JP5233079B2 - 溶解性cod成分除去剤及び水処理方法 - Google Patents

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本発明は、溶解性COD成分除去剤及び水処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、印刷工場、半導体工場、食品工場、紙・パルプ工場などから排出される工場排水、あるいは、浄水や用水に含まれる溶解性COD成分を、取り扱いが容易な膨潤性層状粘土鉱物分散液を用いて効率的に除去することができる溶解性COD成分除去剤及び水処理方法に関する。
従来より、工場排水などに含まれる溶解性COD成分を処理する技術としては、凝集沈殿処理が一般的である。しかし、凝集沈殿処理は、無機凝集剤の荷電中和作用により、負電荷を帯びている懸濁物質や、アニオン性の溶解性COD成分を除去する方法であり、印刷工場、半導体工場、自動車工場、食品工場、紙・パルプ工場などの多くの工場排水で問題となっているノニオン性界面活性剤などのノニオン性の溶解性COD成分を除去することは困難である。
ノニオン性の溶解性COD成分を除去する手段としては、活性炭処理、紫外線照射、オゾン処理、硫酸第一鉄と過酸化水素を組み合わせたフェントン処理などの物理化学的手法が挙げられる(非特許文献1)。しかし、いずれも処理効率が低く、薬剤コストや電気代が嵩むために、広く普及しているとは言いがたい。
また、排水処理を安定的に効率よく行う方法として、それ自身凝集性を高めてフロックを容易に生成させる親水性の粘土鉱物などの加重剤を排水に添加したのち、凝集沈殿処理する排水の処理方法が提案されている(特許文献1)。被処理水に粘土鉱物を添加して、懸濁物質の凝集フロックを粗大化し、沈降速度を高める方法は従来から用いられてきた。しかし、粘土鉱物は薬剤自体が低価格であるという利点はあるものの、やはり処理効率が低く、汚泥量が増加するという欠点があった。
本発明者らは、溶解性COD成分を含む被処理水に、特定の膨潤性層状粘土鉱物を添加して溶解性COD成分を吸着させたのち、溶解性COD成分を吸着した膨潤性層状粘土鉱物を分離することにより、被処理水中の溶解性COD成分を効率よく除去し得ることを見いだした。しかし、この方法では膨潤性層状粘土鉱物を固体として取り扱う必要があり、作業性に問題が残されていた。
本山信行、促進酸化法、化学工業、30巻9号、335−338(2002)。 特開2003−245504号公報
本発明は、印刷工場、半導体工場、食品工場、紙・パルプ工場などから排出される工場排水、あるいは、浄水や用水に含まれる溶解性COD成分を、取り扱いが容易な膨潤性層状粘土鉱物分散液を用いて効率的に除去することができる溶解性COD成分除去剤及び水処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、膨潤性層状粘土鉱物を被処理水中に添加して、被処理水中の溶解性COD成分を吸着させたのち、被処理水から膨潤性層状粘土鉱物を分離する水処理方法において、膨潤性層状粘土鉱物とアルカリ金属塩とを水に添加することにより、低粘度で、取り扱いが容易で、汎用性の高い膨潤性層状粘土鉱物分散液が得られることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)スメクタイトを有効成分とする膨潤性層状粘土鉱物10〜30重量%とアルカリ金属塩1〜25重量%と水とを含有する溶解性COD成分除去剤であって、スメクタイトの層間に含まれるナトリウムイオンがカルシウムイオンに対して1.8倍以上のミリ当量比[ただし、膨潤性層状粘土鉱物からpH7の1モル/L酢酸アンモニウム水溶液により交換溶出してくるCa 2+ 、Mg 2+ 、K + 、Na + の量を、検体乾物重100gあたりのミリ当量(meq/100g)として、原子吸光法により測定し、この測定結果から得たNa + とCa 2+ の比をスメクタイトの層間に含まれるナトリウムイオンとカルシウムイオンとの当量比とみなす]であり、かつ、スメクタイトに含まれるノントロナイトの存在比がスメクタイトに対して6.0モル%以上であることを特徴とする溶解性COD成分除去剤、
