JP5170124B2 - 熱収縮性ポリエステル系フィルム - Google Patents

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Description

本発明は熱収縮性ポリエステル系フィルムに関するものであり、さらに詳しくは、透明性、光沢性に優れた熱収縮性ポリエステル系フィルムに関する。
近年、包装品の、外観向上のための外装、内容物の直接衝撃を避けるための包装、ガラス瓶またはプラスチックボトルの保護と商品の表示を兼ねたラベル包装等を目的として、加熱により収縮する性質をもつ熱収縮プラスチックフィルムが広範に使用されている。これらの目的で使用されるプラスチック素材としては、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリエステル系フィルムなどの延伸フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)容器、ポリエチレン容器、ガラス容器などの各種容器において、ラベルやキャップシールあるいは集積包装の目的で使用されている。
しかしポリ塩化ビニル系フィルムは、耐熱性が低い上に、焼却時に塩化水素ガスを発生したり、ダイオキシンの原因となる等の問題を抱えている。また、熱収縮性塩化ビニル系樹脂フィルムをPET容器等の収縮ラベルとして用いると、容器をリサイクル利用する際に、ラベルと容器を分離しなければならないという問題がある。
一方、ポリスチレン系フィルムは、収縮後の仕上がり外観性が良好な点は評価できるが、耐溶剤性に劣るため、印刷の際に特殊な組成のインキを使用しなければならない。また、最近ホット用飲料PETボトルラベルで熱収縮性フィルムが使用されているが、ホットウォーマー等加温設備で保管された場合、熱収縮性ポリスチレン系フィルムは、高温となった熱線等に接触すると瞬時に収縮ラベルが溶けてしまうという問題がある。さらに、ポリスチレン系樹脂は、高温で焼却する必要がある上に、焼却時に多量の黒煙と異臭が発生するという問題がある。
これらの問題のない(耐溶剤性、耐熱性、環境適性に優れる)ポリエステル系フィルムは、ポリ塩化ビニル系フィルムや、ポリスチレン系フィルムに代わる収縮フィルムとして、用いられている。
ラベル等を製造するには、通常、以下の方法が採用されている。すなわち、原料ポリマーを連続的に溶融押出し、未延伸フィルムを製造する。次いで、延伸を行ってフィルムロールを得る。このフィルムロールからフィルムを繰り出しながら、所望幅にスリットし、再びロール状に巻回する。続いて、各種製品名等の文字情報や図柄を印刷する。印刷終了後は、溶剤接着等の手段でフィルムの左右端部を重ね合わせて接合してチューブを製造する(チュービング工程)。なお、スリット工程と印刷工程は順序が逆の場合もある。得られたチューブを適宜長さに裁断すれば筒状ラベルとなり、この筒状ラベルの一方の開口端を接合すれば袋を製造できる。
そして、上記ラベルや袋等を容器に被せ、スチームを吹きつけて熱収縮させるタイプの収縮トンネル(スチームトンネル)や、熱風を吹きつけて熱収縮させるタイプの収縮トンネル(熱風トンネル)の内部を、ベルトコンベアー等にのせて通過させ、ラベルや袋等を熱収縮させることにより、容器に密着させて、最終製品(ラベル化容器)を得ている(例えば、特許文献1参照)。
この、容器ラベルに用いるフィルムとして求められる特性の中で重要なものとして、透明性が挙げられる。上記の通り、多くの場合、容器ラベルに用いられるフィルムには各種製品名等の文字情報や図柄が印刷されるが、透明ラベルの場合、容器に接触する側に印刷が施されることが多く、透明性が低いと鮮明な印刷柄が表現できないことになる。そして、印刷が施されていない部分では透明容器内の飲料など内容物の色や充填量などが確認しにくいという問題もある。
また、収縮ラベル素材のなかで、ポリエステル系フィルムの特長として優れた光沢性が挙げられるが、この光沢性が低いと被覆商品の高級感を損なうなど商品イメージに悪影響を及ぼす場合がある。
さらに、収縮フィルムの加工方法として、金属などの蒸着加工を施しラベルに金属の様な外観を付与しようとする場合がある。容器に接触する側に加工が施されることが多いが、上記の様に透明性、光沢性が低いフィルムを用いた場合、被覆容器表面が金属表面に似た外観となる様に表現することが難しい。
上記のように、収縮ラベル用フィルムの透明性、光沢性を向上することは、意匠性の向上、商品イメージの向上効果が期待できる重要性を持つ。本発明は既存の熱収縮性ポリエステル系フィルムの透明性、光沢性をより高めるものである。
また、従来公知のポリエステル系フィルムは絶縁体であることから、そのフィルムには静電気が発生・蓄積し易いといった問題がある。例えば、フィルム製造工程、フィルムへの印刷、フィルム同士の接着等でのロールへのフィルム巻き付きや人体への感電を生じさせる静電気は、フィルムの取り扱いを煩雑にさせる要因となる。また、静電気は所謂印刷ヒゲ、フィルム表面の汚れ等の原因になるため、商品価値の低下を誘引しかねない。したがって、静電気の発生・蓄積が抑えられたポリエステル系フィルムが望まれる。
特開2005−335111号公報
本発明は、透明性、光沢性、加工適性に優れ、かつ製造が容易な熱収縮性ポリエステル系積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成よりなる。
