JP5203677B2 - 液体濃度測定装置および液体濃度測定方法 - Google Patents
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Description
より詳細には、測定対象物の測定面(表面)から大気中に蒸発した液体の当該大気中における液体の濃度を測定することにより測定対象物に含まれる液体の濃度を測定する技術に関する。
誘電率法は使用されるセンサの形式が異なる複数の計測方法、例えば電磁波法、共振法、複素誘電率法、TDR(Time Domain Reflectrometry)法、ADR(Amplitude Domain Reflectrometry)法等に分類される。
特許文献1に記載の水滴感知センサは、一対の電極を設けた基板の表面に親水性の化学吸着膜を形成したものである。水滴感知センサの化学吸着膜に吸着された水滴は化学吸着膜に沿って素早く濡れ広がり、一対の電極間を導通するため、電極間の電気抵抗が変化する。
しかし、赤外線法は、測定対象物が赤外光を透過しない材質である場合には一般に適用が困難であるという問題を有する。
上記(A)および(B)の方法は、サンプリングガスの搬送経路の途中で結露を起こした場合に測定精度が低下する。
上記(A)および(B)の方法は、サンプリングガスが採取されてからセンサに到達する(実際に水分濃度が測定される)までに要する時間がタイムラグとなり、リアルタイムで水分濃度を測定することが困難である。
上記(A)および(B)の方法は、サンプリングガスが搬送経路の内部で混合した場合に測定結果の信頼性が低下する。
上記(A)および(B)の方法は、サンプリングガスの採取位置というごく狭い領域についての水分濃度しか測定できないので、水分濃度の分布を測定する場合には複数箇所でサンプリングガスを採取し、それぞれについて水分濃度を測定しなければならず、装置が大型化あるいは複雑化する。
上記(B)の方法は、上記問題に加えて、一度結露した水滴が蒸発するまで次の測定を行うことができないため、複数の対象物を短時間で順次測定する用途への適用が困難であるという問題を有する。
特に、測定対象物から蒸発した水分を含むガスに照射される赤外線の光路が測定領域(測定対象物から蒸発する水分が含まれるガスが占める領域)だけでなく、デッドスペース(測定領域外の領域)を通過する場合には、水分濃度の測定精度が更に低下するという問題を有する。
しかし、上記(i)の方法はデッドスペースにパージされたガスが測定領域に流入すると測定精度が低下すること、(ii)の方法は測定環境によっては(測定対象物が高温である場合等)光学部品をデッドスペースに配置することが困難であること、といった問題を有する。
液体を含み、搬送経路に沿って搬送方向に搬送される測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間して前記測定面に平行なレーザ光を投光する第一投光部と、
前記第一投光部により投光されるレーザ光を受光し、当該レーザ光の強度を検出する第一受光部と、
前記測定対象物の測定面から前記第一測定距離よりも大きい第二測定距離だけ離間して前記測定面に平行なレーザ光を投光する第二投光部と、
前記第二投光部により投光されるレーザ光を受光し、当該レーザ光の強度を検出する第二受光部と、
前記第一受光部により検出されたレーザ光の強度に基づいて前記測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間した位置における液体濃度である第一液体濃度を算出する第一液体濃度算出部と、
前記第二受光部により検出されたレーザ光の強度に基づいて前記測定対象物の測定面から第二測定距離だけ離間した位置における液体濃度である第二液体濃度を算出する第二液体濃度算出部と、
前記第一液体濃度算出部により算出された第一液体濃度および前記第二液体濃度算出部により算出された第二液体濃度に基づいて前記測定対象物に含まれる液体の濃度を算出する測定対象物液体濃度算出部と、
を具備し、
前記第一投光部により投光されるレーザ光と前記第二投光部により投光されるレーザ光とが互いに平行であり、
前記第一投光部により投光されるレーザ光および前記第二投光部により投光されるレーザ光を含む平面は前記測定対象物の測定面および前記搬送方向に対して直交し、
前記第一液体濃度算出部により算出される第一液体濃度は、前記測定対象物から蒸発する液体を含む雰囲気の液体濃度であり、
前記第二液体濃度算出部により算出される第二液体濃度は、前記測定対象物から蒸発する液体を含まない雰囲気の液体濃度である、ものである。
前記第一投光部および前記第二投光部が投光するレーザ光の波長は、いずれも前記測定対象物に含まれる液体に吸収される波長を含むものである。
前記第一測定距離T1は、以下の(a)から(d)の手順に従って設定されるものである。
(a)前記測定対象物の搬送速度U、前記測定対象物の搬送方向から見た前記測定対象物の幅W、雰囲気の密度ρ、前記雰囲気の粘性μを用いて、以下の数1に基づいてレイノルズ数Reを算出する。
(b)算出されたレイノルズ数Reが以下の数2で示す関係を満たす場合には前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が層流であると判定し、算出されたレイノルズ数Reが以下の数3で示す関係を満たす場合には前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が乱流であると判定する。
(c)前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が層流であると判定された場合には以下の数4に基づいて境界層厚みδを算出し、前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が乱流であると判定された場合には以下の数5に基づいて境界層厚みδを算出する。
(d)前記第一測定距離T1を、以下の数6で示す関係を満たす範囲に設定する。
液体を含み、搬送経路に沿って搬送方向に搬送される測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間して前記測定面に平行なレーザ光を投光し、当該レーザ光を受光して当該レーザ光の強度を検出するとともに、前記測定対象物の測定面から前記第一測定距離よりも大きい第二測定距離だけ離間して前記測定面に平行なレーザ光を投光し、当該レーザ光を受光して当該レーザ光の強度を検出するレーザ光投光・受光工程と、