)膨潤性層状粘土鉱物を被処理水に添加して、被処理水中の溶解性COD成分を吸着させる吸着工程と、該吸着工程を経た被処理水から溶解性COD成分吸着膨潤性層状粘土鉱物を分離して被処理水から溶解性COD成分を除去する分離工程とを有する水処理方法において、(1)記載の溶解性COD成分除去剤の分散液を被処理水に添加して、被処理水から溶解性COD成分を除去することを特徴とする水処理方法、及び、
被処理水からの溶解性COD成分除去率が85.1%以上である()記載の水処理方法、
を提供するものである。
本発明の溶解性COD成分除去剤及び水処理方法によれば、膨潤性層状粘土鉱物を用いて、通常の凝集沈殿処理では除去することが困難なノニオン性の溶解性COD成分を効果的に除去することができる。本発明の溶解性COD成分除去剤は、膨潤性層状粘土鉱物を分散液としているために、新たに粉体供給装置や粉体分散装置を増設する必要がなく、粉塵などの問題が発生せず、取り扱いが容易であり、汎用性が高い。
本発明の溶解性COD成分除去剤は、膨潤性層状粘土鉱物とアルカリ金属塩と水とを含有し、膨潤性層状粘土鉱物がスメクタイトを有効成分とし、スメクタイトの層間に含まれるナトリウムイオンがカルシウムイオンに対して1.8倍以上のミリ当量比、又は、スメクタイトに含まれるノントロナイトの存在比がスメクタイトに対して6.0モル%以上である。
本発明の水処理方法は、膨潤性層状粘土鉱物を被処理水に添加して、被処理水中の溶解性COD成分を吸着させる吸着工程と、該吸着工程を経た被処理水から膨潤性層状粘土鉱物を分離する分離工程とを有する水処理方法であって、スメクタイトを有効成分とし、スメクタイトの層間に含まれるナトリウムイオンがカルシウムイオンに対して1.8倍以上のミリ当量比、又は、スメクタイトに含まれるノントロナイトの存在比がスメクタイトに対して6.0モル%以上である膨潤性層状粘土鉱物とアルカリ金属塩と水とを含有する膨潤性層状粘土鉱物分散液を被処理水に添加する。
本発明の溶解性COD成分除去剤及び本発明方の水処理方法により処理し得るノニオン性の溶解性COD成分としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、デンプン、油状物質、たんぱく質などの生物代謝物などを挙げることができる。ノニオン性界面活性剤は、脂肪酸系、高級アルコール系、アルキルフェノール系に分類される。脂肪酸系ノニオン性界面活性剤としては、例えば、しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなどを挙げることができる。高級アルコール系ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどを挙げることができる。アルキルフェノール系ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどを挙げることができる。
本発明に用いる膨潤性層状粘土鉱物は、主成分が層状の結晶構造を有するケイ酸塩鉱物であり、水や有機物が層間に入って底面間隔が広がる粘土鉱物である。膨潤性層状粘土鉱物としては、例えば、スメクタイト、バーミキュライト、ハロイサイトなどを挙げることができる。本発明においては、スメクタイトを有効成分とする膨潤性層状粘土鉱物を用いる。本発明において、被処理水への膨潤性層状粘土鉱物の添加量に特に制限はなく、被処理水が含有する溶解性COD成分の量に応じて適宜選択することができる。過剰量の膨潤性層状粘土鉱物を被処理水に添加すると、汚泥の発生量が増加するが、処理された水の水質に悪影響が及ぶおそれはない。