1. ポリエステル系樹脂からなる基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた表面層とを有する積層フィルムであり、ポリエステル系樹脂が1種である場合には、エチレンテレフタレートユニットを含有する共重合ポリエステルであり、2種以上のポリエステルを混合する場合には、前記共重合ポリエステルおよびホモポリエステルの混合物であり、共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分として、エチレンテレフタレートユニットを構成するテレフタル酸のほか、イソフタル酸およびその置換体から選ばれ、ジオール成分としては、ポリエチレンテレフタレートユニットを構成するエチレングリコールのほか、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれ、表面層が、粒径1nm以上300nm以下の無機粒子0.05〜30重量%及びアルキル基を有し且つ炭素数が10〜20のアニオン系帯電防止剤を含有し、フィルムのヘイズ値が2%以下で、フィルムの少なくとも一方の面について測定角度45°における光沢度210%以上であり、フィルム一方の面と他方の面との動摩擦係数が1.5以下であり、フィルムを95℃の温湯に10秒間浸漬したときの主収縮方向の収縮率が50%以上であり、相対湿度65%下における表面固有抵抗が13logΩ以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
2. フィルムを90℃の温湯に10秒間浸漬して主収縮方向に10%収縮した後のヘイズ値が3%以下であり、フィルムの少なくとも一方の面について測定角度45°における光沢度190%以上であることを特徴とする上記第1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
3. フィルムの溶剤接着強度が2N/15mm以上であることを特徴とする上記第1又は第2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
. 表面層が、固形分質量で0.0005g/m以上0.1g/mの範囲であることを特徴とする上記第1〜第3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
. 表面層が、ポリエステルおよびまたはポリエステル誘導体を含有することを特徴とする上記第1〜第のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
. 所定の一方向の延伸倍率を3.5倍以上とする逐次2軸延伸、同時2軸延伸、又は1軸延伸されてなることを特徴とする上記第1〜第のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
本発明により、透明性、光沢性、加工適性に優れる熱収縮性ポリエステル系積層フィルムを安価に提供できる。
以下、本発明の熱収縮性ポリエステル系積層フィルム及びその製造方法の実施の形態を説明する。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムとは、ポリエステル系フィルム基材層表面に表面層を有する。
[基材層]
熱収縮性ポリエステル系フィルムとは、公知の多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分から形成されるエステルユニットを主たる構成ユニットとする単一の共重合ポリエステル、あるいは、2種以上のポリエステルの混合物を用いて得られるものであり、10cm×10cmの正方形状に切り取った熱収縮性ポリエステル系フィルムの95℃の温湯に10秒間浸漬したときの主収縮方向の収縮率が50%以上であるものをいう。
収縮率(%)=(加熱前寸法−加熱後寸法)/加熱前寸法 × 100
フィルムの熱収縮率が50%未満であると、フィルムの熱収縮率が不足して、容器に被覆収縮させたときに、容器に密着せず、外観不良が発生するため好ましくない。より好ましい熱収縮率は52%以上、さらに好ましくは55%以上である。但し、あまりにもフィルムの熱収縮率が大きいと、収縮加工時に斑を生じやすくなるので、100%以下でよく、90%以下でも構わない。
このような熱収縮性ポリエステル系フィルムについて詳しく説明する。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いられる原料組成物中のポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、エチレンテレフタレートユニットを構成するテレフタル酸のほか、芳香族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸のいずれもが用いられ得る。
芳香族ジカルボン酸としてはイソフタル酸、オルトフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のベンゼンカルボン酸類;2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸類;4,4’−ジカルボキシジフェニル、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸等のジカルボキシビフェニル類;1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸およびその置換体;1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸およびその置換体等が挙げられる。
