JP5219225B2 - アミロイドβペプチドのミミック分子を用いたペプチドワクチン - Google Patents

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Description

本発明は、アルツハイマー病の予防・治療剤として有用なペプチドワクチンに関する。
近年、老人人口の増加に伴い、老人性痴呆症の治療に有効な医薬品の開発が強く望まれている。老人性痴呆症の代表的疾患であるアルツハイマー病は、脳の萎縮、老人斑の沈着及び神経原線維変化を特徴とする神経変性疾患で、アミロイドβペプチドの形状変化と、それに伴う線維化による不溶化分子が神経細胞に沈着し、その毒性により神経細胞の死が誘導され、発症する。
アミロイドβペプチド(Aβ)はニューロンアミロイド前駆体蛋白質からβセクレターゼなどによる切断で生じる分解物で、Aβ1−40とAβ1−42の2種が生成するが、Aβ1−42の方がより凝集しやすく、疾患及び神経毒性と相関することが報告されている。
アミロイドβペプチドの形状変化及び線維化を阻害できれば、アルツハイマー病の発症を阻止することができる。
国際公開第2005/105998号パンフレットには、Aβ1−42と特異的に結合し、その線維化反応を阻害する活性を有する一本鎖抗体がアルツハイマー病の予防・治療剤として有用であることが記載されている。
しかしながら、抗体は高分子の蛋白質であるため高価であり、生産、精製工程の煩雑化、あるいは安定性の欠如といった問題を有する。
ヒトにおいて、この免疫反応を誘導する手段は、ワクチンを開発することであるが、この免疫抗原として何を使用するかが最も重要な問題点である。
現在アルツハイマー病の予防及び治療のためにペプチドをワクチンとする試みには、正常なアミロイドβのアミノ酸配列の一部を抗原として用いるという多数の報告(例えば、国際公開第2006/121656号パンフレット、G.G.Kinney et al.,A Novel anti−amyloid beta active vaccine approach for the treatment of Arzheimer’s and related disorders Neuro−degenerative Diseases,4:supplement 1,p.251,2007)とアミロイドβのミモトープと呼ぶ新規に開発したペプチド配列を抗原として用いる報告(特表2006−515876号公報、M.Mandler et al.,The AFFiRis mimotope vaccine:A novel approach for the treatment of AD,Neuro−degenerative Diseases,4:supplement 1,p.250,2007)がある。
本発明は、アミロイドβペプチドのミミックペプチドから、異常アミロイドβペプチドに特異的な抗体の産生を誘導するペプチドを見出し、これをワクチン又は免疫原として利用することを目的とする。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)次式(I):
Tyr−Gly−Thr−Lys−Pro−Trp−Met (I)
で示されるアミノ酸配列、及び
次式(II):
Leu−Asp−Ile−Phe−Ala−Pro−Ile (II)
で示されるアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、アミノ酸残基数8〜30のペプチド、又は該ペプチドと担体との結合物を含有する医薬組成物。
(2)次式(Ia):
Cys−Tyr−Gly−Thr−Lys−Pro−Trp−Met−Cys (Ia)
(式中、2つのシステイン残基は架橋されていてもよい。)
で示されるアミノ酸配列、
次式(Ib):
Ser−Tyr−Gly−Thr−Lys−Pro−Trp−Met−Ser−Gly (Ib)
で示されるアミノ酸配列、及び
次式(IIa):
Gly−Met−Leu−Asp−Ile−Phe−Ala−Pro−Ile−Arg−His−Val (IIa)
で示されるアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、アミノ酸残基数9〜30のペプチド、又は該ペプチドと担体との結合物を含有する前記(1)に記載の医薬組成物。
(3)前記ペプチドが、前記アミノ酸配列と、次式:
Tyr−Gly−Arg−Lys−Lys−Arg−Arg−Gln−Arg−Arg−Arg
で示されるTAT配列とを含む、アミノ酸残基数20〜30のペプチドである前記(1)又は(2)に記載の医薬組成物。
(4)更にアジュバントを含有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の医薬組成物。
(5)アミロイドβ線維化阻害剤である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の医薬組成物。
