はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を手段n(n=1,2,3…)として区分して示し、それらを必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、本実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.遊技機の制御に関与する複数の制御基板を備えた遊技機において、
複数の制御基板を被包手段によって被包するとともにその被包状態を封印する封印手段を設けたことを特徴とする遊技機。
手段1によれば、基板が被包手段によって被包されその被包状態が封印手段によって封印されているため、被包状態を解いて元の状態に復帰させることは不可能となって、不正の防止又は不正の早期かつ容易な発見に寄与し得る。また、複数の基板について被包状態を封印する手段を設けることしたので、不正防止に必要な複数の基板についてその対策を講じることができる。
手段2.遊技機の制御に関与する複数の制御基板を備えた遊技機において、
前記各制御基板のうち、遊技媒体の払出に関与する制御基板を被包手段によって被包するとともにその被包状態を封印する封印手段を設けたことを特徴とする遊技機。
手段2によれば、遊技媒体の払出という遊技者に現実に付与される遊技価値の大小を決定付ける制御基板に関しての不正を、当該制御基板の被包及び封印によって防止又は発見することができる。
手段3.遊技機の制御に関与する複数の制御基板を備え、特別遊技状態が発生すると所定条件下で遊技媒体を払い出すようにした遊技機において、
前記各制御基板のうち、特別遊技状態の発生及び遊技媒体の払出の少なくとも何れか一方に関与する制御基板を被包手段によって被包するとともにその被包状態を封印する封印手段を設けたことを特徴とする遊技機。
手段3によれば、特別遊技状態の発生という遊技者に付与される遊技価値の大小を第一義的に決定付ける制御基板や遊技媒体の払出という遊技者に現実に付与される遊技価値の大小を決定付ける制御基板に関しての不正を、当該制御基板の被包及び封印によって防止又は発見することができる。即ち、かかる手段によれば、特別遊技状態を不正に発生させることなく遊技媒体を不正に払い出させようとする行為を防止等することができる。
手段4.遊技を司る主制御機能を有した主制御基板と、遊技媒体を遊技者に払い出す払出手段と、該払出手段を駆動制御する払出制御機能を有した払出制御基板とを備えた遊技機において、
前記主制御基板と前記払出制御基板とを被包手段によって被包するとともにその被包状態を封印する封印手段を設けたことを特徴とする遊技機。
手段4によれば、主制御基板は遊技機の中枢を司り、また払出制御基板は遊技媒体の払出という遊技者に付与される遊技価値の大小を現実のものとして決定付ける点で不正の対象となり易いと考えられる。そこで、主制御基板及び払出制御基板が被包手段によって被包しその被包状態を封印手段によって封印したことにより、被包状態を解いて元の状態に復帰させることは不可能となって、遊技媒体の不正払出を防止し、またそのような事態を早期かつ容易に発見し得る。なお、主制御基板と払出制御基板との被包及び封印は両基板で共有としてもよいし、個別に被包及び封印するようにしてもよい。
手段5.遊技を司る主制御機能を有した主制御基板と、景品媒体及び貸出媒体を遊技者に払い出す払出手段と、該払出手段を駆動制御する払出制御機能を有した払出制御基板とを備えた遊技機において、
前記主制御基板と前記払出制御基板とを被包手段によって被包するとともにその被包状態を封印する封印手段を設けたことを特徴とする遊技機。
手段5によれば、主制御基板は遊技機の中枢を司り、また払出制御基板は景品媒体及び貸出媒体の払出という点で不正の対象となり易いと考えられる。そこで、主制御基板及び払出制御基板が被包手段によって被包しその被包状態を封印手段によって封印したことにより、被包状態を解いて元の状態に復帰させることは不可能となって、媒体の不正払出を防止し、またそのような事態を早期かつ容易に発見し得る。なお、主制御基板と払出制御基板との被包及び封印は両基板で共有としてもよいし、個別に被包及び封印するようにしてもよい。また、払出手段は景品媒体の払出と貸出媒体の払出とを個別に行うものとしてもよいし、併せて行うものとしてもよい。
手段6.遊技を司る主制御機能を有した主制御基板と、景品媒体及び貸出媒体を遊技者に払い出す払出手段と、該払出手段を駆動制御する払出制御機能を有した払出制御基板とを備えた遊技機において、
前記払出制御基板のうち景品媒体の払出制御に関する部分と貸出媒体の払出制御に関する部分とが独立して設けられており、
前記主制御基板と前記払出制御基板のうち景品媒体の払出制御に関する部分との間では、互いに接続されて、景品媒体の払出に関する異常検査を主制御基板側で行う機能を有している一方、
前記主制御基板と前記払出制御基板のうち貸出媒体の払出制御に関する部分との間では、互いに独立していて、貸出媒体の払出に関する異常検査を主制御基板側で行わないように構成し、
更に、前記主制御基板と前記払出制御基板のうち貸出媒体の払出制御に関する部分とを被包手段によって被包するとともにその被包状態を封印する封印手段を設けたことを特徴とする遊技機。
手段6によれば、主制御基板は遊技機の中枢を司り、また払出制御基板は景品媒体及び貸出媒体の払出という点で不正の対象となり易いと考えられる。ここで、払出制御基板のうち、景品媒体の払出に関する異常検査は主制御基板側で行われているため、主制御基板を封印することでそのような不正に対しては対応することができるが、貸出媒体の払出に関しては主制御基板側では不正のチェックを行っていないことから不正の標的になる可能性がある。このように構成した理由は景品媒体を遊技機から払い出すタイプのものと遊技機とは別に払い出すもの(所謂サンドからの払出等)とで遊技機の大部分を兼用させる等のためである。この点、本手段によれば、払出制御基板のうち貸出媒体の払出制御に関する部分についても被包及び封印するようにしたことから、貸出媒体に関する不正を主制御基板によるチェックなくしても実行することができる。
手段7.遊技を司る主制御機能を有した主制御基板と、景品媒体及び貸出媒体を遊技者に払い出す払出手段と、該払出手段を駆動制御する払出制御機能を有した払出制御基板とを備えた遊技機において、
前記払出制御基板は、景品媒体の払出制御に関する景品媒体払出制御基板と貸出媒体の払出制御に関する貸出媒体払出制御基板とが独立して設けられて構成されており、
前記主制御基板と前記景品媒体払出制御基板との間では、互いに接続されて、景品媒体の払出に関する異常検査を主制御基板側で行う機能を有している一方、
前記主制御基板と前記貸出媒体払出制御基板との間では、互いに独立していて、貸出媒体の払出に関する異常検査を主制御基板側で行わないように構成し、
更に、前記主制御基板と前記貸出媒体払出制御基板とを被包手段によって被包するとともにその被包状態を封印する封印手段を設けたことを特徴とする遊技機。
手段7によれば、主制御基板は遊技機の中枢を司り、また払出制御基板は景品媒体及び貸出媒体の払出という点で不正の対象となり易いと考えられる。ここで、払出制御基板のうち、景品媒体の払出に関する異常検査は主制御基板側で行われているため、主制御基板を封印することでそのような不正に対しては対応することができるが、貸出媒体の払出に関しては主制御基板側では不正のチェックを行っていないことから不正の標的になる可能性がある。このように構成した理由は景品媒体を遊技機から払い出すタイプのものと遊技機とは別に払い出すもの(所謂サンドからの払出等)とで遊技機の大部分を兼用させる等のためである。この点、本手段によれば、払出制御基板のうち貸出媒体の払出制御に関する部分についても被包及び封印するようにしたことから、貸出媒体に関する不正を主制御基板によるチェックなくしても実行することができる。更に、もしも払出制御基板を単一のものとすると、そのうちの貸出媒体の払出制御に関する部分だけを被包及び封印することとなるため、その被包及び封印処理が複雑になってしまうが、本手段によれば、払出制御基板を、景品媒体払出制御基板と貸出媒体払出制御基板とで分離構成したことから、貸出媒体払出制御基板だけを被包及び封印することができるのでそれらの処理が簡易なものとなる。
手段8.手段1乃至手段7のいずれかにおいて、前記封印手段は、被包手段による被包状態を解除した場合に解除前の状態に戻せなくなる機能を有するものであることを特徴とする遊技機。
手段8によれば、一旦被包手段による被包状態を解除すると、封印手段の機能によって解除前の状態に戻せなくなることから、被包手段による被包状態を解除すると不正が行われた可能性があることを容易に知ることができる。
手段9.手段1乃至手段7のいずれかにおいて、前記封印手段は、被包手段による被包状態を解除した場合に破損される機能を有するものであることを特徴とする遊技機。
手段9によれば、一旦被包手段による被包状態を解除すると、封印手段の機能によって当該封印手段が破損される結果、解除前の状態に戻せなくなることから、被包手段による被包状態を解除すると不正が行われた可能性があることを容易に知ることができる。
