JP5196800B2 - フィールドエミッションランプ - Google Patents

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本発明は、液晶表示装置を背部から照明するバックライトに用いて好適なフィールドエミッションランプに関するものである。
液晶表示装置は、薄型、軽量、低消費電力であることから、テレビ、携帯端末、パソコン、電子手帳、カメラ一体型VTR、等の広範囲の電子機器の表示装置として広く使用されている。液晶表示装置は、ブラウン管やプラズマディスプレイとは異なり、それ自体が発光するのではなく、外部から入射した光の量を制御して画像等を表示するのである。このような液晶表示装置においては、その背面に、該液晶表示装置を照明する液晶表示装置用バックライトが設置されている(特許文献1参照)。
上記電子機器においては低電力消費が重要視されてきている中で、液晶表示装置用バックライトは、上記電子機器の全電力消費量の約半分を占めていると言われており、このことから、液晶表示装置用バックライトの低電力消費を図ることは重要である。その一方で、例えば、液晶テレビ等の大型表示画面化が進むと、ますます、液晶表示装置用バックライトにおける低電力消費の要請が高くなる。
このような液晶表示装置用バックライトの技術背景に鑑み、本出願人は、液晶表示装置用バックライトの低電力消費化を図る一方で、同時に液晶表示装置を高輝度で照明することができる液晶表示装置用バックライトの研究を鋭意進めていた。
ところで、液晶表示装置用バックライトには、冷陰極管(CCFL)が採用されてきており、代表的な液晶表示装置用バックライトでは、その要求輝度が10,000cd/m2であり、画面サイズに関わらず、この要求輝度を得るには、従来のような液晶表示装置の側面に発光管(冷陰極管)を配置し、反射板、導光板、拡散シート、プリズムシート等を用いて液晶表示装置を照明する、いわゆるエッジライト型のバックライトでは特にその要求輝度を得られにくくなり、液晶表示装置の背面部分直下に発光管を配置する、いわゆる直下型の配置形態が採用されつつある。
このような経緯に鑑み本出願人は、平面状のフロントガラスの内表面側後方に該内表面に平行に電界電子放出膜付きの陰極導体を複数本所定間隔で配置し、フロントガラスの後方に上記陰極導体を間にして該フロントガラスと平行に対向した平面状のリアガラスを配置するとともにこのリアガラス内表面上に蛍光体膜付きの陽極導体を設けたフィールドエミッションランプを開発してきた。このフィールドエミッションランプはフラットな形状を備えた反射タイプであり、液晶表示装置の背部にコンパクトに配置することができる直下型のバックライトとして使用することができる構造となっている。
このフィールドエミッションランプにおいては、構造としてフロントガラス側に陰極導体を配置し、リアガラス側に陽極導体を配置し、陰極導体からリアガラス側の陽極導体に向けて電界電子放出膜から電子放出させ、陽極導体上の蛍光体膜を励起発光させ、その発光をフロントガラス側に向けて反射させてフロント方向へ出射する形態となっている。
しかしながら、上記フィールドエミッションランプ構造では、陰極導体がフロントガラス側内表面寄りに配置されているので、フロントガラス内表面に電荷がチャージアップし易い構造であり、そのチャージアップにより平面方向から見た場合のフロントガラス外面全体における発光むらが起こり易い構造であった。
そこで本出願人は、上記構造が備える課題を解決すべく種々の試行を行った結果、以下に説明する本発明を完成することができるに至った。
また、本出願人は、反射タイプではないフラット型として、平面状のフロントガラス内表面上に蛍光体膜付きの陽極導体を配置する一方、フロントガラス後方に該フロントガラスと平行に対向した平面状のリアガラスを配置し、このリアガラス内表面寄りに電界電子放出膜付きの直線状の陰極導体を配置するフィールドエミッションランプを開発してきたが、このタイプのフィールドエミッションランプにおいても、上記と同様の課題(リアガラス内表面に電荷がチャージアップし易い)があることを見出し、このタイプのフィールドエミッションランプについても種々の試行を行った結果、以下に説明する本発明を完成することができるに至った。
特開平06−242439号公報
すなわち、本発明では、液晶表示装置のバックライトとして低電力消費で発光むらなく高輝度で照明することを可能としたフィールドエミッションランプを提供するものである。
本発明によるフィールドエミッションランプは、フロントガラス内表面上に蛍光体膜付きの陽極導体を配置する一方、フロントガラス後方にリアガラスを配置し、このリアガラスの外表面に導体膜を形成すると共にリアガラス内表面側に電界電子放出膜付きの直線状の陰極導体と、上記陰極導体をその両側から挟み込む直線状のゲート導体とを配置してなり、ランプ駆動時には上記陰極導体とゲート導体とにマイナス電位を印加すると共に上記フロントガラス側の陽極導体とリアガラスの導体膜とに接地電位を印加する構成としたことを特徴とするものである。
