JP5207222B2 - ロイシンリッチリピート(lrr)配列等反復配列を利用したタンパク質の作製方法 - Google Patents
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Description
この病原菌認識に関わる遺伝子は、一般に植物の抵抗性遺伝子(耐病性抵抗遺伝子)と呼ばれる。かかる植物の抵抗性遺伝子は、これまでに数多く報告されており、その大半はロイシン残基に富んだリピート構造であるロイシンリッチリピート配列を有するタンパク質をコードすること知られている。
このウイルス・バクテリアの認識に関わる遺伝子には、植物抵抗性遺伝子と類似したロイシンリッチリピート配列を含んだ構造もある。このため、病原菌認識は、このロイシンリッチリピート配列を含む遺伝子がウイルス由来二本鎖RNA又はバクテリア由来核酸(メチル化の違いを認識している)を直接ロイシンリッチリピート配列に結合させることにより行われると考えられている。
この仮説によれば、植物抵抗性遺伝子は、認識を司るロイシンリッチリピート配列の進化速度が病原体の進化に間に合わず、その他宿主因子の多様性をも巻き込んだ「複合体」として認識を担っている。
このことは、多様なタンパク質を認識するために選択圧が働いていることを示している。
植物抵抗性遺伝子もオルソログ・パラログ遺伝子の相同領域を介したファミリー間シャッフリングが行われており、病原菌認識に関わる遺伝子領域の特定などに威力を発揮している(例えば、非特許文献8参照)。
かかる発明は、典型的なロイシンリッチリピート配列基本骨格を固定位置と設定し、それ以外の無作為化位置において人工的に変異を加え、多様性を導くものである。
また、上記特許文献1においては、実施例では動物のRNase inhibitorを元にした新規毒素阻害タンパク質の作製方法を述べているが、LRR部分の作製方法は効率の悪いものである。
そして、本発明者等は、以下の各ステップを施すことにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
L 1 XXL 2 XXL 3 XL 4 X
(1)
XIPXXL 5 XXL 6 XXL 7 XXL 8 DL 9 XXNXL 10 TG
(2)
[式(1)中、L 1 はロイシンを示し、L 2 、L 3 及びL 4 の中の少なくとも1つはロイシンを示し、その他のL 2 、L 3 又はL 4 、及びXはアミノ酸を示す。式(2)中、L 5 〜L 10 のうちの少なくとも2つはロイシンを示し、I、P、L、D、N、T及びGの少なくとも3つ以上は、Iがイソロイシン、Pがプロリン、Lがロイシン、Dがアスパラギン酸、Nがアスパラギン、Tがスレオニン、Gがグリシンを示す。なお、上記以外のL 5 〜L 10 、I、P、L、D、N、T、G、及びXはアミノ酸を示す。]
vitroウイルス法を用いる上記(5)記載のタンパク質の作製方法に存する。
GYFMELKNRSMILPFQQSGSSRKSIDSCKVHDLMRDIAISKSTEENLVFRVEEGCSARD
の配列を有し、C末端キャップユニットが、
LEFLQNINEVQLSVWFPTDHDRIRAARAAGADYETAWEEEVQEARRKGGELKRKIREQLARNPNQPIIT
の配列を有する上記(1)記載のタンパク質の作製方法に存する。
また、この場合、ロイシンが反復配列の共通部位に存在して疎水結合により反復単位の安定化に寄与し、かつこの疎水性部分が反復配列の相互スタッキングを促すので、分子認識部位となる窪みを持ったタンパク質を形成しやすい。
なお、上記選抜ステップにおいては、bacteria twohybrid法、yeast twohybrid法、ファージディスプレイ法又はin vitroウイルス法を用いることが好ましい。
