JP5229482B2 - 超電導ケーブルの健全性検査方法 - Google Patents
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Description
V=1(μV/cm)×(I/Ic)n×L
(1)上記超電導ケーブルの全長における臨界電流Icallを測定する工程。
(2)上記臨界電流Icall以下であって、一定の大きさの直流電流Inを上記超電導ケーブルに一定時間流し、この通電中において超電導ケーブルの長手方向の温度分布Tnを上記光ファイバにより測定する工程。
(3)上記温度分布Tnの温度を閾値と比較して、以下を行う工程。
上記温度分布Tnの全ての温度が閾値以下である場合、直流電流の電流値を増加させ、この直流電流In+1を上記超電導ケーブルに一定時間流して、超電導ケーブルの長手方向の温度分布Tnを測定する。
上記温度分布Tnのうち、閾値超である温度が存在する場合、この温度が上昇した箇所を上記光ファイバにより検出する。
各ケーブルコア2は、中心から順に、フォーマ3、超電導導体層4c、電気絶縁層5、超電導シールド層4sを具える。
フォーマは、銅といった常電導材料からなる中空のパイプや、複数の素線を撚り合わせた撚り線、更に、複数の撚り線を撚り合わせた撚り線集合体を利用することができる。この例に示すフォーマ3は、中心に光ファイバ3oを有し、その外周に複数の銅素線3wを撚り合わせた撚り線構造である。この構成により、超電導ケーブル1は、その長手方向に沿って光ファイバ3oが存在する。このようなフォーマ3は、光ファイバ3oと共に銅素線3wを撚り合わせることで形成できる。光ファイバは、温度センサとして利用されている市販のものを利用することができる。各ケーブルコアに存在させる光ファイバの数は、1本でも複数本でもよい。光ファイバの数を多くすると、検出精度を高められる。また、光ファイバは、2次被覆を具えるものの他、ステンレス鋼(SUS)といった金属管に収納されたものを利用してもよい。
超電導導体層4cは、フォーマ3の外周にテープ状の超電導線材40を螺旋状に巻回して形成される。この例に示す超電導導体層4cは、4層構造であり、層間に、クラフト紙といった絶縁材を巻回して形成された層間絶縁層を具える。超電導線材40を構成する超電導フィラメントは、Bi2223酸化物超電導体といったビスマス系酸化物超電導相、金属シースは、銀や、Ag-Au合金、Ag-Mg合金、Ag-Sb合金、Ag-Mn合金といった銀合金が挙げられる(ここでは、銀合金)。
電気絶縁層は、PPLP(登録商標)といった半合成絶縁紙やクラフト紙といった絶縁紙を巻回して形成される(ここでは、PPLP(登録商標))。また、超電導ケーブル1は、電気絶縁層5の内側に内部半導電層、外側に外部半導電層を具える。
超電導シールド層4sは、電気絶縁層5の外周に、超電導導体層4cと同様の超電導線材40(上述のBi2223系テープ線材)を螺旋状に巻回して形成された2層構造であり、基本的な構成は超電導導体層4cと同様である。この超電導シールド層4sは、超電導導体層4cとほぼ同じ大きさで逆方向の電流が誘導されることで、ケーブル1の外部への磁界の発生を打ち消す作用を有する。
この例に示す超電導ケーブル1は、超電導シールド層4sの外周に、超電導線材40を保護するために、銅といった常電導材料からなる常電導保護層9、及び常電導保護層9の外周にクラフト紙などからなる保護層を具える。
断熱管は、例えば、ステンレス鋼(SUS)といった強度に優れる金属からなり、可撓性に富むコルゲート管からなる二重構造管が利用できる。断熱管6は、ケーブルコア2を収納すると共に、コア2を冷却する冷媒(図示せず)が充填される内管6iと、内管6iの外周に配置され、内部が真空引きされる外管6oとを具える。両管6i,6oは、SUSコルゲート管からなる。内管6iと外管6oとの間には、スーパーインシュレーションといった断熱材7を配置させて、断熱効果を高めている。冷媒は、液体窒素が代表的であり、その他、液体水素、液体ヘリウム、水素ガス、ヘリウムガスなどを利用できる。断熱管6の外周には、ポリ塩化ビニルからなる防食層8を具えて、耐食性を高めている。
