JP5181096B2 - 偏光イメージング素子 - Google Patents

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本発明は、照明光の偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子と印加電圧により焦点距離を可変することができる液晶レンズを一体構造として小型化し、観察物体の表面のみならず内部の形状や組成等を観察できる偏光イメージング素子に関する。
生体の内部、または狭い空間内部等を観察するために内視鏡が広く使われている。内視鏡を使用して生体や狭い空間部を観察する場合には、外部に配置された光源から照明光を光ファイバ束やリレーレンズ等の光ガイドにより内部に導入して観察部を照明し、この観察部から反射された光を内視鏡の先端部に配置された撮像素子、または前記光ガイド等により外部に配置された撮像素子で受光し、電気信号としての画像を得ることができる。
一般に、内視鏡には比較的広角度の視野を有する対物用の結像レンズが用いられており、その結果として被写体深度が広くなり、焦点の調節機能を有しない固定焦点方式のもので観察できるようになっているものが多いが、患部や欠陥部等を的確に診断し判定するためには狭角もしくは接近して観察対象部を詳細に調べることや、広角若しくは距離を離れて全体的な画像として調べることが必要とされる場合がある。
狭角観察や広角観察を行うためには、結像レンズとしてズームレンズを用いると共に、少なくともその一部のレンズを機械的に可動させる必要があり、構造寸法が大きくなり、また高精度加工により高価格になるという問題があることから、これらの問題点を解決する方法として、レンズの機械的な可動手段を必要とすることなく電気的にレンズの焦点距離を可変する液晶レンズを使用する方法が特許文献1に提案されている。
また、観察対象物との間隔を変化する場合に、対物レンズを機械的に移動させることなく電気的に焦点距離を可変できる液晶レンズを使用する方法が特許文献2に開示されている。
これら特許文献1及び特許文献2で開示されている液晶レンズは、電圧印加により実効的な屈折率を概異常光に対する値から常光に対する値まで連続的に可変できるという、他の光学材料にないすぐれた特性を有している液晶を用いて構成されており、ネマチック液晶における電気光学効果を利用することで印加電圧により焦点距離を可変できるというすぐれた特徴を有している。この液晶を用いた焦点可変レンズは、透明電極付きのガラス基板が湾曲し、液晶層自身がレンズ形となる構造であり、電極間に電圧を印加することで液晶分子の配向制御を行い、実効的な屈折率を変化させるレンズであり、特許文献3及び非特許文献1に開示されている。
また、内視鏡に液晶レンズを組み込むことで電気的に焦点位置を制御するという効果を利用した方法が、特許文献4,特許文献5,特許文献6等にも報告されており、観察光学系の焦点距離を調節することの他に、照明光の配向角を変化するために使用されることもある。
液晶を用いて電圧により焦点距離を可変制御する方法として、光学媒質に空間的な放物面状の屈折率分布を与えることでレンズ効果を得る方法と同様な原理に基づき、ネマチック液晶セルにおいて、電界の方向に液晶分子が配向する性質を利用したものがある。これは、円形の穴型パターンを有する電極を用いて、軸対称的な不均一電界による液晶分子配向効果を利用することで、空間的な屈折率分布特性を有する液晶レンズを得る方法として報告されている(特許文献7、特許文献8、非特許文献2及び3)。
特許文献7、特許文献8、非特許文献2、及び非特許文献3で提案されている液晶マイクロレンズ構造で、液晶層の厚みを一定とした状態で電極の開口部分の直径を大きくしてレンズの開口径を大きくすると、軸対称の不均一電界が開口部の中心付近まで作用しないために、良好なレンズ特性が得られないという問題があった。この有効開口径を大きくする方法として、特許文献7、特許文献8、及び非特許文献2、非特許文献3で提案されている液晶マイクロレンズに類似した構造で、開口部を有する電極を液晶層に接触させずに、液晶層からある一定の距離を置くように配置することで、電極の開口部分の直径を大きくしても、軸対称の不均一電界による分子配向効果が開口部の中心付近まで生じるようにすることが可能となる。この原理に基づき、液晶層と円形の穴型パターン電極との間に絶縁層を挿入することで、液晶層から前記円形の穴形電極との距離を保持する方法が提案されており(特許文献9、非特許文献4、5)、液晶マイクロレンズにおいて最良の特性が得られる円形穴型パターンの直径と液晶層の厚みの比が2対1から3対1程度とする必要があるという条件が緩和され、直径が大きな液晶レンズを構成できることが示されている。
