JP5174210B2 - ガス絶縁高電圧スイッチ - Google Patents

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Description

本発明は、請求項1の前書部分に基づく高電圧スイッチに係る。
上述のタイプのスイッチは、サーキット・ブレーカとして構成され、数kV以上の電圧範囲内で、少なくとも数kAの公称電流伝送能力を有している。一般的に、これらのスイッチは、発電機サーキット・ブレーカとして使用され、それ故に、高い公称電流が掛けられることが可能な接点装置を含み、この接点装置は、二つの接触部材(それぞれ一つの公称電流接点及び一つのアーク接触子を含んでいる)を有していて、その第一の接触部材に絶縁ノズルが取り付けられている。第二の接触部材のアーク接触子は、固定接点キャリアの中で、予め張力が与えられたスプリングの作用に抗して、軸方向に変位可能に支持されている。
接点装置が閉じられたとき、二つのアーク接触子の自由端は、互いの上に支持され、予め張力が与えられたスプリングにより作り出される接触力を形成する。接点装置が開かれたとき、接触部材の予め定められた行程の後に、二つのアーク接触子のみが互いから分離し。このプロセスの間に、圧縮されたアーク・ガスを収容するアーク・ゾーンが作り出され、このアーク・ゾーンは、二つのアーク接触子の自由端により軸方向に境界が定められ、また、絶縁ノズルにより径方向外側に対して境界が定められる。
最初に挙げたタイプのスイッチは、CH−519238に記載されている。このスイッチは、アーク・クエンチ特性を有する絶縁ガスで満たされ、且つ接点装置を収容するケースを有していて、この接点装置は、二つの接触部材を有し、それらの接触部材は、軸に沿って互いに対して相対的に移動されることが可能であり、ノズル・チューブとして構成された一つの公称電流接点及び一つのアーク接触子を、それぞれ有している。二つの接触部材の第一の接触部材は、駆動装置により移動されることが可能であって、絶縁ノズルを運び、スイッチが閉じられたとき、この絶縁ノズルの中を通って、第二の接触部材のアーク接触子が、導かれる。このアーク接触子は、フォロー・アップの接点として構成され、予め張力が与えられたスプリングで負荷が掛けられる。
スイッチが閉じられたとき、フォロー・アップの接点は、スプリング(適切な接触力を形成する)に対して反対側のその自由端で、第一の接触部材アーク接触子(駆動方向に対して反対側の)の自由端上に支持される。スイッチ・オフの際、予め張力が与えられたスプリングは、定められた距離に亘って、フォロー・アップの接点を備えた第一の接触部材に追従し、その結果として、第一の接触部材の行程が小さく抑えられ、それに加えて、スイッチ・オフ・プロセスの初期のフェーズにおいて、両方のアーク接触子がフリクション・ロックと重複するスイッチと比較して、駆動エネルギーが節約される。
スイス国特許第CH−519238号明細書
本発明は、特許請求の範囲の中に規定されているように、冒頭に挙げたタイプのスイッチを規定する目的に基づいていて、このスイッチは、僅かな動作エネルギーしか必要とせず、それにも拘わらず、高い信頼性及び長い使用寿命により特徴付けられる。
請求項1に規定された本発明に基づくガス絶縁高電圧スイッチは、二つの接触部材を有する接点装置を含んでいて、これらの接触部材は、軸に沿って互いに対して移動されることが可能であり、それぞれ一つのアーク接触子、及びこれら二つの接触部材の内の第一の接触部材に取り付けられた一つの絶縁ノズルを有している。このスイッチにおいて、第二の接触部材のアーク接触子は、予め張力が与えられたスプリングの作用に抗して軸方向に変位可能に支持される;前記接点装置が閉じられたとき、前記二つのアーク接触子の自由端は、互いの上に支持され、前記予め張力が与えられたスプリングにより作り出される接触力を形成する;前記接点装置が開かれたとき、前記二つのアーク接触子が互いから分離し、この過程の中で、圧縮されたアーク・ガスを収容するアーク・ゾーンが作り出され、このアーク・ゾーンは、前記二つのアーク接触子の自由端により軸方向に境界が定められ、且つ、前記絶縁ノズルにより径方向外側に対して境界が定められる。
