JP5201628B2 - 動物の血中ビタミンa濃度測定用の検量線を作成する方法、動物の血中ビタミンa濃度の測定方法、動物の血中ビタミンa濃度測定装置、プログラム、及び記録媒体 - Google Patents

動物の血中ビタミンa濃度測定用の検量線を作成する方法、動物の血中ビタミンa濃度の測定方法、動物の血中ビタミンa濃度測定装置、プログラム、及び記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、動物の血中ビタミンA濃度測定用の検量線を作成する方法、動物の血中ビタミンA濃度の測定方法、動物の血中ビタミンA濃度測定装置、プログラム、及び記録媒体に関し、より詳しくは、動物の瞳孔に光を照射して得られた青色〜緑色の反射光の強度と血中ビタミンA濃度との相関に基づいて検量線を作成する方法、当該検量線に基づいて動物の血中ビタミンA濃度を測定する方法、これを用いた血中ビタミンA濃度測定装置等に関するものである。
肉牛を肥育させる過程において、生後16ヶ月から1年程度、血中ビタミンAレベルを低くコントロールすることによって、脂肪交雑基準(BMS)を改善できることが知られている。この知見を基に、高級肉生産のために、餌によって血中ビタミンA濃度を調節する技術が現在一般農家で用いられている。
しかし、血中ビタミンA濃度の検査は、採血後に化学的方法によって行うものであり、煩雑であるため、農家にとっては大きな負担となっており、検査回数も多く取れないという問題がある。また、血中ビタミンA濃度の検査は、現在半年に一度程度行われているが、血中ビタミンA濃度が低くなりすぎるとウシがビタミンA欠乏症を示すため、簡便に、非侵襲で多数回の測定を行うことができる測定法が求められている。
血中ビタミンA濃度の検査を非侵襲的に行う方法としては、ウシの脂肪交雑と瞳孔反射速度、瞳孔の開き具合の縦横比等に基づいて血中ビタミンAレベルを推定する技術が報告されている(非特許文献1)。
また、牛のビタミンA欠乏状態を推定する器具として、はかりに連動したひも状部材で牛の肢を所定の張力で締めて食い込ませることにより、牛の肢の腫脹を測定する器具が開発されている(特許文献1)。
松田敬一ら、家畜診療、47巻4号、239〜244頁、2000年 特開2003−219747号公報(2003年8月5日公開)
非特許文献1に記載された方法は、遮光器で片目を覆い、10秒間遮光して散大させた瞳孔にライトを照射し、瞳孔が収縮するまでの時間(瞳孔反射速度)を計測して、瞳孔反射速度と血中ビタミンA濃度との相関に基づいて血中ビタミンA濃度を予測する方法である。
しかしながら、上記方法は、瞳孔を一旦散大させた後、収縮させる必要があるため、測定に時間がかかるという問題点がある。また、非特許文献1で開示されている相関係数は0.598および0.643であり、測定に時間がかかる割に、信頼性は未だ十分とは言えない。そのため、ウシを含めた動物の血中ビタミンA濃度を非侵襲で、簡便かつ高い信頼性で測定する技術が求められていた。
また、特許文献1に記載された器具は、ビタミンA欠乏状態を簡易に測定することができるのみであり、血中ビタミンA濃度を精度良く測定することができるものではない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、動物の血中ビタミンA濃度測定用の検量線を作成する方法、動物の血中ビタミンA濃度の測定方法、動物の血中ビタミンA濃度測定装置、プログラム、及び記録媒体を提供することにある。
本発明者は、動物の瞳孔に光を照射して得られた青色〜緑色の反射光の強度が血中ビタミンA濃度と高い相関性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる動物の血中ビタミンA濃度測定用の検量線を作成する方法は、少なくとも2頭以上の動物の瞳孔に光を照射し、上記瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度を測定するステップ1と、上記動物の血中ビタミンA濃度を測定するステップ2と、上記反射光の強度および上記血中ビタミンA濃度に基づいて検量線を作成するステップ3と、を含むことを特徴としている。
上記構成によれば、複数の動物の瞳孔によって反射された青色〜緑色の反射光の強度と、上記動物の血中ビタミンA濃度とが高い相関性を有することを示す検量線が得られるので、一度検量線を作成してしまえば、検査対象の動物の上記反射光の強度を上記検量線に当てはめるだけで、動物の血中ビタミンA濃度を簡便かつ非侵襲的に測定することができる。したがって、血中ビタミンA濃度の測定効率の向上に資することができる。
本発明にかかる動物の血中ビタミンA濃度の測定方法は、動物の瞳孔に光を照射し、上記瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度を測定するステップ1と、当該強度を本発明に係る検量線作成方法によって作成された検量線に対応させることによって、動物の血中ビタミンA濃度に換算するステップ2と、を含むことを特徴としている。
上記構成によれば、上記反射光の強度を測定し、当該強度を上記検量線に当てはめるだけで、血中ビタミンA濃度を測定することができる。それゆえ、動物から実際に採血する必要がなくなるので、血中ビタミンA濃度を短時間で、簡便に精度良く求めることができる。また、簡便であるがゆえに測定頻度を上げることもできるので、血中ビタミンA濃度を好ましい範囲に保つことが容易になる。したがって、血中ビタミンA濃度の減少に伴う欠乏症の発生を未然に防止しつつ、脂肪交雑基準を所望の値に保つことができるため、高級肉の生産を効率化することができる。
