JP5176235B2 - 電気化学測定装置 - Google Patents

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本発明は、多数の測定点に物質を配置して物質の電気化学測定を行える電気化学測定装置に関する。特に、二次元的に配置された物質に酸化還元反応を起こさせ、この反応により出力した電気的な物理量を、起きた反応の位置情報を反映させて表示可能にするものである。
物質の化学的性質に基いて画像データを取得する技術の進歩が、医療、生物−化学分析、環境、農業を含む広い分野で切望されている。デジタルカメラやCCD素子が汎用化されている現在でも、蛍光や電気化学反応など分子の機能発現には各々機構があり、画像取得に要する時間スケールは化学種のセンシングにより多様である。特に電気化学イメージングは、電気化学反応を電流に変換する際、容量電流の過渡現象、電荷移動現象、拡散、泳動、対流などの物質移動現象を伴うため、光学イメージングと比較して時間を要する。ここで、電気化学イメージングとは、二次元的に配置された物質に酸化還元反応を生じさせ、この反応により出力した電気的な物理量を反応の位置情報を反映させて表示させることをいう。
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型デバイスは、多点計測に優れ、すでに多検体や多項目化学センシングに応用されている。CMOS型デバイスは電気化学イメージングも可能であり、例えば酸素濃度の二次元プロファイルの可視化が既に報告されている(例えば非特許文献1、2参照)。CMOS型デバイスは必ずソース、ドレイン、ゲートの3電極を有し、電気化学的情報を2次元的に得ることは可能であるが、すべてゲート電極近傍の表面電荷変化に変換する必要がある。すなわち、CMOS型デバイスによるセンサは表面電位変化及びそれに付随するゲート電流変化を検知している。
電流計測(アンペロメトリー)に基づく多検体や多項目化学センシングも多くの報告がある。アンペロメトリーにてnA以下の電流を検出するためには電流増幅器が必須であり、複数の電極を有する電気化学測定装置では、個々の電極で電位を定め、電流値を増幅して観測するためマルチポテンショスタットが必須となる(例えば非特許文献3、4参照)。この装置では、電流増幅回路をプレ・アンプとして作用極近傍に設置することは可能であるが、装置構成が大変複雑となる。
マルチポテンショスタットを使用しない場合、複数の作用極への接続を高速に切り換えるマルチプレクサ、すなわち多チャンネル切換器で、m秒オーダーで逐次的に出力端子、すなわちチャンネルを切り換えれば、実質的に多点電流追跡は可能となる(例えば非特許文献5、6、7参照)。すなわち、3極式ポテンショスタット又は電流増幅器と電圧源とからなる2極式電気化学測定系を用いることで多点計測が可能となる。
マルチプレクサの代わりにCMOS回路をスイッチング素子として基板に内蔵し、さらに電流増幅回路も内蔵するデバイスを用いて多チャンネル電流観測を試みた報告がある(例えば非特許文献8、9、10参照)。いずれの場合もスイッチング素子自体の過渡応答時間は100n秒程度であるが、実際に電気化学計測を実施する際には電荷移動、物質移動過程を含む為に正味の応答時間は実験系の設定に依存する。
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しかしながら、CMOS型デバイスでは、デバイス構造および作製工程が極めて複雑であり、酸化還元反応に基づく電流計測では数nA〜pAの微小電流を検知することが困難であるという問題点がある。
マルチポテンショスタットを用いる多点計測の場合、電極数、すなわち計測点の数に1対1で対応する電流増幅回路を付随させる必要がある。マルチプレクサ、すなわち多チャンネル切換器を利用すれば、マルチポテンショスタットの代わりに通常のシングルポテンショスタットの使用で多点計測が可能となる。しかし、検出点が増加した場合、検出点と同数のスイッチが必要となり、測定系は極めて複雑になるという問題がある。
なお、特許文献1で開示されたリアクタでは電極交点で異なる核酸を保持することができることが示されているに過ぎず、電気化学反応の検出及びそれを利用したイメージング法を想定していない。特許文献2に開示されている核酸検出用センサでは、マトリックスの格子毎にスイッチング素子を設ける必要があるので、格子数が多くなると実用性がないという問題がある。
そこで、本発明では、計測点を多数有するデバイスを用いて多計測点中に化学物質を配置し、各測定点の電気化学反応を迅速にかつ複雑な手順を要しないで検出することができ、しかも検出結果を画像化してイメージ表示をも行える電気化学測定装置を提供することを目的としている。
本発明者らは、多点計測に関し、デバイス構造及び作製工程、計測システムの複雑性を排除することについて鋭意研究を重ねた結果、微小帯状電極アレイの配置を工夫して構築した格子デバイスを用いて計測制御を行うことで、極めてシンプルな多検体を実現できる点に注目して本発明を完成させた。その際、測定条件、デバイスデザインについても検討を行い、本発明により、アンペロメトリックセンサの提案のみならず、迅速性があり信頼性の高いイメージング取得方法を実現し得た。
上記目的を達成するために、本発明の電気化学イメージング装置は、複数の行電極と複数の列電極とを交差させて対向させた格子デバイスと、所定の定電位を印加する端子と所定の定電位を印加して流れる電流を測定する端子とを有する測定部と、測定部の各端子と行電極及び/又は列電極との接続を切り換えるスイッチと、測定部及びスイッチの制御を行い、複数の行電極、複数の列電極のうち何れか一方の電極を選択して所定電圧を印加しつつ、複数の行電極、上記複数の列電極のうち他方の各電極を順次選択しながら電気化学測定を行う処理部と、を備える。
第1の構成では、処理部が測定部及びスイッチを制御し、順に一本ずつ選択される各行電極に電位が印加されている状態で、順に一本ずつ選択される各列電極に電位を印加しながら電流を読み出すことにより、行電極と列電極との交差部毎の電気化学測定を行う。
具体的には、格子デバイスが複数の行電極、複数の列電極としてそれぞれ第1〜第mの行電極、第1〜第nの列電極を有し、処理部が、測定部及びスイッチを制御することで、第iの行電極と第1〜第nの列電極との各交差部に対する電気化学測定処理を、iが1からmまで順に行い、電気化学測定処理は、第iの行電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第nの列電極のうち第jの列電極以外の列電極に第2の所定電位を印加し第jの列電極に第3の所定電位を印加しながら第jの列電極に流れる電流を測定する処理を、jが1からnまで順に行う処理である。さらに、処理部が測定部及びスイッチを制御し、電気化学測定処理の前に、順に一本ずつ選択される各行電極に電位を所定時間印加することで、行電極と列電極との交差部における物質の分布を定常化させる前処理を行う。具体的には、処理部が、測定部及び前記スイッチを制御することで、電気化学測定処理の前に、第iの行電極と第1〜第nの列電極との各交差部に対する前処理を、iが1からmまで順に行い、前処理は、第iの行電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第nの列電極に第2の所定電位を印加することにより、第iの行電極と第1〜第nの列電極との各交差部における物質の分布を定常化させる処理である。
第2の構成では、処理部が測定部及びスイッチを制御し、順に一本ずつ選択される各列電極に電位が印加されている状態で、順に一本ずつ選択される各行電極に電位を印加しながら電流を読み出すことにより、行電極と列電極との交差部毎の電気化学測定を行う。
