JP5178525B2 - 分子核型分析による染色体分析 - Google Patents

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Description

本発明は、全染色体または染色体領域の数の異常(異数性)の検出における使用のための方法および物質に一般的に関する。これは、妊娠が配偶子および初期胚から採取された細胞で確立される前、または胎盤または胎児由来の細胞のサンプルにおける妊娠の後期においてのいずれかにおいて、出生前診断のために特に有用性を有する。
正常な減数分裂では、精子または卵子の前駆細胞は増殖し、次いで2回の専門的な減数分裂において各々の配偶子で設定された半分まで染色体数を減らさなければならない。DNA複製の後の減数分裂の初期段階の間、相同な対の4つの複製された染色分体はその長さに沿って密接して配列し、セグメントを交換し得、それによって非組み換え(交換なし)および組み換えの染色体が生じ、そして遺伝子の変動が生成される。従って、得られた配偶子は各々、両方が相同な染色体の組み換え体であるか、または非組み換え体であって親の染色体のうちの1つに同一である、単一の染色体を含有する。これは図1(a)に示される。
異数性は、発生の初期段階で致死的であり得る遺伝的不均衡を生じる染色体全体または染色体の一部の異常な数として規定され、妊娠後期の流産を生じるか、または生存可能な異常な妊娠を生じる。最も頻繁かつ臨床的に重要な異数性は、単一の染色体(厳密には「異数染色体性(aneusomy)」)に関与し、ここでは正常な対の染色体ではなく、3つ(「三染色体性(trisomy)」)または1つだけ(「一染色体性(monosomy)」が存在する。
発生の初期では、異数性は、複製および細胞分裂の後、異常な染色体の隔離を通じて、(1)正常には、受精前の各々の配偶子において半分のセットであるハプロイドを生じる2回の減数分裂の間、または(2)開裂段階の受精胚の初期分裂の間のいずれかに生じ得る。図1(b)は、2回の減数分裂の間の異常な染色体解離の一般的な原因である、複製された染色体が分裂の間に分離できない非分離の影響を示している。
分子核型分析の目的は、数的なまたは構造的な染色体異常を同定すること、そして詳細には、正常な2コピーの染色体または染色体セグメントの代わりの不均衡を同定することである。
現在、分子核型分析に対して2つの基本的なアプローチが存在する。
第一は、分子遺伝的マーカー、しばしば高度に多形性の短鎖縦列反復配列(short tandem repeats)(STR)を、親の染色体の各々について使用することである。親の染色体の各々に異なる反復配列(repeat)が存在する場合、STRマーカーは完全にインフォーマティブ(情報価値のある)(informative)であって、すなわち、各々の染色体の存在を(その位置で)同定し得る。多数のSTRマーカーの使用によって、本方法における信頼が改善され得る。三染色体性分析におけるSTRの使用の例は、Findlay et al.(1998)Journal of Assisted Reproduction and Genetics 第15巻、第5号:1998:266〜275に示される。
第二のアプローチである、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)は、マイクロアレイ上の中期染色体またはDNAクローンのいずれかに対するハイブリダイズ(アレイCGH)による、染色体特異的な配列における、試験および正常なゲノムDNAの蛍光標識ならびに定量的な相違の比較に関与する。一般には試験および参照のDNAは、異なる蛍光色素で標識されて、一連のクローニングされた標的DNA、例えば特定の染色体領域由来のBACクローンを用いてDNAマイクロアレイへハイブリダイズされる。このような「チップ(chip)」は、出生前診断に、そして他の診断適用に対して、例えば一般的な欠失症候群ならびに異数性および不均衡な転位について、インフォーマティブなBACを含むことによって適合する。
核型分析の重要性を考慮すれば、分子核型分析に関する新規な方法および物質はこの技術に対する寄与を提供することが理解され得る
本発明は、ゲノム全体にわたって分布され、かつ既存の技術を用いて容易に検出可能である、ゲノムワイドな二対立遺伝子マーカー分析(例えば、二対立遺伝子の一塩基遺伝子多型(SNP))の使用によって、分子の核型分析による染色体の分析(例えば、三染色体性の検出のため)が行われ得るということを開示する。
この知見は、いくつかの理由のために、主には先験的に、二対立遺伝子のマーカー(これは染色体上の所与の位置で2成分の情報しか提供しない)が3つまたはそれ以上の異なる染色体の存在を肯定的に同定できないと想定されるため、予期されない。
それにもかかわらず、下記されるとおり、本発明によって、密接に隣接するSNPの高密度分析が、特に、1つの親に由来する2つの染色体の存在を肯定的に同定し得るということ、および減数分裂の間に親の染色体の間の組み換え事象の頻度および間隔について十分確立された仮定に基づいて、これが三染色体性の正確な検出を可能にするということがもたらされる。
さらに、親に由来するエラーは、いくつかの核型分析方法によって不能である、各々の場合に同定される。
従って、本発明の方法は、いくつかの現在利用可能な方法で用いられるような染色体特異的な配列の定量に依存するのではなく、むしろ試験サンプルのハプロタイプと親の公知のハプロタイプとを比較する。全ゲノム増幅のための既存の方法と組み合わせた場合、本発明の方法は特に、比較的少数のサンプル細胞しか分析に利用できない場合に有用である。
従って、1つの態様では、本発明は、標的細胞を核型分析して、その標的細胞内の染色体不均衡を検出する方法を提供し、本方法は、
(a)標的細胞の染色体にまたがって、密接に隣接する二対立遺伝子SNPを問い合わせる(interrogating)工程と、
(b)父系および母系の染色体のSNPハプロタイプと(a)の結果とを比較して、父系由来および母系由来の標的細胞染色体の概念上の(notional)ハプロタイプをアセンブルする(assemble)工程と、
(c)父系由来および母系由来の標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプを評価して、この標的細胞における染色体の異数性を検出する工程と、
を含む。
下に記載されるように、本方法はまた、そのようにすることが所望される場合、染色体組み換えを評価するために用いられてもよい。
標的細胞は、二対立遺伝子SNPが概念上のハプロタイプを提供するのに十分な密度で生じるゲノムを有する、有性生殖する二倍体の種の細胞である。好ましくはこの細胞は、鳥類、爬虫類、または哺乳動物の細胞である。さらに好ましくは、この細胞は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物の細胞である。非ヒト哺乳動物は、たとえば、霊長類であってもよい。
1つの実施形態では、この細胞は、ヒトであって、評価される以下の群、X、Y、22、21、18、16および13から選択されるヒト染色体のうち少なくとも2、3、4、5、6または全てである。これらの染色体のいずれかにおける不均衡は、生存可能だが異常な妊娠に関連し得る。
好ましくは、少なくとも10、15または20の染色体の全てが評価される。1つの実施形態では、標的細胞のゲノム全体(例えば、24のヒト染色体の全て)が評価される。
下記で考察されるとおり、SNPは、従来技術を用いて問い合わされてもよい。この前に、1つまたはそれ以上の従来の増幅工程が先行してもよい。好ましくは、本発明のマップにおける二対立遺伝子マーカーのうち頻度の低い対立遺伝子の頻度は、少なくとも10、20または30%である(すなわち、少なくとも0.18、0.32または0.42という異型接合性率)。
SNP問い合わせの結果は、標的細胞における所与の染色体の全てのコピーにおける多型座で見いだされるヌクレオチドに依存する(すなわち、正常には2コピーであるが、染色体異常がある場合には0、1もしくは3であってもよく、あるいはX染色体の場合は、雌性では1もしくは3コピー、または雄性では0もしくは2コピー、そしてY染色体の場合には、雄性胚では2コピー)。文脈が他を要求しない限り、「1つの」、「ある」(a)染色体または「この」、「その」(the)染色体が、SNP遺伝子型決定(genotyping)に関して本明細書で言及される場合、これは、標的細胞に存在する染色体の全てのコピーを分類することをいう。