第二の接触部材は、復元デバイスとして使用されるピストン/シリンダ系を有していて、このピストン/シリンダ系は、アーク・ゾーンとつながっていて、また、このピストン/シリンダ系は、アーク・ゾーンの中で作り出された圧縮されたアーク・ガスの増大する圧力で、前記予め張力が与えられたスプリングの反発力を支える復元力を発生する。この反発力と復元力は、同じ方向に作用する。両方の力は、それ故に、より硬いスプリングのように作用し、即ち、あたかも、前記予め張力が与えられたスプリングがより大きいスプリング定数を有しているように作用する。
アーク・ゾーンが、前記ピストン・シリンダ系とつながっていると言うことのために、前記アーク接触子がスイッチング・アークにより分離されたときに形成されるアーク・ガスの一部が、アーク・ゾーンから前記ピストン/シリンダ系へ導かれる。このようにして、アーク・ゾーンから流れ込むガスの圧力に起因して、前記ピストン/シリンダ系の中の復元力が増大する。この復元力は、アーク・ゾーンから、前記アーク接触子の移動の方向に対して反対方向に向けられる。それ故に、スイッチ・オフ・プロセスの最初の段階に、前記二つのアーク接触子の間の距離は、比較的小さいまま留まり、高いアーク電圧が増大されることが可能性、及びこの電圧がスイッチング・アークの中での高いエネルギー交換をもたらす可能性が、防止される。大きな、特に非対称の短絡電流が妨げられたとき、スイッチング・アークの中での大きなエネルギー交換に起因する過大な接点エロージョン及びアーク・ガスの強いコンタミネイションが、このようにして、遮断プロセスの最初の段階に避けられる。先行技術に基づく対応するスイッチと比較して、スイッチの信頼性及び使用寿命が、このようにして、かなり改善される。
大きな短絡電流の遮断の間に、ピストン/シリンダ系がスプリングの予荷重力を支えるので、スプリングの硬さが、比較的小さく抑えられることが可能である。スイッチが閉じられたとき、高い硬さ備えたスプリングが使用されたときに生ずるであろう、好ましくない強い接点の撥ね返りが、このようにして、避けられる。もし、ピストン/シリンダ系が、アーク・ゾーンとつながる圧縮スペース(ピストン/シリンダ系のピストンの第一の端面により境界が定められる)を含んでいる場合に、そしてもし、圧縮スペースに対して反対側のピストンの第二の端面が、第二の接触部材のアーク接触子(ピストンと比べてより小さい直径を有している)にリジッドに接続されている場合には、本発明に基づくスイッチにおいて、第二の接触部材のアーク接触子を除いて、更なる移動部分が必要とされることがない。
アーク・ガスが、ピストン/シリンダ系のボリューム(ピストンにより圧縮スペースから分離されている)の中に侵入することを防止するために、第二の接触部材のアーク接触子は、接点キャリアの壁部分(ピストンの第二の端面アーク・ガスから遮蔽する)を通って導かれる。
もし、接点キャリアの壁部分で、中空シリンダ(圧縮スペースをピストン/シリンダ系の径方向に外側に対して制限する)が保持されている場合には、本発明に基づくスイッチのコンパクトな構造が確保される。
シンプルな手段により、径方向内側に対して圧縮スペースの境界を定めるために、ピストン・ロッドを、軸方向に圧縮スペースの境界を定める第一の端面に取り付けることが好ましい、また、第二の接触部材のアーク接触子、ピストン及びピストン・ロッドの中に、排気ダクトを鋳込むことが好ましく、この排気ダクトは、アーク・ゾーンをスイッチの排気スペースに接続する圧縮スペースを通って、軸方向に導かれる。このピストン・ロッドは、軸方向に圧縮スペースの境界を定める中空シリンダのボトムの中を通って、軸方向に変位可能に導かれることが可能である。
予め張力が与えられたスプリングは、圧縮スペースの中に配置されることが可能であり、一端で、ピストンの第一の端面の上に支持され、もう一方の端で、シリンダ・ボトムの上に支持される。
