以下、本発明に係るグラスライニング製熱交換器の第一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、第一実施形態におけるグラスライニング製熱交換器100が示されている。該グラスライニング製熱交換器100は、被熱交換物としての気体を熱交換物としての冷媒との間で熱交換することによって、該被熱交換物の一部又は全部を凝縮(液化)して回収することができるものであり、熱交換面積が1乃至5m2(本第一実施形態では1m2)とな
るような比較的小型のものに特に適したものである。
具体的には、グラスライニング製熱交換器100は、例えば、医薬や食料品などを加熱しながら混合・攪拌等の加熱処理するためのリアクター(図示しない)の内部において、加熱処理時に発生する蒸気(ベーパ)を冷却水などの冷媒との間で熱交換して冷却することによって、該蒸気自体や該蒸気に含まれる例えば酸や有機物などを凝縮して回収するためのものである。
かかるグラスライニング製熱交換器100は、筒形状を有する本体部1と、該本体部1における筒形状の内部領域に挿入されるグラスライニング製熱交換器用ユニット2とを備える。
本体部1は、軸線Cが直線状に形成された両端部が開口した円筒形状であり、外径及び内径が共に一端部1aから他端部1bにかけて概ね一定の寸法となっている。また、本体部1の一端部1aには、一端側フランジ部11が形成されており、他端部1bには、他端側フランジ部12が形成されている。そして、本体部1の一端面となる一端側フランジ部11のフランジ面11aと、他端面となる他端側フランジ部12のフランジ面12aとは、それぞれ本体部1の軸線Cに対し直交しており、従って互いに平行となっている。また、一端側フランジ部11の裏面側の周縁部には、該一端側フランジ部11と後述する本体蓋部3とをクランプCPで締付けるために裏面側からフランジ面11a側へ向けて凹設された凹部111が形成されている。同様に、他端側フランジ部12の裏面側の周縁部には、裏面側からフランジ面12a側へ向けて凹設された凹部121が形成されている。尚、一端側フランジ部11及び他端側フランジ部12の締付け方法はクランプCPに限られず、例えばボルト等によって固定してもよい。この場合、前記凹部111や凹部121は不要である。
また、本体部1には、被熱交換物としての気体が内部へ流入される流入口13が設けられている。具体的には、流入口13は、本体部1の他端部1b側の側面から径方向外方へ向けて突設されている。尚、本体部1の内面14と流入口13の内面13aとには、その全面に連続するようにグラスライニングが施されている。
また、本体部1の一端部1aには、該一端部1aの開口を開閉するための本体蓋部3が設けられている。該本体蓋部3は、裏面3a側が平坦面に形成された円板形状であり、表面3b側の周縁部に、クランプCPを取り付けるための凹部31が必要に応じて形成されるものである。また、本体蓋部3には、その中央部に孔32が形成されている。該孔32は、被熱交換物としての気体が熱交換することによってその一部又は全部が凝縮して生じる液体を回収するための液出口となるのであるが、この点については後述する。尚、本体蓋部3の裏面3aには、グラスライニングが全面に施されており、孔32の周面32aにもグラスライニングが全面に施されている。
尚、本体部1の外面15には、熱交換物としての冷媒を本体部1の外面15に沿って流通させることができるジャケット4が設けられている。本実施形態では、ジャケット4は、本体部1の外面15のうち流入口13より一端部1a側ほぼ全域に亘って設けられており、また、本体部1の周方向全体に亘って形成されている。尚、ジャケット4には、その内部に冷媒を注入するための注入口41と、内部から冷媒を注出するための注出口42とが設けられている。
グラスライニング製熱交換器用ユニット2は、図2乃至4に示すように、軸線Cが直線状に形成される筒形状であり、一端部2aから他端部2bにかけてほぼ一定の径であり、他端部2bにはフランジ部が形成されている。このグラスライニング製熱交換器用ユニット2は、外管21と、該外管21の内径よりも小径の外径を有し、軸線Cが外管21の軸線Cに沿うように外管21の内部に挿通された内管22と、外管21の一端部211と内管22の一端部221とを連結する連結部23とを備える。
外管21は、軸線Cが直線状に形成された円筒形状であり、外径及び内径が共に一端部211から他端部212にかけて一定の寸法となっている。また、外管21の一端面211a及び他端面212aの双方は、軸線Cに対して直交しており、従って互いに平行となっている。尚、外管21の外径は、本体部1の内径よりも小さくなっている。
外管21の他端部212には、外フランジ部24が設けられている。尚、この外フランジ部24の表面24a側の周縁部には、必要に応じてクランプCPを取り付けるための凹部を設けてもよい。尚、外フランジ部24の外径は外管21の外径よりも大きく、孔241の径は外管21の内径と等しくなっている。
かかる外フランジ部24は、その裏面24bが外管21の他端面212aに当接した状態で外フランジ部24に取り付けられている。具体的には、外フランジ部24は、孔241の中心が外管21の軸線C上となり、裏面24bが外管21の軸線Cに直交し且つ外管21の他端面212aに当接するような配置で当該外管21に溶接されている。従って、外フランジ部24の孔241を形成する周面241aと外管21の内面21aとは、段差なく平坦に連結している。
内管22は、軸線Cが直線状に形成された円筒形状であり、外径及び内径が共に一端部221から他端部222にかけて一定の寸法となっている。この内管22は、外管21の内径よりも小径の外径を有し、しかも、その軸線C方向の長さが外管21の軸線C方向の長さよりも長くなっている。尚、内管22の一端面221a及び他端面222aの双方は、軸線Cに対し直交しており、従って互いに平行となっている。
内管22の他端部222には、内フランジ部25が設けられている。この内フランジ部25は、中央部に孔251が形成された所定厚さの円板形状であり、その外径は内管22の外径よりも大きく、孔251の径は内管22の内径と等しくなっている。尚、表面25a側の孔251の縁部2511は、円弧状に面取りされている。つまり、内フランジ部25の表面25aと孔251を形成する周面251aとは、屈曲することなく滑らかに連続している。また、図3,4に示すように、内フランジ部25には、熱交換物としての冷媒が内部へ注入される注入口253と、冷媒が内部から注出される注出口254とが設けられている。かかる注入口253と注出口254とは、中央部の孔251を介して対向するように設けられており、具体的には、180°対向した配置となっている。尚、内フランジ部25の表面25aは平坦面となっている。
かかる内フランジ部25は、その裏面25bが内管22の他端面222aに当接した状態で内管22に取り付けられている。具体的には、内フランジ部25は、孔251の中心が内管22の軸線C上となり、表面25aが内管22の軸線Cに直交する向きで、裏面25bを内管22の他端面222aに当接させて当該内管22に溶接されている。従って、内フランジ部25の孔251を形成する周面251aと内管22の内面22aとは、段差なく平坦に連結している。尚、注入口253と注出口254とは、内管22よりも径方向外側に位置する。
連結部23は、環状体であり、その断面形状が前記軸線C方向の一方側へ向けて開口した略U字状となるように構成されている。つまり、連結部23は、断面U字状の溝が環状に形成されて構成されている。尚、連結部23の内径は、内管22の内径に等しくなっている一方で、外径は外管21の外径に等しくなっている。