次の工程は、概念上のハプロタイプのアセンブリであって、これをここでより詳細に考察する。
(概念上のハプロタイプをアセンブルする)
父系由来または母系由来の染色体の存在を検出して特徴づけるために、次の工程は、各々の染色体の概念上のハプロタイプをアセンブルすることである。これは、本明細書において「概念上の(notional)」と命名される。なぜなら、これは直接決定されるのではなく推測され、特定の実施形態では、親由来の所与の染色体を指す概念上のハプロタイプは、親由来のその染色体の2コピーに起因するような方法の引き続く(subsequent)工程で特徴づけられ得る(例えば、三染色体性の場合)からである。
この概念上のハプロタイプは、以下のようなSNPの特定のサブセットを用いてアセンブルされ得る。
各々の親の染色体についてのランダムなSNP対立遺伝子を仮定すれば、各々のSNPについて4つの親の対立遺伝子のうち16の異なる組み合わせが存在する(表1)。
各々の親の染色体のハプロタイプ(すなわち、SNP対立遺伝子の配列)に基づいて、これらの組み合わせのうち8つが、試験DNAにおける遺伝子型を生じると推測され得、それによって、その位置で4つの親染色体のうち1つの存在が肯定的に同定され(「インフォーマティブ(informative)」)、そして他の4つは、結果次第で各々の親からの1対の染色体を同定する(「インフォーマティブ(informative)」)か、または4つの可能なペアワイズ組み合わせのうち2つの可能性のある親染色体の組み合わせを同定する(「セミインフォーマティブ(semi-informative)」)。
従って、本発明の1つの実施形態では、父系由来のおよび母系由来の標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが、以下
(i)インフォーマティブなSNP対立遺伝子であって、この標的細胞中の染色体が由来するのは4つの父系および母系の染色体のうちのどの1つであるかを肯定的に同定するか、またはこの標的細胞における1対の染色体が由来するのはどの父系染色体、そしてどの母系染色体であるかを肯定的に同定する、インフォーマティブなSNP対立遺伝子、ならびに場合により、
(ii)セミインフォーマティブなSNP対立遺伝子であって、標的細胞における1対の染色体が由来するのは、父系および母系の染色体の4つの可能なペアワイズ組み合わせのうち2つの可能な組み合わせのどれであるかを肯定的に同定する、セミインフォーマティブなSNP対立遺伝子
を用いて、アセンブルされる。
(標的細胞染色体由来を特徴づける)
本発明の1つの実施形態では、工程(c)は以下のとおり行われる。
(c1)父系由来および母系由来の標的細胞染色体の概念上のSNPハロタイプを評価し、それによって各々の染色体を、不在、非組み換え体、組み換え体として、または2またはそれ以上のコピーが存在するとして割り当てる工程と、
(c2)標的細胞における染色体の異数性を推定する工程であって、工程(c1)が、父系由来および母系由来の染色体の不均衡を示す工程。
概念上のハプロタイプが一旦編集され(compiled)れば、関連の染色体を以下のように、非組み換え体または組み換え体として割り当ててもよい。
[非組み換え染色体]:SNP対立遺伝子は、染色体の全長に沿って親の染色体の1つに対して同一である。従って、その特定の染色体について親のSNP遺伝子型のインフォーマティブな組み合わせがどこに存在しようと、その結果は肯定的であるが、同等に重要なことに、他の染色体についてインフォーマティブなSNPでは、結果は否定的である。セミインフォーマティブなSNPは、特定の親染色体の存在と一致する結果を生じる(図2(a)を参照のこと)。
従って、1つの実施形態では、標的細胞における染色体は、非組み換え体として同定され、ここではその概念上のSNPハプロタイプの結果は以下、
(i)染色体の長さに沿って、2つの父系染色体のうちの1つの、または2つの母系染色体のうちの1つのSNP対立遺伝子に対して同一であるそのSNP対立遺伝子、および
(ii)2つの父系または母系の染色体のどちらかの(alternative)SNP対立遺伝子の不在
と一致する。
[組み換え染色体]:組み換え染色体では、パターンは、第一減数分裂の間のもとの親染色体の間の単一、二重またはより高次の組み換えから生じる両方の親染色体の1つまたはそれ以上の交互のセグメントが存在し得ることを除いて、非組み換え染色体に関するものである(図2(a)を参照のこと)。
本発明の実施においては、連続的なインフォーマティブまたはセミインフォーマティブなSNPが、同定する1つの親染色体から他への切り替え(明白なクロスオーバー事象)を示す場合、この理由が(1)減数分裂の間の正確なクロスオーバー(すなわち、上記で言及されるような正常な組み換え)、(2)第二の親染色体の存在(三染色体性、本明細書において以降に考察されるとおり)、または(3)SNP遺伝子型決定のエラーであり得るという事実が考慮される。
SNP遺伝子型決定エラーを考慮すれば、ゲノムワイドなSNP遺伝子型決定方法は、エラーを最小限に低下するように設計されるので、任意の所与の場合、クロスオーバー事象は、選択的である(alternative)可能性が高い。なぜなら、通常、染色体のアーム1つあたり少なくとも1つのクロスオーバーが存在するからである。インフォーマティブおよびセミインフォーマティブなSNP結果の積み重ねは、その染色体と一致し、従って、他の親染色体は、正常な組み換えを示唆しない(図2を参照のこと)。
従って、1つの実施形態では、標的細胞における染色体は、組み換え体として同定され、その概念上のSNPハプロタイプの結果は、2つの染色体の間の正常な組み換えと一致する1つまたはそれ以上の交互のセグメントにおける2つの父系染色体の両方または2つの母系染色体の両方のSNP対立遺伝子(SNP alleles of both of the two paternal chromosomes or two maternal chromosomes)に相当する。
正常な組み換えは、(1)組み換えの数についての平均、性別および染色体特異的なデータ、ならびに(2)短い距離にわたって複数の組み換え事象を防止するキアズマの間の干渉に依存する。
従って、1つの実施形態では、正常な組み換えとの一致は、第一減数分裂の間の2つの父系染色体または2つの母系染色体の特定の隣接するインフォーマティブなSNP対立遺伝子の間の正常な組み換えの統計学的尤度(likelihood)に基づいて評価される。好ましくはこの統計学的尤度は、以下の基準
(i)特定の父系または母系の染色体についての組み換え事象の平均数、
(ii)各々の染色体アーム上の、互いに対する、セントロメアに対するおよび関与する染色体アームの末端におけるテロメアに対する明白な組み換え事象の位置
のうちの1つまたはそれ以上に基づいて評価される。
[複数の染色体]:連続的なインフォーマティブおよびセミインフォーマティブなSNPが、2つの親染色体の間で反復しておよび/または見かけ上ランダムに交互する場合、試験DNAは、一連の二重クロスオーバーまたは組み換え事象ではなく、三染色体性である可能性が極めて高い(図3、図4)。
この理由は、正常な組み換えのパターンがランダムでなく、そして詳細には1つのクロスオーバーの存在が、クロスオーバー干渉(crossover interference)として公知の現象である、別のクロスオーバーを近傍で物理的に阻害するためである(Broman and Weber, 2000)。
1つの親からの2つの非組み換え染色体を用いて、SNPの概念上のハプロタイプの結果は、全染色体に沿って交互する。他の非組み換えおよび組み換え染色体の組み合わせによれば、2つの親ハプロタイプは、反復的な見かけ上ランダムな交互変化を示す染色体のセグメントについて検出可能である。
「正常な(normal)」交互するセグメントの頻度に関しては、大規模な実験データセットに基づいて、BromanおよびWeber(2000)は、2つの非組み換えのインフォーマティブな多形性の間の二重のクロスオーバーの確率が、以下の式
p=(0.0114d−0.0154)4
に従って推定され得るということを提示し、
