JP5170675B2 - 太陽熱蓄熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽熱を効率よく蓄熱する太陽熱蓄熱装置に関するものである。
エネルギーの多くは石油、石炭、そして電力を元にして作られている。そのために高いコストと有害な物質による公害、自然環境破壊、地球温暖化を招いてきた。再生可能エネルギーといわれる自然界の太陽、風力、水力のエネルギーを電力に変換して有効利用が図られて入るが、変換するための施設費、維持費に大きなコストがかかる。
又原子力発電も高いコストと危険性が伴う。
また、太陽光線を利用する太陽電池は開発されているが、太陽電池が高価であるばかりか蓄熱装置としては効率は低く、太陽熱を利用して水を温める温水器は従来より開発されてきたが、北海道などの寒冷地で夏場は利用できるが冬場では高温の水を得ることは困難であった。
特開2004−205183公報 特開2002−130841公報
本発明の課題は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、太陽の熱エネルギーを効率よく水に蓄熱することにより、クリーンなエネルギーを安いコストでいつでも誰でもどこでも有効活用することが出来る太陽熱蓄熱装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、円盤状の底部と半球状のドーム部と蓄熱貯水槽部とからなる太陽熱蓄熱装置であって、前記底部の上部には黒色のスノコ部を設けるとともに下部は底部水槽を設け、前記ドーム部は複数本の円弧状のポールよりなる枠体部を設け、該ドーム部の太陽光線が照らされる部分には二重の透明及び半透明のビニールシートを張り巡らし、該ドーム部の太陽光線が照らさない部分には内周面に内部へ反射する鏡部を張り巡らしてほぼドーム内を密封状態にするとともに頂部にはノズルを設け、前記水槽の底部と蓄熱貯水槽部を連結して該蓄熱貯水槽部に温水を貯留し、その温水を更にポンプによって前記ノズルに供給し、該ノズルからドーム部内部に霧状に噴霧し、霧状から水滴になった水をスノコ部に接触させて底部水槽に循環させることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の太陽熱蓄熱装置において、前記二重の透明及び半透明のビニールシートは、外周面側には透明シートを内周面側には遠紫外線を抑える半透明シートを張り巡らしたことを特徴とする。
本発明によれば、ドーム状の部屋内に集熱するので、太陽熱を自然環境の変化や気象の変化にあまり影響されず、さらに、ドーム型の構造はすこぶるコストが安く、耐久力があり、固定した半円形の風船のような構造であるので、ドーム製造コストも維持費も低いとうい効果がある。また、熱の蓄積媒体もドーム部内に集熱された熱エネルギーをミスト状にして散布した水に蓄熱し、循環して用いることができるので効率よく蓄熱でき、また、二重のシートによりドーム内の太陽熱の放熱を防ぎ、集熱を高めるために反射鏡を設置し、表面積の多いスノコ構造の黒色金属板を設置して集熱効果を高めることができるという効果がある。
本発明の好適な太陽熱蓄熱装置の実施例を図面に沿って説明する。
図1に示すように、太陽熱蓄熱装置1は円盤状の底部2と半球状のドーム部3と蓄熱貯水槽部4とから構成される。
本実施例に用いたドームの規模は、円盤状の底部2の直径L=1.2m、ドーム部3の高さH=1.2mであり、底部2の下部は水槽21の深さh=15cmであり、また、蓄熱貯水槽部4は水槽21の容積の約1.5〜3倍である。
底部2の水槽21の上の一面には、スノコ状に表面を黒色に塗った金属パイプ22を掛け渡してあり、底部2の底には蓄熱貯水槽部4の温水タンク41に通じる連通管42が設けられている。
