以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1,2は、本実施の形態に係るレバー式コネクタを示す図であり、図1(a),(b)は、2つのコネクタ部を嵌合する前の断面図、斜視図、図2(a),(b)は、2つのコネクタ部を嵌合し、回動レバーを固定位置としたときの断面図、斜視図である。
図1,2に示すように、本実施の形態に係るレバー式コネクタ1は、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とで構成され、これらコネクタ部2,3を嵌合させることで、複数の電源ラインを一括して接続するためのものである。
より具体的には、レバー式コネクタ1は、複数(3つ)の第1接続端子(オス端子)4a〜4cが整列されて収納される第1ターミナルハウジング(オス側ターミナルハウジング)5を有する第1コネクタ部2と、複数(3つ)の第2接続端子(メス端子)6a〜6cが整列されて収納される第2ターミナルハウジング(メス側ターミナルハウジング)7を有する第2コネクタ部3と、第1ターミナルハウジング5内に整列されて収納され、第1接続端子4a〜4c間を絶縁するための複数(4つ)の絶縁プレート8a〜8dとを備え、第1コネクタ部2の第1ターミナルハウジング5と第2コネクタ部3の第2ターミナルハウジング7とを嵌合させると、その内部において、複数の第1接続端子4a〜4cのそれぞれと複数の第2接続端子6a〜6cのそれぞれとが対(第1接続端子4aと第2接続端子6a、第1接続端子4bと第2接続端子6b、第1接続端子4cと第2接続端子6cの各対)となるように対面すると共に、複数の絶縁プレート8a〜8dが対となる第1接続端子4a〜4c及び第2接続端子6a〜6cを挟むように配置される積層状態となる積層型接続構造100を有する。
このレバー式コネクタ1は、例えば、車両駆動用のモータと該モータを駆動するインバータとの接続に用いられる。本実施の形態では、第1コネクタ部2をモータやインバータ等の機器側に設けると共に、第2コネクタ部3をケーブル側に設け、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを接続することで、機器とケーブルとを電気的に接続するように構成した。
より具体的には、例えばモータに第1コネクタ部2を設ける場合、第1コネクタ部2の第1ターミナルハウジング5(図1(a)で言えば、左側の部分)をモータのシールドケースと嵌合させると共に第1ターミナルハウジング5から露出している第1接続端子4a〜4cの部分をモータのシールドケース内に設置される端子台の各端子に接続する。この第1コネクタ部2にインバータと電気的に接続されている第2コネクタ部3を嵌合させることで、モータとインバータとが電気的に接続されることになる。以上がモータ側の接続に関してだが、インバータ側の接続に関しても、同様である。なお、第1ターミナルハウジング5から露出している第1接続端子4a〜4cの部分における長さだが、図面では、あまり長く描かれていないが、長さは、接続先であるシールドケース内に設置される端子台に合わせて、適宜、変更するものとする。また、第1ターミナルハウジング5から露出している第1接続端子4a〜4cの部分の形状に関しても、接続先であるシールドケース内に設置される端子台に合わせて、適宜、変形するものとする。
以下、コネクタ部2,3のそれぞれの構成について詳述する。
[第1コネクタ部]
まず、第1コネクタ部2について説明する。
図1〜3に示すように、第1コネクタ部2は、内部に3つの第1接続端子4a〜4cを所定間隔で離間された状態で整列させて保持しており、3つの第1接続端子4a〜4cが整列されて収納する第1ターミナルハウジング5と、第1ターミナルハウジング5内に設けられ第1接続端子4a〜4cのそれぞれを絶縁する略直方体形状の複数の絶縁プレート8a〜8dと、頭部9bによって隣接する絶縁プレート8aを押圧することで、複数の第1接続端子4a〜4c及び複数の第2接続端子6a〜6cを各接点にて一括して固定し電気的に接続させる接続部材9とを備える。
第1接続端子4a〜4cは、板状の端子であり、第1ターミナルハウジング5の一部である樹脂成形体10に所定間隔で離間されて整列保持される。樹脂成形体10は、第1接続端子4a〜4cが整列保持される本体部と、該本体部の両側を挟むように板状に形成された一対の壁部とで形成されている。なお、樹脂成形体10の壁部は、図5に示すように、第1接続端子4a〜4cの側面の大部分を覆うように形成される。また、樹脂成形体10の材質は、絶縁性樹脂(例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、エポキシ系樹脂)である。樹脂成形体10に第1接続端子4a〜4cを保持させる方法としては、例えば、樹脂成形体10の成形時に第1接続端子4a〜4cをインサートしてから樹脂を硬化させて保持させる方法や、予め成形した樹脂成形体10に第1接続端子4a〜4cを圧入して保持させる方法がある。
第1接続端子4a〜4cのそれぞれには、異なる電圧及び/又は電流の電気が送電される。例えば、本実施の形態においては、モータ、インバータ間用の三相交流の電源ラインを想定しており、第1接続端子4a〜4cのそれぞれには、120°位相の異なる交流が送電される。第1接続端子4a〜4cのそれぞれは、レバー式コネクタ1での送電ロスを低減するなどの目的のために、導電率の高い銀、銅、アルミニウムなどの金属で構成されると良い。また、第1接続端子4a〜4cのそれぞれは、多少の可撓性を有する。
複数の絶縁プレート8a〜8dは、第1ターミナルハウジング5内に整列されて収納されると共に複数の第1接続端子4a〜4cの一面(第2接続端子6a〜6cと接合される面と反対側の面)のそれぞれに一体的に固定される複数の第2絶縁プレート8b〜8dと、第1ターミナルハウジング5の内面に一体的に固定されて設けられると共に複数の第1接続端子4a〜4cと複数の第2接続端子6a〜6cとが積層状態となったときに最外(図1(a)では最も上側)に位置する第2接続端子6aの一面(第1接続端子4aと接合される面と反対側の面)と対向するように設けられる第1絶縁プレート8aとからなる。