脂肪酸カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ウンデカン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシル酸、テトラデカンジカルボン酸、タプシン酸、ノナデカンジカルボン酸、ドコサンジカルボン酸、およびこれらの置換体、4,4’−ジカルボキシシクロヘキサンおよびその置換体等が挙げられる。
原料組成物に含まれるポリエステルのジオール成分としては、ポリエチレンテレフタレートユニットを構成するエチレングリコールを始めとして、この他に脂肪族ジオール、脂環式ジオール、および芳香族ジオールのいずれもが用いられ得る。
脂肪族ジオールとしては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール等がある。脂環式ジオールとしては、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等がある。芳香族ジオールとしては、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルフォン等のビスゲノール系化合物のエチレンオキサイド付加物;キシリレングリコール等がある。また、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールもジオール成分として用いられ得る。
上記原料組成物に含有されるポリエステルは、上記酸成分およびジオール成分とからなるものであるが、ポリエステルを調整するには、熱収縮性フィルムとしての特性を改良するために1種以上の酸成分またはジオール成分を組み合わせて用いることが好ましく、組み合わされるモノマー成分の種類および含有量は、所望のフィルム特性、経済性等に基づいて適宜決定すればよい。また原料組成物には、1種もしくはそれ以上のポリエステルが含有される。含有されるポリエステルが1種である場合には、エチレンテレフタレートユニットを含有する共重合ポリエステルとする。2種以上のポリエステルを混合する場合には、共重合ポリエステルおよびホモポリエステルの所望の組成の混合物とする。一般に共重合ポリエステルは融点が低いため、乾燥時の取扱いが難しい等の問題があるので、ホモポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキセンジエチレンテレフタレート)等)と共重合ポリエステルを混合して用いることが好ましい。ただし、熱収縮性ポリエステル系フィルムとした時に、ポリエステル全体の1〜2モル%が脂肪族ジカルボン酸ユニットであっても構わない。この範囲にコントロールすることで熱収縮の開始温度を好ましい範囲に制御することもできる。
上記原料組成物中のポリエステルは、いずれも従来の方法により製造され得る。例えば、ジカルボン酸とジオールとを直接反応させる直接エステル化法;ジカルボン酸ジメチルエステルとジオールとを反応させるエステル交換法等を用いてポリエステルが調整される。調整は、回分式および連続式のいずれの方法で行なわれてもよい。
原料組成物中には、上記ポリエステルの他に必要に応じて各種の公知の添加剤を加えてもよい。それには例えば,シリカ,炭酸カルシウム,カオリナイト,アルミナ,タルク,硫酸バリウムなどの無機不活性粒子;ベンゾグアナミン系樹脂,ポリスチレン系樹脂などの有機不活性粒子いずれも粒径0.001〜10μm程度があり,これらを添加することにより,滑り性や耐ブロッキング性が改良され得る。但し、これらの粒子状の添加剤を加えることは、フィルム内外で光の散乱を起こし透明性を悪化させる、また、フィルム表面を粗くするため光が乱反射して光沢を低下させる、という問題の原因となり得るため、形状、添加量に充分注意する必要がある。
その他、添加剤としては、帯電防止剤;老化防止剤;紫外線吸収剤;着色剤、染料等などが挙げられる。
フィルムのヘイズ値は2%以下であることが好ましい。より好ましくは1.5%以下である。フィルムのヘイズ値が2%を超える場合、透明度が不十分となり外観品位において満足しにくくなるのであまり好ましくない。ヘイズ値は小さいほど好ましいが、0.1%以上で構わない。
フィルムの少なくとも一方の面について、測定角度45°における光沢度が200%以上であることが好ましい。更に好ましくは210%以上である。200%未満の場合、被覆商品に高級感を与えづらくなり、あまり好ましくない。但し、あまりにも光沢度を大きくしようとし過ぎると光の反射でかえって印刷図柄や文字が見づらくなるので、300%以下で構わない。
フィルムの相対湿度65%下における表面固有抵抗値は13logΩ以下であることが好ましい。更に好ましくは11.5以下である。相対湿度65%下における表面固有抵抗値が13logΩを超えると、各工程での取扱性が悪くなる他、静電気による汚れなど商品価値が損なわれる恐れがあり、あまり好ましくない。但し、あまりにも表面固有抵抗値を小さくし過ぎると帯電防止剤の転写汚れが顕著となるという問題を生じる恐れがあるので、表面固有抵抗値は8logΩ以上で構わない。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ボトル用のラベル用途に好適に使用できるものであるが、熱収縮装着加工された後も好ましい小さなヘイズ値や大きな光沢度を有していることが好ましい。即ち、90℃温湯に10秒間浸漬して主収縮方向に10%収縮させたフィルムのヘイズ値が3%以下であり、前記同一条件の処理がなされたフィルムの光沢度が190%以上であることが好ましい。
