以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1はパチンコ機10の正面図である。
パチンコ機10は、図1に示すように、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12とを有する。遊技機本体12は、内枠(図示略)と、その内枠の前方に配置される前扉枠14と、内枠の後方に配置される裏パックユニット(図示略)とを備えている。
遊技機本体12のうち内枠が、左右両側部のうち一方を支持側として外枠11に回動可能に支持されている。また、内枠には、前扉枠14が回動可能に支持されており、左右両側部のうち一方を支持側として前方へ回動可能とされている。また、内枠には、裏パックユニットが回動可能に支持されており、左右両側部のうち一方を支持側として後方へ回動可能とされている。
なお、遊技機本体12には、その回動先端部に施錠装置(図示略)が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能を有しているとともに、前扉枠14を内枠に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠17に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
内枠には遊技盤20が搭載されている。遊技盤20には前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口21,可変入賞装置22,上作動口23,下作動口24,スルーゲート25、可変表示ユニット26、メイン表示部33及び役物用表示部34等がそれぞれ設けられている。
一般入賞口21、可変入賞装置22、上作動口23及び下作動口24への入球が発生すると、それが遊技盤20の背面側に配設された検知センサ(図示略)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤20の最下部にはアウト口27が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口27を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤20には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘28が植設されていると共に、風車等の各種部材が配設されている。
ここで、入球とは、所定の開口部を遊技球が通過することを意味し、開口部を通過した後に遊技領域から排出される態様だけでなく、開口部を通過した後に遊技領域から排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口27への遊技球の入球と明確に区別するために、可変入賞装置22、上作動口23、下作動口24又はスルーゲート25への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
上作動口23及び下作動口24は、作動口装置としてユニット化されて遊技盤20に設置されている。上作動口23及び下作動口24は共に上向きに開放されている。また、上作動口23が上方となるようにして両作動口23,24は鉛直方向に並んでいる。下作動口24には、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての電動役物24aが設けられている。電動役物24aの閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)では遊技球が下作動口24に入賞できず、電動役物24aが開放状態(サポート状態又はガイド状態)となることで下作動口24への入賞が可能となる。
可変入賞装置22は、遊技盤20の背面側へと通じる大入賞口22aを備えているとともに、当該大入賞口22aを開閉する開閉扉22bを備えている。開閉扉22bは、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉鎖状態になっており、内部抽選において開閉実行モードへの移行に当選した場合に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードについては、後に詳細に説明する。可変入賞装置22の開放態様としては、所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置22が繰り返し開放される態様がある。
メイン表示部33及び役物用表示部34は、遊技領域の下部側に設けられている。メイン表示部33では、上作動口23又は下作動口24への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。つまり、本パチンコ機10では、上作動口23への入賞と下作動口24への入賞とが内部抽選において区別されておらず、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が共通の表示領域であるメイン表示部33にて明示される。そして、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、メイン表示部33にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、開閉実行モードへ移行する。
なお、メイン表示部33は、複数のセグメント発光部が所定の態様で配列されてなるセグメント表示器により構成されているが、これに限定されることはなく、液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT、ドットマトリックス等その他のタイプの表示装置によって構成されていてもよい。また、メイン表示部33にて変動表示される絵柄としては、複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数種の色が切り換え表示される構成などが考えられる。
役物用表示部34では、スルーゲート25への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート25への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート25への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、役物用表示部34にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口24に設けられた電動役物24aが所定の態様で開放状態となる。
可変表示ユニット26には、絵柄の一種である図柄を変動表示する図柄表示装置31が設けられている。また、可変表示ユニット26には、図柄表示装置31を囲むようにしてセンターフレーム32が配設されている。このセンターフレーム32は、その上部がパチンコ機10前方に延出している。これにより、図柄表示装置31の表示面の前方を遊技球が落下していくのが防止されており、遊技球の落下により表示面の視認性が低下するといった不都合が生じない構成となっている。
図柄表示装置31は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。なお、図柄表示装置31は、液晶表示装置であることに限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった他の表示装置であってもよい。
図柄表示装置31では、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づいて図柄の変動表示が開始される。すなわち、メイン表示部33において変動表示が行われる場合には、それに合わせて図柄表示装置31において変動表示が行われる。そして、例えば、遊技結果が大当たり結果となる遊技回では、図柄表示装置31では予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示される。
図柄表示装置31の表示内容について、図2及び図3を参照して詳細に説明する。図2は図柄表示装置31にて変動表示される図柄を個々に示す図であり、図3は図柄表示装置31の表示面Gを示す図である。
図2(a)〜(j)に示すように、絵柄の一種である図柄は、「1」〜「9」の数字が各々付された9種類の主図柄と、貝形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。より詳しくは、タコ等の9種類のキャラクタ図柄に「1」〜「9」の数字がそれぞれ付されて主図柄が構成されている。
図3(a)に示すように、図柄表示装置31の表示面Gには、複数の表示領域として、上段・中段・下段の3つの図柄列SA1,SA2,SA3が設定されている。各図柄列SA1〜SA3は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。詳細には、上図柄列SA1には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列SA3には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。
つまり、上図柄列SA1と下図柄列SA3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列SA2には、数字の昇順に「1」〜「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列SA2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。そして、表示面Gでは、これら各図柄列SA1〜SA3の図柄が周期性をもって所定の向きにスクロールするように変動表示される。
図3(b)に示すように、表示面Gは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。また、表示面Gには、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。そして、上図柄列SA1→下図柄列SA3→中図柄列SA2の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに同一の数字が付された図柄の組み合わせが形成された状態で全図柄列SA1〜SA3の変動表示が終了すれば、後述する通常大当たり結果又は15R確変大当たり結果の発生として大当たり動画が表示されるようになっている。
本パチンコ機10では、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「特定図柄」に相当し、15R確変大当たり結果が発生する場合には、同一の特定図柄の組み合わせが停止表示される。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「非特定図柄」に相当し、通常大当たり結果が発生する場合には、同一の非特定図柄の組み合わせが停止表示される。
また、後述する明示2R確変大当たり結果となる場合には、同一の図柄の組み合わせとは異なる所定の図柄の組み合わせが形成された状態で全図柄列SA1〜SA3の変動表示が終了し、その後に、明示用動画が表示されるようになっている。
なお、図柄表示装置31における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、図柄表示装置31にて変動表示される絵柄は上記のような図柄に限定されることはなく、例えば絵柄として数字のみが変動表示される構成としてもよい。
また、いずれかの作動口23,24への入賞に基づいて、メイン表示部33及び図柄表示装置31にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
センターフレーム32の前面側における左上部分には、メイン表示部33及び図柄表示装置31に対応した第1保留発光部35が設けられている。遊技球が上作動口23又は下作動口24に入賞した個数は最大4個まで保留され、第1保留発光部35の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
センターフレーム32の右上部分には、役物用表示部34に対応した第2保留発光部36が設けられている。遊技球がスルーゲート25を通過した回数は最大4回まで保留され、第2保留発光部36の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、各保留発光部35,36の機能が図柄表示装置31の一部の領域における表示により果たされる構成としてもよい。
遊技盤20には、レール部37が取り付けられており、当該レール部37により誘導レールが構成され、内枠において遊技盤20の下方に搭載された遊技球発射機構(図示略)から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。遊技球発射機構は、前扉枠14に設けられた発射ハンドル41が操作されることにより遊技球の発射動作が行われる。
内枠の前面側全体を覆うようにして前扉枠14が設けられている。前扉枠14には、図1に示すように、遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部42が形成されている。窓部42は、略楕円形状をなし、図示しない窓パネルが嵌め込まれている。窓パネルは、ガラスによって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成してもよい。
窓部42の周囲には、発光手段が設けられている。当該発光手段の一部として表示発光部44が窓部42の上方に設けられている。また、表示発光部44の左右両側には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部45が設けられている。
前扉枠14における窓部42の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部46と下側膨出部47とが上下に並設されている。上側膨出部46内側には上方に開口した上皿46aが設けられており、下側膨出部47内側には同じく上方に開口した下皿47aが設けられている。上皿46aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿47aは、上皿46a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。上皿46a及び下皿47aには、裏パックユニットに搭載された払出装置から払い出された遊技球が排出される。
上側膨出部46においてパチンコ機10前方を向く領域には、遊技者により手動操作される操作部を具備する演出用操作装置48が設けられている。演出用操作装置48の操作部は、図柄表示装置31の表示面Gなどにおける演出内容を所定の演出内容とするために遊技者により手動操作される。
内枠の背面側には、主制御装置と、音声発光制御装置と、表示制御装置とが搭載されている。また、内枠の背面に対しては既に説明したとおり裏パックユニットが設けられており、当該裏パックユニットには、払出装置を含む払出機構部と、払出制御装置と、電源及び発射制御装置とが搭載されている。以下、パチンコ機10の電気的な構成について説明する。
<パチンコ機10の電気的構成>
図4は、パチンコ機10の基本的な電気的構成を示すブロック図である。
<主制御装置50>
主制御装置50は、遊技の主たる制御を司る主制御基板51を具備している。なお、主制御装置50において主制御基板51などを収容する基板ボックスに対して、その開放の痕跡を残すための痕跡手段を付与する又はその開放の痕跡を残すための痕跡構造を設けておくようにしてもよい。当該痕跡手段としては、基板ボックスを構成する複数のケース体を分離不能に結合するとともにその分離に際して所定部位の破壊を要する結合部(カシメ部)の構成や、引き剥がしにして粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成が考えられる。また、痕跡構造としては、基板ボックスを構成する複数のケース体間の境界に対して接着剤を塗布する構成が考えられる。
主制御基板51には、MPU52が搭載されている。MPU52には、当該MPU52により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM53と、そのROM53内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM54と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。
なお、ROM53として、制御プログラムや固定値データの読み出しに際してランダムアクセスが可能であって、記憶保持に外部からの電力供給が不要な記憶手段(すなわち、不揮発性記憶手段)が用いられている。また、制御及び演算部分と、ROM53と、RAM54とが1チップ化されている構成は必須ではなく、各機能がそれぞれ別チップとして搭載されている構成としてもよく、一部の機能が別チップとして搭載されている構成としてもよい。
MPU52には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU52の入力側には、電源及び発射制御装置57が接続されている。電源及び発射制御装置57は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板51に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を供給する。ちなみに、当該動作電力は主制御基板51だけでなく、払出制御装置55や後述する表示制御装置130といった他の機器にも供給される。
なお、MPU52と電源及び発射制御装置57との電力経路上に停電監視基板を設けてもよい。この場合、当該停電監視基板により停電の発生が監視され、停電の発生が確認された場合にはMPU52に対して停電信号が送信されるようにすることで、MPU52において停電時用の処理を実行することが可能となる。
また、MPU52の入力側には、図示しない各種センサが接続されている。当該各種センサの一部として、一般入賞口21、可変入賞装置22、上作動口23、下作動口24及びスルーゲート25といった入賞対応入球部に対して1対1で設けられた検知センサが含まれており、MPU52において各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。また、MPU52では上作動口23及び下作動口24への入賞に基づいて大当たり発生抽選及び大当たり結果種別抽選を実行するとともに、各遊技回のリーチ発生抽選や表示継続期間の決定抽選を実行する。
ここで、MPU52にて各種抽選を行うための構成について説明する。
MPU52は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、メイン表示部33の表示の設定、図柄表示装置31の図柄表示の設定、役物用表示部34の表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図5に示すように、大当たり発生抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たり結果や通常大当たり結果等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置31が外れ変動する際のリーチ発生抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、メイン表示部33及び図柄表示装置31における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、下作動口24の電動役物24aを電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM54の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ54aに適宜格納される。このうち抽選カウンタ用バッファ54aにおいて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、上作動口23又は下作動口24への入賞が発生した場合に、取得情報記憶手段としての保留球格納エリア54bに格納される。
保留球格納エリア54bは、保留用エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留用エリアREは、第1保留エリアRE1、第2保留エリアRE2、第3保留エリアRE3及び第4保留エリアRE4を備えており、上作動口23又は下作動口24への入賞履歴に合わせて、抽選カウンタ用バッファ54aに格納されている大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報が保留情報として、いずれかの保留エリアRE1〜RE4に格納される。
この場合、第1保留エリアRE1〜第4保留エリアRE4には、上作動口23又は下作動口24への入賞が複数回連続して発生した場合に、第1保留エリアRE1→第2保留エリアRE2→第3保留エリアRE3→第4保留エリアRE4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このように4つの保留エリアRE1〜RE4が設けられていることにより、上作動口23又は下作動口24への遊技球の入賞履歴が最大4個まで保留記憶されるようになっている。また、保留用エリアREは、保留数記憶エリアNAを備えており、当該保留数記憶エリアNAには上作動口23又は下作動口24への入賞履歴を保留記憶している数を特定するための情報が格納される。
なお、保留記憶可能な数は、4個に限定されることはなく任意であり、2個、3個又は5個以上といったように他の複数であってもよく、単数であってもよい。
実行エリアAEは、メイン表示部33の変動表示を開始する際に、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納された各値を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。
上記各カウンタについて詳細に説明する。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が上作動口23又は下作動口24に入賞したタイミングで保留球格納エリア54bに格納される。
大当たり当選となる乱数の値は、ROM53における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリアに当否テーブルとして記憶されている。当否テーブルとしては、低確率モード用の当否テーブルと、高確率モード用の当否テーブルとが設定されている。つまり、本パチンコ機10は、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モードと高確率モードとが設定されている。
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は2個である。一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は20個である。なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数は任意である。
大当たり種別カウンタC2は、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が上作動口23又は下作動口24に入賞したタイミングで保留球格納エリア54bに格納される。
本パチンコ機10では、複数の大当たり結果が設定されている。これら複数の大当たり結果は、(1)開閉実行モードにおける可変入賞装置22の開閉制御の態様、(2)開閉実行モード終了後の当否抽選手段における抽選モード、(3)開閉実行モード終了後の下作動口24の電動役物24aにおけるサポートモード、という3つの条件に差異を設けることにより、複数の大当たり結果が設定されている。
開閉実行モードにおける可変入賞装置22の開閉制御の態様としては、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置22への入賞の発生頻度が相対的に高低となるように高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとが設定されている。具体的には、高頻度入賞モードでは、開閉実行モードの開始から終了までに、大入賞口22aの開閉が15回(高頻度用回数)行われるとともに、1回の開放は30sec(高頻度時間)が経過するまで又は大入賞口22aへの入賞個数が10個(高頻度個数)となるまで継続される。一方、低頻度入賞モードでは、開閉実行モードの開始から終了までに、大入賞口22aの開閉が2回(低頻度用回数)行われるとともに、1回の開放は0.2sec(低頻度時間)が経過するまで又は大入賞口22aへの入賞個数が6個(低頻度個数)となるまで継続される。
本パチンコ機10では、発射ハンドル41が遊技者により操作されている状況では、0.6secに1個の遊技球が遊技領域に向けて発射されるように遊技球発射機構58が駆動制御される。これに対して、低頻度入賞モードでは、上記のとおり1回の大入賞口22aの開放時間は0.2secとなっている。つまり、低頻度入賞モードでは、遊技球の発射周期よりも1回の大入賞口22aの開放時間が短くなっている。したがって、低頻度入賞モードにかかる開閉実行モードでは実質的に遊技球の入賞が発生しない。
なお、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードにおける大入賞口22aの開閉回数、1回の開放に対する開放制限時間及び1回の開放に対する開放制限個数は、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置22への入賞の発生頻度が高くなるのであれば、上記の値に限定されることはなく任意である。具体的には、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉回数が多い、1回の開放に対する開放制限時間が長い又は1回の開放に対する開放制限個数が多く設定されていればよい。
但し、高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとの間での特典の差異を明確にする上では、低頻度入賞モードにかかる開閉実行モードでは、実質的に可変入賞装置22への入賞が発生しない構成とするとよい。例えば、高頻度入賞モードでは、1回の開放について、遊技球の発射周期と開放制限個数との積を、開放制限時間よりも短く設定する一方、低頻度入賞モードでは、1回の開放について、遊技球の発射周期と開放制限個数との積を、開放制限時間よりも長く設定する構成としてもよい。また、遊技球の発射間隔及び1回の大入賞口22aの開放時間が上記のものでなかったとしても、低頻度入賞モードでは、前者よりも後者の方が短くなるように設定することで、実質的に可変入賞装置22への入賞が発生しない構成を容易に実現することができる。
下作動口24の電動役物24aにおけるサポートモードとしては、遊技領域に対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、下作動口24の電動役物24aが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物開放カウンタC4を用いた電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放状態当選となった際に電動役物24aが開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放状態当選となり電動役物24aの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間として短い時間が選択されるように設定されている。
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも下作動口24への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、下作動口24よりも上作動口23への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、上作動口23よりも下作動口24への入賞が発生する確率が高くなる。そして、下作動口24への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。また、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間(例えば、スルーゲート25への入賞に基づき役物用表示部34にて実行される変動表示の時間)が複数種類用意されている構成においては、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、短い確保時間が選択され易い又は平均の確保時間が短くなるように設定されていてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間を短くする(すなわち、役物用表示部34における1回の変動表示時間を短くする)、係る確保時間の平均時間を短くする及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM53における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリアに振分テーブルとして記憶されている。そして、かかる振分先として、通常大当たり結果と、明示2R確変大当たり結果と、15R確変大当たり結果とが設定されている。
通常大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。換言すれば、通常大当たり結果は、通常大当たり状態(低確率対応特別遊技状態)へ遊技状態を移行させる大当たり結果である。
明示2R確変大当たり結果は、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。換言すれば、明示2R確変大当たり結果は、明示2R確変大当たり状態(明示高確率対応遊技状態)へ遊技状態を移行させる大当たり結果である。
15R確変大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。換言すれば、15R確変大当たり結果は、15R確変大当たり状態(高確率対応特別遊技状態)へ遊技状態を移行させる大当たり結果である。
なお、上記各遊技状態との関係で通常遊技状態とは、当否抽選モードが低確率モードであり、サポートモードが低頻度サポートモードである状態をいう。
振分テーブルでは、「0〜29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0〜9」が通常大当たり結果に対応しており、「10〜14」が明示2R確変大当たり結果に対応しており、「15〜29」が15R確変大当たり結果に対応している。
上記のように、確変大当たり結果として、明示2R確変大当たり結果が設定されていることにより、確変大当たり結果の態様が多様化する。すなわち、2種類の確変大当たり結果を比較した場合、遊技者にとっての有利度合いは、開閉実行モードにおいて高頻度入賞モードとなり且つサポートモードでは高頻度サポートモードとなる15R確変大当たり結果が最も高く、開閉実行モードにおいて低頻度入賞モードとなるもののサポートモードでは高頻度サポートモードとなる明示2R確変大当たり結果が最も低くなる。これにより、遊技の単調化が抑えられ、遊技への注目度を高めることが可能となる。
なお、確変大当たり結果の一種として、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードがそれまでのモードに維持されることとなる非明示2R確変大当たり結果(非明示高確率対応遊技結果又は潜伏確変状態となる結果)が含まれていてもよい。この場合、確変大当たり結果のさらなる多様化が図られる。
さらにまた、当否抽選における外れ結果の一種として、低頻度入賞モードの開閉実行モードに移行するとともに、その終了後において当否抽選モード及びサポートモードの移行が発生しない特別外れ結果が含まれていてもよい。上記のような非明示2R確変大当たり結果と当該特別外れ結果との両方が設定されている構成においては、開閉実行モードが低頻度入賞モードに移行すること、及びサポートモードがそれまでのモードに維持されることで共通しているのに対して、当否抽選モードの移行態様が異なっていることにより、例えば通常遊技状態において非明示2R確変大当たり結果又は特別外れ結果の一方が発生した場合に、それが実際にいずれの結果に対応しているのかを遊技者に予測させることが可能となる。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が上作動口23又は下作動口24に入賞したタイミングで保留球格納エリア54bに格納される。
ここで、本パチンコ機10には、図柄表示装置31における表示演出の一種として期待演出が設定されている。期待演出とは、図柄の変動表示を行うことが可能な図柄表示装置31を備え、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなる遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となる遊技機において、図柄表示装置31における図柄の変動表示が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、前記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
期待演出には、上記リーチ表示と、当該リーチ表示が発生する前段階などにおいてリーチ表示の発生や特別表示結果の発生を期待させるための予告表示との2種類が設定されている。
リーチ表示には、図柄表示装置31の表示面Gに表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態が含まれる。また、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画像において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
図柄の変動表示に係るリーチ表示について具体的には、図柄の変動表示を終了させる前段階として、図柄表示装置31の表示面内の予め設定された有効ライン上に、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性のあるリーチ図柄の組み合わせを停止表示させることによりリーチラインを形成させ、当該リーチラインが形成されている状況下において最終停止図柄列により図柄の変動表示を行うことである。
図3の表示内容について具体的に説明すると、最初に上段の図柄列SA1において図柄の変動表示が終了され、さらに下段の図柄列SA3において図柄の変動表示が終了された状態において、いずれかの有効ラインL1〜L5に同一の数字が付された主図柄が停止表示されることでリーチラインが形成され、当該リーチラインが形成されている状況化において中段の図柄列SA2において図柄の変動表示が行われることでリーチ表示となる。そして、高頻度入賞モードが発生する場合には、リーチラインを形成している主図柄と同一の数字が付された主図柄がリーチライン上に停止表示されるようにして中段の図柄列SA2における図柄の変動表示が終了される。
予告表示には、図柄表示装置31の表示面において図柄の変動表示が開始されてから、全ての図柄列SA1〜SA3にて図柄が変動表示されている状況において、又は一部の図柄列であって複数の図柄列にて図柄が変動表示されている状況において、図柄列SA1〜SA3上の図柄とは別にキャラクタを表示させる態様が含まれる。また、背景画像をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものや、図柄列SA1〜SA3上の図柄をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものも含まれる。かかる予告表示は、リーチ表示が行われる場合及びリーチ表示が行われない場合のいずれの遊技回においても発生し得るが、リーチ表示の行われる場合の方がリーチ表示の行われない場合よりも高確率で発生するように設定されている。
リーチ表示は、高頻度入賞モードとなる開閉実行モードに移行する遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行され、低頻度入賞モードとなる開閉実行モードに移行する遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行されない。また、開閉実行モードに移行しない遊技回では、ROM53のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルを参照して、所定のタイミングで取得したリーチ乱数カウンタC3がリーチ表示の発生に対応している場合に実行される。一方、予告表示を行うか否かの決定は、主制御装置50において行うのではなく、音声発光制御装置60において行われる。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、メイン表示部33における変動表示時間と、図柄表示装置31における図柄の変動表示時間とをMPU52において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、メイン表示部33における変動表示の開始時及び図柄表示装置31による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。なお、変動表示時間の決定に際しては、ROM53の変動表示時間テーブル記憶エリアに予め記憶されている変動表示時間テーブルが参照される。
電動役物開放カウンタC4は、例えば、0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート25に遊技球が入賞したタイミングで電役保留エリア54cに格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC4の値によって電動役物24aを開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。
MPU52の出力側には、払出制御装置55が接続されているとともに、電源及び発射制御装置57が接続されている。払出制御装置55には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが送信される。払出制御装置55は、主制御装置50から受信した賞球コマンドに基づいて、払出装置56により賞球や貸し球の払出制御を行う。電源及び発射制御装置57には、発射ハンドル41が操作されていることに基づいて発射許可コマンドが送信される。電源及び発射制御装置57は、主制御装置50から受信した発射許可コマンドに基づいて、遊技球発射機構58を駆動させ遊技球を遊技領域に向けて発射させる。
また、MPU52の出力側には、メイン表示部33及び役物用表示部34が接続されており、これらメイン表示部33及び役物用表示部34の表示制御がMPU52により直接行われる。つまり、各遊技回に際しては、MPU52においてメイン表示部33の表示制御が実行される。また、電動役物24aを開放状態とするか否かの抽選結果を明示する場合に、MPU52において役物用表示部34の表示制御が実行される。
また、MPU52の出力側には、可変入賞装置22の開閉扉22bを開閉動作させる可変入賞駆動部、及び下作動口24の電動役物24aを開閉動作させる電動役物駆動部が接続されている。つまり、開閉実行モードにおいては大入賞口22aが開閉されるように、MPU52において可変入賞駆動部の駆動制御が実行される。また、電動役物24aの開放状態当選となった場合には、電動役物24aが開閉されるように、MPU52において電動役物駆動部の駆動制御が実行される。
また、MPU52の出力側には、音声発光制御装置60が接続されており、当該音声発光制御装置60に対して演出用の各種コマンドを送信する。
<主制御装置50のMPU52にて実行される処理>
次に、MPU52にて実行される処理について説明する。
MPU52は、電源の立ち上げ後において所定の遊技進行用処理を繰り返し実行する。本パチンコ機10では、当該遊技進行用処理として、第1の周期で繰り返し実行される通常処理と、第1の周期よりも短い第2の周期で起動され、通常処理に対して割り込んで実行されるタイマ割込み処理と、が設定されている。
図6は、タイマ割込み処理を示すフローチャートである。なお、本処理はMPU52により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
先ずステップS101では、読み込み処理を実行する。当該読み込み処理では、各種入賞検知センサの状態を読み込み、これら各種入賞検知センサの状態を判定して入賞検知情報を保存する処理を実行する。また、賞球の発生に対応した入賞検知センサにおいて遊技球の入賞が検知されている場合には、払出制御装置55に対して賞球の払い出し指示を行うための賞球コマンドを設定する。
続くステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。
続くステップS103では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。
続くステップS104では、スルーゲート25への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行する。スルー用の入賞処理では、電役保留エリア54cに記憶されている役物保留記憶数が4未満であることを条件として、前記ステップS103にて更新した電動役物開放カウンタC4の値を電役保留エリア54cに格納する。
その後、ステップS105にて、作動口23,24への入賞に伴う作動口用の入賞処理を実行する。作動口用の入賞処理では、上作動口23又は下作動口24への入賞が発生していた場合には、保留球格納エリア54bに記憶されている始動保留記憶数が上限数(例えば、「4」)未満であることを条件として、前記ステップS103にて更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報を保留球格納エリア54bの保留用エリアREに格納する。この場合、保留用エリアREの空き保留エリアRE1〜RE4のうち最初の保留エリア、すなわち現状の始動保留記憶数と対応する保留エリアに格納する。ステップS105の処理を実行した後に、本タイマ割込み処理を終了する。
図7は、通常処理を示すフローチャートである。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理である。その概要として、ステップS201〜ステップS209の処理が4msec周期の処理として実行され、その残余時間でステップS210及びステップS211のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
ステップS201では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを払出制御装置55に対して送信する。また、所定の演出用コマンドが設定されている場合にはそれを音声発光制御装置60に対して送信する。
続くステップS202では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1加算すると共に、カウンタ値が最大値に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。
続くステップS203では、各遊技回における遊技を制御するための遊技回制御処理を実行する。この遊技回制御処理では、大当たり判定、図柄表示装置31による図柄の変動表示の設定、及びメイン表示部33の表示制御などを行う。
その後、ステップS204では、遊技状態を移行させるための遊技状態移行処理を実行する。遊技状態移行処理では、大当たり当選に対応した遊技回が終了している場合に開閉実行モードへの移行処理を実行し、可変入賞装置22の開閉処理を開始する。なお、開閉実行モードを開始する場合、開閉実行モード中、及び開閉実行モードを終了する場合などに、開閉実行モード用の各種コマンドを音声発光制御装置60に送信する。また、開閉実行モードが終了した場合には、当該モードの開始契機となった遊技回に係る大当たり種別に対応させて、当否抽選モードの移行やサポートモードの移行を実行する。
続くステップS205では、デモ表示用処理を実行する。デモ表示用処理では、開閉実行モード中ではない状況で遊技回の終了後において新たな遊技回が開始されることなく予め定められたデモ開始用の開始待ち期間(例えば、0.1sec)が経過したか否かの判定処理を実行する。また、MPU52への電力供給が開始されてから又はパチンコ機10がリセットされてから、新たに遊技回が開始されることなく予め定められたデモ開始用の開始待ち期間(例えば、3sec)が経過したか否かの判定処理を実行する。そして、経過していると判定した場合には、デモ表示用のコマンドを音声発光制御装置60に送信する。
なお、デモ表示とは、予め定められた開始待ち期間が経過している場合に、図柄表示装置31の表示面Gにて表示される開始待ち演出のことをいう。デモ画像では、図柄列SA1〜SA3上に停止表示されている図柄が所定の動作を行っている画像が表示されるが、これに限定されることはなく、例えば、図柄が所定の動作を行っている画像の表示の後に又はそれに代えてメーカ名、機種名若しくは所定のキャラクタによる動画が表示される構成としてもよい。また、図柄列SA1〜SA3上において変動表示される図柄のアニメーションによりデモ表示を行う構成においては、当該図柄として、直前の遊技回で最終停止表示された図柄を用いる構成としてもよい。この場合、デモ表示の多様化が図られる。
続くステップS206では、下作動口24に設けられた電動役物24aを駆動制御するための電役サポート用処理を実行する。この電役サポート用処理では、RAM54の電役保留エリア54cに格納されている情報を用いて電動役物24aを開放状態とするか否かの判定、電動役物24aの開閉処理及び役物用表示部34の表示制御などを行う。
その後、ステップS207では、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源及び発射制御装置57から発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構58のソレノイドを励磁する。これにより、遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。
続くステップS208では、RAM54に電断フラグが格納されているか否かを判定する。電断フラグは、電断の発生が確認された場合に格納され、次回のメイン処理にて消去されるフラグである。
電断フラグが格納されていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS209にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する。
つまり、ステップS210では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。また、ステップS211では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。
ここで、ステップS201〜S207の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
一方、ステップS208にて、電断フラグが格納されていると判定した場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS212以降の電断時処理を実行する。つまり、ステップS212では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS213にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS214にてRAM54のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
次に、ステップS203の遊技回制御処理を図8等のフローチャートを参照して説明する。
遊技回制御処理では、先ずステップS301にて、開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中である場合には、ステップS302以降の処理を実行することなく、本遊技回制御処理を終了する。つまり、開閉実行モード中である場合には、作動口23,24への入賞が発生しているか否かに関係なく、遊技回が開始されることはない。
開閉実行モード中でない場合には、ステップS302にて、メイン表示部33が変動表示中であるか否かを判定する。メイン表示部33が変動表示中でない場合には、ステップS303〜ステップS305の遊技回開始用処理に進む。
遊技回開始用処理では、先ずステップS303にて、始動保留球数Nが「0」であるか否かを判定する。始動保留球数Nが「0」である場合とは、保留球格納エリア54bに保留情報が記憶されていないことを意味する。したがって、そのまま本遊技回制御処理を終了する。
始動保留球数Nが「0」でない場合には、ステップS304にて保留球格納エリア54bの保留用エリアREに記憶されているデータを変動表示用に設定するためのデータ設定処理を実行する。具体的には、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納されているデータを実行エリアAEにシフトする。その後、第1保留エリアRE1〜第4保留エリアRE4に格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる。その後、ステップS305にて変動開始処理を実行した後に、本遊技回制御処理を終了する。
ステップS305の変動開始処理について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS401にて、今回の変動開始処理に対応した保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定するための当否判定処理を実行する。具体的には実行エリアAEにシフトされた保留情報のうち大当たり乱数カウンタC1に係る数値情報と、現状の当否抽選モードに対応した当否テーブルとを参照して、大当たり当選となるか否かを判定する。
続くステップS402では大当たり当選であるか否かを判定する。大当たり当選である場合には、ステップS403にて種別判定処理を実行する。種別判定処理では、実行エリアAEにシフトされた保留情報のうち大当たり種別カウンタC2に係る数値情報と、振分テーブルとを参照して、大当たり種別を特定する。
続くステップS404では、大当たり結果に対応した停止結果設定処理を実行する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回においてメイン表示部33に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、ROM53に予め記憶されている大当たり結果用の停止結果テーブルから特定し、その特定した情報をRAM54に記憶する。この大当たり結果用の停止結果テーブルには、メイン表示部33に停止表示される絵柄の態様の種類が、大当たり結果の種類毎に相違させて設定されており、ステップS404では、ステップS403にて特定した大当たり結果の種類に応じた絵柄の態様の情報をRAM54に記憶する。
一方、ステップS402にて、大当たり当選ではないと判定した場合には、ステップS405にて、外れ時用の停止結果設定処理を実行する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回においてメイン表示部33に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、ROM53に予め記憶されている外れ時用の停止結果テーブルから特定し、その特定した情報をRAM54に記憶する。この場合に選択される絵柄の態様の情報は、大当たり結果の場合に選択される絵柄の態様の情報とは異なっている。
ステップS404又はステップS405の処理を実行した後は、ステップS406にて、変動表示時間の設定処理を実行する。
かかる処理では、RAM54の抽選カウンタ用バッファ54aにおける変動種別カウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCSの値を取得する。また、今回の遊技回において図柄表示装置31にてリーチ表示が発生するか否かを判定する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回が大当たり結果である場合には、リーチ表示が発生すると判定する。また、大当たり結果ではない場合であっても、実行エリアAEに格納されているリーチ乱数カウンタC3に係る数値情報がリーチ発生に対応した数値情報である場合には、リーチ表示が発生すると判定する。
リーチ表示が発生すると判定した場合には、ROM53に記憶されているリーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して、今回の変動種別カウンタCSの値に対応した変動表示時間情報を取得し、その変動表示時間情報をRAM54に設けられた変動表示時間カウンタにセットする。一方、リーチ表示が発生しないと判定した場合には、ROM53に記憶されているリーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して、今回の変動種別カウンタCSの値に対応した変動表示時間情報を取得し、その変動表示時間情報を上記変動表示時間カウンタにセットする。ちなみに、リーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して取得され得る変動表示時間は、リーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して取得され得る変動表示時間と異なっている。
なお、リーチ非発生時における変動表示時間情報は、始動保留球数の数が多いほど、変動表示時間が短くなるように設定されている。また、サポートモードが高頻度サポートモードである状況においては低頻度サポートモードである状況よりも、保留情報の数が同一である場合で比較して、短い変動表示時間が選択されるようにリーチ非発生用変動表示時間テーブルが設定されている。但し、これに限定されることはなく、始動保留球数やサポートモードに応じて変動表示時間が変動しない構成としてもよく、上記の関係とは逆であってもよい。さらには、リーチ発生時における変動表示時間に対して、上記構成を適用してもよい。また、各種大当たり結果の場合、外れリーチ時の場合及びリーチ非発生の場合のそれぞれに対して個別に変動表示時間テーブルが設定されていてもよい。
