JP5234222B2 - 方向性電磁鋼板及びその製造方法 - Google Patents
方向性電磁鋼板及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5234222B2 JP5234222B2 JP2012509491A JP2012509491A JP5234222B2 JP 5234222 B2 JP5234222 B2 JP 5234222B2 JP 2012509491 A JP2012509491 A JP 2012509491A JP 2012509491 A JP2012509491 A JP 2012509491A JP 5234222 B2 JP5234222 B2 JP 5234222B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel sheet
- grain
- oriented electrical
- electrical steel
- groove
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D8/00—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
- C21D8/12—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of articles with special electromagnetic properties
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K26/00—Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring
- B23K26/0006—Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring taking account of the properties of the material involved
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D8/00—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
- C21D8/12—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of articles with special electromagnetic properties
- C21D8/1294—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of articles with special electromagnetic properties involving a localized treatment
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K26/00—Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring
- B23K26/352—Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring for surface treatment
- B23K26/354—Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring for surface treatment by melting
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K26/00—Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring
- B23K26/36—Removing material
- B23K26/362—Laser etching
- B23K26/364—Laser etching for making a groove or trench, e.g. for scribing a break initiation groove
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K26/00—Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring
- B23K26/36—Removing material
- B23K26/40—Removing material taking account of the properties of the material involved
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K2101/00—Articles made by soldering, welding or cutting
- B23K2101/34—Coated articles, e.g. plated or painted; Surface treated articles
- B23K2101/35—Surface treated articles
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K2103/00—Materials to be soldered, welded or cut
- B23K2103/50—Inorganic material, e.g. metals, not provided for in B23K2103/02 – B23K2103/26
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D2201/00—Treatment for obtaining particular effects
- C21D2201/05—Grain orientation
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y10—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
- Y10T—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
- Y10T428/00—Stock material or miscellaneous articles
- Y10T428/12—All metal or with adjacent metals
- Y10T428/12389—All metal or with adjacent metals having variation in thickness
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Optics & Photonics (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Plasma & Fusion (AREA)
- Electromagnetism (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Thermal Sciences (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
- Laser Beam Processing (AREA)
- Soft Magnetic Materials (AREA)
Description
本発明は、巻トランスの鉄芯材料等に用いられる方向性電磁鋼板及びその製造方法に関する。特に、レーザ加工によってその表面に溝を形成して鉄損を低減させた方向性電磁鋼板及びその製造方法に関する。
本願は、2010年4月1日に、日本に出願された特願2010−85457号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2010年4月1日に、日本に出願された特願2010−85457号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
方向性電磁鋼板は、Siを含み、その結晶粒の磁化容易軸(立方晶(100)<001>)がその製造工程における圧延方向に略そろった電磁鋼板である。この方向性電磁鋼板は、圧延方向に磁化が向いた磁区が、磁壁を挟んで複数配列した構造を有し、これら磁壁のうちの多くは、180°磁壁である。この方向性電磁鋼板の磁区は、180°磁区と呼ばれ、方向性電磁鋼板は、圧延方向に磁化し易い。そのため、比較的小さな一定の磁化力において、磁束密度が高く、鉄損が低い。したがって、方向性電磁鋼板は、トランスの鉄芯材料として非常に優れている。鉄損の指標には、一般にW17/50[W/kg]が用いられる。W17/50は、周波数50Hzにおいて最大磁束密度が1.7Tになるように交流励磁したときに、方向性電磁鋼板に発生する鉄損の値である。このW17/50を小さくすると、より効率の高いトランスが製造できる。
通常の方向性電磁鋼板の製造方法を以下に概略的に説明する。所定量のSiを含む熱延された珪素鋼板(熱延板)を、焼鈍及び冷延工程により所望の板厚に調整する。次に、連続式の焼鈍炉にてこの珪素鋼板を焼鈍し、脱炭及び歪み取りを兼ねて一次再結晶(結晶粒径:20〜30μm)を行う。引き続き、主成分としてMgOを含む焼鈍分離材をこの珪素鋼板薄板(以下では、単に鋼板と記すこともある)の表面に塗布して、鋼板をコイル状(外形が円筒状)に巻き取り、約1200℃の高温で20時間程度のバッチ焼鈍を行い、鋼板中に二次再結晶組織を形成させ、鋼板表面上にグラス皮膜を形成させる。
その際、鋼板中に例えばMnSやAlN等のインヒビターを含むため、圧延方向と磁化容易磁区とが一致した、いわゆるゴス粒が優先的に結晶成長する。その結果、仕上げ焼鈍の後に結晶方位性(結晶配向性)が高い方向性電磁鋼板が得られる。仕上げ焼鈍の後、コイルが巻解かれ、別の焼鈍炉内に鋼板を連続通板して平坦化焼鈍を行い、鋼板内の不要な歪みを除去する。さらに、鋼板表面に張力と電気絶縁性とを与えるコーティングが施され、方向性電磁鋼板が製造される。
