JP5190649B2 - ガス吸引システム及びそれを用いたガス吸引方法 - Google Patents

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本発明は、可燃性ガスを含有する廃棄物からガスを吸引するガス吸引システム及びそれを用いたガス吸引方法に関するものである。
従来、生物分解可能な有機性廃棄物を埋立地において埋立処理し、該埋立処理した有機性廃棄物から嫌気性発酵に伴いメタンガスが発生する間は、メタンガスを回収し、メタンガスの発生が終了した後は、前記埋立処理した有機性廃棄物の発酵分解物を掘起し、堆肥、土壌改良材、覆土材及び固形燃料の少なくとも一つのリサイクル品として回収する有機性廃棄物の処理方法であって、前記掘起した発酵分解物は、リサイクル品を回収した後の未発酵分解物を繰返し埋立処理することができる処理方法がある(特許文献1参照)。
この処理方法におけるメタン回収の方法は、地表面から大気へのメタンガスの拡散を減らし、効率的かつ定量的にガスを回収するため、埋立時あるいは埋立後に埋設した水平ガス井や垂直ガス井あるいは表面ガス井などの単一あるいは組合せたガス井から、ブロアでメタンガスを吸引し、回収したメタンガス中の水分、微細粒子及び硫化水素などを除去するため、除湿機により水分を凝縮、除去し、フィルターにより微細粒子を除去し、乾式脱硫装置あるいは生物脱硫装置により硫化水素を取り除き、メタンガスを燃焼する場合のエンジンやタービンの腐食やトラブルを防止したり、大気汚染防止の観点から、燃焼排ガス中の二酸化イオウ濃度を低減させるようにしている。
特開2004−237260号公報
しかしながら、廃棄物層内に存在するメタンガス濃度は、50%程度の高濃度に達し、このような状況でガスを吸引すると、ガス吸引設備内で、メタンガス濃度が、爆発限界である5〜15%となる場合があり、爆発が発生する危険性があるため、防爆施設の設置等、余分な設備等を設ける必要があった。
本発明は上記課題を解決し、廃棄物層等の層内に存在するメタンガス等の可燃性ガスを安全に吸引するシステム及びそれを用いたガス吸引方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するものであって、側面にガス吸引孔を有する管を有し、廃棄物層の層内に設けるガス吸引井戸と、前記ガス吸引井戸から空気や可燃性ガスを吸引するガス吸引手段と、前記ガス吸引井戸内に空気を供給する空気供給手段とを備え、前記空気供給手段から空気を供給すると共に、前記ガス吸引手段により前記ガス吸引井戸内から空気や可燃性ガスを吸引することで、前記ガス吸引井戸内に前記廃棄物層の層内から可燃性ガスを吸引し、前記ガス吸引手段は、吸引した可燃性ガス内のメタン濃度を検出するメタン濃度計を有し、前記空気供給手段は、前記ガス吸引井戸内と連通する空気供給管と、前記メタン濃度計の検出値から前記ガス吸引井戸内へ供給する空気量を調整する空気供給バルブとを有するガス吸引システムを用いたガス吸引方法において、まず前記空気供給バルブを全開にし、次に前記ガス吸引装置を作動させ、続いて前記メタン濃度計の検出値が爆発限界より低い所定値になるように前記空気供給バルブを調整し続け、最後に前記メタン濃度計の検出値が0に近い所定値になったら前記ガス吸引システムの作動を終了することを特徴とする。
本発明によれば、面にガス吸引孔を有する管を有し、廃棄物層の層内に設けるガス吸引井戸と、前記ガス吸引井戸から空気や可燃性ガスを吸引するガス吸引手段と、前記ガス吸引井戸内に空気を供給する空気供給手段とを備え、前記空気供給手段から空気を供給すると共に、前記ガス吸引手段により前記ガス吸引井戸内から空気や可燃性ガスを吸引することで、前記ガス吸引井戸内に前記廃棄物層の層内から可燃性ガスを吸引し、前記ガス吸引手段は、吸引した可燃性ガス内のメタン濃度を検出するメタン濃度計を有し、前記空気供給手段は、前記ガス吸引井戸内と連通する空気供給管と、前記メタン濃度計の検出値から前記ガス吸引井戸内へ供給する空気量を調整する空気供給バルブとを有するガス吸引システムを用いたガス吸引方法において、まず前記空気供給バルブを全開にし、次に前記ガス吸引装置を作動させ、続いて前記メタン濃度計の検出値が爆発限界より低い所定値になるように前記空気供給バルブを調整し続け、最後に前記メタン濃度計の検出値が0に近い所定値になったら前記ガス吸引システムの作動を終了するので、層内の可燃性ガスを空気と混合し、濃度を低くした状態で、吸引することができ、爆発が発生する危険性が少なくなり、防爆施設の設置等、余分な設備等を設ける必要がなくなる。また、可燃性ガスのメタン濃度を所望の濃度に調整することができる。さらに、ガス吸引井戸が有する管内のメタンガスを効率よく吸引することができる。