本発明によると、リアガラスの外表面に導体膜を設け、ランプ駆動時には陰極導体とゲート導体とに直流電源のマイナス側を印加すると共にフロントガラス側の陽極導体とリアガラスの導体膜とを接地する構成としたので、リアガラス内表面に配置した陰極導体の電位はリアガラス外表面の導体膜で固定化され、また、フロントガラス内表面がチャージアップすることを抑制することができるようになる。この場合、フロントガラス側の陽極導体とリアガラスの導体膜とを接地することによりフィールドエミッションランプ全体として接触からの安全性を保つことができる。
以上の結果、本発明では上記チャージアップ抑制によりフロントガラスからは発光むらが抑制された発光を行うことができるので、液晶表示装置のバックライトとして用いた場合に、低電力消費で高輝度照明するフィールドエミッションランプの特徴を生かしつつ液晶表示装置の表示画面を発光むらなく高輝度で明るく照明することができるバックライトとして有効なフィールドエミッションランプを提供することができる。
好ましくは上記ゲート導体を上記陰極導体と平行に配置することである。
本発明によれば、液晶表示装置のバックライトとして低電力消費で発光むらなく高輝度照明することができる。
以下、添付した図面を参照して、本発明の参考例に係るフィールドエミッションランプを説明すると、図1は、参考例のフィールドエミッションランプの正面構成を示し、図2は、図1のA−A線に沿う断面構成を示し、図3は同フィールドエミッションランプの平面構成を示す。ただし、図1はランプ駆動の説明のため電気配線ならびに直流電源等を模式的に示す。
これらの図を参照してこのフィールドエミッションランプ10は、平面状のフロントガラス12と、平面状のリアガラス14とを備える。フロントガラス12と、リアガラス14は一定の間隔を隔てて平行に対向配置されている。フロントガラスとリアガラスとの間の間隙は図示略のスペーサ等で保持することができる。フロントガラス12とリアガラス14との対向空間は真空封止されている。この真空封止構造は図示を略している。
フロントガラス12の内表面に導体膜16を設ける。この導体膜16は好ましくはアンチモンドープ酸化錫系導電性粉末(ATO)で構成されている。
フロントガラス12の内表面上の導体膜16からは所定のギャップでもって離間して、電界電子放出膜18付きの直線状の陰極導体20と、陰極導体20をその両側から挟み込む直線状のゲート導体22とを平行交互に配置する。リアガラス14の内表面上に蛍光体膜24付きの陽極導体26を設ける。電界電子放出膜18は陰極導体20表面に形成された炭素膜からなる。この炭素膜はカーボンナノチューブ、カーボンナノウォール、カーボンナノファイバー、ダイヤモンドライクカーボン、アモルファスダイヤモンド、結晶性ダイヤモンド、グラファィト、フラーレン、針状炭素膜等、微細なnmオーダーの突起を有するものであり、陽極導体26との間の高電界の印加により電界放射することができる。
以上の構成において、ランプ駆動時には陽極導体26に直流電源28により高電位を印加すると共に直流電源28のマイナス側と導体膜16と陰極導体20とゲート導体22とを接地するようになっている。
参考例のフィールドエミッションランプ10では、フロントガラス12の内表面はランプ駆動時に接地される導体膜16によりチャージアップすることを抑制される結果、チャージアップに起因した発光むらが抑制されて液晶表示装置のバックライトとして用いた場合、液晶表示装置の表示画面を発光むらなく照明するバックライトとして有効に用いることができるようになる。
また、陰極導体20をその両側からゲート導体22で挟み込む形態としたので、上記ランプ駆動に際しての電圧印加の形態で陰極導体20表面の電界電子放出膜18から放出する電子の広がりをゲート導体22で制御することが可能となり、陽極導体26上の蛍光体膜24からの発光をフロントガラス12方向に領域制限して出射させることが可能となる。そのため、液晶表示装置の表示画面を複数の画素領域に区分してバックライトする場合、隣接するフィールドエミッションランプとの発光領域を区分する場合に有用である。
図4は、他の参考例のフィールドエミッションランプの側面構成を示し、図5は、同フィールドエミッションランプの平面構成を示す。ただし、図4はランプ駆動の説明のため電気配線ならびに直流電源等を模式的に示す。図4および図5において図1ないし図3と対応する部分には同一の符号を付している。
これらの図を参照してこのフィールドエミッションランプ10Aは、平面状のフロントガラス12と、平面状のリアガラス14とを備える。フロントガラス12と、リアガラス14は一定の間隔を隔てて平行に対向配置されている。フロントガラス12とリアガラス14との対向空間は真空封止されている。この真空封止構造は図示を略している。
フロントガラス12の内表面に網状導体膜30を設ける。この網状導体膜30上に、電界電子放出膜18付きの直線状の陰極導体20を設ける。
リアガラス14の内表面上に蛍光体膜24付きの陽極導体26を設ける。
以上の構成において、ランプ駆動時には陽極導体26に直流電源28により高電位を印加すると共に直流電源28のマイナス側と網状導体膜30と陰極導体20とを接地するようになっている。網状導体膜30の網目の大きさは特に限定しない。
