JP5234542B2 - 筋骨格系モデル作成装置および該方法、筋骨格系機構制御装置ならびに筋骨格系機構システム - Google Patents

筋骨格系モデル作成装置および該方法、筋骨格系機構制御装置ならびに筋骨格系機構システム Download PDF

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Description

本発明は、筋骨格系モデルをより簡易に作成することができる筋骨格系モデル作成装置および筋骨格系モデル作成方法に関する。また、本発明は、筋骨格系モデルから得られる制御信号に応じて筋骨格系機構を制御する筋骨格系機構制御装置およびこの筋骨格系機構制御装置を備える筋骨格系機構システムに関する。
近年、人の代わりに何らかの作業を行う装置であるロボットが研究、開発されており、その一分野として、ロボットを制御するロボット制御装置も研究、開発されている。
例えば、特許文献1には、ロボット制御装置が開示されている。この特許文献1に開示のロボット制御装置は、オペレータの身体部位における複数の筋肉の活動に基づいてロボットを制御するロボット制御装置であって、前記複数の筋肉の活動に応じた信号を検出する検出手段と、前記検出手段の各検出出力を各筋肉が発生する張力に対応する擬似張力を表す信号に変換し、その信号に基づいて前記オペレータの身体部位における関節の位置状態を推定する非線形身体モデルと、前記非線形身体モデルで推定された前記関節の位置状態に基づいて前記ロボットを制御する制御手段とを備えている。そして、特許文献1に開示のロボット制御装置では、前記非線形身体モデルは、所定の学習則で学習される、複数の層から成る神経回路モデルによって構築されている。
一方、生体が所定の運動を行う際に、多くの場合、特定の1つの筋肉だけが働くのではなく、同時に複数の筋肉が働く。このように1つの運動に際して協力して働く筋肉を互いに共同筋といい、共同筋は、原則として、1つの関節に対して同じ側に位置している。これに対して互いに反対の働きをもつ筋肉を対抗筋(拮抗筋)といい、対抗筋は、関節に対して反対側にある。1つの運動に際しては、共同筋同士は、同時に収縮するのはもちろんであるが、そのとき対抗筋も或る程度は緊張してその運動を調整している。筋肉は、収縮して張力のみを発生するので、関節の角度を変えるためには、関節の両側で拮抗的に働く1対の筋肉が必要だからである。したがって、手や足などの動作部分から外部に加えられる力が同じであっても、また、動作部分の軌跡が同じであっても、伸筋の張力と屈筋の張力との組み合わせが異なると、動作部分のインピーダンスや力の方向が異なることになる。例えば、腕の肘関節を90度に曲げて静止または動作している状態は、主に上腕2頭筋とこれに対抗筋の関係にある上腕3頭筋との協調によって生じている。簡単のため、関節中心から各筋肉までの距離が関節角度によらず一定であると考えて、各筋肉の張力Tとモーメントアームaとの積をトルクτとする。この場合において、上腕2頭筋のトルクが25Nmで上腕3頭筋のトルクが5Nmである場合も、上腕2頭筋のトルクが45Nmで上腕3頭筋のトルクが25Nmである場合も、肘関節に生じているトルクは、差である20Nmである。ところが、腕の硬さの程度は、後者の場合の方が前者の場合の方より大きい。このことは、例えば、腕を押した場合、後者の場合の方が前者の場合の方より遙かに動かし難い。なお、運動方向に依存しない呼び方で関節を伸ばす方向に働く筋肉は、伸筋と呼ばれ、関節を曲げる方向に働く筋肉は、屈筋と呼ばれる。関節を伸ばしている場合は伸筋が主に活動しており、共同筋が伸筋に、対抗筋が屈筋に当たる。
このように同じトルクを発生させる場合でも運動部分のインピーダンスを異ならせることができる。また、人は、動作部分のインピーダンスを変えることによって、同じ動作であっても結果が異なることを経験的に知っている。例えば、ゴルフパッドにおいて、ヘッドが同じ軌跡及びスピードであっても腕の硬さに応じてゴルフボールの移動距離が異なり、腕が軟らかい場合よりも硬い場合の方がより遠くに転がることを、経験的に知っている。このため、所定の運動を適切に実行するためには、運動軌道に合わせて運動部分のインピーダンスも真似る必要がある。
なお、上述では、筋繊維がその長さを変化させながら張力を発生する等張性収縮(動的収縮)の場合について説明したが、筋収縮における他の態様の場合も同様に動作部分のインピーダンスを考え得る。筋収縮の態様は、前記等張性収縮、等速性収縮および等尺性収縮(静的収縮)に大別され、前記等張性収縮は、短縮性収縮と伸張性収縮とに分けられる。前記等張性収縮は、筋の張力と負荷とが釣り合った状態で筋が張力を発揮する場合をいい、短縮性収縮は、筋が短くなりながら張力を発揮する場合をいい、そして、伸張性収縮は、筋が負荷によって受動的に伸びながらも、張力を発揮している場合をいう。等速性収縮は、速度が一定の状態で筋が張力を発揮する場合をいう。また、等尺性収縮は、筋がその長さを変えずに張力を発揮する場合をいう。例えば、等尺性収縮の場合において、例えば、腹圧を大きく加えた場合では腹筋は硬く、腹圧を加えない場合では腹筋は柔らかい。このように両者で各インピーダンスが異なっている。
このように運動部分のインピーダンスが運動に関与しており、このインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置が例えば特許文献2に開示されている。この特許文献2に開示のインピーダンス測定装置は、生体のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置であって、測定対象のインピーダンスに関与する筋肉の活動電位による筋電信号を測定する筋電信号測定手段と、前記インピーダンスに関与する筋肉によって生じる力を測定する力測定手段と、前記生体の複数の位置を測定する位置測定手段と、前記筋電信号と前記力とに基づいて前記筋電信号を正規化するための正規化基準値を演算する正規化基準値演算手段と、前記正規化基準値で正規化された筋電信号、前記複数の位置及び前記力のうちの該筋電信号を含む2以上を用いて前記インピーダンスに関与する筋肉の筋骨格系モデルを作成するモデル作成手段と、作成した前記筋骨格系モデルに応じて前記正規化基準値で正規化された筋電信号、又は、該筋電信号及び前記複数の位置の何れかを入力し、前記筋骨格系モデルの出力、前記力及び前記複数の位置に基づいて前記インピーダンスを演算するインピーダンス演算手段とを備えている。
特許第2542336号公報 特許第3660330号公報
ところで、上記特許文献1に開示のロボット制御装置では、非線形身体モデルが神経回路モデルによって構築されているため、神経回路モデルの学習に比較的多くのデータが必要である。特に、非線形身体モデルは、個人ごとに作成する必要があるため、この多数のデータが必要である点は、重要な問題となる。