このような工程を経て製造された方向性電磁鋼板では、追加の処理を行わなくても鉄損が低いが、圧延方向(搬送方向)に略垂直、且つ一定周期(一定間隔)の歪みを付与すると、更に鉄損が低下する。この場合、局所的な歪みによって圧延方向と磁化が直交する90°磁区が形成され、そこでの静磁エネルギーを源にして略長方形の180°磁区の磁壁間隔が狭くなる(180°磁区の幅が小さくなる)。鉄損(W17/50)は、180°磁壁の間隔に正の相関を有するため、この原理によって鉄損が低下する。
例えば、特許文献1に開示されるように、レーザ照射により鋼板に歪みを与える方法が既に実用に供されている。同様に、方向性電磁鋼板の圧延方向に略垂直、且つ一定周期で10〜30μm程度の深さの溝を形成すると、鉄損が低減される。これは、溝の空隙での透磁率の変化により溝周辺に磁極が発生し、この磁極を源に180°磁壁の間隔が狭くなり、鉄損が改善されるためである。溝を形成する方法には、特許文献2に開示されているように電解エッチングを用いて冷延板に溝を形成する方法、特許文献3に開示されるように機械的な歯型を冷延板にプレスする方法、或いは特許文献4に開示されるようにレーザ照射により鋼板(レーザ照射部)を溶融及び蒸発させる方法がある。
ところで、電力トランスには、大別して積トランスと巻トランスとがある。積トランスは、複数の電磁鋼板を積層し固定して製造される。一方、巻トランスの製造工程では、方向性電磁鋼板を巻きながら積層して巻き締めるため、その変形歪み(例えば、曲げによる歪み)を取る焼鈍工程が含まれる。従って、鉄損を改善するために歪みを付与する上述の方法で製造した方向性電磁鋼板は、鉄損改善効果を維持したまま積トランスに使用可能であるが、鉄損改善効果を維持したまま巻トランスに使用することができない。すなわち、巻トランスでは、歪み取り焼鈍により歪みが消失するため鉄損改善効果も消失する。一方、鉄損を改善するために溝を形成する方法で製造した方向性電磁鋼板は、歪み取り焼鈍を行っても鉄損を改善する効果が損なわれないため、積トランス及び巻トランスの両方に使用可能であるという利点を有する。
ここで、溝を形成する方法の従来技術を説明する。電解エッチングによる方法では、例えば二次再結晶後の表面にグラス被膜が形成された鋼板を用い、レーザや機械的方法により表面のグラス被膜を線状に除去し、エッチングにより地鉄が露出した部分に溝を形成する。この方法では、工程が複雑になり製造コストが高くなり、処理速度に限界がある。
機械的な歯型プレスによる方法では、電磁鋼板が約3%のSiを含む非常に硬い鋼板であるため、歯型の摩耗及び損傷が発生しやすい。歯型が摩耗すると溝深さにばらつきが発生するため、鉄損改善効果が不均一になる。
レーザ照射による方法(レーザ法と記す)では、高パワー密度の集光レーザビームにより高速溝加工が可能であるという利点がある。また、レーザ法が非接触加工であるため、レーザパワー等の制御により安定して均一な溝加工を行うことができる。レーザ法においては、効率的に深さ10μm以上の溝を鋼板表面に形成するために、従来種々の試みがなされている。例えば、特許文献4には、高ピークパワーのパルスCO2レーザ(波長9〜11μm)を用いて、2×105W/mm2以上の高いパワー密度(集光点におけるエネルギー密度)を実現し、溝を形成する方法が開示されている。ここで、パルスCO2レーザを使用する方法では、連続するパルス間にレーザ停止時間があるため、高速でレーザビームを鋼板面上に走査する場合、レーザビームの走査線上には、各パルスにより形成される穴(点列)が繋がって溝が形成される。この際、高速のビーム走査においてパルス間の時間間隔が長い場合、点列の間隔が広がり、各穴が分離して鉄損改善効果が激減する。工業的に利用可能な最大パルス周波数は、せいぜい100kHzであり、この場合、パルス時間間隔は、10μsである。例えば、高速処理で要求される30m/sの走査速度では、パルス間の時間間隔の間にビームの走査位置が300μm移動してしまう。点列の各点が空間的に最低限接するためには、集光ビーム径が300μm以上であることが必要である。このため、加工に十分なパワー密度を得るためには、レーザパワーを大きくする必要があり、レーザ装置に技術的な限界がある。特許文献5には、連続波レーザを用いて、レーザビームの集光形状を円形から楕円形に変え、低パワー密度で効率的な溝が形成されることが開示されている。
また、従来では、レーザ光源として比較的高パワーが容易に得られるCO2レーザが用いられているが、CO2レーザの波長は、9〜11μm帯であり、この波長のレーザ光は、加工点(加工位置)で発生する金属蒸気やプラズマにより大きく吸収される。そのため、鋼板表面へのレーザ光の到達パワーが減少して加工効率が低下する。さらに、レーザ光を吸収して加熱及び膨張したプラズマや金属蒸気が二次熱源として作用し、溝の端部(肩部)の周辺を溶融させるため、溶融量が増加して溝の形状(例えば、後述の溶融突起の増大)が悪化する。
上記の従来のレーザビーム照射による溝形成では、鋼板表面でレーザビームが吸収され、鋼板の金属(地鉄)が溶融して細かい溶融液滴が飛散したり、沸点まで加熱された鋼板表面の地鉄が蒸発したりして溝が形成される。鋼板表面の溶融物は、加工点(レーザビーム照射点)における高温の金属蒸気或いはプラズマの圧力により飛散する。溶融物が大量に生じる場合或いは圧力が小さい場合には、溶融物が飛散しきれず、図6に例示するように、形成した溝の周辺部に溶融物が付着して表面突起が発生した。
トランスを成形する際に方向性電磁鋼板が積層及び圧縮されるため、この表面突起が著しく大きくなると、各層の方向性電磁鋼板の地鉄間の電気絶縁性が低下する。また、表面突起が圧縮されると、鋼板に歪み変形が発生するため鉄損を劣化させる問題が発生する。上記した従来技術では、深く効率的に溝を形成することができるが、表面突起を十分に抑制することが難しいという問題があった。
本発明は、上記点に鑑みてなされ、巻トランスの鉄芯材料として積層及び圧縮されても、層間の電気絶縁性の低下及び歪みの増加が抑制され、優れたエネルギー効率(すなわち、低い鉄損、以下では、鉄損特性と記す)を有する方向性電磁鋼板を提供する。また、本発明は、巻トランスの鉄芯材料等に用いられる方向性電磁鋼板について、鋼板の表面にレーザビームを照射して溝を形成する際に、溝周辺部に発生する表面突起の大きさを極力小さくし、且つ高速生産ラインに適した方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)本発明の一態様に係る方向性電磁鋼板の製造方法は、方向性電磁鋼板の表面にレーザビームを走査しながら照射して、前記方向性電磁鋼板の搬送方向と交差する方向に延在する所定の長さの溝を搬送方向に所定の間隔で形成する方向性電磁鋼板の製造方法であって、前記レーザビームは、レーザ波長λが1.0μm以上かつ2.1μm以下の連続波レーザビームであり、レーザビーム強度Pを集光ビーム面積Sで除して得られるパワー密度Pd[W/mm2]が、5×105W/mm2以上であり、前記パワー密度Pd[W/mm2]と、前記方向性電磁鋼板の表面上での前記レーザビームの集光スポットの走査速度V[mm/s]とが、0.005×Pd+3000≦V≦0.005×Pd+40000を満足する。
(2)上記(1)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法では、前記レーザビームが、ファイバレーザ光、又はYAGレーザを含む薄ディスク型固体レーザ光であってもよい。
(3)上記(1)または(2)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法では、前記パワー密度Pd[W/mm2]と、前記走査速度V[mm/s]とが、0.005×Pd+4050≦V≦0.005×Pd+40000を満足してもよい。
(4)上記(1)または(2)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法では、前記パワー密度Pd[W/mm2]と、前記走査速度V[mm/s]とが、0.005×Pd+11070≦V≦0.005×Pd+30700を満足してもよい。
(5)上記(1)または(2)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法では、前記集光スポットの径dが、0.10mm以下であってもよい。
(6)本発明の一態様に係る方向性電磁鋼板は、レーザビームによって搬送方向と交差する方向に延在する所定の長さの溝が搬送方向に所定の間隔で形成された方向性電磁鋼板であって、前記溝との界面に溶融凝固層を有し、前記溝の深さ寸法が、8〜30μmであり、前記溝の断面積が、1000μm2未満であり、前記溝の周辺部の突起高さが5μm以下である。
(7)上記(6)に記載の方向性電磁鋼板では、前記溝の深さ寸法が、10〜30μmであってもよい。
(8)上記(6)または(7)に記載の方向性電磁鋼板では、前記溝の断面積が、600μm2未満であってもよい。
(1)本発明の一態様に係る方向性電磁鋼板の製造方法は、方向性電磁鋼板の表面にレーザビームを走査しながら照射して、前記方向性電磁鋼板の搬送方向と交差する方向に延在する所定の長さの溝を搬送方向に所定の間隔で形成する方向性電磁鋼板の製造方法であって、前記レーザビームは、レーザ波長λが1.0μm以上かつ2.1μm以下の連続波レーザビームであり、レーザビーム強度Pを集光ビーム面積Sで除して得られるパワー密度Pd[W/mm2]が、5×105W/mm2以上であり、前記パワー密度Pd[W/mm2]と、前記方向性電磁鋼板の表面上での前記レーザビームの集光スポットの走査速度V[mm/s]とが、0.005×Pd+3000≦V≦0.005×Pd+40000を満足する。
(2)上記(1)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法では、前記レーザビームが、ファイバレーザ光、又はYAGレーザを含む薄ディスク型固体レーザ光であってもよい。
(3)上記(1)または(2)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法では、前記パワー密度Pd[W/mm2]と、前記走査速度V[mm/s]とが、0.005×Pd+4050≦V≦0.005×Pd+40000を満足してもよい。
(4)上記(1)または(2)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法では、前記パワー密度Pd[W/mm2]と、前記走査速度V[mm/s]とが、0.005×Pd+11070≦V≦0.005×Pd+30700を満足してもよい。
(5)上記(1)または(2)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法では、前記集光スポットの径dが、0.10mm以下であってもよい。