本発明にかかる動物の血中ビタミンA濃度測定装置は、動物の瞳孔に光を照射する光照射手段と、上記瞳孔によって反射された反射光のうち、波長400nm以上600nm以下の光を透過させる反射光透過手段と、当該反射光透過手段を透過した上記反射光の強度を測定する光強度測定手段と、上記光強度測定手段によって測定した上記反射光の強度を、本発明に係る方法によって作成された検量線に対応させることによって血中ビタミンA濃度に換算する換算手段と、を備えることを特徴としている。
上記構成によれば、血中ビタミンA濃度と高い相関性を有する青色〜緑色の反射光のみを光強度測定手段に導いて強度を測定し、これを検量線に当てはめて血中ビタミンA濃度に換算するので、非侵襲で簡便、迅速かつ高精度に血中ビタミンA濃度を測定することができる。したがって、従来手間のかかる作業であった動物の血中ビタミンA濃度の測定効率を大幅に改善することができ、高級肉の生産効率化に資することができる。
本発明にかかる動物の血中ビタミンA濃度測定装置は、動物の瞳孔に波長400nm以上600nm以下の光を照射する光照射手段と、上記瞳孔によって反射された反射光の強度を測定する光強度測定手段と、上記光強度測定手段によって測定した上記反射光の強度を、請求項1に記載の方法によって作成された検量線に対応させることによって血中ビタミンA濃度に換算する換算手段と、を備えることを特徴としている。
上記構成によれば、瞳孔に波長400nm以上600nm以下の光が照射されるので、瞳孔によって反射される反射光の波長も400nm以上600nm以下となる。よって、反射光透過手段を省略することができ、血中ビタミンA濃度測定装置の構成を簡略化することができる。
本発明にかかる動物の血中ビタミンA濃度測定装置は、さらに、少なくとも2頭以上の動物の瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度と、上記動物の血中ビタミンA濃度とに基づいて検量線を作成する検量線作成手段を備えることが好ましい。
上記構成によれば、検量線の作成から血中ビタミンA濃度の測定までを一台の装置で行うことができる。したがって、より効率的に血中ビタミンA濃度の測定を行うことができる。
本発明にかかるプログラムは、コンピュータを、少なくとも2頭以上の動物の瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度と、上記動物の血中ビタミンA濃度とに基づいて検量線を作成する検量線作成手段として機能させるためのプログラムであることを特徴としている。
また、本発明にかかるプログラムは、本発明にかかる動物の血中ビタミンA濃度測定装置を動作させるプログラムであって、コンピュータを上記換算手段として機能させるためのプログラムであることを特徴としている。
さらに、本発明にかかるコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明にかかるプログラムを記録した記録媒体である。
つまり、上記動物の血中ビタミンA濃度測定装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記検量線作成手段および/または上記換算手段として機能させるためのプログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に含まれる。
以上のように、本発明に係る動物の血中ビタミンA濃度測定用の検量線を作成する方法は、少なくとも2頭以上の動物の瞳孔に光を照射し、上記瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度を測定するステップ1と、上記動物の血中ビタミンA濃度を測定するステップ2と、上記反射光の強度および上記血中ビタミンA濃度に基づいて検量線を作成するステップ3と、を含むという構成である。それゆえ、血中ビタミンA濃度の測定効率の向上に資することができるという効果を奏する。
本発明の実施の形態について説明すれば以下のとおりであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1.動物の血中ビタミンA濃度測定用の検量線を作成する方法)
本発明に係る動物の血中ビタミンA濃度測定用の検量線を作成する方法は、少なくとも2頭以上の動物の瞳孔に光を照射し、上記瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度を測定するステップ1と、上記動物の血中ビタミンA濃度を測定するステップ2と、上記反射光の強度および上記血中ビタミンA濃度に基づいて検量線を作成するステップ3と、を含む方法である。
検量線作成のための母集団は、大きいほど精度の高い検量線を作成する上で好ましい。よって、上記「2頭以上」は、最低2頭は供試しなければ検量線を作成することができないため、下限を2頭に設定しているが、上限は特に限定されるものではなく、供試頭数は多いほど好ましい。