ステップS406にて、変動表示時間の設定処理を実行した後は、ステップS407にて、変動用コマンド及び種別コマンドを設定する。変動用コマンドには、変動表示時間の情報が含まれる。ここで、上記のとおりリーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して取得される変動表示時間は、リーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して取得される変動表示時間と異なっているため、変動用コマンドにリーチ発生の有無の情報が含まれていなかったとしても、サブ側の制御装置である音声発光制御装置60では変動表示時間の情報からリーチ発生の有無を特定することは可能である。この点、変動用コマンドには、リーチ発生の有無を示す情報が含まれているとも言える。なお、変動用コマンドにリーチ発生の有無を直接示す情報が含まれていてもよい。
また、種別コマンドには、遊技結果の情報が含まれる。つまり、種別コマンドには、遊技結果の情報として、通常大当たり結果の情報、明示2R確変大当たり結果の情報、15R確変大当たり結果の情報、及び外れ結果の情報のいずれかが含まれる。
ステップS407にて設定された変動用コマンド及び種別コマンドは、通常処理(図7)におけるステップS201にて、音声発光制御装置60に送信される。ステップS407の処理を実行した後は、ステップS408にてメイン表示部33において絵柄の変動表示を開始させる。その後、本変動開始処理を終了する。
遊技回制御処理(図8)の説明に戻り、メイン表示部33が変動表示中である場合には、ステップS306〜ステップS309の処理を実行する。当該処理では、先ずステップS306にて、今回の遊技回の変動表示時間が経過したか否かを判定する。
変動表示時間が経過していない場合には、ステップS307にて変動表示用処理を実行する。変動表示用処理では、メイン表示部33における表示態様を変更する。その後、本遊技回制御処理を終了する。
変動表示時間が経過している場合には、ステップS308にて変動終了処理を実行する。変動終了処理では、上記ステップS404又はステップS405の処理にてRAM54に記憶した情報を特定し、その情報に対応した絵柄の態様がメイン表示部33にて表示されるように当該メイン表示部33を表示制御する。
続くステップS309では、変動終了コマンドを設定する。ここで設定された変動終了コマンドは、通常処理(図7)におけるステップS201にて、音声発光制御装置60に送信される。音声発光制御装置60では、受信した変動終了コマンドに基づいて、その遊技回における演出を終了させる。また、それに対応したコマンドが、音声発光制御装置60から表示制御装置70に送信され、表示制御装置70ではその遊技回における最終停止図柄の組み合わせを確定表示(最終停止表示)させる。その後、本遊技回制御処理を終了する。
<主制御装置50のMPU52における処理構成の別形態>
MPU52にて実行される処理構成は、上記のものに限定されることはなく、以下の処理構成であってもよい。図10及び図11は、MPU52における処理の別形態を説明するためのフローチャートであり、図10は動作電力の供給が開始された場合に実行されるメイン処理を示し、図11は当該メイン処理に対して定期的に割り込んで起動されるタイマ割込み処理を示す。
図10に示すように、メイン処理では先ずステップS501にて、電源投入に伴う立ち上げ処理を実行する。続くステップS502では、RAM54のアクセスを許可する。その後、ステップS503では、電源及び発射制御装置57に設けられたRAM消去スイッチがオンされているか否かを判定し、続くステップS504ではRAM54に電断フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS505ではRAM判定値を算出し、続くステップS506では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。
RAM消去スイッチがオンされておらず、さらに電断フラグが格納されているとともにRAM判定値が正常である場合には、ステップS507にてRAM54から電断フラグを消去するとともに、ステップS508にてRAM判定値を消去する。その後、ステップS509にて割込み許可を設定し、ステップS510にて乱数初期値カウンタCINIの更新を実行し、ステップS511にて変動種別カウンタCSの更新を実行する。そして、ステップS509〜ステップS511の処理を実行した後は、ステップS509に戻り、ステップS509〜ステップS511の処理を繰り返す。
なお、ステップS509にて割込み許可の設定を行った直後に割込み禁止の設定を行う構成としてもよい。この場合、後述するタイマ割込み処理は、割込み禁止の設定が行われている状況において起動タイミングとなった場合には、次回の割込み許可の設定が行われるまでその実行が待機される構成としてもよい。
一方、RAM消去スイッチが押されていれば、ステップS512〜ステップS513の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS512〜ステップS513の処理に移行する。
ステップS512では、RAM54の使用領域を「0」にクリアし、ステップS513では、RAM54の初期設定を実行する。その後、ステップS509〜ステップS511の処理に移行する。
図11は、当該別形態におけるタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
タイマ割込み処理では、ステップS601〜ステップS605にて、上記ステップS101〜ステップS105と同様の処理を実行する。
その後、ステップS606にて、変動種別カウンタCSの更新処理を実行し、ステップS607にて遊技回制御処理を実行し、ステップS608にて遊技状態移行処理を実行し、ステップS609にてデモ表示用処理を実行し、ステップS610にて電役サポート用処理を実行し、ステップS611にて遊技球発射制御処理を実行し、ステップS612にて外部出力処理を実行する。その後、本タイマ割込み処理を終了する。これら各処理の詳細な内容は、上記図7〜図9を参照して説明した内容と同様である。
<音声発光制御装置60>
次に、音声発光制御装置60について説明する。
音声発光制御装置60は、図4に示すように、MPU62が搭載された音声発光制御基板61を具備している。MPU62には、当該MPU62により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM63と、そのROM63内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM64と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。
なお、ROM63として、制御プログラムや固定値データの読み出しに際してランダムアクセスが可能であって、記憶保持に外部からの電力供給が不要な記憶手段(すなわち、不揮発性記憶手段)が用いられている。また、制御及び演算部分と、ROM63と、RAM64とが1チップ化されている構成は必須ではなく、各機能がそれぞれ別チップとして搭載されている構成としてもよく、一部の機能が別チップとして搭載されている構成としてもよい。
MPU62には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU62の入力側には演出用操作装置48及び主制御装置50が接続されているとともに、MPU62の出力側には各種発光部35,36,44、スピーカ部45及び表示制御装置130が接続されている。
MPU62では、主制御装置50から送信された変動用コマンドを受信することで、遊技回用の演出を開始させる必要があることを認識し、遊技回用演出開始処理を実行する。また、主制御装置50から送信された終了コマンドを受信することで、遊技回用の演出を終了させる必要があることを認識し、遊技回用演出終了処理を実行する。また、主制御装置50から送信された大当たり演出用の各種コマンドを受信することで、大当たり演出を開始させる必要があること又は進行させる必要があることを認識し、大当たり演出用処理を実行する。また、主制御装置50から送信されたデモ表示用のコマンドを受信することで、デモ表示を開始させる必要があることを認識し、デモ表示用処理を実行する。
なお、MPU62において主制御装置50からコマンドを受信するとは、主制御装置50からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板に中継されたコマンドを受信する構成も含まれる。
遊技回用演出開始処理では、変動用コマンド及び種別コマンドの両コマンドに基づいて、該当遊技回の変動表示時間を把握する変動表示時間の把握処理と、リーチ表示の有無を把握するリーチ表示把握処理と、大当たり結果の有無を把握する大当たり結果発生の把握処理と、大当たり結果が発生する場合における大当たり種別を把握する大当たり種別の把握処理と、を実行する。また、リーチ表示把握処理、大当たり結果発生の把握処理及び大当たり種別の把握処理における把握結果に基づいて、本遊技回において図柄表示装置31の表示面Gに最終停止表示させる図柄の種類を決定する図柄種別把握処理を実行する。そして、上記各把握処理の結果に基づいて、変動表示時間の情報及び表示演出の種類の情報を含む変動パターンコマンドと、最終停止表示させる図柄の種類の情報を含む図柄指定コマンドを、表示制御装置130に送信する。
また、遊技回用演出開始処理では、上記各把握処理の他に、予告表示を行うか否かの予告表示抽選処理を実行する。この場合、当該抽選処理では、予告表示の種別抽選についても実行される。そして、予告表示の発生当選である場合には、予告表示の種別の情報を含む予告コマンドを、表示制御装置130に送信する。
また、遊技回用演出開始処理では、上記各処理の処理結果に基づいて、遊技回用の表示発光テーブルと遊技回用の音声テーブルとをROM63から読み出す。遊技回用の表示発光テーブルにより、該当する遊技回の進行過程における表示発光部44の発光態様が規定される。また、遊技回用の音声テーブルにより、該当する遊技回の進行過程におけるスピーカ部45からの出力態様が規定される。
遊技回用演出終了処理では、現状の遊技回における表示発光部44の発光制御及びスピーカ部45の音声出力制御を終了する。また、当該遊技回用演出終了処理では、遊技回用演出を終了させるべき情報を含む終了コマンドを、表示制御装置130に送信する。
大当たり演出用処理では、受信している大当たり演出用の各種コマンドに基づいて、オープニング時、各ラウンド時、各ラウンド間及びエンディング時などの演出態様を把握し、その把握結果に対応した大当たり演出用のコマンドを表示制御装置130に送信する。また、当該把握結果に基づいて、大当たり演出用の表示発光テーブルと大当たり演出用の音声テーブルとをROM63から読み出し、大当たり演出中における表示発光部44の発光態様やスピーカ部45からの音声の出力態様を規定する。
デモ表示用処理では、受信しているデモ表示用のコマンドに基づいて、デモ表示の演出態様を把握し、その把握結果に対応したデモ表示用のコマンドを表示制御装置130に送信する。また、当該把握結果に基づいて、デモ表示用の表示発光テーブルとデモ表示用の音声テーブルとをROM63から読み出し、デモ表示中における表示発光部44の発光態様やスピーカ部45からの音声の出力態様を規定する。
なお、主制御装置50から送信されたコマンドに基づいてMPU62にて実行される処理は、上記処理以外にも、第1保留発光部35や第2保留発光部36を発光制御するための処理が含まれる。
また、MPU62では、演出用操作装置48の操作部が操作されたことに基づき当該演出用操作装置48から送信される操作信号を受信することで、演出用操作装置48が操作されたことを認識し、操作対応処理を実行する。また、操作されている状態が解除された場合にも操作信号の立下りによってそれを認識し、操作対応処理を実行する。
ここで、演出用操作装置48の操作に対応した演出の一部として、演出用操作装置48が操作されたことに基づき、表示モードが変更される演出が実行される。表示モードとは、遊技回が開始されるまでの間に表示される待機画像や遊技回が実行されている状況で表示される遊技回画像の種類を所定の種類に定める状態であり、複数種類の表示モードが設定されている。かかる表示モードの詳細な内容、及び演出用操作装置48の操作に基づく表示モードの切り換えに係る処理構成については後に詳細に説明する。
<表示制御装置130>
表示制御装置130のハード構成について説明する。
表示制御装置130は、図4に示すように、表示CPU131と、ワークRAM132と、メモリモジュール133と、VRAM134と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)135と、が搭載された表示制御基板136を備えている。
表示CPU131は、表示制御装置130においてメイン制御部としての機能を有しており、制御プログラム等の読み出し、解釈及び実行を行う。詳細には、表示CPU131は表示制御基板136に搭載された入力ポート137に対してバスを介して接続されており、音声発光制御装置60から送信された各種コマンドは入力ポート137を通じて表示CPU131に入力される。なお、表示CPU131において音声発光制御装置60からコマンドを受信するとは、音声発光制御装置60からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板に中継されたコマンドを受信する構成も含まれる。
表示CPU131は、バスを介してワークRAM132、メモリモジュール133及びVRAM134と接続されており、音声発光制御装置60から受信したコマンドに基づいて、メモリモジュール133に記憶された各種データをワークRAM132やVRAM134に転送させる転送指示を行う。また、表示CPU131は、バスを介してVDP135と接続されており、音声発光制御装置60から受信したコマンドに基づいて、図柄表示装置31に3次元画像(3D画像)を表示させるための描画指示を行う。以下、メモリモジュール133、ワークRAM132、VRAM134及びVDP135について説明する。
メモリモジュール133は、制御プログラム及び固定値データを含む制御用データを予め記憶しているとともに、3次元画像を表示するための各種画像データを予め記憶している記憶手段である。当該メモリモジュール133は、記憶保持に外部からの電力供給が不要な不揮発性の半導体メモリを有してなる。ちなみに、記憶容量は4Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置130における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該メモリモジュール133は、パチンコ機10の使用に際して、非書き込み用であって読み出し専用のメモリ(ROM)として用いられる。
メモリモジュール133に記憶されている各種画像データには、図柄表示装置31に表示される図柄やキャラクタなどのオブジェクト用の画像データと、当該オブジェクトに貼り付けられるテクスチャ用の画像データと、1フレーム分の画像において最背面の画像を構成する背面用の画像データとが含まれている。
ここで、オブジェクトとは、仮想3次元空間に相当する3次元の座標系であるワールド座標系に配置される3次元の仮想物体であり、複数のポリゴンによって構成された3次元情報である。また、ポリゴンとは、複数個の3次元座標の頂点で定義される多角形平面である。オブジェクト用の画像データには、例えばサーフェスモデルを適用するため、オブジェクト毎に予め設定された基準座標を原点として、各ポリゴンの頂点座標情報が設定されている。つまり、各オブジェクト用の画像データでは、自己完結のローカル座標系において各ポリゴンの相対位置(すなわち、向きやサイズ)が3次元的に定義されている。
テクスチャとは、オブジェクトの各ポリゴンに貼り付ける画像であり、テクスチャがオブジェクトに貼り付けられることにより、オブジェクトに対応する画像、例えば図柄やキャラクタなどを含む表示画像が生成される。テクスチャ用の画像データの持ち方は、任意であるが、例えばビットマップ形式データと、ビットマップ画像の各ピクセルでの表示色を決定する際に参照される色パレットテーブルとの組み合わせを少なくとも含んでいる。
最背面の画像は、2次元画像(2D画像)を構成している。背面用の画像データの持ち方は、任意であるが、例えば2次元の静止画像データが圧縮された状態のJPEG形式データとして記憶保持されている。ちなみに、当該背面用の画像データがワールド座標系に配置される場合には板ポリゴンが利用される。
ワークRAM132は、メモリモジュール133から読み出されて転送された制御用データを一時的に記憶しておくとともに、フラグ等を一時的に記憶しておくための記憶手段である。ワークRAM132は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてDRAMが用いられている。但し、DRAMに限定されることはなくSRAMといった他のRAMを用いてもよい。なお、記憶容量は1Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置130における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、ワークRAM132は、パチンコ機10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
ワークRAM132には、表示CPU131からメモリモジュール133へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール133から制御用データが転送される。そして、表示CPU131は、ワークRAM132に転送された制御用データを必要に応じて内部のメモリ領域(レジスタ群)に読み込み、各種処理を実行する。
VRAM134は、図柄表示装置31に対して画像出力を行うために必要な各種データを一時的に記憶しておくための記憶手段である。当該VRAM134は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてSDRAMが用いられている。但し、SDRAMに限定されることはなく、DRAM、SRAM又はデュアルポートRAMといった他のRAMを用いてもよい。なお、記憶容量は2Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置130における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該VRAM134は、パチンコ機10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
VRAM134は展開用バッファ141を備えており、展開用バッファ141には、表示CPU131からメモリモジュール133へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール133から画像データが転送される。この場合、当該画像データは、その画像データを用いたVDP135における処理の実行タイミングとなるまでに事前に転送される。また、VRAM134には、VDP135により描画データ(生成データ)が作成されるフレームバッファ142が設けられている。また、VRAM134には、Zバッファ143、スクリーン用バッファ144及びモード用バッファ145が設けられているが、これらの詳細については後に説明する。
VDP135は、表示CPU131からの描画指示に基づき、展開用バッファ141に記憶保持されているデータを用いて、具体的には加工することにより、図柄表示装置31に対して描画を行う画像生成デバイスであり、図柄表示装置31において液晶表示部31aを駆動制御するように組み込まれた画像処理デバイス31bを操作する一種の描画回路である。VDP135はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。
詳細には、VDP135は、ジオメトリ演算部151と、レンダリング部152と、レジスタ153と、表示モード制御部154と、表示回路155と、を備えている。また、これら各回路はバスを介して相互に接続されているとともに、表示CPU131用のI/F156及びVRAM134用のI/F157と接続されている。
表示CPU131用のI/F156は、表示CPU131から送信された描画指示情報としての描画リストをレジスタ153に記憶させる。ジオメトリ演算部151は、レジスタ153に格納された描画リストに基づいて、配置対象として指定されているオブジェクトをワールド座標系内に配置する。また、ジオメトリ演算部151は、オブジェクトをワールド座標系内に配置する場合及び配置した後に、各種の座標変換処理を実行する。そして、最終的に表示面Gのスクリーン座標に対応する3次元空間に対応させて、オブジェクトをクリッピングする。
レンダリング部152は、レジスタ153に格納された描画リストに基づいて、クリッピングされた各オブジェクトに対して光源調整や、テクスチャの貼付を行い、オブジェクトの外観を決定する。また、レンダリング部152は、各オブジェクトを所定の2次元平面上に投影させて2次元データを作成するとともに、深度情報に基づく各種調整を行い2次元データである1フレーム分の描画データをフレームバッファ142に作成する。1フレーム分の描画データとは、予め定められた更新タイミングで図柄表示装置31の表示面Gにおける画像が更新される構成において、一の更新タイミングにおける画像を表示させるのに必要なデータのことをいう。
なお、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152が動作するための制御プログラムの全てが描画リストにより提供される構成としてもよく、制御プログラムを予め記憶したメモリをVDP135に内蔵させ、当該制御プログラムと描画リストの内容によってジオメトリ演算部151及びレンダリング部152が処理を実行する構成としてもよい。また、メモリモジュール133から制御プログラムを事前に読み出す構成としてもよい。また、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152がプログラムを利用することなく、描画リストに対応したハード回路の動作のみで処理を実行する構成としてもよい。
ここで、フレームバッファ142には、複数のフレーム領域142a,142bが設けられている。具体的には、第1フレーム領域142aと、第2フレーム領域142bとが設けられている。これら各フレーム領域142a,142bは、それぞれ1フレーム分の描画データを記憶可能な容量に設定されている。具体的には、各フレーム領域142a,142bにはそれぞれ、液晶表示部31a(すなわち表示面G)のドット(画素)に所定の倍率で対応させた多数の単位エリアが含まれている。各単位エリアは、いずれの色を表示するかを特定するためのデータを格納可能な記憶容量を有している。より詳細には、フルカラー方式が採用されており、各ドットにおいてR(赤),G(緑),B(青)のそれぞれに256色の設定が可能となっている。これに対応させて、各単位エリアにおいては、RGB各色に1バイト(8ビット)が割り当てられている。つまり、各単位エリアは、少なくとも3バイトの記憶容量を有している。
なお、フルカラー方式に限定されることはなく、例えば各ドットにおいて256色のみ表示可能な構成においては、各単位エリアにおいて色情報を格納するために必要な記憶容量は1バイトでよい。
フレームバッファ142に第1フレーム領域142a及び第2フレーム領域142bが設けられていることにより、一方のフレーム領域に作成された描画データを用いて図柄表示装置31への描画が実行されている状況において、他のフレーム領域に対して今後用いられる描画データの作成が実行される。つまり、フレームバッファ142として、ダブルバッファ方式が採用されている。
表示回路155では、第1フレーム領域142a又は第2フレーム領域142bに作成された描画データに基づいて液晶表示部31aの各ドットに対応した画像信号が生成され、その画像信号が、表示回路155に接続された出力ポート138を介して図柄表示装置31に出力される。詳細には、出力対象のフレーム領域142a,142bから表示回路155へ描画データが転送される。その転送された描画データは図柄表示装置31の解像度に対応したものとなるように、図示しないスケーラにより解像度調整が行われて階調データに変換される。そして、当該階調データに基づいて図柄表示装置31の各ドットに対応した画像信号が生成されて出力される。なお、表示回路155からは水平同期信号又は垂直同期信号などの同期信号も出力される。
また、表示モード制御部154では、表示モードに対応した画像の表示を行う場合に、レジスタ153に格納された描画リストに基づいて、所定の処理を実行する。当該所定の処理については後に説明する。
<表示CPU131における基本的な処理>
次に、表示CPU131における基本的な処理について説明する。
<メイン処理>
先ず、表示CPU131への動作電力の供給が開始された場合や、パチンコ機10のリセットが行われた場合に起動されるメイン処理について説明する。図12はメイン処理を示すフローチャートである。
メイン処理では、先ずステップS701にて、初期設定処理を実行する。
初期設定処理では、表示回路155のスケーラの初期調整処理を実行する。当該初期調整処理では、VRAM134の各フレーム領域142a,142bに作成される描画データに基づいて画像信号が出力される場合に、その画像信号が液晶表示部31aのドット数に対応させて出力されるように、VDP135に対して解像度初期調整用コマンドを送信する。この初期調整値は、パチンコ機10の設計段階において調整されており、その調整結果が解像度初期調整用コマンドとして設定されている。
VDP135に解像度初期調整用コマンドが送信されることで、VDP135のレジスタ153におけるスケーラの解像度調整用のエリアに初期調整値に対応した数値情報が格納される。これにより、VDP135から図柄表示装置31に画像信号が出力される場合、描画データに対応した画像信号が液晶表示部31aのドット数に調整された状態で出力される。
また、初期設定処理では、地色の初期調整処理を実行する。当該初期調整処理では、VRAM134の各フレーム領域142a,142bの単位エリアに初期値として設定される数値情報が初期数値情報となるように、VDP135に対して地色初期調整用コマンドを送信する。この初期数値情報は、パチンコ機10の設計段階において調整されており、その調整結果が地色初期調整用コマンドとして設定されている。
VDP135は地色初期調整用コマンドが送信されることで、VDP135のレジスタ153における地色調整用のエリアに初期数値情報が格納される。これにより、描画データが作成される場合に初期数値情報からの更新が行われなかった単位エリアに対応したドットでは、地色が表示されることとなる。なお、初期の地色として本パチンコ機10では黒色が設定されているが、これに限定されることはなく任意である。
ステップS701にて初期設定処理を実行した後は、ステップS702にて、各種割込みを許可する。これにより、表示CPU131においてコマンド割込み処理及びV割込み処理を実行することが許容される。その後、メイン処理では、ステップS702の処理を繰り返す。
<コマンド割込み処理>
次に、コマンド割込み処理について説明する。
コマンド割込み処理は、音声発光制御装置60からストローブ信号を受信した場合に、その時点で実行されている処理が何であったとしても最優先で起動される処理である。コマンド割込み処理では、入力ポート137にて受信しているコマンドを、ワークRAM132に設けられたコマンドバッファに転送し、さらにコマンドを新たに受信したことを示すフラグを対応するエリアにセットする。その後、コマンド割込み処理を終了し、当該コマンド割込み処理の起動前の処理に復帰する。
<V割込み処理>
次に、V割込み処理について、図13のフローチャートを参照しながら説明する。V割込み処理は、予め定められた周期、具体的には20msec周期で繰り返し起動される。
なお、VDP135は図柄表示装置31に1フレーム分の画像信号を出力する場合、表示面Gの左上の隅角部分にあるドットから画像信号の出力を始めて、当該ドットを一端に含む横ライン上に並ぶドットに対して順次画像信号を出力するとともに、各横ラインに対して上から順に左から右のドットへと画像信号を出力する。そして、表示面Gの右下の隅角部分にあるドットに対して最後に画像信号を出力する。この場合に、VDP135は当該最後のドットに対して画像信号を出力したタイミングで、表示CPU131へV割込み信号を出力して1フレームの画像の更新が完了したことを表示CPU131に認識させる。このV割込み信号の出力周期は20msecとなっている。この点、V割込み処理は、V割込み信号の受信に同期して起動されると見なすこともできる。但し、V割込み信号を受信していなくても、前回のV割込み処理が起動されてから20msecが経過している場合には、新たにV割込み処理が起動される。
V割込み処理では、先ずステップS801にて、コマンド解析処理を実行する。具体的には、ワークRAM132のコマンドバッファに格納されているコマンドの内容を解析する。続くステップS802では、ステップS801の解析結果に基づいて、新規コマンドを受信しているか否かを判定する。新規コマンドを受信している場合には、ステップS803にて、コマンド対応処理を実行する。
コマンド対応処理では、受信しているコマンドに対応したプログラムを実行するためのデータテーブルをメモリモジュール133から読み出す。データテーブルとは、受信したコマンドに対応した動画を図柄表示装置31の表示面Gに表示させる場合において、画像の各更新タイミングにおける1フレーム分の画像を表示させるのに必要な処理が定められた情報群である。
ここで、表示CPU131が音声発光制御装置60から受信するコマンドとしては、既に説明したとおり、変動パターンコマンド、図柄指定コマンド及び予告コマンドがある。これらのコマンドを受信した場合、それら各コマンドに対応した遊技回用演出を図柄表示装置31にて実行するために必要なデータテーブルを読み出す。また、上記受信するコマンドとしては終了コマンドがあり、当該コマンドを受信した場合には現状実行されている遊技回用演出を最終停止させるために必要なデータテーブルを読み出す。また、上記受信するコマンドとしては、大当たり演出用の各種コマンドがあり、当該コマンドを受信した場合には大当たり演出を実行するために必要なデータテーブルを読み出す。また、上記受信するコマンドとしては、デモ表示用のコマンドがあり、当該コマンドを受信した場合にはデモ表示を実行するために必要なデータテーブルを読み出す。さらに読み出したデータテーブルに基づき、処理を実行する場合に必要な他のプログラムデータも読み出す。
ステップS803にてコマンド対応処理を実行した後は、ステップS804にて、ポインタ更新処理を実行する。当該ポインタ更新処理では、データテーブルに設定されているポインタの情報を、1フレーム分進めるように更新する。これにより、今回の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために必要な処理を、表示CPU131において把握することが可能となる。
続くステップS805では、タスク処理を実行する。タスク処理では、今回の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために、VDP135に描画指示を行う上で必要なパラメータの演算を行う。当該タスク処理の詳細については後に説明する。
続くステップS806では、描画リスト出力処理を実行する。描画リスト出力処理では、今回の処理回に係る更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるための描画リストを作成し、その作成した描画リストをVDP135に送信する。この場合、当該描画リストでは、直前のタスク処理にて把握された画像が描画対象となり、さらに当該タスク処理にて更新したパラメータの情報が合わせて設定される。VDP135では、この描画リストに従ってVRAM134のフレーム領域142a,142bに描画データを作成する。このVDP135における処理については後に詳細に説明する。その後、本V割込み処理を終了する。
<表示CPU131におけるタスク処理>
ここで、タスク処理について、図14のフローチャートを参照しながら説明する。
タスク処理では先ずステップS901にて、制御開始用の設定処理を実行する。制御開始用の設定処理では、今回の処理回で表示CPU131において新たに制御(演算)を開始する個別画像を設定するための処理を実行する。なお、個別画像とは、背面用の画像データなどの静止画像データにより規定される一の2次元画像や、オブジェクト用の画像データとテクスチャ用の画像データとの組み合わせにより規定される一の3次元画像のことである。
制御開始用の設定処理について具体的には、先ず現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の処理回で制御開始対象となる個別画像が存在しているか否かを判定する。存在している場合には、ワークRAM132において、個別画像の制御を行う上で各種演算を行うための空きバッファ領域を検索して、制御開始対象として把握されている個別画像に1対1で対応するように空きバッファ領域を確保する。さらに、確保した全ての空きバッファ領域に対して初期化処理を実行するとともに、初期化した空きバッファ領域に対して、個別画像に応じた制御開始用のパラメータを設定する。
続くステップS902では、制御更新対象を把握する。この制御更新対象は、制御開始処理が完了している個別画像であって今回の処理回以降に1フレーム分の画像に含まれる可能性がある個別画像が対象となる。
続くステップS903では、背景用演算処理を実行する。背景用演算処理では、背景の画像を構成することとなる最背面用の画像や、背景用キャラクタについて、ワールド座標系内における座標、回転角度、スケール、明暗を付けるためのライトの情報、投影を行うためのカメラの情報、及びZテスト指定などといった描画リストを作成する上で必要な各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。
続くステップS904では、演出用演算処理を実行する。演出用演算処理では、リーチ表示、予告表示及び大当たり演出といった各種演出において表示対象となる個別画像について、上記各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。
続くステップS905では、図柄用演算処理を実行する。図柄用演算処理では、各遊技回において変動表示の対象となる図柄の画像について、上記各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。
ちなみに、ステップS903〜ステップS905の各処理では、ステップS901にて設定された制御開始用のパラメータを更新する処理を実行する。また、ステップS903〜ステップS905の各処理では、個別画像の各種パラメータを画像更新タイミングとなる度に特定のパターンに従って変化させるように設定されたアニメーション用データが用いられる。このアニメーション用データは、メモリモジュール133に予め記憶されており、個別画像の種類に応じて定められている。
その後、ステップS906にてワールド座標系への配置対象の把握処理を実行した後に、本タスク処理を終了する。ワールド座標系への配置対象の把握処理では、上記ステップS903〜ステップS905の各処理により制御更新対象となった各個別画像のうち、今回の描画リストにおいて描画対象として設定する個別画像を把握する処理を実行する。当該把握は、現状設定されているデータテーブルに基づいて行われる。ここで把握された個別画像が、描画リストにおいて描画対象として設定される。
つまり、表示CPU131にて制御対象となる個別画像の方が、VDP135にて制御対象となる個別画像よりも多く設定されているため、ステップS906においてその調整を行っている。但し、これに限定されることはなく、表示CPU131において制御対象となる個別画像と、VDP135において制御対象となる個別画像とが同一である構成としてもよく、この場合、ステップS906の処理を実行する必要がなくなる。
なお、ステップS901の制御開始用の設定処理において、表示CPU131の処理負荷を分散させるべく、各個別画像の制御開始タイミングが分散させて設定されている構成としてもよい。
<VDP135における基本的な処理>
次に、VDP135にて実行される基本的な処理について説明する。
VDP135では、表示CPU131から送信されたコマンドに基づいてレジスタ153の値を設定する処理、表示CPU131から送信された描画リストに基づいてフレームバッファ142のフレーム領域142a,142bに描画データを作成する処理、フレーム領域142a,142bに作成された描画データに基づいて図柄表示装置31に画像信号を出力する処理が少なくとも実行される。
上記各処理のうち、レジスタ153の値を設定する処理は、表示CPU131用のI/F156に付随する図示しない回路によって、コマンドを受信した場合にその都度実行される。また、描画データを作成する処理は、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152の協同により、予め定められた周期(例えば、20msec)で繰り返し実行される。また、画像信号を出力する処理は、表示回路155によって、予め定められた画像信号の出力開始タイミングとなることで実行される。
以下、上記描画データを作成する処理について詳細に説明する。当該処理の説明に先立ち、表示CPU131からVDP135に送信される描画リストの内容について説明する。図15(a)〜(c)は描画リストの内容を説明するための説明図である。
描画リストには、ヘッダ情報が設定されている。ヘッダ情報には、当該描画リストに係る1フレーム分の画像を、第1フレーム領域142a及び第2フレーム領域142bのうちいずれを作成対象とするかを示す情報であるターゲットバッファの情報が設定されている。また、ヘッダ情報には、各種指定情報が設定されている。各種指定情報の内容については後に説明する。なお、VDP135にて取り扱う画像データとして動画像データが含まれている場合には、ヘッダ情報において、デコード指定の有無及びデコード対象となる動画像データがメモリモジュール133において記憶されているアドレスの情報が設定されていてもよい。
描画リストには、上記ヘッダ情報以外にも、今回の描画データの作成に際してワールド座標系への配置対象となる複数種類の画像データが設定されており、さらに各画像データの描画順序の情報と、各画像データのパラメータ情報とが設定されている。詳細には、描画順序の情報が連番の数値情報となるようにして設定されているとともに、各数値情報に1対1で対応させてパラメータの情報が設定されている。
図15(a)の描画リストでは、背面用の画像データが最初の描画対象として設定されているとともに、背景用オブジェクトAが2番目、背景用オブジェクトBが3番目、・・・として設定されている。また、これら背景用の画像データよりも後の順番として、演出用の画像データが設定されており、例えば演出用オブジェクトAがm番目、演出用オブジェクトBがm+1番目、・・・として設定されている。また、これら演出用の画像データよりも後の順番として、図柄用の画像データが設定されており、例えば図柄用オブジェクトAがn番目、図柄用オブジェクトBがn+1番目、・・・として設定されている。
なお、描画リストにおいて各画像データが設定されている順番は上記のものに限定されることはなく、設定されている順番が上記のものとは逆の順番であってもよく、図柄用の画像データの後に演出用の画像データ又は背景用の画像データが設定されていてもよく、所定の演出用の画像データと他の演出用の画像データとの間の順番に図柄用の画像データが設定されていてもよい。
パラメータの情報P(1),P(2),P(3),・・・,P(m),P(m+1),・・・,P(n),P(n+1),・・・には、複数種類のパラメータが設定されている。背面用の画像データのパラメータP(1)について具体的には、図15(b)に示すように、メモリモジュール133において背面用の画像データが記憶されているエリアのアドレスの情報と、背面用の画像データを設定する場合におけるワールド座標系内の位置を示す座標の情報(X値の情報,Y値の情報,Z値の情報)と、背面用の画像データを設定する場合におけるワールド座標系内の回転角度を示す回転角度の情報と、背面用の画像データの初期状態として設定されているスケールに対して、ワールド座標系に設定する際の倍率を示すスケールの情報と、背面用の画像データを設定する場合における全体の透過情報(又は透明情報)を示す一律α値の情報と、が設定されている。
ここで、座標の情報は、オブジェクト用の画像データの全頂点について個別に設定される。また、この座標の情報はオブジェクト用の画像データに対して設定されているが、テクスチャ用の画像データには設定されていない。テクスチャ用の画像データは、各ピクセルの座標値が、オブジェクト用の画像データの各頂点に関連付けて予め定められている。この座標値は、ワールド座標系における座標値とは異なるUV座標値であり、オブジェクト用の画像データ及びテクスチャ用の画像データの組み合わせに対して付属させた状態でメモリモジュール133に記憶されている。このUV座標値はテクスチャマッピングする際にVDP135により参照される。
パラメータ(P1)には、背面用の画像データを描画用の仮想2次元平面上に投影する場合における仮想カメラの座標及び向きの情報を含むカメラの情報と、背面用の画像データをレンダリングする場合における陰影を決定する仮想光源の位置及び向きの情報を含むライトの情報と、が設定されている。
パラメータ(P1)には、隠面消去を行う手法の一種であるZバッファ法の適用有無を示すZテスト指定の情報が設定されている。Zバッファ法とは、ワールド座標系内において多数のオブジェクトや2次元画像が奥行き方向(Z軸方向)に重なった場合に、Z軸上に並ぶ各ピクセル(又は各ボクセル、各画素、各ポリゴン)について視点からの距離を順次参照し、最も視点に近いピクセルに設定されている数値情報をフレーム領域142a,142bにおける対応する単位エリアに設定する深度調整用の処理方法である。当該Zバッファ法を適用する場合に、VRAM134に設けられたZバッファ143が利用される。Zバッファ143を利用した隠面処理の具体的な処理構成については後に説明する。
なお、上記隠面消去を行う手法としてZバッファ法以外にも、Zソート法が設定されている。Zソート法とは、Z軸上に並ぶ各ピクセルについて、各ピクセルに設定されている数値情報をフレーム領域142a,142bにおける対応する単位エリアに順次設定する深度調整用の処理方法である。当該Zソート法を適用する場合には、各ピクセルに設定されているα値が参照されて、Z軸上に並ぶ各ピクセルの色情報に対応した数値情報に対して対応するα値が適用された状態で、それら数値情報の加算処理や融合用の演算処理が実行されることとなる。Zソートによる隠面処理の具体的な処理構成の説明は省略するが、エフェクト画像を表示させる場合に起動される。
パラメータ(P1)には、αデータの適用有無及び適用対象を示すαデータ指定の情報と、フォグの適用有無及び適用対象を示すフォグ指定の情報と、背景画像を表示するために作成された背景画像用の描画データについて別保存の有無を示す別保存指定の情報と、が設定されている。
ここで、α値とは対応するピクセルの透過情報のことである。このα値の描画リスト上における設定の仕方として、上記一律α値を指定する方法と、αデータ指定を行う方法とがある。一律α値とは、一の画像データの全ピクセルに対して適用される透過情報のことであり、表示CPU131における演算結果として導出される数値情報である。当該一律α値は、画像データの全ピクセルに一律で適用される。一方、αデータとは、2次元の静止画像データやテクスチャ用の画像データの各ピクセル単位で適用される透過情報のことであり、画像データとしてメモリモジュール133に予め記憶されている。当該αデータは、同一の静止画像データ又は同一のテクスチャ用の画像データの範囲内において各ピクセル単位で透過情報を相違させることができる。このαデータは、一律α値を設定するためのプログラムデータに比べデータ容量が大きい。
上記のように一律α値とαデータとが設定されていることにより、2次元の静止画像データやテクスチャ用の画像データの透過度をピクセル単位で細かく制御するのではなく全ピクセルに対して一律で制御すればよい状況では一律α値で対応することができることで必要なデータ容量の削減が図られるとともに、αデータを適用することによって透過度をピクセル単位で細かく制御することも可能となる。
フォグとは、ワールド座標系において所定方向、具体的にはZ軸方向の位置に対する明るさの度合いを調整するための情報である。フォグは、霧を表現したり、洞窟内を表現したりする場合に使用される。ここで、1フレーム分の画像の全体に対して単一のフォグを適用してもよい。この場合、1フレーム分の画像に一定の態様でフォグがかかることとなる。また、これに代えて、1フレーム分の画像の全体に対して複数のフォグを適用してもよい。この場合、Z軸方向の奥側に配置されているオブジェクトに対してその他のオブジェクトと同様のフォグを適用すると暗すぎることで質感がでないような状況において、当該オブジェクトには別のフォグを設定する構成とするとよい。これにより、上記質感を損なわせないようにしつつ、フォグを設定することによる効果を得ることができる。
別保存とは、一旦作成した背景画像用の描画データをその後のフレームにおいてそのまま使用するために、フレーム領域142a,142bとは別に設けられたモード用バッファ145に書き込み保存しておくことをいう。モード用バッファ145には、図4に示すように、各表示モードに1対1で対応するように、第1モード用領域145aと、第2モード用領域145bとが設けられている。この別保存の具体的な内容については、後に詳細に説明する。
パラメータP(2)といった他のパラメータでは、図15(c)に示すように、上記図15(b)の各種情報のうち、背面用の画像データの情報に代えて、オブジェクトの情報とテクスチャの情報とが設定されている。これらの情報としては、メモリモジュール133においてオブジェクトやテクスチャが記憶されているエリアのアドレスの情報が設定されている。
VDP135における描画処理について、図16のフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、描画処理の実行に伴い描画データが作成される様子を、図17を参照しながら説明する。
先ずステップS1001では、表示CPU131から新たな描画リストを受信しているか否かを判定する。新たな描画リストを受信している場合には、ステップS1002にて、背景用の設定処理を実行する。
背景用の設定処理では、今回の描画リストにて指定されている画像データのうち、背景画像を表示するための背面用の画像データ及びキャラクタ用のオブジェクトを把握する。そして、それら画像データやキャラクタ用のオブジェクトが、ワールド座標系に既に配置されているか否かを判定する。
配置されていない場合には、ワールド座標系への配置を行うために参照する空きバッファ領域を画像データ毎に検索し、空きバッファ領域を確保した場合にはその領域の初期化処理を実行する。その後、メモリモジュール133においてその画像データが記憶されているアドレスを把握して読み出すとともに、描画リストに指定された座標、回転角度及びスケールとなるように、その画像データについてのローカル座標系の座標値をワールド座標系の座標値に変換させるワールド変換処理を実行して、上記確保したバッファ領域に設定する。
配置されている場合には、既に確保されたバッファ領域に設定されている各種パラメータの更新処理を実行する。また、背景用の設定処理では、既にワールド座標系に配置されている画像データのうち、今回の描画リストに指定されていない背景用の画像データを消去する制御終了処理を実行する。
続くステップS1003では、演出用の設定処理を実行する。演出用の設定処理では、今回の描画リストにて指定されている画像データのうち、演出画像を表示するためのオブジェクトを把握する。そして、その把握したオブジェクトが、ワールド座標系に既に配置されているか否かを判定する。配置されていない場合には、上記背景用の設定処理において説明した場合と同様に、配置を開始するための処理を実行する。配置されている場合には、各種パラメータの更新処理を実行する。また、演出用の設定処理では、既にワールド座標系に配置されている画像データのうち、今回の描画リストに指定されていない演出用の画像データを消去する制御終了処理を実行する。
続くステップS1004では、図柄用の設定処理を実行する。図柄用の設定処理では、今回の描画リストにて指定されている画像データのうち、図柄を表示するためのオブジェクトを把握する。そして、その把握したオブジェクトが、ワールド座標系に既に配置されているか否かを判定する。配置されていない場合には、上記背景用の設定処理において説明した場合と同様に、配置を開始するための処理を実行する。配置されている場合には、各種パラメータの更新処理を実行する。また、図柄用の設定処理では、既にワールド座標系に配置されている画像データのうち、今回の描画リストに指定されていない図柄用の画像データを消去する制御終了処理を実行する。
上記ステップS1002〜ステップS1004の処理が実行されることにより、図17に示すように、X軸,Y軸,Z軸で規定されたワールド座標系内に、描画リストにより配置対象として指定されている最背面画像PC1と、各種オブジェクトPC2〜PC10とが、同じく描画リストにより指定されている座標、回転角度及びスケールで配置されたシーンの設定が完了する。
なお、図17においては、最背面画像PC1や各種オブジェクトPC2〜PC10が配置されている様子を簡易的に示している。また、最背面画像PC1は、各種オブジェクトPC2〜PC10の全てに対してZ軸方向の座標が奥側に設定されている必要はなく、例えば、最背面画像PC1が曲げられた状態又は傾斜した状態で配置されていることにより、一部のオブジェクトよりもZ軸方向の座標が手前側となる構成としてもよい。但し、この一部のオブジェクトとX軸方向の座標及びY軸方向の座標が同一である最背面画像PC1の領域は、そのオブジェクトよりもZ軸方向の座標が奥側であることにより、全てのオブジェクトが最背面画像PC1により覆われない状態となる。
続くステップS1005では、カメラ座標系(カメラ空間)への変換処理を実行する。カメラ座標系への変換処理では、描画リストにより指定されたカメラの情報により、視点の座標及び向きを決定するとともに、その視点の座標及び向きに基づいて、ワールド座標系を、視点を原点としたカメラ座標系(カメラ空間)に変換する。これにより、図17に示すように、カメラ形状で示す視点PC11が設定され、それに対応した座標系が設定された状態となる。
ここで、カメラの情報は、個別画像(最背面画像PC1及び各種オブジェクトPC2〜PC10)毎に設定されており、実際には個別画像毎にカメラ座標系が存在することとなる。このように個別画像毎にカメラ座標系が設定されることにより、視点切換を個別に行うことが可能となり、描画データの作成の自由度が高められる。但し、説明の便宜上、図17には全ての個別画像が単一の視点に設定されている状態を示す。
続くステップS1006では、視野座標系(視野空間)への変換処理を実行する。視野座標系への変換処理では、上記各カメラ座標系を、視点からの視野(視野角)に対応する視野座標系に変換する。これにより、各個別画像について、対応する視点の視野内に含まれている場合にはそれが抽出されるとともに、視点から近い個別画像が拡大されるとともに、視点から遠い個別画像が縮小される。
続くステップS1007では、クリッピング処理を実行する。クリッピング処理では、ステップS1006にて抽出された各個別画像が、それぞれ対応する視点を共通の原点として把握される。そして、その状態で描画対象のフレーム領域142a,142b(すなわち、図柄表示装置31の表示面G)に応じたスクリーン領域PC12(図17を参照)に対応する空間を基準として、ステップS1006にて抽出された各個別画像をクリッピングする。
続くステップS1008では、ライティング処理を実行する。ライティング処理では、描画リストにより指定されたライトの情報により、仮想光源の種類、座標及び向きを決定するとともに、上記クリッピング処理により抽出された各オブジェクトについて上記仮想光源に基づき陰影や反射等を演算する。
続くステップS1009では、色情報の設定処理を実行する。色情報の設定処理では、上記クリッピング処理により抽出された各オブジェクトに対して、ピクセル単位(すなわちポリゴン単位)又は頂点単位で、色情報を設定することで、各オブジェクトの外観を決定する。かかる色情報の設定処理では、基本的に、上記クリッピング処理により抽出された各オブジェクトに対して、それぞれに対応するテクスチャを貼り付けるテクスチャマッピング処理が実行される。また、状況によっては、バンプマッピングや透明度マッピングなどの処理が実行される。
その後、ステップS1010及びステップS1011にて、ステップS1007にて抽出され、さらにライティング処理や色情報の設定処理が完了した各個別画像を、仮想2次元平面であるスクリーン領域PC12に投影(例えば、透視投影や平行投影)することで描画データを作成する。
具体的には、先ずステップS1010にて、背景用の描画データ作成処理を実行する。背景用の描画データ作成処理では、背景画像として設定されている最背面画像及びオブジェクトに対して隠面消去を行いながらスクリーン領域PC12への投影を行うことで、背景用の描画データを作成する。
ここで、VRAM134には、図4に示すようにスクリーン用バッファ144が設けられており、スクリーン用バッファ144には背景用の描画データが書き込まれる背景用のバッファと、演出用の描画データ及び図柄用の描画データがまとめて書き込まれる演出及び図柄用のバッファとが設定されている。また、背景用のバッファ、演出及び図柄用のバッファには、スクリーン領域PC12のピクセル数と同一のドット数のエリアが設定されている。ステップS1010にて作成される背景用の描画データは、背景用のバッファに書き込まれる。なお、描画リストにおいて背景用の画像データが指定されていない場合には、背景用の描画データは作成されない。
続くステップS1011では、演出及び図柄用の描画データ作成処理を実行する。演出及び図柄用の描画データ作成処理では、演出画像として設定されているオブジェクト及び図柄として設定されているオブジェクトに対して隠面消去を行いながらスクリーン領域PC12への投影を行うことで、スクリーン用バッファ144における演出及び図柄用のバッファに演出及び図柄用の描画データを作成する。なお、描画リストにおいて演出及び図柄用の画像データが指定されていない場合には、演出及び図柄用の描画データは作成されない。
その後、ステップS1012にて、描画データ合成処理を実行した後に、本描画処理を終了する。ステップS1012の描画データ合成処理では、ステップS1010及びステップS1011の処理によりそれぞれ個別にスクリーン用バッファ144に作成されている背景用の描画データと、演出及び図柄用の描画データとを合成して、その合成結果を描画対象のフレーム領域142a,142bに1フレーム分の描画データとして書き込む。