ここでpは非組み換え遺伝子座の間のセンチモルガン(cM)での遺伝子距離として測定された間隔dでの二重クロスオーバーの確率である。
他の親の染色体の存在を示している、1つのSNP(または相反するインフォーマティブなSNPに介入しない>1のインフォーマティブなSNP)は、二重クロスオーバーの結果であるという確率は、従って、その染色体についてインフォーマティブな隣接する(adjacent flanking)SNPの間の確率によって規定される(図2)。
従って、1つの実施形態では、2つのSNP対立遺伝子の間の二重クロスオーバーの統計的な尤度は、以下の式
p=(0.0114d−0.0154)4
に従って算出され、
ここでpはSNP対立遺伝子の間のセンチモルガン(cM)での遺伝子距離として測定された間隔dでの二重クロスオーバーの確率である。
0.32cMという平均間隔(Affymetrix GeneChip 10Kシステムと同様に)およびnSNPについてのこの式の演算の例としては以下である。
従ってほとんどの場合には、連続的なインフォーマティブおよびセミインフォーマティブなSNPにおいて1つの親に由来する両方の染色体のハプロタイプの間の交互するパターンの確率は、特に分析されるSNPの密度が高い場合には極めて低く、一般には、遺伝子型決定のエラーの可能性よりもかなり低い。
三染色体性の確率はさらに、この染色体の両方における真のクロスオーバー事象の数および位置に依存する、この交互するパターンの数および程度とともに増大する。
概念上のハプロタイプにおける明白なクロスオーバーの数に加えて、ゲノムにまたがるクロスオーバーの数および分布についてのいくつかの他の仮定(Lynn et al., 2004)が、組み換えである可能性が高いかまたはそのようでないと染色体を割り当てるのに用いられ得る。
・キアズマの数の直接カウントによって、雄性における平均総数は50.6(Hulten, 1974)および雌性では70である(Hulten and Tease, 2003; Tease and Hulten, 2004)ことが示される。
・個々の染色体でのクロスオーバーの平均数。
・個々の染色体でのクロスオーバーの分布。
(SNPの密度および性質)
全ゲノムにまたがって例えば、10K SNPを分析する場合、高精度率にかかわらず、第二の親染色体についてインフォーマティブなSNPで、単離された個々の肯定的な結果を生じる1つまたはそれ以上のランダムな遺伝子型決定エラーが生じ得る。
従って、好ましい実施形態では、肯定的および否定的なインフォーマティブおよびセミインフォーマティブなSNPの閾値数が設定される。
1つの実施形態では、全ゲノムにまたがって分布された、少なくとも5000および/または2500のインフォーマティブおよび/またはセミインフォーマティブなSNP対立遺伝子をそれぞれ用いて、父系由来および母系由来の標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプをアセンブルする。しかし、個々の染色体については、小さい数で十分であり得る。これは、分類の好ましい方法およびそれに関連する正確性に従って、任意の選択的な増幅方法が使用されて、当業者によって評価され得る。
1つの実施形態では、問い合わされるSNPの間の平均距離は、0.1、0.2、0.3、0.4、または0.5kb未満である。
1つの実施形態では、問い合わされるSNPの間の平均距離は、0.1、0.2、0.3、0.4、または0.5cM未満である。
対立遺伝子のドロップアウト(allele dropout)(ADO)、すなわち、親の対立遺伝子のうちの1つをランダムに増幅できないため、着床前の遺伝子診断における適用のために単一または少数の細胞からDNAを増幅する場合、SNP遺伝子型分析は好ましくは、インフォーマティブまたはセミインフォーマティブなSNPでの異型接合性結果を生じる結果に全体にまたは部分的に基づいてもよい。従って、1つの実施形態では、少なくとも2500の異型接合性のインフォーマティブなSNP対立遺伝子(表1では「AB」)を用いて、父系由来および母系由来の標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプをアセンブルする。
(核型分析)
上記のとおり、標的細胞における染色体の異数性が検出され、ここでは概念上のハプロタイプは、父系由来および母系由来の染色体の不均衡を示す。異なる異数性の検出ストラテジーの詳細は以下のとおりである。
1つの実施形態では、標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが父系由来の1染色体および母系由来の1染色体の存在を示す場合、この細胞は、関連の染色体に関して正常な二倍体であると推定される。
[零染色体性(nullsomy)]:1つの実施形態では、標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが、父系由来および母系由来の任意の染色体または染色体セグメントの不在を示す場合、この細胞は、関連の染色体または染色体セグメントについて零染色体性であると推定される。
[一染色体性(monosomy)]:ここでは、1つの親からの1つの染色体のみが存在するが、これは非組み換え体であってもまたは組み換え体であってもよい。従って、一染色体性は2つの方法で検出される(1)染色体に沿って全てのSNPについて明白な同型接合性(「AA」または「BB」のいずれか、「AB」ではない)、(2)親の染色体のうちの1つについてのハプロタイプ(非組み換え)または1つの親からの2つのハプロタイプの間の交互するパターンに対する同一性(2つの染色体の間の正常な組み換えと一致)。従って、1つの実施形態では、標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが、父系由来または母系由来のいずれか(ただし両方ともではない)の染色体または染色体セグメントの不在を示している場合、この細胞は、関連の染色体または染色体セグメントについて一染色体性であると推定される。
一染色体性は、それらが受精の前に生じるかまたは受精の後に生じるかを検出され得る。
[三染色体性]:上記で考察されるとおり、標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが、2つの父系染色体の両方または2つの母系染色体の両方の存在を、2つの染色体の間の正常な組み換えと一致しないパターンおよび/または頻度で示している場合、この細胞は、関連の染色体または染色体セグメントの全体または一部について三染色体性であると推定される。
詳細には、この方法は、三染色体性を検出するように適合されているが、ここでは、父系細胞または母系細胞の各々における対の染色体が異なり(これが通常の場合)、そして標的細胞における父系または母系由来の2つの染色体が染色体の全体または一部にまたがって異なり(これは、ほとんどの三染色体性、すなわち減数分裂の間に生じるほとんどの三染色体性にあてはまる、図1(b)を参照のこと)、インフォーマティブおよびセミインフォーマティブなSNPがみられ、そして異なる領域で問い合わされる(これは、代表的には、SNPの十分な密度が評価される場合にあてはまる)。
従って、これらの共通の状況では異数性を検出するのに有用なツールが得られる。上記で本発明の特定の実施形態を記載し、いくつかの特定の操作方式をここに考察する。
(組み合わせおよび複数の検出ストラテジー)
所望の場合、本発明は、1つまたはそれ以上の他の核型分析ストラテジーと組み合わされてもよい。
例えば、さらなる工程は、三染色体性検出の正確性および解像度を増大するために対立遺伝子の定量化を含んでもよく、すなわち、1つの実施形態では、この方法は標的細胞の染色体にまたがってSNPを定量することによって推定を確認する工程をさらに含む(Meng et al., 2005)。
1つの実施形態では、この方法はさらに、標的細胞において遺伝性の遺伝子疾患の存在を、標的細胞の概念上のSNPハプロタイプと父系染色体および母系染色体および1つまたはそれ以上の罹患した兄弟姉妹(affected siblings)のSNP対立遺伝子とを比較して連鎖によってこの標的細胞における疾患を診断することによって、診断する工程を含む。連鎖とは、疾患を生じる遺伝子変異自体を検出する代わりに、1つまたはそれ以上のインフォーマティブなマーカー、例えば、STRまたはSNPを、罹患した遺伝子の近くかまたはその中で用いて、罹患した子供によって遺伝されるマーカーとの比較により、遺伝子の罹患したコピーを追跡する方法である(Abou-Sleiman et al., 2002)。上記で考察される標的細胞遺伝子型のゲノムワイドなSNP分析では、罹患した遺伝子に隣接する複数の密接に関連するSNPを分析して、極めて正確な連鎖解析を可能にし得る。
