JP5223842B2 - 鋳片表面温度導出装置及び鋳片表面温度導出方法 - Google Patents
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Description
冷却水を用いた急冷を行うことによって、鋳型の短辺の直下での鋳片表面温度がキュリー点よりも低い温度になると、その部分で鋳片の磁気変態が起こるので(鋳片が磁性を有するようになるので)、この部分に交流磁界を印加すると磁力線が変化する。特許文献1ではこのことを利用して、鋳型の短辺の直下に、鋳片の長手方向に対して垂直な方向の交流磁界を印加するソレノイド状の励磁コイルと、その励磁コイルによる磁力線の変化を検出するソレノイド状の検出コイルとを備えたセンサーを設け、予め定めておいた鋳片表面温度と誘導電圧との関係を示す較正式(温度検量線)に、検出コイルから出力された誘導電圧を代入して鋳片の表面温度を求めるようにしている。このようにすることにより、多量の水や蒸気等が存在する雰囲気下でも、鋳片表面温度を長時間、安定的に測定することができる。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、鋳片に対して交流磁界を印加したときの磁力線の変化に起因する誘導電圧から鋳片の表面温度を求めるために必要となる「鋳片表面温度と誘導電圧との関係」を作成する負担を軽減することを目的とする。
Va=Vkmax−(Vmax−V)×{(Vkmax−Vkmin)÷(Vmax−Vmin)} ・・・(A)
Va=Vkmin+(V−Vmin)×{(Vkmax−Vkmin)÷(Vmax−Vmin)} ・・・(B)
(A)式及び(B)式において、Vkmaxは、前記対応関係データにおける誘導電圧の最大値(V)であり、Vkminは、前記対応関係データにおける誘導電圧の最小値(V)であり、Vmaxは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最大値(V)であり、Vminは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最小値(V)であり、Vは、前記第2のセンサーで測定された誘導電圧(V)である。
本発明の鋳片表面温度導出装置の他の態様例では、鋳片の表面に対して略垂直方向から交流磁界を印加する印加コイルと、前記印加コイルにより印加された交流磁界の時間的な変化を表す誘導電圧を検出する検出コイルと、を備えたセンサーであり、前記鋳片の表面温度が変動する領域に対して配置されたセンサーで測定された前記誘導電圧の情報を入力し、入力した情報を用いて、鋳片の表面温度を導出する鋳片表面温度導出装置であって、前記センサーのうち、基準となる第1のセンサーで測定される誘導電圧と、当該誘導電圧が得られたときの前記鋳片の表面温度との関係を示す対応関係データを第1のセンサーに係る対応関係データとして予め記憶する第1の記憶手段と、前記センサーのうち、前記基準となるセンサーとは異なる第2のセンサーで測定される誘導電圧の最大値及び最小値である最大・最小誘導電圧を予め記憶する第2の記憶手段と、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧と、当該誘導電圧が得られたときの前記鋳片の表面温度との関係を示す対応関係データを第2のセンサーに係る対応関係データとして、以下の(C)式又は(D)式を用いて導出する第1の導出手段と、前記第2のセンサーで測定された前記誘導電圧の情報が入力されると、当該誘導電圧に対応する表面温度を、前記第2のセンサーに係る対応関係データから導出する第2の導出手段と、を有し前記第2の導出手段により導出された表面温度を、前記第2のセンサーで測定された誘導電圧に対する鋳片の表面温度とすることを特徴とする。
Va(t)=Vmax−(Vkmax−V(t))×{(Vmax−Vmin)÷(Vkmax−Vkmin)} ・・・(C)
Va(t)=Vmin+(V(t)−Vkmin)×{(Vmax−Vmin)÷(Vkmax−Vkmin)} ・・・(D)
(C)式及び(D)式において、Va(t)は、前記第2のセンサーに係る対応関係データの温度t(℃)における誘導電圧であり、Vkmaxは、前記第1のセンサーに係る対応関係データにおける誘導電圧の最大値(V)であり、Vkminは、前記第1のセンサーに係る対応関係データにおける誘導電圧の最小値(V)であり、Vmaxは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最大値(V)であり、Vminは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最小値(V)であり、V(t)は、前記第1のセンサーに係る対応関係データの温度t(℃)における誘導電圧である。