この場合、その書き込む順序は、背景用の描画データ→演出及び図柄用の描画データの順序で奥側から手前側に並ぶように規定されている。したがって、描画対象のフレーム領域142a,142bに対して、先ず背景用の描画データを書き込み、次に演出及び図柄用の描画データを書き込む。この際、描画の実行対象となったピクセルに完全透過のα値が設定されている場合には奥側の画像がそのまま利用され、半透過のα値が設定されている場合にはα値を基準とした比率での奥側の画像と手前側の画像との融合が行われ、不透過のα値が設定されている場合には奥側の画像に対する手前側の画像の上書きが行われるように、融合用の演算が実行される。
ここで、融合用の演算についてより詳細に説明すると、描画対象のフレーム領域142a,142bにおける各ドットのRGBの各数値情報は、演出及び図柄用の描画データにおける描画対象となったピクセルに設定されているα値を基準として、
R:「奥側画像のR値」×(「1」−「α値」)+「手前側画像のR値」×「α値」
G:「奥側画像のG値」×(「1」−「α値」)+「手前側画像のG値」×「α値」
B:「奥側画像のB値」×(「1」−「α値」)+「手前側画像のB値」×「α値」
となる。
ちなみに、各描画データは1フレーム分の面積を有するように規定されているが、演出及び図柄用の描画データにおいて投影が行われなかったブランク部分については完全透過のα値が設定されている。
上記1フレーム分の描画データの作成は20msec周期の範囲内で完了するように行われる。また、作成された描画データに基づいて表示回路155から図柄表示装置31に画像信号が出力されるが、既に説明したとおりダブルバッファ方式が採用されているため、当該画像信号の出力は当該出力に係るフレームに対して1フレーム分後の描画データの作成と並行して行われる。また、表示回路155は1フレーム分の画像信号の出力が完了する毎に参照対象とするフレーム領域142a,142bを交互に切り換えるセレクタ回路を有しており、当該セレクタ回路による切換によって、描画データの描画対象となっているフレーム領域142a,142bが画像信号を出力するための出力対象とならないように規制されている。
なお、上記ステップS1002〜ステップS1007までがジオメトリ演算部151により実行される処理であり、上記ステップS1008〜ステップS1012がレンダリング部152により実行される処理である。
<Zバッファ143を利用したマスク表示>
次に、Zバッファ143を利用したマスク表示について説明する。
Zバッファ143は、既に説明したとおり、Zバッファ法による隠面消去を行う場合に利用される。ここで、VDP135にて実行されるZバッファを用いた隠面処理について、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
Zバッファを用いた隠面処理は、描画リストにてZテスト指定がなされている場合に、描画処理(図16)におけるステップS1010及びステップS1011の各描画データ作成処理にて起動される。また、表示CPU131は、Zテスト指定を行う場合、Zバッファを用いた隠面処理において基準となるスクリーン領域PC12のZ軸を、ワールド座標系のZ軸に対して平行となるように設定し、Z軸方向に平行な方向に並ぶ各ピクセル間において表示対象とするピクセルを決定する。
ステップS1010の背景用の描画データ作成処理では、背面用の画像及び背景用のオブジェクトが隠面処理の対象となり、ステップS1011の演出及び図柄用の描画データ作成処理では、演出用のオブジェクト及び図柄用のオブジェクトが隠面処理の対象となる。また、演出及び図柄用の描画データ作成処理における隠面処理では、演出用のオブジェクト及び図柄用のオブジェクトのいずれがも設定されていないブランク部分については、完全透過のα値が設定される。
Zバッファ143は1個のみ設定されており、スクリーン用バッファ144における背景用のバッファと同一のドット数のエリアを有しているとともに、演出及び図柄用のバッファと同一のドット数のエリアを有している。
先ずステップS1101では、スクリーン領域PC12(図17を参照)における今回の投影対象ドットを基準として、そのZ軸上に含まれる個別画像であって、今回のテスト対象となった個別画像の対象ピクセルに設定されているZ値を把握する。続くステップS1102では、Zバッファ143において上記描画対象ドットと1対1で対応したドットのエリアに設定されているZ値を把握する。
続くステップS1103では、ステップS1101にて把握した個別画像のZ値が、ステップS1102にて把握したZバッファ143のZ値よりもZ軸方向の手前側に対応しているか否かを判定する。手前側に対応している場合には、ステップS1104に進み、ステップS1101にて把握したZ値を、Zバッファ143におけるステップS1102にて参照したドットのエリアに上書きする。続くステップS1105では、ステップS1101にて参照したピクセルに設定されている色情報といった描画用の数値情報を、スクリーン用バッファ144における描画対象のバッファにおいて、今回の投影対象ドットのエリアに上書きする。その後に、ステップS1106に進む。
一方、ステップS1103にて、手前側に対応していないと判定した場合には、ステップS1104〜ステップS1105の処理を実行することなく、ステップS1106に進む。つまり、テスト対象となったピクセルのZ値が、既にZバッファ143の対象ドットに設定されているZ値と同一又はZ軸方向の奥側である場合には、Zバッファ143の更新は行われないとともに、既に設定されている描画用の数値情報がそのまま保持される。一方、テスト対象となったピクセルのZ値が、既にZバッファ143の対象ドットに設定されているZ値よりもZ軸方向の手前側である場合には、Zバッファ143の更新が行われるとともに、描画用の数値情報も更新される。
ステップS1106では、投影対象ドットを基準としたZ軸上に含まれる全ての対象ピクセルに対して、Zテストが完了したか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS1101に戻り、新たな対象ピクセルに対してZテストを行う。
完了している場合には、ステップS1107にて、スクリーン領域PC12の全てのドットに対してZテストが完了しているか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS1108にて、投影対象ドットを更新した後にステップS1101に戻り、新たな投影対象ドットに対してZテストを行う。完了している場合には本隠面処理を終了する。
上記のように隠面処理が実行されることにより、Z軸上に複数の個別画像が並んだとしても、視点に近い側の個別画像のみが表示されることとなる。ここで、本実施形態では、当該隠面処理を利用して背景用のキャラクタのマスク(すなわち、部分表示)が実行される。そして、このマスクは、表示CPU131においてオブジェクトのZ値をマスク用に設定することで行われる。
以下、表示CPU131にて実行されるマスク用の演算処理について、図19のフローチャートを参照しながら説明する。なお、当該マスク用の演算処理は、データテーブルにおいて参照したエリアにマスク用の演算処理を実行すべきことが示されている場合に、タスク処理(図14)におけるステップS903の背景用演算処理にて実行される。
先ずステップS1201では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の処理回が第1のマスク表示に対応しているか否かを判定する。ここで、マスク表示として、第1のマスク表示と第2のマスク表示とが設定されている。第1のマスク表示は、キャラクタを一部表示させた状態を複数フレームに亘って維持させる表示態様であり、第2のマスク表示は、キャラクタの全体を表示させた状態からマスクするピクセルを複数フレームに亘って除々に増加させ最終的に消滅させる表示態様である。
第1のマスク表示に対応している場合には、ステップS1202にて、現状設定されているデータテーブルに基づいてマスク対象のオブジェクトを把握する。続くステップS1203では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、ステップS1202にて把握したオブジェクトにおいてマスク対象となるピクセルを把握する。
その後、ステップS1204にてZ値の設定処理を実行した後に、本演算処理を終了する。当該Z値の設定処理では、上記オブジェクトにおいてマスク対象となっているピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも奥側となるように設定され、マスク対象となっていないピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも手前側であって本来表示すべき位置に対応するように設定される。
上記のようにマスク用の演算処理が実行されて、上記Z値の設定されたオブジェクトを描画対象として含む描画リストがVDP135に送信されることにより、VDP135においては隠面処理としてZバッファを用いた隠面処理(図18)が実行され、最終的に第1のマスク表示が表示面Gにて行われる。第1のマスク表示の具体的な内容について、図20を参照しながら説明する。なお、説明の便宜上、図20では、3次元画像を2次元画像として示す。
図20(a)は第1のマスク表示が行われることなく通常通りにキャラクタCH1が表示される場合を示している。また、図20(a―1)は当該キャラクタCH1に対応したオブジェクトPC13の各ピクセルに対して表示CPU131において指定されたZ値のイメージ図であり、図20(a―2)は表示面Gでの表示態様を示す。この場合、図20(a―1)に示すように、各ピクセルには最背面の画像よりも手前側となるようにZ値が設定されているため、図20(a―2)に示すようにキャラクタCH1はその全体が表示される。
図20(b)は第1のマスク表示が行われる場合を示している。また、図20(b―1)は当該キャラクタCH1に対応したオブジェクトPC13の各ピクセルに対して表示CPU131において指定されたZ値のイメージ図であり、図20(b―2)は表示面Gでの表示態様を示す。この場合、図20(b―1)に示すように、各ピクセルの一部には最背面の画像よりも手前側となるようにZ値が設定されているが、残りのピクセルには最背面の画像よりも奥側となるようにZ値が設定されている。したがって、図20(b―2)に示すように、キャラクタCH1は上記手前側となるようにZ値が設定されたピクセルに対応した箇所のみが表示される。
なお、同一のキャラクタCH1について第1のマスク表示用に対応したZ値の設定パターンが、表示CPU131の制御プログラムで複数種類設定されている構成としてもよい。この場合、同一のキャラクタCH1について第1のマスク表示の態様を複数種類設定することが可能となる。
マスク用の演算処理(図19)の説明に戻り、ステップS1201にて、今回の処理回が第1のマスク表示に対応していないと判定した場合には、今回の処理回は第2のマスク表示に対応していることを意味しているため、ステップS1205に進む。ステップS1205では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第2のマスク表示の開始タイミングであるか否かを判定する。
開始タイミングである場合には、ステップS1206にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、マスク対象のオブジェクトを把握する。続くステップS1207では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、マスク用の専用テーブルを読み出す。このマスク用の専用テーブルは、今回の第2のマスク表示が完了するまで記憶保持される。続くステップS1208では、上記マスク用の専用テーブルに初期消去対象として設定されているピクセルを把握する。
その後、ステップS1209にてZ値の設定処理を実行した後に、本演算処理を終了する。当該Z値の設定処理では、上記オブジェクトにおいて、ステップS1208にて初期消去対象として把握されたピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも奥側となるように設定され、初期消去対象となっていないピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも手前側であって本来表示すべき位置に対応するように設定される。
一方、ステップS1205にて開始タイミングでないと判定した場合には、ステップS1210に進む。ステップS1210では、ワークRAM132に設定されている消去対象カウンタを更新する。続くステップS1211では、現状読み出されているマスク用の専用テーブルにおいて、ステップS1210にて更新した消去対象カウンタの値に対応したデータを確認し、消去対象のピクセルを把握する。
その後、ステップS1212にてZ値の設定処理を実行した後に、本演算処理を終了する。当該Z値の設定処理では、上記オブジェクトにおいて、ステップS1211にて消去対象として把握されたピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも奥側となるように設定され、消去対象となっていないピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも手前側であって本来表示すべき位置に対応するように設定される。
上記のようにマスク用の演算処理が実行されて、上記Z値の設定されたオブジェクトを描画対象として含む描画リストがVDP135に送信されることにより、VDP135においては隠面処理としてZバッファを用いた隠面処理(図18)が実行され、最終的に第2のマスク表示が表示面Gにて行われる。第2のマスク表示の具体的な内容について、図21を参照しながら説明する。なお、説明の便宜上、図21では、3次元画像を2次元画像として示す。
図21(a)はマスク用の専用テーブルに設定されている情報のイメージ図を示しており、図21(b)は第2のマスク表示が行われることなく通常通りにキャラクタCH2が表示される場合を示している。図21(a)に示すように、キャラクタCH2に対応したオブジェクトPC14は複数のピクセルを有しており、マスク用の専用テーブルでは、それら複数のピクセルが複数ずつグループ分けされているとともに各グループに対して消去対象となるフレーム順序が設定されている。具体的には、「a1」として示すグループが初期消去対象として設定されており、その後は、「a2」として示すグループ→「a3」として示すグループ→「a4」として示すグループ→「a5」として示すグループの順序で消去対象となる。
第2のマスク表示が開始され、「a1」として示すグループが消去対象となったフレームにおいては、図21(c)に示すように、「a1」のグループに対応したピクセル部分が欠けた状態でキャラクタCH2が表示される。また、その後のフレームにおいて、「a2」として示すグループが消去対象となった場合には、図21(d)に示すように、「a1」のグループに加え、「a2」のグループに対応したピクセル部分が欠けた状態でキャラクタCH2が表示される。そして、最終的に「a5」として示すグループが消去対象となったフレームにおいては、キャラクタCH2が表示されない状態となる。
以上のとおり、Zバッファ143を利用してオブジェクトのマスクを行うことができる。また、本構成によれば、表示CPU131のプログラム上でマスク用の演算を行うだけでよく、VDP135において画像データの一種であるマスクデータを設定する必要が生じない。したがって、画像データを記憶しておくのに必要な記憶容量を増加させることなく、マスク表示を行うことができる。
また、表示CPU131においては各オブジェクトのZ値を調整するだけでよいため、表示CPU131の処理負荷をさほど増加させることなく上記マスク表示を行うことができる。また、第1のマスク表示及び第2のマスク表示といった複数種類のマスク表示を、上記のような優れた効果を奏することができる。
また、非表示とする部分には最背面画像よりも奥側のZ値が設定される。最背面画像はいずれのフレームにおいても常に背面を構成する画像であるため、Z軸(奥行き方向)の位置として絶対的な基準となる。これを基準に非表示とする部分のZ値を設定することで、非表示とする場合のZ値の設定態様を画一的なものとすることが可能となり、当該Z値の設定に係る処理の処理負荷の軽減が図られる。
なお、第1のマスク表示及び第2のマスク表示のいずれか一方のみが設定されている構成としてもよい。また、第2のマスク表示において複数のピクセル毎に消去されるのではなく、1ピクセル毎に消去される構成としてもよく、消去対象となったピクセルが再度表示対象に設定されることがある構成としてもよい。
また、上記Z値の設定を逆に行うことで、複数フレーム分の表示期間に亘ってキャラクタが順次消去されるのではなく、複数フレーム分の表示期間に亘ってキャラクタが順次出現するように表示される構成としてもよい。
<Zバッファ143を利用したマスク処理の別形態>
Zバッファ143を利用したマスク表示の別形態について説明する。
図22は表示CPU131にて実行されるマスク用の演算処理の別形態を示すフローチャートである。
先ずステップS1301では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、開始タイミングであるか否かを判定する。開始タイミングである場合には、ステップS1302にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、マスク対象のオブジェクトを把握するとともに、ステップS1303にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、初期マスク用テーブルを読み出す。
続くステップS1304では、マスク抽選処理を実行する。マスク抽選処理では、ワークRAM132に設けられた抽選用カウンタに現状設定されている数値情報を読み出し、その数値情報に対応した消去対象の情報を、ステップS1303にて読み出した初期マスク用テーブルから抽出する。
抽選用カウンタは、例えばメイン処理(図12)にてステップS702の処理を実行する度に更新されるように構成されており、さらにはカウンタ値が1周した場合には初期値がランダムに選択される構成となっている。また、初期マスク用テーブルでは、抽選用カウンタの各カウンタ値に1対1で対応させて消去対象の情報が設定されているとともに、その消去対象の情報は、マスク対象のオブジェクトを構成する全ピクセルのうち複数のピクセルを1グループとして、各グループと1対1で対応している。
続くステップS1305では、ステップS1304にて取得した消去対象の情報から、消去対象のピクセルを把握する。その後、ステップS1306にてZ値の設定処理を実行した後に、本演算処理を終了する。このZ値の設定処理では、上記オブジェクトにおいて、ステップS1305にて消去対象として把握されたピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも奥側となるように設定され、消去対象となっていないピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも手前側であって本来表示すべき位置に対応するように設定される。
一方、ステップS1301にて開始タイミングではないと判定した場合には、ステップS1307に進む。ステップS1307では、既に読み出されている初期マスク用テーブルから、既に消去対象として設定された消去対象の情報が除外されるように、そのマスク用テーブルを書き換える。例えば、既に消去対象として設定された消去対象の情報に対応している上記カウンタ値が、他の消去対象の情報に重複して割り当てられるように、書き換える。この割り当てはランダムに行われてもよく、テーブル上で直下位のカウンタ値に対応した消去対象の情報に割り当てられる構成としてもよい。
その後、ステップS1307にて書き換えたマスク用テーブルを利用して、ステップS1304〜ステップS1306の処理を実行した後に、本演算処理を終了する。
以上のとおり、本別形態によれば、消去対象となるピクセルがランダムに選択されることとなるため、マスク表示の態様を多様化することができる。
なお、Zバッファ143を利用したマスク表示を、背景用のキャラクタではなく、演出用のキャラクタや図柄に対して適用してもよい。例えば、演出用のキャラクタに対して適用する場合、隠面処理が背景用の画像データ及び演出用の画像データに対してまとめて実行されるようにすることで、上記構成と同様に、最背面画像のZ値を基準にして、表示対象及び非表示対象のZ値の振分を行えばよい。また、図柄に対して適用する場合、隠面処理が背景用の画像データ、演出用の画像データ及び図柄用の画像データに対してまとめて実行されるようにすることで、上記構成と同様に、最背面画像のZ値を基準にして、表示対象及び非表示対象のZ値の振分を行えばよい。
また、隠面処理が背景、演出及び図柄に対して個別に行われる場合であっても、VDP135において最背面画像よりも奥側のZ値が設定されているピクセルは描画対象としないと定められているのであれば、上記構成と同様に、最背面画像のZ値を基準にして、表示対象及び非表示対象のZ値の振分を行えばよい。
また、表示対象及び非表示対象のZ値の振分が、最背面画像のZ値を基準にして行われるのではなく、例えば非表示対象のZ値として視点よりも手前のZ値が設定され、表示対象のZ値として視点よりも奥側のZ値が設定される構成としてもよい。
また、Zバッファ143を利用した隠面処理は、ワールド座標系のZ軸を基準に行われるのではなく、視点の向く方向を基準に行われる構成としてもよい。
<表示モードの切換に係る構成>
次に、表示モードの切換に係る構成について説明する。
表示モードとは、既に説明したとおり、遊技回が開始されるまでの間に表示される待機画像や遊技回が実行されている状況で表示される遊技回画像の種類を所定の種類に定める状態であり、複数種類の表示モードが設定されている。具体的には、第1表示モードと第2表示モードとが設定されている。
第1表示モードと第2表示モードとでは、背景画像の表示態様及び各図柄の表示態様が相互に異なっている。具体的には、同一の番号が付された図柄で比較した場合、第1表示モードと第2表示モードとで図柄の外形や形状は同一となっているが、色や模様が異なっている。また、背景画像については、第1表示モードと第2表示モードとで、最背面画像の種類が異なっているとともに、最背面画像の手前にて表示されるキャラクタの数及び種類が異なっており、表示されるキャラクタの数は第1表示モードの方が第2表示モードよりも多く設定されている。
表示モードの切換は、演出用操作装置48の操作に基づき行われる。具体的には、遊技回や開閉実行モードが実行されていない状況で演出用操作装置48が操作されることで、表示モードが順次切り換えられるようになっている。また、遊技回が実行されている状況における所定の条件下で演出用操作装置48が操作されたことに基づき切り換えられるようになっている。
表示モードの切換に係る具体的な処理構成を説明する。
図23は、表示CPU131にて実行される操作発生コマンド対応処理を示すフローチャートである。操作発生コマンド対応処理はV割込み処理(図13)におけるステップS803のコマンド対応処理にて実行される。
先ずステップS1401では、音声発光制御装置60からモード切換用の操作発生コマンドを受信しているか否かを判定する。受信していない場合にはそのまま本操作コマンド対応処理を終了し、受信している場合にはステップS1402に進む。
ステップS1402では、第1切換可能期間であるか否かを判定する。第1切換可能期間とは、遊技回及び開閉実行モードのいずれもが実行されていない期間である。第1切換可能期間であるかを特定するための情報はデータテーブルにおいて設定されており、ステップS1402では、現状設定されているデータテーブルに基づいて第1切換可能期間であるか否かを判定する。第1切換可能期間である場合には、ステップS1403にて、ワークRAM132に設けられた所定のエリアに対して第1切換実行フラグをセットする。
一方、第1切換可能期間ではない場合には、ステップS1404に進み、第2切換可能期間であるか否かを判定する。第2切換可能期間とは、遊技回が実行されている状況において開始タイミングから実行途中における予め定められた基準タイミングまでの期間である。具体的には、図柄表示装置31にて遊技回用演出が実行される場合、全図柄列SA1〜SA3での図柄の変動表示を開始→全図柄列SA1〜SA3での高速変動表示→低速変動表示を経由した各図柄列SA1〜SA3の順次停止という表示の流れを含む。この場合に、第2切換可能期間は、全図柄列SA1〜SA3での図柄の変動表示が開始されてから全図柄列SA1〜SA3での高速変動表示が終了するタイミングまでの期間である。
なお、図柄の変動表示の態様を、全図柄列SA1〜SA3での図柄の変動表示を開始→全図柄列SA1〜SA3の加速期間→全図柄列SA1〜SA3での高速変動表示(高速は一定速度)→低速変動表示(低速は一定速度)を経由した各図柄列SA1〜SA3の順次停止という表示の流れとしてもよい。この場合、第2切換可能期間を、全図柄列SA1〜SA3での高速変動表示が実行されている期間としてもよい。
また、高速変動表示と低速変動表示との間に中速変動表示が含まれていてもよい。つまり、図柄の変動表示の態様は、2段階、3段階又は4段階以上といったように複数段階で切り換わるのであれば具体的な段階数は任意である。この場合、第2切換可能期間を、各段階のうち遊技者における図柄の識別性が低い低識別な段階の期間としてもよい。
また、図柄の変動表示の流れにおいて相対的に低識別態様での変動表示→高識別態様での変動表示という状態を含むのであれば具体的な変動態様は任意であり、例えばいずれの態様であっても変動速度は同一であるが、低識別態様での変動表示では図柄が透明、半透明、中抜き又は一部を除いた状態で表示され、高識別態様での変動表示では図柄の全体が表示される構成としてもよい。この場合、第2切換可能期間を、低識別態様での変動表示が行われている期間としてもよい。
第2切換可能期間であるかを特定するための情報はデータテーブルにおいて設定されており、ステップS1404では、現状設定されているデータテーブルに基づいて第2切換可能期間であるか否かを判定する。第2切換可能期間ではないと判定した場合には、そのまま本操作発生コマンド対応処理を終了し、第2切換可能期間である場合には、ステップS1405にて、ワークRAM132に設けられた所定のエリアに対して第2切換実行フラグをセットする。
ステップS1403及びステップS1405のいずれかの処理を実行した後は、ステップS1406に進む。ステップS1406では、表示モード用のカウンタを更新する。
表示モード用のカウンタとは、表示CPU131にて現状の表示モードを特定するためのカウンタであり、ワークRAM132に設けられている。表示モード用のカウンタには各表示モードに1対1で対応させてカウンタ値が設定されている。本実施形態では上記のとおり表示モードとして第1表示モード及び第2表示モードの2種類が設定されているため、上記カウンタ値として第1表示モードに対応した「0」の数値と、第2表示モードに対応した「1」の数値とが設定されている。この場合、表示モード用のカウンタの初期値は「0」として設定されているため、表示CPU131への動作電力の供給が開始された場合や、パチンコ機10のリセットが行われた場合には第1表示モードが設定される。
ステップS1406では、演出用操作装置48が1回操作される度に表示モードが予め定められた順序に従って順次切り換えられるように表示モード用のカウンタを更新する。具体的には、表示モード用のカウンタが「0」であり第1表示モードに設定されている状況においてステップS1406の処理を実行する場合には、表示モード用のカウンタを「1」として第2表示モードに切り換えるとともに、表示モード用のカウンタが「1」であり第2表示モードに設定されている状況においてステップS1406の処理を実行する場合には、表示モード用のカウンタを「1」として第1表示モードに切り換える。ステップS1406の処理を実行した後に、本操作発生コマンド対応処理を終了する。
次に、表示CPU131にて実行される表示モード背景用の演算処理について、図24のフローチャートを参照しながら説明する。表示モード背景用の演算処理は、タスク処理(図14)におけるステップS903の背景用演算処理にて実行される。なお、大当たり演出を実行する場合などには表示モードに対応した背景画像は表示されないため表示モード背景用の演算処理は実行されず、待機画像を表示する場合や遊技回用の演出を実行する場合などに表示モード背景用の演算処理が実行される。
先ずステップS1501では、ワークRAM132に設けられた表示モード用のカウンタを参照し、第1表示モードであるか否かを判定する。第1表示モードである場合には、ステップS1502にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の更新対象の第1最背面画像を把握する。続くステップS1503では、その把握した第1最背面画像の各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。続くステップS1504にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1表示モードに対応したオブジェクトであって背景用の更新対象のオブジェクトを把握する。続くステップS1505では、その把握したオブジェクトの各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。
一方、第2表示モードである場合には、ステップS1506にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の更新対象の第2最背面画像を把握する。続くステップS1507では、その把握した第2最背面画像の各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。続くステップS1508にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第2表示モードに対応したオブジェクトであって背景用の更新対象のオブジェクトを把握する。続くステップS1509では、その把握したオブジェクトの各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。
なお、ステップS1502の処理の実行タイミングでは、第1最背面画像及び第1表示モードに対応した背景用のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS901)は完了している。また、ステップS1506の処理の実行タイミングでは、第2最背面画像及び第2表示モードに対応した背景用のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS901)は完了している。
ステップS1505又はステップS1509の処理を実行した後は、ステップS1510にて、ワークRAM132に第1切換実行フラグ又は第2切換実行フラグのいずれかがセットされているか否かを判定する。いずれかの切換実行フラグがセットされている場合には、ステップS1511にて、処理負荷の大きい状況であるか否かを判定する。
処理負荷の大きい状況とは、今回の描画リストに指定された画像データに対するジオメトリ演算及びレンダリングの両方がVDP135にて実行される場合に、処理落ちが発生する程度にVDP135の処理負荷が大きい又は処理落ちが発生しないまでもVDP135の処理負荷が比較的大きい状況のことをいう。なお、処理負荷の大きい状況か否かの情報はデータテーブルにおいて定められており、その情報に基づいてステップS1511の判定を行う。
処理負荷の大きい状況ではない場合には、ステップS1512にて、今回の表示モードに対応した背景画像は別保存済みであるか否かを判定する。ここで、別保存とは、各表示モードに対応した背景画像を表示させるための背景用の描画データを個別に保存するとともにその保存している状態を維持することである。別保存に際しては、VRAM134に設けられたモード用バッファ145が用いられる(図4を参照)。
モード用バッファ145には、第1表示モードに対応した背景画像を表示させるための背景用の描画データが書き込まれる第1モード用領域145aと、第2表示モードに対応した背景画像を表示させるための背景用の描画データが書き込まれる第2モード用領域145bと、が設けられている。また、VDP135には、背景用の描画データを第1モード用領域145a及び第2モード用領域145bのいずれかへ書き込む機能と、その書き込まれた背景用の描画データを読み出してスクリーン用バッファ144に書き込む機能と、を有する表示モード制御部154を備えている。
別保存済みではない場合にはステップS1513にて別保存の実行指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了し、別保存済みである場合にはそのまま本演算処理を終了する。
上記のように表示モード背景用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード又は第2表示モードのいずれかに対応した背景用の画像データの使用指示の情報が設定される。また、ステップS1513の処理が実行されている場合には別保存の実行指定情報が設定される。別保存の実行指定情報には、別保存を実行すべきことを示す情報が含まれているとともに、別保存先のアドレスの情報も含まれている。
一方、処理負荷の大きい状況である場合(ステップS1511:YES)には、ステップS1514にて、切換先の表示モードの背景画像が別保存済みであるか否かを判定する。別保存済みではない場合にはそのまま本演算処理を終了する。一方、別保存済みである場合にはステップS1515にて別保存データの使用指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように表示モード背景用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード及び第2表示モードのいずれかに対応した背景用の画像データの使用指示の情報が設定される。また、ステップS1515の処理が実行されている場合には別保存データの使用指定情報が設定される。別保存データの使用指定情報には、別保存データを使用すべきことを示す情報が含まれているとともに、その別保存データが保存されているアドレスの情報も含まれている。
次に、表示CPU131にて実行される図柄用演算処理について、図25のフローチャートを参照しながら説明する。図柄用演算処理はタスク処理(図14)のステップS905にて実行される。
先ずステップS1601では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、図柄について制御更新用の処理を実行する必要があるか否かを判定する。実行する必要がない場合として大当たり演出を実行している場合が含まれ、実行する必要がある場合として遊技回用の演出を実行している場合及び待機画像を表示している場合が含まれる。実行する必要がない場合にはそのまま本図柄用演算処理を終了し、実行する必要がある場合にはステップS1602にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、遊技回の実行中であるか否かを判定する。
遊技回の実行中でない場合には、ステップS1603にて、ワークRAM132に第1切換実行フラグがセットされているか否かを判定する。第1切換実行フラグがセットされている場合には、ステップS1604にて、制御対象の図柄を切換先の表示モードに対応させて変更する。具体的には、ワークRAM132において図柄の制御を行う上で確保されている各空きバッファ領域のパラメータ用の情報はそのまま保持させながら、制御対象の図柄の情報(例えば記憶されているアドレスの情報)のみを切換先の表示モードに対応した情報に書き換える。なお、ステップS1603及びステップS1604の処理が、タスク処理(図14)における制御開始用の設定処理(ステップS901)にて実行される構成としてもよい。また、ステップS1603にて肯定判定をした場合に第1切換実行フラグをクリアする。
ステップS1603にて否定判定をした場合又はステップS1604の処理を実行した場合は、ステップS1605に進む。ステップS1605では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、制御対象となる図柄のオブジェクトを把握し、続くステップS1606にて、そのオブジェクトの各種パラメータを演算して更新する。その後、本図柄用演算処理を終了する。
上記のように図柄用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード又は第2表示モードのいずれかに対応した図柄用の画像データの使用指示の情報が設定される。
遊技回の実行中である場合(ステップS1602:YES)には、ステップS1607にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、全図柄列SA1〜SA3において高速変動表示中であるか否かを判定する。全図柄列SA1〜SA3において高速変動表示中である場合には、ステップS1608にて、ワークRAM132に第2切換実行フラグがセットされているか否かを判定する。
第2切換実行フラグがセットされている場合には、ステップS1609にて、制御対象の図柄を切換先の表示モードに対応させて変更させることが可能であるか否かを判定する。これは今回の描画リストに対応した描画処理(図16)がVDP135にて実行される場合に、制御対象の図柄を切換先の表示モードに対応させて変更させようとすると、処理落ちが発生するか否かを基準として、処理落ちが発生しないのであれば変更させることが可能となり、処理落ちが発生するのであれば変更させることが不可であると判定される。
例えば、今回の描画リストにおいて表示モードの切換に対応した背景用の画像データが新たに設定される場合にはVDP135においてワールド座標系への画像データの設定を新たに設定し直す必要が生じるため、VDP135の処理負荷を大きくなる。したがって、この場合は、図柄を変更させることが不可であると判定される。一方、今回の描画リストにおいて背景用の画像データとして別保存データが設定されている場合、又は前回の描画リストに係る表示モードと同一の表示モードに対応した背景用の画像データが設定される場合にはVDP135においてワールド座標系への画像データの設定を新たに設定し直す必要が生じないため、VDP135の処理負荷は比較的小さくなる。したがって、この場合は、図柄を変更させることが可能であると判定される。
なお、変更させることが可能か否かの情報はデータテーブルにおいて定められており、その情報に基づいてステップS1609の判定を行う。また、ステップS1608にて肯定判定をした場合に第2切換実行フラグをクリアする。
ステップS1609にて、変更させることが可能であると判定した場合には、ステップS1610にて、制御対象の図柄を切換先の表示モードに対応させて変更する。この処理の具体的な内容は、ステップS1604と同様である。ステップS1610の処理を実行した後はステップS1613に進む。
一方、ステップS1609にて、変更させることが可能ではないと判定した場合には、ステップS1611にて、ワークRAM132に設けられた所定のエリアに対して変更待機フラグをセットした後に、ステップS1613に進む。変更待機フラグは、制御対象の図柄の変更が待機されていることを表示CPU131にて特定するためのフラグである。変更待機フラグがセットされている場合には、ステップS1608にて、第2切換実行フラグがセットされていないと判定されたとしても、ステップS1612の処理が実行されることで、ステップS1609の処理が実行される。なお、第2切換実行フラグ及び変更待機フラグの両方がセットされていない場合には、そのままステップS1613に進む。また、変更待機フラグはステップS1612にて肯定判定をした際にクリアされる。
ステップS1613では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、制御対象となる図柄のオブジェクトを把握し、続くステップS1614にて、そのオブジェクトの各種パラメータを演算して更新する。その後、本図柄用演算処理を終了する。
上記のように図柄用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード又は第2表示モードに対応した図柄用の画像データの使用指示の情報が設定される。この場合に、ステップS1609にて、切換先の表示モードに対応した図柄に変更させることができないと判定した場合には、切換元の表示モードに対応した図柄の画像データの使用指示の情報がそのまま描画リストに設定される。そうすると、最終的に表示モードに対応しない図柄が表示面Gに表示されることとなるが、第2切換実行フラグがセットされるタイミングは高速変動表示中であるため、遊技者は上記の状態を認識することができない又は認識しづらい。
また、切換先の表示モードに対応した図柄に変更させることができない場合には、変更待機フラグがセットされて、その後の処理回で変更が行われる。これにより、VDP135において処理落ちを発生させないようにしつつ、表示モードの切換を良好に行うことができる。なお、高速変動表示が行われている範囲で、切換先の表示モードに対応した図柄の変更が行われるように、VDP135の処理負荷が調整されている。
高速変動表示中ではない場合(ステップS1607:NO)には、ステップS1615に進む。ステップS1615では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、制御対象となる図柄のオブジェクトを把握し、続くステップS1616にて、そのオブジェクトの各種パラメータを演算して更新する。その後、本図柄用演算処理を終了する。上記のように図柄用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード又は第2表示モードに対応した図柄用の画像データの使用指示の情報が設定される。
次に、VDP135にて実行される背景用の設定処理を、図26のフローチャートを参照しながら説明する。なお、背景用の設定処理は、描画処理(図16)におけるステップS1002にて実行される。
先ずステップS1701では、今回の描画リストにおいて別保存データの使用指定が設定されているか否かを判定する。設定されている場合には、ステップS1702にて、その指定に対応した別保存データを背景用の描画データとして設定するための情報をレジスタ153に記憶させる。
設定されていない場合(ステップS1701:NO)又はステップS1702の処理を実行した後は、ステップS1703に進む。ステップS1703では、今回の描画リストに指定されている最背面画像を把握するとともに、ステップS1704にて、その最背面画像について指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS1705にて、その最背面画像について、ワールド座標系への設定処理を実行する。この設定に係る内容は、既に説明したとおりである。
続くステップS1706では、今回の描画リストに指定されている背景用のオブジェクトを把握するとともに、ステップS1707にて、そのオブジェクトについて指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS1708にて、そのオブジェクトについて、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本背景用の設定処理を終了する。
上記のように背景用の設定処理が実行されることにより、別保存データの使用指定が設定されていない状況だけでなく、別保存データの使用指定が設定されている状況であっても、描画リストにて指定されている画像データをワールド座標系に設定することができる。そして、これに伴って、例えば今回の描画リストが表示モードの切換に係るものである場合には、切換先の表示モードに対応した画像データの制御開始用の設定を行うことができる。
次に、VDP135にて実行される背景用の描画データ作成処理を、図27のフローチャートを参照しながら説明する。なお、背景用の描画データ作成処理は、描画処理(図16)におけるステップS1010にて実行される。
先ずステップS1801では、レジスタ153に別保存データの使用設定の情報がセットされているか否かを判定する。セットされていない場合には、ステップS1802にて、隠面処理を実行して、スクリーン用バッファ144に背景用の描画データを作成する。隠面処理については、既に説明したとおりである。
続くステップS1803では、今回の描画リストにおいて別保存の実行指定が設定されているか否かを判定する。設定されていない場合には、そのまま本描画データ作成処理を終了する。設定されている場合には、ステップS1804にて、モード用バッファ145の第1モード用領域145a及び第2モード用領域145bのうち対象となるモード用領域へ、ステップS1802にて作成された背景用の描画データを書き込む。これにより、背景用の描画データの別保存が行われる。その後に、本描画データ作成処理を終了する。
一方、ステップS1801にて、レジスタ153に別保存データの使用設定の情報がセットされている場合には、ステップS1805に進む。ステップS1805では、モード用バッファ145の第1モード用領域145a及び第2モード用領域145bのうち、今回指定されているモード用領域から別保存データを読み出し、その読み出した別保存データを、今回の背景用の描画データとして、スクリーン用バッファ144に書き込む。その後に、本描画データ作成処理を終了する。
上記のように背景用の描画データ作成処理が実行されることにより、ジオメトリ演算及びレンダリングを通じた背景用の描画データ、又は別保存データに係る背景用の描画データがスクリーン用バッファ144に格納される。また、各表示モードに対応した画像が表示されるフレームにおいては、その後に演出及び図柄用の描画データ作成処理(ステップS1011)が実行されて、演出及び図柄用の描画データが作成されるとともに、描画データ合成処理(ステップS1012)が実行されて、1フレーム分の描画データが作成される。
ここで、第1表示モード用の別保存データ及び第2表示モード用の別保存データが作成されるタイミングを、図28のタイミングチャートを参照しながら説明する。
図28(A)は第1表示モードに対応した背景用の描画データPD1を示し、図28(B)は第2表示モードに対応した背景用の描画データPD2を示す。また、図28(a)はパチンコ機10の電源のON/OFFの状態を示し、図28(b)は第1表示モードの有無を示し、図28(c)は第2表示モードの有無を示し、図28(d)は第1表示モード用の別保存データの有無を示し、図28(e)は第2表示モード用の別保存データの有無を示す。
t1のタイミングでパチンコ機10の電源がON操作されることで、表示CPU131への電力供給が開始され、表示CPU131にて処理が開始される。また、表示モードは第1表示モードに設定されているため、t1のタイミングよりも後のタイミングで、第1表示モードに対応した画像を表示させるために、描画リストが表示CPU131からVDP135に出力され、さらにその描画リストに基づきVDP135にて第1表示モードに対応した描画データの作成が開始される。
その後、t2のタイミングで、第1表示モードに対応した背景用の描画データPD1の作成が完了することで、その描画データが第1表示モード用の別保存データとしてモード用バッファ145の第1モード用領域145aに記憶される。この第1表示モードに対応した背景用の描画データPD1による背景画像では、図28(A)に示すように、最背面画像の手前にて「A」〜「F」にて示す3次元のキャラクタ画像が表示される。また、第1モード用領域145aに記憶された別保存データは、VRAM134への電力供給が継続されている間は記憶保持される。また、t2のタイミング又はその後の所定のタイミングで、第1表示モードに対応した画像の表示が開始される。
その後、t3のタイミングで演出用操作装置48が操作されることに基づき、表示モードが第1表示モードから第2表示モードに切り換えられる。そして、第2表示モード用の描画データが作成され、第2表示モードに対応した画像の表示が開始される。また、当該タイミングにおいて第2表示モードに対応した背景用の描画データPD2の作成が完了するため、その描画データが第2表示モード用の別保存データとしてモード用バッファ145の第2モード用領域145bに記憶される。この第2表示モードに対応した背景用の描画データPD2による背景画像では、図28(B)に示すように、最背面画像の手前にて「G」〜「J」にて示す3次元のキャラクタ画像が表示される。また、第2モード用領域145bに記憶された別保存データは、VRAM134への電力供給が継続されている間は記憶保持される。
ここで、第1表示モードに対応した背景用の描画データPD1は、第2表示モードに対応した背景用の描画データPD2に比べて、設定されるオブジェクトの数が多い。そうすると、第2表示モードから第1表示モードの切換がVDP135の処理負荷の大きい状況で行われると、VDP135にて処理落ちが発生してしまうことが懸念される。これに対して、両別保存データのうち、第1表示モード用の別保存データを電源立ち上げ時の初期設定が行われている時間を利用して作成しておくことで、処理負荷の大きい状況で表示モードが第1表示モードに切り換えられた場合には、その別保存データを利用して処理落ちを回避することができる。
一方、第2表示モードに対応した背景用の描画データPD2は、その作成にかかるVDP135の処理負荷が小さく、VDP135の処理負荷の大きい状況で第2表示モードへの切換が行われたとしても、処理落ちが発生しないように設定されている。但し、第2表示モードに対応した背景用の描画データPD2についても別保存は行われ、処理落ちが発生しないまでも比較的処理負荷が大きい状況で第2表示モードへの切換が行われた場合には、その別保存データが利用される。
上記のように別保存データが作成されることで、t4〜t9のタイミングで示すように、表示モードの切換が短時間で繰り返し実行された場合などには、それぞれの表示モードにおいて別保存データを利用して背景用の画像を表示することで、処理落ちの発生を阻止することができる。
また、別保存の対象は背景画像であり、図柄といった変動が注目される個別画像は含まれない。これにより、個別画像が変動している状況で表示モードの切換が行われた場合に、別保存データを使用した画像の表示を行ったとしても、変動が注目される個別画像の動きは継続されるため、遊技者が違和感を抱きづらくなる。
なお、表示モードは2段階に限定されることはなく、3段階又は4段階以上設定されていてもよい。この場合であっても、各表示モードに対応した背景用の描画データを別保存しておくことで、表示モードの切換を良好に行うことができる。
また、表示モードの切換タイミングがいずれであっても、図柄の種類の切換が待機されることなく行われる構成としてもよい。また、図柄は表示モード間で相違しない構成としてもよい。
また、演出用のキャラクタも表示モードに依存して切り換わる構成としてもよい。この場合、演出用のキャラクタは別保存の対象ではない構成としてもよく、別保存の対象である構成としてもよい。
<連結オブジェクトを用いて3次元画像を表示するための構成>
次に、連結オブジェクトを用いて3次元画像を表示するための構成について説明する。
連結オブジェクトは、複数の部品オブジェクト(部分オブジェクト)が連結部を関節として連結された一単位のオブジェクトであり、各部品オブジェクトを相対的に変位させることで3次元画像のキャラクタに動きを与えるために設定されている。連結オブジェクトを用いることにより、3次元画像のキャラクタをスムーズに動作させることができる。なお、連結オブジェクトが骨格部と関節部とを有していることに鑑みれば、ボーンモデルと称することもできる。
連結オブジェクトは、所定の動作を行うキャラクタを表示するために設定されている。ここで、本実施形態では、共通のキャラクタを表示するための連結オブジェクトが複数種類設定されている。この複数種類の連結オブジェクトについて、図29を参照しながら説明する。
図29(a),(b)に示すように、共通のキャラクタを表示するために、第1の連結オブジェクトPC15と、第2の連結オブジェクトPC16とが設定されている。これら第1の連結オブジェクトPC15及び第2の連結オブジェクトPC16はそれぞれ複数の連結部CT1,CT2を有しているが、相互に異なる箇所に連結部CT1,CT2が設定されている。
具体的には、第1の連結オブジェクトPC15は膝部分に連結部が設けられていないが、肘部分に連結部CT1が設けられており、図29(a―1),(a―2)に示すような動作の表示が可能となっている。一方、第2の連結オブジェクトPC16は肘部分に連結部が設けられていないが、膝部分に連結部CT2が設けられており、図29(b―1),(b―2)に示すような動作の表示が可能となっている。上記のように異なる箇所に連結部が設定されていることにより、第1の連結オブジェクトPC15を使用した場合と第2の連結オブジェクトPC16を使用した場合とで、キャラクタに異なる動作をさせることが可能となる。
なお、両連結オブジェクトPC15,PC16は共通する箇所に連結部CT1,CT2を有しているが、共通する箇所に連結部CT1,CT2を有していない構成としてもよい。また、両連結オブジェクトPC15,PC16に対しては共通のテクスチャがマッピングされるが、それぞれ個別にテクスチャが設定されている構成としてもよい。複数の連結オブジェクトPC15,PC16を用意しておくことでキャラクタに異なる動作をさせることが可能であれば、連結部CT1,CT2の位置やキャラクタの種類は任意である。
以下、上記両連結オブジェクトPC15,PC16を用いてキャラクタが動作している様子を表示するための具体的な処理構成を説明する。
図30は、表示CPU131にて実行される連結オブジェクト用の演算処理を示すフローチャートである。連結オブジェクト用の演算処理はタスク処理(図14)のステップS904における演出用演算処理にて実行される。また、連結オブジェクト用の演算処理は、連結オブジェクトPC15,PC16を用いた演出が実行される遊技回に対応したデータテーブルが設定されている場合に起動される。
先ずステップS1901では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、連結オブジェクトPC15,PC16を用いた演出の実行中(上記キャラクタが表示中)であるか否かを判定する。演出の実行中ではない場合にはステップS1902にて、連結オブジェクトPC15,PC16を用いた演出の開始タイミングであるか否かを判定する。開始タイミングではない場合にはそのまま本演算処理を終了し、開始タイミングである場合にはステップS1903に進む。
ステップS1903では、連結オブジェクト演出の開始指定情報を記憶し、続くステップS1904にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1の連結オブジェクトPC15及び第2の連結オブジェクトPC16を制御対象として把握する。ちなみに、ステップS1904の処理の実行タイミングでは、直前の制御開始用の設定処理(ステップS901)にて、両連結オブジェクトPC15,PC16に対して制御開始用の処理が完了している。また、制御が開始された両連結オブジェクトPC15,PC16の制御用の情報は、連結オブジェクトPC15,PC16を用いた今回の一連の演出が完了するまではワークRAM132に記憶保持される。
