本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による無線ネットワークの概略図である。この発明の実施の形態による無線ネットワーク100は、無線装置1〜21を備える。無線装置1〜21は、それぞれ、車両C1〜C21に搭載される。そして、無線装置1〜21は、自律的に無線ネットワークを構築する。
車両C1〜C6は、交差点CRへ向かって道路RD1の左側車線を走行しており、車両C7は、交差点CRを通過しようとしており、車両C8〜C12は、交差点CRから遠ざかる方向へ道路RD1の左側車線を走行しており、車両C13〜C15は、交差点CRへ向かって道路RD1の右側車線を走行しており、車両C16〜C19は、交差点CRから遠ざかる方向へ道路RD1の右側車線を走行している。また、車両C20は、道路RD2から道路RD1へ入ろうとして交差点CRの手前を走行しており、車両C21は、交差点CRへ向かって道路RD2の左側車線を走行している。このような場合、車両C1〜C21は、出会い頭衝突事故および右折時事故等の交通事故を起こす可能性がある。
例えば、車両C5,C6が交差点を直進し、車両C15が交差点を右折しようとした場合、車両C15は、車両C5,C6と右折時事故を起こす可能性がある。また、車両C20が交差点を左折しようとした場合、車両C20は、車両C5,C6と出会い頭衝突事故を起こす可能性がある。
このような右折時事故および出会い頭衝突事故を防止するためには、優先車両である車両C1〜C6の位置情報を非優先車両である車両C15,C20へ知らせる必要がある。
そこで、以下においては、自己干渉および遠近問題を抑制し、かつ、優先車両の位置情報を非優先車両に確実に伝達する方法について説明する。
[実施の形態1]
図2は、図1に示す無線装置1の実施の形態1における構成を示す概略ブロック図である。無線装置1は、受信モジュール101と、受信バッファ102と、テーブル管理モジュール103と、転送モジュール104と、周辺車両テーブル105と、制御モジュール106と、タイマ107と、GPS(Global Positioning System)システム108と、位置情報生成モジュール109と、送信バッファ110,111と、送信モジュール112とを含む。
受信モジュール101は、他の無線装置から周波数チャネルf1〜f4および拡散符号c1〜cN(Nは2以上の整数)で受信される信号のうち、振幅の大きい信号を定期パケットの受信信号として検出する。そして、受信モジュール101は、その振幅が大きい信号が得られたときの周波数チャネルfr(周波数f1〜f4のいずれか)および拡散符号cK(K=1〜N)を検出する。
そうすると、受信モジュール101は、受信した定期パケットを受信バッファ102へ格納し、周波数frおよび拡散符号cKをテーブル管理モジュール103へ出力する。また、受信モジュール101は、周波数frを送信モジュール112へ出力する。
受信バッファ102は、受信モジュール101から受けた定期パケットを一定期間保持し、その後、定期パケットをテーブル管理モジュール103へ出力する。
テーブル管理モジュール103は、受信モジュール101から周波数frおよび拡散符号cKを受け、受信バッファ102から定期パケットを受ける。そして、テーブル管理モジュール103は、定期パケットに含まれる車両ID、タイムスタンプ、位置情報、シーケンス番号および進行方向を抽出し、その抽出した車両ID、タイムスタンプ、位置情報、シーケンス番号および進行方向と、拡散符号cKと、周波数frとを用いて周辺車両テーブル105を作成または更新する。その後、テーブル管理モジュール103は、定期パケットを転送モジュール104へ出力する。
転送モジュール104は、テーブル管理モジュール103から定期パケットを受け、無線装置1の位置情報および進行方向を位置情報生成モジュール109から受ける。そして、転送モジュール104は、定期パケットの送信元の無線装置が搭載された車両名、周辺車両テーブル105および無線装置1の位置情報および進行方向に基づいて、後述する方法によって、定期パケットを転送すべきか否かを判定する。
転送モジュール104は、定期パケットを転送すべきと判定した場合、定期パケットを送信バッファ110へ格納し、定期パケットを転送すべきでないと判定したとき、定期パケットを破棄する。
周辺車両テーブル105は、無線装置1が搭載された車両C1の周辺に存在する車両に関する情報を格納する。
制御モジュール106は、周辺車両テーブル105およびタイマ107を参照して、後述する方法によって、位置情報生成モジュール109が定期パケットを生成すべきタイミングを決定する。そして、制御モジュール106は、その決定したタイミングで定期パケットを周期的に生成するように位置情報生成モジュール109を制御する。この場合、制御モジュール106は、ΔTの周期で定期パケットを生成するように位置情報生成モジュール109を制御する。そして、ΔTは、例えば、100ミリ秒に設定される。
また、制御モジュール106は、後述する方法によって、無線装置1が定期パケットの送信に使用すべき周波数ft(f1〜f4のいずれか)を決定するとともに、周辺車両テーブル105を参照して、定期パケットの送信および転送に使用すべき拡散符号を決定する。そして、制御モジュール106は、その決定した周波数ftおよび拡散符号を送信モジュール112へ出力する。
タイマ107は、GPSシステム108からGPSシステム108が無線装置1のGPS信号を取得した時刻を受け、その受けた時刻に同期して時間を計測する。
GPSシステム108は、GPS衛星から車両C1のGPS信号を受信し、その受信したGPS信号に含まれる時刻をタイマ107へ出力し、GPS信号を位置情報生成モジュール109へ出力する。
位置情報生成モジュール109は、GPSシステム108から受けたGPS信号に含まれる経度および緯度を公知の方法によってx−y座標からなる位置情報に変換する。そして、位置情報生成モジュール109は、制御モジュール106から定期パケットを生成すべき時刻を受けると、その時刻と、無線装置1が搭載された車両C1の識別情報(車両ID)と、車両C1のGPS信号とを含む定期パケットを生成し、その生成した定期パケットを送信バッファ111へ格納する。また、位置情報生成モジュール109は、車両C1の位置情報(x−y座標からなる)および進行方向を転送モジュール104へ出力する。
送信バッファ110は、転送モジュール104から受けた定期パケットを格納し、その格納した定期パケットを送信モジュール112へ順次出力する。
送信バッファ111は、位置情報生成モジュール109から受けた定期パケットを格納し、その格納した定期パケットを送信モジュール112へ順次出力する。
送信モジュール112は、送信バッファ111から受けた定期パケットを制御モジュール106から受けた拡散符号によってスペクトル拡散し、その拡散後の定期パケットを制御モジュール106から受けた周波数ftで変調して送信する。また、送信モジュール112は、送信バッファ110から受けた定期パケットを制御モジュール106から受けた拡散符号によってスペクトル拡散し、その拡散後の定期パケットを受信モジュール101から受けた周波数frによって変調して転送する。
なお、送信バッファ111は、送信バッファ110よりも優先度が高い。従って、送信モジュール112は、送信バッファ111と送信バッファ110の両方にパケットが格納されている場合、送信バッファ111のパケットを先に送信する。
また、図1に示す無線装置2〜21の各々は、図2に示す無線装置1と同じ構成からなる。
図3は、図2に示す周辺車両テーブル105の構成図である。周辺車両テーブル105は、車両IDと、時刻と、位置情報と、シーケンス番号と、進行方向と、使用周波数チャネルと、拡散符号とを含む。車両ID、時刻、位置情報、シーケンス番号、進行方向、使用周波数チャネル、および拡散符号は、相互に対応付けられる。
車両IDは、定期パケットの生成元の無線装置を搭載する車両の名称からなる。時刻は、定期パケットの生成元における定期パケットの生成タイミングを表す。位置情報は、緯度、経度、方位および速度からなる。シーケンス番号は、定期パケットが生成された順序を表す。従って、シーケンス番号が大きい方が新しい定期パケットであることを表す。
進行方向は、車両IDによって特定される車両の進行方向からなる。使用周波数チャネルは、定期パケットの生成元の無線装置が使用する周波数からなる。拡散符号は、定期パケットの生成元の無線装置が定期パケットの送信または転送に用いる拡散符号からなる。なお、時刻は、年月日時分秒(YYYY/MMMM/DDDD/HHHH/MMMM/SSSS)からなる。
図4は、実施の形態1における定期パケットのフォーマットを示す図である。定期パケットPKT_PRDは、PHYヘッダと、MACヘッダと、転送ヘッダと、データとを含む。
PHYヘッダは、プリアンブルと、ユニークワード(UW)とからなる。MACヘッダは、バージョン番号と、宛先と、送信元と、パケット識別情報と、パケット長とからなる。バージョン番号は、チャネルアクセス方式を示す。宛先は、パケットの宛先からなる。定期パケットは、ブロードキャストパケットであるため、宛先は、"FFFFFFFF"と設定される。送信元は、パケットの送信車両のIDからなる。パケット識別情報は、定期パケットかその他のパケットかを示す情報からなる。パケット長は、パケットの長さからなる。
転送ヘッダは、転送フラグと、送信元と、転送車両IDと、タイムスタンプと、シーケンス番号と、情報ピギーバック車両台数とからなる。なお、この発明においては、ピギーバックとは、各無線装置1〜21が各車両C1〜C21の位置情報と他の車両の位置情報とを自己の定期パケット中に含めて送信することを言う。
転送フラグは、パケットを転送するとき、"1"からなり、位置情報がピギーバックされるとき、"0"からなる。送信元は、定期パケットを生成する無線装置を搭載する車両の車両IDからなる。転送車両IDは、定期パケットを転送する無線装置を搭載する車両の車両IDからなる。タイムスタンプは、定期パケットの生成タイミングからなる。シーケンス番号は、定期パケットが生成された順序を表す。情報ピギーバック車両台数は、各無線装置1〜21が自己の定期パケットに含める位置情報を有する他の車両の台数からなる。そして、情報ピギーバック車両台数は、転送フラグが"1"からなる場合、"0"からなる。
データは、データ長と、水平方向の誤差と、高さ方向の誤差と、送信元の位置と、方位と、速度と、進行方向と、車両のシフトポジションと、ブレーキ状態と、ウィンカースイッチの状態と、ハザードスイッチの状態と、緊急自動車の緊急走行状態と、営業車両の発車合図と、営業車両の停止合図と、進行方向における直近の交差点の位置とからなる。そして、送信元の位置は、緯度と経度とからなる。緯度および経度の各々は、度/分/秒からなる。進行方向は、定期パケットを生成する無線装置を搭載する車両の進行方向からなる。
図5は、各無線装置1〜21における周波数の割当方法を説明するための図である。道路RD1は、東西方向へ配置され、道路RD2は、南北方向へ配置されている。各無線装置1〜21の制御モジュール106は、位置情報生成モジュール109から各車両C1〜C21の進行方向を受け、その受けた進行方向が東西±45度の範囲であるか否かを判定する。そして、各無線装置1〜21の制御モジュール106は、進行方向が東西±45度の範囲であると判定したとき、更に、進行方向が東の方向に近いか否かを判定する。
各無線装置1〜21の制御モジュール106は、進行方向が東の方向に近くない(即ち、進行方向が西の方向に近い)と判定したとき、各無線装置1〜21がパケットの送信または転送に使用すべき周波数を周波数f1と決定し、その決定した周波数f1を送信モジュール112へ出力する。
一方、各無線装置1〜21の制御モジュール106は、進行方向が東の方向に近いと判定したとき、各無線装置1〜21がパケットの送信または転送に使用すべき周波数を周波数f2と決定し、その決定した周波数f2を送信モジュール112へ出力する。
一方、各無線装置1〜21の制御モジュール106は、進行方向が東西±45度の範囲でないと判定したとき、更に、進行方向が北の方向に近いか否かを判定する。そして、各無線装置1〜21の制御モジュール106は、進行方向が北の方向に近いと判定したとき、各無線装置1〜21がパケットの送信または転送に使用すべき周波数を周波数f3と決定し、その決定した周波数f3を送信モジュール112へ出力する。
一方、各無線装置1〜21の制御モジュール106は、進行方向が北の方向に近くないと判定したとき、各無線装置1〜21がパケットの送信または転送に使用すべき周波数を周波数f4と決定し、その決定した周波数f4を送信モジュール112へ出力する。
このように、各無線装置1〜21において、制御モジュール106は、自己が搭載された車両C1〜C21の進行方向に応じて、各無線装置1〜21がパケットの送信または転送に使用すべき周波数を決定する。
図6は、パケット転送領域を説明するための図である。車両C3に搭載された無線装置3が車両C3の位置情報等を含む定期パケットPKT_PRDを生成して送信する場合、パケット転送領域PTFは、車両C3の位置から前方へ距離X_anterior、車両C3の位置から後方へ距離X_posteriorおよび車両C3の位置から左右方向へ距離Y_limitの範囲と決定される。
一般的に、車車間の衝突を回避するためには、位置情報は、前方の数十メートルから数百メートルの範囲へ伝搬させる必要があるので、以下においては、定期パケットPKT_PRDの生成元の車両が走行している車線において、定期パケットPKT_PRDの生成元の車両の位置から前方へX(>0)メートル、後方へ0メートルである領域をパケット転送領域PTFとする。この場合、Xの具体値は、例えば、130mである。
そして、定期パケットPKT_PRDを転送するか否かを決定するための転送条件は、定期パケットPKT_PRDを受信した無線装置の位置が定期パケットPKT_PRDの生成元の車両の位置から前方へX(>0)メートル、後方へ0メートルである領域内に存在し、かつ、定期パケットPKT_PRDを受信した無線装置を搭載した車両の進行方向が定期パケットPKT_PRDの生成元の無線装置を搭載した車両の進行方向と略同じであることである。