Va=Vkmax−(Vmax−V)×{(Vkmax−Vkmin)÷(Vmax−Vmin)} ・・・(A)
Va=Vkmin+(V−Vmin)×{(Vkmax−Vkmin)÷(Vmax−Vmin)} ・・・(B)
(A)式及び(B)式において、Vkmaxは、前記対応関係データにおける誘導電圧の最大値(V)であり、Vkminは、前記対応関係データにおける誘導電圧の最小値(V)であり、Vmaxは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最大値(V)であり、Vminは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最小値(V)であり、Vは、前記第2のセンサーで測定された誘導電圧(V)である。
本発明の鋳片表面温度導出方法の他の態様例では、鋳片の表面に対して略垂直方向から交流磁界を印加する印加コイルと、前記印加コイルにより印加された交流磁界の時間的な変化を表す誘導電圧を検出する検出コイルと、を備えたセンサーであり、前記鋳片の表面温度が変動する領域に対して配置されたセンサーで測定された前記誘導電圧の情報を入力し、入力した情報を用いて、鋳片の表面温度を導出する鋳片表面温度導出方法であって、前記センサーのうち、基準となる第1のセンサーで測定される誘導電圧と、当該誘導電圧が得られたときの前記鋳片の表面温度との関係を示す対応関係データを第1のセンサーに係る対応関係データとして予め記憶する第1の記憶ステップと、前記センサーのうち、前記基準となるセンサーとは異なる第2のセンサーで測定される誘導電圧の最大値及び最小値である最大・最小誘導電圧を予め記憶する第2の記憶ステップと、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧と、当該誘導電圧が得られたときの前記鋳片の表面温度との関係を示す対応関係データを第2のセンサーに係る対応関係データとして、以下の(C)式又は(D)式を用いて導出する第1の導出ステップと、前記第2のセンサーで測定された前記誘導電圧の情報が入力されると、当該誘導電圧に対応する表面温度を、前記第2のセンサーに係る対応関係データから導出する第2の導出ステップと、を有し、前記第2の導出ステップにより導出された表面温度を、前記第2のセンサーで測定された誘導電圧に対する鋳片の表面温度とすることを特徴とする鋳片表面温度導出方法。
Va(t)=Vmax−(Vkmax−V(t))×{(Vmax−Vmin)÷(Vkmax−Vkmin)} ・・・(C)
Va(t)=Vmin+(V(t)−Vkmin)×{(Vmax−Vmin)÷(Vkmax−Vkmin)} ・・・(D)
(C)式及び(D)式において、Va(t)は、前記第2のセンサーに係る対応関係データの温度t(℃)における誘導電圧であり、Vkmaxは、前記第1のセンサーに係る対応関係データにおける誘導電圧の最大値(V)であり、Vkminは、前記第1のセンサーに係る対応関係データにおける誘導電圧の最小値(V)であり、Vmaxは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最大値(V)であり、Vminは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最小値(V)であり、V(t)は、前記第1のセンサーに係る対応関係データの温度t(℃)における誘導電圧である。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、鋳片状態測定装置が設けられた連続鋳造機の一部分の構成の一例を示す図である。具体的に図1の上図は、連続鋳造機の横断面図であり、図1の下図は、連続鋳造機の縦断面図である。尚、図1では、説明の都合上、各部の構成を簡略化して示している。
図1において、鋳型10は、短辺側部材11a、11bと、長辺側部材12a、12bと、を有する。前述したように鋳型10の内部は直方体形状となっている。浸漬ノズル13は、鋳型10の上方から内部にかけて上下方向に延設されている。溶鋼14は、図示しないタンディッシュを経由して、浸漬ノズル13によって鋳型10の内部へ連続的に注がれる。溶鋼14は、鋳型10の内部において、そのエッジの領域が凝固して凝固シェルになり、鋳片15として鋳型10から下方に引き出される。鋳型10の短辺側部材11a、11bの直下には、それぞれ2本のサポートロール16a・16b、16c・16dが設けられている。更に、サポートロール16b、16dの直下には、それぞれ鋳片温度測定用センサー21a、21bが設けられている。ここで、鋳型10の短辺側部材11a(11b)、サポートロール16a、16b(16c、16d)、及び鋳片温度測定用センサー21a(21b)は一体で動くようにしている。