また、上述したように、運動部分のインピーダンスが運動に関与していることから、ロボット等の生体の筋骨格系を模した筋骨格系機構を制御する場合に、インピーダンスを考慮することは、筋骨格系機構をより適切に制御する上で重要であると考えられる。しかしながら、上記特許文献2では、インピーダンスを測定する点の開示しか無く、インピーダンスを筋骨格系機構の制御へ応用する点の記載は、無く、その示唆もない。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、筋骨格系モデルをより簡易に作成することができる筋骨格系モデル作成装置および筋骨格系モデル作成方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、筋骨格系モデルから得られる制御信号に応じて筋骨格系機構を制御する筋骨格系機構制御装置およびこの筋骨格系機構制御装置を備える筋骨格系機構システムを提供することである。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる筋骨格系モデル作成装置は、生体の所定の運動に関与する筋肉の活動電位による筋電信号を測定する筋電信号測定部と、前記所定の運動に関与する筋肉によって生じる力を測定する力測定部と、前記筋電信号測定部で測定した筋電信号および前記力測定部で測定した力に基づいて、前記所定の運動を行う生体部位に生じる力を所定の第1関数τで表した筋骨格系モデルを作成するモデル作成部とを備え、前記筋骨格系モデルは、1つの関節を含む生体部位に生じる力を所定の第1関数τで表したものであり、前記筋骨格系モデルにおける所定の第1関数τは、前記生体部位のインピーダンスである関節スティフネスK、前記所定の運動における運動終端での平衡位置θeqおよび前記所定の運動における現在の位置θを第1パラメータとして含んで後述の式Aによって表され、前記生体部位のインピーダンスおよび前記運動終端での平衡位置は、筋電信号に基づく第2パラメータを共通に含む所定の第2および第3関数K、θeqによってそれぞれ表され、前記所定の第2関数Kは、前記筋肉iの弾性係数をk とし、前記筋肉iのモーメントアームをa とし、前記筋肉iの筋電信号に基づく第2パラメータをu とする場合に、前記弾性係数k 、前記モーメントアームa および前記第2パラメータu を用いた関数であり前記所定の第3関数θeqは、前記筋肉iの長さをl とする場合に、後述の式Cによって表され、前記モデル作成部は、前記筋電信号測定部で測定した筋電信号および前記力測定部で測定した力に基づいて前記弾性係数k 、前記長さl および前記モーメントアームa を決定して前記第2および第3関数K、θeqをそれぞれ作成することによって、前記筋骨格系モデルを作成することを特徴とする。
また、好ましくは、上述の筋骨格系モデル作成装置において、前記インピーダンスにおける前記所定の第2関数Kは、後述の式Bによって表されることを特徴とする。
そして、本発明の他の一態様にかかる筋骨格系モデル作成方法は、生体の所定の運動に関与する筋肉の活動電位による筋電信号を測定する筋電信号測定工程と、前記所定の運動に関与する筋肉によって生じる力を測定する力測定工程と、前記筋電信号測定工程で測定した筋電信号および前記力測定工程で測定した力に基づいて、前記所定の運動を行う生体部位に生じる力を所定の第1関数τで表した筋骨格系モデルを作成するモデル作成工程とを備え、前記筋骨格系モデルは、1つの関節を含む生体部位に生じる力を所定の第1関数τで表したものであり、前記筋骨格系モデルにおける所定の第1関数τは、前記生体部位のインピーダンスである関節スティフネスK、前記所定の運動における運動終端での平衡位置θeqおよび前記所定の運動における現在の位置θを第1パラメータとして含んで後述の式Aによって表され、前記生体部位のインピーダンスおよび前記運動終端での平衡位置は、筋電信号に基づく第2パラメータを共通に含む所定の第2および第3関数K、θeqによってそれぞれ表され、前記所定の第2関数Kは、前記筋肉iの弾性係数をk とし、前記筋肉iのモーメントアームをa とし、前記筋肉iの筋電信号に基づく第2パラメータをu とする場合に、前記弾性係数k 、前記モーメントアームa および前記第2パラメータu を用いた関数であり前記所定の第3関数θeqは、前記筋肉iの長さをl とする場合に、後述の式Cによって表され、前記モデル作成工程は、前記筋電信号測定工程で測定した筋電信号および前記力測定工程で測定した力に基づいて前記弾性係数k 、前記長さl および前記モーメントアームa を決定して前記第2および第3関数K、θeqをそれぞれ作成することによって、前記筋骨格系モデルを作成することを特徴とする。
このような構成の筋骨格系モデル作成装置およびその方法では、所定の運動を行う生体部位に生じる力を所定の第1関数で表した筋骨格系モデルは、前記生体部位のインピーダンス、前記運動終端での平衡位置および前記現在の位置という比較的少ない第1パラメータを含んで構築されており、しかも、これら生体部位のインピーダンスおよび運動終端での平衡位置が筋電信号に基づく共通な第2パラメータを含む第2および第3関数でそれぞれ表されている。このため、所定の運動に関与する筋肉に係わる筋電信号および力を測定することによって、これら第2および第3関数をそれぞれ作成することができ、ひいては、筋骨格系モデルの第1関数を作成することが可能となる。このように比較的少ない第1パラメータで筋骨格系モデルが構築され、しかも筋電信号および力を測定することによって、筋骨格系モデルが作成されるため、より安定的に筋骨格系モデルを作成することができ、また、神経回路モデルのように学習の必要がないので、迅速に筋骨格系モデルを作成することができる。したがって、このような構成の筋骨格系モデル作成装置およびその方法は、筋骨格系モデルをより簡易に作成することができる。しかも、筋骨格系モデルに生体部位のインピーダンスが含まれるので、筋骨格系モデルは、生体の運動をその硬さ(スティフネス)も含めてより適切に模倣することができる。インピーダンスには、所定の運動を行う生体部位の運動方程式から、前記生体部位の慣性M、粘性BおよびスティフネスKが含まれる。
そして、本発明の他の一態様にかかる筋骨格系機構制御装置は、生体の所定の運動に関与する筋肉の活動電位による筋電信号を測定する筋電信号測定部と、前記所定の運動を行う生体部位に生じる力を所定の第1関数τで表した筋骨格系モデルを記憶するモデル記憶部と、前記筋電信号測定部で測定した筋電信号に基づいて、前記筋骨格系モデルを用いることによって、前記所定の運動を行うように前記生体部位を模した機構である筋骨格系機構部を制御する制御信号を生成する制御信号生成部とを備え、前記筋骨格系モデルは、1つの関節を含む生体部位に生じる力を所定の第1関数τで表したものであり、前記筋骨格系モデルにおける所定の第1関数は、前記生体部位のインピーダンスである関節スティフネスK、前記所定の運動における運動終端での平衡位置θeqおよび前記所定の運動における現在の位置θを第1パラメータとして含んで後述の式Aによって表され、前記生体部位のインピーダンスおよび前記運動終端での平衡位置は、筋電信号に基づく第2パラメータを共通に含む所定の第2および第3関数K、θeqによってそれぞれ表され、前記所定の第2関数Kは、前記筋肉iの弾性係数をk とし、前記筋肉iのモーメントアームをa とし、前記筋肉iの筋電信号に基づく第2パラメータをu とする場合に、前記弾性係数k 、前記モーメントアームa および前記第2パラメータu を用いた関数であり前記所定の第3関数θeqは、前記筋肉iの長さをl とする場合に、後述の式Cによって表され前記モデル記憶部に記憶される前記筋骨格系モデルは、予め、前記筋電信号測定部で測定した筋電信号および前記所定の運動に関与する筋肉によって生じる力を測定する力測定部で測定した力に基づいて前記弾性係数k 、前記長さl および前記モーメントアームa を決定して前記第2および第3関数K、θeqをそれぞれ作成することによって、作成されたものであり、前記制御信号生成部は、前記筋電信号測定部で測定した筋電信号に基づいて前記第2および第3関数K、θeqをそれぞれ用いることによって、前記所定の運動を行う生体部位におけるインピーダンスである関節スティフネスKおよび前記所定の運動における運動終端での平衡位置θeqを求め、求めた前記インピーダンスである関節スティフネスKおよび前記運動終端での平衡位置θeqに基づいて、前記筋骨格系モデルである第1関数τを用いることによって、前記制御信号を生成することを特徴とする。
また、好ましくは、上述の筋骨格系機構制御装置において、前記制御信号生成部は、前記制御信号を生成する際に、求めた前記インピーダンスである関節スティフネスKを所定の定数で定数倍した後に、前記制御信号を生成することを特徴とする。
