁液50μlを用いて調製され、その上にPBS 5μlを置く。対照は、5分間接触させた後の凝集の不在下で立証される。化学的に脱莢膜した微生物上に吸着した抗CYL770ポリクローナル血清5μlを凝集アッセイに使用した。3つのウェルにおいてスライドグラス上に血清を置いた後、該スライドグラスをKahnミラー(凹面鏡)上で手動により円運動で揺り動かした。この工程は、第1のウェルに血清を加えてから計時した。
結果
培地M1中にてCYL770株を48時間培養し、次いで、ホルマリンで固定する。直接死亡率および増幅後の死亡率を立証する。次いで、懸濁液を所望の濃度(表2)に調整し、滅菌フラスコ中に分配する。次いで、該フラスコに栓をし、文献(Karakawa et al., 1985 J Clin Microbiol 22: 445-447)に記載されているプロトコルに従って免疫化に使用する。
Figure 0005237259
製造するとすぐに、血清を化学的に脱莢膜した自家微生物上に吸着させ、次いで、スライドグラス上での凝集により8型株に対して評価する(表3)。
Figure 0005237259
凝集アッセイは、以下の方法読み取られた:
++++ 0〜30秒で完全な凝集が観察された
+++ 30秒〜1分で完全な凝集が観察された
++ 1〜3分で完全な凝集が観察された
+ 3〜5分で完全な凝集が観察された
+/− 非常に遅く、10分で完全な凝集が観察された
− 凝集は観察されなかった
吸着抗CYL770血清についてBecker株(TSB培地における場合を除く)、Wright株およびCYL770株の凝集が観察される。さらにまた、この血清は、Columbia寒天2%NaCl参照培地中で培養した対照Reynolds微生物(5型)およびPS8を誘導しないTSB培地中で培養したBecker微生物を凝集させず、したがって、その特異性を立証する。
吸着抗CYL770血清は、微生物が8型莢膜を担持している場合には該微生物をさらに急速に凝集する。抗PS8モノクローナル抗体(Mab−PS8)について同凝集プロフィールが観察される。
したがって、吸着抗CYL770血清は、試験した3つの株が莢膜誘導条件下に置かれている場合にはこれらの株に関する認識の差異を示さなかった。該凝集は莢膜抗原の存在に関係しているので、これらの種々の株によって産生される8型莢膜多糖間の差異は注目されるべきではない。
したがって、このようにして製造された吸着抗CYL770血清は、8型莢膜を示している野生型微生物に対する交差反応性を可能にすると考えられる。
実施例4: CYL770株を使用するウサギにおける抗PS8ポリクローナル抗体の発生
CYL770株によって生産されるPS8の性質を特徴付けるために、基礎としてKarakawaおよび研究仲間によって以前に記載されたプロトコル(Karakawa et al., 1985; J. Clin. Microbiol., 22: 445-447)を使用して、培地M1中で培養されたCYL770株の不活化全微生物でウサギを免疫化することによって抗PS8ポリクローナル抗体を生じさせた。
免疫化プロトコル
注射: 体重2.5kgの雌性ニュージーランド白ウサギ(ESD - Charles River Laboratories、フランス国St Germain-sur-l'Arbresle)3羽に、培地M1中にて培養したCYL770株の不活化全微生物を様々な濃度で4週間、週3回注射し、PBSに対して透析する。最初の注射(D0)は、敗血症性ショックを回避するように上肢帯にて皮下に施す。その後の注射は全て、耳の辺縁静脈において静脈内に施す。各注射に使用される濃度および容量を以下に記載する。
Figure 0005237259
免疫前動物からの血液試料: 1回目の免疫化(D−1)の前に、キシロカインで局所麻酔した各ウサギについて耳の正中動脈から血液5〜10mlをVacutainerTM試験管に回収した。該試料を周囲温度(20〜22℃)で3時間〜4時間滲出させ、1500gで4℃にて20分間遠心分離する。
全採血により採取された血液試料: 1回目の注射の28日後、全身麻酔下で心臓穿刺により全ての動物から試料を採取する。動物1匹あたり血液50ml〜80mlを採取し、50mlの滅菌FalconTM試験管に回収する。
使用するまで全ての血清を−20℃で保存する。
Figure 0005237259
抗PS8抗体応答の分析