かかる連結部23を用いて外管21と内管22とは連結されている。具体的には、連結部23は、内管22が外管21の内部に挿通されて二重管とされた状態で、外管21の一端部211と内管22の一端部221とを全周に亘って連結している。
より詳細に説明すると、内管22は、その軸線Cが外管21の軸線Cに沿うように外管21の内部に挿通されている。具体的には、内管22は、その一端部221が外管21の一端部211側となり、他端部222が外管21の他端部212側となり、内管22の一端面221aが外管21の一端面211aと面一となり、更に、内管22の軸線Cが外管21の軸線Cと同軸となるように、外管21の内部領域に挿通されている。
そして、連結部23の径方向外側の縁部231が外管21の一端部211に接続されており、径方向内側の縁部232が内管22の一端部221に接続されている。尚、連結部23と外管21及び内管22とは、溶接にて接続されている。
尚、内管22の外面22bと外管21の内面21aとの間には、筒形状の空間である管空間P1が形成されており、該管空間P1の一端部P1a側を連結部23が閉塞している。尚、かかる管空間P1が、熱交換物が流通する熱交換流路Pとなるが、この点については後述する。
また、内管22の軸線C方向長さは、外管21の軸線C方向長さよりも長いので、内管22の他端部222は、外管21の他端部212から軸方向外方側へ突出している。換言すると、内管22の他端面222aと外管21の他端面212aとは、軸線C方向において離間しており、外管21の他端面212aは、内管22の他端面222aよりも一端部211側に位置している。従って、外フランジ部24は、内フランジ部25よりも軸線C方向一端部211側に離間しており、外フランジ部24の表面24aと内フランジ部25の裏面25bとの間には、フランジ隙間P2が形成されており、該フランジ隙間P2は、軸線C周り全周に亘って形成されている。
尚、内フランジ部25の表面25aと外フランジ部24の裏面24bとは、互いに平行であり、外管21又は内管22の軸線Cに対してそれぞれ直交している。
また、外フランジ部24の裏面24bと、外管21の外面21bと、連結部23の外面23aと、内管22の内面22aと、内フランジ部25の孔251を形成する周面251aと、該内フランジ部25の表面25aのうちの孔251の周縁部252とは、段差なく滑らかなに連続した面となっており、かかる面全体に連続的にグラスライニングが施されている。
また、前記管空間P1は、仕切板26によって仕切られている。具体的には、仕切板26は、熱交換流路Pを軸線C方向に沿う方向に仕切るものであり、具体的には、管空間P1をその軸線C方向に沿う方向に仕切るものであり、また、前記フランジ隙間P2を軸線C方向に沿う方向に仕切るものである。かかる仕切板26は、薄板状に形成されており、管空間P1を仕切る空間仕切部261と、フランジ隙間P2を仕切る隙間仕切部262とを備えている。
空間仕切部261は、長手方向全域に亘って一定幅に形成される薄板形状となっている。尚、本第一実施形態では、空間仕切部261の幅は、外管21の内径と内管22の外径との差に対して若干幅狭であり、最少隙間を形成するように形成されている。また、空間仕切部261の長手方向の長さは、内管22の軸線方向の長さより短くなっている。
隙間仕切部262は、空間仕切部261の長手方向一端部2611から該空間仕切部261の幅方向に延設されて形成されており、幅方向(図2でいう上下方向)に伸縮可能に構成されている。具体的には、隙間仕切部262は、内フランジ部25に取り付けられる内側部2621と外フランジ部24に取り付けられる外側部2622とを備え、内側部2621と外側部2622とは、各々板形状であり、互いに対向した状態で幅方向に相対変位可能となっている。尚、内側部2621の幅と外側部2622の幅とは、外フランジ部24の表面24aと内フランジ部25の裏面25bとの間の離間距離、つまりフランジ隙間P2の幅より十分に小さくなっている。また、内側部2621と外側部2622とは、幅方向において一部重なり合うように配置されている。
かかる仕切板26は、空間仕切部261が、その長手方向が外管21又は内管22の軸線C方向に沿い、幅方向が外管21又は内管22の径方向に沿うような向きで管空間P1に挿入され、隙間仕切部262が、その延設方向が外フランジ部24又は内フランジ部25の径方向に沿い、幅方向が外管21又は内管22の軸線C方向に沿うような向きでフランジ隙間P2に挿入されるように配置されている。
ここで、空間仕切部261は、その長手方向一端部2611が内管22の他端部222側となり、他端部2612が内管22の他端部221側となり、しかも、他端部2612側において、連結部23との間に隙間が形成されるように配置されている。
即ち、空間仕切部261は、管空間P1の一端部P1aから他端部P1bにかけて該一端部P1a側に隙間が形成されるように管空間P1を仕切っている。要するに、空間仕切部261は、他端部2612側において、連結部23との間に隙間が形成されるように管空間P1を仕切っている。従って、管空間P1の第一空間P11と第二空間P12とは、前記隙間を連通空間P3として連通している。
尚、空間仕切部261は内管22の外面22bに溶接され、隙間仕切部262の内側部2621は内フランジ部25の裏面25bに溶接され、隙間仕切部262の外側部2622は外フランジ部24の表面24aに溶接されている。
また、仕切板26は、軸線C周りに複数設けられており、具体的には、当該軸線C周りに180°対向するように一対設けられている。また、内フランジ部25に形成されている注入口253と注出口254とは、仕切板26を介して対向した配置となっている。つまり、仕切板26は、熱交換流路Pを注入側と注出側とに仕切るものであり、具体的には、管空間P1を第一空間P11と第二空間P12とに仕切り、フランジ隙間P2を注入口253に連通すると共に第一空間P11と連通する注入隙間P21と、注出口254に連通すると共に第二空間P12と連通する注出隙間P22とに仕切るものである。
更に、フランジ隙間P2は、その外周が閉塞部27によって閉塞されている。具体的には、閉塞部27は、環形状であり、その軸線C方向の幅が全周に亘って一定となっている。尚、閉塞部27の幅は、外フランジ部24の表面24aと内フランジ部25の裏面25bとの間の離間距離、つまりフランジ隙間P2の幅よりも大きくなっている。また、閉塞部27の内径は、内フランジ部25の外径に等しくなっている。
かかる閉塞部27は、内フランジ部25に嵌め込まれた状態で、幅方向一端部271が内フランジ部25に、他端部272が外フランジ部24に、それぞれ取り付けられている。具体的には、閉塞部27は、外管21又は内管22の軸線Cと同軸状態で内フランジ部25に嵌め込まれ、幅方向一端部271全周が内フランジ部25の側面に取り付けられ、他端部272全周が外フランジ部24の表面24aに取り付けられる。従って、閉塞部27は、フランジ隙間P2を外周全域に亘って閉塞する。尚、本実施形態では、閉塞部27と内フランジ部25及び外フランジ部24との取り付けは溶接である。
続いて、以上のような構成のグラスライニング製熱交換器用ユニット2の製造方法について説明する。
まず、グラスライニング製熱交換器用ユニット2を構成する外管21や内管22などの各パーツを、外管21の他端部212と内管22の他端部222とを連結せずにそれぞれ自由端となるように、それぞれ組み付ける(組付工程)。具体的には、組付工程においては、各パーツ全てを組み付ける一方で閉塞部27の幅方向一端部271と内フランジ部25とを溶接しない。これにより、外フランジ部24と内フランジ部25とが連結されず、従って、外管21の他端部212と内管22の他端部222とがそれぞれ自由端となる。即ち、組付工程においては、外管21の他端部212と内管22の他端部222とがそれぞれ軸線C方向に相対変位可能となるように組み付ける。