前記測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間して投光され、受光されたレーザ光の強度に基づいて前記測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間した位置における液体濃度である第一液体濃度を算出するとともに、前記測定対象物の測定面から第二測定距離だけ離間して投光され、受光されたレーザ光の強度に基づいて前記測定対象物の測定面から第二測定距離だけ離間した位置における液体濃度である第二液体濃度を算出する第一液体濃度・第二液体濃度算出工程と、
前記第一液体濃度・第二液体濃度算出工程において算出された第一液体濃度および第二液体濃度に基づいて前記測定対象物に含まれる液体の濃度を算出する測定対象物液体濃度算出工程と、
を具備し、
前記測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間して投光されるレーザ光と前記測定対象物の測定面から第二測定距離だけ離間して投光されるレーザ光とが互いに平行であり、
前記測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間して投光されるレーザ光および前記測定対象物の測定面から第二測定距離だけ離間して投光されるレーザ光を含む平面は前記測定対象物の測定面および前記搬送方向に対して直交し、
前記第一液体濃度・第二液体濃度算出工程において算出される第一液体濃度は、前記測定対象物から蒸発する液体を含む雰囲気の液体濃度であり、
前記第一液体濃度・第二液体濃度算出工程において算出される第二液体濃度は、前記測定対象物から蒸発する液体を含まない雰囲気の液体濃度である、ものである。
前記測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間して投光されるレーザ光および前記測定対象物の測定面から第二測定距離だけ離間して投光されるレーザ光の波長は、いずれも前記測定対象物に含まれる液体に吸収される波長を含むものである。
前記第一測定距離T1は、以下の(a)から(d)の手順に従って設定されるものである。
(a)前記測定対象物の搬送速度U、前記測定対象物の搬送方向から見た前記測定対象物の幅W、雰囲気の密度ρ、前記雰囲気の粘性μを用いて、以下の数1に基づいてレイノルズ数Reを算出する。
(b)算出されたレイノルズ数Reが以下の数2で示す関係を満たす場合には前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が層流であると判定し、算出されたレイノルズ数Reが以下の数3で示す関係を満たす場合には前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が乱流であると判定する。
(c)前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が層流であると判定された場合には以下の数4に基づいて境界層厚みδを算出し、前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が乱流であると判定された場合には以下の数5に基づいて境界層厚みδを算出する。
(d)前記第一測定距離T1を、以下の数6で示す関係を満たす範囲に設定する。
前記第二測定距離T2は、以下の数7で示す関係を満たす範囲に設定されるものである。
ここで、「シート状物」は、一対のシート面を有し、当該一対のシート面の長さおよび幅の両方、または一対のシート面の長さおよび幅のいずれか一方が、一対のシート面の間隔(厚み)に比べて大きい形状を成す物品を指す。
より詳細には、ペースト2は正極活物質(例えば、コバルト酸リチウム等のリチウム遷移金属酸化物)、電解質(例えば、有機溶媒(炭酸エチレン、炭酸ジエチル等)とリチウム塩(六フッ化リン酸リチウム等)との混合物等)、および水の混合物からなるペースト状物(固体と液体との混合物であって、ある程度の粘性を有するもの)である。
なお、図2では説明の便宜上、リチウムイオン二次電池の正極製造装置10のうち、アルミニウム箔1の一方のシート面1aにペースト2を塗布し、塗布されたペースト2を乾燥する作業を行う部分のみ図示し、それ以外の部分については図示を省略している。
アルミニウム箔1のうち搬送ローラ11と搬送ローラ12との間で張られている部分は、シート面1aが上方に向いている。
ペースト塗布装置13は容器13aおよびノズル13bを具備し、容器13aに充填されたペースト2をノズル13bの先端部から吐出する。
ノズル13bの先端部は、搬送ローラ11・12の間に張られたアルミニウム箔1のシート面1aにおいて上流寄りとなる部分(搬送ローラ11に近い部分)に対向する位置に下向きに配置される。
アルミニウム箔1を搬送経路に沿って搬送しつつペースト塗布装置13からペースト2を吐出することにより、ペースト2がアルミニウム箔1のシート面1aに均一に(ペースト2の厚さが均一となるように)塗布される。
ヒータ14は、搬送ローラ11・12の間に張られたアルミニウム箔1のシート面1aにおいて、ペースト塗布装置13よりも下流側となる部分に対向する位置に配置される。
ヒータ14は電気抵抗式のヒータであり、ヒータ14に対向する位置に移動してきたアルミニウム箔1のシート面1aに塗布されたペースト2を加熱する。その結果、アルミニウム箔1のシート面1aに塗布されたペースト2に含まれる水分が蒸発する。
第一投光部111はレーザ光101を発生する投光素子と、当該投光素子に電力を供給する電源と、当該投光素子により発生したレーザ光101を収束して照射する光学部品(レンズ等)と、を具備する。
第一受光部112は受光したレーザ光101の強度に応じた電圧または電流を発生する受光素子と、当該受光素子にレーザ光101を導く光学部品(レンズ等)と、を具備する。
第一受光部112は搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1の搬送方向の上流側から見てアルミニウム箔1の右端部よりも右側、かつアルミニウム箔1のシート面1aに塗布されたペースト2の表面よりも上方となる位置に配置される。
また、第一投光部111および第一受光部112は、レーザ光101の向き(レーザ光101の光軸方向)が搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1のシート面1aに塗布されたペースト2の表面に平行となるように配置される。
従って、第一投光部111から投光され、第一受光部112により受光されるレーザ光101は、搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1のシート面1aに塗布されたペースト2の表面から第一測定距離T1だけ離間した位置を通過する。