ELISAアッセイによってポリクローナルウサギ血清をPS8に対する特異性について評価する。96ウェルELISAプレート(平底マイクロプレート;Immunosorp Microwell;Nunc;デンマーク国Roskilde)を、1×PBS、pH7.2(100μl/ウェル)中の1μg/mlの精製PS8の存在下、周囲温度(20〜22℃)で一夜インキュベートする。該プレートを、Titertek M96V自動プレート洗浄器を使用してウェルあたり300μlのPBS/0.05%Tween 20(PBS−Tween)で4回洗浄し、次いで、250μl/ウェルのPBS−Tween/1%BSAを用いて37℃で1時間飽和させる。次いで、該プレートを上記方法に従って4回洗浄する。プレート上に種々の濃度の被験血清の各々をウェルあたり100μl置く;マルチチャネルピペットを用いて、プレート内にてPBS−Tween/1%BSAで連続3倍希釈液を調製する(カラム希釈)。プレートを37℃で1時間30分インキュベートし、次いで、PBS−Tweenで4回洗浄する。
HRP結合抗ウサギIgG結合体(BirminghamのSouthern Biochemicals Inc.)をPBS−Tween/1%BSAで12000分の1に希釈し、ウェルあたり100μlの結合体溶液を加える。該プレートを37℃で1時間30分インキュベートし、次いで、PBS−Tweenで4回洗浄する。可視化のために、ウェルあたり100μlの即時使用可能なTMB基質溶液(TEBU Bio-laboratories)を加え、該プレートを暗所にて周囲温度(20〜22℃)で15分間インキュベートする。ウェルあたり100μlの1M H3PO4を加えることによって、ペルオキシダーゼによる酵素反応を停止させる。各ウェルの光学密度(OD)を、自動プレートリーダー(Versamax)を使用して450nmで測定する。OD測定値からバックグラウンドノイズ(4つのブランクウェルについての平均値)を差し引く。
ポリクローナル抗体の特異的抗PS8力価は、参照血清と比べて、450nmで2つのウェルについて観察された希釈度の逆数の相加平均に対応する。
Figure 0005237259
実施例5: 結合体の製造
5.1 − 8型結合体の製造(STAPH8−rEPA)
CYL770株から精製した8型多糖の脱重合
結合前に、米国特許第6,045,805号に記載された原理に従って、CYL770株から精製したrPS8抗原を脱重合する。rPS8抗原を2mg/mlで調製する。周囲温度で、この溶液20mlに200mMアスコルビン酸110μl、20mM CuSO4 11μlおよび20mM FeSO4 11μlを加える。周囲温度で80分間撹拌しながら該反応を続ける。pH7.0の2M TRIS溶液2mlを加えることによって脱重合反応を停止させる。水に対して透析することにより脱重合反応物を取り出し、次いで、該脱重合rPS8を凍結乾燥させる。HPSEC/LS/RI/Visc分析により、脱重合rPS8の平均分子量は、50kDa付近であると見積もられた。
抗原活性化
抗原(CYL770株から精製した多糖について脱重合された)40mgを8mlの200mM NaClおよび125mMアジピン酸ジヒドラジド(ADH)に溶解した。pHを4.9に調整し、エチルジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDAC)を最終濃度25mMで加える。周囲温度で90分間続いた活性化の進行の間、希HCl溶液を加えることによってpHを常に4.9に調整する。pHの中和により反応を停止させる。次いで、活性抗原を500mM NaClに対して透析し、次いで、水に対して透析する。次いで、活性化および透析した抗原を凍結乾燥させる。機能化パーセンテージは、Becker株から精製した多糖およびCYL770株から精製および脱重合した多糖についてそれぞれ3.7および4.3(w/w)であると見積もられた。
抗原結合
100mM NaClおよび50mM EDAC中に活性抗原(CYL770株から精製された抗原について脱重合された)20mgおよびキャリアータンパク質(組換えエキソプロテインAΔ553、すなわち、rEPA)10または20mgを含有する10mlの溶液を調製した。4℃で90分間続いた結合の進行の間、希HCl溶液を加えることによってpHを常に5.6に調整する。反応の終わりに、pHを中和する。次いで、結合抗原を200mM NaClに対して透析し、次いで、10mMリン酸緩衝液pH7.2中の200mM NaClで平衡させたSepharose Cl−4Bカラム上でのサイズ排除クロマトグラフィーにより精製する。結合体を含有しており(210nmおよび280nmでの光吸収によって検出される)、主にカラムのデッドボリュームで溶離されるフラクションを合わせた。