そして、グラスライニングを施す面、具体的には、外フランジ部24の裏面24bと、外管21の外面21bと、連結部23の外面23aと、内管22の内面22aと、内フランジ部25の孔251を形成する周面251aと、該内フランジ部25の表面25aのうちの孔251の周縁部252とに、ガラス粒子を、例えば吹付けや塗布などにより満遍なく付着させる(付着工程)。
そして、グラスライニング焼成用の炉を用いて焼成する(焼成工程)。これにより、ガラス粒子を付着させた面全面に亘って途切れることなく連続したグラスライニングを施すことができる。
最後に、閉塞部27の幅方向一端部271と内フランジ部25とを溶接する(仕上工程)。こうして、所定の面全体にグラスライニングが連続的に施されたグラスライニング製熱交換器用ユニット2を製造することができる。
尚、グラスライニング製熱交換器用ユニット2の製造方法は、これに限定されず、閉塞部27を2つの環状部で構成し、一方の環状部を外フランジ部24に、他方の環状部を内フランジ部25に、それぞれ溶接し、グラスライニングを施工した後、双方の環状部同士を溶接する方法とすることも可能である。
以上のような工程を経て得られるグラスライニング製熱交換器用ユニット2は、前記本体部1の内部に挿入されて取り付けられる。具体的には、図1に示すように、グラスライニング製熱交換器用ユニット2は、一端部2aが本体部1の一端部1a側となり、他端部2bが本体部1の他端部1b側となり、軸線Cが本体部1の軸線Cと同軸となる向きで、本体部1の他端部1b側の開口から該本体部1の内部に挿入される。
そして、外フランジ部24の裏面24bと本体部1の他端側フランジ部12のフランジ面12aとの間にガスケットGを挟み込んだ状態で、当該外フランジ部24と他端側フランジ部12とをクランプCPによって締付ける。尚、クランプCPは、外フランジ部24の凹部242と他端側フランジ部12の凹部121とに嵌め込んだ状態で締付ける。
尚、本体部1の一端部1a側の開口は、前記本体蓋部3によって閉じられる。具体的には、本体蓋部3の裏面3aと本体部1の一端側フランジ部11のフランジ面11aとの間にガスケットGを挟み込んだ状態で、当該本体蓋部3と一端側フランジ部11とをクランプCPによって締付けることによって、本体部1の一端部1a側の開口を閉鎖する。尚、外管21と内管22とを連結している連結部23と本体蓋部3との間には隙間が形成されており、該隙間は、後述するように連通流路Q3となる。
このように、本体部1とグラスライニング製熱交換器用ユニット2とが組み付けられて構成されるグラスライニング製熱交換器100には、被熱交換物が流通する被熱交換流路Qと、熱交換物が流通する熱交換流路Pとが形成される。
具体的には、図1及び5に示すように、本体部1と外管21との間には、本体部1又は外管21の軸線C方向に沿った筒形状の外流路Q1が形成されており、該外流路Q1の一端部Q11には、流入口13が連通している。尚、外流路Q1を形成する面である本体部1の内面14と外管21の外面21bとには、グラスライニングが施されており、同様に、流入口13の内面13aにもグラスライニングが施されている。
一方、内管22の内部空間は、前記軸線C方向に沿った直線状の内流路Q2となっている。該内流路Q2は、外流路Q1の軸線C方向に沿って当該外流路Q1における筒形状の内部領域に形成されている。即ち、内流路Q2は、外流路Q1を形成する内面(具体的には、外管21の外面21b)よりも径方向内側に形成されている。
また、内流路Q2は、外流路Q1の一端部Q11側から他端部Q12側に亘って形成されており、内流路Q2の一端部Q21は、外流路Q1の一端部Q11よりも軸線C方向外側に突出している。また、内流路Q2の一端部Q21は、被熱交換物を内部から流出させるための流出口となる内フランジ部25の孔251に連通している。また、内流路Q2の他端部Q22は、被熱交換物としての気体が熱交換することによってその一部又は全部が凝縮して生じる液体を回収するための液出口となる本体蓋部3の孔32に連通している。尚、内流路Q2を形成する面である内管22の内面22aと、流出口となる内フランジ部25の孔251の周面251aと、液出口となる本体蓋部3の孔32の周面32aとには、それぞれグラスライニングが施されている。
そして、外流路Q1と内流路Q2とは、各々の他端部Q12,Q22同士で連通している。具体的には、外流路Q1と内流路Q2とは、前記連結部23と本体蓋部3との間の隙間である連通流路Q3を介して連通している。尚、当該連通流路Q3を形成する面である連通部の外面23aと本体蓋部3の裏面3aとには、グラスライニングが施されている。
このように、グラスライニング製熱交換器100には、流入口13が設けられた外流路Q1と、一端部Q21側に流出口が設けられ他端部Q22側に液出口が設けられた内流路Q2とを備える被熱交換流路Qが形成されており、該被熱交換流路Qを形成する面にはグラスライニングが全面に施されている。
一方、外管21と内管22との間には前記管空間P1が、外フランジ部24と内フランジ部25との間には前記フランジ隙間P2が、それぞれ形成されており、該管空間P1とフランジ隙間P2とで熱交換流路Pが形成されている。この熱交換流路Pは、外流路Q1と内流路Q2との間に形成されており、その軸線Cが外流路Q1の軸線Cと一致している。
この熱交換流路Pは、仕切板26によって注入側と注出側とに仕切られており、具体的には、管空間P1が第一空間P11と第二空間P12とに仕切られており、フランジ隙間P2が、注入口253が設けられると共に第一空間P11と連通する注入隙間P21と、注出口254が設けられると共に第二空間P12と連通する注出隙間P22とに仕切られている。
そして、第一空間P11と第二空間P12とは、互いの一端部P111,P121同士で連通している。具体的には、第一空間P11と第二空間P12とは、仕切板26と前記連結部23との間の隙間である連通空間P3を介して連通している。
このように、グラスライニング製熱交換器100には、外流路Q1と内流路Q2との間に形成され、外流路Q1の軸線C方向に沿って筒形状に形成され、前記軸線C方向に沿う方向で第一空間P11と第二空間P12とに仕切られて構成される管空間P1を備え、該第一空間P11と第二空間P12とは、互いの一端部P111,P121同士で連通空間P3を介して連通しており、第一空間P11の他端部P112には注入口253が連通しており、第二空間P12の他端部P122には注出口254が連通している熱交換流路Pが形成されている。
尚、本第一実施形態では、本体部1の外面15に沿って熱交換物を流通させるための外側熱交換流路が形成されている。具体的には、本体部1の外面15には、前記ジャケット4によって筒形状の外側熱交換流路が形成されている。即ち、グラスライニング製熱交換器100には、外流路Q1の径方向外側に形成される筒形状の外側熱交換流路であって、その軸線Cが外流路Q1の軸線Cと一致し、一端部に注入口41が他端部に注出口42がそれぞれ設けられている外側熱交換流路が形成されている。
以上のような構成のグラスライニング製熱交換器100は、縦置きに設置されて使用される。具体的には、内フランジ部25が上側となり、本体蓋部3が下側となるように、本体部1の軸線C方向を上下方向へ向けて設置される。従って、外流路Q1は、その軸線C方向が上下方向となり、内流路Q2は、上下方向に沿って形成されることになる。
次に、かかるグラスライニング製熱交換器100の熱交換の仕組みについて、図1及び4,5を参照して説明する。尚、ここでは、グラスライニング製熱交換器100を縦置きに設置した場合を例として説明する。