上記「動物」とは、特に限定されるものではないが、網膜の色が青色を示す動物であることが好ましい。本発明者は、ビタミンA欠乏症を示すウシの目の色が青いという傾向があることを独自に見出した。これは、目の色が網膜の色を反映するため、ビタミンA欠乏症の場合、網膜上の視神経の萎縮等によって、網膜の青い色が前面に反映されやすいことによるものと考えられる。本発明者は、この知見に基づいて、瞳孔からの波長400nm以上600nm以下の反射光の強度と血中ビタミンA濃度との相関性を見出した。よって、上記「動物」としては、網膜の色が青色を示す動物種であることが好ましい。なお、上記網膜の色素評価は、例えば解剖して網膜を目視することによって行うことができ、「網膜の色が青色を示す」とは、当該色素評価によって網膜の色が青色と判定されることをいう。このような動物としては例えばウシが挙げられる。
ウシの種類としては特に限定されるものではなく、黒毛和種、褐毛和種、無角和種、日本短角種、ホルスタイン種、ヘレフォード種、アバディーン・アンガス種などのウシを用いることができる。
また、上記動物は純系であってもよいし、2種以上を交雑させた交雑種であってもよい。瞳孔とは目において目の内側に入る光量を調節する円形の開口部をいい、大きさは明るさによって可変する。なお、瞳孔に光が照射されたということは、光を照射された時に動物が頭を動かすという現象や、光を照射された目と反対側の目を閉じるという現象を観察することによって確認することができる。
瞳孔へ光を照射する方法は特に限定されるものではない。例えば暗所のように、他の光の影響を考慮する必要のない場所で光を照射する場合、瞳孔に直接光を照射してもよい。一方、屋外や照明された室内などで光を照射する場合は、自然光や照明等の影響による測定誤差を防ぐため、外部の光が入らないように動物の目を遮光した状態で瞳孔に光を照射することが好ましい。例えば、後述するように、動物の目以上の大きさの中空部を有する黒色の筒の一端を血中ビタミンA濃度測定装置の端部に装着し、上記筒の他端を動物の目の外延部に固定して光を照射する方法を挙げることができる。
また、屋外や照明された室内などで光を照射する場合は、動物の目から例えば数cm離れたところから、例えばカメラのストロボ光のような強い光を瞳孔に一瞬照射し、その瞬間に瞳孔からの反射光の強度を測定する方法等を取ることもできる。当該方法は、上記筒を固定されることを動物が嫌う場合等に有用である。
なお、上記ステップ1では、瞳孔に光を照射し、上記瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度を測定する必要はあるが、瞳孔反射の速度を測定するものではないため、非特許文献1に記載された方法のように、上記遮光後に瞳孔が散大するのを待つ必要はない。
瞳孔に照射される光は可視光線であれば特に限定されるものではないが、本発明では、瞳孔による反射光のうち、400nm以上600nm以下の波長の光の強度を測定する必要があるため、瞳孔に照射する光の波長は、400nm以上600nm以下であることが好ましい。瞳孔に照射する光の波長を400nm以上600nm以下とするための方法は特に限定されるものではない。例えば、これらの波長の光を照射しうる光照射手段を用いる方法や、可視光線を照射可能な光照射手段から照射された種々の波長の光が混合された光を、従来公知の光学フィルタ等に通し、当該光学フィルタ等を透過した400nm以上600nm以下の光を瞳孔に照射する方法などを用いることができる。
瞳孔に照射する光の強度は、単一の強度であってもよいし、複数の強度の光を段階的に照射してもよい。光の照射時間は、瞳孔からの反射光を得られる限り、特に限定されるものではないが、動物に苦痛を与えないという観点から、1秒〜10秒であることが好ましく、1秒〜5秒であることがより好ましい。
瞳孔に光を照射する光照射手段は特に限定されるものではなく、従来公知の光照射手段を用いることができる。例えば蛍光灯のような線光源や、発光ダイオードのような点光源等を用いることができる。
本発明において、光を照射する瞳孔は片目の瞳孔だけであってもよいし、両目の瞳孔であってもよい。また、一頭の動物の瞳孔に照射する光は、単一の強度で片目または両目に照射してその反射光の強度を測定しても良いし、強度を変えて、弱い光および強い光を片目または両目に照射して反射光の強度の平均値を取っても良い。例えば、まず弱い強度の光を片目または両目に照射して反射光の強度を測定し、次いで強い強度の光を片目または両目に照射して反射光の強度を測定し、弱い強度の光を照射した場合の反射光の強度と、強い光を照射した場合の反射光の強度との平均値を取っても良い。
本発明では、上記瞳孔に照射され、反射された光のうち、瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度を測定する。本明細書では、瞳孔に光を照射した結果得られた反射光のうち、400nm以上600nm以下の光を「上記瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光」とする。
瞳孔に光を照射した結果得られた反射光から、波長400nm以上600nm以下の光を取得する方法は特に限定されるものではない。例えば、反射光の光路に、波長400nm以上600nm以下の光を透過しうる反射光透過手段を設置して透過光を取得する方法を挙げることができる。