以下、図面を参照して本発明のガス吸引システムの一実施形態を説明する。図1は、本実施形態のガス吸引システム1を示す。図1において、1はガス吸引システム、2はガス吸引井戸、3は空気供給手段の一例としての空気供給部、4は空気供給管、5は空気供給バルブ、6は供給空気流量計、7はガス吸引手段の一例としてのガス吸引部、8はガス吸引管、9は気水分離器、10は排水ポンプ、11は排水バルブ、12はメタン濃度計、13はガス吸引装置の一例としてのガス吸引ポンプ、14はガス吸引バルブ、15は吸引ガス流量計、16はガス処理手段の一例としてのガス処理部、17は脱硫装置、18は活性炭吸着装置、19は可燃性ガス燃焼装置、21は管の一例としての鋼管、24は蓋、Lは廃棄物層である。
1はガス吸引システムであり、地盤内の廃棄物層L内に設けたガス吸引井戸2と、ガス吸引井戸2内に空気を供給する空気供給部3と、ガス吸引井戸2から可燃性ガスや空気を吸引するガス吸引部7と、吸引した可燃性ガスを処理するガス処理部とからなる。
2はガス吸引井戸であり、図2に示すように、先端21aが円錐状に閉じ、先端側側面にガス吸引用孔22を設け、他端21bを蓋24により内部を密閉された鋼管21を廃棄物層L内に圧入等により設けることで形成される。なお、ガス吸引用の孔22は、側面全体に設けてもよい。
空気供給部3は、空気供給管4、空気供給バルブ5及び供給空気流量計6からなる。空気供給管4は、地上からガス吸引井戸2内の底部2aまで挿通し、連通する管であり、地上の空気をガス吸引井戸2内の底部2aに供給する。空気供給バルブ5は、メタン濃度計12の検出値から、ガス吸引井戸内へ空気供給管4により供給する空気の流量を調整するバルブである。供給空気流量計6は、空気供給管4により供給する空気の流量を検出する流量計である。
ガス吸引部7は、ガス吸引管8、気水分離機9、排水ポンプ10、排水バルブ11、メタン濃度計12、ガス吸引ポンプ13、ガス吸引バルブ14、吸引ガス流量計15からなる。
ガス吸引管8は、ガス吸引井戸2内に挿入され内部と連通する管であり、ガス吸引井戸2の上部2bからガスを吸引する。気水分離機9は、ガス吸引管8と連結され、排気された可燃性ガスから水分を除去するものである。除去された水分等は、排水ポンプ10及び排水バルブ11により、排水される。メタン濃度計12は、ガス吸引ポンプ13により吸引され、気水分離機9により水分を除去された可燃性ガス内のメタン濃度を検出するものである。ガス吸引ポンプ13は、気水分離機9により水分を除去された可燃性ガスを、ガス吸引管と連通し吸引するポンプである。ガス吸引バルブ14は、ガス吸引ポンプ13により吸引されたガスの流量を調整するバルブである。本実施形態では、後述する脱硫装置17及び活性炭吸着装置18等の処理能力を考慮し、吸引するガスは約50〜500L/minに調整する。吸引ガス流量計15は、ガス吸引バルブ14により調整された可燃性ガスの流量を検出する流量計であり、本実施形態で流量が適正であるかどうか確認するためのものである。
ガス処理部16は、脱硫装置17、活性炭吸着装置18及び可燃性ガス燃焼装置19からなり、ガス吸引手段7の下流に連通している。脱硫装置17は、酸化鉄等により、ガスに含有する硫化水素を除去するためのものである。活性炭吸着装置18は、ガスに含有するVOC等を除去するためのものである。可燃性ガス燃焼装置19は、ガスに含有するメタン等の可燃性ガスを除去するためのものである。
次に、このようなガス吸引システム1の作動について説明する。図3は、本実施形態のガス吸引システム1の作動フローチャートである。まず、ガス吸引システム1は、ステップ1で、空気供給バルブ5を全開にする(ST1)。このことにより、次のステップでガス吸引ポンプ13を作動させる際に、いきなりメタンガス濃度の高い可燃性ガスがガス吸引井戸2から吸引されることを防止することができる。
