JP5199666B2 - 白血病を治療するための組成物および方法 - Google Patents

白血病を治療するための組成物および方法 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、哺乳動物における新形成を治療するための方法および組成物、特に白血病を治療するためのリポソーム薬物製剤に関する。
関連技術の説明
新しい治療方法の開発に向けた長年の研究にも関わらず、血液悪性腫瘍は現在の治療計画によって十分に対処されていない。さらに、白血病およびリンパ腫は、人口のかなりの割合を冒している。例えば、米国では、55,000例を超える非ホジキンリンパ腫(MHL)の症例を含めて、60,000人以上の人々が毎年リンパ腫と診断されており、これらの数は絶えず増大している。さらに、白血病患者およびリンパ腫患者の生存率は依然として低いため、これらの疾患に罹患した患者の予後は悪い場合が多い。これらの疾患を治療するための新しい方法が必要とされていることは明らかである。
リンパ腫の慣習的な治療は典型的に、リンパ腫の種類および患者の病歴に依存するが、多くのリンパ腫の一次治療は典型的に化学療法を含む。そのような化学療法は、化合物の「混合物」、例えばシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニソンを含む製剤CHOPの投与を伴う場合が多い。さらに、ある種の一次癌治療はまた、放射線療法のようなその他の形態の癌療法も含む。
同様に、急性リンパ性白血病とも称される急性リンパ芽球性白血病(ALL)などの白血病を有する患者においても、治療は典型的に併用化学療法を含む。ALLの治療に用いられる併用療法は、高い頻度で薬剤L-アスパラギナーゼ、ビンクリスチン、コルチコステロイド、およびアントラサイクリンを含む。アントラサイクリンを含む組み合わせ(例えば、ビンクリスチン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、およびデキサメタゾンを含むVAD)は、完全奏功率を改善することが報告されているが、特に高齢のALL患者では心毒性が依然として大きな懸念事項である。重大な生死に関わる毒性をもたらさずに高い奏功率を提供し得る、より効率的な薬剤および組み合わせが必要とされとされていることは明らかである。
多くの症例において、患者はこのような一次治療に最初は応答するが、その後再発する、すなわち腫瘍が再出現するかまたは増殖を再開する。このような再発後、患者は多くの場合さらなる化学療法による、例えばCHOPまたはその他の製剤による治療を受ける。症例によっては、患者は骨髄移植などのその他の手順による治療を受ける。この場合もやはり、多くの症例において、患者はこのような付加的な治療に最初は応答するが、その後再び再発する。一般的に、患者が再発する回数が多いほど、その後の最適な治療に関して当技術分野に存在する取り決めは少ない。他の症例では、患者は最初でさえ治療に全く応答できず、したがって難治性癌を有すると称される。このような場合も同様に、その後の最適な治療に関して、当技術分野における取り決めはほとんど存在しない。
「ビンカアルカロイド」と称される、ニチニチソウ植物(ニチニチソウ(Vinca rosea))から単離されるアルカロイドは、多くの種類のリンパ腫、白血病、およびその他の癌の一次治療に有効であることが証明されている。このようなビンカアルカロイドの1つであるビンクリスチンは、一般的な化学療法併用療法であるCHOPおよびVAD中に含まれている。微小管を脱重合し、それによって細胞増殖を阻害するビンクリスチンは、CHOPおよびVAD中ではその遊離型として投与される。
リポソーム封入ビンクリスチンが報告されている(例えば、米国特許第5,741,516号(特許文献1)または米国特許第5,714,163号(特許文献2)を参照されたい)。特に、これらの特許は、コレステロールに加えて、ホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、またはスフィンゴミエリン中に封入されたビンクリスチンの使用について論じている。リンパ腫および白血病を含む新形成の治療におけるリポソームビンクリスチンの使用もまた、広く記載されている(例えば、米国特許第6,723,338号(特許文献3)を参照されたい)。
一般的に、脂質封入薬物製剤は、従来の薬物送達法を上回る利点を提供し得る。例えば、いくつかの脂質ベース製剤は、インビボでのより長い半減期、優れた組織標的化、および毒性の低減を提供する。特定の白血病およびリンパ腫を含むある種の癌では、これらの特性は有利であり得る。脂質ベースの薬物送達媒体の製剤化については、多くの方法が記載されている(例えば、米国特許第5,741,516号(特許文献4)を参照されたい)。しかしながら、当技術分野においては、ALLを含む多くの白血病およびリンパ腫を治療するための、リポソーム薬物製剤およびこれらリポソーム薬物製剤を含む併用療法の必要性が残っている。
米国特許第5,741,516号 米国特許第5,714,163号 米国特許第6,723,338号 米国特許第5,741,516号
発明の概要
リポソーム封入ビンカアルカロイド、例えばビンクリスチンなどが、白血病の治療に関して、デキサメタゾンとの併用において特に有効であることがここに発見された。したがって、本明細書において、白血病を治療するための組成物および方法を提供する。
1つの態様において、本発明は、哺乳動物の白血病を治療する方法であって、リポソーム封入ビンカアルカロイドを含む薬学的組成物をデキサメタゾンと併用して哺乳動物に投与する段階を含む方法を提供する。
種々の態様において、白血病は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、または骨髄異形性症候群である。
特定の態様において、ビンカアルカロイドは、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、またはビンデシンである。他の態様において、リポソームは、ジステアロイルホスファチジルコリンまたはスフィンゴミエリンを含む。別の態様において、リポソームはコレステロールをさらに含む。さらなる別の関連態様において、リポソームはpH勾配を含む。別の態様において、リポソームの内部のpHは外部のpHよりも低い。
1つの特定の態様において、哺乳動物はヒトである。1つの態様において、治療は一次治療である。別の態様において、哺乳動物は、以前に少なくとも1回の化学療法治療を受けている。特定の態様において、以前の化学療法治療は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、またはビノレルビンなどの遊離型ビンカアルカロイドの投与を含んでいた。他の態様において、化学療法治療は、アントラサイクリン含有併用療法を含んでいた。1つのこのような態様において、アントラサイクリンはドキソルビシン、イダルビシン、またはダウノルビシンであった。別の態様において、哺乳動物は、癌の再発前に、化学療法に対して部分応答または完全応答を示した。別の態様において、再発は二次再発である。
さらなる態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドは、静脈内送達により全身に投与される。1つの態様において、リポソーム封入ビンクリスチンは、デキサメタゾンと同時投与される。別の態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドは、ガバペンチン(Neurotonin(商標))などの神経毒性に対する予防的または治療的処置と同時投与される。
さらなる別の態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドは、7〜21日に1回哺乳動物に投与され、関連態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドは、7日に1回または14日に1回投与される。別の態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドは、約1.4〜約2.4 mg/m2または約1.4〜約1.8 mg/m2の範囲に入る用量で投与される。関連態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドは、1.4〜2.4 mg/m2または1.4〜2.8 mg/m2の範囲に入る用量で投与される。
ある種の態様において、本発明は、癌の慣用的治療方法に関する改善を提供する。特に、本発明は、リポソーム封入ビンカアルカロイド、例えばビンクリスチンなど(または別のリポソーム封入治療薬)をデキサメタゾンと併用して哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物の白血病を治療する方法を提供する。
本明細書に記載の製剤、および本明細書に記載の製剤を調製するためのもの、ならびにそれらの使用に関する説明書を含むキットもまた含まれる。
本発明また、白血病を含む新形成を治療するための医用薬剤の調製におけるリポソーム封入ビンカアルカロイドの使用を提供する。ある種の使用において、白血病は急性リンパ芽球性白血病(ALL)である。ある種の使用において、新形成は、再発性、緩徐進行型、侵攻性、または形質転換型新形成、例えば非ホジキンリンパ腫である。特定の使用において、医用薬剤は新形成の一次治療として使用される。好ましい使用において、ビンカアルカロイドはビンクリスチンである。他の好ましい使用において、ビンカアルカロイドは、例えば約1.4〜約2.4 mg/m2、約1.4〜約2.8 mg/m2、1.4〜2.4 mg/m2、または1.4〜2.8 mg/m2の用量で医用薬剤中に存在し、7〜21日、好ましくは14日または7日に1回投与される。
さらに別の態様において、本発明は、リポソーム封入ビンカアルカロイドを含む薬学的組成物をステロイドと併用してヒトに投与する段階を含む、ヒトの再発性癌を治療する方法であって、再発性癌が白血病である方法を提供する。特定の態様において、ビンカアルカロイドは、ビンクリスチン、ビノレルビン、またはビンブラスチンである。1つの態様において、ビンクリスチンは、1.4〜2.4 mg/m2または1.4〜2.8 mg/m2の用量で投与される。関連態様において、ステロイドはデキサメタゾンである。さらなる別の態様において、デキサメタゾンは25〜75 mgの用量で投与され、1つの態様においては40 mgの用量で投与される。ある種の態様において、リポソームはスフィンゴミエリンおよびコレステロールを含む。特定の態様において、スフィンゴミエリンとコレステロールの比は、75/25(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)と50/50(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)の間であるか、または約55/45(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)である。別の態様において、白血病は急性リンパ芽球性白血病(ALL)である。