参考例のフィールドエミッションランプ10Aでは、フロントガラス12の内表面に網状導体膜30を設けこの網状導体膜30上に陰極導体20を配置したので、この網状導体膜30によりフロントガラス12内表面がチャージアップすることを抑制することができるようになる。この場合、網状導体膜30はランプ駆動時に陰極導体20と共に接地する構成としたので、チャージアップをより効果的に防止抑制することができる。
以上の結果、この参考例ではチャージアップ抑制によりフロントガラス12からの発光むらが抑制された発光を行うことができるので、液晶表示装置のバックライトとして用いた場合に、低電力消費で高輝度照明するフィールドエミッションランプの特徴を生かしつつ液晶表示装置の表示画面を発光むらなく高輝度で明るく照明することができるバックライトとして有効なフィールドエミッションランプを提供することができる。
図6は、実施の形態のフィールドエミッションランプの正面構成を示す。ただし、図6はランプ駆動の説明のため電気配線ならびに直流電源等を模式的に示す。図6において図1ないし図3と対応する部分には同一の符号を付している。
これらの図を参照してこのフィールドエミッションランプ10Bは、平面状のフロントガラス12と、平面状のリアガラス14とを備える。フロントガラス12と、リアガラス14は一定の間隔を隔てて平行に対向配置されている。フロントガラス12とリアガラス14との対向空間は真空封止されている。この真空封止構造は図示を略している。
リアガラス14の外表面に導体膜32を形成すると共にリアガラス14内表面側に電界電子放出膜18付きの直線状の陰極導体20と、直線状のゲート導体22とを交互に配置している。ゲート導体22は陰極導体20をその両側から挟み込む形態に配置している。
そしてランプ駆動時には陰極導体20とゲート導体22とに直流電源28のマイナス側を印加すると共に直流電源28のプラス側とフロントガラス12側の陽極導体26とリアガラス14の導体膜32とを接地する構成としている。
この実施の形態では、リアガラス14の外表面に導体膜32を設け、ランプ駆動時には陰極導体20とゲート導体22とに直流電源28によりマイナス電位を印加すると共にフロントガラス12側の陽極導体26とリアガラス14の導体膜32とを接地する構成としたので、リアガラス14内表面に配置した陰極導体20の電位はリアガラス14外表面の導体膜32で固定化され、また、フロントガラス12内表面がチャージアップすることを抑制することができるようになる。この場合、フロントガラス12側の陽極導体26とリアガラス14の導体膜32とを接地することによりフィールドエミッションランプ全体として接触からの安全性を保つことができる。
以上の結果、この実施の形態ではチャージアップ抑制によりフロントガラス12からの発光むらが抑制された発光を行うことができるので、液晶表示装置のバックライトとして用いた場合に、低電力消費で高輝度照明するフィールドエミッションランプの特徴を生かしつつ液晶表示装置の表示画面を発光むらなく高輝度で明るく照明することができるバックライトとして有効なフィールドエミッションランプを提供することができる。
なお、リアガラス14を図7で示すような内表面形状を溝状として蛍光体膜24から出た光をフロントガラス12から直接出射するとともに、陽極導体26で反射させてフロントガラス12から出射する構成としてもよい。
図1は、本発明の参考例のフィールドエミッションランプの正面構成を示す図である。 図2は、図1のA−A線に沿う断面構成を示す図である。 図3は同フィールドエミッションランプの平面構成を示す図である。 図4は、他の参考例のフィールドエミッションランプの側面構成を示す図である。 図5は、同フィールドエミッションランプの平面構成を示す図である。 図6は、実施の形態のフィールドエミッションランプの正面構成を示す図である。 図7は、さらに他の参考例のフィールドエミッションランプの正面の要部構成を示す図である。
符号の説明
10,10A,10B フィールドエミッションランプ
12 フロントガラス
14 リアガラス
16 導体膜
18 電界電子放出膜
20 陰極導体
22 ゲート導体
24 蛍光体膜
26 陽極導体

Claims (2)

  1. フロントガラス内表面上に蛍光体膜付きの陽極導体を配置する一方、上記フロントガラス後方にリアガラスを配置し、
    このリアガラスの外表面に導体膜を形成すると共に上記リアガラス内表面側に電界電子放出膜付きの直線状の陰極導体と、上記陰極導体をその両側から挟み込む直線状のゲート導体とを配置してなり、
    ランプ駆動時には上記陰極導体と上記ゲート導体とにマイナス電位を印加すると共に上記フロントガラス側の上記陽極導体と上記リアガラスの上記導体膜とに接地電位を印加する構成とした、ことを特徴とするフィールドエミッションランプ。
  2. 上記ゲート導体を上記陰極導体と平行に配置した、ことを特徴とする請求項1に記載のフィールドエミッションランプ。
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