すなわち、鋳片15の鋳造幅を調整するために、鋳型10の短辺側部材11a(11b)が水平方向に移動すると、それに連動してサポートロール16a、16b(16c、16d)及び鋳片温度測定用センサー21a(21b)も水平方向に移動する。このように、鋳型10の短辺側部材11a(11b)、サポートロール16a、16b(16c、16d)、及び鋳片温度測定用センサー21a(21b)の位置関係は、鋳型10の短辺側部材11a(11b)が移動しても変わらない。これにより、鋳片15の幅を種々変更するべく鋳型10を調整したとしても、鋳片温度測定用センサー21と鋳片15の短辺側の表面との間の冷間時における距離を略一定にすること、すなわち、後述する励磁コイル22によって鋳片15の短辺側の表面に対して略垂直に印加される交流磁界を略一定にすることができる。
図3において、鋳片表面温度測定装置20は、それぞれが励磁コイル22、検出コイル23、及びパイプ24を備えた鋳片温度測定用センサー21a、21bと、発振器25と、定電流アンプ26と、信号処理器27と、ロックインアンプ28と、演算装置29とを有している。
励磁コイル22及び検出コイル23のコイル一式はステンレス製円筒ケース(図示せず)に収納され、このステンレス製円筒ケース内は乾燥空気で強制冷却されている。また、パイプ24の径の中心を通る軸が、鋳片15の短辺方向の中心に一致するようにパイプ24を配置することが好ましい。鋳片15の端の部分の表面温度は中央部分に比べて低いため、パイプ24を鋳片15の短辺方向の端の部分に配置すると、後述するようにして行う鋳片15の表面温度の測定を正確に行うことが困難になるためである。
本実施形態では、以上のようにして生じる磁力線の分布の時間的な変化を、サポートロール16b(16d)の直下(鋳片15の短辺側を強冷却する冷却帯の直下)に配置した鋳片温度測定用センサー21a(21b)の検出コイル23によって検出するようにしている。
定電流アンプ26は、発振器25で生成された1.5Hzの交流信号を一定の大きさの交流電流に増幅して励磁コイル22の両端に印加すると共に、ロックインアンプ28に1.5Hzの信号を参照信号として出力する。
信号処理器27は、オペアンプ、抵抗、コンデンサ、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ等を備え、検出コイル23で検出された誘導電圧を入力し、電圧増幅やフィルター処理等の信号処理を行う。
ロックインアンプ28は、検出コイル23で検出された誘導電圧の信号が信号処理器27で処理されると、その信号から、参照信号と同一の周波数(1.5Hz)の電圧値(振幅)を抽出して出力するアナログ機器である。また、ロックインアンプ28は、検出コイル23で検出された誘導電圧の信号と、参照信号との位相差も検出する。
尚、信号処理器27及びロックインアンプ28の機能をソフトウェアで代替処理することもできる。このようにする場合には、検出コイル23で検出された誘導電圧の信号を、AD変換器を通してパソコン等のコンピュータに取り込み、信号処理器27とロックインアンプ28の機能をソフトウェアプログラムで実現すればよい。
演算装置29は、鋳片15の表面温度を計算するために、基準となる鋳片温度測定用センサー(ここでは鋳片温度測定用センサー21aとする)の温度検量線(鋳片15の表面温度と検出コイル23で検出される誘導電圧との関係を示す較正式)を、鋳片温度測定用センサー21aと鋳片15との間の(冷間時における)距離であるギャップ毎に複数予め記憶している。また、演算装置29は、その他の鋳片温度測定用センサー(ここでは鋳片温度測定用センサー21bとする)の検出コイル23で検出される最大誘導電圧と最小誘導電圧(温度検量線の全てではなく、温度検量線の誘導電圧の最大値と最小値)を、鋳片温度測定用センサー21bと鋳片15との間の(冷間時における)距離であるギャップ毎に複数予め記憶している。
以上の測定は、オンラインで行ってもオフラインで行ってもよい。
まず、鋳片15の鋳片温度測定用センサー21a側の短辺の表面温度を導出する方法を説明する。
演算装置29は、連続鋳造機に設置されている鋳片温度測定用センサー21aと鋳片15とのギャップの情報を入力し、入力したギャップに対応する基準温度検量線41を選択する。その後、鋳片温度測定用センサー21aの検出コイル23で誘導電圧が測定されると、その誘導電圧に対応する温度を、選択した基準温度検量線41から求め、求めた温度を、鋳片15の鋳片温度測定用センサー21a側の短辺の表面温度として採用する。