90℃温湯に10秒間浸漬して主収縮方向に10%収縮させたフィルムのヘイズ値が3%を超えると、熱収縮装着加工された後のラベルの透明度が不十分となり、あまり好ましくない。より好ましくは2%以下である。90℃温湯に10秒間浸漬して主収縮方向に10%収縮させたフィルムのヘイズ値は小さいほど好ましいが、0.2%以上で構わない。
90℃温湯に10秒間浸漬して主収縮方向に10%収縮させたフィルムの光沢度が190%未満であると、熱収縮装着加工された後のラベルの光沢度が不十分となり、あまり好ましくない。より好ましくは195%以上である。但し、90℃温湯に10秒間浸漬して主収縮方向に10%収縮させたフィルムの光沢度を大きくしようとし過ぎると光の反射でかえって印刷図柄や文字が見づらくなるので、300%以下で構わない。
本発明における熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ポリエステル系樹脂からなる基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた表面層を有する積層フィルムであることが好ましい。表面層の固形分は、0.0005g/m以上0.1g/m以下である。0.0005g/m未満の場合には、フィルムの滑り性が不足するので、あまり好ましくない。一方、0.1g/mを超えると透明性を阻害するので、あまり好ましくない。下限はより好ましくは、0.0008g/m以上であり、更に好ましくは0.001g/m以上である。上限はより好ましくは0.09g/m以下であり、更に好ましくは0.085g/m以下である。
フィルムの一方の面と他方の面の動摩擦係数は1.5以下であることが好ましい。より好ましくは1.2以下である。1.5を超えると、巻取り時のシワやニキビ状の欠点が生じやすくなる恐れがあるので、あまり好ましくない。但し、あまりにも動摩擦係数が小さいと巻取り時の端面不揃いとなる恐れがあるので0.1以上で構わない。
フィルムの溶剤接着強度は2N/15mm以上であることが好ましい。より好ましくは、2.2N/15mm以上であり、更に好ましくは2.4N/15mm以上である。溶剤接着強度が2N/15mm未満の場合には、接着部が剥がれるなどの不具合となるので、あまり好ましくない。ただし、あまりにも溶剤接着強度が大きすぎると接着部の変形や接着溶剤の浸透によるラベル内面のブロッキングなどの不具合になるので、10N/15mm以下で構わない。
上記原料組成物は、公知の方法(例えば、押し出し法、カレンダー法)によりフィルム状に成形される。フィルムの形状は、例えば平面状またはチューブ状であり、特に限定されない。延伸方法としては、例えば、ロール延伸法、長間隙延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等の公知の方法が採用できる。これらの方法のいずれにおいても、逐次2軸延伸、同時2軸延伸、1軸延伸、およびこれらの組み合わせで延伸を行なえばよい。上記2軸延伸では縦横方向の延伸は同時に行なわれてもよく、どちらか一方を先に行ってもよい。延伸倍率は1.0倍から7.0倍の範囲で任意に設定され、所定の一方向の倍率を3.5倍以上とすることが好ましい。
延伸工程においては、フィルムを構成する重合体が有するガラス転移温度(Tg)以上でかつ例えばTg+80℃以下の温度で予熱を行なうことが好ましい。延伸時のヒートセットでは、例えば、延伸を行なった後に、30〜150℃の加熱ゾーンを約1〜30秒通すことが推奨される。また、フィルムの延伸後、ヒートセットを行なう前もしくは行なった後に、所定の度合で延伸を行なってもよい。さらに上記延伸後、伸張あるいは緊張状態に保ってフィルムにストレスをかけながら冷却する工程、あるいは、該処理に引き続いて緊張状態を解除した後も冷却工程を付加してもよい。得られるフィルムの厚みは6〜250μmの範囲が好ましい。
本発明では、この様な基材層の少なくとも一方の面に、表面層が積層されることが好ましい。
通常、ラベル用熱収縮性ポリエステル系フィルムは、基材層中に粒子滑剤を含有させ、その粒子の形状や添加量、分布などをコントロールすることにより、フィルム取り扱い上要求される易滑性を付与している。しかし、本発明においては透明性、光沢性を一定範囲に保つ必要から、該粒子滑剤の添加が制限されるため、滑り性が不足してしまう場合がある。本発明では、表面に粒子滑剤を含有する易滑層を積層することにより、透明性、光沢性を一定範囲に保ち、フィルム生産、取り扱い上必要な滑性を両立した熱収縮ポリエステル系フィルムとできることを見出した。
表面層成分中にはバインダーの働きをもつ樹脂成分を含むことが推奨される。樹脂成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。また、本発明におけるバインダーとして使用する樹脂は吸湿により易滑性への影響を与え難い様、本質的に水不溶性であることが望ましい。
特に、表面層成分中にはバインダーの働きをもつ樹脂成分としては、ポリエステルおよびまたはポリエステル誘導体であることが好ましく、疎水性共重合ポリエステル樹脂を幹ポリマーとすることが好ましい。該ポリエステル樹脂を有機溶媒中でラジカル重合性単量体をグラフト重合し、水添加、有機溶媒留去することにより得られるグラフト重合反応物は、密着性、耐水性に優れる上、水分散樹脂の形態であり、作業環境面、塗布性の点からも好ましく、また、ラベル加工の際必要となる溶剤によるフィルム同士の接着を阻害し難いことからも推奨される。好ましい幹ポリマーのポリエステル樹脂構成成分としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、等の脂肪族ジカルボン酸成分等から選択される成分に加えて、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸等の重合性不飽和2重結合を有する成分を0.5〜10モル%程度含有することが好ましく、グリコール成分としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオールや1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等から選択される成分を含有することが好ましい。また、グラフト部位は重合性不飽和単量体から構成されるが、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸等から選択される成分を含有することが好ましい。