ここで、「第一測定距離」は、第一投光部により投光されるレーザ光と測定対象物の測定面との間の距離を指す。
第二投光部121はレーザ光102を発生する投光素子と、当該投光素子に電力を供給する電源と、当該投光素子により発生したレーザ光102を収束して照射する光学部品(レンズ等)と、を具備する。
第二受光部122は受光したレーザ光102の強度に応じた電圧または電流を発生する受光素子と、当該受光素子にレーザ光102を導く光学部品(レンズ等)と、を具備する。
第二受光部122は搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1の搬送方向の上流側から見てアルミニウム箔1の右端部よりも右側、かつアルミニウム箔1のシート面1aに塗布されたペースト2の表面よりも上方となる位置に配置される。また、第二受光部122は第一受光部112よりも上方に配置される。
第二投光部121および第二受光部122は、レーザ光102の向き(レーザ光102の光軸方向)がアルミニウム箔1のシート面1aに平行となるように配置される。
従って、第二投光部121から投光され、第二受光部122により受光されるレーザ光102は、搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1のシート面1aに塗布されたペースト2の表面から第二測定距離T2だけ離間した位置を通過し、第二測定距離T2は第一測定距離T1より大きい(T2>T1)。
ここで、「第二測定距離」は、第二投光部により投光されるレーザ光と測定対象物の測定面との間の距離を指す。
また、図2に示す如く、レーザ光101およびレーザ光102(より厳密には、レーザ光101の光軸方向およびレーザ光102の光軸方向)はいずれも、搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1の搬送方向に対して直交する。
従って、レーザ光101とレーザ光102とは互いに平行となる。
従って、レーザ光101の光路上に水分子が多い(レーザ光101の光路上の雰囲気中の水分の濃度が高い)ほど第一受光部112により検出されるレーザ光101の強度が低下し、レーザ光102の光路上に水分子が多い(レーザ光102の光路上の雰囲気中の水分の濃度が高い)ほど第二受光部122により検出されるレーザ光102の強度が低下する。
従って、水分濃度測定装置100がペースト2に含まれる水分の濃度を精度良く測定するためには、(a)レーザ光101の光路上の雰囲気における水分の濃度とペースト2に含まれる水分の濃度との間に相関があること、(b)レーザ光102の光路上の雰囲気における水分の濃度がペースト2から蒸発する水分の影響を受けないこと、が求められる。
これは、アルミニウム箔1に塗布されたペースト2の表面からの距離が境界層深さδ以下の領域では当該領域に存在する雰囲気がその粘性によりアルミニウム箔1の表面にある程度追従して移動するため、境界層深さδ以下の領域に含まれる水分の濃度と、アルミニウム箔1に塗布されたペースト2に含まれる水分の濃度との間に強い相関があることによる。
境界層深さδは一般にレイノルズ数Reおよび測定対象物の幅Wで表されるが、境界層深さδは測定対象物に対向する領域における雰囲気の流れ状態が層流または乱流のいずれの状態であるかによっても変化する。
また、測定対象物に対向する領域における雰囲気の流れ状態が層流または乱流のいずれの状態であるかは、レイノルズ数Reの大きさに基づいて判定することが可能である。
また、数1により算出されたレイノルズ数Reが数3の条件を満たす場合には、アルミニウム箔1に塗布されたペースト2に対向する領域における雰囲気の流れ状態が乱流であると判定される。
乱流であると判定された場合、境界層厚みδは以下の数5で表される。
従って、第二測定距離T2を第一測定距離T1よりもある程度大きく設定し、アルミニウム箔1に塗布されたペースト2から蒸発した水分がレーザ光102の光路上の雰囲気の水分の濃度に影響しないようにすることが望ましい。
第二測定距離T2の設定値の目安としては、以下の数7に示す如く、第二測定距離T2を数4または数5により算出された境界層厚みδの10倍よりも大きくすることが望ましい。
すなわち、濃度算出装置130は第一受光部112により検出されたレーザ光101の強度に基づいてレーザ光101の通過した位置(すなわち、搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1のシート面1aから第一測定距離T1だけ離間した位置)における水分の濃度である第一液体濃度C1を算出する。
より詳細には、濃度算出装置130は、予め記憶されたレーザ光101の強度とレーザ光101の光路上に存在する水分子の数(ひいてはレーザ光101の光路が通過する雰囲気中の水分の濃度)との関係式に第一受光部112により検出されたレーザ光101の強度を代入することにより、第一液体濃度C1を算出する。
すなわち、濃度算出装置130は第二受光部122により検出されたレーザ光102の強度に基づいてレーザ光102の通過した位置(すなわち、搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1のシート面1aから第二測定距離T2だけ離間した位置)における水分の濃度である第二液体濃度C2を算出する。
より詳細には、濃度算出装置130は、予め記憶されたレーザ光102の強度とレーザ光102の光路上に存在する水分子の数(ひいてはレーザ光102の光路が通過する雰囲気中の水分の濃度)との関係式に第二受光部122により検出されたレーザ光101の強度を代入することにより、第二液体濃度C2を算出する。
なお、本実施例は濃度算出装置130が本発明に係る第一液体濃度算出部としての機能と本発明に係る第二液体濃度算出部としての機能を兼ねる構成(第一液体濃度算出部と第
二液体濃度算出部とが一体である構成)であるが、本発明はこれに限定されず、第一液体濃度算出部と第二液体濃度算出部とが別体である構成でも良い。
同様に、本発明に係る第二液体濃度算出部は、予め記憶されたレーザ光の強度とレーザ光の光路上に存在する水分子の数との関係を示すデータテーブルと第二受光部により検出されたレーザ光の強度とを比較することにより第二液体濃度C2を算出する構成としても良い。
二液体濃度C2を解析する装置である。解析ユニット140は解析装置141、入力装置142、表示装置143を具備する。
本実施例の解析装置141は専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム等を格納したもので達成することも可能である。