続くステップS1905では、第1の連結オブジェクトPC15の各種パラメータを演算して、当該第1の連結オブジェクトPC15に係る制御用の情報を更新する。また、ステップS1906では、第2の連結オブジェクトPC16の各種パラメータを演算して、当該第2の連結オブジェクトPC16に係る制御用の情報を更新する。
続くステップS1907では、第1演出期間の指定情報を記憶する。ここで、連結オブジェクトPC15,PC16を用いた演出は、その全体の演出期間が複数種類の演出期間、具体的には第1演出期間,第2演出期間及び第3演出期間に区分けされている。そして、第1演出期間及び第3演出期間は第1の連結オブジェクトPC15を用いてキャラクタが表示され、第2演出期間は第2の連結オブジェクトPC16を用いてキャラクタが表示される。その後、ステップS1908にて、両連結オブジェクトPC15,PC16のうち第1の連結オブジェクトPC15のパラメータが今回の描画リストにて指定されるように設定する。
続くステップS1909では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1演出期間用の他のオブジェクトであって今回の更新対象のオブジェクトを把握する。ちなみに、ステップS1909の処理の実行タイミングでは、直前の制御開始用の設定処理(ステップS901)にて、今回の更新対象のオブジェクトに対して制御開始用の処理が完了している。その後、ステップS1910にて、上記把握した他のオブジェクトの各種パラメータを演算して、これら他のオブジェクトに係る制御用の情報を更新した後に、本演算処理を終了する。
上記のように連結オブジェクト用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、両連結オブジェクトPC15,PC16の使用指示の情報が設定されるとともに、それらオブジェクトPC15,PC16に対して第1の連結オブジェクトPC15のパラメータが設定される。また、連結オブジェクトPC15,PC16を用いた演出を開始させるべきことを示す連結オブジェクト演出の開始指定情報と、第1演出期間であることを示す第1演出期間の指定情報とが、描画リストに設定される。
一方、連結オブジェクトPC15,PC16を用いた演出の実行中である場合(ステップS1901:YES)には、ステップS1911にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1演出期間中であるか否かを判定する。第1演出期間中である場合には、ステップS1904〜ステップS1910の処理を実行した後に、本演算処理を終了する。ちなみに、今回は第1演出期間中であるため、当該第1演出期間の進行に伴って第1の連結オブジェクトPC15が予め定められた第1の動作(図29(a)を参照)をするように、ステップS1905にてパラメータの演算が行われる。
上記のように連結オブジェクト用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、両連結オブジェクトPC15,PC16の使用指示の情報が設定されるとともに、それらオブジェクトPC15,PC16に対して第1の連結オブジェクトPC15のパラメータが設定される。また、第1演出期間であることを示す第1演出期間の指定情報が、描画リストに設定される。
ステップS1911にて、第1演出期間中ではないと判定した場合には、ステップS1912にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第2演出期間中であるか否かを判定する。第2演出期間中である場合には、ステップS1913にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1の連結オブジェクトPC15及び第2の連結オブジェクトPC16を制御対象として把握する。
続くステップS1914では、第1の連結オブジェクトPC15の各種パラメータを演算して、当該第1の連結オブジェクトPC15に係る制御用の情報を更新する。また、ステップS1915では、第2の連結オブジェクトPC16の各種パラメータを演算して、当該第2の連結オブジェクトPC16に係る制御用の情報を更新する。ちなみに、今回は第2演出期間中であるため、当該第2演出期間の進行に伴って第2の連結オブジェクトPC16が予め定められた第2の動作(図29(b)を参照)をするように、ステップS1915にてパラメータの演算が行われる。
続くステップS1916では、第2演出期間の指定情報を記憶し、さらにステップS1917にて、両連結オブジェクトPC15,PC16のうち第2の連結オブジェクトPC16のパラメータが今回の描画リストにて指定されるように設定する。
続くステップS1918では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第2演出期間用の他のオブジェクトであって今回の更新対象のオブジェクトを把握する。ここで、第2演出期間は第1演出期間よりも演出が発展した状態であり、少なくとも第1演出期間から第2演出期間への切り換えに際して表示されるオブジェクト数は増加する。第1演出期間から第2演出期間への切り換えに際して増加した分のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS901)は、ステップS1918の処理の実行タイミングにおいて完了している。その後、ステップS1919にて、上記把握した他のオブジェクトの各種パラメータを演算して、これら他のオブジェクトに係る制御用の情報を更新した後に、本演算処理を終了する。
上記のように連結オブジェクト用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、両連結オブジェクトPC15,PC16の使用指示の情報が設定されるとともに、それらオブジェクトPC15,PC16に対して第2の連結オブジェクトPC16のパラメータが設定される。また、第2演出期間であることを示す第2演出期間の指定情報が、描画リストに設定される。
ステップS1912にて、第2演出期間中ではないと判定した場合には、第3演出期間であることを意味するため、ステップS1920に進む。ステップS1920では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1の連結オブジェクトPC15及び第2の連結オブジェクトPC16を制御対象として把握する。
続くステップS1921では、第1の連結オブジェクトPC15の各種パラメータを演算して、当該第1の連結オブジェクトPC15に係る制御用の情報を更新する。ちなみに、今回は第3演出期間中であるため、当該第3演出期間の進行に伴って第1の連結オブジェクトPC15が予め定められた第1の動作(図29(a)を参照)をするように、ステップS1921にてパラメータの演算が行われる。また、ステップS1922では、第2の連結オブジェクトPC16の各種パラメータを演算して、当該第2の連結オブジェクトPC16に係る制御用の情報を更新する。
続くステップS1923では、第3演出期間の指定情報を記憶し、さらにステップS1924にて、両連結オブジェクトPC15,PC16のうち第1の連結オブジェクトPC15のパラメータが今回の描画リストにて指定されるように設定する。
続くステップS1925では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第3演出期間用の他のオブジェクトであって今回の更新対象のオブジェクトを把握する。ここで、第3演出期間は第2演出期間よりも演出が発展した状態であり、少なくとも第2演出期間から第3演出期間への切り換えに際して表示されるオブジェクト数は増加する。第2演出期間から第3演出期間への切り換えに際して増加した分のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS901)は、ステップS1925の処理の実行タイミングにおいて完了している。その後、ステップS1926にて、上記把握した他のオブジェクトの各種パラメータを演算して、これら他のオブジェクトに係る制御用の情報を更新した後に、本演算処理を終了する。
上記のように連結オブジェクト用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、両連結オブジェクトPC15,PC16の使用指示の情報が設定されるとともに、それらオブジェクトPC15,PC16に対して第1の連結オブジェクトPC15のパラメータが設定される。また、第3演出期間であることを示す第3演出期間の指定情報が、描画リストに設定される。
次に、VDP135にて実行される連結オブジェクト演出用の設定処理を、図31のフローチャートを参照しながら説明する。連結オブジェクト演出用の設定処理は、描画処理(図16)におけるステップS1003の演出用の設定処理にて実行される。また、連結オブジェクト演出用の設定処理は、今回の描画リストに連結オブジェクト演出の開始指定、第1演出期間乃至第3演出期間の指定のいずれかが設定されている場合に起動される。
先ずステップS2001では、今回の描画リストにおいて連結オブジェクト演出の開始指定が設定されているか否かを判定する。設定されている場合には、ステップS2002にて、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において第1の連結オブジェクトPC15が記憶されているアドレスを把握して、当該第1の連結オブジェクトPC15を読み出す。また、ステップS2003にて、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において第2の連結オブジェクトPC16が記憶されているアドレスを把握して、当該第2の連結オブジェクトPC16を読み出す。
続くステップS2004では、第1演出期間用の一律α値の設定処理を実行する。具体的には、第1の連結オブジェクトPC15の一律α値を不透過情報である「1」に設定するとともに、第2の連結オブジェクトPC16の一律α値を完全透過情報である「0」に設定する。これにより、第1の連結オブジェクトPC15の全ピクセルに対して予め設定されている色情報(当初から各ピクセルに設定されているα値の情報を含む)がそのまま適用されるのに対して、第2の連結オブジェクトPC16の全ピクセルに対して「0」のα値が一律に適用される。
続くステップS2005では、今回の描画リストにおいて第1の連結オブジェクトPC15に対して指定されているパラメータを、両連結オブジェクトPC15,PC16のパラメータとして把握する。その後、ステップS2006にて、両連結オブジェクトPC15,PC16について、ワールド座標系への設定処理を実行する。
今回は連結オブジェクト演出の開始指定に係る処理回であるため、両連結オブジェクトPC15,PC16のワールド座標系への配置を行う。また、両連結オブジェクトPC15,PC16の形状は概ね一致しているが、各部品オブジェクトの連結部が相違している。そうすると、第1の連結オブジェクトPC15のパラメータを第2の連結オブジェクトPC16にそのまま適用しようとしても座標指定が一致しないピクセルが生じるが、そのようなピクセルに対してはVDP135側において所定の調整が行われる。
続くステップS2007では、今回の描画リストに指定されている第1演出期間用の他のオブジェクトを把握するとともに、ステップS2008にて、そのオブジェクトについて指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS2009にて、そのオブジェクトについて、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本連結オブジェクト演出用の設定処理を終了する。
上記のように連結オブジェクト演出用の設定処理が実行されることにより、ワールド座標系に対して両連結オブジェクトPC15,PC16の配置が同時に開始される。また、両連結オブジェクトPC15,PC16に対して同一のパラメータが適用されるため、ワールド座標系の同一の位置に対して両連結オブジェクトPC15,PC16が重ねて配置される。但し、ステップS2004の処理が実行されていることにより、第2の連結オブジェクトPC16はレンダリングに際して完全透明のオブジェクトとして扱われるため、表示面Gには両連結オブジェクトPC15,PC16のうち第1の連結オブジェクトPC15のみが表示される。
一方、ステップS2001にて、今回の描画リストにおいて連結オブジェクト演出の開始指定が設定されていないと判定した場合には、ステップS2010に進む。ステップS2010では、今回の描画リストにおいて第1演出期間の指定が設定されているか否かを判定する。
設定されている場合には、ステップS2004〜ステップS2009の処理を実行した後に、本設定処理を終了する。この場合、ステップS2006では、ワールド座標系に設定されている両連結オブジェクトPC15,PC16の各種パラメータを、描画リストにおいて第1の連結オブジェクトPC15に対応させて設定されているパラメータの情報から把握して更新する。
上記のように連結オブジェクト演出用の設定処理が実行されることにより、両連結オブジェクトPC15,PC16の各種パラメータは更新されるが、ステップS2004の処理が実行されるため、表示面Gには両連結オブジェクトPC15,PC16のうち第1の連結オブジェクトPC15のみが表示される。また、ステップS2005で更新されるパラメータは、第1の連結オブジェクトPC15に対応しているため、第1演出期間の進行に伴って、表示面Gでは第1の動作を行うように第1の連結オブジェクトPC15が表示される。
ステップS2010にて、今回の描画リストにおいて第1演出期間の指定が設定されていないと判定した場合には、ステップS2011に進む。ステップS2011では、今回の描画リストにおいて第2演出期間の指定が設定されているか否かを判定する。
設定されている場合には、ステップS2012にて、第2演出期間用の一律α値の設定処理を実行する。具体的には、第1の連結オブジェクトPC15の一律α値を完全透過情報である「0」に設定するとともに、第2の連結オブジェクトPC16の一律α値を不透過情報である「1」に設定する。これにより、第2の連結オブジェクトPC16の全ピクセルに対して予め設定されている色情報(当初から各ピクセルに設定されているα値の情報を含む)がそのまま適用されるのに対して、第1の連結オブジェクトPC15の全ピクセルに対して「0」のα値が一律に適用される。
続くステップS2013では、今回の描画リストにおいて第2の連結オブジェクトPC16に対して指定されているパラメータを、両連結オブジェクトPC15,PC16のパラメータとして把握する。その後、ステップS2014にて、両連結オブジェクトPC15,PC16について、ワールド座標系への設定処理を実行する。
今回は第2演出期間の更新に係る処理回であるため、ワールド座標系に設定されている両連結オブジェクトPC15,PC16の各種パラメータを、描画リストにおいて第2の連結オブジェクトPC16に対応させて設定されているパラメータの情報から把握して更新する。この場合に、両連結オブジェクトPC15,PC16の形状は概ね一致しているが、各部品オブジェクトの連結部が相違している。そうすると、第2の連結オブジェクトPC16のパラメータを第1の連結オブジェクトPC15にそのまま適用しようとしても座標指定が一致しないピクセルが生じるが、そのようなピクセルに対してはVDP135側において所定の調整が行われる。
続くステップS2015では、今回の描画リストに指定されている第2演出期間用の他のオブジェクトを把握するとともに、ステップS2016にて、そのオブジェクトについて指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS2017にて、そのオブジェクトについて、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本連結オブジェクト演出用の設定処理を終了する。ここで、今回の処理回が第1演出期間から第2演出期間への切り換えに係るタイミングである場合には、表示されるオブジェクトの数が増加するため、ステップS2017ではそれに応じた処理を実行する。
上記のように連結オブジェクト演出用の設定処理が実行されることにより、両連結オブジェクトPC15,PC16の各種パラメータは更新されるが、ステップS2012の処理が実行されるため、表示面Gには両連結オブジェクトPC15,PC16のうち第2の連結オブジェクトPC16のみが表示される。また、ステップS2013で更新されるパラメータは、第2の連結オブジェクトPC16に対応しているため、第2演出期間の進行に伴って、表示面Gでは第2の動作を行うように第2の連結オブジェクトPC16が表示される。
ステップS2011にて、今回の描画リストにおいて第2演出期間の指定が設定されていないと判定した場合には、今回の描画リストにおいて第3演出期間の指定が設定されていることを意味するため、ステップS2018に進む。
ステップS2018では、第3演出期間用の一律α値の設定処理を実行する。具体的には、第1の連結オブジェクトPC15の一律α値を不透過情報である「1」に設定するとともに、第2の連結オブジェクトPC16の一律α値を完全透過情報である「0」に設定する。これにより、第1の連結オブジェクトPC15の全ピクセルに対して予め設定されている色情報(当初から各ピクセルに設定されているα値の情報を含む)がそのまま適用されるのに対して、第2の連結オブジェクトPC16の全ピクセルに対して「0」のα値が一律に適用される。
続くステップS2019では、今回の描画リストにおいて第1の連結オブジェクトPC15に対して指定されているパラメータを、両連結オブジェクトPC15,PC16のパラメータとして把握する。その後、ステップS2020にて、両連結オブジェクトPC15,PC16について、ワールド座標系への設定処理を実行する。
今回は第3演出期間の更新に係る処理回であるため、ワールド座標系に設定されている両連結オブジェクトPC15,PC16の各種パラメータを、描画リストにおいて第1の連結オブジェクトPC15に対応させて設定されているパラメータの情報から把握して更新する。
続くステップS2021では、今回の描画リストに指定されている第3演出期間用の他のオブジェクトを把握するとともに、ステップS2022にて、そのオブジェクトについて指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS2023にて、そのオブジェクトについて、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本連結オブジェクト演出用の設定処理を終了する。ここで、今回の処理回が第2演出期間から第3演出期間への切り換えに係るタイミングである場合には、表示されるオブジェクトの数が増加するため、ステップS2023ではそれに応じた処理を実行する。
上記のように連結オブジェクト演出用の設定処理が実行されることにより、両連結オブジェクトPC15,PC16の各種パラメータは更新されるが、ステップS2018の処理が実行されるため、表示面Gには両連結オブジェクトPC15,PC16のうち第1の連結オブジェクトPC15のみが表示される。また、ステップS2019で更新されるパラメータは、第1の連結オブジェクトPC15に対応しているため、第3演出期間の進行に伴って、表示面Gでは第1の動作を行うように第1の連結オブジェクトPC15が表示される。
次に、連結オブジェクト演出の内容について、図32を参照しながら説明する。
図32は連結オブジェクト演出を説明するための説明図である。また、図32(a)は第1演出期間を示し、図32(b)は第2演出期間を示し、図32(c)は第3演出期間を示す。なお、図32(a―1),(b―1),(c―1)はワールド座標系のイメージ図であり、図32(a―2),(b―2),(c―2)は表示面Gを示す。また、図32(a―2),(b―2),(c―2)では背景画像や図柄を省略しているが、実際には各演出用の画像の奥側にて背景画像が表示されるとともに手前側にて図柄が表示される。
第1演出期間では、図32(a―1)に示すように、両連結オブジェクトPC15,PC16がワールド座標系に設定されるが、第2の連結オブジェクトPC16に対しては透明化処理が行われる。したがって、図32(a―2)に示すように、表示面Gには第1の連結オブジェクトPC15に対応したキャラクタCH3が表示され、第1演出期間の進行に伴って第1の動作が行われる。また、その他のオブジェクトに対応した画像として、「A」〜「C」に示すキャラクタCH4〜CH6が表示される。
第2演出期間では、図32(b―1)に示すように、両連結オブジェクトPC15,PC16がワールド座標系に設定されるが、第1の連結オブジェクトPC15に対しては透明化処理が行われる。したがって、図32(b―2)に示すように、表示面Gには第2の連結オブジェクトPC16に対応したキャラクタCH3が表示され、第2演出期間の進行に伴って第2の動作が行われる。
ここで、図32(a―2)と図32(b―2)とで比較した場合、両キャラクタCH3は異なる形状であるかのように示されているが、実際には両連結オブジェクトPC15,PC16に対して同一のテクスチャがマッピングされ、連結部(関節部分)が目立たなくなる。したがって、第1演出期間から第2演出期間に切り換わったとしても、キャラクタCH3に関して表示面Gでは同一、略同一又は同様の画像が表示され、遊技者はその切り換わりを認識しづらくなっている。但し、遊技者が切り換わりの発生を認識しづらいのであれば、両連結オブジェクトPC15,PC16に対して個別にテクスチャが設定されていてもよい。
また、第2演出期間では、その他のオブジェクトに対応した画像として、「A」〜「E」に示すキャラクタCH4〜CH8が表示される。このキャラクタCH4〜CH8の数は、第1演出期間の場合よりも多い数である。
第3演出期間では、図32(c―1)に示すように、両連結オブジェクトPC15,PC16がワールド座標系に設定されるが、第2の連結オブジェクトPC16に対しては透明化処理が行われる。したがって、図32(c―2)に示すように、表示面Gには第1の連結オブジェクトPC15に対応したキャラクタCH3が表示され、第3演出期間の進行に伴って第1の動作が行われる。また、第3演出期間では、その他のオブジェクトに対応した画像として、「A」〜「G」に示すキャラクタCH4〜CH10が表示される。このキャラクタCH4〜CH10の数は、第2演出期間の場合よりも多い数である。
以上のとおり、共通のキャラクタに対して複数の連結オブジェクトPC15,PC16が設定されていることにより、関節部分を利用した動作の種類に応じて表示対象となる連結オブジェクトPC15,PC16を切り換えることができる。例えば、複数種類の動作を単一の連結オブジェクトで行おうとすると、それだけ分の連結部及び部品オブジェクトをその単一の連結オブジェクトに対して設定する必要が生じる。そうすると、一の画像データのデータ容量が大きくなってしまい、メモリモジュール133において単一の画像データとして記憶可能な容量を超えてしまうことが懸念され、超えないとしても単一の画像データを扱う上での処理時間や転送時間の長時間化が懸念される。これに対して、複数の連結オブジェクトPC15,PC16として設定されているため、上記のような不都合を生じさせることなく、キャラクタに対して複数種類の動作を行わせることが可能となる。
また、パチンコ機10の設計段階においては演出の修正が行われる機会が多く、キャラクタの動作についての修正の度に連結オブジェクトの全体の動きを見直していると、設計に要する期間が多大なものとなってしまう。これに対して、上記のように行わせたい動作の種類に応じて複数の連結オブジェクトPC15,PC16を設定することで、演出の修正を行う必要が生じたとしても、既に作成済みの連結オブジェクトPC15,PC16の全てを修正する必要がなくなる。よって、パチンコ機10の設計を良好に行えるようにしながら、キャラクタに対して複数種類の動作を行わせることが可能となる。
また、キャラクタを表示させるために連結オブジェクトが切り換えられるタイミングよりも前に切換元のオブジェクトだけでなく切換先のオブジェクトについても、表示CPU131において制御対象とされるとともに、VDP135においてワールド座標系への配置対象とされる。これにより、切換タイミングとなった場合に表示CPU131及びVDP135では、切換先のオブジェクトに対して制御開始処理を実行するのではなく、当該制御開始処理よりも処理負荷が小さい制御更新処理を実行すればよいため、切換タイミングにおける処理負荷が軽減される。
特に、切換タイミングでは、演出が発展し、表示されるオブジェクトの数が増加するため、表示CPU131及びVDP135にとって処理負荷が比較的大きくなるタイミングである。この場合に、切換先のオブジェクトに対して制御開始処理を行う構成を想定すると、表示CPU131やVDP135において処理落ちが発生することが懸念されるが、上記のとおり切換先のオブジェクトについて制御更新処理を実行すればよいため、当該処理落ちの発生を阻止することができる。
また、ワールド座標系に両連結オブジェクトPC15,PC16を同時に配置するとともに、適用する一律α値を完全透過情報と不透過情報とで切り換える構成であるため、表示CPU131では両者の切換に関して一律α値の切換指定をすればよく、VDP135ではその指定に従って適用する一律α値を切り換えればよい。よって、表示CPU131及びVDP135の処理構成の複雑化を抑えながら、上記のような優れた効果を奏することができる。
また、表示CPU131からVDP135には、ワールド座標系に同時に配置される両連結オブジェクトPC15,PC16のうち表示対象の連結オブジェクトに対してのパラメータ情報のみが提供される。これにより、描画リストに設定されるデータ量の軽減が図られる。また、VDP135では、両連結オブジェクトPC15,PC16のパラメータの更新を同一の態様で行えばよいため、VDP135の処理負荷の軽減が図られる。
なお、第1演出期間〜第3演出期間の切換では、キャラクタの数が増加することに代えて又は加えて、上記複数の連結オブジェクトが用意されているキャラクタとは異なる演出用のキャラクタの動作が新たに追加される構成としてもよく、上記複数の連結オブジェクトが用意されているキャラクタとは別に処理負荷の大きい演出用のキャラクタの表示が開始される構成としてもよい。
また、第2の連結オブジェクトPC16の表示CPU131における制御開始タイミングやVDP135における制御開始タイミングは、第1の連結オブジェクトPC15と同一ではなくてもよい。例えば、第1演出期間から第2演出期間への切換タイミングよりも前ではあるが、第1の連結オブジェクトPC15の制御開始タイミングよりも後のタイミングであってもよい。
また、演出期間の切換タイミングにおける処理負荷が上記構成よりも増加するが、当該切換タイミングにおいて第2の連結オブジェクトPC16の制御が開始される構成としてもよい。この場合、第1の連結オブジェクトPC15と第2の連結オブジェクトPC16とがワールド座標系に同時に配置されることがないため、一律α値を調整して表示対象を切り換える制御を行わなくてもよい。
また、ワールド座標系に同時に配置されている両連結オブジェクトPC15,PC16について、表示対象の切換を一律α値の調整により行うのではなく、レンダリング対象の切換により行う構成としてもよい。この場合、表示対象ではない側の連結オブジェクトは、レンダリングが行われないこととなるため、上記構成よりもレンダリング時の処理負荷が軽減される。
また、第3演出期間が不具備である構成としてもよく、第4演出期間以上の演出期間が設定されている構成としてもよい。また、一のキャラクタに対して、3個以上の連結オブジェクトが用意されている構成としてもよい。
<粒子分散演出を行うための構成>
次に、粒子分散演出を行うための構成について説明する。
粒子分散演出とは、連続する複数フレーム(複数の画像更新タイミング)に亘って、多数の粒子単体画像が分散していくかのように表示される演出のことである。この分散に際しては、多数の粒子単体画像における少なくとも一部の画像同士がそれぞれ異なる軌道で変位していくように表示される。粒子分散演出に際しては、多数の粒子単体画像に対して1対1で対応させて設定された多数の頂点データを有する粒子分散用オブジェクトと、当該粒子分散用オブジェクトに対応させて設定され、各頂点データに対応した位置にそれぞれ対応する粒子単体画像を表示させるための多数の単体画像データを有する粒子分散用テクスチャとが用いられる。
これら粒子分散用オブジェクト及び粒子分散用テクスチャについて、図33(a)及び図33(b)を参照しながら詳細に説明する。図33(a)は粒子分散用オブジェクトPC17を説明するための説明図であり、図33(b)は粒子分散用テクスチャPC18を説明するための説明図である。
図33(a)に示すように、粒子分散用オブジェクトPC17は、頂点データと、当該頂点データに対応した座標データと、これら以外である他のデータとを含んでいる。頂点データは、頂点(1),頂点(2),頂点(3),・・・,頂点(99),頂点(100)と多数設定されており、VDP135では、これら頂点データによって粒子分散用オブジェクトPC17における各頂点が識別される。座標データは、各頂点データに1対1で対応させて、座標(1),座標(2),座標(3),・・・,座標(99),座標(100)と多数設定されており、VDP135では、これら座標データによって粒子分散用オブジェクトPC17における各頂点のワールド座標系内における位置が認識される。
他のデータには、例えば粒子分散用オブジェクトPC17の初期スケールのデータや、全頂点データに対して一律に適用される初期α値のデータや、粒子分散用オブジェクトPC17の初期回転角度のデータなどが含まれている。
図33(b)に示すように、粒子分散用テクスチャPC18は、単体データと、当該単体データに対応した相関データと、当該単体データに対応した単体画像データと、これら以外である他のデータとを含んでいる。単体画像データは、各単体データに1対1で対応させて、単体画像データ(1),単体画像データ(2),単体画像データ(3),・・・,単体画像データ(99),単体画像データ(100)と多数設定されている。各単体画像データは、例えばビットマップ形式データと、ビットマップ画像の各ピクセルでの表示色を決定する際に参照される色パレットテーブルとの組み合わせを少なくとも含んでいる。各単体画像データは同一種類の粒子単体画像を表示させるデータとなっている。具体的には「球形の泡」を表示させるデータとなっており、各単体画像データの一部又は全部において当該「球形の泡」の形状、初期状態における大きさ、及び色彩は異なっている。この場合、粒子分散演出を実行する上でのVDP135における処理負荷の軽減を図りながら、同時に表示させる粒子単体画像の数を多くすべく、初期状態におけるスケールで全単体画像データを設定したとしても、表示面Gにて、全粒子単体画像を同時に表示させることが可能な構成となっている。
なお、各単体画像データの少なくとも一部について又は全部について粒子の種類が相違していてもよい。また、同一種類の粒子であるとともに、その形状、初期状態におけるスケール、及び色彩が同一であってもよい。
粒子分散用テクスチャPC18の単体データは、単体(1),単体(2),単体(3),・・・,単体(99),単体(100)と多数設定されており、VDP135では、これら単体データによって粒子分散用テクスチャPC18に設定されている多数の単体画像データが個別に認識される。相関データは、各単体データに1対1で対応させて、頂点(1),頂点(2),頂点(3),・・・,頂点(99),頂点(100)と多数設定されており、VDP135では、これら相関データによって粒子分散用テクスチャPC18における各単体画像データが粒子分散用オブジェクトPC17における各頂点データのいずれに対応しているかが認識される。
他のデータには、各単体画像データに対して個別に適用されるα値のデータや、各単体画像データに対して一律に適用されるα値のデータなどが含まれている。
ここで、粒子分散用オブジェクトPC17における各座標データには、それぞれ初期データが設定されており、これら初期データはそれぞれ異なる座標となっている。粒子分散用オブジェクトPC17の各座標データは書き換え可能となっており、当該粒子分散用オブジェクトPC17がワールド座標系に設定される場合には、上記各座標データが初期データとは異なる座標のデータに書き換えられた状態で設定される。かかる書き換えを行うために使用される書き換え用基準データとして、複数種類のキーデータKD1〜KD3が設定されている。
キーデータKD1〜KD3は、少なくとも2種類設定されており、具体的には、図33(c)〜(e)に示すように、第1キーデータKD1、第2キーデータKD2及び第3キーデータKD3の3種類が設定されている。これら各キーデータKD1〜KD3は、それぞれ、相関データと、当該相関データに対応した座標データとを含んでいる。
具体的には、第1キーデータKD1の相関データ、第2キーデータKD2の相関データ、及び第3キーデータKD3の相関データはいずれも、適用対象である粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データと1対1で対応させて設定されており、頂点(1),頂点(2),頂点(3),・・・,頂点(99),頂点(100)と多数設定されている。
一方、第1キーデータKD1の座標データ、第2キーデータKD2の座標データ、及び第3キーデータKD3の座標データはそれぞれ、各相関データに1対1で対応させて多数設定されているが、同一の相関データ間で比較した場合において相違している。
具体的には、第1キーデータKD1の座標データは、座標(1−1),座標(2−1),座標(3−1),・・・,座標(99−1),座標(100−1)と多数設定されており、第2キーデータKD2の座標データは、座標(1−2),座標(2−2),座標(3−2),・・・,座標(99−2),座標(100−2)と多数設定されており、第3キーデータKD3の座標データは、座標(1−3),座標(2−3),座標(3−3),・・・,座標(99−3),座標(100−3)と多数設定されている。また、頂点(1)に対応している座標データが、第1キーデータKD1では座標(1−1)、第2キーデータKD2では座標(1−2)、及び第3キーデータKD3では座標(1−3)であり、頂点(100)に対応している座標データが、第1キーデータKD1では座標(100−1)、第2キーデータKD2では座標(100−2)、及び第3キーデータKD3では座標(100−3)であるように、一の頂点データに対してそれぞれ異なる座標データが設定されている。
ちにみに、各キーデータKD1〜KD3は、α値のデータや、回転角度のデータが設定されていないこととの関係で、粒子分散用オブジェクトPC17よりもデータ容量が小さく設定されている。
各キーデータKD1〜KD3は、上記のとおり、各粒子単体画像の変位軌道を決定付けるべく設定されているものであり、粒子分散用オブジェクトPC17に対して適用される順序が予め定められている。具体的には、第2キーデータKD2は、第1キーデータKD1よりも各粒子単体画像の変位方向先側の座標データを設定する場合に用いられ、第3キーデータKD3は、第2キーデータKD2よりも各粒子単体画像の変位方向先側の座標データを設定する場合に用いられる。粒子分散用オブジェクトPC17をワールド座標系に設定する場合には、上記キーデータKD1〜KD3の座標データが各頂点データに対して適用されることにより、各頂点データに対応した各粒子単体画像がそれぞれの軌道で変位する。
この場合に、少なくとも所定のフレーム数間においては複数のキーデータKD1〜KD3、より詳細には2個のキーデータKD1〜KD3の座標データが融合された状態で各頂点データに対して適用される。具体的には、粒子分散演出の最初のフレーム(すなわち画像更新タイミング)における各頂点データの座標データを決定付ける第1キーデータKD1は、最初のフレームよりも後の複数フレームである第1フレーム数(例えば99フレーム)分に相当する第1フレーム期間に亘って用いられる。第2キーデータKD2は、上記第1フレーム期間、当該第1フレーム期間に対して次のフレームに相当する第1切換対象フレーム、及びそれ以降の複数フレームである第2フレーム数分に相当する第2フレーム期間に亘って用いられる。第3キーデータKD3は、上記第2フレーム期間に亘って用いられる。この場合に、上記第1フレーム数と上記第2フレーム数とは同一のフレーム数となっている。
なお、第3キーデータKD3の後に第4キーデータが設定されていてもよく、この場合には、第3キーデータKD3は、上記第2フレーム期間、当該第2フレーム期間に対して次のフレームに相当する第2切換対象フレーム、及びそれ以降の複数フレームである第3フレーム数(第1フレーム数及び第2フレーム数と同一フレーム数)分に相当する第3フレーム期間に亘って用いられ、第4キーデータは、上記第3フレーム期間に亘って用いられる。
かかる構成であることにより、上記キーデータKD1〜KD3の数が、粒子分散演出が実行される場合の連続フレーム数よりも少ない数、より詳細には、粒子分散演出に際して、粒子分散用オブジェクトPC17における各頂点データの座標データが変更される回数よりも少ない数に設定されている構成であっても、各粒子単体画像が変位する様子を滑らかに表示することが可能となる。
以下に、粒子分散用オブジェクトPC17、粒子分散用テクスチャPC18及び各キーデータKD1〜KD3を用いて粒子分散演出を実行するための具体的な処理構成を説明する。なお、粒子分散用オブジェクトPC17、粒子分散用テクスチャPC18及び各キーデータKD1〜KD3は、メモリモジュール133に予め記憶されている。
図34(a)は、表示CPU131にて実行される粒子分散演出用の演算処理を示すフローチャートである。粒子分散演出用の演算処理は、タスク処理(図14)のステップS904における演出用演算処理にて実行される。また、粒子分散演出用の演算処理は、粒子分散演出が実行される遊技回に対応したデータテーブルが設定されている場合に起動される。
先ずステップS2101では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、粒子分散演出の実行中であるか否かを判定する。演出の実行中ではない場合にはステップS2102にて、粒子分散演出の開始タイミングであるか否かを判定する。開始タイミングではない場合にはそのまま本演算処理を終了し、開始タイミングである場合にはステップS2103に進む。
ステップS2103では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、粒子分散用オブジェクトPC17を制御対象として把握する。ちなみに、ステップS2103の処理の実行タイミングでは、直前の制御開始用の設定処理(ステップS901)にて、粒子分散用オブジェクトPC17に対して制御開始用の処理が完了している。また、制御が開始された粒子分散用オブジェクトPC17の制御用の情報は、粒子分散演出が完了するまではワークRAM132に記憶保持される。
続くステップS2104では、メモリモジュール133から第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2を読み出す初期読み出し処理を実行するとともに、ステップS2105では、粒子分散用オブジェクトPC17について、座標以外の各種パラメータを演算して、当該粒子分散用オブジェクトPC17に係る制御用の情報を更新する。その後、ステップS2106にて粒子分散演出の開始指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように粒子分散演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、粒子分散用オブジェクトPC17の使用指示の情報が粒子分散用テクスチャPC18の使用指示の情報とともに設定され、さらに上記ステップS2104にて読み出した第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2と、上記ステップS2105にて算出したパラメータとが設定される。また、粒子分散演出を開始すべきことを示す粒子分散演出の開始指定情報が、描画リストに設定される。
ステップS2101にて粒子分散演出中であると判定した場合には、ステップS2107にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、キーデータの更新タイミングであるか否かを判定する。かかる更新タイミングは、上述した第1切換対象フレームに相当する。
キーデータの更新タイミングではない場合(ステップS2107:NO)には、ステップS2108に進む。当該ステップS2108では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、粒子分散用オブジェクトPC17を制御対象として把握する。
続くステップS2109では、キーデータのブレンド割合を決定する処理を実行する。かかるブレンド割合を決定する処理では、メモリモジュール133に予め記憶されている図34(b)に示すようなブレンド用テーブルBTを参照することで、現状設定されている2個のキーデータKD1〜KD3の各座標データをブレンドする際のブレンド比率のデータを読み出し、その読み出したデータによる各座標データのブレンドを行う。
ブレンド用テーブルBTについて詳細には、当該ブレンド用テーブルBTには、フレーム数のデータが設定されているとともに、各フレーム数のデータに1対1で対応させて、前側のキーデータに設定されている各座標データに適用すべき比率と、後側のキーデータに設定されている各座標データに適用すべき比率とが設定されている。この場合、フレーム数が1増加する度に、すなわち各粒子単体画像の座標の更新タイミングとなる度に、一定の比率でブレンド割合が変化するようにブレンド用テーブルBTが設定されている。具体的には、前側のキーデータについては、各更新タイミングとなる度に、1%ずつブレンドする際の比率が減少し、後側のキーデータについては、各更新タイミングとなる度に、1%ずつブレンドする際の比率が増加し、さらに各更新タイミングにおいて前側のキーデータの比率と後側のキーデータの比率との和が100%となるように、ブレンド用テーブルBTが設定されている。
なお、ブレンド用テーブルBTは、各更新タイミングとなるどに1%ずつ比率が変化していくように設定されている構成に限定されることはなく、2%ずつ又は3%ずつといったように2%以上ずつ変化していくように設定されていてもよく、また一定の比率ではなく異なる比率で変化していくように設定されていてもよい。
ステップS2109では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、ブレンド用テーブルBTを参照する。また、ステップS2109では、当該データテーブルに設定されている現状のポインタ情報に基づいて、ブレンド用テーブルBTにおいて参照すべきフレーム数を把握するとともに、そのフレーム数に設定されている前側のキーデータの比率と後側のキーデータの比率とを読み出す。この場合、現状設定されているデータテーブルが第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2であれば、第1キーデータKD1が前側のキーデータに相当し、第2キーデータKD2が後側のキーデータに相当する。
その後、ステップS2110にて、粒子分散用オブジェクトPC17について、座標以外の各種パラメータを演算して、当該粒子分散用オブジェクトPC17に係る制御用の情報を更新するとともに、ステップS2111にて、粒子分散演出の更新指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように粒子分散演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、粒子分散用オブジェクトPC17の使用指示の情報が粒子分散用テクスチャPC18の使用指示の情報とともに設定され、さらに上記ステップS2109にて決定したブレンド割合のデータと、上記ステップS2110にて算出したパラメータとが設定される。また、粒子分散演出を更新すべきことを示す粒子分散演出の更新指定情報が、描画リストに設定される。
ステップS2107にて、キーデータの更新タイミングであると判定した場合には、ステップS2112に進む。当該ステップS2112では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、粒子分散用オブジェクトPC17を制御対象として把握する。
続くステップS2113では、新たなキーデータを読み出す処理を実行する。かかる処理では、現状設定されている2個のキーデータのうち後側のキーデータに対して次の順番のキーデータKD1〜KD3をメモリモジュール133から読み出す。具体的には、第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2が現状設定されているため、これらのうち後側のキーデータは第2キーデータKD2となり、それに対して次の順番のキーデータは第3キーデータKD3となる。
その後、ステップS2114にて、粒子分散用オブジェクトPC17について、座標以外の各種パラメータを演算して、当該粒子分散用オブジェクトPC17に係る制御用の情報を更新するとともに、ステップS2115にて、粒子分散演出の更新指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように粒子分散演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、粒子分散用オブジェクトPC17の使用指示の情報が粒子分散用テクスチャPC18の使用指示の情報とともに設定され、さらに上記ステップS2112にて読み出した第3キーデータKD3と、上記ステップS2113にて算出したパラメータとが設定される。また、粒子分散演出を更新すべきことを示す粒子分散演出の更新指定情報が、描画リストに設定される。
ちなみに、第3キーデータKD3が新たに設定された次の処理回からは、粒子分散演出の終了タイミングとなるまで、ステップS2107にて否定判定をし、ステップS2108〜ステップS2111の処理を実行する。この場合においてステップS2109では、第2キーデータKD2を前側のキーデータ及び第2キーデータKD2を後側のキーデータとして、ブレンド割合が順次決定される。
次に、VDP135にて実行される粒子分散演出用の設定処理を、図35のフローチャートを参照しながら説明する。粒子分散演出用の設定処理は、描画処理(図16)におけるステップS1003の演出用の設定処理にて実行される。また、粒子分散演出用の設定処理は、今回の描画リストに粒子分散演出の開始指定情報及び粒子分散演出の更新指定情報のいずれかが設定されている場合に起動される。
先ずステップS2201では、今回の描画リストにおいて粒子分散演出の開始指定情報が設定されているか否かを判定する。設定されている場合には、ステップS2202にて、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において粒子分散用オブジェクトPC17が記憶されているアドレスを把握して、当該粒子分散用オブジェクトPC17をVRAM134の展開用バッファ141に読み出す。その後、ステップS2203では、今回の描画リストに設定されている第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2をレジスタ153に記憶させる。
続くステップS2204では、初期適用処理を実行する。初期適用処理では、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データに対応した各座標データを、第1キーデータKD1に設定されている各座標データに書き換えることにより、各頂点データの開始座標を設定する。また、ステップS2205では、今回の描画リストにおいて粒子分散用オブジェクトPC17に対して指定されている座標以外のパラメータを、当該粒子分散用オブジェクトPC17の他のパラメータとして把握する。
その後、ステップS2206にて、粒子分散用オブジェクトPC17について、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本設定処理を終了する。これにより、第1キーデータKD1に設定されている各座標データに対応した座標で、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データが設定される。また、VDP135における描画処理(図16)の色情報の設定処理(ステップS1009)では、上記のような座標に設定された各頂点データに対して、それぞれ各頂点データに対応した粒子単体画像データが設定される。
一方、ステップS2201にて、今回の描画リストにおいて粒子分散演出の開始指定が設定されていないと判定した場合には、ステップS2207に進む。ステップS2207では、今回の描画リストにおいて新たなキーデータが指定されているか否かを判定する。
指定されていない場合には、ステップS2008にて、座標のブレンド処理を実行する。当該ブレンド処理では、現状設定されている2個のキーデータ、具体的には第1フレーム期間であれば第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2の各座標データを、今回の描画リストにおいて設定されているブレンド割合のデータに従ってブレンドする。
この場合、先ず第1キーデータKD1の一の頂点データに対応した座標データを読み出すとともに、第2キーデータKD2の上記頂点データに対応した座標データを読み出す。そして、前者の座標データを(x1,y1,z1)、後者の座標データを(x2,y2,z2)、ブレンド用テーブルBTから読み出した前側のキーデータの比率をrt1、及びブレンド用テーブルBTから読み出した後側のキーデータの比率をrt2とした場合において、ブレンド後の座標データ(x,y,z)が、
x:x1×rt1+x2×rt2
y:y1×rt1+y2×rt2
z:z1×rt1+z2×rt2
となるようにブレンドを行う。また、かかるブレンドを、全頂点データに対応した座標データに対して実行する。
続くステップS2209では、今回の描画リストにおいて粒子分散用オブジェクトPC17に対して指定されている座標以外のパラメータを、当該粒子分散用オブジェクトPC17の他のパラメータとして把握する。その後、ステップS2210にて、上記ステップS2208におけるブレンド結果である各座標データを既にワールド座標系に設定されている粒子分散用オブジェクトPC17に対して設定するとともに、上記ステップS2209において把握したパラメータを当該粒子分散用オブジェクトPC17に対して設定した後に、本設定処理を終了する。
この場合、上記ブレンド結果である各座標データの設定に際しては、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データに対応した各座標データを、ステップS2208におけるブレンド結果である各座標データに書き換える。これにより、ステップS2208のブレンド結果に対応した座標で、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データが設定される。また、VDP135における描画処理(図16)の色情報の設定処理(ステップS1009)では、上記のような座標に設定された各頂点データに対して、それぞれ各頂点データに対応した粒子単体画像データが設定される。
ステップS2207にて、今回の描画リストにおいて新たなキーデータが指定されていると判定した場合には、ステップS2211にて、キーデータの更新処理を実行する。当該更新処理では、レジスタ153に現状記憶されている2個のキーデータのうち、前側のキーデータ、具体的には第1キーデータKD1を、今回の描画リストにおいて設定されている新たなキーデータ、具体的には第3キーデータKD3に書き換える。
続くステップS2212では、更新時の適用処理を実行する。具体的には、第2キーデータKD2に設定されている各座標データを把握する。また、ステップS2213では、今回の描画リストにおいて粒子分散用オブジェクトPC17に対して指定されている座標以外のパラメータを、当該粒子分散用オブジェクトPC17の他のパラメータとして把握する。
その後、ステップS2214にて、上記ステップS2212において把握した各座標データを既にワールド座標系に設定されている粒子分散用オブジェクトPC17に対して設定するとともに、上記ステップS2214において把握したパラメータを当該粒子分散用オブジェクトPC17に対して設定した後に、本設定処理を終了する。
この場合、上記ステップS2212にて把握した各座標データの設定に際しては、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データに対応した各座標データを、上記ステップS2212にて把握した各座標データに書き換える。これにより、第2キーデータKD2に対応した座標で、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データが設定される。また、VDP135における描画処理(図16)の色情報の設定処理(ステップS1009)では、上記のような座標に設定された各頂点データに対して、それぞれ各頂点データに対応した粒子単体画像データが設定される。
ちなみに、第3キーデータKD3が新たに設定された次の処理回からは、粒子分散演出の終了タイミングとなるまで、ステップS2207にて否定判定をし、ステップS2208〜ステップS2210の処理を実行する。この場合においてステップS2208では、第2キーデータKD2及び第3キーデータKD3を用いて座標のブレンドが実行される。
次に、粒子分散演出の内容について、図36を参照しながら説明する。
図36(a)は粒子分散演出を説明するための説明図であり、図36(b−1)及び(b−2)は各粒子単体画像がどのような軌跡で変位するのかを簡易的に説明するための説明図である。
図36(a)に示すように、粒子分散演出は遊技回用の演出として実行され、具体的には遊技回が終了する場合において一の有効ライン上に大当たり図柄の組み合わせが停止表示された場合に、粒子分散演出が実行される。粒子分散演出では、表示面Gにおいて「球形の泡」である粒子単体画像PTが多数表示されるとともに、それら多数の粒子単体画像PTが連続する複数フレームに亘ってそれぞれ所定の軌道で変位するように表示される。
当該所定の軌道について、図36(b−1)及び(b−2)を参照しながら具体的に説明すると、第1キーデータKD1の各座標データが設定された状態では、粒子単体画像PT1、粒子単体画像PT2及び粒子単体画像PT3のそれぞれは、図36(b−1)において実線にて示す開始座標に対応した位置にて表示される。この場合、各粒子単体画像PT1〜PT3は、それぞれ異なる位置にて表示される。
その後の第1フレーム期間では、第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2のブレンド処理が実行されることにより、図36(b−1)の二点鎖線で示すように、粒子単体画像PT1、粒子単体画像PT2及び粒子単体画像PT3のそれぞれが異なる軌道で変位しているかのように表示される。この場合、第1キーデータKD1と第2キーデータKD2とのブレンド処理によって座標が決定されるため、各粒子単体画像PT1〜PT3の変位軌道は直線状となっている。