一方、液晶層と円形の穴型パターン電極との間に絶縁層を挿入した液晶レンズにおいて、円形穴型パターン電極の外部に透明な第3の電極を配置して2電圧で駆動することで、良好な光学特性を維持した状態で凹レンズ特性から凸レンズ特性まで広範囲に焦点距離を可変できる液晶レンズが報告されている(特許文献10)。
これらの液晶を用いた光学デバイスは、通常の受動型の光学デバイスとは異なり、電極間に電圧を印加して媒質である液晶の実効的な屈折率の空間分布を可変制御することで、光学特性や光学系の収差を調節できるレンズが実現される。
内視鏡を用いて観察する場合に、前記の焦点可変機能を有する液晶レンズを使用することで、機械的な可動部分を持たずに電気的に焦点距離を可変できるので、観察対象物の表面の鮮明な画像を高精度で得る小型のイメージング素子を構成することができる。
可視光のほかに近赤外光や赤外光を使用するカテーテル撮像方法が特許文献11に開示されている。
偏光された照明光を物体に照射すると、通常反射光は照明光と同じ偏光成分からなるため、偏光フィルタを前記偏光方向と垂直な偏光成分のみを透過するように配置して観察すると、表面の反射光成分を除去することができる。物体の内部で散乱され反射された光の偏光成分は偏光された照射光の偏光成分以外の偏光成分を含んでいるため、偏光された照射光の偏光方向と垂直な偏光成分のみを透過するように偏光フィルタを配置して観察すると物体の内部で散乱され反射された光による画像を得ることができる。
このような反射光の偏光特性を利用して、透明シースの内面で反射した照明光が内視鏡の観察に支障を来たさず、内視鏡による観察が良好にできるようにする方法が特許文献12に報告されている。
また、内視鏡の先端部に偏光子を配置し、受光光路上に入射光の偏光方向を90度すなわち垂直な方向に切り替える機能を有する偏光選択用液晶素子を備えることで、入射光の偏光方向と垂直な偏光成分を透過するように切り替える方法が特許文献13に報告されている。
入射光の偏光方向を90度すなわち垂直な方向に切り替える機能を有する素子として、液晶分子の長軸方向に対応するダイレクタの配向方向が液晶セルを構成する一方の基板面から他方の基板面の間で90度ねじれているツイステッドネマティック液晶セルすなわちTN液晶セルが知られている(非特許文献6)。TN液晶セルは電圧無印加の状態で旋光性を有し、入射した偏光はその偏光方向を90度回転されて出射する。一方、しきい値以上の電圧を印加すると旋光性が無くなり、入射した光はそのままの状態で出射するという特性を持っている。特許文献13では、偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子すなわち偏光選択素子としてTN液晶セルを使用することで、電圧の制御のみで偏光の状態を簡便に切り替えるという内視鏡の小型化を行っている。
液晶レンズを用いて照明光と同じ偏光状態で受光することで観察する物体の表面に焦点を合わせてその画像を得ることができる。また液晶光学素子により照明光の偏光方向を90度回転し、照明光の偏光方向と垂直な偏光のみを受光するようにして物体の内部に焦点を合わせることで表面反射の影響を除去して内部の状態の画像を得る偏光イメージング素子を構成することができる。内視鏡の先端部にこのような液晶レンズと液晶光学素子を装着するためには、各々の素子の構造寸法をできるだけ小さくすることが必要とされる。特に医療用内視鏡や極細の産業用内視鏡などでは先端部の外径が数mm以下であることが必要とされる。液晶レンズ及び偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子としてたとえばTN液晶セルをそれぞれ個別の素子として用いて、前記のような機能を有する偏光イメージング素子を構成することは可能であるが、それぞれ極めて小さな構造寸法の液晶レンズと液晶光学素子を組み合わせることで、全体として数mm程度以下の素子を構成することは製造技術的に困難であり、また製造コストが高価になるという問題点がある。