(6)アルツハイマー病の予防・治療剤である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の医薬組成物。
(7)次式(I):
Tyr−Gly−Thr−Lys−Pro−Trp−Met (I)
で示されるアミノ酸配列、及び
次式(II):
Leu−Asp−Ile−Phe−Ala−Pro−Ile (II)
で示されるアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、アミノ酸残基数8〜30のペプチド、又は該ペプチドと担体との結合物からなる免疫原。
(8)次式(Ia):
Cys−Tyr−Gly−Thr−Lys−Pro−Trp−Met−Cys (Ia)
(式中、2つのシステイン残基は架橋されていてもよい。)
で示されるアミノ酸配列、
次式(Ib):
Ser−Tyr−Gly−Thr−Lys−Pro−Trp−Met−Ser−Gly (Ib)
で示されるアミノ酸配列、及び
次式(IIa):
Gly−Met−Leu−Asp−Ile−Phe−Ala−Pro−Ile−Arg−His−Val (IIa)
で示されるアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、アミノ酸残基数9〜30のペプチド、又は該ペプチドと担体との結合物からなる前記(7)に記載の免疫原。
(9)前記ペプチドが、前記アミノ酸配列と、次式:
Tyr−Gly−Arg−Lys−Lys−Arg−Arg−Gln−Arg−Arg−Arg
で示されるTAT配列とを含む、アミノ酸残基数20〜30のペプチドである前記(7)又は(8)に記載の免疫原。
本発明に用いるペプチドは、
次式(I):
Tyr−Gly−Thr−Lys−Pro−Trp−Met (I)
で示されるアミノ酸配列、及び
次式(II):
Leu−Asp−Ile−Phe−Ala−Pro−Ile (II)
で示されるアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、アミノ酸残基数8〜30のペプチドである。
本発明に用いるペプチドは、前記式(I)で示されるアミノ酸配列と前記式(II)で示されるアミノ酸配列とを含んでいてもよい。
本発明に用いるペプチドとしては、例えば
次式(Ia):
Cys−Tyr−Gly−Thr−Lys−Pro−Trp−Met−Cys (Ia)
(式中、2つのシステイン残基は架橋されていてもよい。)
で示されるアミノ酸配列、
次式(Ib):
Ser−Tyr−Gly−Thr−Lys−Pro−Trp−Met−Ser−Gly (Ib)
で示されるアミノ酸配列、及び
次式(IIa):
Gly−Met−Leu−Asp−Ile−Phe−Ala−Pro−Ile−Arg−His−Val (IIa)
で示されるアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、アミノ酸残基数9〜30のペプチドが挙げられる。
本発明に用いるペプチドにおいて、前記式(I)又は(II)で示されるアミノ酸配列以外のアミノ酸配列は、これらのアミノ酸配列により構成されるペプチドが薬学的に許容されるものであれば特に制限はなく、例えば次式:
Tyr−Gly−Arg−Lys−Lys−Arg−Arg−Gln−Arg−Arg−Arg
で示されるTAT配列、ペプチドの溶解性を高めるアミノ酸配列(例えば、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸からなる配列)、細胞膜透過性を促進するアミノ酸配列(例えば、レプチン、IGF−1、IGF−2、インスリン、トランスフェリンの部分配列;1)W.M.Pardridge,Vector−mediated drug delivery to the brain,Advanced Drug Delivery Reviews,36:299−321,1999;2)W.M.Pardridge,Drug and gene targeting to the brain with molecular trojan horses,Nature Reviews|Drug discovery,1:131−139,2002)が挙げられる。
本発明に用いるペプチドは、公知の方法によって化学合成することができ、例えばペプチド自動合成装置によって合成することができる。この基本的な合成過程はR.B.Merifield,Advance in Enzymology 32:221−296(1969)に記載の方法を適用できる。この方法は、カルボキシル末端のアミノ酸を樹脂担体に共有結合させておき、α−アミノ基の保護基の除去、保護アミノ酸の縮合を順次繰返して、アミノ末端に向けてペプチド鎖を延長させ目的のアミノ酸配列を有するペプチド樹脂を得ることを原理とするものである。
