以下、本発明のいくつかの実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の画像形成装置は、転写回転体の回転軸の支持高さを変化して転写部の幅のばらつきを減少させる限りにおいて、各実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
従って、像担持体側に加圧ばねが配置されて、転写回転体の回転軸には加圧ばねが配置されない構成でも実施できる。
また、中間転写体を用いる画像形成装置に限らず、像担持体から記録材へ直接転写する画像形成装置、記録材搬送ベルトを用いた画像形成装置でも実施できる。記録材搬送ベルト又は中間転写体に沿って複数の画像形成部を配置したタンデム型画像形成装置でも実施できる。
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
なお、特許文献1〜3に示される画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、ロータリ型の現像装置4を備え、感光ドラム1に形成した静電像をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナーで現像して各色のトナー像を順番に形成する。感光ドラム1に形成された各色のトナー像は、一次転写部T1にて、中間転写ベルト6へ形成された順番で重ねて一次転写される。
中間転写ベルト6に4色のトナー像が一次転写し終わると、中間転写ベルト6に担持された4色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて、記録材Pへ一括二次転写される。4色のトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置7で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着される。
回転する感光ドラム1の周囲には、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、一次転写ローラ5、クリーニング装置11が配置される。
像担持体の一例である感光ドラム1は、接地電位に接続されたアルミニウム製シリンダ1aの外周面に、帯電極性が負極性の感光層1bを形成してある。感光ドラム1は、軸方向の両端部を回転自在に支持され、一方の端部に駆動力を伝達されて矢印R1方向に回転する。
帯電装置2は、電源D3から電圧を印加して発生させた帯電粒子を感光ドラム1に照射して、感光ドラム1の表面を一様な負電位に帯電させる。
露光装置3は、画像データを展開した走査線データに基づいてON−OFF変調されたレーザービームを回転ミラーで走査して、感光ドラム1の表面に画像の静電像を書き込む。
現像装置4は、全体を回転させて、イエロー現像器4Y、マゼンタ現像器4M、シアン現像器4C、ブラック現像器4Kをそれぞれ感光ドラム1との対向位置へ移動可能である。イエロー現像器4Y、マゼンタ現像器4M、シアン現像器4C、ブラック現像器4Kは、それぞれイエロートナー、マゼンタトナー、ブラックトナーを用いて、同様に各色トナー像を形成する。ここでは、イエロー現像器4Yを説明して、他の現像器については重複する説明を省略する。
イエロー現像器4Yは、負極性に帯電したイエロートナーを薄層状態で現像スリーブ4sに担持させて、感光ドラム1と僅かな隙間を隔ててカウンタ方向に回転させる。
電源D4は、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を現像スリーブ4sに印加して、現像スリーブ4s側のトナーを感光ドラム1の露光部分に移動させて、静電潜像を反転現像したトナー像を形成する。
濃度検出センサ14a、14b、14cは、現像装置4と一次転写部T1との中間で、感光ドラム1の同一回転位置における手前側、中央、奥側にそれぞれ配置されている。濃度検出センサ14a、14b、14cは、感光ドラム1に担持されたトナー像に赤外光を照射して、反射光量に応じたアナログ電圧を制御部110に出力する。
転写回転体の一例である一次転写ローラ5は、転写媒体の一例である中間転写ベルト6を介して感光ドラム1に圧接して、感光ドラム1と中間転写ベルト6との間に一次転写部T1を形成する。一次転写ローラ5は、外径8mmのステンレス製のローラ軸5aの外周面に、抵抗性を付与した弾性層5bを配置して、外径16mmに形成されている。