本実施形態に係る新規タンパク質の作製方法は、LRR配列を有する遺伝子のLRR領域を、遺伝子のアミノ酸配列及び/又は塩基配列情報に基づいて、共通の部位にロイシンを含むように複数の反復配列ユニットを作製する作製ステップと、反復配列ユニットそれぞれにプライマーを設計して、PCR増幅により反復配列ユニット遺伝子とする増幅ステップと、反復配列ユニット遺伝子をランダムに重合させ重合ユニットとする重合ステップと、重合ユニットを増幅する重合体増幅ステップと、所定のN末端キャップユニット及びC末端キャップユニットをベクターに組み込んでライブラリーを作製する組み込みステップと、新規タンパク質の中から任意の分子又はタンパク質と相互作用する新規タンパク質を選抜する選抜ステップと、Error−prone PCR等による機能改良ステップと、を備える。
なお、反復配列の長さやロイシンの繰り返し位置は限定されない。
また、上記N末端キャップユニットとは、LRR配列のN末側に隣接した配列であり、必ずしも長さや配列の特徴など無いが、通常反復ユニットの2−3倍以内程度のそれより上流の機能ドメイン等に干渉しない部分をLRR配列のシャフリングの際の不変部分として用いるものを意味し、C末端キャップユニットとは、同様にLRRのC末側に隣接した適当な長さの配列を意味する。
さらに、本発明の新規タンパク質には、任意のターゲット分子ないしはタンパク質に強く相互作用をする新規ターゲット結合タンパク質、及び、任意のターゲット分子ないしはタンパク質を分子レベルで認識する機能を有する分子認識タンパク質が含まれる。
このことにより、上記新規タンパク質の作製方法によれば、様々な病原菌又は突然変異で進化した新たな病原菌に対して、十分に病原菌認識するタンパク質を作製することが可能となる。
作製ステップは、LRR配列を有する遺伝子のLRR領域を、前記遺伝子のアミノ酸配列及び/又は塩基配列情報に基づいて、共通の部位にロイシンを含むように複数の反復配列ユニットを作製するステップである。
ここで、上記N末端側領域とは、LRR領域よりN末側にあるタンパク質の領域を意味し、C末端側領域とは、LRR領域よりC末側にあるタンパク質の領域を意味する。
なお、この作製ステップにおいて、特に重要なのは、このLRRを構成する各反復配列ユニットのアミノ酸配列を、一定の位置にロイシンの繰り返し単位が認められるように切り分けることである。
なお、上記のN末端キャップユニット及びC末端キャップユニットは、N末端側領域、C末端側領域のうちLRR領域に隣接した小部分である。
この場合、病原菌認識するタンパク質を確実に作製することができる。
具体的には、その機能と構造が確認されたものとしてアラビドプシス(RPS2, RPM1, RPP8, RRS1, FLS2, RPW8, CLAVATA1, BRI1, SEK1)、イネ(Pi-ta, Pib, Xa21)、トマト(Cf2, Cf4, Cf5, Cf9, Prf, Ve1)レタス(Dm3)、オオムギ(MLA6, MLA13, Rpg1)、メリステム形成に関わるCLAVATA1、ブラシノステロイド受容体のBRI1等が挙げられる。
特に植物の細胞内に注入される細菌毒素やその他の分子であることが好ましい。
なお、植物以外の病原菌としては、ヒトや動物のガン細胞や病原菌の特異的構成分子、毒素等が挙げられる。
例えば、LRR配列を有しない部位をN末端側領域及びC末端側領域とすればよい。
なお、遺伝子機能として重要な部位があるときは、かかる部位をN末端側領域又はC末端側領域に含めることが好ましい。
これにより、重要な遺伝子機能を保存したまま、多様なタンパク質を作製することができる。
こうして得られる複数の反復配列ユニットは、共通の部位にロイシンを含むものとなる。
この場合、ロイシンが反復配列ユニットの共通部位に存在して疎水結合により反復単位の安定化に寄与し、かつこの疎水性部分が反復配列の相互スタッキングを促すので、分子認識部位となる窪みを持ったタンパク質を形成しやすくなる。
L1XXL2XXL3XL4X (1)
式(1)中、L1はロイシンを示し、L2、L3及びL4の中の少なくとも1つはロイシンを示し、その他のL2、L3又はL4、及びXはアミノ酸を示す。なお、C末端側のアミノ酸数は反復配列ユニット毎に異なっている。