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム表面には金属、金属酸化物、金属以外の無機酸化物などの蒸着されることができるが、前記積層された表面層は蒸着層とフィルムとの接着性を向上させる効果を持つ。特に、水分散性の熱可塑性ポリウレタンを主成分とし、該ポリウレタンが、ポリエステルポリオール,ジイソシアネート、および必要に応じて2個以上の活性水素を有する低分子化合物から得られ、そして、該ポリエステルポリオールが5脂肪族ジカルボン酸を含有するジカルボン酸類;およびグリコール類から得ら
れるものであると良好な接着性を有するため望ましい。
更に本発明では、水系樹脂分散液に粒子滑剤を添加するが、粒子滑剤としては、胡粉、チョーク、重質炭カル、軽微性炭カル、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、特殊炭酸カルシウム、カオリン、焼成クレー、パイロフィライト、ベントナイト、セリサライト、ゼオライト、ネフェリン・シナイト、タルク、アタパルジャナイト、合成珪酸アルミ、合成珪酸カルシウム、珪藻土、珪石粉、含有微粉珪酸、無水微粉珪酸、水酸化アルミニウム、バライト、沈降硫酸バリウム、天然石膏、石膏、亜硫酸カルシウムその他の各種の無機粒子やベンゾグアナミン樹脂やポリスチレン系樹脂等の不活性粒子などがあり透明性、光沢性と滑り性との関連でどれを用いてもよいが、特に好ましいのは珪酸の天然及び合成品である。いわゆるコロイダルシリカが特に好適に使用できる。粒径は0.001μm〜0.3μmのものが好ましい。0.001μm未満の粒径のものでは多量に用いなければならず滑り性発現も難しい傾向にある。粒径0.3μmをこえると粗大突起が生じ、平滑性が悪くなったり、印刷加工やラベル加工適性を阻害するなどの問題となる。またバーコート等の方法によっては粒径が大きいとコート時の詰り等で正常にコートできない等不具合が生じるため、コートバーのギャップに応じた粒径とする必要がある。なお、前記粒径はコールターカウンター法で測定した粒径であるが、フィルム表面層中の粒子の平均粒径の測定方法は後記する。添加量は、形状や粒子径、表層の厚みにより異なり制限されないが、表層中0.05〜30重量%の範囲で用いるのが好ましい。0.05重量%未満では滑性が不十分となるためフィルム同士のブロッキングが発生し易くなり、30重量%を超えると透明性、光沢性の悪化が起こり易くなる。
コート液には液の濡れ性、塗布後の乾燥性を付与するために低沸点有機溶剤を使用することが好ましい。有機溶剤としては通常イソプロパノールが使用される。調合する際にはイソプロピルアルコールの濃度を56%以下とすることが必要である。濃度56%を越えると不活性粒子の凝集が起こりやすくコート後に粒子脱落による滑り性悪化等の不具合が生じやすく好ましくない。
また、本発明に係るフィルムの他の特徴は、この表面の少なくとも片面にアニオン系帯電防止剤が存在していることである。練り込み等によりアニオン系帯電防止剤をフィルム原料に含ませることによっても、フィルム内部から表面にアニオン系帯電防止剤が滲みでれば静電気の発生と蓄積を抑えることが可能である。しかしながら、フィルムを構成するポリエステルのガラス転移温度は一般的に高いため、常温およびその付近の温度でアニオン系帯電防止剤がフィルム表面に滲み出難いことが多く、静電気の発生と蓄積を十分に抑えることができない傾向にある。また、樹脂の延伸により製造される本発明に係るフィルムを製造するための製膜温度が比較的高く、更にはポリエステルが有する極性基の反応活性が高いこともあって、フィルム原料中に帯電防止剤が配合されれば、製膜時にポリエステルの劣化が促されるがためにフィルムの物理的性質の低下や着色が発生することがある。
フィルム表面のアニオン系帯電防止剤の存在量は、0.001〜0.5g/m2である
ことが好ましい。アニオン系帯電防止剤の存在量が上記範囲を下回ると、帯電防止効果を十分に確保できないことがある。他方、アニオン系帯電防止剤の存在量が上記範囲を超えると、フィルムの透明性や耐ブロッキング性が低下することがある。
上記アニオン系帯電防止剤は、アルキル基を有し且つ炭素数が10〜20のものが好ましい。このような帯電防止剤であれば、例えば、フィルム製造やフィルムの二次加工での熱による飛散・消失があっても当該飛散等の量を低く抑えることができる。また、炭素数が20を超える場合には、帯電防止剤自体の帯電防止効果が不十分な場合がある。より好ましいアニオン系帯電防止剤は、その炭素数が12〜18のものである。