具体的には、格子デバイスが複数の行電極、複数の列電極としてそれぞれ第1〜第mの行電極、第1〜第nの列電極を有し、処理部が、測定部及びスイッチを制御することで、第1〜第mの行電極と第jの列電極との各交差部に対する電気化学測定処理を、jが1からnまで順に行い、電気化学測定処理は、第jの列電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第mの行電極のうち第iの行電極以外の行電極に第2の所定電位を印加し第iの行電極に第3の所定電位を印加しながら第iの行電極に流れる電流を測定する処理を、iが1からmまで順に行う処理である。さらに、処理部が測定部及びスイッチを制御し、電気化学測定処理の前に、順に一本ずつ選択される各列電極に電位を所定時間印加することで、行電極と列電極との交差部における物質の分布を定常化させる前処理を行う。具体的には、処理部が、測定部及びスイッチを制御することで、電気化学測定処理の前に、第1〜第mの行電極と第jの列電極との各交差部に対する前処理を、jが1からnまで順に行い、前処理は、第jの列電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第mの行電極に第2の所定電位を印加することにより、第jの列電極と第1〜第mの行電極との各交差部における物質の分布を定常化させる処理である。
特に、処理部は、スイッチにより行電極と列電極との交差部を逐次切り換える度に交差部における電流読み出しを1m秒〜10秒の範囲の時間で行い、各交差部の前処理を80m秒〜10秒の範囲で行うとよい。この電気化学測定における電気化学応答の読み出し時間には、スイッチング素子の時間応答性能のみならず、実際に測定系で起きている電気化学反応の電子/電荷移動速度及び測定系のSN比を考慮したサンプリング時間を設定することが不可欠だからである。また、交差部毎の前処理に要する時間は、行電極への電位印加により生成した化学種、すなわち酸化還元種が列電極の各々の交差部に到達して捕捉され、さらに交差部近傍の濃度分布が定常状態に達するまでの時間で定められるので、各電極のサイズ、位置関係、化学種の拡散係数などを考慮して読み出し時間等を設定するからである。
特に、行電極及び列電極のそれぞれの電極間隔が電極幅の1倍〜10倍の範囲であるとよい。行電極及び列電極が10μm〜300μmの範囲の電極幅を有するとよい。格子デバイスは、行電極、列電極をそれぞれ2本以上500本以内で備える。行電極及び列電極のそれぞれの電極間隔は各電極間のクロストークを防止するのに必要最低限の距離により定められ、行電極及び列電極の幅は各電極で生成又は捕捉される化学種、すなわち酸化還元種が到達可能な距離により定められるが、いずれも実際の測定系に用いられる化学種の拡散係数が10−5から10−8cm/秒であることを考慮することで、この適用範囲が定まる。また、行電極、列電極の本数は、複数の電流応答を得るためにそれぞれ2本以上必要であり、スイッチングや実際必要な測定点数が例えば250,000以下であることを考慮してそれぞれ500本以下とすることが妥当である。
特に、格子デバイスは、行電極を有する第1の基板と、列電極を有する第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間隔を保つスペーサーとで構成されているか、又は、列電極を有する第1の基板と、行電極を有する第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間隔を保つスペーサーとで構成されているとよい。
特に、格子デバイスには列電極又は行電極に沿って流路が画成されているとよい。
特に、行電極、列電極の何れか一方の電極は、列電極との交差部毎に配置されるリング部を連結部で接続して構成されている。或いは、行電極、列電極の何れか一方の電極は、横長状のリング部を連結して構成されている。
特に、格子デバイスは、行電極と列電極とで画成される測定ユニット毎に、行電極に電気的に接続される櫛型電極部と、列電極に電気的に接続されている櫛型電極部とが対向して配置されてなる。
特に、格子デバイスは、基板と、この基板上に形成された列電極と、列電極上に形成された第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜上に形成された行電極と、行電極上に形成された第2の絶縁膜と、を備え、第1の絶縁膜、行電極及び第2の絶縁膜に大きさの異なる複数の孔が同心円状に形成されてなる。或いは、格子デバイスは、基板と、この基板上に形成された行電極と、行電極上に形成された第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜上に形成された列電極と、列電極上に形成された第2の絶縁膜と、を備え、第1の絶縁膜、行電極及び第2の絶縁膜に大きさの異なる複数の孔が同心円状に形成されてなる。
スイッチはマルチプレクサであるとよい。測定部は、マルチポテンショスタット、三極式電気化学測定装置、二極式電気化学測定装置の何れかであるとよい。
本発明によれば、m本の行電極とn本の列電極とをスイッチに接続し、(m+n)個の接続でm×nの多点計測を迅速に実現することができる。すなわち、従来のCMOS型を含むICデバイスは高額かつ高精度な微細化工用装置や積層化技術が必要であり、ICデバイスではpA(ピコアンペア、10-12A)レベルの電流計測は極めて困難であった。従来のファラデー電流を検知するセンサでは、検出電極と電流増幅器の接続は1対1が一般的であり、スイッチとしてのマルチプレクサ、すなわち連続切換器を介在することにより多チャンネルの入出力をN対1に減らすことしかできなかった。なお、Nはチャンネル数である。これに対し、本発明では、(m+n)本の接続でm×nの多点計測を迅速に行える。
本発明の電気化学測定装置を、酵素センサ、イムノセンサ、細胞センサなど多くのバイオセンサに適用することで、迅速かつ高感度な2次元電流分布を出力として得ることができる。電気化学測定の中でもファラデー電流を検知するセンサは極めて高感度であるからである。それ以外にも、電流、電位、インピーダンス変化などの各種の測定を行うこともできる。さらに、エレクトロクロミズム、電気化学発光、電界発光、メモリー応答、センシング応答を観測することができる。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
<電気化学測定装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る電気化学測定装置の構成図である。
電気化学測定装置1は、m本の行電極11とn本の列電極12とが交差して対向してなる格子デバイス10と、測定部30としてのマルチポテンショスタットと、格子デバイス10の行電極11及び/又は列電極12の接続を切り換えるスイッチ20としてのマルチプレクサと、複数の行電極11、複数の列電極12のうち何れか一方の電極を選択して所定電位を印加しつつ、複数の行電極11、上記複数の列電極12のうち他方の各電極を順次選択しながら電気化学測定を行う処理部40と、を備える。処理部40は、測定部30及びスイッチ20の制御を行い、行電極11を選択して所定電位を印加しつつ、列電極12を順次選択しながら電気化学測定を行っても、逆に列電極12を選択して所定電位を印加しつつ、行電極11を順次選択しながら電気化学測定を行ってもよい。以下では、特に、前者の場合を想定して説明する。
測定部30は、所定の定電位を印加する端子と所定の定電位を印加して流れる電流を測定する端子とを有し、それらの端子機能を実現するための各種電子回路が内蔵されている。これらの端子は、格子デバイス内の物質との電子の授受を行う作用極(WE:working electrode)に連結される。マルチポテンショスタットを用いる電気化学測定では、作用極の電位を決定する際の基準となる電極、すなわち参照極(RE:reference electrode)と,分極に伴う参照電極の電位シフトを防ぐ対極(CE:counter electrode)とを使用し、複数の作用極WEの電位を正確に定める。作用極REには、水銀電極Ag/Agのほか、飽和カロメル電極などが用いられ、対極CEにはメッシュ状やコイル状の白金を用いることができる。なお、測定部30には、上述のようにマルチポテンショスタットのほか、三極式電気化学測定装置や二極式電気化学測定装置を用いてもよい。