また、瞳孔に照射する光の波長が400nm以上600nm以下である場合は、瞳孔によって反射される光の波長は400nm以上600nm以下となる。よって、この場合は、必ずしも上記反射光透過手段を設置する必要はないことになる。なお、上記反射光透過手段については、後述する。
上記反射光の強度を測定する方法は、特に限定されるものではない。例えば、従来公知のセンサなどの光強度測定手段を用いて強度を測定すればよい。光強度測定手段については後述する。
400nm以上600nm以下の波長の光は、可視光線の中で青色光を含む領域の光であり、血中ビタミンA濃度と相関性を有するため、強度を測定する対象として好ましい。上述のように、本発明者は、これらの波長を有する反射光は、血中ビタミンA濃度と相関性を有することを見出した。中でも、青色光が血中ビタミンA濃度と最も高い相関性を示すため、「400nm以上600nm以下」の範囲において、435〜480nmの光の強度を測定することが最も好ましく、480nmを超えて600nm以下の範囲では、青色光に近い波長の光ほど測定対象として好ましい。
上記ステップ2において動物の血中ビタミンA濃度を測定する方法は特に限定されるものではない。例えば、動物の頚静脈から採血し、日本ビタミン学会編、ビタミン学実験法
[I]脂溶性ビタミン(東京化学同人、1983)に記載された方法で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により血中ビタミンA濃度を求めることができる。
上記ステップ3では、波長400nm以上600nm以下の反射光の強度と、血中ビタミンA濃度とに基づいて最小二乗法などの回帰分析を行うことによって、検量線を得ることができる。上記検量線の作成に供される動物の集団としては、特に限定されるものではないが、検量線の精度を高めるためには、条件をできるだけ揃えることが好ましい。例えば、種、年齢、性別等の条件が同一の動物集団を用いるほど、検量線の精度は高くなる。
また、後述するように、上記反射光の強度はCCDカメラを用いて測定することもできる。この場合、瞳孔の変化を画像として残すことができるので、瞳孔による反射光の強度と血中ビタミンA濃度との相関を示す検量線のみならず、瞳孔による反射光の強度および瞳孔の形状変化と、血中ビタミンA濃度の相関を示す検量線を作成することが可能になる。そのため、検量線の精度をさらに向上させることが可能である。
また、上述のように、農家では餌による血中ビタミンA濃度の調節が一般的に行われているが、同じ方法で給餌を行っていても、血中ビタミンA濃度の変化には個体差がある。そこで、特定の個体について血中ビタミンA濃度をより正確に予測したい場合は、特定の個体について血中ビタミンA濃度の測定を一定期間継続的に行って血中ビタミンA濃度の経時的な変化を追跡し、ある条件の給餌を開始した後の時間と、瞳孔による反射光の強度と、血中ビタミンA濃度とに基づいた検量線を作成すれば、特定の個体についての血中ビタミンA濃度をより正確に予測することが可能となる。
(2.動物の血中ビタミンA濃度の測定方法)
本発明に係る動物の血中ビタミンA濃度の測定方法は、動物の瞳孔に光を照射し、上記瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度を測定するステップ1と、当該強度を本発明に係る方法によって作成された検量線に対応させることによって、動物の血中ビタミンA濃度に換算するステップ2と、を含む。
血中ビタミンA濃度を測定したい動物の瞳孔に対して、(1.)で説明したように光を照射し、上記範囲の波長を有する反射光の強度を、照度計等の光強度測定手段を用いて測定し、上記検量線に当てはめれば、当該強度を血中ビタミンA濃度に換算することができる。
よって、一度検量線を作成しておけば、動物から採血して血中ビタミンA濃度を測定することなく、簡便に短時間で血中ビタミンA濃度を測定することができる。また、上述のように、例えば、種、年齢、性別等の条件が揃っている動物集団を用いて、条件毎に検量線を作成しておけば、測定対象である動物の条件に合った検量線を使い分けることができるので、血中ビタミンA濃度測定の精度をさらに向上させることができ好ましい。
(3.動物の血中ビタミンA濃度測定装置)
一実施形態において、本発明に係る動物の血中ビタミンA濃度測定装置は、動物の瞳孔に光を照射する光照射手段と、上記瞳孔によって反射された反射光のうち、波長400nm以上600nm以下の光を透過させる反射光透過手段と、当該反射光透過手段を透過した上記反射光の強度を測定する光強度測定手段と、上記光強度測定手段によって測定した上記反射光の強度を、本発明に係る方法によって作成された検量線に対応させることによって血中ビタミンA濃度に換算する換算手段と、を備える。
さらに、少なくとも2頭以上の動物の瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度と、上記動物の血中ビタミンA濃度とに基づいて、検量線を作成する検量線作成手段を備えることが好ましい。
図1は、上記血中ビタミンA濃度測定装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示す実施形態において、本発明に係る血中ビタミンA濃度測定装置1は、光源(光照射手段)2、光学フィルタ(反射光透過手段)3、センサ(光強度測定手段)4、第1計算装置(検量線作成手段)5、第2計算装置(換算手段)6を備えて構成されており、光学フィルタ(反射光透過手段)3は可動可能となっている。また、センサ(光強度測定手段)4は受光部4aを備えている。