公知の帯電防止剤から本発明におけるアニオン系帯電防止剤を選定することができ、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール酸化エチレン付加体の硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などの硫酸及びスルホン酸誘導体から選択すると良い。より具体的には、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩が挙げられる。好適なアニオン系帯電防止剤としては、例えば、ドデシルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネートが挙げられる。
帯電防止剤は珪酸粒子との相性が良くないことが多く、帯電防止剤の固形分を適切な範囲に調整することが好ましい。適切な範囲は塗布液の含有物の種類と量に起因する特性に影響されることが多く都度、効果の確認しながら定めることが可能である。例えば、ドデシルスルホネートの場合、固形分質量が40%に達すると、珪酸粒子が凝集しやすくなる場合があるなど、適正な固形分質量に調整することが好ましい。
ポリエステルフィルムに塗布される水系分散液の塗布量は、二軸延伸後のフィルムに対して0.005〜5g/mが好ましい。0.005g/m未満の場合は不活性粒子
を固着する力が弱くなり耐久性能がわるくなる。5.0g/mをこえて塗布するとすべり性が悪くなる。
表面層を基材上に形成する方法としては、通常、水系溶液を基材にコーティングする方法が採られる。コーティングの方法は限定するものではないが、使用するコーティング液の塗布量と粘度により、最適な方法を選択すればよい。リバースロールコーティング法、ロールナイフコーティング法、ダイコーティング法などを採用すればよい。
コーティング時の乾燥、熱処理の条件は塗布厚み、装置の条件にもよるが、乾燥工程を設けずに直ちに直角方向の延伸工程に送入し、延伸工程の予熱ゾーンあるいは延伸ゾーンで乾燥させることが好ましい。このような場合、通常50〜250℃程度で行う。なお、必要であれば、表面層を形成させる前に基材フィルムにコロナ放電処理、その他の表面活性化処理や公知のアンカー処理剤を用いてアンカー処理を施してもよい。
本発明における表面層が形成されたフィルムを製造するには、溶融押出された未延伸ポリエステル系フィルムまたは一軸ポリエステル系フィルムの少なくとも片面に、塗布液を塗布した後、この塗布フィルムを二軸延伸または一軸延伸する工程を含むインラインコート法が好ましい。
以下に、上記の方法で得られるフィルムをラベルとして使用する際のチューブ加工について説明する。本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムからラベルを製造する場合、チューブ化加工を行うが、この際に溶剤を用いて接着することが多い、という観点から、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン等の溶剤をフィルムの片面に塗布、該塗布面にフィルムの他方の面を圧着し、主収縮方向に剥離したとき接着可能であることが好ましい。不足の場合、ラベルの熱収縮装着時、または飲料ボトル取扱い時にラベル接着部の剥離が発生する恐れがある。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、各実施例で得られたフィルム特性は以下の方法により測定、評価した。
(1)最大収縮方向の熱収縮率
フィルムを長手方向およびその直交方向に沿うように10cm×10cmの正方形に裁断し、95℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間処理して熱収縮させた後、直ちに25℃±0.5℃の水中に10秒浸漬した後、試料の縦および横方向の長さを測定し、下記式に従って求めた。最も収縮率の大きい方向を最大収縮方向とした。
熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)
(2)ヘイズ
ヘイズはJIS K7136に準じて、ヘイズメーター(日本精密機械社製)を用いて測定した。
(3)光沢度
光沢度(グロス)はJIS Z8741に準じて、グロスメーター「VG2000」(日本電色工業株式会社製)を用いて測定角度45度で測定した。
(4)動摩擦係数
フィルムの一方の面と他方の面における動摩擦係数μdをJIS K−7125に準拠
し、23℃,65%RH環境下で測定した。
(5)表面固有抵抗
アドバンテスト社製表面固有抵抗測定器(本体:R8340、試料箱:R12704)を用いて、印加電圧100V、23℃・65%RHの雰囲気下で測定し、測定器の読取値を表面固有抵抗とした。
(6)溶剤接着強度
延伸したフィルムに1,3−ジオキソランを綿棒で塗布量(5±0.3)g/m、塗布幅5±1mmで塗布して2枚を張り合わせることでシールを施した。シール部をフィルムの主延伸方向(主収縮方向)に直角方向にそれぞれ15mmの幅に切り取り、それを(株)ボールドウィン社製 万能引張試験機 STM−50」にセットし、90°剥離試験で引張速度200mm/分で測定した。
コート層に含有されている粒子の粒子径
得られたフィルムのコート面をレーザー顕微鏡(オリンパス社製LEXT OLS3000)を使用し拡大観察を行い無作為に選定した20ケの粒子の粒径を測定し、実施例記載のシリカa、b、cそれぞれに該当する粒子の平均粒径を求めた。粒径は各々の粒子の粒径が最大に測定される向きに長さを測定した。
基材層ポリエステル系樹脂を以下の方法で得た。
(ポリエステルの合成例1)
