JP5235652B2 - 多目的最適化装置、多目的最適化方法および多目的最適化プログラム - Google Patents

多目的最適化装置、多目的最適化方法および多目的最適化プログラム Download PDF

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Description

本発明は、制約条件を有する最適化対象のパラメータ(決定変数)を最適化する多目的最適化装置、多目的最適化方法および多目的最適化プログラムに関する。
従来、多目的最適化問題と呼ばれる問題クラスが存在する。例えば、ある製品のコストを最小化し、性能を最大化するという問題を考えた場合、これは2つの目的関数の多目的最適化問題となる。この場合、コストおよび性能が2つの目的関数となる。一般的には、コストを下げると性能が悪化し、性能を上げるとコストがかさむというトレードオフの関係が生じるために、多目的最適化問題の解は一つではない。
図30は多目的最適化問題をエンジンの最適化に適用した例を示す図である。多目的最適化問題をエンジンの燃費およびトルクの最適化に適用する場合、燃費およびトルクが2つの目的関数f,fである。この場合、燃料噴射量、点火時期等のパラメータを調整することにより目的関数f,fの値を最適化する。
解Aは、燃費が解Bに比べて優れているが、トルクが解Bに比べて劣っている。このように、エンジンの燃費とエンジンのトルクとはトレードオフの関係を有するため、複数の最適解が存在する。使用者は、複数の最適解から目的に合った解を選択することができる。例えば、スポーツ走行に適した自動二輪車に用いるエンジンには解Aを選択し、ロングツーリングに適した自動二輪車に用いるエンジンには解Bを選択する。
一般に多目的最適化問題は、N個のパラメータについてM個の目的関数の値を、各パラメータの制約条件の範囲で最小化する問題と定義される。目的関数の値を最大化する場合は、目的関数に負の符号を付けて目的関数の値を最小化する問題に変換することとする。
このような多目的最適化問題は、一般的に単一の最適解を持たず、パレート最適解と呼ばれる概念で定義される最適解集合を持つ。ここで、パレート最適解とは、ある目的関数の値を改善するためには、少なくとも1つの他の目的関数の値を改悪せざるを得ない解のことをいい、以下のように定義される(例えば、非特許文献1参照)。
〔定義1〕あるp個の目的関数f(k=1,・・・,p)の2つの解x1,x2∈Fに関して、f(x1)≦f(x2)(∀k=1,・・・,p)∧f(x1)<f(x2)(∃k=1,・・・,p)のとき、x1はx2に優越するという。ここで、Fは解の集合である。
〔定義2〕ある解x0が他のすべての解x∈Fに優越するとき、x0は最適解である。
〔定義3〕ある解x0に優越する解x∈Fが存在しないとき、x0はパレート最適解(または非劣解)である。
パレート最適解集合を求めることは、目的関数のトレードオフに関して最適な解の集合を求めることになる。
図31はパレート最適解について説明するための図である。図31は2つの目的関数f,fの例を示す。解aについての目的関数fの値f(a)は解bについての目的関数fの値f(b)よりも小さく、解aについての目的関数fの値f(a)は解bについての目的関数fの値f(b)よりも小さい。したがって、解aは解bに優越する。
同様に、解aは解c,dに優越する。解aに優越する解は存在しない。同様に、解e,fに優越する解も存在しない。したがって、解a,e,fはパレート最適解である。
なお、解gは、弱パレート最適解である。弱パレート最適解とは、ある目的関数についてのみパレート最適解に優越されないパレート解である。弱パレート最適解は、合理的な解ではなく、本来求める必要のない解である。
多目的最適化問題の解法は多数提案されている。最近注目されている方法に多目的進化型アルゴリズム(MOEAs:Multiobjective Evolutionary Algorithm)がある。
この方法の最大の特徴は、進化型アルゴリズムの多点探索を利用してパレート最適解集合を一度に求めることである。得られたパレート最適解集合は、その中から目的に合致し
た解を探す意志決定、またはパレート最適解集合(パレート境界)の形状からの知見の獲得等に用いられる。
進化型アルゴリズムとして遺伝的アルゴリズム(GA:Genetic Algorithm)を多目的最適化問題に適用する研究が数多く行われている。遺伝的アルゴリズムは、生物の適応進化を模倣した計算手法である。遺伝的アルゴリズムでは、解の候補を個体と呼ぶ。また、目的関数を適応度関数と呼び、適応度関数の値を適応度と呼ぶ。
この遺伝的アルゴリズムは、自然進化に見られる過程(染色体の選択、交叉および突然変異)をヒントにして、J.Hollandにより提案されたアルゴリズムである。設計変数を遺伝子とみなして、初期設計の個体集合をランダムに生成し、各個体の適応度を評価する。適応度の良い個体ほど親として選択される可能性が高くなるように親を選択する。そして、交叉(遺伝子の入れ換え)および突然変異(遺伝子のランダムな変化)により子孫を作る。さらに、評価、選択、交叉および突然変異により世代を繰り返し、最適解を探索する。
具体的には、FonsecaらのMOGA(Multiobjective Genetic Algorithm:例えば、非特許文献1参照)、DebらのNSGA−II(Non-Dominated Sorting Genetic Algorithm-II:例えば、非特許文献2参照)、ZitzlerらのSPEA2(Strength
Pareto Evolutionary Algorithm 2: 例えば、非特許文献3参照)等が提案されている。特に、NSGA−IIおよびSPEA2は優秀な多目的進化型アルゴリズムとして知られている。
特開2008−045476号 C.M.fonseca,p.J.Flemimg:genetic algorithms for multiobjective optimization:formulation,discussion and generalization,of the 5th international conference on genetic algorithms,pp.416-423(1993) K.Deb,S.Agrawal,A.Pratab,and T.Meyarivan:A Fast Elitist Non-Dominated Sorting Genetic Algorithm for Multi-Objective Optimization:NSGA-II,KanGAL report 20001,Indian Institute of Technology,Kanpur,India(20OO) E.Zitzler,M.Laumanns,L.Thiele:SPEA2:Improving the Performance of the Strength Pareto Evolutionary A1gorithm,Technical Report 103,Computer Engineering and Communication Networks Lab(TIK),Swiss Federal Institute of Technology(ETH)Zurich(2001) A.Zhou et al.: Prediction-based Population Re-initialization for Evolutionary Dynamic Multi-objective Optimization, Proc. of EMO2007 U. Bazarsuren, M. Knaak, S. Schaum, and C. Guhmann, "Determining Adjustment Ranges for Model-based Approaches Using Support Vector Machines," Proc. of CCA 2006, pp. 2066-2071, 2006 H. Kaji, and H. Kita, "Acceleration of Experiment-Based Evolutionary Multi-objective Optimization of Internal-Combustion Engine Controllers using Fitness Estimation," Proc. of CEC 2007, pp. 1777-1784, 2007
近年の自動車用エンジンには、排出ガスに含まれる有害成分を低減して環境問題に対応しつつ動力性能を向上するために、燃料噴射装置等の様々な電子制御装置が搭載され、高精度な制御が行われている。
エンジンは非線形性が強い制御対象であるため、電子制御装置によるエンジン制御としてはマップ制御と呼ばれるフィードフォワード制御が主流である。マップ制御では、例えば負荷トルクおよびエンジン回転速度のような運転条件ごとに設定された電子制御装置の制御パラメータが用いられる。マップ制御の制御パラメータは運転条件ごとに事前実験を行って決定される。この作業は適合(Calibration)と呼ばれる。
従来の適合は、エンジン試験機に接続されたエンジンを技術者が手動で調整することにより行われる。しかし、このような適合は、排出ガスの有害成分量(CO濃度、HC濃度
およびNO濃度)、燃費および出力トルク等の多目的評価となり、これらは一般にトレードオフの関係にある。さらに、電子制御装置およびその制御パラメータの数は増加する傾向にある。そのため、手動による最適化は困難さを増してきている。
図32はエンジンの適合を説明するための図である。
エンジンの適合では、負荷トルクおよびエンジン回転速度という運転条件(条件変数w,w)の値を選択する。そして、選択された運転条件でのNO濃度および燃費(目的関数f,fの値)を最適にするような燃料噴射時期および点火時期(制御パラメータ(決定変数x,x))を探索する。