例えば、医薬や食料品などを加熱しながら混合・攪拌等の加熱処理するためのリアクター(図示しない)を用いた加熱処理の最中に発生した被熱交換物としての気体(蒸気)を流入口13から流入すると(矢印V1)、該気体は、外流路Q1の一端部Q11である上端部から被熱交換流路Q内へ流入する。尚、この気体には、例えば加熱処理中に蒸発した水分や酸や有機物などが含まれる。
そして、被熱交換流路Q内へ流入した気体は、外流路Q1の周方向に回り込みつつ一端部Q11側から他端部Q12側へ向けて外流路Q1内を流れる(矢印V2)。つまり、流入口13から流入した気体は、外流路Q1内において、その周方向に広がりつつ下向きに流れる。
そして、外流路Q1の他端部Q12である下端部まで下向きに流れてきた気体は、前記連結部23と前記本体蓋部3との間の連通流路Q3から内流路Q2の他端部Q22である下端部へ流れ込む(矢印V3)。即ち、外流路Q1の下端部まで下向きに流れてきた気体は、外流路Q1と内流路Q2とが連通している連通流路Q3で内流路Q2の下端部に流れ込んで上向きに流れる。
そして、内流路Q2の下端部に流れ込んだ気体は、内流路Q2の一端部Q21である上端部へ向けて内流路Q2内を上向きに流れ(矢印V4)、最終的に内流路Q2の上端部に連通している流出口から外部へ流出する(矢印V5)。
一方、前記被熱交換物と熱交換する熱交換物としての冷媒(例えば、冷却水など)は、内フランジ部25に形成されている注入口253から注入され(矢印W1)、熱交換流路Pの他端部である上端部から当該熱交換流路P内に流入する。
ここで、注入口253は注入隙間P21を介して第一空間P11に連通しているので、注入口253から注入された冷媒は、当該第一空間P11内をその他端部P112から一端部P111へ向けて下向きに流れる(矢印W2)。
そして、前記第一空間P11の一端部P111である下端部まで流れてきた冷媒は、仕切板26と連結部23との間の連通空間P3から第二空間P12の一端部P121である下端部へ流れ込む(矢印W3)。即ち、第一空間P11の下端部まで下向きに流れてきた冷媒は、第一空間P11と第二空間P12とを連通する連通空間P3を介して第二空間P12の下端部に流れ込んで上向きに流れる。
そして、第二空間P12の下端部に流れ込んだ冷媒は、第二空間P12の他端部P122である上端部へ向けて第二空間P12内を上向きに流れ(矢印W4)、最終的に注出隙間P22を介して第二空間P12の上端部に連通している注出口254から外部へ注出される(矢印W5)。
即ち、仕切板26は、管空間P1の他端部P1b側から該空間内に注入された熱交換物が、管空間P1の軸線C方向に沿って一端部P1a側へ向けて流れ、当該一端部P1aで折返して軸線C方向に沿って他端部P1b側へ向けて流れ、最終的に他端部P1b側から注出されるように、管空間P1を仕切るものである。
尚、冷媒は、外側熱交換流路内にも注入される。具体的には、冷媒は、ジャケット4の一端部である下端部に設けられた注入口41から外側熱交換流路内に注入され(矢印W10)、当該外側熱交換流路内を、その周方向に広がりつつ他端部である上端部へ向けて上向きに流れ(矢印W11)、当該上端部に設けられている注出口42から外部へ注出される(矢印W12)。
このように、被熱交換物としての気体が被熱交換流路Q内を流通し、熱交換物としての冷媒が熱交換流路Pおよび外側熱交換流路をそれぞれ流通することによって、気体は冷媒との間で熱交換して冷却される。即ち、被熱交換流路Q内を流通する気体は、本体部1の内面14と、外管21の外面21bと、連結部23の外面23aと、内管22の内面22aとを備え、全面にグラスライニングが施されている面を熱交換面として、熱交換物との間で熱交換して冷却される。
ここで、被熱交換流路Q内を流通する気体が冷却されると、該気体の全部又は一部が凝縮(液化)して液体となる。かかる液体は、外流路Q1の他端部Q12側(下端部側)又は内流路Q2の他端部Q22側(下端部側)へ向けて流れる。具体的には、凝縮した液体は、本体部1の内面14や外管21の外面21b、内管22の内面22aなどを伝って下方側へ流れる。そして、下方側へ流れてきた液体は、本体蓋部3に形成されている液出口としての孔32から回収される(矢印V6)。即ち、流入口13から流入した気体のうち、冷媒との間で熱交換することによって凝縮した液体は液出口から(矢印V6)、凝縮しなかった気体は流出口から(矢印V5)、それぞれ取り出される。
以上のような構成のグラスライニング製熱交換器100にあっては、気体と冷媒とが熱交換するための熱交換面全面に、グラスライニングが施されているので、コンタミや金属溶出、例えば被熱交換物に含まれる酸などによる侵食などを効果的に防止することができる。
また、気体が流通する被熱交換流路Qは外流路Q1と内流路Q2とを備えるので、熱交換面の面積が大きく、従って、所望の熱交換率が得られるように熱交換面の大きさを確保しつつ小型化を図ることができる。例えば、熱交換面を1m2とする場合、従来の多重缶式
グラスライニング製熱交換器では、外径が約300mmで軸線C方向の長さが約1700mmとなるのに対し、本第一実施形態に係るグラスライニング製熱交換器100では、外径が約250mmで軸線C方向の長さが約1400mmとなり、従来よりもコンパクトなものとすることができる。
また、内流路Q2の他端部Q22には液出口が形成されているので、気体が冷媒と熱交換することによって凝縮した液体を液出口から取り出すことができる。即ち、流入した気体のうち、冷媒との熱交換によって凝縮した液体を液出口から(矢印V6)、凝縮しなかった気体を流出口から(矢印V5)、それぞれ気液分離した状態で取り出すことができる。
また、グラスライニング製熱交換器100は、グラスライニング製熱交換器用ユニット2を本体部1に対して抜き差しするだけで組み付けしたり分解したりすることができるので、メンテナンスし易い。
また、グラスライニング製熱交換器用ユニット2は、外管21の他端部212と内管22の他端部222とを連結せずにそれぞれ自由端とした状態でグラスライニングを施すので、外フランジ部24の裏面24bと、外管21の外面21bと、連結部23の外面23aと、内管22の内面22aと、内フランジ部25の孔251の周面251aとに、連続したグラスライニングを施すことができ、熱交換面となる面全体に連続的なグラスライニングを確実に施すことができる。
また、フランジ隙間P2を仕切る隙間仕切部262が幅方向に伸縮可能に構成されているので、外フランジ部24の裏面24bと、外管21の外面21bと、連結部23の外面23aと、内管22の内面22aと、内フランジ部25の孔251の周面251aとに、連続したグラスライニングを施すことができ、熱交換面となる面全体に連続的なグラスライニングを確実に施すことができる。
また、組付工程において、閉塞部27の幅方向一端部271と内フランジ部25との溶接を除く全ての組付作業をしているので、焼成工程後の仕上工程での作業が閉塞部27の幅方向一端部271と内フランジ部25との溶接のみとなる。従って、仕上工程においてガラス層が剥離してしまう虞を抑制することができる。
続いて、本発明に係るグラスライニング製熱交換器100の第二実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。尚、第一実施形態と対応する構成については、同じ又は関連する符号を付している。
本第二実施形態におけるグラスライニング製熱交換器100は、熱交換面の面積が約5m2である。該グラスライニング製熱交換器100は、図6に示すように、筒形状を有する
本体部1と、該本体部1における筒形状の内部領域に挿入される複数のグラスライニング製熱交換器用ユニット2とを備える。尚、本第二実施形態の本体部1および該本体部1に装着されるジャケット4は、第一実施形態の本体部1と概ね同じ構成である。