複数の絶縁プレート8a〜8dは、第1接続端子4a〜4cの先端側に突出するような位置に固定される。これら絶縁プレート8a〜8dのそれぞれは、第2接続端子6a〜6cが挿抜される側の角部のそれぞれが面取り加工されている。
また、図4(a),(b)に示すように、複数の第2絶縁プレート8b〜8dの第1接続端子4a〜4cに固定される面のそれぞれには、第1接続端子4a〜4cとの段差を補う突起部(肉盛り面)11が形成され、複数の第2絶縁プレート8b〜8dの上面(図示上側の面)が第1接続端子4a〜4cの上面(図示上側の面)と同一面となるようにされる。これらの構成により、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合する際、第1接続端子4a〜4cの先端部が挿入される第2接続端子6a〜6cの先端部と接触しないため、第2接続端子6a〜6cにおける挿入性が向上するという効果がある。
再び図1〜3を参照し、接続部材9は、隣接する第1絶縁プレート8aを押圧する押圧部としての円柱状の頭部9bと、頭部9bと一体に形成され、頭部9bの第1絶縁プレート8aと反対側の面(以下、単に上面という)から上方に突出するように形成された突起からなる第1係止部9aとを備える。第1係止部9aについては後述する。
接続部材9としては、例えば、SUS、鉄、銅合金などの金属からなるものを用いるとよい。なお、接続部材9として樹脂製のものを用いてもよいが、強度の観点からは、金属製のものを用いることが好ましい。
頭部9bには、後述する押圧部材59の回動に伴って接続部材9が回転してしまわないように、接続部材9の回転を規制する回転規制部としての突起9cが形成される。突起9cは、頭部9bの下部(図1(a)における下部)に形成され、頭部9bの側面の対向した位置から径方向外側に突出する2つの突起からなる(図10(d)参照)。この突起9cは、後述する接続部材挿入孔26の周縁の第1ターミナルハウジング5に形成された係合溝26aに係合され、接続部材9の回転を規制すると共に、接続部材9が第1ターミナルハウジング5の外部に脱落してしまうことを防止する。接続部材9の頭部9bの外周には、第1ターミナルハウジング5内に水が浸入するのを防止するパッキン14が設けられる。
また、接続部材9の頭部9bの下面とその直下の第1絶縁プレート8aの上面との間には、第1絶縁プレート8aに所定の押圧力を付与する弾性部材15が設けられる。本実施の形態では、頭部9bの下面に凹部9dを形成し、この凹部9dに弾性部材15の上部を収納するようにした。これは、弾性部材15の長さがある程度長い場合であっても、頭部9bと第1絶縁プレート8a間の間隔を短くし、コネクタ1を小型化するための工夫である。弾性部材15は、金属(例えば、SUSなど)製のバネで構成される。なお、本実施の形態において、弾性部材15は、接続部材9の一部という位置付けである。
弾性部材15の下部が当接する第1絶縁プレート8aの上面には、弾性部材15の下部を覆う(収納する)凹部16が形成され、凹部16の底部(即ち、弾性部材15の下部が当接する座の部分)には、弾性部材15を受けて絶縁性樹脂からなる第1絶縁プレート8aの損傷を防止する金属(例えば、SUSなど)製の受け部材17が設けられる。
受け部材17は、弾性部材15から第1絶縁プレート8aの上面に加わる応力を分散することで第1絶縁プレート8aの損傷を防止するためのものである。そのため、受け部材17と第1絶縁プレート8aとの接触面積をできるだけ大きくすることが好ましい。本実施の形態では、受け部材17と第1絶縁プレート8aとの接触面積を大きくすべく、凹部16の底部全面に亘って接触するような形状の受け部材17を設けた。
第1ターミナルハウジング5は、横断面が略矩形状の中空の筒状体20からなる。第2ターミナルハウジング7と嵌合される筒状体20の一端側(図1(a)では右側)の外周部は、第2コネクタ部3との嵌合性を考慮してテーパ形状に形成されている。また、筒状体20の一端側の外周部には、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3との間をシールするターミナルハウジング防水構造21が設けられる。ターミナルハウジング防水構造21は、筒状体20の開口側の外周部に形成された凹部22と、凹部22に設けられたOリングなどのパッキン23とからなる。
筒状体20内の他端側(図1(a)では左側)には、第1接続端子4a〜4cのそれぞれが整列保持された樹脂成形体10が収納される。筒状体20の他端側の外周には、第1コネクタ部2を機器などの筐体(例えば、モータのシールドケース)に固定するためのフランジ24が形成される。フランジ24は、四隅に取付孔24aを有しており、取付孔24aに図示しないボルトを挿入し機器などの筐体に固定される。フランジ24の縁周部25には、機器などの筐体と第1コネクタ部2との間をシールするパッキンなどを設けるようにしても良い。なお、本実施の形態では、第1コネクタ部2にフランジ24を設けて第1コネクタ部2を機器などの筐体に固定する場合を説明するが、フランジ24は第2コネクタ部3に設けられていても良いし、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3の両方に設けられていても良い。また、フランジ24を省略し、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3のどちらも機器などの筐体に固定されないフリーの状態としても良い。
また、このフランジ24は、放熱性を向上させる点においても有効である。つまり、フランジ24を形成することにより第1ターミナルハウジング5の表面積を大きくすることができ、第1コネクタ部2の内部で発生した熱(例えば、各接点で発生した熱)を第1ターミナルハウジング5を介して外部に放熱する際において、放熱性を向上させることができる。