弾性層5bは、ゴム、ウレタン等の高分子エラストマーや高分子フォーム材料を基材として用いたいわゆるスポンジローラであって、中央が両端部よりも直径が大きいクラウン形状に形成されている。弾性層5bは、硬度がAskerC硬度で25〜40であり、組織中にイオン性導電物質を混入して、抵抗値を1×106〜1×108[Ω]に調整してある。
電源D1は、一次転写ローラ5に正極性の直流電圧を印加して、感光ドラム1に担持された負極性のトナー像を中間転写ベルト6へ移動させる。
クリーニング装置11は、クリーニングブレード11bを感光ドラム1に摺擦させることにより、一次転写部T1を通過して、感光ドラム1に残った転写残トナーを掻き落とす。
像担持体の一例である中間転写ベルト6は、厚み0.07〜0.1mm、周長527.5mmの無端状に形成され、張架ローラ18、19、23、テンションローラ20、二次転写対向ローラ21、駆動ローラ22に掛け渡して支持される。中間転写ベルト6は、テンションローラ20によって張力を一定に制御され、駆動ローラ36によって駆動されて、矢印R2方向に回転する。
中間転写ベルト6は、ポリイミド、ポリカーボネート等の基材にカーボンブラックを適当量含有させて、体積抵抗率を1×108〜1×1013[Ω・cm]に調整してある。
転写回転体の一例である二次転写ローラ9は、中間転写ベルト6を介して二次転写対向ローラ21に圧接して、中間転写ベルト6と二次転写ローラ9との間に二次転写部T2を形成する。二次転写部T2は、トナー像を担持した中間転写ベルト6に重ね合わせて記録材Pを挟持搬送する。
ニ次転写ローラ9は、外径12mmのステンレス製のローラ軸9aの外周面に、抵抗性を付与した弾性層9bを配置して、外径30mmに形成されている。
弾性層9bは、ゴム、ウレタン等の高分子エラストマーや高分子フォーム材料を基材として用い、組織中にイオン性導電物質を混入して、抵抗値を1×106〜1×108[Ω]に調整してある。
弾性層9bの円筒面は、中央が両端部よりも直径が大きいクラウン形状に形成されており、中央と両端部との半径差として定義されるクラウン量は0.1〜0.5mm、硬度はAskerC硬度で25〜40である。
なお、弾性層5b、9bにおいて、ウレタンは、ポリヒドロキシル化合物としてのポリオール、ポリイソシアネート化合物としてのポリイソシアネートを使用でき、ゴムは、天然ゴム、ニトリルブタジエンゴム等の通常ゴム又は熱可塑性ゴムを使用できる。イオン性導電物質は、無機イオン性導電物質又は有機イオン性導電物質を使用でき、一般的には過塩素酸ナトリウムが用いられている。
二次転写ローラ9は、接地電位に接続され、二次転写対向ローラ21は、電源D2に接続されている。
電源D2は、負極性の直流電圧を二次転写対向ローラ21に印加して、中間転写ベルト6に担持された負極性のトナー像を、二次転写部T2を通過する記録材Pへ押し出して二次転写させる。
レジストローラ8は、不図示の給紙カセットから給送された記録材Pを待機させ、中間転写ベルト6のトナー像にタイミングを合わせて、二次転写部T2へ送り込む。記録材Pは、二次転写部T2を挟持搬送される過程で、中間転写ベルト6に担持された負極性の4色のトナー像を一括二次転写される。
クリーニング装置12は、クリーニングブレード12bを中間転写ベルト6に摺擦させることにより、二次転写部T2を通過して中間転写ベルト6に残った転写残トナーを掻き落とす。
二次転写ローラ9及びクリーニング装置12は、中間転写ベルト6に対して当接/離間が可能に配置されており、中間転写ベルト6へ各色のトナー像を重ねて担持させる過程では、中間転写ベルト6から離間してトナー像に接触しない。二次転写ローラ9及びクリーニング装置12は、3色目のトナー像がそれぞれの当接位置を通過した後に中間転写ベルト6に当接して二次転写に備える。
制御手段の一例である制御部110は、タッチパネルで構成される操作パネル108を通じて操作及び設定がなされて画像形成装置100を電気的に制御する。
一次転写ローラ5のローラ軸5aは、圧力分布調整機構31によって両持ち支持される。圧力分布調整機構31は、中間転写ベルト6に一次転写ローラ5を圧接させて弾性層5bを変形させ、一次転写ローラ5の回転方向に長さを持った一次転写部T1(転写ニップ)を形成する。以下では、一次転写ローラ5の回転方向における一次転写部T1の当接長さを一次転写部T1の幅(転写ニップの幅)と呼ぶ。
調整機構の一例である圧力分布調整機構31は、感光ドラム1に対するローラ軸5aの両持ち高さを複数段階に変化させて、一次転写ローラ5の中央と両端部とにおける一次転写部T1の幅を調整する。