図32においては、条件変数w,wの値を選択し、選択された条件変数w,wの値について目的関数f,fの多目的最適化を行い、決定変数x,xのパレート最適解を得る。その後、パレート最適解から好適な解を選択し、その解に対応する決定変数xの値と条件変数w,wの値との関係を示すマップM1、およびその解に対応する決定変数xの値と条件変数w,wとの値の関係を示すマップM2を作成する。
マップM1,M2を完成させるためには、マップM1,M2の格子の数に相当する条件変数w,wの値について多目的最適化を繰り返す必要がある。
エンジンの適合とは、マップ制御に必要な運転条件(条件変数)ごとに、与えられた制限の範囲内(制約条件)で、複数の対立する評価規範(目的関数)を満たすような制御パラメータ値(決定変数の値)の組を探索する多目的最適化問題を解くことである。制約条件を満たす制御パラメータ値の組が存在する範囲を実行可能領域と呼び、それ以外の範囲を実行不能領域と呼ぶ。
従来、最適化対象の制御パラメータを最適化しようとする場合は、物理法則等に基づき最適化対象のモデル化を行い、最適化問題に帰着させて準ニュートン法等の勾配法または遺伝的アルゴリズムに代表されるメタヒューリスティクスを適用する。そして、得られた最適解を実際の最適化対象に適用するというアプローチがとられる。一方で、理論的なモデルの構築が困難な最適化対象の場合には、実験を通して最適化を行うことになる。
実験を通して最適化を実施すると、最適化対象の目的関数および制限したい項目(制約関数)の値は実際の最適化対象の出力である場合がある。このような最適化対象に対しては、応答曲面法と呼ばれるアプローチが広く適用されている。応答曲面法では、まず実験計画法に基づいて定められた制御パラメータ値の組に対する最適化対象の出力である目的関数値および制約関数値を求める。次に、多項式または人工ニューラルネットワーク等の統計的手法を用いて最適化対象の目的関数および制約関数の近似モデルを求める。そして、この近似モデルにおいて、計算機上で上記の勾配法またはメタヒューリスティクスにより制約関数が与える制約条件の範囲内、すなわち実行可能領域で目的関数値を最適とする制御パラメータ値の組を求める。
一方で、近年の計測制御環境の発展により、最適化手法を実際の最適化対象に直接適用するアプローチも現実的になってきている。以下、このアプローチを実験ベースの最適化と呼ぶ。実験ベースの最適化では、実験計画またはモデル選択が不要であり、近似モデルにおけるモデル化誤差を考える必要がないという特徴がある。
応答曲面法および実験ベースの最適化のいずれを用いる場合でも、上記のように、コンピュータは電子制御装置の制御パラメータ値を自由に変更できるが、実際に運転可能な組み合わせには一定の制約条件がある。ここで、制約条件とは、制御パラメータ値を電子制御装置に設定して運転を行った場合に、エンジンの始動不能、排出ガス濃度が高すぎることによる最適化対象および計測器の不調、または温度が高すぎることによるエンジンの破損等、不具合の発生を回避するための物理的な制約条件を指す。
制約条件が制御パラメータの関数として数式で表される場合には、制御パラメータ値を実機で評価する前に、その制御パラメータ値を数式に入力し、算出結果が制約条件に違反するか否かを調べることができる。
しかしながら、上記のように、制約条件には実験を通して観測されるものがある。この場合には、制御パラメータ値を電子制御装置に設定し、エンジンを運転して初めて制約条件に違反するか否かが判明する。
応答曲面法では、計測する制御パラメータ値の組は実験計画法により定められる。この場合に用いられる直交計画、中央複合計画またはD最適計画と呼ばれる方法では、探索すべき制御パラメータ値の組により形成される空間(制御パラメータ空間または決定変数空間)の全領域で統計モデルの近似精度を高めるために、制御パラメータ空間に幅広く分布するように制御パラメータ値の組を決定する。したがって、制約条件に違反する制御パラメータ値の組が存在する可能性がある。
応答曲面法において制御パラメータ値の組の制約条件を設定する方法として、例えば非特許文献4および5に示される方法が提案されている。これらの方法は、概略以下のように行われる。
図33は応答曲面法において制御パラメータ値の組の制約条件を設定する方法を説明するための概念図である。
図33において、まず、予め安全とわかっている制御パラメータ値の組を初期パラメータ値IPとし、その初期パラメータ値IPと実験計画法で設定された制御パラメータ値LA1〜LA8の組との内分点を算出し、離散的または連続的に初期パラメータ値IPから設定された制御パラメータ値LA1〜LA8へ向かって順に評価する。そして、ある制御パラメータ値の評価時に制約条件の違反が発生した場合(例えば排気温度が予め定められたしきい値を超えた場合)には、その制御パラメータ値から1段階前の制御パラメータ値に戻り、その制御パラメータ値を限界パラメータ値LP1〜LP8と判定する。
図33では、制約条件の違反が発生しない制御パラメータ値を白丸印で示し、制約条件の違反が発生した制御パラメータ値を黒丸印で示す。
このようにして判定された全ての限界パラメータ値LP1〜LP8に対して凸包またはサポートベクトルマシンによる2クラス分類器を作成することにより点線で示す実行可能領域の近似モデルを作成する。このようにして得られた実行可能領域の近似モデルは境界モデルとも呼ばれる。
しかしながら、上記の方法では、非常に少ない点を用いて実行可能領域の境界を推定するために、複雑な形状の境界を表現することが難しい。図33に示すように、真の実行可能領域と推定された実行可能領域とが大きく異なる場合も生じる。
そのため、境界モデルの外側に真のパレート最適解が存在した場合に、そのパレート最適解を発見することができない。また、境界モデルが真の実行不能領域を含む場合に、得られたパレート最適解集合の一部が実際の制約条件に違反している可能性がある。さらに、境界モデルの中央付近にパレート最適解集合が存在した場合に、境界モデルを求める手間が無駄になる。
一方、多目的進化型アルゴリズムを用いた実験ベースの最適化では、適応的に探索領域を変化させることができるため、上記のような問題は回避される。しかしながら、確率的に個体が生成されるために、特にパレート最適個体集合が実行可能領域の境界付近に存在する場合に、交叉オペレータまたは突然変異オペレータにより実行不能領域に個体が生成される可能性が高くなる。その結果、制約条件に違反した状態での個体の評価が増える可能性がある。
上記のように、制約条件に違反した状態で個体を評価すると、最適化対象または計測器の故障または破損を招く可能性がある。
本発明の目的は、制約条件を有する最適化対象の決定変数を短時間で精度良く最適化することが可能な多目的最適化装置、多目的最適化方法および多目的最適化プログラムを提供することである。
(1)第1の発明に係る多目的最適化装置は、複数の目的関数を有する最適化対象の決定変数を制約条件の範囲で最適化する多目的最適化装置であって、多目的最適化において評価すべき決定変数の値を判定し、評価すべきと判定された決定変数の値を最適化対象に与えるとともに、最適化対象から出力される目的関数の値を用いて多目的最適化を行い、最適化対象から出力される制約関数の値が制約条件を満たす範囲で決定変数のパレート近似解集合を求める多目的最適化部と、多目的最適化部により評価された決定変数の値、最
適化対象から出力された目的関数の値および最適化対象から出力された制約関数の値が制約条件に違反するか否かを示す制約違反情報を探索履歴として対応付けて記憶する記憶部とを備え、多目的最適化部は、評価すべき決定変数の値を判定する際に、記憶部に記憶された探索履歴から、未評価の決定変数の値により近くかつ所定数の評価済みである決定変数の値を選択し、選択された所定数の決定変数の値に対応する制約違反情報が制約条件の違反を示すか否かに基づいて未評価の決定変数の値を評価すべきか否かを判定するものである。
その多目的最適化装置においては、多目的最適化部により多目的最適化において評価すべき決定変数の値が判定される。評価すべきと判定された決定変数の値が最適化対象に与えられるとともに、最適化対象から出力される目的関数の値を用いて多目的最適化部により多目的最適化が行われ、最適化対象から出力される制約関数の値が制約条件を満たす範囲で決定変数のパレート近似解集合が求められる。
多目的最適化部により評価された決定変数の値、最適化対象から出力された目的関数の値および最適化対象から出力された制約関数の値が制約条件に違反するか否かを示す制約違反情報は、探索履歴として対応付けられて記憶部に記憶される。
評価すべき決定変数の値を判定する際には、記憶部に記憶された探索履歴から、未評価の決定変数の値により近くかつ所定数の評価済みである決定変数の値が選択され、選択された所定数の決定変数の値に対応する制約違反情報が制約条件の違反を示すか否かに基づいて未評価の決定変数の値を評価すべきか否かが判定される。
それにより、最適化対象に与えられた決定変数の値に対応する制約関数の値が制約条件に違反する可能性が低減される。したがって、制約条件の違反を回避しつつ精度良くパレート近似解集合を得ることができる。
(2)所定数は1であり、多目的最適化部は、評価すべき決定変数の値を判定する際に、未評価の決定変数の値に最も近い1個の評価済みである決定変数の値を選択し、選択された1個の評価済みである決定変数の値に対応する制約違反情報が制約条件の違反を示さない場合に未評価の決定変数の値を評価すべきと判定し、選択された1個の評価済みである決定変数の値に対応する制約違反情報が制約条件の違反を示す場合に未評価の決定変数の値を評価すべきでないと判定してもよい。