筒状体20は、シールド性能、放熱性、及びコネクタ1の軽量化のために、導電率、熱伝導率が高く軽量なアルミニウムなどの金属で形成されることが好ましいが、樹脂などにより形成するようにしても良い。第1ターミナルハウジング5を絶縁性樹脂で形成する場合には、第2絶縁プレート8dと第1ターミナルハウジング5を絶縁性樹脂により一体成形してもよい。なお、本実施の形態においては、筒状体20をアルミニウムで形成した。
筒状体20の上部(図1(a)では上側)には、接続部材9を挿入するための接続部材挿入孔26が形成される。接続部材挿入孔26の周縁の第1ターミナルハウジング5は筒状(中空円筒状)に形成されており、その筒状の第1ターミナルハウジング5の下部(図1(a)では下側)には、筒状の第1ターミナルハウジング5を貫通するように、接続部材9の突起9cを係合する切欠き状の係合溝26aが形成される。この係合溝26aは、突起9cをガイドして接続部材9の上下方向の動きをガイドする役割も果たす。
また、第1ターミナルハウジング5は、筒状体20と一体に形成され、接続部材挿入孔26の上部(図1(a)における上側)を覆うように形成された押圧部材ガイド部71を有する。押圧部材ガイド部71については後述する。
図5に示すように、第1コネクタ部2を組み立てる際は、第1ターミナルハウジング5内に、接続部材9、弾性部材15、第1絶縁プレート8a、そして予め第1接続端子4a〜4cと第2絶縁プレート8b〜8dを取りつけた樹脂成形体10、を順次収容する。
図6(a)に示すように、まず、第1ターミナルハウジング5の内側から接続部材挿入孔26に接続部材9を挿入し、接続部材9の突起9cを係合溝26aに係合させる。その後、図6(b)に示すように、弾性部材15を接続部材9の凹部9dに収容し、図6(c)に示すように、接続部材9との間で弾性部材15を挟み込むように第1絶縁プレート8aを配置する。その後、図6(d)に示すように、第1ターミナルハウジング5内に、第1接続端子4a〜4cと絶縁プレート8b〜8dを取りつけた樹脂成形体10を収容し、樹脂成形体10を第1ターミナルハウジング5に固定すると、第1コネクタ部2が得られる。
接続部材9は、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とが非嵌合状態においては、弾性部材15により上方に(第1ターミナルハウジング5の外側の方向に)付勢されているが、後述する押圧部材59によって下方に(第1ターミナルハウジング5の内側の方向に)押し込まれると、接続部材9の頭部9bが弾性部材15を介して隣接する第1絶縁プレート8aを押圧(図6(d)で言えば、上方から下方に向けて押圧)し、複数の第1接続端子4a〜4c及び複数の第2接続端子6a〜6cを各接点にて一括して固定し電気的に接続させる。押圧部材59による押し込みが開放されると、接続部材9の頭部9bによる第1絶縁プレート8aの押圧も開放され、各接点での固定が解除される。
[第2コネクタ部]
次に、第2コネクタ部3について説明する。
図1,2および図7に示すように、第2コネクタ部3は、内部に複数(3つ)の第2接続端子(メス端子)6a〜6cが整列されて収納される第2ターミナルハウジング7を有する。
第2接続端子6a〜6c一端側のそれぞれには、インバータ側からのびたケーブル27a〜27cが接続されている。これらケーブル27a〜27cのそれぞれは、第1接続端子4a〜4cのそれぞれに第2接続端子6a〜6cを介して電気的に接続されるため、第1接続端子4a〜4cのそれぞれに対応する電圧及び/又は電流の電気がそれぞれ送電される。ケーブル27a〜27cは、導体28の外周に絶縁層29を形成してなる。本実施の形態においては、断面積が20mm2の導体28を用いた。
ケーブル27a〜27cのそれぞれは、多連筒状(複数の筒が連なっている状態のこと)のケーブル保持部材30によって所定間隔で離間されて整列保持される。このケーブル保持部材30によって第2接続端子6a〜6cのそれぞれは、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させたときに、第2接続端子6a〜6cのそれぞれと対となるように対面する(即ち、接続対象の)第1接続端子4a〜4cのそれぞれの上方に位置するように位置決めして保持される。
ケーブル保持部材30は、第2接続端子6a〜6cのそれぞれを互いに絶縁して短絡を防止すべく、絶縁性樹脂などからなる。このケーブル保持部材30により、第2接続端子6a〜6cのそれぞれに接続されたケーブル27a〜27cのそれぞれが可撓性に優れたケーブルであっても、第2接続端子6a〜6cのそれぞれを所定の位置に保持することができる。つまり、本実施の形態では、ケーブル27a〜27cとして可撓性に優れたケーブルを用いることができるので、ケーブル27a〜27cを敷設する際の配線自由度を向上できる。
なお、ケーブル保持部材30は、ケーブル27a〜27cを保持することで、より詳しくは、第2接続端子6a〜6cに近い位置であってケーブル27a〜27cの端部側を保持することで、第2接続端子6a〜6cを所定の位置に保持するべく、第2接続端子6a〜6cの位置決めを行っているが、ケーブル27a〜27cを保持すると共に第2接続端子6a〜6cも直接保持して、第2接続端子6a〜6cの位置決めを行っても良い。また、ケーブル保持部材30に変えて、ケーブル27a〜27cを保持しないで、第2接続端子6a〜6cを直接保持する接続端子保持部材であっても良い。
ケーブル保持部材30に関し、第2接続端子6a〜6cを直接保持しないで、ケーブル27a〜27cを保持することで、第2接続端子6a〜6cの位置決めを行っている場合、即ち、本実施の形態のような場合、ケーブル27a〜27cを可撓性があるものにすることにより、第2接続端子6a〜6cの先端側が第2ターミナルハウジング7に対して柔軟性を持たせることができるようになる。このように構成することにより、第1コネクタ部2において、接続部材9の押圧により、第1接続端子4a〜4cが変形し、たとえ、第2接続端子6a〜6cを挿入する部分(挿入口)が変形しても、柔軟に対応することができる。