二次転写ローラ9のローラ軸9aの両端は、調整機構の一例である圧力分布調整機構32によって支持される。圧力分布調整機構32は、中間転写ベルト6に二次転写ローラ9を圧接させて弾性層9bを変形させて、二次転写ローラ9の回転方向に長さを持った二次転写部T2(転写ニップ)を形成する。以下では、二次転写ローラ9の回転方向における二次転写部T1の当接長さを二次転写部T2の幅(転写ニップの幅)と呼ぶ。
調整機構の一例である圧力分布調整機構32は、中間転写ベルト6に対するローラ軸9aの両持ち高さを複数段階に変化させて、二次転写ローラ9の中央と両端部とにおける二次転写部T2の幅を調整する。
圧力分布調整機構31、32は、ほぼ同等に構成されているので、以下では、専ら一次転写部T1の圧力分布調整機構31を説明し、圧力分布調整機構32に関して重複する説明を省略する。
<圧力分布調整機構>
図2は圧力分布調整機構の正面図、図3は圧力分布調整機構の側面図、図4は加圧ばねステイの昇降量と偏心カム回転角との関係の説明図、図5は一次転写ローラと一次転写部の幅の説明図である。図6は累積画像形成枚数の増大に伴う濃度ムラの説明図、図7は一次転写ローラの寿命末期における直径の減少の説明図、図8は転写部の幅と転写効率との関係の説明図である。図9は一次転写部の圧力分布調整例の説明図、図10は二次転写部の圧力分布調整例の説明図である。
図2に示すように、圧力分布調整機構31は、一次転写ローラ5の両端を支持して感光ドラム1に向かって付勢することにより、感光ドラム1と一次転写ローラ5との間に中間転写ベルト6を挟み込む。
図3に示すように、一次転写ローラ5は、第1支持部材の一例である正面側の加圧ばね26と、第2支持部材の一例である奥側の加圧ばね26とによって一端と他端とを両持ち支持されて、感光ドラム1に向かって加圧されている。感光ドラム1は、メイン駆動装置29に駆動されて回転する。
一対の加圧ばね26は、共通の加圧ばねステイ28に一端が接続されており、一対の偏心カム25の回転位置に応じてそれぞれの圧縮長さを連動状態で変化させる。
図2に示すように、軸受け27は、一次転写ローラ5のローラ軸5aの端部を回転自在に支持して、加圧ばねステイ28に対して近接及び離間する方向へ移動可能である。
バネ部材の一例である加圧ばね26は、軸受け27と加圧ばねステイ28との間に圧縮状態で配置され、一次転写ローラ5を感光ドラム1に向かって付勢する。
カム機構の一例である偏心カム25は、駆動モータ30に駆動されて回転して、加圧ばねステイ28を昇降させることにより、加圧ばね26の圧縮長さを変化させる。
図2を参照して図4に示すように、偏心カム25は、偏心量が2mmに設計されており、駆動モータ30に駆動されて、0.5mm刻みで最大±2mmまで8段階に加圧ばねステイ28を昇降させる。
図3を参照して図5の(a)に示すように、一次転写ローラ5の円筒側面は、いわゆるクラウン形状に成型されて、両端部よりも中央部を0.1〜0.3mm太く形成してある。
クラウン形状は、軸受け27によってローラ軸5aを両持ち支持された一次転写ローラ5の中央のたわみ量を相殺して、一次転写ローラ5の側面を、中間転写ベルト6へ平行に圧接させる。クラウン形状は、一次転写部T1の両端部から中央までの圧力分布を一様に整えて弾性層5bを等しく圧縮変形させ、図5の(b)に示すような一定の幅の一次転写部T1を形成する。
図6に示すように、しかし、大量の画像形成を長期間継続して実行すると、一次転写ローラ5の中央で転写された画像に比較して、両端部で転写された画像の濃度が次第に低下してくることが判明した。
図7の(a)に示すように、一次転写ローラ5の初期状態では、図5の(b)に示すような一定の幅の一次転写部T1が確保されている。
図7の(b)に示すように、一次転写ローラ5の磨耗、圧縮が進行した末期状態では、図5の(c)に示すような中央に比較して両端部で狭くなった転写部T1となってしまう。一次転写ローラ5の直径の減少に伴って、両端部では、直径が減少しただけ圧接面が後退するが、中央ではローラ軸5aのたわみ量が復元して直径の減少を相殺するからである。この結果、一次転写部T1の両端部は、中央よりも圧力の低下が大きくなって、弾性層5bの圧縮変形量が大きく減小し、中央よりも一次転写部T1の幅が狭くなる。