次に、ステップ2で、ガス吸引ポンプ13を作動させる(ST2)。この時点では、空気供給バルブ5が全開となっているので、ガス吸引井戸2内の圧力が低くなっても、ガス吸引井戸2周辺からガス吸引井戸2内に可燃性ガスが吸引されることはなく、ガス吸引ポンプ13により可燃性ガスはほとんど吸引されず、空気供給管4から供給された外気がそのまま吸引される。
続いて、ステップ3で、吸引ガス流量計15のガス流量検出値が50〜500L/min内の例えば約100L/min等となるように、ガス吸引バルブ14の開度を調整する(ST3)。そして、ステップ4で、吸引ガス流量計15のガス流量検出値が約50〜500L/minであるかどうか判断する(ST4)。吸引ガス流量計15のガス流量検出値が約50〜500L/minとならない場合には、再度ガス吸引バルブ14の開度を調整し、吸引ガス流量計15のガス流量検出値が約50〜500L/minとなった場合には、次のステップ5に進む。
ステップ5では、メタン濃度計12の検出値が爆発限界より低い所定値、本実施形態では約5%以下の所定値、例えば4%になるように空気供給バルブ5を絞り調整し続ける(ST5)。
このように空気供給バルブ5を絞ることにより、ガス吸引井戸2内の圧力が低くなり、空気供給管4から空気が供給されると共に、ガス吸引井戸2周辺からガス吸引井戸2内に可燃性ガスが吸引されるようになることで、井戸内に吸引された可燃性ガスと空気供給管4から供給された空気とが混合し、メタン濃度の低い可燃性ガスがガス吸引ポンプ13により吸引される。
ステップ5のように、ガス吸引ポンプ13の作動を継続した状態で、例えば4%になるように空気供給バルブ5を絞り調整し続けると、ステップ1で全開であった空気供給バルブ5は、この時点から徐々に絞られ、最終的に全閉となる。
ここで、供給空気流量計6の検出値により、ガス吸引井戸2内の可燃性ガスの希釈割合又は廃棄物層のメタン濃度の目安がわかる。例えば、メタン濃度計12の検出値が約4%で、吸引ガス流量計15のガス流量検出値が約100L/min、供給空気流量計6の空気流量検出値が約90L/minの場合、可燃性ガスのガス量は10L/minでガス吸引井戸2内の可燃性ガスを10倍希釈し、廃棄物層のメタン濃度は40%であるとわかる。
そして、ステップ6で、メタン濃度計12の検出値が4%より大きいかどうか判断する(ST6)。メタン濃度計12の検出値が4%以下である場合には、次のステップ7に進み、突発的にメタン濃度計12の検出値が4%より大きくなった場合には、ステップ61で、ガス吸引ポンプ13の作動を直ちに停止する(ST61)。
次に、ステップ7で、空気供給バルブ5が全閉であるかどうかを判断する(ST7)。空気供給バルブ5が全閉でない場合、ステップ5に戻り、メタン濃度計12の検出値が約4%になるように空気供給バルブ5を絞り調整し続ける。この間に、廃棄物層内のメタン濃度が低下していく。空気供給バルブ5が全閉となった場合、ステップ8で、メタン濃度計12の検出値が約0%に近い所定値、例えば0.1%であるかどうか判断する(ST8)。メタン濃度計12の検出値が約0%に近い所定値、例えば0.1%でない場合、空気供給バルブ5が全閉のままガス吸引システム1の作動を続け、メタン濃度計12の検出値が約0%に近い所定値、例えば0.1%となった時点でガス吸引システム1の作動を終了する。
このように調整することで、ガス吸引井戸2周辺の廃棄物層Lからガス吸引井戸2内に吸引された可燃性ガスは、空気供給管4から供給された空気と混合し、ガス吸引井戸2内でメタン濃度を所望の濃度に調整することができ、ガス吸引管8を通り、気水分離機9へと流入する。したがって、爆発が発生する危険性が少なくなり、防爆施設の設置等、余分な設備等を設ける必要がなくなる。
また、鋼管21は、上端に鋼管21内部を密閉するための蓋24を有するので、効率良く可燃性ガスと空気とを混合することができる。