また、第2ターミナルハウジング7から引き出されたケーブル27a〜27cの部分には、シールド性能の向上を目的とした図示しない編組シールドが巻き付けられている。この編組シールドは、後述する筒状シールド体41と接触され、筒状シールド体41を介して第1ターミナルハウジング5に電気的に接続されている(同電位(GND)とされている)。
第2接続端子6a〜6cのそれぞれは、図8,9に示すように、ケーブル27a〜27cの先端部から露出された導体28をかしめるためのかしめ部32と、かしめ部32と一体に形成された板状接点33とを有する。
本実施の形態においては、コネクタ1の小型化のためにケーブル27a〜27cのそれぞれができるだけ隙間無く整列保持される構成としている。そのため、図9に示すように、整列時に中央に配置されるケーブル27bに接続される第2接続端子6bの胴部35を折り曲げることにより、第2接続端子6a〜6cを同じ間隔で離間させて配置するようにした。
第2接続端子6a〜6cのそれぞれは、コネクタ1での送電ロスを低減するなどの目的のために、導電率の高い銀、銅、アルミニウムなどの金属で構成されると良い。また、第2接続端子6a〜6cのそれぞれは、多少の可撓性を有する。
再び図1,2および図7を参照し、第2ターミナルハウジング7は、横断面が略矩形状の中空の筒状体36からなる。第2ターミナルハウジング7内に第1ターミナルハウジング5が嵌合されるため、第1ターミナルハウジング5と嵌合される筒状体36の一端側(図1(a)では左側)の内周部は、第1ターミナルハウジング5との嵌合性を考慮してテーパ形状に形成されている。
筒状体36の他端側(図1(a)では右側)には、ケーブル27a〜27cのそれぞれを整列保持するケーブル保持部材30が収納される。ケーブル保持部材30のケーブル挿入側には図示しないパッキンレス気密部が形成され、ケーブル27a〜27cを伝って第2ターミナルハウジング7内に水が浸入するのを防止するようになっている。ケーブル保持部材30の外周部には、第1ターミナルハウジング5の内周面に当接するパッキン38が設けられる。つまり、コネクタ1は、ターミナルハウジング防水構造21のパッキン23とケーブル保持部材30の外周部に設けられたパッキン38による二重防水構造となっている。
さらに、ケーブル27a〜27cが引き出される筒状体36の他端側の外周には、図示していないが、筒状体36内への水の浸入を防止するゴムブーツが被せられている。
筒状体36は、シールド性能、放熱性、及びコネクタ1の軽量化のために、導電率、熱伝導率が高く軽量なアルミニウムなどの金属で形成されることが好ましいが、樹脂などにより形成するようにしても良い。本実施の形態においては、筒状体36を絶縁性樹脂により形成したため、そのシールド性能、放熱性を向上させるために筒状体36の他端側の内周面にアルミニウム製の筒状シールド体41を設けている。
筒状シールド体41は、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させたときにアルミニウム製の第1ターミナルハウジング5の外周に接触する接触部42を有し、この接触部42を介して第1ターミナルハウジング5と熱的及び電気的に接続される。これにより、シールド性能と放熱性を向上させている。特に、放熱性については、放熱性に優れる第1ターミナルハウジング5側に積極的に熱を逃がすことで著しい向上が見込まれる。
また、図示していないが、筒状体36には、後述する回動レバー51を固定位置にて固定するロック機構としてのCPA(Connector Position Assurance)を設けるようにしてもよい。この場合、回動レバー51には、CPA(CPAレバー)を嵌合するための嵌合溝が形成され、回動レバー51を固定位置に回動させた後、CPAを回動レバー51側に押し込み嵌合溝に嵌合させることで、回動レバー51を固定位置でロックするようにされる。
[レバー構造]
次に、本発明の特徴部分であるレバー構造について説明する。
本実施の形態に係るレバー式コネクタ1は、略コの字状に形成されると共に、ケーブル27a〜27c側である第2コネクタ部3の第2ターミナルハウジング7の両側方を挟むように設けられ、第2ターミナルハウジング7に回動可能に軸支される回動レバー51を有するレバー構造50を備えている。なお、回動レバー51を、機器側である第1コネクタ部2に設けるようにしてもよいが、この場合、機器を設置する際などに、第1ターミナルハウジング5から突出している回動レバー51が邪魔になり、他の部材に当たるなどして破損するおそれがある。よって、回動レバー51は、ケーブル27a〜27c側である第2コネクタ部3に設けることが望ましい。
レバー構造50は、回動レバー51を回動させることで、第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7とを引き合わせて嵌合状態としたり、第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7とを引き離して嵌合状態を解消したりするためのハウジング着脱機構52と、回動レバー51を回動させることで、接続部材9を操作し、各接点に対して押圧力の付与を行ったり、該押圧力の付与を解消したりするための接続部材操作機構53と、を具備している。
本実施の形態では、レバー構造50を、回動レバー51を解除位置から嵌合位置まで一の回動方向に回動させることで、ハウジング着脱機構52により両ターミナルハウジング5,7を引き合わせて嵌合状態とするようにし、かつ、回動レバー51を嵌合位置からさらに固定位置まで一の回動方向に回動させることで、接続部材操作機構53により接続部材9を操作して各接点に対して押圧力の付与を行うように構成した。これは、両ターミナルハウジング5,7が完全に嵌合されていない状況で各接点に対して押圧力を付与した場合、当該押圧力により両ターミナルハウジング5,7の嵌合が困難となり、さらには、第1接続端子4a〜4cと第2接続端子6a〜6cの接点において摩擦が大きくなるため、第1接続端子4a〜4cや第2接続端子6a〜6cがすり減って信頼性を低下させるおそれがあるためである。