本実施例の入力装置142は専用品であるが、例えば市販のキーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、スイッチ等を用いても同様の効果を達成することが可能である。
本実施例の表示装置143は専用品であるが、例えば市販の液晶ディスプレイ(LCD
;Liquid Crystal Display)やCRTディスプレイ(Cathode Ray Tube Display)等を用いても同様の効果を達成することが可能である。
解析装置141は本発明に係る測定対象物液体濃度算出部の実施の一形態であり、濃度算出装置130により算出された第一液体濃度C1および第二液体濃度C2に基づいて、搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1に塗布されたペースト2に含まれる水分の濃度を算出するものである。
解析装置141は、機能的には記憶部141a、補正液体濃度算出部141b、測定対象物液体濃度算出部141cを具備する。
記憶部141aは、実体的にはRAM等のメモリ、HDD、CD−ROMあるいはDVD−ROM等の記憶媒体からなる。
実体的には、解析装置141が、解析装置141に格納された補正液体濃度算出プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、補正液体濃度算出部141bとしての機能を果たす。
補正液体濃度算出部141bは、濃度算出装置130により算出された第一液体濃度C1、第一投光部111から投光されるレーザ光101の光路長さL1、濃度算出装置130により算出された第二液体濃度C2および第二投光部121から投光されるレーザ光102の光路長さL2を用いて、以下の数8に基づいて補正液体濃度Crを算出する。
補正液体濃度Crの算出値は、記憶部141aに適宜記憶される。
補正値Crは、第一液体濃度C1と第二気体濃度C2との差分であり、第一液体濃度C1(すなわちレーザ光101の光路上の雰囲気に含まれる水分の濃度)から雰囲気に元々存在する(ペースト2に由来しない)水分の濃度の影響を排除したものである。
なお、数8において第二液体濃度C2に係数(L1/L2)を乗ずることにより、レーザ光101およびレーザ光102の光路長さの差が補正値Crに及ぼす影響を排除している。
実体的には、解析装置141が、解析装置141に格納された測定対象物液体濃度算出プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、測定対象物液体濃度算出部141cとしての機能を果たす。
補正液体濃度Crと搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1に塗布されたペースト2に含まれる水分の濃度との関係は、例えば搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1に塗布されたペースト2の複数箇所について乾燥法による水分濃度測定を行うとともに、対応する箇所における補正液体濃度Crを算出する実験を行うことにより予め求められる。
アルミニウム箔1に塗布されたペースト2に含まれる水分の濃度の算出値(ペースト2に含まれる水分の濃度の測定結果)は、記憶部141aに適宜記憶される。
図2に示す如く、水分濃度測定装置50は、ガス搬送管51、吸引ポンプ52、前処理装置53、計測装置54を具備する。
ガス搬送管51の吸気口51aは搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1に塗布されたペースト2の表面から第一測定距離T1だけ離れた位置に配置される。また、ガス搬送管51の吸気口51aは搬送経路の搬送方向においてレーザ101よりも上流側かつヒータ14よりも下流側となる位置に配置される。
ガス搬送管51の排気口51bはアルミニウム箔1の搬送経路から離れた位置に配置される。
ここで「前処理」は、サンプリングガスに含まれる塵埃等を除去することを指す。
前処理装置53はガス搬送管51の中途部かつサンプリングガスの搬送方向において吸引ポンプ52よりも下流側に設けられる。
計測装置54はサンプリングガスを捕集する容器、当該容器内に配置されてサンプリングガスに含まれる水分の濃度に応じた信号を発生するセンサ、当該センサから取得した信号に基づいてサンプリングガスに含まれる水分の濃度を算出する算出装置等を具備する。
計測装置54はガス搬送管51の中途部かつサンプリングガスの搬送方向において前処理装置53よりも下流側に設けられる。
図3に示す如く、水分濃度測定装置100の場合、補正液体濃度Cr(第一液体濃度C1から雰囲気に元々存在する(ペースト2に由来しない)水分の濃度の影響を排除したもの)は、時刻t2までは濃度Caであり、時刻t2に到達した時点から急激に上昇して濃度Cbに到達する。
これに対して、水分濃度測定装置50の場合、サンプリングガスの水分濃度の測定結果は、時刻t1までは濃度Caであり、時刻t1を経過すると上昇し始めるが水分濃度測定装置100の場合ほど急激には水分濃度が上昇せず、かなり時間が経過してから濃度Cbに到達する。
これに対して、水分濃度測定装置50の場合、サンプリングガスの水分濃度の測定結果は、時刻t3までは濃度Caであり、時刻t3を経過すると上昇し始めるが水分濃度測定装置100の場合ほど急激には水分濃度が上昇せず、かなり時間が経過してから濃度Cbよりも小さい濃度Cdに到達し、その後緩やかに下降して再び濃度Caとなる。
これは、水分濃度測定装置100の場合にはレーザ光101およびレーザ光102の強度がそれぞれ第一受光部112および第二受光部122により検出され、レーザ光101およびレーザ光102の強度に係る情報が解析装置141により取得され、補正液体濃度算出部141bにより補正液体濃度Crが算出されるという一連の動作に要する時間が非常に短い(当該一連の動作が瞬時に行われる)のに対し、水分濃度測定装置50の場合には吸気口51aにて採取されたサンプリングガスが計測装置54に到達し、計測装置54のセンサの表面に水分が接触して水分濃度に応じた信号が発生し、当該信号に基づいて計測装置54の算出装置が水分濃度を算出するという一連の動作に要する時間が相対的に長いことに起因する。
また、水分濃度測定装置50の場合には、サンプリングガスの搬送経路において異なる時刻に採取されたガスが相互に混合することによっても測定精度が低下する。
このような場合において、水分濃度測定装置100ではアルミニウム箔1の幅方向とレーザ光101・102の光軸方向が同じであることから、水分の濃度が高い部分におけるピーク濃度(Cf)自体は検出できないが、図6に示す如くアルミニウム箔1の幅方向の水分濃度の平均値Cgを検出することは可能である。