(6)本発明の一態様に係る方向性電磁鋼板は、レーザビームによって搬送方向と交差する方向に延在する所定の長さの溝が搬送方向に所定の間隔で形成された方向性電磁鋼板であって、前記溝との界面に溶融凝固層を有し、前記溝の深さ寸法が、8〜30μmであり、前記溝の断面積が、1000μm2未満であり、前記溝の周辺部の突起高さが5μm以下である。
(7)上記(6)に記載の方向性電磁鋼板では、前記溝の深さ寸法が、10〜30μmであってもよい。
(8)上記(6)または(7)に記載の方向性電磁鋼板では、前記溝の断面積が、600μm2未満であってもよい。
本発明の方向性電磁鋼板は、溝の周辺部の突起高さが5μm以下に抑制されるため、巻トランスの鉄芯材料として積層及び圧縮されても、層間の電気絶縁性の低下及び変形による歪みの増加が抑制され、優れた鉄損特性を有する。また、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法によれば、高速ビーム走査により、高速ライン速度に対応でき、生産性の高い製造プロセスを構築できる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明者らは、レーザビーム照射時に方向性電磁鋼板の表面突起(突起、溶融突起)が発生するメカニズムについて鋭意検討した。上記したように、レーザビーム照射により、鋼板表面でレーザビームが吸収されて、鋼板の地鉄が溶融して細かい溶融物の液滴が飛散する。この溶融物は、加工点(レーザビーム照射点)における高温の金属蒸気或いはプラズマの圧力により飛散する。従来から、方向性電磁鋼板に溝を形成するために、比較的高パワーが容易に得られるCO2レーザが用いられてきた。CO2レーザを光源として方向性電磁鋼板に溝を形成する実験を行い、溶融現象を詳細に検討することにより、以下のメカニズムにより表面突起が発生すると推定した。
本発明者らは、レーザビーム照射時に方向性電磁鋼板の表面突起(突起、溶融突起)が発生するメカニズムについて鋭意検討した。上記したように、レーザビーム照射により、鋼板表面でレーザビームが吸収されて、鋼板の地鉄が溶融して細かい溶融物の液滴が飛散する。この溶融物は、加工点(レーザビーム照射点)における高温の金属蒸気或いはプラズマの圧力により飛散する。従来から、方向性電磁鋼板に溝を形成するために、比較的高パワーが容易に得られるCO2レーザが用いられてきた。CO2レーザを光源として方向性電磁鋼板に溝を形成する実験を行い、溶融現象を詳細に検討することにより、以下のメカニズムにより表面突起が発生すると推定した。
すなわち、CO2レーザの波長は、9〜11μm帯であり、この波長のレーザ光は、加工点で発生する金属蒸気やプラズマによって大きく吸収される。そのため、鋼板表面へのレーザ光の到達パワーが減少して加工効率が低下する。また、レーザ光を吸収して加熱及び膨張したプラズマや金属蒸気が二次熱源として作用し、溝の端部の周辺を溶融させるため、溶融量が増加する。このようなレーザ光の到達パワーの減少及び溶融量の増加により、大きな溶融突起が発生すると考察される。
そこで、波長1.0〜2.1μmで集光性の高いレーザ光源、すなわち、ファイバレーザや薄ディスク型のYAGレーザのようなレーザ光源から出射されたレーザビームを鋼板に照射する実験を行い、詳細に照射条件を検討した。その結果、以下で説明するように、鉄損が小さく、且つ表面突起の大きさが抑制された方向性電磁鋼板を製造できることを見出した。
まず、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法の一実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。図5は、本実施形態で用いるレーザ光源及びレーザビーム照射装置を備える製造装置の一例を示す模式図である。なお、この図5には、方向性電磁鋼板(鋼板)1に照射されるレーザ光の照射位置についても示されている。レーザ媒質としてYbがドープされたファイバレーザをレーザ光源として用いた例を説明する。図5において、鋼板1は、二次再結晶後の板幅150mmの方向性電磁鋼板であり、地鉄表面にグラス被膜が形成されている。鋼板1は、ライン速度VLでライン方向(圧延方向、搬送方向)Lに一定速度で通板される。
レーザ装置2は、最大出力2000Wの市販のファイバレーザであり、ファイバコアにレーザ媒質としてYbがドープされており、その発振波長は、1.07〜1.08μmである。コアの直径は、約15μmであり、出力ビームのレーザ発振モードは、略基本ガウスモードである。レーザ装置2から出力された連続波(CW)のレーザ光は、光ファイバ3を伝送され、レーザ照射装置4に到達する。このレーザ照射装置4は、コリメータ5と、20面体の回転ポリゴンミラー6と、焦点距離200mmのfθレンズ7とを備える。コリメータ5は、伝送ファイバ3から出力したレーザビームLBの直径を調整する。また、回転ポリゴンミラー6は、レーザビームLBを偏向させて鋼板1上を高速で略板幅方向Cに走査し、fθレンズ7は、このレーザビームLBを集光する。
回転ポリゴンミラー6の回転速度を調節して鋼板1上でのビーム走査速度Vが2〜50m/sの範囲で調整できる。鋼板1上における集光ビームの板幅方向の走査幅は、約150mmである。集光ビーム径(エネルギーの86%が含まれる直径)dを、コリメータ5による出力ビーム径の変更によって10〜100μmに調整した。なお、図示されないフォーカス機構を、回転ポリゴンミラー6と焦点距離200mmのfθレンズ7との間に配置しており、このフォーカス機構によってfθレンズ7と鋼板との距離が調整できる。回転する回転ポリゴンミラー6の1面によりレーザビームが鋼板1上に走査されて、鋼板1上に所定の長さ(例えば、板幅方向の全長)の1本の溝が略幅方向に形成される。L方向に隣接する溝の間隔、すなわち圧延方向(搬送方向)の照射ピッチPLは、ライン速度VL及びポリゴン回転速度の調整により変更可能である。このように、レーザ照射装置4を用いて、鋼板1にレーザビームLBを照射して圧延方向Lに一定の走査間隔PL(=照射ピッチ、溝間隔)で溝を形成する。すなわち、方向性電磁鋼板の表面にレーザビームを集光して走査しながら照射して、方向性電磁鋼板の搬送方向に略垂直な方向(搬送方向と交差する方向、搬送方向に垂直なベクトルを含む方向、例えば、この垂直な方向から±45°の範囲内)に延在する所定の長さの溝を搬送方向に所定の間隔で形成する。
レーザビーム照射後の鋼板1には、図示されない焼鈍炉で約800℃の歪み取り焼鈍を施した後、図示されないコーティング装置により表面に電気的絶縁及び張力を付与する絶縁被膜コーティングを施す。なお、絶縁被膜の厚さは、2〜3μmである。
<溝深さと鉄損改善効果との関係>
まず始めに、溝深さと鉄損改善効果との関係を調べた。素材としてB8が1.90Tの方向性電磁鋼板を準備した。ここで、B8は、磁化力Hが0.8A/mにおいて発生する磁束密度[T]で定義される。特に、方向性電磁鋼板の場合、B8は、鋼板が圧延方向に磁化したときの磁束密度である。B8が高いほど鋼板1の結晶方位性が高く(結晶配向性が大きく)、一般に鉄損も低い。この素材を用いて、レーザビーム強度Pが1000W、集光ビーム径dが0.03mm、パワー密度Pdが14×105W/mm、溝間隔PLが3mm、ビーム走査速度Vが2500〜50000mm/sの範囲のレーザビーム照射条件で、レーザビームを照射して鋼板表面に溝を形成した。このように、異なるビーム走査速度Vで鋼板表面に溝を形成することにより、異なる溝深さを有する鋼板が作製された。なお、ここでは、溝深さと鉄損改善効果との関係にのみ着目し、溝周辺の溶融突起の高さを考慮していない。溝を形成した鋼板から圧延方向長さ300mm、幅方向長さ60mmの大きさの単板サンプルを切り出し、周知の鉄損測定方法であるSST(Single Sheet Tester)法により鉄損Wgを測定して評価した。また、同じ素材で溝を形成していない方向性電磁鋼板の鉄損W0もこの方法で測定した。ここで、鉄損Wg及びW0は、周波数が50Hz、最大磁束密度が1.7Tの励磁条件での鉄損値である。各鉄損Wg及びW0を用いて以下の式(1)で鉄損改善率η%を算出して鉄損改善効果の比較評価を行った。
η=(W0−Wg)/W0×100・・・(1)
まず始めに、溝深さと鉄損改善効果との関係を調べた。素材としてB8が1.90Tの方向性電磁鋼板を準備した。ここで、B8は、磁化力Hが0.8A/mにおいて発生する磁束密度[T]で定義される。特に、方向性電磁鋼板の場合、B8は、鋼板が圧延方向に磁化したときの磁束密度である。B8が高いほど鋼板1の結晶方位性が高く(結晶配向性が大きく)、一般に鉄損も低い。この素材を用いて、レーザビーム強度Pが1000W、集光ビーム径dが0.03mm、パワー密度Pdが14×105W/mm、溝間隔PLが3mm、ビーム走査速度Vが2500〜50000mm/sの範囲のレーザビーム照射条件で、レーザビームを照射して鋼板表面に溝を形成した。このように、異なるビーム走査速度Vで鋼板表面に溝を形成することにより、異なる溝深さを有する鋼板が作製された。なお、ここでは、溝深さと鉄損改善効果との関係にのみ着目し、溝周辺の溶融突起の高さを考慮していない。溝を形成した鋼板から圧延方向長さ300mm、幅方向長さ60mmの大きさの単板サンプルを切り出し、周知の鉄損測定方法であるSST(Single Sheet Tester)法により鉄損Wgを測定して評価した。また、同じ素材で溝を形成していない方向性電磁鋼板の鉄損W0もこの方法で測定した。ここで、鉄損Wg及びW0は、周波数が50Hz、最大磁束密度が1.7Tの励磁条件での鉄損値である。各鉄損Wg及びW0を用いて以下の式(1)で鉄損改善率η%を算出して鉄損改善効果の比較評価を行った。
η=(W0−Wg)/W0×100・・・(1)
図2は、測定された鋼板表面の溝の深さと鉄損改善率ηとの関係の一例を示す図である。溝の深さが測定された各鋼板は、同じ材質であり、その板厚は、0.23mmであった。図2に示すように、溝深さが8μm以上では著しく鉄損改善効果が増加し、10%を超える鉄損改善率η(η>10%)が得られる。溝深さが10〜30μmにおいて鉄損改善率ηが約13%の最大値をもつ。さらに、溝深さが30μmを越えると、鉄損改善率ηが10%未満まで低下する。溝が深くなりすぎると溝を含む部分の鋼板の断面積(高透磁率の領域)が狭くなるため、鉄損が増加する。従って、鉄損改善の観点では、溝深さが8〜30μmの範囲であることが適切である。
<溶融突起(表面突起)とトランス特性との関係>