また、本実施の形態では、回動レバー51を、第1ターミナルハウジング5から離れる方向に回動させる、すなわち、回動レバー51をケーブル27a〜27c側に倒し込むことにより、両コネクタ部2,3を接続するようにした。よって、本実施の形態においては、回動レバー51を第1ターミナルハウジング5側に倒し込んだ位置(図1(a),(b)参照)が解除位置となり、回動レバー51をケーブル27a〜27c側に倒し込んだ位置(図2(a),(b)参照)が固定位置となり、嵌合位置は解除位置と固定位置との間に位置することになる。このように、回動レバー51をケーブル27a〜27c側に倒し込んだ位置を固定位置とすることにより、回動レバー51を固定位置にてロックするCPAを第2ターミナルハウジング7に設けることが可能になり、CPAを設置しやすくなる。
まず、ハウジング着脱機構52について説明する。
ハウジング着脱機構52は、第1ターミナルハウジング5の両側から突出するように形成された円柱状の突起からなるスライド軸54と、第2ターミナルハウジング7の両側に嵌合方向に沿って直線状に形成され、スライド軸54をガイドするスライド溝55と、回動レバー51に形成された第1カム溝56と、を有する。
第1カム溝56は、回動レバー51が軸支されている回動軸57に対して偏心した円弧状の溝からなり、解除位置にてスライド溝55に挿入されたスライド軸54を収容した後、回動レバー51を嵌合位置まで回動させた際に、スライド溝55との間でスライド軸54を固定すると共に、スライド軸54をケーブル27a〜27c側にスライド移動させて、第1ターミナルハウジング5を第2ターミナルハウジング7内に引き込んで両ターミナルハウジング5,7を嵌合させるものである。
本実施の形態では、第1カム溝56(および後述する第2カム溝58)を、回動レバー51を貫通するように形成したため、第1カム溝56のスライド軸54挿入側の端部には、第1カム溝56を跨ぐように補強部51aが形成される。補強部51aは、回動レバー51と一体に形成され、スライド軸54と干渉しないようアーチ状に形成される。なお、第1カム溝56(および後述する第2カム溝58)は、回動レバー51を貫通しないように、凹状の溝として形成してもよく、この場合、補強部51aは省略することができる。
次に、接続部材操作機構53について説明する。
接続部材操作機構53は、接続部材9の頭部9bの上面に形成された突起からなる第1係止部9aと、回動レバー51に形成された第2カム溝58と、第2ターミナルハウジング7内に回動レバー51と一体に回動するように設けられた押圧部材59と、第1ターミナルハウジング5の筒状体20に設けられた押圧部材ガイド部71と、を有する。
図3(b)に示すように、第1係止部9aは、略円形状の頭部9bの上面における対向位置(頭部9bの上面の中心に対して点対称の位置)に形成された2つの突起60からなる。両突起60は、略三角柱状の頂部60aと、頂部60aと頭部9bの上面とをなだらかに接続するスロープ部60bとを有する。
スロープ部60bは、回動レバー51を嵌合位置から固定位置まで回動させた際に、後述する第2係止部63が突起60の頂部60aに乗り上げやすくなるようにするためのものであり、第2係止部63の回動方向(頭部9bの上面における周方向)に沿って形成される。
頂部60aは、回動レバー51を固定位置とした際に、第2係止部63が乗り上げ、第2係止部63により押圧される部分となる。つまり、頂部60aには、回動レバー51を固定位置としている間(すなわち両ターミナルハウジング5,7を嵌合状態としている間)常に力が加わっていることになる。この力を分散してクリープ変形等を防止するため、頂部60aは、その上面視における面積が、クリープ変形等を防止できる適宜な面積に形成される。
2つの突起部60の間、すなわち頭部9bの上面における中央部分には、両ターミナルハウジング5,7を嵌合する際に、後述する押圧部材59の第2係止部63を通すための隙間61が形成される。
図1(b)、図2(b)、および図7(b)に示すように、第2カム溝58は、第1カム溝56と連続して形成された、回動軸57に対して同心の円弧状の溝からなる。第2カム溝58を形成することで、両ターミナルハウジング5,7の嵌合状態を維持しつつ(すなわちスライド軸54をスライド移動させることなく)、回動レバー51を嵌合位置から固定位置まで回動させることが可能となる。
図1(a),(b)および図3(a),(b)に示すように、押圧部材ガイド部71は、第1ターミナルハウジング5の筒状体20と一体に形成され、接続部材挿入孔26の上部(図3(a)における右側)を覆うように形成される。
押圧部材ガイド部71は、第2ターミナルハウジング7の挿入側(図3(a)では紙面方向手前側)が開放した中空の箱状に形成されており、その中空部72は、接続部材挿入孔26と連通するように形成されている。これにより、第1ターミナルハウジング5の内側から接続部材9の頭部9bを接続部材挿入孔26に挿入すると、中空部72内には、接続部材9の第1係止部9aが突出して配置されるようになっている。
押圧部材ガイド部71の上部(図3(a)では右側)には、押圧部材59をガイドするガイド溝73が形成されており、両ターミナルハウジング5,7を嵌合させると、押圧部材59が、ガイド溝73にガイドされつつ中空部72に挿入されるようになっている。ガイド溝73の周縁の押圧部材ガイド部71である縁部74は、押圧部材59にて接続部材9を押し込む際に、中空部72内に挿入された押圧部材59が押し込み方向と反対方向(図3(a)では右側)に動いてしまうことを規制する役割を果たす。
また、押圧部材ガイド部71のフランジ24側(図3(b)では右奥側)は、両ターミナルハウジング5,7を嵌合させた際に、中空部72内に挿入された押圧部材59に沿うよう、上面視で半円形状に形成される。
図1(a),(b)および図7(a),(b)に示すように、押圧部材59は、第2ターミナルハウジング7内に回動レバー51と一体に回動するように設けられた基部62と、基部62に形成された突起からなる第2係止部63と、を有する。
