1.第1実施形態
(1)パチンコ遊技機の構造
本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、前面枠10の内側に取着された遊技盤2を備えている。遊技盤2には、ハンドル11の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材12で囲まれて形成されている。遊技領域3には、遊技球を誘導する案内釘(図示せず)が多数突設されている。前面枠10には、複数の枠ランプ17及びスピーカ18が配設されている。また、遊技盤2には、盤ランプ19が設けられている。
遊技領域3には、液晶表示装置である画像表示器4の表示部4aが配置されている。画像表示器4は、客待ち用のデモ表示、装飾図柄変動演出、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出などを表示部4aに表示する。装飾図柄変動演出は、数字等の装飾図柄と装飾図柄以外の画像とにより構成されて、変動表示を経て停止表示された装飾図柄により、大当たり抽選(即ち、大当たり乱数の取得とその大当たり乱数を用いた判定)の結果を報知する演出である。この装飾図柄変動演出は、特別図柄変動に並行して行われる。また、大当たり抽選は、遊技球の第1始動口51aまたは第2始動口51bへの入賞に対して行われる。
遊技領域3の中央部であって画像表示器4の前方には、センター役物装置30が配置されている。センター役物装置30は、表示部4aの周縁部前方に配設された枠体部31を備えている。枠体部31は、上枠部32、下枠部33、左枠部34、および右枠部35により構成されている。左枠部34には、入口から遊技球を流入させ、出口から後述するステージ部41へ遊技球を流出するワープ部40が配設されている。下枠部33には、上面を転動する遊技球を、第1始動口51aへと案内可能なステージ部41が形成されている。
また、遊技領域3の左右方向における中央下部には、始動入賞装置5が設けられている。始動入賞装置5は、遊技球の入球し易さが常時変わらない第1始動口51aと、電動チューリップ(以下、「電チュー」という。)52により開閉される第2始動口51bとを備えている。電チュー52は、電チューソレノイド53(図2参照)により駆動される。第2始動口51bは、電チュー52が開いているときのみ遊技球が入賞可能となる。
また、遊技領域3には、大入賞装置7が設けられている。大入賞装置7は、始動入賞装置5の下方に配置されており、大入賞口71と、大入賞口ソレノイド72(図2参照)により動作する開閉部材73とを備えている。大入賞口71は、開閉部材73により開閉される。
また、遊技領域3には、複数の普通入賞装置9及び遊技球が通過可能なゲート8が設けられている。各普通入賞装置9は、始動入賞装置5の左方及び右方に配置されている。各普通入賞装置9に入った遊技球は、その普通入賞装置9内の普通入賞口90に入賞する。ゲート8は、センター役物装置30の左方に配置されている。
遊技領域3の外側には、普通図柄表示器13、第1特別図柄表示器14a、及び、第2特別図柄表示器14bが設けられるとともに、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bがそれぞれ4つ設けられている。
第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bは、それぞれ、遊技球の第1始動口51a、第2始動口51bへの入賞を契機として行われる大当たり抽選の結果を、変動表示を経て停止表示された図柄により報知する(これを「特別図柄変動」という)ものである。第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bに停止表示された図柄(特別図柄)が大当たり図柄であれば、大入賞口71を所定回数開閉する大当たり遊技が行われる。
遊技球が第1始動口51aまたは第2始動口51bに入賞すると、メイン制御基板20(図2参照)は、その入賞に対して取得した大当たり乱数を、第1始動口51aへの入賞であれば第1保留記憶部27a(図2参照)に、第2始動口51bへの入賞であれば第2保留記憶部27b(図2参照)に記憶する。そして、特別図柄変動を実行可能になったとき、即ち、前の入賞に対する特別図柄変動も、大当たり遊技も実行されていない状態になったときに、記憶しておいた大当たり乱数を用いて大当たりか否かの判定を行い、特別図柄変動を実行する。
第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bは、それぞれ、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶されている大当たり乱数の個数を表示するものである。なお、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶される大当たり乱数は、それぞれ4個が上限とされているため、第1保留記憶部27aに4個の大当たり乱数が記憶されている状態で遊技球が第1始動口51aに入賞したときや、第2保留記憶部27bに4個の大当たり乱数が記憶されている状態で遊技球が第2始動口51bに入賞したときは、その入賞に対する大当たり乱数の取得は行われない。
普通図柄表示器13は、ゲート8への遊技球の通過を契機として行われる普通図柄抽選の結果を、変動表示を経て停止表示される普通図柄により報知するものである。停止表示された普通図柄が当たり図柄であれば、所定時間及び所定回数、電チュー52を開く補助遊技が行われる。
普通図柄の変動表示中または補助遊技中に、遊技球がゲート8を通過すると、メイン制御基板20(図2参照)は、その通過に対して取得した当たり乱数を記憶する。そして、普通図柄の変動表示を開始可能な状態になったときに、記憶しておいた当たり乱数を用いて当たりか否かの判定を行い、普通図柄の変動表示を開始して、その判定結果を示す普通図柄を停止表示する。普通図柄保留ランプ15は、このように記憶されている当たり乱数の個数を表示するものである。なお、記憶される当たり乱数は4個が上限とされているため、4個の当たり乱数が記憶されている状態で遊技球がゲート8を通過しても、その通過に対する当たり乱数の取得は行われない。
(2)パチンコ遊技機の電気系統