第1フレーム期間が経過した場合には、第2キーデータKD2の各座標データが設定されることにより、粒子単体画像PT1、粒子単体画像PT2及び粒子単体画像PT3のそれぞれは、図36(b−2)において実線にて示す切換対象座標に対応した位置にて表示される。この場合、各粒子単体画像PT1〜PT3は、それぞれ異なる位置にて表示される。
その後の第2フレーム期間では、第2キーデータKD2及び第3キーデータKD3のブレンド処理が実行されることにより、図36(b−2)の二点鎖線で示すように、粒子単体画像PT1、粒子単体画像PT2及び粒子単体画像PT3のそれぞれが異なる軌道で変位しているかのように表示される。この場合、第1キーデータKD1と第2キーデータKD2とのブレンド処理によって座標が決定されるため、各粒子単体画像PT1〜PT3の変位軌道は直線状となっている。また、第2フレーム期間における各粒子単体画像PT1〜PT3の軌道は、第1フレーム期間の場合における軌道とは異なっている。
以上のとおり、粒子分散演出では、粒子分散用オブジェクトPC17における各頂点データの座標データを、複数種類のキーデータKD1〜KD3のブレンドを利用しながら設定するようにしたことにより、データ容量の削減及び処理負荷の軽減という両者のバランスを図りながら、多数の粒子単体画像が分散していくかのような表示演出を行うことが可能となる。
すなわち、単体画像データの座標データが全フレーム数に亘って設定されたアニメーションデータを全単体画像データに1対1で対応させて設定する構成も考えられるが、この場合、それだけデータ容量が必要となる。これに対して、上記のように複数種類のキーデータKD1〜KD3のブレンドを利用することで、上記のように全てのアニメーションデータを設定する構成に比べて、必要なデータ容量を削減することが可能となる。
その一方、全単体画像データの座標データをプログラムに基づく処理のみによって算出する構成も考えられるが、この場合、各粒子単体画像が相互に異なる軌道で変位表示されるとすると、それだけ複雑であって膨大なプログラムが必要となる。これに対して、上記のように複数種類のキーデータKD1〜KD3のブレンドを利用することで、座標データを算出するための情報がプログラム側とデータ側とで適度に分散されることとなり、処理負荷の軽減が図られる。
また、単体画像データを個別のオブジェクトとして設定するのではなく、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データに対応させて設定したことにより、表示CPU131からVDP135に送信される描画リストのデータ容量を削減することが可能となる。
また、VDP135においても単体画像データを設定するためのオブジェクトを読み出す場合において、各単体画像データに対応した個別のオブジェクトをそれぞれ読み出すのではなく、粒子分散用オブジェクトPC17として読み出すことが可能であるため、当該読み出しに要する処理負荷の軽減が図られる。
また、第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2のブレンド処理は、表示CPU131ではなくVDP135にて実行されるため、表示CPU131の処理負荷の軽減を図ることが可能となる。
<粒子分散演出用の設定処理の別形態>
図37は、VDP135にて実行される粒子分散演出用の設定処理の別形態を説明するためのフローチャートである。
先ずステップS2301では、今回の描画リストにおいて粒子分散演出の開始指定情報が設定されているか否かを判定する。設定されている場合には、ステップS2302にて、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において粒子分散用オブジェクトPC17が記憶されているアドレスを把握して、当該粒子分散用オブジェクトPC17を読み出す。その後、ステップS2303では、今回の描画リストに設定されている第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2をレジスタ153に記憶させる。
続くステップS2304では、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において第1テクスチャ及び第2テクスチャが記憶されているアドレスを把握する。
ここで、本別形態では、各キーデータKD1〜KD3に1対1で対応させてテクスチャも複数種類設定されている。具体的には、第1キーデータKD1、第2キーデータKD2及び第3キーデータKD3に1対1で対応させて第1テクスチャ、第2テクスチャ及び第3テクスチャが設定されている。なお、キーデータが4種類以上設定されている構成においては、それに対応させてテクスチャも4種類以上設定されていればよい。
各テクスチャには、図33にて示した粒子分散用テクスチャPC18と同様に、各頂点データに1対1で対応させて単体画像データが設定されている。このように単一の粒子分散用オブジェクトPC17に対して複数種類のテクスチャが設定されていることにより、粒子分散用オブジェクトPC17の一の頂点データに対して設定される単体画像データの種類が複数フレームの経過(すなわち複数の更新タイミングの経過)に伴って変更され、さらに当該変更が粒子分散用オブジェクトPC17の多数の頂点データ、より詳細には全頂点データに対して行われる。
例えば、第1テクスチャでは、第1の頂点データに対する単体画像データが、第1単体画像(例えば図36に示す「○」)を表示するための第1単体画像データであるのに対して、第2テクスチャでは、第1の頂点データに対する単体画像データが、第2単体画像(例えば図36に示す「□」)を表示するための第2単体画像データとなっている。同様に、第1テクスチャでは、第2の頂点データに対する単体画像データが、第3単体画像(例えば図36に示す「△」)を表示するための第3単体画像データであるのに対して、第2テクスチャでは、第2の頂点データに対する単体画像データが、第3単体画像とは異なる単体画像(例えば図36に示す「○」)を表示するための単体画像データとなっている。
ステップS2304の処理を実行した後は、ステップS2305にて、上記ステップS2204と同様に、初期適用処理を実行する。これにより、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データに対応した各座標データが、第1キーデータKD1に設定されている各座標データに対応した開始座標に設定される。
その後、ステップS2306にて、今回の描画リストにおいて粒子分散用オブジェクトPC17に対して指定されている座標以外のパラメータを、当該粒子分散用オブジェクトPC17の他のパラメータとして把握するとともに、ステップS2307にて、粒子分散用オブジェクトPC17について、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本設定処理を終了する。また、VDP135における描画処理(図16)の色情報の設定処理(ステップS1009)では、上記のような座標に設定された各頂点データに対して、第1テクスチャ及び第2テクスチャのうち第1テクスチャのみが粒子分散用オブジェクトPC17に対して適用される。これにより、第1テクスチャに対応した単体画像が、第1キーデータKD1に対応した座標で表示されることとなる。
一方、ステップS2301にて、今回の描画リストにおいて粒子分散演出の開始指定が設定されていないと判定した場合には、ステップS2308に進む。ステップS2308では、今回の描画リストにおいて新たなキーデータが指定されているか否かを判定する。
指定されていない場合には、ステップS2309にて、レジスタ153に設けられているブレンド用カウンタの数値情報を1加算されるように更新する。ここで、ブレンド用カウンタとは、複数のキーデータを用いた座標データのブレンドを行う場合、及び複数のテクスチャを用いた単体画像データのブレンドを行う場合において、そのブレンドの割合をVDP135にて特定するためのカウンタである。
ブレンド用カウンタは、初期値として「0」が設定されており、カウンタ値が「1」の場合には、前側のキーデータ(例えば第1キーデータKD1)の比率を99%とするとともに後側のキーデータ(例えば第2キーデータKD2)の比率を1%とし、さらに前側のテクスチャ(例えば第1テクスチャ)の比率を99%とするとともに後側のテクスチャ(例えば第2テクスチャ)の比率を1%とする。また、カウンタ値が「2」の場合には、前側のキーデータ(例えば第1キーデータKD1)の比率を98%とするとともに後側のキーデータ(例えば第2キーデータKD2)の比率を2%とし、さらに前側のテクスチャ(例えば第1テクスチャ)の比率を98%とするとともに後側のテクスチャ(例えば第2テクスチャ)の比率を2%とする。また、カウンタ値が「99」の場合には、前側のキーデータ(例えば第1キーデータKD1)の比率を1%とするとともに後側のキーデータ(例えば第2キーデータKD2)の比率を99%とし、さらに前側のテクスチャ(例えば第1テクスチャ)の比率を1%とするとともに後側のテクスチャ(例えば第2テクスチャ)の比率を99%とする。つまり、フレーム数が先に進むほど、前側のキーデータの適用比率が低減される一方、後側のキーデータの適用比率が増加され、同様に前側のテクスチャの適用比率が低減される一方、後側のテクスチャの適用比率が増加される。
なお、上記のようなブレンド用カウンタの数値情報に対応したブレンド割合の情報は、予めテーブル情報としてメモリモジュール133に記憶されているが、これに限定されることはなく、ブレンド用カウンタの数値情報に対応したブレンド割合の情報を、プログラムにて定められた演算式によって算出する構成としてもよい。
続くステップS2310では、座標のブレンド処理を実行する。当該ブレンド処理では、現状設定されている2個のキーデータ、具体的には第1フレーム期間であれば第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2の各座標データを、上記ステップS2309の更新処理後におけるブレンド用カウンタの数値情報に対応したブレンド割合に従ってブレンドする。このブレンドの具体的な演算方法は、上記ステップS2208の場合と同様である。
続くステップS2311では、テクスチャのブレンド処理を実行する。当該ブレンド処理では、現状把握されている2個のテクスチャ、具体的には第1フレーム期間であれば第1テクスチャ及び第2テクスチャの各単体画像データを、上記ステップS2309の更新処理後におけるブレンド用カウンタの数値情報に対応したブレンド割合に従ってブレンドする。
例えば、先ず第1テクスチャの一の頂点データに対応した単体画像データを読み出すとともに、第2テクスチャの上記頂点データに対応した単体画像データを読み出す。そして、前者の単体画像データ(ここでは説明の便宜上、1ピクセルとする)におけるRGBの各色情報を(r1,g1,b1)、後者の単体画像データ(ここでは説明の便宜上、1ピクセルとする)を(r2,g2,b2)、ブレンド用カウンタの数値情報に対応した前側のテクスチャの比率をrt3、及びブレンド用カウンタの数値情報に対応した後側のテクスチャの比率をrt4(rt3+rt4=1)とした場合において、ブレンド後の単体画像データ(r,g,b)が、
r:r1×rt3+r2×rt4
g:g1×rt3+g2×rt4
b:b1×rt3+b2×rt4
となるようにブレンドを行う。また、かかるブレンドを、全頂点データに対応した単体画像データに対して実行する。
その後、ステップS2312にて、今回の描画リストにおいて粒子分散用オブジェクトPC17に対して指定されている座標以外のパラメータを、当該粒子分散用オブジェクトPC17の他のパラメータとして把握するとともに、ステップS2313にて、粒子分散用オブジェクトPC17について、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本設定処理を終了する。
この場合、上記ブレンド結果である各座標データの設定に際しては、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データに対応した各座標データを、ステップS2310におけるブレンド結果である各座標データに書き換える。また、VDP135における描画処理(図16)の色情報の設定処理(ステップS1009)では、上記のような座標に設定された各頂点データに対して、ステップS2311におけるブレンド結果である各単体画像データが適用される。これにより、ステップS2311のブレンド結果に対応した単体画像が、ステップS2310のブレンド結果に対応した座標で表示されることとなる。
ここで、上記のようにVDP135側にてブレンド用カウンタを用いてブレンド割合を導出する構成であるため、表示CPU131においてはブレンド割合を導出するための処理は実行されない。これにより、表示CPU131の処理負荷の軽減が図られる。
なお、表示CPU131は、第1キーデータKD1と第2キーデータKD2との組み合わせや、第2キーデータKD2と第3キーデータKD3との組み合わせといった、所定のキーデータの組み合わせを用いる場合におけるそれらキーデータのブレンド割合を変更する回数をVDP135に対して指示し、その指示に従ってVDP135がその所定のキーデータの組み合わせについて各変更回におけるブレンド割合を独自に決定する構成としてもよい。この場合、所定のキーデータの組み合わせとして同一のものを用いる期間が複数種類存在している場合において、特定の期間ではそれ以外の期間に比べてVDP135の処理負荷が大きい場合、その特定の期間では、表示CPU131が指示する変更回数を少なくすることで、VDP135の処理負荷の軽減を図ることが可能となる。また、上記構成において、VDP135が、各変更回において一定の割合でブレンド割合が変更されていくように設定されている構成としてもよく、この場合、指示された変更回数に応じて一義的に各変更回のブレンド割合を導出できるようなデータが設定されていてもよく、演算によって各変更回のブレンド割合を導出する構成としてもよい。
ステップS2308にて、今回の描画リストにおいて新たなキーデータが指定されていると判定した場合、ステップS2314にてブレンド用カウンタの初期化を実行する。これにより、次回の処理回からはブレンド割合の算出が最初から開始されることとなる。
続くステップS2315では、キーデータの更新処理を実行する。当該更新処理では、レジスタ153に現状記憶されている2個のキーデータのうち、前側のキーデータ、具体的には第1キーデータKD1を、今回の描画リストにおいて設定されている新たなキーデータ、具体的には第3キーデータKD3に書き換える。また、ステップS2316では、新たなテクスチャを把握する。当該処理では、レジスタ153に現状記憶されている2個のテクスチャのうち、前側のテクスチャ、具体的には第1テクスチャを、今回の描画リストにおいて設定されている新たなテクスチャ、具体的には第3テクスチャに書き換える。なお、この書き換えに際してはメモリモジュール133からの第3テクスチャの読み出しが行われる。
続くステップS2317では、更新時の適用処理を実行する。具体的には、第2キーデータKD2に設定されている各座標データを把握する。また、ステップS2318では、今回の描画リストにおいて粒子分散用オブジェクトPC17に対して指定されている座標以外のパラメータを、当該粒子分散用オブジェクトPC17の他のパラメータとして把握する。
その後、ステップS2319にて、上記ステップS2317において把握した各座標データを既にワールド座標系に設定されている粒子分散用オブジェクトPC17に対して設定するとともに、上記ステップS2318において把握したパラメータを当該粒子分散用オブジェクトPC17に対して設定した後に、本設定処理を終了する。
この場合、各座標データの設定に際しては、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データに対応した各座標データを、上記ステップS2317にて把握した各座標データに書き換える。また、VDP135における描画処理(図16)の色情報の設定処理(ステップS1009)では、上記のような座標に設定された各頂点データに対して、第2テクスチャ及び第3テクスチャのうち第2テクスチャのみが粒子分散用オブジェクトPC17に対して適用される。これにより、第2テクスチャに対応した単体画像が、第2キーデータKD2に対応した座標で表示されることとなる。
ちなみに、第3キーデータKD3及び第3テクスチャが新たに設定された次の処理回からは、粒子分散演出の終了タイミングとなるまで、ステップS2308にて否定判定をし、ステップS2309〜ステップS2313の処理を実行する。この場合においてステップS2310では、第2キーデータKD2及び第3キーデータKD3を用いて座標のブレンドが実行され、ステップS2311では、第2テクスチャ及び第3テクスチャを用いて単体画像データのブレンドが実行される。
上記のように粒子分散演出を実行させるための別形態では、演出が進行することに伴って同一のオブジェクトに適用されるテクスチャが相違されることにより、粒子分散演出の表示態様に変化を与えることが可能となり、当該表示演出の単調化が抑えられる。この場合に、表示態様が変更されるフレーム毎に異なるテクスチャが用いられるのではなく、第1の更新タイミングに対応したテクスチャと、それよりも複数の更新タイミング後である第2の更新タイミングに対応したテクスチャとのブレンドを行うことで、それら第1の更新タイミングと第2の更新タイミングとの間において用いる画像データを作成する構成であるため、予め記憶されておくテクスチャの数を減らすことが可能となり、データ容量の削減が図られる。
また、各テクスチャは、各キーデータに1対1で対応させて設定されており、さらに各テクスチャの切り換えは、各キーデータの切り換えに合わせて行われる。よって、VDP135における切り換えに係る処理の処理負荷の軽減が図られる。
<粒子分散演出についての他の別形態>
・上記粒子分散演出(図35の場合及び図37の場合)において、キーデータKD1〜KD3の数をより多く設定するとともに、用いるキーデータKD1〜KD3の切り換えが発生するまでのフレーム数を少なく設定する(例えば10フレーム毎)ことで、座標データのブレンドを実行しながら、単体画像が直線状ではなく、曲線状の軌跡を描くように変位表示される構成としてもよい。
・キーデータKD1〜KD3を用いてブレンドを行う対象を、座標データに加えて又は代えて、透明度を設定するためのα値としてもよく、テクスチャマッピングを実行しなくても頂点データの色情報や複数の頂点データからなるポリゴンの色情報を決定することを可能とする頂点カラーとしてもよい。また、オブジェクトに対するテクスチャの相対的な貼り付け位置を決定するためのUV値を変更させて、同一のテクスチャを貼り付ける場合であっても表示態様を変更させるUVスクロールを行う構成においては、そのUV値をキーデータのブレンドを用いて変更する構成としてもよい。
・第1フレーム期間と第2フレーム期間とが同一のフレーム数である構成に限定されることはなく、これらフレーム期間に含まれるフレーム数が異なっていてもよい。この場合、各フレーム期間に応じたブレンド処理を行う必要がある。
・単体画像を表示させるための単体画像データの種類が同一である構成としてもよい。この場合、粒子分散用テクスチャPC18において各単体データに対応させて単体画像データを設定しておく必要がないため、当該粒子分散用テクスチャPC18のデータ容量の削減が図られる。
・2種類のキーデータを用いてブレンドを行う構成に代えて、3種類以上のキーデータを用いてブレンドを行う構成としてもよい。この場合、これら3種類のキーデータをブレンドする比率を適宜変更することにより、単体画像が変位する場合の軌道を直線状ではなく、曲線状とすることが可能となる。また、3種類以上のキーデータを用いてブレンドを行う場合、例えば、それら3種類以上のキーデータから仮想の円弧や球面を算出により想定し、その想定した仮想の円弧や球面に沿って変位していくように単体画像が表示される構成としてもよい。
・VDP135が、キーデータを利用して頂点データを算出する専用の回路を有する構成としてもよい。また、VDP135が、キーデータを利用しない場合において頂点データを算出する専用の回路を有する構成としてもよい。これら回路を個別に有する構成とすることにより、それぞれの頂点データの算出に特化させることが可能となり、頂点データの算出を好適に行うことが可能となる。
・上記のようにキーデータを利用してパラメータデータを導出する構成を、スプライトデータといった2次元情報の画像データを利用して画像表示を行う構成に適用してもよい。例えばスプライトデータをフレームバッファ142に設定する場合の座標のパラメータを導出する上で、複数のキーデータのブレンドを行う構成としてもよい。
<海面表示を行うための構成>
次に、海面表示を行うための構成について説明する。
海面表示とは、背景において海面を表示させるための演出であり、さらにその海面が連続する複数フレーム(複数の画像更新タイミング)に亘って、波打つように表示される演出のことである。なお、海面表示は、上述した第1表示モード及び第2表示モードのうち第1表示モードにおいて実行される表示演出である。海面表示に際しては、海面用オブジェクトと、当該海面用オブジェクトの動きを細かく変化させるための法線マップデータとが用いられる。
これら海面用オブジェクト及び法線マップデータについて、図38(a),(b)を参照しながら詳細に説明する。図38(a)は海面用オブジェクトPC19を説明するための説明図であり、図38(b)は法線マップデータND1,ND2を説明するための説明図である。
図38(a)に示すように、海面用オブジェクトPC19は、複数の頂点データによって規定される面データ(ポリゴン)SDを、複数行及び複数列となるように多数有している。この場合、各面データSDは、行の情報と列の情報との組合せを有している(以下、この情報を順番情報ともいう)。例えば図38(a)において左下角部分の面データSDは第1列第1行の情報を順番情報として有しており、図38(a)において右上角部分の面データSDは第25列第25行の情報を順番情報として有している。
各面データSDは4個の頂点データによる四角形として定義されているが、これに限定されることはなく、3個の頂点データによる三角形として定義されていてもよく、5個以上の頂点データによる他の多角形として定義されていてもよい。また、任意の一の面データSDは、他の面データSDと隣接しており、当該一の面データSDの頂点データは当該他の面データSDの頂点データを兼用している。つまり、各面データSDは隣り合う面データSD同士において辺が共通している。したがって、基本的には一の頂点データの座標データを変更した場合には、複数の面データSDが変形されることとなり、隣り合う2個の頂点データよりなる一の辺の座標データを変更した場合には、複数の面データSDの向きが変更されることとなる。
海面用オブジェクトPC19には、上記各面データSDの初期状態における座標や面の向きを決定すべく各頂点データの初期座標データが設定されている。また、これ以外にも、海面用オブジェクトPC19の初期スケールのデータや、全頂点データ(又は面データSD)に対して一律に適用される初期α値のデータや、海面用オブジェクトPC19の初期回転角度のデータなどが含まれている。
ここで、海面用オブジェクトPC19の各面データSDは、隣接する複数の面データSDをまとめることで複数群に区分けされており、具体的には第1面データ群、・・・、第k面データ群(kは2以上の整数であり、本実施の形態ではk=25)を有している。各面データ群に含まれる面データSDの数は、複数である所定数(具体的には25個)で同一となっているが、少なくとも一部の面データ群間において含まれる面データSDの数が異なっていてもよい。なお、図38(a)においては、太線で囲んだ各単位が面データ群に相当する。
上記各面データ群は、表示CPU131における制御に基づき、それぞれ個別に座標及び面の向きが決定される。詳細には、第1面データ群に含まれる全面データSDが所定の方向を向く同一の面を構成し、その状態において第1面データ群にて基準となる面データSDの座標が所定の座標となるように、第1面データ群に含まれる各面データSDの座標及び面の向きが決定される。つまり、海面用オブジェクトPC19の各面データSDの座標及び向きは、先ず海面データ群の単位で大まかに決定される。以下、この各面データ群の単位で決定された座標及び向きを、第1段階の形態とも言う。
なお、基準となる面データSDは、各面データ群において単一の面データSDであるが、複数の面データSDであってもよい。また、面データSDを基準として座標を設定するのではなく、面データ群の隅角部分を構成する頂点データに対して基準となる座標を設定する構成としてもよく、この場合、隅角部分の全てに対して基準となる座標を設定してもよく、一の隅角部分に対してのみ基準となる座標を設定してもよい。また、海面用オブジェクトPC19を一連のものとすべく、隣接する面データ群においては、両者の境界部分における頂点データの座標が同一となるように、上記座標及び面の向きが決定される。
法線マップデータND1,ND2は、各面データ群の単位で第1段階の形態が決定された後において、各面データ群に含まれる各面データSDの向きを相互に異ならせるためのデータであり、複数種類、具体的には2種類の法線マップデータND1,ND2がメモリモジュール133に予め記憶されている。各法線マップデータND1,ND2はそれぞれ、各面データSDの向きを第1段階の形態から変化させるための単位法線データUNDを多数有している。なお、以下の説明では、一対の法線マップデータND1,ND2の一方を第1法線マップデータND1、他方を第2法線マップデータND2とも言う。
図38(b)は、多数の単位法線データUNDを多数有している法線マップデータND1,ND2のイメージ図であり、複数行及び複数列となるように配列された各四角部分が単位法線データUNDを示す。この場合、各法線マップデータND1,ND2において各単位法線データUNDはそれぞれ、行の情報と列の情報との組合せを有している(以下、この情報を順番情報ともいう)。例えば図38(b)において左下角部分の単位法線データUNDは第1列第1行の情報を順番情報として有しており、図38(b)において右上角部分の単位法線データUNDは第35列第35行の情報を順番情報として有している。
各単位法線データUNDは、各面データSDの向きを第1段階の形態から変化させる場合における方向のデータ及びその方向に変化させる際の変化量のデータ(以下、変更データともいう)を有している。この場合、一の法線マップデータND1,ND2において、一部の単位法線データUND間ではその変化させる方向のデータ及びその方向への変化量のデータが同一となっている。但し、これに限定されることはなく、全ての単位法線データUND間において相違していてもよい。
一対の法線マップデータND1,ND2間において、各単位法線データUNDにより決定される変更データとして同一のものは含まれているが、変更データの配列は一致していない。この場合、一対の法線マップデータND1,ND2間における全ての順番情報において、各単位法線データUNDにより決定される変更データが相違していてもよく、少なくとも一部の順番情報において各単位法線データUNDにより決定される変更データが相違している構成としてもよい。各法線マップデータND1,ND2において、単位法線データUNDの数は同一となっているが異なっていもよい。
各法線マップデータND1,ND2における単位法線データUNDの数は、海面用オブジェクトPC19を構成する面データSDの数よりも多く設定されている。かかる構成において、各法線マップデータND1,ND2の単位法線データUNDを海面用オブジェクトPC19の面データSDに適用する場合、全面データSDが各法線マップデータND1,ND2に含まれる範囲において、基準となる面データSDに適用する単位法線データUNDが選択され、その関係を基準とするとともに面データSD側の順番情報と単位法線データUND側の順番情報とを利用することで、上記基準となる面データSD以外の面データSDに対応させる単位法線データUNDが選択される。
より詳細に説明すると、面データSDを第m列第n行分有している構成において(m及びnは1以上の整数)、基準となる面データSDが第1列第1行であり、それに対応する単位法線データUNDが第s列第t行である場合(s及びtは1以上の整数)、今回使用する単位法線データUNDは第s列〜第(s+m−1)列であって、第t列〜第(t+n−1)行分となる。したがって、それら単位法線データUNDが法線マップデータND1,ND2から読み出される。そして、その読み出された各単位法線データUNDは、第s列第t行の順番情報が第1列第1行となる演算によって順番情報の変換が行われるとともに、その変換後の順番情報と同一の順番情報の面データSDに対応付けられる。
図39(a)及び(b)を参照しながら、一対の法線マップデータND1,ND2を海面用オブジェクトPC19に適用する手法を説明する。
図39(a)に示すように、法線マップデータND1,ND2を用いて海面用オブジェクトPC19の面データSDの向きを変更させる場合には、一対の法線マップデータND1,ND2が海面用オブジェクトPC19に対して同時に適用される。この場合、海面表示の開始時においては、一方の法線マップデータND1の隅角部分の単位法線データUNDが海面用オブジェクトPC19の同じ側の隅角部分と一致し、且つ海面用オブジェクトPC19の全ての面データSDがそれぞれ異なる単位法線データUNDと対応しているようにデータ設定が行われる。また、他方の法線マップデータND2についても同様に、当該法線マップデータND2の隅角部分の単位法線データUNDが海面用オブジェクトPC19の同じ側の隅角部分と一致し、且つ海面用オブジェクトPC19の全ての面データSDがそれぞれ異なる単位法線データUNDと対応しているようにデータ設定が行われる。
この場合、同一の面データSDに対して一方の法線マップデータND1の単位法線データUNDと他方の法線マップデータND2の単位法線データUNDとが同時に対応することとなる。これら単位法線データUNDの変更データを面データSDに適用する場合には、一方の法線マップデータND1に対応した変更データによる面データSDの向きと、他方の法線マップデータND2に対応した変更データによる面データSDの向きとの中間の向きとなるように、各変更データのブレンドが実行され、そのブレンドした結果の変更データが面データSDに対して適用される。
なお、図39(a)では、開始時に基準となる隅角部分の位置が、一方の法線マップデータND1と他方の法線マップデータND2とで異なる構成となっているが、同一であってもよい。この場合であっても、一対の法線マップデータND1,ND2間において変更データの配列が異なっているため、面データSDに適用される変更データの内容が両法線マップデータND1,ND2で同一となる事象が全ての面データSDに対して発生してしまうことはない。
その後、海面表示におけるフレーム数が進行していくことに伴って、図39(b)に示すように、海面用オブジェクトPC19の基準となる面データSDに対して対応する単位法線データUNDが、両法線マップデータND1,ND2のそれぞれにおいて変更される。但し、この変更に際しては、海面用オブジェクトPC19の全ての面データSDがそれぞれ異なる単位法線データUNDと対応しているように変更が行われる。
このように基準となる面データSDに対応する単位法線データUNDを変更させることにより、各面データSDの向きが変更される態様を除々に変化させることが可能となり、海面表示を変化に富んだものとすることが可能となる。また、一対の法線マップデータND1,ND2をブレンドする構成であることにより、パチンコ機10の設計段階において上記変更データのバリエーションをある程度抑えたとしても、面データSDに対して実質的に適用される変更データのバリエーションを増やすことが可能となる。
次に、図40を参照しながら、各面データSDに対する変更データの適用の仕方を説明する。
既に説明したように各面データSDに対して単位法線データUNDが個別に対応付けられるが、それら全ての面データSDに対して単位法線データUNDによる変更データが適用されるわけではなく、各面データ群において一部の面データSD1に対してのみ単位法線データUNDによる変更データが適用される。詳細には、同一の頂点データを共有する面データSD同士に対して同時に変更データの適用が行われないように、適用対象となる面データSD1が予め定められている。
詳細には、各面データ群において変更データが適用される面データSD1は、図40(a)に示すように一部に限られており、それら適用対象の面データSD1間には、他の面データSD2が存在することで、適用対象の面データSD1同士において頂点データを共有していない。また、適用対象の面データSD1は面データ群においてその隅角部分を構成していないため、面データ群間で見た場合であっても、適用対象の面データSD1同士において頂点データを共有していない。このような構成であることにより、法線マップデータND1,ND2を利用してランダムに面データSDの向きを変更する構成であったとしても、適用対象の面データSD1間にはそれら面データSD1の向きの違いを吸収するための緩衝用の面データSD2が存在することとなり、海面用オブジェクトPC19の面としての連続性を担保することが可能となる。
適用対象の面データSD1に対して変更データが適用されることにより、各面データSDの向きが第1段階の形態から変更される様子を図40(b−1)及び(b−2)に示す。図40(b−1)に示すように、第1段階の形態では、所定の面データ群に含まれる各面データSD1,SD2は、同一の方向を向いており、同一の面を形成している。
これら面データSD1,SD2のうち、2番目と4番目が適用対象の面データSD1であり、これら2番目及び4番目の面データSD1に対して、両法線マップデータND1,ND2のブレンド結果である変更データが適用される。この際、図40(b−2)に示すように、2番目及び4番目の面データSD1がそれぞれ対応する変更データに基づく向きに変更される。また、適用対象の面データSD1ではなく緩衝用の面データSD2である1番目、3番目及び5番目の各面データSD2は、第1段階の形態からの変化量が最も少ない態様において海面用オブジェクトPC19の面としての連続性を担保するようにして向きが変更される。
以下に、海面用オブジェクトPC19の各面データSDの向きを設定するための具体的な処理構成を説明する。
図41(a)は、表示CPU131にて実行される海面表示用の演算処理を示すフローチャートである。海面表示用の演算処理は、タスク処理(図14)のステップS903における背景用演算処理にて実行される。また、海面表示用の演算処理は、第1表示モードである状況で実行されるものであり、図24におけるステップS1502〜ステップS1505の処理の一部として実行される。
先ずステップS2401では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、海面表示の実行中であるか否かを判定する。海面表示の実行中ではない場合にはステップS2402にて、海面表示の開始タイミングであるか否かを判定する。開始タイミングではない場合にはそのまま本演算処理を終了し、開始タイミングである場合にはステップS2403に進む。
ステップS2403では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、海面用オブジェクトPC19を制御対象として把握する。ちなみに、ステップS2403の処理の実行タイミングでは、直前の制御開始用の設定処理(ステップS901)にて、海面用オブジェクトPC19に対して制御開始用の処理が完了している。また、制御が開始された海面用オブジェクトPC19の制御用の情報は、海面表示が完了するまではワークRAM132に記憶保持される。
続くステップS2404では、第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2を制御対象としてVDP135に指示するための情報を記憶する。但し、表示CPU131では、これら第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2を海面用オブジェクトPC19に実際に適用するために必要な演算処理は実行しない。つまり、表示CPU131は、第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2については、これらデータND1,ND2を使用すべきことをVDP135に対して指示するものの、これらデータND1,ND2を実際に制御するための演算処理を実行しない。これにより、表示CPU131の処理負荷の軽減が図られる。
続くステップS2405では、メモリモジュール133から海面用アニメーションデータをワークRAM132に読み出す。図41(b)は海面用アニメーションデータADを説明するための説明図である。海面用アニメーションデータADは、海面用オブジェクトPC19を面データ群の単位で制御するためのデータであり、当該海面用アニメーションデータADによって各面データ群の基準座標及び向きが決定されることで、海面用オブジェクトPC19について第1段階の形態が決定される。
より詳細には、海面用アニメーションデータADには、連番となるようにして複数のポインタ情報が設定されており、各ポインタ情報のそれぞれには、各面データ群について基準座標のデータ及び向きのデータが設定されている。例えば、第1面データ群に対しては、第1のポインタ情報に対応させて、基準座標のデータ(A1−1)及び向きのデータ(B1−1)が設定されており、第2のポインタ情報に対応させて、基準座標のデータ(A1−2)及び向きのデータ(B1−2)が設定されており、第fのポインタ情報(fは3以上の整数であり、例えば「50」)に対応させて、基準座標のデータ(A1−f)及び向きのデータ(B1−f)が設定されている。また、第2面データ群、・・・、第k面データ群に対しても各ポインタ情報に対応させて基準座標のデータ及び向きのデータが設定されている。
ポインタ情報は、海面表示が行われている状況において1フレーム分進行する場合(画像更新タイミングとなる度)に更新され、ポインタ情報の更新に伴って基準座標のデータ及び向きのデータの組合せが次の順番のものに変更されることとなる。この場合に、それら連続する基準座標のデータ及び向きのデータは、各面データ群において第1段階の形態が動きの連続性を有するように設定されている。
また、各面データ群間においてポインタ情報の進行に伴う基準座標のデータ及び向きのデータの配列態様は相違しているが、隣接する面データ群間において形態上の連続性が損なわれないようにそれら基準座標のデータ及び向きのデータが設定されている。つまり、複数の辺が他の面データ群と接している面データ群は、それら他の面データ群の基準座標及び向きが決定されれば、それら他の面データ群と接している状態を解除しない限り、基準座標及び向きに制約が生じ、場合によっては一義的に定まることとなる。このような状況において、当該他の面データ群と接している状態を解除しないようにして、各面データ群の基準座標及び向きが予め定められている。具体的には、既に説明したとおり、隣接する面データ群においては、両者の境界部分における頂点データの座標が同一となるように、基準座標のデータ及び向きのデータが決定されている。
図41(a)の説明に戻り、ステップS2405にて海面用アニメーションデータADを読み出した後は、ステップS2406にて、当該海面用アニメーションデータADから初期設定データを把握する。具体的には、開始用のデータとして、第1のポインタ情報に対応させて設定されている基準座標のデータ及び向きのデータの組合せが、全面データ群について読み出される。その後、ステップS2407にて海面表示の開始指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように海面表示用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、海面用オブジェクトPC19の使用指示の情報が設定されるとともに、第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2の使用指示の情報が設定される。さらにまた、上記ステップS2406にて把握した第1段階の形態についての初期設定データが設定されるとともに、海面表示を開始すべきことを示す海面表示の開始指定情報が、描画リストに設定される。
ステップS2401にて海面表示の実行中であると判定した場合には、ステップS2408に進む。ステップS2408では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、海面用オブジェクトPC19を制御対象として把握する。また、ステップS2409では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2を制御対象として把握する。
続くステップS2410では、既にワークRAM132に読み出されている海面用アニメーションデータADのポインタ情報を1増加させるように更新し、ステップS2411にて、その更新後のポインタ情報に対応した更新データを把握する。この把握処理について具体的には、更新用のデータとして、更新後のポインタ情報に対応させて設定されている基準座標のデータ及び向きのデータの組合せが、全面データ群について読み出される。その後、ステップS2412にて、海面表示の更新指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように海面表示用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、海面用オブジェクトPC19の使用指示の情報が設定されるとともに、第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2の使用指示の情報が設定される。また、上記ステップS2411にて把握した第1段階の形態についての更新データが描画リストに設定される。さらにまた、海面表示を更新すべきことを示す海面表示の更新指定情報が、描画リストに設定される。
なお、海面用アニメーションデータADのポインタ情報は、海面表示が実行される全フレーム数に対応していてもよいが、本パチンコ機10では、海面表示が実行される全フレーム数よりもポインタ情報の数が少なく設定されている。この場合、海面表示の実行中においてポインタ情報が最後の順番のものとなってしまうが、最後の順番となった次のフレームにおいては最初のポインタ情報に復帰される。また、このようにポインタ情報がループすることに鑑みて、ポインタ情報が最後の順番における第1段階の形態と、ポインタ情報が最初の順番における第1段階の形態とが海面用オブジェクトPC19の動きとして連続性を有していることが好ましい。
次に、VDP135にて実行される海面表示用の設定処理を、図42のフローチャートを参照しながら説明する。海面表示用の設定処理は、第1表示モードである状況で実行されるものであり、図26におけるステップS1703〜ステップS1708の処理の一部として実行される。また、海面表示の設定処理は、今回の描画リストに海面表示の開始指定情報及び海面表示の更新指定情報のいずれかが設定されている場合に起動される。
先ずステップS2501では、今回の描画リストにおいて海面表示の開始指定情報が設定されているか否かを判定する。設定されている場合には、ステップS2502に進む。
ステップS2502では、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において海面用オブジェクトPC19が記憶されているアドレスを把握して、当該海面用オブジェクトPC19をVRAM134の展開用バッファ141に読み出す。また、ステップS2503では、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2が記憶されているアドレスを把握して、これら第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2をVRAM134の展開用バッファ141に読み出す。
続くステップS2504では、今回の描画リストに設定されている初期設定データ(海面用アニメーションデータADから抽出されたデータ)を把握し、ステップS2505にて、その把握した初期設定データを適用した状態で海面用オブジェクトPC19をワールド座標系に設定する。これにより、海面用オブジェクトPC19が第1段階の形態となった状態でワールド座標系に設定される。
続くステップS2506では、第1法線マップデータND1のワールド座標系への初期設定処理を実行するとともに、ステップS2507では、第2法線マップデータND2のワールド座標系への初期設定処理を実行する。これにより、図39(a)を参照しながら説明した状態となるように、海面用オブジェクトPC19の各面データSDに対して第1法線マップデータND1の単位法線データUND及び第2法線マップデータND2の単位法線データUNDが対応付けられる。
その後、ステップS2508にて、法線パラメータの設定処理を実行した後に、本設定処理を終了する。かかる法線パラメータの設定処理について、図43のフローチャートを参照しながら説明する。なお、法線パラメータとは、面データSDの向きを決定付けるパラメータのことであり、具体的には当該面データSDを構成する頂点データの座標を決定付けるものである。
法線パラメータの設定処理では、先ずステップS2601にて、レジスタ153に設けられた適用カウンタの初期化処理を実行する。本処理において適用カウンタは、第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2の単位法線データUNDに設定されている変更データを適用する対象の面データSD1をVDP135にて特定するための役割を有しており、適用カウンタが初期化された状態においては当該適用対象の面データSD1の数に対応した数値情報が適用カウンタに設定される。
続くステップS2602では、第1法線マップデータND1において適用カウンタの現状の数値情報に対応した単位法線データUNDから変更データを読み出す。具体的には、先ず適用カウンタの現状の数値情報に対応した面データSD1を把握し、その後に第1法線マップデータND1において当該面データSD1に対応付けられている単位法線データUNDを把握する。そして、その単位法線データUNDに設定されている変更データを読み出す。
続くステップS2603では、第2法線マップデータND2において適用カウンタの現状の数値情報に対応した単位法線データUNDから変更データを読み出す。具体的には、先ず適用カウンタの現状の数値情報に対応した面データSD1を把握し、その後に第2法線マップデータND2において当該面データSD1に対応付けられている単位法線データUNDを把握する。そして、その単位法線データUNDに設定されている変更データを読み出す。
続くステップS2604では、上記ステップS2602にて第1法線マップデータND1から読み出した変更データと、上記ステップS2603にて第2法線マップデータND2から読み出した変更データとのブレンド処理を実行する。このブレンド処理に際しては、既に説明したとおり、第1法線マップデータND1に対応した変更データによる面データSD1の向きと、第2法線マップデータND2に対応した変更データによる面データSD1の向きとの中間の向きとなるように、各変更データのブレンドが実行される。
なお、当該ブレンドは、各変更データを適用した場合における面データSD1の各向きの中間となるように行われる構成に限定されることはなく、所定の比率で第1法線マップデータND1に係る変更データ寄り又は第2法線マップデータND2に係る変更データ寄りとなる構成としてもよい。
続くステップS2605では、上記ステップS2604にてブレンドした結果の変更データを、適用カウンタの現状の数値情報に対応した面データSD1に対して適用する。これにより、当該面データSD1については第1段階の形態における向きから、上記ブレンド後の変更データに対応した向きに変更される。但し、既に説明したとおり、変更データは第1段階の形態を基準としてそこからの相対的な変化量として与えられているため、変更データがそのまま適用されるのではなく、第1段階の形態における向きを基準として、そこからブレンド後の変更データに対応した方向であって対応した変化量分だけ変更される。
続くステップS2606では、適用カウンタの現状の数値情報に対応した面データSD1に対して隣接する面データSD2、すなわち適用対象の面データSD1と頂点データを共有する面データSD2(既に説明した緩衝用の面データSD2に相当)の向きを、当該共有する頂点データの座標の変更に合わせて変更する処理を実行する。この場合、今回の適用対象の面データSD1と共有していない頂点データについては、第1段階の形態から座標を変更させずに、隣接する面データSD2の向きを変更する。
続くステップS2607では、適用カウンタの数値情報を1減算することにより、法線パラメータの設定を行う対象が次の適用対象の面データSD1に移行するように適用カウンタの数値情報を更新する。
その後、ステップS2608にて、その更新後の適用カウンタの数値情報が、全ての適用対象の面データSD1に対する設定が完了したことを表す情報となっているか否か、すなわち適用カウンタの数値情報が「0」となっているか否かを判定する。ステップS2608にて否定判定をした場合には、ステップS2602に戻り、新たな適用対象の面データSD1に対してステップS2602〜ステップS2607の処理を実行し、ステップS2608にて肯定判定をした場合には、本設定処理を終了する。
海面表示用の設定処理(図42)の説明に戻り、ステップS2501にて否定判定をした場合には、ステップS2509にて、今回の描画リストに設定されている更新データ(海面用アニメーションデータADから抽出されたデータ)を把握し、ステップS2510にて、その把握した更新データを、ワールド座標系に既に設定されている海面用オブジェクトPC19に設定する。この場合、上記更新データが、海面用オブジェクトPC19の各面データ群の座標及び向きのデータに対して上書きされる。これにより、海面用オブジェクトPC19が、再度、第1段階の形態となった状態でワールド座標系に設定される。
続くステップS2511では、第1法線マップデータND1の更新処理を実行するとともに、ステップS2512では、第2法線マップデータND2の更新処理を実行する。これにより、図39(b)を参照しながら説明した状態となるように、海面用オブジェクトPC19の各面データSDに対応付けられる第1法線マップデータND1の単位法線データUND及び第2法線マップデータND2の単位法線データUNDが変更される。
その後、ステップS2508の法線パラメータの設定処理を実行した後に、本設定処理を終了する。当該法線パラメータの設定処理は、既に説明したとおりである。
以上のように海面用オブジェクトPC19を構成する各面データSDのワールド座標系における座標及び向きが決定される。そして、それら面データSDに対しては、描画処理(図16)におけるステップS1009の色情報の設定処理にて色情報の設定が行われる。この場合に、当該面データSDに対する色情報の設定は、テクスチャマッピング処理とは異なる手法にて行われる。かかる手法について説明する。
図44(a)〜(c)は、各面データSDに色情報を設定する手法を説明するための説明図である。
色情報の設定処理(ステップS1009)は、図16に示すように、各オブジェクトのワールド座標系への設定処理が完了し、さらにステップS1006の視野座標系への設定処理、及びステップS1007のクリッピング処理が実行された後に、実行される。したがって、色情報の設定処理が実行されるタイミングでは既に、海面用オブジェクトPC19の各面データSDの座標及び向きが視野座標系に変換された状態で設定されている。
この状態では、図44(a)に示すように、視野座標系の基準となる視点VDが設定されているとともに、その視点VDよりも上方の位置となるように海面用オブジェクトPC19が設定されている。つまり、本パチンコ機10における海面表示は、海中を背景とする表示であって、その海中から見上げた状態で海面が表示される演出のことである。
各面データSDに対する色情報の設定に際しては、海面用オブジェクトPC19の上方に仮に光源している場合において、その光源からの透過光を面データSDの座標及び向きとの関係で、視点VDの位置にて視認することが可能となるか否かを想定して、上記光源からの光が透過することに対応した面データSDと、上記光源からの光が海面用オブジェクトPC19の上方側にて全反射して透過しないことに対応した面データSDとに振り分ける。
この振分に際しては、上記光源を描画処理(図16)のライティング処理(ステップS1008)にて設定するのではなく、視点VDに対する面データSDの角度が所定の角度未満であるか否かにより、その面データSDを、透過光の多い分類と、透過光の少ない分類とのいずれかに振り分ける。
より詳細には、図44(b−1)及び(b−2)に示すように、先ず面データSDの座標及び向きのデータを利用して、視点VDから当該面データSDを見た場合の角度である屈折角βを算出する。この算出に際しては、座標及び向きのデータに対して1対1で対応させて屈折角のデータが設定されたテーブルをメモリモジュール133から読み出して用いられるが、算出式のプログラムを予め用意しておき、その算出式で屈折角を算出するようにしてもよい。
ここで、面データSDに対する色情報の設定は、大気中から海面への光の入射を前提としているため、屈折角βが大きいほど、入射角αは大きくなり、入射角αが大きくなるほど、光量は少なくなる。これを前提として、VDP135では、屈折角βを算出した後は、その屈折角βが所定の基準角度未満であるか否かを判定する。そして、屈折角βが所定の基準角度未満である場合(例えば図44(b−1)の場合)には、その屈折角βを生じさせる面データSDを透過光が多い分類とし、屈折角βが所定の基準角度以上である場合(例えば図44(b−2)の場合)には、その屈折角βを生じさせる面データSDを透過光が少ない分類とする。ちなみに、視点VD側とは逆側を向く方向の成分を有している場合といったように、視点VD側を向く成分を向く方向に有していない面データSDは、全て透過光が少ない分類とされる。
上記のような分類を行った後は、図44(c)に示すようなカラーテーブルCTを用いて各面データSDの色情報を決定する。カラーテーブルCTは、メモリモジュール133に予め記憶されており、複数のカラーNO.のデータと、これらカラーNO.のデータに1対1で対応させて色情報が設定されている。また、カラーテーブルCTには、いずれの色情報を面データSDに対して適用するかを決定する際に参照される相関データが設定されている。
この場合、カラーNO.「7」は、上記透過光が少ない分類とされた面データSDに対して適用されるものである。一方、カラーNO.「1」〜「6」は、上記透過光が多い分類とされた面データSDに対して適用されるものであり、かかる分類の面データSDに対しては色情報が複数種類設定されている。当該分類の面データSDに対していずれの色情報を設定するかは、当該面データSDの向きによって決定されるのではなく、視点VDからのZ軸方向の距離によって決定される。
詳細には、面データSDのうち一の隅角部分(例えば図38(a)の状態で見て左下角部分)の頂点データを基準頂点データとして、その基準頂点データのZ座標のデータが、第1段階の閾値である「Z1」以下である場合(すなわち「Z1」よりもZ座標が視点VDに近い場合)には色情報として「CL1」が選択され、第1段階の閾値である「Z1」よりも大きく且つ第2段階の閾値である「Z2」以下である場合には色情報として「CL2」が選択され、第2段階の閾値である「Z2」よりも大きく且つ第3段階の閾値である「Z3」以下である場合には色情報として「CL3」が選択される。そして、以下同様にして、各閾値の範囲に対応させて「CL4」及び「CL5」が選択され、上記基準頂点データのZ座標のデータが、第5段階の閾値である「Z5」よりも大きい場合には色情報として「CL6」が選択される。
