JP5168352B2 - 加工機における衝突検出装置及び衝突検出方法 - Google Patents
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Description
一般的な検出手段として、駆動モータの負荷量を検出し、一定負荷レベル以上で衝突検出する手法が存在するが、工作機械の使用状態は、加工中、手動送り中など様々な状態があり、一定条件の検出手段だけでは、使用状態により、過検出、検出遅延などが発生する可能性がある。
なお、過検出発生時にはシステムの稼働率低下によるコストアップが伴い、検出遅延発生時には衝突時の機械損傷増大につながる。
ここで、モータの出力レベルの制限値を、機械を緊急に停止させるための負荷検出レベルよりわずかに高く設定させておく事により、異常負荷が検出されてから、機械が実際に停止するまでの遅れ時間中の衝撃力を最小限に抑制することを実現している。
そして、検出誤動作を引き起こすことで、サーボモータで制御された工作機械等を停止処理等するため、工作機械等の自動化システムの稼働率低下につながる。
すなわち、切削加工機のような接触加工機の場合、切削加工負荷を想定した駆動構造体となっている。
一方、放電加工機のような非接触加工機においては、図11に示される如く、軽量化構造や、電気絶縁のためのセラミック部品を適用する場合があり、接触加工機と比較して衝撃耐性が低い構造となっている。
つまり、高速移動時の衝突に対して、衝撃時の損傷回避と誤検出回避とを両立をさせることが現実的に困難である。
一般的に、高精度軌跡制御を要求される工作機械においては、モータの出力レベルに応じて位置制御応答速度を向上させることが可能である。
逆にモータ出力レベルを下げた場合、図12に示される如く、真円形状等の軌跡精度が悪化し、それに伴い加工精度が悪化する結果となる。
すなわち、工作機械等の自動化システムの稼働率低下につながる。
図1は、この発明の実施の形態1に係る衝突負荷検出装置の構成を示すものである。
図1において、衝突検出装置は、制御対象物の各軸を制御する駆動モータ1、駆動制御回路2、モータ停止回路3、モータ電流制限回路4、位置指令−位置フィードバック間の誤差検出手段5、負荷電流検出回路6、比較器7、8、制御装置10、等により構成されている。
さらに制御装置10は、負荷電流設定値の設定手段11、モータ電流制限値の設定手段12、設定値切替手段13、許容誤差設定手段14の構成要素を含んでおり、衝突負荷検出装置において、モータ駆動制御をするための基準レベルを設定している。
一方、位置指令−位置フィードバック間の誤差検出手段5により得られた、位置指令に対して実際に駆動したフィードバック量との誤差量は、制御装置10で設定された許容誤差設定値と比較(比較器8)され、検出誤差量が設定値を越えていた場合、同様に停止回路3によりモータを停止する。
さらに、モータ出力トルクが常に一定以下となる様に、モータ電流制限回路4にて、制御装置10で設定されたモータ電流制限値を常に下回るように、モータは駆動制御回路2により駆動制御されている。
具体的には、負荷電流設定値設定手段11には、非加工動作モード時の負荷電流設定値IK1、加工動作モード時の負荷電流設定値IK2が設定され、モータ電流制限値設定手段12には、非加工動作モード時のモータ電流制限値IS1、加工動作モード時のモータ電流制限値IS2が設定されている。
また、負荷電流設定値、モータ電流制限値、許容誤差設定値の各パラメータは、設定値切替手段13により、任意に変更されるシステムとなっている。
まず、制御装置は、NCプログラム等のプログラムを解析することで、動作モードの判断を行い、駆動モータが駆動する放電加工装置が被加工物と電極との間で所定の極間サーボを取りパルス電流を印加した放電加工中であるか、単に段取り、軸移動等の非加工中であるかを決定する(S1)。
非加工中と判断した場合、IK1>IS1の関係となる負荷電流設定値IK1、モータ電流制限値IS1を定義(S2)し、引き続き、動作モードの監視を行い(S3)、動作モードの状態を判断する。そして、動作モードが変更されていなければS2へ移行し、変更されていればS1へ移行する。