結合抗原の特徴付け
精製後、結合した多糖およびタンパク質の量は、多糖(Hestrinの方法(Hestrin S. 1949. J. Biol. Chem. 180: 249-261)に従ってO−アセチルの定量化により測定された)対タンパク質(Bradford法(Anal. Biochem. 1976 72, 248-254)に従ってタンパク質の定量化により測定された)の重量比として見積もられた。非結合抗原および遊離キャリアータンパク質のレベルは、キャピラリー電気泳動法により測定された。結合体のサイズは、HPSEC/LS/RI/Viscにより見積もられた。
5.2 − 5型結合体(STAPH5−rEPA)の製造
CYL1892株から精製した5型多糖の脱重合
結合前に、米国特許第6,045,805号に記載された原理に従って、CYL1892株から精製したrPS5抗原を脱重合する。rPS5抗原を2mg/mlで調製する。周囲温度で、この溶液20mlに200mMアスコルビン酸55μl、20mM CuSO4 5.5μlおよび20mM FeSO4 5.5μlを加える。周囲温度で80分間撹拌しながら該反応を続ける。pH7.0の2M TRIS溶液2mlを加えることによって脱重合反応を停止させる。水に対して透析することにより脱重合反応物を取り出し、次いで、該脱重合rPS5を凍結乾燥させる。HPSEC/LS/RI/Visc分析により、脱重合rPS5の平均分子量は、50kDa付近であると見積もられた。
抗原活性化
抗原(CYL1892株から精製された多糖について脱重合された)40mgを8mlの200mM NaClおよび50mMアジピン酸ジヒドラジト(ADH)に溶解した。pHを4.9に調整し、エチルジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDAC)を最終濃度10mMで加える。周囲温度で45分間続いた活性化の進行の間、希HCl溶液を加えることによってpHを常に4.9に調整する。pHの中和により反応を停止させる。次いで、活性抗原を500mM NaClに対して透析し、次いで、水に対して透析する。次いで、活性化および透析した抗原を凍結乾燥させる。機能化パーセンテージは、Reynolds株から精製した多糖およびCYL1892株から精製および脱重合した多糖についてそれぞれ1.25および0.9(w/w)であると見積もられた。
抗原結合
100mM NaClおよび50mM EDAC中に活性抗原(CYL1892株から精製された抗原について脱重合された)20mgおよびキャリアータンパク質(組換えエキソプロテインA、rEPA)40mgを含有する10mlの溶液を調製した。4℃で90分間続いた結合の進行の間、希HCl溶液を加えることによってpHを常に5.6に調整する。反応の終わりにpHを中和する。次いで、結合抗原を200mM NaClに対して透析し、次いで、10mMリン酸緩衝液pH7.2中の200mM NaClで平衡させたSepharose Cl−4Bカラム上でのサイズ排除クロマトグラフィーにより精製する。結合体を含有しており(210nmおよび280nmで光吸収により検出される)、主にカラムのデッドボリュームで溶離されるフラクションを合わせた。
結合抗原の特徴付け
精製後、結合した多糖およびタンパク質の量は、多糖(Hestrinの方法(Hestrin S. 1949. J. Biol. Chem. 180: 249-261)に従ってO−アセチルの定量化により測定された)対タンパク質(Bradford法(Anal. Biochem. 1976 72, 248-254)に従ってタンパク質の定量化により測定された)の重量比として見積もられた。非結合抗原および遊離キャリアータンパク質のレベルは、キャピラリー電気泳動法により測定された。結合体のサイズは、HPSEC/LS/RI/Viscにより見積もられた。
実施例6: マウスにおける8型結合体(PS T8−rEPA)の免疫原性の評価
Becker8型株から精製したPS8を使用するPS T8−rEPA結合体の種々のバッチが本発明者らによって得られた。これらの8型結合体の免疫原性は、抗PS8体液性応答(IgM、IgG、およびIgGのサブクラス)のELISA分析により、種々の近交系または非近交系マウス系において立証することができた。用量−効果実験もまたこの種の動物モデルについて行われた。