XIPXXL5XXL6XXL7XXL8DL9XXNXL10TG (2)
式(2)中、L5〜L10のうちの少なくとも2つはロイシンを示し、I、P、L、D、N、T及びGの少なくとも3つ以上は、Iがイソロイシン、Pがプロリン、Lがロイシン、Dがアスパラギン酸、Nがアスパラギン、Tがスレオニン、Gがグリシンを示す。なお、上記以外のL5〜L10、I、P、L、D、N、T、G、及びXはアミノ酸を示す。
この場合、病原菌認識する多様なタンパク質を確実に作製することが可能となる。
この場合、病原菌認識に対応することが可能である。
この場合、病原菌認識に対応することが可能である。
増幅ステップは、反復配列ユニットそれぞれにプライマーを設計して、PCR増幅により反復配列ユニット遺伝子とするステップである。
これにより、II型制限酵素処理によって共通した「のりしろ」が生じるので、後述する重合ステップが容易に行われる。
重合ステップは、反復配列ユニットを増幅して得られる反復配列ユニット遺伝子をランダムに重合させ重合ユニットとするステップである。
したがって、これにより複数の重合ユニットをシャッフルすることが可能となる。
かかるライゲースとしては、T4 DNA ligase等の公知のものが挙げられる。
具体的には、RACHITT法(Random Chimeragenesis on Transient Templates)、CLERY法(Combinatorial Libraries Enhanced by Recombination in Yeast)、SHIPREC法(Sequence Homology Independent Protein Recombination)等が挙げられる。
また、それら遺伝子の合成においてスプリット合成法、パラレル合成法、混合物合成法、LPCS、マルチピン法、チップ合成法等のリコンビナントケミストリー技術を組み合わせることで自動化技術に対応することができる。
組み込みステップは、反復配列ユニット遺伝子をランダムに重合させ重合ユニットとする重合ステップと、重合ユニット、所定のN末端キャップユニット及びC末端キャップユニットをベクターに組み込んでライブラリーを作製するステップである。
そして、ライブラリーから任意に選択された重合ユニット、N末端キャップユニット、及び、C末端キャップユニットを、N末端キャップユニット及びC末端キャップユニットが両端に位置するようにベクターに組み込み新規タンパク質が得られる。
の配列等が挙げられ、上記C末端キャップユニットとしては、特に限定されず、例えば、Pibタンパク質ではLRRに隣接する
LEFLQNINEVQLSVWFPTDHDRIRAARAAGADYETAWEEEVQEARRKGGELKRKIREQLARNPNQPIIT
の配列等が挙げられる。
選抜ステップは、新規タンパク質の中から病原菌認識の対象となる分子又はタンパク質と相互作用する新規タンパク質を選抜するステップである。
選抜ステップを行うことにより、病原菌認識に一層優れたタンパク質を選抜することができる。
これらの中でも、酵母Two-Hybrid法、バクテリアTwo-Hybrid法、ファージディスプレイ法又はin vitroウイルス法を用いることが好ましい。
機能改良ステップは、Error−prone PCRを行うステップである。
ここで、Error−prone PCRとは、突然変異を導入する方法であり、Leung等により確立されている方法である(Leung, D.W., et al., (1989) J. Methods Cell Mol. Biol., 1, 11-15)。
この場合、約1%程度の塩基置換を加えることができる。なお、マンガンイオンの濃度が0.4mMを超えるとスメアになるおそれがある。
よって、この場合、病原菌認識により一層優れたタンパク質に改良することができる。
また、上記病原菌が突然変異等で進化し新たな病原菌となった場合であっても、LRR配列を有する複数種類の新規タンパク質を選抜することにより、自然界において偶然生じた非病原力遺伝子産物と植物抵抗性遺伝子との組み合わせと比較して、進化した病原菌の病原菌認識により十分に優れるものとなる。
