JP5176235B2 - 電気化学測定装置 - Google Patents
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Description
具体的には、格子デバイスが複数の行電極、複数の列電極としてそれぞれ第1〜第mの行電極、第1〜第nの列電極を有し、処理部が、測定部及びスイッチを制御することで、第iの行電極と第1〜第nの列電極との各交差部に対する電気化学測定処理を、iが1からmまで順に行い、電気化学測定処理は、第iの行電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第nの列電極のうち第jの列電極以外の列電極に第2の所定電位を印加し第jの列電極に第3の所定電位を印加しながら第jの列電極に流れる電流を測定する処理を、jが1からnまで順に行う処理である。さらに、処理部が測定部及びスイッチを制御し、電気化学測定処理の前に、順に一本ずつ選択される各行電極に電位を所定時間印加することで、行電極と列電極との交差部における物質の分布を定常化させる前処理を行う。具体的には、処理部が、測定部及び前記スイッチを制御することで、電気化学測定処理の前に、第iの行電極と第1〜第nの列電極との各交差部に対する前処理を、iが1からmまで順に行い、前処理は、第iの行電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第nの列電極に第2の所定電位を印加することにより、第iの行電極と第1〜第nの列電極との各交差部における物質の分布を定常化させる処理である。
具体的には、格子デバイスが複数の行電極、複数の列電極としてそれぞれ第1〜第mの行電極、第1〜第nの列電極を有し、処理部が、測定部及びスイッチを制御することで、第1〜第mの行電極と第jの列電極との各交差部に対する電気化学測定処理を、jが1からnまで順に行い、電気化学測定処理は、第jの列電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第mの行電極のうち第iの行電極以外の行電極に第2の所定電位を印加し第iの行電極に第3の所定電位を印加しながら第iの行電極に流れる電流を測定する処理を、iが1からmまで順に行う処理である。さらに、処理部が測定部及びスイッチを制御し、電気化学測定処理の前に、順に一本ずつ選択される各列電極に電位を所定時間印加することで、行電極と列電極との交差部における物質の分布を定常化させる前処理を行う。具体的には、処理部が、測定部及びスイッチを制御することで、電気化学測定処理の前に、第1〜第mの行電極と第jの列電極との各交差部に対する前処理を、jが1からnまで順に行い、前処理は、第jの列電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第mの行電極に第2の所定電位を印加することにより、第jの列電極と第1〜第mの行電極との各交差部における物質の分布を定常化させる処理である。
特に、格子デバイスには列電極又は行電極に沿って流路が画成されているとよい。
特に、行電極、列電極の何れか一方の電極は、列電極との交差部毎に配置されるリング部を連結部で接続して構成されている。或いは、行電極、列電極の何れか一方の電極は、横長状のリング部を連結して構成されている。
特に、格子デバイスは、行電極と列電極とで画成される測定ユニット毎に、行電極に電気的に接続される櫛型電極部と、列電極に電気的に接続されている櫛型電極部とが対向して配置されてなる。
特に、格子デバイスは、基板と、この基板上に形成された列電極と、列電極上に形成された第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜上に形成された行電極と、行電極上に形成された第2の絶縁膜と、を備え、第1の絶縁膜、行電極及び第2の絶縁膜に大きさの異なる複数の孔が同心円状に形成されてなる。或いは、格子デバイスは、基板と、この基板上に形成された行電極と、行電極上に形成された第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜上に形成された列電極と、列電極上に形成された第2の絶縁膜と、を備え、第1の絶縁膜、行電極及び第2の絶縁膜に大きさの異なる複数の孔が同心円状に形成されてなる。
