JP5163559B2 - タービン翼の製造方法及びタービン翼 - Google Patents
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Description
具体的には、タービン翼の内部を中空にし、その内部に冷却ガスを供給することによってタービン翼の冷却を行っている。
金属で形成されるタービン翼であれば、例えば、後縁部をカットバックして内部に供給された冷却ガスの一部を用いてフィルム冷却することによって後縁部の冷却を図ることは可能である。
しかしながら、セラミックス基複合材料は、周知のように織物構造であるため形状自由度が大きくなく、また極めて硬い材料であり特に成型後に複雑な機械加工を行うことが困難である。このため、セラミックス基複合材料にて形成されるタービン翼は、金属で形成されるタービン翼のような後縁部を冷却する構造を採用することができず、十分なタービン翼の冷却を行うことができない。
ここで、本体部と別体で形成される取付後縁部は、本来本体部に一体形成されるはずであった後縁部の外形形状に形状設定されている。このため、本体部と別体とされた取付後縁部が本体部に結合された場合には、本体部と取付後縁部とによって囲まれた空間が形成され、見かけ上後縁部が中空とされたタービン翼を形成することができる。さらに本体部と取付後縁部とによって囲まれた空間は、本体部に形成された貫通孔を介して本体部の内部に連続されている。
したがって、見かけ上中空とされた後縁部の内部に本体部の内部から冷却ガスを供給することによって後縁部を冷却することが可能となる。
図1は、本実施形態のタービン翼の概略構成を示す断面図である。また、図2
は、本実施形態のタービン翼の概略構成を示す分解断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態のタービン翼100は、本体部1と取付後縁部2とによって構成されている。
なお、貫通孔1bは、図1及び図2の断面垂直方向に複数形成されていることが好ましい。ただし、貫通孔1bは単一であっても構わない。
ここで、本体部1と別体で形成される取付後縁部2は、本来本体部1に一体形成されるはずであった後縁部の外形形状に形状設定されている。このため、本体部1と別体とされた取付後縁部2が本体部1に結合された場合には、図1に示すように、本体部1と取付後縁部とによって囲まれた空間2bが形成され、見かけ上、後縁部300が中空とされたタービン翼100となる。
また、本体部1と取付後縁部2とによって囲まれた空間2bは、本体部1に形成された貫通孔1bを介して本体部の内部空間1aに連続されている。
以下に、このような構成を有する本実施形態のタービン翼100の製造方法について図3に示すフローチャートを参照して説明する。
具体的には、本体部形成工程S1においては、図4に示すように本体部1形状のセラミックス繊維からなる3次元織物1Aを形成し、その後、本体部1形状の3次元織物に対して含浸処理を用いてセラミックスマトリックスを付着させることによって、図1及び図2に示したセラミックス基複合材料からなる本体部1を形成する。
なお、本体部形成工程S1においては、まず後縁部が存在するタービン翼形状の3次元織物1Bを形成し、図5に示すように、当該3次元織物の後縁部に相当する部分1Cを機械加工によって切断することによって、図4に示す本体部1形状の3次元織物を形成しても良い。また、セラミックス繊維からなる3次元織物に対する機械加工は容易に行うことができる。
具体的には、貫通孔1bを形成する箇所にレーザ光を照射し、当該レーザ光を、本体部1を貫通させることによって、図6に示すように貫通孔1bを形成する。なお、貫通孔を形成する程度の機械加工であれば、セラミックス基複合材料からなる部材に対しても、短時間でかつ安価に加工を施すことができる。
具体的には、図7に示すようにセラミックス繊維からなる平板形状の3次元織物2Aを形成し、図8に示すように当該3次元織物2Aを本体部1に本来あるべき後縁部の外形形状に折り曲げる。そして、折り曲げられた3次元織物2Aに対して含浸処理を用いてセラミックスマトリックスを付着形成することによって、図9に示すようなセラミックス基複合材料からなる取付後縁部2を形成する。