そして、本発明の他の一態様にかかる筋骨格系機構システムは、所定の運動を行う生体部位を模した機構である筋骨格系機構部と、前記筋骨格系機構部を制御するための筋骨格系機構制御部とを備え、前記筋骨格系機構制御部は、これら上述の筋骨格系機構制御装置の何れかであることを特徴とする。
このような構成の筋骨格系機構制御装置および筋骨格系機構システムでは、所定の運動を行う生体部位に生じる力を所定の第1関数で表した筋骨格系モデルは、前記生体部位のインピーダンス、前記運動終端での平衡位置および前記現在の位置という比較的少ない第1パラメータを含んで構築されており、しかも、これら生体部位のインピーダンスおよび運動終端での平衡位置が筋電信号に基づく共通な第2パラメータを含む第2および第3関数でそれぞれ表されている。そして、所定の運動に関与する筋肉に係わる筋電信号および力を測定することによって、これら第2および第3関数がそれぞれ作成され、これら作成された第2および第3関数を用いることによって、筋骨格系モデルの第1関数が予め作成され、記憶部に記憶される。したがって、このような構成の筋骨格系機構制御装置および筋骨格系機構システムは、筋電信号を測定するだけで制御信号生成部によって制御信号を生成することができ、より安定的に、略リアルタイムで筋骨格系機構部を制御することが可能となる。しかも、筋骨格系モデルに生体部位のインピーダンスが含まれるので、筋骨格系機構部は、生体の運動をその硬さ(スティフネス)も含めてより適切に模倣するように制御される。
特に、制御信号を生成する際に、筋電信号測定部で測定した筋電信号に基づいて求めたインピーダンスを予め設定された所定の定数で定数倍した後に、前記制御信号を生成することによって、生体の所定の運動によって生じるインピーダンスと定数倍で異なるインピーダンスで筋骨格系機構部を制御することが可能となる。したがって、筋骨格系機構部を前記所定の運動を行う生体部位に装着する場合に、筋骨格系機構部は、前記生体部位の運動を補助(アシスト)することが可能となる。
本発明にかかる筋骨格系モデル作成装置および筋骨格系モデル作成方法は、筋骨格系モデルをより簡易に作成することができる。そして、本発明にかかる筋骨格系機構制御装置および筋骨格系機構システムは、より安定的に、略リアルタイムで筋骨格系機構を制御することが可能となる。
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(実施形態の構成)
図1は、実施形態における筋骨格系機構システムの構成を示すブロック図である。筋骨格系機構システムSは、生体における所定の運動に追従するように、所定の運動を行う生体部位を模した機構である筋骨格系機構部を制御する装置である。図1に示す筋骨格系機構システムSは、所定の運動を行う生体部位に生じる力を所定の第1関数で表した筋骨格系モデルを作成する筋骨格系モデル作成装置を含むとともに、筋骨格系機構部を制御するための筋骨格系機構制御装置を含み、例えば、筋電信号測定部1と、演算処理部2と、筋骨格系機構部3と、力覚センサ4と、記憶部5と、入出力部6とを備えて構成される。
筋電信号測定部1は、生体の所定の運動に関与する筋肉の活動電位による筋電信号を測定する回路である。筋電信号測定部1は、本実施形態では、筋電信号を測定するとともに、さらに、この測定した筋電信号を、生体の筋肉が発揮する張力の大きさと対応付けられた擬似張力に変換する。このため、筋骨格系機構制御装置によって制御される筋骨格系機構部3は、生体の運動軌跡と略同様の運動軌跡で所定の運動を行うだけでなく、例えばスティフネス等の生体の運動状態と略同様の運動状態で所定の運動を行うことができる。このような筋電信号測定部1は、例えば、表面電極11と、差動増幅器(DIFA)12と、割り算回路(DIV)13と、全波整流器(FWRC)14と、低域通過フィルタ(LPF)15とを備えて構成される。
表面電極11は、前記所定の運動を行う生体部位に装着され、前記所定の運動に関与する筋肉の活動電位を検出するものである。本実施形態では、筋電信号は、皮膚の表面に電極を張り付けることによって活動電位を記録する表面誘導法によって測定される。表面電極11の個数(表面電極11を正負一対の組数で数える場合にはその組数)は、所定の運動に関与する筋肉によって決定される。例えば、後述するように、人の手首関節を1自由度でモデル化する場合には、手先を手のひら方向および手の甲方向に動かすための撓側手根屈筋および尺側手根伸筋の各筋電信号を測定する必要があるために、表面電極11は、2個(2組)である。これに応じてDIFA12、DIV13、FWRC14およびLPF15もそれぞれ2個ずつ用意される。
各筋電信号は、各表面電極11でサンプリング周期2kHzおよび12ビット(bit)でサンプリングされ、DIFA12で所定のレベルまでそれぞれ増幅される。これら増幅された各筋電信号は、それぞれDIV13に入力され、所定の値で割り算される。この所定の値については、後述する。これら割り算された各筋電信号は、FWRC14にそれぞれ入力され、全波整流される。各筋電信号ごとに、この全波整流した信号は、10点ごとに平均され(EGMave )、さらに、式1に基づき5点ごとの移動平均が計算される(EMGma)。このようにして求めた値EMGmaは、平滑筋電信号と呼ばれる。
Figure 0005234542
これら各平滑筋電信号は、それぞれLPF15に入力される。LPF15は、平滑筋電信号を擬似張力に変換して出力する。LPF15の出力信号(擬似張力)は、演算処理部2に出力される。擬似張力は、筋肉が発生する張力に対応する値である。LPF15は、神経インパルスに対する筋収縮の遅れを補正するための2次系のフィルタであり、その遮断周波数は、擬似張力と筋肉が実際に発生している張力との対応を正確にする観点から、数Hz、より好ましくは2Hz〜3Hzに設定される。本実施形態では、3Hzに設定された。
随意運動では、上位の中枢から伝達されるインパルスが脊髄のα運動ニューロンを介して筋肉に伝達され、活動電位が発生して筋肉が収縮し、関節にトルクを生じさせて所定の運動が起こる。筋電信号を低域通過フィルタで変換した出力信号である擬似張力は、α運動ニューロンの発火頻度を反映していると期待されるため、筋肉が実際に生じている張力にほぼ等しいと考えられる。
筋骨格系機構部3は、演算処理部2に接続され、生体における、所定の運動を行う部位(生体部位)を模した機構(機構体)である。筋骨格系機構部3は、例えば、所定の運動に関与する筋肉と前記筋肉に接続される骨とを模した機構である。
力覚センサ4は、演算処理部2に接続され、正規化基準値の決定や筋骨格系モデルの作成等のために用いられ、前記所定の運動に関与する筋肉によって生じる力を測定する装置である。力覚センサ4には、例えば、6軸力覚センサが使用される。6軸力覚センサは、棒状の握部が基部に固定的に突設され、握部の底部に備えられた圧電素子によって握部に加えられた力が検出される。
記憶部5は、演算処理部2に接続され、揮発性のメモリ素子であるRAM(Random Access memory)や、不揮発性のメモリ素子であるROM(Read Only Memory)等を備えて構成される。記憶部5は、筋骨格系モデルを作成する筋骨格系モデル作成プログラム、筋骨格系機構部3を制御する制御信号を生成する制御信号生成プログラムおよび各部を制御するための制御プログラム等の各種のプログラム、これらプログラム実行中の各種値、各部の出力等を格納する。
入出力部6は、演算処理部2に接続され、演算処理部2に与える各種コマンドやデータ等を入力するとともに、筋電信号測定部1の出力信号(擬似張力)、筋骨格系モデルおよび筋骨格系機構部3への制御信号等を出力する装置であり、例えば、キーボードおよびマウス等の入力機器や、CRT、LCDおよび有機EL等の表示機器である。