この場合、簡単な方法で最適化対象に与えられた決定変数の値に対応する制約関数の値が制約条件に違反する可能性およびパレート最適解の近傍で制約条件に違反しない決定変数の値が評価されない可能性を確実に低減することができる。
(3)所定数はk個であり(kは2以上の自然数)、多目的最適化部は、評価すべき決定変数の値を判定する際に、未評価の決定変数の値により近くかつk個の評価済みである決定変数の値を選択し、選択されたk個の評価済みである決定変数の値に対応する制約違反情報が制約条件の違反を示すか否かの多数決により未評価の決定変数の値を評価すべきか否かを判定してもよい。
この場合、簡単な方法で最適化対象に与えられた決定変数の値に対応する制約関数の値が制約条件に違反する可能性およびパレート最適解の近傍で制約条件に違反しない決定変数の値が評価されない可能性を確実に低減することができる。
(4)多目的最適化部は、決定変数空間においてユークリッド距離に基づいて未評価の決定変数の値により近くかつ所定数の評価済みである決定変数の値を選択してもよい。
この場合、簡単な方法で未評価の決定変数の値により近くかつ所定数の評価済みである決定変数の値を正確に選択することができる。
(5) 多目的最適化部は、決定変数空間において、未評価の決定変数の値と制約違反情報が制約条件に違反しないことを示す評価済みの決定件数の値とのユークリッド距離および未評価の決定変数の値と制約違反情報が制約条件に違反することを示す評価済みの決定件数の値とのユークリッド距離にそれぞれ重み付けを行い、重み付けが行われたユークリッド距離に基づいて未評価の決定変数の値により近くかつ所定数の評価済みである決定変数の値を選択してもよい。
この場合、重みを調整することにより評価すべきと決定変数の値の範囲を調整すること
が可能となる。それにより、パレート最適解の近傍で評価される決定変数の値の範囲を調整することができるとともに、求められるパレート近似解集合とパレート最適解集合との誤差を調整することができる。
(6)多目的最適化部は、多目的進化型アルゴリズムにより未評価の決定変数の値を生成してもよい。この場合、効率的にパレート近似解集合を求めることができる。
(7)第2の発明に係る多目的最適化方法は、複数の目的関数を有する最適化対象の決定変数を制約条件の範囲で最適化する多目的最適化方法であって、多目的最適化において評価すべき決定変数の値を判定し、評価すべきと判定された決定変数の値を最適化対象に与えるとともに、最適化対象から出力される目的関数の値を用いて多目的最適化を行い、最適化対象から出力される制約関数の値が制約条件を満たす範囲で決定変数のパレート近似解集合を求めるステップと、評価された決定変数の値、最適化対象から出力された目的関数の値および最適化対象から出力された制約関数の値が制約条件に違反するか否かを示す制約違反情報を探索履歴として対応付けて記憶部に記憶するステップとを備え、パレート近似解集合を求めるステップは、評価すべき決定変数の値を判定する際に、記憶部に記憶された探索履歴から、未評価の決定変数の値により近くかつ所定数の評価済みである決定変数の値を選択し、選択された所定数の決定変数の値に対応する制約違反情報が制約条件の違反を示すか否かに基づいて未評価の決定変数の値を評価すべきか否かを判定するステップを含むものである。
その多目的最適化方法においては、多目的最適化において評価すべき決定変数の値が判定される。評価すべきと判定された決定変数の値が最適化対象に与えられるとともに、最適化対象から出力される目的関数の値を用いて多目的最適化が行われ、最適化対象から出力される制約関数の値が制約条件を満たす範囲で決定変数のパレート近似解集合が求められる。
評価された決定変数の値、最適化対象から出力された目的関数の値および最適化対象から出力された制約関数の値が制約条件に違反するか否かを示す制約違反情報は、探索履歴として対応付けられて記憶部に記憶される。
評価すべき決定変数の値を判定する際には、記憶部に記憶された探索履歴から、未評価の決定変数の値により近くかつ所定数の評価済みである決定変数の値が選択され、選択された所定数の決定変数の値に対応する制約違反情報が制約条件の違反を示すか否かに基づいて未評価の決定変数の値を評価すべきか否かが判定される。
それにより、最適化対象に与えられた決定変数の値に対応する制約関数の値が制約条件に違反する可能性が低減される。したがって、制約条件の違反を回避しつつ精度良くパレート近似解集合を得ることができる。
(8)第3の発明に係る多目的最適化プログラムは、複数の目的関数を有する最適化対象の決定変数を制約条件の範囲で最適化する多目的最適化方法をコンピュータに実行させる多目的最適化プログラムであって、多目的最適化において評価すべき決定変数の値を判定し、評価すべきと判定された決定変数の値を最適化対象に与えるとともに、最適化対象から出力される目的関数の値を用いて多目的最適化を行い、最適化対象から出力される制約関数の値が制約条件を満たす範囲で決定変数のパレート近似解集合を求める処理と、評価された決定変数の値、最適化対象から出力された目的関数の値および最適化対象から出力された制約関数の値が制約条件に違反するか否かを示す制約違反情報を探索履歴として対応付けて記憶部に記憶する処理とを備え、パレート近似解集合を求める処理は、評価すべき決定変数の値を判定する際に、記憶部に記憶された探索履歴から、未評価の決定変数の値により近くかつ所定数の評価済みである決定変数の値を選択し、選択された所定数の決定変数の値に対応する制約違反情報が制約条件の違反を示すか否かに基づいて未評価の決定変数の値を評価すべきか否かを判定する処理を含むものである。
その多目的最適化方法によれば、多目的最適化において評価すべき決定変数の値が判定される。評価すべきと判定された決定変数の値が最適化対象に与えられるとともに、最適化対象から出力される目的関数の値を用いて多目的最適化が行われ、最適化対象から出力される制約関数の値が制約条件を満たす範囲で決定変数のパレート近似解集合が求められ
る。
評価された決定変数の値、最適化対象から出力された目的関数の値および最適化対象から出力された制約関数の値が制約条件に違反するか否かを示す制約違反情報は、探索履歴として対応付けられて記憶部に記憶される。
評価すべき決定変数の値を判定する際には、記憶部に記憶された探索履歴から、未評価の決定変数の値により近くかつ所定数の評価済みである決定変数の値が選択され、選択された所定数の決定変数の値に対応する制約違反情報が制約条件の違反を示すか否かに基づいて未評価の決定変数の値を評価すべきか否かが判定される。
それにより、最適化対象に与えられた決定変数の値に対応する制約関数の値が制約条件に違反する可能性が低減される。したがって、制約条件の違反を回避しつつ精度良くパレート近似解集合を得ることができる。
本発明によれば、最適化対象に与えられた決定変数の値に対応する制約関数の値が制約条件に違反する可能性が低減される。したがって、制約条件の違反を回避しつつ精度良くパレート近似解集合を得ることができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る多目的最適化装置について図面を参照しながら説明する。
(1)多目的最適化装置の機能的な構成
図1は本発明の一実施の形態に係る多目的最適化装置の機能的な構成を示すブロック図である。
本実施の形態では、多目的最適化装置1は、多目的進化型アルゴリズムを利用して多目的最適化問題のパレート近似個体集合を算出する。パレート近似個体集合とは、多目的進化型アルゴリズムにより求まる近似的なパレート最適個体集合であり、具体的には多目的進化型アルゴリズムによる多目的最適化の最終世代で得られる個体集合である。例えば、多目的進化型アルゴリズムとして多目的遺伝的アルゴリズム(GA)が用いられる。
この多目的最適化装置1は、最適化対象6に接続される。最適化対象6は、機器の性能を評価する評価システムである。評価システムは、実システムを評価する評価装置である。実システムは、例えばエンジンまたはモータであり、評価装置は、例えばエンジン評価装置またはモータ評価装置である。本実施の形態では、最適化対象6はエンジン試験機である。
多目的最適化装置1は、多目的進化型アルゴリズム部2および探索履歴記憶部3を含む。
多目的進化型アルゴリズム部2は、後述するCPU101(図2)が多目的最適化プログラムを実行することにより実現される。探索履歴記憶部3は、後述する外部記憶装置106(図2)により構成される。
この多目的最適化装置1には、複数の決定変数、1または複数の条件変数、複数の適応度関数(目的関数)、および1または複数の制約関数が設定される。
決定変数は、最適化対象6の調整可能な値(制御パラメータ)である。条件変数は、多目的最適化問題の条件を表す変数である。適応度関数および制約関数は、決定変数を入力とする関数である。特定の決定変数の値に対する適応度関数の出力を適応度(目的関数値)と呼び、特定の決定変数の値に対する制約関数の出力を制約関数値と呼ぶ。制約関数値が満たすべき条件を制約条件と呼ぶ。
決定変数としては、燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期、スロットル開度等が挙げられる。決定変数は、遺伝的アルゴリズムでは、遺伝子と呼ばれる。多目的遺伝的アルゴリズムの個体とは、多目的最適化問題の解の候補であり、複数の決定変数の値の組からなる。以下、多目的遺伝的アルゴリズムの個体を単に個体と呼ぶ。
適応度関数としては、例えば、燃費(燃料消費量)、トルク、エンジンの排出ガス中のCO(一酸化炭素)濃度、HC(炭化水素)濃度、NO(窒素酸化物)濃度、SOF(可溶有機成分)量、すす(soot)量等が挙げられる。
ここで、トレードオフの関係としては、トルクと燃費、トルクとCO濃度、トルクとHC濃度、燃費とNO濃度、CO濃度とNO濃度、HC濃度とNO濃度、NO濃度とすす量等が挙げられる。