複数のグラスライニング製熱交換器用ユニット2は、それぞれ筒形状であり、各々の径の大きさは異なっている。本第二実施形態では、複数のグラスライニング製熱交換器用ユニット2は、本体部1の内径よりも小さい外径を有する第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201と、第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の内径よりも小さい外径を有する第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202と、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の内径よりも小さい外径を有する第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203とを備えてなる。
第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201は、第一実施形態のグラスライニング製熱交換器用ユニット2と概ね同じ構成である。但し、第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の内フランジ部25fの中央部に形成されている孔251は、流出口としては機能しない。
第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202は、その外管21の外径が第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の内管22の内径よりも小さくなっている。また、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の外フランジ部24sには、液出口となる孔243が形成されている。この孔243は、閉塞部27よりも外径側に形成されている。尚、内フランジ部25sに形成されている孔251は、流出口としては機能しない。
ここで、本第二実施形態に係るグラスライニング製熱交換器100は、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の内フランジ部25sに着脱可能なユニット蓋部5を備える。従って、本第二実施形態では、第一実施形態における本体蓋部3は設けられていない。
このユニット蓋部5は、裏面51側が平坦面に形成された円板形状であり、その外径が第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の内フランジ部25sの外径に概ね等しくなるように構成されている。また、ユニット蓋部5には、その中央部に孔52が形成されており、かかる孔52は、前記内フランジ部25sに形成されている孔251の径よりも小さくなっている。尚、後述するように、このユニット蓋部5の孔52は液出口として機能する。また、ユニット蓋部5には、内フランジ部25sの注入口253に対応する位置に注入用孔53が設けられており、更に、内フランジ部25sの注出口254に対応する位置に注出用孔(図示しない)が設けられている。尚、ユニット蓋部5の裏面51には、グラスライニングが全面に施されており、中央部に形成されている孔52の周面52aにもグラスライニングが全面に施されている。尚、図6では、説明の都合上、注入口253と注入用孔53とを図示している。
このようなユニット蓋部5は、その裏面51が第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の内フランジ部25sの表面25aに対向する向きで、注入用孔53が注入口253に、注出用孔が注出口254に、各々連通するように該内フランジ部25sに着脱可能に取り付けられる。尚、ユニット蓋部5は、内フランジ部25に取り外しできないように固定してもよい。
第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203は、その外管21の外径が第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の内管22の内径よりも小さくなっている。また、第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203の外フランジ部24tの外径は、第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の内フランジ部25fの外径と等しくなっている。また、第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203の外フランジ部24tには、第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の内フランジ部25fに形成されている注入口253に対応する位置に注入用孔(図示しない)が設けられており、更に、該内フランジ部25fの注出口254に対応する位置に注出用孔(図示しない)が設けられている。
尚、第一乃至第三グラスライニング製熱交換器用ユニット201,202,203は、第一実施形態のグラスライニング製熱交換器用ユニット2と同様の工程を経て製造される。
これら第一乃至第三グラスライニング製熱交換器用ユニット201,202,203は、径が大きいものから順に、本体部1の一端部1a側又は他端部1b側から交互に該本体部1の内部に挿入されて着脱可能に取り付けられている。
具体的には、第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201は、一端部が本体部1の一端部1a側となり、他端部が本体部1の他端部1b側となり、軸線Cが本体部1の軸線Cと同軸となる向きで、本体部1の他端部1b側の開口から該本体部1の内部に挿入される。
そして、第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の外フランジ部24fの裏面24bと本体部1の他端側フランジ部12のフランジ面12aとの間にガスケットGを挟み込んだ状態で、当該外フランジ部24fと他端側フランジ部12とをクランプCPによって締付ける。
次に、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202は、一端部が本体部1の他端部1b側となり、他端部が本体部1の一端部1a側となり、軸線Cが本体部1の軸線Cと同軸となる向きで、本体部1の一端部1a側の開口から該本体部1の内部、具体的には第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の内部に挿入される。
そして、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の外フランジ部24sの裏面24bと本体部1の一端側フランジ部11のフランジ面11aとの間にガスケットGを挟み込んだ状態で、当該外フランジ部24sと一端側フランジ部11とをクランプCPによって締付ける。尚、第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の連結部23と第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の外フランジ部24sとの間には連通流路Q3となる隙間が形成されている。
尚、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の内フランジ部25sには、前記ユニット蓋部5が取り付けられる。具体的には、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の内フランジ部25sの表面25aとユニット蓋部5の裏面51との間にガスケットGを挟み込んだ状態で、内フランジ部25sとユニット蓋部5とを例えばボルトによって締付けることによって、内フランジ部25sにユニット蓋部5を取り付ける。