格子デバイス10の基本形態について説明する。
図2は格子デバイス10を模式的に示し、(A)はその平面図、(B)はA−A線に沿う断面図である。なお、図2(A)では、図2(B)に示す第1の絶縁基板13及び第2の絶縁基板14は図示していない。格子デバイス10は、行方向に延設されたm本の行電極11と列方向に延設されたn本の列電極12とが交差、好ましくは直交するように対向して配置されている。具体的には、図2に示すように、各行電極11として微小の帯状電極が複数間隔を開けて第1の絶縁基板13の行方向に延びるように第1の絶縁基板13上に配置され、各列電極12として微小の帯状電極が第2の絶縁基板14の列方向に延びるように第2の絶縁基板14上に配置され、第1の絶縁基板13と第2の絶縁基板14とが図示しないスペーサーを介在させて所定の間隔を開けて、帯状電極同士が対向するように配置されてなる。
ここで、行電極11及び列電極12がそれぞれ10μm〜300μmの範囲の電極幅を有する。行電極11及び列電極12のそれぞれの帯状電極間隔は各電極幅の1倍から10倍の範囲であることが好ましい。帯状電極の幅、帯状電極同士の間隔、上側の第1の絶縁基板13と下方の第2の絶縁基板14との距離は何れも十〜数百μmである。
これらの適正値であれば、行電極及び列電極のそれぞれの電極間隔は各電極間のクロストークを防止し、行電極11及び列電極12の幅は各電極で生成又は捕捉される化学種、すなわち酸化還元種が到達できるからである。
行電極11、列電極12の各本数は2本以上500本以内である。これは、複数の電流応答を得るためにそれぞれ2本以上必要であり、スイッチングや実際に必要な測定点数が例えば250,000以下であることを考慮した結果である。
具体的な数値例を挙げると、各帯状電極の幅は約50μmであり、同一の基板上に形成した帯状電極同士の間隔は200〜250μmであり、上側の第1の絶縁基板13の下面と下側の第2の絶縁基板14上の列電極上面との距離は10μm、帯状電極の厚みは何れも10nmである。なお、横向きに配置した行電極(Row)のうち第i番目の電極を符号Riで示し、縦向きに配置した列電極(Colum)のうち第j番目の電極を符号Cjで示すことにする。m、nは任意の自然数であるが、以下の説明では、m=n=10とする。なお、第1及び第2の絶縁基板13,14にはガラス基板を採用でき、行電極及び列電極は、後述するように、例えばマスクを用いてガラス基板にPt(白金)を蒸着することで形成することができる。
なお、図2に示す格子デバイス10は、行電極11を有する第1の絶縁基板13と列電極12を有する第2の基板14とがスペーサー(図示せず)で所定の間隔を保って配置されてなり、所定の間隔は例えば電極幅と同程度から電極幅の1/10の範囲である。
また、格子デバイス10は、図2に示す場合と異なり、第1の絶縁基板上に複数の行電極を設け、第2の絶縁基板上に複数の列電極とを設け、行電極と列電極とが対向して交差してもよい。以下の説明では、図2に示す格子デバイス10を前提として説明する。
格子デバイス10における行電極11及び列電極12の端部はスイッチ20としてのマルチプレクサに配線により接続される。マルチプレクサは、行電極11及び列電極12と測定部30としてのマルチポテンショスタットの作用極への接続を高速に切り換える、所謂多チャンネル切替器である。
測定部30としてのマルチポテンショスタットは内部に定電圧源を備え、電子部品で回路構成されており、電流値に拘らず一定の電圧を印加する端子と、一定の電圧を印加しながら流れる電流を測定する端子と、を有する。一般に、ポテンショスタットは、作用極WE、対向極CE、参照極REを有する三電極系で、参照極REに対する作用極WEの電位を設定した値に常に一定に保つように制御するものである。マルチポテンショスタットは複数の作用極WEを備えた電子機器である。本発明の実施形態では、マルチポテンショスタットの作用極W1、W2、W3の電位をそれぞれV1、V2、V3に予め定める。
本実施形態では、マルチポテンショスタットの利便性を活かし、次に説明するように作用極用入出力を分担させる。これにより動作確認が明瞭になる。なお、マルチポテンショスタットにある作用極を、第1の作用極W1、第2の作用極W2、第3の作用極W3とする。第1の作用極W1と第3の作用極W3を各々列電極12及び行電極11の電位印加専門端子として用いる。ここで、列電極12に印加する電位をVC,行電極11に印加する電位をVRとする。一方、第2の作用極W2は特定の列電極1本に対し、第1の作用極W1と同じ電位VCに設定し、流れる電流値の読み出しに利用する。マルチポテンショスタットの複数端子のうち電流値読出しは1チャンネルのみで行われることから、3極式のシングルポテンショスタット又は2極式電気化学測定系を用いてもよい。
ここで、列電極12に印加する電位VCと行電極11に印加する電位VRについて説明する。両基板13,14間に測定溶液を導入する際、化学種Redoxとして酸化体Oxを共存させる場合、電位VCは酸化体Oxが還元されない電位に設定し、電位VRは酸化体Oxが十分還元される電位に設定する。例えば酸化体OxがFe(CN) 3−である場合、VC=0.5V vs Ag/AgCl、VR=0V vs Ag/AgClに設定するとよい。ここで、「vs Ag/AgCl」とは、参照極REとして銀塩化銀電極を用いていることを意味する。
因みに、Fe(CN) 3−/4−の標準酸化還元電位は+0.2 V vs Ag/AgCl付近である。逆に、両基板13,14間に測定溶液を導入する際、化学種Redoxとして還元体Redを共存させる場合、電圧VCは還元体Redが酸化されない電位に設定し、電圧VRは還元体Redが十分酸化される電位に設定する。
処理部40は、測定部30としてのポテンショスタットへ接続するためのAD/DAボード41と、制御プログラムを実行するコンピュータ42と、で構成することができる。処理部40は、コンピュータで制御プログラムを実行させることで、マルチポテンショスタットでそれぞれの端子に電位を印加し、所定の行電極11及び/又は列電極12に流れる電流値を記録することができる。
<電気化学イメージング方法>
処理部40が制御プレグラムで実行する制御手順を説明しながら、電気化学測定装置に1よる電気化学イメージング方法について説明する。図3は処理部40で実現されるタイムチャートであり、図4は処理部40で実現される電気化学イメージング計測工程の前半のフローチャート、図5は処理部40で実現される電気化学イメージング計測工程の後半のフローチャートである。なお、図4及び図5のフローチャートでは、一般的にm本×n本の場合で示してあるが、以下の説明ではm=n=10の場合で説明する。
計測工程は、バックグランド電流測定を行う工程(ステップ1及びステップ2)と、前処理を行う工程(ステップ3)と、電気化学測定を行う工程(ステップ4)とからなる。
ステップ1では、全ての列電極C1〜C10を第1の作用極W1と接続し、目的の電気化学反応が起きない電位V1(=VC)を所定期間t、例えば2秒間印加する(ST1)。所定時間tは過渡時間であり、各交差部における物質の濃度分布などを安定化させるために必要な時間である。
ステップ2では、先ずスイッチ20としてのマルチプレクサにより、第2の列電極C2〜第10の列電極C10を第1の作用極W1に接続して電位V1を印加すると共に、第1の列電極C1を第2の作用極W2に接続して電位V2を印加して、第2の作用極W2に流れる電流の値を計測する(ST2−1)。次に、マルチプレクサにより、第1の列電極C1及び第3の列電極C3〜第10の列電極C10を第1の作用極W1に接続して電位V1を印加すると共に、第2の列電極C1を第2の作用極W2に接続し電位V2を印加して第2の作用極W2に流れる電流の値を計測する(ST2−2)。以下同様に、マルチプレクサにより、第jの列電極Cj以外の列電極を第1の作用極W1に接続すると共に、第jの列電極Cjを第2の作用極W2に接続し電流値を計測することを、j=3から1ずつインクリーメントしてj=10まで行う(ST2−n)。このステップ2においても、全ての行電極R1〜R10は開回路状態とする。