そして、中央に比較して両端部の一次転写部T1の幅が狭くなると、両端部を通過する中間転写ベルト6に流れる電流が中央に比較して目減りしてしまい、トナー像の転写に必要な電流を確保できなくなる。転写電流が不足して感光ドラム1に正規の帯電極性のトナーが残留してしまういわゆる弱抜け転写不良が発生し易くなる。
図8に示すように、3mmの幅の転写部T1と1.5mmの幅の転写部T1とでは、転写効率がピークとなる一次転写の電圧が違ってくる。1.5mmに幅が目減りした一次転写部T1の両端部では、3mmのままの中央で転写効率がピークとなる電圧では電圧不足となる。
そこで、図2に示すように、制御部110は、偏心カム25を回転させて加圧ばねステイ28を上昇させ、一次転写ローラ5の半径が減少しただけローラ軸5aの両持ち高さを感光ドラム1側へ移動させる。
これにより、直径が減少した一次転写ローラ5の両端部を、中間転写ベルト6へ十分な圧力で圧接させて、図5の(b)へ示す中央から両端部まで等しい幅の一次転写部T1を再生する。
図1を参照して図9に示すように、圧力分布調整機構31は、軸方向の圧力分布が変化して従来は寿命末期と診断された一次転写ローラ5を、感光ドラム1側へより強く付勢して両端部の圧力を回復させ、初期状態に等しい画像形成を可能にする。
図1を参照して図10に示すように、圧力分布調整機構32は、軸方向の圧力分布が変化して従来は寿命末期と診断された二次転写ローラ9を、二次転写対向ローラ21側へより強く付勢して両端部の圧力を回復させ、初期状態に等しい画像形成を可能にする。
ところで、図5の(d)に示すように、環境温度が低下して弾性層5bが固くなった場合や、一次転写ローラ5の中央に偏って磨耗が圧縮が進行した場合、転写部T1の中央が両端部に比較して狭くなる。
この場合は、中央を通過する中間転写ベルト6に流れる電流が両端部に比較して目減りして、トナー像の転写に必要な電流を確保できなくなり、いわゆる弱抜け転写不良が中央で発生し易くなる。
そこで、図2に示すように、制御部110は、偏心カム25を回転させて加圧ばねステイ28を下降させ、一次転写ローラ5の両持ち高さを下降させて両端部の過剰圧力を解消する。これにより、図5の(b)に示すように、中央と両端部とで幅の揃った転写部T1が形成される。
第1転写回転体の一例である一次転写ローラ5は、転写媒体としての中間転写ベルト6にトナー像を転写させる転写回転体である。第1調整機構の一例である圧力分布調整機構31は、一次転写ローラ5の当接長さを調整する調整機構である。
第2転写回転体の一例である二次転写ローラ9は、転写媒体としての記録材Pにトナー像を転写させる転写回転体である。第2調整機構の一例である圧力分布調整機構32は、二次転写ローラ9の当接長さを調整する調整機構である。
そして、第1調整機構によって濃度差が減少しなかった場合に、第1調整機構を最初の状態に戻して、第2調整機構を作動させて測定用トナー像を形成する。
<実施例1>
図11は操作パネルの表示の説明図、図12は測定用トナー像の説明図、図13は実施例1の圧力分布調整モードのフローチャート、図14は測定用トナー像形成のフローチャートである。
図11に示すように、実施例1では、操作パネル108に、圧力分布調整モード画面を表示させて、手動操作にて画像形成装置(100:図1)を制御する。
図2を参照して図12に示すように、圧力分布調整モードでは、調整開始が指令されると、予め定められた濃度パッチ形成条件を用いて、感光ドラム1に測定用トナー像16a、16b、16cが形成される。
測定用トナー像16a、16b、16cは、予め定められた画像データを用いた通常のプロセス条件で形成され、それぞれ10mm角の大きさで、A4サイズ横送り記録材Pの中央と両端部とに対応させた130mmピッチで配置される。
濃度検出センサ14a、14b、14cは、感光ドラム1の手前側、中央、奥側にそれぞれ形成された測定用トナー像16a、16b、16cに赤外光を照射して、それぞれの反射光量を検知する。
図2を参照して図13に示すように、制御部110は、再設定ボタン(113:図11)が操作されると(S11のYES)、測定用トナー像16a、16b、16cを形成して記録材Pに画像出力する(S12)。
図2を参照して図14に示すように、測定用トナー像形成では、静電像をイエロートナーで現像した測定用トナー像16a、16b、16cの反射光量を濃度検出センサ14a、14b、14cにより検知する(S32)。