手段10.手段1乃至手段9のいずれかにおいて、前記被包手段は、第1被包部材と第2被包部材とから構成され、各被包部材を連結することにより前記制御基板を被包するようにしたことを特徴とする遊技機。
手段10によれば、各被包部材を連結するだけで制御基板を被包することができるため、被包作業効率の向上を図ることができる。
手段11.手段10において、前記封印手段は、第1被包部材と第2被包部材とに跨るように設けられたものであることを特徴とする遊技機。
手段11によれば、第1被包部材と第2被包部材との連結状態の解除を封印手段によって事実上阻止することができる。事実上としたのは、一応は解除できるとしても、上記手段7又は手段8で説明したように封印手段の破損等によってその不正発生を容易に発見することができるものも不正の阻止と考えることができることによる。
手段12.手段11において、前記封印手段は、第1被包部材に設けられた第1封印部材と、第2被包部材に設けられた第2封印部材とを備え、第1被包部材と第2被包部材との連結時に第1封印部材と第2封印部材とを連結して封印するように構成したことを特徴とする遊技機。
手段12によれば、封印手段を、第1被包部材側に設けられた第1封印部材と、第2被包部材側に設けられた第2封印部材とから構成したことで、封印作業効率の向上に寄与し得る。なお、第1封印部材と第2封印部材との封印は、両者の係合関係によって達成するものとしてもよいし、他の封印部材を第1封印部材と第2封印部材との両者に係合するようにして構成してもよい。
手段13.手段1乃至手段12のいずれかにおいて、封印の解除を1回又は複数回行うことができるように封印手段による封印部分を複数設けたことを特徴とする遊技機。
手段13によれば、遊技機設置後等に行われる必要な検査時に封印を解除して制御基板を検査した後、再度封印する場合に同一の封印手段をそのまま利用することができる。但し、このような機能を設けた場合には、その封印解除が適正に行われたことを担保する必要があることから、被包手段等にそのような封印解除履歴を付する機能を持たせるべきである(例えば、図面図10及びその説明参照)。
手段14.手段1乃至手段13のいずれかにおいて、前記被包手段は、少なくとも被包している制御基板の中枢部位を外部から確認できるよう、少なくとも一部に透明又は半透明の材質が使用されていることを特徴とする遊技機。
手段14によれば、不正されやすいCPU,ROM,RAM等の中枢部位を、被包手段の透明又は半透明部分を通じて外部より把握することができ、不正の早期発見を図ることができる。
手段15.手段1乃至手段14のいずれかにおいて、前記複数の制御基板の封印手段は、制御基板毎に異なる封印形態とされていることを特徴とする遊技機。
手段15によれば、封印形態が制御基板毎に異なるため、巧妙に全ての封印を解除するような不正は殆ど不可能となる。
手段16.手段1乃至手段14のいずれかにおいて、前記複数の制御基板の封印手段は、制御基板の種類にかかわらず同一の封印形態とされていることを特徴とする遊技機。
手段16によれば、封印形態が制御基板毎に同一であるため、封印手段の製作が容易になる。この場合、一種類の封印手段の構成の開発・製作に時間を割くことができるため、より不正対策に優れた封印手段の実現が期待できる。
手段17.手段1乃至手段7のいずれかにおいて、遊技機の制御を司る制御基板(主制御基板)以外の制御基板に対する封印は、解除不能な構成とされていることを特徴とする遊技機。
手段17によれば、主制御基板以外では検査等が不要であるため、一旦封印すると一切封印解除ができないようにすることで、媒体の不正な払出等の不正を完全に防ぐことができる。この場合の封印手段としては、被包手段を完全に一体化するための接着手段や、制御基板の周りを樹脂等で覆ってしまうような被包手段と封印手段とを融合したものが挙げられる。
手段18.手段2乃至手段17のいずれかにおいて、前記払出手段は、仮想的に媒体を払出すものであり、その仮想的な払出に応じた分だけ遊技を更に続行可能な状態とすることを特徴とする遊技機。
手段18によれば、遊技媒体(貸出媒体や景品媒体)を直接遊技者に付与するものではなく仮想的に払い出す所謂封入タイプの遊技機においては、遊技媒体を例えば記憶して表示することによって遊技者は直接遊技媒体を手に取ることなく遊技を進行することができる。なお、この場合、貸出媒体をメダルやカードを介して投資すると、それが記憶され表示される。また、遊技続行に伴って景品媒体が仮想的に払い出される場合には記憶内容が書き換えられて表示される。従って、仮想的な媒体とは、実際にはデータであることが殆どである。
手段19.手段1乃至手段18のいずれかにおいて、前記各制御基板は、遊技機本体の裏側又は内部に設けられており、遊技機前面側に対し非露出状態とされていることを特徴とする遊技機。
手段19によれば、基本的に遊技機の前面側に各制御基板が露出しないことから、制御基板に対して即座に不正が実行される不都合を回避することができる利点がある。なお、例えばボックス型のスロットマシンや封入式パチンコ機等では各制御基板は遊技機内部に設けることができ、枠型のパチンコ機等では各制御基板は遊技機本体の裏側に設けることができる。
手段20.手段1乃至19のいずれかにおいて、遊技機は弾球遊技機であること。中でも、弾球遊技機の基本構成としては、操作ハンドルを備えていてそのハンドル操作に応じて遊技球を所定の遊技領域に発射させ、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配置された作動口に入賞することを必要条件として可変表示装置において変動表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されることが挙げられる。また、特別遊技状態発生時には遊技領域内の所定の位置に配置された可変入賞装置が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへの書き込み等も含む)が付与されることが挙げられる。
手段21.手段1乃至19のいずれかにおいて、遊技機は回胴式遊技機であること。ここで、回胴式遊技機の構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列(具体的にはリールであり、識別情報はリールに付されたシンボルである)を変動表示(具体的にはリールの回動である)した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段を備えた回胴式遊技機」となる。なお、回胴式遊技機にあっては、遊技媒体等の媒体は、例えばメダルである。
手段22.手段1乃至19のいずれかにおいて、遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機であること。中でも、前記融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列(具体的にはリールであり、識別情報はリールに付されたシンボルである)を変動表示(具体的にはリールの回動である)した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として遊技球を使用するとともに、前記識別情報の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの遊技球が払い出されるよう構成されてなる遊技機」となる。なお、かかる遊技機にあっては、被包部材は遊技機本体を画定する本体ボックスを備えたものであればその本体ボックス内に収容され、本体ボックスを有しないものであれば遊技機背面側に配設される。
以下に、遊技機の一種である弾球遊技機、特にパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)に適用した一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、パチンコ機の外形を構成する外枠1には前枠2が一側の回動軸を中心に回動可能に装着されている。同図では前枠2は閉じた状態にある。前枠2には、遊技盤3(図2参照)、遊技盤3の前方に設けられガラス板4aを有してなるガラス扉枠4、上皿5、下皿6、ハンドル7等が装着されている。上皿5の側方であって、前枠2の内部にはスピーカ8が埋設されている。スピーカ8は、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を音声にて報知する。前記遊技盤3の後部には機構盤が配設されている。
パチンコ機の正面左側にはカード挿入口9aが形成されたカードサンド9が付設されている。パチンコ機の正面側、例えば上皿5には貸玉スイッチ10a、返却スイッチ10b及び残額表示器10cを備えたカード関連ユニット10が設けられている。貸球スイッチ10aはカードに記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カードに残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿5に供給される。返却スイッチ10bはカードサンド9に挿入されたカードの返却を求める場合に操作される。残額表示器10cはカードの残額情報を表示するものである。