これら色情報「CL1」〜「CL6」は、後側ほど暗い色となるように設定されており、具体的には、色情報「CL1」は白色として設定され、色情報「CL6」は暗い青色として設定され、色情報「CL2」〜「CL5」はそれらの中間色として設定されている。また、色情報「CL7」は、色情報「CL6」よりも暗い色として設定されており、具体的には黒色に近い青色として設定されている。
以下に、各面データSDに色情報を設定するための具体的な処理構成を説明する。
図45(a)は、VDP135にて実行される海面表示用の色情報設定処理を示すフローチャートである。海面表示用の色情報設定処理は、描画処理(図16)におけるステップS1009の色情報の設定処理にて実行される。また、海面表示用の色情報設定処理は、今回の描画リストにおいて海面表示の開始指定情報及び海面表示の更新指定情報のいずれかが設定されている場合に起動される。
先ずステップS2701では、上記適用カウンタの初期化処理を実行する。本処理において適用カウンタは、色情報の設定を行う対象の面データSDをVDP135にて特定するための役割を有しており、適用カウンタが初期化された状態においては海面用オブジェクトPC19に含まれる面データSDの数に対応した数値情報が適用カウンタに設定される。
続くステップS2702では、海面用オブジェクトPC19において適用カウンタの現状の数値情報に対応した面データSDから向きのデータを把握し、ステップS2703にて、その把握した向きのデータから上記屈折角を算出する。そして、ステップS2704にて、その算出した屈折角が基準角度以上であるか否かを判定する。
基準角度以上である場合には、ステップS2705にて、カラーテーブルCTにおけるカラーNO.7の色情報(「CL7」)を、今回対象となった面データSDに対して設定する。一方、基準角度未満である場合には、ステップS2706にて、今回対象となった面データSDのZ座標のデータを読み出し、ステップS2707にて、カラーテーブルCTと照合することにより、対応するカラーNO.の色情報(「CL1」〜「CL6」のいずれか)を、今回対象となった面データSDに対して設定する。
ステップS2705又はステップS2707の処理を実行した後は、ステップS2708にて、適用カウンタの数値情報を1減算することにより、色情報の設定を行う対象が次の面データSDに移行するように適用カウンタの数値情報を更新する。その後、ステップS2709にて、その更新後の適用カウンタの数値情報が、全ての面データSDに対する色情報の設定が完了したことを表す情報となっているか否か、すなわち適用カウンタの数値情報が「0」となっているか否かを判定する。
ステップS2709にて否定判定をした場合には、ステップS2702に戻り、新たな面データSDに対してステップS2702〜ステップS2708の処理を実行する。一方、ステップS2709にて肯定判定をした場合には、本色情報設定処理を終了する。
図45(b)は、VDP135にて実行される海面用の調整処理を示すフローチャートである。当該海面用の調整処理は、描画処理(図16)におけるステップS1010の背景用の描画データ作成処理にて実行される。より詳細には、図27では省略するとともに説明も省略していたが、ステップS1802とステップS1803との間にて実行される。つまり、背景用の3次元画像データが2次元画像データに変換された後に、海面用の調整処理が実行される。
先ずステップS2711では、今回の描画リストにおいて海面表示の開始指定情報及び海面表示の更新指定情報のいずれかが設定されているか否かを判定する。いずれもが設定されていない場合には、そのまま本調整処理を終了する。いずれかが設定されている場合には、ステップS2712にて、海面のぼかし処理を実行した後に、本調整処理を終了する。
海面のぼかし処理では、隠面処理(ステップS1802)を利用して作成された背景用の2次元画像データにおいて、ガウスフィルタを利用したぼかし処理を実行する。詳細には、海面表示に対応した領域から1のピクセルを抽出するとともに、そのピクセルを中心としてX軸方向の両側に所定数(例えば5個)のピクセルを抽出する。その後、中心としたピクセルからの距離に応じた重み付けを、ガウス関数を利用して決定し、その決定した重み付けを適用した状態で各ピクセルの色情報のブレンド(合成)を行う。また、同様に、同一のピクセルを中心としてY軸方向の両側に所定数(例えば5個)のピクセルを抽出する。その後、中心としたピクセルからの距離に応じた重み付けを、ガウス関数を利用して決定し、その決定した重み付けを適用した状態で各ピクセルの色情報のブレンドを行う。そして、海面表示に対応した領域を構成している全ピクセルに対して、上記ガウスフィルタを利用したぼかし処理を実行する。
次に、海面表示の内容について、図46を参照しながら説明する。
図46(a)は海面表示を説明するための説明図であり、図46(b)は海面表示が行われている領域の色情報の設定態様を簡易的に説明するための説明図である。
図46(a)に示すように、複数の図柄が変動表示されている背景では、海中を示す画像が表示されている。この背景の上部にて海面表示SPがなされている。この場合、海面を表示させるための面データSDの向きが細かく制御されているとともに、その細かく制御された状態に応じた色情報が設定されていることにより、海面の向きが細かく表現されるとともに大気中から海中への光の透過がリアルに表現されている。よって、リアルな海面表示SPを行うことが可能となっている。
また、海面用オブジェクトPC19の第1段階の形態を設定した後に、各面データSDの向きを調整する構成であるため、海面の大きな動きは規則的なものとしながら、その規則的な大きな動きの中で各面データSDの向きに不規則性を与えることが可能となる。
また、各面データSDの動きを個別に制御する際には、法線マップデータND1,ND2を利用したことにより、各面データSDの向きを演算によって個別に変化させる必要が生じない。よって、処理負荷の軽減を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。特に、法線マップデータND1,ND2のワールド座標系における位置を変化させることにより、海面表示SPの進行に伴って各面データSDに対応付けられる単位法線データUNDを変更させる構成であるため、海面表示SPの進行に伴って面データSDの向きを複雑に変化させる場合において、同一の法線マップデータND1,ND2を利用し且つ同一の適用処理を利用することが可能となるため、記憶容量の削減及び処理負荷の軽減が図られる。
また、海面用アニメーションデータADを利用した大まかな動きの決定は表示CPU131にて実行し、法線マップデータND1,ND2を利用した細かな面の向きの決定はVDP135にて実行する構成であるため、処理負荷の分散が図られる。
また、既に説明したとおり、海面のぼかし処理が実行されることにより、図46(b)に示すように、光の透過がほとんどないことに対応した色情報が設定されたピクセルPS(左側のピクセルPS)と、光の透過が最もあることに対応した色情報が設定されたピクセルPS(右側のピクセルPS)との間には、これら両ピクセルPSの色情報をブレンドさせたピクセルPS(中央側のピクセルPS)が存在することとなる。これにより、海面表示SPを行っている領域にて個別に色情報が設定される構成において色情報が相違する部分の境界を目立たなくすることが可能となる。
また、2次元画像とした後に当該ぼかし処理を実行するため、3次元画像の状態でぼかし処理を実行する構成に比べて、処理負荷の軽減が図られる。
<海面表示用の色情報設定処理の別形態>
図47は、VDP135にて実行される海面表示用の色情報設定処理の別形態を説明するためのフローチャートである。
先ずステップS2801では、上記ステップS2701と同様に、適用カウンタの初期化処理を実行する。続くステップS2802では、上記ステップS2702と同様に、海面用オブジェクトPC19において適用カウンタの現状の数値情報に対応した面データSDから向きのデータを把握し、ステップS2803にて、上記ステップS2703と同様に、その把握した向きのデータから屈折角を算出する。
続くステップS2804では、上記ステップS2803にて算出した屈折角の情報から色情報を導出する。この場合、色情報の導出に際しては、屈折角の情報と色情報とが対応付けられたカラーテーブルをメモリモジュール133から読み出し、屈折角の情報に対応した色情報を読み出す。つまり、本別形態では、屈折角の情報から直接的に色情報が読み出される。
その後、ステップS2805にて、今回対象となった面データSDのZ座標のデータを読み出し、ステップS2806にて、その読み出したZ座標のデータに対応した色情報の調整処理を実行する。この場合、視点VDから遠い距離に存在する面データSDほど、ステップS2804にて設定された色情報を暗い色側にシフトさせる場合のシフト量が大きくなる処理が実行される。
続くステップS2807では、適用カウンタの数値情報を1減算することにより、色情報の設定を行う対象が次の面データSDに移行するように適用カウンタの数値情報を更新する。その後、ステップS2808にて、その更新後の適用カウンタの数値情報が、全ての面データSDに対する色情報の設定が完了したことを表す情報となっているか否か、すなわち適用カウンタの数値情報が「0」となっているか否かを判定する。ステップS2808にて否定判定をした場合には、ステップS2802に戻り、新たな面データSDに対してステップS2802〜ステップS2807の処理を実行する。一方、ステップS2808にて肯定判定をした場合には、本色情報設定処理を終了する。
<他の別形態>
・一の法線マップデータND1,ND2に含まれる単位法線データUNDの数が海面用オブジェクトPC19に含まれる面データSDの数以下である構成としてもよい。この場合、同一の法線マップデータND1,ND2を複数並べることにより、面データSDの全てに対して単位法線データUNDを対応付けるようにすればよい。
・法線マップデータND1,ND2は複数種類設定されている必要はなく、単一の法線マップデータが設定されている構成としてもよい。この場合、海面表示に際して、当該単一の法線マップデータのみを海面用オブジェクトPC19に適用する構成としてもよい。当該構成であっても、海面用オブジェクトPC19に適用される法線マップデータの位置を変化させることで、海面表示の進行に伴って各面データSDの向きを変化させることが可能となる。また、当該単一の法線マップデータを複数同時に読み出すとともに、それら複数の法線マップデータにおいて海面用オブジェクトPC19に適用する位置を相互に異ならせることにより、複雑な面の向きの制御を可能とする構成としてもよい。
・法線マップデータND1,ND2の単位法線データUNDを適用する対象は、同一の頂点データを共有する複数の面データSDが同時に適用対象とならないように制限されている構成に限定されることはなく、全面データSDに対して単位法線データUNDを適用する構成としてもよい。但し、本構成においては、一の頂点データに対して異なる座標が同時に設定されることとなるため、その調整を別途行う必要がある。例えば、頂点データの座標設定を行う際の優先度を隣接する面データSD同士において予め定めておき、優先度が高い面データSDについては単位法線データUNDをそのまま適用し、優先度が低い面データSDについては優先度が高い面データSDにより決定される頂点データの座標を維持しながら、第1段階の形態の状態よりも自身に適用される単位法線データUNDにより決定される向きに近付けるように調整する構成としてもよい。
・各面データSDに対する色情報の設定は、カラーテーブルCTを利用した設定の仕方や、上記図47に示した設定の仕方に限定されることはなく、例えば、描画処理(図16)のライティング処理にて仮想光源を、海面用オブジェクトPC19を挟んで視点VDの反対側に設定し、その仮想光源からの光の透過量を各面データSDについて個別に算出する構成としてもよい。この場合、光の透過量に応じた色情報を、予め定められたテーブル情報を利用して導出し、その導出結果の色情報を各面データSDに設定する構成が考えられる。また、各面データSDに対して初期の色情報が予め設定されており、その色情報を上記算出した透過量との関係で調整する構成が考えられる。
・海面用オブジェクトPC19が視点VDの上方に設定されている構成に限定されることはなく、海面用オブジェクトPC19が視点VDの下方に設定されている構成としてもよい。この場合、各面データSDの向きを上記各手法により決定した後に、それら各面データSDの向きが光を反射し易い向きであれば明るい色情報を設定し、それら各面データSDの向きが光を透過し易い向きであれば暗い色情報を設定する。この設定に際しては、予め用意されたテーブル情報を利用してもよく、仮想光源を利用して実際に算出する構成としてもよい。
・導出した屈折角が所定の角度以下である面データSDについては、視点VDからのZ軸方向の距離に関係なく、最も明るい色情報を設定する構成としてもよい。また、これに代えて、導出した屈折角が所定の角度以下である面データSDについては、他の屈折角の場合よりも明るい色情報を設定するとともに、その色情報をベースとして、視点VDからのZ軸方向の距離が遠いほど暗くなるように色情報の調整を行うようにしてもよい。
・上記のように面の向きを制御して色情報を設定する処理構成は、海面である必要はなく、川や池といった他の水面であってもよい。また、経時的に面の状態を変化させる透過膜や、反射膜を表現する際に、上記のような面の向きを制御して色情報を設定する処理構成を適用してもよい。
・マップデータを利用して制御するパラメータの対象は、向きや座標に限定されることはなく、面の色や面の透明値であってもよい。
・法線マップデータND1,ND2に含まれる単位法線データUNDの数が、海面用オブジェクトPC19に含まれる面データSDの数よりも少ない構成としてもよい。この場合、一の法線マップデータND1,ND2を海面用オブジェクトPC19における所定数の面データSDに対して適用するとともに、同一の法線マップデータND1,ND2を残りの面データSDに対して再度適用すればよい。
・法線パラメータの設定処理(図43)にて、ステップS2606の処理、すなわち隣接する面データの調整処理が実行されない構成としてもよい。この場合、緩衝用の面データSD2については、当該面データSD2が有する複数の頂点データのうち、適用対象の面データSD1と共有している頂点データは法線マップデータND1,ND2の適用に伴い変更されるが、共有していない頂点データは第1段階の形態において設定されている座標が維持される。この場合であっても、緩衝用の面データSD2の向きやサイズは、適用対象の面データSD1の向きやサイズの変更に応じて変更されることとなる。
・面データSDの向きを直接制御する法線マップデータND1,ND2に代えて、海面用オブジェクトPC19の各頂点データの座標を直接制御するマップデータを用いる構成としてもよい。この場合、当該マップデータを海面用オブジェクトPC19に適用することで、頂点データの座標が変更され、その変更の結果として面データSDの向きが変更されることとなる。本構成であれば、制御対象が面ではなく頂点となるため、法線マップデータND1,ND2を利用していた場合のような適用対象の面データSD1と緩衝用の面データSD2との切り分けを行う必要がなくなる。なお、マップデータにおいて設定される各頂点データの制御量は、第1段階の形態における座標からの変化量であることが好ましい。
・海面用オブジェクトPC19が複数の面データ群に区別されている構成は必須ではなく、このような区別がなされていない構成としてもよい。この場合、法線マップデータND1,ND2などを利用して海面用オブジェクトPC19の各面データSDのそれぞれ個別に制御されることとなる。
・同一の更新タイミングにおいて、面データ群単位での制御を行うことに基づく第1段階の形態の設定と、法線マップデータND1,ND2などを利用した面データSDの向きの個別の制御との両方を行う構成に限定されることはなく、例えば一の更新タイミングにおいて上記第1段階の形態の設定を行い、次以降の更新タイミングにおいて面データSDの向きの個別の制御を行い、さらにそれらを繰り返していく構成としてもよい。この場合、一の更新タイミングにおける処理負荷の軽減が図られる。
・視点VDからのZ軸方向の距離に応じて色情報を選択する構成に限定されることはなく、X座標、Y座標及びZ座標により定まる視点VDからの距離に応じて色情報を選択する構成としてもよい。また、これに代えて、視点VDからのX軸方向の距離に応じて色情報を選択する構成としてもよく、Y軸方向の距離に応じて色情報を選択する構成としてもよい。また、視点VDからの距離ではなく、対象となるオブジェクトの回転位置やスケールに応じて色情報を選択する構成としてもよい。
<ピント表示を行うための構成>
次に、ピント表示を行うための構成について説明する。
ピント表示とは、表示面Gにおいて複数種類の個別画像が、表示面Gの奥行き方向の位置がそれぞれ異なるかのようにして同時に表示される場合において、奥行き方向の所定の位置又は範囲に存在している個別画像にピントが合い、当該個別画像については模様の境界や曲り部分の境界、さらに外縁部分が鮮明に表示されるのに対して、それよりも手前側及び奥側に存在しているかのようにして表示されている個別画像についてはピントがずれていて、模様の境界や曲り部分の境界、さらには外縁部分が不鮮明となってぼかした状態で表示される表示演出のことである。
ピント表示は、遊技回中及び開閉実行モード中のうち相対的に画像表示に要する処理負荷が低い開閉実行モード中に実行される。つまり、遊技回中においては、各図柄列SA1〜SA3において予め定められたアニメーションデータに従って図柄の変動表示を行う必要があるのに起因して、表示CPU131のタスク処理(図14)ではステップS903〜ステップS905の処理が少なくとも実行される。その一方、開閉実行モード中においては、各図柄列SA1〜SA3において図柄の変動表示を行う必要がないため、表示CPU131のタスク処理(図14)ではステップS903及びステップS904は実行されるが、ステップS905は実行されない。この分だけ、開閉実行モード中においては表示CPU131の処理負荷が軽減されているため、その軽減されている分を利用して、ピント表示用の制御が実行される。
図48は、表示CPU131にて実行される開閉実行モード時の演出用演算処理を示すフローチャートである。開閉実行モード時の演出用演算処理は、タスク処理(図14)のステップS904における演出用演算処理にて実行される。また、開閉実行モード時の演出用演算処理は、開閉実行モードに対応したデータテーブルが設定されている場合に起動される。
先ずステップS2901では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の更新対象となる演出用のオブジェクトを把握する。ちなみに、ステップS2901の処理の実行タイミングでは、上記演出用のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS901)は完了している。続くステップS2902では、その把握した演出用のオブジェクトの各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。
続くステップS2903では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の更新対象となる教示用のオブジェクトを把握する。教示用のオブジェクトとは、遊技の状況を遊技者に教示可能とする画像を表示する場合に利用されるオブジェクトのことであり、例えばラウンド中であれば、現状のラウンドが何番目のラウンドであるかといった内容が教示用のオブジェクトを用いて教示される(図52参照)。また、開閉実行モードへの移行の契機となった遊技回において有効ライン上に最終停止表示された図柄の組合せの種類の情報が教示用のオブジェクトを用いて教示される(図52参照)。ちなみに、ステップS2903の処理の実行タイミングでは、上記教示用のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS901)は完了している。続くステップS2904では、その把握したオブジェクトの各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。
続くステップS2905では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、開閉実行モードにおけるピント演出期間であるか否かを判定する。ピント演出期間は、遊技者による演出用操作装置48の操作に基づきピント表示を行うことが可能な期間のことである。本パチンコ機10では、開閉実行モードの一部の期間としてピント演出期間が設定されており、具体的には第1ラウンド目といった所定のラウンド(すなわち可変入賞装置22への入賞が可能となる期間)にピント演出期間が設定されている。但し、これに限定されることはなく、複数のラウンドに対してピント演出期間が設定されていてもよく、オープニングやエンディングにおいてピント演出期間が設定されていてもよく、ラウンド間にピント演出期間が設定されていてもよく、所定のラウンドとその次のラウンドに亘ってピント演出期間が設定されていてもよく、開閉実行モードの全体がラウンド演出期間として設定されていてもよい。
ピント演出期間ではない場合(ステップS2905:NO)には、そのまま本演出用演算処理を終了する。このように開閉実行モード時の演出用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、上記ステップS2901にて把握された演出用のオブジェクトの使用指示の情報が、それらオブジェクトに対応したテクスチャの使用指示の情報とともに設定される。また、当該描画リストには、上記ステップS2902にて算出したパラメータが設定され、さらには上記ステップS2903にて把握された教示用のオブジェクトの使用指示の情報が設定されるとともに、上記ステップS2904にて算出したパラメータが設定される。
ピント演出期間である場合(ステップS2905:YES)には、ステップS2906にて、ピント選択期間であるか否かを判定する。ピント演出期間には、その開始タイミングから300フレームといった所定の複数のフレーム数(所定の複数の画像更新タイミング)に亘って遊技者によってピントを選択可能とするピント選択期間が設定されている。当該ピント選択期間にて遊技者によるピント選択指示が演出用操作装置48の操作に基づきなされた場合に、ピント表示実行期間が行われるように設定されている。このピンと表示実行期間は、実行対象となっているラウンドの終了まで行われる。ピント選択期間にてピント選択の対象となる個別画像は、その後に続くピント表示実行期間においても表示が継続されるため、ピント選択期間におけるピント選択の結果を反映したピント表示を実行することが可能となる。
なお、ピント表示実行期間は、少なくとも500フレームといった所定の複数のフレーム数(所定の複数の画像更新タイミング)に亘って実行される。また、所定のラウンドがピント選択期間として設定されており、それ以降のラウンドがピント表示実行期間として設定されている構成としてもよい。
ピント選択期間である場合(ステップS2906:YES)には、ステップS2907にて、ピント選択用のパラメータ調整処理を実行するとともに、ステップS2908にて、ピント選択の実行指定情報を記憶した後に、本演出用演算処理を終了する。
上記のように開閉実行モード時の演出用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、上記ステップS2901にて把握された演出用のオブジェクトの使用指示の情報が、それらオブジェクトに対応したテクスチャの使用指示の情報とともに設定される。また、当該描画リストには、上記ステップS2902にて算出したパラメータが設定され、さらには上記ステップS2903にて把握された教示用のオブジェクトの使用指示の情報が設定されるとともに、上記ステップS2904にて算出したパラメータが設定される。また、当該描画リストには、上記ステップS2901にて把握された演出用のオブジェクトのパラメータとして、ピント選択用のパラメータが設定されるとともに、ピント選択の実行指定情報が設定される。
ここで、ピント選択期間においては、表示面Gにてピント選択を可能とする個別画像が除々に切り換えられていると遊技者が認識可能な表示が行われる。例えば、複数の個別画像が表示面Gの奥行き方向にずれて配置されているかのように同時に表示されている状態において、それら複数の個別画像が順次、ピント選択可能状態へと遷移される。このピント選択可能状態とする方法は任意であるが、例えば個別画像の周縁を囲むようにして環状部を表示させるとともに、その環状部を点滅表示させる構成や、個別画像を拡大表示させる構成や、個別画像を拡大させた後に縮小表示させる構成や、個別画像を指し示す別画像を表示させる構成が考えられる。このようなピント選択可能状態の表示は、ピント選択の実行指定情報が設定された描画リストが出力されている状況において、VDP135にて上記ピント選択用のパラメータが参照されることで実行される。
なお、本パチンコ機10においては、ピント選択が可能となる個別画像は背景の手前にて表示される演出用の個別画像であるが、背景の画像が含まれていてもよい。
一方、ピント選択期間ではない場合(ステップS2906:NO)には、ステップS2909に進む。ステップS2909では、ピント表示の実行中であるか否かを判定する。ピント表示の実行中ではない場合には、ステップS2910にて、音声発光制御装置60からピント指示コマンドを受信しているか否かを判定する。ピント指示コマンドは、ピント選択期間にて遊技者によるピント選択指示がなされた場合において、当該ピント選択期間の終了タイミングにて音声発光制御装置60から送信されるコマンドであり、当該ピント指示コマンドにはピント選択指示された個別画像の情報が含まれる。
ステップS2910にて否定判定をした場合には、そのまま本処理を終了する。このように開閉実行モード時の演出用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストは、上記ステップS2905にて否定判定をして本演出用演算処理を終了した場合と同様の情報が設定される。
ステップS2910にて肯定判定をした場合には、ステップS2911にてピント範囲の算出処理を実行する。ピント範囲の算出処理では、ピント指示コマンドに含まれているピント選択指示対象の個別画像の情報からピントを合わせる範囲を算出する処理を実行する。この場合、ピント演出期間にて表示される個別画像の種類は、パチンコ機10の設計段階において既に定められているため、ピント選択対象となる個別画像に1対1で対応させてピント範囲のデータがピント範囲テーブルとして予め定められている。したがって、ステップS2911では、先ずメモリモジュール133からピント範囲テーブルを読み出し、上記ピント選択指示対象となった個別画像に対応したピント範囲のデータを読み出す。その後、ステップS2912にて、ピント演出の実行指定情報を記憶した後に、本演出用演算処理を終了する。
上記のように開閉実行モード時の演出用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、上記ステップS2901にて把握された演出用のオブジェクトの使用指示の情報が、それらオブジェクトに対応したテクスチャの使用指示の情報とともに設定される。また、当該描画リストには、上記ステップS2902にて算出したパラメータが設定され、さらには上記ステップS2903にて把握された教示用のオブジェクトの使用指示の情報が設定されるとともに、上記ステップS2904にて算出したパラメータが設定される。また、当該描画リストには、上記ステップS2911にて算出したピント範囲のデータが設定されるとともに、ピント演出の実行指定情報が記憶される。
ステップS2910にて肯定判定をした場合には、ピント表示の実行状態となる。このピント表示の実行状態への設定は、例えばデータテーブルにおいてピント表示の実行状態か否かを区別するためのフラグに「1」をセットすることなどによって行われる。ピント表示の実行状態となった場合には、ステップS2909にて肯定判定をし、ステップS2912にてピント演出の実行指定情報を記憶した後に、本演出用演算処理を終了する。
このように開閉実行モード時の演出用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、上記ステップS2901にて把握された演出用のオブジェクトの使用指示の情報が、それらオブジェクトに対応したテクスチャの使用指示の情報とともに設定される。また、当該描画リストには、上記ステップS2902にて算出したパラメータが設定され、さらには上記ステップS2903にて把握された教示用のオブジェクトの使用指示の情報が設定されるとともに、上記ステップS2904にて算出したパラメータが設定される。また、当該描画リストには、今回のピント演出に対応したピント範囲のデータが設定されるとともに、ピント演出の実行指定情報が設定される。
VDP135では、表示CPU131から送信される描画リストに基づいて、ピント選択期間用の画像表示を行うとともに、ピント表示実行期間用の画像表示を行う。この場合、ピント選択期間用の画像表示については、ピント選択用のパラメータを参照しながら描画処理(図16)を実行することに基づき、既に説明したようなピント選択可能状態となる個別画像が順次切り換わるような画像表示が行われる。一方、ピント表示実行期間用の画像表示は、3次元画像データの状態から2次元画像データの状態に移行させる処理が実行された後に、ピントを調整するための処理が実行されることにより行われる。
以下、VDP135においてピントを調整するための具体的な構成について説明する。図49(a)は、VDP135においてピントを調整する上で用いられるVRAM134の各エリアを説明するための説明図である。
図49(a)に示すように、VRAM134には、第1フレーム領域142a及び第2フレーム領域142bを有するフレームバッファ142と、Zバッファ143とが設けられている。これら各バッファ142,143については既に説明したとおりであり、フレームバッファ142の各フレーム領域142a,142bには、図柄表示装置31への描画を実行する際に参照される2次元データである描画データが作成され、Zバッファ143は、隠面処理(図18)を実行する際にZ軸方向の座標データを一時的に記憶するために利用される。
VRAM134には、上記各バッファ142,143以外にも、VDP135においてピントを調整するためのエリアとして、ぼかし用バッファ181が設けられている。ぼかし用バッファ181は、フレーム領域142a,142bと同一数の単位エリアを有している。つまり、各フレーム領域142a,142bは相互に同一数の単位エリアを有しており、それと同一の数の単位エリアを、ぼかし用バッファ181は有している。ぼかし用バッファ181は、一のフレーム領域に作成されている描画リストをそのままの状態で一時記憶することが可能となっている。
なお、描画リストをそのままの状態で一時記憶させることができるのであれば、ぼかし用バッファ181における単位エリアの数は、一のフレーム領域が有する単位エリアの数よりも多くてもよい。
VDP135においてピントを調整するための処理は、描画処理(図16)におけるステップS1012の描画データ合成処理にて実行される。図49(b)は、描画データ合成処理を示すフローチャートである。
描画データ合成処理では、先ずステップS3001にて、今回の描画リストにおいてピント演出の実行指定情報が設定されているか否かを判定する。設定されていない場合には、ステップS3002に進む。
ステップS3002では、直前のステップS1010において既に作成されてスクリーン用バッファ144に記憶されている背景用の描画データを、今回の描画対象のフレーム領域142a,142bに書き込む。その後、ステップS3003にて、直前のステップS1011において既に作成されてスクリーン用バッファ144に記憶されている演出及び図柄用の描画データを、上記のように背景用の描画データが書き込まれたフレーム領域142a,142bに書き込んだ後に、本合成処理を終了する。
この場合においてα値を参照しながら演出及び図柄用の描画データが書き込まれることは、既に説明したとおりである。また、開閉実行モードにおいては、演出及び図柄用の描画データにおいて図柄は存在しておらず、演出用の個別画像に対応したデータのみが存在している。さらにまた、開閉実行モードにおいては、演出及び図柄用の描画データに、教示用のオブジェクトに対して教示用のテクスチャを貼り付けることに基づき作成された教示用の個別画像のデータが含まれており、当該教示用の個別画像のデータに対しては他の個別画像のデータが手前側から重なることがないように演出及び図柄用の描画データが作成されている。
一方、今回の描画リストにおいてピント演出の実行指定情報が設定されている場合には、ステップS3004に進む。ステップS3004では、上記ステップS3002と同様に、直前のステップS1010において既に作成されてスクリーン用バッファ144に記憶されている背景用の描画データを、今回の描画対象のフレーム領域142a,142bに書き込む。続くステップS3005では、上記ステップS3003と同様に、直前のステップS1011において既に作成されてスクリーン用バッファ144に記憶されている演出及び図柄用の描画データを、上記のように背景用の描画データが書き込まれたフレーム領域142a,142bに書き込む。その後、ステップS3006にて、ピント演出用の調整処理を実行した後に、本合成処理を終了する。
図50(a)はピント演出用の調整処理を示すフローチャートである。
ピント演出用の調整処理では、先ずステップS3101〜ステップS3107にて、ピント演出を実行するために参照するぼかしマップデータを作成するためのぼかしマップ作成処理を実行する。ぼかしマップデータは、2次元画像データである描画データにおいて、当該描画データが作成されているフレーム領域142a,142bの各単位エリアに設定された色情報が、3次元画像データの状況にてどのようなZ軸方向の座標を有していたのかをVDP135にて特定するためのマップデータである。つまり、フレーム領域142a,142bの各単位エリアに1対1で対応させてZ軸方向の座標データが設定されたデータである。
ここで、既に説明したとおり、背景用の描画データや演出及び図柄用の描画データは、描画処理(図16)にて、ワールド座標系に対して各オブジェクトを設定し(ステップS1002〜ステップS1004)、カメラ座標系への変換処理(ステップS1005)を経て、視野座標系への変換処理(ステップS1006)を実行し、さらにその状態で、クリッピング処理(ステップS1007)、ライティング処理(ステップS1008)及び色情報の設定処理(ステップS1009)を実行した後に、作成する。この場合において、各描画データは、フレーム領域142a,142bに対して作成されるものであるため、当該描画データの作成に際して、上記のように視野座標系にて色情報の設定処理が行われたデータの状態は維持されており、描画データの作成後においても新たな描画処理が起動されるまでは維持される。そして、この視野座標系にて色情報の設定処理が行われた状態のデータを利用して、ぼかしマップデータが作成される。
ぼかしマップ作成処理では、Zバッファ143を利用して、隠面処理(図18)と同様の処理を実行することに基づき、ぼかしマップデータを作成する。但し、隠面処理(図18)では、背景用の画像データのみを処理対象として背景用の描画データを作成し、演出及び図柄用の描画データのみを処理対象として演出及び図柄用の描画データを作成する構成であったが、ぼかしマップ作成処理では、このような区別を行うことなく、視野座標系においてクリッピングされた全ての画像データをまとめて処理対象として扱う。
ぼかしマップ作成処理について具体的には、先ずステップS3101にて、スクリーン領域PC12(図17を参照)における今回の投影対象ドットを基準として、そのZ軸上に含まれる個別画像であって、今回のテスト対象となった個別画像の対象ピクセルに設定されているZ値を把握する。続くステップS3102では、Zバッファ143において上記描画対象ドットと1対1で対応したドットのエリアに設定されているZ値を把握する。
続くステップS3103では、ステップS3101にて把握した個別画像のZ値が、ステップS3102にて把握したZバッファ143のZ値よりもZ軸方向の手前側に対応しているか否かを判定する。手前側に対応している場合には、ステップS3104に進み、ステップS3101にて把握したZ値を、Zバッファ143におけるステップS3102にて参照したドットのエリアに上書きする。その後にステップS3105に進む。
一方、ステップS3103にて、手前側に対応していないと判定した場合には、ステップS3104の処理を実行することなく、ステップS3105に進む。つまり、テスト対象となったピクセルのZ値が、既にZバッファ143の対象ドットに設定されているZ値と同一又はZ軸方向の奥側である場合にはZバッファ143の更新は行われない。一方、テスト対象となったピクセルのZ値が、既にZバッファ143の対象ドットに設定されているZ値よりもZ軸方向の手前側である場合には、Zバッファ143の更新が行われる。
ステップS3105では、投影対象ドットを基準としたZ軸上に含まれる全ての対象ピクセルに対して、Zテストが完了したか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS3101に戻り、新たな対象ピクセルに対してZテストを行う。
完了している場合には、ステップS3106にて、スクリーン領域PC12の全てのドットに対してZテストが完了しているか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS3107にて、投影対象ドットを更新した後にステップS3101に戻り、新たな投影対象ドットに対してZテストを行う。完了している場合には、ぼかしマップデータの作成が完了したことを意味するため、ステップS3108に進む。
上記のようにぼかしマップデータが作成されることにより、合成描画データの各単位エリアに対応した色情報がZ軸方向においてどのような座標を有するものであるか否かをVDP135にて特定することが可能となる。よって、各単位エリアに対応した色情報について、奥行き方向の相対的な位置関係をVDP135にて特定することが可能となる。
ピント演出用の調整処理では、ステップS3101〜ステップS3107にて、ぼかしマップデータを作成した後に、ステップS3108に進む。
ステップS3108では、描画データ合成処理(図49(b))におけるステップS3004及びステップS3005の処理により、描画対象のフレーム領域142a,142bに作成された合成描画データを、ぼかし用バッファ181に保存する。続くステップS3109では今回の描画リストにおいて設定されているピント範囲のデータを読み出す。
その後、ステップS3110〜ステップS3117にて、その読み出したピント範囲のデータに基づいて、ぼかし処理を実行する。当該ぼかし処理では、今回の描画対象のフレーム領域142a,142bにおける単位エリアについて、ぼかし処理の実行対象であるか否かの判定処理を実行するとともに、実行対象であると判定した単位エリアに対して、ぼかしを生じさせる処理を実行し、さらにこれらの処理を今回の描画対象のフレーム領域142a,142bに含まれる全ての単位エリアに対して実行する。
ここで、Z軸方向の座標データがピント範囲に対応している単位エリアに対しては、ぼかしを生じさせる処理は実行れないが、当該ピント範囲はZ軸方向の単一の座標データに対応しているのではなく、図50(b)に示すように、Z軸方向に連続する複数の座標データに対応している。つまり、ピント範囲は、ある程度の被写界深度を有するように設定されており、表示面Gに表示される画像をぼかし過ぎないようにされている。ピント範囲は具体的には任意であるが、3次元画像データの状態においてZ軸方向に所定の厚みを有する一の演出用の個別画像の全体を含めることが可能な範囲となるように設定されていることが好ましい。
Z軸方向の座標データがピント範囲から外れている単位エリアについては、ピント範囲から遠い距離に存在するものほど、ぼかしの度合いが大きくなるように設定されている。具体的には、図50(b)に示すように、ピント範囲から遠ざかるに従って段階的にぼかしの度合いが大きくなるように、第1ぼかし範囲と、第2ぼかし範囲と、第3ぼかし範囲とが設定されている。
第1ぼかし範囲はピント範囲から連続するようにして設定されており、Z軸方向においてピント範囲から遠ざかる側に連続する複数の座標データに対応している。第1ぼかし範囲は、ピント範囲の奥側及び手前側の両方に存在する。また、第2ぼかし範囲は第1ぼかし範囲から連続するようにして設定されており、Z軸方向においてピント範囲及び第1ぼかし範囲から遠ざかる側に連続する複数の座標データに対応している。第2ぼかし範囲は、奥側の第1ぼかし範囲のさらなる奥側及び手前側の第1ぼかし範囲のさらなる手前側の両方に存在する。また、第3ぼかし範囲は第2ぼかし範囲から連続するようにして設定されており、Z軸方向においてピント範囲、第1ぼかし範囲及び第2ぼかし範囲から遠ざかる側に連続する複数の座標データに対応している。第3ぼかし範囲は、奥側の第2ぼかし範囲のさらなる奥側及び手前側の第2ぼかし範囲のさらなる手前側の両方に存在する。
第1ぼかし範囲、第2ぼかし範囲、及び第3ぼかし範囲は具体的には任意であるが、3次元画像データの状態においてZ軸方向に所定の厚みを有する一の演出用の個別画像の全体を含めることが可能な範囲となるように、それぞれ設定されていることが好ましい。この場合、第1ぼかし範囲、第2ぼかし範囲、及び第3ぼかし範囲に含まれるZ軸方向の座標データの数は相互に同一であり且つその座標データの数はピント範囲と同一であるが、ピント範囲とは異なっていてもよく、相互に異なっていてもよい。例えばピント範囲から遠いぼかし範囲ほど含まれるZ軸方向の座標データの数が多くなる構成としてもよい。
ピント範囲は、既に説明したとおり、遊技者の演出用操作装置48の操作に基づき変更されるものであるため、メモリモジュール133に予め記憶されているピント範囲用のデータは、当該ピント範囲に含まれることとなるZ軸方向に連続する座標データの数のデータとして設定されている。そして、遊技者による演出用操作装置48の操作に基づき、そのピント範囲を設定する上で基準となるZ軸方向の座標が決定され、その座標を基準として、ピント範囲用のデータに含まれるZ軸方向の座標データの数が実際の座標データの範囲として変換されることで、ピント範囲が設定される。この場合、ピント範囲を設定する上で基準となるZ軸方向の座標は、ピント範囲の最も手前側の座標又は最も奥側の座標として設定しておくことが好ましい。最も手前側の座標として設定しておくことで、その基準となった座標に対して、ピント範囲用のデータに設定されている座標データの数を単純に加算するだけで、ピント範囲を設定することが可能となる。また、最も奥側の座標として設定した場合であっても、その基準となった座標に対して、ピント範囲用のデータに設定されている座標データの数を単純に減算するだけで、ピント範囲を設定することが可能となる。
同様に、第1ぼかし範囲、第2ぼかし範囲及び第3ぼかし範囲についても、メモリモジュール133に予め記憶されている各ぼかし範囲用のデータは、当該ぼかし範囲に含まれることとなるZ軸方向に連続する座標データの数のデータとして設定されている。そして、上記のように決定されたピント範囲に基づき、各ぼかし範囲の基準となる座標が決定され、その基準となる座標に対して各ぼかし範囲用のデータを適用することにより、各ぼかし範囲を設定することが可能となる。
上記のとおりピント範囲の手前側及び奥側のそれぞれに対して、第1ぼかし範囲、第2ぼかし範囲及び第3ぼかし範囲を設定可能な構成であるが、既に説明したとおりピント範囲は遊技者の演出用操作装置48の操作に基づき決定される。そうすると、ピント範囲が最も手前側に存在する演出用の個別画像に対応させて設定されることがある。この場合には、各ぼかし範囲は、ピント範囲に対して奥側にのみ設定されることとなる。
図50(a)の説明に戻り、ぼかし処理では、先ずステップS3110にて、今回の単位エリアに対応したZ軸方向の座標データを、ステップS3101〜ステップS3107にて作成したぼかしマップデータから読み出す。続くステップS3111では、ステップS3110にて読み出したZ軸方向の座標データが、ステップS3109にて読み出したピント範囲内に含まれるか否かを判定する。ピント範囲内に含まれている場合には、その単位エリアに対しては、ぼかしを生じさせる処理を実行する必要がないため、ステップS3112〜ステップS3115の処理を実行することなくステップS3116に進む。
ピント範囲内に含まれていない場合には、ステップS3112にて、今回の単位エリアが教示用の個別画像を表示するための教示用エリアに対応しているか否かを判定する。教示用の個別画像は、既に説明した教示用のオブジェクトを利用して表示される画像のことである。教示用エリアに対応している場合には、ステップS3113〜ステップS3115の処理を実行することなくステップS3116に進む。つまり、教示用の個別画像に対しては、ぼかしを生じさせる処理は実行されない。これにより、ピント演出を行う場合であっても、教示用の個別画像を利用した情報の教示を好適に行うことが可能となる。
ちなみに、教示用の個別画像が表示される位置は、遊技者による演出用操作装置48の操作態様に関係なく不変であるため、教示用エリアに含まれる単位エリアのアドレスは事前に定められており、そのデータはメモリモジュール133に予め記憶されている。
ステップS3112にて否定判定をした場合には、ステップS3113に進む。ステップS3113では、ぼかし範囲の決定処理を実行する。具体的には、ステップS3110にて読み出したZ軸方向の座標データが、第1ぼかし範囲、第2ぼかし範囲及び第3ぼかし範囲のいずれに含まれているのかを判定し、ぼかしを生じさせる上で対象となるぼかし範囲を決定する。その後、ステップS3114にて、ぼかし発生処理を実行する。
ぼかし発生処理について、図51(a)のフローチャートを参照しながら説明する。
先ずステップS3201では、上記ステップS3113にて第1ぼかし範囲が決定されたか否かを判定する。第1ぼかし範囲が決定されている場合には、ステップS3202にて、今回の単位エリアを基準として、X軸方向のそれぞれに第1所定数の単位エリアを特定し、それら単位エリアのそれぞれから色情報を抽出する。この抽出は、今回の描画対象となっているフレーム領域142a,142bからではなく、ぼかし用バッファ181から行う。また、ステップS3202では、今回の単位エリアに設定されている色情報の抽出も行うが、この抽出もぼかし用バッファ181から行う。
続くステップS3203では、X軸方向のぼかし発生処理を実行する。当該ぼかし発生処理では、ガウスフィルタを利用してぼかしを生じさせる。つまり、今回の対象となっている単位エリアを中心として、当該中心とした単位エリアからのX軸方向の距離に応じた重み付けを、上記抽出した各単位エリアに対してガウス関数を利用して決定し、その決定した重み付けを適用した状態で、上記中心とした単位エリアの色情報、及び上記抽出した単位エリアの色情報のブレンドを行う。このブレンド結果の色情報は、レジスタ153に一時記憶される。
続くステップS3204では、今回の単位エリアを基準として、Y軸方向のそれぞれに第1所定数の単位エリアを特定し、それら単位エリアのそれぞれから色情報を抽出する。この抽出は、ぼかし用バッファ181から行う。また、ステップS3204では、今回の単位エリアに設定されている色情報の抽出も行うが、この抽出もぼかし用バッファ181から行う。
続くステップS3205では、Y軸方向のぼかし発生処理を実行する。当該ぼかし発生処理では、ガウスフィルタを利用してぼかしを生じさせる。つまり、今回の対象となっている単位エリアを中心として、当該中心とした単位エリアからのY軸方向の距離に応じた重み付けを、上記抽出した各単位エリアに対してガウス関数を利用して決定し、その決定した重み付けを適用した状態で、上記中心とした単位エリアの色情報、及び上記抽出した単位エリアの色情報のブレンドを行う。このブレンド結果の色情報は、レジスタ153に一時記憶される。
その後、ステップS3206にて、ブレンド処理を実行する。具体的には、上記ステップS3203にて算出したブレンド結果の色情報と、上記ステップS3205にて算出したブレンド結果の色情報とを、同一の比率でブレンドする。その後、本ぼかし発生処理を終了する。
上記のようにぼかし発生処理が実行されることにより、図51(b−1)に示すように、今回の対象となっている単位エリアを基準として、X軸方向の両側にそれぞれ第1所定数分の単位エリアに設定されている各色情報と、Y軸方向の両側にそれぞれ第1所定数分の単位エリアに設定されている各色情報とが、上記今回の対象となっている単位エリアの色情報に対してブレンドされる。
ステップS3201にて否定判定をした場合には、ステップS3207にて、上記ステップS3113において第2ぼかし範囲が決定されたか否かを判定する。第2ぼかし範囲が決定されている場合には、ステップS3208にて、今回の単位エリアを基準として、X軸方向のそれぞれに、第1所定数よりも多い第2所定数の単位エリアを特定し、それら単位エリアのそれぞれから色情報を抽出する。この抽出は、ぼかし用バッファ181から行う。また、ステップS3208では、今回の単位エリアに設定されている色情報の抽出を、ぼかし用バッファ181から行う。
続くステップS3209では、X軸方向のぼかし発生処理を実行する。かかる処理の具体的な内容は、上記ステップS3203と同様である。
続くステップS3210では、今回の単位エリアを基準として、Y軸方向のそれぞれに、第1所定数よりも多い第2所定数の単位エリアを特定し、それら単位エリアのそれぞれから色情報を抽出する。この抽出は、ぼかし用バッファ181から行う。また、ステップS3210では、今回の単位エリアに設定されている色情報の抽出を、ぼかし用バッファ181から行う。
続くステップS3211では、Y軸方向のぼかし発生処理を実行する。かかる処理の具体的な内容は、上記ステップS3205と同様である。
その後、ステップS3212にて、ブレンド処理を実行する。具体的には、上記ステップS3209にて算出したブレンド結果の色情報と、上記ステップS3211にて算出したブレンド結果の色情報とを、同一の比率でブレンドする。その後、本ぼかし発生処理を終了する。
上記のようにぼかし発生処理が実行されることにより、図51(b−2)に示すように、今回の対象となっている単位エリアを基準として、X軸方向の両側にそれぞれ第2所定数分の単位エリアに設定されている各色情報と、Y軸方向の両側にそれぞれ第2所定数分の単位エリアに設定されている各色情報とが、上記今回の対象となっている単位エリアの色情報に対してブレンドされる。この場合、ブレンド対象となる単位エリアの数が図51(b−1)の場合よりも多くなるため、第1ぼかし範囲の場合よりも第2ぼかし範囲の場合の方が、ぼかしの度合いが大きくなる。
ステップS3207にて否定判定をした場合には、上記ステップS3113において第3ぼかし範囲が決定されたことを意味する。第3ぼかし範囲が決定されている場合には、ステップS3213にて、今回の単位エリアを基準として、X軸方向のそれぞれに、第2所定数よりも多い第3所定数の単位エリアを特定し、それら単位エリアのそれぞれから色情報を抽出する。この抽出は、ぼかし用バッファ181から行う。また、ステップS3213では、今回の単位エリアに設定されている色情報の抽出を、ぼかし用バッファ181から行う。
続くステップS3214では、X軸方向のぼかし発生処理を実行する。かかる処理の具体的な内容は、上記ステップS3203と同様である。
続くステップS3215では、今回の単位エリアを基準として、Y軸方向のそれぞれに、第2所定数よりも多い第3所定数の単位エリアを特定し、それら単位エリアのそれぞれから色情報を抽出する。この抽出は、ぼかし用バッファ181から行う。また、ステップS3215では、今回の単位エリアに設定されている色情報の抽出を、ぼかし用バッファ181から行う。
続くステップS3216では、Y軸方向のぼかし発生処理を実行する。かかる処理の具体的な内容は、上記ステップS3205と同様である。
その後、ステップS3217にて、ブレンド処理を実行する。具体的には、上記ステップS3214にて算出したブレンド結果の色情報と、上記ステップS3216にて算出したブレンド結果の色情報とを、同一の比率でブレンドする。その後、本ぼかし発生処理を終了する。上記のようにぼかし発生処理が実行されることにより、ぼかしの度合いを、第2ぼかし範囲の場合よりも大きくすることが可能となる。
ピント演出用の調整処理(図50(a))の説明に戻り、ステップS3114にて、ぼかし発生処理を実行した後は、ステップS3115にて、当該ぼかし発生処理にて算出した結果の色情報を、描画対象となっているフレーム領域142a,142bにおける今回の単位エリアに対して上書きした後に、ステップS3116に進む。これにより、各ぼかし範囲に対応した状態の色情報が単位エリアに設定されることとなる。
ここで、このようにぼかしを生じさせた結果の色情報が順次、描画対象となっているフレーム領域142a,142bに設定される構成において、ぼかし発生処理では、上記のとおり、フレーム領域142a,142bから色情報を読み出すのではなく、ぼかし用バッファ181から色情報を読み出す。これにより、所定の単位エリアにぼかしを発生させる場合において、既にぼかしを生じさせた結果の色情報が用いられないようにすることが可能となる。よって、ぼかし発生処理を実行する順番に依存しない態様で、ぼかしを生じさせることが可能となる。
ステップS3116では、今回の描画対象のフレーム領域142a,142bについて全ての単位エリアを、上記ステップS3110〜ステップS3115の処理の実行対象としたか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS3117にて、対象単位エリアを更新した後にステップS3110に戻り、新たな対象単位エリアに対して、上記ステップS3110〜ステップS3115の処理を実行する。完了している場合には、本調整処理を終了する。
次に、ピント表示の内容について、図52を参照しながら説明する。
図52(a)はピント表示が行われていない状態を示し、図52(b)はピント表示が行われている状態を示す。
ピント表示が行われていない状態では、図52(a)に示すように、各演出用の個別画像CH11,CH12,CH13、背景の画像(海面の画像、砂浜の画像及び空の画像)CH14及び各教示用の個別画像CH15,CH16は、いずれもピントが合った状態となっている。したがって、これら各画像CH11〜CH16は、その模様の境界や曲がり部分の境界、さらに外縁部分が鮮明に表示されている。
一方、ピント表示が行われている状態では、図52(b)に示すように、演出用の個別画像CH11及び当該個別画像CH11が存在している砂浜部分の背景の画像CH14については、ピント範囲に含まれているため、鮮明に表示されているが、他の演出用の個別画像CH12,CH13及び他の部分の背景の画像CH14については、ピント範囲から外れているため、模様の境界や曲り部分の境界、さらには外縁部分がぼかした状態で表示され、不鮮明となっている。特に、ぼかした状態は、ピント範囲に含まれている演出用の個別画像CH11から表示面Gの奥行き方向において手前側及び奥側に遠くなるように表示されているものほど、その度合いが大きくなっている。これにより、遊技者に対して、演出用の個別画像CH11にピントが合っていると認識させることが可能となる。