次に、トランス特性に対する溶融突起(表面突起)の影響を調べた。ここでは、トランス特性として積層された鋼板間の電気絶縁性を評価した。これは、トランスの製造時に方向性電磁鋼板を積層及び圧縮した際に、隣接する層間(地鉄間)の電気絶縁性が保たれる必要があるからである。そこで、上記のレーザビーム照射条件にて製造した単板サンプルの片面に複数の接触子電極を押し当てて電圧を印加し、各電極間に流れる電流を測定した。測定条件については、接触子電極1個あたりの面積が1cm2、電圧が0.5V、接触圧力が230psi(1.58MPa)、接触子電極の数が10個である。この測定方法にて測定された各電極間に流れる電流が600mA以下であれば、小型トランスを中心にした一般的なトランスでは良好なトランス特性が得られる。また、層間電圧が比較的高くなる大型のトランスでは、この電流が100mV以下であることが望ましい。表1には、表面突起の高さ(平均突起高さ)と電流(層間電流)との関係についての測定例を示す。
次に、トランス特性に対する溶融突起(表面突起)の影響を調べた。ここでは、トランス特性として積層された鋼板間の電気絶縁性を評価した。これは、トランスの製造時に方向性電磁鋼板を積層及び圧縮した際に、隣接する層間(地鉄間)の電気絶縁性が保たれる必要があるからである。そこで、上記のレーザビーム照射条件にて製造した単板サンプルの片面に複数の接触子電極を押し当てて電圧を印加し、各電極間に流れる電流を測定した。測定条件については、接触子電極1個あたりの面積が1cm2、電圧が0.5V、接触圧力が230psi(1.58MPa)、接触子電極の数が10個である。この測定方法にて測定された各電極間に流れる電流が600mA以下であれば、小型トランスを中心にした一般的なトランスでは良好なトランス特性が得られる。また、層間電圧が比較的高くなる大型のトランスでは、この電流が100mV以下であることが望ましい。表1には、表面突起の高さ(平均突起高さ)と電流(層間電流)との関係についての測定例を示す。
表1に示されるように、表面突起の高さを5μm以下まで小さくすると、層間電流を600mV以下に抑えることができ、溝が形成された方向性電磁鋼板を一般的なトランス鉄芯に好適に使用できる。さらに、表面突起の高さを3μm以下まで小さくすると、層間電流を100mA以下に抑えることができ、層間に十分な電気絶縁性が保たれる。そのため、溝が形成された方向性電磁鋼板を、高い層間電圧が生じうる各種のトランス鉄芯にも好適に使用できる。更に、表面突起の高さを1μm以下まで小さくすると、層間に略完全な絶縁性が得られる。
上述した表面突起の高さと層間電流との関係は、方向性電磁鋼板の最終ラインで鋼板表面に施される絶縁コーティングの厚み(約3μm)に影響を受けていると考えられる。トランス鉄芯を製作する際、積層により互いに対向する鋼板表面の一方のみに表面突起が存在するため、表面突起が所定の大きさ以下であれば、他方の鋼板表面(裏面)の絶縁コーティングにより十分な電気絶縁性を確保することができる。隣り合う鋼板の位置関係や表面突起の変形等の条件を考慮すると、表面突起が5μm以下であれば、層間の電気絶縁性が十分である。また、表面突起が3μm以下であれば、絶縁コーティングの厚みの効果により層間の電気絶縁性が優れる。
上述した表面突起の高さと層間電流との関係は、方向性電磁鋼板の最終ラインで鋼板表面に施される絶縁コーティングの厚み(約3μm)に影響を受けていると考えられる。トランス鉄芯を製作する際、積層により互いに対向する鋼板表面の一方のみに表面突起が存在するため、表面突起が所定の大きさ以下であれば、他方の鋼板表面(裏面)の絶縁コーティングにより十分な電気絶縁性を確保することができる。隣り合う鋼板の位置関係や表面突起の変形等の条件を考慮すると、表面突起が5μm以下であれば、層間の電気絶縁性が十分である。また、表面突起が3μm以下であれば、絶縁コーティングの厚みの効果により層間の電気絶縁性が優れる。
<溝周辺部に発生する溶融突起(表面突起)の抑制方法>
上記検討結果を基に、以下に、溝の周辺部に発生する溶融突起の抑制方法について説明する。本発明者らは、様々なパワー密度Pd及びビーム走査速度Vで方向性電磁鋼板にレーザビーム照射を行い、表面突起の高さと溝深さとパワー密度Pd[W/mm2]とビーム走査速度Vとの相関を調べた。ここで、レーザビーム強度Pが200〜2000Wの範囲、集光スポットの径(集光ビーム径)dが0.01〜0.10mmの範囲、ビーム走査速度Vが5000〜70000mm/sの範囲で変更され、パワー密度Pd及びビーム走査速度Vを制御した。また、形成された溝の断面を光学顕微鏡及びSEM(Scanning Electron Microscope)で観察した。ここで、パワー密度Pd[W/mm2]は、集光ビーム面積S[mm2]により以下の式(2)で定義される。また、集光ビーム面積S[mm2]は、集光ビーム径dを用いて以下の式(3)から求められる。この集光ビーム径dは、ビーム伝搬方向に垂直な断面上にパワー強度分布を有する円形のレーザビームの場合、全体の86%のエネルギーが含まれる円状の領域の直径である。すなわち、この場合には、レーザビームの中心からレーザビームの外側に向けてパワー強度をレーザビームの半径について積分し、レーザビーム内における各半径(各直径)の円状の領域に含まれるエネルギーを求めている。なお、表面突起の高さ及び溝深さの寸法は、市販の接触式の表面粗度計で測定された。
Pd=P/S・・・(2)
S=π×(d/2)2・・・(3)
上記検討結果を基に、以下に、溝の周辺部に発生する溶融突起の抑制方法について説明する。本発明者らは、様々なパワー密度Pd及びビーム走査速度Vで方向性電磁鋼板にレーザビーム照射を行い、表面突起の高さと溝深さとパワー密度Pd[W/mm2]とビーム走査速度Vとの相関を調べた。ここで、レーザビーム強度Pが200〜2000Wの範囲、集光スポットの径(集光ビーム径)dが0.01〜0.10mmの範囲、ビーム走査速度Vが5000〜70000mm/sの範囲で変更され、パワー密度Pd及びビーム走査速度Vを制御した。また、形成された溝の断面を光学顕微鏡及びSEM(Scanning Electron Microscope)で観察した。ここで、パワー密度Pd[W/mm2]は、集光ビーム面積S[mm2]により以下の式(2)で定義される。また、集光ビーム面積S[mm2]は、集光ビーム径dを用いて以下の式(3)から求められる。この集光ビーム径dは、ビーム伝搬方向に垂直な断面上にパワー強度分布を有する円形のレーザビームの場合、全体の86%のエネルギーが含まれる円状の領域の直径である。すなわち、この場合には、レーザビームの中心からレーザビームの外側に向けてパワー強度をレーザビームの半径について積分し、レーザビーム内における各半径(各直径)の円状の領域に含まれるエネルギーを求めている。なお、表面突起の高さ及び溝深さの寸法は、市販の接触式の表面粗度計で測定された。
Pd=P/S・・・(2)
S=π×(d/2)2・・・(3)
図4は、レーザビーム強度Pが1000W、集光ビーム径dが0.03mm、パワー密度Pdが14.0×105W/mm2であるレーザビーム照射条件において、ビーム走査速度Vが溝周辺部の溶融突起の平均高さ(突起高さ)及び平均溝深さ(溝深さ)に与える影響を示す図である。ここで、突起高さ及び溝深さは、いずれも50サンプルの平均値である。図3A〜Cは、溝方向(溝の延在方向)から見た、溝及び溝の周辺部の断面写真の一例である。
まず、溝の断面形状を図3A〜図3Cを用いて説明する。図3Aは、ビーム走査速度Vが5000mm/sでの溝断面写真である。このような低速のビーム走査速度Vでは、60μmを越える深さ(量)の溶融(大量の溶融物)が発生し、一時的に溝が形成されるが、再凝固物で溝の上部が埋まり、内部に空隙ができる場合もある。この場合、表面突起の高さは、30μm程度である。図3Bは、ビーム走査速度Vが10000mm/sでの溝断面写真である。図3Bから、ビーム走査速度Vを増加するとともに、溝深さが浅くなることが分かる。この図3Bでは、溝深さが30μm程度であるが、表面突起の高さが10μm以上である。図3Cは、ビーム走査速度Vが30000mm/sでの溝断面写真である。この速度では、溝深さが10〜15μmであり、突起高さが1μm以下であり、表面突起がほとんど消滅している。なお、突起高さは、0μmであってもよい。ここで、溝の周辺部には、レーザ照射部に生じた溶融物の一部が凝固することによって形成される後述の溶融再凝固層が確認された。
溝深さとビーム走査速度Vとの関係を図4に黒塗りの四角で示した。図4に示すように、ビーム走査速度Vが50000mm/sを越えると、溝深さが8μm未満になる。この場合には、図2から鉄損改善効果が著しく低下することがわかる。よって、パワー密度Pdが14.0×105W/mm2のとき、溝深さを十分に確保するために必要なビーム走査速度Vの上限V2は、50000mm/sである。より高い鉄損改善率を得るために10μm以上の溝深さを得る場合には、ビーム走査速度Vの上限V2’が40000mm/sであることが好ましい。
一方、レーザビーム強度Pが1000W、集光ビーム径dが0.03mm、パワー密度Pdが14.0×105W/mm2であるときの、溶融突起の高さとビーム走査速度Vとの関係を図4に白抜きの菱形で示した。図4に示されるように、ビーム走査速度Vが10000mm/sを越えると、突起高さを5μm以下に制御できる。上述の表1(突起高さと層間電流との関係についての測定例)に示されるように、突起高さを5μm以下まで小さくすると、層間電流が低下し、十分なトランス特性が得られる。よって、突起高さを十分に小さくするために必要となビーム走査速度Vの下限V1は、10000mm/sである。また、ビーム走査速度Vが12000mm/sを越えると、突起高さを3μm以下に制御できる。突起高さが3μm以下では、表1に示されるように、層間電流が小さく良好なトランス特性が得られる。この場合には、ビーム走査速度Vの下限V1’は、12000mm/sである。さらに、突起高さを1μm以下まで小さくするために必要な下限V1”は、20000mm/sであり、この範囲のビーム走査速度Vでは、より良好なトランス特性が期待できる。但し、ここでは、パワー密度Pdが14.0×105W/mm2の場合についてのみ、ビーム走査速度Vの上下限(V1、V2等)を決定している。なお、ビーム走査速度Vの下限V1、V1’、V1”は、突起高さを基準に決定され、ビーム走査速度Vの上限V2、V2’は、溝深さを基準に決定される。