従って、無線装置3が定期パケットPKT_PRD1=[[Add3/Add3/1/0]/[C3/t1/1/[θ3,φ3,AZ3,V3]/西方向]]を送信した場合、無線装置4の転送モジュール104は、定期パケットPKT_PRD1=[[Add3/Add3/1/0]/[C3/t1/1/[θ3,φ3,AZ3,V3]/西方向]]に含まれる緯度θ3および経度φ3を公知の方向によってx−y座標からなる位置情報[x3,y3]に変換し、その変換した位置情報[x3,y3]と、車両C4の位置情報[x4,y4]とに基づいて、車両C4の位置が車両C3の位置から前方へ130mの領域内に存在することを検知し、かつ、周辺車両テーブル105を参照して、車両C4の進行方向が車両C3の進行方向と同じであることを検知すれば、無線装置3から受信した定期パケットPKT_PRD1を転送すべきと判定する。
なお、実施の形態1においては、定期パケットPKT_PRDは、転送されるので、定期パケットPKT_PRD1の転送ヘッダの転送フラグは、"1"に設定される([Add3/Add3/1/0]の"1"参照)。また、実施の形態1においては、定期パケットPKT_PRDは、自車両の位置情報のみを含むので、情報ピギーバック車両台数は、"0"に設定される([Add3/Add3/1/0]の"0"参照)。
無線装置4以外の無線装置1〜3,5〜21も、自己が搭載された車両の後方から定期パケットPKT_PRDを受信すれば、無線装置4と同じ方法によって、定期パケットPKT_PRDを転送すべきか否かを判定する。
この発明による無線ネットワーク100は、各車両C1〜C21の位置情報等を前方へ伝搬して出会い頭衝突事故および右折時事故等の交通事故を回避することを支援する無線ネットワークであるので、各無線装置1〜21は、自己が搭載された車両C1〜C21がパケット転送領域PTF内に存在するときに、自己が搭載された車両C1〜C21の前方の車両から定期パケットPKT_PRDを受信しても、その定期パケットPKT_PRDを転送することはなく、自己が搭載された車両C1〜C21の後方の車両から受信した定期パケットPKT_PRDのみを転送する。
これによって、定期パケットPKT_PRDは、パケット転送領域PTF内において定期パケットPKT_PRDの生成元の車両から前方方向へ順次転送され、非優先車両まで伝搬する。また、転送される定期パケットPKT_PRDの個数が制限され、無線ネットワーク100に与える干渉が低減される。
次に、各無線装置1〜21における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミング制御について説明する。
図1においては、車両C1〜C12は、道路RD1の左側車線を同一方向へ走行している。この場合、車両C12〜C2は、それぞれ、車両C11〜C1の直前車両である。なお、車両C5,C6は、相互に前後関係が成立しないが、このような場合、右側を走行している車両C6を車両C5の直前車両とし、車両C5を車両C4の直前車両とする。
また、各無線装置1〜21における定期パケットPKT_PRDの生成から送信までの処理時間と、隣接する2つの無線装置間におけるパケットの空中伝搬時間との和(=処理時間+空中伝搬時間)を、隣接する2つの無線装置間でパケットの送信完了に要する送信所要時間Ttrと定義する。送信所要時間Ttrは、例えば、4.15ミリ秒に設定される。この4.15ミリ秒の値は、車車間通信ネットワークのシステムの設計時に、予め、求められた値である。
そして、この4.15ミリ秒からなる送信所用時間Ttrは、各無線装置1〜21の制御モジュール106に予め設定されている。
各無線装置11〜1の制御モジュール106は、定期パケットPKT_PRDの周期ΔT内において、無線装置11〜1がそれぞれ搭載された車両C11〜C1の直前車両C12〜C2における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングから3×Ttrだけ経過したタイミングを自己における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングと決定する。
即ち、無線装置12における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングを周期ΔTの開始タイミングであるT0とすると、無線装置11〜1の制御モジュール106は、無線装置11〜1における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングをそれぞれT0+3×Ttr,T0+6×Ttr,T0+9×Ttr,T0+12×Ttr,T0+15×Ttr,T0+18×Ttr,T0+21×Ttr,T0+24×Ttr,T0+27×Ttr,T0+30×Ttr,T0+33×Ttrと決定する。
なお、無線装置18〜13の制御モジュール106も、無線装置11〜1の制御モジュール106と同じ方法によって、無線装置18〜13における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングを決定する。
このように、各無線装置1〜11,13〜18は、自己が搭載された車両の直前車両における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングから3×Ttrだけ経過したタイミングを自己における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングと決定する。
これによって、自己干渉および遠近問題を抑制できる。その理由について説明する。図7は、各無線装置が定期パケットを送信または転送するタイミングを示す図である。
無線装置11〜1が直列に配列されており、無線装置11〜1をそれぞれ搭載した車両C11〜C1は、図7の紙面上、左方向へ走行しているものとする。
定期パケットPKT_PRDの生成および送信の周期ΔTの開始タイミングをT0とし、無線装置8がタイミングT0で定期パケットPKT_PRD1を生成して送信すると、無線装置8の直前に存在する無線装置9は、パケットの送信所要時間がTtrであるので、タイミングT0+Ttrで無線装置8からの定期パケットPKT_PRD1を転送する。この場合、無線装置7は、無線装置8の後方に存在するので、無線装置8からの定期パケットPKT_PRD1を転送しない。
その後、無線装置10は、タイミングT0+2Ttrで無線装置9からの定期パケットPKT_PRD1を転送する。そして、タイミングT0+3Ttrにおいて、無線装置11は、無線装置10からの定期パケットPKT_PRDを転送し、無線装置8の直後方に位置する無線装置7は、定期パケットPKT_PRD2を生成して送信する。このタイミングT0+3Ttrは、無線装置8における定期パケットPKT_PRD1の生成および送信のタイミングであるタイミングT0から3Ttrだけ経過後のタイミングである。
その後、無線装置7の直前に存在する無線装置8は、タイミングT0+4Ttrで無線装置7からの定期パケットPKT_PRD2を転送し、無線装置9は、タイミングT0+5Ttrで無線装置8からの定期パケットPKT_PRD2を転送する。そして、タイミングT0+6Ttrにおいて、無線装置10は、無線装置9からの定期パケットPKT_PRD2を転送し、無線装置7の直後方に位置する無線装置6は、定期パケットPKT_PRD3を生成して送信する。このタイミングT0+6Ttrは、無線装置7における定期パケットPKT_PRD2の生成および送信のタイミングであるタイミングT0+3Ttrから3Ttrだけ経過後のタイミングである。
それ以降、上述した動作が繰り返される。
その結果、タイミングT0+3Ttrにおいて、無線装置7,11は、同時に定期パケットPKT_PRDを送信し、タイミングT0+6Ttrにおいて、無線装置6,10は、同時に定期パケットPKT_PRDを送信する。そして、無線装置7,11が同時に定期パケットPKT_PRDを送信する場合、無線装置7,11間には、パケットを送信していない3個の無線装置8〜10が存在し、無線装置6,10が同時に定期パケットPKT_PRDを送信する場合、無線装置6,10間には、パケットを送信していない3個の無線装置7〜9が存在する。
そうすると、無線装置7,11が同時に定期パケットPKT_PRDを送信する場合、無線装置8は、無線装置7からの定期パケットPKT_PRDを遠近問題を抑制して受信し、その受信した定期パケットPKT_PRDを無線装置8よりも前方の無線装置9へ転送できる。また、無線装置6,10が同時に定期パケットPKT_PRDを送信する場合、無線装置7は、無線装置6からの定期パケットPKT_PRDを遠近問題を抑制して受信し、その受信した定期パケットPKT_PRDを無線装置7よりも前方の無線装置8へ転送できる。
従って、各無線装置11〜1が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングから3Ttrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信することによって、自己干渉および遠近問題を抑制できる。
引き続いて、各無線装置11〜1における拡散符号の決定方法について説明する。各無線装置11〜1の制御モジュール106は、自己が搭載された車両C11〜C1の直前車両C12〜C2における拡散符号cKと異なる拡散符号cK+1を無線装置11〜1において定期パケットPKT_PRDの送信に使用すべき拡散符号と決定する。なお、各無線装置11〜1の制御モジュール106は、拡散符号cKがcNである場合、拡散符号cK+1を拡散符号c1と決定する。このように、各無線装置11〜1の制御モジュール106は、N個の拡散符号c1〜cNをリング状に配列した場合に、直前の車両において使用されている拡散符号cKに隣接する拡散符号cK+1を無線装置11〜1において使用すべき拡散符号として決定する。
無線装置18〜13の制御モジュール106も、無線装置11〜1の制御モジュール106と同じ方法によって、無線装置18〜13において使用すべき拡散符号を決定する。
なお、直前車両が存在しない車両C12,C19に搭載された無線装置12,19は、定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングと、拡散符号とを変えない。
図8は、定期パケットの送信および転送を示す図である。また、図9は、周辺車両テーブルの具体例を示す図である。
図8に示すように、無線装置4の位置情報生成モジュール109は、制御モジュール106からの制御に従って、タイミングT1(=L×0.100+0.010秒,L=正の整数)で車両C4の位置情報等を含む定期パケットPKT_PRD4=[[Add4/Add4/1/0]/[C4/T1/10/[θ4,φ4,AZ4,V4]/西方向]]を生成し、その生成した定期パケットPKT_PRD4=[[Add4/Add4/1/0]/[C4/T1/10/[θ4,φ4,AZ4,V4]/西方向]]を送信バッファ111へ格納する。その後、送信バッファ111は、定期パケットPKT_PRD4を送信モジュール112へ出力する。
そうすると、無線装置4の送信モジュール112は、制御モジュール106から周波数f1および拡散符号c6を受け、その受けた拡散符号c6によって定期パケットPKT_PRD4をスペクトル拡散し、その拡散後の定期パケットPKT_PRD4を周波数f1によって変調して送信する。このように、無線装置4は、タイミングT1で定期パケットPKT_PRD4を生成して送信する。
無線装置4の直後方に位置する無線装置3の受信モジュール101は、周波数チャネルf1で受信される信号から拡散符号c6を用いて定期パケットPKT_PRD4を検出する。
そうすると、無線装置3の受信モジュール101は、定期パケットPKT_PRD4の受信信号を受信バッファ102を介してテーブル管理モジュール103へ出力し、周波数f1および拡散符号c6をテーブル管理モジュール103へ直接出力する。
無線装置3のテーブル管理モジュール103は、定期パケットPKT_PRD4の受信信号から車両ID=C4、タイムスタンプ=T1、シーケンス番号=10、位置情報=[θ4,φ4,AZ4,V4]および進行方向=西方向を抽出し、その抽出した車両ID=C4、タイムスタンプ=T1、位置情報=[θ4,φ4,AZ4,V4]および進行方向=西方向を周辺車両テーブル105の車両ID、時刻、シーケンス番号、位置情報および進行方向にそれぞれ格納し、受信モジュール101から受けた周波数f1および拡散符号c6を車両ID=C4に対応する使用周波数チャネルおよび拡散符号の欄にそれぞれ格納する。これによって、周辺車両テーブル105A(図9参照)が作成される。その結果、無線装置3の制御モジュール106は、周辺車両テーブル105Aに登録された時刻T1=L×0.100+0.010を参照して、無線装置4が(L+1)×0.100+0.010の時刻で定期パケットPKT_PRDを生成して送信することを予想できる。
一方、無線装置5も、同様に、無線装置4から定期パケットPKT_PRD4を受信し、無線装置3と同じ方法によって周辺車両テーブル105Aを作成する。そして、無線装置5の転送モジュール104は、テーブル管理モジュール103から定期パケットPKT_PRD4を受けると、定期パケットPKT_PRD4に含まれる送信元の車両ID=C4を検出し、周辺車両テーブル105Aを参照して、車両ID=C4に対応する位置情報=[θ4,φ4,AZ4,V4]および進行方向=西方向を検出する。そして、無線装置5の転送モジュール104は、位置情報=[θ4,φ4,AZ4,V4]の緯度θ4および経度φ4を公知の方法によってx−y座標からなる位置情報[x4,y4]に変換する。
また、無線装置5の転送モジュール104は、位置情報生成モジュール109から無線装置5が搭載された車両C5の位置情報=[x5,y5]および進行方向=西方向を受ける。