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、グリコール成分として、エチレングリコール(EG)72モル%とネオペンチルグリコール(NPG)30モル%を、グリコールがモル比でメチルエステルの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル(酸成分に対して)と、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.025モル(酸成分に対して)添加し、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、280℃で26.7Paの減圧条件の下で重縮合反応を行い、ポリエステル(A)を得た。
(合成例2〜3)
合成例1と同様な方法により、表1に示すポリエステル(B)〜(C)を得た。なお、
表中、NPGがネオペンチルグリコール、BDが1,4−ブタンジオール、DEGがジエチレングリコールである。
なお、無機滑剤としては、SiO粒子(不定形、平均粒子径2.4μm)を用い、ポリエステル(A)中に0.7質量%添加したマスターバッチ(D)を作成して使用した。該滑剤の添加方法は、あらかじめエチレングリコール中に該滑剤を分散し、上記方法にて重合する方法を採った。
また、共重合ポリエステル樹脂の水分散液(E)を以下の方法で得た。
<疎水性共重合ポリエステルの調製>
撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)345部、グリコール成分として1,4ブタンジオール(BD)211部、エチレングリコール(EG)270部、および重合触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート0.5部を仕込み、160℃から220℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで、ジカルボン酸成分としてフマル酸14部およびアジピン酸160部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.22mmHgの減圧下で1時間30分反応させ、疎水性共重合ポリエステルを得た。得られた疎水性共重合ポリエステルは、重量平均分子量20000、淡黄色透明であった。
<ラジカル重合性モノマーのグラフト化>
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、上記疎水性共重合ポリエステル75部、メチルエチルケトン56部およびイソプロピルアルコール19部を入れ、65℃で加熱、撹拌し、疎水性共重合ポリエステルを溶解した。疎水性共重合ポリエステルが完溶した後、ラジカル重合性モノマーとして無水マレイン酸(MA)15部をポリエステル溶液に添加した。次いで、ラジカル重合性モノマーとしてスチレン(ST)10部、およびグラフト重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル1.5部を12部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1ml/minでポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メタノール5部を添加した。次いで、水300部とトリエチルアミン15部を反応溶液に加え、1時間撹拌した。その後、反応器内温を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、固形分25%のポリエステル系グラフト共重合体水分散液(E)を得た。該ポリエステル系グラフト共重合体は淡黄色透明で、ガラス転移温度−10℃であった。
また、共重合ポリエステル樹脂の水分散液(F)を以下の方法で得た。
本発明に用いる塗布液を以下の方法に従って調製した。ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部および三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量19,500の共重合ポリエステル系樹脂を得た。
得られた共重合ポリエステル系樹脂300質量部とブチルセロソルブ140質量部を160℃で3時間撹拌し粘稠な溶融液を得、この溶融液に水を徐々に添加し1時間後に均一な淡白色の固形分濃度30%の共重合ポリエステル樹脂の水分散液(F)を得た。
(実施例1)
(1)ポリエステル系樹脂及び未延伸フィルム
各々別個に予備乾燥された表1に示すポリエステルAを75wt%、Bを10wt%、Cを15wt%を混合したポリエステル組成物を、押出機直上のホッパに、定量スクリューフィーダーで連続的に別々に供給しながら、このホッパ内で混合し、275℃で単軸式押出機で溶融押出しし、表面温度25℃のチルロール上で急冷して、厚さ200μmの未延伸フィルムを得た。
(2)塗布液の調合
水を全体の29.8%、イソプロピルアルコールを全体の30%、共重合ポリエステル樹脂の水分散液(E)と、コロイダルシリカ(a)(「スノーテックスMP2040」日産化学工業製)を固形分に対して15%、コロダイルシリカ(b)(「スノーテックスOS」日産化学工業製)を固形分に対して10%になるように混合し、ドデシルスルホネートを固形分30%に調整した液を使用し全体の10%になるように加え、調合し、塗布液とした。
(3)コートフィルムの製造
(1)で得た未延伸フィルムに(2)で調合した塗布液をバーコート方式で塗布しながら、連続的にテンターに導きフィルム温度が98℃になるまで予備加熱した後、温度77℃で横方向に5.0倍延伸した。次いで78℃にて14秒間熱処理を行って、コート量0.01g/m、厚さ40μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。得られたフィルムの物性値を表2に示す。