この際、各電流読み出し時間を例えば20m秒とすると、列電極が10本で10チャンネルあるので、電流の読み出しには時間t=200m秒を要する。
ここで、読出し電流値を各々のチャンネルのバックグラウンド電流と定義する。いま、第1の作用極W1と第2の作用極W2を同じ電位、即ちV1=V2=VCとしているので、接続切換に伴う容量による電流その他のノイズはほとんど発生しない。
続いて、先ず、第1の行電極R1についてステップ3及びステップ4を行い、次に、第2の行電極R2についてステップ3及びステップ4を行い、順次、第iの行電極Riについてステップ3及びステップ4を、i=から1ずつインクリーメントしながら、i=10になるまで行う。以下、ステップ3及びステップ4の処理について第1の行電極R1を例にとって説明する。
ステップ3では、スイッチ20としてのマルチプレクサにより、第1の行電極R1を第3の作用極W3と接続して電位V3を印加し、第1〜第10の列電極C1〜C10は第1の作用極W1と接続して電位V1を印加する(ST3A)。ステップ3の時間、すなわち、電極反応に付随して拡散現象を反映する過度的な電流が生じ定常状態に到るまでの時間を過渡時間tと定義する。過渡時間tは各交差部の状態安定化及び/又は前処理操作のために要する時間であり、格子デバイス10の中に入れられた液体などの物質が、各列電極に順に電位が印加されることで、格子デバイス10の行電極11と列電極12との各交差部にある物質の濃度分布を安定させる。過渡時間tは例えば2秒程度である。なお、このステップ3では、第2の作用極W2と接続されていない行電極、例えば第1の行電極R1以外の行電極R2〜R10は作用極W1と接続して電位V1を印加し、酸化還元反応が起きない状態である。
ステップ4では、先ず、スイッチ20としてのマルチプレクサにより、第1の行電極R1のみを第3の作用極W3と接続して電位V3を印加し、かつ第2の列電極C2〜第10の列電極C10を第1の作用極W1と接続して電位V1を印加したまま、列電極のうち第1の列電極C1のみを第2の作用極W2と接続して電位V2を印加して、第1の列電極C1に流れる電流値を計測する(ST4A−1)。次に、マルチプレクサにより、第1の行電極R1を第3の作用極W3と接続して電位V3を印加し、かつ第1の列電極C1及び第3の列電極C3〜第10の列電極C10を第1の作用極W1に接続して電位V1を印加したまま、列電極のうち第2の列電極C2のみを第2の作用極W2と接続して電位V2を印加して第2の列電極C2に流れる電流値を計測する(ST4A−2)。以下、マルチプレクサにより、第1の行電極R1を第3の作用極W3と接続し、かつ第jの列電極Cj以外の全ての列電極を第1の作用極W1に接続したまま、第jの列電極Cjのみを第2の作用極W2と接続し、第jの列電極Cjに流れる電流値を計測することを、j=3から1ずつインクリーメントしてj=10まで行う(ST4A−n)。
このように、作用極W2を第1の列電極C1から第10の列電極C10まで連続的に切り換え、切り換え毎に電流値を計測して記録する。この際、各電流読出時間を例えば20m秒とすると、列電極が10本で10チャンネルであるので、全体として0.2秒を要する。そして、読み出した電流値をそれぞれのチャンネルのバックグランド電流から引き、真の値とする。このとき、第1の作用極W1と第2の作用極W2とは同じ電位、すなわち、V1=V2=VCに設定してあるので、接続切り換えに伴う容量による電流その他のノイズはほとんど発生しない。
その後、第2の列電極R2から第10の列電極R10まで、ステップ3及びステップ4を同様に行う(ST3B,ST4B,・・・,ST3M、ST4M)。
以上の工程を経ることで、行電極11と列電極12の各交点における電流データを取得することができる。因みに、前述の例ではステップ1乃至ステップ4に要する時間は22秒以内となる。なお、各ステップ3、各ステップ4では、一つの列電極12に電位を順に印加するようにしているが、それ以外の列電極にも酸化還元反応が生じない電位V1を印加するようにしてもよい。
以上のようにステップ1〜ステップ4の工程により行電極11と列電極12との交差部近傍に存在する物質の電気化学反応状態を電流値として取り出すことができる。よって、交差部全てにおける電気化学反応状態を迅速にしかも複雑な手順を踏まずに測定することができる。これらの測定結果を処理部40に備えられた表示画面に、表示プログラムを介してイメージ表示することができる。
以上説明したように、本発明の実施形態では、m本の行電極11とn本の列電極12を直交かつ対向させて配置することで、m×n点の電気化学イメージングが行える。例えば、m=n=10の場合、10×10=100点の計測を22秒以内で完了して画像データが得られることになる。
本発明の実施形態による電気化学測定装置では、格子デバイスが独立した微小帯状電極を集積化した2枚の基板を対向させ、かつ、異なる基板上の微小帯状電極が直交するように構成されているので、各格子の交点で電気化学測定を行うことができる。格子の交点を逐次切り換え、各格子点の平面座標に対する電気化学応答を取得し、電気化学特性に基づく画像化を行うことができる。また、電気化学測定装置では、格子交点にて得られる電気化学応答は、電流、電位、またはインピーダンス変化であるが、エレクトロクロミズム、電気化学発光、電界発光、メモリー応答、センシング応答を観測することもできる。
格子デバイス10は図2に示した場合に限らず、適宜変更することができる。以下、幾つか説明する。
<格子デバイスの第1変形例>
図6乃至図8は格子デバイスの第1変形例を示し、図6は模式的に示した平面図、図7(A)は部分拡大図、(B)はB3−B3線に沿う断面図、図8(A)はB1−B1線に沿う断面図、(B)はB2−B2線に沿う断面図である。なお、図6では、図7及び図8に示す絶縁基板53、第1の絶縁膜54、第2の絶縁膜55は図示していない。
第1変形例は、行電極51と列電極52との各格子点がリング−ディスク型となっている点で、前述の基本形態とは異なる。第1変形例に係る格子デバイス50は、ガラス基板などの絶縁基板53と、ディスクアレイ行電極51と、レジストなどで形成した第1の絶縁膜54と、リングアレイ列電極52と、第2の絶縁膜55との積層構造を有する。すなわち、絶縁基板53と、この絶縁基板53上に形成された列電極52と、列電極52上に形成された第1の絶縁膜54と、第1の絶縁膜54上に形成された行電極51と、行電極51上に形成された第2の絶縁膜55と、を備え、第1の絶縁膜54、行電極51及び第2の絶縁膜55にそれぞれ大きさの異なる孔が同心円状に形成されてなる。これにより、生成捕捉実験測定系にて捕捉電極側で応答電流を観測することもできる。
具体的には、格子デバイス50は、絶縁基板53の上面に行方向に所定の間隔で列方向に延びて配列された列電極52と、列電極52同士の間を埋めながら列電極52上に設けられ、かつ行方向及び列方向に各所定間隔でリング状の孔を有する第1の絶縁膜54と、第1の絶縁膜54上に設けられ、かつ列方向及び行方向に各所定間隔でリング状の孔を有する行電極51と、行電極51上に設けられ、かつ行方向及び列方向に各所定間隔でリング状の孔を有する第2の絶縁膜55と、からなる積層構造を有する。ここで、第1の絶縁膜54、列電極52の層、第2の絶縁膜55のそれぞれ格子部に形成される孔の大きさが順に大きくなり、図示する例では、第1の絶縁膜54、列電極52の層、第2の絶縁膜55にそれぞれ同軸上に設けられる孔の直径をD1、D2、D3とすると、D1<D2<D3となる。例えば、行電極51及び列電極52を構成する電極の幅を100μmとし、行電極51を構成する電極同士の間隔を200μm、列電極52を構成する電極同士の間隔を200μmとした場合、D1を30μm、D2を50μm、D3を80μmとする。このような積層構造を有する格子デバイス50は、周知のリソグラフィー技術を用いて作製することができる。