すなわち、上記新規タンパク質は、病原菌が突然変異等で進化し新たな病原菌となった場合であっても、自然界において偶然生じた非病原力遺伝子産物と植物抵抗性遺伝子との組み合わせと比較して、進化した病原菌の病原菌認識に十分に対応することが可能である。
さらに、上記新規タンパク質は、がん治療におけるピンポイントターゲット投薬等の多様な用途に用いることができる。
なお、かかるピンポイントターゲット投薬には従来、動物免疫を司るイムノグロブリンが主に用いられているが、システイン残基による立体構造を維持する必要があり、細胞内環境によっては十分な効果を発揮できない場合がある。
なお、本発明の遺伝子は、上述した新規タンパク質をコードするものであるため、上述したのと同様な効果が得られる。
すなわち、本発明のタンパク質の作製方法は、少なくとも作製ステップ、増幅ステップ、重合ステップ及び組み込みステップを備えていればよい。
(作製ステップ)
(1)LRR配列を有する遺伝子
植物病原菌認識に関わるLRR配列を有する遺伝子として、Wang等(1999 Plant Journal, 19, 55-64)らによって単離されたイネいもち病菌非病原力遺伝子avrPib保有菌株に対する抵抗性遺伝子Pib(イネ品種シモキタ由来)を用いた。
Pibはロイシンに富んだ領域が認められるが、アミノ酸残基の基本骨格があまり保存されていない。そこで、LRR配列の基本骨格である上記式(1)に示すL1XXL2XXL3XL4Xを参考にしてLRR配列の再構築を試みた。
そして、LRR領域の保存されたロイシン残基の境界を設定した。図1に植物抵抗性遺伝子Pibの遺伝子構造を切断して得られるN末端キャップユニット、C末端キャップユニット及び反復配列ユニットのアミノ酸配列を示す。
なお、反復配列ユニット6にシステインに富んだアイランド領域を設定することにより、基本骨格の保たれたLRR配列を設計することができた。
(3)プライマー合成
次に、抵抗性遺伝子Pibを、図1に示すように、N末端キャップユニット(配列番号1)、C末端キャップユニット(配列番号16)、及び反復配列ユニット1〜14(配列番号2〜15)に、各反復配列ユニットが共通の部位にロイシンを含むようにして、プライマーを合成した。
すなわち、それぞれの反復配列ユニット1〜14を増幅できるように両端にプライマーを設計し、ロイシンをコードする塩基コドンがのりしろとなるようにした。
また、N末端キャップユニット及びC末端キャップユニットは、遺伝子機能として重要である可能性が考えられたため、固定した。
さらに、ライブラリーをベクターにクローニングしやすいように、N末端キャップユニットには5'末端側にBamHI部位ではなくEagI部位を、C末端キャップユニットには3'末端側にBglII部位ではなくXhoI部位をそれぞれ付加させた。
Pibをクローニングしたプラスミドを鋳型とし、それぞれの反復配列ユニットを増幅するプライマーセットを用いて個々の反復配列ユニット1〜14をPCR増幅させた。
それぞれの反復配列ユニット1〜14はエタノール沈殿処理で精製し、制限酵素BamHI、BglII同時処理にてのりしろを作製した。
さらに、酵素処理したサンプルを電気泳動しゲル回収を行うことにより、両端から切り出された核酸小断片を除去した
(5)新規タンパク質の作製
このようにして得られたそれぞれの反復配列ユニット1〜14をライブラリーの出発材料として用いた。
そして、個々の反復配列ユニット1〜14を混合し、T4 DNA Ligase、T4 DNA Ligase Buffer、制限酵素バッファー、BamHI、BglIIを添加して25℃にて6時間インキュベーションした。反応後、70℃10分間反応させ酵素活性を失活させ、電気泳動後にゲル回収を行い重合の進んだ遺伝子断片を選抜した。
図3は、図1に示す複数の重合ユニットをシャッフルし、両端にN末端キャップユニット及びC末端キャップユニットを組み込むことにより新規タンパク質を作製する組み込みステップを示す図である。