各アミノ酸の縮合やα−アミノ基の保護基の除去等は、Boc,Fmoc法を利用してほぼ同一の条件でなされ、中間体の精製も行わないため、合成に際しては一般に高度な熟練は要求されない。しかもこの方法は迅速であり、種々のペプチドを合成するに際し、非常に便利な方法である。こうして得られた保護ペプチド樹脂を、例えば無水フッ化水素、トリフルオロメタンスルホン酸もしくはトリフルオロ酢酸と種々の添加物の共存下に反応させることにより、ペプチドを樹脂から脱離させることと全保護基の除去を一段階で行うことができる。
樹脂担体としてカルボキシル末端カルボン酸型ペプチド合成用樹脂を用いれば、カルボキシル末端がカルボキシル基であるペプチドを得ることができ、カルボキシル末端アミド型ペプチド合成用樹脂を用いれば、カルボキシル末端カルボン酸がアミド化されたペプチドを得ることができる。
得られたペプチド粗製物は、ペプチドを精製する公知の手段で精製することができる。例えば、ゲル濾過、陽イオン交換樹脂もしくは陰イオン交換樹脂を用いるイオン交換クロマトグラフィー、更には疎水クロマトグラフィー、分配吸着クロマトグラフィーなど、種々の原理によるカラムクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーが挙げられる。
本発明に用いるペプチドは、システイン残基の間で架橋されていてもよい。これらの架橋としては、システイン残基間を直接ジスルフィド架橋してもよく、またスペーサーとしてジスルフィド化合物を用いて、スペーサーを介してジスルフィド架橋してもよい。ジスルフィド架橋は、例えばペプチドの希釈水溶液をK[Fe(CN)]で酸化、又は酸性条件下のヨウ素で酸化することにより形成することができる。
本発明に用いるペプチドは種々の塩の形で得ることできる。その塩としては、例えば無機酸や、蟻酸、酢酸、酒石酸、クエン酸などの有機酸との塩、もしくはナトリウムやアンモニアなどの無機塩基や、トリエチルアミン、エチルアミン、メチルアミンなどの有機塩基との塩が挙げられる。
本発明に用いるペプチド(以下「ミミックペプチド」という。)は、免疫原性を増強するため、タンパク質、多糖類、糖タンパク質等の担体と結合させて用いることが好ましい。担体としては、ヒトに免疫原性を有する分子であれば利用できるが、好ましくはそれ自身がヒトに有害でないとともに、この分子に免疫応答が誘導されても、ヒトに副作用が発生しないものを用いる。好ましい担体としては、細菌やウイルス由来の分子、例えば、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、百日咳ワクチン、又はこれらの3種混合ワクチン;BCGワクチン、スカシ貝ヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin)、Neisseria meningitidisのouter membrane protein complex(OMPC)、デキストラン、マンノース、マンナン等が挙げられる。また、本発明の組成物を経口投与する場合は、食品のタンパク質成分にミミックペプチドを結合させてもよく、また遺伝子改変によりこのペプチド配列を含む食品タンパク質を作成し、これを食品として食すことにより経口免疫してもよい。
担体は、本発明に用いるミミックペプチドのアミノ末端、カルボキシル末端、配列途中のアミノ酸残基のいずれに結合させてもよく、また1分子の担体に複数のミミックペプチドを結合又は重合させてもよい。
ミミックペプチドを担体に結合させる方法としては、特に制限はないが、例えば1)共有結合で直接結合させる、2)クロスリンカーで架橋する(例えば、グルタルアルデヒド法、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド法、マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシサクシニミドエステル法、ビスジアゾ化ペンジジン法又はN−サクシミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸法)、3)ビオチンとストレプトアビジン又はアビジンとの結合を利用する等の方法、4)DNA配列として直列に融合するよう配置して遺伝子組換え体として作製する手法が挙げられる。ミミックペプチドのビオチン化はアミノ末端、カルボキシル末端、配列途中のアミノ酸残基のいずれでもよい。ペプチドのアミノ基のビオチン化はアミノ酸誘導体を樹脂上で縮合する通常のHOBt−DCC,HBTu−HOBt方法などで可能である。
ミミックペプチド、又はミミックペプチドと担体の結合物は、アジュバントと混合して投与することが好ましい。アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、水酸化アルミニウムアジュバント又は百日咳菌アジュバント等の、ヒトワクチンに利用される公知のものを用いることができる。
本発明の医薬組成物は、異常アミロイドβペプチドに特異的な抗体の産生を誘導する作用を有し、ワクチンとしてアルツハイマー病の予防・治療に用いることができる。