そうすると、無線装置5の転送モジュール104は、位置情報=[x4,y4]および位置情報=[x5,y5]に基づいて、車両C5が車両C4の直前車両であり、車両C5が車両C4のパケット転送領域PTF内に位置することを検出するとともに、車両C4の進行方向=西方向および車両C5の進行方向=西方向に基づいて、車両C5の進行方向が車両C4の進行方向と同じであることを検出し、上述したパケットの転送条件を満たすことを検知する。そして、無線装置5の転送モジュール104は、定期パケットPKT_PRD4を転送すべきであると判定し、転送ヘッダ中の転送車両ID=Add4をAdd5に書き換えて定期パケットPKT_PRD4を送信バッファ110へ格納する。
無線装置5の送信モジュール112は、制御モジュール106から拡散符号c5を受け、送信バッファ110から定期パケットPKT_PRD4を取り出す。そして、無線装置5の送信モジュール112は、定期パケットPKT_PRD4を無線装置5における拡散符号c5によってスペクトル拡散するとともに、定期パケットPKT_PRD4の受信周波数である周波数f1を受信モジュール101から受けて、拡散後の定期パケットPKT_PRD4を周波数f1で変調してタイミングT1+Ttr=L×0.100+0.010+0.00415=L×0.100+0.0142で転送する。
その後、無線装置6は、無線装置5と同じ動作によって、転送ヘッダ中の転送車両ID=Add5をAdd6に書き換えて定期パケットPKT_PRD4をタイミングT1+2Ttr=L×0.100+0.0183で転送する。
一方、無線装置3において、制御モジュール106は、周辺車両テーブル105Aが作成されると、周辺車両テーブル105Aに格納された時刻T1を基準にして3Ttrの時間をタイマ107によって計測し、タイミングT1+3Ttr=L×0.100+0.0225を取得する。そして、無線装置3の制御モジュール106は、タイミングT1+3Ttrを取得すると、タイミングT1+3Ttrにおいて、無線装置3における定期パケットPKT_PRD5を生成するように位置情報生成モジュール109を制御する。
また、無線装置3の制御モジュール106は、周辺車両テーブル105Aを参照して、無線装置4における拡散符号が拡散符号c6であることを検知し、無線装置3が使用すべき拡散符号を拡散符号c7と決定する。そして、無線装置3の制御モジュール106は、その決定した拡散符号c7を送信モジュール112へ出力する。
更に、無線装置3の制御モジュール106は、上述した方法によって、無線装置3がパケットの送信に使用すべき周波数を周波数f1と決定し、その決定した周波数f1を送信モジュール112へ出力する。
そうすると、無線装置3の位置情報生成モジュール109は、制御モジュール106からの制御に従って、タイミングT1+3Ttrにおいて、定期パケットPKT_PRD5=[[Add3/Add3/1/0]/[C3/T1+3Ttr/15/[θ3,φ3,AZ3,V3]/西方向]]を生成し、その生成した定期パケットPKT_PRD5=[[Add3/Add3/1/0]/[C3/T1+3Ttr/15/[θ3,φ3,AZ3,V3]/西方向]]を送信バッファ111へ格納する。その後、無線装置3の送信バッファ111は、定期パケットPKT_PRD5を送信モジュール112へ出力する。
無線装置3の送信モジュール112は、定期パケットPKT_PRD5を受けると、タイミングT1+3Ttrにおいて、定期パケットPKT_PRD5を拡散符号c7によってスペクトル拡散し、その拡散後の定期パケットPKT_PRD5を周波数f1で変調して送信する。
その後、無線装置4は、上述した無線装置5と同じ動作によって、無線装置3からの定期パケットPKT_PRD5を転送すべきであると判定し、転送ヘッダ中の転送車両ID=Add3をAdd4に書き換えてタイミングT1+4Ttr=L×0.100+0.0267で定期パケットPKT_PRD5を転送する。また、無線装置5は、無線装置4と同様に、無線装置3からの定期パケットPKT_PRD5を転送すべきであると判定し、転送ヘッダ中の転送車両ID=Add4をAdd5に書き換えてタイミングT1+5Ttr=L×0.100+0.0309で定期パケットPKT_PRD5を転送する。更に、無線装置6は、無線装置5と同様に、無線装置3からの定期パケットPKT_PRD5を転送すべきであると判定し、タイミングT1+6Ttr=L×0.100+0.0351で定期パケットPKT_PRD5を転送する。
また、無線装置2は、タイミングT1+6Ttrで、無線装置3と同じ動作によって、車両C2の位置情報等を含む定期パケットPKT_PRD6=[[Add2/Add2/1/0]/[C2/T1+6Ttr/20/[θ2,φ2,AZ2,V2]/西方向]]を生成して送信する。
無線装置3は、定期パケットPKT_PRD6を受信すると、定期パケットPKT_PRD6=[[Add2/Add2/1/0]/[C2/T1+6Ttr/20/[θ2,φ2,AZ2,V2]/西方向]]に含まれる車両ID=C2、タイムスタンプ=T1+6Ttr、シーケンス番号=20、位置情報=[θ2,φ2,AZ2,V2]および進行方向=西方向を抽出して周辺車両テーブル105Aに登録するとともに、定期パケットPKT_PRD6をスペクトル拡散するために用いられた拡散符号c8および定期パケットPKT_PRD6の送信に用いられた周波数f1を周辺車両テーブル105Aに登録する。これによって、無線装置3における周辺車両テーブル105は、周辺車両テーブル105Aから周辺車両テーブル105Bへ更新される(図9参照)。
その後、無線装置3〜5は、それぞれ、タイミングT1+7Ttr,T1+8Ttr,T1+9Ttrで無線装置2からの定期パケットPKT_PRD6を転送し、無線装置1は、タイミングT1+9Ttrで、定期パケットPKT7=[[Add1/Add1/1/0][C1/T1+9Ttr/30/[θ1,φ1,AZ1,V1]/西方向]]を生成して送信する。また、無線装置2は、無線装置1から送信された定期パケットPKT7をタイミングT1+10Ttrで転送する。その結果、無線装置3における周辺車両テーブル105は、周辺車両テーブル105Bから周辺車両テーブル105Cへ更新される(図9参照)。
その後、無線装置3は、タイミングT1+11Ttrで、無線装置1からの定期パケットPKT_PRD7を転送する。
その結果、図8に示すタイミングT1+6Ttr,T1+10Ttrにおいて、無線装置2,6が同時に定期パケットPKT_PRDを送信するが、無線装置2,6間には、パケットを送信していない3個の無線装置3〜5が存在する。また、タイミングT1+9Ttrにおいて、無線装置1,5が同時に定期パケットPKT_PRDを送信するが、無線装置1,5間には、パケットを送信していない3個の無線装置2〜4が存在する。
従って、上述した理由によって、自己干渉および遠近問題を抑制できる。
このように、道路RD1を交差点CRへ向かって走行している車両C6〜C2にそれぞれ搭載された無線装置6〜2は、同じ周波数f1を用いて、車両C6〜C2の後方に存在する無線装置5〜1から受信した定期パケットPKT_PRDをパケット転送領域PTF内において自己干渉および遠近問題を抑制して車両C6〜C2の前方へ転送する。
この場合、各無線装置6〜2がパケット転送領域PTFにおいて定期パケットPKT_PRDを転送する構成によって、定期パケットがブロードキャストされる領域をパケット転送領域PTF内に限定し、定期パケットPKT_PRDの転送の失敗を抑制できる。
また、各無線装置5〜1は、自己の直前の無線装置6〜2における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングから3Ttr(=3×4.15ミリ秒=約12.5ミリ秒)だけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する構成によって、各無線装置1〜6が同じ周波数f1でパケットを送信する場合にも、パケットを同時に送信する2つの無線装置間にパケットを送信しない無線装置が少なくとも3個存在するように制御し、自己干渉および遠近問題を抑制できる。
その結果、非優先車両である車両C15に搭載された無線装置15は、車両C6〜C1の位置情報および進行方向を取得し、右折時事故を回避できる。また、非優先車両である車両C20に搭載された無線装置20も、車両C6〜C1の位置情報および進行方向を取得し、出会い頭衝突事故を回避できる。
図1において、各無線装置11〜1は、直前の無線装置12〜2における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングから3×Ttr=12.5ミリ秒後に定期パケットPKT_PRDを生成した場合、定期パケットPKT_PRDを生成および送信する周期ΔTは、100ミリ秒であるので、無線装置1〜12は、8(=100/12.5)台おきに同じタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
従って、無線装置1および無線装置9、無線装置2および無線装置10、無線装置3および無線装置11、無線装置4および無線装置12は、同じタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
ここで、無線装置2が定期パケットPKT_PRDを生成して送信することを想定すると、無線装置2は、無線装置3における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングよりも12.5ミリ秒後に定期パケットPKT_PRDを生成して送信するため、無線装置2における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングは、0.035秒(=0.0225+0.0125)となる。また、無線装置3は、拡散符号c7を用いて定期パケットPKT_PRDを送信するため、無線装置2は、拡散符号c8を用いて定期パケットPKT_PRDを送信する。
無線装置10も、無線装置2と同じタイミング=0.035秒で定期パケットPKT_PRDを生成し、拡散符号c10を用いて定期パケットPKT_PRDを送信する。
この場合、無線装置1,3〜9,11,12は、無線装置2と無線装置10との位置関係、および建物の存在等によって、無線装置2および無線装置10の両方から定期パケットPKT_PRDを受信できるか、無線装置2および無線装置10のいずれか一方のみから定期パケットPKT_PRDを受信できるか、無線装置2および無線装置10の両方から定期パケットPKT_PRDを受信できないか、のいずれかである。
より具体的には、無線装置1,3〜6は、無線装置2に比較的近いため、無線装置2から定期パケットPKT_PRDを受信できたとする。また、無線装置8,9,11,12は、無線装置10から定期パケットPKT_PRDを受信できたとする。一方、無線装置20は、建物の遮蔽によって無線装置2,10からの定期パケットPKT_PRDを受信できない可能性が高い。
そして、無線装置3〜6は、車両C2(=無線装置2)のパケット転送領域PTF内に存在するため、無線装置2からの定期パケットPKT_PRDをタイミング=0.03915秒(=0.035+0.00415)で転送する。また、無線装置11,12は、同様に、車両C10(=無線装置10)のパケット転送領域PTF内に存在するため、無線装置10からの定期パケットPKT_PRDをタイミング=0.03915秒で転送する。
無線装置1は、無線装置2の後方に存在するため、無線装置2からの定期パケットPKT_PRDを転送せず、無線装置8,9は、無線装置10の後方に存在するため、無線装置10からの定期パケットPKT_PRDを転送しない。
そうすると、無線装置3〜6が定期パケットPKT_PRDの転送を行なっているのと同時に、無線装置11,12は、定期パケットPKT_PRDの転送を行なうが、無線装置3〜6と無線装置7との距離と、無線装置7と無線装置11,12との距離との差によって、無線装置7は、より近い無線装置3〜6からの定期パケットPKT_PRDを受信できる可能性が高い。
そして、無線装置7は、無線装置2からの定期パケットPKT_PRDを受信すると、無線装置2のパケット転送領域PTF内に存在するため、直ぐに(0.00415秒タイミングで)定期パケットPKT_PRDを転送する。この場合、無線装置7が定期パケットPKT_PRDを転送している間、他の無線装置は、定期パケットPKT_PRDの送信および転送を行なっていない。
従って、無線装置14,20は、無線装置7から定期パケットPKT_PRDを受信できる。
その結果、非優先車両である車両C14,C20にそれぞれ搭載された無線装置14,20は、右折時事故または出会い頭衝突事故を回避できる。
図10は、実施の形態1における通信方法を説明するためのフローチャートである。一連の動作が開始されると、各無線装置1〜21は、自己が搭載された車両C1〜C21の直前を走行している車両に搭載された無線装置から定期パケットPKT_PRDを受信し、その受信した定期パケットPKT_PRDの逆拡散に用いる拡散符号を上述した方法によって検出する。そして、各無線装置1〜21は、その検出した拡散符号を直前の無線装置において使用されている拡散符号cKとして取得する(ステップS1)。
その後、各無線装置1〜21は、その受信した定期パケットPKT_PRDと、拡散符号cKとに基づいて、上述した方法によって、周辺車両テーブル105を作成する。そして、各無線装置1〜21は、その作成した周辺車両テーブル105に登録された時刻を直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfとして取得する(ステップS2)。
なお、各無線装置1〜21は、自己が搭載された車両C1〜C21の走行車線と交差する車線から他の車両が自己の直前に入って来て、他の車両に搭載された無線装置と自己とが同時に定期パケットPKT_PRDを送信した場合、他の車両に搭載された無線装置からの定期パケットPKT_PRDを自己干渉により受信できない。このような場合、各無線装置1〜21は、他の車両に搭載された他の無線装置Aからの定期パケットPKT_PRDを受信した他の車両の直前を走行している車両に搭載された無線装置Bが転送した定期パケットPKT_PRDを受信して、自己の直前に位置する他の無線装置Aにおける定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfを取得する。この場合、各無線装置1〜21は、他の無線装置Aにおける拡散符号を取得できないが、他の無線装置Aが次の送信タイミングで送信する定期パケットPKT_PRDを受信して他の無線装置Aにおける拡散符号を取得する。