制御部110は、濃度検出センサ14a、14b、14cで検知した反射光量のばらつきが5%を越えていれば(S33のYES)、操作パネル(108:図11)をエラー表示に切り替える(S34)。解消しようとしている濃度ムラは、一次転写部T1又は二次転写部T2の幅の問題ではない可能性が大きいので、制御部110は、他の調整モードを先に実行させる。他の要因で濃度ムラが大きい場合、一次転写部T1又は二次転写部T2の幅の調整精度が確保できないからである。
調整者は、X−Rite濃度計を用いて、記録材Pに転写して定着された測定用トナー像16a、16b、16cの濃度を手動測定する。その後、調整者は、不図示のテンキーを操作して、操作パネル108の正面側濃度、中央濃度、奥側濃度の各窓に、測定用トナー像16a、16b、16cの各濃度測定値を数値入力する。
図2を参照して図13に示すように、制御部110は、調整者が測定用トナー像16a、16b、16cの各濃度測定値を数値入力し終わると(S13のYES)、濃度差ΔNを求めて窓(116:図11)に表示する。そして、濃度偏差率Δが10%以下であれば、設定完了ボタン115を点滅させる(S14)。
濃度差ΔNは、測定用トナー像16aの濃度測定値と測定用トナー像16cの濃度測定値との平均値を求めて、平均値から測定用トナー像16bの濃度測定値を減じて求められる。濃度偏差率Δは、濃度差ΔNを測定用トナー像16bの濃度測定値で除して求められる。
点滅の有無にかかわらず、設定完了ボタン(115:図11)に調整者がタッチすると(S15のYES)、制御部110は、操作パネル108の圧力分布調整モード画面を通常画面に切り替えて圧力分布調整モードを終了する。
調整者が再設定ボタン(113:図11)にタッチすると(S17のYES)、制御部110は、圧力分布調整機構31を1ステップ昇降させて(S18)、測定用トナー像16a、16b、16cを画像出力する(S12)。
このとき、両端部の濃度が中央よりも低ければ、制御部110は、圧力分布調整機構31を1ステップ上昇させて、図5の(c)に示す一次転写部T1を図5の(b)に示すように整形する。上昇ステップが終了すると、下降ステップに移行して一段ごとに測定用トナー像の形成と手動測定とを繰り返す。
逆に、中央の濃度が両端部よりも低ければ、制御部110は、圧力分布調整機構31を1ステップ下降させて、図5の(d)に示す一次転写部T1を図5の(b)に示すように整形する。下降ステップが終了すると、上昇ステップに移行して一段ごとに測定用トナー像の形成と手動測定とを繰り返す。
S12〜S18を8ステップの全段階で繰り返しても濃度偏差率Δが10%以下とならない場合、制御部110は、圧力分布調整機構31を最初の状態に戻す(S19)。解消しようとしている濃度ムラは、一次転写部T1の幅の問題ではない可能性が大きいので、制御部110は、二次転写ローラ9の高さ調整(S20〜S26)に移行させる。調整者が同様に判断して、取消しボタン(114:図11)を操作した場合も同様である。
制御部110は、圧力分布調整機構32を1ステップ昇降させて(S20)、測定用トナー像16a、16b、16cを記録材Pに画像出力する(S21)。
調整者は、X−Rite濃度計を用いて、記録材Pに転写して定着された測定用トナー像16a、16b、16cの濃度を手動測定し、操作パネル(108:図11)に数値入力する。
調整者が測定用トナー像16a、16b、16cの各濃度測定値を数値入力し終わると(S22のYES)、制御部110は、濃度偏差率Δを演算し、濃度偏差率Δが10%以下であれば、設定完了ボタン(115:図11)を点滅させる(S23)。設定完了ボタン115に調整者がタッチすると(S24のYES)、制御部110は、操作パネル108の圧力分布調整モード画面を通常画面に切り替えて圧力分布調整モードを完了する。
調整者が再設定ボタン(113:図11)にタッチすると(S26のYES)、制御部110は、圧力分布調整機構32を1ステップ昇降させて(S20)、測定用トナー像16a、16b、16cを画像出力する(S21)。
S20〜S26を8ステップの全段階で繰り返しても濃度偏差率Δが10%以下とならない場合、制御部110は、圧力分布調整モードを終了させる。解消しようとしている濃度ムラは、結局、一次転写部T1の幅の問題でも、二次転写部T2の幅の問題でもなかったので、圧力分布調整機構31、32を最初の状態に戻す(S27)。調整者が判断して取消しボタン(114:図11)を操作した場合も同様である。
なお、図11に示すように、調整者は、手動設定ボタン111、112にタッチして任意の昇降量を設定した後に、再設定ボタン113にタッチして、測定用トナー像16a、16b、16cを出力させることもできる。
<実施例2>