演算処理部2は、例えば、マイクロプロセッサおよびその周辺回路を備えて構成され、各種プログラムに従ってデータを演算処理し、筋骨格系機構システムS全体を制御する回路である。そして、演算処理部2は、機能的に、モデル作成部21および制御信号生成部22を備えている。
モデル作成部21は、筋電信号測定部1で測定した筋電信号および力覚センサ4で測定した力に基づいて筋骨格系モデルを作成するものである。筋骨格系モデルは、所定の運動を行う生体部位を所定の第1関数で模したモデルであり、所定の運動を行う生体部位に生じる力を所定の第1関数で表したものである。この所定の運動に関与する筋肉の筋収縮は、等張性収縮(動的収縮)、等速性収縮および等尺性収縮(静的収縮)のいずれの態様であってもよい。この所定の第1関数は、生体部位のインピーダンス、所定の運動における運動終端での平衡位置および所定の運動における現在の位置を第1パラメータとして含んで表される。そして、生体部位のインピーダンスおよび運動終端での平衡位置は、筋電信号に基づく第2パラメータを共通に含む所定の第2および第3関数で表したものである。これら所定の第1ないし第3関数については、後述する。モデル作成部21は、例えば、機能的に、所定の運動を行う生体部位におけるインピーダンスを所定の第2関数で表したインピーダンスモデルを作成するインピーダンスモデル作成部211と、所定の運動における運動終端での平衡位置を所定の第3関数で表した平衡位置モデルを作成する平衡位置モデル作成部212とを備えて構成され、筋電信号測定部1で測定した筋電信号および力覚センサ4で測定した力に基づいて、これらインピーダンスモデル作成部211および平衡位置モデル作成部212で第2および第3関数をそれぞれ作成することによって、第1関数の筋骨格系モデルを作成する。モデル作成部21は、この作成した第1関数で表した筋骨格系モデルを記憶部5に記憶する。なお、この作成した筋骨格系モデルは、演算処理部2の内部メモリに記憶されてもよい。
制御信号生成部22は、筋電信号測定部1で測定した筋電信号に基づいて、予め作成された(パラメータの決定された)筋骨格系モデルを用いることによって、筋骨格系機構部3を制御する制御信号を生成するものである。制御信号生成部22は、筋電信号測定部1で測定した筋電信号に基づいて第2および第3関数をそれぞれ用いることによって、所定の運動を行う生体部位におけるインピーダンスおよび所定の運動における運動終端での平衡位置を求め、これら求めたインピーダンスおよび運動終端での平衡位置に基づいて、筋骨格系モデルを用いることによって、制御信号を生成するものである。
このような構成に筋骨格系システムSでは、筋電信号測定部1、演算処理部2の主にモデル作成部21および力覚センサ4が筋骨格系モデル作成装置として機能し、筋電信号測定部1、演算処理部2の主に制御信号生成部22、および、記憶部5あるいは演算処理部2の内部メモリが筋骨格系機構制御装置として機能する。
なお、筋骨格系機構システムSは、さらに必要に応じて外部記憶装置および/または位置測定装置を備えてもよい。
外部記憶装置(不図示)は、演算処理部2に接続され、フレキシブルディスク、CD−R(Compact Disc Recordable)およびDVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)等の記憶媒体とデータを読み書きする補助記憶装置であり、例えば、フレキシブルディスクドライブ、CD−RドライブおよびDVD−Rドライブ等である。記憶部5に筋骨格系モデル作成プログラムや制御信号生成プログラム等の各種のプログラム、および、必要なデータ等が格納されていない場合には、これらを記録した記録媒体を外部記憶装置を介して記憶部5へ読み込むように、筋骨格系システムSが構成されてもよい。
位置測定装置(不図示)は、演算処理部2に接続され、所定の運動を行う生体部分における各位置を所定のサンプリング周期で測定する機器であり、例えば、3次元位置計測装置OPTOTRAK(Northern Digital Inc.)である。このOPTOTRAKは、位置を計測しようとする箇所に赤外線マーカを貼付し、赤外線マーカから放射される赤外線を3つのカメラで検出することにより、高精度、高サンプリングレートで位置を計測する装置である。このような位置測定装置は、筋骨格系モデルを作成する場合に、好適に用いられる。
次に、本実施形態の動作について説明する。
(実施形態の動作)
本実施形態における筋骨格系機構システムSでは、初期設定として、第1に、正規化基準値が測定され、筋電信号測定部1から出力される擬似張力の或るレベルが実際の筋肉の張力のいずれのレベルに対応するかが関係付けられる。第2に、関節角度θを所定値で一定に保ちながら、筋電信号およびその場合の力が測定され、それら測定結果から後述の各式におけるパラメータが決定され、筋骨格系モデルが作成される。そして、これらの初期設定が終わると、筋骨格系機構システムSの実際の運用が行われ、筋骨格系機構部3が生体部位の運動と略同様に運動される。
<<初期設定1:正規化基準値の測定>>
動物の運動は、運動神経に支配される筋肉の収縮によって生じ、多くの骨格筋の協調によって行われる。運動神経は、多数の運動神経繊維の束からなり、個々の運動神経繊維は、数本から100本以上の筋繊維を支配している。1本の運動神経繊維の支配下にある筋繊維は、神経繊維のインパルスにより同時に活動電位を発生して収縮するので、骨格筋の運動の単位と見なすことができ、運動単位と呼ばれる。骨格筋が生体内にある状態でその活動電位を示すものに筋電信号がある。筋電信号は、筋肉が全く弛緩している場合では活動電位は全く記録されず、運動神経のインパルスにより筋肉の収縮が起こると活動電位があらわれ記録される。活動電位の頻度は、収縮が強くなるにつれて増大するが、これは、単一の運動単位に伝えられる神経インパルス頻度の増大や、収縮にあずかる運動単位の数の増加によるものである。このような筋電信号は、観察される電極の電位と筋肉の張力のレベルとに直接的な対応関係がない。すなわち、筋電信号から得られる擬似張力においても、擬似張力のレベルと筋肉の張力のレベルとの間に直接的な対応関係はない。そのため、擬似張力の或るレベルが筋肉の張力のいずれのレベルに対応するかを関係付けるために、正規化基準値の計測を行い、この結果によって、DIV13における所定の値を決定する必要がある。
正規化方法は、例えば、最大随意収縮力を1として相対的に正規化する方法がある。また、例えば、正規化方法は、被験者に所定の力を発生させ、その場合の擬似張力の最大値を1として正規化する方法がある。より具体的には、第1ステップとして、生体部位に所定の力を発生させ、この場合における各筋肉の筋電信号が表面電極11によって計測される。第2ステップとして、各筋肉ごとに擬似張力の最大値が求められる。この最大値が、各筋肉ごとに求められた、各筋肉の筋電信号を正規化するための正規化基準値となる(例えば、前記特許文献2参照)。
正規化基準値が求められると、この正規化基準値に応じてDIV13における前記所定の値が決定される。
<<初期設定2:筋骨格系モデルの作成>>
生体は、運動の観点から観察すると、筋肉と前記筋肉に接続される骨とから構成され、骨と骨とが関節によって連結されることで、所定の方向に1自由度を持った運動が可能となっている。そのため、運動の1つの基本単位となる、1つの関節を含む生体部位がモデル化された。
図2は、1つの関節を含む生体部位をモデル化した、第1の筋骨格系モデルを説明するための図である。図3は、1つの関節を含む生体部位をモデル化した、第2の筋骨格系モデルを説明するための図である。