一方、S1にて加工中と決定した場合は、IK2<IS2の関係となる負荷電流設定値IK2、モータ電流制限値IS2値を定義(S4)し、S3と同様に引き続き、動作モードの監視を行い(S5)、動作モードが変更されていなければS4へ、変更されていればS1へ移行する。
以後、機械が動力遮断されるまで、上記プロセスを常に実行する。
(1)は非加工中のモータ電流値の推移を示したものである。
非加工中では、負荷電流設定値IK1>モータ電流制限値IS1となるように設定値切替手段13により設定されている。
駆動制御回路2に基づく軸移動直後、駆動モータ1のサーボモータ電流は、始動時の負荷イナーシャ相当の電流値が増加し、その後、定常状態では摩擦負荷トルクに相当するモータ電流値のみが発生することで、図3に示されるようなサーボモータ電流が負荷電流検出回路6によって検出される。
次に、何らかの事情で衝突が発生した場合、駆動モータ1は衝突負荷に対抗するためにサーボモータ電流値が増加するが、モータ電流制限回路4により、あらかじめモータ電流制限値設定手段12により定められたモータ電流制限値IS1までしか電流値は増加しない。
すなわち、電流制限によりモータが一定以上のトルクを発生させることができないため、駆動軸はこれ以上進むことができず、位置指令と位置フィードバック間に誤差が発生し、該誤差量が規定値に達することにより衝突を検出し、モータの停止制御を行う。
そして、モータ電流はゼロとなる。
加工中では、負荷電流設定値IK2<モータ電流制限値IS2となるように設定値切替手段13により設定されている。
上述の如く、軸移動後の定常状態では、摩擦負荷トルクに相当するモータ電流値のみが発生する。
次に、衝突が発生した場合、駆動モータ1は衝突負荷に対抗するためにサーボモータ電流値が増加する。
そして、構造体破損防止のために設定された負荷電流設定値IK2に達することにより衝突を検出し、モータを停止させる動作に移行する。
ただし、検出後に速やかにモータを停止させることは困難であり、通信遅れやフィルタ遅れなどにより停止するまでに若干の遅れが生じる。そのため、衝突後に上記遅れ時間だけ軸が駆動することとなる。
但し、検出遅れ中でも、モータ電流制限回路4により、あらかじめ定められたモータ電流制限値IS2までしか電流値は増加せず、電流制限値に相当するトルク以下に負荷は抑制される。
非加工中の動作(1)においては、仮に衝突が発生してもモータ電流制限値IS1以上のサーボモータ電流が流れることがなく、一定以上のトルクを発生させることができないため、衝突によるダメージを抑制することができる。
また、図4に示す様に、モータ電流制値IS1を衝突物が確実に破損しないレベル(例えば、予め設定された駆動モータの非加工中における速度、トルク、軸始動時の負荷イナーシャ等を考慮し、定常状態での摩擦負荷トルクに相当するモータ電流値近傍)まで低下させることにより、機械損傷の防止をさらに確実に抑制可能である。但し、モータ電流値を下げることは、駆動時の応答性を低下させるため、NCプログラムに基づく位置軌跡制御の性能を低下させることとなるが、本モードは非加工時のみに有効であるため、位置軌跡精度の悪化は実使用上問題とならない。
一般的に、位置軌跡精度は駆動制御の高応答化により向上可能であるため、構造体の固有振動数を考慮に入れて、機械共振が発生しない程度までモータ電流値を向上させることが不可欠である。
例えば、図5に示す様に、モータ電流制限値IS2を高電流に設定することで、高精度加工が実現可能となる。その際の衝突検出は、モータ電流値が負荷電流設定値IK2に達することにより判断する必要がある。
この方法では、検出後のモータ停止までの遅れが必ず生じることとなる。しかし、一般的な放電加工機において、実加工中の移動速度は10mm/min程度以下と低速であるため、検出遅れによって衝突後の構造体破壊につながることはほとんど無視して考えてよい。
この発明の実施の形態2に係る衝突負荷検出装置においては、先に説明した図1、図2の構成に加えて、図6に示す負荷電流設定値IK2の範囲で、加工中にモータを停止させるための基準電流値を定義することを特徴としている。