関連態様において、本発明は、リポソーム封入ビンカアルカロイドを含む薬学的組成物をステロイドと併用してヒトに同時投与する段階を含む、ヒトの急性リンパ芽球性白血病(ALL)を治療する方法をさらに提供する。特定の態様において、ビンカアルカロイドは、ビンクリスチン、ビノレルビン、またはビンブラスチンである。ある種の態様において、ビンクリスチンは、1.4〜2.4 mg/m2または1.4〜2.8 mg/m2の用量で投与される。他の態様において、ビンクリスチンは1.4 mg/m2を超える用量で、または2.0もしくは2.5 mg総用量に用量制限することなく投与される。関連態様において、ステロイドはデキサメタゾンまたはプレドニゾンである。さらなる別の態様において、デキサメタゾンは25〜75 mgの用量で投与され、1つの態様においては40 mgの用量で投与される。ある種の態様において、リポソームはスフィンゴミエリンおよびコレステロールを含む。特定の態様において、スフィンゴミエリンとコレステロールの比は75/25(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)と50/50(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)の間であるか、または55/45(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)である。
本発明は、リポソーム封入ビンクリスチンを含む薬学的組成物をデキサメタゾンと併用してヒトに同時投与する段階を含む、ヒトの急性リンパ芽球性白血病を治療する方法をさらに提供する。1つの特定の態様において、リポソームは、スフィンゴミエリンとコレステロールを75/25(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)と50/50(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)の間、または55/45(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)の比で含む。別の態様において、ビンクリスチンは、1.4〜2.4 mg/m2または1.4〜2.8 mg/m2の用量で投与される。他の態様において、ビンクリスチンは1.4 mg/m2を超える用量で、または2.0もしくは2.5 mg総用量に用量制限することなく投与される。さらなる別の態様において、デキサメタゾンは25〜75 mgの用量で投与され、1つの態様においては40 mgの用量で投与される。特定の態様において、ALLは再発性または難治性ALLである。他の態様において、治療は一次治療である。本発明の方法の種々の態様において、このような方法はアントラサイクリンの投与をさらに含まない。
定義
「新形成」とは、本明細書で使用する場合、細胞の任意の異常な増殖、腫瘍、悪性浸出液、疣、ポリープ、非固形腫瘍、嚢胞、およびその他の増殖を指す。新形成の部位は種々の細胞種を含み得り、これには、新生物細胞、血管内皮、またはマクロファージおよび白血球のような免疫系細胞などが含まれるが、これらに限定されない。
哺乳動物の「癌」とは、細胞の異常な無制御増殖によって引き起こされる多くの状態のいずれかを指す。「癌細胞」と称される癌を引き起こし得る細胞は、無制御増殖、不死性、転移能、急速な成長および増殖速度、ならびにある種の典型的な形態学的特徴などの多くの特徴的な性質を有する。多くの場合、癌細胞は腫瘍の形態をしているが、このような細胞はまた哺乳動物内で単独で存在する場合もあれば、または白血病細胞のような非腫瘍形成癌細胞である場合もある。癌は多くの方法のいずれかにより検出することができ、これには、1つまたは複数の腫瘍の存在の検出(例えば、臨床的または放射線学的手段による)、腫瘍内のまたは別の生物試料に由来する(例えば、組織生検に由来する)細胞の検査、癌を示す血液マーカー(例えば、CA125、PAP、PSA、CEA、AFP、HCG、CA 19-9、CA 15-3、CA 27-29、LDH、NSEなど)の測定、および癌を示す遺伝子型(例えば、TP53、ATMなど)の検出が含まれるが、これらに限定されない。しかしながら、1つまたは複数の上記の検出法における陰性結果は癌の不在を必ずしも示さず、例えば癌治療に対して完全応答を示した患者であっても、その後の再発によって明らかなように依然として癌を有し得る。
「全身送達」とは、本明細書で使用する場合、生物内での化合物の広範な体内分布をもたらす送達を指す。全身送達とは、有用量の、好ましくは治療量の化合物が身体の大部分に曝露されることを意味する。広範な体内分布を得るには、一般的に、疾患部位に達する前に化合物が迅速に分解または排除されない(例えば、初回通過器官(肝臓、肺など)により、または迅速な非特異的細胞結合により)ような導入経路を必要とする。リポソーム封入ビンカアルカロイドの全身送達は、好ましくは静脈内送達により得られる。
「リンパ腫」とは、リンパ系におけるB細胞またはT細胞の悪性増殖を指す。「リンパ腫」には、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む多くの種類の悪性増殖が含まれる。
「非ホジキンリンパ腫」とは、ホジキンリンパ腫(例えば、癌領域におけるリード・ステルンベルグ細胞の存在を特徴とする)ではない、リンパ系におけるB細胞またはT細胞の悪性増殖を指す。非ホジキンリンパ腫は29を上回る種類のリンパ腫を含み、それらの間の区別は癌細胞の種類に基づいている。特定の分類は、ワーキングフォーミュレーション(Working formulation)、ラッパポート分類、およびREAL分類など、使用する特定の分類方式に依存する。好ましい態様において、REAL分類が用いられる。
「白血病」とは、骨髄および/または血液中での血液細胞の悪性増殖を指す。白血病には3つの主要な種類が存在する:(1) 骨髄中の未熟な形態のリンパ性白血球によって特徴づけられ、最もよく見られる小児癌である、急性リンパ芽球性白血病(ALL);(2) 骨髄が骨髄型の未熟細胞を含む、急性骨髄性白血病(AML)(毎年10,000例の新たな症例があると推定されている、急性前骨髄球性白血病またはAPLはAMLの亜型である);(3) 血液中の多数の顆粒球の存在を特徴とする、中程度に進行型の白血病である、慢性骨髄性白血病(CML)。
「再発癌」、白血病、またはリンパ腫とは、前の治療に応答した前の完全寛解または部分寛解後に再発した癌またはリンパ腫を指す。再発は、臨床的、放射線学的、もしくは生化学的アッセイにより、または癌マーカーのレベルの増加により検出される腫瘍の再出現または再増殖を含む、任意の方法で明確にされ得る。前の治療には、化学療法、放射線療法、および骨髄移植が含まれ得るが、これらに限定されない。
「緩徐進行型」非ホジキンリンパ腫は、増殖遅延型のリンパ腫を含む1つの分類である。これは、ワーキングフォーミュレーションにおいて低悪性度と称されるもの、および中悪性度NHLのいくつかのカテゴリーを含む。緩徐進行型NHLは、化学療法および放射線療法などの慣用的癌療法に応答しない場合がある。
「形質転換型」非ホジキンリンパ腫は、侵攻性局面を獲得し、標準的化学療法により応答性となる緩徐進行型NHLを説明するために時として用いられる1つの分類である。
「難治性癌」または「難治性リンパ腫」を有する患者とは、初回の併用化学療法において完全寛解を達成できなかった患者、またはその後の化学療法において完全寛解もしくは部分寛解を達成できなかった患者である。「原発性難治性」患者とは、最初の治療でも完全寛解を達成できなかった患者である。
「安定疾患」とは、療法が、通常の臨床的、放射線学的、および生化学的手段によって測定される、1つもしくは複数の腫瘍の増殖または蔓延の休止をもたらすが、1つもしくは複数の腫瘍の大きさもしくは蔓延の退行または低減が認められない状態、すなわち程度または重症度が増減しない癌である。
「部分応答」または「部分寛解」とは、腫瘍の大きさおよび/または癌マーカーレベルによって測定される癌性状態の、治療に応答した改善を指す。典型的には、「部分応答」とは、腫瘍の大きさまたは腫瘍表示血液マーカーのレベルが、治療に応答して約50%低減したことを意味する。治療は癌に対する任意の治療であってよいが、この治療には典型的に、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、外科手術、細胞または骨髄移植、免疫療法などが含まれる。腫瘍の大きさは、臨床的または放射線学的手段によって検出され得る。腫瘍表示マーカーは、当業者に周知の手段によって、例えばELISAまたはその他の抗体ベースの試験によって検出され得る。
「完全応答」または「完全寛解」とは、例えば腫瘍の大きさおよび/または癌マーカーレベルによって測定される癌性状態が、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、外科手術、細胞もしくは骨髄移植、または免疫療法などの治療後に消失したことを意味する。腫瘍の存在は、臨床的または放射線学的手段によって検出され得る。腫瘍表示マーカーは、当業者に周知の手段によって、例えばELISAまたはその他の抗体ベースの試験によって検出され得る。しかしながら、完全応答の後に再発が起こり得るので、「完全応答」は癌が治癒したことを必ずしも示さない。
「化学療法」とは、癌細胞の成長、増殖、および/または生存を阻害する化学物質の投与を指す。このような化学物質は、多くの場合、細胞の増殖または分裂に必要な細胞内過程に向けられ、したがって一般的に急速に増殖および分裂する癌細胞に対して特に有効である。例えば、ビンクリスチンは微小管を脱重合し、したがって細胞が有糸分裂に入るのを阻害する。一般的に、化学療法は、癌細胞または癌化する可能性が高い細胞を阻害するか、または阻害するよう設計された任意の化学的物質を含み得る。このような物質は、例えば製剤CHOP中などで併用して投与される場合が多く、そのように併用して最も有効である場合が多い。
「放射線療法」とは、癌を有する動物への放射能の投与を指す。放射線は、癌細胞のような分裂中の細胞を死滅させるか、またはそのような細胞の増殖を阻害する。
「外科手術」とは、動物からの細胞、例えば癌細胞の直接的な除去または切除である。最も頻繁には、癌細胞は腫瘍(例えば、リンパ腫に起因する)の形態をしており、これが動物から除去される。
「ホルモン療法」とは、エストロゲンまたはアンドロゲンなどの、細胞に対して分裂促進効果を有するホルモンを妨げるかまたは阻害する化合物の投与を指す。多くの場合、これらのホルモンは、インビボにおいて癌細胞の癌性特性を増大するよう作用する。
「免疫療法」とは、動物内の癌細胞を破壊する、動物の免疫系の能力を強化する方法を指す。