図2は、第1実施形態のパチンコ遊技機1の電気系統を示すブロック図である。図2に示すように、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、メイン制御基板(遊技制御基板)20、払出制御基板21、サブ制御基板25を備え、サブ制御基板25は、演出制御基板22、画像制御基板23、及び、ランプ制御基板24を備えている。そして、払出制御基板21及び演出制御基板22はメイン制御基板20に接続され、画像制御基板23及びランプ制御基板24は演出制御基板22に接続されている。各制御基板は、CPU、ROM、RAM等を備えている。また、メイン制御基板20は、RAM63内に、第1保留記憶部27a及び第2保留記憶部27bを有する保留記憶部27を備えている。
メイン制御基板20は、大当たりの抽選や遊技状態の移行など主に利益に関わる制御を行うものである。メイン制御基板20には、第1始動口51a内に設けられて第1始動口51aに入賞した遊技球を検出する第1始動口SW(スイッチ)54a、第2始動口51b内に設けられて第2始動口51bに入賞した遊技球を検出する第2始動口SW54b、電チューソレノイド53、ゲート8内に設けられてゲート8を通過した遊技球を検出するゲートSW81、大入賞口71内に設けられて大入賞口71に入賞した遊技球を検出する大入賞口SW74、大入賞口ソレノイド72、各普通入賞口90内にそれぞれ設けられてその普通入賞口90に入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW91、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16b、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14b、普通図柄表示器13がそれぞれ接続され、図2の矢印で示すように、各スイッチからはメイン制御基板20に信号が入力され、各ソレノイドやランプ等にはメイン制御基板20から信号が出力される。
また、メイン制御基板20は、払出制御基板21に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板21から信号を受信する。払出制御基板21には、図示しない払出装置を駆動する払出駆動モータ26が接続され、払出制御基板21は、メイン制御基板20から受信したコマンドに従って払出駆動モータ26を動作させ、賞球の払出を行わせる。
さらに、メイン制御基板20は、演出制御基板22に対し各種コマンドを送信し、演出制御基板22は、画像制御基板23との間でコマンドや信号の送受信を行う。画像制御基板23には画像表示器4及びスピーカ18が接続され、画像制御基板23は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、画像表示器4の表示部4aに装飾図柄その他の画像を表示し、スピーカ18から音声を出力する。また、演出制御基板22は、ランプ制御基板24との間でコマンドや信号の送受信を行う。ランプ制御基板24には枠ランプ17及び盤ランプ19が接続され、ランプ制御基板24は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、枠ランプ17や盤ランプ19を点灯・消灯する。
図3は、図2に示すブロック図の主要部分を示すブロック図である。図3に示すように、メイン制御基板20には、演算処理装置であるCPU61と、CPU61により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM62と、そのROM62内に記憶される制御プログラムの実行に当たって各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM63とが、一つのチップに集約されて、いわゆるワンチップマイコン60の形で実装されている。ROM62内には、図4から図12にフローチャートで示すプログラムが制御プログラムの一部として記憶されている。RAM63内には、第1保留記憶部27a及び第2保留記憶部27bを有する保留記憶部(第2の記憶部に相当する)27が設けられている。なお、本実施形態では、ワンチップマイコン60として、株式会社ジャパンアイディー製のIDNAC301を使用している。
このワンチップマイコン60(以下単に「マイコン60」という。)には、上述のRAM63およびROM62のほか、分周回路66、16ビットカウンタ67、ラッチレジスタ(第1の記憶部に相当する)68などの各種回路が内蔵されている。また、このマイコン60には、発振回路(クロックジェネレータ)65が接続されている。発振回路65が生成するクロックパルスは、分周回路66により所定の周波数に分周されて、16ビットカウンタ67に入力される。16ビットカウンタ67(以下単に「カウンタ67」という。)は、実施形態では4個の4ビットカウンタを用いて構成されている。カウンタ67は、分周回路66で生成されたクロックパルスに基づいて、0001HからFFFFHまでの範囲(10進数にすれば1〜65535の範囲)で順次数値をカウントしている。カウンタ67について詳述すれば、カウンタ67は、0001H〜FFFFHまでの16ビットの数値を、0001H、0002H、…FFFEH、FFFFHと順次カウントアップし、FFFFHまでカウントした後は、0000Hをスキップして、再び0001Hからカウントアップを行うよう構成されている。すなわち、このカウンタ67は、0000Hを出力しないよう構成されている。なお、実施形態では、発振回路65、分周回路66、およびカウンタ67が、数値発生手段69を構成する。また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、数値発生手段69が生成する数値の更新タイミングは、CPU61の動作周波数を決めているマイコン60に内蔵された発振回路とは別の発振回路65に基づいて決定されるため、CPU61の動作周波数を観測しても数値の更新タイミングを推測することができないようになっている。
ラッチレジスタ68は、後述するように第1始動口SW54a又は第2始動口SW54bからマイコン60にラッチ信号が入力されとき、そのときにカウンタ67がカウントしている数値をカウント値として保持(記憶)するものである。なお、ラッチレジスタ68に記憶されたカウント値は、後述する第1始動口51a又は第2始動口51bへの遊技球の入賞の確定時に、CPU61により読み出されて、RAM63内の保留記憶部27におけるそのときの保留数に対応した記憶域に格納される。ラッチレジスタ68に記憶されたカウント値が読み出された後、ラッチレジスタ68の値は0000Hにクリアされる。