本発明の免疫原は、異常アミロイドβペプチドに特異的な抗体の産生を誘導する作用を有し、異常アミロイドβペプチドに特異的な抗体の製造に用いることもできる。
本発明に用いるミミックペプチド、又は該ペプチドと担体との結合物(以下「ワクチン成分」という。)を含有する組成物は、そのままもしくは自体公知の薬学的に許容される担体、賦形剤等と混合した医薬組成物として経口又は非経口的(好ましくは皮下、皮内、点鼻)に投与することができる。
経口投与のための剤形としては、具体的には錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等が挙げられる。かかる剤形は、自体公知の方法によって製造され、製剤分野において通常用いられる担体もしくは賦形剤を含有するものである。例えば錠剤用の担体、賦形剤としては、ラクトース、マルトース、ショ糖、澱粉、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。また、前記のように食品のタンパク質成分にミミックペプチドを結合させた場合及び遺伝子改変によりこの当該ペプチド配列を含む食品タンパク質を作成した場合は、食品として食すこともできる。
非経口投与のための剤形としては、例えば、注射剤、湿布剤、坐薬、経鼻吸収剤、経肺吸収剤、経皮吸収剤、局所徐放剤等が挙げられる。溶液製剤は自体公知の方法、例えば、ワクチン成分を通常、注射剤に用いられる無菌の水溶液に溶解、更には乳化して、リポソームに包埋させた状態で調製されうる。ペプチドは生体内でペプチダーゼ等による分解を受け易く、また目的の場所への到達性の問題等があることから、ここに述べたリポソームを含む適切なデリバリー法の活用は好ましい使用形態の一つである。ペプチドのデリバリー法の活用については前記リポソームを用いる方法はその一つであるが、これに限られたものではない。固体製剤は、自体公知の方法、例えば、ワクチン成分にマンニトール、トレハロース、ソルビトール、ラクトース、グルコース等を賦形剤として加え、そのまま凍結乾燥することにより調製されうる。更にこれを粉体化して用いることもできる。また、これら粉体をポリ乳酸やグリコール酸等と混合し固体化して用いることもできる。ゲル化剤は、自体公知の方法、例えば、ワクチン成分をグリセリン、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等の増粘剤や多糖に溶解した状態で調製されうる。
いずれの製剤においても、安定化剤としてヒト血清アルブミン、ヒト免疫グロブリン、αマクログロブリン、アミノ酸等を添加することができ、また分散剤あるいは吸収促進剤としてワクチン成分の活性を損なわない範囲でアルコール、糖アルコール、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を添加することができる。また、微量金属や有機酸塩も必要に応じて加えることができる。
本発明の医薬組成物において、免疫原となるミミックペプチドとしての投与量は、当該ペプチドの活性、患者の年令、体重、疾患の種類又は程度により異なるが、一般には、経口投与では、通常1日0.001〜1000mg/kg体重であり、皮下投与、皮内投与又は点鼻投与では、通常1日0.001〜1000mg/kg体重である。投与回数は、通常経口投与では1日1〜3回、皮下投与、皮内投与又は点鼻投与では1日1〜2回である。
図1は、B6 scFvに結合したペプチドファージクローンのELISAの結果を示す図である。
図2は、D1 scFvに結合した12merペプチドファージクローンのELISAの結果を示す図である。
図3は、D1 scFvに結合したC7CペプチドファージクローンのELISAの結果を示す図である。
図4は、ペプチドファージによるAβ1−42ペプチドの線維化阻害実験の結果を示す図である。
図5は、Aβ1−42の線維化を阻害するB6 scFv、B7 scFv又はD1 scFvを鋳型として単離したファージクローンの提示するペプチド配列一覧を示す図である。
図6は、ビオチン化したB6又はB7 scFv結合性配列とTAT配列との融合分子を示す図である。
図7は、TATとB6−L1の融合ペプチドがB6 scFvに認識されることを示す図である。
図8は、TATとB6−L1、B7−C15及びB7−S15それぞれとの融合ペプチドのAβ1−42線維化阻害活性の測定結果を示す図である。
図9は、TATとB6−L1及びB7−C15それぞれとの融合ペプチドによるAβコンホーマー(Aβオリゴマー及びAβ線維)の沈降実験の結果を示す図である。
図10は、Aβミミックペプチドを免疫したマウスにおける抗Aβ抗体の誘導実験の結果を示す図である。
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2007−277638の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する。