スイッチはマルチプレクサであるとよい。測定部は、マルチポテンショスタット、三極式電気化学測定装置、二極式電気化学測定装置の何れかであるとよい。
<電気化学測定装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る電気化学測定装置の構成図である。
電気化学測定装置1は、m本の行電極11とn本の列電極12とが交差して対向してなる格子デバイス10と、測定部30としてのマルチポテンショスタットと、格子デバイス10の行電極11及び/又は列電極12の接続を切り換えるスイッチ20としてのマルチプレクサと、複数の行電極11、複数の列電極12のうち何れか一方の電極を選択して所定電位を印加しつつ、複数の行電極11、上記複数の列電極12のうち他方の各電極を順次選択しながら電気化学測定を行う処理部40と、を備える。処理部40は、測定部30及びスイッチ20の制御を行い、行電極11を選択して所定電位を印加しつつ、列電極12を順次選択しながら電気化学測定を行っても、逆に列電極12を選択して所定電位を印加しつつ、行電極11を順次選択しながら電気化学測定を行ってもよい。以下では、特に、前者の場合を想定して説明する。
図2は格子デバイス10を模式的に示し、(A)はその平面図、(B)はA−A線に沿う断面図である。なお、図2(A)では、図2(B)に示す第1の絶縁基板13及び第2の絶縁基板14は図示していない。格子デバイス10は、行方向に延設されたm本の行電極11と列方向に延設されたn本の列電極12とが交差、好ましくは直交するように対向して配置されている。具体的には、図2に示すように、各行電極11として微小の帯状電極が複数間隔を開けて第1の絶縁基板13の行方向に延びるように第1の絶縁基板13上に配置され、各列電極12として微小の帯状電極が第2の絶縁基板14の列方向に延びるように第2の絶縁基板14上に配置され、第1の絶縁基板13と第2の絶縁基板14とが図示しないスペーサーを介在させて所定の間隔を開けて、帯状電極同士が対向するように配置されてなる。
これらの適正値であれば、行電極及び列電極のそれぞれの電極間隔は各電極間のクロストークを防止し、行電極11及び列電極12の幅は各電極で生成又は捕捉される化学種、すなわち酸化還元種が到達できるからである。
行電極11、列電極12の各本数は2本以上500本以内である。これは、複数の電流応答を得るためにそれぞれ2本以上必要であり、スイッチングや実際に必要な測定点数が例えば250,000以下であることを考慮した結果である。
また、格子デバイス10は、図2に示す場合と異なり、第1の絶縁基板上に複数の行電極を設け、第2の絶縁基板上に複数の列電極とを設け、行電極と列電極とが対向して交差してもよい。以下の説明では、図2に示す格子デバイス10を前提として説明する。
因みに、Fe(CN)6 3−/4−の標準酸化還元電位は+0.2 V vs Ag/AgCl付近である。逆に、両基板13,14間に測定溶液を導入する際、化学種Redoxとして還元体Redを共存させる場合、電圧VCは還元体Redが酸化されない電位に設定し、電圧VRは還元体Redが十分酸化される電位に設定する。
処理部40が制御プレグラムで実行する制御手順を説明しながら、電気化学測定装置に1よる電気化学イメージング方法について説明する。図3は処理部40で実現されるタイムチャートであり、図4は処理部40で実現される電気化学イメージング計測工程の前半のフローチャート、図5は処理部40で実現される電気化学イメージング計測工程の後半のフローチャートである。なお、図4及び図5のフローチャートでは、一般的にm本×n本の場合で示してあるが、以下の説明ではm=n=10の場合で説明する。
計測工程は、バックグランド電流測定を行う工程(ステップ1及びステップ2)と、前処理を行う工程(ステップ3)と、電気化学測定を行う工程(ステップ4)とからなる。
この際、各電流読み出し時間を例えば20m秒とすると、列電極が10本で10チャンネルあるので、電流の読み出しには時間ts=200m秒を要する。
ここで、読出し電流値を各々のチャンネルのバックグラウンド電流と定義する。いま、第1の作用極W1と第2の作用極W2を同じ電位、即ちV1=V2=VCとしているので、接続切換に伴う容量による電流その他のノイズはほとんど発生しない。