組換えCYL770株から精製したPS8を使用して得られたrPSfT8−rEPA結合体によって誘導される免疫原性を立証するために、Becker原(野生型株)を有する8型結合体について完成されたものと同様の種類の動物試験および免疫学的分析が開発され、設定された。
免疫化プロトコル
注射: 体重20〜22gの雌性OF1マウス(非近交系)(ESD - Charles River Laboratories、フランス国St Germain-sur-l'Arbresle)に、培地M1中にて培養したCYL770株に由来するPS8を用いて得られた種々の濃度のPS T8−rEPA結合体を、D0(感作)、次いで、1回目の注射の3週間後(D21)に、上肢帯にて皮下注射する。各注射に使用される濃度および容量を以下に記載する。
Figure 0005237259
Prot/PSは、精製後の最終比率を表す。それは、精製PS8多糖の割合に対する組換えタンパク質の割合を重量/重量として示す。
中間血液試料: 感作(初回刺激)(D0)前、次いで、D21の各マウスの増幅(追加免疫)前に、免疫前動物において後眼窩洞から血液を約500μl採取し、VacutainerTM試験管に回収する。中間試料の採取において、8mg/mlのケタミンおよび1.6mg/mlのキシラジンの混合物の0.2ml/マウスの腹腔内注射によりマウスを麻酔する。
全採血により採取された最終血液試料: 増幅から15日後のD35に全身麻酔下で全ての動物から全採血する。動物1匹あたり血液1ml〜1.5mlを採取し、VacutainerTM試験管に回収する。
血液試料を凝固させ、周囲温度(20〜22℃)で3時間滲出させ、次いで、6000gで4℃にて3分間遠心分離し、次いで、Nunc 1mlコニカル試験管中に移し、使用するまで血清を−20℃で保存する。
抗体応答の分析
吸着(「コーティング」)のために抗原としてBecker T8株から精製した特徴付けられたPS8を1.5μg/mlの濃度で使用してELISAアッセイによって抗PS8体液性応答(アッセイ内で決定された免疫化用量についての、D0、D21およびD35での抗PS8 IgGおよびIgM力価、ならびにD0およびD35での抗PS8 IgG1、IgG2aおよびIgG3力価)を評価する。
「野生型」株から精製したwtPS8に対してrPSfT8−rEPA結合体(原CYL770)によって生じる抗体応答を評価するために、組換えSYL770株から精製したものではなくてBecker株から精製したPS8が吸着のために選ばれた。PS8特異的血清の全てを以下の方法に従って自動ELISAアッセイ(Zymarkロボット)によって分析する。
96ウェルELISAプレート(M129B、Dynex)を、1×PBS、pH7.2(100μl/ウェル)中のBecker株から精製したPS8の1μg/mlの存在下、周囲温度(20〜22℃)で一夜インキュベートする。該プレートを、Titertek M96V自動プレート洗浄器を使用してウェルあたり300μlのPBS/0.05%Tween 20(PBS−Tween)で4回洗浄し、次いで、250μl/ウェルのPBS/Tween/1%BSAを用いて37℃で1時間飽和させる。プレートを上記方法に従って4回洗浄する。プレート上に種々の濃度の被験血清の各々をウェルあたり100μl置く。プレート内にてPBS−Tween/1%BSAで連続2倍希釈液を調製する(オンライン希釈)。プレートを37℃で1時間インキュベートし、次いで、PBS−Tweenで4回洗浄する。
PBS−Tween/1%BSAでIgのクラスに従って適当な濃度に希釈した抗マウスIg結合体をウェルあたり100μl加え、該プレートを37℃で1時間インキュベートし、次いで、PBS−Tweenで4回洗浄する。可視化のために、ウェルあたりTMB溶液100μlを加え、該プレートを暗所にて周囲温度(20〜22℃)で20分間インキュベートする。ウェルあたり100μlの1N HClを加えることによりペルオキシターゼによる酵素反応を停止させる。各ウェルの光学密度(OD)を、自動プレートリーダー(Labsystem)を使用して450nm〜630nmで測定する。OD測定値からバックグラウンドノイズ(4つのブランクウェルについての平均値)を差し引く。