第1変形例に係る格子デバイス50では、少なくとも各格子に物質を配置し、行電極51及び列電極52に印加する電圧を調整することで、図7(A)に示すように、行電極51で還元体Redが電子を失って酸化体Oxとなり、その下方で酸化体Oxが電子を得て還元体Redとなってもよい。また、逆に、行電極51で酸化体Oxが電子を得て還元体Redとなり、その下方で還元体Redが電子を失って酸化体Oxとなってもよい。行電極と列電極とを入れ換えて接続してもよい。
また、格子デバイス50は、前述の基本形態と比較して定常状態に到までの遷移時間を短縮することができる。これは電極形状に基づく拡散形態の違いに起因し、微小ディスク型電極や微小リング電極において、定常電流が得られるまでに要する遷移時間が、微小帯状電極の場合と比較して大幅に短縮されることが理論式より導かれていることが根拠となっている。よって、プレコンディションタイムtを2秒よりも短縮することができる。
<格子デバイスの第2変形例>
図9及び図10は格子デバイスの第2変形例を示し、図9(A)は模式的に示した平面図、図9(B)は部分拡大図、図10はC−C線に沿う断面図である。なお、図9(A)では、図10に示す第1の絶縁基板63、第2の絶縁基板64、絶縁膜65は図示していない。第2変形例は、行電極61と列電極62との各格子点が変形リング−ディスク型となっている点、即ち格子点において、一方の電極がリング状であり、他方の電極がディスクすなわち円形平板電極となっている点で、基本形態とは異なっている。第2変形例の格子デバイス60は、ガラス基板などの第1の絶縁基板63上に、第1の絶縁基板63側から上方に、帯状微小電極が列方向に並んだバンドアレイ型の列電極62、絶縁膜65、変形リング部61Fが配線部61Aで連結して配置された変形リングアレイ型の行電極61の3層構造からなる。すなわち、列電極62は、列方向に延びる配線部62Aが行方向に所定の間隔を開けて設けられ、各配線部62Aには、行方向に所定の間隔を開けて張出電極部62Bが形成されている。列電極62は下側基板63上に形成されている。一方、行電極61は、行方向に延びる配線部61Aが列方向に所定の間隔を開いて設けられ、列間隔毎に、半円弧状電極部61Bと、半円弧状電極部61Bの両端に行方向に延びる第1の配線部61C及び第2の配線部61Dと、第1の配線部61C及び第2の配線部61Dの端部を列方向に接続する第3の配線部61Eとで、構成される変形リング部61Fを有する。変形リング部61Fを有する行電極61は、上側基板64上で下側基板63に対向するように形成されている。バンドアレイ状の列電極62と変形リング部61Fを有するアレイ状の列電極62との間には絶縁膜65が挿入配置されている。この絶縁膜65には、各流路66が列電極62の配線部62Aに沿って、すなわち列方向に沿って行方向に所定の間隔を開けて画成され、各流路66には各切欠き部66Aが列方向に所定の間隔で形成されている。
第2変形例に係るデバイスは、マトリックス状に配置された各セルにおいて、列方向の各流路66に溶液が導入されて排出され、半円弧状の電極部61Bと張出電極部62Bとの間に電位差が印加され、半円弧状の電極部61Bが捕捉電極として機能する。従って第2変形例に係る格子デバイス60では、電気化学計測ができるのみならず、誘電泳動に基づく細胞、微粒子のマニピュレータにも適用することができる。第2変形例に係る格子デバイス60では、流路66と切欠き部66Aでなる試料補足用ウェルとを組み合わせることで、流路66によるサンプルの導入及び導出機能と、試料補足用ウェルによる電気化学測定機能とを兼ね備える。従って、迅速、簡便、ハイスループットな多検体検査イメージング装置を提供することもできる。行電極と列電極とを入れ換えて接続してもよい。
<格子デバイスの第3変形例>
格子デバイスの第3変形例について説明する。図11及び図12は格子デバイスの第3変形例を示し、図11は模式的に示した平面図、図12(A)は図11の部分拡大図、(B)はD−D線に沿う断面図である。なお、図11では、図12(B)に示す第1の絶縁基板73、第2の絶縁基板74、絶縁膜75は図示していない。第3変形例に係る格子デバイス70は、ガラス基板などの絶縁基板73上に、絶縁基板73側から上方に、バンドアレイ型の列電極72、絶縁膜75、変形リングアレイ型の行電極71の3層構造からなるので、第2変形例と同様、行電極71と列電極72との各格子点が変形リング−ディスク型となっている。しかし、第3変形例では、第1に一対の列電極72Aを挟んで配置される流路76が左右対称である点、第2に行電極71がトラック状のリング部71Aがその左右の半円弧電極部71B,71Cを連結している点、第3に流路76で行方向に並んだ切欠き部76Aが水平断面視で三角形状をしている点において、第2変形例と異なっている。
以下、具体的に説明する。
バンドアレイ状の列電極72は、各流路76の左右内側に、下側基板73上に列方向に延びて形成されている。
変形リングアレイ状の行電極71は列方向に所定の間隔を開けて配置構成され、各行電極71はトラック状のリング部71A同士が連接して構成され、各リング部71Aの行方向の寸法が流路76の中心間の長さと同程度であり、各流路76を構成する列方向の流路壁面間の距離より長い。各変形リングアレイ状の行電極71は上側基板74で下側基板73と対向する面に形成されている。
バンドアレイ状の列電極72と変形リングアレイ状の行電極71との間、即ち、上側基板74と下側基板73との間には、列方向に流路76を画成した絶縁膜75が介在されている。
絶縁膜75には、奇数番目の列電極72と偶数番目の列電極72との間で、それらの列電極72間の寸法より幅の短い流路76が画成され、その流路76を構成する左右の両壁面に平面視で三角形状の窪み76Aが形成されている。この窪み76Aには列電極72の一部が露出して露出電極として機能する。
ここで、流路66の幅は例えば30μmであり、切欠き部66Aは行方向の幅が例えば30μmである。
第3変形例に係る格子デバイス70は、第2変形例と同様、列方向の各流路76に溶液が導入されて排出され、リング部71Aのうち半円弧状の電極と露出電極部72Bとの間に電位差が生じ、半円弧状の電極部71B,71Cが捕捉電極として機能する。従って第3変形例に係る格子デバイス70では、電気化学計測ができるのみならず、誘電泳動に基づく細胞、微粒子のマニピュレータにも適用することができる。第3変形例に係る格子デバイス70では、流路76と試料補足用ウェルとを組み合わせることで、流路76によるサンプルの導入及び導出機能と、試料補足用ウェルによる電気化学測定機能とを兼ね備える。従って、迅速、簡便、ハイスループットな多検体検査イメージング装置を提供することができる。行電極と列電極を入れ換えて接続してもよい。
ここで、第1乃至第3変形例に係る格子デバイス50、60、70では、その構造からレドックスサイクリングの効果はあまり期待できない。また、生成捕捉実験では、行電極、列電極のどちらを生成電極として用い、他方を捕捉電極として用いるか否かで、捕捉効率が大きく異なる可能性がある。この点については後の実施例で説明する。
<格子デバイスの第4変形例>
格子デバイスの第4変形例について説明する。図13及び図14は格子デバイスの第4変形例を示し、図13(A)は模式的に示した平面図、図13(B)は部分拡大図、図14(A)はE1−E1線に沿う断面図、(B)はE2−E2線に沿う断面図、(C)はF−F線に沿う断面図、(D)はG−G線に沿う断面図である。なお、図13では、図14に示す絶縁基板83、第1の絶縁膜85、第2の絶縁膜86は図示していない。