従って、ステップS1,S2において、各無線装置1〜21は、自己の直前の無線装置に限らず、自己から前方へ2ホップ目以上の位置に存在し、かつ、自己の位置を通信領域に含む無線装置からの定期パケットPKT_PRDを受信して、拡散符号cKおよび送信タイミングTfを取得する。
そして、ステップS2の後、各無線装置1〜21は、タイミングTfから3Ttrだけ経過したタイミングを自己における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTsとして決定する(ステップS3)。
引き続いて、各無線装置1〜21は、周辺車両テーブル105に登録された直前の無線装置が使用している拡散符号cKと異なる拡散符号cK+1を自己が使用すべき拡散符号として決定する(ステップS4)。また、各無線装置1〜21は、上述した方法によって、自己がパケットの送信に用いる周波数ftを決定する(ステップS5)。
そうすると、各無線装置1〜21は、タイミングTsにおいて、定期パケットPKT_PRDを生成し、その生成した定期パケットPKT_PRDを拡散符号cK+1および周波数ftを用いて送信する(ステップS6)。
その後、各無線装置1〜21は、他の車両に搭載された無線装置から定期パケットPKT_PRDを受信したか否かを判定し(ステップS7)、定期パケットPKT_PRDを受信したと判定すると、上述した方法によって、定期パケットPKT_PRDの受信周波数frを検出する(ステップS8)。
そして、各無線装置1〜21は、上述した方法によって、定期パケットPKT_PRDの転送条件を満たすか否かを判定する(ステップS9)。
ステップS9において、定期パケットPKT_PRDの転送条件を満たすと判定されると、各無線装置1〜21は、定期パケットPKT_PRDを拡散符号cK+1および周波数frを用いて転送する(ステップS10)。
そして、ステップS9において、定期パケットPKT_PRDの転送条件を満たさないと判定されたとき、またはステップS10の後、一連の動作が終了する。
このように、各無線装置1〜21は、直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから3Ttrだけ経過したタイミングTsにおいて定期パケットPKT_PRDを周期的に生成して送信するとともに、後方の無線装置から定期パケットPKT_PRDを受信すると、転送条件が成立する場合に、その受信した定期パケットPKT_PRDを直ぐに転送する。
その結果、無線ネットワーク100において、定期パケットPKT_PRDを同時に送信する2台の無線装置は、定期パケットPKT_PRDを送信または転送していない3台以上の無線装置を挟んで存在することになる。
従って、この発明によれば、自己干渉および遠近問題を抑制して定期パケットPKT_PRDを伝搬させることができる。
また、各無線装置1〜21は、定期パケットPKT_PRDの転送条件を満たすときに定期パケットPKT_PRDを転送する。その結果、転送される定期パケットPKT_PRDの個数が制限され、無線ネットワーク100における干渉が低減される。
従って、この発明によれば、定期パケットPKT_PRDの転送を成功させることができる。
更に、各無線装置1〜21は、直前の無線装置が使用している拡散符号cKに隣接する拡散符号cK+1をN個の拡散符号c1〜cNの中から自己が使用すべき拡散符号として決定し、その決定した拡散符号cK+1を用いて定期パケットPKT_PRDを送信または転送する。その結果、無線ネットワーク100において、同一周波数上で同一の拡散符号を用いる無線装置は、N台おきに存在する。
従って、この発明によれば、同時に同一の拡散符号を用いてパケットを転送する無線装置が複数存在していても、同一の拡散符号による干渉を抑制して定期パケットPKT_PRDの転送を成功させることができる。
なお、上記においては、各無線装置1〜21は、直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングから3×Ttrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信すると説明したが、この発明においては、これに限らず、各無線装置1〜21は、直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングから3×Ttr以外の時間だけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信してもよい。
図11は、各無線装置1〜21における定期パケットPKT_PRDの生成および送信の他のタイミングを説明するための図である。
定期パケットPKT_PRDの生成および送信の周期ΔTを0.100秒とし、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから2Ttr(=2×0.00415=0.0083秒)だけ経過したタイミングを自己における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTsとした場合を想定する。
この場合、最前の無線装置12が周期ΔTの開始タイミング(=0秒)で定期パケットPKT_PRDを生成および送信すると、無線装置12の直後の無線装置11は、0.0083秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置11の直後の無線装置10は、0.0166秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置10の直後の無線装置9は、0.0249秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
また、無線装置9の直後の無線装置8は、0.0332秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置8の直後の無線装置7は、0.0415秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置7の直後の無線装置6は、0.0498秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
更に、無線装置6の直後の無線装置5は、0.0581秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置5の直後の無線装置4は、0.0664秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置4の直後の無線装置3は、0.07478秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
更に、無線装置3の直後の無線装置2は、0.0830秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置2の直後の無線装置1は、0.0913秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置1の直後の無線装置は、0.0996秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。そして、無線装置12は、0.100秒で定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
この場合、各無線装置11〜1は、自己の直前の無線装置12〜2が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから2Ttrだけ経過後に定期パケットPKT_PRDを生成および送信するので、自己の直前の無線装置12〜2が生成および送信した定期パケットPKT_PRDを転送する無線装置と自己との間には、パケットを送信しない2台の無線装置が存在する。
例えば、無線装置5が定期パケットPKT_PRDを生成および送信するとき、無線装置6が生成および送信した定期パケットPKT_PRDを転送する無線装置は無線装置8であるので、無線装置5,8間には、2台の無線装置6,7が存在する。その結果、無線装置6は、無線装置8よりも無線装置5に近いので、無線装置5からの定期パケットPKT_PRDを遠近問題を抑制して受信でき、無線装置7は、無線装置5よりも無線装置8に近いので、無線装置8からの定期パケットPKT_PRDを遠近問題を抑制して受信できる。
したがって、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから2Ttr(=2×0.00415=0.0083秒)だけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信しても、自己干渉および遠近問題を抑制できる。
また、定期パケットPKT_PRDの生成および送信の周期ΔTを0.100秒とし、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから4Ttr(=4×0.00415=0.0166秒)だけ経過したタイミングを自己における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTsとした場合を想定する。
この場合、最前の無線装置12が周期ΔTの開始タイミング(=0秒)で定期パケットPKT_PRDを生成および送信すると、無線装置12の直後の無線装置11は、0.0166秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置11の直後の無線装置10は、0.0332秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置10の直後の無線装置9は、0.0498秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
また、無線装置9の直後の無線装置8は、0.0664秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置8の直後の無線装置7は、0.0830秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置7の直後の無線装置6は、0.0996秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。そして、無線装置12は、0.100秒で定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。即ち、無線装置12,6は、ほぼ同時に定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
しかし、無線装置12,6間には、5台の無線装置7〜11が存在する。また、各無線装置11〜1は、自己の直前の無線装置12〜2が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから4Ttrだけ経過後に定期パケットPKT_PRDを生成および送信するので、自己の直前の無線装置12〜2が生成および送信した定期パケットPKT_PRDを転送する無線装置と自己との間には、パケットを送信しない4台の無線装置が存在する。
したがって、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから4Ttr(=4×0.00415=0.0166秒)だけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信しても、自己干渉および遠近問題を抑制できる。
次に、定期パケットPKT_PRDの生成および送信の周期ΔTを0.100秒とし、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから5Ttr(=5×0.00415=0.02075秒)だけ経過したタイミングを自己における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTsとした場合を想定する。
この場合、最前の無線装置12が周期ΔTの開始タイミング(=0秒)で定期パケットPKT_PRDを生成および送信すると、無線装置12の直後の無線装置11は、0.02075秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置11の直後の無線装置10は、0.0415秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置10の直後の無線装置9は、0.06225秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置9の直後の無線装置8は、0.0830秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。そして、無線装置12は、0.100秒で定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。また、無線装置8の直後の無線装置7は、0.10375秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
そうすると、無線装置7は、無線装置12が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから0.00375秒(<1Ttr=0.00415秒)だけ経過した後に定期パケットPKT_PRDを生成および送信するが、無線装置7,12間には、4台の無線装置8〜11が存在する。
また、各無線装置11〜1は、自己の直前の無線装置12〜2が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから5Ttrだけ経過後に定期パケットPKT_PRDを生成および送信するので、自己の直前の無線装置12〜2が生成および送信した定期パケットPKT_PRDを転送する無線装置と自己との間には、パケットを送信しない5台の無線装置が存在する。