演算装置29は、連続鋳造機に設置されている鋳片温度測定用センサー21bと鋳片15とのギャップの情報を入力し、入力したギャップに対応する「基準温度検量線41と、鋳片温度測定用センサー21bの最大誘導電圧・最小誘導電圧」を選択する。その後、鋳片温度測定用センサー21bの検出コイル23で誘導電圧が測定されると、演算装置29は、以下の(1)式を用いて、補正誘導電圧Vaを導出する。
Va=Vkmax−(Vmax−V)×{(Vkmax−Vkmin)÷(Vmax−Vmin)} ・・・(1)
ここで、Vは、鋳片温度測定用センサー21bの検出コイル23で測定された誘導電圧である。Vkmax、Vkminは、基準温度検量線41の最大誘導電圧、最小誘導電圧であり、Vmax、Vminは、鋳片温度測定用センサー21bの最大誘導電圧、最小誘導電圧である。尚、(1)式の各変数の単位は(V)である。
そして、演算装置29は、補正誘導電圧Vaに対応する温度を基準温度検量線41から求め、求めた温度を、鋳片15の鋳片温度測定用センサー21b側の短辺の表面温度として採用する。
前述した(1)式の計算を行うことにより、導出対象温度検量線52の誘導電圧Vは、基準温度検量線51の誘導電圧(補正誘導電圧Va)に置換される。すなわち、導出対象温度検量線52の補正誘導電圧Vaに対応する温度と、基準温度検量線51の誘導電圧Vに対応する温度は一致する。したがって、補正誘導電圧Vaに対応する温度を基準温度検量線51から求めれば、鋳片温度測定用センサー21aの検出コイル23で測定された誘導電圧Vに対応する温度を導出対象温度検量線52から求めることと実質的に同じことになる。
また、図6(b)は、基準温度検量線61と、水平移動後の導出対象温度検量線63と、線形補正後の導出対象温度検量線64を示す図である。ここで、水平移動後の導出対象温度検量線63とは、図6(a)に示した導出対象温度検量線62の最大値が基準温度検量線61の最大値と一致するように、導出対象温度検量線62を横軸方向に水平に移動することにより得られる温度検量線である。また、線形補正後の導出対象温度検量線64は、水平移動後の導出対象温度検量線63の各誘導電圧V、Vmax、Vminと、基準温度検量線61の最大・最小誘導電圧Vkmax、Vkminとから(1)式に従って補正誘導電圧Vaを導出し、水平移動後の導出対象温度検量線63の誘導電圧Vに対応する温度と、その誘導電圧Vを用いて導出した補正誘導電圧Vaとから定まる点をプロットすることにより得られる温度検量線である。
Vsk=(Vk−Vvmin)÷(Vvmax−Vvmin) ・・・(2)
水平移動後の導出対象温度検量線63の誘導電圧、線形補正後の導出対象温度検量線64の誘導電圧、及び温度についても同様にして正規化する。尚、(2)式の右辺の各変数の単位は(V)である。
また、図6(b)、図6(c)から分かるように、線形補正後の導出対象温度検量線64(正規化した線形補正後の導出対象温度検量線67)と、基準温度検量線61(正規化した基準温度検量線65)とは略一致している。したがって、(1)式の計算を行うことにより、鋳片温度測定用センサーの個体差を吸収し、導出対象温度検量線52の誘導電圧Vを、基準温度検量線51の誘導電圧(補正誘導電圧Va)に正確に置換できることが分かる。
尚、演算装置29は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、各種インターフェース、及びコンピュータディスプレイを備えた情報処理装置により実現することができる。
Va=Vkmin+(V−Vmin)×{(Vkmax−Vkmin)÷(Vmax−Vmin)} ・・・(3)
また、本実施形態では、基準温度検量線41のデータを演算装置29が記憶する場合を例に挙げて示したが、基準温度検量線41の誘導電圧と温度とを相互に関連付けてテーブルに記憶するようにしてもよい。この場合、テーブルに記憶されていないデータについては、補間処理を行って求めるようにすることができる。
また、ギャップが固定(一定)である場合には、「基準温度検量線41と、鋳片温度測定用センサー21bの最大誘導電圧・最小誘導電圧」をギャップ毎に用意する必要はない。
また、鋳片15の表面に対して略垂直方向から交流磁界を印加する励磁コイルと、当該励磁コイルにより印加された交流磁界の時間的な変化を表す誘導起電力を検出する検出コイルとを有していれば、鋳片温度測定用センサー21の構成は、図3に示したものに限定されない。