次に、第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203は、一端部が本体部1の一端部1a側となり、他端部が本体部1の他端部1b側となり、軸線Cが本体部1の軸線Cと同軸となる向きで、本体部1の他端部1b側の開口、具体的には、第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の内フランジ部25fに形成されている孔251から、該本体部1の内部、具体的には第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の内部に挿入される。
そして、第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203の外フランジ部24tの裏面24bと第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の内フランジ部25fの表面25aとの間にガスケットGを挟み込んだ状態で、当該外フランジ部24tと内フランジ部25fとをボルトなどによって締付ける。尚、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の連結部23と第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203の外フランジ部24tとの間には、連通流路Q3となる隙間が形成され、また、ユニット蓋部5と第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203の連結部23との間には、連通流路Q3となる隙間が形成される。
このように、本体部1と複数のグラスライニング製熱交換器用ユニット201,202,203とが組み付けられて構成されるグラスライニング製熱交換器100には、被熱交換物が流通する被熱交換流路Qと、熱交換物が流通する熱交換流路Pとが形成される。
具体的には、本体部1と第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の外管21との間には、本体部1の軸線C方向に沿った筒形状の外流路Q1が形成されており、該外流路Q1の一端部Q11には、流入口13が連通している。また、外流路Q1の他端部Q12は、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の外フランジ部24sに形成されている孔243、即ち、液出口に連通している。
一方、第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203の内管22の内部空間は、前記軸線C方向に沿った直線状の内流路Q2となっている。該内流路Q2は、外流路Q1の軸線C方向に沿って当該外流路Q1における筒形状の内部領域に形成されている。即ち、内流路Q2は、外流路Q1を形成する内面(具体的には、第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の外管21の外面21b)よりも径方向内側に形成されている。
また、内流路Q2は、外流路Q1の一端部Q11側から他端部Q12側に亘って形成されており、内流路Q2の一端部Q21は、外流路Q1の一端部Q11よりも軸線C方向外側に突出している。また、内流路Q2の一端部Q21は、被熱交換物を内部から流出させるための流出口となる第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203の内フランジ部25tの孔251に連通している。また、内流路Q2の他端部Q22は、ユニット蓋部5の孔52、即ち、液出口に連通している。
ここで、外流路Q1と内流路Q2との間には、筒形状を有する中間流路が形成されている。該中間流路は、その一端部が外流路Q1の他端部Q12と連通し、他端部が内流路Q2の他端部Q22に連通することによって、外流路Q1と内流路Q2とを連通している。
具体的には、中間流路は、その軸線Cが外流路Q1の軸線Cに沿うように且つ外流路Q1における筒形状の内部領域に形成されている。具体的には、中間流路は、その外径が外流路Q1における筒形状の内径よりも小径であり、内径が内流路Q2の外径よりも大径となるように形成されている。
より詳細に説明すると、外流路Q1と内流路Q2との間には、筒形状を有する中間流路が複数形成されている。該複数の中間流路は、それぞれが外流路Q1と同軸となり且つ径方向内側の中間流路ほど小径となるように形成されており、しかも、軸線C方向の一端部が径方向内側において隣り合う中間流路の軸線C方向における他端部と対応し、他端部が径方向内側の中間流路の一端部と対応するように、軸線C方向の向きが交互に形成されており、他端部と径方向内側において隣り合う中間流路の一端部とが連通して各々が連通している。そして、最大径の中間流路が外流路Q1と連通し、最小径の中間流路が内流路Q2と連通している。
本第二実施形態では、第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の内管22と第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の外管21との間には、第一中間流路Q4が形成されている。この第一中間流路Q4は、外流路Q1よりも小径の筒形状であり、外流路Q1における筒形状の内部領域に形成されており、外流路Q1と同軸となっている。
また、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の内管22と第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203の外管21との間には、第二中間流路Q5が形成されている。この第二中間流路Q5は、第一中間流路Q4よりも小径の筒形状であり、第一中間流路Q4における筒形状の内部領域に形成されており、第一中間流路Q4と同軸となっている。尚、第二中間流路Q5は、内流路Q2よりも大径となっている。
そして、外流路Q1と第一中間流路Q4とは連通し、第一中間流路Q4と第二中間流路Q5とは連通し、第二中間流路Q5と内流路Q2とは連通している。具体的には、外流路Q1の他端部Q12と第一中間流路Q4の一端部Q41とは、第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の連結部23と第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の外フランジ部24sとの間の連通流路Q3を介して連通している。そして、第一中間流路Q4の他端部Q42と第二中間流路Q5の一端部Q51とは、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の連結部23と第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203の外フランジ部24tとの間の連通流路Q3を介して連通している。そして、第二中間流路Q5の他端部Q52と内流路Q2の他端部Q22とは、第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203の連結部23とユニット蓋部5との間の連通流路Q3を介して連通している。