図15は実施例2の圧力分布調整モードのフローチャートである。
実施例2では、中間転写ベルト6に転写された測定用トナー像と、記録材Pに転写された測定用トナー像とを画像形成装置100自体が検知して、実施例1と同様な圧力分布調整モードを全自動にて実行する。言い換えれば、手作業に頼った濃度測定を行うことなく、一次転写部T1と二次転写部T2との両方で、中央と両端部との幅の不均一さを軽減させて、出力画像の濃度ムラを軽減する。
図1に示すように、制御部110は、感光ドラム1に測定用トナー像(16a、16b、16c:図11)を形成し、一次転写部T1にて中間転写ベルト6へ一次転写し、二次転写部T2にて記録材Pへ二次転写させる。
濃度検知手段の一例である濃度検出センサ15a、15b、15cは、それぞれ記録材P上の測定用トナー像(16a、16b、16c:図11)に対向させて、二次転写部T2の下流側に配置される。濃度検出センサ15a、15b、15cは、記録材Pに担持された定着前の測定用トナー像(16a、16b、16c:図11)に赤外光を照射して、反射光量に応じたアナログ電圧を制御部110に出力する。
濃度検知手段の一例である濃度検出センサ17a、17b、17cは、それぞれ中間転写ベルト6上の測定用トナー像(16a、16b、16c:図11)に対向させて、一次転写部T1と二次転写部T2との間の中間転写ベルト6に対向する位置に配置される。濃度検出センサ17a、17b、17cは、中間転写ベルト6に担持されて二次転写部T2へ搬送される測定用トナー像(16a、16b、16c:図10)に赤外光を照射して、反射光量に応じたアナログ電圧を制御部110に出力する。
濃度検出センサ15a、15b、15c、17a、17b、17cにおける反射光量は、トナー載り量が多いほど、従って、通過した一次転写部T1(二次転写部T2)での転写効率が高いほど増加する。
制御部110は、濃度検出センサ14a、14b、14cと濃度検出センサ17a、17b、17cとの検知結果に基いて圧力分布調整機構31を作動させて、一次転写ローラ5の両持ち高さを調整する。
制御部110は、濃度検出センサ14a、14b、14cと濃度検出センサ15a、15b、15cとの検知結果に基いて圧力分布調整機構32を作動させて、二次転写ローラ9の両持ち高さを調整する。
図1を参照して図15に示すように、制御部110は、調整開始が指令されると、感光ドラム1に測定用トナー像(16a、16b、16c:図11)を形成する(S41)。
測定用トナー像(16a、16b、16c:図11)は、現像装置4と一次転写部T1との間で、それぞれ濃度検出センサ14a、14b、14cによって反射光量を検知される。
測定用トナー像(16a、16b、16c:図11)は、その後、一次転写部T1にて中間転写ベルト6へ一次転写されて、それぞれ濃度検出センサ17a、17b、17cによって検知される。
測定用トナー像(16a、16b、16c:図11)は、その後、二次転写部T2にて記録材Pへ二次転写されて、それぞれ濃度検出センサ15a、15b、15cによって検知される。
制御部110は、濃度検出センサ14a、14b、14cによって検知された反射光量のばらつきが5%以下の場合(S42のYES)、中間転写ベルト6上の測定用トナー像の評価へ移行する(S43)。しかし、反射光量のばらつきが5%を越えていれば(S42のNO)、制御部110は、帯電装置2、露光装置3、現像装置4の少なくとも1つが不具合と判断して、操作パネル108へエラー表示する(S45)。
制御部110は、濃度検出センサ17a、17b、17cによって検知された反射光量のばらつきが10%以下の場合(S43のYES)、圧力分布調整機構32の調整(S44)へ移行する。
しかし、反射光量のばらつきが10%を越えている場合、一次転写ローラ5のローラ軸5aの両持ち高さを調整する(S46)。圧力分布調整機構31を1ステップづつ昇降させて(S46)、測定用トナー像を形成し(S48)、中間転写ベルト6上の測定用トナー像の反射光量を再度評価する(S43)。
中央の測定用トナー像16bの反射光量が両端部の測定用トナー像16a、16cに比較して10%以上高い場合、制御部110は、0〜+2.0mmの間で0.5mm間隔で高さ調整して一次転写ローラ5のニップ圧力を高める。
中央の測定用トナー像16bの反射光量が両端部の測定用トナー像16a、16cに比較して10%以上低い場合、制御部110は、0〜−2.0mmの間で0.5mm間隔で高さ調整して一次転写ローラ5のニップ圧力を緩める。