1つの実施形態では、本発明はさらに、標的細胞における一般的な疾患またはガンに対する感受性の存在を、概念上のSNPハプロタイプと、この疾患に関連していることが公知のハプロタイプとを比較することによって診断する工程を含む。このような関連は、例えば、ヒト集団におけるSNPハプロタイプにおけるゲノムワイドな変動をマッピングし、疾患関連の研究を容易にする、「International HapMap Consortium」を介してますます確立されている(International HapMap Consortium, 2005)。この関連は、それ自体で本発明の一部を形成はしないが、このハプロタイプ分析と本明細書に記載される核型分析法との組み合わせは、本発明の1つの態様を形成する。
(父系細胞および母系細胞ならびに染色体ハプロタイプ)
1つの実施形態では父系および母系細胞は、血液および口腔から得られる。
少なくとも1世代にまたがる関連の個体からのSNPの分析によって、対立遺伝子が異なる位置での各々の染色体についてのハプロタイプの特定が可能になる。詳細には、SNP対立遺伝子のハプロタイプは、各々の親のDNAを分析すること、およびその結果をハプロイド配偶子、子どももしくは親、またはそれらの組み合わせと比較することによって確認され得る。当業者は、二倍体個体の分析からハプロタイプが推測されることを可能にする多くのアルゴリズムおよび関連のソフトウェアプログラム、例えば、PHASE(StephensおよびDonnelly, 2003)およびSIMHAP(www.genepi.com.au/simhap)を承知している。
1つの実施形態では、父系および母系の染色体のSNPハプロタイプは、全ゲノム増幅後の体外受精(in vitro fertilisation)(IVF)後の兄弟姉妹の受精胚から取り出された細胞のSNPハプロタイプの分析に由来する。
1つの実施形態では、父系および母系の染色体のSNPハプロタイプは、全ゲノム増幅後の複数の単一の親のハプロイド配偶子の分析に由来する。
1つの親由来の2つの染色体または染色体セグメントが同一であることが示される場合、その方法は、その染色体またはセグメントに適用せずに、別の方法が用いられるべきである。
(標的細胞)
1つの実施形態では、標的細胞は、IVFから生じている哺乳動物胚から提供されている。1つの実施形態では、この胚は、着床前の胚である(例えば、Handyside et al., 2004を参照のこと)。
本発明が、家畜のような動物に適用される場合、胚は子宮から回収されてもよい。
1つの実施形態では、標的細胞は、胎児から提供されている。
1つの実施形態では、1、2、3、4または5個の細胞かまたは少なくとも1、2、3、4または5個の細胞が提供される。
1つの実施形態では、SNP問い合わせの前に、全ゲノム増幅が先行される。
1つの実施形態では、全ゲノム増幅は、少数の細胞からの増幅のためのバクテリオファージphi29ポリメラーゼを用いる全ゲノム増幅を可能にする等温性マルチプル・ディスプレイスメント・アンプリフィケーション(Multiple Displacement Amplification)(MDA)を使用する(例えば、Handyside et al., 2004を参照のこと)。
(SNPの問い合わせ)
好ましいマーカーは二対立遺伝子のSNPであり、これは、ゲノム全体にわたって生じる(ゲノムあたり約1000万、ここでSNPは、集団における個体の間で1%を超える(>1 %)変動として規定される)。
大規模一塩基遺伝子多型(single nucleotide polymorphism)(SNP)分析のための種々の方法が存在する(Syvanen, 2005, 特に表1を参照のこと)。これらとしては、SNPストリーム(Bell, P.A. et al. SNPstream UHT; ultra-high throughput SNP genotyping for pharmacogenomics and drug discovery. Biotechniques Suppl., 70-72, 74, 76-77(2002)); ジェノラマ(Genorama), アペックス(APEX)(Kurg, A et al. Arrayed primer extension: solid-phase four-colour DNA resequencing and mutation detection technology. Genet. Test. 4, 1-7 (2000)); ジーンチップ(GeneChip) 100K (Matsuzaki, H. et al. Genotyping over 100,000 SNPs on a pair of oligonucleotide arrays. Nat. Methods 1, 109-111 (2004));ペルレジェン・ウェーハ(Perlegan wafers)(Hinds, D.A. et al. Whole-genome patterns of common DNA variation in three human populations. Science 307, 1072-1079 (2005)); 分子インバージョンプローブ(Molecular Inversion Probes)(Hardenbol, P. et al. Highly multiplexed molecular inversion probe genotyping: Over 10,000 targeted SNPs genotyped in single tube assay. Genome Res. 15, 269-275 (2005));ゴールデンゲートアッセイ(GoldenGate Assay)(Fan, J.B. et al. Highly parallel SNP genotyping. Cold Spring Harb. Symp. On Quant. Biol. LXVII, 69-78(2003))が挙げられる。他の方法としてはイルミナ(Illumina)「ビーズアレイ(BeadArray)」が挙げられる。
好ましい実施形態は、22染色体の各々にまたがって0.2kbの平均距離で分布される10,000を分析するように設計されている、Affymetrix GeneChip(商標)10K Microarrayを使用する(Matsuzaki, H. et al. Parallel genotyping of over 10,000 SNPs using a one-primer assay on a high-density oligonucleotide array. Genome Res. 14, 414-425(2004)を参照のこと)。
オリゴヌクレオチドチップの場合には、本発明によるチップに結合され得るオリゴヌクレオチドは、ゲノムにまたがる二対立遺伝子のSNPを識別し得る。好ましいのは25ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである。
従って、1つの実施形態では、SNPを、「遺伝子(gene)」または「オリゴヌクレオチド」チップまたはマイクロアレイ上で問い合わせる。当分野で周知のように、これらは微小化ビヒクルであり、ほとんどの場合にはガラスまたはケイ素から作製され、その表面上に配列が公知のオリゴヌクレオチドが高密度の規則的な格子で固定される。
別の好ましい実施形態は、Illuminaの「infinium」(商標)Human-1 BeadChipを使用する。このシステムは、その70%がエキソンに位置するかまたは転写物の10kb内である、100,000を超えるSNPマーカーの全ゲノム遺伝子型決定を可能にし得る(例えば、Pharmacogenomics (2005) 6(7), 777-782を参照のこと)。このシステムは、パターン化された基板のウェル中への約3μmのサイズの誘導体化された微小な(microscopic)ビーズのランダムなアセンブリに基づき、SNPの特定の組み合わせが問い合わされることを可能にし得る。