以下、製造例及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Kaji et al.,J.Biochem.129:577−583(2001)及びS.Hashiguchi et al.,J.Biochem.133:43−49(2003)に従って以下の実験を行った。
1.材料及び方法
(1)E−tagカラムによるscFvの精製
Aβに結合するscFvを発現させるために、Hashiguchiらの方法(J.Biochem.133:43−49(2003))によりscFvファージクローンを大腸菌株HB2151に感染させた。得られた培地上清からE−tagカラムAmersham Biosciences)を用いてアミロイド特異的scFv(B6、B7、D1、F10)を精製した。
B6scFv(WO2005/105998のクローンB6)のVH鎖のアミノ酸配列を配列番号1に、VL鎖のアミノ酸配列を配列番号2に示す。
B7scFv(WO2005/105998のクローンB7)のVH鎖のアミノ酸配列を配列番号3に、VL鎖のアミノ酸配列を配列番号4に示す。
D1scFv(WO2005/105998のクローンD1)のVH鎖のアミノ酸配列を配列番号5に、VL鎖のアミノ酸配列を配列番号6に示す。
F10scFv(WO2005/105998のクローンF10)のVH鎖のアミノ酸配列を配列番号7に、VL鎖のアミノ酸配列を配列番号8に示す。
(2)ペプチドファージライブラリー
ファージのgeneIII蛋白のアミノ末端に12個のランダムなアミノ酸配列を提示したPh.D.−12ライブラリー(New England Biolabs、MA)及びファージのgeneIII蛋白のアミノ末端にシステインとシステインの間に7つのアミノ酸配列を含むペプチドを提示するPh.D.−C7Cライブラリー(New England Biolabs、MA)を用いた。
(3)バイオパニング
鋳型となるヒト一本鎖抗体(scFv:B6、B7、D1又はF10)又はコントロールscFv 1μg/100μl/well(0.1M NaHCO pH8.6)をMaxisorp plateに4℃で6時間コートした。ブロッキング溶液としてそれぞれのウェルを1stパニングでは0.5%ゼラチン,2ndパニングでは0.25%BSA,3rdパニングでは0.5%ゼラチンを用いて4℃で14時間ブロックした。12mer又はC7Cペプチドファージライブラリーをブロッキング溶液で希釈後(1.5 x 1012pfu/100μl)30分静置後、コントロールscFvで吸収操作を行った。すなわち、コントロールscFvをコートしたウェルを0.2%Tween20/PBS(PBST)で3回洗浄しファージ溶液を加え室温で1時間反応させ、コントロールscFvと結合しなかったファージ溶液を回収した。このファージ溶液を鋳型とするscFvをコートしたウェルに加え室温で1時間反応させた。0.2%PBSTを用いて10回洗浄後1mg/ml BSA/0.1Mグリシン塩酸pH2.2を100μl加え室温で5分置くことにより結合したファージを回収し、ただちに1Mトリス塩酸pH9.1を15μl加え中和した。回収したファージを大腸菌ER2738に感染させ増幅させ、2,3ラウンドのパニングに用いた(1.5 x 1012pfu/100μl)。
(4)ファージクローンの単離
パニングを2回行った後、回収したファージをER2738に感染させLB/Tet/X−gal plateで培養した。溶菌してできたプラークを再度ER2738に感染させ、ファージクローンを単離した。
(5)ELISA
パニングで鋳型としたscFv又はコントロールscFv 50ng/40μl/well(0.1M NaHCO pH8.6)をELISAプレートに4℃で6時間コートした。0.5%ゼラチンを用いて4℃で13時間ブロックした。0.2%PBSTを用いてウェルを3回洗浄後、単離したペプチドファージクローン溶液(約1.6 x 1011virions/40μl)を加え室温で1時間反応させた。結合したファージは40μlのビオチン化抗M13モノクローナル抗体(1000倍希釈)、ストレプトアビジンアルカリフォスファターゼ(1000倍希釈)を反応させた後、基質パラニトロフェニルリン酸を用いて検出した。
(6)DNA塩基配列解析
特異性の認められたファージクローンをフェノール/クロロホルム処理して除蛋白した後、エタノール沈殿でDNAを精製し、塩基配列決定の鋳型とした。primer−96gIII(1pg/μl)5’−CCC TCA TAG TTA GCG TAA CG−3’(New England Biolabs,MA)を用いて、ランダムなペプチド配列が挿入されている領域の遺伝子増幅を行い、DNA塩基配列決定を行った。
(7)ペプチド合成