基部62は、頭部9bより若干径の大きい円板状の部材からなり、その一方の面 (図7(a)では左側の面、以下単に下面という)から突出するように、第2係止部63が形成される。第2係止部63は、円板状の基部62の下面における対向位置(基部62の下面の中心に対して点対称の位置)に形成された2つの突起63aからなる。両突起63aは、第1係止部9aである突起60の頂部60aと略同じ三角柱状に形成され、回動レバー51を固定位置としたときに、頂部60aと対面する位置にくるようにされる。なお、突起60の頂部60a、および突起63aの形状については、三角柱状に限定されるものではなく、例えば略直方体状に形成してもよく、また、突起60の頂部60aの形状と突起63aの形状とが異なっていてもよい。
基部62は、その下面と反対側(上面側)が階段状に縮径されるように形成されており、その縮径部62aが、押圧部材ガイド部71のガイド溝73に挿入されガイドされるようになっている。
また、基部62の上面側には、回動レバー51の回動軸57となる軸部64が一体に形成される。軸部64は、基部62の上面の中央部から突出する円柱状の基端部64aと、基端部64aの上面の中央部から突出する断面視が長円形状(2つの直線と、両直線の端部同士を繋ぐ円弧状の2つの曲線とからなる形状)の係合部64bとからなる。
第2ターミナルハウジング7には、軸部64の基端部64aを軸支するための円形状の貫通孔65が形成されており、また、回動レバー51には、係合部64bを係合するための長円形状の係合孔66が形成されている。第2ターミナルハウジング7の内側から貫通孔65に基端部64aを通し、かつ、第2ターミナルハウジング7の外側にて係合部64bを回動レバー51の係合孔66に係合させることで、押圧部材59は、回動可能に第2ターミナルハウジング7に取りつけられると共に、回動レバー51と一体に回動するようにされる。
なお、係合部64bと係合孔66とを長円形状に形成するのは、回動レバー51を回動させたときに、押圧部材59を回動レバー51と一体に回動させるための工夫であるが、係合部64bと係合孔66の形状は長円形状に限られず、押圧部材59と回動レバー51とが一体に回動可能であればどのような形状でもよく、例えば楕円形や多角形状など、任意の形状としてよい。
回動レバー51の他方の回動軸57は、第2ターミナルハウジング7の押圧部材59を設けた側と反対側の側面に形成された円柱状の突起67からなり、その突起67を回動レバー51に形成された円形状の係合孔68に係合するようにされる。これにより、回動レバー51は、押圧部材59と一体に設けられた軸部64、および突起67を回動軸57として、回動可能に第2ターミナルハウジング7に取りつけられる。
[第1コネクタ部と第2コネクタ部との接続]
次に、レバー式コネクタ1における両コネクタ部2,3の接続時の動作を図10〜12を用いて説明する。
図10(a)〜(c)に示すように、両コネクタ部2,3を接続する際は、まず、回動レバー51を解除位置とし、第1ターミナルハウジング5の両側に形成されたスライド軸54を、第2ターミナルハウジング7の両側に形成されたスライド溝55に挿入する。スライド軸54をスライド溝55に沿わせてケーブル27a〜27c側にスライド移動させると、スライド軸54が回動レバー51の第1カム溝56に収容される。
このとき、押圧部材59は、その基部62の縮径部62aが、押圧部材ガイド部71のガイド溝73にガイドされ、基部62の一部(縮径部62a以外の部分)と第2係止部63とが、押圧部材ガイド部71の中空部72内に挿入される。図11(d)に示すように、押圧部材59の第2係止部63は、第1係止部9aである2つの突起60の間の隙間61を通って、中空部72内に挿入される。
その後、図11(a)〜(c)に示すように、回動レバー51を解除位置から嵌合位置まで回動させる。すると、スライド溝55と第1カム溝56との間でスライド軸54が固定されると共に、スライド軸54がケーブル27a〜27c側にスライド移動され、これに伴い、第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7とが引き合わされて、両ターミナルハウジング5,7の嵌合状態が完成される。
両ターミナルハウジング5,7を嵌合させると、第2接続端子6a〜6cのそれぞれが対となる第1接続端子4a〜4cのそれぞれと絶縁プレート8a〜8dとの間に挿入される。そして、該挿入により、複数の第1接続端子4a〜4cの一面のそれぞれと複数の第2接続端子6a〜6cの一面のそれぞれとが対となるように対面すると共に、第1接続端子4a〜4c、第2接続端子6a〜6c、及び絶縁プレート8a〜8dとが交互に配置される、即ち、絶縁プレート8a〜8dが対となる第1接続端子4a〜4c及び第2接続端子6a〜6cを挟むように配置される積層状態となり、積層型接続構造100が完成される。
このとき、第1コネクタ部2の内部において、第2絶縁プレート8b〜8dのそれぞれが、所定間隔で離間させた状態で整列させて保持されている第1接続端子4a〜4cの先端側に固定されているため、各絶縁プレート8b〜8dの間隔を保持するための保持用治具(特許文献4参照)を別途設けなくても、各絶縁プレート8b〜8dの間隔を保持することができるようになる。これにより、第2接続端子6a〜6cのそれぞれを、対となる第1接続端子4a〜4cのそれぞれと絶縁プレート8a〜8dとの間に容易に挿入することができる。即ち、第2接続端子6a〜6cの挿抜性を低下させることがない。また、絶縁プレート8b〜8dの間隔を保持するための保持用治具を設けなくてもよい分、従来に比べて更なる小型化を実現できる点において、非常に有効である。
また、第1接続端子4aと第2接続端子6aに係る接点が、第1絶縁プレート8aと、接点を構成する第1接続端子4aに固定された第2絶縁プレート8bとにより挟み込まれる。同様に、第1接続端子4b(又は4c)と第2接続端子6b(又は6c)に係る接点が、接点を構成する第1接続端子4b(又は4c)に固定された第2絶縁プレート8c(又は8d)と、他の接点を構成する第1接続端子4a(又は4b)に固定された第2絶縁プレート8b(又は8c)とにより挟み込まれる。