なお、図3中、N末端キャップユニットは「5'U」と、C末端キャップユニットは「3'U」と、重合ユニット1〜14は単に「1」〜「14」と示す。
図3に示すように、目的とする複数個以上の重合ユニットが組み込まれた新規タンパク質A〜F(配列番号19〜24)を得た。
(作製ステップ)
(1)LRR配列を有する遺伝子
動物の病原菌認識に関わるLRR配列を有する遺伝子として、既報の原著論文Gomez-Gomez L. and Boller T. (2000) Molecular Cell, 5, 1003-1011を参照して、アラビドプシスのエコタイプWs3のゲノミックDNAからPCR法により単離したバクテリアのフラジェリンを認識する抵抗性遺伝子FLS2を用いた。
FLS2はロイシン及びその他のアミノ酸残基の骨格がきれいに保存された24アミノ酸で構成された典型的なロイシンリッチリピート構造を取っている。
そして、LRR領域の保存されたロイシン残基の境界を設定した。
(3)プライマー合成
次に、抵抗性遺伝子FLS2を、N末端キャップユニット(配列番号17)、C末端キャップユニット(配列番号18)、及び反復配列ユニットに、各反復配列ユニットが共通の部位にロイシンを含むようにして、プライマーを合成した。
すなわち、それぞれの反復配列ユニットを増幅できるように両端にプライマーを設計し、イソロイシンをコードする塩基コドンがのりしろとなるようにした。
また、N末端キャップユニット及びC末端キャップユニットは、遺伝子機能として重要である可能性が考えられたため、固定した。
さらに、ライブラリーをベクターにクローニングしやすいように、N末端キャップユニットにおいては5'末端側にはBamHI部位ではなくEagI部位を、C末端キャップユニットにおいては3'末端側にはBglII部位ではなくEcoRI部位をそれぞれ付加させた。
FLS2をクローニングしたプラスミドを鋳型とし、それぞれの反復配列ユニットを増幅するプライマーセットを用いて個々の反復配列ユニットをPCR増幅させた。
それぞれの反復配列ユニットはエタノール沈殿処理で精製し、制限酵素BamHI、BglII同時処理にてのりしろを作製した。
さらに、酵素処理したサンプルを電気泳動しゲル回収を行うことにより、両端から切り出された核酸小断片を除去した。
(5)新規タンパク質の作製
このようにして得られたそれぞれの反復配列ユニットをライブラリーの出発材料として用いた。
実施例1と同様にして、複数の重合ユニットとし、該重合ユニットをシャッフルし、両端にN末端キャップユニット及びC末端キャップユニットを組み込むことにより新規タンパク質を作製した。
(選抜ステップ)
次に、実施例1で得られたそれぞれの新規タンパク質A〜Fとバクテリアとの相互作用をTwo-hybrid法にて評価した(図4参照)。
図4に示すTwo-hybrid法は、タンパク質間相互作用を調べる手法である。
本実施例においては、生物種として大腸菌を用い、ベイトとしてRice Dwarf Virusの第8分節、又はいもち病菌の感染時に発現が増強されることが確認されているハイドロフォービンMPG1(Magnaporthe oryzae)を用い、これらをターゲットタンパクとした。また、プレイとして新規タンパク質A〜Fなどに示したようなシャッフリングライブラリー遺伝子配列を用いた。
そして、MPG1を発現する大腸菌系統を材料としてエレクトロポレーション用のコンピテントセルを作製した。Rice Dwarf Virusの第8分節においても同様な操作を行った。
次いで、pTRGへクローニングされたライブラリーをコンピテントセルへ導入し3-AT含有選択培地から生育する陽性クローンを観察した。
