JP5175096B2 - 可動な壁装置を有するポンプおよびこのタイプのポンプの使用 - Google Patents

Description

本発明は、閉じられた流体容量空間を形成し、第１の外力によって容量縮小の方向に動かされ、先行の容量縮小の後に、第２の力によって容量拡大の方向に動かされる壁装置と、吸込口に連通している入口弁と、流体容量空間の吐出し管に設けられた出口弁とを具備するポンプに関する。

更に、本発明はこのタイプのポンプの使用に関する。

このタイプのポンプは、例えば、流体が満たされているホースから、流体を、ホースを圧縮しかつこのホースの縦方向に移動する複数の押圧ローラのホースによって、押し出すホースポンプとして、知られている。ローラの運動によって、ホースの、上流に位置している端部に、流体が再度満たされるのは、この端部が貯蔵された流体に接続されている場合である。複数のローラを動かすための駆動力は、例えば電気式のまたは液圧式のモータとして形成されていてもよいモータによって発生される。このタイプのポンプは、容量を圧力方向に運ぶために用いられる。

明細書の最初の部分に記載されたタイプのポンプとは異なるタイプは、流体容量空間が往復動する隔膜の連接棒によって縮小され、続いて再度拡大されてなる隔膜ポンプである。従って、連接棒は、容量を縮小するための第１の力のみならず、容量を拡大するための第２の力をも伝達する。

多くの場合、ポンプの作動のために使用されることができる力の流れを有する運動が装置内で生じるとき、ポンプの性能を所定の作動状態でのみ呼び出すことのみが必要である。例えば、患者の切断断端と、この断端の上方に設けられかつ気密に形成されたライナーとの間の中間空間を真空にして、形成された真空によって、補装具に接続されたライナーのしっかりしたフィットを補償することは知られている。この目的のために、患者が補装具により床（または地面）に歩を運ぶとき、真空ストロークを働かせ、戻しばねによって元に戻されるピストンポンプが用いられる。このタイプのポンプは、特に、復帰機構が必要であるが故に、比較的嵩張っている。

従って、明細書の最初の部分に記載されたタイプのポンプを、小さな空間で実行され得るように形成するという課題が、本発明の基礎になっている。

上記課題を解決するためには、本発明では、明細書の最初の部分に記載されたタイプのポンプは、このポンプが真空ポンプとして形成されており、この真空ポンプの容量は、第１の外力によって、弾性的に変形可能な材料に抗して縮小可能であり、この材料の復元力は、外部からの力の作用の終了後に、生起された真空に作用する第２の力を形成させることを特徴とする。

本発明に係わるポンプの場合、流体、特に空気を、閉じられた空間から吸引してなる作動ストロークが、弾性的に変形可能な材料の復帰力によって引き起こされる。流体材料の容量を縮小するための予めの変形が、外部から作用する第１の力によってなされる。従って、本発明に係わるポンプは、非常に単純なかつ小容量の実施の形態を可能にする。この実施の形態によって、僅かな真空ないし中位の真空を発生することができる。

本発明の第１の参考例では、壁装置は、２つの向かい合っている壁を有する。弾性的に変形可能な材料は、これらの壁によって形成されている中間空間に設けられている。この場合、弾性的に変形可能な材料は、縁部を取り囲みかつ流体容量空間を区画する密閉用インサートによって、形成されていてもよい。この実施の形態は、外力が、複数の剛性の壁のうちの１に直接作用することができるという利点をもたらす。

同様に複数の利点を有する他の参考例では、壁装置は可撓性をもって形成されており、弾性的に変形可能な材料は、可撓性の壁装置に、好ましくは平坦に接触している。この場合、多くの使用例にとって十分に高い復帰力を、比較的薄い材料層によって生起することができる。

弾性的な材料は、流体容量空間内に設けられておりかつ容量縮小の実行後に復帰力を加える開放気泡の発泡材であってもよい。従って、発泡材には、好ましくは空気である流体が貫流される。この実施の形態では、復帰力の発生は、全然追加の空間を要しない。何故ならば、このためには、流体容量空間自体が活用されるからである。この場合、発泡材が、構造的な残余の容量を除いて、流体容量空間を完全に満たすことは、適切である。本発明のために使用可能な他の貫流可能な弾性的な材料は、隙間用織物である。

