JP5177655B2 - ダスト計 - Google Patents
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この標準測定法では、円形の濾紙上に試料大気中のダストを捕集し、精密天秤によって捕集前後の濾紙の質量の変化分を測定し、その変化分と試料大気の捕集積算流量とからダストの質量濃度(単位:〜mg/m3)を算出している。また、この標準測定法では、ダストの捕集時間が24〜48時間と長時間であり、ダストの捕集前後に濾紙を温度20℃、湿度50%(調湿目標湿度,EPAでは35%であるが、本明細書中では50%とする。)の環境で調湿する点が特徴となっている。例えば、捕集時間が24時間であった場合には、24時間試料大気を流して捕集したときの質量濃度が測定値(24時間値)として得られる。
このβ線吸収法では、試料大気をテープ状の濾紙に通過させて大気中のダストを濾紙上のスポットに捕集し、捕集前後の濾紙の質量の変化分をβ線厚み計(βゲージ)により測定すると共に、その質量の変化分と試料大気の捕集積算流量とからダストの質量濃度を算出している。
具体的には、特許文献1に開示されているように、浮遊粒子状物質が未捕集状態である最新の濾紙を通過させた場合のβ線強度Ioと、浮遊粒子状物質を捕集した状態の濾紙を通過させた場合のβ線強度Iと、浮遊粒子状物質の単位質量当たりのβ線吸収断面積kと、濾紙の単位捕集面積当たりの粒子の質量mと、全捕集面積Sと、積算吸引流量Vとを用いて、浮遊粒子状物質濃度Mは、次式のようになる。
M=(m/V)=(S/kV)ln(Io/I)
その理由としては、β線吸収法では標準測定法に比べて濾紙やダストに水分が過剰に吸着されているので、濾紙の質量が増加する傾向にあり、また、標準測定法では、ダストの捕集時間が長いためにその途中で揮発性ダストが飛散する結果、質量が減少することが考えられる。なお、試料大気の湿度が50%以下である場合には、β線吸収法によるダスト濃度の測定値が標準測定法に比べて低くなるが、両測定値の誤差は僅かであり、湿度が高いときの誤差に比べて問題視されていない。
試料大気が交互に供給され、かつ、それぞれ個別に配置された濾紙上のスポットに対して、同一の測定周期内で、ダスト捕集前の調湿動作、β線計測動作、ダスト捕集動作、ダスト捕集後の調湿動作、β線計測動作を順次実行し、その後に濾紙送り動作を実行する検出部を二つ備え、
前記二つの検出部の測定周期を、一方の検出部のダスト捕集時間の始期が他方の検出部のダスト捕集時間の終期となり、かつ、前記一方の検出部のダスト捕集時間の終期が前記他方の検出部のダスト捕集時間の始期となるように一定時間ずらすと共に、前記二つの検出部のダスト捕集時間を等しくし、
前記一方の検出部によるダスト捕集期間において、
前記他方の検出部が、ダスト捕集後の調湿動作、β線計測動作、濾紙送り動作、ダスト捕集前の調湿動作、β線計測動作を順次実行するものである。
試料大気が交互に供給され、かつ、それぞれ個別に配置された濾紙上のスポットに対して、同一の測定周期内で、ダスト捕集前の調湿動作、β線計測動作、ダスト捕集動作、ダスト捕集後の調湿動作、β線計測動作を順次開始し、その後に濾紙送り動作を実行する検出部を二つ備え、
前記二つの検出部の測定周期を、一方の検出部のダスト捕集時間の始期が他方の検出部のダスト捕集時間の終期となり、かつ、前記一方の検出部のダスト捕集時間の終期が前記他方の検出部のダスト捕集時間の始期となるように一定時間ずらすと共に、前記二つの検出部のダスト捕集時間を等しくし、
前記一方の検出部によるダスト捕集期間において、
前記他方の検出部が、ダスト捕集後の調湿動作とβ線計測動作とを一部の期間、同時に実行し、その後、ダスト捕集前の調湿動作とβ線計測動作とを一部の期間、同時に実行するものである。
また、試料大気等に調湿空気を加えないため、圧力損失を低減することが可能である。
更に、一方の検出部によりダスト捕集を行っている間に他方の検出部により調湿やβ線計測を行うことが可能であるから、見かけ上のダスト捕集時間を長くして標準測定法に近い測定値が得られると共に、1時間値等の単位時間値を得たい場合には、湿度検出値や補正係数を用いた補正処理によって正確な速報値を得ることができる。