底部2の上部にはドーム部3が設けられるが、ドーム部3は6本(数本)の円弧状のポール31よりなる枠体部が底部2の外周に亘って等間隔に立てられ、頂部32で結合して、その頂部32には噴霧装置33が固定され噴霧装置33のドーム部3の内周側には噴霧ノズル331が設けられ、この噴霧ノズル331はドーム部3内に均一に充満するように4個設けてある。6本(数本)の円弧状のポール31の太陽光線が照らされる南側部分には外周面に透明のシート34と内周面に保温性半透明のシート35を張り巡らし、ドーム部3の太陽光線が照らさない北側部分には内周面に内部へ熱反射する鏡部(反射板)36を張り巡らして、必要に応じて外周にはシート押さえポール38(図3)を設けてもよく、底部2には内周に沿ってシートを内側から支える円形ポール23(図2)を設け、ほぼドーム内を密封状態にしている。
このシートの部分は、図3に示すように、二重のビニールシートうち、外周面側には透明シートを張り巡らすが、この透明シートとしては厚さ0.075mm(シーアイ化成(株):スカイエイト.透明率95%(当初)(3年使用後70%)を使用した。透明シートは太陽光線を取り込む性能が高いものが良く、透明、或いは、ほぼ透明(透明率90%以上)に近いのものがよい。また、内周面側には遠紫外線を抑える半透明シートを張り巡らすが、この半透明としては0.1mm(シーアイ化成(株):ハイホットスカイエイト(商標))を使用した。この半透明シートの透明性は直進光線(550mm)透過率75%で全光線(550mm)透過率90%程度であるが、保温性に関する遠赤外線(5〜25μ)透過率は15%(一般農ビ25%)であり保温性を有するものである。
そして、この二重のシートの間には、間隔0〜3cm(平均1cm)程度の空気層37が存在する。ドーム部の太陽光線が照らさない部分の内周面に設ける熱反射の鏡部(反射板)36はビニールシートにアルミ箔を貼り付けたミラーである。
図1に示すように、噴霧装置33には、蓄熱貯水槽部4の温水タンク41に通じる連通管43、ポンプ45、連通管44を介して接続され、噴霧装置33の噴霧ノズル331のミスト散布水量は120リットル/毎時である。また、温水タンク41で温水はさらに何度か循環され、更に温度を上昇させて蓄熱貯水槽部4の温水タンク41に温水として貯水され、必要に応じて、暖房用温水、風呂用温水等として供給管46からバルブ461(及び図示はしないポンプ)を介して 所定の装置に供給させる。空になった温水タンク41(例えば朝等)には、新たな水道水が補給管47及びバルブ471を介して満たされる。
スノコ状に設けた立体多面積である金属パイプ22は、直径20mmのスチールパイプの表面を黒い塗料で塗って、約30本程度を平行に並べ全体を底部2の外周に合わせて、円状になるように切断し、針金等で適当な間隔に互いを連結してある。
本実施例の太陽熱蓄熱装置1は以上の構成であるが、次に、その蓄熱作用を図4のフローチャート図で説明する。
図4において、ステップS1では、ドーム部3の内部に太陽光を二重の透明シート34及び半透明シート35を透して内部に取込む。ステップ2で、取り込まれた太陽光は熱となってドーム内部を暖めるが、半透明シート35及び鏡部(反射板)36により熱線は反射されて内部に留まり、又、半透明シート35により遠紫外線の外部への放熱を少なくする。
ある程度、ドーム部3内部の温度が上昇すると、ステップ3に進み、蓄熱貯水槽部4の温水タンク41から連通管43を介してポンプ45を稼働することにによって温水を吸い上げ、更に連通管44から噴霧部33に供給し、ステップ4で噴霧部33の噴霧ノズル331から水を噴霧状にしてドーム部3内に散布する。
散布されたミストはドーム部3内の暖められている空気によって暖められ、水滴となって底部2に落下するが、ステップS5では、やはり暖められた底部2の金属パイプ22に接触し更に暖められて下部の水槽21に落下し、ステップ6で水槽21に集められて、ステップ7で水槽21の底に設けられた連通管42を通じて温水タンク41に貯留させる。
こうして、太陽が昇っていてドーム3が暖められている間は、ステップ7からステップ2に戻り、温水を循環させて更に温水の温度を上昇させる。
温水タンク41に所定温度になった温水は、ステップ8で必要に応じて暖房用温水、風呂用温水等として供給管46からバルブ461及びポンプを介してそれらの施設に供給する。
ここで、実施例の構成の作用につて実験結果を説明する。
