JP5228994B2 - フェライト系ステンレス鋼材の製造方法およびフェライト系ステンレス鋼管の製造方法 - Google Patents
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(1)加熱温度を850〜1150℃とすること、
(2)熱間加工を加工比(加工前の断面積/加工後の断面積)8以上で行うこと、
(3)熱間加工後、冷却開始温度から800℃までの温度域における冷却速度を150〜600℃/分とすること。
(1)加熱温度を850〜1150℃とすること、
(2)熱間押出加工を加工比(加工前の断面積/加工後の断面積)8以上で行うこと、
(3)熱間押出加工後、冷却開始温度から800℃までの温度域における冷却速度を150〜600℃/分とすること。
C:0.03〜0.08%
Cは、熱間加工前の加熱中に十分なオーステナイト相を生成させる効果を有する。この効果を得るためには、その含有量を0.03%以上とする必要がある。しかし、熱間加工後の冷却中のマルテンサイト変態を抑制するためには、その含有量を0.08%以下に制御することが不可欠である。従って、Cの含有量は0.03〜0.08%とした。この効果をより有効に発揮するためには、その下限を0.04%とするのが好ましい。また、その上限は0.06%とするのが好ましい。
Siは、鋼の脱酸に必要な元素であり、また鋼の所定の強度を付与するのにも必要な元素である。しかし、その含有量が1.0%を超えると、耐食性および溶接性の低下、ならびに粗粒化を誘発して冷間加工性を劣化させる。従って、Siの含有量は1.0%以下とした。効果をより有効とするために、Si含有量の上限は0.65%とするのが好ましい。より好ましい上限は0.55%である。なお、上記の効果は、Siが微量でも含まれておれば発揮されるが、Siを0.05%以上含有させた場合に顕著となる。
Mnは、Si同様、鋼の脱酸に必要な元素である。しかし、熱間加工後の冷却中に微細なフェライト相を析出させるためには、その含有量は1.0%以下にする必要がある。効果をより有効とするために、Mn含有量の上限は0.65%とするのが好ましい。なお、上記の効果は、Mnが微量でも含まれておれば発揮されるが、Mnを0.55%以上含有させた場合に顕著となる。
Crは、熱間加工後の冷却中に析出するフェライト相を安定化させるとともに、耐食性を付与するのに必要な元素である。これらの効果を得るためには、その含有量を11.5%以上とすることが不可欠である。しかし、熱間加工前の加熱中のオーステナイト相を増加させるためには14.5%以下とすることが必要である。従って、Cr含有量を11.5〜14.5%とした。効果をより有効とするために、Crの下限は12.1%とするのが好ましい。好ましい上限は14.0%である。
Niは、オーステナイト安定化元素であるため、一般には、フェライト相中にオーステナイト相が混入し、冷間加工性を損なう元素であると考えられている。しかし、本発明では、熱間加工前の加熱中にオーステナイト相を微細に析出させ、熱間加工後の冷却中にオーステナイト相の結晶粒界3重点を核生成サイトとして、フェライト相を微細に析出させることとしている。Niは、上記加熱中にδフェライト相の粒成長を抑制して、オーステナイト相を細粒化するのに有効である。そのためには、Ni含有量を0.14%以上とすることが必要である。一方、熱間加工後の冷却中に微細なフェライト相を析出させるためには、Ni含有量は0.49%以下とすることが不可欠である。従って、Ni含有量は0.14〜0.49%とした。効果をより有効とするために、Ni含有量の下限は0.15%とするのが好ましく、より好ましい下限は0.21%である。また、Ni含有量の好ましい上限は0.40%であり、より好ましいのは0.30%である。
Alは、フェライト相を安定させる元素である。熱間加工後の冷却中にフェライト相を析出させるためには0.10%を超えて含有させることが不可欠である。しかし、熱間加工前の加熱中にδフェライト相が析出するのを抑制するためには0.30%以下にする必要がある。従って、Alの含有量は、0.10%を超えて0.30%以下とした。効果をより有効とするために、Al含有量の下限は、0.15%とするのが好ましい。また、Al含有量の好ましい上限は0.25%である。
Nは、鋼に所定の強度を付与するのに必要な元素であるが、その含有量が過剰な場合には、鋼材の耐食性、靭性および加工性を劣化させる。また、熱間加工後の冷却中にフェライト相を析出させるためには、N含有量は0.030%以下とする必要がある。N含有量の好ましい上限は0.020%である。Niの上記の効果が顕著となるのは、その含有量が0.005%以上の場合である。
加熱温度:850〜1150℃