そして、−2.0mm〜+2.0mmの全段階で反射光量のばらつきが10%以下とならない場合(S47のYES)、一次転写部T1に不具合があるので、操作パネル108へエラー表示する(S49)。
制御部110は、濃度検出センサ15a、15b、15cによって検知された反射光量のばらつきが10%以下の場合(S44のYES)、圧力分布調整機構31、32の調整を終了する。
しかし、反射光量のばらつきが10%を越えている場合、二次転写ローラ9のローラ軸9aの両持ち高さを調整する。圧力分布調整機構32を1ステップづつ昇降させて(S50)、測定用トナー像を形成し(S52)、記録材P上の測定用トナー像の反射光量を再度評価する(S44)。
中央の測定用トナー像16bの反射光量が両端部の測定用トナー像16a、16cに比較して10%以上高い場合、制御部110は、0〜+2.0mmの間で0.5mm間隔で高さ調整して一次転写ローラ5のニップ圧力を高める。
中央の測定用トナー像16bの反射光量が両端部の測定用トナー像16a、16cに比較して10%以上低い場合、制御部110は、0〜−2.0mmの間で0.5mm間隔で高さ調整して一次転写ローラ5のニップ圧力を緩める。
そして、−2.0mm〜+2.0mmの全段階で反射光量のばらつきが10%以下とならない場合(S51のYES)、二次転写部T2に不具合があるので、操作パネル108へエラー表示する(S53)。
<第2実施形態>
図16は第2実施形態の画像形成装置の構成の説明図、図17は第2実施形態の画像形成装置の側面図である。
第2実施形態の画像形成装置200は、中間転写ベルトを用いないで感光ドラム1から記録材Pへ直接にブラックトナー像を転写するモノクロ画像形成装置である。それ以外の部分については第1実施形態と同様に構成されるので、図16中、図1と共通する構成には共通の符号を付して重複する説明を省略する。また、圧力分布調整機構31については第1実施例と同様に構成されるので、中間転写ベルト6を記録材Pと読み替えて、図2、図3を参照して説明する。
図16に示すように、画像形成装置200は、帯電装置2が帯電させた感光ドラム1の表面を露光装置3が走査露光して形成した静電像を、現像装置4がブラックトナーで現像してトナー像を形成する。感光ドラム1に形成されたトナー像は、転写部Tに搬送されて、レジストローラ8が給送した記録材Pに重ね合わせられる。
転写部Tでは、電源D1が転写ローラ5に正極性の直流電圧を印加することにより、感光ドラム1に担持された負極性のトナー像が中間転写ベルト6へ転写される。
トナー像を転写された記録材Pは、定着装置7で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着される。
転写回転体の一例である転写ローラ5は、転写媒体の一例である記録材Pを介して感光ドラム1に圧接して、感光ドラム1と記録材Pとの間に転写部Tを形成する。
転写ローラ5は、外径8mmのステンレス製のローラ軸5aの外周面に、抵抗性を付与した弾性層5bを配置して、外径16mmに形成されている。
弾性層5bの円筒側面は、中央が両端部よりも直径が大きいクラウン形状に形成されており、中央と両端部との半径差として定義されるクラウン量は0.1〜0.3mm、硬度はAskerC硬度で25〜40である。
転写ローラ5のローラ軸5aの両端は、調整機構の一例である圧力分布調整機構31によって支持される。圧力分布調整機構31は、記録材Pに転写ローラ5を圧接させて弾性層5bを変形させ、転写ローラ5の回転方向に長さを持った転写部Tを形成する。以下では、転写ローラ5の回転方向における転写部Tの当接長さを転写部Tの幅と呼ぶ。
圧力分布調整機構31は、感光ドラム1に対するローラ軸5aの両持ち高さを変化させて、転写ローラ5の中央と両端部とにおける転写部Tの幅を調整する。
図17に示すように、転写ローラ5は、正面側と奥側との一対の加圧ばね26によって、感光ドラム1に向かって付勢されている。感光ドラム1は、メイン駆動装置29に駆動されて回転する。
一対の加圧ばね26は、共通の加圧ばねステイ28に一端が接続されており、一対の偏心カム25の回転位置に応じてそれぞれの圧縮長さを連動状態で変化させる(図2参照)。偏心カム25は、駆動モータ30に駆動されて回転して、加圧ばねステイ28を昇降させることにより、加圧ばね26の圧縮長さを変化させる。
<実施例3>
図18は実施例3の圧力分布調整モードのフローチャートである。