アーク・ゾーンは、好ましくは、環状に構成された膨張スペースを介して、圧縮スペースに接続される。アーク・ゾーンの中に形成された高温のアーク・ガスは、最初に断熱的に、圧縮スペースの方向に膨張して、この膨張スペースの中に入る。このプロセスの間に、アーク・ガスが、冷却され、比較的低い温度で圧縮スペースの中に出現する。この低い温度は、一般的に圧縮スペースの中に配置されるスプリングに、緩和(relaxation)が生じないことに寄与する。
膨張スペースの壁は、絶縁ノズル(接点キャリアの上に保持されている)の長手方向のガイドとして使用されるスリーブにより、径方向に外方向に形成されることが可能であり、且つ、第二の接触部材のアーク接触子により、径方向に内方向に形成されることが可能であり、膨張スペースは、環状間隙を介して、アーク・ゾーンに接続されることが可能であり、この間隙は、絶縁ノズルと第二の接触部材のアーク接触子との間に配置され、少なくとも一つのダクトを介して、圧縮スペースにつながり、このダクトは、接点キャリアの壁部分及び中空シリンダを通って導かれる。
図1は、本発明に基づく高電圧スイッチの好ましい実施形態の、軸Aに沿って導かれた断面の上面図を示している。
以下のテクストにおいて、図面を参照しながら、本発明がより詳細に説明される。この図面において、図1は、本発明に基づく高電圧スイッチの好ましい実施形態の、軸Aに沿って導かれた断面の上面図を示していて、この図の中で、軸の左側に示されている部分には、高い短絡電流の遮断の間の状態が示され、軸の右側に示されている部分には、スイッチ・オンの状態が示されている。
図面の中に使用された参照符号及びそれらの意味は、参照符号のリストの中にまとめられている。図の中で、原則として、同一にまたは同様に作用する部分には、同一のまたは同様な参照符号が付されている。本発明を理解するために不可欠ではない部分は、部分的に、図の中に示されていない。説明されている代表的な実施形態は、本発明の主題に対する例として使用されていて、本発明を限定する効果を有していない。
図1の中に示された本発明に基づく高電圧スイッチは、発電機のサーキット・ブレーカとして構成され、典型的に、24kVの公称電圧、6.3kAの公称電流、63kAの許容短絡電流、及び50/60ヘルツの公称周波数のためにデザインされている。このブレーカは、ケース10を有していて、このケースは、アーク・クエンチ特性を有する絶縁ガスで、一般的に数バールの圧力までの、例えば、六フッ化イオウ、および/または窒素、および/または二酸化炭素に基づく絶縁ガスで満たされている。
図の中に示されているケースの上側の部分は、中空円筒状のインシュレータ11、及びそれぞれ電流端子として使用される二枚の金属プレート12,13を有していて、これらの金属プレートの間に、インシュレータが、ガス・タイトな状態でフランジを用いて取り付けられている。ケース10の中に、電流ターミナル12,13に導電性を有して接続された接点装置が設けられ、この接点装置は、二つの接触部材20及び30を有していて、これらの接触部材は、軸Aに沿って互いに対して移動されることが可能である。接触部材20は、ドライブ(図に示されていない)に接続され、両方向の矢印Dで示されているように、閉じるときには、軸Aに沿って上方向に導かれ、開くときには、軸Aに沿って下方向に導かれる。
接触部材20は、軸方向に対称的な配置で、管状のアーク接触子21、及び間隔を開けてこの接触子の周りを取り囲む公称電流接点22を有し、これに対して、接触部材30は、軸方向に対称的な配置で、同じく環状に構成されたアーク接触子31、及び間隔を開けてアーク接触子31の周りを取り囲む公称電流接点32、を含んでいて、この公称電流接点は、接点フィンガーの外側の及び内側のリングを有し、それ故に、高い公称電流の伝送を促進する。アーク接触子31は、公称電流接点32に対して、軸Aに沿って変位可能に支持され、予め張力が与えられたスプリング33の助けにより、そのアーク弾性的に構成された自由端で支持され、スイッチが閉じられたとき(図の右半分の部分)、アーク接触子21の自由端(これもまた、アーク弾性的に構成されている)の上に適切な接触力を形成する。