従って、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから5Ttr(=5×0.00415=0.02075秒)だけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信しても、自己干渉および遠近問題を抑制できる。
引き続いて、定期パケットPKT_PRDの生成および送信の周期ΔTを0.100秒とし、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから6Ttr(=6×0.00415=0.0249秒)だけ経過したタイミングを自己における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTsとした場合を想定する。
この場合、最前の無線装置12が周期ΔTの開始タイミング(=0秒)で定期パケットPKT_PRDを生成および送信すると、無線装置12の直後の無線装置11は、0.0249秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置11の直後の無線装置10は、0.0498秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置10の直後の無線装置9は、0.0747秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置9の直後の無線装置8は、タイミング=0.0996秒で定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。そして、無線装置12は、0.100秒で定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。その結果、無線装置8,12は、ほぼ同時に定期パケットPKT_PRDを生成および送信するが、無線装置12,8間には、パケットを送信しない3台の無線装置9〜11が存在する。
また、各無線装置11〜1は、自己の直前の無線装置12〜2が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから6Ttrだけ経過後に定期パケットPKT_PRDを生成および送信するので、自己の直前の無線装置12〜2が生成および送信した定期パケットPKT_PRDを転送する無線装置と自己との間には、パケットを送信しない6台の無線装置が存在する。
そうすると、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから6Ttr(=6×0.00415=0.0249秒)だけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信しても、自己干渉および遠近問題を抑制できる。
更に、定期パケットPKT_PRDの生成および送信の周期ΔTを0.100秒とし、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから7Ttr(=7×0.00415=0.02905秒)だけ経過したタイミングを自己における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTsとした場合を想定する。
この場合、最前の無線装置12が周期ΔTの開始タイミング(=0秒)で定期パケットPKT_PRDを生成および送信すると、無線装置12の直後の無線装置11は、0.02905秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置11の直後の無線装置10は、0.0581秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置10の直後の無線装置9は、0.08715秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。そして、無線装置12は、0.100秒で定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。また、無線装置9の直後の無線装置8は、0.1162秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
そうすると、無線装置8は、無線装置12が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから0.0162秒(>3Ttr=0.01245秒)だけ経過した後に定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置8,12間には、パケットを送信しない3台の無線装置9〜11が存在する。
また、各無線装置11〜1は、自己の直前の無線装置12〜2が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから7Ttrだけ経過後に定期パケットPKT_PRDを生成および送信するので、自己の直前の無線装置12〜2が生成および送信した定期パケットPKT_PRDを転送する無線装置と自己との間には、パケットを送信しない7台の無線装置が存在する。
従って、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから7Ttr(=7×0.00415=0.02905秒)だけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信しても、自己干渉および遠近問題を抑制できる。
更に、定期パケットPKT_PRDの生成および送信の周期ΔTを0.100秒とし、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから8Ttr(=8×0.00415=0.0332秒)だけ経過したタイミングを自己における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTsとした場合を想定する。
この場合、最前の無線装置12が周期ΔTの開始タイミング(=0秒)で定期パケットPKT_PRDを生成および送信すると、無線装置12の直後の無線装置11は、0.0332秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置11の直後の無線装置10は、0.0664秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置10の直後の無線装置9は、0.0996秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。そして、無線装置12は、0.100秒で定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
そうすると、無線装置9,12は、ほぼ同時に定期パケットPKT_PRDを生成および送信するが、無線装置9,12間には、パケットを送信しない2台の無線装置10,11が存在する。
この場合、無線装置10は、無線装置12よりも無線装置9に近いので、無線装置9からの定期パケットPKT_PRDを遠近問題を抑制して受信できる。また、無線装置11は、無線装置9よりも無線装置12に近いので、無線装置12からの定期パケットPKT_PRDを遠近問題を抑制して受信できる。
従って、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから8Ttr(=8×0.00415=0.0332秒)だけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信しても、自己干渉および遠近問題を抑制できる。
更に、定期パケットPKT_PRDの生成および送信の周期ΔTを0.100秒とし、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから9Ttr(=9×0.00415=0.03735秒)だけ経過したタイミングを自己における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTsとした場合を想定する。
この場合、最前の無線装置12が周期ΔTの開始タイミング(=0秒)で定期パケットPKT_PRDを生成および送信すると、無線装置12の直後の無線装置11は、0.03735秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置11の直後の無線装置10は、0.0747秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。そして、無線装置12は、0.100秒で定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。また、無線装置10の直後の無線装置9は、0.11205秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
そうすると、無線装置9は、無線装置12が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから0.01205秒(>2Ttr=0.0083秒)だけ経過した後に定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置9,12間には、パケットを送信しない2台の無線装置10,11が存在する。
また、各無線装置11〜1は、自己の直前の無線装置12〜2が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから9Ttrだけ経過後に定期パケットPKT_PRDを生成および送信するので、自己の直前の無線装置12〜2が生成および送信した定期パケットPKT_PRDを転送する無線装置と自己との間には、パケットを送信しない9台の無線装置が存在する。
従って、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから9Ttr(=9×0.00415=0.03735秒)だけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信しても、自己干渉および遠近問題を抑制できる。
更に、定期パケットPKT_PRDの生成および送信の周期ΔTを0.100秒とし、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから10Ttr(=10×0.00415=0.0415秒)だけ経過したタイミングを自己における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTsとした場合を想定する。
この場合、最前の無線装置12が周期ΔTの開始タイミング(=0秒)で定期パケットPKT_PRDを生成および送信すると、無線装置12の直後の無線装置11は、0.0415秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信し、無線装置11の直後の無線装置10は、0.083秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。そして、無線装置12は、0.100秒で定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。また、無線装置10の直後の無線装置9は、0.1245秒のタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
そうすると、無線装置12は、無線装置10が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから0.017秒(>4Ttr=0.0166秒)だけ経過した後に定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。その結果、無線装置12は、無線装置12よりも2台前の無線装置が無線装置10からの定期パケットPKT_PRDを転送してから0.0004秒後に定期パケットPKT_PRDを生成および送信するので、遠近問題を抑制するのは困難である。
従って、各無線装置1〜21が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングTfから10Ttr(=10×0.00415=0.0415秒)だけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDを生成および送信すると、自己干渉および遠近問題を抑制するのは困難である。
以上より、定期パケットPKT_PRDの生成および送信の周期ΔTが0.100秒である場合、定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングを隣接無線装置間で2Ttr〜9Ttrの範囲でずらせれば、自己干渉および遠近問題を抑制して定期パケットPKT_PRDを送信および転送できる。
そして、一般的には、定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングを隣接無線装置間でずらせる時間間隔は、n×Ttrによって決定される。そして、nは、2≦n≦(ΔT/(2.2Ttr)−1)を満たす実数である。
これは、周期ΔTの間に定期パケットPKT_PRDを生成および送信する無線装置が3台以上存在し、かつ、周期ΔT内で最も遅く生成および送信される定期パケットPKT_PRDのタイミングと、周期ΔTの終わりのタイミングとの間隔が2.2Ttr以上になるように、時間間隔=n×Ttrを決定したものである。
また、上記においては、転送条件は、定期パケットPKT_PRDを受信した無線装置が定期パケットPKT_PRDの生成元のパケット転送領域PTF内に存在し、かつ、生成元の進行方向と同じ進行方向を有することであると説明したが、この発明においては、これに限らず、転送条件は、定期パケットPKT_PRDを受信した無線装置が定期パケットPKT_PRDの生成元のパケット転送領域PTF内に存在することだけであってもよい。