各プレート上に存在する標準血清によって得られる基準曲線と比べて値が0.2〜3の範囲であるODについてCodUnitソフトウェアを使用して抗PS8力価を算出する。任意のELISA単位で表されるこの標準のIg力価は、いくつかの測定値の累積について予め決定され、OD450nm=1についての希釈度の逆数の相加平均に対応する。このELISAの検出閾値は、10ELISA単位(1log10)で評価される。各血清の力価はlog10で表される。
結果
抗PS8 IgM力価
図2に示される結果は、免疫前動物の全てにおいて有意であるが非特異的な抗PS8応答が観察されることを示している(2Logよりも大きい力価)。感作後(D21)、4つの結合体グループについて特異的な抗PS8 IgM応答の著しい増大が見られ(約+2Log)、これら4つのグループの間で差異はない。非結合PS8を投与されたグループについては、グループA(Becker PS8+rEPA、非結合)について約1Log、グループG(CYL770からの天然PS8+rEPA、非結合)について約1.5Logの抗PS8 IgM力価の著しい増加が見られる。グループB(CYL770からの分画されたPS8+rEPA、非結合)については、抗PS8 IgM力価の増大は見られない。D35には、考慮されるグループに関わらずIgM応答の有意な増幅効果はない。
抗PS8総IgG力価
図3に示される結果は、免疫前動物において非特異的抗PS8 IgG応答が全くまたはあまり観察されないことを示している(<1.3Log)。
感作後(D21)、4つの結合体グループについて非常に強い特異的抗PS8 IgG応答が見られ(>+2.3Log)、応答平均は3.5Log〜4.1Logである。感作後の4つの結合体グループの間に差異は見られない。この抗PS8応答は、非結合PSを注射したグループにおいて得られたものよりも明らかに大きい。しかしながら、グループA(Becker PS8+rEPA、非結合)およびグループG(CYL770からの天然PS8+rEPA、非結合)について約1Logの、D21の抗PS8 IgG力価の増加が注目され得る。グループB(CYL770からの分画されたPS8+rEPA、非結合)について抗PS8 IgG力価の増加は見られない。
D35では、考慮されるグループに関わらず、4つの結合体グループについてのみ有意な増幅効果が見られる(>+0.6Log)。抗PS8応答平均は、4.1Log〜4.9Logである。応答平均を考慮した場合、Beckerに由来する結合体とCYL770に由来する結合体との間に有意な差異はない。しかしながら、Becker野生型株から精製したPS8について評価される、CYL770株に由来する結合体を用いて得られた抗PS8応答は、同一グループ内でより均一であると考えられる。
D35で測定された抗PS8 IgG1、IgG2aおよびIg3サブクラスの力価
図4は、免疫前動物においては非特異的抗PS8応答が観察されないことを示している(<1.2Log)。
IgG1について、4つの結合体グループについては非常に強い特異的抗PS8応答が観察されるが、一方、種々のタイプの非結合多糖を投与された3つのグループについては応答が検出されない。Becker結合体とCYL770結合体との間の応答平均に有意な差異はないが、2つのCYL770結合体を用いて得られた応答は同一グループ内でより均一であると考えられる。
IgG2aについて、4つの結合体グループについては応答はわずかしか増大しないが(2.5Log〜2.8Log)、非結合PSで免疫されたグループを用いて得られた応答に比べると有意である。
IgG3について、4つの結合体バッチについて、IgG2a応答に比べて著しいIgG3応答が見られる。種々の結合体間で有意な差異は見られない。非結合PSを投与されたグループは、いかなる抗PS8 IgG3応答も示さない。
これらの結果は、Becker「野生型」株または組換えCYL770株に由来する精製PS8から得られたPS8−rEPA結合体が、単独で注射された精製多糖と比べて、OF1マウスモデルにおいて強い特異的抗PS8抗体応答を誘導することを示している。これら4つの結合体バッチについては有意な増幅効果も見られる。この応答は、Becker「野生型」株から精製したPS8について評価される。抗体応答平均の観点から、PS8の起源に関わらず、種々の結合体バッチ間で有意な差異は見られない。しかしながら、CYL770に由来する結合体を用いて得られる抗PS8総IgGおよびIgG1応答は、同一グループ内でより均一であると考えられる。
実施例7: マウスにおける5型結合体(PS T5−rEPA)の免疫原性の評価