本発明に用いる膨潤性層状粘土鉱物によるカチオン性やノニオン性の溶解性COD成分の吸着は、表面への物理的吸着と、層間への取り込み(インターカレーション)による層間複合体の形成の両方の吸着機構による。膨潤性層状粘土鉱物はアニオン性を有しているために、カチオン性の溶解性COD成分は、膨潤性層状粘土鉱物の表面にイオン吸着される。膨潤性層状粘土鉱物は、主としてカチオン性及びノニオン性の溶解性COD成分を吸着除去する効果が高いが、pHを一定範囲、例えば、2〜5に調整することによって、アニオン性の溶解性COD成分を吸着することも可能である。膨潤性層状粘土鉱物の端面のカチオン性が強くなり、アニオン性物質を吸着するという吸着機構による。
本発明において、溶解性COD成分を吸着した膨潤性層状粘土鉱物はアニオン性を有しているために、カチオン性を有する無機凝集剤や有機凝結剤などを添加することにより、微細フロックを形成させることができる。用いる無機凝集剤や有機凝結剤に特に制限はなく、無機凝集剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、硫酸第一鉄などを挙げることができる。また、有機凝結剤としては、例えば、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド)、アルキルアミン・エピクロルヒドリン縮合物、ポリエチレンイミンなどを挙げることができる。溶解性COD成分を吸着した膨潤性層状粘土鉱物に無機凝集剤や有機凝結剤などを添加し、必要に応じて、pHを調整したのち、ノニオン性又はアニオン性の高分子凝集剤を添加して微細フロックを粗大化し、固液分離することにより処理水を得ることができる。なお、溶解性COD成分を吸着した膨潤性層状粘土鉱物を除去する手段としては、凝集処理に限らず、膜処理などを用いることもできる。
本発明において、膨潤性層状粘土鉱物中のスメクタイト存在比は30重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましい。スメクタイトは、天然には常に微粒の粘土として産し、イオン交換性、膨潤性、複合体形成能などの化学的活性が強いので好適に用いることができる。用いるスメクタイトに特に制限はなく、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイトなどの2八面体型、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどの3八面体型、2八面体型雲母/2八面体型スメクタイトのレクトライト、2八面体型緑泥石/2八面体型スメクタイトのトスダイト、タルク/3八面体型スメクタイトのアリエッタイトなどの混合層鉱物などを挙げることができる。これらの中で、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト及びヘクトライトを多く含むものを好適に用いることができる。膨潤性層状粘土鉱物のスメクタイト存在比が30重量%未満であると、溶解性COD成分の吸着効率が低下するおそれがある。
本発明において、膨潤性層状粘土鉱物のスメクタイト存在比は、例えば、Meringの方法によるX線回折パターンの解析により求めることができる。図1は、2八面体型雲母/スメクタイト混合層鉱物の模式的X線回折パターンであり、上段が未処理のパターン、下段がグリセリン処理後のパターンである。10.7Åの底面反射は、グリセリン処理により9.82Åに減少し、5.01Åの底面反射は、グリセリン処理により高さが低く、幅広い反射に変わっている。処理前の10.7Åの反射は、雲母成分層の一次反射10.0Åとスメクタイト成分層の一次反射15.0Åとの干渉により生じたものである。このピーク位置から雲母成分層及びスメクタイト成分層の反射位置までの距離をx及びyとすると、スメクタイト成分層の存在比は近似的にx/(x+y)で与えられる。グリセリン処理後の9.82Å反射は、雲母成分層の一次反射とグリセリン処理後のスメクタイト成分層の二次反射との干渉によると見ることができる。処理前の5.01Å反射がシャープであるのは、雲母成分層の二次反射とスメクタイト成分層の三次反射の位置が一致するためである。これらのピークと各成分層本来の反射の位置関係から、雲母成分層とスメクタイト成分層の存在比を算出し、これらの平均値として雲母成分層とスメクタイト成分層の存在比を求めることができる。