ペプチドは、一般的な固相ペプチド合成法、Fmoc/HBTu+HOBt法により合成した。ペプチドB6−L1,B7−C15,B7−S15のそれぞれにTAT配列を連結したペプチドを合成した。なお、B7−C15については、カルボキシル末端側にグリシンを付加したものにTAT配列を連結した。ちなみにTAT配列は脳血管関門を通過する機能をもつペプチド配列である(P.Jarver and Ulo Langel,The use of cell−penetrating peptides as a tool for gene regulation,DDT,9:395−401,2004)である。
なお、B6−L1,B7−C15,B7−S15のそれぞれの配列のアミノ末端側にTAT配列を融合したものがTAT−B6−L1,TAT−B7−C15,TAT−B7−S15であり、B6−L1の配列のカルボキシル末端側にTAT配列を融合したものがB6−L1−TATである。このペプチドの結合を検出するためにペプチドのアミノ末端にビオチンが結合しているペプチド配列として合成した。
B6−L1,B7−C15,B7−S15、及びこれらとTAT配列との融合分子のアミノ酸配列と配列番号との関係は以下のとおりである。
(8)アミロイドβ線維化阻害実験
20mMリン酸バッファーpH7.0を用いて40μMに希釈したAβ1−42ペプチドに合成したペプチド(TAT−B6−L1,B6−L1−TAT,TAT−B7−C15,TAT−B7−S15)を様々な濃度(1.65nM,16.5nM,33nM)で加えた。0,6,24時間に10μlのサンプルを回収し11μMのチオフラビンT(Sigma)/リン酸バッファー90μlを加えマルチラベルプレートカウンター、Wallac 1420 ARVOsx(Perkin−Elmer;Wellesley,MA)を用い、450nmの励起光により発生する482nmの蛍光強度を測定した。
(9)Aβ線維化阻害ペプチドによるAβコンホーマー(Aβオリゴマー及びAβ線維)の沈降実験
Aβ1−42を20mMリン酸バッファーpH7.0に40μMの濃度で溶解し、その1.5時間目に、40μMに調製したTAT−B6−L1又はTAT−B7−C15ペプチドを液量比(1:1)で加え37℃で1時間反応させた(最終濃度:Aβ[20μM]/合成ペプチド[20μM])。反応後、免疫沈降前のサンプルを「沈降前」として一部サンプリングし、残りのサンプルを20μg/μlに調製したM−280ストレプトアビジン−マグネットビーズ(Dynal Biotech,Oslo,Norway)と液量比(1:1)で氷上で1時間反応させた(最終濃度:Aβ[10μM]/合成ペプチド[10μM]/ビーズ[10μg/μl])。反応後、マグネットによりビーズを沈降させ上清を「上清」とした。沈降したビーズに回収した上清と等液量のPBSを加え「沈殿物」とした。得られた各サンプルを電気泳動し、抗Aβ抗体によるWestern blot解析を行った。
2.結果
(1)Aβ特異的scFvに結合するペプチドファージクローン
(a)B6 scFvに結合したペプチドファージクローンのELISAの結果を図1に示す。無関係のscFv(コントロールscFv)としてFv1E1というAβの線維化を阻害しない抗体を用いた。ファージライブラリーは12merのアミノ酸配列を提示するPh.D.−12ライブラリー(New England Biolabs、MA)を用いた。実験は前記(5)ELISAで記したとおりに行った。
(b)D1 scFvに結合した12merペプチドファージクローンのELISAの結果を図2に示す。無関係のscFv(コントロールscFv)としてMY5RというAβの線維化を阻害しない抗体を用いた。ファージライブラリーは12merのアミノ酸配列を提示するPh.D.−12ライブラリー(New England Biolabs、MA)を用いた。実験は前記(5)ELISAで記したとおりに行った。
(c)D1 scFvに結合したC7CペプチドファージクローンのELISAの結果を図3に示す。無関係のscFv(コントロールscFv)としてMY5RというAβの線維化を阻害しない抗体を用いた。ファージライブラリーはシステインとシステインの間に7つのアミノ酸配列を含むペプチドを提示するPh.D.−C7Cライブラリー(New England Biolabs、MA)を用いた。実験は前記(5)ELISAで記したとおりに行った。
(2)B6結合性ペプチドファージのAβ1−42線維化阻害活性
B6結合性ペプチドファージによるAβ1−42ペプチドの線維化阻害実験の結果を図4に示す。Aβ1−42線維化阻害実験は前記(8)線維化阻害実験で記したとおりに行った。pepB6−L1及びpepB6−L10は、Aβ1−42の線維化を阻害するB6 scFvを鋳型として、それに結合するファージクローンであり、pep1E1−L1,1−L2,1−L4,1−L12は、Aβ1−42の線維化を阻害しないFv1E1 scFv(WO2005−105998段落0074〜0075に記載)を鋳型として単離したファージクローンである。ここで用いたファージクローンの濃度は3.0 x 1012virions/mlである。
(3)Aβ特異的scFvのエピトープ(結合性配列)