また、演算装置29が、連続鋳造機に設置されている鋳片温度測定用センサー21bと鋳片15とのギャップの情報を入力することにより入力手段の一例が実現され、演算装置29が、入力したギャップに対応する「基準温度検量線41と、鋳片温度測定用センサー21bの最大誘導電圧・最小誘導電圧」を選択することにより第1の取得手段、第2の取得手段の一例が実現される。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、(1)式又は(3)式を用いて、鋳片温度測定用センサー21bの誘導電圧Vを、基準となる鋳片温度測定用センサー21aで測定される誘導電圧(補正誘導電圧Va)に置換し、置換した補正誘導電圧Vaに対応する温度を基準温度検量線41から求める場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、ギャップ毎の「基準温度検量線41と、鋳片温度測定用センサー21bの最大誘導電圧・最小誘導電圧」を予め用意し、それらの情報から、演算装置29が導出対象温度検量線を自動的に求めるようにする場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態と前述した第1の実施形態とは、演算装置29が、その他の鋳片温度測定用センサー(鋳片温度測定用センサー21b)で測定された誘導電圧を用いて、鋳片15の当該鋳片温度測定用センサー側の短辺の表面温度を求める処理が主として異なる。したがって、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図6に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
そして、演算装置29は、鋳片15の鋳片温度測定用センサー21b側の短辺の表面温度を求めるに際し、連続鋳造機に設置されている鋳片温度測定用センサー21bと鋳片15とのギャップの情報を入力し、入力したギャップに対応する「基準温度検量線41と、鋳片温度測定用センサー21bの最大誘導電圧・最小誘導電圧」を選択する。そして、演算装置29は、以下の(4)式を用いて、鋳片温度測定用センサー21bの温度検量線(導出対象温度検量線)を導出する。
Va(t)=Vmax−(Vkmax−V(t))×{(Vmax−Vmin)÷(Vkmax−Vkmin)} ・・・(4)
その後、鋳片温度測定用センサー21bの検出コイル23で誘導電圧が測定されると、演算装置29は、その誘導電圧に対応する温度を(4)式から導出した導出対象温度検量線から求め、求めた温度を、鋳片15の鋳片温度測定用センサー21b側の短辺の表面温度として採用する。
前述した第1の実施形態では、(1)式に示したように、基準温度検量線の誘導電圧の範囲(Vkmin〜Vkmax)と、導出対象温度検量線の誘導電圧の範囲(Vmax〜Vmin)との比((Vkmax−Vkmin)/(Vmax−Vmin))に基づいて、鋳片温度測定用センサー21bで測定された誘導電圧Vを、基準となる鋳片温度測定用センサー21aで測定される誘導電圧(補正誘導電圧Va)に置換した。これに対し、本実施形態では、(4)式に示したように、基準温度検量線の誘導電圧の範囲(Vkmin〜Vkmax)と、導出対象温度検量線の誘導電圧の範囲(Vmax〜Vmin)との比(((Vmax−Vmin)/(Vkmax−Vkmin))に基づいて、鋳片温度測定用センサー21aで測定される誘導電圧V(t)を、導出対象温度検量線の誘導電圧Va(t)に置換する。このように、(1)式と(4)式は、導出対象温度検量線の誘導電圧を基準温度検量線の誘導電圧に置換するか、基準温度検量線の誘導電圧を導出対象温度検量線の誘導電圧に置換するかが違うだけである。
尚、本実施形態では、(4)式を用いて、鋳片温度測定用センサー21bの温度検量線(導出対象温度検量線)を導出する場合を例に挙げて示したが、(4)式の代わりに以下の(5)式を用いてもよい。尚、(5)式の各変数の単位は(V)である。
Va(t)=Vmin+(V(t)−Vkmin)×{(Vmax−Vmin)÷(Vkmax−Vkmin)} ・・・(5)
また、本実施形態では、導出対象温度検量線のデータを導出する場合を例に挙げて示したが、導出対象温度検量線の誘導電圧と温度とを相互に関連付けてテーブルに記憶するようにしてもよい。この場合、テーブルに記憶されていないデータについては、補間処理を行って求めるようにすることができる。
この他、本実施形態においても、前述した第1の実施形態で説明したのと同様に、基準温度検量線41の誘導電圧と温度とを相互に関連付けてテーブルに記憶するようにしてもよい。また、ギャップが固定(一定)である場合には、「基準温度検量線41と、鋳片温度測定用センサー21bの最大誘導電圧・最小誘導電圧」をギャップ毎に用意する必要はない。さらに、鋳片温度測定用センサー21の構成も図3に示したものに限定されない。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
11 短辺側部材
12 長辺側部材
13 浸漬ノズル
14 溶鋼
15 鋳片
16 サポートロール
20 鋳片表面温度測定装置
21 鋳片温度測定用センサー
22 励磁コイル
23 検出コイル
24 パイプ
25 発振器