その結果、衝突検出を迅速に行えるようになるので、検出後のモータ停止までの遅れにともなう構造体破損の危険性をさらに低減可能である。
この発明の実施の形態3に係る衝突負荷検出装置においては、先に説明した図1、図2の構成に加えて、非加工中に図8に示す範囲内のモータ電流制限値IS1の設定範囲を設け、適宜モータ電流制限値IS1を設定可能としたものである。
なお、衝突時の検出動作は、実施の形態1の非加工中と同様に、サーボモータ電流がモータ電流制限値IS1で制限され、検出誤差量が設定値以上の時に衝突を検出し、モータを停止させることを特徴としている。
すなわち、ユーザが非加工中のモータ電流制限値IS1を設定する際にも、その設定可能な範囲が決まっていることから、不用意なモータ電流制限値IS1設定による衝突不具合等を防止することができる。
そのため、位置指令と位置フィードバック間に誤差が発生し、検出誤差量が許容誤差設定値として例えば3mm以上となった場合に、衝突と認識し、モータを停止させる動作を示している。
これにより、位置指令と位置フィードバック間とに誤差量の変動があったとしても、衝突現象の誤検出する危険性を抑制できる。
以上の構成により、非加工時の衝突時の破損を大幅に抑制すると同時に、衝突検出の誤検出の恐れが無くなるため、非加工中のマシンダウンを抑制することができる。
Claims (17)
- 駆動モータと、
該駆動モータの負荷電流を検出する負荷電流検出手段と、
位置指令と前記駆動モータからのフィードバック信号とから、前記駆動モータの誤差検出を行う誤差検出手段と、
前記駆動モータの駆動を制御する制御手段と、
を備えた衝突検出装置において、
前記制御手段は、前記駆動モータの駆動が、加工中か或いは非加工中であるかを判断し、当該判断の結果を踏まえて、前記駆動モータが設けられた構造体と加工対象物との衝突有無を判断するための基準電流値を示した負荷電流設定値、及び、前記駆動モータのモータ出力トルクが一定以下となる様にモータ電流を制限するモータ電流制限値を設定し、
加工中時には、前記負荷電流検出手段で検出された負荷電流が、前記負荷電流設定値以上に設定された前記モータ電流制限値以下となるように制限したうえで、負荷電流が前記負荷電流設定値以上となった場合に衝突を検出し、
非加工中時には、前記負荷電流検出手段で検出された負荷電流が、前記負荷電流設定値以下に設定された前記モータ電流制限値以上となった場合に、前記誤差検出手段で検出された誤差を判断することで衝突を検出することを特徴とする衝突検出装置。 - 加工中のモータ電流制限値は、駆動モータが位置軌跡制御するためのトルク以上となる高電流値のパラメータとして設定され、非加工中のモータ電流制限値は、駆動モータが駆動させる機械の最大摩擦負荷トルク以上であって衝突時の影響を抑えた低電流値として設定されていることを特徴とする請求項1に記載の衝突検出装置。
- 加工中の負荷電流設定値は、駆動モータが駆動させる機械の最大摩擦負荷トルク及び軸始動時の負荷イナーシャを考慮した負荷電流値以上、かつ該負荷電流値+10%以下の値として設定可能な範囲が記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の衝突検出装置。
- 負荷電流設定値に基づく衝突判断は、駆動モータの軸移動開始時から、負荷イナーシャ発生時の間は検出を無効とすることと特徴とする請求項3に記載の衝突検出装置。
- 非加工中のモータ電流制限値を、駆動モータが駆動させる機械の最大摩擦負荷トルクに相当する負荷電流値以上、衝突時に構造体が破壊しない最大負荷電流値以下の値として設定可能な範囲が記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の衝突検出装置。
- 誤差検出手段には、移動指令とフィードバック信号の誤差設定値を3mm以上として設定され、該誤差設定値以上となった場合に衝突として判断されることを特徴とする請求項5に記載の衝突検出装置。