Reynolds5型株から精製したPS5または組換え黄色ブドウ球菌株CYL1892から精製したrPS5を用いて、種々のPS T5−rEPA結合体バッチを得た。
これらの5型結合体の免疫原性は、マウスにおいて抗PS5抗体応答のELISA分析(IgMおよび総IgG)によって立証することができた。誘導された特異的抗体応答と比較するために、各結合体は、2.5μg/マウス/注射の至適免疫化用量(上記用量−効果実験で定義した)で注射された。
免疫化プロトコル
注射: 体重20〜22gの雌性OF1(非近交系)マウス(ESD - Charles River Laboratories、フランス国St Germain-sur-l'Arbresle)に、培地M1にて培養したReynolds株に由来する精製PS5またはCYL1892株に由来する精製rPS5fから得られるPS T5−rEPA結合体の2.5μg/マウス/注射を、D0(感作)、次いで、この1回目の注射の3週間後(D21)に、上肢帯にて皮下注射した。
Figure 0005237259
Figure 0005237259
中間血液試料: :後眼窩洞から血液を約200μl採取し、VacutainerTM試験管に回収した。これらの試料は、感作前の免疫前動物からD0に、そして、個々のマウスについての「追加免疫」の前のD21に採取された。中間試料の採取において、8mg/mlのケタミン(Imalgene)および1.6mg/mlのキシラジン(Roumpun)の混合物0.2ml/マウスの腹腔内注射によりマウスを麻酔した。
全採血により採取された最終血液試料: 追加免疫の日から15日後のD35に全身麻酔下で全ての動物から頚部切開により全採血する。動物1匹あたり血液1ml〜1.5mlを採取し、VacutainerTM試験管に回収した。
血液試料を凝固させ、20〜22℃で3時間滲出させ、次いで、6000gで3分間遠心分離し、次いで、Nunc 1mlコニカル試験管中に移す。血清は、使用するまで−20℃で保存する。
抗体応答の分析
吸着(「コーティング」)のための抗原としてReynolds5型株から精製したsPS5を1μg/mlの濃度で使用して自動ELISAアッセイによって抗PS5体液性応答(D0、D21およびD35での抗PS5 IgMおよびIgG力価)を評価する。
rPS5fT5−rEPA結合体(原CYL1892)が野生型黄色ブドウ球菌株から精製したsPS5を特異的に認識する能力を有する抗体応答を誘導することができるかを評価するために、Reynolds株から精製したsPS5がコーティングのために選ばれた。PS5特異的血清の全てを以下の方法に従って自動ELISAアッセイ(Zymark自動装置)によって分析する。
96ウェルELISAプレート(M129B、Dynex)を、1×PBS、pH7.2(100μl/ウェル)中の1μg/mlのReynolds株から精製したsPS5の存在下、周囲温度(20〜22℃)で一夜インキュベートする。該プレートを、自動プレート洗浄器(Titertek M96V洗浄器)を使用して300μl/ウェルのPBS/0.05%Tween 20(PBS−Tween)で4回洗浄し、次いで、250μl/ウェルのPBS−Tween/1%BSAを用いて37℃で1時間飽和させる。プレートを上記方法に従って4回洗浄する。ウェルあたり100μlの各血清をプレート上に置く。プレート上でPBS−Tween/1%BSAで血清の連続2倍希釈を実行する(オンライン希釈)。プレートを37℃で1時間インキュベートし、次いで、PBS−Tweenで4回洗浄する。
PBS−Tween/1%BSAでIgクラスに従って適当な濃度に希釈した抗マウスIg結合体の100μl/ウェルを加え、該プレートを37℃で1時間インキュベートし、次いで、PBS−Tweenで4回洗浄する。可視化のために、ウェルあたり100μlのTMB溶液を加え、該プレートを暗所にて周囲温度(20〜22℃)で20分間インキュベートする。ウェルあたり100μlの1N HClを加えることによりペルオキシダーゼによる酵素反応を停止させる。各ウェルの光学密度(OD)を、自動プレートリーダー(Labsystem)を使用して450nm〜630nmで測定する。OD測定値からバックグラウンドノイズ(4つのブランクウェルについての平均値)を差し引く。
各プレート上に存在する標準血清によって得られる基準曲線と比べて値が0.2〜3の範囲であるODについてCodUnitソフトウェアを使用して抗PS5力価を算出する。任意のELISA単位で表されるこの標準のIg力価は、いくつかの測定値の累積について予め決定され、OD450nm=1についての希釈度の逆数の相加平均に対応する。このELISAの検出閾値は、10ELISA単位(1log10)で評価される。各血清の力価はlog10で表される。