26 定電流アンプ
27 信号処理器
28 ロックインアンプ
29 演算装置
Claims (8)
- 鋳片の表面に対して略垂直方向から交流磁界を印加する印加コイルと、前記印加コイルにより印加された交流磁界の時間的な変化を表す誘導電圧を検出する検出コイルと、を備えたセンサーであり、前記鋳片の表面温度が変動する領域に対して配置されたセンサーで測定された前記誘導電圧の情報を入力し、入力した情報を用いて、鋳片の表面温度を導出する鋳片表面温度導出装置であって、
前記センサーのうち、基準となる第1のセンサーで測定される誘導電圧と、当該誘導電圧が得られたときの前記鋳片の表面温度との関係を示す対応関係データを予め記憶する第1の記憶手段と、
前記センサーのうち、前記基準となるセンサーとは異なる第2のセンサーで測定される誘導電圧の最大値及び最小値である最大・最小誘導電圧を予め記憶する第2の記憶手段と、
前記第2のセンサーで測定された前記誘導電圧の情報が入力されると、以下の(A)式又は(B)式を用いて補正誘導電圧Va(V)を導出する第1の導出手段と、
前記第1の導出手段により導出された補正誘導電圧Vaに対応する表面温度を、前記対応関係データから導出する第2の導出手段と、を有し、
前記第2の導出手段により導出された表面温度を、前記第2のセンサーで測定された誘導電圧に対する鋳片の表面温度とすることを特徴とする鋳片表面温度導出装置。
Va=Vkmax−(Vmax−V)×{(Vkmax−Vkmin)÷(Vmax−Vmin)} ・・・(A)
Va=Vkmin+(V−Vmin)×{(Vkmax−Vkmin)÷(Vmax−Vmin)} ・・・(B)
(A)式及び(B)式において、Vkmaxは、前記対応関係データにおける誘導電圧の最大値(V)であり、Vkminは、前記対応関係データにおける誘導電圧の最小値(V)であり、Vmaxは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最大値(V)であり、Vminは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最小値(V)であり、Vは、前記第2のセンサーで測定された誘導電圧(V)である。 - 前記第2のセンサーと前記鋳片との間の距離であるギャップの情報を入力する入力手段と、
前記第1の記憶手段により記憶された前記対応関係データを取得する第1の取得手段と、
前記第2の記憶手段により記憶された前記最大・最小誘導電圧を取得する第2の取得手段と、を更に有し、
前記第1の記憶手段は、前記第1のセンサーと前記鋳片との間の距離であるギャップ毎に、前記対応関係データを予め記憶し、
前記第2の記憶手段は、前記第2のセンサーと前記鋳片との間の距離であるギャップ毎に、前記最大・最小誘導電圧を予め記憶し、
前記第1の取得手段は、前記入力手段により入力されたギャップに対応する前記対応関係データを取得し、
前記第2の取得手段は、前記入力手段により入力されたギャップに対応する前記最大・最小誘導電圧を取得し、
前記第1の導出手段は、前記第2のセンサーで測定された前記誘導電圧の情報が入力されると、前記第1の取得手段により取得された前記対応関係データと、前記第2の取得手段により取得された前記最大・最小誘導電圧と、を用いて前記補正誘導電圧を導出することを特徴とする請求項1に記載の鋳片表面温度導出装置。 - 鋳片の表面に対して略垂直方向から交流磁界を印加する印加コイルと、前記印加コイルにより印加された交流磁界の時間的な変化を表す誘導電圧を検出する検出コイルと、を備えたセンサーであり、前記鋳片の表面温度が変動する領域に対して配置されたセンサーで測定された前記誘導電圧の情報を入力し、入力した情報を用いて、鋳片の表面温度を導出する鋳片表面温度導出装置であって、
前記センサーのうち、基準となる第1のセンサーで測定される誘導電圧と、当該誘導電圧が得られたときの前記鋳片の表面温度との関係を示す対応関係データを第1のセンサーに係る対応関係データとして予め記憶する第1の記憶手段と、
前記センサーのうち、前記基準となるセンサーとは異なる第2のセンサーで測定される誘導電圧の最大値及び最小値である最大・最小誘導電圧を予め記憶する第2の記憶手段と、
前記第2のセンサーで測定される誘導電圧と、当該誘導電圧が得られたときの前記鋳片の表面温度との関係を示す対応関係データを第2のセンサーに係る対応関係データとして、以下の(C)式又は(D)式を用いて導出する第1の導出手段と、
前記第2のセンサーで測定された前記誘導電圧の情報が入力されると、当該誘導電圧に対応する表面温度を、前記第2のセンサーに係る対応関係データから導出する第2の導出手段と、を有し
前記第2の導出手段により導出された表面温度を、前記第2のセンサーで測定された誘導電圧に対する鋳片の表面温度とすることを特徴とする鋳片表面温度導出装置。