本発明に用いるスメクタイトを有効成分とする膨潤性層状粘土鉱物は、(1)層間に含まれるナトリウムイオンがカルシウムイオンに対して1.8倍以上のミリ当量比、(2)スメクタイトに含まれるノントロナイトの存在比がスメクタイトに対して6.0モル%以上のいずれか一方の条件又は両方の条件を満たす。スメクタイトの層間に含まれるナトリウムイオンが、カルシウムイオンに対して1.8倍未満のミリ当量比であり、かつ、スメクタイトに含まれるノントロナイトの存在比がスメクタイトに対して6.0モル%未満であると、溶解性COD成分の除去効率が低下するおそれがある。層間に含まれるナトリウムイオンのカルシウムイオンに対するミリ当量比は、より好ましくは2.2倍以上、さらに好ましくは2.5倍以上である。また、スメクタイトに含まれるノントロナイトのスメクタイトに対する存在比は、より好ましくは6.5モル%以上、さらに好ましくは7.0モル%以上である。
ノントロナイトは、理想式W0.33Fe2 3+(Si3.67Al0.33)O10(OH)2を有する粘土鉱物である。ただし、式中、Wは1価とみなす層間陽イオンを表し、層間水は省略されている。ノントロナイトは、バイデライトの八面体AlをFe3+で置換したものであるが、通常は八面体にAlとMgを少量含み、モンモリロナイトとバイデライトとの中間組成を有している。黄色で、土状又はオパールに似た外観を示し、クロロパール(chloropal)と呼ばれることもある。
ノントロナイトのスメクタイトに対する存在比は、ノントロナイトの含有量をX線回折などの手法を用いて測定することができるが、簡易的には高周波誘導プラズマ(ICP)発光分光分析−質量分析(MS)などの元素分析を用いて、Si、Al、Mg、Fe(III)を定量分析し、モンモリロナイト、バイデライト及びノントロナイトの組成式(理想式)より計算によって算出することができる。
すなわち、モンモリロナイト、バイデライト及びノントロナイトの理想式は、次の通りである。
モンモリロナイト W0.33(Al1.67Mg0.33)Si410(OH)2
バイデライト W0.33Al2(Si3.67Al0.33)O10(OH)2
ノントロナイト W0.33Fe2 3+(Si3.67Al0.33)O10(OH)2
ただし、Wは1価とみなす層間陽イオンを表し、層間水は省略されている。モンモリロナイト、バイデライト及びノントロナイトのモル比をそれぞれx、y及びzとして、モンモリロナイトなどの理想式と元素分析によって求めたSi、Al、Mg、Fe(III)の値より連立方程式を作成し、作成した連立方程式を解くことにより、ノントロナイトのスメクタイトに対する存在比を、次式により算出することができる。
ノントロナイト/スメクタイト存在比 =[z/(x+y+z)]×100(モル%)
なお、後述する実施例のノントロナイト/スメクタイト存在比は、本簡易方法によって算出したものである。膨潤性層状粘土鉱物のスメクタイトに含まれるノントロナイトの存在比が、スメクタイトに対して6.0モル%未満であると、溶解性COD成分の除去効率が低下するおそれがある。ノントロナイト/スメクタイトの存在比は、6.5モル%以上であることがより好ましく、7.0モル%以上であることがさらに好ましい。
本発明においては、膨潤性層状粘土鉱物として、合成品、天然品のいずれをも用いることができる。市販されている合成膨潤性層状粘土鉱物としては、合成スメクタイトであるルーセンタイト(登録商標)[コープケミカル(株)]、ヘクトライト構造のラポナイト[東ソー・シリカ(株)]、サポナイト構造のスメクトン(登録商標)SA[クニミネ工業(株)]などがあり、天然膨潤性層状粘土鉱物としては、ベントナイトを精製したモンモリロナイト構造のベンゲル(登録商標)A[(株)ホージュン]、スーパークレイ(登録商標)[(株)ホージュン]などがある。本発明においては、膨潤性層状粘土鉱物は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明に用いる膨潤性層状粘土鉱物は、層間にアルカリ金属やアルカリ土類金属を担持しており、アルカリ金属を多く担持している膨潤性層状粘土鉱物は、水和しやすい構造をとるために膨潤性に優れ、溶解性COD成分を吸着する能力が高い。