列方向には、各列電極82が行方向に間隔を開けて絶縁基板83上に設けられ、各第1の絶縁膜85がぞれぞれ列電極82を被覆するように列電極82の幅より大きい幅で設けられている。行方向には、各行電極81が列方向に間隔を開けて複数の第1の絶縁膜85上を跨ぐように設けられ、各第2の絶縁膜86がそれぞれ行電極81を被覆する部分、すなわち被覆部を含んでなる。ここで、第2の絶縁膜86は例えば1μm〜100μmの厚みの側壁で測定ユニット87を画成する。
このように各格子では、第2の絶縁膜86を外周壁とする測定ユニット87が画成され、測定ユニット87毎に列電極82から枝電極部82Aを経由して第1の櫛型電極部82Bが延設されて配置され、行電極81から枝電極部81Aを経て第2の櫛型電極部81Bが延設されて配置されている。第1の櫛型電極部82Bは、複数の短い帯状電極部の一端が共通の接続部で接続され、枝電極部82Aを介して列電極82に接続されている。第2の櫛型電極部81Bも同じく複数の帯状電極部の一端が共通の電極部で接続され、枝電極部81Aを介して行電極81に接続されている。枝電極部82Aは列電極リード層、枝電極部81Aは行電極−列電極接続金属層と呼んでも構わない。
第4変形例に係る格子デバイス80では、格子状に配置されれている各測定ユニット87が第2の絶縁膜86で外周を画成され、測定ユニット87毎に絶縁基板83上に第1の櫛型電極部82B及び第2の櫛型電極部81Bの帯状電極が交互に配置されている。すなわち、第4変形例に係る格子デバイス80では、前述の基本形態の格子デバイス10における行列交差部の機能を交互櫛型アレイ電極に代用している点で、基本形態とは異なっている。第1の櫛型電極部82Bと第2の櫛型電極部81Bとによる交互櫛型アレイ電極構造が顕著なレドックスリサイクリングの効果を奏するので、電流増幅率を高くすることができる。すなわち、一対の櫛型電極をかみ合わせることで、一方の電極であるG(generator electrode)極で酸化したレドックス種を他方の電極であるC(collector electrode)極で還元させ、G極で拡散して戻るため、電流が増加する。また、G極とC極との間でリニアな濃度勾配が直ちに形成されるため、定常状態に達するまでの時間が短くなり、高速応答性を示す。また、第4変形例に係る格子デバイス80では、図13(A)に示すように、行電極側、列電極側の何れの電極活性領域、すなわち絶縁性の被膜がされていない領域が、絶縁基板83の面上という同一の平面上に設けられる。よって、これまで説明した基本形態及び第1乃至第3変形例とは異なり、電極活性領域である第1の櫛型電極部82B及び第2の櫛型電極部81Bが同一平面上に設けられている点で異なる。
ここで、基本形態及び第1乃至第4変形例に係る格子デバイスの作製について、説明する。何れのデバイス構造も、絶縁基板にはガラス基板が用いられ、絶縁膜にはレジスト膜が用いられ、行電極並びに列電極及びそれらに接続される電極部分にはPt、Auなどの金属層で形成される。格子デバイスは、電極および絶縁膜を積層し繰り返して行うことで、作製することができる。例えば図2に示す格子デバイス10では、絶縁基板13,14にそれぞれ行電極11又は列電極12となる金属パターンを形成する。即ち、絶縁基板13,14にそれぞれ行電極11又は列電極12となる金属層を形成し、その金属層上にマスクを形成し、露光後リフトオフまたはエッチングして行電極11又は列電極12を形成する。これらの絶縁基板13,14同士を行電極11と列電極12とが対向するように両端部にスペーサーを配置することで、格子デバイス10を作製することができる。図6〜8に示す格子デバイス50では、絶縁基板53に列電極52をパターニングし、さらに第1の絶縁膜54をパターニングし、行電極51をパターニングし、第2の絶縁膜55をパターニングして、逐次積層することで作製することができる。その他の格子デバイスも同様に作製することができる。なお、それぞれ電極パターンの形成には、金属層上にマスクを形成し、露光後エッチングして電極パターンを形成する方法を採用しても、予めレジストでマスクを形成し、その上に金属層を形成しレジストを溶かしてマスク状の金属層を除去するリフトオフ法を採用してもよい。
さらに実施例を説明しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1に示す電気化学測定装置1を構築した。その際、格子デバイス10を以下の要領で作製した。ガラス基板13にPtの微小帯状電極を10本配列して行電極11とし、同等のガラス基板14にPtの微小帯状電極を10本配列して列電極12とした。その際、行電極11及び列電極12の厚さ、幅、間隔は、それぞれ10nm,50μm、200μmとした。行電極11と列電極12とが直交するように対向させ、ガラス基板間のギャップを両面接着性スペーサーにより10μmとした。
測定部30として、北斗電工社製HA−1010mM4のマルチポテンショスタットを用い、スイッチ20として、ナショナルインスツルメント社製NI PXI−2529のマルチプレクサを用いた。処理部40は、Labview(登録商標)で制御プログラムを作成して実行により作成し、AD/DAボードとしてナショナルインスツルメント社製のNI PXI−6723を介してマルチポテンショスタットに電位を加え、パーソナルコンピュータに電流値を取り込んで記録した。
<サイクリックボルタンメトリ計測>
サイクリックボルタンメトリ(cyclic voltammetry)計測を行った。
格子デバイス10を4mM KFe(CN)を含む0.1MKCl溶液中に入れ列電極のサイクリックボルタンメトリ計測を行った。第2の列電極C2のみ電位走査を行った場合と、第1から第10の全ての列電極C1〜C10に電位走査を行った場合との二通りを行った。計測条件は、何れの場合も、開始電位を0.5(V vs Ag/AgCl)、折り返し電位を0.0(V vs Ag/AgCl)とし、電位操作速度を20mV/秒とした。
図15は、サイクリックボルタンメトリ計測の結果を示し、(A)が第2の列電極C2のみ電位走査を行った場合、(B)が第1から第10の全ての列電極C1〜C10を電位走査した際の結果を示す図である。各図の横軸は電位(V)であり、縦軸は電流(A)である。図15(A)、(B)の何れの場合も、ボルタモグラフに違いは見られなかった。このことから、各帯状電極の拡散層間にクロスオーバーが認められず、電流値のクロストークを無視できることが分かった。また、電位走査速度を2〜50mV/秒でCV計測を行っても電流値にクロストークを無視できることを確認した。
<電極幅依存性について>
微小帯状電極の電極幅依存性を調べた。基本形態の格子デバイス10において、電極幅が30μmと10μmの場合を作製した。その他の寸法形状は前述と同じとした。電極幅が30、10μmである場合、2枚の基板間距離が10μmの条件下でレドックスサイクリング(Redox Cycling)に起因する電流増幅は小さかった。一方、電極幅が10μmである場合、電流値が定常に達する時間が大きくなった。
電極幅を50μmとした場合、レドックスサイクリングにより得られる理論電流値ISS theory定常電流が得られるまでの遷移時間τは130msである。次式で示される理論式は薄層セルモデルに拠った。
SS theory=nFADC/h
τ=h/D
但し、nは反応電子数、Fはファラデー定数(95600C/mol)、Aは格子点での行電極と列電極とが交差する面積(cm)、Dはレドックス種の拡散係数(cm-1)、Cはレドックス種の濃度(mol・cm−3)、hは基板間距離(cm)である。
以上の結果から電極幅が小さい方がセンサの検出精度を高くできることが判明した。
<応答電流の基板間距離依存性について>
応答電流の基板間距離依存性を調べた。基板間距離hを30μmと10μmとし、その他の寸法は前述と同じである。第2の行電極R2に0.5V印加し、電圧印加開始から7秒後0.5Vから0Vへステップ状に変化させた。
