JP5202257B2 - 人の姿勢動作判別装置 - Google Patents
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また、3軸加速度計を装着して、上下方向、前後方向、横方向の直交3軸の加速度変化から、歩行、走行、立位静止、転倒の各状態を判定する技術が示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記文献の技術では人の具体的な動作状態、特に安定状態なのか危険状態なのかを精度よく判定できず、信頼性に問題が残されていた。
例えば、特許文献3では、静的状態か動的状態か、安定状態か危険状態か、さらに静的、動的の内容を精度よく判定することで信頼性の高い動作状態監視システムを実現すべく、人体に加速度計を装着して、該加速度計により各測定軸から得られる加速度を測定し、所定時間における加速度の変化の大きさによって静的状態であるか動的状態であるかを判定し、動的状態と判定されたときは、さらに加速度の変化の大きさによって安定状態であるか危険状態であるかを判定する人の動作状態監視方法を提案してきた。
日本機械学会誌1996Vol.101No.950p14〜16
なお、日常生活において立位かつ微動だにしない直立不動状態は稀有であることから、この状態を判別する技術的意義はそれほど大きくはない。したがって、本発明で言うところの立位状態とは、この立位かつ微動だにしない直立不動状態を除いた状態を指し、具体的には立位ではあるが、歩行や走行の動的状態までは至らない微小な運動・活動をしている静的状態を指す。
すなわち、本発明は、互いに直交する測定軸であるX軸、Y軸およびZ軸を備える3軸の重力加速度計を、X軸が体の前後方向、Y軸が体の左右方向、Z軸が体の上下方向となるように人体に装着して、その人が歩行、走行、臥位、座位、および立位のいずれの状態にあるのかを判別する人の姿勢動作判別装置において、
(A)体の上下方向の加速度GZの周波数スペクトルを解析して、その周波数成分からスペクトルパワーのピーク値SZを演算する手段と、
(B)体の上下方向の加速度GZの移動平均値である姿勢成分GSZを演算する手段と、
(C)ピーク値SZが予め定めた閾値より大なるときは歩行と走行からなる動的状態と判別し、否のときは臥位と座位と立位からなる静的状態と判別する第1の判別手段と、
(D)ピーク値SZが予め定めた別の閾値より大なるときは走行状態と判別し、否のときは歩行状態と判別する第2の判別手段と、
(E)姿勢成分GSZが予め定めた閾値より小なるときは臥位状態と判別し、否のときは座位または立位状態と判別する第3の判別手段と、
(F)ピーク値SZが予め定めたさらに別の閾値より小なるときは座位状態と判別し、否のときは立位状態と判別する第4の判別手段を備えることを特徴とする人の姿勢動作判別装置である。
本発明においては、互いに直交する測定軸であるX軸、Y軸およびZ軸を備える3軸の重力加速度計を、X軸が体の前後方向、Y軸が体の左右方向、Z軸が体の上下方向となるように人体(被験者)に装着する。
ここで、3軸の重力加速度計としては、動きに伴う加速度と静的な傾きに伴う加速度の両方の検出が可能なタイプの3軸加速度センサを用いるのが望ましい。
また、3軸の重力加速度計の装着位置としては特に限定されるものではないが、動作の起点となり、動作や姿勢の変化に対して最も変化の見られる部位に装着することが望ましい。例えば、腰部、前腸骨棘下部、胸部、第二胸骨下部に装着するのが望ましい。
なお、周波数解析には高速フーリエ変換(FFT)を行うのが望ましく、本発明においては512ポイントでFFT解析しているが、これに限定されるものではない。
また、予め定めた周波数帯域における最小周波数成分からスペクトルパワーのピーク値SZを演算するようにしてもよく、この場合の周波数帯域としては0.6〜4Hzを用いるのが望ましい。
図1に示す例においては、第1の判別手段によって歩行と走行からなる動的状態と、臥位と座位と立位からなる静的状態のいずれの状態にあるのかを判別する。そして、前者の動的状態と判別したときは第2の判別手段に、一方、後者の静的状態と判別したときは第3の判別手段に移行する。
そして、第2の判別手段においては歩行と走行のいずれの状態にあるのかを判別し、第3の判別手段においては臥位状態にあるのか否か、すなわち、臥位状態にあるのか、それとも座位または立位の状態にあるのかを判別する。そして、否と判別したときは第4の判別手段に移行し、ここで座位と立位のいずれの状態にあるのかを判別する。
なお、前記したように本発明で言うところの立位状態とは、日常生活において稀有である立位かつ微動だにしない直立不動状態を除いた状態を指し、具体的には立位ではあるが、歩行や走行の動的状態までは至らない微小な運動・活動をしている静的状態を指す。
ここで、動的状態と静的状態の判別にピーク値SZを用いる理由について説明する。図2は、左から被験者10名がピーク値SZが最小となる静的動作、ピーク値SZが最大となる静的動作、ピーク値SZが最大となる動的動作、ピーク値SZが最小となる動的動作をしたときのピーク値SZをプロットした図であり、この図からピーク値SZを用いることによって動的状態と静的状態を判別できることがわかる。換言すると予め定めた閾値として例えば0.023を設定しておき、ピーク値SZがこれより大か小かの判定をするだけで動的状態と静的状態の判別をすることができる。
ここで、歩行状態と走行状態の判別にもピーク値SZを用いる理由について説明する。図3は、被験者10名が歩行と走行をしたときのピーク値SZをプロットした図であり、この図からピーク値SZを用いることによって歩行状態と走行状態を判別できることがわかる。換言すると予め定めた閾値として例えば0.12を設定しておき、ピーク値SZがこれより大か小かの判定をするだけで歩行状態と走行状態の判別をすることができる。