「遊離型」治療薬、または「遊離」治療薬とは、リポソームに封入されていない治療薬を指す。通常、薬物は、特記されない限り「遊離しているかまたは「遊離型」であると推定される。しかしながら、遊離型のビンカアルカロイドは、他の化学療法化合物、薬学的担体、または錯化剤などの他の試薬と組み合わせて存在し得り、すなわち本用語は本明細書で用いる場合、ビンカアルカロイドの脂質製剤を具体的に排除するにすぎない。
発明の詳細な説明
本発明は、患者における新形成を治療する方法を提供する。本発明は、リポソーム封入ビンカアルカロイドがデキサメタゾンとの併用において予想外に良好に許容され、非常に効果的であるという驚くべき発見に基づいている。特に、リポソーム封入ビンクリスチンが、デキサメタゾンとの併用において、重篤な毒性を誘発することなく、週に1度のスケジュールで高用量で投与され得るという驚くべき発見がなされた。1つの態様において、スフィンゴミエリンおよびコレステロールベースのリポソーム中に封入されたビンクリスチンは、白血病、特に急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療に用いられる。したがって本発明は、とりわけ、白血病を治療する方法を提供する。
デキサメタゾンと併用したリポソーム封入ビンカアルカロイドは、白血病の一次治療において、または以前の白血病療法後に再発した患者を治療するために使用され得る。
本発明はさらに、白血病を治療するための、デキサメタゾンと併用したリポソームビンカアルカロイドの用量および投与スケジュールを提供する。
脂質封入ビンカアルカロイドで治療可能な癌
本明細書に記載の方法を使用して、任意の種類の癌を治療することができる。例えば、これらの方法は、リンパ腫、白血病、および骨髄腫を含む、血液およびリンパ系の癌、例えば血液およびリンパ系の癌に適用される。
好ましい態様において、本方法は、多くの白血病のいずれかを治療するために用いられる。例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、および骨髄異形性症候群は、本明細書に記載の方法を用いて治療することができる。実際に、任意の急性型、慢性型、骨髄型、およびリンパ型の疾患を、本発明の方法を用いて治療することができる。本明細書に記載の方法はまた、成人型および小児型の疾患を含む任意の形態の白血病にも適用される。特定の態様において、本方法は、成人または小児患者のALLを治療するために用いられる。本発明の方法に従って治療され得る白血病の他の種類には、www.leukemia.orgにおいて米国白血病協会(Leukemia Society of America)によって記載されているものが含まれる。
さらに、本明細書に記載の方法および組成物は、リンパ腫の治療において適用を有する。このようなリンパ腫には、低悪性度、中悪性度、および高悪性度リンパ腫、ならびにB細胞およびT細胞リンパ腫が含まれるが、これらに限定されない。これらのカテゴリーに含まれるのは、種々の種類の小細胞、大細胞、切れ込み細胞型、リンパ球性、濾胞性、びまん性、バーキット、マントル細胞、NK細胞、CNS、AIDS関連、リンパ芽球性、成人リンパ芽球性、緩徐進行型、侵攻性、形質転換型、およびその他の種類のリンパ腫である。本発明の方法は、成人型または小児型のリンパ腫、および任意の病期、例えばI、II、IIIまたはIV期のリンパ腫に用いることができる。種々の種類のリンパ腫は当業者に周知であり、例えば米国癌協会(American Cancer Society)(例えば、www3.cancer.orgを参照されたい)によって記載されている。
急性リンパ芽球性白血病(ALL)は小児の最もよく見られる悪性疾患であり、小児癌全体のほぼ1/3を示すが、ALLは成人でも発症する。ALLは、急性リンパ性白血病および急性リンパ芽球性白血病を含むいくつかの名称で称され得る。ALLの年間発症率は人口100万人当たり約30症例であり、2〜5歳の患者に発症率のピークが存在する。症例のわずかな割合は遺伝による遺伝子症候群であるが、ALLの原因は大部分が不明なままである。任意の特定の理論に縛られることは望まないが、ALLの多くの症例では、リンパ前駆細胞が遺伝的に変化し、その後、調節不全増殖およびクローン増殖を起こすと考えられている。大部分の症例では、形質転換したリンパ球細胞の病態生理は、B細胞およびT細胞の正常な発達に寄与する産物の遺伝子の発現変化を反映している。ALLは一般的に骨髄で起こると考えられているが、白血病性芽球は提示期には、骨髄、胸腺、肝臓、脾臓、リンパ節、精巣、および中枢神経系(CNS)中を含む、全身に存在し得る。
ALLは種々の発達段階にある幼若リンパ球から発生し得り、異なる亜型のALLを生じる。主要な亜型は免疫表現型検査によって同定され、これにはTリンパ球型およびBリンパ球型が含まれる。さらに、B細胞型は、前駆B細胞型になお分類され得る。これらの特徴が決定された時点で、亜型は、急性Tリンパ芽球性白血病または急性前駆(またはプレ)B細胞リンパ芽球性白血病と称され得る。ALL亜型を分類する上で有用なマーカーの一例は、CD 10とも称される共通ALL抗原、cALLaである。
転帰の全体的な改善にもかかわらず、白血病性芽球細胞がBCR-ABL融合(t[9;22]により生じる)またはMLL遺伝子再編成(11q23を含む転座によって生じる)を有する患者の予後は不良であり、無再発生存率(EFS)は約30%のみであると推定される。事実、最近まで、第1寛解期における同種造血幹細胞移植(HSCT)は、これら2群の患者の唯一の治癒的治療の選択肢であると考えられていた。
神経芽細胞腫、骨髄腫、前立腺癌、小細胞肺癌などを含むさらなる種類の癌もまた、本明細書に記載の方法を用いて治療することができる。
一次治療
本発明の多くの態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドは、癌の一次治療として用いられる。好ましい態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドは、白血病、特に急性リンパ芽球性白血病(ALL)を治療するために用いられる。本明細書で用いる場合「一次治療」とは、再発性または難治性癌と対照的に、癌を初めて呈する患者のための初回治療を指す。
このような態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドは、単独で、または1つもしくは複数のさらなる治療薬と併用して使用され得る。ある種の態様において、さらなる治療薬はステロイドである。1つの態様において、それはデキサメタゾンである。
再発型または難治型の疾患
本方法はまた、原発型、再発型、形質転換型、または難治型の癌を治療するために用いることができる。多くの場合、再発癌患者は、化学療法、放射線療法、骨髄移植、ホルモン療法、外科手術などを含む1つまたは複数の治療を受けている。このような治療に応答する患者では、患者は安定疾患、部分応答(すなわち、腫瘍または癌マーカーレベルが少なくとも50%低減する)、または完全応答(すなわち、腫瘍およびマーカーが検出不能になる)を示し得る。これらのシナリオのいずれかにおいて、癌はその後再出現し、癌の再発を示し得る。
ある種の態様において、本明細書中に提供する方法は、癌の治療過程を1度受け、そのような治療に部分的にまたは完全に応答し、その後再発した患者を治療するために用いられる。他の態様において、2回以上の治療過程を受け、2回以上応答し、その後2回以上再発した患者が治療される。以前の治療過程には、化学療法、放射線療法、骨髄移植などを含む任意の抗癌治療が含まれ得る。
本発明のある種の態様において、リポソームアルカロイドが、「抵抗性」癌、すなわち治療に対する完全応答を以前に示したが、それ以降2回目またはその後の治療過程に対して抵抗性を示す癌に対して用いられる。
ビンカアルカロイドおよびその他のアルカロイド
本発明は、ビンカアルカロイドを含む任意の天然アルカロイド、または天然アルカロイドの任意の合成誘導体の使用を含み得る。ビンカアルカロイドには、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンドリン、ビンデシン、ビンロイロシン(vinleurosine)、ビンロシジン(vinrosidine)、ビノレルビン、またはそれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビンドリンに関しては、Merck Index, 11th Edition (1989) entries 9887, 9891, and 9893を参照されたい)。その他の適切なアルカロイドの例には、ポドフィリン、ポドフィロトキシン、およびそれらの誘導体(例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシドなど)、カンプトテシン(例えば、イリノテカン、トポテカンなど)、タキサン(タキソールなど)、およびそれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない。上記の化合物はすべて当業者に周知であり、市販供給元から、合成により、または天然供給源からの精製により容易に入手することができる。
特定の態様において、本発明に用いられるビンカアルカロイドはビンクリスチンである。硫酸ロイロクリスチン(leurocristine)、22-オキソビンカロイコブラスチン、キョークリスチン(Kyocristine)、ビンコシド、ビンクレックス(vincrex)、オンコビン、Vincasar PFS(登録商標)、またはVCRとしても知られるビンクリスチンは、多くの供給元、例えばPharmacia & Upjohn、Lilly、IGTなどのいずれかから市販されている。それは多くの場合、硫酸ビンクリスチンとして、例えば1 mg/mL溶液として供給されている。
本発明は、単一のビンカアルカロイドまたは複数の同時投与されるビンカアルカロイドの使用を含む。さらに、1つまたは複数のビンカアルカロイドは、他の抗新生物薬のような他の化合物または分子と組み合わせることができる。ある種の態様において、ビンカアルカロイドおよび/または他の化合物のこのような組み合わせはリポソーム製剤化の前になされ得り、それにより単一リポソーム内で組み合わせが生成される。他の態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドを製剤化し、その後それら自体は遊離型またはリポソーム封入型であり得る他の分子と組み合わせる。
リポソーム封入アルカロイドを含む、本明細書に記載の治療薬のいずれかを、ヒト疾患の周知のモデルにおける前臨床試験に供することができる。ヒトリンパ腫のインビボモデルには、非ホジキンB細胞株DoHH2を保有するマウス(Kluin-Nelemans HC, et al. (1991) Leukemia 5(3) 221-224)、またはDaudiもしくはRaji細胞異種移植片を保有するマウス(例えば、Hudson, WA et al. (1998) Leukemia 12 (12):2029-2033を参照されたい)が含まれる。多くの他の腫瘍学的モデルもまた使用することができ、それらモデルは当業者に周知である。