また、マイコン60には、入力ポート57が接続され、入力ポート57には、第1始動口SW54aおよび第2始動口SW54bが、インターフェイス56を介して接続されている。また、マイコン60は、2つのラッチ端子58a,58bを有し、第1ラッチ端子58aには第1始動口SW54aが、第2ラッチ端子58bには第2始動口SW54bが、それぞれインターフェイス56を介して接続されている。第1始動口51a又は第2始動口51bに遊技球が入賞し、第1始動口SW54a又は第2始動口SW54bによって遊技球が検出されると、その検出信号は、インターフェイス56によってデジタル信号に変換され、入力ポート57に入力されるとともに、ラッチ端子(詳しくは、第1始動口SW54aからの信号は第1ラッチ端子58a、第2始動口SW54bからの信号は第2ラッチ端子58b)に入力される。ここで、第1始動口SW54a又は第2始動口SW54bから出力される信号であって入力ポート57へ入力される信号を、始動口スイッチ(SW)信号といい、第1始動口SW54a又は第2始動口SW54bから出力される信号であってラッチ端子58a,58bに入力される信号を、ラッチ信号という。なお、ラッチ端子58a,58bに第1始動口SW54a又は第2始動口SW54bから信号が入力されると、後述するラッチ割込処理が実行され、カウンタ67のカウント値がラッチレジスタ68に記憶される。また、実施形態では、図3に破線で示すようにワンチップマイコン60、発振回路65、入力ポート57によって構成される部分が、主制御部59に相当する。
なお、図示を省略するが、メイン制御基板20は、図示しない情報出力回路等を介して、ホール管理コンピュータ等のホストコンピュータと接続されており、大当りの発生情報や、不正行為を検出した場合の不正検出信号等を、ホストコンピュータに対して出力可能となっている。
(3)遊技状態等の説明
次に、第1実施形態のパチンコ遊技機1の遊技状態等について説明する。第1実施形態のパチンコ遊技機1は、通常遊技状態、時短遊技状態、確変遊技状態、潜確遊技状態の4つの遊技状態と、大当たり遊技、小当たり遊技とを有している。
時短遊技状態とは、通常遊技状態よりも第2始動口51bへ遊技球が入賞し易い状態をいい、通常遊技状態では、普通図柄変動時間が4秒、電チュー52の開放時間が0.15秒、電チュー52の開放回数が1回であるのに対して、時短遊技状態では、普通図柄変動時間が1.5秒、電チュー52の開放時間が1.80秒、電チュー52の開放回数が3回となっている。
確変遊技状態とは、通常遊技状態よりも大当たりに当選しやすく、かつ第2始動口51bへ遊技球が入賞し易い状態をいい、通常遊技状態では、大当たり当選確率が約1/300であるのに対して、確変遊技状態では、大当たり当選確率が約1/30となっている。また、確変遊技状態では、時短遊技状態と同様、普通図柄変動時間が1.5秒、電チュー52の開放時間が1.80秒、電チュー52の開放回数が3回となっている。
潜確遊技状態とは、通常遊技状態よりも大当たりに当選しやすい状態をいい、潜確遊技状態では、確変遊技状態と同様、大当たり当選確率が約1/30となっている。また、潜確遊技状態では、通常遊技状態と同様、普通図柄変動時間が4秒、電チュー52の開放時間が0.15秒、電チュー52の開放回数が1回となっている。
そして、初期状態では(即ち、電源が投入されて最初の遊技が開始されるときは)通常遊技状態であり、大当たりが発生すれば、大入賞口71を所定回数開閉する大当たり遊技を経て、その大当たりの種類に応じた遊技状態に遷移する。大当たりの種類には、ほとんど賞球の獲得が望めない短当たりとして、2R(ラウンド)潜確大当たりがあり、多くの賞球を獲得可能な長当たりとして、15R(ラウンド)確変大当たり、15R(ラウンド)通常大当たりがある。また、これら大当たりの他に小当たりがある。なお、ラウンドとは大入賞口71の開放期間を言う。2R潜確大当たりでは、大入賞口71を極短時間2回開放する大当たり遊技を行った後、潜確遊技状態に遷移し、15R確変大当たりでは、大入賞口71を15回開放する大当たり遊技を行った後、確変遊技状態に遷移し、15R通常大当たりでは、大入賞口71を15回開放する大当たり遊技を行った後、時短遊技状態に遷移する。また、小当たりは、見かけ上2R潜確大当たりと変わらない動作をするもので、大入賞口71を極短時間2回開放する小当たり遊技を行うが、遊技状態は遷移しない。なお、時短遊技状態において途中で大当たりが発生することなく100回の特別図柄変動が行われたときも、通常遊技状態に遷移する。
なお、大当たり及び小当たりの抽選は大当たり乱数を用いて行われ、大当たりに当選した場合に当選した大当たりがいずれの種類の大当たりとなるかの抽選は、大当たり図柄乱数を用いて行われる。大当たり乱数は、図18(a)(b)に示すように、0001H〜FFFFHまでの範囲で値をとることとされ、通常遊技状態時又は時短遊技状態時では、大当たりに当選する割合が約1/300となるよう、0003H、0013Hなどの値が大当たりに当選する値として設定されるとともに、小当たりに当選する割合が約3/300となるよう、0150H、0250Hなどの値が小当たりに当選する値として設定されている。また、大当たり乱数は、確変遊技状態時又は潜確遊技状態時では、大当たりに当選する割合が約10/300となるよう、0003H、0006H、0013Hなどの値が大当たりに当選する値として設定されるとともに、小当たりに当選する割合が約3/300となるよう、0150H、0250Hなどの値が小当たりに当選する値として設定されている。また、大当たり図柄乱数は、図18(c)(d)に示すように、0〜249までの範囲で値をとることとされ、第1始動口51aへの入賞に対しては、15R通常大当たりに当選する割合が100/250となり、15R確変大当たりに当選する割合が75/250となり、2R潜確大当たりに当選する割合が75/250になるよう各大当たりに当選する乱数値が定められ、第2始動口51bへの入賞に対しては、15R通常大当たりに当選する割合が100/250となり、15R確変大当たりに当選する割合が125/250となり、2R潜確大当たりに当選する割合が25/250になるよう各大当たりに当選する乱数値が定められており、第1始動口51aへ入賞したときよりも長当たりに当選する割合が高くなっている。
(4)パチンコ遊技機の動作
次に、図4〜12に基づいてメイン制御基板20の動作について説明する。なお、後述する各カウンタは、RAMに設けられ、パチンコ遊技機1の電源投入時にゼロクリアされる。
[ラッチ割込処理]メイン制御基板20は、ラッチ信号が入力されると、図4に示すラッチ割込処理を実行する。ラッチ割込処理では、メイン制御基板20は、そのときカウンタがカウントしている数値をラッチレジスタ68に保持(記憶)する(S001)。ラッチ割込処理は、後述するメイン側タイマ割込処理よりも優先順位の高い割込処理として実行される。