担持されるアルカリ金属としては、ナトリウムとカリウムが挙げられる。天然の膨潤性層状粘土鉱物では、ナトリウムの方が一般的である。ナトリウムイオンとカルシウムイオンの担持比率は、膨潤性層状粘土鉱物からpH7の1モル/L酢酸アンモニウム水溶液により交換溶出してくるCa2+、Mg2+、K+、Na+の量を、検体乾物重100gあたりのミリ当量(meq/100g)として、原子吸光法により測定し、この測定結果からNa+とCa2+の比を算出することができる。ただし、pH依存荷電を有する粘土鉱物では、pHが低下すると陽イオン交換容量(陰荷電量)も減少するので、この場合は、試料と同じpHの交換抽出液を用いて陽イオン交換容量とその飽和度を求める。
本発明においては、膨潤性層状粘土鉱物を含有する分散液を製品形態とすることができる。膨潤性層状粘土鉱物分散液中の膨潤性層状粘土鉱物の濃度は、10〜30重量%であることが好ましく、20〜30重量%であることがより好ましい。膨潤性層状粘土鉱物の濃度が10重量%未満であると、物流コストが高くなるおそれがある。膨潤性層状粘土鉱物の濃度が30重量%を超えると、分散液の流動性が著しく低下するおそれがある。
本発明においては、膨潤性層状粘土鉱物分散液が、アルカリ金属塩1〜25重量%を含有することが好ましく、5〜10重量%を含有することがより好ましい。アルカリ金属塩としては、塩化ナトリウム及び塩化カリウムを好適に用いることができる。膨潤性層状粘土鉱物分散液にアルカリ金属塩を含有させることにより、膨潤性層状粘土鉱物分散液の粘度を下げて流動性を向上し、粉体供給装置や粉体分散装置などを使用することなく、粉塵などの問題が発生せず、容易に取り扱うことができる。アルカリ金属塩の含有量が1重量%未満であると、膨潤性層状粘土鉱物分散液の流動性が十分に向上しないおそれがある。アルカリ金属塩の含有量が25重量%を超えると、腐食性イオンである塩素イオンなどの影響により、溶解タンクや薬品ポンプ、薬注ライン等への腐食のおそれがある。
本発明においては、膨潤性層状粘土鉱物分散液が、アルカリ金属水酸化物1〜25重量%を含有することが好ましく、5〜10重量%を含有することがより好ましい。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを好適に用いることができる。膨潤性層状粘土鉱物分散液にさらにアルカリ金属水酸化物を含有させることにより、膨潤性層状粘土鉱物分散液の粘度をいっそう下げてさらに流動性を向上することができる。アルカリ金属水酸化物の含有量が1重量%未満であると、膨潤性層状粘土鉱物の流動性向上効果が十分に発現しないおそれがある。アルカリ金属水酸化物の含有量が25重量%を超えると、分散液のpHが高くなりすぎて、溶解タンクや薬注ポンプ、薬注ライン等への腐食のおそれがある。
本発明において、ナトリウムイオンやカリウムイオンは、膨潤性層状粘土鉱物の層間の膨潤を抑える効果があり、さらにヒドロキシルイオンを同時に存在させることによって、膨潤性層状粘土鉱物が会合構造(カードハウス構造)を形成し、分散液の粘性の増加を抑制することができる。本発明において、アルカリ金属塩とアルカリ金属水酸化物の濃度は、膨潤性層状粘土鉱物の濃度や、目的とする粘度などに合わせて任意に設定することができる。
本発明の溶解性COD成分除去剤は、直接被処理水に添加することができ、あるいは、希釈水を用いて希釈したのち、被処理水に添加することもできる。
本発明の水処理方法は、単独で用いることができ、あるいは、物理化学処理、生物処理、膜処理、活性炭処理などの他の処理方法と併用することもできる。他の処理方法の後段で本発明方法を用いると、他の処理方法で処理できない溶解性COD成分を除去することができる。また、他の処理方法の前段で本発明方法を用いると、後段の処理方法の負荷が大幅に低減され、安定な運転が可能となる。