脂質
本発明のリポソームを調製するには、両親媒性、中性、陽イオン性、および陰イオン性脂質を含む多くの脂質のいずれかを使用することができる。このような脂質は単独でまたは組み合わせて使用することができ、ポリアミドオリゴマー(例えば、1998年12月22日に提出された米国特許出願第09/218,988号を参照されたい)、ペプチド、タンパク質、界面活性剤、ホスファチジルエタノールアミンと結合したPEGおよびセラミドと結合したPEG(米国特許出願第08/485,608号を参照されたい)などの脂質誘導体などの二重層安定化化合物もまた含み得る。好ましい態様において、ポリアミド-オリゴマー複合体、例えばATTA-脂質(米国特許出願第08/996,783号を参照されたい)、およびPEG-脂質複合体(米国特許出願第08/486,214号、同第08/316,407号、および同第08/485,608号を参照されたい)などの、宿主免疫系によるリポソームの排除を低減する遮蔽剤もまた含まれ得る。
生理的pHで非荷電型または中性双性イオン型のいずれかで存在する多くの脂質種のいずれかを指す、多くの中性脂質のいずれかを含めることができるが、これには、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシド、およびジアシルグリセロールが含まれる。
1つの態様において、用いられる脂質はスフィンゴミエリンである。特定の態様において、脂質はスフィンゴミエリンおよびコレステロールを含む。このような態様において、スフィンゴミエリンとコレステロールの比は、典型的には約75/25(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)と約50/50(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)の間、約70/30と55/45(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)の間、または約55/45(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)である。しかしながら、このような比は、本製剤中への他の脂質の付加によって変化し得る。
生理的pHで正味の正電荷を有する陽イオン性脂質を、本発明で使用するためのリポソーム中に容易に組み入れることができる。このような脂質には、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチル塩化アンモニウム(「DODAC」);N-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル-N,N-N-トリエチル塩化アンモニウム(「DOTMA」);N,N-ジステアリル-N,N-ジメチル臭化アンモニウム(「DDAB」);N-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチル塩化アンモニウム(「DOTAP」);3β-(N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(「DC-Chol」)、N-(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N-2-(スペルミンカルボキサミド)エチル)-N,N-ジメチルアンモニウムトリフルオロ酢酸(「DOSPA」)、ジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(「DOGS」)、1,2-ジレオイル-sn-3-ホスホエタノールアミン(「DOPE」);およびN-(1,2-ジミリスチルオキシプロプ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチル臭化アンモニウム(「DMRIE」)が含まれるが、これらに限定されない。さらに、リポフェクチン(LIPOFECTIN)(DOTMAおよびDOPEを含む、GIBCO/BRLから入手可能)、リポフェクトアミン(LIPOFECTAMINE)(DOSPAおよびDOPEを含む、GIBCO/BRLから入手可能)、およびトランスフェクタム(TRANSFECTAM)(エタノール中のDOGSを含む、Promega Corp.製)などの、陽イオン性脂質の多くの市販調製物を使用することができる。
本発明における使用に適した陰イオン性脂質には、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リジルホスファチジルグリセロール、および中性脂質に結合したその他の陰イオン性修飾基が含まれるが、これらに限定されない。
多くの態様においては、両親媒性脂質が用いられる。「両親媒性脂質」とは、脂質物質の疎水性部分が疎水性相側に配向し、親水性部分が水相に向かって配向する、任意の適切な物質を指す。このような化合物には、リン脂質、アミノ脂質、およびスフィンゴ脂質が含まれるが、これらに限定されない。代表的なリン脂質には、スフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、またはジリノレオイルホスファチジルコリンが含まれる。スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質ファミリー、ジアシルグリセロール、およびβ-アシルオキシ酸などの、リンを欠くその他の化合物もまた使用することができる。さらに、このような両親媒性脂質は、トリグリセリドおよびステロールなどの他の脂質と容易に混合することができる。
本発明において用いられるリポソームは、多重膜または単層膜であってよく、本明細書中に開示した方法および当業者に周知の他の方法を用いて形成され得る。
同様に本発明に含めるのに適しているのは、プログラム可能な融合脂質製剤である。このような製剤は、細胞膜と融合する傾向がほとんどなく、所与のシグナル事象が起こるまでその有効搭載量を送達する。これによって、脂質製剤は、生物体または疾患部位へ注射した後、細胞と融合し始める前に、より均等に分布されることになる。シグナル事象は、例えば、pH、温度、イオン環境、または時間の変化であってよい。後者の場合には、ATTA-脂質複合体またはPEG-脂質複合体などの融合遅延または「遮蔽」成分が、時間をかけてリポソーム膜内から外へ単純に交換し得る。製剤が身体内で適切に分布する頃には、製剤は融合性となるよう十分な遮蔽剤を失っている。他のシグナル事象に関しては、炎症部位での温度上昇のような、疾患部位または標的細胞に関連したシグナルを選択することが望ましい。
リポソームの調製
リポソームを調製するには、例えば以下に記載されているような種々の方法が利用できる:Szoka, et al., Ann. Rev. Biophys. Bioeng., 9:467 (1980)、米国特許第4,186,183号、同第4,217,344号、同第4,235,871号、同第4,261,975号、同第4,485,054号、同第4,501,728号、同第4,774,085号、同第4,837,028号、同第4,946,787号、PCT公報第WO 91/17424号、Deamer and Bangham, Biochim. Biophys. Acta, 443:629-634 (1976);Fraley et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3348-3352 (1979);Hope et al., Biochim. Biophys. Acta, 812:55-65 (1985);Mayer, et al., Biochim. Biophys. Acta, 858:161-168 (1986);Williams, et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 85:242-246 (1988)、the text Liposomes, Marc J. Ostro, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1983, Chapter 1、およびHope, et al., Chem. Phys. Lip., 40:89 (1986)(これらはすべて、参照により本明細書に組み入れられる)。適切な方法には、超音波処理法、押し出し法、高圧/ホモジナイズ法、マイクロ流動化法、界面活性剤透析法、小リポソーム小胞のカルシウム誘導性融合法、およびエーテル注入法が含まれるが、これらに限定されない。
1つの方法では、不均一な大きさの多重膜小胞を生成する。この方法では、小胞形成脂質を適切な有機溶媒または有機溶媒系中に溶解し、真空下でまたは不活性ガス下で乾燥して、薄い脂質フィルムを形成する。必要に応じて、フィルムを第3級ブタノールなどの適切な溶媒中に再溶解し、次いで凍結乾燥して、より容易に水和される粉末様形態であるより均一な脂質混合物を形成する。このフィルムを水性緩衝溶液で覆い、撹拌しながら典型的に15〜60分間かけて水和させる。得られる多重膜小胞のサイズ分布は、より激しい撹拌条件下で脂質を水和することによって、またはデオキシコール酸などの可溶化界面活性剤を添加することによって、より小さい大きさに移行し得る。
単層膜小胞は、超音波処理または押し出しによって調製することができる。超音波処理は一般に、氷浴中でBransonチップソニファイアーなどのチップソニファイアー用いて行う。典型的には、懸濁液を激しい超音波処理サイクルに供する。押し出しは、Lipex生体膜押し出し機などの生体膜押し出し機で行い得る。押し出しフィルターの規定の孔サイズにより、特定の大きさの単層膜リポソーム小胞が作製され得る。リポソームはまた、Norton Company、マサチューセッツ州、ウースターから市販されているCeraflowマイクロフィルターなどの非対称セラミックフィルターを通した押し出しにより形成され得る。単層膜小胞はまた、エタノール中にリン脂質を溶解し、次いで緩衝液中にこの脂質を注入して、脂質に単層膜小胞を自発的に形成させることによって作製され得る。同様に、リン脂質を、界面活性剤、例えばコール酸、Triton X、またはn-アルキルグルコシド中に可溶化し得る。薬物を可溶化脂質-界面活性剤ミセルに添加した後、透析、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィー、遠心分離、および限外濾過を含む多くの可能な方法のいずれかにより、界面活性剤を除去する。