弾性的な材料が、四方から、可撓性の壁装置によって囲繞されているとき、参考例に係わるポンプの実現が容易に成功する。しかし、壁装置を部分的に剛性をもって形成し、壁装置の、容量の縮小のために必要となる部分を、可撓性をもって構成することも可能である。

本発明の参考例に係わるポンプが、好ましくは平坦な延在およびこの延在に比べて薄い厚さで製造され、かくして、多くの場合、装置の構造に問題なく組み入れられることは好適である。

流体容量空間を圧縮するために、可撓性の壁装置に平坦に接触している少なくとも１つの押圧要素が設けられている。特に、可撓性の壁装置を有する流体容量空間は、２つの平坦な押圧要素の間に設けられていてもよい。

複数の弁の設置は、可撓性の壁装置のかような狭い面に、好ましくは、複数の押圧要素のうちの１つの押圧要素のまたは２つの押圧要素の開口部にもなされてもよい。このことによって、可撓性の壁装置の変形過程が減じられる。

本発明に係わるポンプが、システムの力の流れに組み入れられることは好ましい。このシステムには、２つの力のうちの一方を加えるために活用される力が生じる。本発明に係わるポンプは、特に真空ポンプとして、適切である。

特別な使用例では、ポンプは下肢用の補装具の一部分である。この場合、歩行の際に体重の故に生じる力が、第１の力として活用されることは好ましい。ポンプは、補装具の吸引シャフトの真空吸引を促進するために、特に、ライナーと補装具のシャフトとの間の中間空間を真空吸引するために、使用することが可能である。本発明に係わるポンプのための好ましい挿入場所は、体重による荷重の際に生じる力の流れに対し直角に位置している、ポンプの平坦なデザインを、特に良好に可能にする義足の足部である。

以下、図面に示された実施の形態を参照して、本発明を詳述する。図１に示した参考例のポンプは、閉じられた流体容量空間１を有する。この流体容量空間は、実際には、開放気泡の弾性的な発泡材２の形態の弾性材料で完全に満たされている。発泡材２は、僅かな幅の実質的に平坦な延在を有する。発泡材は、四方から、弾性的な壁装置３によって囲繞されている。従って、この壁装置は、４つの狭い面と、これら面に比較して大きい寸法の２つの平坦な面とを有する。これらの平坦な面には、２つの平坦な押圧要素４，５が接触している。

可撓性の壁装置３は、狭い反対側で、管状のまたはチューブ状の供給管６と、管状のまたはチューブ状の出口７を有する。供給管６および出口７は、夫々、１つの逆止め弁８，９を有する。

ポンピング操作のために、複数の押圧要素４，５は、図２に示すように、相対して動かされる。このことによって、発泡材２を中に含む流体容量空間１は圧縮される。このことによって、流体、好ましくは空気が逆止め弁９および出口７を通って出る。押圧要素４，５の押圧力がなくなるとき、発泡材２の弾性的な復元力が、流体容量空間１を図１の最初の状態へ戻す。この場合、流体は、入口６および逆止め弁８を通して、流体容量空間１へ吸引される。

ポンプの、図３に示した変形例では、押圧プレート５´は複数の開口部１０を有する。これらの開口部には、逆止め弁８，９が設けられている。このことによって、可撓性の壁装置３の変形過程（Walkvorgaenge）は、逆止め弁８，９の領域で、著しく減じられる。

図４は、図１ないし３に記載したタイプのポンプの使用例を示す。ここでは、ポンプは、義足の足部１１に組み込まれている。義足の足部の機能構造体は下腿補装具の下腿管１２に結合されている。義足の足部の機能部分は、Ｓ字形のスプリングインサート１３からなる。スプリングインサートの自由端は、上方の接続脚部１４と、下方の底部脚部１５とを形成する。両者の間には、実質的に水平方向の中間部分１６がある。中間部分は、夫々１つの湾曲した移行部分１７，１８によって、夫々接続脚部１４および底部脚部１５に接続されている。それ故に、実質的に水平方向の中間部分１６は、重量の作用下で、インサート１３の底部脚部１５に対し弾むことができる。従って、足部を床（または地面）に置く際の、補装具着用者の重量の作用下で、中間部分１６と底部脚部１５との間の間隔が狭められる。間隔のこの狭まりは、中間部分１６が押圧要素５´´に接続されていることによって、本発明で用いられるポンプのために活用される。平坦な押圧要素５´´の形状は、中間部分１６および湾曲した移行部分１７の形状に適合されている。その目的は、押圧要素５´´の位置決めを容易化するためである。押圧要素５´´と、ここでは対応の押圧要素４として機能する底部脚部１５との間には、発泡材２で満たされた流体容量空間１が、発泡材２を四方から囲繞する可撓性の壁装置３の内部にある。複数の接続部６，７のうちの一方が略示されているだけである。この接続部は、押圧要素５´´の開口部１０の中を延びており、例えば、通路６として、ホースラインを介して、切断断端と、この切断断端を囲繞するライナーとの間の中間空間に接続されていることが可能である。その目的は中間空間を真空にするためである。