Aβ1−42の線維化を阻害するB6 scFv、B7 scFv又はD1 scFvを鋳型として単離したファージクローンの提示するペプチドのアミノ酸配列一覧を図5に示す。ファージライブラリーとしてPh.D.−12ライブラリー(図5中12mer*と略)又はPh.D.−C7Cライブラリー(図5中C7C*と略)を使用した。pepB7−C15とpepB6−C2,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C15及びpepD1−C5,C7,C20は同一の配列であった。番号の前についているLは12merのライブラリーから、CはC7Cのライブラリーから単離されたクローンであることを示している。
各ファージクローンの提示するペプチドのアミノ酸配列と配列番号との関係は以下のとおりである。
(4)ビオチン化したB6又はB7 scFv結合性配列とTAT配列との融合分子
ビオチン化したB6 scFv結合性配列とTAT配列との融合分子を図6に示す。B6−L1,B7−C15,B7−S15のそれぞれの配列のアミノ末端側にTAT配列を融合したものがTAT−B6−L1,TAT−B7−C15,TAT−B7−S15であり、B6−L1の配列のカルボキシル末端側にTAT配列を融合したものがB6−L1−TATである。TAT配列は脳血管関門を通過する機能をもつペプチド配列である(P.Jarver and Ulo Langel,The use of cell−penetrating peptides as a tool for gene regulation,DDT,9:395−402,2004)。これらのペプチドのアミノ末端をビオチンで標識し、このペプチドの結合を酵素標識したアビジンを用いて定量を行った。
(5)TATとB6−L1の融合ペプチドはB6 scFvに認識された(図7)。合成ペプチド、TAT−B6−L1あるいはB6−L1−TATを200ng/wellの条件でELISAプレートにコートし、種々の濃度のB6 scFvを添加しその結合活性を検討した。コントロールペプチドとして無関係のペプチド(GSGGGSCGYWRSEWGLCG)を用いた。B6 scFvの量依存的な結合反応が確認された。
(6)TATとB6−L1,B7−C15,B7−S15それぞれとの融合ペプチドのAβ1−42線維化阻害活性
TATとB6−L1,B7−C15,B7−S15それぞれとの融合ペプチドのAβ1−42線維化阻害活性の測定結果を図8に示す。線維化阻害実験は前記線維化阻害実験で記したとおりに行った。TAT−B6−L1,B6−L1−TAT,TAT−B7−C15,TAT−B7−S15は線維化阻害活性があることが明らかとなった。前記のコントロールペプチドは全く阻害活性を示さなかった。
(7)TAT−B6−L1,TAT−B7−C15ペプチドによるAβコンホーマー(Aβオリゴマー及びAβ線維)の沈降実験
TAT−B6−L1,TAT−B7−C15ペプチドの沈降実験の結果を図9に示す。Aβ1−42を20mMリン酸バッファーpH7.0に40μMの濃度で溶解し、その1.5時間目にビオチン化TAT−B6−L1又はビオチン化TAT−B7−C15ペプチドを加え結合物をストレプトアビジン−マグネットビーズで沈降させた。沈降前はAβオリゴマーやAβ線維などのバンドが確認できるが、TAT−B6−L1,TAT−B7−C15ペプチドで沈降を行った上清にはAβオリゴマーやAβ線維は確認されず、沈殿物の方で確認できた。この結果からAβ1−42溶解後1.5時間目に形成されるAβオリゴマーやAβ線維とTAT−B6−L1,TAT−B7−C15ペプチドが結合することが明らかとなった。無関係なコントロールペプチドでは沈降反応は認められなかった(図9には示されていない)。
1.材料・方法
(1)抗原調製と免疫
PBSで各濃度に調整したストレプトアビジン(6.6μM)と実施例1の1.(7)「ペプチド合成」で得たビオチン化TAT−B7−C15、ビオチン化TAT−B7−S15又はビオチン化TAT−B6−L1ペプチド(26.4μM)を容量比1:1で混合(全タンパク濃度:500μg/ml)した後、4℃で一晩反応させストレプトアビジン複合体(SA−Ag)を作製した。アジュバントである水酸化アルミニウムゲル(20mg/ml)とSA−Ag(500μg/ml)を容量比1:1で撹拌しながら混合し、水酸化アルミニウムゲルにSA−Agを吸着させた。8週齢の雌のBALB/cマウスの皮下に水酸化アルミニウムゲル/SA−Ag懸濁液を200μl免疫した(水酸化アルミニウムゲル:2mg,SA−Ag:50μg)。第一回目の免疫をDay 0とし、Day 15,30,60,90の計5回、同様の操作で免疫を行った。水酸化アルミニウムゲルに線維化Aβを混合し免疫したマウスをポジティブコントロールとし、水酸化アルミニウムゲルにPBSを加え、免疫したマウスをネガティブコントロールとした。
(2)血清の採取
Day 14,29,59,74,100にマウスの眼底から血液を採取し、等量のPBSと混合した後、6000rpmで10分間遠心を行い血清成分を採取した(2倍希釈)。
(3)血清中の抗Aβ抗体の検出
