JP5192305B2 - 酢酸アリル共重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
[1]式(1)
で示される構造をモノマーユニットとして含む酢酸アリル共重合体。
[2]式(1)及び式(2)で示される構造のみをモノマーユニットとする[1]に記載の酢酸アリル共重合体。
[3]式(2)中のRで表わされる炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基が炭素数2〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基である[1]に記載の酢酸アリル共重合体。
[4]式(2)中のRで表わされる炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基が炭素数6〜10の脂環式炭化水素基である[1]に記載の酢酸アリル共重合体。
[5]式(1)で示されるモノマーユニットを3〜70mol%含有する[1]に記載の酢酸アリル共重合体。
[6]数平均分子量(Mn)が500〜8000である[1]〜[5]のいずれかに記載の酢酸アリル共重合体。
[7]酢酸アリルと式(2)のモノマーユニットに相当するオレフィン化合物をラジカル重合開始剤の存在下に共重合することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の酢酸アリル共重合体の製造方法。
[8]酢酸アリルと芳香族ラジカル重合性モノマーとの共重合体を水素化することを特徴とする[4]に記載の共重合体の製造方法。
[酢酸アリル共重合体]
本発明の酢酸アリル共重合体は、下記式(1)
で示される構造をモノマーユニットとする共重合体であり、必要に応じて第三のモノマーユニットを含んでいてもよい。
分岐を有する脂肪族炭化水素基の例としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、イソオクチル基、イソデシル基などが挙げられる。
環状構造を含む脂環式炭化水素基の例としては、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、デカヒドロナフタレニル基などが挙げられる。
次に、本発明の酢酸アリル共重合体の製造方法について説明する。本発明の酢酸アリル共重合体は以下に示すA法及びB法の2通りの方法で製造することができる。
A法:式(1)で示されるモノマーユニットに相当する酢酸アリルと式(2)で示されるモノマーユニットに相当するオレフィン化合物をラジカル重合開始剤の存在下に共重合する。
B法:酢酸アリルと芳香族環を有するオレフィン化合物の共重合体を水素化する。
本発明の共重合体の製造方法において用いられる式(2)で示されるモノマーユニットに相当するオレフィン化合物はラジカル重合可能なものであれば特に制限はないが、共重合体の詳細な説明部分で記述した構造をオレフィン化合物の形で表現すると、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−トリコセン等の直鎖状末端オレフィン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘプテン、3−メチル−1−ノネン、3−メチル−1−ウンデセン等の分岐を有する末端オレフィン、シクロヘキシルエチレン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、3−シクロヘキシル−1−プロペン、4−シクロヘキシル−1−ブテン、デカヒドロナフタレニルエチレン等の環状構造を含む末端オレフィンなどが挙げられる。2−デセンのように2位に不飽和結合のあるオレフィンは生長ラジカルが共鳴安定化するため、重合が困難となる。
B法ではまず、酢酸アリルと芳香族環を有するオレフィン化合物との共重合体を得、この共重合体の芳香族環を水素化(水添反応)する。酢酸アリルと芳香族環を有するオレフィン化合物との共重合体はP.Weiss,Journal of Polymer Science,35,p.343−354(1959)(非特許文献1)に記載の方法で製造したもの(酢酸アリル/スチレン共重合体)を使用することができる。
触媒量が少ないと実質上十分な反応速度が得られず、また、触媒量が多い場合は副反応の増大や触媒コストの増大の問題がある。
1.FT−IR
使用機種:Spectrum GX(パーキンエルマー社製)、
測定方法:KBr板を用いて、液膜法で測定した。
使用機種:JEOL EX−400(400MHz,日本電子社製)、
測定方法:重水素化クロロホルムまたは重水素化メタノールに溶解し、内部標準物質にテトラメチルシランを使用して測定した。
使用機種
カラム:Shodex GPC K−G+K−802+K−802.5+K−801(昭和電工社製)、
検出器:Shodex SE−61(昭和電工社製)、
測定条件
溶媒:クロロホルムまたはテトラヒドロフラン
測定温度:40℃、
流速:1.0ml/分、
試料濃度:1.0mg/ml、
注入量:1.0μl、
検量線:Universal Calibration curve、
解析プログラム:SIC 480II (システム インスツルメンツ社製)。
温度計、撹拌子、及び冷却管を備えた二口フラスコを予め窒素置換しておき、それに酢酸アリル(東京化成工業社製,10.01g,0.100mol)と1−デセン(和光純薬社製,56.10g,0.400mol)と2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(和光純薬社製,3.31g,0.0130mol)を加えた。このフラスコをオイルバスに浸し、130℃まで昇温した後、5時間反応させた。フラスコを70℃まで冷却し、減圧下、70℃で未反応の酢酸アリルと1−デセンを留去した。その後、減圧下、100℃まで昇温し、開始剤残渣を除去して高粘性油状物22.27gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体であることを確認した。また、この共重合体の数平均分子量はMn=1120、1H−NMRの積分値から算出した酢酸アリルモノマーユニットの組成は23.8mol%であった。さらに、ヘプタン、クロロホルム、メタノール、及びアセトンへの溶解性の評価結果を表2に示す。
各モノマー及び開始剤の量を酢酸アリル(20.02g,0.200mol)、1−デセン(56.10g,0.400mol)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(3.81g,0.0150mol)とした以外は実施例1と同様の操作を行い、高粘性油状物27.80gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体であることを確認した。1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトル測定の結果をそれぞれ図1〜3に示す。また、この共重合体の数平均分子量はMn=1130、1H−NMRの積分値から算出した酢酸アリルモノマーユニットの組成は38.5mol%であった。さらに、各種溶媒への溶解性の評価結果を表2に示す。
各モノマーおよび開始剤の量を酢酸アリル(20.02g,0.200mol)、1−デセン(28.05g,0.200mol)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(2.40g,0.0094mol)とした以外は実施例1と同様の操作を行い、高粘性油状物19.68gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体であることを確認した。また、この共重合体の数平均分子量はMn=740、1H−NMRの積分値から算出した酢酸アリルモノマーユニットの組成は52.6mol%であった。さらに、各種溶媒への溶解性の評価結果を表2に示す。。
各モノマーおよび開始剤の量を酢酸アリル(20.02g,0.200mol)、1−デセン(14.03g,0.100mol)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(1.70g,0.0067mol)とした以外は実施例1と同様の操作を行い、高粘性油状物11.27gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体であることを確認した。また、この共重合体の数平均分子量はMn=1939、1H−NMRの積分値から算出した酢酸アリルモノマーユニットの組成は60.2mol%であった。各種溶媒への溶解性の評価結果を表2に示す。
各モノマーおよび開始剤の量を酢酸アリル(40.04g,0.400mol)、1−デセン(14.03g,0.100mol)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(2.70g,0.0106mol)とした以外は実施例1と同様の操作を行い、高粘性油状物14.82gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体であることを確認した。また、この共重合体の数平均分子量はMn=2225、1H−NMRの積分値から算出した酢酸アリルモノマーユニットの組成は66.7mol%であった。さらに、各種溶媒への溶解性の評価結果を表2に示す。
温度計、撹拌子、及び冷却管を備えた二口フラスコを予め窒素置換しておき、それに酢酸アリル(東京化成工業社製,10.01g,0.100mol)と1−ノネン(和光純薬社製,50.48g,0.400mol)と2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(和光純薬社製,3.03g,0.0118mol)を加えた。このフラスコをオイルバスに浸し、130℃まで昇温した後、5時間反応させた。フラスコを70℃まで冷却し、減圧下、70℃で未反応の酢酸アリルと1−ノネンを留去した。その後、減圧下、100℃まで昇温し、開始剤残渣を除去して高粘性油状物16.83gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体であることを確認した。1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトル測定の結果をそれぞれ図4〜6に示す。また、この共重合体の数平均分子量はMn=1250、1H−NMRの積分値から算出した酢酸アリルモノマーユニットの組成は22.4mol%であった。さらに、各種溶媒への溶解性の評価結果を表2に示す。。
温度計、滴下漏斗、撹拌子、及び冷却管を備えた二口フラスコを予め窒素置換しておき、それに酢酸アリル(東京化成工業社製,96.1g,0.960mol)を加えた。このフラスコをオイルバスに浸し、90℃まで昇温した後、別途調製しておいたスチレン(和光純薬社製,9.9g,0.096mol)とジ−t−ブチルパーオキシド(キシダ化学社製,1.40g,0.0096mol)を混合した液を滴下漏斗より、3時間かけて滴下した。滴下終了後、8時間撹拌し、フラスコを60℃まで冷却し、減圧下、60℃で未反応の酢酸アリルとスチレンを留去した。その後、フラスコを室温まで冷却し、内容物をメタノール100mlに溶解し、それを1500mlのヘキサンに加え、室温で30分撹拌した。撹拌を止め、10分静置した後、分離により生じた高粘性油状物を回収し、その後、減圧下に100℃で低沸点物を除去して白色固体物9.8gを得た。
得られた固体物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体であることを確認した。また、この共重合体の数平均分子量はMn=3250、1H−NMRの積分値から算出した酢酸アリルモノマーユニットの組成は19.4mol%であった。さらに、各種溶媒への溶解性の評価結果を表2に示す。
120mlのステンレス製オートクレーブ(耐圧硝子工業社製)に比較例1で調製した酢酸アリルとスチレンの共重合体(Mn=3250,酢酸アリルモノマーユニット:19.4mol%,6.0g)と1,4−ジオキサン(和光純薬社製,55.0ml)、粉末状5%Rh−カーボン(和光純薬社製,0.7g)を加え、フランジ部を取り付けた後、系内を窒素で3回置換し、さらに水素ガスで置換を行い、最終的に4.5MPaG(ゲージ圧)の水素圧をかけた。次いで内容を400rpmで撹拌しながら温度を上げ、200℃で7時間反応させた。この間、反応圧力は一定となるように水素ガスを導入した。
内容物を室温まで冷却後、脱圧、窒素置換を行った後、反応器を開けて内容物を取り出し、ろ過により触媒を除去した。得られたろ液より、1,4−ジオキサンを減圧下に留去し、白色固体5.8gを得た。
得られた白色固体の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体であることを確認した。また、この共重合体の数平均分子量はMn=3210、1H−NMRの積分値から算出した酢酸アリルモノマーユニットの組成は16.1mol%であった。さらに、各種溶媒への溶解性の評価結果を表2に示す。
温度計、撹拌子、及び冷却管を備えた二口フラスコを予め窒素置換しておき、それに酢酸アリル(東京化成工業社製,40.04g,0.400mol)と2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(和光純薬社製,2.00g,0.0079mol)を加えた。このフラスコをオイルバスに浸し、130℃まで昇温した後、5時間反応させた。フラスコを70℃まで冷却し、減圧下、70℃で未反応の酢酸アリルを留去した。その後、減圧下、100℃まで昇温し、開始剤残渣を除去して高粘性油状物9.01gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の重合体であることを確認した。また、この重合体の数平均分子量はMn=2746であった。さらに、各種溶媒への溶解性の評価結果を表2に示す。
温度計、撹拌子、及び冷却管を備えた二口フラスコを予め窒素置換しておき、それに1−デセン(和光純薬社製,28.05g,0.200mol)と2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(和光純薬社製,1.40g,0.0055mol)を加えた。このフラスコをオイルバスに浸し、130℃まで昇温した後、5時間反応させた。フラスコを70℃まで冷却し、減圧下、70℃で未反応の1−デセンを留去した。その後、減圧下、100℃まで昇温し、開始剤残渣を除去して高粘性油状物6.76gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の重合体であることを確認した。また、この重合体の数平均分子量はMn=974であった。さらに、各種溶媒への溶解性の評価結果を表2に示す。
Claims (7)
- 式(2)中のRで表わされる炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基が炭素数2〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基である請求項1に記載の酢酸アリル共重合体。
- 式(2)中のRで表わされる炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基が炭素数6〜10の脂環式炭化水素基である請求項1に記載の酢酸アリル共重合体。
- 式(1)で示されるモノマーユニットを3〜70mol%含有する請求項1に記載の酢酸アリル共重合体。
- 数平均分子量(Mn)が500〜8000である請求項1〜4のいずれかに記載の酢酸アリル共重合体。
- 酢酸アリルと式(2)のモノマーユニットに相当するオレフィン化合物をラジカル重合開始剤の存在下に共重合することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の酢酸アリル共重合体の製造方法。
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