(システム)
好ましくは、本発明における使用のためのシステムは、SNP問い合わせのための手段に加えて、得られたデータをコンピュータに分析させるためのプログラムされた記憶装置または媒体を含む。このSNP問い合わせデータは、後の分析のために記憶されてもよいし、または「オン・ザ・フライ(on the fly)」で分析されてもよい。本明細書において用いられる場合、「データベース(database)」という用語は、両方のタイプのデータ供給源を包含する。
SNP問い合わせのための好ましい手段は、上記で考察される適切な密度で少なくとも好ましい染色体で問い合わせるオリゴヌクレオチドチップである。好ましくは、これは全ゲノムを含む。
従って、SNP問い合わせのための好ましい手段としては、以下が挙げられる。
(i)流産または生存可能な異常妊娠と高頻度に関連する染色体(X、Y、22、21、18、16、13)上の高密度の二対立遺伝子SNP。この手段は、これらの染色体上の完全な多形性セットを問い合わせ得る。
(ii)一般的集団において高度に異型接合性であるSNPであって、その情報性を増大しているSNP、
(iii)全ての公知の微小欠失症候群の領域における相対的に増大した密度、
(iv)一般的な単一遺伝子欠損に関連する領域における相対的に増大した密度、
(v)一般的な複雑な疾患に対する素因に関連する公知のSNP「ハプロタグ(haplotag)」。
本発明は、コンピュータで実行され得る。代表的には、これは、システムバスまたは他の接続手段によって、コミュニケーション・インターフェース、システム・メモリ(RAM)、不揮発性メモリ(ROM)および1つまたはそれ以上の他の記憶装置、例えば、ハードディスクドライブ、ディスケットドライブおよびCD ROMドライブに接続された、中央演算処理装置(central processing unit)(CPU)を含む。
このコンピュータはまた、ディスプレイ・デバイス、例えば、プリンター、CRTモニター、またはLCDディスプレイ、およびインプット・デバイス、例えば、キーボード、マウス、ペン、タッチ−スクリーン、または音声駆動システムを含む。このインプット・デバイスは、インターフェースを介したSNP問い合わせのための手段から直接データを受容し得る(例えば、Affymetrixシステムと同様)。
このコンピュータは、種々のプログラム、例えば、オペレーティング・システムおよびアプリケーション・プログラムを記憶して実行する。
このコンピュータ使用可能な媒体によって、コンピュータはハプロタイプを分析して、分子核型分析を行い、各々の染色体の長さに沿って親起源を割り当て、検出される場合異数性を報告する。この媒体は、例えば、ハードディスクフロッピー(登録商標)ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(Random Access Memory)、リード・オンリー・メモリ(Read Only Memory)およびエレクトリカリー・イレーサブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリ(Electrically Eraseable Programable Read Only Memory)からなる群より選択され得る。
従って、本発明は、コンピュータに、標的細胞中における異数性または染色体組み換えを決定させるための方法であって、本明細書に考察される方法の任意の1つである方法を実行させるための、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードを有するコンピュータ使用可能な媒体、またはそこに記憶される説明書(すなわち、プログラムされた記憶装置)を提供する。
好ましくはこの方法は、以下
(a)標的細胞の染色体に存在する複数の密接に隣接する二対立遺伝子のSNP遺伝子座から得られる遺伝子型データを含むデータベースにアクセスする工程と、
(b)対応する父系および母系の染色体のSNPハプロタイプデータ(すなわち、「P1」、「P2」、「M1」;「M2」)を含むデータベースにアクセスする工程と、
(c)工程(a)のデータベース由来の標的細胞SNPデータと、工程(b)のデータベース由来のSNPハプロタイプデータとを比較して、父系由来のおよび母系由来の標的細胞染色体の概念上のハプロタイプ領域をアセンブルする工程と、
(d)父系由来のおよび母系由来の標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプを評価して、この標的細胞における染色体の異数性または染色体組み換えを決定する工程と
を含む。
場合により、工程(b)におけるデータベースの「x」SNPの各々のSNP遺伝子座は、4つの親SNP対立遺伝子の16の組み合わせのうちどれがその遺伝子座に存在するかに従って、「n」の値が割り当てられ、工程(c)は、その遺伝子座で概念上のハプロタイプを、
(i)工程(a)のデータベース由来のその遺伝子座における二対立遺伝子SNPについての遺伝子型データおよび、
(ii)工程(b)のデータベース由来のその遺伝子座における「n」の値と、
(iii)染色体に由来する表と、
を比較することによってアセンブルする工程、およびそれによってこの標的細胞染色体のSNP遺伝子座を父系または母系の染色体に由来するように割り当てる工程を含む。
「染色体由来表(chromosomal origin table)」とは、データの参照セットであって、染色体の起源(例えば、「P1」、「P2」、「M1」;または「M2」)が、その値に基づいて(i)および(ii)においてその遺伝子座に割り当てられ得るデータの参照セットを意味する。これは、表1の最後の列に示されるものに対応し得る。
好ましくは、父系由来および母系由来の標的細胞染色体の領域の概念上のSNPハプロタイプは、工程(b)におけるデータベース由来の「x」SNP遺伝子座のサブセットを用いてアセンブルされ、このサブセットは以下
(i)インフォーマティブなSNP対立遺伝子であって、この標的細胞中の染色体が由来するのは4つの父系および母系の染色体のうちのどの1つであるかを肯定的に同定するか、またはこの標的細胞中における1対の染色体が由来するのはどの父系染色体、そしてどの母系染色体であるかを肯定的に同定する、インフォーマティブなSNP対立遺伝子、ならびに場合により、
(ii)セミインフォーマティブなSNP対立遺伝子であって、標的細胞における1対の染色体が由来するのは父系および母系の染色体の4つの可能なペアワイズ組み合わせのうち2つの可能な組み合わせのどれであるかを肯定的に同定する、セミインフォーマティブなSNP対立遺伝子、
からなる。
場合により、このサブセットは、異型接合性のインフォーマティブなSNP対立遺伝子からなってもよい。
場合により、この方法は、「x」SNPの各々のSNP遺伝子座またはそのサブセットについて得られた概念上のハプロタイプの結果を記憶する工程を含み得る。
ソフトウェアの例(Excel Visual Basic for Applications(VBA)コードI)は付表1に列挙され、これは、各々のSNPで親の対立遺伝子の異なる組み合わせを同定して、インフォーマティブなSNP遺伝子座で親起源を割り当てる。図4は、独立して決定される、得られた概念上のハプロタイプおよび正確な標的細胞ハプロタイプを示す。
このプログラムは、標的細胞における染色体を、その概念上のSNPハプロタイプの結果が、以下
(i)染色体の長さに沿って、2つの父系染色体のうちの1つの、または2つの母系染色体のうちの1つのSNP対立遺伝子に対して同一であるそのSNP対立遺伝子、および
(ii)2つの父系または母系の染色体のどちらかの(alternative)SNP対立遺伝子の不在、
と一致する場合に、非組み換え体として同定し得る。
このプログラムは、標的細胞における染色体を、その概念上のSNPハプロタイプの結果が、2つの染色体の間の正常な組み換えと一致する1つまたはそれ以上の交互のセグメントにおいて2つの父系染色体の両方または2つの母系染色体の両方のSNP対立遺伝子に対応する場合に組み換え体として同定し得る。
このプログラムは、標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが、2つの父系染色体の両方または2つの母系染色体の両方の存在を、この2つの染色体の間の正常な組み換えと一致しないパターンおよび/または頻度で示している場合、この標的細胞がこの染色体について三染色体性であると同定し得る。