この場合、図1において、無線装置2が定期パケットPKT_PRDの生成元であるとき、車両C2と反対方向へ走行している車両C18に搭載された無線装置18も、無線装置2のパケット転送領域PTF内に存在することになり、転送条件を満たす。
そして、無線装置18は、上述した方法によって、パケットを送信する周波数として周波数f2を用いるので、無線装置3,4は、無線装置18から転送された定期パケットPKT_PRDを周波数f2で受信し、その受信した定期パケットPKT_PRDを周波数f2(=受信周波数)で転送する。つまり、この発明においては、各無線装置1〜21は、定期パケットPKT_PRDを送信する無線装置が使用する周波数と同じ周波数を用いて定期パケットPKT_PRDを転送する。
これによって、送信周波数として異なる周波数が割り当てられた無線装置間においても、定期パケットPKT_PRDを順次転送することができる。
上述したように、各無線装置11〜1は、それぞれ、自己が搭載された車両C11〜C1の直前を走行している車両C12〜C2に搭載された無線装置12〜2が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから2Ttr〜9Ttrだけ経過した後に定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
この場合、各無線装置12〜1が定期パケットPKT_PRDを生成および送信する送信時刻と、周期(=0.100秒)内における定期パケットPKT_PRDの送信タイミングとを求めると、表2のようになる。
なお、表1は、各無線装置11〜1が直前の無線装置12〜2が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから3Ttr(=0.0125秒)だけ経過した後に定期パケットPKT_PRDを生成および送信する場合における定期パケットPKT_PRDの送信時刻と、周期内における定期パケットPKT_PRDの送信タイミングとを示したものである。
車両C12に搭載された無線装置12は、125.7843秒において定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。この場合、送信時刻=125.7843秒をtとすると、無線装置12が定期パケットPKT_PRDを生成および送信する周期(=0.100秒)内における送信タイミングtmは、次式によって決定される。
tm=t−[int{(t+3Ttr)÷ΔT}]×ΔT・・・(1)
無線装置12の場合、無線装置12の直前に他の無線装置が存在しないので、無線装置12における周期内における定期パケットPKT_PRDの送信タイミングtm_12は、tm_12=125.7843−[int{(125.7843)÷0.1}]×0.1=125.7843−[1257]×0.1=125.7843−125.7=0.0843秒となる。
また、無線装置11は、無線装置12が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから3Ttr(=0.125秒)だけ経過してから定期パケットPKT_PRDを生成および送信するので、無線装置11が定期パケットPKT_PRDを生成および送信する送信時刻tは、t=125.7843+0.0125=125.7968秒となる。そして、周期内における無線装置11の定期パケットPKT_PRDの送信タイミングtm_11は、tm_11=125.7968−[int{(125.7968)÷0.1}]×0.1=125.7968−[1257]×0.1=125.7968−125.7=0.0968秒となる。
以下、同様にして、無線装置10〜1が定期パケットPKT_PRDを生成および送信する送信時刻、および周期内における無線装置10〜1の定期パケットPKT_PRDの送信タイミングは、表1に示すようになる。
また、各無線装置12〜1における定期パケットPKT_PRDの次回送信予定時刻は、送信時刻に周期(=0.100秒)を加算すればよいので、表1に示すようになる。
無線装置13〜21も、上述した方法によって、周期内における定期パケットPKT_PRDの送信タイミングおよび次回送信予定時刻を決定する。
このように、各無線装置1〜21は、自己における定期パケットPKT_PRDの送信時刻および周期ΔTを用いて周期内における定期パケットPKT_PRDの送信タイミングtmを決定する。
そして、各無線装置1〜21は、送信タイミングtmを決定すると、t'=L×ΔT+tm(Lは正の整数)毎に定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
各無線装置1〜12の制御モジュール106は、上述した自己が搭載された無線装置の直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの送信時刻を周辺車両テーブル105から検出して自己が搭載された無線装置における定期パケットPKT_PRDの送信時刻を決定すると、上述した送信タイミングtmおよび送信予定時刻t'=L×ΔT+tmを上述した方法によって求め、その求めた送信予定時刻t'=L×ΔT+tmで2回目以降の定期パケットPKT_PRDを生成するように位置情報生成モジュール109を制御する。
上記においては、定期パケットPKT_PRDを送信する送信周期ΔTは、全ての無線装置1〜21において同じであると説明したが、この実施の形態1においては、これに限らず、定期パケットPKT_PRDを送信する送信周期ΔTは、無線装置1〜21間において相互に異なっていてもよい。
この場合、各無線装置1〜21における送信周期ΔTは、無線装置1〜21をそれぞれ搭載する車両C1〜C21の速度に応じて決定される。
表2は、車両C1〜C21の速度と送信周期ΔTとの関係を示す。
車両C1〜C21の速度が10km/h未満であるとき、送信周期ΔTは、1200msecに設定され、車両C1〜C21の速度が10〜19km/hの範囲であるとき、送信周期ΔTは、600msecに設定され、車両C1〜C21の速度が20〜39km/hの範囲であるとき、送信周期ΔTは、300msecに設定される。また、車両C1〜C21の速度が40〜59km/hの範囲であるとき、送信周期ΔTは、200msecに設定され、車両C1〜C21の速度が60km/h以上であるとき、送信周期ΔTは、100msecに設定される。
このように、送信周期ΔTは、車両C1〜C21の速度が速くなればなるほど、短く設定される。
また、送信周期ΔTは、車両C1〜C21の速度が遅くなるに従って、最も短い送信周期の整数倍になるように決定される。
車両C1〜C21の速度が速いほど、各車両C1〜C21の位置情報等が頻繁に変化するので、その変化を迅速に周辺車両へ知らせて事故を防止する必要があるからである。
定期パケットPKT_PRDの送信周期が無線装置1〜21間で相互に異なる場合について、各無線装置12〜1が定期パケットPKT_PRDを生成および送信する送信時刻と、周期(=0.100秒)内における定期パケットPKT_PRDの送信タイミングとを求めると、表3のようになる。
表3における周期内の送信タイミングも、上記の式(1)を用いて演算されたものである。
無線装置12の場合、無線装置12の直前に他の無線装置が存在しないので、無線装置12における周期内における定期パケットPKT_PRDの送信タイミングtm_12は、上述したように0.0843秒となる。
また、無線装置11は、無線装置12が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから3Ttr(=0.125秒)だけ経過してから定期パケットPKT_PRDを生成および送信するので、無線装置11が定期パケットPKT_PRDを生成および送信する送信時刻tは、t=125.7843+0.0125=125.7968秒となる。そして、周期内における無線装置11の定期パケットPKT_PRDの送信タイミングtm_11は、tm_11=125.7968−[int{(125.7968)÷0.1}]×0.1=125.7968−[1257]×0.1=125.7968−125.7=0.0968秒となる。
更に、無線装置10は、無線装置11が定期パケットPKT_PRDを生成および送信してから3Ttr(=0.125秒)だけ経過してから定期パケットPKT_PRDを生成および送信するので、無線装置10が定期パケットPKT_PRDを生成および送信する送信時刻tは、t=125.7968+0.0125=125.8093秒となる。そして、周期内における無線装置10の定期パケットPKT_PRDの送信タイミングtm_10は、tm_10=125.8093−[int{(125.8093)÷1.2}]×1.2=125.8093−[104]×1.2=125.8093−124.8=1.0093秒となる。
以下、同様にして、無線装置9〜1が定期パケットPKT_PRDを生成および送信する送信時刻、および周期内における無線装置9〜1の定期パケットPKT_PRDの送信タイミングは、表3に示すようになる。
また、各無線装置12〜1における定期パケットPKT_PRDの次回送信予定時刻は、送信時刻に送信周期(=0.100秒,0.200秒,1.2秒)を加算すればよいので、表3に示すようになる。
無線装置13〜21も、上述した方法によって、周期内における定期パケットPKT_PRDの送信タイミングおよび次回送信予定時刻を決定する。
このように、各無線装置1〜21は、定期パケットPKT_PRDの送信周期ΔTが相互に異なる場合も、自己における定期パケットPKT_PRDの送信時刻および送信周期ΔTを用いて周期内における定期パケットPKT_PRDの送信タイミングtmを決定する。
そして、各無線装置1〜21は、送信タイミングtmを決定すると、t'=L×ΔT+tm毎に定期パケットPKT_PRDを生成および送信する。
定期パケットPKT_PRDの送信周期ΔTが無線装置1〜21で相互に異なる場合、各無線装置1〜21の制御モジュール106は、表2に示す車両の速度と、送信周期との関係を保持しており、無線装置1〜21を搭載する車両C1〜C21から車両C1〜C21の速度を受ける。そして、各無線装置1〜21の制御モジュール106は、車両C1〜C21の速度に対応する送信周期を表2から検出して無線装置1〜21における定期パケットPKT_PRDの送信周期ΔTを決定する。
そうすると、各無線装置1〜21の制御モジュール106は、上述した自己が搭載された無線装置の直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDの送信時刻を周辺車両テーブル105から検出して自己が搭載された無線装置における定期パケットPKT_PRDの送信時刻を決定し、その決定した送信時刻を用いて上述した送信タイミングtmおよび送信予定時刻t'=L×ΔT+tmを上述した方法によって求め、その求めた送信予定時刻t'=L×ΔT+tmで2回目以降の定期パケットPKT_PRDを生成するように位置情報生成モジュール109を制御する。
図12は、定期パケットPKT_PRDの送信周期ΔTが無線装置1〜21間で異なる場合の各無線装置2〜12における定期パケットPKT_PRDの送信タイミングを示す図である。
なお、図12においては、隣接する無線装置間において定期パケットPKT_PRDを送信する送信タイミングをずらせる時間間隔は、Δ=3Ttr=0.0125秒である。
図12に示すように、定期パケットPKT_PRDの送信周期ΔTが無線装置1〜21間で異なる場合についても、各タイミングt〜t+34Δにおいて、同時に定期パケットPKT_PRDを生成および送信する2台の無線装置間には、パケットを送信しない7台以上の無線装置が存在している。
図12においては、定期パケットPKT_PRDの送信周期ΔTが0.1秒または0.2秒である場合について定期パケットPKT_PRDの送信タイミングが示されているが、送信周期ΔTが0.1秒および0.2秒以外の0.3秒、0.6秒および1.2秒のいずれかであっても、0.3秒、0.6秒および1.2秒の送信周期は、0.1秒の整数倍であるので、各無線装置12〜2における定期パケットPKT_PRDの送信タイミングは、図12に示す0.1秒の送信周期の整数倍のタイミングにずれるだけである。
従って、送信周期ΔTが0.1秒および0.2秒以外の0.3秒、0.6秒および1.2秒のいずれかであっても、各タイミングt〜t+34Δにおいて、同時に定期パケットPKT_PRDを生成および送信する2台の無線装置間には、パケットを送信しない7台以上の無線装置が存在することになる。
従って、この発明によれば、定期パケットPKT_PRDの送信周期ΔTが無線装置1〜21間で異なる場合についても、自己干渉および遠近問題を抑制できる。
なお、定期パケットPKT_PRDの送信周期ΔTが無線装置1〜21間で異なる場合についても、定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングを隣接無線装置間でずらせる時間間隔は、n×Ttrによって決定される。そして、nは、2≦n≦(ΔT/(2.2Ttr)−1)を満たす実数である。
[実施の形態2]
図13は、図1に示す無線装置1〜21の実施の形態2における構成を示す概略ブロック図である。図1に示す無線装置1〜21は、実施の形態2においては、図13に示す無線装置1Aからなる。
無線装置1Aは、図2に示す無線装置1の送信バッファ110を削除し、転送モジュール104を転送モジュール104Aに代え、制御モジュール106を制御モジュール106Aに代え、ピギーバックモジュール113を追加したものであり、その他は、無線装置1と同じである。
なお、無線装置1Aにおいては、位置情報生成モジュール109は、生成した定期パケットをピギーバックモジュール113へ出力する。
転送モジュール104Aは、上述した転送モジュール104と同じ方法によって、定期パケットPKT_PRDを転送すると判定すると、定期パケットPKT_PRDをピギーバックモジュール113へ出力する。その他、転送モジュール104Aは、転送モジュール104と同じ機能を果たす。