接触部材20で、アーク接触子21及び公称電流接点22は、径方向に伸びる壁23を介して、導電性を有して接続されている。接触部材20に、絶縁ノズル40(典型的にPTFEを含んでいる)が取り付けられ、この絶縁ノズルは、アーク接触子21と公称電流接点22との間に配置され、それらの自由端を超えて突出している。アーク接触子21及び公称電流接点22は、径方向に伸びる壁23を介して、導電性を有して接続され、壁23及びノズル40とともに、加熱ボリューム24の境界を定め、この加熱ボリュームは、ブレーカが開かれたとき(図の左半分の部分)、スイッチング・アークSを収容するアーク・ゾーンLとつながり、また、このアーク・ゾーンは、互いに向かい合う二つのアーク接触子の自由端21,31により軸方向に境界が定められ、絶縁ノズル40により径方向外側に対して境界が定められる。加熱ボリューム24は、圧縮されたアーク・ガスを収容するために使用され、そのアーク・ガスは、ブレーカが開くときアーク・ゾーンの中でスイッチング・アークSにより形成され、加熱ダクト25を介して供給される。
接触部材20は、固定中空金属シリンダ14の中を、軸Aに沿って気密性を有して摺動する状態で且つ導電性を有して運ばれる。中空シリンダは、電流端子として使用されるプレート12に導電性を有して取り付けられている。中空シリンダ14及びプレート12の中央部分は、圧縮スペース26を備えたピストン/シリンダ圧縮デバイスの固定シリンダを形成する。圧縮スペース26の中にある絶縁ガスは、接触部材20の助けにより圧縮され、次いでブレーカが開かれたときに、下方向に導かれ、ピストンとして働く。もし、加熱ボリューム24の中のガス圧力が、圧縮スペース26の中より小さい場合には、圧縮された絶縁ガスは、圧縮スペース26から加熱ボリューム24の中に導かれる。
接触部材30は、ポットの形態で構成された接点キャリア50を有している。この接点キャリアは、ポットの縁として働くその端部で、電流端子として働く金属プレート13に、導電性を有して取り付けられている。接点キャリア50の壁部分51(ポットのボトムとして働く)は、中央開口51aを有し、中央開口の周りを同軸上に取り囲む中空シリンダ52(ポットの内側の中に配置されている)を支えている。中空シリンダ52の末端部分(壁部分51に対して反対側)の中に、径方向内側に伸びるシリンダ・ボトム53が組み込まれ、その中に、中央開口53aが鋳込まれている。壁部分51の外側の縁の領域の中に、外側で公称電流接点32が、内側でスリーブ34が、同軸の配置で導電性を有して取り付けられている。
中空シリンダ52は、ピストン/シリンダ系60の一部であって、アーク・ゾーンLとつながる圧縮スペース61を有している。この圧縮スペースは、シリンダ・ボトム53により、及び中空シリンダ52の中に支えられているピストン62の端面62aにより、軸方向に境界が定められている。径方向において、この圧縮スペースは、中空シリンダ52により、外側に対して境界が定められ、そして端面62a上の取り付けられたピストン・ロッド63により、内側に対して境界が定められている。ピストン・ロッドは、ブレーカの排気スペースPの中に、開口53aの中を通って運ばれ、この排気スペースは、開口(図に示されていない)を介して、ケース10の内側とつながっている。
ピストン62は、圧縮スペース61に対して反対側のその端面62bで、ピストンと比べてより小さい直径62を有するアーク接触子31に、リジッドに接続されている。アーク接触子31は、中空シリンダ52により取り囲まれたスペースから、開口51aの中を通って運ばれる。壁部分51は、それ故に、端面62bを、絶縁ノズル40を通って膨張するアーク・ガスから、遮蔽する。アーク接触子31、ピストン62及びピストン・ロッド63の中に、圧縮スペース61(ノズル機能を有している)を通って軸方向に導かれる排気ダクト35が鋳込まれていて、この排気ダクトは、アーク・ゾーンLをブレーカの排気スペースPに接続する。