特開昭61−103116 特開平10−73758 特開昭54−151854 特開2000−197604 特開2001−154085 特開2006−181387 特開平11−109303 特開平11−109304 特開2004−4616 特開2006−91826 特表2005−503203 特開2004−73647 特開平11−19026 佐藤進(S. Sato),「焦点距離可変液晶レンズセル(Liquid-crystal lens-cell with variable focal length)」,Japanese Journal of Applied Physics,1979年、Vol.18,P. 1679-1683 能勢敏明、佐藤進(T. Nose and S. Sato),「不均一電界を用いた液晶マイクロレンズ(Liquid-crystal micro lens obtained with a non uniform electric field)」,Liquid Crystals, 1989年、P. 1425-1433 佐藤進、「液晶の世界」、産業図書株式会社、1994年4月15日、P. 186-189 葉茂、佐藤進(M. Ye and S. Sato)、「任意寸法の液晶レンズの光学的特性(Optical properties of liquid crystal lens of any size)」,第49回応用物理学関係連合講演会講演予稿集、2002年3月、28p−X−10,P.1277 葉茂、佐藤進(M. Ye and S. Sato),「任意寸法の液晶レンズの光学的特性(Optical properties of liquid crystal lens of any size)」,Japanese Journal of Applied Physics, 2002年5月、Vol. 41, No. 5,P. L571-L5733 佐藤進、「液晶の世界」、産業図書株式会社、1994年4月15日、P.104-107
上記した液晶レンズとTN液晶セルのような偏光方向を90回転する機能を有する液晶光学素子を組み合わせ内視鏡等の先端部に取り付けて、物体の表面のみならず物体の内部に焦点を合わせてそれぞれの画像を得る偏光イメージング素子を構成するためには、液晶レンズ及び液晶光学素子による偏光イメージング素子の構造寸法をできるだけ小さくすることが必要とされるが、それぞれの素子を個別に製造して組み合わせることで極小の偏光イメージング素子を構成することは、製造技術的に問題があり、また製造コストが高価になるという問題があった。
そこでこの発明の目的は、上記問題を解決し、液晶レンズと偏光方向を90度回転する機能を有する液晶光学素子を一体構造とすることで、個別の素子を組み合わせるという製造工程を必要とせず製造コストの低減化ができる偏光イメージング素子を提供することにあり、且つ液晶レンズと液晶光学素子が一体構造となっているため、全体の構造寸法が非常に小さな偏光イメージング素子を提供することにある。
この発明は、上記の課題を解決するために、
偏光している照明光の偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子と電圧により焦点距離を可変できる液晶レンズからなり、前記液晶光学素子及び液晶レンズを構成する基板が一体構造となっていることを特徴とする偏光イメージング素子において、
前記液晶レンズが、透明な第1の電極を有する第1の基板、孔を有する第2の電極、及び前記第1の基板と前記第2の電極との間に、前記第1の電極と対向するように収容された、液晶分子を一方向に配向させる第1の液晶層を備え、前記第2の電極と前記第1の液晶層との間に、前記第2の電極と前記第1の液晶層との間の距離を設定する透明絶縁層となる第2の基板を配置し、前記第1の電極と前記第2の電極との間に第1の電圧を加えて液晶分子の配向制御を行なうことで動作し、
さらに前記第2の電極の外部に第3の基板を配置し、前記第3の基板に第3の電極を設け、この第3の電極と前記第1の電極との間に前記第1の電圧とは独立した第2の電圧を加えられるように構成され、
前記第1の電圧または前記第2の電圧のいずれか一方が固定され、前記第1の電圧に対して前記第2の電圧、または前記第2の電圧に対して第1の電圧のいずれか一方が可変されることで焦点距離を可変制御することができることを特徴とする。
また、偏光している照明光の偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子と電圧により焦点距離を可変できる液晶レンズからなり、前記液晶光学素子及び液晶レンズを構成する基板が一体構造となっていることを特徴とする偏光イメージング素子において、