本発明者らは、0.01〜0.3mmの範囲の集光ビーム径dと、100〜2000Wの範囲のレーザビーム強度Pとを種々のパターンで組み合わせて、種々のパワー密度Pdでレーザ照射実験を行った。この照射実験では、各パワー密度Pdにおけるビーム走査速度Vの下限V1、上限V2、下限V1’、上限V2’、下限V1”を調べた。その結果、図1(ビーム走査速度の上下限とパワー密度との関係を示す図)に示すように、パワー密度Pdが5×105W/mm2以上である場合に、良好な鉄損特性及びトランス特性が得られるビーム走査速度Vの上下限が得られた。さらに、上限V1、下限V2、下限V1’、上限V2’、下限V1”がパワー密度Pdに正の相関で略比例して変化することを見出した。
なお、パワー密度Pdが5×105W/mm2未満では、突起高さ、溝深さともに測定値のばらつきが大きくなり、レーザビーム照射の溝加工性能が不安定になった。ビーム走査速度Vが5000mm/s未満の低速加工域では、レーザ照射部からその周辺への熱伝導が顕著になる。また、パワー密度Pdが低いため、溶融後に蒸発または飛散する溶融物の量が大幅に減少する。その結果、鋼板表面で溶融及び再凝固する領域が増大し、溶融突起の数及び高さが増加する。また、溶融物が鋼板表面のレーザ照射部に留まるため、溝が形成され難く、溝深さも不安定になる。
図1より、パワー密度Pdが5×105W/mm2以上の範囲において、パワー密度Pdと、ビーム走査速度Vの上下限(下限V1、上限V2、下限V1’、上限V2’及び下限V1”のそれぞれ)との関係は、最小二乗法により直線近似式で表わすことが可能である。この直線近似式により突起抑制と鉄損改善とを両立する最適レーザ条件を簡単に決定することができる。すなわち、図1中において、下限V1(V1=0.005×Pd+3000)は、「突起高さが5μmになるビーム走査速度Vの値」を、下限V1’(V1’=0.005×Pd+4050)は、「突起高さが3μmとなるビーム走査速度Vの値」を、V1”(V1”=0.005×Pd+11070)は、「突起高さが1μmとなるビーム走査速度Vの値」を示す。同様に、図1中において、上限V2(V2=0.005×Pd+40000)は、「溝深さが8μmとなるビーム走査速度Vの値」を、上限V2’(V2’=0.005×Pd+30700)は、「溝深さが10μmとなるビーム走査速度Vの値」を示す。これらの一次式で求めた下限V1、下限V1’、下限V1”、上限V2、上限V2’を用いて、ビーム走査速度Vを適切に制御することができる。十分に鉄損を低下させて一般的なトランスに必要なトランス特性を得るためには、パワー密度Pdの値に応じて以下の式(4)(すなわち、V1≦V≦V2)を満足するようにビーム走査速度Vを制御する。また、レーザビーム照射によって、より鉄損を低下させ、より良好なトランス特性を得るためには、パワー密度Pdの値に応じて、以下の式(5)(すなわち、V1’≦V≦V2)を満足するようにビーム走査速度Vを制御することが好ましく、以下の式(6)(すなわち、V1”≦V≦V2’)を満足するようにビーム走査速度Vを制御することがより好ましい。
0.005×Pd+3000≦V≦0.005×Pd+40000・・・(4)
0.005×Pd+4050≦V≦0.005×Pd+40000・・・(5)
0.005×Pd+11070≦V≦0.005×Pd+30700・・・(6)
0.005×Pd+3000≦V≦0.005×Pd+40000・・・(4)
0.005×Pd+4050≦V≦0.005×Pd+40000・・・(5)
0.005×Pd+11070≦V≦0.005×Pd+30700・・・(6)
ここで、上述したように、ビーム走査速度Vの上下限(下限V1、上限V2、下限V1’、上限V2’及び下限V1”)は、パワー密度Pdに応じて決定することができ、パワー密度Pdは、レーザビーム強度Pと集光ビーム径dとの両方によって定義される。また、このパワー密度Pdとビーム走査速度Vとは、単位時間及び単位面積あたりのレーザ照射部への供給エネルギーに影響を与えるため、後述の溝断面積にも影響を与えうる。なお、パワー密度Pdとビーム走査速度Vとが(4)式を満足すれば、パワー密度Pdの上限は、特に制限されない。例えば、パワー密度Pdを5×105W/mm2以上かつ7×106W/mm2以下に制御してもよい。
<本実施形態の効果の詳細説明>
次に、本実施形態で、高ピークパワー密度のレーザビームの高速ビーム走査によって、突起を抑制しながら鉄損特性に適する深さの溝を加工できる原理について説明する。本実施形態では、波長1.0〜2.1μmの集光性の高い連続発振型のレーザ(連続発振可能なレーザ)を用いている。例えば、このようなレーザとして、ファイバレーザまたはYAGを含む薄ディスク型固体レーザを用いている。この波長域のレーザ光は、加工点で発生する金属イオンのプラズマや金属蒸気に吸収されにくい。一方、従来用いられてきた波長9〜11μm帯のCO2レーザは、プラズマや金属蒸気に吸収されやすいため、プラズマや金属蒸気の発生領域でパワーが消費され鋼板表面の加工効率が低下する。また、レーザ光を吸収したプラズマは、高温になり、集光ビーム径に比べて空間的に比較的大きな熱源として作用するため、溝周辺を不必要に溶融させ、図6に示したような幅が広い溝を形成し、突起が大きくなる。このような傾向は、パワー密度が高くなるほど顕著になるため、CO2レーザを用いる方法では、パワー密度を上げて高速処理を行うには不利であり、突起を抑制することが難しい。
次に、本実施形態で、高ピークパワー密度のレーザビームの高速ビーム走査によって、突起を抑制しながら鉄損特性に適する深さの溝を加工できる原理について説明する。本実施形態では、波長1.0〜2.1μmの集光性の高い連続発振型のレーザ(連続発振可能なレーザ)を用いている。例えば、このようなレーザとして、ファイバレーザまたはYAGを含む薄ディスク型固体レーザを用いている。この波長域のレーザ光は、加工点で発生する金属イオンのプラズマや金属蒸気に吸収されにくい。一方、従来用いられてきた波長9〜11μm帯のCO2レーザは、プラズマや金属蒸気に吸収されやすいため、プラズマや金属蒸気の発生領域でパワーが消費され鋼板表面の加工効率が低下する。また、レーザ光を吸収したプラズマは、高温になり、集光ビーム径に比べて空間的に比較的大きな熱源として作用するため、溝周辺を不必要に溶融させ、図6に示したような幅が広い溝を形成し、突起が大きくなる。このような傾向は、パワー密度が高くなるほど顕著になるため、CO2レーザを用いる方法では、パワー密度を上げて高速処理を行うには不利であり、突起を抑制することが難しい。
更に、連続波レーザを用いることにより、パルス発振レーザで生じる、点列溝の穴間のギャップによる鉄損改善劣化もない。
ファイバレーザには、発振媒体であるファイバのコアに各種のレーザ媒質(励起原子)をドープしたレーザを使用できる。例えば、コアにYb(イットリビウム)をドープしたファイバレーザでは、発振波長が1.07〜1.08μm、コアにEr(エリビウム)をドープしたファイバレーザでは、発振波長が1.55μm、コアにTm(ツリウム)をドープしたファイバレーザでは、発振波長が1.70〜2.10μmである。また、同様の波長域の高出力レーザであるYAGレーザでは、発振波長が1.06μmである。これらのファイバレーザ及びYAGレーザを使用する方法では、加工点でのプラズマ或いは金属蒸気へのレーザの吸収の影響が少ないため、これらの方法は、本発明の方法に属する。
また、本実施形態では、集光スポットの径を0.10mmの極小集光に制御すると、表面突起が著しく減少する。これは、パワー密度の増加に加え、溶融体積が減少するためである。よって、集光ビーム径は、0.10mm以下であることが望ましい。使用するレーザには、高い集光性が必要である。ファイバレーザは、コア直径と同程度まで集光可能であり、より高い集光性を確保するためには、0.10mm以下のコア径を有するファイバレーザが適する。また、YAGレーザ等の固体レーザにおいて、発振媒体が薄ディスク型の結晶である薄ディスクレーザでは、結晶の表面積が大きく冷却が容易であるため、高出力動作においても結晶の熱歪みによる集光性の劣化が生じにくく、0.10mm以下の微小集光も容易に行える。従って、本発明には、薄ディスク固体レーザも適する。ここで、集光スポットの径の下限は、特に制限されないが、ファイバレーザの最小コア径やレンズの焦点距離等を考慮し、例えば10μmであってもよい。
なお、この集光スポットの径と溝幅とは、必ずしも一致しない。例えば、パワー密度が大きく、ビーム走査速度Vが小さいと、溝幅が、集光スポットの径よりも大きくなる。また、例えば、パワー密度が小さく、ビーム走査速度Vが大きいと、溝幅が、集光スポットの径よりも小さくなる。さらには、溝幅は、レーザのビーム伝搬方向に垂直な断面上のパワー強度分布によっても変化する。ここで、溝(溝部)は、鋼板の幅方向(鋼板の搬送方向に垂直な方向)に垂直な断面において、レーザビームの非照射領域(非照射面)を板厚方向における基準面(基準高さ、レーザ照射前のコーティングの表面を含む)に設定した場合に、この基準面からレーザビームにより鋼板の一部が除去された領域である。そのため、溝幅(溝の幅寸法)は、板厚方向(溝深さ方向)に垂直な方向の溝の最大長さ寸法として定義される。なお、各種の寸法については、統計的に十分な回数の測定(例えば、30回の測定)を行っている。
なお、この集光スポットの径と溝幅とは、必ずしも一致しない。例えば、パワー密度が大きく、ビーム走査速度Vが小さいと、溝幅が、集光スポットの径よりも大きくなる。また、例えば、パワー密度が小さく、ビーム走査速度Vが大きいと、溝幅が、集光スポットの径よりも小さくなる。さらには、溝幅は、レーザのビーム伝搬方向に垂直な断面上のパワー強度分布によっても変化する。ここで、溝(溝部)は、鋼板の幅方向(鋼板の搬送方向に垂直な方向)に垂直な断面において、レーザビームの非照射領域(非照射面)を板厚方向における基準面(基準高さ、レーザ照射前のコーティングの表面を含む)に設定した場合に、この基準面からレーザビームにより鋼板の一部が除去された領域である。そのため、溝幅(溝の幅寸法)は、板厚方向(溝深さ方向)に垂直な方向の溝の最大長さ寸法として定義される。なお、各種の寸法については、統計的に十分な回数の測定(例えば、30回の測定)を行っている。
さらに、本発明の方向性電磁鋼板の一実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。本実施形態では、レーザー等の熱源によって搬送方向に垂直な方向を含む方向に延在する所定の長さの溝が、方向性電磁鋼板の表面に形成されている。この方向性電磁鋼板では、溝と鋼板の地鉄との間に(溝との界面に)溶融再凝固層が形成され、溝深さが8〜30μmであり、鋼板の幅方向に垂直な断面における溝の断面積(溝断面積)が1800μm2未満である。また、鋼板に形成された溝は、鋼板の搬送方向と交差する方向(ビーム走査方向)に連続的に延在している。