これに対して、水分濃度測定装置50では図5に示す如くガス搬送管51の吸気口51aがペースト2に含まれる水分の濃度が低い部分に対応する位置に配置されていた場合、図6に示す如く水分濃度の測定値はCeのままで変化せず、アルミニウム箔1の幅方向の水分濃度の分布の変化を検出することが出来ない。
水分を含むペースト2の表面から第一測定距離T1だけ離間してペースト2の表面に平行なレーザ光101を投光する第一投光部111と、
第一投光部111により投光されるレーザ光101を受光し、レーザ光101の強度を検出する第一受光部112と、
ペースト2の表面から第一測定距離T1よりも大きい第二測定距離T2だけ離間してペースト2の表面に平行なレーザ光102を投光する第二投光部121と、
第二投光部121により投光されるレーザ光102を受光し、レーザ光102の強度を検出する第二受光部122と、
第一受光部112により検出されたレーザ光101の強度に基づいてペースト2の表面から第一測定距離T1だけ離間した位置における水分濃度である第一液体濃度C1を算出するとともに、第二受光部122により検出されたレーザ光102の強度に基づいてペースト2の表面から第二測定距離T2だけ離間した位置における水分濃度である第二液体濃度C2を算出する濃度算出装置130と、
濃度算出装置130により算出された第一液体濃度C1および第二液体濃度C2に基づいてペースト2に含まれる水分の濃度を算出する解析装置141と、
を具備する。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、水分濃度測定装置100は、測定対象物たるペースト2から蒸発する水分の雰囲気中の濃度を測定し、当該水分濃度に基づいてペースト2に含まれる水分の濃度を測定するので、ペースト2に含まれる水分の濃度を非接触で精度良く測定することが可能である。
特に、水分濃度測定装置100は、測定対象物たるペースト2から蒸発する水分の雰囲気中の濃度を非接触で測定するので、測定対象物たるペースト2(本実施例の場合、厳密にはペースト2が塗布されたアルミニウム箔1)が第一測定距離T1および第二測定距離T2を保持しつつ移動する場合にもペースト2に含まれる水分の濃度をリアルタイムで測定することが可能である。
また、水分濃度測定装置100は、第一液体濃度C1および第二液体濃度C2に基づいてペースト2に含まれる水分の濃度を算出するため、雰囲気中に元々存在する(ペースト2に由来しない)水分の影響を排除することが可能であり、ペースト2に含まれる水分の濃度の測定精度が向上する。
さらにまた、水分濃度測定装置100は、第一液体濃度C1および第二液体濃度C2に基づいてペースト2に含まれる水分の濃度を算出するため、レーザ光101およびレーザ光102の光路長さがそれぞれ変化したり、あるいはレーザ光101およびレーザ光102がデッドスペース(図1において長さW11、W12、W21、W22で表される部分)を通過したりする場合であっても、レーザ光101およびレーザ光102の光路のうち当該デッドスペースに対応する部分に存在する水分の影響を排除してペースト2に含まれる水分の濃度を精度良く測定することが可能である。
このことは、第一投光部111、第一受光部112、第二投光部121および第二受光部122を測定対象物たるペースト2の表面に対向する位置に配置する必要がないことを示しており、測定対象物たるペースト2が高温である場合にペースト2からの熱により第一投光部111、第一受光部112、第二投光部121および第二受光部122が破損する事態を防止することが可能である。
このように構成することにより、第一受光部112により検出されるレーザ光101の強度がレーザ光101の光路上の雰囲気中に含まれる水分の濃度に応じて変化するとともに第二受光部122により検出されるレーザ光102の強度がレーザ光102の光路上の雰囲気中に含まれる水分の濃度に応じて変化するので、ペースト2に含まれる水分の濃度を精度良く測定することが可能である。
第一投光部111により投光されるレーザ光101および第二投光部121により投光されるレーザ光102を含む平面103はペースト2の表面に対して直交する。
このように構成することにより、レーザ光101およびレーザ光102はいずれもペースト2の表面上の同じ位置に(同時刻において)正対することとなり、第一受光部112により検出されるレーザ光101の強度に基づいて算出される第一液体濃度C1のうち雰囲気中に元々存在する(ペースト2に由来しない)水分に係る部分と、第二受光部122により検出されるレーザ光102の強度に基づいて算出される第二液体濃度C2と、を同じであると見なすことが可能である。従って、ペースト2に含まれる水分の濃度の測定精度が向上する。
(a)アルミニウム箔1に塗布されたペースト2の搬送速度U、アルミニウム箔1に塗布されたペースト2の搬送方向から見たペースト2の幅W、雰囲気の密度ρ、雰囲気の粘性μを用いて、数1に基づいてレイノルズ数Reを算出する。
(b)算出されたレイノルズ数Reが数2で示す関係を満たす場合にはペースト2の表面に対向する領域の流れ状態が層流であると判定し、算出されたレイノルズ数Reが数3で示す関係を満たす場合にはペースト2の表面に対向する領域の流れ状態が乱流であると判定する。
(c)ペースト2の表面に対向する領域の流れ状態が層流であると判定された場合には数4に基づいて境界層厚みδを算出し、ペースト2の表面に対向する領域の流れ状態が乱流であると判定された場合には数5に基づいて境界層厚みδを算出する。
(d)第一測定距離T1を、数6で示す関係を満たす範囲に設定する。
このように構成することにより、第一受光部112により検出されるレーザ光101の強度、ひいてはレーザ光101の光路上の雰囲気に含まれる水分の濃度はアルミニウム箔1に塗布されたペースト2に含まれる水分の濃度と強い相関を有するので、ペースト2に含まれる水分の濃度の測定精度が向上する。
このように構成することにより、第二受光部122により検出されるレーザ光102の強度に基づいて算出される第二液体濃度C2から「ペースト2から蒸発した水分」の影響を排除することが可能であり、ペースト2に含まれる水分の濃度の測定精度が向上する。
濃度算出装置130により算出された第一液体濃度C1、第一投光部111から投光されるレーザ光101の光路長さL1、濃度算出装置130により算出された第二液体濃度C2および第二投光部121から投光されるレーザ光102の光路長さL2を用いて、数8に基づいて第一液体濃度C1の補正値である補正液体濃度Crを算出する。