図16は、応答電流の基板間距離依存性の結果を示し、(A)は基板間距離が30μmである場合、(B)は基板間距離が10μmである場合を示す。縦軸は電流値(10−7A)であり、横軸は時間(秒)である。基板間距離hが30μmでも10μmの何れにおいても、印加電圧の変化時である約7秒後で電流増幅が生じ、その後、定常状態になった。基板間距離hが短いほど、電流増幅が顕著になり、定常に到るまでの時間も短くなる。これらの結果は、定性的に薄層セルモデルに従っていることが分かった。
基板間距離hが10μmである場合、プレコンディションタイムは2秒あれば十分であることが判った。
<生成捕捉実験とそれによる電気化学イメージング>
基本形態における格子デバイス10の構造では、行電極基板と列電極基板とが対向し、行電極と列電極とが互いに交差しているため、感度、応答時間の観点から最適となる。また、応答電流値は、行電極及び列電極の幅、行電極基板と列電極基板との基板間距離などのパラメータに大きく依存する。レドックスサイクリング現象は電気化学的に可逆な化学種について顕著に観測される現象であるところ、電気化学的に不可逆な化学種も多く存在する。これに対し、生成‐捕捉実験は、化学種の電気化学的可逆−不可逆性によらず、より広い応用が期待される。
第1乃至第3変形例に係る格子デバイスを作製して、生成捕捉実験を行った。一例として、図17に変形例3の格子デバイスの光学顕微鏡像を示す。図17(A)はその全体像、(B)はその部分拡大した像である。図17から明確に流路と、リング部を連結した行電極が形成されていることが分かる。レドックス種としてFe(CN) 3−やフェロセンメタノールを用いた。第1乃至第3変形例に係る何れのデバイスにおいても、行電極側、すなわちリング電極又は変形リング電極側を捕捉電極とすることで、より捕捉効率が上昇することを確認した。また、アルカリホスファターゼ固定化微粒子を用いて、実際にサンプルの導入及び導出と電気化学測定とが可能であることを確認した。これにより、生成捕捉実験系においても電気化学イメージングを行うことができ、生成捕捉実験が可能であることが分かった。
<酵素固定化基板の検討>
基本形態における格子デバイス10を用いて酵素固定化基板を試みた。0.2mgアルカリホスファターゼ(ALP,65units/mg)、1mgウシ血清アルブミン(BSA)、15μリットル5%グルタルアルデヒド(GA)を混合し、ガラスキャピラリに充填して下側電極基板の格子点にスポットして固定化した。このとき、酵素膜厚は2μmであった。
よって本発明の実施形態に係る格子デバイスを用いることで、酵素を固定化することができることが分かった。
<電気化学イメージングその1>
基本形態の格子デバイス10を用いて電気化学イメージングを行った。
計測手順は前述の通りである。電気化学的可逆反応を許容する化学種であるレドックスが行電極基板と列電極基板との間に挟まれた溶液中に存在する場合、行電極と列電極とで構成される各格子点で、酸化還元反応が促進される。レドックスとして4mMFe(CN) 3−を共存させ、VC、VRをそれぞれ0.5、0(V vs Ag/AgCl)に設定した。下側の列電極基板には、あらかじめ、フォトレジストSU‐8によりアルファベット“E”を描画した。
図18は、実施例4に関する電気化学イメージングの結果を示す図である。行列の両電極交点がフォトレジストでブロックされている格子点では、レドックスサイクリング現象は起こらず、電流値が著しく減少した。フォトレジストでブロックされている格子点を(i,j)で示すと、(2,2)〜(10,2)、(2,2)〜(2,9)、(2,5)〜(10,5)、(2,9)〜(2,10)である。
以上のことから、電気化学イメージングは明瞭であり、数十秒から数分の時間スケールであれば動画観測もできることが分かった。
酵素固定化基板を用いて電気化学イメージングを行った。
酵素として、アルカリホスファターゼを用いた。pH9.5という高pH溶液中に、p−アミノフェニルリン酸(PAPP)を共存させた。酵素触媒反応により加水分解的に脱リン酸化が進行し、p−アミノフェノール(PAP)が生成する。PAPは+0.3(V vs Ag/AgCl)にて可逆的に酸化され、p−キノンイミン(QI)が生成する。よって、VC、VRをそれぞれ0、0.3(V vs Ag/AgCl)に設定した。
列電極基板には、予め、アルカリホスファターゼ固定化膜をスポットした。
図19は、酵素固定化基板を用いた電気化学イメージングの結果を示す図である。
酵素固定化膜のスポットが存在する行列の各電極交点では、特異的にレドックスサイクリングに起因して電流が増加する。よって、画像表示することができることが分かった。
以上のことから、酵素反応は、免疫測定を含むたんぱく質分析、核酸分析、細胞機能評価などに広く応用することができる。よって、本発明の波及効果は極めて大きい。
以上詳細に説明したように、基本型及び第1乃至第4変形例に係る格子デバイスでは、m本の行電極とn本の列電極とを対向して直交させることにより、m×n個の電気化学イメージングを行うことができる。第1乃至第4変形例に係る格子デバイスにおいて、列電極と行電極との関係を逆にしても構わない。これらの変形例で示すように、格子デバイスを構成する各層の形状、サイズを工夫することで、より多岐にわたるデバイスデザインを提供することができる。
さらに、上述の電気化学イメージング方法では、格子デバイス中に入れる物質として還元体を選択した場合、行電極に酸化反応が生じるように電位を印加し、列電極でファラデー電流を測定してもよいし、逆に、列電極に酸化反応が生じるように電位を印加し、行電極でファラデー電流を測定してもよい。また、格子デバイス中に入れる物質として酸化体を選択した場合、行電極に還元反応が生じるように電位を印加し、列電極でファラデー電流を測定してもよいし、逆に、列電極に酸化反応が生じるように電位を印加し、行電極でファラデー電流を測定してもよい。
本発明の実施形態に係る電気化学イメージング装置の構成図である。 図1に示す格子デバイスを模式的に示し、(A)はその平面図、(B)はA−A線に沿う断面図である。 処理部で実現されるタイムチャートである。 処理部で実現される電気化学イメージング計測工程の前半のフローチャートである。 処理部で実現される電気化学イメージング計測工程の後半のフローチャートである。 格子デバイスの第1変形例を模式的に示した平面図である。 (A)図6の部分拡大図である。(B)はB3−B3線に沿う断面図である。 (A)はB1−B1線に沿う断面図、(B)はB2−B2線に沿う断面図である。 格子デバイスの第2変形例を示し、(A)は模式的に示した平面図、(B)は部分拡大図である。 C−C線に沿う断面図である。 格子デバイスの第3変形例を模式的に示した平面図である。 (A)は図11の部分拡大図、(B)はD−D線に沿う断面図である。 格子デバイスの第4変形例を示し、(A)は模式的に示した平面図、(B)は部分拡大図である。 (A)はE1−E1線に沿う断面図、(B)はE2−E2線に沿う断面図、(C)はF−F線に沿う断面図、(D)はG−G線に沿う断面図である。 サイクリックボルタンメトリ計測の結果を示し、(A)が第2の列電極C2のみ電位走査を行った場合、(B)が第1から第10の全ての列電極C1〜C10を電位走査した際の結果を示す図である。 応答電流の基板間距離依存性の結果を示し、(A)は基板間距離が30μmである場合、(B)は基板間距離が10μmである場合を示す図である。 変形例3の格子デバイスの光学顕微鏡像について、(A)はその全体像、(B)はその部分拡大した像である。 実施例4に関する電気化学イメージングの結果を示す図である。 酵素固定化基板を用いた電気化学イメージングの結果を示す図である。
符号の説明
1:電気化学測定装置
10、50、60、70、80:格子デバイス
20:スイッチ
30:測定部
40:処理部
41:AD/DAボード
42:コンピュータ
11,51,61,71,81:行電極
12,52,62,72,82:列電極
13,14,53,63,64,73,74,83:基板
54,85:第1の絶縁膜
55,86:第2の絶縁膜
61A:配線部
61B:半円弧状電極部
61C:第1の配線部
61D:第2の配線部
61E:第3の配線部
61F:変形リング部