結果: 抗PS5 IgM力価
図7(a)に示される結果は、免疫前動物の全てにおいて有意であるが非特異的な抗PS5応答が観察されることを示している(力価の平均値約1.8Log±0.2Log)。
rEPAと結合していない精製PS5またはrPS5を注射されたマウスは、D21(−0.7Log)およびD35(−1.2Log)で、結合体を注射したマウスよりも弱い抗PS5 IgM応答を示す。
D21およびD35で4つの結合体について特異的かつ有意な応答が見られ、得られた平均力価値は、それぞれ、3.2Log±0.2Logおよび4Log±0.2である。
D21およびD35で抗PS5 IgM応答について種々の結合体間で有意な差異は示されなかった;それらは、したがって、PS5−rEPA結合体の免疫原性と同様の免疫原性を示す。さらにまた、rPS5−rEPA結合体によって誘導されるIgMは、Reynolds株のような5型野生株から精製したPS5を特異的に認識することができる。
抗PS5 IgG力価
図7(b)に示される結果は、免疫前動物において抗PS5 IgG応答が全く観察されないことを示している(平均力価<1.3Log;検出閾値)。
D21に、1つの結合体または他の結合体を注射したマウスのグループについて有意な抗PS5 IgG応答が見られ、評価された平均力価値は、約3.2Log±0.2Logである。D35に、1つの結合体または他の結合体を注射したマウスのグループの全てについて非常に強い「追加免疫」効果が見られ、評価された平均力価値は、約5Log±0.2Logである。
さらにまた、D21およびD35に、4つの結合体の間で特異的な差異は示されなかった;したがって、rPS5−rEPA結合体は、PS5−rEPA結合体の免疫原性と同様の免疫原性を示す。加えて、rPS5−rEPA結合体により誘導されるIgGは、PS5−rEPA結合体により誘導される特異的IgGと同様に、Reynolds株のような5型野生株から精製したPS5を特異的に認識することができる。
初回刺激後および追加免疫後、マウスにおいてrPS5−rEPA結合体(バッチ14および15)で誘導された抗PS5 IgMおよびIgG応答は、PS5−rEPA結合体(バッチ11および7)で誘導されるものと非常に類似している。さらにまた、これらの実験は、rPS5−rEPA結合体が黄色ブドウ球菌のReynolds株のような野生型株から精製したPS5を強く認識し、PS5−rEPA結合体によって誘導される抗PS5抗体について観察されたものと同様のこの抗原に対する親和性を有する高力価の抗PS5抗体を誘導することができることを立証することができた。
図1は、Reynolds株または組換えCYL1892株についてのペレットまたは培養上清中で測定した5型莢膜多糖(PS5)の量を表す。 図2は、CYL770株またはBecker株から調製したPS T8−rEPA結合体で免疫化したマウスにおいて誘導された抗PS8 IgM力価を表す。力価の値(ヒストグラム)は、希釈度の逆数の平均値のLogによって表される。グループの各々について、各血清(n=10)の個々の力価が記号で表される。免疫前動物(D−1)において測定した非特異的応答も表される。 図3は、CYL770株またはBecker株から調製したPS T8−rEPA結合体で免疫化したマウスにおいて誘導された抗PS8総合IgG力価を表す。力価の値(ヒストグラム)は、希釈度の逆数の平均値のLogによって表される。グループの各々について、各血清(n=10)の個々の力価が記号で表される。免疫前動物(D−1)において測定した非特異的応答も表される。 図4は、CYL770株またはBecker株から調製したPS T8−rEPA結合体で免疫化したマウスにおいてD35に測定した抗PS8 IgG1、IgG2aおよびIgG3サブクラスの力価を表す。力価の値(ヒストグラム)は、希釈度の逆数の平均値のLogによって表される。グループの各々について、各血清(n=10)の個々の力価が記号で表される。免疫前動物(D−1)において測定した非特異的応答も表される。 図5(a)および図5(b)は、それぞれ、CYL770株の上清から精製したrPS8多糖およびBecker株の培養物の細胞ペレットから精製したwtPS8の500MHzでの一次元プロトンNMR分析によって得られたスペクトルを表す。