次に、遊技盤3の遊技面上の構成について説明する。図2に示すように、遊技盤3には誘導レール等によって略円形の遊技領域が形成されている。遊技盤3の遊技領域内には、作動口ユニット11及び大入賞口ユニット12が設けられている。
作動口ユニット11は、遊技媒体としての遊技球Bが入賞したり通過する作動口11a及び作動ゲート11bを備えており、その作動口11aの入口には羽根13が開閉可能に支持されている。
大入賞口ユニット12は、大入賞口12a及び開閉手段としてのシャッタ14を備えている。シャッタ14は、大入賞口12aの側部に設けられた図示しない大入賞口用ソレノイドにより作動し、大入賞口12aを開閉する。詳しくは、当該ソレノイドが励磁状態となることにより、シャッタ14が略水平に傾き、これにより大入賞口12aが開かれる。また、ソレノイドが非励磁状態となることにより、シャッタ14が略垂直状態となり、これにより大入賞口12aは閉鎖される。
遊技盤3の遊技領域内の周辺部分には、一般入賞口ユニット15,16,17,18が設けられている。一般入賞口ユニット15〜18は、一般入賞口15a,16a,17a,18aを備えている。
大入賞口ユニット12の上方となる遊技盤3の遊技領域中央部分には、可変表示手段としての特別図柄表示装置(以下、単に「表示装置」という)19が組込まれている。表示装置19は、表示領域として液晶ディスプレイ(LCD)よりなる表示部19aを備えており、ここに複数、例えば3つの識別情報列たる図柄列が表示される。図柄列は、基本的には、複数種類の識別情報たる図柄によって構成されている。これらの図柄は、確定時(停止時)における組合せによって特別遊技図柄としての大当たり図柄、外れリーチ図柄及び外れ図柄のいずれかになり得る。
表示装置19の表示部19aでは、遊技球Bの作動口11aへの入賞に基づいて、各図柄列の可変表示たる図柄変動、例えばスクロール変動が開始される。また、大当たり図柄、外れリーチ図柄、外れ図柄の中から1つが選択され、これが確定図柄として設定される。確定図柄とは、各図柄列が図柄変動を停止したときに表示される図柄である。
大当たり図柄は、いわゆるリーチ状態を経た後、遊技者に有利な大当たり状態を発生させるための図柄である。詳しくは、全ての図柄列の変動が停止したときに表示されている図柄の組合せが、予め定められた大当たりの組合せ、すなわち同一種類の図柄が大当たりラインに沿って並んでいるときの同図柄の組合せ(例えば、「7」、「7」、「7」の図柄)となる場合がある。この組合せを構成する図柄が「大当たり図柄」である。大当たりの組合せが成立すると、遊技者にとって有利な特別遊技状態たる大当たり状態となる。この場合、大入賞口12aが開かれ、遊技者はより多くの景品媒体たる景品球を獲得することが可能となる。
表示装置19において、表示部19aの上方には、発光ダイオード(LED)からなる保留ランプ21a,21b,21c,21dが組み込まれている。保留ランプ21a〜21dは、基本的には作動口11aへの入賞に基づく変動表示の保留毎に点灯し、その保留に対応した変動表示の実行に伴い消灯する。
表示装置19の上部には、普通図柄表示部としてのLEDよりなる7セグ表示部22が設けられている。表示装置22の左右両側方には一対の通過ゲート23a,24aを備えた通過ゲートユニット23,24が配設されている。同通過ゲート23a,24aを遊技球Bが通過することに基づいて、前記7セグ表示部22が作動する。本実施の形態では、7セグ表示部22は、「0」から「9」までの数字を可変表示する。そして、その数字が所定値(本実施の形態では「7」)で停止することに基づいて、作動口ユニット11の羽根13が所定秒数開放するようになっている。この開放により、作動口11aへの入賞が比較的容易なものとなる。7セグ表示部22の周辺近傍においては、遊技球Bの通過ゲート23a,24aの通過回数が4回まで記憶表示され、図示しない4つの保留ランプでその保留数が表示される。
なお、遊技盤3の複数箇所には、遊技効果を高めたり、遊技状況を遊技者に示唆するための各種ランプ等の他の役物が取付けられている(ランプ風車、コーナー飾り等)。
本実施の形態では、遊技者の操作に応じて変化するパチンコ機の遊技状態を検出するべく、遊技盤3には、遊技球Bの入賞を検出するための種々の検出スイッチが取付けられている。より詳しくは、作動ゲート11bには作動ゲート用スイッチ31が、作動口11a近傍には作動口用スイッチ32が、それぞれ設けられており、その他必要に応じて後述する多数の検出スイッチが取り付けられている。本実施の形態では、作動口用スイッチ32にて遊技球Bの入賞が検出された場合、遊技者に対し、1入賞あたり5個の景品球が払い出されるようになっている。
大入賞口12a近傍には、2つの大入賞口用スイッチ33,34が設けられている。シャッタ14の内側面には、逆ハの字状をなす図示しない案内レールが一体形成されており、該案内レールにより、大入賞口12aに入賞した入賞球は円滑に、かつ、速やかにいずれかの大入賞口用スイッチ33,34を通過しうる。本実施の形態では、大入賞口用スイッチ33,34にて遊技球Bの入賞が検出された場合、遊技者に対し、1入賞あたり15個の景品球が払い出されるようになっている。さらに、一般入賞口15a〜18a近傍には、一般入賞口用スイッチ35,36,37,38が設けられている。本実施の形態では、一般入賞口用スイッチ35〜38にて遊技球Bの入賞が検出された場合、遊技者に対し、1入賞あたり10個の景品球が払い出されるようになっている。なお、上記景品球の払い出し数(「5個」又は「10個」又は「15個」)に関する数値はあくまでも例示であって、上記数値に何ら限定されるものではない。従って、例えば「6個」「7個」「11個」「12個」「13個」「14個」「16個」或いはそれ以上(例えば「25個」)等の数値を採用しても何ら差し支えない。併せて、通過ゲート23,24には、通過ゲート用スイッチ39,40が設けられている。
そして、これらスイッチ31〜40により、遊技球Bの作動ゲート11bの通過や作動口11aへの入賞、大入賞口12aへの入賞、或いは一般入賞口15a〜18aへの入賞や、通過ゲート23a,24aの通過等が検出される。
本実施の形態では、上記各スイッチ31〜40の検出結果に基づき、各種ソレノイドや、表示装置19、各保留ランプ21a〜21d、各種ランプ、スピーカ8、パルスモータ等の各種外部装置をそれぞれ駆動制御するために制御装置50が設けられている。制御装置50は、図3に示すように、主基板(制御基板、遊技制御基板を構成する)51、払出制御基板52、図柄表示装置制御基板53、音声制御基板54、ランプ制御基板55及び発射制御基板56等の各種制御基板を備えており、特に主基板51及び払出制御基板52は例えば透明樹脂等よりなる被包部材を構成する基板ボックス140A,140B内に収容されている。なお、各基板51〜56の取り付け位置としては、少なくともパチンコ機の正面側に露出しないように配設されていればよく、入賞球集合カバー、遊技盤3裏面、機構盤、前面枠等の枠体、又は専用の支持部材等のいずれに取り付けてもよいが、本実施の形態では他の各種機器との関連性から合理的な位置に取り付けられている。
前記遊技盤3の背面側に設けられた機構盤の上部には、主たる電源(電源電圧)が供給される電源スイッチ基板61が設けられているとともに、機構盤の下部には、前記電源スイッチ基板61からの電源を適宜供給するための電源分配基板62が設けられている。前記主基板51の基板ボックス140Aは、機構盤の後部において、前記表示装置19の背面側に設けられた図柄表示装置制御基板53の下方に設けられている。図3に示すように、機構盤には、表示装置19を覆うようにして樹脂製の保護部材としての保護カバー63が装着されており、これにより、上部のタンク64等から落下してくる遊技球B等から表示装置19及び図柄表示装置制御基板53が保護されるようになっている。そして、主基板51の基板ボックス140Aの大部分は、前記保護カバー63からはみ出すようにして横長に配置されている。
払出制御基板52は、前記主基板51の側方に設けられている。当該主基板51及び払出制御基板52には、前記電源分配基板62からの分配された電源電圧がそれぞれ印加される。また、図柄表示装置制御基板53、音声制御基板54及びランプ制御基板55には、主基板51からの電源電圧がそれぞれ供給される。さらに、発射制御基板56には、前記払出制御基板52からの電源電圧が供給されるようになっている。タンク64から上皿5に至る球払出通路の中途位置には球払出装置65,66(景品球払出装置65と貸出球払出装置66)が設けられており、球払出装置65,66は払出制御基板52からの出力信号に基づいて駆動制御されるようになっている。景品球払出装置65及び貸出球払出装置66は景品球又は貸出球を払出すために駆動される駆動モータを備えており、該モータの駆動に基づいて1個ずつの球払出処理が行われる。なお、パチンコ機には情報端子が設けられており、該情報端子からホールコンピュータや外部のカウント表示装置等へ当該パチンコ機における各種遊技情報(例えば本日の大当たり回数、図柄の変動回数、出玉に関する情報等)が出力されるようになっている。