気水分離機9では、水分を凝縮し、排水ポンプ10や排水バルブ11を介して、水を除去する。その後、可燃性ガスは、メタン濃度計12、ガス吸引ポンプ13、ガス吸引バルブ14及び吸引ガス流量計15等を経て、ガス処理部16に流入する。脱硫装置17では、酸化鉄等により硫化水素を取り除く。続いて、可燃性ガスは、活性炭吸着装置18に流入し、ガスに含有するVOC等を除去し、最後に、可燃性ガス燃焼装置19等により、燃焼される。このように、可燃性ガスが可燃性ガス燃焼装置19等により、燃焼されるまでに、気水分離機9、脱硫装置17及び活性炭吸着装置18等を介するので、可燃性ガスを燃焼する場合のエンジンやタービンの腐食やトラブルを防止したり、大気汚染防止の観点から、硫化水素やVOCを低減させることができ、環境に優しいシステムを構築することができる。ガス処理部16はこの例だけではなく、ガス中に含まれる有害ガスを除去するために使用するものであるから、最適な除去システムを選択して取り付けてよい。
このような構造のガス吸引システム1を設置し、作動する際は、図4(a)に示すように、ガスの吸引力に応じて廃棄物層LをL1,L2等のエリアに区切り、1エリア毎にガス吸引システム1を設置し、作動させる。その際、気水分離器9以降の装置はそれぞれ単独のエリアの他、L1,L2等から吸引したガスをまとめて処理してもよい。そして、図4(b)に示すように、上層1Lが終了した後、下層2Lの1エリア毎(2L1等)にガス吸引システム1を設置し、作動させる。最終的に、廃棄物層はすべて除去される。なお、エリアを区切る際は、何もする必要はないが、壁のようなものを廃棄物層Lに挿入し、区切ってもよい。
図5は、ガス吸引井戸2の他の実施形態を示す。図5に示すガス吸引井戸120は、廃棄物層Lを掘削し形成した井戸穴Hに、先端121aが円錐状に閉じ、側面にガス吸引用孔122を設け、他端121bを密閉された管の一例としての鋼管121と、鋼管121の周囲に、設置した網123とを、一体に挿入し、井戸孔Hの上部と鋼管121との間にセメントCを注入し、井戸孔Hを密閉状態とするように形成される。
このように鋼管121の周囲に網123を設けることにより、ガス吸引用の孔122から周囲の廃棄物や土砂等が鋼管121内に侵入することを制限することができる。また、井戸穴Hと鋼管121との間の上端をセメントCで密閉するので、効率良く可燃性ガスと空気とを混合することができると共に、廃棄物層L内の廃棄物や土砂が鋼管121内に入ることを制限することができる。
なお、管内に廃棄物や土砂が入る可能性が少ない場合は網を有しなくてもよい。
本実施形態のガス吸引システムを示す図 本実施形態のガス吸引井戸を示す図 本実施形態のフローチャートを示す図 本実施形態の廃棄物層を示す図 他の実施形態のガス吸引井戸を示す図
符号の説明
1…ガス吸引システム、2,102…ガス吸引井戸、3…空気供給部、4…空気供給管、5…空気供給バルブ、6…供給空気流量計、7…ガス吸引部、8…ガス吸引管、9…気水分離器、10…排水ポンプ、11…排水バルブ、12…メタン濃度計、13…ガス吸引ポンプ、14…ガス吸引バルブ、15…吸引ガス流量計、16…ガス処理部、17…脱硫装置、18…活性炭吸着装置、19…可燃性ガス燃焼装置21,121…鋼管、22,122…ガス吸引用孔、123…網、24,124…蓋、L…廃棄物層、H…井戸穴、C…セメント

Claims (1)

  1. 面にガス吸引孔を有する管を有し、廃棄物層の層内に設けるガス吸引井戸と、
    前記ガス吸引井戸から空気や可燃性ガスを吸引するガス吸引手段と、
    前記ガス吸引井戸内に空気を供給する空気供給手段と
    を備え、
    前記空気供給手段から空気を供給すると共に、前記ガス吸引手段により前記ガス吸引井戸内から空気や可燃性ガスを吸引することで、前記ガス吸引井戸内に前記廃棄物層の層内から可燃性ガスを吸引し、
    前記ガス吸引手段は、吸引した可燃性ガス内のメタン濃度を検出するメタン濃度計を有し、
    前記空気供給手段は、前記ガス吸引井戸内と連通する空気供給管と、前記メタン濃度計の検出値から前記ガス吸引井戸内へ供給する空気量を調整する空気供給バルブとを有する
    ガス吸引システムを用いたガス吸引方法において、
    まず前記空気供給バルブを全開にし、
    次に前記ガス吸引装置を作動させ、
    続いて前記メタン濃度計の検出値が爆発限界より低い所定値になるように前記空気供給バルブを調整し続け、
    最後に前記メタン濃度計の検出値が0に近い所定値になったら前記ガス吸引システムの作動を終了する
    ことを特徴とするガス吸引方法。
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