予め張力が与えられたスプリング33は、圧縮スペース61の中に配置され、その下側の端部で端面62a上に支持され、反対側の上側の端部で、シリンダ・ボトム53上に支持され、接触力を形成する。
参照符号Eは、膨張スペースを示していて、この膨張スペースの壁は、スリーブ34により径方向に外方向に、且つ、アーク接触子31により径方向に内方向に、形成されている。膨張スペースのボトムは、絶縁ノズル40により形成され、天井は、壁部分51により形成されている。膨張スペースEは、環状間隙41を介して接続され、この間隙は、アーク・ゾーンLに対して、絶縁ノズル40により、径方向に外方向に境界が定められ、アーク接触子31により、径方向に内方向に境界が定められている。接点キャリア50の壁部分51の中及び中空シリンダ52の中を運ばれるダクト54は、膨張スペースEを圧縮スペース61に接続する。
ブレーカが閉じられたとき、電流は、主として、端子12から、中空シリンダ14、摺動接点(図に示されていない)、公称電流接点22,32、及び接点キャリア50を介して、端子13に導かれる。短絡電流が遮断されたとき、駆動機構Dは、接触部材20を下方へ導く。このプロセスの間、アーク接触子31(スイッチ・オンの位置でアーク接触子21の上に支持されている(図の右半分の部分))は、予め張力が与えられた接点スプリング33の力により追従し、要求される接触力を維持する。この接触力は、公称電流接点22,32の分離の後でも、そして、接続ウォール23、アーク接触子21,31、摺動接点(図に示されていない)、及び壁部分51を含むところの、電流の電流経路の中への転流後でも、未だ存在する。
ピストンの端面62bが壁部分51に接すると直ぐに、二つのアーク接触子21,31が分離して、それらの互いに向かい合う自由端の間に、スイッチング・アークSが生ずる。このアークSは、圧力を有する高温ガスを発生させ、このガスは、一方では、加熱ダクト25を介して、加熱ボリューム24の中に膨張し、もう一方では、排気ダクト35、及びアーク接触子21の中に鋳込まれたノズル機能を有する排気ダクト27を介して、ケース10の内側に流れる。遮断される電流のゼロ遷移が近づいたとき、加熱ボリューム24の中に貯えられたガスが、アークS(圧縮スペース26からの圧縮された絶縁ガスにより支持されている)に吹き付けられ、それにより、電流が妨げられることになる。
大きな、典型的に非対称の短絡電流が遮断されたとき、特に高いガス圧力がアーク・ゾーンLの中に生じ、この圧力は、アーク接触子31に、予め張力が与えられたスプリング33に対して反対に作用する力を、加える。同時に、二つのアーク接触子21,31が、強い電気力学的力のために跳ね返される。そのような短絡電流が遮断されたとき、かなり大きな反力が、それ故に、予め張力が与えられたスプリング33に作用する。非対称の短絡電流が妨げられたときに、接点31が、接触部材20の移動に対して反対に、そして、スプリング33の力に対して反対に、上方に戻されることを防止するため、アーク・ガスの一部が、アーク・ゾーンから、環状間隙41、膨張スペースE及びダクト54を介して、圧縮スペース61の中に導かれる。
このガスは、圧縮スペース61の中の圧力を増大させ、この圧力は、ピストン62に、従ってまた接点31に、復元力を加える。この復元力は、アーク・ゾーンLの中に存在するアーク・ガスの圧力に対して比例し、スプリング33の予荷重力を支える。二つのアーク接触子21と31の間の、好ましくない大きな距離、また、それに対応する高いアーク電圧が、電流遮断の最初の段階に、このようにして、避けられる。その理由は、高いアーク電圧が、スイッチング・アークSの中で変換されるエネルギーをかなり大幅に増大させて、遮断プロセスの正に最初の段階に、過大な接点エロージョン及び強いガスのコンタミネイションをもたらし、それが、ブレーカの信頼性及び使用寿命を劇的に減少させるからである。