上述したように、溝深さが8〜30μmであると、鉄損改善率ηが10%以上まで向上する。また、鉄損改善率ηの観点から、この溝深さは、10μm以上であることが好ましい。同様に、この溝深さは、20μm以下であることが好ましい。
さらに、本実施形態では、上記の突起高さ(平均突起高さ)が5μm以下に抑制されている。この突起高さは、例えば、レーザ照射時に生じた融液の量やレーザ照射時の融液除去のメカニズムに影響を受ける。そこで、本発明者らは、融液生成及び融液除去の結果として生じる溝の断面積と、突起高さとの関係について詳細に検討した。図7に、溝断面積と、平均突起高さとの関係を示す。図7に示すように、溝断面積が1800μm2未満であると、突起高さを5μm以下に抑制できる。また、突起高さを3μm以下に抑制するためには、溝断面積が1000μm2未満であることが好ましく、突起高さを1μm2以下にするためには、600μm2未満であることが好ましい。ここで、溝断面積は、鋼板の幅方向に垂直な断面において溝を半楕円に近似した場合の面積として定義される。すなわち、溝断面積Ds[μm2]は、溝幅Dw[μm]と溝深さDd[μm]とを用いて、以下の式(7)により定義される。
Ds=π×Dw×Dd/4・・・(7)
このように、集光ビーム径を小さくして、溝断面積、すなわち、溶融物の除去量を削減することにより、突起を発生させる成分が減少し、突起高さを低下させることができる。
なお、溝断面積の下限は、特に制限されないが、8μm以上の溝深さかつ8μm以上の溝幅を確保するために、溝断面積が、50μm以上であることが好ましい。
さらに、本実施形態では、上記の突起高さ(平均突起高さ)が5μm以下に抑制されている。この突起高さは、例えば、レーザ照射時に生じた融液の量やレーザ照射時の融液除去のメカニズムに影響を受ける。そこで、本発明者らは、融液生成及び融液除去の結果として生じる溝の断面積と、突起高さとの関係について詳細に検討した。図7に、溝断面積と、平均突起高さとの関係を示す。図7に示すように、溝断面積が1800μm2未満であると、突起高さを5μm以下に抑制できる。また、突起高さを3μm以下に抑制するためには、溝断面積が1000μm2未満であることが好ましく、突起高さを1μm2以下にするためには、600μm2未満であることが好ましい。ここで、溝断面積は、鋼板の幅方向に垂直な断面において溝を半楕円に近似した場合の面積として定義される。すなわち、溝断面積Ds[μm2]は、溝幅Dw[μm]と溝深さDd[μm]とを用いて、以下の式(7)により定義される。
Ds=π×Dw×Dd/4・・・(7)
このように、集光ビーム径を小さくして、溝断面積、すなわち、溶融物の除去量を削減することにより、突起を発生させる成分が減少し、突起高さを低下させることができる。
なお、溝断面積の下限は、特に制限されないが、8μm以上の溝深さかつ8μm以上の溝幅を確保するために、溝断面積が、50μm以上であることが好ましい。
また、本実施形態では、溝と鋼板の地鉄との界面に溶融凝固層が形成されている。この溶融凝固層は、レーザ照射部に生じた溶融物の一部が凝固することにより形成される。そのため、溝を含む鋼板の幅方向に垂直な断面(切断、樹脂埋め及び研磨後の表面)をナイタールにより腐食して観察することにより、この溶融凝固層を確認することができる。すなわち、線状に可視化された結晶粒界を例えば光学顕微鏡を用いて観察することにより、溶融凝固部(溶融再凝固層)と非溶融部(地鉄)との間に明確な線状の境界を確認することができる。
上述したように、突起高さは、5μm以下に抑制されることが好ましく、3μm以下に抑制されることがより好ましく、1μm以下に抑制されることが最も好ましい。この突起高さは、0μm以上であってもよい。また、溝の幅寸法は、0.01〜50μmであってもよい。さらに、方向性電磁鋼板の板厚が、0.10mm〜0.50mmであってもよい。方向性電磁鋼板では、特に0.17mm〜0.36mmの板厚が好適に使用される。
さらに、積層された方向性電磁鋼板の各層間に流れる電流は、上述の方法により測定された場合に、600mV以下であることが好ましく、200mV以下であることがより好ましい。
さらに、積層された方向性電磁鋼板の各層間に流れる電流は、上述の方法により測定された場合に、600mV以下であることが好ましく、200mV以下であることがより好ましい。
また、溝を形成した方向性電磁鋼板に、必要に応じて、表面処理を行ってもよい。例えば、溝を形成した方向性電磁鋼板の表面に、コーティングを施しても良い。ここで、本実施形態における溝の定義は、上記実施形態と同じであり、溝形成後に鋼板表面にコーティングが行われた場合であっても変化しない。
また、表面粗度計により得られる測定結果と同じ結果が得られる場合には、板厚方向の溝の長さ寸法(上記の基準面から溝の先端までの距離)から溝深さ(溝の深さ寸法)を決定してもよい。同様に、上記の基準面から表面突起の先端までの高さ寸法(板厚方向における距離)から突起高さを決定してもよい。
また、表面粗度計により得られる測定結果と同じ結果が得られる場合には、板厚方向の溝の長さ寸法(上記の基準面から溝の先端までの距離)から溝深さ(溝の深さ寸法)を決定してもよい。同様に、上記の基準面から表面突起の先端までの高さ寸法(板厚方向における距離)から突起高さを決定してもよい。
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は、これら実施例に限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の請求の範囲によってのみ限定される。
レーザビーム照射によって鋼板の表面に溝を形成する際に、溝周辺部に発生する表面突起の大きさを極力小さくし、且つ高速生産ラインに適した方向性電磁鋼板の製造方法及び優れた鉄損特性を有する方向性電磁鋼板を提供することができる。
1 方向性電磁鋼板(鋼板)
2 レーザ装置
3 光ファイバ(伝送ファイバ)
4 レーザ照射装置
5 コリメータ
6 ポリゴンミラー(回転ポリゴンミラー)
7 fθレンズ
LB レーザビーム
L 圧延方向(搬送方向)
C 板幅方向
PL 圧延方向(搬送方向)における溝形成の間隔
2 レーザ装置
3 光ファイバ(伝送ファイバ)
4 レーザ照射装置
5 コリメータ
6 ポリゴンミラー(回転ポリゴンミラー)
7 fθレンズ
LB レーザビーム
L 圧延方向(搬送方向)
C 板幅方向
PL 圧延方向(搬送方向)における溝形成の間隔
Claims (8)
- 方向性電磁鋼板の表面にレーザビームを走査しながら照射して、前記方向性電磁鋼板の搬送方向と交差する方向に延在する所定の長さの溝を搬送方向に所定の間隔で形成する方向性電磁鋼板の製造方法であって、
前記レーザビームは、レーザ波長λが1.0μm以上かつ2.1μm以下の連続波レーザビームであり、
レーザビーム強度Pを集光ビーム面積Sで除して得られるパワー密度Pd[W/mm2]が、5×105W/mm2以上であり、
前記パワー密度Pd[W/mm2]と、前記方向性電磁鋼板の表面上での前記レーザビームの集光スポットの走査速度V[mm/s]とが、0.005×Pd+3000≦V≦0.005×Pd+40000を満足する
ことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。 - 前記レーザビームが、ファイバレーザ光、又はYAGレーザを含む薄ディスク型固体レーザ光であることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
- 前記パワー密度Pd[W/mm2]と、前記走査速度V[mm/s]とが、0.005×Pd+4050≦V≦0.005×Pd+40000を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
- 前記パワー密度Pd[W/mm2]と、前記走査速度V[mm/s]とが、0.005×Pd+11070≦V≦0.005×Pd+30700を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
- 前記集光スポットの径dが、0.10mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
- レーザビームによって搬送方向と交差する方向に延在する所定の長さの溝が搬送方向に所定の間隔で形成された方向性電磁鋼板であって、
前記溝との界面に溶融凝固層を有し、
前記溝の深さ寸法が、8〜30μmであり、
前記溝の断面積が、1000μm2未満であり、前記溝の周辺部の突起高さが5μm以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板。 - 前記溝の深さ寸法が、10〜30μmであることを特徴とする請求項6に記載の方向性電磁鋼板。
- 前記溝の断面積が、600μm2未満であることを特徴とする請求項6または7に記載の方向性電磁鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012509491A JP5234222B2 (ja) | 2010-04-01 | 2011-03-29 | 方向性電磁鋼板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010085457 | 2010-04-01 | ||
JP2010085457 | 2010-04-01 | ||
JP2012509491A JP5234222B2 (ja) | 2010-04-01 | 2011-03-29 | 方向性電磁鋼板及びその製造方法 |
PCT/JP2011/057883 WO2011125672A1 (ja) | 2010-04-01 | 2011-03-29 | 方向性電磁鋼板及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2011125672A1 JPWO2011125672A1 (ja) | 2013-07-08 |
JP5234222B2 true JP5234222B2 (ja) | 2013-07-10 |
Family
ID=44762619
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012509491A Active JP5234222B2 (ja) | 2010-04-01 | 2011-03-29 | 方向性電磁鋼板及びその製造方法 |