- NCプログラムに基づき動作する放電加工装置において、電極及び被加工物との間隙に所定のパルス電流を供給しつつ駆動モータを駆動する場合を加工時とし、所定のパルス電流を供給せず、駆動モータを位置決め動作させる非加工時と判断することを特徴とする請求項1乃至6何れかに記載の衝突検出装置。
- 加工中の駆動モータによる駆動速度は、10mm/min程度以下の低速にて放電加工を行う放電加工装置において用いられることを特徴とする請求項7に記載の衝突検出装置。
- 駆動モータと、
該駆動モータの負荷電流を検出する負荷電流検出手段と、
位置指令と前記駆動モータからのフィードバック信号とから、前記駆動モータの誤差検出を行う誤差検出手段と、
前記駆動モータの駆動を制御する制御手段と、
を備えた衝突検出装置の衝突検出方法において、
前記制御手段は、前記駆動モータの駆動が、加工中か或いは非加工中であるかを判断し、当該判断の結果を踏まえて、前記駆動モータが設けられた構造体と加工対象物との衝突有無を判断するための基準電流値を示した負荷電流設定値、及び、前記駆動モータのモータ出力トルクが一定以下となる様にモータ電流を制限するモータ電流制限値を設定し、
加工中時には、前記負荷電流検出手段で検出された負荷電流が、前記負荷電流設定値以上に設定された前記モータ電流制限値以下となるように制限したうえで、負荷電流が前記負荷電流設定値以上となった場合に衝突を検出し、
非加工中時には、前記負荷電流検出手段で検出された負荷電流が、前記負荷電流設定値以下に設定された前記モータ電流制限値以上となった場合に、前記誤差検出手段で検出された誤差を判断することで衝突を検出することを特徴とする衝突検出方法。 - 前記駆動モータの駆動が、加工中か或いは非加工中であるかを判断し、加工中時或いは非加工中時の衝突検出を切替えることを特徴とする請求項9に記載の衝突検出方法。
- 加工中のモータ電流制限値は、駆動モータが位置軌跡制御するためのトルク以上となる高電流値のパラメータとして設定し、非加工中のモータ電流制限値は、駆動モータが駆動させる機械の最大摩擦負荷トルク以上であって衝突時の影響を抑えた低電流値として設定された値を用いて衝突検出を行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の衝突検出方法。
- 駆動モータが駆動させる機械の最大摩擦負荷トルク及び軸始動時の負荷イナーシャを考慮した負荷電流値以上、かつ該負荷電流値+10%以下の値として設定可能な範囲から、負荷電流設定値を決定し、加工中の衝突検出を行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の衝突検出方法。
- 負荷電流設定値に基づく衝突判断は、駆動モータの軸移動開始時から、負荷イナーシャ発生時の間は検出を無効とすることと特徴とする請求項12に記載の衝突検出方法。
- 駆動モータが駆動させる機械の最大摩擦負荷トルクに相当する負荷電流値以上、衝突時に構造体が破壊しない最大負荷電流値以下の値として設定可能な範囲から、非加工中のモータ電流制限値を設定し、該非モータ電流制限値を用いて非加工中の衝突検出を行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の衝突検出方法。
- 誤差検出手段には、移動指令とフィードバック信号の誤差設定値を3mm以上として設定され、該誤差設定値以上となった場合に衝突として判断されることを特徴とする請求項14に記載の衝突検出方法。
- NCプログラムに基づき動作する放電加工装置において、電極及び被加工物との間隙に所定のパルス電流を供給しつつ駆動モータを駆動する場合を加工時とし、所定のパルス電流を供給せず、駆動モータを位置決め動作させる非加工時と判断することを特徴とする請求項9乃至15何れかに記載の衝突検出方法。
- 加工中の駆動モータによる駆動速度は、10mm/min程度以下の低速にて放電加工を行う放電加工において用いられることを特徴とする請求項16に記載の衝突検出方法。
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