また、回動レバー51を解除位置から嵌合位置に回動させると、回動レバー51の回動に伴って押圧部材59が回動し、第2係止部63も回動することになるが、図11(d)に示すように、回動レバー51を嵌合位置としたときには、第2係止部63は第1係止部9aに乗り上げる直前の位置、すなわちスロープ部60bの手前の位置に位置しており、この段階では、押圧部材59による接続部材9の押圧は行われない。
その後、図12(a)〜(c)に示すように、回動レバー51を嵌合位置から固定位置まで回動させる。すると、両ターミナルハウジング5,7の嵌合状態は変化しないが、回動レバー51の回動に伴って押圧部材59が回動し、第2係止部63が第1係止部9aに乗り上げて、接続部材9の頭部9bを下方に(図12(b)における下方に)押圧する。回動レバー51を固定位置とすると、図12(d)に示すように、第2係止部63である2つの突起63aは、第1係止部9aの2つの突起60における頂部60aと対面し、頂部60aを押圧して頭部9bを下方に押圧する。このとき、押圧部材ガイド部71の縁部74により、押圧部材59の基部62の上方への動きが規制されているため、第2係止部63が第1係止部9aに乗り上げることにより押圧部材59が上方へ移動することはなく、接続部材9の頭部9bのみが下方に押し込まれることになる。
接続部材9の頭部9bが下方に押し込まれると、弾性部材15によって第1絶縁プレート8a、第2絶縁プレート8b、第2絶縁プレート8c、第2絶縁プレート8dの順に押圧されていき、接点のそれぞれが絶縁プレート8a〜8dのいずれか2つによって挟み込まれるように押圧されて各接点に対して押圧力が付与され、接点のそれぞれが互いに絶縁された状態で接触される。このとき、第1接続端子4a〜4cのそれぞれと第2接続端子6a〜6cのそれぞれは、絶縁プレート8a〜8dからの押圧によって多少撓み広範囲で接触されることとなる。これにより、車両などの振動を発生させる環境においても、接点のそれぞれが強固に接触して固定される。回動レバー51を固定位置とした後、CPAを設けた場合は、CPAにより回動レバー51を固定位置でロックする。
両コネクタ部2,3の接続を解除する際は、まず、CPAによるロックを解除し、回動レバー51を固定位置から嵌合位置まで回動させて、押圧部材59による接続部材9の頭部9bの押し込みを解除し、接続部材9による第1絶縁プレート8aの押圧を解除して、各接点での固定を解除する。その後、回動レバー51を嵌合位置から解除位置まで回動させると、両ターミナルハウジング5,7が引き離されて嵌合状態が解除され、第1カム溝56からスライド軸54が開放されるので、スライド溝55に沿ってスライド軸54をスライド移動させて、第2ターミナルハウジング7から第1ターミナルハウジング5を取り外す。
[本実施の形態の作用]
本実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態に係るレバー式コネクタ1では、レバー構造50が、回動レバー51を回動させることで、第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7とを引き合わせて嵌合状態としたり、第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7とを引き離して嵌合状態を解消したりするためのハウジング着脱機構52と、回動レバー51を回動させることで、接続部材9を操作し、各接点に対して押圧力の付与を行ったり、該押圧力の付与を解消したりするための接続部材操作機構53と、を具備している。
これにより、回動レバー51を回動させるという1つの操作で、両ターミナルハウジング5,7を嵌合状態(あるいは非嵌合状態)とする動作と、接続部材9により各接点へ押圧力を付与する(あるいは押圧力の付与を解除する)動作を順次行うことが可能となり、2つのコネクタ部2,3同士の着脱(接続)がし易いレバー式コネクタ1を実現できる。
また、レバー式コネクタ1では、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを接続させる際に、まず、回動レバー51を回動させて、ハウジング着脱機構52により第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7とを引き合わせて嵌合状態とした後、回動レバー51をさらに回動させて、接続部材操作機構53により接続部材9を操作して各接点に対して押圧力の付与を行うようにしている。
これにより、両ターミナルハウジング5,7を嵌合させる際には、接続部材9による各接点への押圧力の付与が行われないため、両ターミナルハウジング5,7を嵌合させる際の挿入力を小さくし(低挿入力とし)、より両コネクタ部2,3同士の着脱をし易くすることができ、さらには、両ターミナルハウジング5,7を嵌合させる際に第1接続端子4a〜4cや第2接続端子6a〜6cがすり減ってしまうこともなくなるので、信頼性を向上できる。また、両ターミナルハウジング5,7が完全に嵌合した状態で、接続部材9による各接点への押圧力の付与が行われるので、第1接続端子4a〜4cと第2接続端子6a〜6cの接続不良を防止することができる。
さらに、レバー式コネクタ1では、回動レバー51を、機器側である第1ターミナルハウジング5ではなく、ケーブル27a〜27c側である第2ターミナルハウジング7に設けるようにしている。
機器側である第1ターミナルハウジング5に回動レバー51を設けた場合、当該機器の設置時等に、第1ターミナルハウジング5から突出している回動レバー51が他の部材に当たるなどして、回動レバー51が破損してしまうおそれがあるが、第2ターミナルハウジング7に回動レバー51を設けることで、機器の設置時等における回動レバー51の破損を防止できる。
さらにまた、レバー式コネクタ1では、回動レバー51を、第1ターミナルハウジング5から離れる方向、すなわちケーブル27a〜27c側に回動することにより、両コネクタ部2,3を接続するように構成している。これにより、回動レバー51を固定位置にてロックするCPAを第2ターミナルハウジング7に設けることが可能になり、CPAを設置しやすくなる。