1つの関節を含む生体部位は、図2に示すように、第1骨31が関節33を介して第2骨32に連結されており、関節33が1つのバネ(弾性体)と仮定すると、前記生体部位を関数で模した筋骨格系モデルは、関節33周りのトルクτに関し、式Aによって表される。
Figure 0005234542
ここで、Kは、関節スティフネスであり、θは、所定の運動における現在の位置であり、そして、θeqは、所定の運動における運動終端での平衡位置である。運動終端での平衡位置θeqは、現在の位置θから前記所定の運動を行うことによって到達される到達位置である。
一方、この関節スティフネスKの下での関節33周りのトルクτは、前記所定の運動に関与する筋肉によって生じる。すなわち、図3に示すように、このトルクτは、関節33における屈筋(FCR)および伸筋(ECU)によって生じる。筋肉i(屈筋i=0、伸筋i=1)の弾性係数kは、簡単化のために、運動指令uに線形な関数と仮定すると、k=k0i+k1iと近似される。k0iは、弾性係数kを線形近似した場合の定数項であり、k1iは、1次項の係数である。筋肉iの長さlは、筋肉iのモーメントアームをaとすると、l=l0i+l1i−aθと表される。l0iは、定数項であり、l1iは、1次項の係数である。ここで、a>0、a<0とした。したがって、前記生体部位を関数で模した筋骨格系モデルは、関節33周りのトルクτに関し、式A’(式A’−1、式A’−2)によって表される。
Figure 0005234542
これら式Aと式A’−2とを比較することによって、関節スティフネスKは、式Bとなり、運動終端での平衡位置θeqは、式Cとなる。
Figure 0005234542
Figure 0005234542
したがって、上述したように、関節角度θを所定値で一定に保ちながら、筋電信号およびその場合の力が筋電信号測定部5および力覚センサ4によって測定され、それら測定結果を式A’、式Bおよび式Cに用いることによって、各パラメータk、l、aが決定され、前記生体部位に生じる力τを式A、式Bおよび式Cによって表した筋骨格系モデルが作成される。ここで、本実施形態では、式Aが所定の第1関数の一例であり、式Bが所定の第2関数の一例であり、そして、式Cが所定の第3関数の一例である。
筋骨格系モデルの作成に当たって、まず、第1に、表面電極11がユーザに装着されるとともに、力覚センサ4がユーザにおける生体部位によって生じる力を測定することができるようにセットとされる。第2に、生体部位の姿勢を所定の姿勢で一定に保ちながら、筋電信号測定部1によって筋電信号が測定されるとともに、その場合の力が力覚センサ4によって測定される。例えば、筋骨格系モデルが1つの関節を含む生体部位である場合には、関節角度θを所定値で一定に保ちながら、筋電信号測定部1によって筋電信号が測定されるとともに、その場合の力が力覚センサ4によって測定される。
これら筋電信号の測定とその場合の力の測定とによって、筋電信号測定部1の出力信号と力覚センサ4の出力信号とが得られると、第3に、これら筋電信号測定部1の出力信号と力覚センサ4の出力信号とに基づいて、インピーダンスモデル作成部211では、第2関数が作成され、平衡位置モデル作成部212では、第3関数が作成される。この結果、モデル作成部21によって、第1関数の筋骨格系モデルが作成される。例えば、筋骨格系モデルが1つの関節を含む生体部位である場合には、インピーダンスモデル作成部211および平衡位置モデル作成部212では、これら筋電信号測定部1の出力信号と力覚センサ4の出力信号とを、式A’、式Bおよび式Cに用いることによって、各パラメータk、l、aが決定され、第2および第3関数が作成される。すなわち、第2関数Kは、運動指令uの関数として表され、第3関数θeqも運動指令uの関数として表される。この結果、前記生体部位をモデル化した筋骨格系モデルの第1関数は、運動指令uの関数として表される。なお、現在の位置θは、筋骨格系機構部3から所定のセンサによって検出される。運動指令uは、筋電信号に基づく第2パラメータである。
そして、第4に、このように作成された筋骨格系モデル(第1関数)は、記憶部5や演算処理部2の内部メモリに記憶される。
ここで、上記推定手法の精度を調べた。或る1人の被験者に対し、上述の手法によって、筋骨格系モデル、ここでは、手首関節の生体部位をモデル化した筋骨格系モデルの各パラメータk、l、aを求めた後に、運動中の筋電信号に基づいて元の運動の情報を求めた。この結果を図4および図5に示す。
図4は、平衡位置とフィルタ処理後の筋電信号とを示すグラフである。図4(A)は、平衡位置(equilibrium point)を示し、破線が実測であり、そして、実線が式Cから求めた計算値である。図4(A)の横軸は、秒(second)単位で表す測定開始からの経過時間であり、その縦軸は、度(degree)単位で表す平衡位置である。図4(B)は、フィルタ処理後の筋電信号(Filtered EMG、正規化前の擬似張力)を示し、破線が屈筋(FCR、flexor carpi radialis)の場合であり、そして、実線が伸筋(ECU、extensor carpi ulnaris)の場合である。図4(B)の横軸は、秒単位で表す測定開始からの経過時間であり、その縦軸は、フィルタ処理後の筋電信号のレベルである。
図5は、トルクとフィルタ処理後の筋電信号とを示すグラフである。図5(A)は、トルク(torque)を示し、破線が実測であり、そして、実線が式Aから求めた計算値である。図5(A)の横軸は、秒単位で表す測定開始からの経過時間であり、その縦軸は、Nm単位で表すトルクのレベルである。図5(B)は、フィルタ処理後の筋電信号を示し、破線が屈筋の場合であり、そして、実線が伸筋の場合である。図5(B)の横軸は、秒単位で表す測定開始からの経過時間であり、その縦軸は、フィルタ処理後の筋電信号のレベルである。
手首関節に関与する屈筋および伸筋のフィルタ処理後の各筋電信号(FCR、ECU)は、時間経過に伴って図4(B)に示すように変化し、これに伴って手首関節の平衡位置は、図4(A)で破線に示すように変化している。この場合に、図4(B)に示す各筋電信号から式Cを用いて計算した手首関節の平衡位置は、図4(A)で実線で示す値となり、この計算値(実線)は、実測値(破線)と略同様に変化し、実測値(破線)に略一致している。
このことから、所定の運動を行う生体部位における、この例では手首関節を含む生体部位における運動終端での平衡位置θeqが式Cによって好適にモデル化されていることが、理解される。
なお、図4(B)において、各筋電信号(FCR、ECU)のいずれか一方のレベルが大きい場合には、手首関節の関節スティフネスKが小さく、手首関節が比較的柔らかい場合であり、そして、各筋電信号(FCR、ECU)が略同様のレベルである場合には、手首関節の関節スティフネスKが大きく、手首関節が比較的硬い場合である。
また、手首関節に関与する屈筋および伸筋のフィルタ処理後の各筋電信号(FCR、ECU)は、時間経過に伴って図5(B)に示すように変化し、これに伴って手首関節のトルクτは、図5(A)で破線に示すように変化している。この場合に、図5(B)に示す各筋電信号から式Aを用いて計算した手首関節のトルクτは、図5(A)で実線で示す値となり、この計算値(実線)は、実測値(破線)と略同様に変化し、実測値(破線)に略一致している。
このことから、所定の運動を行う生体部位における、この例では手首関節を含む生体部位におけるトルクτが式Aによって好適にモデル化されていることが、理解される。すなわち、式Aの筋骨格系モデルは、所定の運動を行う生体部位、この例では手首関節を含む生体部位を好適に模していることが、理解される。
なお、図4および図5に示すデータ全体における実測値と計算値との間の相関係数は、平衡位置θeqの場合は、0.82であり、手首関節のトルクτの場合は、0.81であった。