このように構成することにより、(α)レーザ光102の光路長さL2がレーザ光101の光路長さL1と同じである場合、および(β)レーザ光102の光路長さL2がレーザ光101の光路長さL1と異なっている場合、のいずれの場合であっても、第一液体濃度C1から「雰囲気中に元々存在する(ペースト2に由来しない)水分の影響」を精度良く排除することが可能である。
従って、補正液体濃度Crを精度良く算出し、ひいてはペースト2に含まれる水分の濃度を精度良く測定することが可能である。
予め記憶部141aに記憶された「補正液体濃度Crとペースト2に含まれる水分の濃度との関係」と、「算出された補正液体濃度Cr」と、を比較することにより、ペースト2に含まれる水分の濃度を算出する。
このように構成することにより、ペースト2に含まれる水分の濃度を精度良くかつリアルタイムで測定することが可能である。
より詳細には、本発明に係る測定対象物液体濃度算出部が「算出された補正液体濃度Cr」と、「予め記憶された閾値」と、を比較する構成としても良い。閾値は、上記「補正液体濃度Crと搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1に塗布されたペースト2に含まれる水分の濃度との関係を表す関係式」と同様の手法で設定することが可能である。
上記測定対象物液体濃度算出部が「算出された補正液体濃度Cr」と、「予め記憶された閾値」と、を比較する構成の例としては、(1)「算出された補正液体濃度Cr」が「予め記憶された閾値」よりも大きい場合には測定対象物に含まれる水分の濃度が所望の範囲にあると判定し、「算出された補正液体濃度Cr」が「予め記憶された閾値」よりも小さい場合には測定対象物に含まれる水分の濃度が所望の範囲に無いと判定する構成、(2)「算出された補正液体濃度Cr」が「予め記憶された閾値」よりも大きい場合には測定対象物に含まれる水分の濃度が所望の範囲に無いと判定し、「算出された補正液体濃度Cr」が「予め記憶された閾値」よりも小さい場合には測定対象物に含まれる水分の濃度が所望の範囲にあると判定する構成、(3)「算出された補正液体濃度Cr」が「予め記憶された第一の閾値」以上かつ「予め記憶された第二の閾値(第二の閾値は第一の閾値よりも大きい)」以下である場合には測定対象物に含まれる水分の濃度が所望の範囲にあると判定し、「算出された補正液体濃度Cr」が「第一の閾値」未満または「第二の閾値」よりも大きい場合には測定対象物に含まれる水分の濃度が所望の範囲に無いと判定する構成、等が挙げられる。
上記(1)〜(3)の構成は、測定対象物の性状や本発明の用途等に応じて適宜選択される。
測定対象物に含まれる液体の他の例としては、有機溶剤、油等が挙げられる。
本発明に係る液体濃度測定方法の実施の一形態は、水分濃度測定装置100を用いてペースト2に含まれる水分の濃度を測定する方法であり、図7に示す如くレーザ光投光・受光工程S1100、第一液体濃度・第二液体濃度算出工程S1200および測定対象物液体濃度算出工程S1300を具備する。
レーザ光投光・受光工程S1100が終了したら、第一液体濃度・第二液体濃度算出工程S1200に移行する。
第一液体濃度・第二液体濃度算出工程S1200が終了したら、測定対象物液体濃度算出工程S1300に移行する。
図7に示す如く、測定対象物液体濃度算出工程S1300は、補正液体濃度算出工程S1310および濃度算出工程S1320を具備する。
二液体濃度算出工程S1200において算出された第二液体濃度C2およびレーザ光102の光路長さL2を用いて、数8に基づいて補正液体濃度Crを算出する工程である。
補正液体濃度算出工程S1310が終了したら、濃度算出工程S1320に移行する。
より詳細には、濃度算出工程S1320において、予め記憶された「補正液体濃度Crと搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1に塗布されたペースト2に含まれる水分の濃度との関係を表す関係式」に、補正液体濃度算出工程S1310において算出された補正液体濃度Crを代入することにより、搬送経路に沿って搬送されるアルミニウム箔1に塗布されたペースト2に含まれる水分の濃度が算出される。
水分を含むペースト2の表面から第一測定距離T1だけ離間してペースト2の表面に平行なレーザ光101を投光し、レーザ光101を受光し、レーザ光101の強度を検出するとともに、ペースト2の表面から第一測定距離T1よりも大きい第二測定距離T2だけ離間してペースト2の表面に平行なレーザ光102を投光し、レーザ光102を受光し、レーザ光102の強度を検出するレーザ光投光・受光工程S1100と、
ペースト2の表面から第一測定距離T1だけ離間して投光され、受光されたレーザ光101の強度に基づいてペースト2の表面から第一測定距離T1だけ離間した位置における水分濃度である第一液体濃度C1を算出するとともに、ペースト2の表面から第二測定距離T2だけ離間して投光され、受光されたレーザ光102の強度に基づいてペースト2の表面から第二測定距離T2だけ離間した位置における水分濃度である第二液体濃度C2を算出する第一液体濃度・第二液体濃度算出工程S1200と、
第一液体濃度・第二液体濃度算出工程S1200において算出された第一液体濃度C1および第二液体濃度C2に基づいてペースト2に含まれる水分の濃度を算出する測定対象物液体濃度算出工程S1300と、
を具備する。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、本発明に係る液体濃度測定方法の実施の一形態は、測定対象物たるペースト2から蒸発する水分の雰囲気中の濃度を測定し、当該水分濃度に基づいてペースト2に含まれる水分の濃度を測定するので、ペースト2に含まれる水分の濃度を非接触で精度良く測定することが可能である。
特に、本発明に係る液体濃度測定方法の実施の一形態は、測定対象物たるペースト2から蒸発する水分の雰囲気中の濃度を非接触で測定するので、測定対象物たるペースト2(本実施例の場合、厳密にはペースト2が塗布されたアルミニウム箔1)が第一測定距離T1および第二測定距離T2を保持しつつ移動する場合にもペースト2に含まれる水分の濃度をリアルタイムで測定することが可能である。
また、本発明に係る液体濃度測定方法の実施の一形態は、第一液体濃度C1および第二液体濃度C2に基づいてペースト2に含まれる水分の濃度を算出するため、雰囲気中に元々存在する(ペースト2に由来しない)水分の影響を排除することが可能であり、ペースト2に含まれる水分の濃度の測定精度が向上する。
