JP5170124B2 - 熱収縮性ポリエステル系フィルム - Google Patents
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1. ポリエステル系樹脂からなる基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた表面層とを有する積層フィルムであり、ポリエステル系樹脂が1種である場合には、エチレンテレフタレートユニットを含有する共重合ポリエステルであり、2種以上のポリエステルを混合する場合には、前記共重合ポリエステルおよびホモポリエステルの混合物であり、共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分として、エチレンテレフタレートユニットを構成するテレフタル酸のほか、イソフタル酸およびその置換体から選ばれ、ジオール成分としては、ポリエチレンテレフタレートユニットを構成するエチレングリコールのほか、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれ、表面層が、粒径1nm以上300nm以下の無機粒子0.05〜30重量%及びアルキル基を有し且つ炭素数が10〜20のアニオン系帯電防止剤を含有し、フィルムのヘイズ値が2%以下で、フィルムの少なくとも一方の面について測定角度45°における光沢度210%以上であり、フィルム一方の面と他方の面との動摩擦係数が1.5以下であり、フィルムを95℃の温湯に10秒間浸漬したときの主収縮方向の収縮率が50%以上であり、相対湿度65%下における表面固有抵抗が13logΩ以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
2. フィルムを90℃の温湯に10秒間浸漬して主収縮方向に10%収縮した後のヘイズ値が3%以下であり、フィルムの少なくとも一方の面について測定角度45°における光沢度190%以上であることを特徴とする上記第1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
3. フィルムの溶剤接着強度が2N/15mm以上であることを特徴とする上記第1又は第2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
4. 表面層が、固形分質量で0.0005g/m2以上0.1g/m2の範囲であることを特徴とする上記第1〜第3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
5. 表面層が、ポリエステルおよびまたはポリエステル誘導体を含有することを特徴とする上記第1〜第4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
6. 所定の一方向の延伸倍率を3.5倍以上とする逐次2軸延伸、同時2軸延伸、又は1軸延伸されてなることを特徴とする上記第1〜第5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
熱収縮性ポリエステル系フィルムとは、公知の多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分から形成されるエステルユニットを主たる構成ユニットとする単一の共重合ポリエステル、あるいは、2種以上のポリエステルの混合物を用いて得られるものであり、10cm×10cmの正方形状に切り取った熱収縮性ポリエステル系フィルムの95℃の温湯に10秒間浸漬したときの主収縮方向の収縮率が50%以上であるものをいう。
収縮率(%)=(加熱前寸法−加熱後寸法)/加熱前寸法 × 100
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いられる原料組成物中のポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、エチレンテレフタレートユニットを構成するテレフタル酸のほか、芳香族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸のいずれもが用いられ得る。
その他、添加剤としては、帯電防止剤;老化防止剤;紫外線吸収剤;着色剤、染料等などが挙げられる。
延伸工程においては、フィルムを構成する重合体が有するガラス転移温度(Tg)以上でかつ例えばTg+80℃以下の温度で予熱を行なうことが好ましい。延伸時のヒートセットでは、例えば、延伸を行なった後に、30〜150℃の加熱ゾーンを約1〜30秒通すことが推奨される。また、フィルムの延伸後、ヒートセットを行なう前もしくは行なった後に、所定の度合で延伸を行なってもよい。さらに上記延伸後、伸張あるいは緊張状態に保ってフィルムにストレスをかけながら冷却する工程、あるいは、該処理に引き続いて緊張状態を解除した後も冷却工程を付加してもよい。得られるフィルムの厚みは6〜250μmの範囲が好ましい。
特に、表面層成分中にはバインダーの働きをもつ樹脂成分としては、ポリエステルおよびまたはポリエステル誘導体であることが好ましく、疎水性共重合ポリエステル樹脂を幹ポリマーとすることが好ましい。該ポリエステル樹脂を有機溶媒中でラジカル重合性単量体をグラフト重合し、水添加、有機溶媒留去することにより得られるグラフト重合反応物は、密着性、耐水性に優れる上、水分散樹脂の形態であり、作業環境面、塗布性の点からも好ましく、また、ラベル加工の際必要となる溶剤によるフィルム同士の接着を阻害し難いことからも推奨される。好ましい幹ポリマーのポリエステル樹脂構成成分としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、等の脂肪族ジカルボン酸成分等から選択される成分に加えて、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸等の重合性不飽和2重結合を有する成分を0.5〜10モル%程度含有することが好ましく、グリコール成分としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオールや1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等から選択される成分を含有することが好ましい。また、グラフト部位は重合性不飽和単量体から構成されるが、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸等から選択される成分を含有することが好ましい。