リポソームの調製後、形成中に定寸化されていないリポソームは、定寸化して、所望のサイズ範囲および比較的狭いリポソームサイズ分布を達成することができる。約0.2〜0.4ミクロンのサイズ範囲であれば、慣用的なフィルターを通して濾過することにより、リポソーム懸濁液を滅菌することができる。リポソームを約0.2〜0.4ミクロンまで小さくした場合には、フィルター滅菌法をハイスループットベースで行い得る。
リポソームを所望の大きさになるよう定寸化するには、いくつかの技法が利用できる。1つの定寸化方法は、米国特許第4,737,323号に記載されている。槽またはプローブ超音波処理手順によりリポソーム懸濁液を超音波処理すると、約0.05ミクロン未満の大きさの小さな単層膜小胞にまで大きさが徐々に減少する。ホモジナイズは、大きなリポソームを小さいリポソームに断片化するために剪断エネルギーに依存する別の方法である。典型的なホモジナイズ手順では、典型的には約0.1〜0.5ミクロンの選択されたリポソームサイズが認められるまで、多重膜小胞を標準のエマルジョンホモジナイザーにより再循環させる。リポソーム小胞の大きさは、Bloomfield,Ann.Rev.Biophys.Bioeng., 10:421-450 (1981)に記載されているように、準電気光散乱(QELS)によって決定することができる。リポソームの平均直径は、形成されたリポソームを超音波処理することにより、小さくすることが可能である。断続的な超音波処理サイクルをQELS評価と交互に行って、効率的なリポソーム合成を導くことができる。
小孔ポリカーボネート膜または非対称セラミック膜を通したリポソームの押し出しもまた、リポソームサイズを比較的明確なサイズ分布に減じるための有効な方法である。典型的には、所望のリポソームサイズ分布が得られるまで1回または複数回、膜を通して懸濁液を循環させる。徐々に孔を小さくした小孔膜を通してリポソームを押し出すことができ、リポソームサイズの段階的減少が達成される。本発明のある種の態様において、リポソームは約0.05ミクロン〜約0.40ミクロンの大きさを有する。特定の態様において、リポソームは約0.05〜約0.2ミクロンである。
当業者に周知の慣用的方法を用いて、空リポソームを調製し得る。
典型的には、以下で考察するように、本発明に用いられるリポソームは膜電位を含み、それによりビンカアルカロイドなどの抗新生物薬がリポソーム中に効率的に充填され、リポソームによって保持される。特定の態様において、その電位は、膜を介したpH勾配を生成することによりもたらされる。1つの態様において、リポソーム内部のpHは外部よりも低い。このような勾配は、例えば、約2〜約6のpHを有するような低pHを有する緩衝液の存在下でリポソームを製剤化し、その後リポソームをより高いpH溶液に移すことにより達成され得る。ある種の態様においてそのpHは約3〜5であり、特定の態様においてそのpHは約4である。クエン酸などの多くの緩衝液のいずれかを使用することができる。
その後、定寸化する前または後に、リン酸ナトリウム緩衝液などの適切な緩衝液を添加することによって、外部pHを例えば約7または7.5まで上げることができる。外部pHを上げることでリポソーム膜を介したpH勾配が生成され、それにより効率的な薬物の充填および保持が促進される。
これらの方法に従って調製したリポソームは、薬物の充填および患者への投与前に、実質的な期間保存することができる。例えば、リポソームは、脱水し、保存し、その後再水和して、1つまたは複数のビンカアルカロイドを充填し、投与することができる。脱水は、例えば標準的な凍結乾燥装置を用いて達成され得り、すなわちリポソームは低圧条件下で脱水される。また、リポソームは、脱水前に例えば液体窒素中で凍結され得る。脱水前に糖をリポソーム環境に、例えばリポソームを含む緩衝液に添加することができ、それにより脱水中のリポソームの完全性をが促進される。例えば、米国特許第5,077,056号および同第5,736,155号を参照されたい。
多くの態様においては、最初に空のリポソームを低pH緩衝液中で製剤化し、次いで所望の大きさのリポソームを得るために、種々の方法の1つでそれを操作する。リポソームを定寸化する方法には、槽もしくはプローブによる超音波処理、またはホモジナイズが含まれる。特定の態様においては、そのような処理後、リポソームは約0.05〜0.45ミクロンである。ある種の態様において、リポソームは約0.05〜約0.2ミクロンである。次いで、そのように定寸化されたリポソームを濾過によって滅菌し得る。また、慣用的なレーザービーム粒径識別などによって、粒径分布をモニターし得る。さらに、リポソームサイズを比較的明確なサイズ分布に減じる方法が周知であり、例えば小孔ポリカーボネート膜または非対称セラミック膜を通したリポソームの1サイクルまたは複数サイクルの押し出しがある。
リポソーム封入ビンカアルカロイドの調製
多くの方法のいずれかを用いて、ビンカアルカロイドおよび/またはその他の薬物をリポソーム中に充填し得る。このような方法には、例えば種々の封入技法および膜電位充填法が含まれる。一般的に、このような方法の後、ビンカアルカロイドはリポソーム中に約0.1 mg/mL〜約0.5 mg/mlで存在する。ある種の態様において、ビンカアルカロイドは約0.15〜0.2 mg/mLで存在する。
1つの封入技法では、薬物およびリポソーム成分を有機溶媒中に溶解するが、溶媒中ではすべての種が混和しており、これを乾燥フィルムになるよう濃縮する。次いで緩衝液を乾燥フィルムに添加し、薬物が小胞壁中に取り込まれたリポソームを形成させる。または、薬物を緩衝液中に添加し、これを脂質成分のみの乾燥フィルムに加えてもよい。このような方法で、薬物はリポソームの水性内部に封入される。リポソームの形成に用いられる緩衝液は、例えば等張生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、またはその他の低イオン強度緩衝液などの、任意の生物学的に適合性の緩衝液であってよい。次いで、ビンカアルカロイドを含む得られたリポソームを、上記の通りに定寸化することができる。
膜電位充填は、(イオノフォア充填を教示する)米国特許第4,885,172号;同第5,059,421号;同第5,171,578号;および同第5,837,282号に詳述されている。簡潔に説明すると、膜電位充填法は、適切な水性媒体中に溶解した場合に荷電状態で存在し得る、本質的に任意の慣用的薬物と共に用いられ得る。好ましくは、薬物は、リポソーム膜中に分配されるよう比較的親油性である。リポソームまたはタンパク質-リポソーム複合体の二重層を介して膜電位が生成され、この膜電位によって薬物がリポソーム中に充填される。膜電位は、膜を介した1つまたは複数の荷電種(例えば、Na+、K+、および/またはH+)の濃度勾配を生成することにより作製される。この濃度勾配は、異なる内部および外部媒体を有するリポソームを生成することにより作製され、関連するプロトン勾配を有する。次いで、ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式によって予測されるように、薬物蓄積が起こり得る。
本発明に用いるためのリポソーム封入ビンカアルカロイドを調製する特定の方法に関する説明は、例えば米国特許第5,741,516号、同第5,814,335号、および同第5,543,152号で論じられている。1つの態様において、リポソームビンカアルカロイドは、使用前に、3つまたはそれ以上のバイアルを含むキットから調製される。バイアルの少なくとも1つは、例えば100または200 mg/mLマンニトール(例えばSP Pharmaceuticals LLC、ニューメキシコ州、アルバカーキから得られる;薬学的に許容され、かつビンクリスチンが長期間安定なままであるその他の賦形剤も使用され得る)およびpH 3.5〜5.5またはpH 4.5〜pH 4.7に調整した酢酸ナトリウムを含む緩衝液中に、例えば1 mg/mL、2 mg/mL、または5 mg/mL硫酸ビンクリスチンを含むビンクリスチン溶液を含む。バイアルの1つは、スフィンゴミエリンおよびコレステロール(これらはそれぞれ、例えばNEN Life Sciences、Avanti Polar Lipidsなどから市販されている)を含むリポソームであって、例えばpH 4.0の300 mMクエン酸緩衝液中に懸濁されたリポソームを含む溶液を含む。別の1つまたは複数のバイアルは、リン酸水素ナトリウム、14.2 mg/mlなどのアルカリ性リン酸緩衝液(例えば、pH 9.0)を含む(20 ml/バイアル)。
好ましい態様において、主張するリポソーム封入ビンクリスチンを製剤化するために使用され得る成分を含む2つのバイアルを含むキット、またはあらかじめ充填されたビンクリスチンを含むリポソームの安定した調製物を含む1つのバイアルを含むキットが用いられる。このような安定した調製物は多くの方法のいずれかにより達成され得り、これには、(1) 外界温度で保存されるかまたは冷蔵され、例えば酸化防止剤などの、化学的安定性を強化するための1つまたは複数の改良または成分を含む水和調製物、(2) 凍結され、凍結/融解誘発損傷から保護するための適切な賦形剤を含む水和調製物、または(3) 凍結乾燥調製物が含まれるが、これらに限定されない。典型的に、上記のキットはいずれも使用に関する説明書もまた含み、無菌の使い捨て材料もさらに含み得る。
リポソームを調製するには、硫酸ビンクリスチンおよびリポソーム溶液をそれぞれ、適切な濃度比、例えば0.01/1.0〜0.2/1.0(ビンカアルカロイド重量/脂質重量)で滅菌バイアルに添加し、混合する。混合物は、例えばバイアルを複数回反転させることにより混合する。低pH緩衝液中でリポソームを形成した後、リポソームを定寸化する前または後に、例えばリン酸ナトリウム緩衝液のようなより高いpHの緩衝液中にリポソームを導入し、それによってリポソーム表面を介したpH勾配を生成する。ある種の態様において、リポソームの外部環境は約pH 7.0〜約pH 7.5である。リポソームおよびビンカアルカロイドは、所望のアルカロイド/脂質比を達成するのに十分な時間、混合し得る。混合物は、例えば複数回反転させることにより混合し、約55℃〜約80℃または約60℃〜約65℃の温度で約5分、10分、またはそれ以上加熱し得る。このような処理により、約90%を超えるビンクリスチンがリポソーム内に封入される。
他の態様において、これらの段階を大規模に行い、充填リポソームビンクリスチンを、例えばすぐに投与できる形式で病院薬剤部に供給する。このような大量の製剤は、キットに関して記載したものとは異なる出発材料から調製され得り;特に緩衝液が異なり得る。
リポソームの標的化
ある種の態様において、細胞種または組織に特異的な標的化部分を用いて、本発明のリポソームを標的化することが望ましい。種々の標的化部分、例えばリガンド、細胞表面受容体、糖タンパク質、ビタミン(例えば、リボフラビン)、およびモノクローナル抗体などを用いたリポソームの標的化は、以前に記載されている(例えば、米国特許第4,957,773号および同第4,603,044号を参照されたい。標的化部分は、タンパク質全体またはその断片を含み得る。