[1.シートによる蓄熱効果]
ドーム部3のシートの構成は、本発明では二重のビニールシートとすることを特徴の一つとするが、先ず、シートの種類はドーム部3の内側のシートを保温性半透明シート(厚さ0.1mmシーアイ化成(株):ハイホットスカイエイト(商標))とした理由は、透明シートと半透明シートの集熱効率を比較した次の[表1−1]の実験結果であり、この表から透明フィルムを100%とした場合に、半透明フィルムの温度上昇は159%と明らかに保温性については半透明シートの方が有利であったからである。
[表1−1]
Figure 0005170675
次に、半透明シートの1枚(一重)の場合と、本実施例の外側透明シートで内側半透明シートの二重の場合と、更にその内側半透明シートの三重の場合の実験結果を[表1−2]と[表1−3]に示す。[表1−2]は天候が晴れ時々曇り日(4月)であり、[表1−3は天候が曇り時々雨の日(4月)である。以下の実験での対象蓄熱は同じ大きさの器に同じ推量の水を入れて、同じ環境下で測定した。
[表1−2]
Figure 0005170675
[表1−3]
Figure 0005170675
ここで、本実施例の外側透明シートで内側半透明シートとした理由を説明するが、意外であったのは、同じ透明と半透明の二重のシートの場合でも、半透明シートの配置位置によって集熱効果の実験値の[表1−4]に示すように異なることである。すなわち、ドーム部3の内側に熱反射効率のよい透明シートを、外側に半透明シートを配置した場合を100%とした場合に、内側に半透明シートを、外側に透明シートを配置した場合には125%も温度上昇が高くなることが判る。
[表1−4]
Figure 0005170675
上記の実験結果から、晴れであれ、曇りであれ、フィルムシートは一重(晴れ:18.0℃→48.0℃)よりも二重(晴れ:18.0℃→49.5℃)にした方が水温上昇は大きいが、三重にすると逆に水温上昇(晴れ:18.0℃→32.0℃)は鈍くなる。これはフィルムシートを重ねた方が熱反射や空気層の存在で保温効果が上がるが、あまり重ねると太陽交差炎光線の透過率が下がりドーム内の温度が上がらないものと考えられる。したがって、本実施例のように、外周に透明シート34、内周に半透明シート35の二重にする構成が最適である。
なお、透明シートのシーアイ化成(株)のスカイエイト(商標)以外にもMKVプラステック株式会社のノービエース(商標)でもよく、また、半透明のシーアイ化成(株)のハイホットスカイエイト(商標)以外にも、MKVプラステック株式会社のダンビーノ(商標)でもよく、それぞれ同等物性のシートであればよい。
[2.鏡部(反射板)の蓄熱効果]
ドーム部3の鏡部(反射板)36の構成は、ドーム部3の太陽光線が照らさない北側部分(多少の地域差はあるが)の約140度(頂部32)からの角度の範囲には内周面に内部へ反射する鏡部36(反射板)を張り巡らして、放熱を防ぐとともに、熱線を内部に反射して保温効果を高めている。この実験結果を[表2]に示す。
[表2]
Figure 0005170675
上記の実験結果から、鏡部(反射板)36を設けたほうが、比率で20%(100%→120%)も上昇することが判る。
[3.スノコ状黒色パイプの蓄熱効果]
上述したようにドーム部3内の底部にスノコ状に設けた立体多面積である表面黒色の金属パイプ22を設けたところ、この黒色の金属パイプ22はドーム内が噴霧状態であっても、かなりパイプの表面温度が上昇することを知見したので、この温度上昇をも取り込むために、噴霧した水が水滴となって落下する際に、このパイプに接触させて更に温度上昇するように試みた。比較のため、これら金属板等の蓄熱部材を設けない場合と、平面金属板と、本実施例の表面黒色の金属パイプ22について、同じ条件下で実験をした。この実験結果を[表3]に示す。
[表3]
Figure 0005170675
上記の実験結果から、金属板等の蓄熱部材を設けない場合と比較して、平面金属板をスノコ状に配置した場合は31%(100%→131%)上昇し、本実施例の立体多面積である表面黒色の金属パイプ22の場合は、63%(100%→163%)も上昇したことが判る。