これらのNMR分析は、Bruker DRX 500分光計およびプローブ:BB−1H−D XYZ GRD 5mmを使用して行った。試料を1.2mg/mlの濃度でD2Oに溶解した。該分析は、以下の条件下で行った:分析温度:343°K(70℃);緩和時間:2秒;スキャニング数=512。各PS8について、スペクトルは、天然(O−アセチル化)形態、およびC. Jones(C. Jones. Carbohydr. Res. 2005, 340, 1097-1106)によって記載されているアルカリ処理によって得られる脱O−アセチル化形態について測定した。 図6(a)および図6(b)は、それぞれ、CYL1892株の培養上清から精製したrPS5多糖およびReynolds株の培養物の細胞ペレットから精製したsPS5の500MHzでの一次元プロトンNMR分析によって得られたスペクトルを表す。これらのNMR分析は、Bruker DRX 500分光計およびプローブ:BB−1H−D XYZ GRD 5mmを使用して行った。試料を1.2mg/mlの濃度でD2Oに溶解した。該分析は、以下の条件下で行った:分析温度343°K(70℃);緩和時間:2秒;スキャニング数=512。 図7(a)および図7(b)は、それぞれ、PS5−rEPAおよびrPS5−rEPA結合体によってマウスにおいて誘導された抗PS5 IgMおよびIgG応答の評価および比較を表す。

Claims (9)

  1. )cap5オペロンまたはcap8オペロンの主要プロモーターが、別の黄色ブドウ球菌株の強力な主要プロモーターに置き換えられた黄色ブドウ球菌T5株またはT8株を培養培地中で培養すること、
    b)このようにして製造された細胞培養物を不活化すること、および
    c)不活化した細胞培養上清からT5またはT8莢膜多糖を回収すること、
    を含む、T5またはT8莢膜多糖の製造方法。
  2. 強力な主要プロモーターがcap1オペロンのプロモーターである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 莢膜多糖がT5莢膜多糖であり、および、黄色ブドウ球菌T5株が、そのcap5オペロンの主要プロモーターがcap1オペロンのプロモーターに置き換えられたReynolds株である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 莢膜多糖がT8莢膜多糖であり、および、黄色ブドウ球菌T8株が、そのcap8オペロンの主要プロモーターがcap1オペロンのプロモーターに置き換えられたBecker株である、請求項2に記載の製造方法。
  5. a)T5またはT8莢膜多糖を、
    i)cap5オペロンまたはcap8オペロンの主要プロモーターが、別の黄色ブドウ球菌株の強力な主要プロモーターに置き換えられた黄色ブドウ球菌T5またはT8細胞株を培養培地中で培養すること、
    ii)このようにして製造された細胞培養物を不活化すること、
    iii)不活化した細胞培養上清からT5またはT8莢膜多糖を回収すること、
    により製造すること、
    b)回収したT5またはT8多糖を精製すること、
    c)精製したT5またはT8多糖を分画すること、および
    d)分画したT5またはT8多糖をキャリアータンパク質に共有結合させること、
    を含む、キャリアータンパク質に共有結合したT5またはT8莢膜多糖を含むコンジュゲートの製造方法。
  6. 強力な主要プロモーターがcap1オペロンのプロモーターである、請求項5に記載の製造方法。
  7. 莢膜多糖がT5莢膜多糖であり、および、黄色ブドウ球菌T5株が、そのcap5オペロンの主要プロモーターがcap1オペロンのプロモーターに置き換えられたReynolds株である、請求項5に記載の製造方法。
  8. 莢膜多糖がT8莢膜多糖であり、および、黄色ブドウ球菌T8株が、そのcap8オペロンの主要プロモーターがcap1オペロンのプロモーターに置き換えられたBecker株である、請求項5に記載の製造方法。
  9. キャリアータンパク質が、緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素Aである、請求項5〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
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