制御モジュール106Aは、周辺車両テーブル105を参照して、自己が搭載された無線装置1Aの直後方の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングTbから送信所要時間Ttrだけ経過したタイミングTsで定期パケットPKT_PRDを生成するように位置情報生成モジュール109を制御するとともに、タイミングTsで定期パケットPKT_PRDを送信するように送信モジュール112を制御する。その他、制御モジュール106Aは、制御モジュール106と同じ機能を果たす。
ピギーバックモジュール113は、位置情報生成モジュール109から無線装置1Aにおいて生成された定期パケットPKT_PRDPを受け、転送モジュール104Aから他の無線装置において生成された定期パケットPKT_PRDPを受ける。
そして、ピギーバックモジュール113は、転送モジュール104Aから受けた定期パケットPKT_PRDPのデータおよびピギーバックデータを抽出し、その抽出したデータおよびピギーバックデータを位置情報生成モジュール109から受けた定期パケットPKT_PRDPのピギーバックデータのフィールドに格納して送信バッファ111へ出力する。
図14は、実施の形態2における定期パケットのフォーマットを示す図である。実施の形態2における定期パケットPKT_PRDPは、図4に示す定期パケットPKT_PRDにピギーバックデータを追加したものであり、その他は、定期パケットPKT_PRDと同じである。
定期パケットPKT_PRDPにおいては、転送ヘッダの転送フラグは、"0"からなり、転送車両IDも、"0"からなり、タイムスタンプは、定期パケットPKT_PRDPの生成元が定期パケットPKT_PRDPを生成および送信するタイミングからなる。また、転送ヘッダのシーケンス番号は、定期パケットPKT_PRDPの生成元が付与したシーケンス番号からなる。更に、転送ヘッダの情報ピギーバック車両台数は、正の整数からなる。
ピギーバックデータは、表4に示すパターン1〜パターン4のいずれかからなる。
表4のパターン1〜パターン4の各々は、j(jは正の整数)個の車両1〜車両jに対するIDおよびシーケンス番号等の情報からなる。また、パターン3の車両1の現在予測位置は、車両1から受信した定期パケットPKT_PRDPのデータに含まれる緯度、経度、方位および速度と、車両1から受信した定期パケットPKT_PRDPの転送ヘッダに含まれるタイムスタンプと、現在時刻とに基づいて演算されたものである。従って、パターン4においては、演算された各車両1〜jの現在予測位置と、定期パケットPKT_PRDPを生成する無線装置を搭載した車両の現在位置との差が演算される。
なお、以下においては、パターン1がピギーバックデータとして使用されるものとする。
定期パケットPKT_PRDPには、最大、10台の車両分の位置情報を含めることができる。そして、位置情報は、定期パケットサイズの1/10とする。その結果、ピギーバック情報を含めた最大パケットサイズは、2×定期パケットのサイズとなる。この最大パケットサイズを有する定期パケットPKT_PRDPの送信所要時間を9ミリ秒とする。この9ミリ秒は、実験値であり、各無線装置1〜21の制御モジュール106Aは、この9ミリ秒を予め保持している。
同じ進行方向へ走行している車両C1〜C12にそれぞれ搭載された無線装置1〜12(図1参照)を用いて、実施の形態2における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信について説明する。
図15は、実施の形態2における定期パケットの送信の様子を示す図である。また、図16は、周辺車両テーブルの他の具体例である。なお、図15における上向きの矢印は、定期パケットPKT_PRDPの送信を表す。また、無線装置1〜12は、それぞれ、拡散符号c12〜c1を使用するものとする。更に、タイミングT2は、周期ΔT=0.100秒の終わりのタイミングに一致するものとする。
無線装置1の制御モジュール106Aは、タイミングT2で定期パケットPKT_PRDP1を生成するように位置情報生成モジュール109を制御する。また、無線装置1の制御モジュール106Aは、周波数f1および拡散符号c12を送信モジュール112へ出力する。
無線装置1の位置情報生成モジュール109は、制御モジュール106Aからの制御に従って、上述した方法によって、タイミングT2で定期パケットPKT_PRDP1=[[Add1/Add1/0/0]/[C1/10/T2/θ1,φ1,AZ1,V1/西方向]]を生成し、その生成した定期パケットPKT_PRDP1=[[Add1/Add1/0/0]/[C1/10/T2/θ1,φ1,AZ1,V1/西方向]]をピギーバックモジュール113へ出力する。
なお、[Add1/Add1/0/0]のAdd1は、転送ヘッダ中の送信元であり、Add1は、転送ヘッダ中の転送車両IDであり、"0"は、転送ヘッダ中の転送フラグであり、最後の"0"は、転送ヘッダ中の情報ピギーバック車両台数である。
この場合、無線装置1は、他の無線装置から定期パケットPKT_PRDPを受信していないので、無線装置1のピギーバックモジュール113は、位置情報生成モジュール109から受けた定期パケットPKT_PRDP1をそのまま送信バッファ111へ格納する。
そして、無線装置1の送信モジュール112は、送信バッファ111から取り出した定期パケットPKT_PRDP1を拡散符号c12によってスペクトル拡散し、その拡散後の定期パケットPKT_PRDP1を周波数f1で変調して送信する。
無線装置2の受信モジュール101は、定期パケットPKT_PRDP1を周波数チャネルf1上で拡散符号c12を用いて受信する。
そうすると、無線装置2の受信モジュール101は、定期パケットPKT_PRDP1の受信信号を受信バッファ102を介してテーブル管理モジュール103へ出力し、周波数f1および拡散符号c12をテーブル管理モジュール103へ直接出力する。
無線装置2のテーブル管理モジュール103は、定期パケットPKT_PRDP1の受信信号から車両ID=C1、タイムスタンプ=T2、シーケンス番号=10、位置情報=[θ1,φ1,AZ1,V1]および進行方向=西方向を抽出し、その抽出した車両ID=C1、タイムスタンプ=T2、シーケンス番号=10、位置情報=[θ1,φ1,AZ1,V1]および進行方向=西方向を周辺車両テーブル105の車両ID、時刻、シーケンス番号、位置情報および進行方向にそれぞれ格納し、受信モジュール101から受けた周波数f1および拡散符号c12を車両ID=C1に対応する使用周波数チャネルおよび拡散符号の欄にそれぞれ格納する。これによって、周辺車両テーブル105D(図16参照)が作成される。その結果、無線装置2の制御モジュール106Aは、周辺車両テーブル105Dに登録された時刻T2=L×0.100を参照して、無線装置1が(L+1)×0.100の時刻で定期パケットPKT_PRDPを生成して送信することを予想できる。
その後、無線装置2のテーブル管理モジュール103は、定期パケットPKT_PRDP1を転送モジュール104Aへ出力する。
無線装置2の転送モジュール104Aは、テーブル管理モジュール103から定期パケットPKT_PRDP1を受けるとともに、位置情報生成モジュール109から無線装置2の位置情報=[x2,y2]および進行方向=西方向を受ける。そして、無線装置2の転送モジュール104Aは、定期パケットPKT_PRDP1=[[Add1/Add1/0/0]/[C1/10/T2/θ1,φ1,AZ1,V1/西方向]]中の位置情報=[θ1,φ1,AZ1,V1]および進行方向=西方向を抽出し、その抽出した位置情報=[θ1,φ1,AZ1,V1]の緯度θ1および経度φ1を公知の方法によってx−y座標からなる位置情報=[x1,y1]に変換する。
そうすると、無線装置2の転送モジュール104Aは、位置情報=[x1,y1]および位置情報=[x2,y2]に基づいて、無線装置2が無線装置1のパケット転送領域PTF内に存在することを検知するとともに、無線装置1の進行方向=西方向および無線装置2の進行方向=西方向に基づいて、無線装置2の進行方向が無線装置1の進行方向に一致することを検知する。即ち、無線装置2の転送モジュール104Aは、無線装置2が転送条件を満たすことを検知する。そして、無線装置2の転送モジュール104Aは、定期パケットPKT_PRDP1をピギーバックモジュール113へ出力する。
一方、無線装置2の制御モジュール106Aは、周辺車両テーブル105D(図16参照)の時刻=T2を参照して、無線装置2が定期パケットPKT_PRDP2を生成および送信するタイミングをタイミングT2+Ttr=0.100+0.009=0.109秒と決定し、その決定したタイミングT2+Ttrで定期パケットPKT_PRDP2を生成するように位置情報生成モジュール109を制御する。また、無線装置2の制御モジュール106Aは、周辺車両テーブル105Dに登録された無線装置1の拡散符号c12を参照して、無線装置2が使用すべき拡散符号を拡散符号c11と決定し、その決定した拡散符号c11を送信モジュール112へ出力する。更に、無線装置2の制御モジュール106Aは、上述した方法によって、無線装置2が定期パケットPKT_PRDP2の送信に使用すべき周波数を周波数f1と決定し、その決定した周波数f1を送信モジュール112へ出力する。
なお、無線装置2の制御モジュール106Aが周辺車両テーブル105Dに登録された無線装置1の拡散符号c12を参照して無線装置2が使用すべき拡散符号を拡散符号c11と決定するのは、この発明においては、直前の無線装置が使用する拡散符号cKに隣接する拡散符号cK+1を当該無線装置が使用する拡散符号と決定するので、無線装置2の直後方の無線装置1が拡散符号c12を使用していれば、無線装置1の直前に存在する無線装置2が使用する拡散符号は、拡散符号c11となるからである。
無線装置2の位置情報生成モジュール109は、制御モジュール106Aからの制御に従って、上述した方法によってタイミングT2+Ttrで定期パケットPKT_PRDP2=[[Add2/Add2/0/0]/[C2/20/T2+Ttr/θ2,φ2,AZ2,V2/西方向]]を生成し、その生成した定期パケットPKT_PRDP2=[[Add2/Add2/0/0]/[C2/20/T2+Ttr/θ2,φ2,AZ2,V2/西方向]]をピギーバックモジュール113へ出力する。
そして、無線装置2のピギーバックモジュール113は、定期パケットPKT_PRDP1=[[Add1/Add1/0/0]/[C1/10/T2/θ1,φ1,AZ1,V1/西方向]]を転送モジュール104Aから受け、定期パケットPKT_PRDP2=[[Add2/Add2/0/0]/[C2/20/T2+Ttr/θ2,φ2,AZ2,V2/西方向]]を位置情報生成モジュール109から受ける。
その後、無線装置2のピギーバックモジュール113は、定期パケットPKT_PRDP1=[[Add1/Add1/0/0]/[C1/10/T2/θ1,φ1,AZ1,V1/西方向]]からデータ=[C1/10/T2/θ1,φ1,AZ1,V1/西方向]]を抽出し、その抽出したデータ=[C1/10/T2/θ1,φ1,AZ1,V1/西方向]]を定期パケットPKT_PRDP2のピギーバックデータのフィールドに格納し、転送ヘッダ中の情報ピギーバック車両台数を"0"から"1"に更新して定期パケットPKT_PRDP2=[[Add2/Add2/0/1]/[C2/20/T2+Ttr/θ2,φ2,AZ2,V2/西方向]/[C1/10/T2/θ1,φ1,AZ1,V1/西方向]]を完成する。そして、無線装置2のピギーバックモジュール113は、その完成した定期パケットPKT_PRDP2を送信バッファ111へ格納する。
その後、無線装置2の送信モジュール112は、送信バッファ111から取り出した定期パケットPKT_PRDP2を拡散符号c11によってスペクトル拡散するとともに、その拡散後の定期パケットPKT_PRDP2を周波数f1で変調して送信する。
そして、無線装置3は、無線装置2から定期パケットPKT_PRDP2を受信し、その受信した定期パケットPKT_PRDP2に基づいて、無線装置2と同じ方法によって周辺車両テーブル105E(図16参照)を作成する。この場合、定期パケットPKT_PRDP2は、車両C1の位置情報=[C1/10/T2/θ1,φ1,AZ1,V1/西方向]]および車両C2の位置情報=[C2/20/T2+Ttr/θ2,φ2,AZ2,V2/西方向]を含んでいるので、車両C1,C2に対する位置情報等を格納した周辺車両テーブル105Eが作成される。
そうすると、無線装置3は、タイミングT2+2Ttrにおいて、無線装置2と同じ方法によって、定期パケットPKT_PRDP3=[[Add3/Add3/0/2]/[C3/30/T2+2Ttr/θ3,φ3,AZ3,V3/西方向]/[C2/20/T2+Ttr/θ2,φ2,AZ2,V2/西方向];[C1/10/T2/θ1,φ1,AZ1,V1/西方向]]を生成して送信する。この場合、無線装置3は、周波数f1および拡散符号c10を使用する。また、定期パケットPRDP3の[C3/30/T2+2Ttr/θ3,φ3,AZ3,V3/西方向]は、データフィールドに格納され、[C2/20/T2+Ttr/θ2,φ2,AZ2,V2/西方向];[C1/10/T2/θ1,φ1,AZ1,V1/西方向]は、ピギーバックデータのフィールドに格納される。
無線装置4は、無線装置3から定期パケットPKT_PRDP3を受信し、その受信した定期パケットPKT_PRDP3に基づいて、無線装置2と同じ方法によって周辺車両テーブル105F(図16参照)を作成する。この場合、定期パケットPKT_PRDP3は、車両C1の位置情報=[C1/10/T2/θ1,φ1,AZ1,V1/西方向]]、車両C2の位置情報=[C2/20/T2+Ttr/θ2,φ2,AZ2,V2/西方向]および車両C3の位置情報=[C3/30/T2+2Ttr/θ3,φ3,AZ3,V3/西方向]を含んでいるので、車両C1,C2,C3に対する位置情報等を格納した周辺車両テーブル105Fが作成される。
以後、同様にして、無線装置4〜11は、それぞれ、タイミングT2+3Ttr,T2+4Ttr,T2+5Ttr,T2+6Ttr,T2+7Ttr,T2+8Ttr,T2+9Ttr,T2+10Ttrで定期パケットPKT_PRDPを生成して送信する。この場合、無線装置4〜11は、同じ周波数f1を使用するとともに、それぞれ、異なる拡散符号c9〜c2を使用する。また、無線装置4〜11が生成する定期パケットPKT_PRDPは、それぞれ、車両C4〜C11の位置情報と、車両C4〜C11よりも後方に存在する車両の位置情報とを含む。