制約関数としては、例えば、トルク変動の量、異常噴射の有無、エンジンの排出ガス中のCO濃度、HC濃度、NO濃度、SOF量、およびすす量等が挙げられる。条件変数としては、例えば、負荷トルク、エンジン回転速度等が挙げられる。
多目的進化型アルゴリズム部2は、条件変数の各値について多目的進化型アルゴリズムにしたがって個体を発生して多点探索を行い、適応度をパレート最適性で評価することにより、制約関数値が制約条件を満足する範囲でパレート近似個体集合を求める。また、多目的進化型アルゴリズム部2は、求められたパレート近似個体集合を使用者に提示する。
具体的には、多目的進化型アルゴリズム部2は、個体(複数の決定変数の値の組)および条件変数の値を最適化対象6に与えるとともに、最適化対象6から出力される複数の適応度の組および制約関数値を受け、制約関数値が制約条件を満足する個体に対応する適応度の組のパレート最適性を評価する。また、多目的進化型アルゴリズム部2は、個体(複数の決定変数の値)、その個体に対応する適応度の組、およびその個体に対応する制約違反フラグを探索履歴記憶部3に与える。詳細は後述する。
探索履歴記憶部3は、多目的進化型アルゴリズム部2から与えられる個体(複数の決定変数の値の組)、その個体に対応する適応度の組、およびその個体に対応する制約違反フラグならびにパレート近似個体集合を記憶する。以下、探索履歴記憶部3に記憶される個体、その個体に対応する適応度の組、およびその個体に対応する制約違反フラグを探索履歴と呼ぶ。また、探索履歴記憶部3に記憶される個体を探索履歴個体と呼ぶ。
以下、多目的進化型アルゴリズム部2が最適化対象6に個体を与えるとともに最適化対象6から出力される適応度を受けることを個体の評価と呼ぶ。
(2)多目的最適化装置のハードウエア構成
図2は図1の多目的最適化装置1のハードウエア構成を示すブロック図である。
多目的最適化装置1は、CPU(中央演算処理装置)101、ROM(リードオンリメモリ)102、RAM(ランダムアクセスメモリ)103、入力装置104、表示装置105、外部記憶装置106、記録媒体駆動装置107および入出力インタフェース108を含む。
入力装置104は、キーボード、マウス等からなり、各種指令および各種データを入力するために用いられる。ROM102にはシステムプログラムが記憶される。記録媒体駆動装置107は、CD(コンパクトディスク)ドライブ、DVD(デジタルバーサタイルディスク)ドライブ、フレキシブルディスクドライブ等からなり、CD、DVD、フレキシブルディスク等の記録媒体109に対してデータの読み書きを行う。
記録媒体109には、多目的最適化プログラム(以下、多目的最適化プログラムと呼ぶ。)が記録されている。外部記憶装置106は、ハードディスク装置等からなり、記録媒体駆動装置107を介して記録媒体109から読み込まれた多目的最適化プログラムおよび各種データを記憶する。CPU101は、外部記憶装置106に記憶された多目的最適化プログラムをRAM103上で実行する。
表示装置105は、液晶表示パネル、CRT(陰極線管)等からなり、中途個体集合およびパレート最適個体集合等の各種画像を表示する。入出力インタフェース108には最適化対象6が無線通信または有線通信により接続される。入出力インタフェース108は、最適化対象6から出力される適応度の組を外部記憶装置106に転送するとともに、多目的最適化プログラムにより生成された個体(決定変数の値の組)を最適化対象6に与える。
なお、多目的最適化プログラムを記録する記録媒体109として、ROM等の半導体メモリ、ハードディスク等の種々の記録媒体を用いることができる。また、多目的最適化プログラムを通信回線等の通信媒体を介して外部記憶装置106にダウンロードし、RAM103上で実行してもよい。
ここで、記録媒体109は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体であれば、電子的
読み取り方式、磁気的読み取り方式、光学的読み取り方式またはその他のあらゆる読み取り方式の記録媒体を含むものである。例えば、上記のCD、DVDおよびフレキシブルディスクの他、CDV(コンパクトディスクビデオ)等の光学的読取方式記録媒体、RAM、ROM等の半導体記録媒体、ハードディスク等の磁気記録型記録媒体、MO(光磁気ディスク)等の磁気記憶型/光学的読取方式記録媒体を用いることができる。
(3)最適化対象の構成
図3は最適化対象6の構成の一例を示すブロック図である。図3の最適化対象6はエンジン評価装置である。
最適化対象6は、エンジン61、ECU(エンジン制御ユニット)62、計測装置63、制御用コンピュータ64および超低慣性ダイナモメータ65を含む。ECU62、計測装置63、制御用コンピュータ64および超低慣性ダイナモメータ65がエンジン試験機を構成する。このエンジン試験機によれば、エンジン61単体を用いてエンジン61を実車に搭載した場合と同等に評価することができる。
超低慣性ダイナモメータ65は、エンジン61のクランクシャフトに接続され、エンジン61に与える負荷トルクを実時間で制御する。エンジン61は、燃料噴射時期および点火時期を制御するための電子制御装置を有する。
ECU62は、多目的最適化装置1から制御パラメータとして決定変数の値を受信する。決定変数は、燃料噴射時期および点火時期等である。ECU62は、決定変数の値に基づいてエンジン61の燃料噴射時期および点火時期等を制御する。
また、制御用コンピュータ64は、多目的最適化装置1から運転条件として条件変数の値を受信する。条件変数は、負荷トルクおよびエンジン回転速度等である。制御用コンピュータ64には、駆動系モデルおよび車両モデルが搭載される。制御用コンピュータ64は、条件変数の値に基づいて超低慣性ダイナモメータ65によりエンジン61に与えられる負荷トルクを制御する。また、制御用コンピュータ64は、エンジン61の回転速度を制御する。
計測装置63は、排出ガス分析装置、燃焼解析装置および燃料流量計を含み、エンジン61からの排出ガス中の成分を分析し、適応度としてNOx濃度、SOF量およびすす量等を多目的最適化装置1に出力する。
(4)制約条件
図4は制約条件について説明するための図である。図4の横軸は時間であり、縦軸は制約関数値である。
上記のように、個体が最適化対象6に入力されると、最適化対象6から適応度および制約関数値が出力される。図4の評価時間の終了時点で得られた適応度が最終的な適応度として採用される。
図4において、致命的制約条件は、制約関数値がその条件の下限値を超えると直ちに最適化対象6が破損またはそれに準ずる状態になる条件である。致命的制約条件の例は、エンジンが破損する限界の回転速度以上または限界の油温以上である。多目的最適化の際に制約関数値は致命的制約条件の下限値を超えることは許されないが、最適化対象6が破損しない限り、致命的制約条件を知ることはできない。したがって、致命的制約条件は概念的な条件である。
危険制約条件は、制約関数値が短時間その条件の下限値を超えることは問題ないが、制約関数値が長時間その条件の下限値を超えている場合には最適化対象6に悪影響が生じる条件である。危険制約条件の例は、試験で運転可能として設定されているエンジン回転速度または油温の上限値以上でかつ致命的制約条件の下限値よりも低い範囲である。通常、制約関数値が危険制約条件の下限値を超えても直ちに最適化対象6が破損することはないが、制約関数値ができる限り危険制約条件の下限値を超えないように決定変数の値が設定される。
安全制約条件は、制約関数値が長時間その条件の下限値を超えても最適化対象6が影響を受けない条件である。安全制約条件の例は、法律で定められた騒音の許容範囲または排出ガスの許容範囲である。
本実施の形態に係る多目的最適化装置1では、制約関数値が危険制約条件の上限値を超えない範囲で決定変数の値を調整しつつ、制約関数値が安全制約条件を満たす範囲で決定変数の値を最適化する。
以下の説明では、制約関数値が危険制約条件の下限値以下の場合を制約関数値が制約条件を満足しているといい、制約関数値が危険制約条件の下限値を超える場合を制約関数値が制約条件に違反しているという。また、制約関数値が危険制約条件の下限値以下となる個体を制約条件を満たす個体といい、制約関数値が危険制約条件の下限値を超える個体を制約条件に違反する個体という。
(5)探索履歴個体
次に、探索履歴記憶部3に探索履歴として記憶される探索履歴個体について説明する。
探索履歴Hは次式のように表わされる。
H={(h,C(h)),…,(h,C(h))}
ここで、Lは自然数であり、h,…,hはL個の探索履歴個体である。また、C(h),…,C(h)はそれぞれ探索履歴個体h,…,hに対応するL個の制約違反フラグベクトルである。
ここで、探索履歴個体h,…,hの各々をhとすると、探索履歴個体hは次式で表わされる。
h=[h…h
上式のように、探索履歴個体hはn個の決定変数h,…,hの組からなるn次元の決定変数ベクトルである。nは自然数である。
制約違反フラグベクトルC(h),…,C(h)の各々をC(h )とすると、制約違反フラグベクトルC(h)は次式で表わされる。
C(h)=[C(h),…,C(h)]
上式において、C(h),…,C(h)は、p個の制約関数値がそれぞれ制約条件に違反しているか否かを示すp個の制約違反フラグである。pは自然数である。
i=1,...,pとすると、制約違反フラグC(h)は次式で表わされる。
(h)∈{0,1}
各制約違反フラグC(h)は、探索履歴個体hに対応する制約関数値が危険制約条件を満たしている場合に“0”となり、探索履歴個体hに対応する制約関数値が危険制約条件に違反している場合に“1”となる。
最適化対象6に個体が与えられた場合、最適化対象6から得られる制約関数値が危険制約条件に違反した時点で適応度の評価を中止することが望ましい。この場合、最終的な適応度が得られないため、個体に対応する適応度として最悪の値が与えられる。