このように筋骨格系機構システムSでは、筋骨格系モデル作成装置およびその方法の点において、所定の運動を行う生体部位に生じる力を所定の第1関数で表した筋骨格系モデルは、生体部位のインピーダンス、運動終端での平衡位置および現在の位置という比較的少ない第1パラメータを含んで構築されており、しかも、これら生体部位のインピーダンスおよび運動終端での平衡位置が筋電信号に基づく共通な第2パラメータを含む第2および第3関数でそれぞれ表されている。このため、所定の運動に関与する筋肉に係わる筋電信号および力を測定することによって、これら第2および第3関数をそれぞれ作成することができ、ひいては、筋骨格系モデルの第1関数を作成することが可能となる。このように比較的少ない第1パラメータで筋骨格系モデルが構築され、しかも筋電信号および力を測定することによって、筋骨格系モデルが作成されるため、より安定的に筋骨格系モデルを作成することができ、また、神経回路モデルのように学習の必要がないので、迅速に筋骨格系モデルを作成することができる。したがって、このように筋骨格系機構システムSは、筋骨格系モデル作成装置およびその方法の点において、筋骨格系モデルをより簡易に作成することができる。しかも、筋骨格系モデルに生体部位のインピーダンスが含まれるので、筋骨格系モデルは、生体の運動をその硬さ(スティフネス)も含めてより適切に模倣することができる。
<<筋骨格系機構システムSの実際の運用>>
これらの初期設定が終わると、筋骨格系機構システムSの実際の運用が行われる。すなわち、所定の運動に関与する筋肉の筋電信号を検出することができるように、ユーザに表面電極11が装着される。
ユーザの運動に追従するように筋骨格系機構部3を運動させる場合には、筋骨格系機構部3は、ユーザとは別に配置される。一方、ユーザの運動を補助(アシスト)するように筋骨格系機構部3が利用される場合には、筋骨格系機構部3は、前記所定の運動を行う、ユーザの生体部位に装着される。
そして、ユーザが所定の運動を行って、筋電信号測定部1によって筋電信号が測定されると、制御信号生成部22は、この筋電信号測定部1で測定した筋電信号に基づいて、予め作成された筋骨格系モデルを用いることによって、前記所定の運動を行うように筋骨格系機構部3を制御する制御信号を生成する。より具体的には、制御信号生成部22は、この筋電信号測定部1で測定した筋電信号に基づいて、予め作成したインピーダンスモデルの第2関数を用いることによって生体部位のインピーダンスを演算するとともに、予め作成した平衡位置モデルの第3関数を用いることによって運動終端での平衡位置を演算する。そして、制御信号生成部22は、これら求めた生体部位のインピーダンスおよび運動終端での平衡位置、さらに現在の位置に基づいて、予め作成された筋骨格系モデルを用いることによって、前記所定の運動を行うように筋骨格系機構部3を制御する制御信号を生成する。例えば、筋骨格系機構部3が1つの関節を含む生体部位を模した機構である場合には、制御信号生成部22は、この筋電信号測定部1で測定した筋電信号に基づいて、予め作成した関節スティフネスKの式Bを用いることによって関節スティフネスKを演算するとともに、予め作成した運動終端での平衡位置θeqの式Cを用いることによって運動終端での平衡位置θeqを演算する。そして、制御信号生成部22は、これら求めた関節スティフネスKおよび運動終端での平衡位置θeq、さらに現在の位置θに基づいて、予め作成された筋骨格系モデルの式Aを用いることによって生体部位に生じるトルクτを演算し、関節スティフネスKの運動状態の下でこのトルクτを生じるように筋骨格系機構部3を制御する制御信号を生成する。
この制御信号が筋骨格系機構部3に入力されると、筋骨格系機構部3は、この制御信号に基づいて、ユーザの運動に追従するように運動する。
このように筋骨格系機構システムSでは、筋骨格系機構制御装置および筋骨格系機構システムSの点において、所定の運動を行う生体部位に生じる力を所定の第1関数で表した筋骨格系モデルは、生体部位のインピーダンス、運動終端での平衡位置および現在の位置という比較的少ない第1パラメータを含んで構築されており、しかも、これら生体部位のインピーダンスおよび運動終端での平衡位置が筋電信号に基づく共通な第2パラメータを含む第2および第3関数でそれぞれ表されている。そして、所定の運動に関与する筋肉に係わる筋電信号および力を測定することによって、これら第2および第3関数がそれぞれ作成され、これら作成された第2および第3関数を用いることによって、筋骨格系モデルの第1関数が予め作成され、記憶部に記憶される。したがって、このような筋骨格系機構システムSは、筋骨格系機構制御装置および筋骨格系機構システムSの点において、筋電信号を測定するだけで制御信号生成部22によって制御信号を生成することができ、より安定的に、略リアルタイムで筋骨格系機構部3を制御することが可能となる。しかも、筋骨格系モデルに生体部位のインピーダンスが含まれるので、筋骨格系機構部3は、生体の運動をその硬さ(スティフネス)も含めてより適切に模倣するように制御される。
なお、上述の実施形態において、制御信号生成部22は、制御信号を生成する際に、求めたインピーダンスを所定の定数C(0<C、C=1も含む)で定数倍した後に、制御信号を生成するように構成されてもよい。このように制御信号生成部22を構成するkとによって、生体の所定の運動によって生じるインピーダンスと定数倍で異なるインピーダンスで筋骨格系機構部3を制御することが可能となる。したがって、筋骨格系機構部3をユーザにおける所定の運動を行う生体部位に装着する場合に、筋骨格系機構部3は、この生体部位の運動を補助(アシスト)することが可能となる。特に、高齢化社会では、介護に相当な力を要するヘルパーや、身体の不自由な高齢者にとって、このような筋骨格系機構システムSは、パワーアシスト装置として有益である。
また、上述の実施形態では、筋電信号は、表面誘導法によって測定されたが、これに限定されるものではない。活動電位を計測できる方法であれば、何でもよい。例えば、筋電信号は、針電極法によって測定されてもよい。針電極法は、針状の電極を筋肉に刺入して筋肉局部の活動電位を記録する方法である。
次に、実施例およびその実測結果について説明する。
(実施例)
筋骨格系機構部3の一例として手首関節の生体部位を模した機構(手首関節機構部3A)が作成された。図6および図7は、筋骨格系機構部3の一実施例を示す斜視図であり、図6は、右後方から見た斜視図であり、図7は、左前方から見た斜視図である。
手首関節機構部3Aは、動力源の出力軸が手首関節そのものとなるように、生体の手首関節位置に装着可能に構成されてもよいが、一般に、動力源が重量物であるため、生体の手首関節位置に装着されると、この装着された手首関節機構部3Aの重量を支える腕に、特に肘関節に相当の負担がかかる。このため、本実施例の手首関節機構部3Aは、肘関節近傍位置に動力源が配置されるように、以下のように、構成されている。
図6および図7において、手首関節を模した手首関節機構部3Aは、第1および第2装着部材41、42と、動力源43と、第1ないし第3アーム部材44、45、46と、スペーサ部材47と、連結部材48と、1組の第1締結部材49−1、49−2と、第1および第2軸部材50、51と、1組の第2締結部材52−1、52−2と、面ファスナ53とを備えて構成されている。