環状間隙41の流れ断面は、膨張スペースEの流れ断面及び流れダクト54の流れ断面のそれぞれと比べて、大幅に小さい。この理由のために、アーク・ゾーンLから圧縮スペース51の中に導かれたアーク・ガスは、環状間隙から出現した後、膨張スペースの中に断熱的に膨張する。結果として、膨張スペースEの中で膨張するアーク・ガスの圧力及び温度が減少される。絶縁ノズル40外表面の上で摺動するスリーブ34、及び中央開口51aを閉じる中央開口51aのために、膨張スペースが適切な気密性を有しているので、冷却されたアーク・ガスの主要な部分は、膨張スペースEから、ダクト54を介して、圧縮スペース61の中へ流れる。
このスペースの中に導かれるガスの圧力は、アーク・ゾーンLの中でのアーク・ガスの圧力と比べて、かなり小さいが、この圧力は、アーク接触子31が戻ることを防止するために、依然として十分である。これは、以下の事実により実現される:即ち、帰還を防止するための復元力が、圧縮スペース61の中で作用するピストン面F1により実現され、このピストン面は、アーク・ゾーンLの中の圧力で反対側に負荷されるピストン面F2と比べて、明らかに、数倍大きく、このアーク・ゾーンは、アーク接触子31の開放端(スイッチング・アークの根元を運ぶ)により形成される。
膨張スペースEの中でのアーク・ガスの強い冷却のため、そして圧縮スペース61の中での冷却されたアーク・ガスの比較的短い滞在時間のために、スプリング33には、緩和が生ずることがなく、問題を伴わずに、追跡(following-up)及び接触を有するその機能を満足することが可能である。大きな、特に非対称の短絡電流の遮断の間に、復元デバイスとして働くピストン/シリンダ系60が、スプリング33の予荷重力を支えるので、スプリングの硬さは、比較的小さく維持されることが可能である。ブレーカが閉じられたとき、高い硬さを備えたスプリングが使用されたときに生ずるであろうところの、好ましくない大きな接点の撥ね返りが、このようにして避けられることになる。
10…ケース、11…インシュレータ、12,13…金属プレート、電流ターミナル、14…中空シリンダ、20…接触部材、21…アーク接触子、22…公称電流接点、23…接続ウォール、24…加熱ボリューム、25…加熱ダクト、26…圧縮スペース、27…排気ダクト、30…接触部材、31…アーク接触子、32…公称電流接点、33…接点スプリング、34…スリーブ、35…排気ダクト、40…絶縁ノズル、41…環状間隙、50…接点キャリア、51…接触部材の壁部分、51a…壁部分の中の開口、52…中空シリンダ、53…シリンダ・ボトム、53a…シリンダ・ボトムの中の開口、54…ダクト、60…ピストン/シリンダ系、復元デバイス、61…圧縮スペース、62…ピストン、62a,62b…ピストン62の端面、63…ピストン・ロッド、A…軸、D…駆動、E…膨張スペース、F1,F2…圧力が作用するピストン面、L…アーク・ゾーン、
P…排気スペース、S…スイッチング・アーク。

Claims (9)

  1. 二つの接触部材(20,30)を有する接点装置を備えたガス絶縁高電圧スイッチであって、
    これらの接触部材は、軸(A)に沿って互いに対して移動されることが可能であり、それぞれ一つのアーク接触子(21,31)と、二つの接触部材の内の第一の接触部材(20)に取り付けられた絶縁ノズル(40)と、を有し、
    この絶縁ノズルの中で、第二の接触部材(30)のアーク接触子(31)が、予め張力が与えられたスプリング(33)の作用に抗して軸方向に変位可能に支持され、
    この絶縁ノズルの中で、前記接点装置が閉じられたときに、前記二つのアーク接触子(21,31)の自由端が互いの上に支えられて、前記予め張力が与えられたスプリング(33)により作り出される接触力を形成し、そして、
    この絶縁ノズルの中で、前記接点装置が開かれたときに、前記二つのアーク接触子(21,31)が互いから分離し、この過程の中で、圧縮されたアーク・ガスを収容するアーク・ゾーン(L)が作り出され、