なお、図5の(a)及び(b)中、YTHはStratagene社酵母Two-hybridシステム添付のポジティブコントロールで用いられている遺伝子配列を導入したクローンを意味し、BTHは既知のタンパク質(Stratagene社バクテリアTwo-Hybridシステム添付のコントロール実験で用いられている遺伝子配列を導入したクローンを意味し、LBAは完全培地を意味し、M9 3−ATは3-AT試薬添加最小培地を意味し、Wtは野生型遺伝子(相互作用を示す)の組み合わせを意味し、Mutは変異型遺伝子(相互作用を示さない)の組み合わせを意味し、Posiは相互作用を示すGal4遺伝子の組み合わせを意味し、Negaはベクター単独処理を意味する。
図5に示すように、バクテリアにおけるTwo−hybrid法において、酵母Two−hybrid法で用いられているポジティブクローンも機能することがわかった。
また、図6は、図5において示した各クローンの生育速度を示した図である。
この他にFLS2ライブラリーからも2クローンが好適に病原菌を認識した。
図7に示すように、選択培地上における陽性クローンの生育速度は既知のBTH用ポジティブコントロールにおける生育速度と比較すると遅いものであった。
選択培地における生育速度はTwo−hybridシステムの結合強度を反映していると考えられている。
このことにより、本発明の新規ターゲット結合タンパク質とターゲットタンパク質(MPG1)との相互作用力は弱いものと考えられる。
図8に新規タンパク質Fの遺伝子断片を示す。
(機能改良ステップ)
次に、MPG1と相互作用した陽性クローンプラスミドを回収し、N末端キャップユニットのフォワードプライマーとC末端キャップユニットのリバースプライマーとを用いてError−prone PCR法によって塩基置換を加えた。
Error−prone PCR法は、Takara rTaq polymeraseを用い、0.25 mMマンガンイオンを添加することで、約1%程度の塩基置換を加えることができた(図9参照)。
得られた結果を図10及び図11に示す。
図10及び図11中、P−6はPibライブラリー由来陽性クローンプラスミドを意味し、P−6−1はP−6プラスミドのError−prone派生遺伝子の一つを意味し、P−6−2はP−6プラスミドのError−prone派生遺伝子の一つを意味し、E1はP−6−1及びP−6−2プラスミドのError−prone派生遺伝子の一つを意味し、E2はP−6−1及びP−6−2プラスミドのError−prone派生遺伝子の一つを意味する。
このことはより結合力の高い新規タンパク質が選定されたことを示している。
図12中、Positiveはキットの陽性対照を、NegaはMPG1タンパク質をベイトにしてPibタンパク質LRR領域と相互作用を解析したもの、P−6は選抜ステップによって選抜された陽性クローン、FLS−LRRはFLS2タンパク質のLRR領域のみと、あるいはFLS−ALLはFLS2タンパク質の全長を含んだものとタバコ野火病菌(シュードモナス)のフラジェリンタンパク質flg22と相互作用を解析したもの、PGIP−AおよびPGIP−Bはウズラマメ由来ポリガラクツロナーゼインヒビタータンパク質とアスペルギルス菌由来ポリガラクツロナーゼタンパク質との相互作用を解析したもの、Pitaはイネいもち病抵抗性遺伝子Pitaタンパク質といもち病菌非病原力遺伝子avrPitaタンパク質との相互作用を解析したものである。3−AT(−)は選択試薬3−ATを含まない最小培地で培養した結果で、3−AT(+)は選択試薬3−ATを含む最小培地で培養した結果を示した。
図12に示すように、キットの陽性対照の組み合わせ(bait: Gal4-LGF2/target: Gal11P)よりも生育速度は遅かったが、これまでに抵抗性遺伝子LRRと直接結合するとされる病原体の非病原性遺伝子産物と対応するLRR、あるいはポリガラクツロナーゼインヒビターと直接結合するとされる病原体のポリガラクツロナーゼと対応するLRRとの組み合わせと比較するとほぼ同等かそれ以上の生育速度を示すことがわかった。
LRR配列の特徴としては異なるLRR配列材料(ロイシン骨格の保存性の高いFLS2、ロイシン骨格の保存性の低いPib)から、ライブラリーを作製し、どちらのタイプのLRR配列からも新たなターゲットタンパク質と結合する新規タンパク質が取得できることがわかった。