その後、タイミングT2+11Ttr=0.100+11×0.009=0.199≒0.200において、無線装置1,12は、定期パケットPKT_PRDPを同時に生成して送信する。そして、無線装置2は、タイミングT2+12Ttrで定期パケットPKT_PRDPを生成して送信する。
そうすると、無線装置1は、直前の無線装置2が定期パケットPKT_PRDPを生成して送信したタイミング=T2+Ttrから10Ttrが経過した後のタイミングT2+11Ttrにおいて、定期パケットPKT_PRDPを生成して送信する。また、無線装置2は、直前の無線装置3が定期パケットPKT_PRDPを生成して送信したタイミング=T2+2Ttrから10Ttrが経過した後のタイミングT2+12Ttrにおいて、定期パケットPKT_PRDPを生成して送信する。無線装置3〜12についても同様である。
従って、各無線装置1〜12が直後方の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングから送信所要時間Ttrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDPを生成して送信することは、各無線装置1〜12が直前の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングから10Ttrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDPを生成して送信することと同じである。
他の無線装置13〜21も、無線装置1〜12と同じように、自己の直後方の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングから送信所要時間Ttrだけ経過したタイミングにおいて、自己が搭載された車両の位置情報と、自己の車両よりも後方に存在する他の車両の位置情報とを含む定期パケットPKT_PRDPを生成して送信する。
その結果、定期パケットPKT_PRDPを同時に生成して送信する2台の無線装置が11台おきに存在することになり、上述した理由によって、自己干渉および遠近問題を抑制できる。実施の形態2においては、その他、実施の形態1における効果と同じ効果を享受できる。
図17は、実施の形態2における通信方法を説明するためのフローチャートである。一連の動作が開始されると、各無線装置1〜21は、自己が搭載されている車両C1〜C21の直後方を走行している車両に搭載された無線装置から定期パケットPKT_PRDPを受信したか否かを判定する(ステップS11)。
そして、各無線装置1〜21は、自己が搭載されている車両C1〜C21の直後方を走行している車両に搭載された無線装置から定期パケットPKT_PRDPを受信したと判定すると、自己が搭載された車両C1〜C21の直後を走行している車両に搭載された無線装置から受信した定期パケットPKT_PRDPの逆拡散に用いる拡散符号を上述した方法によって検出する。その後、各無線装置1〜21は、その検出した拡散符号を直後の無線装置において使用されている拡散符号cK+1として取得する(ステップS12)。
次に、各無線装置1〜21は、その受信した定期パケットPKT_PRDPと、拡散符号cK+1とに基づいて、上述した方法によって、周辺車両テーブル105を作成する。そして、各無線装置1〜21は、その作成した周辺車両テーブル105に登録された時刻を直後の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングTbとして取得する(ステップS13)。
そうすると、各無線装置1〜21は、タイミングTbからTtrだけ経過したタイミングを自己における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングTsとして決定する(ステップS14)。
引き続いて、各無線装置1〜21は、周辺車両テーブル105に登録された直後の無線装置が使用している拡散符号cK+1と異なる拡散符号cKを自己が使用すべき拡散符号として決定する(ステップS15)。また、各無線装置1〜21は、上述した方法によって、自己がパケットの送信に用いる周波数ftを決定する(ステップS16)。
そうすると、各無線装置1〜21は、タイミングTsにおいて、自己が搭載された車両の位置情報と、他の車両の位置情報とを含む定期パケットPKT_PRDPを周期的に生成し、その生成した定期パケットPKT_PRDPを拡散符号cKおよび周波数ftを用いて送信する(ステップS17)。これによって、一連の動作が終了する。
なお、ピギーバックデータとして表1に示すパターン2〜パターン4のいずれかが用いられる場合も、定期パケットPKT_PRDPは、上記と同様にして、生成および送信される。
図18および図19は、実施の形態2における定期パケットの他の送信の様子を示す図である。なお、図18および図19においては、矢印は、定期パケットPKT_PRDPの送信を表し、ハッチングされた無線装置は、定期パケットPKT_PRDPの受信完了を表す。
各無線装置1〜21が直後方の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングから4Ttrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDPを生成および送信した場合、無線装置1〜11における定期パケットPKT_PRDPの送信タイミングは、図18に示すようになる。
そして、無線装置1〜3は、それぞれ、直前の無線装置4〜2が定期パケットPKT_PRDPを生成および送信したタイミングから7Ttrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDPを生成および送信する。また、どのタイミングにおいても、隣接する2台の無線装置が定期パケットPKT_PRDPを同時に生成して送信することはない。
従って、各無線装置1〜21が直後方の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングから4Ttrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDPを生成および送信しても、自己干渉および遠近問題を抑制できる。
次に、各無線装置1〜21が直後方の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングから5Ttrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDPを生成および送信した場合、無線装置1〜11における定期パケットPKT_PRDPの送信タイミングは、図19に示すようになる。
そして、無線装置1〜4は、それぞれ、直前の無線装置5〜2が定期パケットPKT_PRDPを生成および送信したタイミングから6Ttrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDPを生成および送信する。また、どのタイミングにおいても、隣接する2台の無線装置が定期パケットPKT_PRDPを同時に生成して送信することはない。
従って、各無線装置1〜21が直後方の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングから5Ttrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDPを生成および送信しても、自己干渉および遠近問題を抑制できる。
以下、同様に考えると、各無線装置1〜21が直後方の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングから6Ttr〜10Ttrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDPを生成および送信しても、自己干渉および遠近問題を抑制できる。
しかし、各無線装置1〜21が直後方の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングから11Ttrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDPを生成および送信すると、例えば、無線装置1,2は、ほぼ同時に定期パケットPKT_PRDPを生成および送信することになる。
従って、各無線装置1〜21が直後方の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングから11Ttrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDPを生成および送信すると、自己干渉および遠近問題を抑制するのは、困難である。
そこで、実施の形態2においては、各無線装置1〜21は、直後方の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングからTtr〜10Ttrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDPを生成および送信する。
そして、図18に示すように、無線装置4が無線装置3からの定期パケットPKT_PRDPの受信が完了するタイミングT2+9Ttrが、無線装置1が定期パケットPKT_PRDPを生成および送信するタイミングT2+11Trよりも早ければよいので、一般的には、各無線装置1〜21は、直後方の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングからmTtrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDPを生成および送信する。ここで、mは、1≦m<(ΔT/Ttr−1)を満たす実数である。
なお、実施の形態2においては、定期パケットPKT_PRDの送信周期ΔTが無線装置1〜21間で相互に異なる場合、各無線装置1〜21は、実施の形態1において説明した方法によって各無線装置1〜21における定期パケットPKT_PRDの送信周期ΔTを決定し、その決定した送信周期ΔTを用いて、上述した方法によって定期パケットPKT_PRDを送信および転送する。
上述したように、実施の形態2によれば、各無線装置1〜21は、直後方の無線装置における定期パケットPKT_PRDPの生成および送信のタイミングからmTtrだけ経過したタイミングで定期パケットPKT_PRDPを生成および送信する。
その結果、定期パケットPKT_PRDPを生成および送信する周期ΔT内において、定期パケットPKT_PRDPを同時に生成および送信する2台の隣り合う無線装置が存在しなくなる。
従って、この発明によれば、自己干渉および遠近問題を抑制して定期パケットPKT_PRDPを伝搬させることができる。
また、各無線装置1〜21は、定期パケットPKT_PRDPの転送条件を満たすときに他の車両の位置情報を自己の定期パケットPKT_PRDPに含めて送信する。その結果、定期パケットPKT_PRDの個数が制限され、無線ネットワーク100における干渉が低減される。
従って、この発明によれば、定期パケットPKT_PRDPの転送を成功させることができる。
更に、各無線装置1〜21は、直前の無線装置が使用している拡散符号cKに隣接する拡散符号cK+1をN個の拡散符号c1〜cNの中から自己が使用すべき拡散符号として決定し、その決定した拡散符号cK+1を用いて定期パケットPKT_PRDPを送信する。その結果、無線ネットワーク100において、同一の拡散符号を用いる無線装置は、N台おきに存在する。
従って、この発明によれば、同時に同一の拡散符号を用いてパケットを転送する無線装置が複数存在していても、同一の拡散符号による干渉を抑制して定期パケットPKT_PRDPの転送を成功させることができる。
その他は、実施の形態1と同じである。
なお、上述した実施の形態1,2においては、各無線装置1〜21は、直前の無線装置において使用されている拡散符号cKに隣接する拡散符号cK+1を自己が使用すべき拡散符号として決定すると説明したが、この発明においては、これに限らず、各無線装置1〜21は、無線ネットワーク100において使用可能なN個の拡散符号c1〜cNが、連続して走行しているN台の車両に搭載されたN台の無線装置に相互に異なるように割り当てられる方法を用いて、自己が使用すべき拡散符号を決定してもよい。
また、定期パケットPKT_PRD,PKT_PRDPの生成および送信の周期ΔTは、0.100秒以外の値であってもよく、無線ネットワーク100において使用可能な周波数の個数は、4個以外であってもよい。
更に、この発明においては、自己が搭載された無線装置において使用すべき拡散符号を決定する制御モジュール106,106Aは、「選択ユニット」を構成する。
更に、この発明においては、位置情報生成モジュール109は、「パケット生成ユニット」を構成する。
更に、この発明においては、送信モジュール112は、「送信ユニット」を構成する。
更に、この発明においては、転送条件を満たすか否かを判定する転送モジュール104,104Aは、「転送判定ユニット」を構成する。
更に、この発明においては、転送条件を満たすと判定すると、定期パケットPKT_PRDを送信バッファ110へ格納する転送モジュール104および定期パケットPKT_PRDを送信する送信モジュール112は、「転送ユニット」を構成する。
更に、この発明においては、定期パケットPKT_PRDの生成および送信のタイミングを決定する制御モジュール106は、「タイミング制御ユニット」を構成する。
更に、この発明においては、自己が搭載された車両の直前の車両を特定する転送モジュール104は、「特定ユニット」を構成する。
更に、この発明においては、位置情報生成モジュール109およびピギーバックモジュール113は、「パケット生成ユニット」を構成する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。