れるものであると良好な接着性を有するため望ましい。
ことが好ましい。アニオン系帯電防止剤の存在量が上記範囲を下回ると、帯電防止効果を十分に確保できないことがある。他方、アニオン系帯電防止剤の存在量が上記範囲を超えると、フィルムの透明性や耐ブロッキング性が低下することがある。
を固着する力が弱くなり耐久性能がわるくなる。5.0g/m2をこえて塗布するとすべり性が悪くなる。
フィルムを長手方向およびその直交方向に沿うように10cm×10cmの正方形に裁断し、95℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間処理して熱収縮させた後、直ちに25℃±0.5℃の水中に10秒浸漬した後、試料の縦および横方向の長さを測定し、下記式に従って求めた。最も収縮率の大きい方向を最大収縮方向とした。
熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)
ヘイズはJIS K7136に準じて、ヘイズメーター(日本精密機械社製)を用いて測定した。
光沢度(グロス)はJIS Z8741に準じて、グロスメーター「VG2000」(日本電色工業株式会社製)を用いて測定角度45度で測定した。
フィルムの一方の面と他方の面における動摩擦係数μdをJIS K−7125に準拠
し、23℃,65%RH環境下で測定した。
アドバンテスト社製表面固有抵抗測定器(本体:R8340、試料箱:R12704)を用いて、印加電圧100V、23℃・65%RHの雰囲気下で測定し、測定器の読取値を表面固有抵抗とした。
延伸したフィルムに1,3−ジオキソランを綿棒で塗布量(5±0.3)g/m2、塗布幅5±1mmで塗布して2枚を張り合わせることでシールを施した。シール部をフィルムの主延伸方向(主収縮方向)に直角方向にそれぞれ15mmの幅に切り取り、それを(株)ボールドウィン社製 万能引張試験機 STM−50」にセットし、90°剥離試験で引張速度200mm/分で測定した。
得られたフィルムのコート面をレーザー顕微鏡(オリンパス社製LEXT OLS3000)を使用し拡大観察を行い無作為に選定した20ケの粒子の粒径を測定し、実施例記載のシリカa、b、cそれぞれに該当する粒子の平均粒径を求めた。粒径は各々の粒子の粒径が最大に測定される向きに長さを測定した。
(ポリエステルの合成例1)
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、グリコール成分として、エチレングリコール(EG)72モル%とネオペンチルグリコール(NPG)30モル%を、グリコールがモル比でメチルエステルの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル(酸成分に対して)と、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.025モル(酸成分に対して)添加し、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、280℃で26.7Paの減圧条件の下で重縮合反応を行い、ポリエステル(A)を得た。
合成例1と同様な方法により、表1に示すポリエステル(B)〜(C)を得た。なお、
表中、NPGがネオペンチルグリコール、BDが1,4−ブタンジオール、DEGがジエチレングリコールである。
<疎水性共重合ポリエステルの調製>
撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)345部、グリコール成分として1,4ブタンジオール(BD)211部、エチレングリコール(EG)270部、および重合触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート0.5部を仕込み、160℃から220℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで、ジカルボン酸成分としてフマル酸14部およびアジピン酸160部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.22mmHgの減圧下で1時間30分反応させ、疎水性共重合ポリエステルを得た。得られた疎水性共重合ポリエステルは、重量平均分子量20000、淡黄色透明であった。
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、上記疎水性共重合ポリエステル75部、メチルエチルケトン56部およびイソプロピルアルコール19部を入れ、65℃で加熱、撹拌し、疎水性共重合ポリエステルを溶解した。疎水性共重合ポリエステルが完溶した後、ラジカル重合性モノマーとして無水マレイン酸(MA)15部をポリエステル溶液に添加した。次いで、ラジカル重合性モノマーとしてスチレン(ST)10部、およびグラフト重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル1.5部を12部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1ml/minでポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メタノール5部を添加した。次いで、水300部とトリエチルアミン15部を反応溶液に加え、1時間撹拌した。その後、反応器内温を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、固形分25%のポリエステル系グラフト共重合体水分散液(E)を得た。該ポリエステル系グラフト共重合体は淡黄色透明で、ガラス転移温度−10℃であった。
本発明に用いる塗布液を以下の方法に従って調製した。ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部および三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量19,500の共重合ポリエステル系樹脂を得た。
得られた共重合ポリエステル系樹脂300質量部とブチルセロソルブ140質量部を160℃で3時間撹拌し粘稠な溶融液を得、この溶融液に水を徐々に添加し1時間後に均一な淡白色の固形分濃度30%の共重合ポリエステル樹脂の水分散液(F)を得た。