光源(光照射手段)2は、動物の瞳孔に光を照射するためのものである。光源(光照射手段)2の種類は特に限定されるものではなく、従来公知の光照射手段を用いることができる。例えば蛍光灯のような線光源や、発光ダイオードのような点光源等を用いることができるが、瞳孔による反射光のうち、波長が400nm以上600nm以下の波長の光を測定する必要があるため、400nm以上600nm以下の光を照射できる光源であることが好ましい。よって、中心波長が400nm以上600nm以下の光を照射できる光源であることが好ましい。なお、後述する実施例では、光源(光照射手段)2として、中心波長が470nmの光を照射するLED光源を用いている。
ただし、これに限られるものではなく、例えば、種々の波長の光が混合された光を光学フィルタ(反射光透過手段)3に入射させ、400nm以上600nm以下の光を透過させた後、瞳孔に照射してもよい。
また、必ずしも400nm以上600nm以下の光を照射しなければならない訳ではなく、種々の波長の光が混合された光を瞳孔にそのまま照射してもよい。この場合は、光学フィルタ(反射光透過手段)3を用いて、反射光から400nm以上600nm以下の光を取り出せばよい。
上記光源(光照射手段)2から照射される照射光の光路は、瞳孔に入射する限り特に限定されるものではないが、瞳孔の中心に入射するほど反射光を効率よく取得できるため好ましい。
上述のように、屋外や照明された室内などで光を照射する場合は、自然光や照明等の影響による測定誤差を防ぐため、外部の光が入らないように動物の目を遮光した状態で瞳孔に光を照射することが好ましい。例えば、動物の目より大きい直径を持つ中空部を備える黒色の筒(図示せず)の一端を血中ビタミンA濃度測定装置1の右端部に装着し、上記筒の他端を動物の目の外延部に固定して、光が漏れないように、光源(光照射手段)2から瞳孔に光を照射する方法を挙げることができる。上記筒は、動物に刺激を与えないように、ゴム、フェルト、スポンジなどの柔らかい素材で作られていることが好ましい。
瞳孔に照射する光の強度は、単一の強度であってもよいし、複数の強度の光を段階的に照射してもよい。よって、特に限定されるものではないが、光源(光照射手段)2は、光の強度を調節可能な構造であることが好ましい。
光の照射時間は、瞳孔からの反射光を得られる限り、特に限定されるものではないが、上述のように1秒〜10秒であることが好ましく、1秒〜5秒であることがより好ましい。
光学フィルタ(反射光透過手段)3は、瞳孔に照射された光の反射光から、波長400nm以上600nm以下の光を透過させるためのものである。図1において、光学フィルタ(反射光透過手段)3は、光源(光照射手段)2の右側に位置しているが、原則として反射光の透過時のみ反射光の光路に存在していればよい。そのため、光学フィルタ(反射光透過手段)3は可動可能になっており、光源(光照射手段)2から光を照射する時は、位置をずらすなどして光路から外すことができる。
ただし、種々の波長の光が混合された光を光学フィルタ等に入射させ、400nm以上600nm以下の光を透過させた後、瞳孔に照射する場合は、光学フィルタ(反射光透過手段)3を光の照射および反射の両方に使用することになるため、光学フィルタ(反射光透過手段)3は光路に固定しておけばよい。
反射光の透過時における光学フィルタ(反射光透過手段)3の位置は、特に限定されるものではなく、光源(光照射手段)2と動物の瞳孔の間であって、反射光を透過可能な位置であれば構わない。
図2は、上記血中ビタミンA濃度測定装置の構成の他の一例を示す模式図である。構成部材は、図1に示す装置と同じである。図2においては、光学フィルタ(反射光透過手段)3はセンサ(光強度測定手段)4の受光部4aをカバーし、かつ、光源(光照射手段)2からの照射光の光路に重ならない位置に設置されている。図2に示す上記装置は、例えば、光源(光照射手段)2からの照射光をそのまま瞳孔に照射し、反射光に対してのみ光学フィルタ(反射光透過手段)3を使用する場合に用いることができる。
上記光学フィルタ(反射光透過手段)3としては、例えば従来公知の光学フィルタ等を挙げることができる。従来公知の光学フィルタとしては、例えばロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、バンドパスフィルタ、ダイクロイックミラー等を用いることができる。これらの光学フィルタは、1種類を用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
本発明者は、波長400nm以上600nm以下の反射光の強度が、血中ビタミンA濃度と相関性を有することを見出した。中でも、青色光が最も血中ビタミンA濃度と高い相関性を示す。よって、光学フィルタ(反射光透過手段)3としては、400nm以上600nm以下の範囲内の光を透過できるものであれば特に限定されるものではないが、435〜480nmの光を透過可能な光学フィルタ(反射光透過手段)3を用いることがより好ましい。
他の実施形態において、上記血中ビタミンA濃度測定装置は、動物の瞳孔に波長400nm以上600nm以下の光を照射する光照射手段と、上記瞳孔によって反射された反射光の強度を測定する光強度測定手段と、上記光強度測定手段によって測定した上記反射光の強度を、請求項1に記載の方法によって作成された検量線に対応させることによって血中ビタミンA濃度に換算する換算手段と、を備えている。