上記払出制御基板52について更に説明すると、図4に示すように、払出制御基板52には、景品球払出のための処理を行うべくCPU、ROM、RAMその他の電子部品が組み込まれた景品球払出処理回路部71と、貸出球払出のための処理を行うべくCPU、ROM、RAMその他の電子部品が組み込まれた貸出球払出処理回路部72とが実装されている。
景品球払出処理回路部71は主基板51と接続されていて、主基板51からは前記各スイッチ検出に基づく景品球の払出指令が景品球払出処理回路部71に送信され、景品球払出処理回路部71はその払出指令に応じた景品球の払出を行うべく景品球払出装置65を駆動制御するとともに景品球払出数等の検出データを主基板51に送信する。なお、かかる検出データは景品球払出装置65に内蔵された検出スイッチからの信号に基づいて生成される。従って、主基板51は景品球払出については不正がないかどうかのチェックを行うことができる。
一方、貸出球払出処理回路部72は主基板51の統括下におかれることなく、独自に制御を実行する。即ち、貸出球払出処理回路部72はカードサンド9、貸出球払出装置66及びカード関連ユニット10と接続されており、カードサンド9のカード挿入口9aにカードが挿入されたときのカードに関わる情報の受信、カード関連ユニット10の操作に基づくカードに書き込むべき情報の送信、同じくカード関連ユニット10の操作に基づく貸出球払出装置66の駆動制御、カード情報に基づく残額表示器10cの表示制御、貸出球払出装置66からの貸出球払出情報のチェック等、を行う。従って、主基板51はカードに基づく貸出球の払出に関しては何ら関与していない。このように構成しておけば、例えばカードを利用しない形式のパチンコ機とすることが主基板51等を改変することなく実現でき、カードの利用有無によるパチンコ機の形態変更に関する互換性に優れたものとなる。
以上より、主基板51は従来より被包手段としての基板ボックス140Aの封印処理によって不正の防止や不正発見の容易性を担保していたが、払出制御基板52、特に貸出球払出処理回路部72についても被包手段としての基板ボックス140Bを設け、かつそれをも封印処理することで主基板51の不正チェック等を行わずして不正の防止や不正発見の容易性を担保しようとするのが、本実施の形態の中心的部分である。
即ち、本実施の形態では、図4に示すように、主基板51及び払出制御基板52の双方について基板ボックス140A,140Bを設けてこれを封印することとしている。
そこで、かかる基板ボックス140A,140Bの具体的構成及びその封印関連構成について、図5乃至図11に基づいて以下に説明する。なお、本実施の形態では、主基板51の基板ボックス140Aと、払出制御基板52の基板ボックス140Bとではボックス構成及び封印関連構成において基本的に差異を設けていないので、基板ボックス140A,140Bを基板ボックス140として両方のものを同様に取り扱って説明する。また、主基板51及び払出制御基板52についても単に制御基板と称する。
被包手段を構成する基板ボックス140は、複数のボックス体の組合せによって箱状に構成し得るが、本実施形態では一対のボックス体からなる例として、第1ボックス体(第1被包部材)としてのボックス本体(ボックスベース)141と、そのボックス本体141に覆設される第2ボックス体(第2被包部材)としてのボックス蓋体(ボックスカバー)142とを備えている場合について説明する。
図5に示すように、ボックス本体141は、金属材料からなる箱状体に形成されており、その上方はボックス本体141内に制御基板を配設するために開放されている。また、ボックス本体141の側壁141aには、後述する封印ユニット101のユニット部材120が取り付けられている。更に、ボックス本体141の内側壁には薄板状のガイド板143が設けられており、ボックス本体141にボックス蓋体42を被せる場合、ボックス蓋体42の位置ズレを防止して、容易に被せることができる。
ボックス蓋体142は、ボックス本体141と同様に、金属製の中空箱状体に形成されており、その側壁142aには後述する封印ユニット101のユニット部材130が取り付けられている。ボックス蓋体142の上部壁面には、透明な合成樹脂から構成された覗き窓142dが設けられており、基板ボックス140内の制御基板上に設けられた制御用ROM、CPU等の型番号を容易に確認することができる。このため、制御用ROMを交換してパチンコ機の遊技内容や払出態様を変更する不正行為が行われた場合、これを容易に発見することができる。
また、ボックス蓋体142の上面には、基板ボックス140内に配設された制御基板を管理するため、図10に示した封印解除情報付記手段としての基板管理番号シール161が貼付される。同図に示すように、未使用の基板管理番号シール161が、台紙162に計4枚貼付されている。この基板管理番号シール161をボックス蓋体142に貼付する場合には、台紙162から基板管理番号シール161を1枚ずつ剥がして貼り付ければ良い。この基板番号管理シール161は、特殊シールで構成されており、その表面には、基板管理番号161aと、製造業者コード161bと、枠部161cと、検査履歴161dとが表示されている。基板管理番号161aは、基板ボックス140に被包される制御基板のシリアル番号である。また、制御基板の製造業者は、枠部161cの色彩と製造業者コード161bとにより特定される。更に、この基板管理番号シール161は、制御基板の検査履歴書でもあり、検査履歴161dには、検査毎に「1」から「3」の欄に検査年月日(開封年月日)、検査者名(開封者名)および検査印等が記録される。
なお、基板管理番号シール161を構成する特殊シールは、剥がされると破損してしまう性質を有するものであるので、基板管理番号シール161が不正に剥がされた場合には、かかる不正行為を容易に発見することができる。
次に、図6および図7を参照して、封印手段としての封印ユニット101を構成する各部材について説明する。図6に示すように、封印ユニット101は、基板ボックス140を封印するための封印部材としての封印金具111と、その封印金具111が係止される第1封印部材としてのユニット部材120と、そのユニット部材120に対向してボックス蓋体142に配設されて封印金具111が係合される第2封印部材としてのユニット部材130とを備えている。
なお、図5に示すように、封印ユニット101は基板ボックス140の2箇所にそれぞれ配設されている。ここでは、封印ユニット101は基板ボックス140の相対向する側面に設けられており、特に基板ボックス140が直方体形状である場合には短辺側の側面に設けられる。
図6に示すように、連結保持部材としての封印金具111は、ユニット部材120,130における各封印部材121,131を連結するためのものであり、ステンレス鋼材等の金属材料で構成されており、正面視略T字形の略板状体に形成されている。この封印金具111は、封印部材121に挿設される板部111aと、その板部111aに一体形成されるとともに後述する封印部材131に係合される頭部111bとを備えている。より詳しくは、板部111aは長方形状の板体となっており、頭部111bは板部111aの短辺一端側に一体に且つ当該短辺よりも幅広に形成されている。そして、頭部111bは板部111aの短辺に沿って延びる筒体となるように巻回されている。
図6に示すように、板部111aの中間位置は、反頭部111b側を残すようにしてチャンネル状(コ字状)に切欠かれている。この切欠きは横並びに一対施されている。これらの切欠きによって、頭部111b側を自由端、反頭部111a側を固定端とした板片が板部111aに一体形成されている。これら板片の自由端側を互い反対方向へ折り曲げることによって、板部111aの板面表裏にそれぞれ係止部としての係止爪111cが形成されている。両係止爪111cの具体的な折り曲げ形状は、特に図7から明らかなように、固定端を基準として板部111aから徐々に遠ざかりながら頭部111b側へ傾斜し、傾斜部分Tの先端から自由端側までは板部111aと略平行となる形状である。
両係止爪111cは、封印金具111の板部111aが封印部材131の挿入孔131bへ挿入され押し込まれた場合、傾斜部分Tを介して板部111a側へと徐々に弾性変形するとともに、封印金具111の先端部が封印部材121の挿入孔121b内へ挿入される。封印金具111を更に挿し込み続けると、両係止爪111cは、弾性的に復元して封印部材131の嵌合穴131c内に係止され、封印部材121の嵌合部121aと封印部材131の嵌合穴131cとにより形成された保持部Hに収納される(図7参照)。一方、封印金具111の頭部111bは、封印部材131の係合穴131aの側壁面に当接するとともに、係合穴131a内に保持されている。その結果、封印金具111を封印部材131内に取り外し不可能な状態で保持することができる。
更に、保持部Hに両係止爪111cが保持された封印金具111を押し込むと、両係止爪111cは、板部111a側へ徐々に弾性変形し、封印部材121の挿入孔121b内へ挿入され、その後、弾性的に復元して封印部材121の係止孔121c内に係止される。よって、封印部材121,131は封印金具111により取り外し不可能な状態で連結される(図8参照)。また、封印金具111は、それを取り外そうとした際に両係止爪111cの自由端部が同等に係止孔121c内上側面に当接するように形成されている。。