Va(t)=Vmax−(Vkmax−V(t))×{(Vmax−Vmin)÷(Vkmax−Vkmin)} ・・・(C)
Va(t)=Vmin+(V(t)−Vkmin)×{(Vmax−Vmin)÷(Vkmax−Vkmin)} ・・・(D)
(C)式及び(D)式において、Va(t)は、前記第2のセンサーに係る対応関係データの温度t(℃)における誘導電圧であり、Vkmaxは、前記第1のセンサーに係る対応関係データにおける誘導電圧の最大値(V)であり、Vkminは、前記第1のセンサーに係る対応関係データにおける誘導電圧の最小値(V)であり、Vmaxは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最大値(V)であり、Vminは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最小値(V)であり、V(t)は、前記第1のセンサーに係る対応関係データの温度t(℃)における誘導電圧である。 - 前記第2のセンサーと前記鋳片との間の距離であるギャップの情報を入力する入力手段と、
前記第1の記憶手段により記憶された前記第1のセンサーに係る対応関係データを取得する第1の取得手段と、
前記第2の記憶手段により記憶された前記最大・最小誘導電圧を取得する第2の取得手段と、を更に有し、
前記第1の記憶手段は、前記第1のセンサーと前記鋳片との間の距離であるギャップ毎に、前記対応関係データを予め記憶し、
前記第2の記憶手段は、前記第2のセンサーと前記鋳片との間の距離であるギャップ毎に、前記最大・最小誘導電圧を予め記憶し、
前記第1の取得手段は、前記入力手段により入力されたギャップに対応する前記対応関係データを前記第1のセンサーに係る対応関係データとして取得し、
前記第2の取得手段は、前記入力手段により入力されたギャップに対応する前記最大・最小誘導電圧を取得し、
前記第1の導出手段は、前記第2のセンサーで測定された前記誘導電圧の情報が入力されると、前記第1の取得手段により取得された前記第1のセンサーに係る対応関係データと、前記第2の取得手段により取得された前記最大・最小誘導電圧と、を用いて前記第2のセンサーに係る対応関係データを導出することを特徴とする請求項3に記載の鋳片表面温度導出装置。 - 鋳片の表面に対して略垂直方向から交流磁界を印加する印加コイルと、前記印加コイルにより印加された交流磁界の時間的な変化を表す誘導電圧を検出する検出コイルと、を備えたセンサーであり、前記鋳片の表面温度が変動する領域に対して配置されたセンサーで測定された前記誘導電圧の情報を入力し、入力した情報を用いて、鋳片の表面温度を導出する鋳片表面温度導出方法であって、
前記センサーのうち、基準となる第1のセンサーで測定される誘導電圧と、当該誘導電圧が得られたときの前記鋳片の表面温度との関係を示す対応関係データを予め記憶する第1の記憶ステップと、
前記センサーのうち、前記基準となるセンサーとは異なる第2のセンサーで測定される誘導電圧の最大値及び最小値である最大・最小誘導電圧を予め記憶する第2の記憶ステップと、
前記第2のセンサーで測定された前記誘導電圧の情報が入力されると、以下の(A)式又は(B)式を用いて補正誘導電圧Va(V)を導出する第1の導出ステップと、
前記第1の導出ステップにより導出された補正誘導電圧Va(V)に対応する表面温度を、前記対応関係データから導出する第2の導出ステップと、を有し、
前記第2の導出ステップにより導出された表面温度を、前記第2のセンサーで測定された誘導電圧に対する鋳片の表面温度とすることを特徴とする鋳片表面温度導出方法。
Va=Vkmax−(Vmax−V)×{(Vkmax−Vkmin)÷(Vmax−Vmin)} ・・・(A)
Va=Vkmin+(V−Vmin)×{(Vkmax−Vkmin)÷(Vmax−Vmin)} ・・・(B)
(A)式及び(B)式において、Vkmaxは、前記対応関係データにおける誘導電圧の最大値(V)であり、Vkminは、前記対応関係データにおける誘導電圧の最小値(V)であり、Vmaxは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最大値(V)であり、Vminは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最小値(V)であり、Vは、前記第2のセンサーで測定された誘導電圧(V)である。 - 前記第2のセンサーと前記鋳片との間の距離であるギャップの情報を入力する入力ステップと、
前記第1の記憶ステップにより記憶された前記対応関係データを取得する第1の取得ステップと、
前記第2の記憶ステップにより記憶された前記最大・最小誘導電圧を取得する第2の取得ステップと、を更に有し、