第1および第2装着部材41、42は、手首関節機構部3Aを、生体における所定の運動を行う生体部位に装着するための部材である。第1装着部材41は、前腕を包み込むことが可能なように、一方端から他方端へ向かって徐々に径が小さくなる、やや扁平な略円筒形状に形成されている。そして、第1装着部材41は、一方端へ手先から前腕を入れ、他方端へ手先が抜けられるように、他方端が斜めにカットされている。第1装着部材41の内面には、面ファスナ53が貼着されており、この面ファスナ53によって表面電極11が固定され、筋肉の活動電位が表面電極11によって安定的に検出可能とされている。第2装着部材42は、手のひらおよびそのひらに対向する手の甲で手を包み込むことが可能なように、短高で扁平な略円筒形状に形成されている。そして、第2装着部材42は、手に第2装着部材42を装着した場合に、親指の運動を妨げないように、略半円形の欠部42aが形成されている。これら第1および第2装着部材41、42は、例えば、硬質プラスチックによって形成されている。そして、第1装着部材41と第2装着部材42とは、第1装着部材41の延長方向に直交する軸回りに回転可能に連結部材48によって連結されている。これによって第2装着部材42が第1装着部材41に対し所定の角度範囲で回転可能となり、手首関節機構部3Aは、屈曲および伸展の1自由度を持つ。
動力源43は、第1装着部材41に対し第2装着部材42を回転駆動するための駆動力を発生するアクチュエータであり、制御信号生成部22からの制御信号によって駆動制御される。動力源43には、その出力回転中心を外した所定位置に所定寸法の第1アーム部材44の一方端部が固定されており、動力源43は、第1アーム部材44が運動可能な空間を空けて、一方端寄りの第1装着部材41の一方側部に、1組の第1締結部材49−1、49−2によって固定される。第1締結部材49−1、49−2は、所定長さのボルトを備えて構成されている。動力源43が1組の第1締結部材49−1、49−2を介して固定される第1装着部材41の前記一方側部の内面には、第1装着部材41の強度を補強するために、金属板41aが設けられている。
動力源43は、例えば、ステッピングモータや超音波モータ等のアクチュエータであり、本実施例では、静音であってその体積に比して高トルクを出力することができることから、超音波モータが用いられる。また、この超音波モータ43は、ロータリエンコーダを備えており、回転角度θ、すなわち、現在の位置θを測定することができるようになっている。超音波モータ43は、その入力信号(制御信号)の位相差が出力トルクと略線形な関係にあり、制御信号生成部22は、筋骨格系モデルの第1関数(式A)から求めたトルクτとなるような位相差を制御信号として超音波モータ43へ出力する。なお、位相差は、±90度の範囲しかとることができないので、この求めた位相差がこの範囲を超えた場合には、絶対値を90度とした制御信号が超音波モータ43へ出力される。本実施例では、制御信号生成部22は、制御信号を約30Hzで出力し続ける。
第1アーム部材44の他方端には、第1軸部材50を介して、回転可能に第2アーム部材45の一方端が連結され、第2アーム部材45の他方端には、スペーサ部材47を挿通した第2軸部材51を介して、回転可能に第3アーム部材46の一方端が連結されている。そして、第3アーム部材46の他方端は、第2装着部材42の一方側部に、1組の第2締結部材52−1、52−2によって固定される。第1ないし第3アーム部材44、45、46は、それぞれ、その機能に合わせた所定寸法を持った金属材料体で構成されており、第1および第2アーム部材44、45は、それぞれ、所定の強度となるように角柱形状に形成され、そして、第3アーム部材46は、所定の強度となるように断面L字状の板形状に形成されている。スペーサ部材47は、第1装着部材41が上述したように先窄み状に形成されているために、第1装着部材41の一方端と他方端とにおける径方向の寸法の相違を吸収するために設けられている。第2締結部材52−1、52−2は、所定長さのボルトを備えて構成されている。
このような構成の手首関節機構部3Aでは、超音波モータ43が回転すると、その回転中心から外れた位置に固定されている第1アーム部材44の一方端がその回転中心から所定半径で回転する。そうすると、第1アーム部材44の他方端は、第2および第3アーム部材45、46を介して第2装着部材42に固定されているために、第1装着部材41の延長方向に長軸を持ち上下方向に短軸を持った楕円運動を行う。この楕円運動が第2アーム部材45を介して第3アーム部材46の一方端に伝達され、第3アーム部材46の他方端に1組の第2締結部材52−1、52−2を介して固定されている第2装着部材42は、連結部材48を介して回転可能に第1装着部材41に連結されているために、前記楕円運動に基づいて前記屈曲および伸展の運動を行う。
なお、手首関節機構部3Aは、基本的に、ユーザに装着された際に、手首に負荷がかかっていない場合には手首動作に追従する一方、手首に負荷がかかっている場合には手首と略同じトルクτを出力するように、調整された。
この手首関節機構部3Aをユーザに装着せずに、表面電極11のみをユーザに装着した状態で、このような構成の手首関節機構部3Aが、ユーザの手首の運動(動作)にどの程度追従することができるかを調べた。その結果を図8に示す。
図8は、手首関節機構部における実際の動作状態を示すグラフである。図8(A)および(B)は、平衡位置を示し、一点鎖線が関節角度の実測値であり、実線が平衡位置の実測値であり、粗い破線は、関節スティフネスKを1倍とした場合における手首関節機構部3Aの関節角度の計算値であり、細かい破線は、関節スティフネスKを1/3倍とした場合における手首関節機構部3Aの関節角度の計算値である。図8(A)および(B)の横軸は、秒単位で表す測定開始からの経過時間であり、その縦軸は、度単位で表す関節角度または平衡位置である。図8(C)は、関節スティフネスKの計算値を示し、実線は、関節スティフネスKの場合であり、破線は、その1/3の場合である。図8(C)の横軸は、秒単位で表す測定開始からの経過時間であり、その縦軸は、関節スティフネスKのレベルである。そして、図8(D)は、フィルタ処理後の筋電信号を示し、破線が屈筋(FCR)の場合であり、そして、実線が伸筋(ECU)の場合である。図8(D)の横軸は、秒単位で表す測定開始からの経過時間であり、その縦軸は、フィルタ処理後の筋電信号のレベルである。
手首関節の関節角度(一点鎖線)およびその平衡位置(実線)を図8(A)および(B)のように変化させると、手首関節に関与する屈筋および伸筋のフィルタ処理後の各筋電信号(FCR、ECU)は、時間経過に伴って図8(D)に示すように変化し、これに伴って関節スティフネスKの計算値は、図8(C)のように変化し、そして、手首関節機構部3Aの関節角度は、図8(A)および(B)で粗い破線(関節スティフネスK×1)および細かい破線(関節スティフネスK/3)で示すように変化している。図8から分かるように、手首関節機構部3Aは、ユーザの手首関節の運動と略同様なパターンで運動しており、運動終端において略関節位置を再現することができている。
また、手首関節機構部3Aをユーザに装着して動作させたところ、手首を自由に動かすことができ、そして、物(負荷)を持った場合に、手首関節機構部3Aがアシスト力を発揮してユーザを補助(アシスト)することが確認された。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
実施形態における筋骨格系機構システムの構成を示すブロック図である。 1つの関節を含む生体部位をモデル化した、第1の筋骨格系モデルを説明するための図である。 1つの関節を含む生体部位をモデル化した、第2の筋骨格系モデルを説明するための図である。 平衡位置とフィルタ処理後の筋電信号(正規化前の擬似張力)とを示すグラフである。 トルクとフィルタ処理後の筋電信号(正規化前の擬似張力)とを示すグラフである。 筋骨格系機構部3の一実施例を示す斜視図(その1)である。 筋骨格系機構部3の一実施例を示す斜視図(その2)である。 手首関節機構部における実際の動作状態を示すグラフである。
符号の説明
S 筋骨格系機構システム