このプログラムは、以下の基準
(i)特定の父系または母系の染色体についての組み換え事象の平均数のデータベース、
(ii)各々の染色体アーム上の明白な組み換え事象の、互いに対する位置、セントロメアに対する位置、およびテロメアに対する位置、
のうちの1つまたはそれ以上に基づいて、SNP遺伝子座の間の正常な組み換えの尤度を統計的に分析し得る。
場合により、このプログラムは、例えば、この頻度およびパターンのデータに基づいて、三染色体性の確率の数字上の指標を算出し得る。
このプログラムは、標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが父系由来および母系由来の両方の染色体またはそのセグメントの不在を示している場合、この標的細胞における染色体をこの染色体について零染色体性として同定し得る。
このプログラムは、標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが父系由来および母系由来の染色体またはそのセグメント(ただし両方ではない)の不在を示している場合、この標的細胞における染色体を染色体について一染色体性として同定し得る。
場合により、肯定的および否定的なインフォーマティブおよび場合によりセミインフォーマティブなSNPの閾値数が設定され、そしてこの数が超えられる場合にのみ核型が決定される。
本発明はまた、上記で記載される方法を実行するようにプログラムされたコンピュータを提供する。
本発明はここで、以下の非限定的な図面および実施例を参照してさらに記載される。本発明の他の実施形態は、これらに照らせば当業者に思い浮かぶ。
本明細書に引用されるすべての引用文献の開示は、それが本発明を行うために当業者によって用いられ得る限り、相互参照によって本明細書に詳細に組み込まれる。
[実施例1 理論的背景]
減数分裂および配偶子の形成の間、相同な染色体対および組み換えによって4つの染色体が生じ、これは平均して、2つの非組み換え体および2つの組み換え染色体からなる。従って、各々の得られた染色体は、固有のSNPハプロタイプを有する。
受精後、各々の胚は、2つの親由来の2つの配偶子に分けられた非組み換え体または組み換え染色体からのハプロタイプの固有の組み合わせを有する。正倍数性の胚では、各々の染色体の正常な対を用いて、各々の染色体は、別個のハプロタイプを有し、各々の染色体の親の由来は、非組み換えまたは固有の組み換えハプロタイプから同定可能である。同様に、三染色体性および一染色体性も検出可能である。
下の表1は、SNPがどのようにしてインフォーマティブ、セミインフォーマティブまたは非インフォーマティブであると分類され得るかを示す。
表1.対立遺伝子のランダムな分布に基づく親のSNPハプロタイプの16の組み合わせ。インフォーマティブな組み合わせは、結果にかかわらず親のハプロタイプを同定する。対立遺伝子のインフォーマティブ/セミインフォーマティブな組み合わせは、試験されているDNAの遺伝子型に依存して、親の染色体の両方のうちの1つまたは2つの可能な組み合わせを同定する。
[実施例2 SNPおよびADOの情報伝達性]
DNAが単一の細胞から増幅されるいくつかの実施形態、例えば、着床前遺伝子診断(PGD)では、親の対立遺伝子のうち1つは、ランダムに増幅し得ず、対立遺伝子のドロップアウト(ADO)を生じる。ADOがインフォーマティブなSNPで生じる場合、これらの半分は、明白な試験遺伝子型が不可能であり、従って真の異型接合性結果(「AB」)が推測され得るという理由で、検出されるということが下の表2によって実証される。
*親SNPのこの組み合わせについて、試験遺伝子型は、この対立遺伝子の2つのコピーを有することができず、このことは対立遺伝子ドロップアウト(ADO)、すなわち、親の対立遺伝子のうちの1つをランダムに増幅できないことを示している。従って、この試験遺伝子型はABであると仮定され得る。このアプローチは、着床前遺伝子スクリーニングのような単一細胞適応で本発明が用いられる場合、試験の能力を増大する。
[実施例3 組み合わされたSNP定量的および配列に基づく分析]
各々のSNP対立遺伝子の相対的な定量化が達成される場合、正常な二染色体の遺伝子型組み合わせである「AA」、「AB」、および「BB」は、一染色体性では「A」、「B」を補充され、「AAA」、「BBB」、「AAB」、および「ABB」である。
表3は、遺伝子型決定およびSNPの定量化を組み合ることによって利用可能である追加情報を実証する。SNP対立遺伝子遺伝子型決定のこれらの可能な組み合わせはインフォーマティブでないが、定量では、親由来が最初の2つの実施例で未知の場合でさえ、染色体を三染色体性として同定する。
[実施例4 多置換増幅(multiple displacement amplification)(MDA)の使用]
SNPのこれらの組み合わせおよび試験遺伝子型を分析するためにMicrosoft Excel VBAマクロ(SNP分析(1))を、下の付表1で設定する。
この結果を図4に示す。このデータは、第21染色体にまたがるSNPの試験遺伝子型分析である。母系および父系のハプロタイプは、Affymetrix GeneChip 10Kマイクロアレイを用いて遺伝子型決定された個体に基づいて作成されている。いくつかのSNPでは、対立遺伝子は確実には同定できない(「コールなし(no call)」。そのようでなければ、例示の目的のために、試験遺伝子型は、100%正確であると仮定され、示される正確な試験ハプロタイプに基づく。番号付けた親のハプロタイプの組み合わせは、表1に規定されるとおりである。この実施例では、完全にインフォーマティブなSNP組み合わせのみ(5−12)を用いて、試験ハプロタイプを同定している。さらに、セミインフォーマティブな組み合わせが用いられ、この情報をさらに分析して、三染色体性または遺伝子型特定のエラーからの二重の組み換えを識別した。2つの例が示されている。第21染色体について1つは正常な二染色体性であり、そして1つは三染色体性である。黒丸は、決定的な(critical)SNP結果を示し、これはこの試験サンプルが三染色体性であることを示し、すなわち、それらは、2つの染色体の間の正常な組み換えと一致しない交互のセグメントの存在を実証している。
[実施例5 CVSまたは羊水穿刺後の出生前診断]
染色体の現在の分析方法は、核型分析、限られた数の染色体対または定量的蛍光PCRのための蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)を含む。本発明によるSNPプロファイリングは、異数性、欠失および不均衡な転位の検出を組み合わす。
単一遺伝子欠損の検出のための現在の方法は、変異検出(mutation detection)(変異の同定を要する)、およびインフォーマティブな連鎖マーカーを組み合わせており、ある場合には事前の連鎖解析および試験開発を要する。SNPの密度により、SNPの組み合わせに対する分析可能な連鎖も多くの場合に可能である。
[実施例6 IVF後の着床前遺伝子診断]
着床前遺伝子診断(PGD)には、罹患されていないと同定された胚を凍結保存なしで着床できるように、各々の初期の胚から、そして可能であれば36〜72時間内に取り出された単一または少数の細胞の分析を要する。
異数性についての現在の方法は、9つの染色体の分析のための連続的FISH、凍結保存を要する全ての染色体の比較ゲノムハイブリダイゼーション、および多重蛍光(multiplex fluorescent)PCRを包含する。各々の相互転位および各々のタイプのRobertsonian型転位は、特定のストラテジーの開発を要する。単一遺伝子検出のための現在の方法は、多重蛍光PCRによる変異検出および連鎖解析を含む。
[参考文献]
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Stephens M and Donnelly P (2003) A comparison of Bayesian methods for haplotype reconstruction from population genotype data. Am J Hum Genet 73, 1162-1169.