前記第1の記憶ステップは、前記第1のセンサーと前記鋳片との間の距離であるギャップ毎に、前記対応関係データを予め記憶し、
前記第2の記憶ステップは、前記第2のセンサーと前記鋳片との間の距離であるギャップ毎に、前記最大・最小誘導電圧を予め記憶し、
前記第1の取得ステップは、前記入力ステップにより入力されたギャップに対応する前記対応関係データを取得し、
前記第2の取得ステップは、前記入力ステップにより入力されたギャップに対応する前記最大・最小誘導電圧を取得し、
前記第1の導出ステップは、前記第2のセンサーで測定された前記誘導電圧の情報が入力されると、前記第1の取得ステップにより取得された前記対応関係データと、前記第2の取得ステップにより取得された前記最大・最小誘導電圧と、を用いて前記補正誘導電圧を導出することを特徴とする請求項5に記載の鋳片表面温度導出方法。 - 鋳片の表面に対して略垂直方向から交流磁界を印加する印加コイルと、前記印加コイルにより印加された交流磁界の時間的な変化を表す誘導電圧を検出する検出コイルと、を備えたセンサーであり、前記鋳片の表面温度が変動する領域に対して配置されたセンサーで測定された前記誘導電圧の情報を入力し、入力した情報を用いて、鋳片の表面温度を導出する鋳片表面温度導出方法であって、
前記センサーのうち、基準となる第1のセンサーで測定される誘導電圧と、当該誘導電圧が得られたときの前記鋳片の表面温度との関係を示す対応関係データを第1のセンサーに係る対応関係データとして予め記憶する第1の記憶ステップと、
前記センサーのうち、前記基準となるセンサーとは異なる第2のセンサーで測定される誘導電圧の最大値及び最小値である最大・最小誘導電圧を予め記憶する第2の記憶ステップと、
前記第2のセンサーで測定される誘導電圧と、当該誘導電圧が得られたときの前記鋳片の表面温度との関係を示す対応関係データを第2のセンサーに係る対応関係データとして、以下の(C)式又は(D)式を用いて導出する第1の導出ステップと、
前記第2のセンサーで測定された前記誘導電圧の情報が入力されると、当該誘導電圧に対応する表面温度を、前記第2のセンサーに係る対応関係データから導出する第2の導出ステップと、を有し、
前記第2の導出ステップにより導出された表面温度を、前記第2のセンサーで測定された誘導電圧に対する鋳片の表面温度とすることを特徴とする鋳片表面温度導出方法。
Va(t)=Vmax−(Vkmax−V(t))×{(Vmax−Vmin)÷(Vkmax−Vkmin)} ・・・(C)
Va(t)=Vmin+(V(t)−Vkmin)×{(Vmax−Vmin)÷(Vkmax−Vkmin)} ・・・(D)
(C)式及び(D)式において、Va(t)は、前記第2のセンサーに係る対応関係データの温度t(℃)における誘導電圧であり、Vkmaxは、前記第1のセンサーに係る対応関係データにおける誘導電圧の最大値(V)であり、Vkminは、前記第1のセンサーに係る対応関係データにおける誘導電圧の最小値(V)であり、Vmaxは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最大値(V)であり、Vminは、前記第2のセンサーで測定される誘導電圧の最小値(V)であり、V(t)は、前記第1のセンサーに係る対応関係データの温度t(℃)における誘導電圧である。 - 前記第2のセンサーと前記鋳片との間の距離であるギャップの情報を入力する入力ステップと、
前記第1の記憶ステップにより記憶された前記第1のセンサーに係る対応関係データを取得する第1の取得ステップと、
前記第2の記憶ステップにより記憶された前記最大・最小誘導電圧を取得する第2の取得ステップと、を更に有し、
前記第1の記憶ステップは、前記第1のセンサーと前記鋳片との間の距離であるギャップ毎に、前記対応関係データを予め記憶し、
前記第2の記憶ステップは、前記第2のセンサーと前記鋳片との間の距離であるギャップ毎に、前記最大・最小誘導電圧を予め記憶し、
前記第1の取得ステップは、前記入力ステップにより入力されたギャップに対応する前記対応関係データを前記第1のセンサーに係る対応関係データとして取得し、
前記第2の取得ステップは、前記入力ステップにより入力されたギャップに対応する前記最大・最小誘導電圧を取得し、
前記第1の導出ステップは、前記第2のセンサーで測定された前記誘導電圧の情報が入力されると、前記第1の取得ステップにより取得された前記第1のセンサーに係る対応関係データと、前記第2の取得ステップにより取得された前記最大・最小誘導電圧と、を用いて前記第2のセンサーに係る対応関係データを導出することを特徴とする請求項7に記載の鋳片表面温度導出方法。
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