標的化機構は一般に、標的化部分が標的、例えば細胞表面受容体との相互作用に利用できるように、標的化物質がリポソームの表面上に位置することを必要とする。リポソームは、リポソーム形成時に連結部分を膜中に取り込むように設計される。連結部分は、膜中に堅く埋め込まれ、固定される親油性部分を有さねばならない。連結部分はまた、リポソームの水性表面上で化学的に利用可能な親水性部分を有さねばならない。親水性部分は、この部分と標的化物質が安定した化学結合を形成できるように、標的化物質と化学的に適合するよう選択される。したがって、連結部分は通常、リポソーム表面から外に伸び、標的化物質を正確に位置づけるように構成される。場合によっては、標的化物質を連結部分に直接結合することができるが、多くの場合、「分子架橋」として働く第3の分子を使用することがより適切である。架橋は、リポソームの表面から離れて連結部分および標的化物質を連結し、それにより標的化物質が細胞標的との相互作用に自由に利用できるようになる。
標的化物質を結合するための標準的な方法を使用することができる。例えば、標的化物質の結合のために活性化され得るホスファチジルエタノールアミン、または脂質誘導体化ブレオマイシンなどの誘導体化親油性化合物を使用することができる。抗体標的化リポソームは、例えばプロテインAを組み入れたリポソームを用いて構築され得る(Renneisen, et al., J. Bio. Chem., 265:16337-16342 (1990)、およびLeonetti, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 87:2448-2451 (1990)を参照されたい)。抗体複合化のその他の例は、米国特許出願第08/316,394号に開示されている。標的化部分の例にはまた、新生物または腫瘍に関連した抗原をはじめとする細胞成分に特異的なその他のタンパク質が含まれ得る。標的化部分として用いられるタンパク質は、共有結合によりリポソームと結合され得る(Heath, Covalent Attachment of Proteins to Liposomes, 149 Methods in Enzymology 111-119 (Academic Press, Inc. 1987)を参照されたい)。その他の標的化方法には、ビオチン-アビジン系が含まれる。
脂質封入ビンカアルカロイドの投与
リポソーム封入ビンカアルカロイドは、非経口、静脈内、全身、局所、腫瘍内、筋肉内、皮下、腹腔内、吸入、または任意のこのような送達方法を含む多くの方法のいずれかで投与することができる。ある種の態様において、薬学的組成物は注射により静脈内投与される。1つの態様において、流れている静脈ラインを介して例えば30分、60分、90分、またはそれ以上かけて、患者にリポソーム封入ビンカアルカロイド(例えば、単剤)の静脈内注入が施される。1つの態様において、60分の注入が用いられる。このような注入は、定期的に、例えば1、3、5、7、10、14、21、もしくは28日、またはそれ以上の日数に1回施され得る。ある種の態様において注入は7〜21日ごとに施され、特定の態様において7日に1回もしくは14日に1回施される。本明細書では、リポソームビンカアルカロイドの各投与を1回の治療「過程」と見なす。
本発明において使用するのに適した製剤化は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Philadelphia, PA, 17TH Ed. (1985)に見出し得る。多くの場合、静脈内組成物は、水性担体などの許容される担体中に懸濁されたリポソームの溶液を含む。種々の水性担体のいずれか、例えば水、緩衝化水、0.4%生理食塩水、0.9%等張生理食塩水、0.3%グリシン、5%デキストロースなどを用いることができ、これらは、アルブミン、リポタンパク質、グロブリンなどのような安定性を強化するための糖タンパク質を含み得る。多くの場合、通常の緩衝生理食塩水(135〜150 mM NaCl)が用いられる。組成物は、生理的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容される補助物質、例えばpH調整剤および緩衝剤、張度調整剤、湿潤剤など、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミンなどを含み得る。これらの組成物は、濾過などの慣用的滅菌技法により滅菌することができ、または滅菌条件下で生成することができる。担体中のリポソームの濃度は変動し得る。一般的には、濃度は約20〜200 mg/mLであるが;当業者は、異なるリポソーム成分による治療を最適化するために、または特定の患者のために、濃度を変更することができる。例えば、治療に関連した流体量を減じるために、濃度を増大することができる。
用量当たりで投与されるビンカアルカロイドの量は、最小治療用量を上回るが、毒性用量を下回るよう選択される。用量当たりの量の選択は、患者の病歴、他の療法の使用、および疾患の性質など、多くの要因に依存する。ある種の態様において、最初に低用量を投与し、初回用量に対する患者の応答および/または許容度に基づいてその量を増大させ得る。特定の態様において、ビンカアルカロイドは、少なくとも0.5、少なくとも1.0、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0、少なくとも2.5、または少なくとも3.0 mg/m2(すなわち、mgビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン)/m2体表面積)で投与される。関連態様において、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン)は、約1.4〜2.4 mg/m2または約1.4〜2.8 mg/m2の用量で投与される。特定の態様において、用量は1.4〜2.4 mg/m2または1.4〜2.8 mg/m2である。ある種の態様において、例えば0.5、1.0、1.5、2.0、2.4、2.8 mg/m2(すなわち、mgビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン)/m2体表面積)、またはそれよりも高い濃度が投与される。1つの特定の態様においては、平均70 kgの患者に関して約48 mg/m2の脂質用量または約1.3 mg/kg脂質および0.06 mg/kgビンクリスチンに相当する2.4 mg/m2の用量、または約3 mg〜約6 mgビンクリスチン/用量を、患者に投与する。別の特定の態様においては、平均70 kgの患者に関して約40 mg/m2の脂質用量または約1.1 mg/kg脂質および0.05 mg/kgビンクリスチンに相当する2.0 mg/m2の用量、または約3 mg〜約6 mgビンクリスチン/用量を、患者に投与する。
患者は典型的に、このような治療を少なくとも2過程受けるが、治療に対する患者の応答に応じて3過程以上受ける場合もある。単剤療法では、治療過程の総数は、観察された応答および毒性に基づいて、患者および医師により決定される。同様に、デキサメタゾンと併用してリポソーム封入ビンクリスチンを使用する治療過程の回数も、患者および医師により決定される。
ヒトにおいてビンクリスチン用量は神経毒性によって制限されるため、リポソームビンクリスチンを神経毒性の処置と同時投与することが場合によっては有用である。この処置は、予防的または治療的であってよい。一例は、神経因性疼痛を治療するためのガバペンチンNeurontin(商標)(Parke-Davis)またはニューロトニン(neurotonin)の投与であり、例えば100〜200 mgのNeurontin(商標)を、1日3回成人患者に投与する。神経因性疼痛が改善されたならば、リポソームビンクリスチン治療を継続し得る。この種の予防的または治療的処置は、リポソームビンクリスチンの副作用を治療することのみを目的としているため、下記の併用療法とは別個に考慮される。本発明の方法および用量は、遊離ビンクリスチンの使用と比較した、例えば心毒性などの毒性の低減と関連する。
本発明は、遊離型ビンカアルカロイドとは対照的に、リポソーム封入ビンカアルカロイドが、総用量を制限することなく投与できるという驚くべき発見に一部基づく。例えば、遊離型ビンクリスチンは典型的に2.0または2.5 mgの制限を設けて投与されるが、リポソーム封入ビンクリスチンは、2.0または2.5 mg総用量に制限することなく、例えば2.0 mg/m2または2.4 mg/m2の一定用量で投与することができる。したがって、特定の態様において、リポソームビンカアルカロイド、例えばビンクリスチンは、用量制限なしに一定用量で投与される。特定の態様において、一定用量は、少なくとも0.5、少なくとも1.0、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0、少なくとも2.5、または少なくとも3.0 mg/m2である。よって、特定の態様においては、表面積が1.5〜3.0 m2の典型的な患者に関して、約3.6〜約7.2 mgビンクリスチンまたは約3.0〜約6.0 mgビンクリスチンの用量が投与される。
併用療法
異なるクラスの化学療法薬は一般に異なる作用機序を有するため、複数の機構を介して腫瘍細胞を攻撃し、それによってより効率的に腫瘍の増殖を停止するおよび腫瘍細胞を死滅させる試みにおいて、化学療法薬の併用が頻繁に用いられる。複数のクラスの化学療法薬を使用する併用療法はまた、薬物に対する交差耐性を回避するために用いられる。例えば、タキサンは、例えばサイクリン依存性キナーゼ阻害剤、フラボピリドール、白金ベース薬、カルボプラチン、ファルネシルトランスフェラーゼのペプチド模倣阻害剤、ER-517885、EGFR選択的チロシンキナーゼ阻害剤、イレッサ(IRESSA)(ZD1839)、シクロスポリン、およびトラスツズマブを含む、種々の他の抗腫瘍薬と併用して用いられている。Schwartz, G.K., et al. J. Clin. Oncol. 20(8):2157-70 (2002)、Ogawara, M., et al., Jpn J. Clin. Oncol. 32(2):48-53 (2002)、Nakamura, K., et al., Oncol. Res. 12(11-12):477-84 (2001)、Ciardiello, F. et al., Int. J. Cancer 98(3):463-9 (2002)、Chiou, W.L., et al., J. Clin. Oncol. 20(7):1951-2 (2002)、およびEsteva, F.J., et al., J. Clin. Oncol. 20(7):1800-8 (2002)。