このような取付後縁部形成工程によれば、セラミックス基複合材料を機械加工して製造する場合と比較して極めて容易に取付後縁部2を形成することができる。
この際、貫通孔2aは、取付後縁部2が本体部1に結合された場合に、本体部1の貫通孔1bの貫通方向からずれるように配置される。
なお、本体部1と取付後縁部2とは、PIP法あるいはCVI法を用い、本体部1と取付後縁部2との間の隙間にセラミックスマトリックスを含浸させて付着させることによって結合することができる。
よって、本実施形態のタービン翼の製造方法によれば、上述のような後縁部300の内部を冷却可能なタービン翼100を容易に製造することができる。
このため、タービン翼100に他の結合材等が残存することなくタービン翼100の全体をセラミックス基複合材料から形成することができ、他の結合材等を用いて本体部1と取付後縁部2とを結合する場合と比較して、一体性を高めて耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態のタービン翼100をタービンに設置する場合に、タービン100を両側から固定するバンド部に本体部1及び取付後縁部2が嵌合可能な溝部を形成しておき、当該溝部に本体部1及び取付後縁部2を嵌合させることによって、本体部1と取付後縁部2とがタービンの駆動時に剥離することをより確実に防止することが可能となる。
しかしながら、貫通孔1b及び貫通孔2aの形成方法は、上記方法に限られるものではない。例えば、他の方法としては、3次元織物1A及び3次元織物2Aに貫通孔1b及び貫通孔2aに相当する孔を形成しておき、この孔が潰れないようにセラミックスマトリックスを付着させる方法が考えられる。
3次元織物1A及び3次元織物2Aに形成された孔がセラミックスマトリックスを付着する際に潰れないようにする方法としては、例えばセラミックスマトリックスを付着する際に、繰り返しPIP法を用いてマトリックスを付着形成し、3次元織物1A及び3次元織物2Aの孔にピンを挿入しておく方法が考えられる。ただし、ピンを孔に挿入したままPIP処理を繰り返した場合にはピンが孔から抜けなくなるため、一度PIP法を用いてセラミックスマトリックスの形成が行われた後はピンを一度孔から抜き、再度挿入する必要がある。なお、よりピンを抜けやすくするために、PIP法において用いる原料液の濃度を低く設定しておいても良い。
また、CVI法を用いてセラミックスマトリックスを付着形成し、3次元織物1A及び3次元織物2Aに形成する孔を貫通孔1b及び貫通孔2aに対して十分に大きな径としておく方法も考えられる。CVI法によれば3次元織物1A及び3次元織物2Aに形成された孔は徐々に小さくなるものの、貫通孔1b及び貫通孔2bに対して十分に大きな径とすることによって塞がることを防止することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
また、取付後縁部3は、本体部1に結合される側である結合部3cに貫通孔3dを有し、該貫通孔3dが本体部1の貫通孔1bに対して連通するように本体部1に結合されている。
また、本実施形態のタービン翼400を製造する場合には、上記第1実施形態における後縁部貫通孔形成工程S4を本発明の第2の後縁部貫通孔形成工程として、取付後縁部3が本体部1に結合された場合に本体部1の貫通孔1bと連通する貫通孔3dを、取付後縁部3の本体部1と結合される側に形成する。
よって、本実施形態のタービン翼の製造方法においては、上述のような後縁部300の内部を冷却可能なタービン翼400を容易に製造することができる。
しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、貫通孔1b及び貫通孔3dを形成する前に本体部1と取付後縁部3とを結合し、その後貫通孔1b及び貫通孔3dを共開けしても良い。
すなわち、本発明において、結合工程後に、本体部貫通孔形成工程及び第2の後縁部貫通孔形成工程を同一工程として行っても良い。
次に、本発明の第3実施形態として、図13に示すような後縁部500が本来あるべき後縁部の一部の形状を有し、これによって後縁部300が薄くされたタービン翼500の製造方法について説明する。