付表1
Microsoft Excel VBAマクロ:SNP分析(1)
正常な減数分裂IおよびIIを示す概略図。 異数性をもたらす減数分裂の間の非分離(non-disjunction)を示す概略図。 胎児または胚由来の試験DNAにおける染色体対についてのSNP遺伝子型分析の略図。各々の行は、SNP遺伝子座を、各々の列は、2つの父系染色体(P1およびP2)および2つの母系染色体(M1およびM2)についてのハプロタイプを示す。インフォーマティブなSNPでの肯定的な結果は影を付けている。インフォーマティブなSNPでの否定的な結果は、、?PXで印している(明瞭さのために?MXは省略)。図2(a)では、染色体の父系コピーのAと記されたセグメントを二重組み換え体として同定する。なぜなら、複数の連続したインフォーマティブなSNPはP1のハプロタイプを肯定的に同定し、そしてP2についての他のインフォーマティブなSNPは否定的であるからである。染色体セグメントの長さおよびこの染色体および全体の両方についてのクロスオーバーの数も考慮され、そしてクロスオーバー干渉のせいで、通常はこの図で表示するよりもSNP数を大きく上回る。図2(b)では、母系の染色体は、この領域では非組み換え体であって、M1についてインフォーマティブなSNPのみが肯定的である。 図2に記載されるような胎児または胚由来の試験DNAにおける染色体対についてのSNP遺伝子型分析の略図。この例では、両方の染色体についてインフォーマティブな複数の交互するSNPについての肯定的な結果のために、Bと記されるセグメントは三染色体性として割り当てられる。P2についての隣接する肯定的な結果の間の二重組み換えである、P1についての各々の個々の肯定的な結果(Aと印す)の確率は、高密度のSNP分析を用いる場合、SNPの間の平均の遺伝子距離を考慮して、極めて小さい。 付表1においてExcel VBAコードを用いて分析された親および試験子孫の遺伝子型のデータであって、これは、二対立遺伝子SNPのインフォーマティブな組み合わせが染色体に沿って親由来の特定を可能にする方法を例示している。 付表1においてExcel VBAコードを用いて分析された親および試験子孫の遺伝子型のデータであって、これは、二対立遺伝子SNPのインフォーマティブな組み合わせが染色体に沿って親由来の特定を可能にする方法を例示している。 付表1においてExcel VBAコードを用いて分析された親および試験子孫の遺伝子型のデータであって、これは、二対立遺伝子SNPのインフォーマティブな組み合わせが染色体に沿って親由来の特定を可能にする方法を例示している。 付表1においてExcel VBAコードを用いて分析された親および試験子孫の遺伝子型のデータであって、これは、二対立遺伝子SNPのインフォーマティブな組み合わせが染色体に沿って親由来の特定を可能にする方法を例示している。 付表1においてExcel VBAコードを用いて分析された親および試験子孫の遺伝子型のデータであって、これは、二対立遺伝子SNPのインフォーマティブな組み合わせが染色体に沿って親由来の特定を可能にする方法を例示している。 付表1においてExcel VBAコードを用いて分析された親および試験子孫の遺伝子型のデータであって、これは、二対立遺伝子SNPのインフォーマティブな組み合わせが染色体に沿って親由来の特定を可能にする方法を例示している。 付表1においてExcel VBAコードを用いて分析された親および試験子孫の遺伝子型のデータであって、これは、二対立遺伝子SNPのインフォーマティブな組み合わせが染色体に沿って親由来の特定を可能にする方法を例示している。 付表1においてExcel VBAコードを用いて分析された親および試験子孫の遺伝子型のデータであって、これは、二対立遺伝子SNPのインフォーマティブな組み合わせが染色体に沿って親由来の特定を可能にする方法を例示している。 付表1においてExcel VBAコードを用いて分析された親および試験子孫の遺伝子型のデータであって、これは、二対立遺伝子SNPのインフォーマティブな組み合わせが染色体に沿って親由来の特定を可能にする方法を例示している。 付表1においてExcel VBAコードを用いて分析された親および試験子孫の遺伝子型のデータであって、これは、二対立遺伝子SNPのインフォーマティブな組み合わせが染色体に沿って親由来の特定を可能にする方法を例示している。 複数の検出ストラテジーを用いて本発明を図示しているフローチャート。

Claims (27)

  1. ヒト標的細胞を核型分析して、その標的細胞内の染色体不均衡を検出する方法であって、
    (a)標的細胞の染色体にまたがって、密接に隣接する二対立遺伝子(biallelic)SNPを問い合わせる(interrogate)工程と、
    (b)父系および母系の染色体のSNPハプロタイプと(a)の結果とを比較して、父系由来および母系由来の標的細胞染色体の概念上のハプロタイプをアセンブルする工程と、
    (c)父系由来および母系由来の標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプを評価して、この標的細胞における染色体の異数性を検出する工程と
    を含み、
    父系由来および母系由来の標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが、工程(b)において、以下
    (i)インフォーマティブな(informative)SNP対立遺伝子であって、標的細胞中の染色体が由来するのは、4つの父系および母系の染色体のうちのどの1つであるかを肯定的に同定するか、または標的細胞における1対の染色体が由来するのはどの父系染色体、そしてどの母系染色体であるかを肯定的に同定する、前記インフォーマティブなSNP対立遺伝子を用いてアセンブルされる、前記方法。
  2. 父系由来および母系由来の標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが、工程(b)において、以下
    (i)インフォーマティブな(informative)SNP対立遺伝子であって、標的細胞中の染色体が由来するのは、4つの父系および母系の染色体のうちのどの1つであるかを肯定的に同定するか、または標的細胞における1対の染色体が由来するのはどの父系染色体、そしてどの母系染色体であるかを肯定的に同定する、前記インフォーマティブなSNP対立遺伝子、ならびに、
    (ii)セミインフォーマティブなSNP対立遺伝子であって、標的細胞における1対の染色体が由来するのは、父系および母系の染色体の4つの可能なペアワイズ組み合わせのうち2つの可能な組み合わせのどれであるかを肯定的に同定する、前記セミインフォーマティブなSNP対立遺伝子
    を用いてアセンブルされる、請求項1に記載の方法。
  3. (i)X、Y、22、21、18、16および13からなる群より選択される染色体のうち少なくとも2、3、4、5、6もしくは7が問い合わされるか、または
    (ii)24の全ての染色体が問い合わされる、
    請求項1または2に記載の方法。
  4. 標的細胞における染色体の異数性が、工程(c)において以下
    (c1)父系由来および母系由来の標的細胞染色体の概念上のSNPハロタイプを評価し、それによって各々の染色体を、組み換え体または非組み換え体として、および/または0、1またはそれ以上のコピーが存在するとして割り当てる工程と、
    (c2)標的細胞における染色体の異数性を推定する工程であって、工程(c1)が、父系由来および母系由来の染色体の不均衡を示す前記工程と、
    によって検出される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 標的細胞における染色体が非組み換え体と同定され、その概念上のSNPハプロタイプの結果が、以下
    (i)染色体の長さに沿って、2つの父系染色体のうちの1つの、または2つの母系染色体のうちの1つのSNP対立遺伝子に対して同一であるそのSNP対立遺伝子
    (ii)2つの父系または母系の染色体のどちらかの(alternative)SNP対立遺伝子の不在、
    と一致し、
    標的細胞における染色体が、組み換え体として同定され、その概念上のSNPハプロタイプの結果が、2つの染色体の間の正常な組み換えと一致する1つまたはそれ以上の交互のセグメントにおいて2つの父系染色体の両方または2つの母系染色体の両方のSNP対立遺伝子に対応する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが、2つの父系染色体の両方または2つの母系染色体の両方の存在を、2つの染色体の間の正常な組み換えと一致しないパターンおよび/または頻度で示し、前記細胞が、関連の染色体または染色体セグメントの全てまたは一部について三染色体性であると推定される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 正常な組み換えとの一致が、第一の減数分裂の間の2つの父系染色体または2つの母系染色体の、特定の隣接するインフォーマティブなSNP対立遺伝子の間の正常な組み換えの統計的な尤度(likelihood)に基づいて評価され、
    統計的な尤度が、以下の基準
    (i)特定の父系または母系の染色体についての組み換え事象の平均数、
    (ii)各々の染色体アーム上の明白な組み換え事象間の距離、並びに互いに対する、セントロメアに対するおよびテロメアに対する前記組み換え事象の位置のうちの1つまたはそれ以上に基づいて評価される、請求項6に記載の方法。
  8. 標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが、
    (i)父系由来の1染色体および母系由来の1染色体の存在を示し、前記細胞が、関連の染色体に関して正常な二倍体であると推定される、または