板部111aの先端には、略半球状の凸部111dが設けられている。その結果、封印金具111の先端部分の曲げ剛性が強化されるとともに、封印金具111の先端部が凸部111dにより案内され、封印金具111の板部111aの先端部分を後述する封印部材121,131の挿入孔121b,131bに容易に挿入することができる。また、封印金具111の頭部111bは、封印部材131の係合穴131aの側壁面に当接するとともに、係合穴131a内に保持されている。その結果、封印金具111を封印部材131内に取り外し不可能な状態で保持することができる。
図6に示すように、封印金具111の上端部には、その剛性を強化するために頭部111bが形成されている。この頭部111bは、中空状の略円柱体に形成されており、封印金具111を封印部材121,131の挿入孔121b,131bに挿入する場合、かかる頭部111bを押下することにより容易に封印金具111を挿入することができる。図8に示すように、頭部111bの外径は、封印部材131の係合穴131aの幅と比較して略等しく形成されており、係合穴131aに係合可能となっている。よって、封印金具111の両係止爪111cが係止孔121c内に係止され、その頭部111bが封印部材131の係合穴131aに係合された場合、封印部材121,131は封印金具111により取り外し不可能な状態で連結される。その結果、基板ボックス140は開封不可能な状態にて封印される。
ユニット部材120は、基板ボックス140のボックス本体141に配設され基板ボックス140を封印するためのものであり、ポリカーボネート樹脂等の耐衝撃性を有する合成樹脂材料で形成されている。このユニット部材120は、封印金具111が挿設される複数の封印部材121と、ユニット部材120をボックス本体141に取り付けるための取付部材122と、各封印部材121と取付部材122とを互いに連結するための連結部材123と、各封印部材121のそれぞれを互いに連結する複数の連結部材124と、各封印部材121の側面及び底面を覆い隠す被覆部材125(図5参照)とを備えている。なお、各封印部材121はそれぞれ略同一に構成されているので、以下、同一の部分には同一の番号を付してその説明は省略する。また、図6においては、各ユニット部材120,130の構成をわかりやすく説明するため、便宜上、前記被覆部材125を省略している。
図7に示すように、封印部材121は略円柱状に形成されており、その一部には連結部材123が固着され取付部材122に連結されている。この封印部材121は、略等間隔で取付部材122に計4個連結されており、各封印部材121の上端部分には、嵌合部121aが設けられている。嵌合部121aは、略円柱状に形成されており、その上側部分の外径は下側部分の外径と比較して小さくなるようにテーパが施されている。よって、嵌合部121aを後述する封印部材131の嵌合穴131cに容易に挿入して嵌合させることができる。嵌合部121aの上面には、長穴状の挿入孔121bが凹設されており、封印金具111の板部111aが挿入可能に形成されている。この挿入孔121bの開口部分には面取り部Cが形成されており、この面取り部Cにより封印金具111の板部111aおよび両係止爪111cが容易に挿入される。
嵌合部121aの壁面の一部から対向する壁面に向かって貫通するように、略矩形状の係止孔121cが設けられており(図6参照)、この係止孔121cは挿入孔121bと連通している(図7参照)。よって、挿入孔121bから封印金具111を挿入すると、封印金具111の両係止爪111cが封印部材121の係止孔121cにより係止され、封印金具111の抜き取り行為が防止される。また、嵌合部121aの外周には、嵌合溝121dが凹設されており、封印部材131のスカート部131dが嵌合可能となっている。この嵌合溝121dの開口部分の断面積は底部分の断面積と比較して大きくなるようにテーパが施されており、スカート部131dを容易に嵌合させることができる。また、嵌合溝121dにスカート部131dを嵌合させることにより、封印部材121,131の位置ズレが防止され、封印部材121と封印部材131とを確実に合致させることができる。
取付部材122は、封印ユニット101のユニット部材120をボックス本体141に取り付けるためのものであり、対向して配設された一対の板状体122a,122bと、その一対の板状体122a,122bを互いに連結する複数の連結部材122cと、板状体122bに配設された補強部材122dとを備えている。各板状体122a,122bは複数の連結部材122cにより連結されており、この複数の連結部材122cは計4箇所に配設されている。この各連結部材122cは、板状体122aの長手方向に略等間隔で配設された後述する複数の連結部材123に対応して配設されている。
よって、取付部材122のうち、連結部材123が固着されている部分の厚みは大きく形成され、その強度は強化されている。従って、連結部材123を切断して封印部材121を除去する場合、取付部材122の板状体122a,122bに損傷を与えることなく連結部材123を切断することができる。また、取付部材122における一対の板状体122a,122bの間には所定幅の間隙W1が形成されており、この一対の板状体122a,122bの間に形成された間隙W1は、ボックス本体141の側壁141aの板厚より大きく形成されている。
図9に示すように、ボックス本体141の側壁141aには、取付部材122の各連結部材122cに対応した略矩形状の係合溝141bが略等間隔で計4箇所に形成されている。この各係合溝141bには、各連結部材122cをそれぞれ係合させることができる。かかる係合により、ボックス本体141の側壁141aはユニット部材120の取付部材122における板状体122a,122bの間に挟み込まれ、図5に示すように、ユニット部材120がボックス本体141に取り付けられる。その結果、板状体122a,122bの間に挟み込まれた側壁141a部分の剛性を向上させることができるとともに、ボックス本体141の側壁141aに取り付けられたユニット部材120を外れ難くすることができる。
また、取付部材122の長手方向の両端部分には一対の取付孔122eが板状体122a,122bのそれぞれを貫通するように穿設されている(図6および図7参照)。ボックス本体141の側壁141aには、この取付部材122の一対の取付孔122eに対応して、一対の係合穴141cが穿設されている(図9参照)。よって、ユニット部材120の板状体122a,122bの間にボックス本体141の側壁141aを挟み込みつつ、ユニット部材120の取付部材122をボックス本体141の側壁141aに「かしめ」またはネジ止めにより固定することができる(図5および図6参照)。
図7に示すように、取付部材122の板状体122bには、略矩形状の係止穴122fが穿設されている。この係止穴122fには、ボックス本体141の側壁141a内側面に突設された係止爪141eが係止されており、ユニット部材120をボックス本体141の側壁141aに「仮止め」することができる。よって、ユニット部材120はボックス本体141に「仮止め」されているので、「かしめ」またはネジ止めによるユニット部材120の固定作業を容易に行うことができる。
補強部材122dは、封印ユニット101が配設された基板ボックス140の強度を補強するためのものであり、取付部材122の板状体122bにおける上部側面に一体に形成されている(図7中右側)。この補強部材122dは、後述するユニット部材130に形成された嵌合穴132dに嵌合可能な板状体で構成されており(図6参照)、かかる嵌合穴132dに嵌合することにより、ユニット部材120,130を互いに位置決めしつつ、封印ユニット101の配設された基板ボックス140の強度を補強することができる。
図6に示すように、連結部材123は、各封印部材121と取付部材122とをそれぞれ連結するためのものである。この連結部材123は、取付部材122の板状体122aの一側面に略等間隔で計4個配設されており、各連結部材123には封印部材121がそれぞれ固着されている。よって、計4個の各封印部材121が略等間隔で隣接して取付部材122と連結され、ユニット部材120が一体に形成されている。また、これらの隣接する各封印部材121は、連結部材124により互いに連結されて、一体に形成されている。また、封印部材121および取付部材122は連結部材123により連結されるので、封印部材121と取付部材122との間には、ニッパ等の工具の刃先が入り込むための間隔が形成される。よって、封印部材121を切断して除去する場合、ニッパ等の工具を用いて連結部材123を容易に切断することができる。