Claims (10)
- LRR配列を有する遺伝子のLRR領域のみを、前記遺伝子のアミノ酸配列及び/又は塩基配列情報に基づいて、共通の部位にロイシンを含むように複数の反復配列ユニットを作製する作製ステップと、
前記反復配列ユニットそれぞれにプライマーを設計して、PCR増幅により反復配列ユニット遺伝子とする増幅ステップと、
前記反復配列ユニット遺伝子をランダムに重合させ重合ユニットとする重合ステップと、
前記重合ユニット、所定のN末端キャップユニット及びC末端キャップユニットをベクターに組み込んでライブラリーを作製し、該ライブラリーから任意に選択された重合ユニット、N末端キャップユニット、及び、C末端キャップユニットを、N末端キャップユニット及びC末端キャップユニットが両端に位置するようにベクターに組み込みタンパク質を得る組み込みステップと、
前記タンパク質の中から病原菌認識の対象となる分子又はタンパク質と相互作用するタンパク質を選抜する選抜ステップと、
を備え、
前記反復配列ユニットが、5'末端側に下記式(1)又は(2)で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質の作製方法。
L 1 XXL 2 XXL 3 XL 4 X
(1)
XIPXXL 5 XXL 6 XXL 7 XXL 8 DL 9 XXNXL 10 TG
(2)
[式(1)中、L 1 はロイシンを示し、L 2 、L 3 及びL 4 の中の少なくとも1つはロイシンを示し、その他のL 2 、L 3 又はL 4 、及びXはアミノ酸を示す。式(2)中、L 5 〜L 10 のうちの少なくとも2つはロイシンを示し、I、P、L、D、N、T及びGの少なくとも3つ以上は、Iがイソロイシン、Pがプロリン、Lがロイシン、Dがアスパラギン酸、Nがアスパラギン、Tがスレオニン、Gがグリシンを示す。なお、上記以外のL 5 〜L 10 、I、P、L、D、N、T、G、及びXはアミノ酸を示す。] - 前記重合ステップにおいて、前記反復配列ユニット遺伝子がライゲーションされたものである請求項1記載のタンパク質の作製方法。
- 前記組み込みステップにおいて、前記N末側キャップユニット及びC末側キャップユニットが、それぞれにプライマーを設計して、PCR増幅させたものである請求項1記載のタンパク質の作製方法。
- 前記遺伝子が、植物病原菌認識又は耐病抵抗性に関わる遺伝子である請求項1記載のタンパク質の作製方法。
- 前記選抜ステップ後、Error−prone PCRによる機能改良ステップを更に備える請求項1記載のタンパク質の作製方法。
- 前記選抜ステップにおいて、bacteria twohybrid法、yeast twohybrid法、ファージディスプレイ法又はin vitroウイルス法を用いる請求項5記載のタンパク質の作製方法。
- 前記N末端キャップユニットが、
GYFMELKNRSMILPFQQSGSSRKSIDSCKVHDLMRDIAISKSTEENLVFRVEEGCSARD
の配列を有し、
前記C末端キャップユニットが、
LEFLQNINEVQLSVWFPTDHDRIRAARAAGADYETAWEEEVQEARRKGGELKRKIREQLARNPNQPIIT
の配列を有する請求項1記載のタンパク質の作製方法。 - 前記N末端キャップユニットが配列表の配列番号1のアミノ酸配列であり、前記C末端キャップユニットが配列表の配列番号16のアミノ酸配列であり、前記複数の反復配列ユニットが配列表の配列番号2〜15のアミノ酸配列である請求項1記載のタンパク質の作製方法。
- 前記N末端キャップユニットが配列表の配列番号17のアミノ酸配列であり、前記C末端キャップユニットが配列表の配列番号18のアミノ酸配列である請求項1記載のタンパク質の作製方法。
- 前記タンパク質のアミノ酸配列が配列表の配列番号19〜27のうちのいずれか一つである請求項1記載のタンパク質の作製方法。
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