[メイン側タイマ割込処理]メイン制御基板20は、図5に示すメイン側タイマ割込処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、メイン制御基板20は、後述する始動口SW処理(S101)、ゲートSW処理(S102)の他、大入賞口SW処理(S103)及び普通入賞口SW処理(S104)を行う。大入賞口SW処理は、大入賞口SW74がONしていれば、大当たり遊技(後述する大当たり遊技フラグがON)中か否かを判定して、大当たり遊技中であれば、入賞個数カウンタの値Cに1を加算するとともに、大入賞口カウンタの値に1を加算する処理である。普通入賞口SW処理は、普通入賞口SW91がONしていれば普通入賞口カウンタの値に1を加算する処理である。
次に、メイン制御基板20は、後述する特別図柄処理(S105)、普通図柄処理(S106)、大入賞口処理(S107)、及び、電チュー処理(S108)を行う。そして、メイン制御基板20は、大入賞口カウンタの値に応じた数の賞球、及び、普通入賞口カウンタの値に応じた数の賞球を払い出すためのコマンドをセットして、それらのカウンタをゼロクリアする賞球処理(S109)を行い、以上の各処理においてセットしたコマンドを払出制御基板21及び演出制御基板22に出力する出力処理(S110)を行う。
[始動口SW処理]図6に示すように、始動口SW処理では、メイン制御基板20は、第1始動口51aへの遊技球の入賞が確定したか否かを判定し(S201)、確定していなければステップS209に進み、確定していれば、第1保留記憶部27aに記憶されている大当たり乱数の個数を数える第1始動口保留カウンタの値U1が、上限値の4未満か否かを判定する(S202)。ここで、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、チャタリング対策として、図13に示すように始動口スイッチ信号がONであることを2度検出することにより、第1始動口51aへの遊技球の入賞を確定することとしている。なお、始動口スイッチ信号がONであることを2度検出することにより入賞を確定するのは、第2始動口51bへの入賞についても同様である。
ステップS202において、U1が4未満でないと判定した場合はステップS208に進み、U1が4未満であると判定した場合は、U1に1を加算して(S203)、ラッチレジスタ68に記憶されている数値を読み出し、読み出した数値を大当たり乱数(大当たり判定用の数値に相当する)として第1保留記憶部27aにおけるそのときの保留数に対応した記憶域に格納するとともに、大当たり図柄乱数等(大当たり図柄の種類を決めるための大当たり図柄乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数等)を取得して所定記憶域に記憶し(S204)、第1保留数増加コマンドをセットする(S205)。
続いて、メイン制御基板20は、ステップS204において第1保留記憶部27aに格納した大当たり乱数の値が0000Hであるか否かを判定する(S206)。0000Hでないと判定した場合はステップS208に進み、0000Hであると判定した場合は、後述するエラー処理を行う(S207)。
ステップS208では、メイン制御基板20は、ラッチレジスタ68の値をゼロクリア(0000Hを記憶)して(S208)、ステップS209に進む。また、ステップS202においてU1が4未満でないと判定した場合も、メイン制御基板20は、ラッチレジスタ68の値をゼロクリア(0000Hを記憶)して(S208)、ステップS209に進む。
続くステップS209では、メイン制御基板20は、第2始動口51bへの遊技球の入賞が確定したか否かを判定し(S209)、確定していなければ始動口SW処理を終え、確定していれば、第2保留記憶部27bに記憶されている大当たり乱数の個数を数える第2始動口保留カウンタの値U2が、上限値の4未満か否かを判定する(S210)。
ステップS210において、U2が4未満でないと判定した場合はステップS216に進み、U2が4未満であると判定した場合は、U2に1を加算して(S211)、ラッチレジスタ68に記憶されている数値を読み出し、読み出した数値を大当たり乱数(大当たり判定用の数値に相当する)として第2保留記憶部27bにおけるそのときの保留数に対応した記憶域に格納するとともに、大当たり図柄乱数等を取得して所定記憶域に記憶し(S212)、第2保留数増加コマンドをセットする(S213)。
続いて、メイン制御基板20は、ステップS212において第2保留記憶部27bに格納した大当たり乱数の値が0000Hであるか否かを判定する(S214)。0000Hでないと判定した場合はステップS216に進み、0000Hであると判定した場合は、後述するエラー処理を行う(S215)。
ステップS216では、メイン制御基板20は、ラッチレジスタ68の値をゼロクリア(0000Hを記憶)して(S216)、始動口SW処理を終える。また、ステップS210においてU1が4未満でないと判定した場合も、メイン制御基板20は、ラッチレジスタ68の値をゼロクリア(0000Hを記憶)して(S216)、始動口SW処理を終える。
[ゲートSW処理]図7に示すように、ゲートSW処理では、メイン制御基板20はゲートSW81がONしたか否かを判定し(S301)、ONしていなければゲートSW処理を終え、ONしていれば、ゲート保留カウンタの値Gが上限値の4未満か否かを判定する(S302)。そして、4未満でない場合はゲートSW処理を終え、4未満であればGに1を加算して(S303)、普通図柄抽選に用いる当たり乱数を取得して所定記憶域に格納し(S304)、ゲートSW処理を終える。
[特別図柄処理]図8に示すように、特別図柄処理では、メイン制御基板20は、当たり遊技中か否かを示す当たり遊技フラグ(即ち、小当たり遊技フラグ、長当たり遊技フラグ、又は、短当たり遊技フラグ)がONか否かを判定し(S401)、ONであれば特別図柄処理を終え、ONでなければ特別図柄の変動中か否かを判定する(S402)。そして、変動中であればステップS411に進み、変動中でなければ、第2始動口保留カウンタの値U2又は第1始動口保留カウンタの値U1が1以上か否かを判定する(S403,S405)。そして、U2又はU1が1以上でなければ特別図柄処理を終え、U2又はU1が1以上であればU2又はU1から1を減算して(S404,S406)、ステップS204又はS212で格納しておいた大当たり乱数を用いて大当たり判定処理を行う(S407)。