連結部材124は、隣り合う各封印部材121を連結して、ユニット部材120の強度を補強するためのものであり、略薄板状に形成されている。各連結部材124は、各封印部材121の外周面のうち連結部材123の固着側の反対部分に固着されており、各封印部材121のそれぞれを互いに連結してユニット部材120の強度を補強している。この各連結部材124の右端部分には、切り欠き124aが設けられており、かかる部分の剛性を低下させてある。よって、ニッパ等の工具を用いて連結部材124を切断する場合、切り欠き124aが設けられた部分を切断することにより、容易に連結部材124を切断することができる。また、切り欠き124aは、連結部材124のうち、先に使用される封印部材121側の端部分に設けられているので、連結部材124を切断する場合、未使用の封印部材121の損傷を防止することができる。
被覆部材125は、封印部材121,131の外部より孔を開け、封印金具111を抜き取ったりするのを防ぎ、不正に基盤ボックス140を開封するのを防止するために設けられたものである。被覆部材125は、4つ並んだ封印部材121,131の両端部側面を被覆するように形成された側面被覆部125aと、各封印部材121の底面部を被覆するように形成された底面被覆部125bと、各封印部材121,131の取付部材122,132とは反対側にあたる各封印部材121,131前面部を被覆するように形成された前面被覆部125cとで構成されている。側面被覆部125a、底面被覆部125bおよび前面被覆部125cはそれぞれ略板状体であるとともに、各板状体とも略平行に配設された複数枚、例えば3枚の板状体で構成されている。また、平行状態にある各板状体の間には所定の隙間が形成されている。なお、前記各被覆部125a〜125cはそれぞれポリカーボネート樹脂等の耐衝撃性を有する合成樹脂材料で形成されている。側面被覆部125aは、その板状面が前記両端部側面を向くように、取付部材122の板状体122aに固着されている。底面被覆部125bは、その板状面が各封印部材121の底面部を向くように、取付部材122の板状体122aに固着されている。さらに、側面被覆部125aと底面被覆部125bとは互いに交わる部分で固着されている。また、前面被覆部125cは、その板状面が各封印部材121,131前面部を向くように、側面被覆部125aおよび底面被覆部125bにそれぞれ固着されている。側面被覆部125aおよび前面被覆部125cの上端部は前記封印部材131の上端部と同等の高さに形成されている。なお、各封印部材121,131上面部は被覆部材125によって被覆されていない。つまり、被覆部材125は各封印部材121,131の上面部が被覆されないようにを上方に開口した状態で形成されている。
ユニット部材130は、封印金具111とユニット部材120とを介して、基板ボックス140を封印するためのものである。ユニット部材130は、ポリカーボネート樹脂等の耐衝撃性を有する合成樹脂材料で形成されており、基板ボックス140のボックス蓋体142の側壁142aに取り付けられている。このユニット部材130は、封印金具111が係合される封印部材131と、ユニット部材130をボックス蓋体142に取り付けるための取付部材132と、各封印部材131と取付部材132とを互いに連結するための連結部材133と、各封印部材131のそれぞれを互いに連結する複数の連結部材134とを備えている。なお、各封印部材131はそれぞれ略同一に構成されているので、以下、同一の部分には同一の番号を付してその説明は省略する。
図6に示すように、封印部材131は、略円柱状に形成されており、その一部には連結部材133が固着され取付部材132に連結されている。この封印部材131は、略等間隔で取付部材132に計4個連結されており、各封印部材131はユニット部材120の各封印部材121のそれぞれと対向する位置に取付部材132と一体に形成されている(図5参照)。また、各封印部材131は、封印金具111の頭部111bと係合される係合穴131aと、その係合穴131aに連通して穿設された挿入孔131bと、その挿入孔131bに連通して穿設された嵌合穴131cと、その嵌合穴131cの下方に設けられたスカート部131dとを備えている。
封印部材131の上面には、長穴状の係合穴131aが形成されており、封印金具111の頭部111bが嵌合可能になっている。また、図7に示すように、係合穴131aの下方には挿入孔131bが設けられている。この挿入孔131bの幅は封印金具111の頭部111bの外径と比較して小さく形成されているので、封印金具111の頭部111bは、挿入孔131bを通り抜けることができない。よって、封印金具111の頭部111bは、係合穴131a内に確実に係合される。
嵌合穴131cは、挿入孔131bの下方に連通して設けられており、封印部材120の嵌合部121aが嵌合可能になっている。この嵌合穴131cにはテーパが施されており、封印部材121の嵌合部121aを容易に挿入して嵌合することができる。また、嵌合穴131cの上壁面と封印部材121の嵌合部121aの上端面との間には、所定高さを有する保持部Hが形成されており、封印金具111の両係止爪111cが嵌合部121aの上端面により支持され保持されている。また、封印金具111の両係止爪111cが保持部Hに保持されると、封印金具111の頭部111bは、係合穴131a内に埋め込まれ、封印部材131の上面から突出することがない。よって、頭部111bを掴んで封印金具111を抜き取る不正行為や頭部111bが何かに引っ掛かり封印金具111が抜け落ちてしまうことを防止することができる。その結果、予備用(未使用)の封印金具111は、封印部材121と封印部材131とを連結することなく、封印部材131内に抜き取り不可能な状態で保持することができる。
スカート部131dは、封印部材131の下端面であって、嵌合穴131cの縁部分に周設されている。このスカート部131dは、封印部材121の嵌合溝121dに嵌合可能に形成されており、その外周壁にはテーパが施されている。よって、スカート部131dを嵌合溝121dへ容易に嵌合させることができる。
取付部材132は、封印ユニット101のユニット部材130をボックス蓋体142に取り付けるためのものであり、対向して配設された一対の板状体132a,132bと、その一対の板状体132a,132bを互いに連結する複数の連結部材132cと、板状体132bに配設された嵌合穴132dとを備えている。各板状体132a,132bは複数の連結部材132cにより連結されており、この複数の連結部材132cは計4箇所に配設されている。この各連結部材132cは、板状体132aの長手方向に略等間隔で配設された後述する複数の連結部材133に対応して配設されている。
よって、取付部材132のうち、連結部材133が固着されている部分の厚みは大きく形成され、その強度が強化されている。従って、連結部材133を切断して封印部材131を除去する場合、取付部材132の板状体132aに損傷を与えることがない。また、取付部材132における一対の板状体132a,132bの間には所定幅の間隙W2が形成されており、この一対の板状体132a,132bの間に形成された間隙W2は、ボックス蓋体142の側壁142aの板厚より大きく形成されている。
図9に示すように、ボックス蓋体142の側壁142aには、取付部材132の各連結部材132cに対応した略矩形状の係合溝142bが略等間隔で計4箇所に形成されており、この各係合溝142bは、ボックス本体141に形成された各係合溝141bに対向して側壁142aに形成されている。この係合溝142bには、取付部材132の各連結部材132cをそれぞれ係合させることができる。各係合溝142bに各連結部材132cを係合すると、ボックス蓋体142の側壁142aは、ユニット部材130の取付部材132における板状体132a,132bの間に挟み込まれ、図5に示すように、ユニット部材130がボックス蓋体142に取り付けられる。その結果、板状体132a,132bの間に挟み込まれた側壁142a部分の剛性を向上させることができるとともに、ボックス蓋体142の側壁142aに取り付けられたユニット部材130を外れ難くすることができる。
また、取付部材132の長手方向の両端部分には、一対の取付孔132eが板状体132a,132bのそれぞれを貫通して穿設ている(図6および図7参照)。ボックス蓋体142の側壁142aには、この取付部材132の一対の取付孔132eに対応して、一対の係合穴142cが穿設されている(図9参照)。よって、ユニット部材130の板状体132a,132bの間にボックス蓋体142の側壁142aを挟み込みつつ、取付部材132をボックス蓋体142の側壁142aに「かしめ」またはネジ止めにより固定することができる(図5および図6参照)。
図7に示すように、取付部材132の板状体132bには、略矩形状の係止穴132fが穿設されている。この係止穴132fには、ボックス蓋体142の側壁142a内側面に突設された係止爪142eが係止されており、ユニット部材130をボックス蓋体142の側壁142aに「仮止め」することができる。よって、ユニット部材130はボックス蓋体142に「仮止め」されているので、「かしめ」またはネジ止めによるユニット部材130の固定作業を容易に行うことができる。
なお、ボックス本体141とユニット120およびボックス蓋体142とユニット130は、それぞれ合成樹脂材料を使用して一体成形しても良い。