(6)多目的進化型アルゴリズム
図5は多目的進化型アルゴリズムを説明するための模式図である。また、図6は多目的進化型アルゴリズムを説明するためのフローチャートである。
本実施の形態では、Debらにより提案されたNSGA−II(Non-Dominated Sorting Genetic Algorithm-II)を用いる(非特許文献2参照)。
まず、多目的進化型アルゴリズム部2は、図5(a)に示すように、t世代において、親個体集合Pから子個体集合Qを生成する(図6のステップS11)。
次に、多目的進化型アルゴリズム部2は、図5(b)に示すように、親個体集合Pと子個体集合Qとの和集合Rに対して非優越ソートを行う(図6のステップS12)。非優越ソートとは、非優越ランキングにより個体をランク付けし,ランクがより小さい個体を優秀な個体として次世代に残すように個体集合を並び替える(ソートする)方法である。非優越ランキングの詳細は後述する。図5(b)の例では、和集合Rがランク1〜4に並び替えられている。
次いで、多目的進化型アルゴリズム部2は、図5(c),(d)に示すように、和集合Rのランクごとに混雑度ソートを行う(図6のステップS13)。混雑度ソートとは、同一ランク内での個体の優劣を評価するために個体分布の疎密を評価し、より疎の部分に存在する個体を優秀な個体として次世代に残すように個体集合を並び替える(ソートする)
方法である。混雑度ソートの詳細は後述する。
次に、多目的進化型アルゴリズム部2は、上位p(=|P|)個の個体を次世代(t+1世代)の親個体集合Pとして残す(図6のステップS14)。ここで、|P|は親個体集合の個数を表す。図5の例では、ランク4の個体が淘汰され、ランク3の個体のうち一部の下位の個体が淘汰されている。
その後、多目的進化型アルゴリズム部2は、世代数が所定の終了条件に達したか否かを判別する(図6のステップS15)。
世代数が所定の終了条件に到達していない場合には、ステップS11に移行する。世代数が所定の終了条件に到達した場合には、多目的進化型アルゴリズム部2は、ステッブS15で生成された親個体集合Pをパレート近似個体集合として使用者に提示し、処理を終了する。
(7)非優越ランキング
図7は非優越ランキングを説明するための模式図である。図7では、適応度空間の個体集合が示されている。図7の横軸は1つの適応度関数fであり、縦軸は他の1つの適応度関数fである。
非優越ランキングでは、各個体のランク付けに基づいてパレート最適個体集合を求める。各個体のランク付けは次の手順により行う。
まず、優越比較の定義に基づいてすべての個体について優越比較を行い、他の個体に優越されない個体(非優越個体)を選択し、その非優越個体をランク1とする。次に、個体集合からランク1の個体を取り除き、残った個体集合について同様の操作を行う。残った個体集合における非優越個体をランク2とする。すべての個体のランクが決定するまで上記の操作を繰り返す。
ここでは、ランク1を最上位ランクとし、それ以上の数値のランクは数値が大きくなるほど下位のランクとなる。
図7の例では、個体I1〜I4は他の個体に優越されていない。したがって、個体I1〜I4のランクは1である。
個体I1〜I4を取り除いた状態で個体I5〜I8は他の個体に優越されていない。したがって、個体I5〜I8のランクは2である。
個体I5〜I8を取り除いた状態で個体I9,I10は他の個体に優越されていない。したがって、個体I9,I10のランクは3である。残った個体I11のランクは4である。
(8)混雑度ソート
図8は混雑度ソートを説明するための図である。図8では、適応度空間の個体集合が示されている。
混雑度ソートでは、同じランクの各注目個体について、それに隣接する2つの個体を結ぶ線を対角線とする長方形を想定し、長方形の縦および横の辺の長さの合計で混雑度(混雑距離)を表す。混雑度の値が小さいほど注目個体は混雑した領域に存在する。同じランクの両端の個体には最大の混雑度を与える。
図8の例では、個体I2の混雑度は、隣接する個体I1,I3が作る長方形s1の横の辺の長さd1および縦の辺の長さd2の合計で表される。個体I3の混雑度は、隣接する個体I2,I4が作る長方形s2の横の辺の長さd3および縦の辺の長さd4の合計で表される。
図9は多目的進化型アルゴリズム部2による混雑度ソートの処理を示すフローチャートである。
まず、多目的進化型アルゴリズム部2は、個体集合を適応度関数ごとにソートし、適応度関数ごとに同一ランク内で各注目個体に隣接する2つの個体を調べる(ステップS21)。
次に、多目的進化型アルゴリズム部2は、各注目個体に隣接する2つの個体間の数学的距離を適応度関数ごとに算出し、各注目個体についての複数の適応度関数における数学的距離の合計を混雑度として算出する(ステップS22)。ここで、数学的距離としてはユ
ークリッド距離を用いる。
その後、多目的進化型アルゴリズム部2は、各ランクの個体集合の個体を混雑度の値の大きい順にソートする(ステップS23)。
このようにして、より上位のランクでより大きな混雑度を有する所定数の個体が選択され、他の個体が削除される。その結果、より優秀な個体が次世代に残される。
(9)最近傍法による子個体の選別方法
図10は本実施の形態に係る多目的進化型アルゴリズム部2による子個体の選別方法を説明するためのフローチャートである。本実施の形態では、生成された子個体を多目的最適化における子個体として採用するか否かを最近傍法を用いて判定する。
まず、多目的進化型アルゴリズム部2は、探索履歴記憶部3に記憶された探索履歴個体から全ての制約条件に違反していない複数の探索履歴個体を親個体として選択する(ステップS31)。
次に、多目的進化型アルゴリズム部2は、複数の親個体の交叉または突然変異により子個体を生成する(ステップS32)。
さらに、多目的進化型アルゴリズム部2は、決定変数空間上で生成された子個体の最近傍の探索履歴個体を選択する(ステップS33)。
そして、多目的進化型アルゴリズム部2は、選択された探索履歴個体に対応する制約違反フラグの少なくとも1つが“1”であるか否かを判別する(ステップS34)。
選択された探索履歴個体に対応する制約違反フラグの少なくとも1つが“1”である場合には、多目的進化型アルゴリズム部2は、生成された子個体を棄却し(ステップS35)、ステップS32の処理に戻る。
選択された探索履歴個体に対応する全ての制約違反フラグが“0”の場合には、多目的進化型アルゴリズム部2は、生成された子個体を採用する(ステップS36)。
その後、多目的進化型アルゴリズム部2は、交叉または突然変異の回数が上限に達したか否かを判別する(ステップS37)。交叉または突然変異の回数が上限に達していない場合には、多目的進化型アルゴリズム部2は、ステップS32の処理に戻り、交叉または突然変異の回数が上限に達するまでステップS32〜S37の処理を繰り返す。交叉または突然変異の回数が上限に達した場合には、多目的進化型アルゴリズム部2は、採用された子個体の数が子個体集合サイズに達したか否かを判別する(ステップS38)。
採用された子個体の数が子個体集合サイズに達していない場合には、多目的進化型アルゴリズム部2は、ステップS31の処理に戻り、採用された子個体の数が子個体集合サイズに達するまでステップS31〜S38の処理を繰り返す。
採用された子個体の数が子個体集合サイズに達した場合には、多目的進化型アルゴリズム部2は処理を終了する。
このようにして、親個体から生成された子個体は、その最近傍の探索履歴個体に対応する制約違反フラグの少なくとも1つが“1”の場合に最適化における子個体として棄却され、その最近傍の探索履歴個体に対応する制約違反フラグの全てが“0”の場合に多目的最適化における子個体として採用される。
(10)最近傍法による子個体の選別方法の例
図11〜図15は最近傍法による子個体の選別方法の一例を示す概念図である。図11〜図15には、2つの決定変数x,xからなる2次元の決定変数空間上の個体が示される。
図11〜図15の決定変数空間において、制約条件に違反しない子個体が生成される領域と制約条件に違反する子個体が生成される領域との実際の境界REが破線で示される。また、制約条件に違反しない探索履歴個体が白い丸印で示され、制約条件に違反する探索履歴個体が黒い丸印で示される。
さらに、親個体から生成された子個体のうち多目的最適化における子個体として採用される子個体が斜線パターンを有する丸印で示され、多目的最適化における子個体として棄却される子個体がクロスパターンを有する丸印で示される。
上記の最近傍法において制約条件に違反しない探索履歴個体が生成可能な領域と制約条
件に違反する探索履歴個体が生成され得る領域との境界はボロノイ境界と呼ばれる境界となる。制約条件に違反しない探索履歴個体が生成可能な領域をボロノイ領域と呼ぶ。図11〜図15においては、ボロノイ境界の右側の領域がボロノイ領域となる。
まず、図11に示すように、決定変数空間上の2つの探索履歴個体h,hが用いられる。2つの探索履歴個体h,hを結ぶ線分の垂直二等分線がボロノイ境界VE1として求められる。
図12に示すように、3つの子個体I,I,Iが生成される。子個体I,Iの最近傍の個体は制約条件に違反しない探索履歴個体hである。したがって、子個体I,Iは多目的最適化において採用される。子個体Iの最近傍の個体は制約条件に違反する探索履歴個体hである。したがって、子個体Iは多目的最適化において棄却される。
子個体I,Iは多目的最適化において評価され、制約関数値が制約条件に違反しているか否かが判定される。
図13に示すように、評価された子個体I,Iは探索履歴個体h,hとして探索履歴記憶部3に記憶される。探索履歴個体h,hは制約条件に違反していない。さらに3つの子個体I,I,Iが生成される。子個体I,Iの最近傍の個体は制約条件に違反しない探索履歴個体hである。したがって、子個体I,Iは多目的最適化において採用される。子個体Iの最近傍の個体は制約条件に違反する探索履歴個体hである。したがって、子個体Iは多目的最適化において棄却される。