<全長の臨界電流Icallの測定>
上記構成を具える超電導ケーブルの両端部に直流電源を接続し、一定のスイープ速度で直流電流を増加させ、このときの電圧の変化を調べ、ケーブルの全長における臨界電流Icallを測定する。ここでは、1μV/cmの電界が発生する電流値を臨界電流Icallとし、Icall=5000Aとする。
次に、一定の大きさの直流電流を上記超電導ケーブルに一定時間流す。本発明検査方法では、この一定の電流を一定時間流す操作を1回以上繰り返し行うと共に、各回で電流値を異ならせる。具体的には、電流値を徐々に大きくしていく。いずれの回の電流値も、ケーブルの全長における臨界電流Icall以下の範囲で任意に決定することができる。また、最初の電流値I1や各回の電流値の増加度合いIαが小さいと、劣化箇所の特定や劣化度合いの検出を高精度に行えるものの、試験時間が長くなり易い。従って、所望の精度と試験時間とを考慮して、最初の電流値I1や増加度合いIαを適宜設定するとよい。一例として、最初の電流値I1は、臨界電流Icallの半分程度、即ち、0.5×Icall程度、増加度合いIαは、50A〜500A程度が挙げられる。一方、通電時間tは、長いほど温度変化を検出し易いため、超電導ケーブルの性能にもよるが10分以上が好ましく、1時間以内で十分に温度変化を検出できると考えられる。電流値の増加度合いIαや通電時間tは、回ごとに異ならせてもよい。例えば、通電する電流値が臨界電流Icallに近づいたら、増加度合いIαを小さくしたり、通電時間tを長くすると、劣化箇所の特定や劣化度合いの検出をより精度良く行なえる。ここでは、I1=3000A(=0.6×Icall)、t=30分とする。
決定した電流値(I1)を決定した通電時間tだけ超電導ケーブルに流し、光ファイバを用いて、ケーブル(ケーブルコア)の長手方向の温度分布を経時的に測定する。具体的には、レーザ光源を有する温度検出装置を光ファイバの端部に接続し、光ファイバの一端或いは両端からパルス波形のレーザ光を入射して、そのラマン後方散乱光の強度を検出する。この散乱光の強度が温度に依存する性質から、ケーブルコアの長手方向の温度分布を連続的に求められる。また、レーザ光を入射してからその散乱光が検出されるまでの往復時間により、散乱光の発生位置を特定することで、光ファイバの各地点の温度が求められ、この温度を光ファイバが存在するケーブルコアの各地点の温度として、読み替えられる。従って、光ファイバをケーブルコアの長手方向に沿って配置させることで、ケーブルコアの各地点の温度を測定することができる。
超電導ケーブルの一部に劣化箇所が存在した場合、劣化箇所における臨界電流以上の電流が流れると、この劣化箇所は発熱して温度が上昇する。即ち、温度が上昇した箇所を劣化箇所として判別することができる。そこで、超電導ケーブルの全長に亘って測定した各地点の温度が設定した上記閾値以下か否かを判定する。閾値を超える地点が存在する場合、この地点は、劣化箇所であると考えられる。従って、この地点を劣化箇所と判定すると共に、上述のように光ファイバを利用して劣化箇所の位置を特定する。
上述した超電導ケーブル1は、撚り線構造のフォーマの内部に光ファイバを収納した構成であるが、以下のような構成としてもよい。
フォーマを中空のパイプとする場合、光ファイバをフォーマ内に容易に収納できる上に、光ファイバが存在してもフォーマの外形が変化しないため、フォーマ上に超電導導体層などを形成し易い。或いは、フォーマを撚り線集合体とする場合、撚り線間に生じる隙間などに光ファイバを収納したり、素線や撚り線を撚り合わせる際に光ファイバをも撚り合わせることで、光ファイバをフォーマ内に容易に存在させることができる。