さらにまた、本発明に係る液体濃度測定方法の実施の一形態は、第一液体濃度C1および第二液体濃度C2に基づいてペースト2に含まれる水分の濃度を算出するため、レーザ光101およびレーザ光102の光路長さがそれぞれ変化したり、あるいはレーザ光101およびレーザ光102がデッドスペース(図1において長さW11、W12、W21、W22で表される部分)を通過したりする場合であっても、レーザ光101およびレーザ光102の光路のうち当該デッドスペースに対応する部分に存在する水分の影響を排除してペースト2に含まれる水分の濃度を精度良く測定することが可能である。
このことは、レーザ光101を投光する装置(本実施例の場合、第一投光部111)、レーザ光101を受光する装置(本実施例の場合、第一受光部112)、レーザ光102を投光する装置(本実施例の場合、第二投光部121)およびレーザ光102を受光する装置(本実施例の場合、第二受光部122)を測定対象物たるペースト2の表面に対向する位置に配置する必要がないことを示しており、測定対象物たるペースト2が高温である場合にペースト2からの熱によりこれらの装置(第一投光部111、第一受光部112、第二投光部121および第二受光部122)が破損する事態を防止することが可能である。
ペースト2の表面から第一測定距離T1だけ離間して投光されるレーザ光101およびペースト2の表面から第二測定距離T2だけ離間して投光されるレーザ光102の波長は、いずれもペースト2に含まれる水分に吸収される波長を含む。
このように構成することにより、レーザ光投光・受光工程S1100において検出されるレーザ光101の強度がレーザ光101の光路上の雰囲気中に含まれる水分の濃度に応じて変化するとともにレーザ光投光・受光工程S1100において検出されるレーザ光102の強度がレーザ光102の光路上の雰囲気中に含まれる水分の濃度に応じて変化するので、ペースト2に含まれる水分の濃度を精度良く測定することが可能である。
ペースト2の表面から第一測定距離T1だけ離間して投光されるレーザ光101とペースト2の表面から第二測定距離T2だけ離間して投光されるレーザ光102とが互いに平行であり、
ペースト2の表面から第一測定距離T1だけ離間して投光されるレーザ光101およびペースト2の表面から第二測定距離T2だけ離間して投光されるレーザ光102を含む平面103はペースト2の表面に対して直交する。
このように構成することにより、レーザ光101およびレーザ光102はいずれもペースト2の表面上の同じ位置に(同時刻において)正対することとなり、受光されたレーザ光101の強度に基づいて算出される第一液体濃度C1のうち雰囲気中に元々存在する(ペースト2に由来しない)水分に係る部分と、受光されたレーザ光102の強度に基づいて算出される第二液体濃度C2と、を同じであると見なすことが可能である。従って、ペースト2に含まれる水分の濃度の測定精度が向上する。
(a)アルミニウム箔1に塗布されたペースト2の搬送速度U、アルミニウム箔1に塗布されたペースト2の搬送方向から見たペースト2の幅W、雰囲気の密度ρ、雰囲気の粘性μを用いて、数1に基づいてレイノルズ数Reを算出する。
(b)算出されたレイノルズ数Reが数2で示す関係を満たす場合にはペースト2の表面に対向する領域の流れ状態が層流であると判定し、算出されたレイノルズ数Reが数3で示す関係を満たす場合にはペースト2の表面に対向する領域の流れ状態が乱流であると判定する。
(c)ペースト2の表面に対向する領域の流れ状態が層流であると判定された場合には数4に基づいて境界層厚みδを算出し、ペースト2の表面に対向する領域の流れ状態が乱流であると判定された場合には数5に基づいて境界層厚みδを算出する。
(d)第一測定距離T1を、数6で示す関係を満たす範囲に設定する。
このように構成することにより、レーザ光投光・受光工程S1100において検出されるレーザ光101の強度、ひいてはレーザ光101の光路上の雰囲気に含まれる水分の濃度はアルミニウム箔1に塗布されたペースト2に含まれる水分の濃度と強い相関を有するので、ペースト2に含まれる水分の濃度の測定精度が向上する。
このように構成することにより、受光されたレーザ光102の強度に基づいて算出される第二液体濃度C2から「ペースト2から蒸発した水分」の影響を排除することが可能であり、ペースト2に含まれる水分の濃度の測定精度が向上する。
測定対象物液体濃度算出工程S1300において、
第一液体濃度・第二液体濃度算出工程S1200において算出された第一液体濃度C1、ペースト2の表面から第一測定距離T1だけ離間して投光されるレーザ光101の光路長さL1、第一液体濃度・第二液体濃度算出工程S1200において算出された第二液体濃度C2およびペースト2の表面から第二測定距離T2だけ離間して投光されるレーザ光102の光路長さL2を用いて、数8に基づいて第一液体濃度C1の補正値である補正液体濃度Crを算出する。
このように構成することにより、(α)レーザ光102の光路長さL2がレーザ光101の光路長さL1と同じである場合、および(β)レーザ光102の光路長さL2がレーザ光101の光路長さL1と異なっている場合、のいずれの場合であっても、第一液体濃度C1から「雰囲気中に元々存在する(ペースト2に由来しない)水分の影響」を精度良く排除することが可能である。
従って、補正液体濃度Crを精度良く算出し、ひいてはペースト2に含まれる水分の濃度を精度良く測定することが可能である。
測定対象物液体濃度算出工程S1300において、
予め記憶された補正液体濃度Crとペースト2に含まれる水分の濃度との関係と、算出された補正液体濃度Crと、を比較することにより、ペースト2に含まれる水分の濃度を算出する。
このように構成することにより、ペースト2に含まれる水分の濃度を精度良くかつリアルタイムで測定することが可能である。
2 ペースト(測定対象物)
100 水分濃度測定装置(液体濃度測定装置)
101 レーザ光
102 レーザ光
111 第一投光部
112 第一受光部
121 第二投光部
122 第二受光部
130 濃度算出装置(第一液体濃度算出部、第二液体濃度算出部)
141 解析装置(測定対象物液体濃度算出部)
Claims (8)
- 液体を含み、搬送経路に沿って搬送方向に搬送される測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間して前記測定面に平行なレーザ光を投光する第一投光部と、
前記第一投光部により投光されるレーザ光を受光し、当該レーザ光の強度を検出する第一受光部と、
前記測定対象物の測定面から前記第一測定距離よりも大きい第二測定距離だけ離間して前記測定面に平行なレーザ光を投光する第二投光部と、
前記第二投光部により投光されるレーザ光を受光し、当該レーザ光の強度を検出する第二受光部と、