なお、二系統の検出部A,Bには、図示されていない濾紙送り機構によってそれぞれ個別に濾紙33(33A,33B)が供給されるようになっている。また、ポンプP2、ドライヤD、ニードル弁Vの組合せにより、湿度50%の調湿空気を作り出す。
図2のフローでは、流路切替弁41の検出部A側のポートを開き、ポンプP2を動作させ、ニードル弁Vを開き、調湿空気を配管51、流路切替弁41、配管13,14を介して検出部Aに導入し、濾紙33Aを調湿すると共に、流路切替弁42、湿度センサH1、配管17を介して排気する。なお、この時の湿度は湿度センサH1により監視されている。同時に、流路切替器20を配管12,15側に切り替えて検出部Bの濾紙33Bにより試料大気中のダストを捕集し、流路切替弁43、配管16、ポンプP1、配管19を介して排気する。このフローにおいて、検出部Aは、まだダストを捕集する前の状態にあり、検出部Bは、ダスト捕集を行っている状態にある。
このフローは、図6におけるフロー番号「図2」の部分であり、例えば図6(a)の期間T1に相当する。
このフローは、図6におけるフロー番号「図3」の部分であり、例えば図6(a)の期間T2に相当する。
このフローは、図6におけるフロー番号「図4」の部分であり、例えば図6(a)の期間T3に相当する。
このフローは、図6におけるフロー番号「図5」の部分であり、例えば図6(a)の期間T4に相当する。
期間T4が経過した時点で、検出部Bは紙送りを行って濾紙33Bの次のスポットにダストを捕集するように動作させる。
なお、この例において、検出部A側の濾紙33Aの同一スポットに対する一測定周期(期間T1〜T8の合計)は2時間であり、検出部Bでは、期間T5以降に、検出部Aにおける期間T1以降と同様の処理が実行される。
このように、検出部A,Bは、一定の時間遅れを持って、調湿→β線計測→ダスト捕集→調湿→β線計測という動作を繰り返すことになる。
更に、ダストの捕集時間が短時間(1時間)であるため、揮発性ダストの飛散が少なく、測定精度が低下することもない。その反面、検出部A,Bが交互にダストを捕集することができ、見かけ上は一つの検出部が連続的かつ長時間にわたってダストを捕集することになるので、測定精度を向上させることができる。
図6(b)における検出部A,Bの動作は、図6(a)と実質的に同一であり、異なるのは各期間T1〜T8のスケールが延びている点である。
従って、1時間値を得たい場合には、図6(b)のダスト捕集期間において、単位時間を1時間としてその始期及び終期にβ線計測を行ってダストの質量濃度を測定し、この測定値を1時間値として求めることが考えられる。但し、この場合には濾紙の調湿が不十分であるから、図1の第2の湿度センサH2により試料大気の湿度を検出し、その湿度検出値と調湿目標湿度(例えば50%)との比や差を用いた補正係数(理論値あるいは実験値)により1時間値を補正すればよい。
24時間値=Σ(1時間値)/24×湿度補正係数
こうして求めた湿度補正係数を1時間値にそれぞれ乗算することにより、速報値としての1時間値の精度を高めることができる。
更に、上記の湿度補正係数を過去数日間にわたり演算して記憶しておき、その平均値を求めて1時間値に乗算しても良い。
なお、速報値として1時間値以外の2時間値、3時間値、……等の単位時間値を求めたい場合にも、1時間値と同様な測定処理、補正処理を行えば良い。
前述した図2〜図6の測定方法では、β線計測を行う期間は調湿しないため、β線計測時に検出部A,Bが所望の湿度になっていない場合もある。このため、図7〜図9の測定方法では、β線計測時にも調湿するようにして測定精度を一層向上させるようにした。
まず、図9(a)において、期間T11では、前述した図2と同様のフローを実行し、検出部Aが調湿を、検出部Bがダスト捕集を行う。
この時のフローは図8に示す通りであり、流路切替器20を配管11側に切り替え、試料大気を配管11,14を介して検出部Aに供給することにより濾紙33Aにダスト捕集を行い、流路切替弁42、配管16、ポンプP1及び配管19を介して排気する。この間、調湿空気を配管51,流路切替弁41、配管13,15を介して検出部Bに供給することにより濾紙33Bを調湿し、流路切替弁43、配管18、第1の湿度センサH及び配管17を介して排気すると同時に、検出部Bにおいてダスト捕集後のβ線計測を行う。