この場合は、瞳孔に波長400nm以上600nm以下の光が照射されるので、瞳孔によって反射される反射光の波長も400nm以上600nm以下となる。よって、光学フィルタ(反射光透過手段)3を省略することができる。
上記他の実施形態に係る血中ビタミンA濃度測定装置は、さらに、少なくとも2頭以上の動物の瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度と、上記動物の血中ビタミンA濃度とに基づいて、検量線を作成する検量線作成手段を備えることが好ましい。
センサ(光強度測定手段)4は、瞳孔による反射光の強度を測定するためのものである。センサ(光強度測定手段)4としては、光の強度を測定できるものであれば特に限定されるものではなく、従来公知のセンサを用いることができる。例えば照度計を用いることが可能である。また、照度計の代わりに例えばCCDカメラを用いても良い。CCDカメラ内には元々光学フィルタが備えられているので、図1、2において光学フィルタ(反射光透過手段)3を別途設置する必要がなくなる。
センサ(光強度測定手段)4としてはその他に、フォトダイオード等、一般にフォトセンサと呼ばれるものであれば使用可能である。
センサ(光強度測定手段)4は、受光部4aで上記反射光を受光し、上記反射光の強度を測定後、当該強度に関するデータを、第1計算装置(検量線作成手段)5および第2計算装置(換算手段)6に伝達する。第1計算装置(検量線作成手段)5は、センサ(光強度測定手段)4によって測定された反射光の強度と、動物の血中ビタミンA濃度の実測値とに基づいて検量線を作成するためのものである。
第1計算装置(検量線作成手段)5としては、特に限定されるものではなく、光を照射された少なくとも2頭以上の動物の瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度と、上記動物の血中ビタミンA濃度とを入力可能であり、上記反射光の強度と上記動物の血中ビタミンA濃度とに基づいて最小二乗法などの回帰分析を行うことによって検量線を作成できるものであればよい。例えば従来公知のコンピュータを用いることができる。
第2計算装置(換算手段)6は、センサ(光強度測定手段)4によって測定された反射光の強度を、第1計算装置(検量線作成手段)5によって作成された検量線に対応させることによって血中ビタミンA濃度に換算するためのものである。第2計算装置(換算手段)6としては、特に限定されるものではなく、例えば従来公知のコンピュータを用いることができる。
このように、瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度と、上記動物の血中ビタミンA濃度とに基づいて検量線を作成しておけば、被検体の個々の動物について測定した上記反射光の強度を、当該検量線を用いて血中ビタミンA濃度に換算することができる。よって、動物から採血し、血中ビタミンA濃度を測定する方法と比べて、非侵襲で簡便かつ迅速に血中ビタミンA濃度の測定を行うことができる。また、非特許文献1に記載の方法のように、瞳孔の散大と縮小を待つ必要がないため、短時間での測定が可能である。さらに、相関係数が高いため、上記反射光の強度から、精度良く血中ビタミンA濃度を求めることができる。
以上の説明では、血中ビタミンA濃度測定装置1が第1計算装置(検量線作成手段)5を備えている場合について説明したが、第2計算装置(換算手段)6は、第1計算装置(検量線作成手段)5の機能を兼ね備えていても良い。この場合は、第1計算装置(検量線作成手段)5は不要であり、第2計算装置(換算手段)6が、検量線の作成、および、反射光の強度から血中ビタミンA濃度への換算までを行う。また逆に、第1計算装置(検量線作成手段)5が第2計算装置(換算手段)6の機能を兼ね備えていても良い。
また、検量線の作成は、血中ビタミンA濃度の測定に先立って行われる作業であるため、第1計算装置(検量線作成手段)5は、必ずしも本発明に係る血中ビタミンA濃度測定装置に備えられている必要はない。第1計算装置(検量線作成手段)5が備えられていない場合は、例えば、第2計算装置(換算手段)6に、本発明に係る方法に基づいて作成した血中ビタミンA濃度測定用の検量線のデータを別途入力し、センサ(光強度測定手段)4から伝達された反射光の強度のデータを第2計算装置(換算手段)6によって血中ビタミンA濃度に換算することができる。
上記実施形態において、血中ビタミンA濃度測定装置1に備えられる第1計算装置(検量線作成手段)5および第2計算装置(換算手段)6は、CPU等のプロセッサを用いてソフトウェアによって実現される。
すなわち、上記実施形態において、血中ビタミンA濃度測定装置1は、各機能(少なくとも2頭以上の動物の瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度と、上記動物の血中ビタミンA濃度とに基づいて検量線を作成する機能、および、上記光強度測定手段によって測定した上記反射光の強度を、上記検量線に基づいて血中ビタミンA濃度に換算する機能)を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。
そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである、第1計算装置(検量線作成手段)5および/または第2計算装置(換算手段)6の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、血中ビタミンA濃度測定装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって達成される。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、血中ビタミンA濃度測定装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムコードを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。
また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
また、血中ビタミンA濃度測定装置1の第1計算装置(検量線作成手段)5および/または第2計算装置(換算手段)6は、ソフトウェアを用いて実現されるものに限らず、ハードウェアロジックによって構成されるものであってもよく、処理の一部を行うハードウェアと当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うソフトウェアを実行する演算手段とを組み合わせたものであってもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
(測定例1)
表1に示す生後1年〜2年半の肉ウシ(黒毛和種;兵庫県立農林水産技術総合センター北部農業技術センター 畜産部)34頭を実験に供した。図2に示す血中ビタミンA濃度測定装置1の右端部に黒色のスポンジで作られた筒の一端を装着し、当該筒の他端をウシの目の外延部に密着させてウシの目が当該筒の中空部に入るようにし、光が当該筒の外に漏れないようにして、上記ウシの左目および右目の瞳孔に、中心波長470nmのLED光源(光照射手段)2(IMAC(株)製、モデルIDR−F70/37B)を用いて光を照射した。光は、LED光源(光照射手段)2の抵抗を変動させることによって二種類の強度に調整した。まず、弱い光をウシの瞳孔に照射し、以下のように反射光の強度を測定した後、強い光をウシの瞳孔に照射し、以下のように反射光の強度を測定した。
得られた反射光を、図3に示す分光特性を有する光学フィルタ(反射光透過手段)3(日本真空光学(株)製、型番506)に透過させ、透過光を上記装置1内に導き、上記装置1内に設置されたセンサ(光強度測定手段)4で反射光の強度を測定した。表1における「レベル1」とは、上記弱い光を照射したときの反射光の強度を示し、「レベル2」とは、上記強い光を照射したときの反射光の強度を示す。
センサ(光強度測定手段)4としては、照度計(可視光用フォトダイオード〔SP45ML〕、HARRIS製、ICL7136CPL)を用いた。図3は、測定例1および2で用いた光学フィルタ(反射光透過手段)3の分光特性を示すものである。34頭のウシについて、左目の瞳孔からの反射光強度の平均値(平均値1)と、右目の瞳孔からの反射光強度の平均値(平均値2)を計算し、さらに、平均値1と平均値2の平均値(平均値3)を計算した。その結果を表1に示す。
Figure 0005201628
このように瞳孔の反射光の強度を測定したウシの頚静脈から血液を10ml採取し、上述の「日本ビタミン学会編、ビタミン学実験法[I]脂溶性ビタミン(東京化学同人、1983)」に記載の方法を用いて血中ビタミンAの濃度を測定した。結果は表1に示した。
次に、上記反射光の強度として平均値3を用い、平均値3および血中ビタミンAの濃度のデータを、最小二乗法を用いて回帰分析し、血中ビタミンA濃度を横軸、反射光の強度を縦軸に取って検量線を作成した。図4は、当該検量線を示すものである。相関係数は0.8401であった。
このように、測定例1において上記反射光の強度と血中ビタミンA濃度との間には高い相関が見られ、瞳孔によって反射された青色光の強度を測定すれば、上記検量線に基づいて血中ビタミンA濃度を非侵襲で、簡便かつ高精度に予測することができることが分かる。
(測定例2)
表2に示す生後1年〜2年半の肉ウシ(黒毛和種;兵庫県立農林水産技術総合センター北部農業技術センター 畜産部)38頭を実験に供した。測定例1と同様に、図2に示す装置を用いて、血中ビタミンA濃度測定装置1の右端部に黒色のスポンジで作られた筒を装着し、当該筒の外周をウシの目の外延部に密着させてウシの目が当該筒の中空部に入るようにし、光が当該筒の外に漏れないようにして、上記ウシの左目および右目の瞳孔に、中心波長470nmの光をウシの瞳孔に照射した。なお、本測定例では、測定例1に記載した強い光と弱い光のうち、強い光のみを照射した。
得られた反射光を、図3に示す分光特性を有する光学フィルタ(反射光透過手段)3(日本真空光学(株)製、型番506)に透過させ、透過光を上記装置1内に導き、上記装置1内に設置されたセンサ(光強度測定手段)4で反射光の強度を測定した。38頭のウシについて、左目の瞳孔からの反射光強度と、右目の瞳孔からの反射光強度を測定し、これらの反射光強度の平均値(平均値4)を計算した。その結果を表2に示す。
Figure 0005201628