図2は、本発明の水処理方法の実施の一態様の工程系統図である。溶解性COD成分を含有する被処理水が、貯留槽1から吸着槽2に送られ、膨潤性層状粘土鉱物を含有する本発明の溶解性COD除去剤が添加され、溶解性COD成分が膨潤性層状粘土鉱物に吸着される。溶解性COD成分が膨潤性層状粘土鉱物に吸着された被処理水は、凝集槽3に送られ、凝集剤が添加されて、膨潤性層状粘土鉱物の懸濁粒子が凝集してフロックを形成する。凝集フロックが形成された被処理水は、沈殿槽4に送られ、固液分離により処理水と汚泥に分離される。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
参考例1
膨潤性層状粘土鉱物の性質とCOD成分の除去性能の関係を調べた。
ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)を純水に溶解して調製したTOC濃度89.0mgC/Lの模擬排水を用いて、模擬試験を実施した。
模擬排水500mLをビーカーに採取し、第1表のスメクタイトを有効成分(スメクタイト存在比60重量%以上)とする膨潤性層状粘土鉱物を添加濃度が100mg/Lとなるように添加し、ジャーテスターを用いて撹拌速度150rpmで1分間撹拌した。次いでPAC(ポリ塩化アルミニウム)を濃度が500mg/Lとなるように添加し、さらに1分間撹拌した。次いで、水酸化ナトリウムを用いてpHを7.0に調整し、No.5Aろ紙を用いて微細フロックを除去して処理水を得た。処理水のTOC除去率を第1表に示す。
なお、第1表記載の膨潤性層状粘土鉱物は、クニピア(登録商標)B[クニミネ工業(株)]、穂高(登録商標)[(株)ホージュン]、クニゲル(登録商標)V1[クニミネ工業(株)]、クニゲル(登録商標)VA[クニミネ工業(株)]、スーパークレイ(登録商標)[(株)ホージュン]、ベンゲル(登録商標)A[(株)ホージュン]、クニピア(登録商標)F[クニミネ工業(株)]を単品あるいはそれぞれを混合することによって調製した。
Figure 0005233079
第1表に見られるように、スメクタイトの層間に含まれるナトリウムイオンがカルシウムイオンに対して1.8倍以上のミリ当量比である場合、又は、スメクタイトに含まれるノントロナイトの存在比がスメクタイトに対して6.0モル%以上の場合に、TOC除去率は62%以上となっており、十分な除去効果を示すことが分かる。
実施例1
膨潤性層状粘土鉱物としてNa型天然粘土鉱物[(株)ホージュン、スーパークレイ(登録商標)、スメクタイト、Na+/Ca2+当量比2.27倍、ノントロナイト存在比8.0モル%]を用い、膨潤性層状粘土鉱物分散液を調製した。
膨潤性層状粘土鉱物30g、塩化ナトリウム10g及び純水60gを混合して、分散液を調製した。得られた膨潤性層状粘土鉱物分散液の粘度を、B型回転粘度計[東機産業(株)]を用い、25℃、2号ローター、30rpmで測定したところ、932mPa・sであった。
実施例2
実施例1と同じ膨潤性層状粘土鉱物を用い、膨潤性層状粘土鉱物30g、塩化ナトリウム10g、水酸化ナトリウム10g及び純水50gを混合して、分散液を調製した。得られた膨潤性層状粘土鉱物の粘度を、実施例1と同様にして測定したところ、448mPa・sであった。
比較例1
実施例1と同じ膨潤性層状粘土鉱物30gと純水70gを混合した。得られた混合液は、粘性が高く、流動性がなく、未分散物も多く存在するために、粘度を測定することができなかった。
実施例1〜2及び比較例1の結果を、第2表に示す。
Figure 0005233079
第2表に見られるように、比較例1のように、膨潤性層状粘土鉱物と純水とを混合するだけでは、粘土鉱物濃度30重量%の流動性を有する分散液を得ることはできないが、塩化ナトリウム10重量%を添加した実施例1では、低粘度の膨潤性層状粘土鉱物分散液が得られ、さらに水酸化ナトリウム10重量%を添加した実施例2では、分散液の粘度がいっそう低下する。
実施例3