大当たり判定処理(S407)では、図9に示すように、メイン制御基板20は、大当たり判定用テーブルを用いてステップS204又はS212で格納した大当たり乱数が大当たりか否かの判定を行い(S501)、大当たりであれば大当たり図柄乱数がどの大当たり図柄を示すものかを判定して、その大当たり図柄をセットし(S502でYES,S503,S504)、小当たりであれば小当たり図柄をセットし(S502でNO,S505でYES,S506)、大当たりでも小当たりでもなければハズレ図柄をセットする(S505でNO,S507)。なお、大当たり図柄によって、大当たりの種類が決まる(図18(c)(d)参照)。
続いて、メイン制御基板20は、図8に示すように、変動パターン選択処理を行う(S408)。変動パターン選択処理では、直前の大当たり判定処理において大当たりと判定していれば、乱数値と変動パターンとの対応を示す変動パターンテーブルとして大当たり用テーブルを参照し、小当たりと判定していれば小当たり用テーブルを参照し、大当たりでも小当たりでもないと判定していればハズレ用テーブルを参照して、ステップS204又はS212で格納しておいた変動パターン乱数がいずれの変動パターンを示すかの判定を行い、変動パターンをセットする。なお、変動パターンには変動時間を示す情報が含まれている。
その後、メイン制御基板20は、第1特別図柄表示器14aまたは第2特別図柄表示器14bにおいて特別図柄の変動を開始し(S409)、変動開始コマンドをセットして(S410)、ステップS411に進む。ステップS411では、特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定し、経過していなければ特別図柄処理を終えるが、経過していれば特別図柄の変動を停止して、大当たり判定処理でセットされた図柄で特別図柄を確定表示し(S412)、変動停止コマンドをセットする(S413)。そして、停止中処理(S414)として、各種遊技フラグ(時短遊技フラグ、確変遊技フラグ、潜確遊技フラグ、小当たり遊技フラグ、長当たり遊技フラグ、短当たり遊技フラグ)のON/OFFに関する処理をし、大当たり又は小当たりであれば、オープニングを開始するとともに、オープニングコマンドをセットして、特別図柄処理を終える。
[普通図柄処理]図10に示すように、普通図柄処理では、メイン制御基板20は、補助遊技中か否かを示す補助遊技フラグがONか否かを判定し(S601)、ONであれば普通図柄処理を終え、ONでなければ普通図柄の変動中か否かを判定する(S602)。そして、変動中の場合にはステップS609に進み、変動中でない場合には、ゲート保留カウンタの値Gが1以上か否かを判定し(S603)、Gが1以上でなければ普通図柄処理を終え、Gが1以上であればGから1を減算して(S604)、ステップS304で格納しておいた当たり乱数が当たりか否かを判定して(S605)、停止図柄を選択する(S606)。そして、遊技状態に応じた変動時間(本実施形態では、通常遊技状態または潜確遊技状態であれば4秒、時短遊技状態または確変遊技状態であれば1.5秒)を選択し(S607)、普通図柄の変動を開始して(S608)、ステップS609に進む。
ステップS609では、メイン制御基板20は、変動時間が経過したか否かを判定し、経過していなければ普通図柄処理を終えるが、経過していれば、普通図柄の変動を停止して停止図柄を表示する(S610)。そして、停止図柄が当たりを示す図柄であれば(S611でYES)、補助遊技フラグをONし(S612)、ハズレを示す図柄であれば(S611でNO)、普通図柄処理を終える。
[大入賞口処理]図11に示すように、大入賞口処理では、メイン制御基板20は、まず、当たり遊技フラグがONか否かを判定し(S701)、ONでなければ大入賞口処理を終えるが、ONであれば、オープニング中であるか否かを判定する(S702)。オープニングとは、大当たり遊技の開始から第1ラウンドの開始までの期間をいう。メイン制御基板20は、オープニング中と判定した場合には、オープニング時間が経過したか否かを判定し(S703)、経過していなければ大入賞口処理を終え、経過していれば、大当たりの種類に応じた最大R数(ラウンド数)と作動パターンとを設定する(S704)。そして、入賞個数カウンタの値Cをゼロクリアし(S705)、ラウンドカウンタの値Rに1を加算し(S706)、大入賞口71の作動(開放)を開始する(S707)。
次に、メイン制御基板20は、大入賞口71の作動時間(開放時間。例えば、長当たりであれば29.5秒、短当たりまたは小当たりであれば0.1秒等)が経過したか否かを判定し(S708)、経過していれば大入賞口71を閉口し(S710)、経過していなければ、入賞個数カウンタの値Cが規定個数であるか否かを判定して(S709)、規定個数でなければ大入賞口処理を終え、規定個数であれば大入賞口71を閉口する(S710)。
そして、メイン制御基板20は、ラウンドカウンタの値Rが最大R数であるか否かを判定し(S711)、最大R数でなければ大入賞口処理を終え、最大R数であれば、エンディングを開始して(S712)、エンディングコマンドをセットし(S713)、ラウンドカウンタの値Rをゼロクリアする(S714)。なお、エンディングとは、最終ラウンドの終了から大当たり遊技の終了までの期間をいう。次に、メイン制御基板20は、エンディング時間が経過したか否かを判定し(S717)、経過していなければ大入賞口処理を終え、経過していれば遊技状態設定処理を行って(S718)、当たり遊技フラグをOFFする(S719)。遊技状態設定処理では、メイン制御基板20は、今終了した当たり遊技が、小当たりであれば、遊技状態を遷移させないので遊技状態設定処理を終え、15R通常大当たりであれば、時短遊技状態に遷移させるため時短遊技フラグをONし、15R確変大当たりであれば、確変遊技状態に遷移させるため確変遊技フラグをONし、2R潜確大当たりであれば、潜確遊技状態に遷移させるため潜確遊技フラグをONする。
一方、メイン制御基板20は、ステップS702においてオープニング中でないと判定したときは、大入賞口71がエンディング中であるか否かを判定し(S715)、エンディング中であればステップS717に移行し、エンディング中でなければ大入賞口71の作動中か否かを判定する(S716)。そして、作動中でなければステップS705に移行し、作動中であればステップS708に移行する。
[電チュー処理]図12に示すように、電チュー処理では、メイン制御基板20は、補助遊技フラグがONか否かを判定し(S801)、ONでないと判定すれば電チュー処理を終える。一方、ONと判定すれば、電チュー52が作動中か否かを判定し(S802)、作動中でなければ、現在の遊技状態に応じた電チュー52の作動パターン(本実施形態では、通常遊技状態または潜確遊技状態であれば0.15秒の開放を1回、時短遊技状態または確変遊技状態であれば1.80秒の開放を3回)を選択して(S803)、その作動パターンに則った作動を開始する(S804)。次に、メイン制御基板20は、作動時間(複数の開放を含む作動パターンでは、開放間のインターバル時間を含む。)が経過したか否かを判定し(S805)、経過していなければ電チュー処理を終え、経過していれば補助遊技フラグをOFFして(S806)、電チュー処理を終える。