Country Status (9)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US9139886B2 (ja) |
EP (1) | EP2554685B1 (ja) |
JP (1) | JP5234222B2 (ja) |
KR (1) | KR101389647B1 (ja) |
CN (2) | CN102834529A (ja) |
BR (1) | BR112012024448B1 (ja) |
PL (1) | PL2554685T3 (ja) |
RU (1) | RU2509163C1 (ja) |
WO (1) | WO2011125672A1 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10662491B2 (en) | 2016-03-31 | 2020-05-26 | Nippon Steel Corporation | Grain-oriented electrical steel sheet |
KR20200076503A (ko) * | 2018-12-19 | 2020-06-29 | 주식회사 포스코 | 방향성 전기강판 및 그의 제조 방법 |
US11393612B2 (en) | 2018-02-26 | 2022-07-19 | Nippon Steel Corporation | Grain-oriented electrical steel sheet |
US11551838B2 (en) | 2018-02-08 | 2023-01-10 | Nippon Steel Corporation | Grain-oriented electrical steel sheet |
Families Citing this family (30)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013099219A1 (ja) | 2011-12-27 | 2013-07-04 | Jfeスチール株式会社 | 方向性電磁鋼板の鉄損改善装置 |
EP2799579B1 (en) | 2011-12-28 | 2018-06-20 | JFE Steel Corporation | Grain-oriented electrical steel sheet and method for manufacturing the same |
US10804015B2 (en) | 2011-12-29 | 2020-10-13 | Posco | Electrical steel sheet and method for manufacturing the same |
RU2605725C2 (ru) * | 2012-04-27 | 2016-12-27 | Ниппон Стил Энд Сумитомо Метал Корпорейшн | Электротехническая листовая сталь с ориентированной зеренной структурой и способ ее изготовления |
BR112015009485B1 (pt) | 2012-11-08 | 2020-01-14 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | aparelho de processamento a laser e método de irradiação de laser |
JP6015458B2 (ja) * | 2013-01-17 | 2016-10-26 | 日産自動車株式会社 | 界磁極用磁石体とその製造方法および製造装置 |
JP5701414B1 (ja) | 2013-03-26 | 2015-04-15 | ダイセルポリマー株式会社 | 複合成形体の製造方法 |
JP6405378B2 (ja) * | 2013-07-24 | 2018-10-17 | ポスコPosco | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
KR101538778B1 (ko) * | 2013-12-24 | 2015-07-22 | 주식회사 포스코 | 방향성 전기강판 및 그 제조방법 |
KR101962046B1 (ko) | 2014-07-03 | 2019-03-25 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 레이저 가공 장치 |
KR101881708B1 (ko) * | 2014-07-03 | 2018-07-24 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 레이저 가공 장치 |
KR101795511B1 (ko) | 2014-12-08 | 2017-11-10 | 김광섭 | 건축용 데크패널 |
KR101719231B1 (ko) | 2014-12-24 | 2017-04-04 | 주식회사 포스코 | 방향성 전기강판 및 그 제조방법 |
KR101711853B1 (ko) * | 2014-12-24 | 2017-03-03 | 주식회사 포스코 | 강판 표면 홈 형성 방법 및 그 장치 |
JP6587800B2 (ja) * | 2014-12-26 | 2019-10-09 | Jfeスチール株式会社 | 積層鉄心の製造方法 |
CN107208223B (zh) | 2015-04-20 | 2019-01-01 | 新日铁住金株式会社 | 方向性电磁钢板 |
JP6455593B2 (ja) | 2015-04-20 | 2019-01-23 | 新日鐵住金株式会社 | 方向性電磁鋼板 |
PL3287538T3 (pl) * | 2015-04-20 | 2020-07-13 | Nippon Steel Corporation | Blacha ze zorientowanej stali magnetycznej |
CN106282512B (zh) * | 2015-05-11 | 2018-03-30 | 宝山钢铁股份有限公司 | 低噪音变压器用取向硅钢片制造方法 |
JP6172403B2 (ja) * | 2015-07-28 | 2017-08-02 | Jfeスチール株式会社 | 線状溝形成方法および線状溝形成装置 |
CN110494253B (zh) * | 2016-09-23 | 2022-03-22 | Ipg光子公司 | 焊前分析和相关激光焊接方法以及利用避免金属/合金蒸汽的电子跃迁的光谱的预选择光谱带宽的光纤激光器 |
KR101944899B1 (ko) | 2016-12-22 | 2019-02-01 | 주식회사 포스코 | 방향성 전기강판의 자구미세화 방법 |
KR101884429B1 (ko) | 2016-12-22 | 2018-08-01 | 주식회사 포스코 | 방향성 전기강판 및 그 자구미세화 방법 |
CN108660303B (zh) | 2017-03-27 | 2020-03-27 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种耐消除应力退火的激光刻痕取向硅钢及其制造方法 |
CN110093486B (zh) * | 2018-01-31 | 2021-08-17 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种耐消除应力退火的低铁损取向硅钢的制造方法 |
CN113396242B (zh) * | 2019-02-08 | 2023-05-30 | 日本制铁株式会社 | 方向性电磁钢板、方向性电磁钢板的绝缘被膜形成方法及方向性电磁钢板的制造方法 |
KR102428854B1 (ko) * | 2019-12-20 | 2022-08-02 | 주식회사 포스코 | 방향성 전기강판 및 그 자구미세화 방법 |
JP6977814B2 (ja) * | 2020-05-15 | 2021-12-08 | Jfeスチール株式会社 | 線状溝形成方法および方向性電磁鋼板の製造方法 |
RU2767370C1 (ru) * | 2021-02-04 | 2022-03-17 | Публичное Акционерное Общество "Новолипецкий металлургический комбинат" | Способ производства анизотропной электротехнической стали с термостабильными лазерными барьерами |
RU2763025C1 (ru) * | 2021-02-04 | 2021-12-24 | Публичное Акционерное Общество "Новолипецкий металлургический комбинат" | Лист из анизотропной электротехнической стали со стабилизацией магнитных потерь и термостабильными лазерными барьерами |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10183251A (ja) * | 1996-12-19 | 1998-07-14 | Nippon Steel Corp | 低鉄損一方向性電磁鋼板の製造方法 |
JP2002292484A (ja) * | 2001-03-30 | 2002-10-08 | Nippon Steel Corp | レーザによる溝加工装置 |
WO2004083465A1 (ja) * | 2003-03-19 | 2004-09-30 | Nippon Steel Corporation | 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板とその製造方法 |
JP2007119821A (ja) * | 2005-10-26 | 2007-05-17 | Nippon Steel Corp | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
JP2007277644A (ja) * | 2006-04-07 | 2007-10-25 | Nippon Steel Corp | 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 |