前記液晶レンズが、透明な第1の電極を有する第1の基板、孔を有する第2の電極、及び前記第1の基板と前記第2の電極との間に、前記第1の電極と対向するように収容された、液晶分子を一方向に配向させる第1の液晶層を備え、前記第2の電極と前記第1の液晶層との間に、前記第2の電極と前記第1の液晶層との間の距離を設定する透明絶縁層となる第2の基板を配置し、前記第1の電極と前記第2の電極との間に第1の電圧を加えて液晶分子の配向制御を行なうことで動作し、
さらに第3の電極前記第2の基板上で前記第2の電極の前記孔内に間隔を置いて配置されており、この第3の電極と前記第1の電極との間に前記第1の電圧とは独立した第2の電圧を加えられるように構成され、
前記第1の電圧または前記第2の電圧のいずれか一方が固定され、前記第1の電圧に対して前記第2の電圧、または前記第2の電圧に対して第1の電圧のいずれか一方が可変されることで焦点距離を可変制御することができることを特徴とする。
さらに、偏光している照明光の偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子が第2の基板と第3の基板及びこれらの基板の間に封入した第2の液晶層からなることを特徴と、または第1の基板と第2の基板及びこれらの基板の間に封入した第1の液晶層からなることを特徴とする。
この発明の実施形態によると、前記第1の電圧に対して前記第2の電圧を可変することで凸レンズとして動作させる、または前記第2の電圧に対して第1の電圧を可変することで凹レンズとして動作させる手段、及び偏光している照明光の偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子に印加する電圧を可変することで液晶光学素子を動作させて偏光の切り替えを行う手段を有することを特徴とする。
上記の手段により、低電圧で偏光状態の回転制御ができると共に、電気的制御により焦点距離を大幅に可変することができるという特徴を有し、観察物体の表面及び内部を画像化できる電圧駆動の小型の偏光イメージング素子を実現することが可能となる。
以下この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、その基本構成を述べる。
図1(A)は、この発明の一実施の形態による偏光イメージング素子の基本構成を示している。図1(B)は、図1の偏光イメージング素子を平面的に見た図であり、円形の孔22aを有する第2の電極22及び隔壁50で隔てられた間隙部40に関わる。図1(A)及び(B)において、破線100を境界として、右側が液晶レンズ1であり、左側が偏光している照明光の偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子、すなわちTN液晶セル2である。透明な第1の電極21は透明な第1の基板11の上に形成される。また、透明な第2の基板12は透明な第2の電極22を有し、第2の電極22には先に述べた円形孔22aが形成されている。第1の基板11と前記第2の基板12の間には、第1の電極21と対向するように収容された、液晶分子を一方向に配向させる第1の液晶層31を備える。前記第2の電極22に対して間隙部40を介して透明な第3の電極23a及び第4の電極23bを備えた透明な第3の基板13が配置される。第3の電極23aと第4の電極23bは透明な第3の基板13の上に形成されており、互いに電気的に絶縁するために図示しないスリットにより分離されている。
ここで、第1の電極21と第2の電極22の間に第1の電圧V1を加えて液晶分子の配向制御を行うことができ、前記第3の電極23aに第1の電圧V1とは独立した第2の電圧V2を加えられるように構成される。そして、第1の電圧V1に基づく第1段階の光学特性、前記第2の電圧V2に基づく第2段階の光学特性を得られる液晶レンズ1が構成される。前記液晶レンズ1の動作原理の詳細については特許文献10に開示されている。この液晶レンズ1によると、凸レンズ、凹レンズとしての機能が得られる。
さらに第3の基板に設けられた第4の電極23bを利用することで、次に説明する偏光している照明光の偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子となるTN液晶セル2が同一基板を用いて構成することができるので、小型の偏光イメージング素子を構成することが可能となる。