(5)パチンコ遊技機の動作の例
次に、上記のように構成されるパチンコ遊技機1について、遊技中の動作の流れの一例を説明する。
(A)正常な遊技に基づく動作
正常に遊技されている場合、パチンコ遊技機1は、図13のタイミングチャートに示すような動作をする。すなわち、遊技球が第1始動口51aに入賞し、第1始動口SW54aが、遊技球を検出すると、図13に示すように、ラッチ信号および始動口SW信号がONされる。メイン制御基板20は、ラッチ信号に基づき、ラッチ割込処理(図4参照)を行う。そして、続く始動口SW処理(図6参照)において、メイン制御基板20は、始動口SW信号に基づいて遊技球の第1始動口51aへの入賞を確定し(S201参照)、ラッチレジスタ68の値を読み出してRAM63内の第1保留記憶部27aに記憶する(S204参照)。第1保留記憶部27aに記憶された値は、その後実行される大当たり判定処理(図9参照)において、メイン制御基板20により読み出されて判定される(S501参照)。
このような動作におけるラッチレジスタ68及び第1保留記憶部27aの遷移を、図15のAに示す。まず、図15のAの(i)に示すように、ラッチ割込処理において、そのときのカウンタ67のカウント値、例えば0011Hがラッチレジスタ68に記憶される。次に、図15のAの(ii)に示すように、始動口SW処理において、0011Hが大当たり乱数として第1保留記憶部27aに記憶されるとともに、ラッチレジスタ68の値が0000Hにクリアされる。そして、図15のAの(iii)に示すように、大当たり判定処理において、第1保留記憶部27aに記憶されている0011Hが読み出されて、0011Hが大当たりを発生させる所定の大当たり乱数値に該当するか否か判定される。
(B)不正行為に基づく動作
一方、電波ゴト等により不正な始動口SW信号が入力された場合、パチンコ遊技機1は、図14のタイミングチャートに示すような動作をする。すなわち、不正な始動口SW信号が入力されると、図14に示すように、ラッチ信号はOFFのままだが、始動口SW信号はONされる。そのため、メイン制御基板20は、始動口SW処理(図6参照)の実行時、不正に入力された始動口SW信号に基づいて遊技球の第1始動口51a又は第2始動口51bへの入賞を確定し(S201又はS209参照)、ラッチレジスタ68に記憶されている値0000H(ステップS208又はS216でラッチレジスタ68の値をゼロクリアしたときの値)を読み出してRAM27内の第1保留記憶部27a又は第2保留記憶部27bに記憶する(S204又はS212参照)。そして、第1保留記憶部27a又は第2保留記憶部27bに記憶された値0000Hは、その後実行される大当たり判定処理(図9参照)において、メイン制御基板20により読み出される(S501参照)。
このような動作におけるラッチレジスタ68および第1保留記憶部27aの遷移を、図15のAにおいて(iii)の続きの動作として示す。第1始動口SW54aが遊技球を検出した際に出力するはずの始動口スイッチ信号が不正に入力されると、図15のAの(iv)に示すように、始動口SW処理において、現在ラッチレジスタ68に記憶されている値0000H(図15のA(iii)のラッチレジスタ68の欄参照)が第1保留記憶部27aに記憶されるとともに、再びラッチレジスタ68の値が0000Hにクリアされる。そして、図15のAの(v)に示すように、大当たり判定処理において、第1保留記憶部27aに記憶されている0000Hが読み出されることとなる。
ここで、上述したように第1実施形態のパチンコ遊技機1では、カウンタ67は0001HからFFFFHまでの範囲の16ビットの数値をとるよう構成されている。そのため、正常な遊技に基づいて動作している限り、0000Hがラッチレジスタ68から読み出されてRAM63内の第1保留記憶部27aに記憶されたり、また、大当たり判定処理において0000Hが読み出されることはない。従って、このような動作をした場合には、不正な始動口SW信号の入力があったと判断することができる(S206,S207,S214,S215参照)。
(C)始動口SW処理において保留数が4個未満でないと判定される場合
さらに、始動口SW処理(図2参照)におけるステップS202又はS210で保留数が4個未満でないと判定される場合のラッチレジスタ68および第1保留記憶部27aの遷移について、図15のBに基づいて説明する。なお、上述した図15のAに基づく説明は、始動口SW処理におけるステップS202又はS210で保留数が4個未満であると判定される場合である。
正常な遊技に基づく動作では、第1始動口SW54aが遊技球を検出すると、まず、図15のBの(i)に示すように、ラッチ割込処理において、そのときのカウンタ67のカウント値、例えば0011Hがラッチレジスタ68に記憶される。いま、第1保留記憶部27aには上限個数いっぱいの4個の入賞保留が記憶されている。そのため、次に実行される始動口SW処理においては、図15のBの(ii)に示すように、第1保留記憶部27aにラッチレジスタ68の値0011Hを記憶することなく、ラッチレジスタ68の値を0000Hにクリアする。
続いて、図15のBの(ii)に示す第1保留記憶部27aの入賞保留が大当たり判定処理によって消化された後、電波ゴト等により第1始動口SW54aが遊技球を検出した際に出力するはずの始動口スイッチ信号が不正に入力されると、図15のBの(iii)に示ように、始動口SW処理において、現在ラッチレジスタ68に記憶されている値0000H(図15のB(ii)のラッチレジスタ68の欄参照)が第1保留記憶部27aに記憶されるとともに、再びラッチレジスタ68の値が0000Hにクリアされる。そして、その後の大当たり判定処理において第1保留記憶部27aの入賞保留が順次消化された後、図15のBの(iv)に示すように、第1保留記憶部27aに記憶された0000Hが読み出されることになる。