実施例3では、記録材Pに転写された測定用トナー像(16a、16b、16c:図11)を検知して、転写ローラ5の両持ち付勢力を全自動にて調整する。両持ち高さを変更して転写ローラ5のたわみ量を調整することにより、転写部Tの中央から両端部までの圧力分布を均して、転写部Tの幅を等しくする方向に近付ける。
図16に示すように、制御部110は、感光ドラム1に測定用トナー像16a、16b、16cを形成する。濃度検出センサ14a、14b、14cは、感光ドラム1上の測定用トナー像16a、16b、16cに赤外光を照射して反射光を検知する。
図17に示すように、濃度検出センサ15a、15b、15cは、それぞれ記録材P上の測定用トナー像16a、16b、16cに対向させて配置される。
濃度検出センサ14a、14b、14c、15a、15b、15cにおける反射光量は、トナー載り量が多いほど増加する。
図16を参照して図18に示すように、制御部110は、調整開始が指令されると、感光ドラム1に測定用トナー像16a、16b、16cを形成する(S41)。
測定用トナー像16a、16b、16cは、現像装置4と転写部Tとの間で、それぞれ濃度検出センサ14a、14b、14cによって反射光量を検知される。
測定用トナー像16a、16b、16cは、転写部Tにて記録材Pへ転写された後に、それぞれ濃度検出センサ15a、15b、15cによって反射光量を検知される。
制御部110は、濃度検出センサ14a、14b、14cによって検知された反射光量のばらつきが5%以下の場合(S42のYES)、記録材P上の測定用トナー像の評価へ移行する(S44)。しかし、反射光量のばらつきが5%を越えていれば、制御部110は、帯電装置2、露光装置3、現像装置4の少なくとも1つが不具合と判断してエラー表示する(S45)。
制御部110は、濃度検出センサ15a、15b、15cによって検知された反射光量のばらつきが10%以下の場合(S44のYES)、圧力分布調整機構31の調整を終了する。
しかし、反射光量のばらつきが10%を越えている場合、転写ローラ5のローラ軸5aの両持ち高さを調整する。圧力分布調整機構31を1ステップづつ昇降させて(S50)、測定用トナー像を形成し(S52)、記録材P上の測定用トナー像の反射光量を再度評価する(S44)。
中央の測定用トナー像16bの反射光量が両端部の測定用トナー像16a、16cに比較して10%以上高い場合、制御部110は、0〜+2.0mmの間で0.5mm間隔で高さ調整して転写ローラ5のニップ圧力を高める。
中央の測定用トナー像16bの反射光量が両端部の測定用トナー像16a、16cに比較して10%以上低い場合、制御部110は、0〜−2.0mmの間で0.5mm間隔で高さ調整して転写ローラ5のニップ圧力を緩める。
そして、−2.0mm〜+2.0mmの全段階で反射光量のばらつきが10%以下とならない場合(S51のYES)、転写部Tに不具合があるのでエラー表示する(S53)。
<実施例4>
図19は実施例4の圧力分布調整モードのフローチャートである。
実施例4では、圧力分布調整機構31で可能な0〜+2.0mm全8段階のそれぞれの高さについて一気に連続8枚の記録材Pに測定用トナー像を転写して定着させる。そして、全8段階のうちで濃度検出センサ15a、15b、15cによって検知された反射光量のばらつきが最も小さい高さに圧力分布調整機構31を設定する。
図16を参照して図19に示すように、制御部110は、調整開始が指令されると、圧力分布調整機構31の現行高さで、感光ドラム1に測定用トナー像16a、16b、16cを形成する(S53)。測定用トナー像16a、16b、16cは、転写部Tにて記録材Pへ転写された後に、それぞれ濃度検出センサ15a、15b、15cによって反射光量を検知される。
制御部110は、圧力分布調整機構31が設定可能な全段階の高さ位置が終了するまで(S54のNO)、測定用トナー像16a、16b、16cを形成する(S53〜S55)。
図17に示すように、それぞれの高さ位置で形成された測定用トナー像16a、16b、16cは、それぞれの記録材に転写されて濃度検出センサ15a、15b、15cによって反射光量を検知される。制御部110は、それぞれの段階における中央の測定用トナー像16bの反射光量と両端部の測定用トナー像16a、16cの平均反射光量との反射光量差を演算して、各段階に関連付けて記録する。
図16を参照して図19に示すように、制御部110は、圧力分布調整機構31が設定可能な全8段階の高さ位置が終了すると(S54のYES)反射光量差が最も小さかった高さ位置を圧力分布調整機構31に設定する(S56)。