    (ii)父系由来および母系由来の任意の染色体または染色体セグメントの不在を示し、前記細胞が、関連の染色体または染色体セグメントについて零染色体性(nullsomic)であると推定される、または
    (iii)父系由来または母系由来のいずれか由来であるがただし両方由来ではない染色体または染色体セグメントの不在を示し、前記細胞が、関連の染色体または染色体セグメントについて一染色体性であると推定される、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  9. 問い合わされたSNPの間の平均距離が、0.1、0.2、0.3、0.4または0.5kb未満であるか、あるいは0.1、0.2、0.3、0.4または0.5cM未満である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 問い合わされたSNP対立遺伝子の定量化の工程をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. (i)標的細胞における遺伝性の遺伝子疾患に対する感受性を連鎖によって検出するために、標的細胞の概念上のSNPハプロタイプと、父系染色体および母系染色体のSNP対立遺伝子および当該疾患に罹患した1つまたはそれ以上の弟姉妹(siblings)とを比較る工程、および/または
    (ii)標的細胞における一般的な疾患またはガンに対する感受性を、概念上のSNPハロタイプと前記疾患が関連していることが公知のハロタイプとを比較することによって検出する工程
    をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 父系および母系の染色体のSNPハロタイプが、全ゲノム増幅後の体外受精(IVF)後に兄弟姉妹(sibling)の受精胚から取り出された細胞のSNPハロタイプの分析に由来するか、または全ゲノム増幅後の複数の単一の親ハプロイド配偶子の分析に由来する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 標的細胞が、哺乳動物胚から提供されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 哺乳動物胚がIVFから生じている、請求項13に記載の方法。
  15. 胚が着床前の胚(pre-implantation embryo)である、請求項14に記載の方法。
  16. 1、2、3、4もしくは5つ、または少なくとも1、2、3、4もしくは5つの標的細胞が提供され、かつ試験される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. SNP問い合わせの前に全ゲノム増幅が先行する、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. SNP問い合わせが、オリゴヌクレオチドチップの手段によって行われる、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. コンピュータ使用可能な媒体であって、コンピュータが、請求項1から18のいずれかに記載の方法を実行して標的細胞における異数性または染色体組み換えを決定するようにさせるために、その媒体上に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムコードを有する、前記媒体。
  20. コンピュータ使用可能な媒体であって、コンピュータが、ある方法を実行して標的細胞における異数性または染色体組み換えを決定するようにさせるために、その媒体上に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムコードを有し、前記方法が、
    (a)標的細胞の染色体に存在する複数の密接に隣接する二対立遺伝子のSNP遺伝子座から得られる遺伝子型データを含むデータベースにアクセスする工程と、
    (b)対応する父系および母系の染色体のSNPハプロタイプデータを含むデータベースにアクセスする工程と、
    (c)工程(a)のデータベース由来の標的細胞SNPデータと、工程(b)のデータベース由来のSNPハプロタイプデータとを比較して、父系由来および母系由来の標的細胞染色体の概念上のハプロタイプ領域をアセンブルする工程と、
    (d)父系由来および母系由来の標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプを評価して、標的細胞における染色体の異数性または染色体組み換えを決定する工程と、
    を含む、前記媒体。
  21. 工程(b)におけるデータベースの「x」SNPの各々のSNP遺伝子座が、4つの親SNP対立遺伝子の16の組み合わせのうちどれがその遺伝子座に存在するかに従って、「n」の値を割り当てられ、かつ工程(c)が、その遺伝子座で概念上のハプロタイプを、
    (i)工程(a)のデータベース由来のその遺伝子座における二対立遺伝子SNPについての遺伝子型データおよび
    (ii)工程(b)のデータベース由来のその遺伝子座における「n」の値と、
    (iii)染色体に由来する表と
    を比較することによってアセンブルする工程、
    およびそれによって標的細胞染色体の遺伝子座を父系または母系の染色体に由来するように割り当てる工程を含む、請求項20に記載のコンピュータ使用可能な媒体。
  22. 父系由来および母系由来の標的細胞染色体の領域の概念上のSNPハプロタイプが、工程(b)におけるデータベース由来の「x」SNP遺伝子座のサブセットを用いてアセンブルされ、このサブセットが以下
    (i)インフォーマティブなSNP対立遺伝子であって、標的細胞中の染色体が由来するのは、4つの父系および母系の染色体のうちのどの1つであるかを肯定的に同定するか、または標的細胞中における1対の染色体が由来するのは、どの父系染色体、そしてどの母系染色体であるかを肯定的に同定する、前記インフォーマティブなSNP対立遺伝子、からなり、
    肯定的および否定的なインフォーマティブなSNPの閾値数が設定され、かつこの数が超えられる場合にのみ核型が決定される、請求項20または21に記載のコンピュータ使用可能な媒体。
  23. サブセットが以下
    (i)インフォーマティブなSNP対立遺伝子であって、標的細胞中の染色体が由来するのは、4つの父系および母系の染色体のうちのどの1つであるかを肯定的に同定するか、または標的細胞中における1対の染色体が由来するのは、どの父系染色体、そしてどの母系染色体であるかを肯定的に同定する、前記インフォーマティブなSNP対立遺伝子、ならびに、
    (ii)セミインフォーマティブなSNP対立遺伝子であって、標的細胞における1対の染色体が由来するのは、父系および母系の染色体の4つの可能なペアワイズ組み合わせのうち2つの可能な組み合わせのどれであるかを肯定的に同定する、前記セミインフォーマティブなSNP対立遺伝子
    からなる、請求項22に記載のコンピュータ使用可能な媒体。
  24. 肯定的および否定的なインフォーマティブおよびセミインフォーマティブなSNPの閾値数が設定され、かつこの数が超えられる場合にのみ核型が決定される、請求項23に記載のコンピュータ使用可能な媒体。
  25. 標的細胞における染色体は、その概念上のSNPハプロタイプの結果が、以下
    (i)染色体の長さに沿って、2つの父系染色体のうちの1つの、または2つの母系染色体のうちの1つのSNP対立遺伝子に対して同一であるそのSNP対立遺伝子、および
    (ii)2つの父系または母系の染色体のどちらかの(alternative)SNP対立遺伝子の不在、
    と一致する場合、非組み換え体と同定され、
    標的細胞における染色体は、その概念上のSNPハプロタイプの結果が、2つの染色体の間の正常な組み換えと一致する1つまたはそれ以上の交互のセグメントにおいて2つの父系染色体の両方または2つの母系染色体の両方のSNP対立遺伝子に対応する場合、組み換え体として同定される、請求項20から24のいずれか一項に記載のコンピュータ使用可能な媒体。
  26. (i)2つの父系染色体の両方または2つの母系染色体の両方の存在を、2つの染色体の間の正常な組み換えと一致しないパターンおよび/または頻度で、標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが示している場合、標的細胞の染色体が、染色体について三染色体性であると同定される、
    (ii)標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが父系由来および母系由来の両方の染色体またはそのセグメントの不在を示している場合、標的細胞における染色体がその染色体について零染色体性として同定される、
    (iii)標的細胞染色体の概念上のSNPハプロタイプが父系由来および母系由来だが両方ではない染色体またはそのセグメントの不在を示している場合、標的細胞における染色体がその染色体について一染色体性として同定される、請求項20から25のいずれか一項に記載のコンピュータ使用可能な媒体。
  27. 標的細胞を核型分析して、その中の染色体不均衡を検出するためのシステムであって、以下
    (i)標的細胞の染色体にまたがって、密接に隣接する二対立遺伝子SNPを問い合わせるための手段であって、該手段がオリゴヌクレオチドチップである手段と、
    (ii)請求項1から18のいずれかに記載の方法を実行するようにプログラムされるか、または請求項19から26のいずれか一項に記載のコンピュータ使用可能な媒体でプログラムされる、コンピュータとを含む、前記システム。
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