但し、ピント表示が行われている状態であっても、図52(b)に示すように、教示用の個別画像CH15,CH16は、図52(a)と同様に鮮明に表示されている。これにより、ピント表示が行われているとしても、教示用の個別画像CH15,CH16を利用した情報の教示を良好に行うことが可能となる。また、教示用の個別画像CH15,CH16は、他の画像よりも手前側に配置されているかのように表示されているため、ぼかし発生の対象から除外されたとしても、ピント表示の対象から除外されている遊技者に明確に認識させることができ、ピント表示を良好に行うことが可能となる。
また、上記ピント表示に際しては、ぼかしマップデータがメモリモジュール133に予め記憶されているのではなく、VDP135にてその都度作成される。これにより、データ容量の削減を図ることが可能となる。特に、遊技者による演出用操作装置48の操作に基づきピント範囲を設定するようにしたことにより、遊技者の遊技への積極参加を可能とした構成においては、ぼかしマップデータを事前に予め設定しておこうとすると、データ容量が膨大なものとなる。また、このデータ容量の膨大化を抑えようとすると、演出用操作装置48の操作に基づき選択できるピント範囲のパターンが少なくなってしまう。これに対して、上記のように、ぼかしマップデータをVDP135にてその都度作成するようにしたことにより、データ容量の削減を図りつつ、遊技者の遊技への積極参加を好適に促すことが可能となる。
その一方、上記のようにぼかしマップデータを作成するようにすると、それだけVDP135の処理負荷が増加する。これに対して、ぼかしを発生させる際には、3次元画像の状態で行うのではなく、2次元画像の状態で行うようにしたことにより、色情報の平均化に際して複雑な処理を実行する必要がなくなり、ぼかしを発生させる上での処理負荷の軽減が図られる。
<ピント表示の別形態>
・ぼかしマップデータを描画データの作成に際して作成する構成に限定されることはなく、ぼかしマップデータをメモリモジュール133に予め記憶させておく構成としてもよい。この場合に、ピント範囲が演出用操作装置48の操作に基づき選択される構成であれば、その選択に係る全てのバリエーションに対応させて、ぼかしマップデータを予め作成しておく必要がある。また、ピント範囲が演出用操作装置48の操作に基づき選択されずに、一定の態様でぼかし表示が行われるのであれば、その態様に則したぼかしマップデータを予め作成しておけばよい。
上記のようにぼかしマップデータが予め作成されている構成においては、ぼかしマップデータにおいて各単位エリアに対応させて設定されているデータは、Z軸方向の座標データである必要はなく、ピント範囲、及び各ぼかし範囲のうち、いずれの範囲に該当しているかを示すデータであってもよい。
・ぼかしを生じさせるための色情報の平均化処理は、3次元画像データを2次元画像データに変換した後に行う必要はなく、3次元画像データの状態において行うようにしてもよい。この場合、基準となるピクセルに対して、その周囲のピクセルをブレンドする際には、基準となるピクセルからそれら周囲のピクセルまでの距離を3次元の状態で算出し、その算出結果に応じた重み付けをそれら周囲のピクセルの色情報に適用した状態でブレンド処理を行うようにすればよい。
・ぼかしを生じさせるための色情報の平均化処理は、ガウス関数を利用して中心からの距離に応じた重み付けを行うのではなく、抽出した色情報を均等にブレンドする構成としてもよい。この場合、ぼかし表示のリアルさは低減されてしまうものの、処理負荷の軽減は図られる。
・ぼかしを生じさせるための色情報の平均化処理は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれについて行う構成に限定されることはなく、いずれか一方についてのみ行う構成としてもよい。この場合、ぼかし表示のリアルさは低減されてしまうものの、処理負荷の軽減は図られる。
・ぼかしを生じさせるための色情報の平均化処理に際しては、描画対象のフレーム領域142a,142bに設定されている描画データを、ぼかし用バッファ181に別保存した状態で行う構成に限定されることはなく、描画対象のフレーム領域142a,142bをそのまま利用する構成としてもよい。この場合、所定の単位エリアの色情報についてぼかしを生じさせる場合において、既にぼかしを生じさせた単位エリアの色情報が用いられることになり、ぼかしを生じさせる処理の順番がぼかしの度合いに影響を与えることとなるが、ぼかし用バッファ181を別途設ける必要がない点で、記憶容量の削減が図られるとともに、ぼかし用バッファ181への別保存を行う必要がない点で、処理負荷の軽減が図られる。
・ぼかしマップデータを作成する際にZバッファ143以外のバッファを用いるようにしてもよい。この場合、VRAM134に、ぼかしマップデータを作成するための専用のバッファを設けるようにしてもよい。
・背景用の描画データと、演出及び図柄用の描画データとを個別に作成し、それらを合成して1フレーム分の描画データを作成する構成ではなく、ステップS1009にて色情報の設定処理を実行した後は、1フレーム分の描画データをまとめて作成する構成としてもよい。当該構成においては、隠面処理を利用して当該1フレーム分の描画データを作成した場合、Zバッファ143には各単位エリアに対応したZ軸方向の座標データが設定されていることとなる。したがって、この隠面処理にてZバッファ143に作成されたデータを、ぼかしマップデータとしてそのまま利用することが可能となる。
・遊技回用の演出としてピント表示を行うようにしてもよい。この場合、上記のように教示用の個別画像を、ぼかし対象から除外したのと同様に、各図柄列SA1〜SA3にて変動表示されている図柄は、ぼかし対象から除外してもよい。また、リーチ中の演出として、ピント表示を行うのであれば、先に停止表示されている図柄列SA1,SA3上において、リーチラインを形成している図柄を、ぼかし対象から除外してもよく、それに加えて又は代えて、最終停止図柄列SA2の図柄を、ぼかし対象から除外してもよい。リーチラインを形成している図柄を除外することで、リーチ図柄の種類の識別性を低下させることなく、ピント表示をリーチ演出として利用することが可能となり、最終停止図柄列SA2の図柄を除外することで、最終停止図柄列SA2においてリーチライン付近に存在している図柄の識別性を低下させることなく、ピント表示をリーチ演出として利用することが可能となる。
また、リーチラインを形成している図柄又はその種類を教示する画像の表示は行いながら、図柄列SA1〜SA3を非表示として、ピント表示を利用したリーチ演出を行う構成においては、リーチラインを形成している図柄又はその種類を教示する画像は、ぼかし対象から除外するようにしてもよい。これにより、リーチ図柄の種類の識別性を低下させることなく、ピント表示をリーチ演出として利用することが可能となる。
また、遊技回用の演出としてピント表示を行う場合において、ぼかし対象から除外する対象は、図柄以外であってもよく、例えば表示面Gにて保留情報の数を教示するための画像を表示するのであれば、当該保留情報の数を教示するための画像を、ぼかし対象から除外してもよい。
3次元画像データを用いた画像表示を行うのではなく、スプライトデータといった2次元画像データを用いた画像表示を行う構成において、ピント表示を行うようにしてもよい。この場合、フレーム領域142a,142bへのスプライトデータの設定に際して、各スプライトデータに、表示面Gの奥行き方向に対応する座標データを設定しておき、その座標データが、ピント範囲及び各ぼかし範囲のうちいずれに含まれるかによって、ぼかし表示を行う構成が考えられる。
・ワールド座標系に画像データを設定した後に、パラメータ群を含むマップデータを作成する処理を実行する構成を、ピント表示以外の目的で行うようにしてもよい。
例えば、1フレーム分の画像において所定の領域が点滅しているかの表示を行う上で、オブジェクトの面の向きに応じて点灯及び消灯のいずれかを設定する構成において、ワールド座標系や視野座標系に設定されている状態において各面の向きをパラメータとして読み取り、それらを集合させたデータとしてマップデータを作成する。そして、投影後の描画データに対して、その作成したマップデータを元に色情報の加工を行うことにより、点滅表示を行うようにしてもよい。
また、例えば、1フレーム分の画像において海面といった形状が経時的に変化する面の表示を行う上で、オブジェクトの面の向きに応じて各面データに設定する色情報を選択する構成において、ワールド座標系や視野座標系に設定されている状態において各面の向きをパラメータとして読み取り、それらを集合させたデータとしてマップデータを作成する。そして、投影後の描画データに対して、その作成したマップデータを元に色情報の加工を行うことにより、面表示を行うようにしてもよい。
<模様変更表示を行うための構成>
次に、模様変更表示を行うための構成について説明する。
模様変更表示とは、特別キャラクタを複数フレーム(複数の画像更新タイミング)に亘って連続して表示させる場合において、その特別キャラクタの外縁形状は同一としながら、フレームの進行に伴って模様を変化させる表示演出のことである。但し、模様を単純に変化させるのではなく、当該特別キャラクタの一部の模様の変更については、当該特別キャラクタに対応した特別オブジェクトに貼り付ける第1部分テクスチャの種類を切り換えるのに対して、当該特別キャラクタの他の模様の変更については、特別オブジェクトに貼り付ける第2部分テクスチャの種類は同一のものとしながら、その第2部分テクスチャの特別オブジェクトに対する相対的な貼り付け位置を変化させることにより、模様を変化させる。
これら特別オブジェクト、第1部分テクスチャ及び第2部分テクスチャについて、図53(a)〜(c)を参照しながら詳細に説明する。図53(a)は特別オブジェクトPC20を説明するための説明図であり、図53(b−1)〜(b−3)は第1部分テクスチャPC21〜PC23を説明するための説明図であり、図53(c−1)〜(c−4)は第2部分テクスチャPC24〜PC27を説明するための説明図である。
図53(a)に示すように、特別オブジェクトPC20は、多数のポリゴンを含み、立体的な形状に対応したデータとして作成されており、複数のパーツ部BP,AP1〜AP4を有している。これら複数のパーツ部BP,AP1〜AP4として、本体パーツ部BPと、当該本体パーツ部BPに付属する複数の付属パーツ部AP1〜AP4とを有している。特別キャラクタは、鯨を人型に適用したキャラクタであり、本体パーツ部BPはその顔部分及び胴体部分に相当し、各付属パーツ部AP1〜AP4は胴体部分から連続する手部分及び足部分に相当している。
本体パーツ部BPには、図53(b−1)〜(b−3)に示すように、顔の模様(目や口の模様)及び胴体が光に反射しているかのような表示を行うための模様の両方を含む画像を表示させるための第1部分テクスチャPC21〜PC23が貼り付けられる。これら第1部分テクスチャPC21〜PC23は、本体パーツ部BPの全体を覆うことが可能なように設定されている。また、顔の模様を表示させるためのデータは、これらデータが貼り付けられることとなる本体パーツ部BPの位置(座標)が各第1部分テクスチャPC21〜PC23間において同一となっている。その一方、胴体が光に反射しているかのような表示を行うためのデータについては、これらデータが貼り付けられることとなる本体パーツ部BPの位置(座標)が各第1部分テクスチャPC21〜PC23間において異なっている。
つまり、第1部分テクスチャPC21〜PC23は、本体パーツ部BPにおいて貼り付けられる位置が変化しない不変模様を表示させるためのデータと、本体パーツ部BPにおいて貼り付けられる位置が変化する変化模様を表示させるためのデータとを有しており、第1部分テクスチャPC21〜PC23間において、不変模様を表示させるためのデータ構成は共通であるが、変化模様を表示させるためのデータ構成は相違している。
一方、付属パーツ部AP1〜AP4には、図53(c−1)〜(c−4)に示すように、手や足の部分が光に反射しているかのような表示を行うための模様を含む画像を表示させるための第2部分テクスチャPC24〜PC27が貼り付けられる。これら第2部分テクスチャPC24〜PC27は、付属パーツ部AP1〜AP4に1対1で対応させて設けられており、さらに一の付属パーツ部AP1〜AP4に対して一の第2部分テクスチャPC24〜PC27のみが設けられている。各第2部分テクスチャPC24〜PC27は、対応する付属パーツ部AP1〜AP4を覆うことが可能なように設定されている。この場合、各第2部分テクスチャPC24〜PC27のそれぞれにおいて、境界部分を生じさせる模様はそれに対して逆側の境界部分を生じさせる模様と連続性を有するように設定されている。
第1部分テクスチャPC21〜PC23及び第2部分テクスチャPC24〜PC27の特別オブジェクトPC20に対する貼り付けは、予め定められたUV座標値に基づき行われる。UV座標値は、既に説明したとおりであり、オブジェクト用の画像データ及びテクスチャ用の画像データの組み合わせに対して付属させた状態でメモリモジュール133に記憶されており、テクスチャ用の画像データの各ピクセルをオブジェクト用の画像データの各ピクセルに1対1で対応させることが可能となる。
上記特別キャラクタを表示させる場合には、特別オブジェクトPC20の本体パーツ部BPに対しては、貼り付け対象となる第1部分テクスチャPC21〜PC23が予め定められた順序で変更される。この順序は、上記変化模様が変化していく態様が連続性を有するように設定されている。一方、特別オブジェクトPC20の付属パーツ部AP1〜AP4に対しては、それぞれに対応する一の第2部分テクスチャPC24〜PC27が貼り付けられることとなるが、その貼り付けを行う際に参照するUV座標値が初期の設定状態から予め定められた態様で変更される。このUV座標値の変更は、各第2部分テクスチャPC24〜PC27に対応した各模様のそれぞれが変化していく態様が連続性を有するように設定されている。
以下、特別オブジェクトPC20、第1部分テクスチャPC21〜PC23及び第2部分テクスチャPC24〜PC27を用いて模様変更表示を実行するための具体的な処理構成を説明する。なお、特別オブジェクトPC20、第1部分テクスチャPC21〜PC23及び第2部分テクスチャPC24〜PC27は、メモリモジュール133に予め記憶されている。
図54は、表示CPU131にて実行される特別キャラクタ用の演算処理を示すフローチャートである。特別キャラクタ用の演算処理は、タスク処理(図14)のステップS904における演出用演算処理にて実行される。また、特別キャラクタ用の演算処理は、特別キャラクタが表示される遊技回に対応したデータテーブルが設定されている場合に起動される。
先ずステップS3301では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、特別キャラクタの表示中であるか否かを判定する。特別キャラクタの表示中ではない場合にはステップS3302に進む。ステップS3302では、特別キャラクタ表示の開始タイミングであるか否かを判定する。開始タイミングではない場合にはそのまま本演算処理を終了し、開始タイミングである場合にはステップS3303に進む。
ステップS3303では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、特別オブジェクトPC20を制御対象として把握する。ちなみに、ステップS3303の処理の実行タイミングでは、直前の制御開始用の設定処理(ステップS901)にて、特別オブジェクトPC20に対して制御開始用の処理が完了している。また、制御が開始された特別オブジェクトPC20の制御用の情報は、特別キャラクタの表示が完了するまでワークRAM132に記憶保持される。
続くステップS3304では、第1部分テクスチャの初期設定処理を実行する。具体的には、複数種類の第1部分テクスチャPC21〜PC23のうち使用の順番が最初に設定されている第1部分テクスチャPC21を特定し、その第1部分テクスチャPC21の使用指示情報を記憶する。なお、複数種類の第1部分テクスチャPC21〜PC23の使用順番のデータは、テーブル情報として、メモリモジュール133に予め記憶されている。
続くステップS3305では、各第2部分テクスチャの初期設定処理を実行する。ここで、表示CPU131では、各第2部分テクスチャPC24〜PC27のUV座標値を変更させる場合、初期座標値からの変化量をそれぞれの第2部分テクスチャPC24〜PC27に1対1で対応させて導出し、その導出した各変化量をVDP135に提供する。VDP135では、その提供された各変化量のデータを、それぞれ対応する各初期座標値に対して適用する。この場合、一の第2部分テクスチャPC24〜PC27で見た場合、当該第2部分テクスチャPC24〜PC27には多数のピクセルが含まれているため、初期座標値はそれら多数のピクセル毎に存在している。したがって、一の第2部分テクスチャPC24〜PC27に対応する変化量のデータは、当該一の第2部分テクスチャPC24〜PC27の各初期座標値に対して一律に適用される。
例えば、一の第2部分テクスチャPC24〜PC27を構成する所定のピクセルの初期座標値が(U1、V1)であり、他のピクセルの初期座標値が(U2、V2)である状況において、変化量のデータが(w1、w2)である場合には、上記所定のピクセルのUV座標値は、(U1+w1、V1+w2)に設定され、他のピクセルのUV座標値は、(U2+w1、V2+w2)に設定される。したがって、付属パーツ部AP1〜AP4に対する第2部分テクスチャPC24〜PC27の相対位置が同一の方向性であって同一の変化量で変更されることとなる。ステップS3305は、初期設定処理であるため、変化量は存在しないことに対応したデータが記憶される。
なお、第2部分テクスチャPC24〜PC27のUV座標値を初期座標値から変更させるための変化量のデータは、テーブル情報として、使用順序の情報と1対1で対応させて設定されており、このテーブル情報は、メモリモジュール133に予め記憶されている。また、当該テーブル情報は、各第2部分テクスチャPC24〜PC27に対して個別に設定されている。
その後、ステップS3306にて、特別キャラクタの開始指定情報を記憶するとともに、ステップS3307にて、特別オブジェクトPC20について、各種パラメータを演算して、当該特別オブジェクトPC20に係る制御用の情報を更新した後に、本演算処理を終了する。
上記のように特別キャラクタ用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、特別オブジェクトPC20の使用指示の情報が設定されるとともに、上記ステップS3304にて記憶した第1部分テクスチャPC21の使用指示情報と、上記ステップS3305にて導出した各変化量のデータとが設定される。さらにまた、当該描画リストには、上記ステップS3307にて算出したパラメータが設定されるとともに、特別キャラクタの開始指定情報が設定される。
ステップS3301にて特別キャラクタの表示中であると判定した場合には、ステップS3308にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、特別オブジェクトPC20を制御対象として把握する。
続くステップS3309では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1部分テクスチャPC21〜PC23の更新タイミングであるか否かを判定する。第1部分テクスチャPC21〜PC23の更新タイミングは、所定の複数である第1特定数フレームに1回、すなわち所定の複数である第1特定数の画像更新タイミングに対して1回として設定されており、さらにこの更新タイミングは一定となっている。但し、これに限定されることはなく、各フレームに1回、すなわち各画像更新タイミングに対して1回として設定されていてもよく、所定の第1部分テクスチャPC21〜PC23から次の第1部分テクスチャPC21〜PC23の更新タイミングとなるまでのフレーム数(画像更新タイミング数)と、当該第1部分テクスチャPC21〜PC23からさらに次の第1部分テクスチャPC21〜PC23の更新タイミングとなるまでのフレーム数(画像更新タイミング数)とが異なっていてもよい。
第1部分テクスチャPC21〜PC23の更新タイミングではない場合には、ステップS3310にて、前回の処理回にて記憶した第1部分テクスチャPC21〜PC23の使用指示情報をそのまま記憶する。一方、第1部分テクスチャPC21〜PC23の更新タイミングである場合には、ステップS3311にて、次の順番の第1部分テクスチャPC21〜PC23に対応した使用指示情報を記憶する。
ステップS3310又はステップS3311の処理を実行した後は、ステップS3312にて、各第2部分テクスチャPC24〜PC27に適用するUV座標値の更新タイミングであるか否かを判定する。UV座標値の更新タイミングは、所定の複数である第2特定数フレームに1回、すなわち所定の複数である第2特定数の画像更新タイミングに対して1回として設定されており、さらにこの更新タイミングは一定となっている。但し、これに限定されることはなく、各フレームに1回、すなわち各画像更新タイミングに対して1回として設定されていてもよく、所定のUV座標値から次のUV座標値の更新タイミングとなるまでのフレーム数(画像更新タイミング数)と、当該UV座標値からさらに次のUV座標値の更新タイミングとなるまでのフレーム数(画像更新タイミング数)とが異なっていてもよい。
また、UV座標値の更新タイミングは、第1部分テクスチャPC21〜PC23の更新タイミングと同期しているが、非同期であってもよい。非同期とする上では、各更新周期を相違させる構成が考えられる。この場合に、UV座標値の更新タイミングを、第1部分テクスチャPC21〜PC23の更新タイミングよりも短い周期としてもよく、長い周期としてもよいが、UV座標値の更新側であれば更新周期を短くしてもデータ容量への影響がほとんどないことに鑑みて、UV座標値の更新タイミングを第1部分テクスチャPC21〜PC23の更新タイミングよりも短い周期とすることが好ましい。
UV座標値の更新タイミングではない場合には、ステップS3313にて、前回の処理回にて記憶した各変化量のデータをそのまま記憶する。一方、UV座標値の更新タイミングである場合には、ステップS3314にて、次の順番の各変化量のデータを記憶する。
ステップS3313又はステップS3314の処理を実行した後は、ステップS3315にて、特別キャラクタの継続指定情報を記憶するとともに、ステップS3307にて、特別オブジェクトPC20について、各種パラメータを演算して、当該特別オブジェクトPC20に係る制御用の情報を更新した後に、本演算処理を終了する。
上記のように特別キャラクタ用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、特別オブジェクトPC20の使用指示の情報が設定されるとともに、上記ステップS3310及びステップS3311のいずれかにて記憶した第1部分テクスチャPC21〜PC23の使用指示情報と、上記ステップS3313及び上記ステップS3314のいずれかにて記憶した各変化量のデータとが設定される。さらにまた、当該描画リストには、上記ステップS3307にて算出したパラメータが設定されるとともに、特別キャラクタの継続指定情報が設定される。
VDP135では、特別キャラクタを表示させるべき描画リストを受信した場合には、描画処理(図16)における演出用の設定処理(ステップS1003)にて、特別オブジェクトPC20をワールド座標系に設定する処理を実行する。この場合、ワールド座標系に設定する際の座標、スケール及び回転角度なども描画リストにて指定されているため、それらを適用した状態で特別オブジェクトPC20を設定する。また、特別キャラクタは、複数フレームに亘って所定の方向に変位するかのように表示されるため、それに即した描画リストがVDP135に対して適用され、それに即した状態でワールド座標系への特別オブジェクトPC20の設定が行われる。
また、VDP135では、特別キャラクタを表示させるべき描画リストを受信した場合、描画処理(図16)における色情報の設定処理(ステップS1009)にて、特別オブジェクトPC20に対して第1部分テクスチャPC21〜PC23及び第2部分テクスチャPC24〜PC27を貼り付ける。当該テクスチャの貼り付けに係る処理について、以下に説明する。
図55は、特別キャラクタ用のテクスチャマッピング処理を示すフローチャートである。特別キャラクタ用のテクスチャマッピング処理は、今回の描画リストに特別キャラクタの開始指定情報及び特別キャラクタの継続指定情報のいずれかが設定されている場合に起動される。
先ずステップS3401では、今回の描画リストにおいて設定されている第1部分テクスチャPC21〜PC23の使用指定情報を把握する。続くステップS3402では、ステップS3401にて把握した使用指定情報に対応した第1部分テクスチャPC21〜PC23をメモリモジュール133から読み出す。その後、ステップS3403にて、上記ステップS3402にて読み出した第1部分テクスチャPC21〜PC23を、特別オブジェクトPC20の本体パーツ部BPに貼り付ける。これにより、本体パーツ部BPへのテクスチャの貼り付けが完了する。
続くステップS3404では、レジスタ153に設けられた付属パーツカウンタに、付属パーツ部AP1〜AP4の数に対応した情報である「4」をセットし、ステップS3405に進む。ステップS3405では、現状の付属パーツカウンタの数値情報が示す付属パーツ部AP1〜AP4に対応した第2部分テクスチャPC24〜PC27をメモリモジュール133から読み出す。
続くステップS3406では、現状の付属パーツカウンタの数値情報が示す付属パーツ部AP1〜AP4に対応した初期座標値のデータを読み出す。また、ステップS3407では、今回の描画リストにおいて設定されている変化量のデータのうち、現状の付属パーツカウンタの数値情報が示す付属パーツ部AP1〜AP4に対応した変化量のデータを把握する。そして、ステップS3408において、ステップS3406にて読み出した初期座標値に対して、ステップS3407にて把握した変化量を適用することで、今回のUV座標値を導出する。その後、ステップS3409では、ステップS3408にて導出したUV座標値に従って、ステップS3405にて読み出した第2部分テクスチャPC24〜PC27を、対応する付属パーツ部AP1〜AP4に貼り付ける。
続くステップS3410では、付属パーツカウンタの数値情報を1減算し、ステップS3411にて、減算後の付属パーツカウンタの数値情報が「0」であるか否かを判定する。「0」ではない場合には、ステップS3405に戻り、次の付属パーツ部AP1〜AP4に対して上記ステップS3405〜ステップS3409による第2部分テクスチャPC24〜PC27の貼り付け処理を実行する。ステップS3411にて、付属パーツカウンタの数値情報が「0」であると判定した場合には、本テクスチャマッピング処理を終了する。
次に、模様変更表示の内容について、図56を参照しながら説明する。
図56(a),(b)は模様変更表示の内容を説明するための説明図である。
特別キャラクタCH17を利用した模様変更表示は、図56(a),(b)に示すように、遊技回中において、所定の有効ライン上にてリーチラインが形成され、最終停止図柄列SA2にて図柄の変動表示が行われている状況で実行される。本パチンコ機10では、当該遊技回が開閉実行モードの移行契機となる期待度を高いことを遊技者に報知するための演出として模様変更表示が行われる。なお、特別キャラクタCH17を用いた模様変更表示は、開閉実行モードの移行契機となる遊技回においてのみ所定の確率で発生する構成としてもよい。
模様変更表示では、特別キャラクタCH17が所定の方向に変位表示される。この場合に、特別キャラクタCH17の変位に伴って、当該特別キャラクタCH17に付されている模様が変更される。具体的には、特別キャラクタCH17の表面が光に照らされて反射するとともに、その反射して明るくなっている箇所が変位していくように模様が変更される。この模様の変更は、本体パーツ部BP及び各付属パーツ部AP1〜AP4のそれぞれにて発生する。その一方、特別キャラクタCH17に表示されている目や口の位置は一定となっている。
以上のように、特別オブジェクトPC20の一部に対しては、複数種類のテクスチャPC21〜PC23を予め記憶させておき、貼り付け対象とするテクスチャPC21〜PC23を順次変更するのに対して、特別キャラクタCH17の他の部分に関しては単一のテクスチャPC24〜PC27としながら、そのテクスチャPC24〜PC27のUV座標値を順次変更する構成としたことにより、データ容量と処理負荷とのバランスを図りながら模様変更表示を行うことが可能となる。
また、目や口といった特別キャラクタにおいてその外縁に対する相対位置が変化しない模様が存在している箇所は、単一のテクスチャのUV座標値の切り換えにより模様の変更を行うのではなく、貼り付け対象とするテクスチャPC21〜PC23を順次変更することによって模様の変更を行うようにしたことにより、当該箇所の模様を変更する際の処理負荷の軽減を図ることが可能となる。
その一方、比較的サイズの小さい付属パーツ部AP1〜AP4については、単一のテクスチャPC24〜PC27のUV座標値の切り換えにより模様の変更を行うようにしたことにより、UV座標値の変更に伴って模様の形状が若干変形してしまったとしても、それが目立たないようにすることが可能となる。
<模様変更表示の別形態>
・第2部分テクスチャPC24〜PC27が各付属パーツ部AP1〜AP4に1対1で対応させて設定されている構成に代えて、所定の第2部分テクスチャは複数の付属パーツ部AP1〜AP4に対して共通して用いられる構成としてもよく、一の第2部分テクスチャが全ての付属パーツ部AP1〜AP4に対して共通して用いられる構成としてもよい。この場合、各付属パーツ部AP1〜AP4の模様の態様を異ならせる上では、UV座標値の初期設定値をそれぞれ相違させるようにするとよい。
・各付属パーツ部AP1〜AP4において貼り付け対象の第2部分テクスチャPC24〜PC27のUV座標値が変更される速度は、同一である構成に限定されることはなく、一部については相違している構成としてもよく、全部が相違している構成としてもよい。
・本体パーツ部BPと付属パーツ部AP1〜AP4の少なくとも一つとを跨ぐようにして模様が付されている構成としてもよい。この場合、特別キャラクタの外観を変更する場合において、上記跨いでいる部分における模様の連続性が担保されるように、第1部分テクスチャPC21〜PC23が変更される場合の上記跨いでいる模様の変化態様と、第2部分テクスチャPC24〜PC27が変更される場合の上記跨いでいる模様の変化態様とを対応付けることが好ましい。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。例えば以下のように変更してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記実施形態の構成に対して、個別に適用してもよく、組み合わせて適用してもよい。
(1)描画データを作成する上で必要となる画像データを、その必要となったタイミングでメモリモジュール133から読み出すのではなく、その必要となるタイミングよりも前に事前にVRAM134に読み出しておく構成としてもよい。このような事前読み出しを行うことにより、描画データの作成を好適に行うことが可能となる。特に、メモリモジュール133としてNAND型フラッシュメモリを用いる場合には、読み出しに要する時間がNOR型フラッシュメモリよりも長時間化してしまう傾向にあるため、このような構成に、上記事前読み出しの構成を適用すると効果的である。なお、VDP135において使用される画像データに加えて又は代えて、表示CPU131において使用されるプログラムやデータが事前に読み出される構成としてもよい。
(2)演出用の描画データが書き込まれる演出用のバッファと、図柄用の描画データが書き込まれる図柄用のバッファとが個別に設けられており、最終的な生成データの生成に際しては、背景用のバッファに書き込まれた描画データと、演出用のバッファに書き込まれた描画データと、図柄用の描画データに書き込まれた描画データと、が合成される構成としてもよい。また、これに代えて、第1演出用の描画データが作成されるバッファと、第2演出用の描画データが作成されるバッファとが存在していて、第1演出用の描画データは背景用の描画データと図柄用の描画データとの間に存在し、第2演出用の描画データは最前面に存在するように、描画データの合成が行われる構成としてもよい。
(3)色情報の設定処理(ステップS1009)を行う場合に、投影される面のみにテクスチャの貼り付けといった色情報の設定を行う構成としてもよい。この場合、レンダリングの処理負荷を軽減させることができる。また、これに代えて、投影前にテクスチャマッピングといった色情報の設定を行うのではなく、投影後にテクスチャマッピングといった色情報の設定を行う構成としてもよい。この場合、投影に際して、投影平面を構成する各ピクセルの座標情報を記憶しておくようにして、その座標情報を元にテクスチャマッピングといった色情報の設定を行うようにすればよい。
(4)カメラ(視点)がワールド座標系に配置される画像データ毎に個別に設定される構成としたが、これに代えて、ワールド座標系に配置される全画像データに対して単一のカメラが共通して設定される構成としてもよい。
(5)ワールド座標系に配置された画像データは、背景画像、演出画像及び図柄画像の単位で投影される構成としたが、背景画像及び演出画像の単位でまとめて投影される構成としてもよく、演出画像及び図柄画像の単位でまとめて投影される構成としてもよく、全てがまとめて投影される構成としてもよい。
(6)上作動口23への入賞に係る保留情報と下作動口24への入賞に係る保留情報とが区別して記憶されるとともに、下作動口24への入賞に係る保留情報が優先して消化される構成を適用してもよく、これとは逆に上作動口23への入賞に係る保留情報が優先して消化される構成を適用してもよい。
また、上記構成において、複数の作動口が上下に並設されているのではなく、上作動口23に対応した第1作動口と、下作動口24に対応した第2作動口とが左右に並設された構成としてもよく、これら両作動口が斜めに並設された構成としてもよい。さらにまた、発射ハンドル41の操作態様に応じて、第1作動口への入賞のみ又は第2作動口への入賞のみを狙えるように、両作動口を離間して配置する構成としてもよい。
また、上記構成において、メイン表示部33に、上作動口23への入賞に基づき取得された保留情報の当否判定の結果を表示する第1表示領域と、下作動口24への入賞に基づき取得された保留情報の当否判定の結果を表示する第2表示領域とを設けてもよい。この場合、上作動口23への入賞に基づき取得された保留情報が当否判定の対象となることに先立って又は当否判定の対象となったことに基づいて、第1表示領域において絵柄の変動表示が開始されるとともに当該当否判定に対応した停止結果を表示し係る1遊技回の変動表示が終了される。また、下作動口24への入賞に基づき取得された保留情報が当否判定の対象となることに先立って又は当否判定の対象となったことに基づいて、第2表示領域において絵柄の変動表示が開始されるとともに当該当否判定に対応した停止結果を表示し係る1遊技回の変動表示が終了される。
(7)上作動口23への入賞に係る保留情報が当否判定の対象となった場合と、下作動口24への入賞に係る保留情報が当否判定の対象となった場合とで、遊技者が得られる利益が異なる構成としてもよい。また、上記各実施形態のように作動口を複数設ける構成においては、作動口の数は2個に限定されることはなく、3個以上であってもよい。また、作動口が1個のみ設けられた構成としてもよい。
(8)主制御装置50から出力されるコマンドに基づいて、音声発光制御装置60により表示制御装置70,130が制御される構成に代えて、主制御装置50から出力されるコマンドに基づいて、表示制御装置70,130が音声発光制御装置60を制御する構成としてもよい。また、音声発光制御装置60と表示制御装置70,130とが別々に設けられた構成に代えて、両制御装置が一の制御装置として設けられた構成としてもよく、それら両制御装置のうち一方の機能が主制御装置50に集約されていてもよく、それら両制御装置の両機能が主制御装置50に集約されていてもよい。また、主制御装置50から音声発光制御装置60に出力されるコマンドの構成も任意である。
(9)上記実施形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数の周回体として複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されることでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも、本発明を適用できる。この場合、スロットマシンの各種制御に対して本発明を適用できるとともに、リールとは別に液晶表示装置といった表示装置を備えた構成においては当該表示制御装置における画像の表示に係る制御に対して本発明を適用できる。
また、取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
<特徴A群>
特徴A1.表示部(表示面G)を有する表示手段(図柄表示装置31)と、
データ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データ(描画データ)を用いて前記表示部に画像を表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備え、
前記データ生成手段は、画像データを用いるとともに当該画像データによる画像の表示態様を決定付けるパラメータデータを適用することに基づき前記生成データを生成するものである遊技機において、
前記データ生成手段は、
複数の個別画像を含む画像群を前記表示部に表示させる場合に適用する前記パラメータデータを導出する導出手段(VDP135におけるステップS2204、ステップS2208及びステップS2212の処理を実行する機能、又はVDP135におけるステップS2305、ステップS2310、ステップS2317)と、
当該導出手段により導出された前記パラメータデータを、特定画像データ(粒子分散用オブジェクトPC17)に適用した状態で当該特定画像データを用いることに基づき、前記表示部に前記画像群を表示させる生成データの生成を可能とする画像群用手段(VDP135におけるステップS2206、ステップS2210及びステップS2214の処理を実行する機能、又はVDP135におけるステップS2307、ステップS2313及びステップS2319の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記導出手段は、第1更新タイミングにて前記画像群を表示させる場合に適用する第1パラメータデータ(例えば第1キーデータKD1)と、当該第1更新タイミングよりも後である第2更新タイミングにて前記画像群を表示させる場合に適用する第2パラメータデータ(例えば第2キーデータKD2)とを用いて、それら第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにて前記画像群を表示させる場合に適用する特定パラメータデータを導出する特定導出手段(VDP135におけるステップS2208の処理を実行する機能、又はVDP135におけるステップS2310の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、複数の個別画像を含む画像群が表示されることにより、表示内容の複雑化が可能となり、表示部にて表示されている画像に対する遊技者の興味を高めることが可能となる。
この場合に、第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いて、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにおける特定パラメータデータが導出される構成であるため、当該特定パラメータデータを予め記憶させておく必要がない点でデータ容量の削減が図られ、さらには第1パラメータデータ及び第2パラメータデータのそれぞれに対する連続性を担保することが可能となる。
さらにまた、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにおいて画像群に含まれる複数の個別画像を表示させるためのパラメータデータが、特定パラメータデータとして、第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いてまとめて導出される。これにより、画像群に含まれる複数の個別画像間において、パラメータデータを導出する上で参照すべきパラメータデータは同一の更新タイミングに対応したものである。よって、特定パラメータデータを導出する上での処理負荷の軽減が図られる。
特徴A2.前記画像群には、第1個別画像(例えば粒子単体画像PT1)と第2個別画像(例えば粒子単体画像PT2)とが含まれており、
前記第1パラメータデータは、前記第1個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、前記第2個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、を含み、
前記第2パラメータデータは、前記第1個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、前記第2個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、を含み、
前記特定導出手段は、前記第1パラメータデータと前記第2パラメータデータとを用いて、前記第1個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、前記第2個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータとを含む前記特定パラメータデータを導出するものであることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
特徴A2によれば、第1パラメータデータ、第2パラメータデータ及び特定パラメータデータのそれぞれには、画像群に含まれる第1個別画像及び第2個別画像のそれぞれに対応したパラメータデータが存在することとなる。これにより、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにおいて画像群に含まれる複数の個別画像を表示させるためのパラメータデータが、特定パラメータデータとしてまとめて導出される構成において、時間の経過に伴って第1個別画像及び第2個別画像の表示態様を変化させる場合に、その変化していく態様をそれぞれの個別画像に対応させたものとすることが可能となる。
特徴A3.前記特定導出手段は、前記第1パラメータデータと前記第2パラメータデータとを所定の比率でブレンドすることにより前記特定パラメータデータを導出するものであることを特徴とする特徴A1又はA2に記載の遊技機。
特徴A3によれば、第1パラメータデータと第2パラメータデータとをそのまま利用しながら特定パラメータデータを導出することが可能となる。
特徴A4.前記画像群には、第1個別画像と第2個別画像とが含まれており、
前記第1パラメータデータは、前記第1個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、前記第2個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、を含み、
前記第2パラメータデータは、前記第1個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、前記第2個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、を含み、
前記特定導出手段は、
前記第1パラメータデータと前記第2パラメータデータとを用いて、前記第1個別画像を表示させる場合に適用される第1特定パラメータデータと、前記第2個別画像を表示させる場合に適用される第2特定パラメータデータとを含む前記特定パラメータデータを導出するものでり、
且つ、特定の更新タイミングにて前記特定パラメータデータを導出する場合において、前記第1特定パラメータデータを導出する場合における前記所定の比率と、前記第2特定パラメータデータを導出する場合における前記所定の比率とが同一であることを特徴とする特徴A3に記載の遊技機。
特徴A4によれば、第1パラメータデータ、第2パラメータデータ及び特定パラメータデータのそれぞれには、画像群に含まれる第1個別画像及び第2個別画像のそれぞれに対応したパラメータデータが存在することとなる。これにより、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにおいて画像群に含まれる複数の個別画像を表示させるためのパラメータデータが、特定パラメータデータとしてまとめて導出される構成において、時間の経過に伴って第1個別画像及び第2個別画像の表示態様を変化させる場合に、その変化していく態様をそれぞれの個別画像に対応させたものとすることが可能となる。
また、このように各個別画像に対応した各パラメータデータを含むようにして特定パラメータデータを導出する構成において、第1個別画像に対応した第1特定パラメータデータを導出する場合に用いられる所定の比率と、第2個別画像に対応した第2特定パラメータデータを導出する場合に用いられる所定の比率とが同一となっている。これにより、所定の比率の情報を共通して使用することが可能となり、所定の比率がそれぞれ異なる構成に比べて処理負荷の軽減が図られる。
特徴A5.前記第1更新タイミングと前記第2更新タイミングとの間には、前記画像群の表示態様が変更される更新タイミングが複数存在しており、
前記特定導出手段は、前記第1更新タイミングと前記第2更新タイミングとの間にて前記画像群の表示態様が変更される複数の更新タイミングのそれぞれにおいて、前記第1パラメータデータと前記第2パラメータデータとを用いて前記特定パラメータデータを導出するものであることを特徴とする特徴A1乃至A4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A5によれば、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間に含まれる複数の更新タイミングのそれぞれにおいて同一の特定パラメータデータを用いるのではなく、それぞれの更新タイミングにて個別に特定パラメータデータが導出される構成であるため、第1パラメータデータから第2パラメータデータへと除々に近付くようにパラメータデータを導出することが可能となる。これにより、画像群の表示態様を一連のものとして遊技者に視認させることが可能となる。
また、複数の更新タイミングのそれぞれにおいて用いられるパラメータデータが第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いて導出される構成であるため、それらパラメータデータを予め記憶させておく構成に比べ、データ容量の削減が図られる。さらにまた、それら複数のパラメータデータは、いずれも第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いて導出されるため、それら複数のパラメータデータを導出する上で参照すべきパラメータデータの種類を変更する必要が生じない。よって、処理負荷の軽減が図られる。
特徴A6.前記特定導出手段は、前記第1パラメータデータと前記第2パラメータデータとを所定の比率でブレンドすることにより前記特定パラメータデータを導出するものであり、
前記データ生成手段は、前記複数の更新タイミングのそれぞれにおいて、前記第1パラメータデータと前記第2パラメータデータとをブレンドする場合における前記所定の比率を決定する比率決定手段(表示CPU131におけるステップS2109の処理を実行する機能、又はVDP135におけるステップS2309の処理を実行する機能)を備え、
当該比率決定手段は、前記複数の更新タイミングにおいて一の更新タイミングから次の更新タイミングとなった場合の前記所定の比率の変化量と、当該次の更新タイミングからさらに次の更新タイミングとなった場合の前記所定の比率の変化量とが同一となるように前記決定を行うものであることを特徴とする特徴A5に記載の遊技機。
特徴A6によれば、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の複数の更新タイミングのそれぞれでは、一定の変化量で所定の比率を変更していくだけでよいため、所定の比率を変化させる上での構成の簡素化が図られる。
特徴A7.一の更新タイミングにおける画像を表示させるのに必要は画像データを指定する情報及び当該画像データに適用するパラメータデータを少なくとも含む描画指示情報(描画リスト)を出力する描画指示手段(表示CPU131)を備え、
前記表示制御手段は、前記描画指示手段にて指示されている情報に従って画像の表示を行わせるものであり、
当該表示制御手段が、前記特定導出手段を有していることを特徴とする特徴A1乃至A6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A7によれば、描画指示手段側において特定パラメータデータを導出する必要がないため、当該描画指示手段の処理負荷の軽減が図られる。
特徴A8.前記第1パラメータデータ、前記第2パラメータデータ及び前記特定パラメータデータは、前記画像群が表示される位置を決定するための座標情報を含んでいることを特徴とする特徴A1乃至A7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A8によれば、既に説明したような優れた効果を奏しながら、画像群に含まれる各個別画像の位置が変化していく画像を表示することが可能となる。
特徴A9.前記特定パラメータデータに対応した座標情報は、前記画像群に含まれる各個別画像の位置が、前記第1パラメータデータにより定まる位置と、前記第2パラメータデータにより定まる位置とを結ぶ仮想直線上となるようにする座標情報であることを特徴とする特徴A8に記載の遊技機。
特徴A9によれば、第1パラメータデータにより定まる位置から、第2パラメータデータにより定まる位置へと移動しているように画像群を表示させる場合において、それらの両位置を結ぶ直線上を移動するように特定パラメータデータを導出するだけでよいため、第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いて特定パラメータデータを導出する上で、当該導出に際しての処理負荷の軽減が図られる。
特徴A10.前記導出手段は、前記第1パラメータデータ及び前記第2パラメータデータを記憶手段(メモリモジュール133)から読み出すことで導出するものであることを特徴とする特徴A1乃至A9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A10によれば、第1更新タイミングにおいては第1パラメータデータを読み出して用い、第2更新タイミングにおいては第2パラメータデータを読み出して用いるだけでよいため、それら更新タイミングにおける処理負荷の軽減が図られる。その一方、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにおいては、第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いて特定パラメータデータを導出すればよいため、それだけパラメータデータを記憶しておくためのデータ容量が削減できる。つまり、本構成によれば、データ容量及び処理負荷の両方のバランスを図りながら、画像群を用いた表示を行うことが可能となる。
特徴A11.前記データ生成手段は、仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002〜ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010〜ステップS1012の処理を実行する機能)と、を備え、
前記特定画像データは、オブジェクトの画像データに対応しており、前記画像群に含まれる前記複数の個別画像はそれぞれ、前記オブジェクトの画像データの各頂点データに対応していることを特徴とする特徴A1乃至A10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A11によれば、3次元情報を利用したリアルな画像表示を可能とした構成において、画像群の表示に際しては一のオブジェクトを仮想3次元空間に配置すればよいため、処理負荷の軽減を図りながら、画像群を表示させることが可能となる。
特徴A12.前記配置手段は、一の更新タイミングにおける画像を表示させるのに必要な画像データを指定する情報及び当該画像データに適用するパラメータデータを少なくとも含む描画指示情報(描画リスト)を描画指示手段(表示CPU131)が出力したことに基づき、当該描画指示情報にて指示されている情報に従って前記画像データを前記仮想3次元空間に配置することにより、当該描画指示情報に対応した生成データの生成が可能となるようにするものであり、
前記描画指示手段は、前記画像群を表示させる場合、前記特定画像データの使用指示情報を前記描画指示情報に含ませるものであり、
前記配置手段は、前記描画指示情報に前記特定画像データの使用指示情報が含まれている場合、前記特定画像データを前記仮想3次元空間に配置することにより、前記画像群を表示させる生成データの生成が可能となるようにするものであることを特徴とする特徴A11に記載の遊技機。
特徴A12によれば、画像群を表示させる場合において描画指示手段は、一のオブジェクトについての使用指示情報を描画指示情報に含ませるだけでよいため、描画指示情報の設定に要する処理負荷の軽減が図られるとともに、描画指示情報のデータ容量の削減が図られる。
特徴A13.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002〜ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010〜ステップS1012の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31)に出力表示する表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記データ生成手段は、複数の個別画像を含む画像群を前記表示部に表示させる場合に適用するパラメータデータを導出する導出手段(VDP135におけるステップS2204、ステップS2208及びステップS2212の処理を実行する機能、又はVDP135におけるステップS2305、ステップS2310、ステップS2317)を備え、