熱間加工前には、オーステナイト相が十分に析出するように素材を850℃以上に加熱することが必要である。特に、オーステナイトが50体積%以上となる温度とすることが望ましい。一方、熱間加工前の加熱温度が1150℃を超えると、加熱時に析出するオーステナイト相が減少し、鋼材の組織を細粒化できない。また、冷却後のフェライト相が十分に得られない。加熱温度の好ましい下限は970℃である。加熱温度の好ましい上限は1120℃であり、より好ましいのは1020℃である。
加工比(加工前の断面積/加工後の断面積):8以上
熱間加工時の加工比を大きくすることによって加工後に再結晶するオーステナイト相を微細化できるので、フェライト変態のための核生成サイトを増加させることができ、熱間加工後の冷却時に微細なフェライト相を析出させやすくする。しかし、熱間加工時の加工比が8未満では、オーステナイト相が加工後再結晶する際に微細化しない。その結果、フェライト変態の核生成サイトが少なくなり、vTrs≦20℃の高い靭性が得られない。好ましい加工比は10以上である。加工比の上限は、特に設けないが、高すぎると加工時の設備への負荷が高くなりすぎるため、上限は50とするのが好ましい。
熱間加工完了から冷却までの時間が長すぎると、その間にオーステナイト粒が成長し、組織の微細化が不十分となる。従って、冷却は、熱間加工直後に行うのが好ましい。特に、熱間加工が完了した後、1分以内に冷却を開始するのが好ましい。
冷却後に行う冷間加工は、断面減少率を28%以上とすることが好ましい。断面減少率が28%未満の場合は、歪の導入が少なく、次の焼きなまし熱処理で再結晶を起こしにくい。このため、かえって粗粒化または混粒化を招く場合がある。好ましい断面減少率は、45%以上である。より好ましいのは60%以上である。断面減少率の上限は特に設けないが、高すぎると加工時の設備への負荷が高くなりすぎるため、上限は80%とするのが好ましい。
冷間加工された管は、強度、靭性等の機械的特性を改善するため通常焼きなまし処理が施される。冷間加工後の熱処理により均一な再結晶組織を得るためには650℃以上の焼きなましをすることが好ましい。より好ましい焼きなまし温度は700℃以上である。また、加熱後の冷却は、空冷または徐冷が好ましい。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.03〜0.08%、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:11.5〜14.5%、Ni:0.14〜0.49%、Al:0.10%を超えて0.30%以下、N:0.030%以下を含み、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する素材に、下記の(1)〜(3)を満足する条件で、加熱、熱間加工および冷却を行うことを特徴とするフェライト系ステンレス鋼材の製造方法。
(1)加熱温度を850〜1150℃とすること、
(2)熱間加工を加工比(加工前の断面積/加工後の断面積)8以上で行うこと、
(3)熱間加工後、冷却開始温度から800℃までの温度域における冷却速度を150〜600℃/分とすること。 - 上記冷却後のフェライト系ステンレス鋼材に、さらに、断面減少率28%以上の冷間加工を行った後、650℃以上の温度で焼きなましすることを特徴とする請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼材の製造方法。
- 質量%で、C:0.03〜0.08%、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:11.5〜14.5%、Ni:0.14〜0.49%、Al:0.10%を超えて0.30%以下、N:0.030%以下を含み、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する素管に、下記の(1)〜(3)を満足する条件で、加熱、熱間押出加工および冷却を行うことを特徴とするフェライト系ステンレス鋼管の製造方法。
(1)加熱温度を850〜1150℃とすること、
(2)熱間押出加工を加工比(加工前の断面積/加工後の断面積)8以上で行うこと、
(3)熱間加工後、冷却開始温度から800℃までの温度域における冷却速度を150〜600℃/分とすること。 - 上記冷却後のフェライト系ステンレス鋼管に、さらに、断面減少率28%以上の冷間圧延を行った後、650℃以上の温度で焼きなましすることを特徴とする請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼管の製造方法。
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JP2009044990A JP5228994B2 (ja) | 2009-02-27 | 2009-02-27 | フェライト系ステンレス鋼材の製造方法およびフェライト系ステンレス鋼管の製造方法 |
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