すなわち、液晶レンズ1とは異なる電圧を加えるために、第3の電極23aと第4の電極となる23bの間には互いに導通しないように図示しないスリットで分離絶縁されている。間隙部40の液晶レンズ側は空気層であるが、破線100の左側に示される偏光制御を行う液晶光学素子すなわちTN液晶セル2となる部分には液晶レンズ部1と隔壁部50で分離された第2の液晶層32が配置される。液晶層32の第2の電極側と第の電極側では、液晶分子の配向方向が90度ねじれて配向するように処理が行われている。第2の電極22と第4の電極23bの間にしきい値よりも大きな第3の電圧V3を加えることで、第2の液晶層32の分子配向状態における90度ねじれが解消され、偏光した照明光の偏光方向の90度の切り替えを行うことができる。TN液晶セルを構成するための電極としては、第3の基板13に形成されスリットにより分離された透明な電極23bとは異なり、第2の基板12に形成された第2の電極22をスリットにより電気的に分離絶縁して利用することも可能である。この場合には、第2の電極22に設けた孔22aによる軸対称の不均一電界に影響を及ぼさないように分離絶縁するためのスリットの位置を設定する必要がある。
図1(A)において、11は第1の基板(透明ガラス)であり、内面側に、インジウム・スズ系の酸化物(ITO)からなる透明な第1の電極21が形成されている。第2の基板12の第1の液晶層31と反対側の面にはITO電極22が形成されている。この第2の電極22の液晶レンズ部となる領域には図1(B)に示すように円形の孔22a(例えば直径2mm)を形成する。
ここで、第1の電極21と第2の基板12の間には液晶分子を一方向に配向させた第1の液晶層31(例えば厚み20μm)が封入される。液晶材料としてはE44(メルク社製)を使用した。なお、図示していないが第1の液晶層31を得るためのスペーサ及び基板の周辺部等は接着剤により液晶が封止されている。また、液晶層を挟む電極や基板の面には配向膜としてポリイミドがコーティングされており、一方向にラビング処理されている。
第2の基板12の厚みは、円形孔22aの寸法や液晶セルの構造に依存するが、ここでは800μmとしている。第2の基板12の上には間隙40を隔てて第3の基板13が配置される。間隙40の厚みは第の液晶層32の厚みになり、ここでは20μmとした。第3の基板の下面にはITO透明電極が形成されており、電気的に絶縁するためのスリットで分離されてそれぞれ第3の電極23a及び第4の電極23bが形成されている。間隙40の偏光制御を行う液晶光学素子2となるTN液晶セル側には隔壁50及び図示していないスペーサにより厚みが20μmの第2の液晶層32が形成される。液晶材料は前記E44を使用した。電極22と電極23bの面にはポリイミド配向膜がコーティングされており、ラビング処理により両電極間で液晶分子の配向方向が互いに90度ねじれるように配向されている。
第2の電極22と第4の電極23bの間に電圧を加えない状態では、液晶分子の配向方向が前記の両電極間で90度ねじれているため、偏光した照明光が入射すると、その偏光方向が90度ねじれて出射される。一方、第3の電圧V3として、正弦波(1kHz)の電圧10Vrmsを加えると、第2の液晶層32の液晶分子は電極基板に垂直な方向に配向することで90度ねじれが解消されるため、偏光した照明光の偏光方向は変化せずに第2の液晶層を透過する。つまり、第3の電圧印加により照明光の偏光方向の90度の切り替えを行うことができる。
円形の孔22aの直径を2mm、第1の液晶層31の厚みを20μmとし、液晶材料としてE44(メルク社製)を使用して作製した液晶レンズでは、第1の電圧及び第2の電圧を加えることで凸レンズから凹レンズの間で約7ジオプトリ(1/m)のレンズパワーの可変効果が得られた。
図1に示した液晶レンズは、第1の液晶層にある液晶分子の配向方向に偏光した入射光、すなわち異常光成分に対する実効的な屈折率変化を有しており、その結果として前記異常光の偏光成分にだけ集光や発散等のレンズ効果を示すという特徴がある。したがって、液晶レンズ1において有効な偏光方向、すなわち第1の液晶層における液晶分子の配向方向が照明光の偏光方向と直交する(90度異なる)ように構成すると、第3の電圧V3を加えない場合には照明光と同じ偏光成分の光に対してレンズ効果を示すことになり、液晶レンズに印加する第1の電圧及び第2の電圧を適宜設定することで、観察物体の表面に焦点を合わせて表面から反射された光を撮像素子に結像することで、表面の画像を得ることができる。