以上の工程を経ることで、行電極11と列電極12の各交点における電流データを取得することができる。因みに、前述の例ではステップ1乃至ステップ4に要する時間は22秒以内となる。なお、各ステップ3、各ステップ4では、一つの列電極12に電位を順に印加するようにしているが、それ以外の列電極にも酸化還元反応が生じない電位V1を印加するようにしてもよい。
図6乃至図8は格子デバイスの第1変形例を示し、図6は模式的に示した平面図、図7(A)は部分拡大図、(B)はB3−B3線に沿う断面図、図8(A)はB1−B1線に沿う断面図、(B)はB2−B2線に沿う断面図である。なお、図6では、図7及び図8に示す絶縁基板53、第1の絶縁膜54、第2の絶縁膜55は図示していない。
第1変形例は、行電極51と列電極52との各格子点がリング−ディスク型となっている点で、前述の基本形態とは異なる。第1変形例に係る格子デバイス50は、ガラス基板などの絶縁基板53と、ディスクアレイ行電極51と、レジストなどで形成した第1の絶縁膜54と、リングアレイ列電極52と、第2の絶縁膜55との積層構造を有する。すなわち、絶縁基板53と、この絶縁基板53上に形成された列電極52と、列電極52上に形成された第1の絶縁膜54と、第1の絶縁膜54上に形成された行電極51と、行電極51上に形成された第2の絶縁膜55と、を備え、第1の絶縁膜54、行電極51及び第2の絶縁膜55にそれぞれ大きさの異なる孔が同心円状に形成されてなる。これにより、生成捕捉実験測定系にて捕捉電極側で応答電流を観測することもできる。
また、格子デバイス50は、前述の基本形態と比較して定常状態に到までの遷移時間を短縮することができる。これは電極形状に基づく拡散形態の違いに起因し、微小ディスク型電極や微小リング電極において、定常電流が得られるまでに要する遷移時間が、微小帯状電極の場合と比較して大幅に短縮されることが理論式より導かれていることが根拠となっている。よって、プレコンディションタイムtpを2秒よりも短縮することができる。
図9及び図10は格子デバイスの第2変形例を示し、図9(A)は模式的に示した平面図、図9(B)は部分拡大図、図10はC−C線に沿う断面図である。なお、図9(A)では、図10に示す第1の絶縁基板63、第2の絶縁基板64、絶縁膜65は図示していない。第2変形例は、行電極61と列電極62との各格子点が変形リング−ディスク型となっている点、即ち格子点において、一方の電極がリング状であり、他方の電極がディスクすなわち円形平板電極となっている点で、基本形態とは異なっている。第2変形例の格子デバイス60は、ガラス基板などの第1の絶縁基板63上に、第1の絶縁基板63側から上方に、帯状微小電極が列方向に並んだバンドアレイ型の列電極62、絶縁膜65、変形リング部61Fが配線部61Aで連結して配置された変形リングアレイ型の行電極61の3層構造からなる。すなわち、列電極62は、列方向に延びる配線部62Aが行方向に所定の間隔を開けて設けられ、各配線部62Aには、行方向に所定の間隔を開けて張出電極部62Bが形成されている。列電極62は下側基板63上に形成されている。一方、行電極61は、行方向に延びる配線部61Aが列方向に所定の間隔を開いて設けられ、列間隔毎に、半円弧状電極部61Bと、半円弧状電極部61Bの両端に行方向に延びる第1の配線部61C及び第2の配線部61Dと、第1の配線部61C及び第2の配線部61Dの端部を列方向に接続する第3の配線部61Eとで、構成される変形リング部61Fを有する。変形リング部61Fを有する行電極61は、上側基板64上で下側基板63に対向するように形成されている。バンドアレイ状の列電極62と変形リング部61Fを有するアレイ状の列電極62との間には絶縁膜65が挿入配置されている。この絶縁膜65には、各流路66が列電極62の配線部62Aに沿って、すなわち列方向に沿って行方向に所定の間隔を開けて画成され、各流路66には各切欠き部66Aが列方向に所定の間隔で形成されている。