超電導導体層を形成するにあたり、超電導線材を巻回する際に光ファイバをも巻回することで、光ファイバを超電導導体層内に容易に存在させられる。また、この構成は、光ファイバが超電導導体層に接した状態で存在するため、最も感度がよく、温度を精度良く測定することができる。
フォーマを撚り線構造や撚り線集合体とする場合、その外周面を滑らかにしてフォーマの上に超電導線材を巻回し易いように、クラフト紙などを巻回したクッション層を設ける。このクッション層を形成する際にクラフト紙と共に光ファイバをも巻回することで、フォーマと超電導導体層との間に容易に光ファイバを存在させられる。また、この構成では、フォーマを構成する素線や超電導線材により光ファイバが圧迫され難く、圧迫により光ファイバが破壊される可能性が少ない。
電気絶縁層を構成する絶縁紙は、フォーマを構成する素線や超電導線材といった金属を含有する線材と比較して柔らかい。そのため、超電導導体層の外周に光ファイバを巻回し、その上に絶縁紙を巻回して、超電導導体層と電気絶縁層との間に光ファイバを存在させた構成とすると、光ファイバがフォーマを構成する素線や超電導線材により圧迫され難い。なお、電気絶縁層を形成する際に絶縁紙と共に光ファイバをも巻回して、電気絶縁層の中間部に光ファイバが存在する構成とすることもできる。或いは、電気絶縁層の中間部に光ファイバ層を別途設けてもよい。
3w 銅素線 4 超電導層 4c 超電導導体層 4s 超電導シールド層
40 超電導線材 5 電気絶縁層 6 断熱管 6i 内管 6o 外管
7 断熱材 8 防食層 9 常電導保護層
Claims (5)
- 光ファイバを内蔵した超電導ケーブルの健全性を調べる超電導ケーブルの健全性検査方法であって、
前記超電導ケーブルの全長における臨界電流Icallを測定する工程と、
前記臨界電流Icall以下であって、一定の大きさの直流電流Inを前記超電導ケーブルに一定時間流し、この通電中において超電導ケーブルの長手方向の温度分布Tnを前記光ファイバにより測定する工程と、
前記温度分布Tnの全ての温度が閾値以下である場合、直流電流の電流値を増加させ、この直流電流In+1を前記超電導ケーブルに一定時間流して、超電導ケーブルの長手方向の温度分布Tn+1を測定し、
前記温度分布Tnのうち、閾値超である温度が存在する場合、この温度が上昇した箇所を前記光ファイバにより検出する工程とを具えることを特徴とする超電導ケーブルの健全性検査方法。 - 前記超電導ケーブルは、フォーマと、このフォーマの外周に配置される超電導導体層とを具え、
前記光ファイバは、前記フォーマ内に収納されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導ケーブルの健全性検査方法。 - 前記超電導ケーブルは、フォーマと、このフォーマの外周に配置される超電導導体層とを具え、
前記光ファイバは、前記超電導導体層内に収納されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導ケーブルの健全性検査方法。 - 前記超電導ケーブルは、フォーマと、このフォーマの外周に配置される超電導導体層とを具え、
前記光ファイバは、前記フォーマと前記超電導導体層との間に収納されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導ケーブルの健全性検査方法。 - 前記超電導ケーブルは、フォーマと、このフォーマの外周に配置される超電導導体層と、この超電導導体層の外周に配置される電気絶縁層とを具え、
前記光ファイバは、前記超電導導体層と前記電気絶縁層との間に収納されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導ケーブルの健全性検査方法。
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