ここで、臥位状態にあるのか、それとも座位または立位の状態にあるのかの判別に姿勢成分GSZを用いる理由について説明する。図4は、被験者10名が臥位状態にあるときと、座位・立位の状態にあるときの姿勢成分GSZをプロットした図であり、この図から姿勢成分GSZを用いることによって臥位状態にあるのか、それとも座位または立位の状態にあるのかを判別できることがわかる。換言すると予め定めた閾値として例えば0.91を設定しておき、姿勢成分GSZがこれより大か小かの判定をするだけで臥位状態にあるのか、それとも座位または立位の状態にあるのかを判別することができる。
なお、図5は、被験者10名が仰臥位、腹臥位、左側臥位、右側臥位状態にあるときの姿勢成分GSXをプロットした図であり、この図から姿勢成分GSXを用いることによって仰臥位にあるのか腹臥位にあるのかを判別できることがわかる。
同様に、図6は、被験者10名が仰臥位、腹臥位、左側臥位、右側臥位状態にあるときの姿勢成分GSYをプロットした図であり、この図から姿勢成分GSYを用いることによって左側臥位にあるのか右側臥位にあるのかを判別できることがわかる。
ここで、座位状態と立位状態の判別にもピーク値SZを用いる理由について説明する。図7は、被験者10名が座位状態にあるときと立位状態にあるときのピーク値SZをプロットした図であり、この図からピーク値SZを用いることによって座位状態と立位状態を判別できることがわかる。換言すると予め定めた閾値として例えば0.0036を設定しておき、ピーク値SZがこれより大か小かの判定をするだけで座位状態と立位状態の判別をすることができる。
具体的には、本発明においては、X軸が体の前後方向、Y軸が体の左右方向、Z軸が体の上下方向となるように3軸の重力加速度計を人体に装着するが、実際には3軸の向きが完全に合うように装着することは不可能に近い。
また、加速度演算手段30としてはコンピュータ(電子計算機)を用いることができるし、ソフトウェアで実現することもできる。
また、判別結果を装置本体の外部に設置した外部機器に送信する無線通信手段70を備えることが望ましい。これにより、高齢者などの弱者が一人で外出するなど安心して自由に行動することができる。また、いざというときには迅速な救援活動を実施することも可能となる。したがって要介護者にも生きる喜びが与えられ、ひきこもりがちな要介護予備軍には社会的貢献の機会をもたらすことができ、さらには介護者の負担をも著しく軽減することができる。
BMI<26のとき 消費カロリー=BEE×SPZ (3/5)×2.94
BMI≧26のとき 消費カロリー=BEE×SPZ (4/5)×2.31
被験者が男性のとき BEE=66+(体重×13.7)+(身長×5.0)−(年齢×6.8)
被験者が女性のとき BEE=66.5+(体重×9.6)+(身長×1.7)−(年齢×7.0)
表1に示すようにこの回帰式を用いる算出方法は、ダクラスバック法を用いた消費カロリーの測定値と非常に近似する計算値を算出することを確認することができる。
なお、最小二乗法を用いたR二乗値については、被験者Aが0.9968、被験者Bが0.9485、被験者Cが0.9843、被験者Dが0.9882、そして被験者Eが0.9922であり、この値からもこの回帰式を用いる算出方法が、走行している被験者の消費カロリーの算出に非常に有効であることを確認することができる。
BMI<26のとき 消費カロリー=BEE×SPZ (3/5)×BMI/12
BMI≧26のとき 消費カロリー=BEE×SPZ (3/5)×BMI/18.1
表2に示すようにこの回帰式を用いる算出方法は、ダクラスバック法を用いた消費カロリーの測定値と非常に近似する計算値を算出することを確認することができる。
なお、最小二乗法を用いたR二乗値については、被験者Aが0.7753、被験者Bが0.8167、被験者Cが0.8704、被験者Dが0.9391、そして被験者Eが0.9249であり、この値からもこの回帰式を用いる算出方法が、歩行している被験者の消費カロリーの算出に非常に有効であることを確認することができる。
11 加速度センサ
12 A/Dコンバータ
20 加速度データ記憶手段
30 加速度演算手段
31 加速度データ補正手段
32 ピーク値SZ演算手段
33 姿勢成分GSX演算手段
34 姿勢成分GSY演算手段
35 姿勢成分GSZ演算手段
40 第1の判別手段
41 第2の判別手段
42 第3の判別手段
43 第4の判別手段
60 判別結果記憶手段
70 無線通信手段
Claims (1)
- 互いに直交する測定軸であるX軸、Y軸およびZ軸を備える3軸の重力加速度計を、X軸が体の前後方向、Y軸が体の左右方向、Z軸が体の上下方向となるように人体に装着して、その人が歩行、走行、臥位、座位、および立位のいずれの状態にあるのかを判別する人の姿勢動作判別装置において、
(A)体の上下方向の加速度GZの周波数スペクトルを解析して、その周波数成分からスペクトルパワーのピーク値SZを演算する手段と、
(B)体の上下方向の加速度GZの移動平均値である姿勢成分GSZを演算する手段と、
(C)ピーク値SZが予め定めた閾値より大なるときは歩行と走行からなる動的状態と判別し、否のときは臥位と座位と立位からなる静的状態と判別する第1の判別手段と、
(D)ピーク値SZが予め定めた別の閾値より大なるときは走行状態と判別し、否のときは歩行状態と判別する第2の判別手段と、
(E)姿勢成分GSZが予め定めた閾値より小なるときは臥位状態と判別し、否のときは座位または立位状態と判別する第3の判別手段と、
(F)ピーク値SZが予め定めたさらに別の閾値より小なるときは座位状態と判別し、否のときは立位状態と判別する第4の判別手段を備えることを特徴とする人の姿勢動作判別装置。
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