足部１１に挿入されたポンプの機能は、図１ないし３を参照して説明した機能に完全に対応する。押圧要素５´´のための押圧力として、義足の足部１１への体重の荷重が作用する。このことによって、中間部分１６は下方へ底部脚部１５の方向に押圧され、かくて、流体容量空間１および発泡材２を圧縮する。このことによって、空気は流体容量空間１から出る。義足の足部１１から負荷を緩和する際に、遅くとも、次の歩行のために足部１１を床（または地面）から持ち上げる際に、発泡材２は図４に示した最初の位置へポンプを戻す。この場合、空気が、通路６を通って、切断断端と、この切断断端を囲繞するライナーとの間の中間空間から、流体容量空間１へ吸引される。従って、この中間空間には、所望の真空が発生され、この真空は、切断断端におけるライナーのフィットを安定化する。

義足の足部１１が、図４に示したポンプの組み入れに適切であることが認められる。何故ならば、力の垂直方向の流れに対し直角に設けられている流体容量空間１および発泡材２の平坦なデザインが、足部１１の構造が同様に平面性に傾いている故に、十分に可能だからである。しかしながら、かようなポンプを、互いに相対して動く複数の他の補装具部分に、例えば膝関節に設けることも、当然ながら可能である。

図５および６は、弾性的に変形可能な材料が、プロファイルを有する表面２３，２４が夫々向かい合っている２つの層２１，２２によって、形成されていてなる参考例を示す。ここでは、プロファイルを有するこれらの表面は、複数の突起部２５によって形成されている。これらの突起部の幅は、複数の突起部２５の間の開口部２６よりも狭い。従って、層２１の複数の突起部２５は、層２２の複数の開口部２６に突入しており、その逆も可能である。弾性的に変形可能な材料で満たされていない、流体容量空間１である複数の空間が生じる。

圧縮を引き起こす圧力が複数の層２１，２２に加えられるとき、複数の先端２５は垂直方向に圧縮され、材料は横へ逸れる。それ故に、複数の先端２５と複数の開口部２６との間の複数の空間は、図６に示すように、理想的な場合には完全に満たされる。複数の層２１，２２を互いに向かって押圧する外力がなくなるときは、複数の層２１，２２の、図５に示す最初の状態が生じる。復元は、流体、特に空気を、流体容量空間１に接続されている真空空間から吸い込む。

複数の層２１，２２は、複数の層２１，２２が同時に壁装置３を形成するほどに安定的なプラスチック材料から、形成されていてもよい。しかし、これの代わりに、複数の層２１，２２が、図１ないし３に示す実施の形態で示されている複数の押圧プレート４，５と協働することも可能である。

図７および８に示した本願発明の実施の形態では、流体容量空間は、２つの互いに平行な剛性の壁３１，３２と、周囲を取り囲み、これらの剛性の壁３１，３２の縁部を互いに密閉式に結合し、弾性的に変形可能な材料からなるインサート３３とによって、区画されている。ここでは、このインサート３３は、安定的な流体密の材料からなる中空溝状のプロファイルである。このプロファイルは、貼着等によって、壁３１，３２に流体密に結合されている。