子個体I,Iは多目的最適化において評価され、制約関数値が制約条件に違反しているか否かが判定される。
この場合、2つの探索履歴個体h,hを結ぶ線分の垂直二等分線および2つの探索履歴個体h,hを結ぶ線分の垂直二等分線がボロノイ境界VE2として求められる。
図14に示すように、評価された子個体I,Iは探索履歴個体h,hとして探索履歴記憶部3に記憶される。探索履歴個体hは制約条件に違反しており、探索履歴個体hは制約条件に違反してない。さらに3つの子個体I,I10,I11が生成される。子個体Iの最近傍の個体は制約条件に違反しない探索履歴個体hである。したがって、子個体Iは多目的最適化において採用される。子個体I10の最近傍の個体は制約条件に違反する探索履歴個体hである。したがって、子個体Iは多目的最適化において棄却される。子個体I11の最近傍の個体は制約条件に違反しない探索履歴個体hである。したがって、子個体I11は多目的最適化において採用される。
子個体I,I11は最適化において評価され、制約関数値が制約条件に違反しているか否かが判定される。
この場合、2つの探索履歴個体h,hを結ぶ線分の垂直二等分線、2つの探索履歴個体h,hを結ぶ線分の垂直二等分線、2つの探索履歴個体h,hを結ぶ線分の垂直二等分線、および2つの探索履歴個体h,hを結ぶ線分の垂直二等分線がボロノイ境界VE3として求められる。
図15に示すように、評価された子個体I,I11は探索履歴個体h,h11として探索履歴記憶部3に記憶される。探索履歴個体hは制約条件に違反しておらず、探索履歴個体h11は制約条件に違反している。
この場合、2つの探索履歴個体h,hを結ぶ線分の垂直二等分線、2つの探索履歴個体h,hを結ぶ線分の垂直二等分線、2つの探索履歴個体h,hを結ぶ線分の垂直二等分線、2つの探索履歴個体h,hを結ぶ線分の垂直二等分線、2つの探索履歴個体h,h11を結ぶ線分の垂直二等分線、および2つの探索履歴個体h,h11を結ぶ線分の垂直二等分線がボロノイ境界VE4として求められる。
以上のように、新たな探索履歴個体の生成に伴ってボロノイ境界が変化する。
以下、制約条件に違反しない子個体を生成可能な領域を実行可能領域と呼び、制約条件に違反する子個体が生成され得る領域を実行不能領域と呼ぶ。また、制約条件に違反しない探索履歴個体を実行可能個体と呼び、制約条件に違反する探索履歴個体を実行不能個体と呼ぶ。
上記のようにして、多目的最適化および実行可能領域の特定を同時に行うことができる。
ここで、生成された子個体を次式で表わす。
x=[x,…,x
子個体xはn個の決定変数x,…,xからなる。nは自然数である。
ボロノイ領域は次式で表わされる。
Figure 0005235652
上式において、dはユークリッド距離であり、次式で表わされる。
(x,h)=√{(x−h(x−h)}
ここで、i=1,…,Lである。上記のように、探索履歴個体の増加に伴って複雑な形状のボロノイ境界を求めることが可能となる。
(11)重みパラメータを用いた最近傍法
実行可能領域を調整するために重みパラメータを導入してもよい。この場合、ユークリッド距離dの代わりに次式により求められる重み付き距離dを用いる。
(x,h)=(1/W)√{(x−h(x−h)}
上式において、Wは重みパラメータであり、次式で表わされる。
∈{W,W
ここで、i=1,…,Lである。Wは実行可能個体についての重みパラメータであり、Wは実行不能個体についての重みパラメータである。
図16は重みパラメータを導入した場合のボロノイ境界を示す概念図である。図16においては、2つの決定変数x,xからなる2次元決定変数空間上の個体が示される。
図16(a)は実行可能個体の重みパラメータWが実行不能個体の重みパラメータWよりも大きい場合のボロノイ境界を示し、図16(b)は実行可能個体の重みパラメータWが実行不能個体の重みパラメータWよりも小さい場合のボロノイ境界を示す。
図16(a),(b)に示すように、重みパラメータWおよび重みパラメータWの一方が他方よりも大きい場合、ボロノイ境界は直線ではなく、アポロニウスの円と呼ばれる円の一部となる。
図16(a)に示すように、重みパラメータWが重みパラメータWよりも大きい場合、実行可能領域は実行不能領域に比べて相対的に広くなる。重みパラメータWが重みパラメータWよりも大きい場合の最近傍法を積極的手法と呼ぶ。
逆に、図16(b)に示すように、重みパラメータWが重みパラメータWよりも小さい場合、実行可能領域は実行不能領域に比べて相対的に狭くなる。重みパラメータWが重みパラメータWよりも小さい場合の最近傍法を消極的手法と呼ぶ。
(12)k−NN法による子個体の選別方法
上記の最近傍法による子個体の選別方法の代わりに、k−NN法(k-nearest-Neighbor Method)による子個体の選別方法を用いてもよい。k−NN法による子個体の選別方法では、生成された各子個体の近傍の複数の探索履歴個体を調べ、実行可能個体と実行不能個体との多数決で各個体の採用および棄却を決定する。
図17はk−NN法による子個体の選別方法の一例を示す概念図である。図17には、2つの決定変数x,xからなる2次元決定変数平面上の個体が示される。
図17の決定変数空間上に制約条件に違反しない探索履歴個体h11,h12,h13および制約条件に違反する探索履歴個体h14,h15,h16が存在する。この状態で、3つの子個体I17,I18,I19が生成される。
子個体I17の近傍にある3つの探索履歴個体h11,h13,h14のうち探索履歴個体h11,h13は実行可能個体であり、探索履歴個体h14は実行不能個体である。したがって、子個体I17は多目的最適化における子個体として採用され、探索履歴個体h17となる。
子個体I18の近傍にある3つの探索履歴個体h13,h14,h15のうち探索履歴個体h13は実行可能個体であり、探索履歴個体h14,h15は実行不能個体である。したがって、子個体I18は多目的最適化における子個体として棄却され、探索履歴個体
18となる。
子個体I19の近傍にある3つの探索履歴個体h12,h13,h14のうち探索履歴個体h12,h13は実行可能個体であり、探索履歴個体h14は実行不能個体である。したがって、子個体I19は多目的最適化における子個体として採用され、探索履歴個体h19となる。
(13)実施の形態の効果
本実施の形態に係る多目的最適化装置1によれば、探索履歴記憶部3に探索履歴個体とともに制約違反フラグが記憶される。多目的進化型アルゴリズム部2は、親個体から生成された各子個体の近傍の所定数の探索履歴個体が実行可能個体であるか実行不能個体であるかに基づいて各子個体を多目的最適化における子個体として採用するか否かを判別する。それにより、子個体の評価により出力される制約関数値が制約条件に違反する可能性が低減される。したがって、制約条件の違反を回避しつつ短時間で精度良くパレート近似個体集合を得ることができる。
(14)実施例1
以下の実施例1では、数値実験により上記実施の形態に係る多目的最適化装置1による制約条件の違反回数の削減効果について調べた。
本実施例1では、多目的進化型アルゴリズムとして上記のNSGA−IIを用い、親個体集合サイズ|P|を100とし、子個体数集合サイズ|Q|を100とし、世代数を100とする。初期親個体集合Pおよび100世代の子個体集合Qを評価するため、個体の総評価回数は10100回となる。交叉演算としては、UNDX(単峰性正規分布交叉:Unimodal Normal Distribution Crossover)を交叉率1.0で用い、突然変異演算は用いない。
また、比較例では、多目的進化型アルゴリズムとして制約条件違反の回避を行わないNSGA−IIを用いる。比較例のNSGA−IIでは、制約優越原理と呼ばれる手法により制約条件を取り扱う。
図18は実施例1においてテスト関数として用いる2条件2目的問題を示す図である。f,fは適応度関数であり、g,gは制約関数であり、x,xは決定変数である。
多目的進化型アルゴリズムは確率的な最適化手法であるため、初期個体集合の配置および探索過程での多目的進化型アルゴリズムによる操作により結果に違いが生じる。したがって、実施例1および比較例では、上記実施の形態の多目的最適化装置1の平均的な性能を評価するために、30回の最適化結果の平均値を求める。実施例1では、重みパラメータWとして0.5(消極的手法)、1.0(中立手法)および1.5(積極的手法)を用いた。もう1つの重みパラメータWは1.0である。
評価指標としては、GD(Generational Distance)およびD1Rを用いた。また、評価した子個体のうち制約条件に違反した子個体の数を求めた。上記のように、制約条件を満足した探索履歴個体を実行可能個体と呼び、制約条件に違反した探索履歴個体を実行不能個体と呼ぶ。
図19はGDを説明するための図であり、図20はD1Rを説明するための図である。
図19および図20には、2つの適応度関数f,fからなる適応度空間におけるパレート最適個体集合P1およびパレート近似個体集合P2が示されている。パレート最適個体集合P1は、個体p11〜p17を含み、パレート近似個体集合P2は、個体p21〜p27を含む。
図19において、パレート近似個体集合P2内の個体p21〜p27からパレート最適個体集合P1内の最も近い個体p11〜p13,p15,p16までの距離をそれぞれ矢印で示す。GDは、パレート近似個体集合P2からパレート最適個体集合P1への最短距離の平均値である。
また、図20において、パレート最適個体集合P1内の個体p11〜p17からパレート近似個体集合P2内の最も近い個体p22,p23〜p27までの距離をそれぞれ矢印で示す。D1Rは、パレート最適個体集合P1からパレート近似個体集合P2への最短距