期間T14が経過した時点で、検出部Bは紙送りを行って濾紙33Bの次のスポットにダストを捕集するように動作させる。
なお、濾紙33A,33Bの同一スポットに対する一測定周期(期間T11〜T18の合計)は、この例でも2時間である。
この測定方法において、検出部A,Bは、一定の時間遅れを持って、調湿→調湿及びβ線計測→ダスト捕集→調湿→調湿及びβ線計測という動作を繰り返すことになる。
図9(b)における検出部A,Bの動作は、図9(a)と実質的に同一であり、異なるのは各期間T11〜T18のスケールが延びている点である。
図9(b)のようなタイムチャートで測定する場合、標準測定法と同様に長時間のダスト捕集時間を確保できると共に、調湿時間が長くなるので測定精度を更に向上させることができる。
20:流路切替器
31:β線源
32:検出部
33,33A,33B:濾紙
41〜43:流路切替弁
f:粗フィルタ
F:高性能フィルタ
P1,P2:ポンプ
R:キャピラリ抵抗
H1,H2:湿度センサ
V:ニードル弁
Claims (6)
- 試料大気が検出部に供給され、この検出部内の濾紙上のスポットにより試料大気中のダストを捕集すると共に、ダスト捕集前後の濾紙の質量変化をβ線吸収法により計測してダストの質量濃度を測定するダスト計において、
試料大気が交互に供給され、かつ、それぞれ個別に配置された濾紙上のスポットに対して、同一の測定周期内で、ダスト捕集前の調湿動作、β線計測動作、ダスト捕集動作、ダスト捕集後の調湿動作、β線計測動作を順次実行し、その後に濾紙送り動作を実行する検出部を二つ備え、
前記二つの検出部の測定周期を、一方の検出部のダスト捕集時間の始期が他方の検出部のダスト捕集時間の終期となり、かつ、前記一方の検出部のダスト捕集時間の終期が前記他方の検出部のダスト捕集時間の始期となるように一定時間ずらすと共に、前記二つの検出部のダスト捕集時間を等しくし、
前記一方の検出部によるダスト捕集期間において、
前記他方の検出部が、ダスト捕集後の調湿動作、β線計測動作、濾紙送り動作、ダスト捕集前の調湿動作、β線計測動作を順次実行することを特徴とするダスト計。 - 試料大気が検出部に供給され、この検出部内の濾紙上のスポットにより試料大気中のダストを捕集すると共に、ダスト捕集前後の濾紙の質量変化をβ線吸収法により計測してダストの質量濃度を測定するダスト計において、
試料大気が交互に供給され、かつ、それぞれ個別に配置された濾紙上のスポットに対して、同一の測定周期内で、ダスト捕集前の調湿動作、β線計測動作、ダスト捕集動作、ダスト捕集後の調湿動作、β線計測動作を順次開始し、その後に濾紙送り動作を実行する検出部を二つ備え、
前記二つの検出部の測定周期を、一方の検出部のダスト捕集時間の始期が他方の検出部のダスト捕集時間の終期となり、かつ、前記一方の検出部のダスト捕集時間の終期が前記他方の検出部のダスト捕集時間の始期となるように一定時間ずらすと共に、前記二つの検出部のダスト捕集時間を等しくし、
前記一方の検出部によるダスト捕集期間において、
前記他方の検出部が、ダスト捕集後の調湿動作とβ線計測動作とを一部の期間、同時に実行し、その後、ダスト捕集前の調湿動作とβ線計測動作とを一部の期間、同時に実行することを特徴とするダスト計。 - 請求項1または2に記載したダスト計において、
前記二つの検出部におけるダスト捕集時間を何れも1時間とすることを特徴とするダスト計。 - 請求項1または2に記載したダスト計において、
前記二つの検出部におけるダスト捕集時間を何れも24時間とすることを特徴とするダスト計。 - 請求項4に記載したダスト計において、
ダスト捕集時間内の単位時間の始期及び終期にβ線計測動作を行って単位時間内のダストの質量濃度の測定値を単位時間値として求め、この単位時間値を試料大気の湿度検出値と調湿目標湿度との比や差を用いた補正係数により補正することを特徴とするダスト計。 - 請求項4または5に記載したダスト計において、
ダスト捕集時間内の前記単位時間値の平均値と、前記ダスト捕集時間でのダストの質量濃度の測定値との比を湿度補正係数として求め、当該湿度補正係数を前記単位時間値に乗じて前記単位時間値を補正することを特徴とするダスト計。
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