WO2009104521A1 (ja) * | 2008-02-19 | 2009-08-27 | 新日本製鐵株式会社 | 低鉄損一方向性電磁鋼板及びその製造方法 |
Family Cites Families (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5826406B2 (ja) | 1979-10-03 | 1983-06-02 | 新日本製鐵株式会社 | 電磁鋼板の鉄損値を改善する方法及びその装置 |
US4456812A (en) | 1982-07-30 | 1984-06-26 | Armco Inc. | Laser treatment of electrical steel |
JPS61117284A (ja) | 1984-11-10 | 1986-06-04 | Nippon Steel Corp | 低鉄損一方向性電磁鋼板の製造方法 |
JPS61117218A (ja) | 1984-11-10 | 1986-06-04 | Nippon Steel Corp | 低鉄損一方向性電磁鋼板の製造方法 |
SU1744128A1 (ru) | 1990-04-04 | 1992-06-30 | Институт физики металлов Уральского отделения АН СССР | Способ изготовлени анизотропной электротехнической стали |
JP2563729B2 (ja) | 1992-08-07 | 1996-12-18 | 新日本製鐵株式会社 | パルスco2レーザを用いた方向性電磁鋼板の鉄損改善方法および装置 |
JP3369724B2 (ja) * | 1994-05-27 | 2003-01-20 | 川崎製鉄株式会社 | 鉄損の低い方向性電磁鋼板 |
IT1306157B1 (it) | 1999-05-26 | 2001-05-30 | Acciai Speciali Terni Spa | Procedimento per il miglioramento di caratteristiche magnetiche inlamierini di acciaio al silicio a grano orientato mediante trattamento |
JP4189143B2 (ja) | 2001-10-22 | 2008-12-03 | 新日本製鐵株式会社 | 低鉄損一方向性電磁鋼板の製造方法 |
TWI305548B (en) | 2005-05-09 | 2009-01-21 | Nippon Steel Corp | Low core loss grain-oriented electrical steel sheet and method for producing the same |
-
2011
- 2011-03-29 US US13/637,587 patent/US9139886B2/en active Active
- 2011-03-29 RU RU2012141317/02A patent/RU2509163C1/ru active
- 2011-03-29 CN CN2011800176183A patent/CN102834529A/zh active Pending
- 2011-03-29 WO PCT/JP2011/057883 patent/WO2011125672A1/ja active Application Filing
- 2011-03-29 KR KR1020127025467A patent/KR101389647B1/ko active IP Right Grant
- 2011-03-29 CN CN201610635961.9A patent/CN106181044B/zh active Active
- 2011-03-29 BR BR112012024448-5A patent/BR112012024448B1/pt active IP Right Grant
- 2011-03-29 EP EP11765572.0A patent/EP2554685B1/en active Active
- 2011-03-29 JP JP2012509491A patent/JP5234222B2/ja active Active
- 2011-03-29 PL PL11765572T patent/PL2554685T3/pl unknown
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10183251A (ja) * | 1996-12-19 | 1998-07-14 | Nippon Steel Corp | 低鉄損一方向性電磁鋼板の製造方法 |
JP2002292484A (ja) * | 2001-03-30 | 2002-10-08 | Nippon Steel Corp | レーザによる溝加工装置 |
WO2004083465A1 (ja) * | 2003-03-19 | 2004-09-30 | Nippon Steel Corporation | 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板とその製造方法 |
JP2007119821A (ja) * | 2005-10-26 | 2007-05-17 | Nippon Steel Corp | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
JP2007277644A (ja) * | 2006-04-07 | 2007-10-25 | Nippon Steel Corp | 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 |
WO2009104521A1 (ja) * | 2008-02-19 | 2009-08-27 | 新日本製鐵株式会社 | 低鉄損一方向性電磁鋼板及びその製造方法 |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10662491B2 (en) | 2016-03-31 | 2020-05-26 | Nippon Steel Corporation | Grain-oriented electrical steel sheet |
US11551838B2 (en) | 2018-02-08 | 2023-01-10 | Nippon Steel Corporation | Grain-oriented electrical steel sheet |
US11393612B2 (en) | 2018-02-26 | 2022-07-19 | Nippon Steel Corporation | Grain-oriented electrical steel sheet |
KR20200076503A (ko) * | 2018-12-19 | 2020-06-29 | 주식회사 포스코 | 방향성 전기강판 및 그의 제조 방법 |
KR102149826B1 (ko) * | 2018-12-19 | 2020-08-31 | 주식회사 포스코 | 방향성 전기강판 및 그의 제조 방법 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
BR112012024448A2 (pt) | 2016-05-31 |
PL2554685T3 (pl) | 2017-01-31 |
EP2554685A1 (en) | 2013-02-06 |
US20130017408A1 (en) | 2013-01-17 |
EP2554685B1 (en) | 2016-07-27 |
KR20120127666A (ko) | 2012-11-22 |
US9139886B2 (en) | 2015-09-22 |
WO2011125672A1 (ja) | 2011-10-13 |
EP2554685A4 (en) | 2014-05-21 |
KR101389647B1 (ko) | 2014-04-30 |
CN102834529A (zh) | 2012-12-19 |
CN106181044B (zh) | 2019-04-09 |
BR112012024448B1 (pt) | 2018-06-05 |
CN106181044A (zh) | 2016-12-07 |
RU2509163C1 (ru) | 2014-03-10 |
JPWO2011125672A1 (ja) | 2013-07-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5234222B2 (ja) | 方向性電磁鋼板及びその製造方法 | |
JP5158285B2 (ja) | 方向性電磁鋼板 | |
JP6200908B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP5935880B2 (ja) | 方向性電磁鋼板及びその製造方法 | |
RU2509814C1 (ru) | Электротехническая листовая сталь с ориентированными зернами и способ ее производства | |
JP7010311B2 (ja) | 方向性電磁鋼板 | |
JP2007002334A (ja) | 低鉄損方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP4398666B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP6838321B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法、及び方向性電磁鋼板 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130226 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5234222 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160405 Year of fee payment: 3 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |