以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
まず、本発明に係るデジタル放送受信装置を備えた移動体通信端末の構成例について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るデジタル放送受信装置を備えた移動体通信端末の構成例を示すブロック図で、図2は、図1の移動体通信端末の一例としての携帯電話機の外観例を示す図である。
図1で例示する移動体通信端末100は、アンテナ部101、チューナ部102、Demux部103、モジュール構築部104、モジュール解析部105、記憶部106、位置情報取得部107、モジュール保存制御部108、モジュール表示制御部109、及び通信部110を備えると共に、図2で図示するような表示部202やキー入力部205などを備える。各部位101〜110は、本実施形態に係るデジタル放送受信装置を構成する要素として例示できるが、例えば通信部110などは本発明を適用しないような通常の移動体通信端末に設けられたものを援用できる。
アンテナ部101は、地上デジタル放送の放送局からTS(トランスポートストリーム)パケット形式で送信された放送波を受信するアンテナで構成される。チューナ部102は、復調回路や誤り訂正回路等を含み、アンテナ部101で受信した放送波の放送信号について、特定周波数(特定チャンネル)で指定されたTS信号を取り出す処理を行う。Demux部103は、復調後の多重化されているデータを映像・音声・データ放送などに逆多重化(分離)すると共に、サービスIDによって指定されたパケットデータを抽出する。なお、サービスを識別するための情報としてサービスIDが現状用いられているため、以下の説明ではサービスIDを挙げて説明するが、サービス識別情報としてはサービスIDに限ったものではなく、サービスを識別可能な情報であればよい。
モジュール構築部104は、逆多重化により得たデータ放送のパケットデータから一つのモジュールを構築する。モジュール解析部105は、データ放送として受信したモジュールを解析する。アンテナ部101、チューナ部102、Demux部103、及びモジュール構築部104は、データ放送に関するモジュールと、そのモジュール情報及びサービスIDとを受信する受信部の一例である。データ放送に関するモジュールは現状データカルーセル伝送方式で伝送されており、これを前提に以下の説明を行うが、所謂「データカルーセル方式」に限らずモジュール毎に送信されるデータ放送であれば、以下の説明を同様に適用できる。
記憶部106は、モジュールを保存しておく記憶装置でなる。位置情報取得部107は、移動体通信端末100がモジュールを受信した位置(場所)を取得する。記憶部106は、その主たる特徴として、モジュールだけでなく、モジュール情報、サービスID、及び取得した位置情報を関連付けて記憶する。受信機側がモジュールを受信した際に、その場所の位置情報を取得し、モジュール情報等と共に位置情報を記憶部106で管理しておくことによって、モジュールに一意性を持たせることができ、位置のみが異なる放送局からのモジュールを混同することがなくなる。なお、移動体通信端末100で使用する各種設定データなどもこの記憶部106に記憶させておいてもよい。
移動体通信端末100は、その主たる特徴として、記憶部106内の情報からその位置情報を1つの識別キーとしてモジュールを特定するモジュール特定部を備える。このモジュール特定部を備えることで、同一のサービスID及び同一のモジュール情報を持った異なるデータ放送のモジュールを、受信側で識別することが可能になる。
モジュール保存制御部108は、このモジュール特定部の一例として、新たに受信したモジュールを位置情報を1つの識別キーとして特定する部位を有している。より具体的には、この例でのモジュール特定部は、記憶部106が新たに受信したモジュール(第1のモジュールと呼ぶ)を識別する第1のモジュール情報と、記憶部106が保存しているモジュール(第2のモジュールと呼ぶ)を識別する第2のモジュール情報とが同一であっても、第1のモジュールの受信位置と第2のモジュールの受信位置とが異なる場合には、第1のモジュールが第2のモジュールとは別のモジュールであり、新たに記憶すべきモジュールであると特定する。
そして、モジュール保存制御部108は、別のモジュールであると特定された場合には、第2のモジュール及び第2のモジュールの受信位置とは別に第1のモジュール及び第1のモジュールの受信位置を保存するよう制御する。このとき、第1のモジュール情報の保存も制御する。記憶部106及びモジュール保存制御部108で例示したように、移動体通信端末100は、位置情報をモジュール情報及びサービスIDに関連付けて記憶する記憶部を有する。
モジュール表示制御部109は、モジュール特定部の一例として、表示制御時に位置情報取得部107で取得した現在位置(表示制御時の位置)と、ユーザ操作により選局等により指定されたモジュール情報及びサービスIDとを識別キーとして、記憶部106内の同一のモジュール情報及び同一サービスIDを持った複数のモジュールの中から現在位置と合致するものを、表示対象データ放送のモジュールとして特定する手段を有する。モジュール表示制御部109は、この例のモジュール特定部により特定(選択)されたモジュールを、表示部202に表示させる制御を行う。ここで、位置情報取得部107は表示制御時にも位置を取得するようにしておく。モジュール表示制御部109及び表示部202は、ユーザ操作(電源を起動しなおした場合などは以前に行ったユーザ操作であってもよい)に基づき、記憶部106に記憶されたモジュールを読み出してデータ放送を表示する表示部の一例である。
なお、モジュール表示制御部109及び表示部202の代わりに、外部機器への出力端子等とその制御を行う出力制御部とを設けることで、同様にデータ放送を出力する出力部を構成することもできる。
通信部110は、通信キャリアが提供するネットワークにアクセスし、音声や電子メール等の情報の収受を行う。
各部101〜110は、ハードウェア、ソフトウェア(ファームウェアを含む)、ハードウェアとソフトウェアの両者、のいずれかによって構成される。例えば、これらを実現する一例として、マイクロコンピュータ等のコンピュータを利用する場合には、CPU、メモリ、バス、インターフェース、周辺装置などから構成されるハードウェアと、これらのハードウェア上にて実行可能なソフトウェアを挙げることができる。CPUはこのソフトウェアを実行することで他のハードウェアを制御する。具体的には、ROMに格納されたソフトウェアをメモリ上に展開し、展開されたプログラムを順次実行することで、メモリ上のデータや、インターフェースを介して入力されるデータの加工、蓄積、出力などにより各部の機能が実現される。以下に説明する各処理は、上記ソフトウェアとしてその処理手順をCPUに実行させるためのプログラムを組み込み実行させることによって、実現できる。
図1で例示した移動体通信端末100としては、例えば、図2のような外観の携帯電話機200が挙げられる。勿論、携帯電話機200の外観はこれに限ったものではなく、移動体通信端末100も携帯電話機に限ったものではなく、PDA(Personal Digital Assistant)等でもよい。
図2で例示する携帯電話機200は、地上デジタル放送用アンテナ201、テレビ映像及びデータ放送を表示する表示部202、音声を入力するマイクロフォンでなる音声入力部203、音声を出力する音声出力部204、及び、ボタン等によりユーザが選局等の各種コマンドを入力することを可能とするキー入力部(操作部)205が、本体に配設されている。
次に、本発明に係るデジタル放送受信装置を備えた移動体通信端末の動作について説明する。本発明の機能を有する地上デジタル放送を受信可能な移動体通信端末100が、最初にある地域Aでセグメント分離放送Aを受信し、その後に、別の地域Bで別の放送局による、セグメント分離放送Aと同一のサービスIDを有するセグメント分離放送Bを受信した場合の例を以下に説明する。
なお、セグメント分離放送は局地的に行われることが想定されている。局地的に行われると放送局の数が多くなるため、セグメント分離放送においては、従来の地上デジタル放送とは異なり、サービスIDが放送局毎に一意に割り振られない形で運用されることも考えられる。特に、屋内など閉じた環境でセグメント分離放送が行われる場合などにはこのような運用が想定できる。本実施形態においては、サービスIDのような放送局を一意に識別するはずの情報が、実際には一意に設定されていない場合を想定している。
図3は、従来の地上デジタル放送受信可能な移動体通信端末を用いて地域Aで放送を受信したときの保存状態の一例を示す図、図4は、本発明の移動体通信端末を用いて地域Aで放送を受信したときの保存状態の一例を示す図、図5は、本発明の移動体通信端末を用いて地域Aから地域Bに移動したときの保存状態の一例を示す図である。
始めに、移動体通信端末100との比較のために、このようなサービスIDが一意に設定されていないセグメント分離放送を従来の移動体通信端末(以下、従来端末という)で受信する場合の動作を概略的に説明する。地域Aで放送Aを受信した際、従来端末では、記憶部106に相当する記憶部に図3のような構造で各モジュールが保存される。この記憶部に保存されるモジュールは、モジュール情報及びサービスIDを用いて紐付け(関連付け)されている。
なお、モジュール情報とはサービス内におけるモジュールの識別に用いられる情報であり、サービスIDとはサービスの識別に用いられる情報である。図3の例では、モジュール情報としては、コンポーネントタグ、モジュールID、モジュール名、及びモジュールバージョンが保存されている。しかし、モジュール情報としては、これらの例に限らずモジュールを識別する情報を保存すればよい。
地域Aの中では各々のモジュールが一意的に識別できるので、従来端末は、地域Aにいる間はコンテンツプロバイダが意図したものを受信し、表示することができる。
その後、ユーザが従来端末を地域Bに移動させ、放送Bのモジュールの受信を開始した場合を考える。地域Bにおいて、地域Aで伝送していたモジュールと同一のサービスID及び同一のモジュール情報を有するモジュールを受信したとき、従来端末は記憶部上に存在するモジュールと同じものが伝送されていると認識し、地域Bで伝送されている放送Bのモジュールの保存を行わない。すると、放送Bのデータ放送の表示を行う際に、従来端末は、地域Bのコンテンツプロバイダが期待しているコンテンツを表示できず、まったく違う放送Aのコンテンツを表示してユーザに提示してしまう。
次に、同様の場面で、本発明の機能を有する移動体通信端末100が行う動作について、その概略を説明する。
移動体通信端末100は、従来端末と同じ動作で、地域Aでのモジュール受信、モジュール解析、モジュール保存を行う。ただし、移動体通信端末100では、それに加えて、モジュール保存時に位置情報取得部107で移動体通信端末100の受信位置の情報(この例では「地域A」という位置情報)を取得し、図4のようにこの位置情報をモジュール情報及びサービスIDに関連付けた状態で記憶部106に保存する。このような保存の制御もモジュール保存制御部108が行う。
ここで、位置情報の取得についてさらに詳細に説明する。位置情報取得部107は、データ放送の放送局(この例ではセグメント分離放送方式の地上デジタル放送の放送局に該当)に関連する位置情報を取得する位置情報取得部の一例である。ここでは、放送局に関連する位置情報として、データ放送の受信位置(放送受信時における受信装置の位置情報)を取得する例を挙げている。
受信位置を取得するために、位置情報取得部107は、通信部110が移動体通信の基地局との通信によって基地局を識別する情報を入手するように構成してもよいし、GPS(Global Positioning System)を利用して自身の緯度・経度を取得するように構成してもよいし、その他の構成を採用してもよい。なお、図4等では、記憶部106に記憶させる受信位置情報として、便宜的に「地域A」と保存した例を挙げているが、保存する内容は基地局を識別できる情報や緯度・経度の情報であってもよい。基地局を識別する情報を取得する構成を採用した場合には、基地局の位置又は基地局がカバーする通信範囲に含まれる所定位置を、移動体通信端末100の位置(つまり放送受信位置)とみなすことになる。なお、移動体通信端末100に、通信部110用の移動体通信アンテナを複数本設けるなどにより、基地局からの方向も判定できるようにしてもよい。
上述したような地域Aでのモジュール及びそれに関連する各情報の保存後、ユーザが移動体通信端末100と共に地域Bに移動し、地域Bで放送されている放送Bのモジュールを受信したときには、次に説明するような処理により移動体通信端末100の記憶部106における保存状態は図5のようになる。
まず、移動体通信端末100は、上述のように、従来端末と異なりサービスID及びモジュール情報に位置情報を紐付けて記憶部106に保存する。そして、移動体通信端末100は、同一のサービスID、同一のモジュール情報で伝送されているモジュールを受信しても、記憶部106に保存済みのモジュールと異なる位置で受信したモジュールであれば異なるモジュールであると判断し、受信を継続し、記憶部106に保存する。なお、このモジュールの保存時にも、そのモジュールのサービスID、モジュール情報、位置情報を関連付けて保存する。
そして、移動体通信端末100は、データ放送を表示する際に移動体通信端末100の位置情報を取得し、モジュール特定部がその位置情報を1つの識別キーとして表示に用いるモジュールを決定(特定)する。移動体通信端末100は、このような表示に用いるモジュールを特定するモジュール特定部を備えることにより、地域Bにおいて、コンテンツプロバイダが期待しているコンテンツのモジュールを読み出して表示することができる。つまり、このモジュール特定部により、データ放送が正しく表示されなかったり、更新を正しく行えないといった不具合を防ぐことができ、常にコンテンツプロバイダが望んだデータ放送をユーザが視聴できるようになる。
ただし、表示に用いるモジュールを決定する際には、以下のことに留意する必要がある。モジュールを受信した場所の位置情報及びデータ放送を表示しようとした場所の位置情報として、GPSによって得られる経度・緯度を用いる場合、多くのケースで経度・緯度が完全には一致しないことが考えられる。そのような場合にすべての経度・緯度でモジュールを保存していたのでは、緯度・経度が僅かに異なる同じモジュールを多数保存してしまうことになるため、記憶部106の記憶領域が埋まり記憶容量が足りなくなってしまう。また、表示させようとしたときに、そのときの緯度・経度が保存したときの緯度・経度との違いが僅かであっても、当該モジュールが存在しないと判断され、その都度受信・保存処理が必要となり、処理時間及び負荷が増加してしまう。
そこで、モジュールを有効とする有効範囲(距離)を設定して、冗長性を持たせることにより、この問題を解決することが好ましい。すなわち、「受信位置からの半径r(km)ではモジュールが有効」や「同一の県・市・町・村にいる間は有効」などの方法を用いて、冗長性を持たせる。これらは、予め移動体通信端末100にプログラムとして持っていてもよいし、デフォルト値からユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
図6は、受信位置を基準とした有効範囲の設定と放送局の位置を基準とした有効範囲の設定とを比較するための概念図である。受信位置を基準とした有効範囲の設定により、図6(A)の点線円で囲まれる範囲で図示した「有効範囲」の中に、最初に受信したモジュールが受信できる範囲(図6(A)の実線円で囲まれる範囲)が多数含まれる反面、最初に受信したモジュールを受信できない範囲も多数含まれてしまう。
これを改善するために、受信したモジュールの有効範囲は、「受信位置」ではなく、図6(B)の実線円で囲まれる範囲で例示したように「放送局」を基準に定めることが好ましい。これは、受信位置より、放送局の位置や電波の強さの方が、放送の届く範囲により大きな影響を与えるためである。なお、放送局は移動できるものでもよく、ここで基準とする「放送局」は放送時の放送局を指す。
より具体的には、放送時の放送局の放送の中(データ放送のデータ中が好ましいがこれに限らない)に、放送局の緯度・経度情報を含め、移動体通信端末100はそれを記憶部106に保存するとよい。そして、移動体通信端末100は、データ放送の表示を行う際に、現在の自身の緯度・経度を測定し、測定した緯度・経度と保存した放送局の緯度・経度情報とを比較し、緯度・経度の差が所定の有効範囲に含まれていれば、保存されているモジュールを用いて表示すればよい。一方、所定の有効範囲に含まれていなければ、新たなモジュールを取得し表示すればよい。
ここで、放送局の緯度・経度情報は、移動体通信端末100が自身の緯度・経度を測定する際に放送波から入手してもよい。また、放送局の緯度・経度情報を、その放送局のウェブサイトにアクセスしダウンロードするなどにより、予め移動体通信端末100が保持していてもよい。上記所定の有効範囲は、放送局が所定の有効範囲情報を放送に含めて送信する、若しくは移動体通信端末100側でユーザ設定するとよい。後者の場合、端末で設定する場合、直接有効範囲の値を設定してもよいし、予め保持している、若しくは放送波に含まれる放送局の出力情報を元に、「有効範囲(km)=(2×送信出力(W))の平方根」などとして算出した値を設定してもよい。この算出により、例えば送信出力が1Wの場合、有効範囲はおおよそ1.41kmとなる。
このような、放送局の位置を基準とした有効範囲の設定は、位置情報として緯度・経度情報を採用した場合に限らず、他の情報を採用した場合にも有益である。さらに、有効範囲の設定を行わない形態においても、位置情報取得部107が、放送局に関連する位置情報として受信位置ではなく放送局の位置を取得し、記憶部106に記憶した放送局の位置とモジュール受信時の放送局の位置との比較に基づき、モジュールの特定を行ってもよい。
放送局の位置により放送局を一意に識別する方法では、モジュールと同じメディアで放送局の位置が送信されるため、データの管理が容易である。また、固定された放送局の位置(放送波の送信位置)により放送局(つまりモジュール)を一意に識別する方が、変化する受信位置により一意に識別するよりも精度の高い識別が可能となる。一方で、受信位置の情報を取得する構成では、受信位置の情報が放送を受信できる範囲の情報であることから、放送内容に放送局の位置に関する情報を付加するなどの特別な変更を加える必要がなく、また受信位置から放送局の位置をおおよそ推定することもできる、といった点で有益である。
また、位置情報取得部107に、受信位置を取得する部位と放送局の位置を取得する部位の双方を設けておき、記憶部106内の位置情報と現在の位置情報との比較を、受信位置同士で実行し且つ放送局の位置同士で実行して、双方の比較結果が一致を示している場合のみ過去に受信しているモジュールであると判定してもよい。位置情報取得部107に双方の部位を設けた場合の他の特定方法としては、モジュールの保存時に放送局の位置情報を取得して記憶部106に保存し、モジュール特定時には現在の受信位置の情報を取得し、それらを比較し、所定の有効距離(放送局の出力等に依存する距離)内に収まっていれば、両者を同じ位置情報をもつとして判定してもよい。
次に、図7〜図9を参照して、上述した移動体通信端末100における動作例を説明する。図7は、図1の移動体通信端末におけるモジュール受信からデータ放送表示までの処理例を概略的に説明するためのフロー図である。また、図8は図7におけるモジュール受信時の処理例を説明するためのフロー図で、図9は図7におけるデータ放送表示時の処理例を説明するためのフロー図である。
モジュール受信からデータ放送表示までは、以下のようなプロセスを経て行われる。
図7を参照すると、まず、受け付けたユーザ操作に応じてチャンネル選局を行い(S701)、チューナ部102が伝送周波数(伝送チャンネル)をロックするとDemux部103がパケットデータを受信する(S702)。S701のチャンネル選局操作は、セグメントに対応するチャンネル(以下、セグメント対応チャンネルという)の選択操作を意味する。
このセグメント対応チャンネルの選局操作は、ユーザによるUP/DOWNキーの操作により、本実施形態のようにサービスIDが任意に付されるような環境下でも実行できる。より具体的には、受信中のデータから得た受信中のサービスIDを文字コード順に昇順又は降順に並べ、UP/DOWNキーの押下操作に応じて、次に大きなサービスID/次に小さなサービスIDを選択し、S702において選択されたサービスIDに対応する映像・音声・データ放送のパケットデータをDemux部103が抽出する(抽出できない場合には次の伝送チャンネルに変更して検索する)ことで、セグメント対応チャンネルのパケットデータの抽出が可能となる。
また、セグメント対応チャンネルの選局操作は、数字キーによる伝送チャンネル及びサービスIDを示す数字の入力操作によっても実行できる。この場合には、入力された伝送チャンネルを示す数字に対応して周波数をロックし、受信したサービスIDの中から入力されたサービスIDに対応するパケットデータを抽出すればよく、移動体通信端末100の移動により抽出できない場合には選局できない旨の表示を行えばよい。
次に、モジュール構築部104が、Demux部103が受信した、データ放送に対応する複数のパケットデータを得て、これらから一つのモジュールとして構築し、モジュール解析部105に渡す(S703)。ここでは、モジュール構築毎にモジュール解析部105へモジュールを渡す。次に、モジュール解析部105が渡されたデータ(BML文書)を解析し(S704)、モジュール保存制御部108が、解析結果を受けて所望するデータ(つまり読み込むべきデータ)か否かを確認し所望するデータであれば、そのモジュールを記憶部106に保存する制御を行う(S705)。そして、表示に最低限必要なモジュールが揃うまで(S706でYESとなるまで)、繰り返しモジュールの受信・解析を行う。ここで読み込むべきデータとは、現在表示しようとしている情報について表示に最低限必要なモジュール群のうちの保存していないモジュールを指す。読み込むべきデータの具体例を挙げると、一番始め(データ放送を表示させるとき)はモジュールID=0x0000のstartup.bmlであり、それ以外のときは表示中の文書又は解析中の文書から参照されるモジュールのデータであり、いずれのデータもすでに記憶部106に保存されている場合には読み込むべきデータとして取り扱わない。S706でYESとなったとき、すなわちBML文書の解析時にその文書から参照されるモジュールがすべて揃ったときに、BMLブラウザに受信完了通知を送信する(S707)。
BMLブラウザは、受信完了通知を受信したら記憶部106に保存されているモジュールを読み出し(S708)、モジュール中に含まれているBML文書の解析を行い、BML文書と共に伝送されている各要素を取り込むことによってユーザにデータ放送表示を提供する(S709)。ここで、データ放送表示としては、映像データとして受信した映像をスケーリングにより縮小したものを含んだ表示であってもよい。そのとき受信した音声データも同時に音声出力するとよい。映像・音声データについては、データカルーセル伝送方式でないため、単にDemux部103で分離したパケットデータを映像復号部及び音声復号部(共に図示せず)に出力してそれぞれで復号し、縮小処理後、出力すれば済む。
次に、図8を参照して本発明におけるモジュール受信時の動作例について説明する。モジュール受信動作は、ユーザのチャンネル選局操作を受け付けて選局することによって開始される(S801)。チューナ部102が、チャンネル選局により伝送周波数をロックすると、Demux部103が放送データの受信を始め、サービスIDが取得できるようになるため、このサービスIDを一時的に記憶しておく(S802)。このサービスIDにより、上述したようなセグメント対応チャンネルの選局が可能になる。
また、Demux部103は、サービスIDや映像・音声データと共にデータ放送用のデータのモジュールを受信すると(S803)、モジュール情報の取得も行う(S804)。Demux部103がモジュール情報を取得したら、モジュール保存制御部108が記憶部106に同じモジュールが存在するか否かの確認を行う(S805)。
S805では第1段階として、サービスIDとモジュール情報のみで確認する。モジュール保存制御部108が、記憶部106上に同一のサービスID及びモジュール情報を有するモジュールが存在しないと判断した場合には、位置情報取得部107が位置情報を取得し(S806)、サービスID、モジュール情報と共にモジュールに紐付けて、記憶部106に保存する(S807)。
モジュール保存制御部108が記憶部106上に同一のサービスIDとモジュール情報を有するモジュールが存在すると判断した場合には、位置情報による識別を実行することとなる。
まず、位置情報取得部107が現在の位置情報を取得する(S808)。次に、モジュール保存制御部108が移動体通信端末100内に設定されている位置情報の有効範囲を読み込み(S809)、同一のサービスIDとモジュール情報を有するモジュールの受信位置の有効範囲内に現在位置があるか否かを判定する(S810)。
現在位置がモジュールの有効範囲内にある場合には、モジュール保存制御部108は、現在受信中のモジュールが記憶部106に保存されているモジュールと同一のものであると判断し、受信したモジュールは破棄する(S811)。現在位置がモジュールの有効範囲外にある場合には、モジュール保存制御部108は、受信したモジュールが記憶部106に保存されているモジュールとは別のモジュールであると判断し、サービスID、モジュール情報、及び位置情報と紐付けて記憶部106に保存する制御を行い、保存が完了する(S807)。
なお、本フローチャートにおいてはサービスID及びモジュール情報を比較した(S805)後に、位置情報を取得している(S808)が、先に位置情報を取得してもよい。すなわち、サービスID、モジュール情報及び位置情報によってモジュールの同一性を判断できるものであればよい。
次に、図9を参照して本発明におけるデータ放送表示時の動作例について説明する。データ放送の表示シーケンスは、モジュール表示制御部109がデータ放送を表示するブラウザにモジュールをリクエストされることから開始される(S901)。リクエストされるときには、モジュール情報のみを指定されること、或いはサービスIDとモジュール情報を指定されることが考えられる。
モジュール表示制御部109は、リクエストされた情報を持つモジュールが記憶部106に存在するか否かを調査する(S902)。記憶部106に存在しない場合にはDemux部103が新規にモジュールの受信を始めることとなる(S903)。そして、モジュール表示制御部109がそのモジュールをブラウザに渡して表示がなされる(S904)。
一方、S902で記憶部106に存在する場合には、そのモジュールが有効か否かの判断を行わなければならない。まず、位置情報取得部107が現在位置の位置情報を取得し(S905)、モジュール表示制御部109がその位置情報が有効範囲内となるようなモジュールを記憶部106から検索する(S906)。その検索の結果、該当するモジュールが存在すればモジュール表示制御部109がそのモジュールをブラウザに渡して表示がなされる(S904)。該当するモジュールが存在しない場合には、Demux部103が新規に受信を始め(S903)、モジュール表示制御部109がそのモジュールをブラウザに渡して表示がなされる(S904)。
以上、本発明に係るデジタル放送受信装置を移動体通信端末に組み込まれるものとして説明した。移動体通信端末に組み込むことで、実際に受信する放送局が変わることが多くなるため本発明の効果がより顕著になるため好ましいが、設置型のテレビ受信機、チューナ機器、レコーダ、STB(Set Top Box)などに組み込んだ場合でも、本発明の効果が期待できる。
また、本実施形態においてはセグメント分離放送を用いた例について記載したが、放送方式はこれに限るものではない。例えば一般的な地上デジタル放送の方式を用いて局所的に放送する場合など、モジュールの受信位置若しくは送信位置の情報を利用することによりモジュールが識別可能な放送形態であれば、本発明を適用でき、その効果を得ることができる。
また、以上の説明では、モジュール及びそれに関連付けて保存した情報とのセットを破棄しないことを前提として説明しているが、特にモジュールがデータカルーセル方式で伝送されている場合、データの記憶容量又は記憶領域の残容量が所定容量になったときに例えば古いセットから破棄するなど、適宜破棄の規則を決めておいてもよい。
また、受信したデジタル放送を録画しておき、後に視聴することも考えられる。録画時にデータ放送も含めMPEG2−TSデータのまま記録した場合には、サービスID等を用いたモジュール比較自体が必要なくなるため、本発明のような位置情報等の保存は必要ない。また、TSデータのまま記録しない場合には、視聴時の位置情報を取得しても、当該放送を行っていた位置と異なることが考えられる。そのため、データ放送を含むデータを録画し、それを再生(視聴)する際には、位置情報の取得又は位置情報に基づくモジュール特定は行わないようにするとよい。これは、異なる時間・場所での視聴に本発明を適用しても、放送局が意図するデータを受信することが困難であるだけでなく、謝った情報をユーザに提供してしまう可能性があるからである。
100…移動体通信端末、101…アンテナ部、102…チューナ部、103…Demux部、104…モジュール構築部、105…モジュール解析部、106…記憶部、107…位置情報取得部、108…モジュール保存制御部、109…モジュール表示制御部、110…通信部、200…携帯電話機、201…地上デジタル放送用アンテナ、202…表示部、203…音声入力部、204…音声出力部、205…キー入力部。