嵌合穴132dは、ユニット部材120の補強部材122dを嵌合しつつ、封印ユニット101が配設された基板ボックス140の強度を補強するためのものである。この嵌合穴132dは、ユニット部材120の補強部材122dが嵌合可能に穿設された上面視略矩形状の貫通穴であり(図6参照)、取付部材132の板状体132bにおける上部側面に突設されている(図8中右側)。この嵌合穴132dに補強部材122dを嵌合することにより、封印ユニット101、及び、その封印ユニット101が配設された基板ボックス140の剛性を大きくすることができる。
図6に示すように、連結部材133は、各封印部材131と取付部材132とをそれぞれ連結するためのものである。この連結部材133は、取付部材132の板状体132aの一側面に略等間隔で計4個配設されており、各連結部材133には封印部材131がそれぞれ固着されている。よって、計4個の各封印部材131が略等間隔で隣接して取付部材132に連結され、ユニット部材130が一体に形成されている。また、封印部材131および取付部材132は連結部材133により連結されるので、封印部材131と取付部材132との間には、ニッパ等の工具の刃先が入り込むための間隔が形成される。よって、封印部材131を切断して除去する場合、ニッパ等の工具を用いて連結部材133を容易に切断することができる。
連結部材134は、隣り合う各封印部材131を連結して、ユニット部材130の強度を補強するためのものであり、略薄板状に形成されている。各連結部材134は、各封印部材131の外周面のうち連結部材133の固着側の反対部分に固着されており、各封印部材131のそれぞれを互いに連結してユニット部材130の強度を補強している。この各連結部材134の右端部分には、切り欠き134aが設けられており、かかる部分の剛性を低下させてある。よって、ニッパ等の工具を用いて連結部材134を切断する場合、切り欠き134aが設けられた部分を切断することにより、容易に連結部材134を切断することができる。また、切り欠き134aは、連結部材134のうち、先に使用される封印部材131側の端部分に設けられているので、連結部材134を切断する場合、未使用の封印部材131の損傷を防止することができる。
この各連結部材134の上面には、「1」から「4」までの番号表示Kがそれぞれ表示されている。この各番号表示Kは、ユニット部材130の成形と同時に型枠を用いて形成されており、各一対の封印部材121,131が封印される順番を表している。よって、各封印部材121とそれに対向する各封印部材131とを「1」から「4」の各番号表示Kの順に封印金具111を用いて封印するとともに、「1」から「4」の番号表示Kの順に封印された一対の封印部材121,131をニッパ等の工具を用いて切断して除去することができる。
なお、この各番号表示Kを付す方法としては、「1」から「4」の数字を印刷した合成樹脂等のシート等を各封印部材121に貼付等したりしても良い。
次に、上述した基板ボックス140に取り付けられた封印ユニット101の使用方法について説明する。まず、ユニット部材120の各連結部材122cをボックス本体141の各係合溝141bに対応させて係合し、取付部材122の一対の板状体122a,122bの間にボックス本体141の側壁141aを挟み込むようにして、取付部材122を側壁141aに填め込む。その後、取付部材122の板状体122bに設けられた係止穴122fがボックス本体141の係止爪141eにより係止されるまで填め込み、ユニット部材120をボックス本体141に「仮止め」して、取付孔122eおよび係合穴141cを「かしめ」またはネジ止めにより固定する。
また、同様に、ボックス蓋体142の各係合溝142bにユニット部材130の各連結部材132cを対応させて係合し、取付部材132の一対の板状体132a,132bの間にボックス蓋体142の側壁142aを挟み込むようにして、取付部材132を側壁142aに填め込む。その後、取付部材132の板状体132bに設けられた係止穴132fがボックス蓋体142の係止爪142eにより係止されるまで填め込み、ユニット部材130をボックス蓋体142に「仮止め」して、取付孔132eおよび係合穴142cを「かしめ」またはネジ止めにより固定する。
このようにして、ユニット部材120,130をそれぞれ2個ずつボックス本体141およびボックス蓋体142に固定する。
その後、ボックス本体141内に制御基板を配設して固定した後、ユニット部材120,130の各封印部材121,131を対向させて、ボックス本体141にボックス蓋体142を被せ、各封印部材121の嵌合部121aを各封印部材131の嵌合穴131cに嵌合するとともに、各封印部材131のスカート部131dを各封印部材121の嵌合溝121dに嵌合する。そして、計4個の各封印部材131の係合穴131aおよび挿入孔131b内に封印金具111をそれぞれ挿入して、その頭部111bを押下し封印金具111を封印部材131内に押し込む。
封印金具111が押し込まれると、封印金具111の両係止爪111cは、傾斜部分Tを介して板部111a側へ徐々に弾性変形する。更に、封印金具111を挿入し続けると、両係止爪111cが弾性的に復元し、その両係止爪111cは、嵌合穴131c内に係止されるとともに保持部Hに保持される。よって、各封印金具111を封印部材131内に抜き取り不可能な状態で保持することができるとともに、封印金具111の紛失を防止することができる(図7参照)。
各封印部材131内に各封印金具111を保持した後、各封印ユニット101の封印部材131うち、「1」の番号表示Kの付された連結部材124の左端部が固着されているもの(図5中右側)に挿入された封印金具111の頭部111bを押下して、その封印金具111を更に押し込む。封印金具111が押し込まれると、封印金具111の両係止爪111cは、傾斜部分Tおよび挿入孔121bの面取り部Cを介して板部111a側へ徐々に弾性変形する。封印金具111を挿入し続けると、両係止爪111cが弾性的に復元して、両係止爪111cが封印部材121の係止孔121c内に係止され、封印金具111が封印部材121内にて抜き取り不可能な状態で保持される。一方、封印金具111の頭部111bは、封印部材131の係合穴131a内に係合される。
その結果、封印金具111は、封印部材121内から抜き取り不可能となり、更に、封印金具111の頭部111bは、封印部材131の係合穴131aに係合されているので、基板ボックス140のボックス本体141とボックス蓋体142とが開封不可能に連結され、基板ボックス140を確実に封印することができる(図8参照)。
また、封印部材121,131の側面又は底面から孔を開けて封印金具111の両係止爪111cを弾性変形させ、封印金具111を抜き取る等の不正行為を行おうとした場合、被覆部材125が封印部材121,131の周囲に設けられているため、被覆部材125の表面上から孔を開けなければならなくなり、孔を開けた痕跡がより発見し易くなる。又、封印金具111までの間に複数の壁が存在することやその壁によって被覆部材125の表面上から封印金具111まで距離が長くなることで、棒状のものを封印金具111の位置まで差し込んで、両係止爪111cを弾性変形させるには、その力を加えるための支点が定まりにくく、上記不正行為を行い難くなる。
さらに、本実施の形態における封印金具111には、その両側面に1個ずつ両係止爪111cが形成されている。このため、封印金具111を抜き取るには、両側面の両係止爪111cを同時に押さえつけなければない。しかし、上記被覆部材125の表面上から両係止爪111cを同時に押さえつけるのは、非常に困難となる。その結果、上記不正行為をさらに行い難くなる。
よって、基板ボックス140に被包された制御基板上の制御用ROM等を不適法に取り外して、パチンコ機の遊技内容を変更する不正行為を防止することができる。また、封印部材121,131を破壊、切断等すれば基板ボックス140を開封することができるが、その場合には、基板ボックス140が開封された痕跡を確実に残すことができる。即ち、不正行為が行われたか否かを即座に発見することができる。
基板ボックス140を開封する場合には、少なくとも、連結部材133および「2」の番号表示Kが付された連結部材134をニッパ等により切断するか、又は、連結部材123および連結部材124をニッパ等により切断する必要がある。即ち、少なくとも連結部材123,124または連結部材133,134をそれぞれ切断しなければ、基板ボックス140を開封することができない。よって、不正行為を行った者が、基板ボックス140を開封して制御基板に不正改造等の不正行為を行った後、その不正行為を隠蔽する場合には、連結部材123,124または連結部材133,134の各切断部分のそれぞれに接着剤等を塗布し、かかる複数の切断部分をそれぞれ再接合する必要がある。また、複数の切断部分を再接合して、切断の痕跡を隠蔽することは容易ではない。従って、不正行為の隠蔽を確実に行うことができないので、不正行為が早期に発見されるとともに、かかる不正行為を抑制することができる。