ノニオン性界面活性剤を含むCODMn240mgO/Lの自動車工場排水500mLをビーカーに採取し、実施例2で調製した膨潤性層状粘土鉱物分散液を、膨潤性層状粘土鉱物濃度が100mg/Lとなるように添加して、ジャーテスターを用いて撹拌速度150rpmで5分間撹拌した。次いで、濃度が500mg/Lとなるように塩化アルミニウムを添加し、1分間撹拌した。さらに、水酸化ナトリウムを用いてpHを7.0に調整し、5Aろ紙を用いてろ過し、微細フロックを除去して処理水を得た。得られた処理水のCODMnは、170mgO/Lであった。
実施例4
膨潤性層状粘土鉱物分散液を、膨潤性層状粘土鉱物濃度が200mg/Lとなるように添加した以外は、実施例3と同じ操作を行った。得られた処理水のCODMnは、125mgO/Lであった。
実施例5
膨潤性層状粘土鉱物分散液を、膨潤性層状粘土鉱物濃度が300mg/Lとなるように添加した以外は、実施例3と同じ操作を行った。得られた処理水のCODMnは、85mgO/Lであった。
比較例2
実施例1と同じノニオン性界面活性剤を含むCODMn240mgO/Lの自動車工場排水500mLをビーカーに採取し、ジャーテスターを用いて撹拌速度150rpmで5分間撹拌した。次いで、濃度が500mg/Lとなるように塩化アルミニウムを添加し、1分間撹拌した。さらに、水酸化ナトリウムを用いてpHを7.0に調整し、5Aろ紙を用いてろ過し、微細フロックを除去して処理水を得た。得られた処理水のCODMnは、220mgO/Lであった。
比較例3
濃度が1,000mg/Lとなるように塩化アルミニウムを添加した以外は、比較例2と同じ操作を行った。得られた処理水のCODMnは、217mgO/Lであった。
実施例3〜5及び比較例2〜3の結果を、第3表に示す。
Figure 0005233079
第3表に見られるように、ノニオン性界面活性剤を含む排水に膨潤性層状粘土鉱物分散液を添加した実施例3〜5では、溶解性COD成分が効率的に除去されている。これに対して、塩化アルミニウムのみを添加した比較例2〜3では、添加量を増加しても、溶解性COD成分を除去することは困難である。
本発明の溶解性COD成分除去剤及び水処理方法によれば、膨潤性層状粘土鉱物を用いて、通常の凝集沈殿処理では除去することが困難なノニオン性の溶解性COD成分を効果的に除去することができる。本発明の溶解性COD成分除去剤は、膨潤性層状粘土鉱物を分散液としているために、新たに粉体供給装置や粉体分散装置を増設する必要がなく、粉塵などの問題が発生せず、取り扱いが容易であり、汎用性が高い。
雲母/スメクタイト混合層鉱物の模式的X線回折パターンである。 本発明方法の実施の一態様の工程系統図である。
符号の説明
1 貯留槽
2 吸着槽
3 凝集槽
4 沈殿槽

Claims (3)

  1. スメクタイトを有効成分とする膨潤性層状粘土鉱物10〜30重量%とアルカリ金属塩1〜25重量%と水とを含有する溶解性COD成分除去剤であって、スメクタイトの層間に含まれるナトリウムイオンがカルシウムイオンに対して1.8倍以上のミリ当量比[ただし、膨潤性層状粘土鉱物からpH7の1モル/L酢酸アンモニウム水溶液により交換溶出してくるCa 2+ 、Mg 2+ 、K + 、Na + の量を、検体乾物重100gあたりのミリ当量(meq/100g)として、原子吸光法により測定し、この測定結果から得たNa + とCa 2+ の比をスメクタイトの層間に含まれるナトリウムイオンとカルシウムイオンとの当量比とみなす]であり、かつ、スメクタイトに含まれるノントロナイトの存在比がスメクタイトに対して6.0モル%以上であることを特徴とする溶解性COD成分除去剤。
  2. 膨潤性層状粘土鉱物を被処理水に添加して、被処理水中の溶解性COD成分を吸着させる吸着工程と、該吸着工程を経た被処理水から溶解性COD成分吸着膨潤性層状粘土鉱物を分離して被処理水から溶解性COD成分を除去する分離工程とを有する水処理方法において、請求項1記載の溶解性COD成分除去剤の分散液を被処理水に添加して、被処理水から溶解性COD成分を除去することを特徴とする水処理方法。
  3. 被処理水からの溶解性COD成分除去率が85.1%以上である請求項記載の水処理方法。
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