格子デバイスの第3変形例について説明する。図11及び図12は格子デバイスの第3変形例を示し、図11は模式的に示した平面図、図12(A)は図11の部分拡大図、(B)はD−D線に沿う断面図である。なお、図11では、図12(B)に示す第1の絶縁基板73、第2の絶縁基板74、絶縁膜75は図示していない。第3変形例に係る格子デバイス70は、ガラス基板などの絶縁基板73上に、絶縁基板73側から上方に、バンドアレイ型の列電極72、絶縁膜75、変形リングアレイ型の行電極71の3層構造からなるので、第2変形例と同様、行電極71と列電極72との各格子点が変形リング−ディスク型となっている。しかし、第3変形例では、第1に一対の列電極72Aを挟んで配置される流路76が左右対称である点、第2に行電極71がトラック状のリング部71Aがその左右の半円弧電極部71B,71Cを連結している点、第3に流路76で行方向に並んだ切欠き部76Aが水平断面視で三角形状をしている点において、第2変形例と異なっている。
バンドアレイ状の列電極72は、各流路76の左右内側に、下側基板73上に列方向に延びて形成されている。
変形リングアレイ状の行電極71は列方向に所定の間隔を開けて配置構成され、各行電極71はトラック状のリング部71A同士が連接して構成され、各リング部71Aの行方向の寸法が流路76の中心間の長さと同程度であり、各流路76を構成する列方向の流路壁面間の距離より長い。各変形リングアレイ状の行電極71は上側基板74で下側基板73と対向する面に形成されている。
バンドアレイ状の列電極72と変形リングアレイ状の行電極71との間、即ち、上側基板74と下側基板73との間には、列方向に流路76を画成した絶縁膜75が介在されている。
絶縁膜75には、奇数番目の列電極72と偶数番目の列電極72との間で、それらの列電極72間の寸法より幅の短い流路76が画成され、その流路76を構成する左右の両壁面に平面視で三角形状の窪み76Aが形成されている。この窪み76Aには列電極72の一部が露出して露出電極として機能する。
ここで、流路66の幅は例えば30μmであり、切欠き部66Aは行方向の幅が例えば30μmである。
格子デバイスの第4変形例について説明する。図13及び図14は格子デバイスの第4変形例を示し、図13(A)は模式的に示した平面図、図13(B)は部分拡大図、図14(A)はE1−E1線に沿う断面図、(B)はE2−E2線に沿う断面図、(C)はF−F線に沿う断面図、(D)はG−G線に沿う断面図である。なお、図13では、図14に示す絶縁基板83、第1の絶縁膜85、第2の絶縁膜86は図示していない。
図1に示す電気化学測定装置1を構築した。その際、格子デバイス10を以下の要領で作製した。ガラス基板13にPtの微小帯状電極を10本配列して行電極11とし、同等のガラス基板14にPtの微小帯状電極を10本配列して列電極12とした。その際、行電極11及び列電極12の厚さ、幅、間隔は、それぞれ10nm,50μm、200μmとした。行電極11と列電極12とが直交するように対向させ、ガラス基板間のギャップを両面接着性スペーサーにより10μmとした。
サイクリックボルタンメトリ(cyclic voltammetry)計測を行った。
格子デバイス10を4mM K3Fe(CN)6を含む0.1MKCl溶液中に入れ列電極のサイクリックボルタンメトリ計測を行った。第2の列電極C2のみ電位走査を行った場合と、第1から第10の全ての列電極C1〜C10に電位走査を行った場合との二通りを行った。計測条件は、何れの場合も、開始電位を0.5(V vs Ag/AgCl)、折り返し電位を0.0(V vs Ag/AgCl)とし、電位操作速度を20mV/秒とした。
微小帯状電極の電極幅依存性を調べた。基本形態の格子デバイス10において、電極幅が30μmと10μmの場合を作製した。その他の寸法形状は前述と同じとした。電極幅が30、10μmである場合、2枚の基板間距離が10μmの条件下でレドックスサイクリング(Redox Cycling)に起因する電流増幅は小さかった。一方、電極幅が10μmである場合、電流値が定常に達する時間が大きくなった。
電極幅を50μmとした場合、レドックスサイクリングにより得られる理論電流値ISS theory定常電流が得られるまでの遷移時間τは130msである。次式で示される理論式は薄層セルモデルに拠った。
ISS theory=nFADC/h
τ=h2/D