第3の電圧V3として、第2の液晶層32からなるTN液晶セルにおけるしきい値以上の電圧、例えば10Vrmsを加えると、照明光の偏光方向は第2の液晶層32を透過した後においても変化しないため、観察物体の表面からの反射光の偏光成分は液晶レンズにおけるレンズ効果を示す有効な偏光成分と90度異なるため、レンズ効果が生じない。一方、観察物体の内部で散乱や反射等の効果を受けた光は様々な偏光成分を含んでいるので、液晶レンズにおいて有効な偏光成分が存在し、その偏光成分に対して焦点移動等の効果を及ぼすことが可能となる。すなわち、観察物体の内部に焦点を合わせて画像を得ることができる。
図2は、本発明に係わる他の実施形態としての偏光イメージング素子の構造を示している。この実施の形態では、液晶レンズを構成する破線100の右側において第3の電極23aを第2の電極22の円形孔22aの中に設けた構造としたものである。この構造では図1の構造のように、第2の電極22と第3の電極23a(図1で第4の電極23bも含む)を隔てる間隙40を設ける必要がないので、第3の基板13を使用する必要が無く構造を簡単にすることができる。一方、第2の液晶層を形成する間隙を設けることができないため、偏光している照明光の偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子となるTN液晶セル2を第1の液晶層31を利用して構成する。すなわち、第2の基板12の第1の液晶層に接する面においてTN液晶セルを構成する部分に第4の電極として図1の23bの役割を果たすITO電極25を形成し、第1の電極21と第4の電極25の間に第3の電圧V3を印加する。なお、第2の基板12の液晶側の面にはポリイミドによる配向膜が形成されており、破線100の左側に対応するTN液晶セル2を構成する部分では液晶レンズ1における液晶分子の配向方向と直交する方向にラビングを行うことで、液晶相31の分子配向状態が90度ねじれたTN配向となるようにしている。
図1(A)に示した構造の液晶セルにおいても、第2の基板12と第3の基板13の間に第2の液晶層32を形成せずに、図2に示したように第1の基板11と第2の基板12の間の液晶層31を利用して偏光回転制御を行う液晶光学素子すなわちTN液晶素子を構成してもよい。この場合には第2の液晶層32を形成する必要が無くなるが、破線100の左側に対応する第2の基板12に第4の電極としてITO電極23bの代わりとなるITO電極25を形成し、液晶分子配向処理を破線100の両側すなわち液晶レンズ1とTN液晶セル2の領域でそれぞれ90度異なるような処理を行うことが必要とされる。
図1及び図2に示した液晶セルにおいて、第1の液晶層31は液晶層を2層もしくはより多層に分割して互いに貼り合わせた構造とすることもできる。液晶層を2層に分割してその厚みを半分にすると、印加電圧に対する応答時間を1/4に短縮することができる。一方、厚みが等しい液晶層を2層重ねた構造の液晶層とすることで、レンズとしてのパワーの可変範囲を2倍に広げることもできる。
図1または図2に示した構成の液晶レンズは凸レンズから凹レンズまで光学特性を可変できるので、通常は他の結像レンズとの複合レンズとして使用される。複合レンズ系の焦点深度を浅くすることで、生体等の内部の画像を位置の精度よく観察することができる。
偏光照射光としては、通常の白色可視光線の他にフィルタ等により単色とした光線や、近赤外光線、さらには液晶材料が吸収効果を有しない波長帯の赤外光線を利用することもできる。近赤外光線や赤外光線は、可視光線に比べて生体等において透過特性が優れているため、これらの波長の光を使用することで、生体等において深部の患部やその構造の画像を得ることができる。
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の偏光イメージング素子は、機械的な可動部を持たず電気的に焦点距離の移動機能及び偏光の切り替え機能を有しており、これらの機能を有する素子を一体構造として構成することから小型化が可能であるので、表面のみならず観察対象物の内部の画像を得ることができる医療用並びに産業用の内視鏡等への適用が可能である。
図1(A)は本発明に係わる偏光イメージング素子の一実施の形態を示す構成説明図であり、図1(B)は図1(A)の平面図である。 本発明に係わる偏光イメージング素子の他の実施の形態を示す構成説明図である。
符号の説明