図８に示されているように、第１の外力Ｆによって、複数の剛性の壁３１，３２が互いに向かって押圧される。このことによって、流体容量空間１は最大限度に縮小される。このことによって、流体容量空間１に含まれている流体が、出口７を通って出る。外力Ｆがなくなるときは、図７に示した状態が、インサート３３の復元力の故に、再度生じる。このことによって、供給管６を介して流体が流体容量空間１へ吸引される。この実施の形態において、吸込口（供給管）６に設けられたる入口弁（逆止弁）８と、前記流体容量空間１の吐出し管（出口）７に設けられた出口弁（逆止弁）９とは、剛性の壁３１の外に配置されている。しかし、図３に示されているように、吸込口（供給管）６と吐出し管（出口）７との一部を構成するように、剛性の壁に形成された開口中に設けられてても良い。また、図１に示すように、吸込口（供給管）６と吐出管（出口）７とは、押圧要素（剛性の壁３１、３２）には接続には接続されないで、弾性的に変形可能な材料で形成された狭い壁（インサート３３）に接続されても良い。

図５ないし８に示された複数の実施の形態が、図１ないし３に示す実施の形態と同一な方法で、従って、特に義足の足部等にも用いられることが認められる。

本発明に係わるポンプは、他の目的のために、例えば、使用状態への力学的な適合をなすための力学的機能を制御するための、例えば液圧式の制動シリンダの制御のための、あるいは、補装具の複数の構成要素を、例えば、非結合状態から結合状態へ動かすための液圧ポンプとして、特に補装具部分に、用いられることができる。

圧縮される前の状態にある、参考例のポンプの略図を示す。 圧縮された状態にある、図１に基づくポンプを示す。 圧縮される前の状態にある、他の参考例のポンプを示す。 義足の足部に組み入れられた、参考例のポンプを示す。 互いに向かい合うプロファイルを有し、非荷重状態で流体容量空間を形成する２つの層からなる、弾性的に変形可能な材料の配列したものを示す。 層の圧縮された材料が流体容量空間に完全に満たしてなる荷重状態にある、図５に基づく配列したものを示す。 互いに向かい合っている２つの剛性のプレートと、弾性的に変形可能な材料からなる、縁部を取り囲むインサートとを有する、非荷重状態にある本発明の実施の形態に係わるポンプを示す。 荷重状態にある、図７に示すポンプを示す。

Claims (8)

1. 閉じられた流体容量空間（１）を形成し、第１の力（Ｆ）によって容量縮小の方向に動かされ、容量縮小の後に、第２の力によって容量拡大の方向に動かされる壁装置（３１、３２）と、この流体容量空間（１）の供給管（６）に設けられた入口弁（８）と、前記流体容量空間（１）の吐出管（７）に設けられた出口弁（９）とを具備し、
   前記第１の力と第２の力とが体重により生起される真空ポンプとして形成されているポンプであって、
   この真空ポンプの前記流体容量空間（１）の容量は、前記第１の力である外力によって、弾性的に変形可能な材料（３３）に抗して縮小可能であり、この結果、前記流体容量空間（１）からの流体は、前記吐出管（７）を通って逃れることが可能であり、
   前記壁装置は、互いに向かい合っている２つの剛性の壁（３１，３２）を有し、また、前記弾性的に変形可能な材料（３３）は、前記２つの剛性の壁の縁部間に設けられて前記流体容量空間（１）を区画する密閉用インサート（３３）によって形成され、この弾性的に変形可能な材料の復元力の動作により、前記外力の終了後に、生起された真空に抗して作用する前記第２の力を発生させるポンプ。
2. 前記供給管（６）と吐出管（７）とは、前記密閉用インサート（３３）に接続されていることを特徴とする請求項１に記載のポンプ。
3. 前記密閉用インサート（３３）は、互いに対向した１対の広い部分と、互いに対向した１対の狭い部分とにより、構成され、前記供給管（６）と吐出管（７）とは、前記密閉用インサート（３３）の前記１対の狭い部分に夫々接続されていることを特徴とする請求項２に記載のポンプ。
4. 前記供給管（６）と吐出管（７）とは、前記剛性の壁の一方に接続されていることを特徴とする請求項１に記載のポンプ。
5. 前記入口弁（８）と出口弁（９）とは、前記剛性の壁の一方内に配置されていることを特徴とする請求項１に記載のポンプ。
6. 請求項１ないし５のいずれか１に記載のポンプの、下肢用の補装具（１１）の部分としての使用。
7. 歩行の際に体重の故に発生する力を第１の力（Ｆ）として用いる、請求項６に記載のポンプの使用。
8. 前記補装具（１１）の吸引シャフトの真空吸引を促進するための請求項６又は７に記載の使用。

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