(実施例2)
コロイダルシリカ(b)を固形分に対して10%、コロダイルシリカ(c)(「スノー
テックスMP3040」日産化学工業製)を固形分に対して15%とした他は実施例1と同様の方法で熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
このフィルムの物性値を表2に示す。
参考例1
ポリエステル樹脂の水分散液(F)と、シリカ(d)(「サイリシア310」富士シリ
シア製)を固形分に対して0.6%、コロイダルシリカ(e)(「スノーテックスOL」
日産化学工業製)を固形分に対して10%になるように混合し、ドデシルスルホネートを固形分2.5%になるように加え、IPA30重量%の水分散液を調合し、塗布液とし、リバースコート方式にて、コート量、0.05g/mとした他は実施例1と同様の方法で熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
このフィルムの物性値を表2に示す。
(比較例1)
各々別個に予備乾燥された表1に示すポリエステルAを75wt%、Bを10wt%、Cを9wt%、Dを6wt%を混合したポリエステル組成物を溶融押出し基材層とし、コーティングをしない以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。このフィルムの物性値を表2に示す。
(比較例2)
コーティングしない以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。このフィルムの物性値を表2に示す。
但し、本サンプルは紙管を用いてにロール状に巻き取ろうとした際、滑り性不足によりサンプルにシワが発生、更にフィルム同士のブロッキンングが起こった。
(比較例3)
コロイダルシリカの添加量を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。このフィルムの物性値を表2に示す。
得られたフィルムは滑り性が不足し実用には適さないものであった。
(比較例4)
ドデシルスルホネート固形分40%調整液を使用した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。このフィルムの物性値を表2に示す。得られたフィルム表層粒子には凝集による粒径の増大が見られ、粒子の一部に脱落が発生し、滑り性が不足し実用には適さないものであった。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、優れた透明性と光沢性と、生産、取り扱い上必要な易滑性、及び帯電防止性を有し、加工適性に優れ、ラベル用途に好適で利用価値の高いものである。

Claims (6)

  1. ポリエステル系樹脂からなる基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた表面層とを有する積層フィルムであり、ポリエステル系樹脂が1種である場合には、エチレンテレフタレートユニットを含有する共重合ポリエステルであり、2種以上のポリエステルを混合する場合には、前記共重合ポリエステルおよびホモポリエステルの混合物であり、共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分として、エチレンテレフタレートユニットを構成するテレフタル酸のほか、イソフタル酸およびその置換体から選ばれ、ジオール成分としては、ポリエチレンテレフタレートユニットを構成するエチレングリコールのほか、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれ、表面層が、粒径1nm以上300nm以下の無機粒子0.05〜30重量%及びアルキル基を有し且つ炭素数が10〜20のアニオン系帯電防止剤を含有し、フィルムのヘイズ値が2%以下で、フィルムの少なくとも一方の面について測定角度45°における光沢度210%以上であり、フィルム一方の面と他方の面との動摩擦係数が1.5以下であり、フィルムを95℃の温湯に10秒間浸漬したときの主収縮方向の収縮率が50%以上であり、相対湿度65%下における表面固有抵抗が13logΩ以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  2. フィルムを90℃の温湯に10秒間浸漬して主収縮方向に10%収縮した後のヘイズ値が3%以下であり、フィルムの少なくとも一方の面について測定角度45°における光沢度190%以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  3. フィルムの溶剤接着強度が2N/15mm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  4. 表面層が、固形分質量で0.0005g/m以上0.1g/mの範囲であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  5. 表面層が、ポリエステルおよびまたはポリエステル誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  6. 所定の一方向の延伸倍率を3.5倍以上とする逐次2軸延伸、同時2軸延伸、又は1軸延伸されてなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
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