このように瞳孔の反射光の強度を測定したウシの頚静脈から血液を10ml採取し、上述の「日本ビタミン学会編、ビタミン学実験法[I]脂溶性ビタミン(東京化学同人、1983)」に記載の方法を用いて血中ビタミンAの濃度を測定した。結果は表2に示した。
次に、上記反射光の強度と血中ビタミンAの濃度のデータを最小二乗法を用いて回帰分析し、血中ビタミンA濃度を横軸、反射光の強度を縦軸に取って検量線を作成した。図5は、当該検量線を示すものである。相関係数は0.6224であった。
測定例2では、相関係数は測定例1より低かったが、照射した光の強度は単一であるため測定に要する時間は測定例1より短い。そのため、測定例1よりやや精度は劣るものの、血中ビタミンA濃度を非侵襲で、簡便に、より短時間で予測することができるため有用であるといえる。
本発明に係る動物の血中ビタミンA濃度測定用の検量線を作成する方法によれば、複数の動物の瞳孔によって反射された青色〜緑色の反射光の強度と、上記動物の血中ビタミンA濃度との高い相関性を示す検量線を得ることができるため、当該検量線を用いることによって、非侵襲的に、簡便、迅速かつ高精度に動物の血中ビタミンA濃度を測定することができる。よって、高級肉の生産効率化にとって非常に有用であり、畜産業全般に幅広く利用することが可能である。
図1は、本発明に係る血中ビタミンA濃度測定装置の構成の一例を示す模式図である。 図2は、本発明に係る血中ビタミンA濃度測定装置の構成の他の一例を示す模式図である。 図3は、測定例1および2で用いた光学フィルタの分光特性を示すものである。 図4は、測定例1において、平均値3および血中ビタミンAの濃度のデータを回帰分析して得られた検量線を示すものである。 図5は、測定例2において、平均値4および血中ビタミンAの濃度のデータを回帰分析して得られた検量線を示すものである。
符号の説明
1 血中ビタミンA濃度測定装置
2 光源(光照射手段)
3 光学フィルタ(反射光透過手段)
4 センサ(光強度測定手段)
4a 受光部
5 第1計算装置(検量線作成手段)
6 第2計算装置(換算手段)

Claims (9)

  1. 少なくとも2頭以上の動物の瞳孔に光を照射し、上記瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度を測定するステップ1と、
    上記動物の血中ビタミンA濃度を測定するステップ2と、
    上記反射光の強度および上記血中ビタミンA濃度に基づいて回帰分析を行うことによって、検量線を作成するステップ3と、を含むことを特徴とする動物の血中ビタミンA濃度測定用の検量線を作成する方法。
  2. 動物の瞳孔に光を照射し、上記瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度を測定するステップ1と、
    当該強度を請求項1に記載の方法によって作成された検量線に対応させることによって、動物の血中ビタミンA濃度に換算するステップ2と、を含むことを特徴とする動物の血中ビタミンA濃度の測定方法。
  3. 動物の瞳孔に光を照射する光照射手段と、
    上記瞳孔によって反射された反射光のうち、波長400nm以上600nm以下の光を透過させる反射光透過手段と、
    当該反射光透過手段を透過した上記反射光の強度を測定する光強度測定手段と、
    上記光強度測定手段によって測定した上記反射光の強度を、請求項1に記載の方法によって作成された検量線に対応させることによって血中ビタミンA濃度に換算する換算手段と、
    を備えることを特徴とする動物の血中ビタミンA濃度測定装置。
  4. 動物の瞳孔に波長400nm以上600nm以下の光を照射する光照射手段と、
    上記瞳孔によって反射された反射光の強度を測定する光強度測定手段と、
    上記光強度測定手段によって測定した上記反射光の強度を、請求項1に記載の方法によって作成された検量線に対応させることによって血中ビタミンA濃度に換算する換算手段と、
    を備えることを特徴とする動物の血中ビタミンA濃度測定装置。
  5. さらに、少なくとも2頭以上の動物の瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度と、上記動物の血中ビタミンA濃度とに基づいて回帰分析を行うことによって、検量線を作成する検量線作成手段を備えることを特徴とする請求項3または4に記載の動物の血中ビタミンA濃度測定装置。
  6. コンピュータを、少なくとも2頭以上の動物の瞳孔によって反射された波長400nm以上600nm以下の反射光の強度と、上記動物の血中ビタミンA濃度とに基づいて回帰分析を行うことによって、検量線を作成する検量線作成手段として機能させるためのプログラム。
  7. 請求項3から5のいずれか1項に記載の動物の血中ビタミンA濃度測定装置を動作させるプログラムであって、コンピュータを上記換算手段として機能させるためのプログラム。
  8. 請求項6または7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  9. 請求項6に記載のプログラムおよび請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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