離の平均値である。
図21は実施例1および比較例におけるGD、D1Rおよび実行不能個体数を示す図である。図21においては、30回の最適化結果におけるGDの平均値および標準偏差、30回の最適化結果におけるD1Rの平均値および標準偏差、ならびに30回の最適化結果における世代当たりの実行不能個体数(NoV)の平均値および標準偏差が示される。
図21に示すように、実施例1におけるGDおよびD1Rは比較例におけるGDおよびD1Rに比べてほとんど悪化していない。一方、実施例1における世代当たりの実行不能個体数(NoV)は、比較例における世代当たりの実行不能個体数(NoV)に比べて著しく少なくなっている。すなわち、実施例1によると、比較例に比べて探索性能を悪化することなく、実行不能個体数を少なくすることができることがわかる。
図22は比較例の探索履歴における実行可能個体および実行不能個体の決定変数空間上の分布を示す図である。図23〜図25は実施例1の探索履歴における実行可能個体および実行不能個体の決定変数空間上の分布を示す図である。図22〜図25の横軸は1つの決定変数xであり、縦軸は他の1つの決定変数xである。
図22〜図25では、TNK関数を用いた場合の結果を示す。図23は重みパラメータWが0.5(消極的手法)の場合を示し、図24は重みパラメータWが1.0(中立手法)の場合を示し、図25は重みパラメータWが1.5(積極的手法)の場合を示す。比較例および実施例1において、全個体数は10100である。
図22の比較例では、実行不能個体の数が5690個となった。一方、図23の実施例1(W=0.5)では、実行不能個体数が288個となり、図24の実施例1(W=1.0)では、実行不能個体数が527個となり、図25の実施例1(W=1.5)では、実行不能個体数が1251個となった。
図23〜図25の結果から、重みパラメータWを変化させることにより、実行不能個体数を調整できることがわかる。また、図22〜図25の結果から、実施例1によると、比較例に比べて実行不能個体数を少なくすることができることがわかる。
(15)実施例2
以下の実施例2では、上記実施の形態に係る多目的最適化装置1を並列4気筒のコモンレールディーゼルエンジンの多段噴射パラメータ最適化に適用した場合を説明する。
ディーゼルエンジンでは、高圧直噴システムであるコモンレールシステムにより、1燃焼サイクルの間に複数回の燃料噴射(多段噴射)が可能である。この多段噴射は、排出ガスの清浄化に大きく貢献するが、適合すべき決定変数(制御パラメータ)の数が多いため、適切な決定変数の組み合わせを手動で求めることは困難である。
そこで、本実施例2では、3目的7変数の多目的最適化問題を設定し、実験ベースで3段噴射のエンジンの最適化を実施した。
多目的進化型アルゴリズムとして評価回数を低減するための手法である“Pre−selection”アルゴリズム(上記の非特許文献5)を組み合わせたNSGA−IIを用い、親個体集合サイズ|P|を50とし、候補子個体集合サイズ|Qc|を100とし、子個体数集合サイズ|Q|を4とした。重みパラメータWを1.0とし、重みパラメータWも1.0とした。“Pre−selection”アルゴリズムの近似モデリング手法として局所重み付き回帰(LWR)を用いた.
図26は実施例2における噴射タイミングおよび噴射量を示す概念図である。
図26に示すように、3段噴射は、パイロット噴射Pi、プリ噴射Prおよびメイン噴射Miからなる。図26において、MIタイミングは、上死点(TDC)から進角方向に見たメイン噴射Miの通電開始タイミングである。Pre−MIインターバルは、プリ噴射Prの通電開始タイミングとメイン噴射Miの通電開始タイミングとの間隔である。Pil−Preインターバルは、パイロット噴射Piの通電開始タイミングとプリ噴射Prの通電開始タイミングとの間隔である。
本実施例2では、3つの適応度関数(目的関数)として、排出ガス中のNO濃度、可溶有機成分(SOF)量およびすす量を用いる。また、制約関数として、排出ガス中のSOF量、排出ガス中のすす量、排出ガス中のHC濃度、エンジンのトルク変動および異常
噴射の有無を用いる。SOFおよびすすは、粒子状物質(PM)と呼ばれる排出ガス成分の構成要素である。
7つの決定変数(制御パラメータ)としては、MIタイミング、Pre−MIインターバル、Pil−Preインターバル、パイロット噴射量(Pil Quantity)、プリ噴射量(Pre Quantity)、吸入空気量(Fresh Air Mass)、および燃料圧力を用いる。パイロット噴射量は、パイロット噴射時の燃料噴射量であり、プリ噴射量は、プリ噴射時の燃料噴射量である。吸入空気量は、EGR(排出ガス再循環装置)バルブ等により制御される吸入空気の量である。燃料圧力は、コモンレールの燃料圧力である。
実施例2の実験は、一定のエンジン回転速度および一定トルクの条件で実施された。多目的最適化装置1から図3のECU62にシリアル通信によりNSGA−IIの個体として表現されている決定変数(制御パラメータ)が一定のタイミングで送信される。計測装置63により、適応度関数値および制約関数値が所定の時間測定される。
本実施例2では、210回の決定変数の評価が行われた。ここで、親個体集合Pの再評価は行っていない。
図27は最終世代の個体集合(パレート近似個体集合)の分布を示す図である。本実施例2は3目的最適化であるので、パレート近似個体集合は3次元適応度空間上に分布する。図28はNO濃度、SOF量およびすす量を6つの2次元適応度平面へ射影することによりパレート近似個体集合を示している。図27において、適応度平面D1,D2の縦軸はNO濃度であり、横軸はそれぞれSOF量およびすす量である。適応度平面D3,D4の縦軸はSOF量であり、横軸はそれぞれNO濃度およびすす量である。適応度平面D5,D6の縦軸はすす量であり、横軸はそれぞれNO濃度およびSOF量である。NO濃度、SOF量およびすす量の値は正規化されている。
適応度平面D1〜D6の各々において、左下方向が最適化の方向となる。適応度平面D1と適応度平面D3とは互いに縦軸と横軸とが入れ替わっており、適応度平面D2と適応度平面D5とは互いに縦軸と横軸とが入れ替わっており、適応度平面D4と適応度平面D6とは互いに縦軸と横軸とが入れ替わっている。
適応度平面D1,D3においては、ディーゼルエンジンでよく知られているように、NO濃度とすす量との間にトレードオフの関係が明確に見られる。
図28は探索履歴個体の分布を示す図である。図28では、実行可能個体、実行不能個体およびパレート近似個体が42個の2次元決定変数平面上に示されている。
1段目の6個の決定変数平面の縦軸はMIタイミングであり、2段目の6個の決定変数平面の縦軸はPre−MIインターバルであり、3段目の6個の決定変数平面の縦軸はプリ噴射量であり、4段目の6個の決定変数平面の縦軸はPil−Preインターバルであり、5段目の6個の決定変数平面の縦軸はパイロット噴射量であり、6段目の6個の決定変数平面の縦軸は吸入空気量であり、7段目の6個の決定変数平面の縦軸は燃料圧力である。
1列目の6個の決定変数平面の横軸はMIタイミングであり、2列目の6個の決定変数平面の横軸はPre−MIインターバルであり、3列目の6個の決定変数平面の横軸はプリ噴射量であり、4列目の6個の決定変数平面の横軸はPil−Preインターバルであり、5列目の6個の決定変数平面の横軸はパイロット噴射量であり、6段目の6個の決定変数平面の横軸は吸入空気量であり、7列目の6個の決定変数平面の横軸は燃料圧力である。
図28において、濃い丸印が実行可能個体を示し、やや濃い丸印が実行不能個体を示し、薄い丸印がパレート近似個体を示す。
探索履歴個体が疎らに存在する領域では、実行不能個体が集中しているが、探索履歴個体が密に存在する領域では、実行可能個体およびパレート近似個体が集中的に分布している。図28の探索履歴個体の偏った分布は、子個体が制約条件の違反を回避するように生成されることを示している。
図29は実際のエンジンから得られる実行不能個体の数の推移を示す図である。初期個体集合の評価(0世代の評価)では、50個の個体中45個の個体が実行不能個体となっ
た。その後、1世代につき4個の個体で実際のエンジンを評価した。その結果、12世代までは実行不能個体の数は2個以下であることがわかる。それ以降は、実行不能個体の数がやや増加していることがわかる。これは、パレート最適個体集合が実行可能領域の境界付近に存在していることを示唆している。特に、“Pre−selection”アルゴリズムでは、パレート最適個体集合に近い有望な個体が積極的に評価されるため、最終世代に近づくにつれて制約条件に違反する可能性が若干増加していると考えられる。
本実施例2において得られたパレート近似個体集合の特徴は、実験に用いたディーゼルエンジンの特性として妥当性があることを確認した。したがって、上記実施の形態に係る多目的最適化装置1によれば、制約条件の違反を回避しつつ短時間で精度良くパレート近似個体集合を得られることがわかった。
(16)他の実施の形態
(a)上記実施の形態では、多目的進化型アルゴリズムとしてNSGA−IIを用いているが、これに限定されず、NSGA−IIの代わりに、SPEA2(非特許文献3)等の同様のアイデアに基づく計算法を用いてもよい。
(b)上記実施の形態では、多目的進化型アルゴリズム部2がCPU101およびプログラムにより実現されるが、多目的進化型アルゴリズム部2の一部または全てが電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
(c)多目的進化型アルゴリズムの代わりに他の最適化アルゴリズムを用いてもよい。
(d)初期の探索履歴個体を生成するために、図33に示した方法で実行可能領域を推定してもよい。この場合、推定された実行可能領域の境界の近くに探索履歴個体を生成することができるので、探索効率を向上させることができる。