[4.総合蓄熱効果]
以上の各蓄熱効果での最適なものを選択した本実施例の太陽熱蓄熱装置1の蓄熱量と戸外の蓄熱量とを比較した実験結果を[表4−1]、[表4−2]、[表4−3]に示す。
[表4−1]は晴天日での本太陽熱蓄熱装置と外部との蓄熱量の比較表であり、[表4−2]は曇り時々晴れ日での蓄熱量の比較表であり、[表4−3]は曇り時々雨の日の蓄熱量の比較表である。
[表4−1]
Figure 0005170675
[表4−2]
Figure 0005170675
[表4−3]
Figure 0005170675
上記の実験結果は、[表4−1]では、晴天で気温の高い日の蓄熱量はおおむね高い蓄熱量となり、その比率は対象区の戸外に対して730%の数値を記録した。[表4−2]の曇り時々晴れ日の蓄熱量も、おおむね高い蓄熱量となり、その比率は対象区の戸外に対して650%の数値を記録した。[表4−3]の曇り時々雨の低温日はおおむね高い蓄熱量となり、その比率は対象区の戸外に対して830%の数値を記緑し、曇り日でも蓄熱効果が高いことが判る。
これらの実験結果から、一般家庭一日のお湯の必要量を500リットルと想定すると直径1,8メートルのドームでまかなうことが出来る。また、ボィラーを付加することにより必要温度のコントロールやドーム面積はより少なく出来る。
以上のように、本実施例によれば、ドーム状の部屋内に集熱するので、太陽熱を自然環境の変化や気象の変化にあまり影響されず、さらに、ドーム型の構造はすこぶるコストが安く、耐久力があり、固定した半円形の風船のような構造であるので、ドーム製造コストも維持費も低くい。また、熱の蓄積媒体もドーム部内に集熱された熱エネルギーをミスト状にして散布した水に蓄熱し、循環して用いることができるので効率よく蓄熱でき、また、二重のシートによりドーム内の太陽熱の放熱を防ぎ、集熱を高めるために反射鏡を設置し、表面積の多いスノコ構造の黒色金属板を設置して、水滴により効率的に熱を位相でき集熱効果を高めることができる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論である。
太陽熱蓄熱装置1は側断面図、 図1の平面図 図1の部分拡大断面図、 本発明の蓄熱作用のフローチャートの図である。
符号の説明
1・・ 太陽熱蓄熱装置
2・・底部、21・・水槽、22・・金属パイプ、23・・円形ポール
3・・ドーム部、31・・円弧状のポール、32・・頂部、
33・・噴霧部、331・・噴霧ノズル、
34・・透明(ビニール)シート、35・・保温性半透明(ビニール)シート、
36・・鏡部(反射板)、37・・空気層、38・・シート押さえポール
4・・蓄熱貯水槽部、41・・温水タンク、42,43,44・・連通管、
45・・ポンプ、 46・・供給管、47・・補給管、461,471・・バルブ

Claims (2)

  1. 円盤状の底部と半球状のドーム部と蓄熱貯水槽部とからなる太陽熱蓄熱装置であって、
    前記底部の上部には黒色のスノコ部を設けるとともに下部は底部水槽を設け、
    前記ドーム部は複数本の円弧状のポールよりなる枠体部を設け、
    該ドーム部の太陽光線に照らされる部分には二重の透明及び半透明のビニールシートを張り巡らし、該ドーム部の太陽光線に照らされない部分には、内周面に内部へ反射する鏡部を張り巡らしてほぼドーム内を密封状態にするとともに、頂部にはノズルを設け、
    前記水槽の底部と蓄熱貯水槽部を連結して該蓄熱貯水槽部に温水を貯留し、その温水を更にポンプによって前記ノズルに供給し、該ノズルからドーム部内部へ霧状に噴霧し、霧状から水滴になった水をスノコ部に接触させて底部水槽に循環させることを特徴とする太陽熱蓄熱装置。
  2. 前記二重の透明及び半透明のビニールシートは、外周面側には透明シートを内周面側には遠紫外線を抑える半透明シートを張り巡らしたことを特徴とする請求項1に記載の太陽熱蓄熱装置。
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