前記第一受光部により検出されたレーザ光の強度に基づいて前記測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間した位置における液体濃度である第一液体濃度を算出する第一液体濃度算出部と、
前記第二受光部により検出されたレーザ光の強度に基づいて前記測定対象物の測定面から第二測定距離だけ離間した位置における液体濃度である第二液体濃度を算出する第二液体濃度算出部と、
前記第一液体濃度算出部により算出された第一液体濃度および前記第二液体濃度算出部により算出された第二液体濃度に基づいて前記測定対象物に含まれる液体の濃度を算出する測定対象物液体濃度算出部と、
を具備し、
前記第一投光部により投光されるレーザ光と前記第二投光部により投光されるレーザ光とが互いに平行であり、
前記第一投光部により投光されるレーザ光および前記第二投光部により投光されるレーザ光を含む平面は前記測定対象物の測定面および前記搬送方向に対して直交し、
前記第一液体濃度算出部により算出される第一液体濃度は、前記測定対象物から蒸発する液体を含む雰囲気の液体濃度であり、
前記第二液体濃度算出部により算出される第二液体濃度は、前記測定対象物から蒸発する液体を含まない雰囲気の液体濃度である、液体濃度測定装置。 - 前記第一投光部および前記第二投光部が投光するレーザ光の波長は、いずれも前記測定対象物に含まれる液体に吸収される波長を含む請求項1に記載の液体濃度測定装置。
- 前記第一測定距離T1は、以下の(a)から(d)の手順に従って設定される請求項1または請求項2に記載の液体濃度測定装置。
(a)前記測定対象物の搬送速度U、前記測定対象物の搬送方向から見た前記測定対象物の幅W、雰囲気の密度ρ、前記雰囲気の粘性μを用いて、以下の数1に基づいてレイノルズ数Reを算出する。
(b)算出されたレイノルズ数Reが以下の数2で示す関係を満たす場合には前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が層流であると判定し、算出されたレイノルズ数Reが以下の数3で示す関係を満たす場合には前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が乱流であると判定する。
(c)前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が層流であると判定された場合には以下の数4に基づいて境界層厚みδを算出し、前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が乱流であると判定された場合には以下の数5に基づいて境界層厚みδを算出する。
(d)前記第一測定距離T1を、以下の数6で示す関係を満たす範囲に設定する。
- 液体を含み、搬送経路に沿って搬送方向に搬送される測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間して前記測定面に平行なレーザ光を投光し、当該レーザ光を受光して当該レーザ光の強度を検出するとともに、前記測定対象物の測定面から前記第一測定距離よりも大きい第二測定距離だけ離間して前記測定面に平行なレーザ光を投光し、当該レーザ光を受光して当該レーザ光の強度を検出するレーザ光投光・受光工程と、
前記測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間して投光され、受光されたレーザ光の強度に基づいて前記測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間した位置における液体濃度である第一液体濃度を算出するとともに、前記測定対象物の測定面から第二測定距離だけ離間して投光され、受光されたレーザ光の強度に基づいて前記測定対象物の測定面から第二測定距離だけ離間した位置における液体濃度である第二液体濃度を算出する第一液体濃度・第二液体濃度算出工程と、
前記第一液体濃度・第二液体濃度算出工程において算出された第一液体濃度および第二液体濃度に基づいて前記測定対象物に含まれる液体の濃度を算出する測定対象物液体濃度算出工程と、
を具備し、
前記測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間して投光されるレーザ光と前記測定対象物の測定面から第二測定距離だけ離間して投光されるレーザ光とが互いに平行であり、
前記測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間して投光されるレーザ光および前記測定対象物の測定面から第二測定距離だけ離間して投光されるレーザ光を含む平面は前記測定対象物の測定面および前記搬送方向に対して直交し、
前記第一液体濃度・第二液体濃度算出工程において算出される第一液体濃度は、前記測定対象物から蒸発する液体を含む雰囲気の液体濃度であり、
前記第一液体濃度・第二液体濃度算出工程において算出される第二液体濃度は、前記測定対象物から蒸発する液体を含まない雰囲気の液体濃度である、液体濃度測定方法。 - 前記測定対象物の測定面から第一測定距離だけ離間して投光されるレーザ光および前記測定対象物の測定面から第二測定距離だけ離間して投光されるレーザ光の波長は、いずれも前記測定対象物に含まれる液体に吸収される波長を含む請求項5に記載の液体濃度測定方法。
- 前記第一測定距離T1は、以下の(a)から(d)の手順に従って設定される請求項8または請求項6に記載の液体濃度測定方法。
(a)前記測定対象物の搬送速度U、前記測定対象物の搬送方向から見た前記測定対象物の幅W、雰囲気の密度ρ、前記雰囲気の粘性μを用いて、以下の数1に基づいてレイノルズ数Reを算出する。
(b)算出されたレイノルズ数Reが以下の数2で示す関係を満たす場合には前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が層流であると判定し、算出されたレイノルズ数Reが以下の数3で示す関係を満たす場合には前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が乱流であると判定する。
(c)前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が層流であると判定された場合には以下の数4に基づいて境界層厚みδを算出し、前記測定対象物の測定面に対向する領域の流れ状態が乱流であると判定された場合には以下の数5に基づいて境界層厚みδを算出する。
(d)前記第一測定距離T1を、以下の数6で示す関係を満たす範囲に設定する。
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