(17)請求項の構成要素と実施の形態の各部との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態では、多目的進化型アルゴリズム部4が多目的最適化部の例であり、探索履歴記憶部5が記憶部の例である。また、パレート近似個体集合がパレート近似解集合の例であり、制約違反フラグが制約違反情報の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
本発明は、条件により目的関数が変化する最適化対象の決定変数を最適化するため等に利用することができる。
本発明の一実施の形態に係る多目的最適化装置の機能的な構成を示すブロック図である。 図1の多目的最適化装置のハードウエア構成を示すブロック図である。 最適化対象の構成の一例を示すブロック図である。 制約条件について説明するための図である。 多目的進化型アルゴリズムを説明するための模式図である。 多目的進化型アルゴリズムを説明するためのフローチャートである。 非優越ランキングを説明するための模式図である。 混雑度ソートを説明するための図である。 多目的進化型アルゴリズム部による混雑度ソートの処理を示すフローチャートである。 本実施の形態に係る多目的進化型アルゴリズム部による子個体の生成方法を説明するためのフローチャートである。 最近傍法による子個体の選別方法の一例を示す概念図である。 最近傍法による子個体の選別方法の一例を示す概念図である。 最近傍法による子個体の選別方法の一例を示す概念図である。 最近傍法による子個体の選別方法の一例を示す概念図である。 最近傍法による子個体の選別方法の一例を示す概念図である。 重みパラメータを導入した場合のボロノイ境界を示す概念図である。 k−NN法による子個体の選別方法の一例を示す概念図である。 実施例1においてテスト関数として用いる2条件2目的問題を示す図である。 GDを説明するための図であり、 D1Rを説明するための図である。 実施例1および比較例におけるGD、D1Rおよび実行不能個体数を示す図である。 比較例の探索履歴における実行可能個体および実行不能個体の決定変数空間上の分布を示す図である。 実施例1の探索履歴における実行可能個体および実行不能個体の決定変数空間上の分布を示す図である。 実施例1の探索履歴における実行可能個体および実行不能個体の決定変数空間上の分布を示す図である。 実施例1の探索履歴における実行可能個体および実行不能個体の決定変数空間上の分布を示す図である。 実施例2における噴射タイミングおよび噴射量を示す概念図である。 最終世代の個体集合(パレート近似個体集合)の分布を示す図である。 探索履歴個体の分布を示す図である。 実際のエンジンから得られる実行不能個体の数の推移を示す図である。 多目的最適化問題をエンジンの最適化に適用した例を示す図である。 パレート最適解について説明するための図である。 エンジンの適合を説明するための図である。 応答曲面法において制御パラメータ値の組の制約条件を設定する方法を説明するための概念図である。
符号の説明
1 多目的最適化装置
2 多目的進化型アルゴリズム部
3 探索履歴記憶部
6 最適化対象
61 エンジン
62 ECU
63 計測装置
64 制御用コンピュータ
65 超低慣性ダイナモメータ
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 入力装置
105 表示装置
106 外部記憶装置
107 記録媒体駆動装置
108 入出力インタフェース
109 記録媒体
D1〜D6 適応度平面
d1〜d4 長さ
,h,h,h,h,h,h11,h12,h13,h14,h15,h16,h17,h18,h19 探索履歴個体
I1〜I11 個体
,I,I,I,I,I,I,I10,I11,I17,I18,I19 子個体
P 親個体集合
P1 パレート最適個体集合
P2 個体集合
p11〜p17,p21〜p27 個体
s1,s2 長方形
VE1〜VE4 ボロノイ境界
,W 重みパラメータ
,x 決定変数

Claims (8)

  1. 複数の目的関数を有する最適化対象の決定変数を制約条件の範囲で最適化する多目的最適化装置であって、
    多目的最適化において評価すべき決定変数の値を判定し、評価すべきと判定された決定変数の値を前記最適化対象に与えるとともに、前記最適化対象から出力される目的関数の値を用いて多目的最適化を行い、前記最適化対象から出力される制約関数の値が前記制約条件を満たす範囲で決定変数のパレート近似解集合を求める多目的最適化部と、
    前記多目的最適化部により評価された決定変数の値、前記最適化対象から出力された目的関数の値および前記最適化対象から出力された制約関数の値が前記制約条件に違反するか否かを示す制約違反情報を探索履歴として対応付けて記憶する記憶部とを備え、
    前記多目的最適化部は、評価すべき決定変数の値を判定する際に、前記記憶部に記憶された探索履歴から、未評価の決定変数の値により近くかつ所定数の評価済みである決定変数の値を選択し、選択された前記所定数の決定変数の値に対応する制約違反情報が前記制約条件の違反を示すか否かに基づいて前記未評価の決定変数の値を評価すべきか否かを判定する、多目的最適化装置。
  2. 前記所定数は1であり、前記多目的最適化部は、評価すべき決定変数の値を判定する際に、未評価の決定変数の値に最も近い1個の評価済みである決定変数の値を選択し、選択された1個の評価済みである決定変数の値に対応する制約違反情報が前記制約条件の違反を示さない場合に前記未評価の決定変数の値を評価すべきと判定し、前記選択された1個の評価済みである決定変数の値に対応する制約違反情報が前記制約条件の違反を示す場合に前記未評価の決定変数の値を評価すべきでないと判定する、請求項1記載の多目的最適化装置。
  3. 前記所定数はk個であり(kは2以上の自然数)、前記多目的最適化部は、評価すべき決定変数の値を判定する際に、未評価の決定変数の値により近くかつk個の評価済みである決定変数の値を選択し、選択されたk個の評価済みである決定変数の値に対応する制約違反情報が前記制約条件の違反を示すか否かの多数決により前記未評価の決定変数の値を評価すべきか否かを判定する、請求項1記載の多目的最適化装置。
  4. 前記多目的最適化部は、決定変数空間においてユークリッド距離に基づいて未評価の決定変数の値により近くかつ前記所定数の評価済みである決定変数の値を選択する、請求項1〜3のいずれかに記載の多目的最適化装置。
  5. 前記多目的最適化部は、決定変数空間において、前記未評価の決定変数の値と制約違反情報が制約条件に違反しないことを示す評価済みの決定件数の値とのユークリッド距離および前記未評価の決定変数の値と制約違反情報が制約条件に違反することを示す評価済みの決定件数の値とのユークリッド距離にそれぞれ重み付けを行い、重み付けが行われたユークリッド距離に基づいて前記未評価の決定変数の値により近くかつ前記所定数の評価済みである決定変数の値を選択する、請求項1〜3のいずれかに記載の多目的最適化装置。
  6. 前記多目的最適化部は、多目的進化型アルゴリズムにより未評価の決定変数の値を生成する、請求項1〜5のいずれかに記載の多目的最適化装置。
  7. 複数の目的関数を有する最適化対象の決定変数を制約条件の範囲で最適化する多目的最適化方法であって、
    多目的最適化において評価すべき決定変数の値を判定し、評価すべきと判定された決定変数の値を前記最適化対象に与えるとともに、前記最適化対象から出力される目的関数の値を用いて多目的最適化を行い、前記最適化対象から出力される制約関数の値が前記制約条件を満たす範囲で決定変数のパレート近似解集合を求めるステップと、
    前記評価された決定変数の値、前記最適化対象から出力された目的関数の値および前記最適化対象から出力された制約関数の値が前記制約条件に違反するか否かを示す制約違反情報を探索履歴として対応付けて記憶部に記憶するステップとを備え、
    前記パレート近似解集合を求めるステップは、評価すべき決定変数の値を判定する際に、前記記憶部に記憶された探索履歴から、未評価の決定変数の値により近くかつ所定数の
    評価済みである決定変数の値を選択し、選択された前記所定数の決定変数の値に対応する制約違反情報が前記制約条件の違反を示すか否かに基づいて前記未評価の決定変数の値を評価すべきか否かを判定するステップを含む、多目的最適化方法。
  8. 複数の目的関数を有する最適化対象の決定変数を制約条件の範囲で最適化する多目的最適化方法をコンピュータに実行させる多目的最適化プログラムであって、
    多目的最適化において評価すべき決定変数の値を判定し、評価すべきと判定された決定変数の値を前記最適化対象に与えるとともに、前記最適化対象から出力される目的関数の値を用いて多目的最適化を行い、前記最適化対象から出力される制約関数の値が前記制約条件を満たす範囲で決定変数のパレート近似解集合を求める処理と、
    前記評価された決定変数の値、前記最適化対象から出力された目的関数の値および前記最適化対象から出力された制約関数の値が前記制約条件に違反するか否かを示す制約違反情報を探索履歴として対応付けて記憶部に記憶する処理とを備え、
    前記パレート近似解集合を求める処理は、評価すべき決定変数の値を判定する際に、前記記憶部に記憶された探索履歴から、未評価の決定変数の値により近くかつ所定数の評価済みである決定変数の値を選択し、選択された前記所定数の決定変数の値に対応する制約違反情報が前記制約条件の違反を示すか否かに基づいて前記未評価の決定変数の値を評価すべきか否かを判定する処理を含む、多目的最適化プログラム。
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