このような構成を有する本実施形態のタービン翼500においては、本体部1の内部空間1aから貫通孔1bを介して噴出された冷却ガスによって取付後縁部4がフィルム冷却される。この際、取付後縁部4が本体あるべき後縁部よりも薄いため、後縁部500を容易に冷却することができる。
よって、本実施形態のタービン翼の製造方法においては、上述のような後縁部300の内部を冷却可能なタービン翼500を容易に製造することができる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
なお、例えば、ピン700は、セラミックス基複合材料やセラミックス材料によって形成することができる。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
続いて、図8に示すような、後縁部の外形形状とされたセラミックス繊維からなる取付後縁部用織物(3次元織物2A)を形成する(取付後縁部用織物形成工程)。このとき、後述するように取付後縁部用織物に貫通孔2aに相当する孔を形成しておいてもよい。
続いて、図16に示すように、3次元織物2Aを3次元織物1Aの後縁部に相当する箇所が欠落された領域にスティッチする。具体的には、セラミックス繊維によって3次元織物2Aと3次元織物1Aとを縫い合わせる。
そして、スティッチされた3次元織物2Aと3次元織物1Aに対してセラミックスマトリックスを付着形成することによってセラミックス基複合材料からなる本体部1と取付後縁部2とを形成する(セラミックスマトリックス付着工程)。
3次元織物1Aに形成された孔がセラミックスマトリックス付着工程において潰れないようにする方法としては、例えばセラミックスマトリックス付着工程において繰り返しPIP法を用いてセラミックスマトリックスを付着形成し、3次元織物1Aの孔にピンを挿入しておく方法が考えられる。ただし、ピンを孔に挿入したままPIP法を繰り返した場合にはピンが孔から抜けなくなるため、一度PIP法によるセラミックスマトリックスの付着形成が行われた後はピンを一度孔から抜き、再度挿入する必要がある。なお、よりピンを抜けやすくするために、PIP法において用いる原料液の濃度を低く設定しておいても良い。
また、セラミックスマトリクス付着工程においてCVI法を用いてセラミックスマトリックスを形成し、3次元織物1Aに形成する孔を貫通孔1bに対して十分に大きな径としておく方法も考えられる。CVI法によれば3次元織物1Aに形成された孔は徐々に小さくなるものの、貫通孔1bに対して十分に大きな径とすることによって塞がることを防止することができる。また、同様の方法を用いて取付後縁部2に形成される貫通孔2aを形成することができる。このとき、セラミックスマトリックス付着工程は、貫通孔1bと貫通孔2aに1本のピンを挿入して行ってもよいし、別個のピンを貫通孔1bと貫通孔2aのそれぞれに挿入して行ってもよい。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば取付後縁部2が貫通孔を備えていない構成を採用することもできる。ただし、このような構成を採用する場合には、本体部1の内部空間1aに供給された冷却ガスを外部に排出するための排気孔を別途本体部1に形成する必要がある。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、他の耐熱性の結合材を用いて本体部1と取付後縁部2,3とを結合しても良い。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、ピン700に換えて楔や面ファスナ等を介して本体部1と取付後縁部2とを結合するようにしても良い。
Claims (11)
- セラミックス基複合材料からなるタービン翼の製造方法であって、
前記タービン翼の後縁部が欠落された形状を有すると共にセラミックス基複合材料からなる中空の本体部を形成する本体部形成工程と、
前記後縁部が欠落された領域から内部に貫通する貫通孔を前記本体部に形成する本体部貫通孔形成工程と、
前記後縁部の一部の形状あるいは前記後縁部の外形形状とされたセラミックス繊維からなる織物にセラミックスマトリックスを付着形成して前記セラミックス基複合材料からなる取付後縁部を形成する取付後縁部形成工程と、
該取付後縁部形成工程にて形成された前記取付後縁部を前記本体部の前記後縁部が欠落された領域に結合する結合工程と