このように、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、始動口SW処理におけるステップS202又はS210で保留数が4個未満でないと判定される場合であっても、ラッチレジスタ68の値は0000Hにクリアされる。そのため、その後に不正な始動口SW信号の入力がなされた場合であっても、正常な遊技に基づいて動作している限りラッチレジスタ68から読み出されて第1保留記憶部27aに記憶されることのない値0000Hが、第1保留記憶部27aに記憶されたり、大当たり判定処理において読み出されたりすることとなる。従って、このような動作をした場合には、不正な始動口SW信号の入力があったと判断することができる(S206,S207,S214,S215参照)。
(D)エラー処理
そして、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、第1保留記憶部27a又は第2保留記憶部27bに0000Hが記憶された際には、メイン制御基板20が、所定のエラー処理を行うこととしている(S207,S215参照)。
具体的には、エラー処理(S207,S215参照)として、メイン制御基板20は、パチンコ遊技機1が備える盤ランプ18、枠ランプ17、又は、パチンコホールにおいてパチンコ遊技機の上方に設置されるデータカウンタなどの外部機器を点灯点滅させたり、スピーカ18から警告音を鳴らしたりして、不正が検出されたことを遊技場の管理者などに報知する。
また、メイン制御基板20は、不正が検出されたことを伝える不正検出信号を、ホストコンピュータに対して送信して、不正が検出されたことを遊技場の管理者に報知する。
また、メイン制御基板20は、上記のような処理に代えて、又は、上記のような処理とともに、以後メイン制御基板20が外部からの信号(例えば始動口SW信号など)を受け付けることができないよう(すなわち入力される外部からの信号を全て無効とするよう)制御する。
(6)実施形態のパチンコ遊技機の効果
以上説明したように、本第1実施形態のパチンコ遊技機1では、主制御部59は、保留記憶部27(第2の記憶部)に記憶されている数値が4個未満でないと判定した場合に、又は、保留記憶部27に記憶されている数値が4個未満であると判定した場合において大当たり判定用の数値を保留記憶部27に記憶する処理を実行した後に、数値発生手段69が発生させることのない所定範囲外の数値(0000H。なお、数値発生手段69は00001HからFFFFHまでの範囲で数値を発生可能。)を、ラッチレジスタ68(第1の記憶部)に記憶する。また、主制御部59は、遊技球の第1始動口51a又は第2始動口51bへの入賞を確定した場合、ラッチレジスタ68に記憶されている数値を保留記憶部27に記憶する。そのため、ラッチレジスタ68に所定範囲外の数値(0000H)が記憶されていると、この所定範囲外の数値(0000H)が保留記憶部27に記憶される。そして、主制御部59は、保留記憶部27に記憶した値が、数値発生手段69が発生させることのない所定範囲外の数値(0000H)であったときは、不正を報知するなどのエラー処理を行う。
したがって、第1実施形態のパチンコ遊技機1によれば、不正に始動口スイッチ信号が入力された場合(ラッチ信号の入力はなし)には、ラッチレジスタ68(第1の記憶部)に記憶されている数値発生手段69が発生させることのない所定範囲外の数値(0000H)が、ラッチレジスタ68から読み出されて保留記憶部27(第2の記憶部)に記憶される、すなわち、正常な遊技に基づく動作時には、ラッチレジスタ68から読み出されることのない数値(0000H)が読み出されて保留記憶部27に記憶されることになるので、これを契機にエラー処理を行うことで、遊技場の管理者は、始動口スイッチ信号を不正に入力する行為を速やかに発見することができる。また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、不正と判断した場合の処理として、枠ランプ17やスピーカ18等で警告するため、不正行為者に対して、不正行為の実行を抑止させる効果を発揮する。
2.第2実施形態
以下、第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、第1実施形態のパチンコ遊技機1と同様の符号を付して説明を省略する。
第1実施形態のパチンコ遊技機1では、数値発生手段69が取り得ない値を保留記憶部27に格納したときに、エラー処理を実行するよう構成した(図6のステップS207,S215参照)が、第2実施形態のパチンコ遊技機では、数値発生手段69が取り得ない値をラッチレジスタ68から読み出したときに、エラー処理を行うように構成する。具体的には、第1実施形態における図6に示す始動口SW処理を、図16に示す始動口SW処理に変えて実行するよう構成する。
図16に示す始動口SW処理を説明すれば、メイン制御基板20は、まず、第1始動口51aへの遊技球の入賞が確定したか否かを判定し(S1001)、確定していなければステップS1010に進み、確定していれば、第1始動口保留カウンタの値U1が、上限値の4未満か否かを判定する(S1002)。ステップS1002において、U1が4未満でないと判定した場合はステップS1009に進み、U1が4未満であると判定した場合は、ラッチレジスタ68に記憶されている数値を読み出して(S1003)、いま読み出した数値が0000Hであるか否かを判定する(S1004)。0000Hでないと判定した場合は、U1に1を加算して(S1006)、いま読み出した数値を大当たり乱数として第1保留記憶部27aにおけるそのときの保留数に対応した記憶域に格納するとともに、大当たり図柄乱数等を取得して所定記憶域に記憶し(S1007)、第1保留数増加コマンドをセットする(S1008)。一方、ステップS1004において0000Hであると判定した場合には、不正行為がなされた旨を遊技場の管理者等に知らせるよう上述したエラー処理を行う(S1005)。ステップS1009では、メイン制御基板20は,ラッチレジスタ68の値をゼロクリア(0000Hを格納)する。続いて、メイン制御基板20は、ステップS1010からS1018に示す処理を行う。ステップS1010からS1018に示す処理は、上述のステップS1001からS1009からに示す処理に対応するもので、上述のステップS1001からS1009に示す処理が、第1始動口SWが遊技球の第1始動口への通過を検出して、第1始動口の入賞が確定した際に行う処理であったのに対して、上述のステップS1010からS1018に示す処理は、第2始動口SWが遊技球の第2始動口への通過を検出して、第2始動口の入賞が確定した際に行う処理となっている。
このように構成された第2実施形態のパチンコ遊技機では、ラッチレジスタ68(第1記憶部)に記憶された数値の読み出し時に、読み出した数値が正常な遊技に基づく動作において読み出されることのない数値(0000H)であるか否かを判定するため(S1003,S1004,S1012,S1013参照)、正常な遊技に基づく動作において読み出されることのない数値が読み出された場合には、遊技場の管理者等に対して異常の発生を報知することにより(S1005,S1014参照)、始動口スイッチ信号を不正に入力する行為を速やかに発見することができる。