次に、この封印状態にある基板ボックス140から制御回路基板上の制御用ROMを取り外して検査する方法について説明する。封印金具111の頭部111bは封印部材131の係合穴131aに係合され、封印金具111の両係止爪111cは封印部材121の係止孔121c内に抜き取り不可能な状態で保持されているので、基板ボックス140内の制御回路基板を適法に検査する場合、ボックス本体141からボックス蓋体142を外して、基板ボックス140を開封することができない。かかる場合、封印金具111により封印されている封印部材121,131と取付部材122,132とを連結している連結部材123,133をニッパ等の工具を用いて切断するとともに、封印されている封印部材121,131と他の封印部材121,131とを連結する連結部材124,134の切り欠き124a,134aの部分を切断する。
このようにして、連結部材123,124,133,134を切断することにより、基板ボックス140の封印が解除され、ボックス本体141からボックス蓋体142を外すことができる。そして、制御用ROM等の検査終了後、基板管理番号シール161の検査履歴161dに所定の事項を記載して、ボックス本体141にボックス蓋体142を被せて、未使用の一対の封印部材121,131に保持されている封印金具111を押し込むことにより、かかる封印部材121,131を連結して、基板ボックス140を再度封印する。
尚、本実施の形態では、各封印ユニット101に、封印部材121,131が各4個ずつ計4組設けられているので、最大3回まで基板ボックス140の封印を解除して開封することができる。また、止むを得ず全ての封印部材121,131を切断して排除した場合には、ユニット部材120,130をボックス本体141およびボックス蓋体142に固定する「かしめ」またはねじ止めを取り付り外し、新たなに封印ユニット101のユニット部材120,130をボックス本体141およびボックス蓋体142に取り付ければよい。
以上説明したように、不正防止のための封印処理及び不正発見のための封印処理が、主基板51の基板ボックス140Aに施されるばかりか、同様の封印処理が払出制御基板52の基板ボックス140Bに対しても施されることにより、大当り等の不正処理に直接関わらないような遊技球Bの不正な払出を防止することができる。
また、主基板51の基板ボックス140Aに施される封印処理構成と払出制御基板52の基板ボックス140Bに施される封印処理構成とを同一のものとしたことによって、封印処理構成のための製造が複雑化するのを防止することも可能となる。
尚、上述した実施の形態の記載内容に限定されることなく、例えば次のように実施してもよい。
図11に示すように、払出制御基板52のうち、主基板51がチェックをしていない貸出球払出処理回路部72のみを基板ボックス140Bに納めて封印するようにしてもよい。これは、そもそも払出制御基板52上では景品球払出処理回路部71と貸出球払出処理回路部72とは個別分離して処理が行われるものであるため、回路上の完全な分割が可能であり、不正を主基板51が発見できない貸出球払出処理回路部72のみを封印すればよいという理由に基づくものである。この場合、基板ボックス140Bが必要箇所だけに設けられる点で合理的である。
図12に示すように、払出制御基板52を細分化、即ち景品球払出制御基板52Aと貸出球払出制御基板52Bとに分割し、貸出球払出制御基板52A側にのみ基板ボックス140Bを設けて封印するようにしてもよい。これも、そもそも払出制御基板52上では景品球払出処理回路部71と貸出球払出処理回路部72とは個別分離して処理が行われるものであるため、回路上の完全な分割が可能であり、不正を主基板51が発見できない貸出球払出処理回路部72のみを封印すればよいという理由に基づくものである。この場合、景品球払出制御基板52Aと貸出球払出制御基板52Bとの分割によって、例えばカードを用いないパチンコ機への適用についても貸出球払出制御基板52Bを設けないというだけで対応可能であるという利点がある。
上記実施の形態では、主基板51側の基板ボックス140Aと払出制御基板52の基板ボックス140Bとで封印処理構成を同一化して製作容易性を確保したが、これよりも不正防止等を重視する観点では、基板ボックス140Aと基板ボックス140Bとで封印処理構成を全く別のものとしてもよい。
上記実施の形態では、主基板51側の基板ボックス140Aと払出制御基板52の基板ボックス140Bとで両者とも正規な方式により封印解除可能となっていたが、主基板51側では検査が行われる必要性からその点は必要である一方、払出制御基板52側では検査が不要とも考えられるため、払出制御基板52側では完全に封止して基板ボックス140Bを開放不能にしてもよい。
上記実施の形態では、被覆部材125は、4つの封印部材121,131を被覆する側面被覆部125a、底面被覆部125bおよび前面被覆部125cによって構成されていたが、4つの封印部材121,131の両端に1つずつ封印部材121,131を設け、その封印部材121,131を前記側面被覆部125aの代わりとし、被覆部材125を底面被覆部125bおよび前面被覆部125cのみの構成としてもよい。また、被覆部材125は、側面被覆部125a、底面被覆部125bおよび前面被覆部125cにより構成されているが、各部を一体化して形成することとしてもよい。さらに、被覆部材125(側面被覆部125a、底面被覆部125bおよび前面被覆部125c)は、3枚の板状体で構成されているが、1枚以上であれば何枚でもよい。但し、各板状体の厚さに関わらず、可能な限り板状体数を増やした方が、上記不正行為を防止する効果を高めることができる。また、形成材料は樹脂でなくとも、金属等容易に細工するのが難しいものであれば何でもよい。また、各板状体表面に凹凸部を設けてもよい。又は、内部に気泡等の空間部を設けてもよい。このようにすれば、被覆部材125に孔を開ける等の不正行為を行うに際して、直線的に孔を開けることが容易にはできなくなり、不正を防止できる。また、本実施の形態において、封印金具111は略板状体の形状のものを使用したが、これに限らず略棒形状等の封印金具を使用することとしてもよい。また、封印部材121,131を連結し基板ボックス140を封印するための部材として、封印金具111を使用したが、かかる部材は、これに限られるものではなく、封印ねじ等を使用しても良い。また、封印金具は金具でなくとも、例えば樹脂等の封印部材121,131を連結できるものであれば、何でもよい。また、本実施の形態における基板ボックス封印ユニットとしての封印ユニット101は基板ボックス140と別々に構成されていたが、これを一体として基板ボックス封印ユニットとしてもよい。また、被覆部材125のみをボックス本体141からボックス蓋体142に配設して、封印部材121,131を被覆する構成としてもよい。また、ボックス本体141とボックス蓋体142とに跨る封印シール(剥がすと痕跡が残る性質を有するシール)を貼付することによって不正を容易に発見できるようにしてもよい。以上のように、封印の構成としては各種考えられ、以上例示したもののいずれかに限定されるものではない。
上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等として実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当り図柄が表示された後に所定の領域に遊技球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機等の各種遊技機として実施することも可能である。なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、遊技球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく、所定量の遊技球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して或いは所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の遊技球が払い出されるものである。
上記実施の形態では、パチンコ機として非封入式のものを例に挙げて説明したが、封入式パチンコ機等の封入式遊技機として構成してもよい。即ち、遊技球B等の遊技媒体を直接遊技者の手元に払い出す方式とせず、遊技球B等の遊技媒体を封入して構成する。そして、メダル、カード(記録媒体)等の投資媒体をもとに、その投資媒体の価値に応じて、封入された遊技媒体での遊技を可能とするものである。一方、入賞等によって遊技媒体を遊技者に返還する際には、カード(記録媒体)に景品価値を記録したり、メダル等の景品価値を返還するようにして、更なる遊技の続行を可能ならしめるというものである。このような封入式遊技機にあっては、遊技球B等の遊技媒体を実際に遊技者に払い出す等の工程をなくすことができる。そして、封入式遊技機にあっては、上記実施の形態に示したような景品球払出装置65及び貸出球払出装置66に代えて、払出装置として仮想媒体払出装置(現実に遊技者に払い出すのではなく、有効な媒体価値を記憶し遊技者に知らしめるべく表示する機能と、遊技の進行に伴い増減する有効な媒体価値を書換記憶する機能とを備える)を設け、また、前記払出制御基板52はその仮想媒体払出装置を制御する機能を有することとなる。勿論、この場合は仮想媒体払出装置の機能の一部は払出制御基板52が担うこととなる。