1 筋電信号測定部
2 演算処理部
3 筋骨格系機構部
4 力覚センサ
5 記憶部
21 モデル作成部
22 制御信号生成部
211 インピーダンスモデル作成部
212 平衡位置モデル作成部
3A 手首関節機構部
41 第1装着部材
42 第2装着部材
43 動力源
44 第1アーム部材
45 第2アーム部材
46 第3アーム部材
47 スペーサ部材
48 連結部材
49 第1締結部材
50 第1軸部材
51 第2軸部材
52 第2締結部材
53 面ファスナ

Claims (6)

  1. 生体の所定の運動に関与する筋肉の活動電位による筋電信号を測定する筋電信号測定部と、
    前記所定の運動に関与する筋肉によって生じる力を測定する力測定部と、
    前記筋電信号測定部で測定した筋電信号および前記力測定部で測定した力に基づいて、前記所定の運動を行う生体部位に生じる力を所定の第1関数τで表した筋骨格系モデルを作成するモデル作成部とを備え、
    前記筋骨格系モデルは、1つの関節を含む生体部位に生じる力を所定の第1関数τで表したものであり
    前記筋骨格系モデルにおける所定の第1関数τは、前記生体部位のインピーダンスである関節スティフネスK、前記所定の運動における運動終端での平衡位置θeqおよび前記所定の運動における現在の位置θを第1パラメータとして含んで式Aによって表され、
    前記生体部位のインピーダンスおよび前記運動終端での平衡位置は、筋電信号に基づく第2パラメータを共通に含む所定の第2および第3関数K、θeqによってそれぞれ表され、
    前記所定の第2関数Kは、前記筋肉iの弾性係数をk とし、前記筋肉iのモーメントアームをa とし、前記筋肉iの筋電信号に基づく第2パラメータをu とする場合に、前記弾性係数k 、前記モーメントアームa および前記第2パラメータu を用いた関数であり
    前記所定の第3関数θeqは、前記筋肉iの長さをl とする場合に、式Cによって表され
    前記モデル作成部は、前記筋電信号測定部で測定した筋電信号および前記力測定部で測定した力に基づいて前記弾性係数k 、前記長さl および前記モーメントアームa を決定して前記第2および第3関数K、θeqをそれぞれ作成することによって、前記筋骨格系モデルを作成すること
    を特徴とする筋骨格系モデル作成装置。
    Figure 0005234542
    Figure 0005234542
  2. 前記インピーダンスにおける前記所定の第2関数Kは、式Bによって表されること
    を特徴とする請求項1に記載の筋骨格系モデル作成装置。
    Figure 0005234542
  3. 生体の所定の運動に関与する筋肉の活動電位による筋電信号を測定する筋電信号測定工程と、
    前記所定の運動に関与する筋肉によって生じる力を測定する力測定工程と、
    前記筋電信号測定工程で測定した筋電信号および前記力測定工程で測定した力に基づいて、前記所定の運動を行う生体部位に生じる力を所定の第1関数τで表した筋骨格系モデルを作成するモデル作成工程とを備え、
    前記筋骨格系モデルは、1つの関節を含む生体部位に生じる力を所定の第1関数τで表したものであり
    前記筋骨格系モデルにおける所定の第1関数τは、前記生体部位のインピーダンスである関節スティフネスK、前記所定の運動における運動終端での平衡位置θeqおよび前記所定の運動における現在の位置θを第1パラメータとして含んで式Aによって表され、
    前記生体部位のインピーダンスおよび前記運動終端での平衡位置は、筋電信号に基づく第2パラメータを共通に含む所定の第2および第3関数K、θeqによってそれぞれ表され、
    前記所定の第2関数Kは、前記筋肉iの弾性係数をk とし、前記筋肉iのモーメントアームをa とし、前記筋肉iの筋電信号に基づく第2パラメータをu とする場合に、前記弾性係数k 、前記モーメントアームa および前記第2パラメータu を用いた関数であり
    前記所定の第3関数θeqは、前記筋肉iの長さをl とする場合に、式Cによって表され
    前記モデル作成工程は、前記筋電信号測定工程で測定した筋電信号および前記力測定工程で測定した力に基づいて前記弾性係数k 、前記長さl および前記モーメントアームa を決定して前記第2および第3関数K、θeqをそれぞれ作成することによって、前記筋骨格系モデルを作成すること
    を特徴とする筋骨格系モデル作成方法。
    Figure 0005234542
    Figure 0005234542
  4. 生体の所定の運動に関与する筋肉の活動電位による筋電信号を測定する筋電信号測定部と、
    前記所定の運動を行う生体部位に生じる力を所定の第1関数τで表した筋骨格系モデルを記憶するモデル記憶部と、
    前記筋電信号測定部で測定した筋電信号に基づいて、前記筋骨格系モデルを用いることによって、前記所定の運動を行うように前記生体部位を模した機構である筋骨格系機構部を制御する制御信号を生成する制御信号生成部とを備え、
    前記筋骨格系モデルは、1つの関節を含む生体部位に生じる力を所定の第1関数τで表したものであり
    前記筋骨格系モデルにおける所定の第1関数は、前記生体部位のインピーダンスである関節スティフネスK、前記所定の運動における運動終端での平衡位置θeqおよび前記所定の運動における現在の位置θを第1パラメータとして含んで式Aによって表され、
    前記生体部位のインピーダンスおよび前記運動終端での平衡位置は、筋電信号に基づく第2パラメータを共通に含む所定の第2および第3関数K、θeqによってそれぞれ表され、
    前記所定の第2関数Kは、前記筋肉iの弾性係数をk とし、前記筋肉iのモーメントアームをa とし、前記筋肉iの筋電信号に基づく第2パラメータをu とする場合に、前記弾性係数k 、前記モーメントアームa および前記第2パラメータu を用いた関数であり
    前記所定の第3関数θeqは、前記筋肉iの長さをl とする場合に、式Cによって表され
    前記モデル記憶部に記憶される前記筋骨格系モデルは、予め、前記筋電信号測定部で測定した筋電信号および前記所定の運動に関与する筋肉によって生じる力を測定する力測定部で測定した力に基づいて前記弾性係数k 、前記長さl および前記モーメントアームa を決定して前記第2および第3関数K、θeqをそれぞれ作成することによって、作成されたものであり
    前記制御信号生成部は、前記筋電信号測定部で測定した筋電信号に基づいて前記第2および第3関数K、θeqをそれぞれ用いることによって、前記所定の運動を行う生体部位におけるインピーダンスである関節スティフネスKおよび前記所定の運動における運動終端での平衡位置θeqを求め、求めた前記インピーダンスである関節スティフネスKおよび前記運動終端での平衡位置θeqに基づいて、前記筋骨格系モデルである第1関数τを用いることによって、前記制御信号を生成すること
    を特徴とする筋骨格系機構制御装置。
    Figure 0005234542
    Figure 0005234542
  5. 前記制御信号生成部は、前記制御信号を生成する際に、求めた前記インピーダンスである関節スティフネスKを所定の定数で定数倍した後に、前記制御信号を生成すること
    を特徴とする請求項4に記載の筋骨格系機構制御装置。
  6. 所定の運動を行う生体部位を模した機構である筋骨格系機構部と、
    前記筋骨格系機構部を制御するための筋骨格系機構制御部とを備え、
    前記筋骨格系機構制御部は、請求項4または請求項5に記載の筋骨格系機構制御装置であること
    を特徴とする筋骨格系機構システム。
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