3.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、第1実施形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、第1実施形態のパチンコ遊技機1と同様の符号を付して説明を省略する。
第1実施形態のパチンコ遊技機1では、数値発生手段69が取り得ない値(数値発生手段69が発生可能な範囲外の値、0000H)を保留記憶部27に格納したときに、エラー処理を実行するよう構成した(図6のステップS207,S215参照)が、保留記憶部27に格納した数値を保留記憶部27から読み出したときに、その数値が数値発生手段69が取り得ない値(0000H)であれば、エラー処理を行うように構成してもよい。この場合、図2に示す始動口SW処理は、ステップS206,S207及び、ステップS214,S215を抜いて実行し、図9に示す大当たり判定処理は、図17に示す大当たり判定処理に変えて実行する。
ここで、図17に示す大当たり判定処理を説明すれば、メイン制御基板20は、まず、始動口SW処理で格納した大当たり乱数を読み出して、その大当たり乱数が0000Hであるか否かを判定し(S901)、0000HでなければステップS903に進むが、0000Hであれば、不正行為がなされた旨を遊技場の管理者等に知らせるよう上述したエラー処理を行う(S902)。そして、ステップS903に進んだ場合には、図9に示す大当たり判定処理のように、大当たりテーブルを用いて大当たり乱数が大当たりか否かの判定を行い(S903)、判定結果が大当たりであれば(S904でYES)、始動口SW処理で格納した大当たり図柄乱数がどの大当たり図柄を示すものかを判定し(S905)、その大当たり図柄をセットする(S906)。また、ステップS904の判定結果が、大当たりでないが(S904でNO)小当たりであれば(S907でYES)、小当たり図柄をセットし(S908)、小当たりでもなければ(S907でNO)、ハズレ図柄をセットする(S909)。
このように構成された変更例のパチンコ遊技機では、保留記憶部27(第2の記憶部)に記憶された数値の読み出し時に、読み出した数値が正常な遊技に基づく動作において読み出されることのない数値(0000H)であるか否かを判定するため(S901参照)、正常な遊技に基づく動作において読み出されることのない数値が読み出された場合には、遊技場の管理者等に対して異常の発生を報知することにより(S902参照)、始動口スイッチ信号を不正に入力する行為を速やかに発見することができる。
また、第1実施形態及び第2実施形態のパチンコ遊技機では、数値発生手段69は、カウンタ67回路を用いてハードウェア的に数値を発生させる構成としたが、メイン制御基板20が数値計数のためのプログラムを実行することにより数値を発生させる構成、すなわち、ソフトウェア的に数値を発生させる構成としてもよい。この場合、数値発生手段69を、所定範囲の数値をランダムに発生させる構成とすれば、数値発生手段69の発生させる数値が予測され難くなり、不正に大当たりとなる大当たり乱数を取得され難くなる。
また、第1実施形態及び第2実施形態のパチンコ遊技機では、数値発生手段69の発生させた数値をそのままラッチレジスタ68に記憶するよう構成したが、数値発生手段69の発生させた数値に基づいて、数値発生手段69が発生させることができる範囲内で新たな数値を生成して、ラッチレジスタ68に記憶するよう構成してもよい。例えば、ラッチレジスタ68への記憶時に、カウンタ67のカウント値をプラス1更新すれば、数値発生手段69の発生させた数値とは異なる数値をラッチレジスタ68に記憶することができる。また、カウンタ67とラッチレジスタ68との結線を、カウンタ67から出力されるカウント値がばらばらになるように順序を入れ変えた結線とすれば、カウンタ67が順次数値をカウントアップするものであっても、カウンタ67から出力されてラッチレジスタ68に記憶される数値にランダム性を持たせることができる。
さらに、このような数値の変換は、ラッチレジスタ68に記憶された数値がRAM63内の保留記憶部27に記憶される際に行なわれるよう構成してもよい。この場合、ラッチレジスタ68に記憶されている数値が、数値発生手段69の発生可能な範囲外の数値であるときには、ラッチレジスタ68に記憶されている数値を、数値発生手段69が発生可能な範囲内の数値に変換することなくそのまま保留記憶部27に記憶するか、ラッチレジスタ68に記憶されている数値から数値発生手段69が発生可能な範囲外の数値を新たに生成して、その数値を保留記憶部27に記憶する。
また、第1実施形態及び第2実施形態のパチンコ遊技機では、ラッチレジスタ68から値が読み出された後、ラッチレジスタ68の値が0000Hにクリアされるよう構成したが、数値が読み出された後にラッチレジスタ68に記憶される値は、数値発生手段69が生成することができる範囲外の数値であれば、いずれの数値であってもよい。例えば、数値発生手段69を、0000Hから00FFHまでの16ビットの数値を発生可能に構成した場合には、0100HからFFFFHまでの数値の中からいずれかの数値をランダムに取得して、ラッチレジスタ68に記憶させたり、又は、0100HからFFFFHまでの数値の中の特定の値をラッチレジスタ68に記憶させたりするよう構成することができる。
また、第1実施形態及び第2実施形態のパチンコ遊技機では、ラッチレジスタ68を第1の記憶部とし、RAM63内の保留記憶部27(第1保留記憶部27a又は第2保留記憶部27b)を第2の記憶部として構成したが、遊技球の第1始動口51a又は第2始動口51bへの入賞確定に基づいて読み出す値が格納される領域を、第1の記憶部とし、大当たり判定処理において読み出す値が格納される領域を、第2の記憶部とすれば、第1の記憶部及び第2の記憶部は、いずれの記憶域で構成してもよい。例えば、ラッチ割込処理として、ラッチ信号の入力に基づいて、カウンタ67のカウント値をフリップフロップを用いて構成されるラッチ回路で保持し、ラッチ回路に保持した値をRAM内の一部に記憶する処理を行い、始動口SW処理として、RAMに記憶された値をさらにRAM内の別の記憶域(ここが保留記憶部となる)に記憶する処理を行なうよう構成した場合には、ラッチ割込処理で利用したRAM内の記憶域が第1の記憶部となり、始動口SW処理で利用したRAM内の記憶域が第2の記憶部となる。