但し、nは反応電子数、Fはファラデー定数(95600C/mol)、Aは格子点での行電極と列電極とが交差する面積(cm2)、Dはレドックス種の拡散係数(cm2s-1)、Cはレドックス種の濃度(mol・cm−3)、hは基板間距離(cm)である。
以上の結果から電極幅が小さい方がセンサの検出精度を高くできることが判明した。
応答電流の基板間距離依存性を調べた。基板間距離hを30μmと10μmとし、その他の寸法は前述と同じである。第2の行電極R2に0.5V印加し、電圧印加開始から7秒後0.5Vから0Vへステップ状に変化させた。
図16は、応答電流の基板間距離依存性の結果を示し、(A)は基板間距離が30μmである場合、(B)は基板間距離が10μmである場合を示す。縦軸は電流値(10−7A)であり、横軸は時間(秒)である。基板間距離hが30μmでも10μmの何れにおいても、印加電圧の変化時である約7秒後で電流増幅が生じ、その後、定常状態になった。基板間距離hが短いほど、電流増幅が顕著になり、定常に到るまでの時間も短くなる。これらの結果は、定性的に薄層セルモデルに従っていることが分かった。
基板間距離hが10μmである場合、プレコンディションタイムは2秒あれば十分であることが判った。
基本形態における格子デバイス10の構造では、行電極基板と列電極基板とが対向し、行電極と列電極とが互いに交差しているため、感度、応答時間の観点から最適となる。また、応答電流値は、行電極及び列電極の幅、行電極基板と列電極基板との基板間距離などのパラメータに大きく依存する。レドックスサイクリング現象は電気化学的に可逆な化学種について顕著に観測される現象であるところ、電気化学的に不可逆な化学種も多く存在する。これに対し、生成‐捕捉実験は、化学種の電気化学的可逆−不可逆性によらず、より広い応用が期待される。
基本形態における格子デバイス10を用いて酵素固定化基板を試みた。0.2mgアルカリホスファターゼ(ALP,65units/mg)、1mgウシ血清アルブミン(BSA)、15μリットル5%グルタルアルデヒド(GA)を混合し、ガラスキャピラリに充填して下側電極基板の格子点にスポットして固定化した。このとき、酵素膜厚は2μmであった。
よって本発明の実施形態に係る格子デバイスを用いることで、酵素を固定化することができることが分かった。
基本形態の格子デバイス10を用いて電気化学イメージングを行った。
計測手順は前述の通りである。電気化学的可逆反応を許容する化学種であるレドックスが行電極基板と列電極基板との間に挟まれた溶液中に存在する場合、行電極と列電極とで構成される各格子点で、酸化還元反応が促進される。レドックスとして4mMFe(CN)6 3−を共存させ、VC、VRをそれぞれ0.5、0(V vs Ag/AgCl)に設定した。下側の列電極基板には、あらかじめ、フォトレジストSU‐8によりアルファベット“E”を描画した。
以上のことから、電気化学イメージングは明瞭であり、数十秒から数分の時間スケールであれば動画観測もできることが分かった。
酵素として、アルカリホスファターゼを用いた。pH9.5という高pH溶液中に、p−アミノフェニルリン酸(PAPP)を共存させた。酵素触媒反応により加水分解的に脱リン酸化が進行し、p−アミノフェノール(PAP)が生成する。PAPは+0.3(V vs Ag/AgCl)にて可逆的に酸化され、p−キノンイミン(QI)が生成する。よって、VC、VRをそれぞれ0、0.3(V vs Ag/AgCl)に設定した。
列電極基板には、予め、アルカリホスファターゼ固定化膜をスポットした。
酵素固定化膜のスポットが存在する行列の各電極交点では、特異的にレドックスサイクリングに起因して電流が増加する。よって、画像表示することができることが分かった。
以上のことから、酵素反応は、免疫測定を含むたんぱく質分析、核酸分析、細胞機能評価などに広く応用することができる。よって、本発明の波及効果は極めて大きい。
さらに、上述の電気化学イメージング方法では、格子デバイス中に入れる物質として還元体を選択した場合、行電極に酸化反応が生じるように電位を印加し、列電極でファラデー電流を測定してもよいし、逆に、列電極に酸化反応が生じるように電位を印加し、行電極でファラデー電流を測定してもよい。また、格子デバイス中に入れる物質として酸化体を選択した場合、行電極に還元反応が生じるように電位を印加し、列電極でファラデー電流を測定してもよいし、逆に、列電極に酸化反応が生じるように電位を印加し、行電極でファラデー電流を測定してもよい。