併用薬物療法は、薬物の併用と関連した毒性副作用のために、頻繁に制限される。これらの望ましくない副作用は、薬物またはその送達媒体と関連していると考えられる。例えば、他の化学療法薬と併用したパクリタキセルの使用は、クレモフォール媒体の急性致死毒性およびパクリタキセル関連好中球減少症によって制限される。薬物が類似した副作用をもたらすか、または同様の毒性媒体を含む場合には、このような副作用が併用療法に関する特定の問題をもたらす。このような状況では、多くの場合、それぞれの薬物を、単独で使用した場合に最も効果的であることが判明している用量で投与することは不可能である。したがって、それぞれの薬物の有効性を損ないつつ、最適以下の用量を使用し得る。
多くの態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドは、1つまたは複数のさらなる化合物または療法と併用して投与される。例えば、複数のビンカアルカロイドを同時投与することができ、または1つもしくは複数のビンカアルカロイドを別の治療化合物、例えばシクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニソン、その他のアルカロイド、例えばタキサン、カンプトテシン、および/もしくはポドフィリン、ならびに/またはその他の化学療法剤、例えばアンチセンス薬もしく抗腫瘍ワクチンと組み合わせて投与することができる。ある種の態様において、リポソーム封入ビンクリスチンはデキサメタゾンと同時投与される。ある種の態様において、複数の化合物を同一リポソーム中に充填する。他の態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドを個別に形成し、その後、単回同時投与のために他の化合物と組み合わせる。または、ある種の療法は、例えばCHOPまたはリポ-CHOPのように、所定の順で連続して投与される。
ある種の態様において、リポソーム封入ビンクリスチンは、リポソーム封入ビンクリスチン、ドキソルビシン、およびデキサメタゾンを含むVAD組み合わせ(リポ-VAD)で製剤化される。さらなる関連態様において、リポ-VADは、例えばバルスポダールなどの1つまたは複数のさらなる治療薬と併用して投与される。1つの態様において、リポソーム封入ビンクリスチンは、遊離ビンクリスチンの代わりに、ハイパー-CVAD(シクロホスファミド、ビンクリスチン、アドリアマイシン、およびデキサメタゾン)中で使用される(リポ-ハイパー-CVAD)。他の態様において、リポ-VADまたはリポ-ハイパー-CVAD治療は、リツキシマブの投与をさらに含む。特定の態様において、リポソーム封入ビンクリスチンは、アントラサイクリンのさらなる投与なしに、デキサメタゾンなどの別の治療薬と併用してまたは併用せずに投与される。他の態様において、アントラサイクリンは、さらなる治療薬と共にまたはそのような治療薬なしで、リポソーム封入ビンクリスチンと併用して投与される。
リポソーム封入ビンカアルカロイドはまた、モノクローナル抗体などの抗腫瘍薬と併用することができ、そのようなモノクローナル抗体には、Oncolym(商標)(Techniclone Corp.、カリフォルニア州、タスチン)もしくはRituxan(商標)(IDEC Pharmaceuticals)、Bexxar(商標)(Coulter Pharmaceuticals、カリフォルニア州、パロアルト)、またはIDEC-Y2B8(IDEC Pharmaceuticals Corporation)が含まれるが、これらに限定されない。さらに、リポソーム封入ビンカアルカロイドは、1つまたは複数の非分子治療、例えば放射線療法、骨髄移植、ホルモン療法、外科手術などに加えて投与することができる。
1つの態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドは抗癌化合物または療法と併用して投与されるが、この併用は、作用機序および重複しない毒性プロファイルに基づき、腫瘍低減の改善増大または相乗的改善を提供する。特定の態様において、リポソームビンカアルカロイドは、任意に同様にリポソームタキサンであり得るタキサンと共に送達し得る。ビンカアルカロイドは微小管を脱重合し、タキサンは微小管を安定化すると考えられるが、2つの化合物は、おそらくは両者が微小管動力学の阻害に関与するために、腫瘍増殖の障害において相乗的に作用することが判明した。Dumontet, C. and Sikic, B.I., (1999) J. Clin Onc. 17(3) 1061-1070を参照されたい。したがって、本発明のビンカアルカロイドのリポソーム製剤は、遊離型ビンカアルカロイドおよびタキサンの連続投与と関連した骨髄毒性および神経毒性を有意に低減する。
リポソーム封入ビンカアルカロイドは、1つまたは複数のさらなる化学療法薬、例えばハイパー-CVADと共に送達し得る。ある種の態様において、併用して用いられるリポソーム封入薬物および他の治療または薬物は異なる作用機序を有し、疾患と闘うために相加的に、協同的に、または相乗的に作用し得る。他の態様において、併用して用いられるリポソーム封入薬物および他の治療または薬物は、同じかまたは類似した作用機序を有し、疾患と闘うためにやはり相加的に、協力的に、または相乗的に作用し得る。例えば、細胞周期のS期に活性がある薬物を、M期に活性がある薬物と併用して使用し得る。
化学療法薬はその作用機序に基づいて多くの群に分類され得り、その分類には、例えば、白金酸、アルキル化剤、代謝拮抗剤、植物アルカロイド、微小管阻害剤、抗生物質、ステロイド、ホルモン剤、インターロイキン、分裂阻害剤、血管新生阻害剤、アポトーシス促進剤、および生物学的応答調節物質が含まれる。典型的に、これらのクラスの薬物はそれぞれ、異なる分子機構によって腫瘍細胞の成長または増殖を阻害するよう作用する。例えば、選択的エストロゲン受容体モジュレーターは、エストロゲン依存性乳癌細胞のエストロゲン受容体に結合し、エストロゲン結合を妨げ、それによりこれらの癌細胞を効率的に飢餓状態にする。完全に異なる作用様式において、アザシチジンおよびフルオロウラシルなどのヌクレオシド類似体は、核酸合成および代謝を阻害する。特定の態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドは同じクラスの別の薬物と併用して送達され、他の態様において、リポソーム封入ビンカアルカロイドは異なるクラスの薬物と共に投与される。異なるクラスの化学療法薬は一般に異なる作用機序を有するため、複数の機構を介して腫瘍細胞を攻撃し、それによってより効率的に腫瘍の増殖を停止するおよび腫瘍細胞を死滅させる試みにおいて、化学療法薬の併用が頻繁に用いられる。複数のクラスの化学療法薬を使用する併用療法はまた、薬物に対する交差耐性を回避するために用いられる。
特定の態様において、例えばビンクリスチンを含むリポソーム封入ビンカアルカロイドは、ALLを治療するために用いられる別の療法と併用して投与される。ALLの治療には、化学療法、放射線療法、および幹細胞移植を含む種々の療法が用いられる。
ALLの治療に使用する場合、化学療法薬は一般に、いくつかの異なる手段の1つまたは複数によって送達される。化学療法薬は、経口により、または静脈もしくは筋肉への注射により、全身に送達され得る。化学療法薬はまた、髄腔内に、脊柱(髄腔内)、体腔、または器官中に直接送達され得り、その結果、薬物は主としてそれらの領域に存在する癌細胞に影響を及ぼす。脳および脊髄に伝播したまたは伝播する可能性のあるALLを治療するには、髄腔内化学療法が頻繁に用いられる。脳および脊髄への伝播を妨げるために使用する場合、これは中枢神経系(CNS)聖域療法またはCNS予防と称される。髄腔内化学療法は、多くの場合、経口または静脈による化学療法に加えて施される。
本発明のリポソーム封入ビンカアルカロイド、例えばビンクリスチンと併用して投与することのできる特定の化学療法薬の例には、デキサメタゾン、ドキソルビシン、フルダラビン、シクロホスファミド、イマチニブ、バルスポダール、アスパラギナーゼ、シタラビン、デクスラゾキサン、ドキソルビシン、ヒドロコルチゾン、ロイコボリンカルシウム、メルカプトプリン、メトトレキセート、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、およびプレドニゾンが含まれるが、これらに限定されない。
ある種の態様において、リポソームビンカアルカロイドは、ステロイドである化学療法薬と併用して投与される。特定の態様において、リポソームビンクリスチンはデキサメタゾンと併用して投与される。
1つの態様において、本発明の方法は、アスパラギナーゼと共にまたはアスパラギナーゼなしで、リポソームビンクリスチン、プレドニゾン、およびアントラサイクリンの組み合わせを用いて行われる。
別の態様において、本発明は、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、リポソームビンクリスチン、デキサメタゾン、メトトレキセート、およびロイコボリンの組み合わせ(m-BACOD)を含む。
別の態様において、本発明は、リポソームビンクリスチンとメトトレキセートおよびロイコボリンの組み合わせを含む。
本発明に従って用いられる別の組み合わせは、リポソームビンクリスチン、ドキソルビシン、およびデキサメタゾン(VAD)である。
当業者に周知である他の併用療法も、本発明の方法と組み合わせることができる。
実施例
以下の実施例は、主張する本発明を説明するために提供するものであり、本発明を限定するものではない。
実施例1
リポソーム封入ビンクリスチンの作製
5バイアルキットを用いて、リポソーム封入ビンクリスチン(硫酸ビンクリスチンリポソーム注射剤)を調製した。バイアル1および2は、マンニトールおよび酢酸ナトリウムを含む緩衝液、pH 4.5〜4.7中の硫酸ビンクリスチン溶液(1 mg/mL Vincasar PFS(登録商標)、SP Pharmaceuticals LLC、ニューメキシコ州、アルバカーキ)を含み;バイアル3は、300 mMクエン酸、pH 4.0を含む緩衝液中の空リポソーム(100 mg/mLスフィンゴミエリン/コレステロールリポソーム、約60/40〜50/50、より好ましくは58/42 mol%/mol%比)を含み;バイアル4はアルカリ性リン酸緩衝液(14.2 mg/mLリン酸水素ナトリウム7水和物)を含み;バイアル5は空の滅菌バイアルであった。前述の空リポソームは、スフィンゴミエリンおよびコレステロールのエタノール溶液をクエン酸緩衝液中に希釈して、大きな多重膜小胞を形成することにより調製した。次いで、これらを、米国特許第5,741,516号に記載されている標準的技法を用いて押し出し、大きな単層膜小胞(直径約100〜120 nm)を形成した。
バイアル1および2から硫酸ビンクリスチン4 mLを取り出し、滅菌バイアル5に添加した。続いて、バイアル3からスフィンゴミエリン/コレステロールリポソーム0.8 mLを取り出して、バイアル5に添加した。バイアル5を5回反転させて、材料を混合した。バイアル4からのリン酸ナトリウム溶液20 mLを、バイアル5に添加した。バイアル5を振盪させることなく再度5回反転させて、材料を混合した。次いでバイアル5を60〜65℃の水浴中で5分間加熱し、その後バイアルを再度5回反転させた。次にバイアルを再び5分間加熱し、さらに5回反転させた。