このように、グラスライニング製熱交換器100には、一端部Q11に流入口13が設けられ他端部Q12に液出口が設けられた外流路Q1と、一端部Q21に流出口が設けられ他端部Q22に液出口が設けられた内流路Q2と、外流路Q1と内流路Q2とを連通する複数の中間流路とを備える被熱交換流路Qが形成されている。尚、該被熱交換流路Qを形成する面(被熱交換物と接触する面)にはグラスライニングが全面に施されている。
一方、第一乃至第三グラスライニング製熱交換器用ユニット201,202,203それぞれの外管21と内管22との間には、筒形状の熱交換流路Pf,Ps,Ptが形成されている。各々の熱交換流路Pf,Ps,Ptは、第一実施形態での熱交換流路Pと同様に、外流路Q1と内流路Q2との間に形成され、外流路Q1の軸線C方向に沿って筒形状に形成され、前記軸線C方向に沿う方向で第一空間P11と第二空間P12とに仕切られた管空間P1を備え、該第一空間P11と第二空間P12とは、互いの一端部P111,P121同士で連通空間P3を介して連通しており、第一空間P11の他端部P112には注入口253が設けられており、第二空間P12の他端部P122には注出口254が設けられて構成されている。
尚、第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201に形成されている熱交換流路Pfは、外流路Q1と第一中間流路Q4との間に形成されており、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202に形成されている熱交換流路Psは、第一中間流路Q4と第二中間流路Q5との間に形成されており、第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203に形成されている熱交換流路Ptは、第二中間流路Q5と内流路Q2との間に形成されている。
尚、本第二実施形態においては、第一実施形態と同様に、外側熱交換流路が形成されている。
以上のような構成のグラスライニング製熱交換器100は、第一実施形態と同様に、縦置きに設置されて使用される。従って、外流路Q1は、その軸線C方向が上下方向となり、中間流路は、その軸線C方向が上下方向となり、内流路Q2は、上下方向に沿って形成されることになる。
次に、かかるグラスライニング製熱交換器100の熱交換の仕組みについて説明する。尚、ここでは、グラスライニング製熱交換器100を縦置きに設置した場合を例として説明する。
例えば、医薬や食料品などを加熱しながら混合・攪拌等の加熱処理するためのリアクター(図示しない)を用いた加熱処理の最中に発生した被熱交換物としての気体(蒸気)を流入口13から流入すると(矢印V10)、該気体は、外流路Q1の一端部Q11である上端部から被熱交換流路Q内へ流入する。尚、この気体には、例えば加熱処理中に蒸発した水や酸や有機物などが含まれる。
そして、被熱交換流路Q内へ流入した気体は、外流路Q1の周方向に回り込みつつ一端部Q11側から他端部Q12側へ向けて外流路Q1内を流れる(矢印V11)。つまり、流入口13から流入した気体は、外流路Q1内において、その周方向に広がりつつ下向きに流れる。
そして、外流路Q1の他端部Q12である下端部まで下向きに流れてきた気体は、第一グラスライニング製熱交換器用ユニット201の連結部23と第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の外フランジ部24sとの間の連通流路Q3から、第一中間流路Q4の一端部Q41である下端部へ流れ込む(矢印V12)。即ち、外流路Q1の下端部まで下向きに流れてきた気体は、外流路Q1と第一中間流路Q4とが連通している連通流路Q3で第一中間流路Q4の下端部に流れ込んで上向きに流れる。
そして、第一中間流路Q4の下端部に流れ込んだ気体は、第一中間流路Q4の他端部Q42である上端部へ向けて第一中間流路Q4内を上向きに流れ(矢印V13)、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の連結部23と第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203の外フランジ部24tとの間の連通流路Q3から、第二中間流路Q5の一端部Q51である上端部へ流れ込む(矢印V14)。即ち、第一中間流路Q4の上端部まで上向きに流れてきた気体は、第一中間流路Q4と第二中間流路Q5とが連通している連通流路Q3で第二中間流路Q5の上端部に流れ込んで下向きに流れる。
そして、第二中間流路Q5の上端部に流れ込んだ気体は、第二中間流路Q5の他端部Q52である下端部へ向けて第二中間流路Q5内を下向きに流れ(矢印V15)、第三グラスライニング製熱交換器用ユニット203の連結部23とユニット蓋部5との間の連通流路Q3から、内流路Q2の他端部Q22である下端部へ流れ込む(矢印V16)。即ち、第二中間流路Q5の下端部まで下向きに流れてきた気体は、第二中間流路Q5と内流路Q2とが連通している連通流路Q3で内流路Q2の下端部に流れ込んで上向きに流れる。
そして、内流路Q2の下端部に流れ込んだ気体は、内流路Q2の一端部Q21である上端部へ向けて内流路Q2内を上向きに流れ(矢印V17)、最終的に内流路Q2の上端部に連通している流出口から外部へ流出する(矢印V18)。
一方、前記被熱交換物と熱交換する熱交換物としての冷媒(例えば、冷却水など)は、第一乃至第三グラスライニング製熱交換器用ユニット201,202,203それぞれに形成されている各熱交換流路Pf,Ps,Ptの注入口253からそれぞれ注入され、各熱交換流路P内を流通して最終的にそれぞれの熱交換流路Pの注出口254から外部へ注出される。
尚、各熱交換流路P内での冷媒の流れについては、第一実施形態における熱交換流路P内での冷媒の流れと同様である(矢印W1乃至W5)。但し、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202に形成される熱交換流路P内での冷媒の流れの上下方向は、第一実施形態における熱交換流路P内での冷媒の流れの上下方向とは逆方向となっている。
尚、冷媒は、第一実施形態と同様に、外側熱交換流路内にも注入される(矢印W10乃至W12)。
このように、被熱交換物としての気体が被熱交換流路Q内を流通し、熱交換物としての冷媒が熱交換流路Pおよび外側熱交換流路をそれぞれ流通することによって、気体は冷媒との間で熱交換して冷却される。即ち、被熱交換流路Q内を流通する気体は、本体部1の内面14と、第一乃至第三グラスライニング製熱交換器用ユニット201,202,203それぞれの外管21の外面21b及び連結部23の外面23a、内管22の内面22aと、を備え、全面にグラスライニングが施されている面を熱交換面として、熱交換物との間で熱交換して冷却される。
ここで、被熱交換流路Q内を流通する気体が冷却されると、該気体の全部又は一部が凝縮(液化)して液体となる。かかる液体は、外流路Q1の他端部Q12側(下端部側)又は第一中間流路Q4の一端部Q41側(下端部側)、第二中間流路Q5の他端部Q52側(下端部側)、内流路Q2の他端部Q22側(下端部側)へ向けて流れる。
具体的には、凝縮した液体は、本体部1の内面14や各外管21の外面21b、各内管22の内面22aなどを伝って下方側へ流れる。そして、下方側へ流れてきた液体は、第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202の外フランジ部24sに形成されている液出口としての孔243、若しくは、ユニット蓋部5に形成されている液出口としての孔52の何れか一方又は両方から回収される(矢印V19,V20)。即ち、流入口13から流入した気体のうち、冷媒との間で熱交換することによって凝縮した液体は液出口から(矢印V19,V20)、凝縮しなかった気体は流出口から(矢印V18)、それぞれ取り出される。