10、50、60、70、80:格子デバイス
20:スイッチ
30:測定部
40:処理部
41:AD/DAボード
42:コンピュータ
11,51,61,71,81:行電極
12,52,62,72,82:列電極
13,14,53,63,64,73,74,83:基板
54,85:第1の絶縁膜
55,86:第2の絶縁膜
61A:配線部
61B:半円弧状電極部
61C:第1の配線部
61D:第2の配線部
61E:第3の配線部
61F:変形リング部
62A:配線部
62B:張出電極部
65,75:絶縁膜
66,76:流路
66A,76A:切欠き部
71A:リング部
71B,71C:電極部
72A:一対の列電極
72B:露出電極部
81A,82A:枝電極部
81B:第2の櫛型電極部
82B:第1の櫛型電極部
87:測定ユニット
Claims (18)
- 複数の行電極と複数の列電極とを交差させて対向させた格子デバイスと、
所定の定電位を印加する端子と所定の定電位を印加して流れる電流を測定する端子とを有する測定部と、
上記測定部の各端子と上記行電極及び/又は列電極との接続を切り換えるスイッチと、
上記測定部及びスイッチの制御を行い、上記複数の行電極、上記複数の列電極のうち何れか一方の電極を選択して所定電圧を印加しつつ、上記複数の行電極、上記複数の列電極のうち他方の各電極を順次選択しながら電気化学測定を行う処理部と、を備え、
上記格子デバイスが上記複数の行電極、上記複数の列電極としてそれぞれ第1〜第mの行電極、第1〜第nの列電極を有し、
上記処理部が、上記測定部及び上記スイッチを制御することで、第iの行電極と第1〜第nの列電極との各交差部に対する電気化学測定処理を、iが1からmまで順に行い、
上記電気化学測定処理は、第iの行電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第nの列電極のうち第jの列電極以外の列電極に第2の所定電位を印加し第jの列電極に第3の所定電位を印加しながら第jの列電極に流れる電流を測定する処理を、jが1からnまで順に行う処理である、電気化学測定装置。 - 前記処理部が、前記測定部及び前記スイッチを制御することで、前記電気化学測定処理の前に、第iの行電極と第1〜第nの列電極との各交差部に対する前処理を、iが1からmまで順に行い、
上記前処理は、第iの行電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第nの列電極に第2の所定電位を印加することにより、第iの行電極と第1〜第nの列電極との各交差部における物質の分布を定常化させる処理である、請求項1に記載の電気化学測定装置。 - 複数の行電極と複数の列電極とを交差させて対向させた格子デバイスと、
所定の定電位を印加する端子と所定の定電位を印加して流れる電流を測定する端子とを有する測定部と、
上記測定部の各端子と上記行電極及び/又は列電極との接続を切り換えるスイッチと、
上記測定部及びスイッチの制御を行い、上記複数の行電極、上記複数の列電極のうち何れか一方の電極を選択して所定電圧を印加しつつ、上記複数の行電極、上記複数の列電極のうち他方の各電極を順次選択しながら電気化学測定を行う処理部と、を備え、
上記格子デバイスが上記複数の行電極、上記複数の列電極としてそれぞれ第1〜第mの行電極、第1〜第nの列電極を有し、
上記処理部が、上記測定部及び上記スイッチを制御することで、第1〜第mの行電極と第jの列電極との各交差部に対する電気化学測定処理を、jが1からnまで順に行い、
上記電気化学測定処理は、第jの列電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第mの行電極のうち第iの行電極以外の行電極に第2の所定電位を印加し第iの行電極に第3の所定電位を印加しながら第iの行電極に流れる電流を測定する処理を、iが1からmまで順に行う処理である、電気化学測定装置。 - 前記処理部が、前記測定部及び前記スイッチを制御することで、前記電気化学測定処理の前に、第1〜第mの行電極と第jの列電極との各交差部に対する前処理を、jが1からnまで順に行い、