(1)ポリエステル系樹脂及び未延伸フィルム
各々別個に予備乾燥された表1に示すポリエステルAを75wt%、Bを10wt%、Cを15wt%を混合したポリエステル組成物を、押出機直上のホッパに、定量スクリューフィーダーで連続的に別々に供給しながら、このホッパ内で混合し、275℃で単軸式押出機で溶融押出しし、表面温度25℃のチルロール上で急冷して、厚さ200μmの未延伸フィルムを得た。
水を全体の29.8%、イソプロピルアルコールを全体の30%、共重合ポリエステル樹脂の水分散液(E)と、コロイダルシリカ(a)(「スノーテックスMP2040」日産化学工業製)を固形分に対して15%、コロダイルシリカ(b)(「スノーテックスOS」日産化学工業製)を固形分に対して10%になるように混合し、ドデシルスルホネートを固形分30%に調整した液を使用し全体の10%になるように加え、調合し、塗布液とした。
(1)で得た未延伸フィルムに(2)で調合した塗布液をバーコート方式で塗布しながら、連続的にテンターに導きフィルム温度が98℃になるまで予備加熱した後、温度77℃で横方向に5.0倍延伸した。次いで78℃にて14秒間熱処理を行って、コート量0.01g/m2、厚さ40μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。得られたフィルムの物性値を表2に示す。
コロイダルシリカ(b)を固形分に対して10%、コロダイルシリカ(c)(「スノー
テックスMP3040」日産化学工業製)を固形分に対して15%とした他は実施例1と同様の方法で熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
このフィルムの物性値を表2に示す。
ポリエステル樹脂の水分散液(F)と、シリカ(d)(「サイリシア310」富士シリ
シア製)を固形分に対して0.6%、コロイダルシリカ(e)(「スノーテックスOL」
日産化学工業製)を固形分に対して10%になるように混合し、ドデシルスルホネートを固形分2.5%になるように加え、IPA30重量%の水分散液を調合し、塗布液とし、リバースコート方式にて、コート量、0.05g/m2とした他は実施例1と同様の方法で熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
このフィルムの物性値を表2に示す。
各々別個に予備乾燥された表1に示すポリエステルAを75wt%、Bを10wt%、Cを9wt%、Dを6wt%を混合したポリエステル組成物を溶融押出し基材層とし、コーティングをしない以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。このフィルムの物性値を表2に示す。
コーティングしない以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。このフィルムの物性値を表2に示す。
但し、本サンプルは紙管を用いてにロール状に巻き取ろうとした際、滑り性不足によりサンプルにシワが発生、更にフィルム同士のブロッキンングが起こった。
コロイダルシリカの添加量を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。このフィルムの物性値を表2に示す。
得られたフィルムは滑り性が不足し実用には適さないものであった。
ドデシルスルホネート固形分40%調整液を使用した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。このフィルムの物性値を表2に示す。得られたフィルム表層粒子には凝集による粒径の増大が見られ、粒子の一部に脱落が発生し、滑り性が不足し実用には適さないものであった。
Claims (6)
- ポリエステル系樹脂からなる基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた表面層とを有する積層フィルムであり、ポリエステル系樹脂が1種である場合には、エチレンテレフタレートユニットを含有する共重合ポリエステルであり、2種以上のポリエステルを混合する場合には、前記共重合ポリエステルおよびホモポリエステルの混合物であり、共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分として、エチレンテレフタレートユニットを構成するテレフタル酸のほか、イソフタル酸およびその置換体から選ばれ、ジオール成分としては、ポリエチレンテレフタレートユニットを構成するエチレングリコールのほか、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれ、表面層が、粒径1nm以上300nm以下の無機粒子0.05〜30重量%及びアルキル基を有し且つ炭素数が10〜20のアニオン系帯電防止剤を含有し、フィルムのヘイズ値が2%以下で、フィルムの少なくとも一方の面について測定角度45°における光沢度210%以上であり、フィルム一方の面と他方の面との動摩擦係数が1.5以下であり、フィルムを95℃の温湯に10秒間浸漬したときの主収縮方向の収縮率が50%以上であり、相対湿度65%下における表面固有抵抗が13logΩ以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- フィルムを90℃の温湯に10秒間浸漬して主収縮方向に10%収縮した後のヘイズ値が3%以下であり、フィルムの少なくとも一方の面について測定角度45°における光沢度190%以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- フィルムの溶剤接着強度が2N/15mm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 表面層が、固形分質量で0.0005g/m2以上0.1g/m2の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 表面層が、ポリエステルおよびまたはポリエステル誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 所定の一方向の延伸倍率を3.5倍以上とする逐次2軸延伸、同時2軸延伸、又は1軸延伸されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
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