    このアーク・ゾーンは、前記二つのアーク接触子(21,31)の自由端により軸方向に、且つ、前記絶縁ノズル(40)により径方向外側に対して境界が定められる、
    ガス絶縁高電圧スイッチにおいて、
    第二の接触部材(30)は、復元デバイスとして使用されピストン(62)及び中空シリンダ(52)を備える駆動機構(60)を有し、この駆動機構(60)は、前記アーク・ゾーン(L)とつながっていて、且つ、アーク・ゾーン(L)の中で作り出される圧縮されたアーク・ガスの増大する圧力で、前記予め張力が与えられたスプリング(33)の反発力を支える復元力を発生すること、を特徴とするガス絶縁高電圧スイッチ。
  2. 下記特徴を有する請求項1に記載のスイッチ、
    前記駆動機構(60)は、アーク・ゾーン(L)につながる圧縮スペース(61)を含み、且つ、
    この圧縮スペース(61)は、前記駆動機構(60)のピストン(62)の第一の端面(62a)により境界が定められ、且つ、
    この圧縮スペース(61)に対して反対側の、前記ピストン(62)の第二の端面(62b)は、前記ピストンと比べて小さい直径を備えた、第二の接触部材(30)のアーク接触子(31)にリジッドに接続されている。
  3. 下記特徴を有する請求項2に記載のスイッチ、
    第二の接触部材(30)のアーク接触子(31)は、接点キャリア(50)壁部分(51)を通って導かれ、この壁部分は、前記ピストン(62)の第二の端面(62b)を、アーク・ガスから遮蔽する。
  4. 下記特徴を有する請求項3に記載のスイッチ、
    前記接点キャリア(50)の壁部分(51)で、前記駆動機構(60)の中空シリンダ(52)が保持され、この中空シリンダは、前記圧縮スペース(61)を、外側に対して径方向に制限する。
  5. 下記特徴を有する請求項4に記載のスイッチ、
    前記圧縮スペース(61)を軸方向に制限する第一の端面(62a)に、前記圧縮スペースを内側に対して径方向に制限するピストン・ロッド(63)が取り付けられ、且つ、
    前記圧縮スペース(61)を通って軸方向に導かれる排気ダクト(35)が、第二の接触部材のアーク接触子(31)、前記ピストン(62)、及び前記ピストン・ロッド(63)、の中に鋳込まれ、この排気ダクトは、アーク・ゾーン(L)を当該スイッチの排気スペース(P)に接続する。
  6. 下記特徴を有する請求項5に記載のスイッチ、
    前記ピストン・ロッド(63)は、圧縮スペース(61)を軸方向に制限する、前記中空シリンダ(52)のボトム(53)の中を軸方向に変位可能に導かれている。
  7. 下記特徴を有する請求項6に記載のスイッチ、
    前記予め張力が与えられたスプリング(33)は、前記圧縮スペース(61)の中に配置され、一方の端で第一の端面(62a)上に支持され、もう一方の端で前記シリンダのボトム(53)上に支持されている。
  8. 下記特徴を有する請求項3から7に記載のスイッチ、
    前記アーク・ゾーン(L)は、環状に構成された膨張スペース(E)を介して、前記圧縮スペース(61)に接続されている。
  9. 下記特徴を有する請求項8に記載のスイッチ、
    前記膨張スペース(E)の壁は、前記接点キャリア(50)の上に保持されるところの、前記絶縁ノズル(40)の長手方向のガイドとして使用されるスリーブ(34)により、径方向外側に向けて形成され、且つ、第二の接触部材のアーク接触子(31)により、径方向内側に向けて形成され、且つ、
    前記膨張スペース(E)は、絶縁ノズル(40)と第二の接触部材(30)のアーク接触子(31)との間に配置された環状間隙(41)を介して、アーク・ゾーン(L)に接続され、且つ、前記接点キャリア(50)の壁部分(53)及び前記中空シリンダ(52)を通って導かれる少なくとも一つのダクト(54)を介して、前記圧縮スペース(61)とつながっている。
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