また、レバー式コネクタ1では、第1係止部9aにスロープ部60bを形成しているため、回動レバー51を嵌合位置から固定位置まで回動させた際に、第2係止部63が第1係止部9aに乗り上げやすくなる。
さらに、レバー式コネクタ1では、接続部材9の頭部9bに、回転規制部としての突起9cを形成し、その突起9cを、接続部材挿入孔26の周縁の第1ターミナルハウジング5に形成された係合溝26aに係合するようにしているため、押圧部材59の回動に伴って接続部材9が回転してしまわないようにできる。
さらにまた、レバー式コネクタ1では、押圧部材59を押圧部材ガイド部71の中空部72に挿入し、押圧部材ガイド部71の縁部74により、押圧部材59が押し込み方向と反対側に動いてしまうことを規制しているので、たとえ、回動レバー51が破損した場合でも、各接点に付与される押圧力を維持し、各接点における通電を保証することが可能である。
また、レバー式コネクタ1では、第1絶縁プレート8aの上面に、弾性部材15の下部を覆う(収納する)凹部16を形成し、さらに、接続部材9の頭部9bの下面に、弾性部材15の上部を収納する凹部9dを形成しているため、第1絶縁プレート8aと頭部9bとの間で露出する弾性部材15の高さを、凹部16,9dに収納された分だけ低くすることができ、従来に比べてコネクタのスリム化を図ることができる。つまり、たとえ、押圧力の付与のための弾性部材15を備えても、スリム化を図ることができる。
また、弾性部材15の押圧力を凹部16の底部に設けられた金属製の受け部材17によって受けることで、弾性部材15が第1絶縁プレート8aの上面に小さな接触面積で当接して樹脂からなる第1絶縁プレート8aに過剰な応力が加わるのを防止でき、第1絶縁プレート8aに損傷を与える可能性を低減することができる。つまり、コネクタとしての信頼性、耐久性をより向上させることができる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施の形態においては、三相交流の電源ラインを想定していたが、本発明の技術思想によれば、例えば、自動車用のコネクタであって、モータ、インバータ間用の三相交流の電源ライン、エアコン用の直流二相の電源ラインなど異なる用途のラインを一括して接続するような構成としても良い。このように構成することにより、1つのコネクタで複数の用途の電源ラインを一括して接続することができるため、用途毎に異なるコネクタを用意する必要がなく、省スペース化や低コスト化などに貢献することができる。
また、第1接続端子4a〜4cのそれぞれと第2接続端子6a〜6cのそれぞれの端子表面をローレット加工などにより荒らし、摩擦力を大きくさせ、端子同士を動きづらくして接点のそれぞれでの固定を強固にするようにしても良い。
また、本実施の形態においては、第1接続端子4a〜4cの一端側には、第2接続端子6a〜6cとは違って、ケーブルが接続されない場合を説明したが、このような構造に限定されない。即ち、本実施の形態におけるコネクタは、ケーブル同士を接続する場合にも利用することができる。
また、本実施の形態においては、ケーブル27a〜27cとして可撓性に優れたケーブルを用いていたが、リジッドなケーブルでも良い。
また、本実施の形態においては、コネクタの使用状態における向きは、接続部材9が略水平状態であっても、略垂直状態であっても良い。即ち、本実施の形態におけるコネクタの使用条件に、使用状態における向きは要件としない。
また、本実施の形態においては、接続部材9の一部である弾性部材15を介して接続部材9の頭部9bによって隣接する第1絶縁プレート8aを押圧しているが、弾性部材15を介さずに直接、頭部9bによって隣接する第1絶縁プレート8aを押圧しても良い。
また、本実施の形態においては、第1コネクタ部2を組み立てる際に、接続部材9と弾性部材15と絶縁プレート8aとを別々に組み立てたが、これら接続部材9と弾性部材15と絶縁プレート8aとを予め一体に形成しておき、一体とした接続部材9と弾性部材15と絶縁プレート8aとを第1ターミナルハウジング5に組み込むようにしてもよい。この場合、絶縁プレート8aは接続部材9の一部として扱うことができる。
また、本実施の形態においては、第1コネクタ部2のみに絶縁プレート8a〜8dを設ける場合を説明したが、絶縁プレートを分割し、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3の両方に絶縁プレートを設けるようにしてもよい。分割した絶縁プレートを、第1接続端子4a〜4c、および第2接続端子6a〜6cのそれぞれの先端側の面を覆うように設けることで、第1接続端子4a〜4c及び第2接続端子6a〜6cに手、指等の異物を直接触れ難くする、所謂タッチプロテクトの効果を得ることができる。
また、本実施の形態においては、第1係止部9aにスロープ部60bを形成する場合を説明したが、これに限らず、第2係止部63にスロープ部を形成するようにしてもよいし、第1係止部9aと第2係止部63の両方にスロープ部を形成するようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、第1ターミナルハウジング5の一側のみに接続部材9を設ける場合を説明したが、第1ターミナルハウジング5の両側に接続部材9を設け、両側に設けられた両接続部材9により各接点に押圧力が付与されるように構成してもよい。この場合、両接続部材9に対応するよう、第2ターミナルハウジング7内の両側にそれぞれ押圧部材59を設けるようにすればよい。
また、本実施の形態においては、接続部材9を頭部9bのみで構成したが、頭部9bと一体に各接点を貫通する軸部を形成した貫通型の接続部材を用いてもよい。
また、本実施の形態においては、接続部材挿入孔26の上部を覆うように、押圧部材59をガイドする押圧部材ガイド部71を設けたが、押圧部材ガイド部71を省略することも可能である。この場合、第2ターミナルハウジング7にて直接押圧部材59の押し込み方向と反対方向への動きを規制することになる。