前記配置手段は、当該導出手段により導出された前記パラメータデータを、特定画像データ(粒子分散用オブジェクトPC17)に適用した状態で当該特定画像データを用いることに基づき、前記表示部に前記画像群を表示させる生成データの生成を可能とする画像群用手段(VDP135におけるステップS2206、ステップS2210及びステップS2214の処理を実行する機能、又はVDP135におけるステップS2307、ステップS2313及びステップS2319の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記導出手段は、第1更新タイミングにて前記画像群を表示させる場合に適用する第1パラメータデータ(例えば第1キーデータKD1)と、当該第1更新タイミングよりも後である第2更新タイミングにて前記画像群を表示させる場合に適用する第2パラメータデータ(例えば第2キーデータKD2)とを用いて、それら第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにて前記画像群を表示させる場合に適用する特定パラメータデータを導出する特定導出手段(VDP135におけるステップS2208の処理を実行する機能、又はVDP135におけるステップS2310の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴A13によれば、3次元情報を利用したリアルな画像表示が可能となり、さらには複数の個別画像を含む画像群が表示されることにより表示内容の複雑化が可能となる。よって、表示部にて表示されている画像に対する遊技者の興味を高めることが可能となる。
この場合に、第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いて、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにおける特定パラメータデータが導出される構成であるため、当該特定パラメータデータを予め記憶させておく必要がない点でデータ容量の削減が図られ、さらには第1パラメータデータ及び第2パラメータデータのそれぞれに対する連続性を担保することが可能となる。
さらにまた、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにおいて画像群に含まれる複数の個別画像を表示させるためのパラメータデータが、特定パラメータデータとして、第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いてまとめて導出される。これにより、画像群に含まれる複数の個別画像間において、パラメータデータを導出する上で参照すべきパラメータデータは同一の更新タイミングに対応したものである。よって、特定パラメータデータを導出する上での処理負荷の軽減が図られる。
特徴A14.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002〜ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010〜ステップS1012の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データ(描画データ)を記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31)に出力表示する表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記表示制御手段は、特定の生成データを用いることにより、複数の個別画像を含む画像群を同時に表示させる構成であり、
前記画像群を表示させるために前記配置手段により前記仮想3次元空間に配置される画像データは、当該画像群に含まれる前記複数の個別画像のそれぞれが、各頂点データに対応付けられている特定オブジェクトの画像データ(粒子分散用オブジェクトPC17)であることを特徴とする遊技機。
特徴A14によれば、3次元情報を利用したリアルな画像表示が可能となる。この場合に、画像群の表示に際しては一のオブジェクトを仮想3次元空間に配置すればよいため、処理負荷の軽減を図りながら、画像群を表示させることが可能となる。
特徴A15.前記配置手段は、一の更新タイミングにおける画像を表示させるのに必要な画像データを指定する情報及び当該画像データに適用するパラメータデータを少なくとも含む描画指示情報(描画リスト)を描画指示手段(表示CPU131)が出力したことに基づき、当該描画指示情報にて指示されている情報に従って前記画像データを前記仮想3次元空間に配置することにより、当該描画指示情報に対応した生成データの生成が可能となるようにするものであり、
前記描画指示手段は、前記画像群を表示させる場合、前記特定オブジェクトの画像データの使用指示情報を前記描画指示情報に含ませるものであり、
前記配置手段は、前記描画指示情報に前記特定オブジェクトの画像データの使用指示情報が含まれている場合、当該特定オブジェクトの画像データを前記仮想3次元空間に配置することにより、前記画像群を表示させる生成データの生成が可能となるようにするものであることを特徴とする特徴A14に記載の遊技機。
特徴A15によれば、画像群を表示させる場合において描画指示手段は、一のオブジェクトについての使用指示情報を描画指示情報に含ませるだけでよいため、描画指示情報の設定に要する処理負荷の軽減が図られるとともに、描画指示情報のデータ容量の削減が図られる。
上記特徴A群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
2次元画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための生成データが、VRAMといった記憶手段に対して生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示部にて表示される。
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるポリゴンが設定されるとともに、そのポリゴンに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたポリゴンを所望の視点から平面上に投影した生成データが生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
ここで、個別画像の表示方向を複雑なものとしたり、複数の個別画像を同時に表示させることにより、表示部にて表示されている画像に対する遊技者の興味を高めることが可能となると考えられる。しかしながら、このような画像の表示を行う場合に、処理負荷が極端に増加してしまうことや、データ容量が極端に増加してしまうことは好ましくない。
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、処理負荷を抑えながら、表示演出を良好に行うことが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
<特徴B群>
特徴B1.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002〜ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010〜ステップS1012の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31)に表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記配置手段による前記仮想3次元空間への配置対象となるオブジェクトの画像データには、複数の面を定めることが可能なデータを有し且つそれら複数の面データ(面データSD)によって3次元形状を定めることが可能な多面オブジェクトの画像データ(海面用オブジェクトPC19)が含まれており、
前記データ生成手段は、
複数の更新タイミングに亘って前記多面オブジェクトの画像データに対応した多面画像を表示させるべく前記仮想3次元空間に前記多面オブジェクトの画像データを配置する場合に、前記多面画像の表示態様が変更されるように前記複数の面データのうち少なくとも一部についての前記仮想3次元空間への配置態様を変更させる配置態様変更手段(表示CPU131における海面表示用の演算処理を実行する機能、VDP135における海面表示用の設定処理を実行する機能)と、
当該配置態様変更手段により前記配置態様が変更された前記面データに対して適用する色情報を、当該面データの配置態様に応じて当該面データ単位で変更させることにより、前記多面画像の少なくとも一部の領域の表示色が複数の更新タイミング間において異なることとなる画像表示を可能とする表示色変更手段(VDP135における海面表示用の色情報設定処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、複数の面データのうち少なくとも一部についての配置態様が変更されるとともに、当該配置態様が変更された面データに適用される色情報がその配置態様の変更に伴って変更される。これにより、表示演出を複雑化させることが可能となり、表示演出への遊技者の興味を高めることが可能となる。
また、上記色情報の変更は、面データの配置態様に応じて当該面データ単位で行われる。これにより、色情報が変更されるパターンに対応させて多数のテクスチャを事前に記憶させておかなくても、面データの配置態様に応じた色情報の設定を行うことが可能となる。よって、データ容量の増大化を抑制しながら、表示演出への遊技者の興味を高めることが可能となる。
なお、「前記配置態様変更手段は、前記配置態様を変更させる場合、前記複数の面データのうち少なくとも一部について、向き、形状及びサイズのうち少なくとも一つを変更させる」という構成が上記構成に含まれる。
特徴B2.前記配置態様変更手段は、前記複数の面データのうち一部の面データの配置態様を変更させ、且つ他の面データの配置態様を当該一部の面データに対する配置態様の変更に対応させる手段(VDP135における法線パラメータの設定処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
特徴B2によれば、各面データ間の連続性を失わせないようにしながら、面データの配置態様を個別に制御することが可能となる。
特徴B3.前記配置態様変更手段は、前記多面画像において対応する領域が相互に連続しない非連続の面データ(適用対象の面データSD1)について、向き、形状及びサイズのうち少なくとも一つである所定パラメータを変更させ、且つ前記多面画像において対応する領域が前記非連続の面データに対応する領域と連続する面データ(緩衝用の面データSD2)の前記所定パラメータを、前記非連続の面データに対応させる手段(VDP135における法線パラメータの設定処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B1又はB2に記載の遊技機。
特徴B3によれば、各面データ間の連続性を失わせないようにしながら、面データの配置態様を個別に制御することが可能となる。特に、配置態様を積極的に変更させる対象を非連続の面データとし、当該非連続の面データに連続する面データについては、上記非連続の面データに対応させることにより、このような切り分けを行わずに配置態様の変更を行う構成に比べて、各面データ間の連続性を担保するための調整に要する処理負荷の軽減が図られる。
なお、上記特徴B3のより具体的な構成としては、
「前記各面データは、複数の頂点データによって定められるものであり、さらに所定の複数の面データは一部の頂点データを相互に共有しており、
前記配置態様変更手段は、前記頂点データを相互に共有していない面データ(適用対象の面データSD1)について、向き、形状及びサイズのうち少なくとも一つである所定パラメータを変更させ、且つそれら変更対象となった面データと頂点データを共有する面データ(緩衝用の面データSD2)の前記所定パラメータを、前記変更対象となった面データに対応させる手段(VDP135における法線パラメータの設定処理を実行する機能)を備えている」
という構成が考えられる。
特徴B4.前記各面データは、複数の頂点データによって定められるものであり、さらに所定の複数の面データは一部の頂点データを相互に共有しており、
前記配置態様変更手段は、前記各頂点データの座標を個別に変更させることにより、前記各面データの向き、形状及びサイズのうち少なくとも一つを変更させるものであることを特徴とする特徴B1又はB2に記載の遊技機。
特徴B4によれば、一の頂点データの座標を変更することで、複数の面データの向き、形状及びサイズのうち少なくとも一つを変更することが可能となる。このように面データ単位でパラメータを制御するのではなく、頂点データ単位でパラメータを制御することで、面データ間の連続性を担保させるための処理構成をあえて設定しなくても、面データの配置態様を個別に制御することが可能となる。
特徴B5.前記配置態様変更手段は、
前記複数の面データの各配置態様を個別に変更させることを可能とする個別制御データ(第1法線マップデータND1、第2法線マップデータND2)を記憶手段(メモリモジュール133)から読み出すデータ読出手段(VDP135におけるステップS2503を実行する機能)と、
前記個別制御データを前記多面オブジェクトの画像データに適用する場合の態様を前記複数の更新タイミング間において異ならせる適用変更手段(VDP135におけるステップS2506、ステップS2507、ステップS2511及びステップS2512の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴B1乃至B4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B5によれば、予め記憶された個別制御データを利用して面データの配置態様を変更させる構成において、その個別制御データを利用しながら、複数の更新タイミング間において多面画像の表示態様を変更させることが可能となる。よって、データ容量及び処理負荷の両方のバランスを図りながら、既に説明したような優れた効果を奏することが可能となる。
特徴B6.前記個別制御データは、複数の単位制御データ(単位法線データUND)を有しており、それら単位制御データが前記面データ又は前記面データを定めるデータに適用され、
前記適用変更手段は、前記多面オブジェクトの画像データにおいて前記単位制御データを適用する対象のデータと当該単位制御データとの対応関係を更新タイミングの切り換わりに伴って変更させる対応関係変更手段(VDP135におけるステップS2506、ステップS2507、ステップS2511及びステップS2512の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B5に記載の遊技機。
特徴B6によれば、単位制御データを適用する対象のデータと当該単位制御データとの対応関係を切り換えることによって複数の更新タイミング間において多面画像の表示態様を変更させる構成であるため、個別制御データを利用しながら多面画像の表示態様を変更させる構成において処理負荷を軽減することが可能となる。
特徴B7.前記適用変更手段は、前記多面オブジェクトの画像データにおいて前記単位制御データを適用する対象の一のデータに対して複数の前記単位制御データの内容を反映させる複数適用手段(VDP135におけるステップS2506、ステップS2507、ステップS2511及びステップS2512の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B5又はB6に記載の遊技機。
特徴B7によれば、単位制御データを参照しながら配置態様を変更させる構成において、その変更させる配置態様の多様化が図られる。
特徴B8.前記個別制御データは、複数の単位制御データ(単位法線データUND)を有しており、それら単位制御データが前記面データ又は前記面データを定めるデータに適用され、
前記データ読出手段は、複数の前記個別制御データを前記記憶手段から読み出すものであり、
前記適用変更手段は、
前記多面オブジェクトの画像データにおいて前記単位制御データを適用する対象の一のデータに対して、前記複数の個別制御データのそれぞれの単位制御データの内容を反映させる複数適用手段(VDP135におけるステップS2507及びステップS2512の処理を実行する機能)と、
前記多面オブジェクトの画像データにおいて前記単位制御データを適用する対象のデータと当該単位制御データとの対応関係を更新タイミングの切り換わりに伴って変更させ且つ当該対応関係の変更を前記複数の個別制御データのそれぞれについて行う対応関係変更手段(VDP135におけるステップS2506及びステップS2511の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴B5又はB6に記載の遊技機。
特徴B8によれば、遊技機設計段階における個別制御データの設計の容易化を図りながら、配置態様を複雑に変化させることが可能となる。
特徴B9.前記配置態様変更手段は、
複数の前記面データを含む一群のデータについてまとめて配置態様を変更させる第1変更手段(表示CPU131における海面表示用の演算処理を実行する機能、VDP135におけるステップS2504及びステップS2509を実行する機能)と、
当該第1変更手段により配置態様が変更された前記一群のデータに含まれる各面データの配置態様を個別に変更させる第2変更手段(VDP135におけるステップS2506、ステップS2507、ステップS2511及びステップS2512の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴B1乃至B8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B9によれば、大きな流れに沿って配置態様を変更するようにしながら、面データ単位での配置態様を複雑に変化させることが可能となる。
なお、このような作用効果を生じさせるより具体的な構成としては、「前記第1変更手段により変更される配置態様の種類は、位置、向き及びサイズの少なくとも一つであり、前記第2変更手段により変更される配置態様の種類には、前記第1変更手段により変更される配置対象の種類の少なくとも一部が含まれている」構成が考えられる。
また、「前記多面オブジェクトの画像データには、前記一群のデータが複数含まれており、前記第1変更手段は、それら複数の一群のデータの配置態様を個別に変更させるものである」構成が考えられる。
特徴B10.前記表示色変更手段は、
前記配置態様変更手段による変更対象となった配置態様に応じて、前記面データに対して適用する色情報が所定の区分に含まれるか否かを特定する区分特定手段(VDP135におけるステップS2702〜ステップS2705を実行する機能)と、
当該区分特定手段により前記所定の区分に含まれると特定された前記面データに適用する色情報を、前記配置態様とは異なる種類のパラメータに基づき、複数段階の色情報の中から選択する色情報選択手段(VDP135におけるステップS2706及びステップS2707を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴B1乃至B9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B10によれば、配置態様に応じて色情報を変化させながら、さらに配置態様とは異なるパラメータに基づき色情報が決定されるため、色情報を複雑に設定することが可能となる。これにより、リアルな画像表示を実現することが可能となる。
特徴B11.前記配置態様変更手段は、前記面データの向きを少なくとも変更させるものであり、
前記表示色変更手段は、前記視点に対する前記面データの角度に基づき、当該面データに適用する色情報を変更させるものであることを特徴とする特徴B1乃至B10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B11によれば、面の向きに応じた色情報の設定を行うことが可能となり、多面画像の表示をリアルに行うことが可能となる。
特徴B12.前記表示色変更手段は、
前記配置態様変更手段により変更された前記面データの向きに応じて、当該面データに対して適用する色情報が所定の区分に含まれるか否かを特定する区分特定手段(VDP135におけるステップS2702〜ステップS2705を実行する機能)と、
当該区分特定手段により前記所定の区分に含まれると特定された前記面データに適用する色情報を、前記向きとは異なる種類のパラメータに基づき、複数段階の色情報の中から選択する色情報選択手段(VDP135におけるステップS2706及びステップS2707を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴B11に記載の遊技機。
特徴B12によれば、面の向きに応じて色情報を変化させながら、さらに面の向きとは異なるパラメータに基づき色情報が決定されるため、色情報を複雑に設定することが可能となる。これにより、多面画像の表示をリアルに行うことが可能となる。
特徴B13.前記色情報選択手段は、前記区分特定手段により前記所定の区分に含まれると特定された前記面データに適用する色情報を、前記視点からの所定方向の距離に基づき、複数段階の色情報の中から選択するものであることを特徴とする特徴B12に記載の遊技機。
特徴B13によれば、面の向きだけでなく面の位置に応じて色情報が変化するため、多面画像の表示をリアルに行うことが可能となる。
上記特徴B群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるオブジェクトが設定されるとともに、そのオブジェクトに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたオブジェクトを所望の視点から平面上に投影した生成データが生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
ここで、表示演出への遊技者の興味を高めるためには、表示演出のさらなる改良を図ることが好ましい。その一方、表示演出のさらなる改良を図る上で、データ容量が極端に増加してしまうことは好ましくない。
<特徴C群>
特徴C1.表示部(表示面G)を有する表示手段(図柄表示装置31)と、
データ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データ(描画データ)を用いて前記表示部に画像を表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記表示部における画像の表示態様には、複数の個別画像が前記表示部の奥行き方向にずれた位置関係で表示されていると遊技者に認識されるように表示される態様が含まれており、
前記データ生成手段は、前記奥行き方向の所定の基準位置に対して当該奥行き方向の手前側に存在していると遊技者に認識されるように表示されている個別画像及び当該奥行き方向の奥側に存在していると遊技者に認識されるように表示されている個別画像の少なくとも一方である対象個別画像が、前記基準位置に存在していると遊技者に認識される画像に比べて輪郭線が不鮮明となることで、ぼかした状態で表示されるようにするぼかし設定手段(VDP135におけるピント演出用の調整処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴C1によれば、基準位置にピントが合っているかのような表示演出を行うことが可能となり、奥行き感のある表示演出を行うことが可能となる。
特徴C2.前記データ生成手段は、画像データを設定することに基づき、前記生成データを生成するものであり、さらに前記奥行き方向の表示位置に対応した奥行きパラメータを適用した状態で前記画像データを設定することに基づき、前記複数の個別画像が前記奥行き方向にずれた位置関係で表示されていると遊技者に認識される表示態様とする構成であり、
前記生成データは、色情報が設定された単位データを多数有しており、
前記ぼかし設定手段は、
前記設定用記憶手段に設定された前記画像データに対応したデータであって前記各単位データを生じさせる各データのそれぞれについて前記奥行きパラメータを導出するパラメータ導出手段(VDP135におけるステップS3101〜ステップS3107を実行する機能)と、
前記奥行きパラメータが前記基準位置に対応した基準パラメータに対応していないデータに対してぼかし発生処理を実行することにより、当該データに対応した画像部分がぼかした状態で表示されるようにするぼかし実行手段(VDP135におけるステップS3110〜ステップS3115を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
特徴C2によれば、ぼかした状態とするための画像データを予め記憶させておく必要がないため、データ容量の削減を図りながら、ぼかした状態での表示を行うことが可能となる。また、各単位データを生じさせる各データのそれぞれについて奥行きパラメータが導出される構成であるため、ぼかした状態の表示を細かく制御することが可能となる。
特徴C3.前記表示手段における表示演出として、前記ぼかした状態での表示が複数の更新タイミングに亘って行われるぼかし表示演出が含まれており、
前記パラメータ導出手段は、前記奥行きパラメータの導出を、1回の前記ぼかし表示演出の一の更新タイミングと他の更新タイミングとのそれぞれにおいて行うものであることを特徴とする特徴C2に記載の遊技機。
特徴C3によれば、表示演出の進行に応じて、ぼかした状態の表示を変化させることが可能となる。
特徴C4.前記データ生成手段は、仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002〜ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影された2次元情報のデータに基づいて2次元情報である生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010〜ステップS1012の処理を実行する機能)と、を備えており、
前記パラメータ導出手段は、前記投影後の2次元情報のデータに含まれる各単位データのそれぞれについて前記奥行きパラメータを導出するものであり、
前記ぼかし実行手段は、前記投影後の2次元情報のデータに対して、前記奥行きパラメータを利用して前記ぼかし発生処理を実行するものであることを特徴とする特徴C2又はC3に記載の遊技機。
特徴C4によれば、奥行きパラメータの導出やぼかし発生処理を、3次元情報のデータに対して行うのではなく、2次元情報のデータに対して行う構成であるため、これら処理負荷の軽減を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
特徴C5.前記ぼかし実行手段は、前記ぼかし発生処理として、前記投影後の2次元情報のデータに含まれる単位データの色情報をその周囲の単位データの色情報とブレンディングさせる処理(VDP135におけるステップS3206、ステップS3212及びステップS3217を実行する機能)を実行するものであることを特徴とする特徴C4に記載の遊技機。
特徴C5によれば、ぼかしの発生に際してブレンディングさせる処理が実行される構成であるため、ぼかした状態の表示演出に際して表示される画像の種類に応じた、ぼかした状態の表示を行うことが可能となり、当該ぼかした状態の表示を好適に行うことが可能となる。この場合に、そのブレンディングさせる処理は、3次元情報のデータに対して行うのではなく、2次元情報のデータに対して行う構成であるため、処理負荷の軽減を図りながら、ぼかした状態の表示を好適に行うことが可能となる。
特徴C6.前記データ生成手段は、仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002〜ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影された2次元情報のデータに基づいて2次元情報である生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010〜ステップS1012の処理を実行する機能)と、を備えており、
前記ぼかし設定手段は、前記投影後の2次元情報のデータに対してぼかし発生処理を実行することにより、前記対象個別画像がぼかした状態で表示されるようにするものであることを特徴とする特徴C1乃至C5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C6によれば、ぼかし発生処理を、3次元情報のデータに対して行うのではなく、2次元情報のデータに対して行う構成であるため、処理負荷の軽減を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
特徴C7.前記ぼかし設定手段は、前記ぼかした状態での表示を行う場合、特別画像(教示用の個別画像CH15,CH16)については、前記基準位置に対して前記奥行き方向にずれた位置に存在していると遊技者に認識されるように表示されるとしても、前記ぼかした状態での表示対象から除外するものであることを特徴とする特徴C1乃至C6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C7によれば、ぼかした状態での表示を行う場合、基準位置に対してずれた位置に存在しているように表示されている個別画像に対して一律にぼかした状態での表示を適用しようとすると、遊技者に認識させるべき情報を認識させづらくしてしまう可能性が生じる。これに対して、特別画像については、基準位置に存在しているように表示されているか否かに関係なく、ぼかした状態での表示対象から除外する構成としたことにより、上記のような不都合の発生を抑制しながら、ぼかした状態での表示を実現することが可能となる。
なお、前記特別画像には、遊技者に遊技状況を教示するために用いられる教示用画像が含まれる。
特徴C8.前記特別画像は、前記基準位置に対して前記奥行き方向の手前側に存在していると遊技者に認識されるように表示される画像であることを特徴とする特徴C7に記載の遊技機。
特徴C8によれば、特別画像がぼかした状態の表示対象から除外される構成において、それが意図的に除外されていると遊技者に認識させ易くなる。よって、ぼかした状態の表示演出に違和感を与えることなく、特別画像をぼかした状態の表示対象から除外することが可能となる。
特徴C9.遊技者による操作を受け付ける操作受付手段(演出用操作装置48)を備え、
前記ぼかし設定手段は、前記操作受付手段に対する遊技者の操作に基づき、前記基準位置を変更させるものであることを特徴とする特徴C1乃至C8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C9によれば、ぼかした状態の表示演出の画一化が抑えられ、当該表示演出への注目度を高めることが可能となる。
特徴C10.前記ぼかし設定手段は、予め定められた第1表示期間(遊技回)では前記ぼかした状態の表示を行わず、前記ぼかした状態の表示に要する処理を除いた処理の処理負荷が前記第1表示期間よりも低い第2表示期間(ラウンド遊技)にて前記ぼかした状態の表示を行うものであることを特徴とする特徴C1乃至C9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C10によれば、ぼかした状態の表示を行う場合における更新タイミングの処理負荷が極端に増加してしまうことが抑制される。
特徴C11.前記データ生成手段は、画像データを設定することに基づき前記生成データを生成するものであり、
前記ぼかし設定手段は、前記画像データによって決定付けられる少なくとも一部の色情報をその周囲の色情報とブレンディングさせることにより、前記対象個別画像がぼかした状態で表示されるようにするものであることを特徴とする特徴C1乃至C10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C11によれば、ぼかしの発生に際してブレンディングさせる処理が実行される構成であるため、ぼかした状態の表示演出に際して表示される画像の種類に応じた、ぼかした状態の表示を行うことが可能となり、当該ぼかした状態の表示を好適に行うことが可能となる。
特徴C12.前記データ生成手段は、画像データを設定することに基づき、前記生成データを生成するものであり、さらに前記奥行き方向の表示位置に対応した奥行きパラメータを適用した状態で前記画像データを設定することに基づき、前記複数の個別画像が前記奥行き方向にずれた位置関係で表示されていると遊技者に認識される表示態様とする構成であり、
前記ぼかし設定手段は、前記奥行きパラメータが前記基準位置に対応した基準パラメータに対応していない画像データに対してぼかし発生処理を実行することにより、当該画像データに対応した前記対象個別画像がぼかした状態で表示されるようにするものであり、
前記基準パラメータは、前記基準位置が前記奥行き方向の所定範囲に対応するように所定のパラメータ範囲を有していることを特徴とする特徴C1乃至C11のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C12によれば、被写界深度をある程度広げた状態で、ぼかした状態の表示を行うことが可能となる。よって、ぼかした状態の表示を好適に行うことが可能となる。
特徴C13.前記ぼかし設定手段は、前記基準位置から前記奥行き方向に所定距離だけ離れた位置に存在していると遊技者に認識される画像よりも、当該所定距離よりも前記奥行き方向に遠い位置に存在していると遊技者に認識される画像の方が前記ぼかした状態で表示される度合いが大きくなるようにするものであることを特徴とする特徴C1乃至C12のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C13によれば、ぼかした状態の表示をよりリアルに行うことが可能となる。
特徴C14.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002〜ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010〜ステップS1012の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31)に出力表示する表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記表示部における画像の表示態様には、複数の個別画像が前記表示部の奥行き方向にずれた位置関係で表示されていると遊技者に認識されるように表示される態様が含まれており、
前記データ生成手段は、前記奥行き方向の所定の基準位置に対して当該奥行き方向の手前側に存在していると遊技者に認識されるように表示されている個別画像及び当該奥行き方向の奥側に存在していると遊技者に認識されるように表示されている個別画像の少なくとも一方である対象個別画像が、前記基準位置に存在していると遊技者に認識される画像に比べて輪郭線が不鮮明となることで、ぼかした状態で表示されるようにするぼかし設定手段(VDP135におけるピント演出用の調整処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴C14によれば、基準位置にピントが合っているかのような表示演出を行うことが可能となり、奥行き感のある表示演出を行うことが可能となる。
上記特徴C群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
2次元画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための生成データが、VRAMといった記憶手段に対して生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示部にて表示される。
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるオブジェクトが設定されるとともに、そのオブジェクトに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたオブジェクトを所望の視点から平面上に投影した描画データが作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
ここで、表示演出への遊技者の注目度を高めるためには、よりリアルな画像表示を行うことが好ましく、この点について未だ改良の余地がある。
<特徴D群>
特徴D1.表示部(表示面G)を有する表示手段(図柄表示装置31)と、
データ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データ(描画データ)を用いて前記表示部に画像を表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備え、
前記データ生成手段は、画像データを用いるとともに当該画像データによる画像の表示態様を決定付けるパラメータデータを適用することに基づき前記生成データを生成するものである遊技機において、
前記生成データは、色情報が設定された単位データを多数有しており、
前記データ生成手段は、前記各単位データを生じさせる各生成用単位データに対して用いるための集合データ(法線マップデータND1,ND2、ぼかしマップデータ)を導出する集合データ導出手段(VDP135におけるステップS2503を実行する機能、VDP135におけるステップS3101〜ステップS3107を実行する機能)を備え、当該集合データ導出手段により導出された集合データに含まれる各単位パラメータデータを前記各生成用単位データに適用することにより前記生成データを生成し、且つ集合データの適用の仕方及び適用する集合データの内容のうち少なくとも一方を変更することにより同一種類の個別画像が異なる態様で表示されることとなる生成データを生成するものであることを特徴とする遊技機。
特徴D1によれば、各単位パラメータデータ群が集合データとして扱われるため、データの扱いに関して処理の簡素化が図られる。また、集合データの適用の仕方及び適用する集合データの内容のうち少なくとも一方を変更することにより同一種類の個別画像が異なる態様で表示されることとなる生成データが生成される構成であるため、予め記憶させておく画像データのデータ量を抑えながら、表示演出の多様化を図ることが可能となる。
特徴D2.前記集合データ導出手段は、記憶手段(メモリモジュール133)から前記集合データ(第1法線マップデータND1、第2法線マップデータND2)を読み出すことで当該集合データを導出するものであることを特徴とする特徴D1に記載の遊技機。
特徴D2によれば、処理負荷の軽減を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
特徴D3.前記データ生成手段は、仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002〜ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影された2次元情報のデータに基づいて2次元情報である生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010〜ステップS1012の処理を実行する機能)と、を備えており、
前記集合データ導出手段により導出される前記集合データ(第1法線マップデータND1、第2法線マップデータND2)は、前記仮想3次元空間に配置されている前記オブジェクトの画像データに対して適用されることを特徴とする特徴D1又はD2に記載の遊技機。
特徴D3によれば、集合データを利用して3次元情報の画像データの配置態様を変更することが可能となるため、リアルな画像表示を実現しながら、さらに複雑な画像表示を行うことが可能となる。この場合に、その複雑な画像表示を行う場合において、上記のとおり集合データを利用する構成であるため、データ容量及び処理負荷の両方のバランスを図ることが可能となる。
特徴D4.前記集合データ導出手段は、前記画像データが設定された状態において、当該設定された状態に応じた前記各単位パラメータデータ(Z値)を特定することにより前記集合データ(ぼかしマップデータ)を導出するものであり、
前記データ生成手段は、その導出された前記集合データを、前記画像データから作成されたデータに対して適用することに基づき、前記生成データを生成するものであることを特徴とする特徴D1乃至D3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D4によれば、集合データを予め記憶させておく必要がないため、データ容量の削減を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
特徴D5.前記集合データ導出手段は、前記集合データを用いて前記生成データが生成される状況において、各生成データのそれぞれに対応した前記集合データを導出するものであることを特徴とする特徴D4に記載の遊技機。
特徴D5によれば、各更新タイミングにおいて異なる集合データを用いることが可能となり、表示演出の多様化を図ることが可能となる。また、この場合であっても、集合データは予め記憶されているのではなく、その都度作成されるため、データ容量の削減を図りながら、表示演出の多様化を図ることが可能となる。
特徴D6.前記データ生成手段は、仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002〜ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影された2次元情報のデータに基づいて2次元情報である生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010〜ステップS1012の処理を実行する機能)と、を備えており、
前記集合データ導出手段は、前記配置手段による前記オブジェクトの画像データの配置態様に応じた前記各単位パラメータデータ(Z値)を特定することにより前記集合データ(ぼかしマップデータ)を導出するものであることを特徴とする特徴D4又はD5に記載の遊技機。
特徴D6によれば、3次元情報の画像データを利用することでリアルな画像表示を実現した構成において、そのリアルな画像表示を可能とするデータ設定態様に則して集合データが作成されるため、集合データの利用がリアルな画像表示に悪影響を及してしまわないようにすることが可能となる。
特徴D7.前記データ生成手段は、仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002〜ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影された2次元情報のデータに基づいて2次元情報である生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010〜ステップS1012の処理を実行する機能)と、を備えており、
前記集合データ導出手段により導出された前記集合データ(ぼかしマップデータ)は、前記投影後の2次元情報のデータに対して適用されることを特徴とする特徴D1乃至D6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D7によれば、集合データは、3次元情報のデータに対して適用されるのではなく、2次元情報のデータに対して適用される構成であるため、処理負荷の軽減を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
特徴D8.前記データ生成手段は、前記集合データの前記各単位パラメータデータを前記各生成用単位データに適用する場合の態様を複数の更新タイミング間において異ならせることに基づき、同一種類の個別画像の表示態様が変化していくことに対応した前記生成データを生成する生成実行手段(VDP135におけるステップS2506、ステップS2507、ステップS2511及びステップS2512の処理を実行する機能、ステップS1010〜ステップS1012を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴D1乃至D7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D8によれば、単一の集合データを利用しながら、複数の更新タイミング間において同一種類の個別画像の表示態様を変化させることが可能となる。よって、データ容量及び処理負荷の両方のバランスを図りながら、既に説明したような優れた効果を奏することが可能となる。
特徴D9.前記生成実行手段は、前記各単位パラメータデータと前記各生成用単位データとの対応関係を更新タイミングの切り換わりに伴って変更させる対応関係変更手段(VDP135におけるステップS2506、ステップS2507、ステップS2511及びステップS2512の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴D8に記載の遊技機。
特徴D9によれば、単位パラメータデータと生成用単位データとの対応関係を切り換えることで、複数の更新タイミング間において画像の表示態様を変更させる構成であるため、集合データを利用しながら画像の表示態様を変更させる構成において、処理負荷を軽減することが可能となる。
特徴D10.前記生成実行手段は、前記各生成用単位データにおいて前記単位パラメータデータを適用する対象の一のデータに対して、複数の単位パラメータデータの内容を反映させる複数適用手段(VDP135におけるステップS2506、ステップS2507、ステップS2511及びステップS2512の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴D8又はD9に記載の遊技機。
特徴D10によれば、単位パラメータデータを参照しながら表示態様を変更させる構成において、その変更させる表示態様の多様化が図られる。
特徴D11.前記集合データ導出手段は、前記集合データを複数導出するものであり、
前記生成実行手段は、
前記各生成用単位データにおいて前記単位パラメータデータを適用する対象の一のデータに対して、前記複数の集合データのそれぞれの単位パラメータデータの内容を反映させる複数適用手段(VDP135におけるステップS2507及びステップS2512の処理を実行する機能)と、
前記各生成用単位データにおいて前記単位パラメータデータを適用する対象のデータと当該単位パラメータデータとの対応関係を更新タイミングの切り換わりに伴って変更させ且つ当該対応関係の変更を前記複数の集合データのそれぞれについて行う対応関係変更手段(VDP135におけるステップS2506及びステップS2511の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴D8に記載の遊技機。
特徴D11によれば、遊技機設計段階における集合データの設計の容易化を図りながら、表示態様を複雑に変化させることが可能となる。
特徴D12.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002〜ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010〜ステップS1012の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31)に出力表示する表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記生成データは、色情報が設定された単位データを多数有しており、
前記データ生成手段は、前記各単位データを生じさせる各生成用単位データに対して用いるための集合データ(法線マップデータND1,ND2、ぼかしマップデータ)を導出する集合データ導出手段(VDP135におけるステップS2503を実行する機能、VDP135におけるステップS3101〜ステップS3107を実行する機能)を備え、当該集合データ導出手段により導出された集合データに含まれる各単位パラメータデータを前記各生成用単位データに適用することにより前記生成データを生成し、且つ集合データの適用の仕方及び適用する集合データの内容のうち少なくとも一方を変更することにより同一種類の個別画像が異なる態様で表示されることとなる生成データを生成するものであることを特徴とする遊技機。
特徴D12によれば、各単位パラメータデータ群が集合データとして扱われるため、データの扱いに関して処理の簡素化が図られる。また、集合データの適用の仕方及び適用する集合データの内容のうち少なくとも一方を変更することにより同一種類の個別画像が異なる態様で表示されることとなる生成データが生成される構成であるため、予め記憶させておく画像データのデータ量を抑えながら、表示演出の多様化を図ることが可能となる。
上記特徴D群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
2次元画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための生成データが、VRAMといった記憶手段に対して生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示部にて表示される。
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるオブジェクトが設定されるとともに、そのオブジェクトに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたオブジェクトを所望の視点から平面上に投影した描画データが作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
ここで、表示演出への遊技者の興味を高めるためには、表示演出のさらなる改良を図ることが好ましい。その一方、表示演出のさらなる改良を図る上で、データ容量が極端に増加してしまうことは好ましくない。
<特徴E群>
特徴E1.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002〜ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010〜ステップS1012の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31)に表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記データ生成手段は、前記オブジェクトの画像データに対してテクスチャの画像データを設定するテクスチャ設定手段(VDPにおける特別キャラクタ用のテクスチャマッピング処理を実行する機能)を備え、
前記オブジェクトの画像データとして所定個別画像(特別キャラクタ)を表示させる場合に用いられる所定オブジェクトデータ(特別オブジェクトPC20)が含まれており、さらに前記テクスチャの画像データとして前記所定オブジェクトデータに対して設定される所定テクスチャデータ(第1部分テクスチャPC21〜PC23、第2部分テクスチャPC24〜PC27)が含まれており、
前記所定テクスチャデータは、
前記所定オブジェクトデータの第1パーツデータ(本体パーツ部BP)に対して設定される第1テクスチャデータ(第1部分テクスチャPC21〜PC23)と、
前記所定オブジェクトデータの第2パーツデータ(付属パーツ部AP1〜AP4)に対して設定される第2テクスチャデータ(第2部分テクスチャPC24〜PC27)と、
が含まれており、
前記テクスチャ設定手段は、
前記第1パーツデータに対して設定する前記第1テクスチャデータの種類を変更する第1設定手段(VDP135におけるステップS3401〜ステップS3403を実行する機能)と、
前記第2パーツデータに対して前記第2テクスチャデータを設定する場合において、当該第2パーツデータに対する当該第2テクスチャデータの設定位置関係を変更する第2設定手段(VDP135におけるステップS3405〜ステップS3409を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴E1によれば、所定個別画像の外観を変化させる場合において、設定するテクスチャデータの種類をまとめて変更するのではなく、テクスチャデータの一部である第1テクスチャデータについては種類を変更する一方、テクスチャデータの他の一部である第2テクスチャデータについては第2パーツデータに対する設定位置関係を変更させる構成である。これにより、所定個別画像の一部については外観を複雑に変化させるようにしながら、他の一部については外観の変化の複雑さを低減する代わりにデータ容量の削減が図られる。よって、データ容量と処理負荷とのバランスを図りながら、上記のように所定個別画像の外観を変化させることが可能となる。
特徴E2.前記所定個別画像において前記第2パーツデータが占める割合は、前記第1パーツデータが占める割合よりも小さいことを特徴とする特徴E1に記載の遊技機。
特徴E2によれば、テクスチャデータの種類ではなく設定位置関係が変更される領域は、テクスチャデータの設定位置関係ではなく種類が変更される領域に比べて、外観を変化させる場合においてその変化が乏しいものとなるが、前者の領域の方が小さいため、所定個別画像全体としては外観が大きく変化していると遊技者に認識させることが可能となる。
特徴E3.前記所定オブジェクトデータに対応した所定個別画像において前記第1パーツデータが占める領域には、当該所定個別画像において特定の外縁部分に対する相対位置が変化しない画像部分(目や口の模様部分)が存在していることを特徴とする特徴E1又はE2に記載の遊技機。
特徴E3によれば、相対位置が変化すると好ましくない画像部分については、第1テクスチャデータとして設定されているため、当該画像部分を含めた領域の外観の変化を好適に行うことが可能となる。
特徴E4.前記第2テクスチャデータは、一方の境界部分に設定されている色情報がその逆側の境界部分に設定されている色情報に対して連続性を有していることを特徴とする特徴E1乃至E3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴E4によれば、第2テクスチャデータの設定位置関係を変化していった場合において、所定個別画像に模様の境界が生じてしまうことが抑制される。
特徴E5.前記第2パーツデータ及び前記第2テクスチャデータの組合せは、複数存在しており、
前記第2設定手段は、一の前記第2テクスチャデータの設定位置関係を変更する場合には他の前記第2テクスチャデータの設定位置関係を変更するものであることを特徴とする特徴E1乃至E4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴E5によれば、第2テクスチャデータが複数存在している構成において、それら第2テクスチャデータの設定に要する処理負荷の軽減が図られる。
上記特徴E群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるオブジェクトが設定されるとともに、そのオブジェクトに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたオブジェクトを所望の視点から平面上に投影した生成データが生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
ここで、表示演出への遊技者の興味を高めるためには、表示演出のさらなる改良を図ることが好ましい。その一方、表示演出のさらなる改良を図る上で、データ容量が極端に増加してしまうことは好ましくない。
以下に、以上の各特徴を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。