以上のような構成のグラスライニング製熱交換器100にあっては、気体と冷媒とが熱交換するための熱交換面全面に、グラスライニングが施されているので、コンタミや金属溶出、例えば被熱交換物に含まれる酸などによる侵食などを効果的に防止することができる。
また、気体が流通する被熱交換流路Qが外流路Q1と中間流路と内流路Q2とを備えているので、熱交換面の面積が大きく採ることができ、従って、所望の熱交換率が得られるように熱交換面の大きさを確保しつつ小型化を図ることができる。例えば、熱交換面を5m2とする場合、従来の多重缶式グラスライニング製熱交換器200では、外径が約700
mmで軸線C方向の長さが約2100mmとなるのに対し、本第二実施形態に係るグラスライニング製熱交換器100では、外径が約500mmで軸線C方向の長さが約1400mmとなり、従来よりもコンパクトなものとすることができる。
また、外流路Q1の他端部Q12と内流路Q2の他端部Q22とには、液出口がそれぞれ設けられているので、気体が冷媒と熱交換することによって凝縮した液体をそれぞれの液出口から取り出すことができる。即ち、流入した気体のうち、冷媒との熱交換によって凝縮した液体を液出口から(矢印V19,V20)、凝縮しなかった気体を流出口から、それぞれ気液分離した状態で取り出すことができる(矢印V18)。
また、第一乃至第三グラスライニング製熱交換器用ユニット201,202,203は、径が大きいものから順に、本体部1の一端部1a側又は他端部1b側から交互に該本体部1の内部に挿入されて着脱可能に取り付けることができるよう構成されているので、例えば第二グラスライニング製熱交換器用ユニット202のみを組み付け又は分解するというように、部分的に組み付け又は分解することができ、メンテナンスし易い。
尚、第一及び第二実施形態では、外管21に外フランジ部24が、内管22に内フランジ部25が、それぞれ設けられている場合について説明したが、これに限らず、1つのフランジ部を外管21及び内管22に設ける場合であってもよい。
例えば、図7に示すように、円板形状の共通フランジ部28を準備し、該共通フランジ部28の中央部に孔281を設け、孔281の裏面側周縁部に外管21の他端部212を溶接すると共に、孔281の表面側縁部と内管22の他端部222とを接続する接続部を介して内管22を共通フランジ部28に溶接する。尚、共通フランジ部28には、外管21と内管22との間の空間である管空間P1に連通する横孔282が径方向に沿って形成されている。
また、第一及び第二実施形態では、連結部23が断面U字状である場合について説明したが、これに限らず、外管21と内管22とを接合し、且つグラスライニング施工面が滑らかになるもので有ればよく、例えば図7に示すように、断面O字状であってもよい。この場合、冷媒が第一空間P11から第二空間P12へスムーズに流れ込むように孔を設けておくのが好ましい。
また、第一及び第二実施形態では、被熱交換物が気体(蒸気)であり、熱交換物が冷却水等の冷媒である場合について説明したが、冷媒としては不凍液なども利用でき、また、冷媒に限らず、被熱交換物が液体であり、熱交換物が熱水などの熱媒である場合であってもよい。この場合、被熱交換物の温度を熱交換によって上昇させることができるので、グラスライニング熱交換器を予熱装置として利用することができる。尚、熱交換物は、液体に限定されない。
更に、第一及び第二実施形態では、内流路Q2の軸線Cと外流路Q1の軸線Cとが同軸である場合について説明したが、これに限られず、双方の軸線Cが離間している場合であってもよく、或いは、両軸が角度を有する場合であってもよい。尚、第二実施形態における中間流路についても同様である。
また更に、第一及び第二実施形態では、外流路Q1の軸線C方向および内流路Q2の形成方向が上下方向である場合について説明したが、これに限らず、左右方向であってもよく、或いは、斜め方向であってもよい。尚、第二実施形態における中間流路についても同様である。
また、第一及び第二実施形態では、内流路Q2が直線形状である場合について説明したが、これに限らず、屈曲や湾曲した形状である場合であってもよい。或いは、内流路Q2を筒形状に形成することも可能である。
更に、第一及び第二実施形態では、外流路Q1の軸線Cが直線状である場合について説明したが、これに限らず、例えば屈曲や湾曲などした場合であってもよい。尚、第二実施形態における中間流路についても同様である。
また、第一及び第二実施形態では、流入口13と流出口とは、流入口13が外流路Q1に、流出口が内流路Q2に、それぞれ設けられる場合について説明したが、これに限らず、流入口13が内流路Q2に、流出口が外流路Q1に、それぞれ設けられる場合であってもよい。
更に、第一及び第二実施形態では、流入口13が1つ設けられる場合について説明したが、これに限らず、複数設けてもよい。
また更に、第一及び第二実施形態では、流入口13は、本体部1の側面に設けられる場合について説明したが、これに限らず、例えば、グラスライニング製熱交換器用ユニット2や本体蓋部3に設けられている場合であってもよい。
また、第一及び第二実施形態では、液出口が単数又は複数設けられる場合について説明したが、これに限らず、液出口を設けない場合であってもよい。
更に、第一及び第二実施形態では、熱交換流路Pの注入口253および注出口254の双方が内フランジ部25に設けられている場合について説明したが、これに限らず、例えば、少なくとも一方を外フランジ部24に設けることも可能であり、或いは、少なくとも一方を内フランジ部25と外フランジ部24との間の隙間に設けることも可能である。
また更に、第二実施形態では、中間流路が2つ形成される場合について説明したが、これに限らず、1つ或いは3つ以上形成される場合であってもよい。
また、第一及び第二実施形態においては、クランプCPやボルトを用いて、本体部とグラスライニング製熱交換器用ユニット、或いは、グラスライニング製熱交換器用ユニット同士を締め付ける場合について説明したが、これに限定されず、全てボルトを利用して締め付ける場合であってもよく、また、例えば、配管を接続する際に利用されるようなフランジ部全周を覆うタイプのクランプや他の種類のクランプを利用する場合であってもよい。何れにしても、確実に締め付けることができる締結部材であれば利用可能である。
更に、第一及び第二実施形態では、グラスライニング製熱交換器100がグラスライニング製熱交換器用ユニット2を1つ又は3つ備える場合について説明したが、これに限らず、2つ又は4つ以上備える場合であってもよい。尚、本発明に係るグラスライニング製本熱交換器を縦置きで利用する場合、熱交換を効果的に行うためにグラスライニング製熱交換ユニットを奇数個備えることが好ましい。
100…グラスライニング製熱交換器、1…本体部、2…グラスライニング製熱交換器用ユニット、201…第一グラスライニング製熱交換器用ユニット、202…第二グラスライニング製熱交換器用ユニット、203…第三グラスライニング製熱交換器用ユニット、3…本体蓋部、4…ジャケット、5…ユニット蓋部、21…外管、22…内管、23…連結部、24…外フランジ部、25…内フランジ部、26…仕切板、261…空間仕切部、262…隙間仕切部、27…閉塞部、28…共通フランジ部、C…軸線、CP…クランプ、G…ガスケット、13…流入口、32,52,243…液出口となる孔、251…流出口となる孔、41,253…注入口、42,254…注出口、P…熱交換流路、P1…管空間、P11…第一空間、P12…第二空間、P2…フランジ隙間、P21…注入隙間、P22…注出隙間、P3…連通空間、Q…被熱交換流路、Q1…外流路、Q2…内流路、Q3…連通流路、Q4…第一中間流路、Q5…第二中間流路