を有することを特徴とするタービン翼の製造方法。 - 前記取付後縁部形成工程において、前記セラミックス繊維からなる平板形状の織物を折り曲げることによって前記後縁部の外形形状とされたセラミックス繊維からなる織物を形成することを特徴とする請求項1記載のタービン翼の製造方法。
- 前記取付後縁部形成工程にて形成された取付後縁部の前記本体部に結合される側と反対側に貫通孔を形成する第1の後縁部貫通孔形成工程を備え、
前記結合工程において、前記取付後縁部の前記貫通孔が前記本体部の前記貫通孔の貫通方向からずれて配置されるように前記本体部と前記取付後縁部とを結合する
ことを特徴とする請求項2記載のタービン翼の製造方法。 - 前記後縁部の形状を先端が開口された形状とし、
前記取付後縁部形成工程にて形成された取付後縁部の前記本体部に結合される側に貫通孔を形成する第2の後縁部貫通孔形成工程を備え、
前記結合工程において、前記取付後縁部の前記貫通孔と前記本体部の貫通孔とが連続されるように前記本体部と前記取付後縁部とを結合する
ことを特徴とする請求項2記載のタービン翼の製造方法。 - 前記後縁部の形状を先端が開口された形状とし、
前記取付後縁部形成工程にて形成された取付後縁部の前記本体部に結合される側に貫通孔を形成する第2の後縁部貫通孔形成工程を備え、
前記結合工程後に、前記本体部貫通孔形成工程及び前記第2の後縁部貫通孔形成工程を同一工程として行う
ことを特徴とする請求項2記載のタービン翼の製造方法。 - 前記結合工程において、PIP(Polymer Infiltration and Pyrolysis)法あるいはCVI(Chemical Vapor Infiltration)法を用いて前記本体部と前記取付後縁部とを結合することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のタービン翼の製造方法。
- セラミックス基複合材料からなるタービン翼であって、
前記タービン翼の後縁部が欠落された形状を有し、前記セラミックス基複合材料からなり、かつ、前記後縁部が欠落された領域から中空の内部に貫通する貫通孔を有する本体部と、
前記後縁部の一部の形状あるいは前記後縁部の外形形状に成型されると共に前記本体部の前記後縁部が欠落された領域に結合される前記セラミックス基複合材料からなる取付後縁部と
を備えることを特徴とするタービン翼。 - 前記取付後縁部が前記後縁部の外形形状に成型される場合に、
前記取付後縁部は、前記本体部に結合される側と反対側に貫通孔を有し、該貫通孔が前記本体部の前記貫通孔の貫通方向からずれて配置されるように前記本体部に結合されていることを特徴とする請求項7記載のタービン翼。 - 前記取付後縁部が前記後縁部の外形形状に成型される場合に、
前記後縁部の形状を先端が開口された形状とし、前記取付後縁部は、前記本体部に結合される側に貫通孔を有し、該貫通孔が前記本体部の前記貫通孔に対して連通するように前記本体部に結合されていることを特徴とする請求項7記載のタービン翼。 - 前記取付後縁部の前記本体部との結合部位が折り曲げられると共に、該折り曲げられた部位と前記本体部とがピンを介して結合されていることを特徴とする請求項7〜9いずれかに記載のタービン翼
- セラミックス基複合材料からなるタービン翼の製造方法であって、
前記タービン翼の後縁部が欠落された形状を有すると共にセラミックス繊維からなる本体部用織物を形成する本体部用織物形成工程と、
前記後縁部の一部の形状あるいは前記後縁部の外形形状とされたセラミックス繊維からなる取付後縁部用織物を形成する取付後縁部用織物形成工程と、
該取付後縁部用織物形成工程にて形成された前記取付後縁部用織物を前記本体部用織物の前記後縁部が欠落された領域にスティッチする結合工程と、
前記本体部用織物及び前記取付後縁部用織物に対してセラミックスマトリックスを付着形成することによってセラミックス基複合材料からなる本体部と取付後縁部とを形成するセラミックスマトリックス付着工程と、
前記後縁部が欠落された領域から内部に貫通する貫通孔を前記本体部に形成する貫通孔形成工程と
を有することを特徴とするタービン翼の製造方法。
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