最終生成物(スフィンゴソームビンクリスチン、SV)は、0.16 mg/mL硫酸ビンクリスチンおよび3.2 mg/mL総脂質を含有していた。
実施例2
スフィンゴソームビンクリスチン(SV)およびデキサメタゾンによる再発性または難治性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療
ビンクリスチンおよびデキサメタゾンは一般的に、ALL療法の寛解導入期に用いられるが、高い完全奏功(CR)率を達成するにはアントラサイクリン(ドキソルビシンまたはダウノルビシン)と併用せねばならない(Gottlieb et al., Blood 64:267-274, 1984)。しかし残念なことに、この療法は多くの場合、骨髄抑制および心毒性を含む重篤な毒性をもたらす。多くの患者が、骨髄における白血病性芽球の増殖により骨髄機能を損なっていることを考えると、骨髄抑制の併発は、付随して致命的な感染症に罹患しやすくなる重篤な好中球減少症を誘発し得る。さらに、特に高齢者では、共存症が、強化化学療法を許容する患者の能力を顕著に低下させ得る。組み合わせ中にアントラサイクリンを含めることはまた、心毒性を誘発し得り、心臓の基礎疾患を有する患者においてこのような療法がさらに限定される。
リポソーム封入ビンクリスチンを使用することで、高い完全応答(CR)を達成するためにアントラサイクリン(ドキソルビシンまたはダウノルビシン)を同様に使用する必要性が打ち消され、それによって、全体的な治療結果を損なうことなく、アントラサイクリンに関連した骨髄抑制および心毒性を含む毒性が減少するかどうかを判定するため、再発性または難治性ALLの治療に関して、別の化学療法薬と併用してリポソーム封入ビンクリスチンを使用する効果を試験した。
グレード2を超える過去のまたは活動性の中枢神経障害または末梢神経障害(PN)をもたない、再発性または難治性ALL(バーキット細胞ALLを含む)と診断された患者20名で、第I相臨床試験を行った。患者の年齢中央値は36歳であった(範囲、21〜62歳)。患者の30パーセントは導入療法に対して抵抗性であり、それまでのサルベージ療法の回数中央値は2回であった(範囲、0〜3回)。
患者を、週に1度のリポソーム封入ビンクリスチン(SV;上記)(各コホートにつき被験者3名で、および毒性を考慮して6名に増大して、用量を増加させた)およびパルスのデキサメタゾン(1〜4日目および11〜14日目に、1日につき40 mg)で処置した。1回の治療過程は、週に1度の全4回のSV投与と定義した。患者3名を週1度のSV、1.5 mg/m2で処置し;患者3名を週1度のSV、1.825 mg/m2で処置し;患者5名を週1度のSV、2.0 mg/m2で処置し;患者7名を週1度のSV、2.25 mg/m2で処置し;患者2名を週1度のSV2.4 mg/m2で処置した(表1)。
(表1)スフィンゴソームビンクリスチンの用量増加コホート
Figure 0005199666
1用量制限せずに、週に1度
21〜4日目および11〜14日目
SVに起因する非血液学的毒性は、ほぼすべての患者におけるグレード1〜2のPNおよび患者1名における腫瘍崩壊症候群を含んだ。5名の患者は、アゾール系抗真菌薬予防投与に起因する、一時的な肝臓トランスアミナーゼのグレード3〜4の上昇を有した。グレード3の感染症(例えば、菌血症または真菌作用)は、患者6名では基礎の好中球減少症に関連し、患者4名ではSV誘発性好中球減少症に関連していた。用量制限毒性はこれまで認められておらず、より高い用量を用いてさらなる研究が行われる。
遊離ビンクリスチンは、多くの場合2.0 mgまたは2.5 mg総用量の用量制限を設けて、一般的に1.4 mg/m2で投与されるため、この毒性試験の結果は驚くべきものであった。SVの用量は制限されず、したがって最高用量のコホートでは、約4.1 mg(平均BSA 1.7 m2に基づく)の総ビンクリスチン用量が投与された。さらに、これらの高用量は、中程度の末梢神経毒性(グレード1〜2)が認められるのみで、週に1度のスケジュールで投与された。
評価可能な患者20名において、以下のような最良の応答が達成された(表2)。患者6名(30%)は完全寛解(CR)を達成し、患者1名は部分応答を達成した。この第I相試験において認められた全奏功率は、したがって35%であった。患者が再発性であるかまたは前の療法に対して抵抗性であったことを考えると、および多くの患者が最大耐量未満のリポソームビンクリスチン用量で処置されたことを考えると、これは予想外に高い奏功率である。残りの患者13名のうち2名は、いくらかの血液学的改善を示した。2名の患者は治療を早く終わらせ(1名はSVを3回投与した後、PDのため、およびもう1名は3回投与した後に同意を撤回したため)、1名の患者は、C. ディフィシル(C. difficile)大腸炎のために、SVを1回投与した後に治療を中断した。1名のCR患者は3ヵ月後に再発したが、ハイパー-CVADおよびその後の同種幹細胞移植(SCT)により3度目のCRを達成した。3名の患者は、CR中にSCTに取りかかった(1名は敗血症で死亡した)。
(表2)ビンクリスチン用量および全奏功率による、ALLにおけるスフィンゴソームビンクリスチンおよびデキサメタゾンの応答評価
Figure 0005199666
これらの結果から、デキサメタゾンと併用したリポソーム封入ビンクリスチンが、再発性および難治性ALLの治療において特に効果的であることが実証され、さらにリポソーム封入ビンカアルカロイドが、再発性および難治性の白血病およびリンパ腫を含む癌の治療において、遊離ビンカアルカロイドの優れた代替物となることが立証される。リポソーム封入ビンクリスチンは、遊離ビンクリスチンよりも高い用量で使用することができ、アントラサイクリンの併用を必要としない。これによって関連する毒性が大幅に減少し、より多くの患者に対してより安全な治療が可能になる。
本明細書において参照したおよび/または出願データシートに列記した上記の米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物はすべて、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
上記のことから、本発明の特定の態様を説明の目的で本明細書中に記載したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の改変を行い得ることが理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による以外は、制約されるものではない。

Claims (24)

  1. デキサメタゾンと組み合わせたリポソーム封入ビンクリスチンの、ヒトの癌の治療のための薬剤の調製のための使用であって、ここで、該癌がリンパ腫または白血病であり、さらにここで、該治療がアントラサイクリンをヒトに投与する段階を含まない、使用。
  2. リポソームがスフィンゴミエリンおよびコレステロールを含む、請求項1記載の使用。
  3. スフィンゴミエリンとコレステロールの比が75/25(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)と50/50(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)の間である、請求項2記載の使用。
  4. スフィンゴミエリンとコレステロールの比が約55/45(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)である、請求項3記載の使用。
  5. ビンクリスチンが1.4〜2.8 mg/m2の用量の投与用である、請求項1記載の使用。
  6. ビンクリスチンが1.4〜2.4 mg/m2の用量の投与用である、請求項5記載の使用。
  7. ビンクリスチンが1.4 mg/m2を超える用量の投与用である、請求項1記載の使用。
  8. デキサメタゾンが25〜75 mgの用量の投与用である、請求項1記載の使用。
  9. 白血病が急性リンパ芽球性白血病(ALL)である、請求項1記載の使用。
  10. 治療が一次治療である、請求項1記載の使用。
  11. 癌が再発性または難治性癌である、請求項1記載の使用。
  12. デキサメタゾンと組み合わせたリポソーム封入ビンクリスチンの、ヒトの急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療のための薬剤の調製のための使用であって、ここで、該治療がアントラサイクリンをヒトに投与する段階を含まない、使用。
  13. 治療が一次治療である、請求項12記載の使用。
  14. ALLが再発性ALLである、請求項12記載の使用。
  15. リポソームがスフィンゴミエリンおよびコレステロールを含む、請求項12記載の使用。
  16. スフィンゴミエリンとコレステロールの比が75/25(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)と50/50(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)の間である、請求項15記載の使用。
  17. スフィンゴミエリンとコレステロールの比が55/45(mol%スフィンゴミエリン/mol%コレステロール)である、請求項16記載の使用。
  18. ビンクリスチンが1.4〜2.8 mg/m2の用量の投与用である、請求項12記載の使用。
  19. ビンクリスチンが1.4〜2.4 mg/m2の用量の投与用である、請求項18記載の使用。
  20. ビンクリスチンが1.4 mg/m2を超える用量の投与用である、請求項12記載の使用。
  21. デキサメタゾンが25〜75 mgの用量の投与用である、請求項12記載の使用。
  22. ビンクリスチンが1.4 mg/m2を超える用量の投与用であり、かつ、デキサメタゾンが25〜75 mgの用量の投与用である、請求項12記載の使用。
  23. ヒトの癌治療における使用のためのリポソーム封入ビンクリスチンとデキサメタゾンの組み合わせた薬剤であって、ここで、該癌がリンパ腫または白血病であり、さらにここで、該治療がアントラサイクリンをヒトに投与する段階を含まない、前記組み合わせた薬剤
  24. ヒトの急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療における使用のためのリポソーム封入ビンクリスチンとデキサメタゾンの組み合わせた薬剤であって、ここで、該治療がアントラサイクリンをヒトに投与する段階を含まない、前記組み合わせた薬剤
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