62A:配線部
62B:張出電極部
65,75:絶縁膜
66,76:流路
66A,76A:切欠き部
71A:リング部
71B,71C:電極部
72A:一対の列電極
72B:露出電極部
81A,82A:枝電極部
81B:第2の櫛型電極部
82B:第1の櫛型電極部
87:測定ユニット

Claims (18)

  1. 複数の行電極と複数の列電極とを交差させて対向させた格子デバイスと、
    所定の定電位を印加する端子と所定の定電位を印加して流れる電流を測定する端子とを有する測定部と、
    上記測定部の各端子と上記行電極及び/又は列電極との接続を切り換えるスイッチと、
    上記測定部及びスイッチの制御を行い、上記複数の行電極、上記複数の列電極のうち何れか一方の電極を選択して所定電圧を印加しつつ、上記複数の行電極、上記複数の列電極のうち他方の各電極を順次選択しながら電気化学測定を行う処理部と、を備え
    上記格子デバイスが上記複数の行電極、上記複数の列電極としてそれぞれ第1〜第mの行電極、第1〜第nの列電極を有し、
    上記処理部が、上記測定部及び上記スイッチを制御することで、第iの行電極と第1〜第nの列電極との各交差部に対する電気化学測定処理を、iが1からmまで順に行い、
    上記電気化学測定処理は、第iの行電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第nの列電極のうち第jの列電極以外の列電極に第2の所定電位を印加し第jの列電極に第3の所定電位を印加しながら第jの列電極に流れる電流を測定する処理を、jが1からnまで順に行う処理である、電気化学測定装置。
  2. 前記処理部が、前記測定部及び前記スイッチを制御することで、前記電気化学測定処理の前に、第iの行電極と第1〜第nの列電極との各交差部に対する前処理を、iが1からmまで順に行い、
    上記前処理は、第iの行電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第nの列電極に第2の所定電位を印加することにより、第iの行電極と第1〜第nの列電極との各交差部における物質の分布を定常化させる処理である、請求項に記載の電気化学測定装置。
  3. 複数の行電極と複数の列電極とを交差させて対向させた格子デバイスと、
    所定の定電位を印加する端子と所定の定電位を印加して流れる電流を測定する端子とを有する測定部と、
    上記測定部の各端子と上記行電極及び/又は列電極との接続を切り換えるスイッチと、
    上記測定部及びスイッチの制御を行い、上記複数の行電極、上記複数の列電極のうち何れか一方の電極を選択して所定電圧を印加しつつ、上記複数の行電極、上記複数の列電極のうち他方の各電極を順次選択しながら電気化学測定を行う処理部と、を備え、
    上記格子デバイスが上記複数の行電極、上記複数の列電極としてそれぞれ第1〜第mの行電極、第1〜第nの列電極を有し、
    上記処理部が、上記測定部及び上記スイッチを制御することで、第1〜第mの行電極と第jの列電極との各交差部に対する電気化学測定処理を、jが1からnまで順に行い、
    上記電気化学測定処理は、第jの列電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第mの行電極のうち第iの行電極以外の行電極に第2の所定電位を印加し第iの行電極に第3の所定電位を印加しながら第iの行電極に流れる電流を測定する処理を、iが1からmまで順に行う処理である、電気化学測定装置。
  4. 前記処理部が、前記測定部及び前記スイッチを制御することで、前記電気化学測定処理の前に、第1〜第mの行電極と第jの列電極との各交差部に対する前処理を、jが1からnまで順に行い、
    上記前処理は、第jの列電極に第1の所定電位を印加した状態で、第1〜第mの行電極に第2の所定電位を印加することにより、第jの列電極と第1〜第mの行電極との各交差部における物質の分布を定常化させる処理である、請求項に記載の電気化学測定装置。
  5. 前記処理部は、前記スイッチにより前記行電極と前記列電極との交差部を逐次切り換える度に該交差部における電流読み出しを1m秒〜10秒の範囲の時間で行い、
    前記各交差部の前記前処理を80m秒〜10秒の範囲の時間で行う、請求項又はに記載の電気化学測定装置。
  6. 前記行電極及び前記列電極のそれぞれの電極間隔が電極幅の1倍〜10倍の範囲である、請求項に1又は3に記載の電気化学測定装置。
  7. 前記行電極及び前記列電極が10μm〜300μmの範囲の電極幅を有する、請求項に記載の電気化学測定装置。
  8. 前記格子デバイスは、前記行電極、前記列電極をそれぞれ2本以上500本以内備える、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
  9. 前記格子デバイスは、前記行電極を有する第1の基板と、前記列電極を有する第2の基板と、上記第1の基板と上記第2の基板との間隔を保つスペーサーとで構成されている、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
  10. 前記格子デバイスは、前記列電極を有する第1の基板と、前記行電極を有する第2の基板と、上記第1の基板と上記第2の基板との間隔を保つスペーサーとで構成されている、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
  11. 前記格子デバイスには前記列電極又は前記行電極に沿って流路が画成されている、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
  12. 前記行電極、前記列電極の何れか一方の電極は、前記列電極との交差部毎に配置されるリング部を連結部で接続して構成されている、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
  13. 前記行電極、前記列電極の何れか一方の電極は、横長状のリング部を連結して構成されている、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
  14. 前記格子デバイスは、前記行電極と前記列電極とで画成される測定ユニット毎に、該行電極に電気的に接続される櫛型電極部と、該列電極に電気的に接続されている櫛型電極部とが対向して配置されてなる、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
  15. 前記格子デバイスは、基板と、この基板上に形成された前記列電極と、該列電極上に形成された第1の絶縁膜と、該第1の絶縁膜上に形成された前記行電極と、該行電極上に形成された第2の絶縁膜と、を備え、上記第1の絶縁膜、前記行電極及び前記第2の絶縁膜に大きさの異なる複数の孔が同心円状に形成されてなる、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
  16. 前記格子デバイスは、基板と、この基板上に形成された前記行電極と、該行電極上に形成された第1の絶縁膜と、該第1の絶縁膜上に形成された前記列電極と、該列電極上に形成された第2の絶縁膜と、を備え、上記第1の絶縁膜、前記行電極及び前記第2の絶縁膜に大きさの異なる複数の孔が同心円状に形成されてなる、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
  17. 前記スイッチはマルチプレクサである、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
  18. 前記測定部は、マルチポテンショスタット、三極式電気化学測定装置、二極式電気化学測定装置の何れかである、請求項1又は3に記載の電気化学測定装置。
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