上記前処理は、第jの列電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第mの行電極に第2の所定電位を印加することにより、第jの列電極と第1〜第mの行電極との各交差部における物質の分布を定常化させる処理である、請求項3に記載の電気化学測定装置。 - 前記処理部は、前記スイッチにより前記行電極と前記列電極との交差部を逐次切り換える度に該交差部における電流読み出しを1m秒〜10秒の範囲の時間で行い、
前記各交差部の前記前処理を80m秒〜10秒の範囲の時間で行う、請求項2又は4に記載の電気化学測定装置。 - 前記行電極及び前記列電極のそれぞれの電極間隔が電極幅の1倍〜10倍の範囲である、請求項に1又は3に記載の電気化学測定装置。
- 前記行電極及び前記列電極が10μm〜300μmの範囲の電極幅を有する、請求項6に記載の電気化学測定装置。
- 前記格子デバイスは、前記行電極、前記列電極をそれぞれ2本以上500本以内備える、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
- 前記格子デバイスは、前記行電極を有する第1の基板と、前記列電極を有する第2の基板と、上記第1の基板と上記第2の基板との間隔を保つスペーサーとで構成されている、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
- 前記格子デバイスは、前記列電極を有する第1の基板と、前記行電極を有する第2の基板と、上記第1の基板と上記第2の基板との間隔を保つスペーサーとで構成されている、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
- 前記格子デバイスには前記列電極又は前記行電極に沿って流路が画成されている、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
- 前記行電極、前記列電極の何れか一方の電極は、前記列電極との交差部毎に配置されるリング部を連結部で接続して構成されている、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
- 前記行電極、前記列電極の何れか一方の電極は、横長状のリング部を連結して構成されている、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
- 前記格子デバイスは、前記行電極と前記列電極とで画成される測定ユニット毎に、該行電極に電気的に接続される櫛型電極部と、該列電極に電気的に接続されている櫛型電極部とが対向して配置されてなる、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
- 前記格子デバイスは、基板と、この基板上に形成された前記列電極と、該列電極上に形成された第1の絶縁膜と、該第1の絶縁膜上に形成された前記行電極と、該行電極上に形成された第2の絶縁膜と、を備え、上記第1の絶縁膜、前記行電極及び前記第2の絶縁膜に大きさの異なる複数の孔が同心円状に形成されてなる、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
- 前記格子デバイスは、基板と、この基板上に形成された前記行電極と、該行電極上に形成された第1の絶縁膜と、該第1の絶縁膜上に形成された前記列電極と、該列電極上に形成された第2の絶縁膜と、を備え、上記第1の絶縁膜、前記行電極及び前記第2の絶縁膜に大きさの異なる複数の孔が同心円状に形成されてなる、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
- 前記スイッチはマルチプレクサである、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
- 前記測定部は、マルチポテンショスタット、三極式電気化学測定装置、二極式電気化学測定装置の何れかである、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
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