96穴プラスチックプレートに線維化Aβ1−42と可溶性Aβ1−42を加え一晩4℃でコートした(50ng/40μl/well)。0.5%ゼラチンで2時間のブロックを行い0.1%Tween20/PBSで洗浄後、PBSで200倍に(原液血清に対して)希釈したDay 74血清を加え室温で1時間反応させた。0.1%Tween20/PBSによる洗浄を3回行った後、5000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識−抗マウスIgG+IgM抗体を加え、室温で1時間反応させた。0.1%Tween20/PBSによる洗浄を3回行った後、パラニトロフェニルリン酸(2mg/ml)を含む基質溶液を加え、405nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。結果は各血清がバックグラウンドである0.5%ゼラチンに対する反応値を差し引いた値で示した。
各血清(各実験群)の0.5%ゼラチンへの非特異的な結合活性(405nmにおける吸光度;差し引いたOD値)を以下に示す。
線維化Aβ(Aβ):0.07;TAT−B7−C15:0.035;TAT−B6−L1:0.0255;TAT−B7−S15:0.058;PBS:0.024;none:0.0165
2.結果
Aβミミックペプチドを免疫したマウスにおいて、線維化Aβに結合する抗体が誘導されることが確認できた。更に、可溶性Aβへの結合活性はバックグランドレベルであることから、Aβミミックペプチドが線維化Aβの3次元構造を模倣し、線維化Aβに特異的な抗体を誘導することが明らかとなった。これらの結合活性はポジティブコントロールである線維化Aβを免疫したマウスと同程度の値であった。結果を図10に示す。
図10のx軸方向にはマウスを免疫した分子を示し、y軸は抗体反応の強さ(405nmにおける吸光度)を示す。Aβ1−42 solubleは可溶性Aβ(正常Aβ)に対する抗体量、Aβ1−42 fibrilは異常の線維化Aβに対する抗体量を示す。破線は水酸化アルミニウムゲル/PBSで免疫した血清成分の各Aβへの非特異的結合値でバックグランドの指標として表示した。
線維化Aβで免疫すると、若干可溶性Aβにも反応し、線維化Aβには強く反応する抗体が産生されている(図10のx軸のAβ)。他のミミックペプチドによる免疫では、検出される可溶性Aβに反応する抗体は、リン酸緩衝液(PBS)のみを投与して産生されてくる非特異的抗体の量以下であり、線維化Aβに反応する抗体が、有意に、かつ本物の線維化Aβを免疫した時と、ほぼ同程度の抗体を誘導していることがわかる。
異常アミロイドβは脳内で神経細胞に毒性を発揮し、自殺死(アポトーシス)を誘導するため、アルツハイマー症の主症状の痴呆が発生する。
本発明のミミックペプチドで誘導された抗体は、正常アミロイド分子には反応しないため、正常自己成分に対する免疫反応が起こらないので副作用が発生しないが、異常アミロイドβペプチド集合体(アミロイドβの線維やオリゴマー、グロブロマー)に結合する。この結果、脳内から病因である異常アミロイド分子が脳内から血中に引き抜かれるとともに、脳内にある貪食細胞のミクログリア細胞にも貪食され、脳内の異常アミロイドβが消失する。したがって、このワクチンで誘導された異常アミロイドβ分子に特異的な抗体は、この殺傷性分子を脳内から排除する。これによりアルツハイマー病の予防、更には治療を達成することができる。
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
本発明によれば、異常アミロイドβペプチドに特異的な抗体の産生を誘導するワクチン又は免疫原を提供することができる。
[配列表]

Claims (6)

  1. 配列番号16、23、26もしくは27で示されるペプチド、又は該ペプチドと担体との結合物を含有するアミロイドβ線維化阻害剤
  2. 配列番号16もしくは23で示されるアミノ酸配列と、次式:
    Tyr-Gly-Arg-Lys-Lys-Arg-Arg-Gln-Arg-Arg-Arg
    で示されるTAT配列とからなるペプチド、又は該ペプチドと担体との結合物を含有するアミロイドβ線維化阻害剤
  3. 更にアジュバントを含有する請求項1又は2記載のアミロイドβ線維化阻害剤
  4. アルツハイマー病の予防・治療剤である請求項1〜のいずれか1項に記載のアミロイドβ線維化阻害剤
  5. 配列番号9、16、23、24、25、26もしくは27で示されるペプチド、又は該ペプチドと担体との結合物からなる免疫原。
  6. 配列番号9、16もしくは23で示されるアミノ酸配列と、次式:
    Tyr-Gly-Arg-Lys-Lys-Arg-Arg-Gln-Arg-Arg-Arg
    で示されるTAT配列とからなるペプチド、又は該ペプチドと担体との結合物からなる免疫原。
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