1・・・液晶レンズ、2・・・偏光照明光の偏光方向を90度回転制御する光学素子としてのTN液晶セル、11、12、13・・・基板、21、22、23、24・・・電極、31、32・・・液晶層、40・・・間隙、50・・・隔壁、100・・・液晶レンズとTN液晶セルを分ける破線。

Claims (5)

  1. 偏光している照明光の偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子と電圧により焦点距離を可変できる液晶レンズからなり、前記液晶光学素子及び液晶レンズを構成する基板が一体構造となっていることを特徴とする偏光イメージング素子において、
    前記液晶レンズが、透明な第1の電極を有する第1の基板、孔を有する第2の電極、及び前記第1の基板と前記第2の電極との間に、前記第1の電極と対向するように収容された、液晶分子を一方向に配向させる第1の液晶層を備え、前記第2の電極と前記第1の液晶層との間に、前記第2の電極と前記第1の液晶層との間の距離を設定する透明絶縁層となる第2の基板を配置し、前記第1の電極と前記第2の電極との間に第1の電圧を加えて液晶分子の配向制御を行なうことで動作し、
    さらに前記第2の電極の外部に第3の基板を配置し、前記第3の基板に第3の電極を設け、この第3の電極と前記第1の電極との間に前記第1の電圧とは独立した第2の電圧を加えられるように構成され、
    前記第1の電圧または前記第2の電圧のいずれか一方が固定され、前記第1の電圧に対して前記第2の電圧、または前記第2の電圧に対して第1の電圧のいずれか一方が可変されることで焦点距離を可変制御することができることを特徴とする偏光イメージング素子。
  2. 偏光している照明光の偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子と電圧により焦点距離を可変できる液晶レンズからなり、前記液晶光学素子及び液晶レンズを構成する基板が一体構造となっていることを特徴とする偏光イメージング素子において、
    前記液晶レンズが、透明な第1の電極を有する第1の基板、孔を有する第2の電極、及び前記第1の基板と前記第2の電極との間に、前記第1の電極と対向するように収容された、液晶分子を一方向に配向させる第1の液晶層を備え、前記第2の電極と前記第1の液晶層との間に、前記第2の電極と前記第1の液晶層との間の距離を設定する透明絶縁層となる第2の基板を配置し、前記第1の電極と前記第2の電極との間に第1の電圧を加えて液晶分子の配向制御を行なうことで動作し、
    さらに第3の電極が前記第2の基板上で前記第2の電極の前記孔内に間隔を置いて配置されており、この第3の電極と前記第1の電極との間に前記第1の電圧とは独立した第2の電圧を加えられるように構成され、
    前記第1の電圧または前記第2の電圧のいずれか一方が固定され、前記第1の電圧に対して前記第2の電圧、または前記第2の電圧に対して第1の電圧のいずれか一方が可変されることで焦点距離を可変制御することができることを特徴とする偏光イメージング素子。
  3. 請求項1に記載した偏光イメージング素子において、偏光している照明光の偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子が、第2の基板と第3の基板及びこれらの基板の間に封入した第2の液晶層からなることを特徴とする偏光イメージング素子。
  4. 請求項1又は請求項2に記載した偏光イメージング素子において、偏光している照明光の偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子が、第1の基板と第2の基板及びこれらの基板の間に封入した第1の液晶層からなることを特徴とする偏光イメージング素子。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の偏光イメージング素子において、前記第1の電圧に対して前記第2の電圧を可変することで凸レンズとして動作させる、または前記第2の電圧に対して第1の電圧を可変することで凹レンズとして動作させる手段、
    及び偏光している照明光の偏光方向を90度回転制御する機能を有する液晶光学素子に印加する電圧を可変することで液晶光学素子を動作させて偏光の切り替えを行う手段を有することを特徴とする偏光イメージング素子。
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